2021年12月6日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

日時

令和3年12月6日(月)14:00~

場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)

出席者

出席委員(16名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  関野秀人(医療機器審査管理課長)
  •  高畑正浩(医療機器審査管理課再生医療等製品審査管理室長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  伯野春彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他

議事

○再生医療等製品審査管理室長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多忙な中御出席いただきまして誠にありがとうございます。本会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議形式を併用して開催いたします。
 まず、事務局に異動がございましたので報告いたします。10月1日付けで医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長に関野秀人が着任をしております。所用により出席が遅れておりますので、後ほど改めて御挨拶をさせていただければと思います。続きまして、9月14日付けで医療機器審査管理課再生医療等製品審査管理室長に私、高畑正浩が着任をしております。どうぞ、よろしくお願いいたします。続きまして、医薬品医療機器総合機構ですが、執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査部門担当)に、伯野春彦が9月15日付けで着任をしております。審査マネジメント部長に、安川孝志が同じく9月15日付けで着任をしております。
 委員の出席状況ですが、現時点で再生医療等製品・生物由来技術部会委員18名のうち、16名に御出席を頂いておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数に達しておりますことを御報告させていただきます。また、16名のうち8名の委員には、Webシステムを用いて御参加いただいております。
 続きまして、議事に先立ちまして、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果につきまして、御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定をしております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいておりまして、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
○事務局 続けて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明します。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日予定している全ての議題は、再生医療等製品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開とします。
 続きまして、配布資料の確認をします。事前にお知らせしていましたとおり、本日はペーパーレスで会議を進めたく、会場の皆様のお手元には議事次第、座席表、アベクマ点滴静注の製品外観資料のみをお配りしております。製品外観資料については部会後回収しますので、お持ち帰りいただかないよう御注意をお願いいたします。Webにて御参加されている皆様は、事前にお送りした紙資料を御覧ください。タブレットの操作について御不明点等ございましたら、お近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加される委員の皆様へ、注意事項を説明します。審議中は、マイクミュートでお願いいたします。御発言される際には、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後にマイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただきますようお願いします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
 次に、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告させていただきます。資料5、競合品目・競合企業リスト等一覧をお開きください。Webにて御参加されている皆様は、共有画面を御覧ください。
 1ページの「サクラシー」ですが、「角膜上皮幹細胞疲弊症における眼表面の癒着軽減」を対象疾患としており、競合品目として、資料に掲げる品目を設定しております。2ページの「アベクマ点滴静注」ですが、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を対象疾患としており、競合品目として、資料に掲げる品目を選定しております。事務局からは以上です。
○再生医療等製品審査管理室長 以降の進行については、合田部会長、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局に伺いたいのですけど、Web参加の先生方は、カメラはオンにして、それとも、オフで今日はやるのですか。
○事務局 それは任意でお願いいたします。
○合田部会長 なるべくならオンにしておいていただいたほうが、一応表情を座長席から見えるようにしていただいていますので、そちらの方が、いろいろとレスポンスはしやすいと思います。よろしくお願いします。手挙げのマークだけではなくて、手を挙げて御発言いただくか、それとも、そこで何か手を振っていただくとか何かアクションをしていただければ、意見があることが分かりますので、そのように御対応いただければと思います。
 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして特段の御意見、コメント等はございますでしょうか。特にないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんの御了承を得たものとします。
 それでは、委員からの申出状況についてもお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議題1から議題4までのいずれの議題についても、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。ただし、薬事分科会審議参加規程第13条に基づき、議題2におきまして、議決に参加できない委員は宮川委員となっております。この際、御退室いただく必要はございません。以上御報告いたします。
○合田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明につきまして、御意見等はございますでしょうか。よろしいですね。よろしければ、これより議題に入ります。それでは、皆さんに御確認いただいたものとしまして、本日は議題1、2が審議事項、議題3、4が報告事項となっております。
 まず、議題1に入ります。議題1「再生医療等製品「サクラシー」の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否について」の審議に入ります。機構より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料番号1-1、サクラシーの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。会場にいらっしゃる委員の皆様は、タブレットの資料番号1-1のサクラシーのマル3の審査報告書のファイルをお開きください。また、オンラインで御参加の委員の皆様は、お手元の資料の審査報告書のファイルをお開きください。審査報告書の3ページを御覧ください。ファイルで言うと5枚目のファイルになって、下の方にページ数が3と書いてあるページでございます。
 上段の1.1申請品目の概要を御覧ください。今回の製品、サクラシーですが、患者自身より採取した口腔粘膜組織から分離した口腔粘膜上皮細胞を、ヒト羊膜基質の上に播種し培養して製造した、口腔粘膜上皮細胞シートです。対象疾患は角膜上皮幹細胞疲弊症、以下、「LSCD」と略しますが、このLSCDに伴う癒着、具体的には眼の表面とまぶたの裏側との癒着を有する難治性の眼表面疾患患者の眼の表面に移植することによって、口腔粘膜の上皮細胞が生着・上皮化し、眼表面の異常を修復し、眼球とまぶたの裏側との癒着を軽減することを目的として使用される製品になります。
 今回の対象疾患のLSCDの角膜上皮の異常を修復することを目的とした再生医療等製品というのは、既に2製品承認されておりますが、LSCDに伴う眼表面の癒着の軽減を目的とする製品は初めてになりますので、まずは既承認品目との違いというところで説明を始めさせていただきます。
 続きまして、当日配布資料1を御覧ください。オンラインで御参加の委員におかれましては、オンラインで共有している画面を御覧ください。LSCDに対する既存の二つの再生医療等製品とサクラシーとの違いをまとめた資料になります。既承認品がネピック、オキュラル、今回の製品がサクラシーになります。
 適応対象の欄に、LSCD患者の眼の写真が二つあります。LSCD自体は、黒目部分の角膜と白目部分の結膜の境界にある角膜輪部に存在している幹細胞が、先天的又は後天的に減少して消失し、周囲の結膜上皮が角膜上に侵入して角膜表面を覆うことで、角膜の混濁、視力低下等に至る疾患群です。右側の写真のように、LSCDにおいては、結膜下結合組織の線維化を伴う眼表面の癒着が認められる場合があります。この右側の写真のような高度な癒着がある患者では、まず眼球とまぶたの裏側との癒着を解除し維持する治療が必要となるため、従来の製品では黒目の部分だけなのですが、黒目の部分の角膜上皮のみの修復を目的とする従来のネピックやオキュラルの使用は想定されません。なので、今回のサクラシーは、このように高度な癒着を生じた眼表面に対する治療に用いる製品として開発されたものになり、既承認品とは治療の目的が異なる製品です。
 作用機序の欄を御覧ください。既承認品は、角膜の再建・修復を目的に、黒目部分の角膜部に移植する製品である一方で、今回のサクラシーは、眼の表面における眼球とまぶたの裏側の癒着の軽減を目的に、角膜部のみならず結膜部にも移植する製品になります。
 原料の欄を御覧ください。サクラシーも既承認品のオキュラルと同様に、原料として患者自身の口腔粘膜上皮細胞を使用していますが、サクラシーは、シートとして製造する際に用いる同種羊膜基質ごと製品化しています。
 次に有効性の欄を御覧ください。各製品の臨床試験における主要評価項目の情報を記載しております。後ほど臨床成績については御説明させていただきますが、既承認品の臨床試験では、黒目部分の角膜の再建・修復を評価するための「角膜上皮再建率」で有効性が評価されている一方、今回のサクラシーの臨床試験においては、眼表面の癒着軽減を評価するために、眼球とまぶたの裏側との癒着の程度を指標とした「癒着スコア」で、有効性が評価されました。
 以上、角膜上皮幹細胞疲弊症患者を対象とする、今回の製品を併せた三つの製品の特色をお示し、サクラシーがLSCDにおける癒着軽減を目的とした製品であること、既承認品とは治療目的が異なることについて、御説明させていただきました。
 今回、サクラシーは、「スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、熱・化学外傷を含む難治性眼表面疾患」を効能、効果又は性能として承認申請されました。なお、サクラシーは、当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。現時点において、本品は、いずれの国及び地域においても承認・販売されていません。
 次に、本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員の説明をさせていただきます。事務局で画面共有をお願いいたします。会場にいらっしゃる委員の皆様方は、タブレットの資料1-1、サクラシーのマル2の専門委員リストを御覧ください。この専門委員リストにありますように、今回この品目の専門協議に御参加いただいた委員は、この資料の5名の委員です。
 続きまして、臨床試験成績を中心に、審査の概要を御説明させていただきます。サクラシーの審査報告書のファイルを御覧ください。資料1-1、サクラシーのマル3の審査報告書を御覧ください。こちらの審査報告書12ページの下の部分から臨床の項が始まりますので、そちらを御覧ください。12ページの下の方に7、臨床成績等の試験成績に関する資料及び機構における審査の概略があります。今回の承認申請では、評価資料の臨床試験成績として、LSCDに伴う癒着を有する難治性の眼表面疾患患者を対象とした医師主導の国内臨床試験である、170901試験の成績が提出されました。
 まず、有効性について説明させていただきます。審査報告書の14ページの表11を御覧ください。170901試験では、表11のうち一番上にある結膜所見の結膜嚢癒着の上と下のスコアと、次にあります角膜所見の一番上の瞼球癒着スコアの合計を癒着スコアとして、眼表面の癒着に対する本品の有効性評価が行われました。結果は、同じ14ページ下の部分からの記載になりまして、下の部分及び次の15ページの表13になります。こちらを御覧ください。独立評価委員会による中央判定の本品移植後24週における移植前からの癒着スコアの変化量は、表13のとおりで、癒着スコアについて統計的に有意な低下が認められました。以上の成績等を踏まえ、LSCDに伴う眼表面の癒着の軽減に対する一定の有効性が示されたと判断しております。
 次に、安全性については審査報告書23ページを御覧ください。審査報告書23ページの一番下から始まる7.R.3項になります。この23ページ以降に記載のとおり、本品使用によって発現が特に懸念される有害事象は認められず、安全性プロファイルには特段の懸念はないと判断いたしました。一方、臨床試験における症例数は極めて限られることから、製造販売後に全症例を対象とした調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 また、170901試験において、サクラシーの移植後に使用された免疫抑制剤の投与について説明させていただきます。審査報告書27ページを御覧ください。7.R.4の本品移植後の免疫抑制剤投与についての項です。サクラシー移植前には、眼表面の癒着を含む異常組織を除去する外科手術を行いますが、特に原疾患がSJSや眼類天疱瘡の場合には、この手術侵襲により高度な炎症が惹起され、術後に上皮障害及び眼表面の瘢痕化を誘導するおそれがあるため、治験では、術直後より眼表面の炎症を抑制する目的で、シクロスポリン又はシクロホスファミドの投与が行われました。本品移植後に免疫抑制剤を投与した170901試験の成績から、免疫抑制剤の投与を含めた本品移植治療全体の有効性は期待でき、安全性も忍容可能であるということから、本品移植後に170901試験と同様の用法・用量で、必要に応じて免疫抑制剤の投与を行うことに問題はないと判断しております。
 以上のような審査の結果、審査報告書の一番最初の1ページの一番下にある、効能、効果又は性能、並びに、次のページの用法及び用量又は使用方法で、本品を承認することは可能と判断いたしました。本品は、希少疾病用再生医療等製品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。
 また、先ほど御説明いたしました、サクラシーの移植後に使用された免疫抑制剤における対応について、御説明させていただきます。会場にいらっしゃる皆様は、当日配布資料2、サクラシー移植に伴う併用薬についてを御覧ください。オンラインで御参加の皆様は、表示されている画面を御覧ください。サクラシーによる治療に当たっては、SJS、眼類天疱瘡等を原疾患とするLSCDに伴う癒着を有する難治性の眼表面疾患に対して、本品移植後に想定される高度の炎症を抑制することを目的として、免疫抑制剤が使用されます。併用薬としては、こちらに示させていただいたシクロスポリン又はシクロホスファミドを、疾患に応じて又は患者の状態に応じて使い分けることになります。しかし、これらの免疫抑制剤の既承認の効能、効果、用法・用量の範囲外となることから、サクラシーによる治療の併用薬として、効能、効果と用法・用量の追加が必要となりました。併用薬の具体的な用法・用量は、サクラシーの用法及び用量又は使用方法に記載されるため、これらの併用薬の効能、効果、用法・用量の追加については、追って開催される医薬品第一部会で報告事項として取り扱うことにいたします。
 具体的な変更内容としましては、当日配布資料にお示ししております。シクロホスファミドは20品目及びシクロホスファミドは1品目あり、効能、効果に「細胞移植に伴う免疫反応の抑制」を追加し、用法及び用量を「再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する」とする変更を行います。
 最後に、小野寺委員から事前にサクラシーの製造に用いる羊膜組織の供給体制に関する御質問を頂いておりますので、御説明させていただきます。まず、本品1製品の製造に必要な羊膜基質は、○○○cm×○○○cmの大きさで、羊膜1枚当たりから、大体、本品○○製品から○○製品分の製造が可能とされております。医療機関で採取された羊膜組織は、○○○○○○で製造所へ運搬され、製造所で○○○○○○○○○を行った後、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○保管されます。そのため、実際の製造においては、本品製造時には、この○○○○○○○○○○○○○○羊膜基質を使用して製造されることになります。
 実際の供給体制なのですが、眼表面に癒着を有するLSCD患者の患者数を踏まえ、現時点でサクラシーは最大年間○○製品の製造を見込んでおります。この製造に必要な羊膜は、○○○枚から○枚とされています。サクラシーの原料となる羊膜組織は、直接契約する複数の医療機関から供給される予定でございまして、2021年10月時点では、企業から○施設と契約している旨、説明を受けております。この○施設から供給を受ける羊膜の供給量としては年間約○枚とされております。羊膜組織の採取施設については、日本組織移植学会組織バンクの認定基準に準じて、適切な医師や設備等を備えていることが確認されております。サクラシーの製造に用いる羊膜組織の供給体制について、申請者より以上のとおり説明がされており、今回、予定されている製造規模に対して、羊膜組織の供給体制等は見合っていると考えています。
 以上が審査の概要の説明です。審議のほど、よろしくお願いします。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。会場の先生方はよろしいですか。はい、佐藤陽治先生。
○佐藤(陽)委員 国衛研の佐藤です。御説明ありがとうございました。原料について質問させていただきたいことが一つございます。審査報告書の5ページや申請資料の概要などにも書いてあるのですが、口腔粘膜組織の受入れのときの、ウイルス検査などについての質問です。確かに生物由来原料基準には適合しているという形で、審査報告書に載っているウイルスの検査はされているのですが、気になるのは、口腔粘膜という点で考えますと、例えばヘルペスなどが存在していそうですし、逆に眼で炎症を起こしそうなウイルスという点から考えますと、ヘルペスやコクサッキーなどが考えられるというところです。そうした口腔粘膜と眼の粘膜で共通するようなものとして、例えば私のイメージなのですが、ヘルペスなどは、同じく感染していても口腔粘膜で多く増えている場合と、別の所で多く増えている場合と様々だと思います。その辺についての受入れ基準というのは、問診や口腔内検査という形で対応すると理解してよろしいですか。その辺が適正使用基準とかにも書かれていない気がするのです。いかがでしょうか。それは臨床上、余り問題ではないから書かれていないのか、その辺が気になるので教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。今回、口腔粘膜の採取については、治験においては、口腔粘膜組織の採取部位は、炎症性等の病変のない健常な粘膜組織とされて、それを確認して採取することとされております。実際の市販後の医療現場でも、そういう部分を確認した上で、問題のないと判断された患者さんから口腔粘膜は採られる形になるかと考えております。
○佐藤(陽)委員 ありがとうございました。ただ、要するにリスクファクターとして明記されていないというところが、少し気になったので、御検討いただきたいと思います。私は臨床がそれほど詳しくないので、そこまでする必要はないという臨床上の御意見があれば、それはそれで結構なのですが、口腔内検査のときのそういったウイルス、眼と口腔粘膜に共通するようなウイルスに関する懸念事項なりリスクファクターなりを明記する必要があるかどうかについて、臨床の先生方と御相談して、例えば適正使用のガイドラインの中に書き込む必要があるかを検討をしていただければよろしいかなと存じます。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。今の佐藤先生の御質問で、MDの先生方、何かございますか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。これは、先発というか類似でオキュラルのときはどうだったかということを、しっかりと調べていれば分かるはずなのだけれど、オキュラルとの差はどうだったかお聞かせください。佐藤先生の御意見はそういうことだと思うのです。実際に口腔粘膜に感染が存在すれば、眼に持っていけば、それをいたずらに増やすことになる可能性があります。そういう実例があったのかなかったのか、オキュラルではどうだったのか。そのことを比べれば今の答えになると思います。健常粘膜というのは当たり前のことなので、それは答えになっていないはずです。そこのところをしっかりと説明していただければと思います。
○森尾委員 森尾です。恐らく追加で確認していただくのは、口腔内は間違いなくHHV-6とか7とかサイトメガロウイルスとかが、EBも恐らくいるはずです。時々、患者さんではHSV-1とか口角炎とかある可能性もあるので、そこら辺の確認はしっかりしておいていただいたほうがいいかと。特にHSV-1とかを眼に持っていってしまうと問題になると思いますので、ちょっと確認をお願いできればと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、機構です。ちょっと御確認なのですが、佐藤委員の御質問は、自己の口腔粘膜の話に加えて、羊膜基質まで。
○佐藤(陽)委員 自己の口腔粘膜であっても、例えば口腔粘膜と眼の粘膜で全く同じ濃度のウイルスがいるとは限らないですよね、個人個人。ですから、患者さんによっては特定の部位にウイルスがたくさん増えていたりする可能性はあるので、そういったところをどれぐらい重視したほうがいいのかについて、臨床の先生方と御相談されたらよろしいかなと思います。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、確認させていただくということで。恐らく先行のオキュラルでも、同じ基準で検査はされていて、採取時に健常な部位から採るということで、現状、何か健康被害があったという報告はまだ頂いてはいないということですので。ただ、佐藤委員に御指摘いただいたように、口腔系に関するようなウイルスとその懸念について、今一度、申請者にも確認をして、これで問題ないということは確認させていただければとは思います。
○佐藤(陽)委員 ありがとうございます。
○合田部会長 検査が必要なのか、それとも目視でいいのかということにつながりますよね。
○佐藤(陽)委員 そうですね。そこは臨床の先生方の御意見を伺っていただければと存じます。よろしくお願いします。
○合田部会長 宮川先生、いいですか。
○宮川委員 それは目視では駄目なので、どこまでしっかり調べているかということが問題です。森尾先生いかがですか。
○森尾委員 恐らく調べているのではと思います。もし上皮に感染してたりすると、培養中に死んでしまうはずです。なので、そこら辺の何かデータがあるのではないかと思うので、そこら辺を詳しく教えていただけたらと思います。
○宮川委員 どのぐらい培養のときに見ていたのかということで、決まってくると思うのですがお教えください。
○医薬品医療機器総合機構 確認させていただきます。恐らくですが、自己製品ですので、何か培養前後で口腔系のウイルスに特化したPCRをしたとか、そういったところは資料からは確認できていないのですが、やってなければやってないということで、その懸念についてどう考えているかは確認させていただければと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、ほかの点について御質問等はございますでしょうか。Webの先生方、よろしいですか。
○小牧委員 小牧ですが、よろしいですか。
○合田部会長 小牧先生、どうぞ。
○小牧委員 審査報告書の35ページで、再移植の可能性について記載があります。この場合には、1、2年での本品の再移植の判断が想定されるという記載がありますが、先ほど説明いただきましたように、ちょっと目的は違うとのことですが、先行品を投与した患者さんがこの製品を使うということも想定されるかと思ったのですが、その場合の何か間隔などというのは、特にこれは現場に任せるということでよろしいのでしょうか。特に問題はないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より答えさせていただきます。現時点で、前の治療からの期間を制限するということは特に設けておりませんで、その患者さんにおいて、今回は癒着の軽減が治療の目的になりますので、もし過去にオキュラル等が使用された患者さんで、使用後にまた角膜上皮幹細胞疲弊症で状態が悪くなって、眼の状態、眼表面の癒着が認められ、その治療が必要になった場合には、本品の適用が考慮される、その使用については特に制限するものではないと考えております。
○合田部会長 小牧先生、よろしいですか。
○小牧委員 はい、承知しました。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、次は小野寺先生、お願いします。
○小野寺委員 すみません、成育の小野寺です。まず、先ほどの羊膜基盤に関しては理解しました。ありがとうございます。供給体制はしっかりしているということで納得しました。
 次にお聞きしたいことは、実施医療機関に関してです。使用要件等の基準が5ページに書いてあり、比較的しっかり定められていると思いますが、ここで用いられる手法は技術的に難しいものでしょうか。つまり、眼科医としてもかなり特殊な技術を求められるかどうかに関してです。次に、市販後調査に関してです。今回、改正GPSPに従い比較調査を行うと思われますが、今回の場合、症例数が比較的少ないと思います。つまり、条件付き承認で定期的な報告がある場合はその判断がしやすいと思いますが、今回の場合は承認後の比較試験であり、特に、内服薬ではなく手術という手技に関わるものですから、本当に個別医療機関での結果が比較可能であるか心配です。現時点で実施施設における比較調査に関して決まっていることがあれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えさせていただきます。まず、今回、小野寺委員が御指摘のように、有効性は認められたということで、条件期限付承認ではなく通常承認(フル承認)というものです。比較調査ではなく一般使用成績調査ということで、本品を使用した患者さんのデータを全例調査して、その中で、有効性は前後比較でその癒着スコアを評価していくという調査で、再審査はその有効性についても評価を行うという計画になっております。実施施設については、これからトレーニング等を含めて徐々に広がっていくものとは思います。
○小野寺委員 分かりました。今回の成績で既に有効性は認めているということになるのですね。
○医薬品医療機器総合機構 機構より追加でお答えいたします。まず有効性に関してですが、眼表面の癒着が強い場合に、無治療で癒着が改善するということは、通常、起きないような難治性の疾患のみを対象にしておりますので、今回の治験で一定の癒着の改善が認められたことをもって、有効性については示されたと考えています。
 もう一点、使用医師の基準に関してなのですが、今回、角膜移植と羊膜移植の経験がいずれも5例ずつある医師のみが本品を使用できるという基準になっておりまして、そういった医師ですと、特に本品の使用については問題なく行えると判断をしております。以上です。
○合田部会長 小野寺先生、よろしいですか。
○小野寺委員 はい。結構です。
○永井委員 よろしいですか。京大の永井と申します。
○合田部会長 永井先生、はい。
○永井委員 今の小野寺委員の質問にも関係するのですが、この製品の臨床試験成績について、7例中2例では効果がなく、あるいは、あっても一時的でした。それでもプライマリーエンドポイントを達成しているので問題はないと思います。実際、血圧の薬にしても抗がん剤にしても効く人もいれば効かない人もいるのが一般的ですが、今回ちょっと違うのは、効かなかった理由が比較的はっきりしているのです。羊膜の使い方や裁断の仕方等が効果に影響しており、対象患者や手順がまだ最適化されてないと感じます。今後、市販後に使用される実態を通じて、対象患者と技術・手順を最適化していく必要があると思います。恐らく1例で何千万という高い値段がつく製品ですので、市販後の使用を通じた最適化が非常に重要で、10年後にきちんとこの対象患者と技術が最適化できるように市販後の調査計画を作っていただきたいと思います。40ページには、主な調査項目として、安全性、有効性としては癒着スコア、矯正視力等が書かれていますが、それだけでは今申したことは達成できません。こういった患者さんにこういった方法でやれば一番いいというものを示していただきたい、すなわち、最も恩恵を受ける患者と最適な使い方を示していただけるように市販後調査を計画していただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構より答えさせていただきます。御意見ありがとうございました。確かに、今回、癒着に対する効果は長期で見たときに思ったほど認められていない症例もありまして、その理由として使用方法というところが申請者から説明されているのは、御指摘のとおりでございます。ここについては、審査においても特に議論になりまして、今回の治験で、そういったノウハウ、どういうふうに使えばきちんと移植に対して効果的な使い方ができるかという部分については、医師向け、使用者向けの適正使用ガイド、資材において、きちんと治験の中で得られた知見について、十分に医療現場に情報提供していただくように指示をしておりまして、それを準備して、それをきちんと情報提供した上で、市販後の情報収集をさせていただく予定です。もちろん、御指摘いただいた、市販後どういう使い方をしたかという部分についても、今後、申請者と調整しながら、適切な情報収集に努めてまいりたいと考えております。
○永井委員 ありがとうございます。ガイドラインを提供すること、市販後の調査を通じて患者さんと技術の最適化を図ること、是非お願いしたいと思います。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。はい、宮川先生。
○宮川委員 LSCDに対しての考え方なのですが、オキュラルを開発された阪大の西田教授に先週お話を伺って、その手技に関しては非常に確立化してきているとのことでした。それで、先ほど指摘したような医師要件や施設要件というのがしっかりしていれば、フォローできる段階にはなってきたのだろうと思います。ただ、これに関しては、やはり角膜プラス結膜が入ってきて、それに癒着をしてきたということの中で、この本品が使われるということなので、まだそこまでは手技や周辺技術が確立されていないことも考えられます。ですから、2例の脱落があったということなので、しっかりとした取扱いをして、全例調査をしっかりして、審議していくことが非常に重要なのではないかと思っています。意見として、また一つ。
○合田部会長 宮川先生、ありがとうございます。ほかに御質問等はございますか。宮川先生、もう一回。
○宮川委員 これは、企業が治験でやられた症例を基にして、スティーブン・ジョンソン等の後天性とか外傷性を念頭に、こういうものを申請し、概念もあるのでしょうが、先天性の無虹彩症とか強膜化結膜などの患者さんに対しての適用は実際に入ってくるのでしょうか。その病態のグレードも問題だと思うのですが、どうなっているか教えていただければ幸いです。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。今、御質問のあった点に関してですが、例えば先天性の無虹彩症ですとか、その他の疾患に関しても、LSCDがあって癒着を伴っているもので本品の使用が望ましいと考えられる患者さんに対しては、特に使用制限は設けておりません。
○宮川委員 それは先進Bの中に入っていたということですね。
○医薬品医療機器総合機構 先進Bにも一部、そのような患者さんは組み込まれています。
○宮川委員 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等はございませんか。よろしいですね。はい、佐藤先生。
○佐藤(陽)委員 くどいようですが、先ほど最初に御質問させていただいたことについてなのですが、生物由来原料基準に書いてあるウイルスというのは、感染するとかなり命に関わったり予後が悪かったりするウイルスですので、例えば先ほど私がお話させていただいたようなウイルスで異常が起こったとしても、きちんと対処できるとか、重症にはならないなどというリスクマネジメントの観点からの説明でもよろしいのかなという気はいたします。ですので、その辺を臨床の先生方や会社の方々と御議論いただいて、適正使用のガイドラインなどにハザードとして明記したほうがいいのかどうかなどを御検討いただければと思います。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。よろしいですか。それでは、議決に入りたいと思いますが。
〇医薬品医療機器総合機構 先進Bの対象患者について補足説明させてください。先進Bには、治験に入っていた背景より幅広い患者も入っていました。それも含め総合的に判断して、本品は眼表面の癒着とLSCDがある方に対して有効という形で考えております。
○宮川委員 そうすると、幅を広げて申し訳ないのですが、原疾患が何であれ、後天性でも先天性でも、ある程度癒着ということがあれば使えるという考え方になっていると、かなり幅広くなっていますね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのように考えております。
○合田部会長 効能、効果もそれで書いてありましたよね、今の形で。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○合田部会長 そうですよね。ほかによろしいですか。それでは、議決を行いたいと思います。皆さん、よろしいですね。
 再生医療等製品「サクラシー」については、承認を可としてよろしいでしょうか。また、条件及び期限付承認に該当せず、10年間の再審査の指定の対象としてよろしいでしょうか。皆さん、よろしいですね。それでは、御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は、分科会にて報告を行うことといたします。これで議題1を終了いたします。
 それでは、議題2「再生医療等製品「アベクマ点滴静注」の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否について」の審議に入りたいと思います。機構より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。議題2、資料番号2-1、アベクマ点滴静注の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。会場にいらっしゃる委員の皆様は、タブレットの資料番号、資料2-1のマル3審査報告書のファイルをお開きください。また、オンラインで御参加の委員の皆様は、お手元の資料の審査報告書をお開きください。
 審査報告書4ページ上段の1.1申請品目の概要を御覧ください。アベクマ点滴静注(以下、「本品」)は、遺伝子組換えレンチウイルスベクターを用いて、形質細胞ががん化した骨髄腫細胞に多く発現するB細胞成熟抗原(以下、「BCMA」)を特異的に認識するキメラ抗原受容体(以下、「CAR」)の遺伝子を患者末梢血由来のT細胞に導入した再生医療等製品です。本品に導入されたCARがBCMAを発現した細胞を認識することにより、本品が活性化され、増殖、また標的細胞に対する攻撃等に関する信号を伝達することにより、BCMAを発現する腫瘍を死滅させる効果が期待されます。
 今般、本品は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能、効果又は性能として、承認申請されました。なお、本品は、当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。
 本品は、2021年3月に米国で、2021年8月に欧州で承認されております。
 会場にいらっしゃる委員の皆様は、資料2-1のマル2専門委員リストを御確認いただきたいと思います。また、オンラインで御参加の委員の皆様は、画面共有しております資料2-1専門委員リストを御確認ください。こちらのリストにお示ししていますとおり、5名の委員に御意見を頂きました。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を御説明いたします。審査報告書22ページ中段から下段の表17を御覧ください。今般の承認申請では、臨床試験成績として、海外第I相試験であるCRB-401試験及び国際共同第II相試験であるMM-001試験の成績が提出されました。
 まず、有効性について御説明いたします。審査報告書29ページ中段から下段の7.R.1.2有効性の評価結果についてを御覧ください。再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同試験であるMM-001試験において、有効性の主要評価項目である外国人コホートにおける全奏効割合は73.4%であり、95%信頼区間の下限は、あらかじめ設定された閾値奏効割合である50%を上回りました。また、日本人コホートにおける全奏効割合は88.9%でした。
 次に、安全性については、審査報告書33ページ中段の7.R.2安全性についてを御覧ください。本品の使用時に特に注意を要する有害事象として、サイトカイン放出症候群、血球貪食性リンパ組織球症、神経障害等が認められております。したがって、本品投与時には、これらの有害事象の発現に特に注意すべきと判断いたしました。また、これらの有害事象の発現に対応できる設備の整った医療施設において、多発性骨髄腫の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応がとられることにより、忍容可能と判断いたしました。ただし、国内での治験症例数が極めて限られていることから、製造販売後には全症例を対象とする調査を実施する必要があると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、一番上に戻っていただき、審査報告書1ページの下段から2ページ上段から中段に記載した効能、効果又は性能、並びに用法及び用量又は使用方法で、審査報告書2ページの下段に記載した承認条件を付した上で、本品を承認することは可能と判断いたしました。
 本品は、希少疾病用再生医療等製品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、また、指定再生医療等製品への指定は不要と判断いたしました。御審議のほど、よろしくお願いします。
○合田部会長 ありがとうございました。続いて、資料の最適使用推進ガイドライン案について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局より、最適使用推進ガイドラインについて説明させていただきます。お手元の資料2-2の最適使用推進ガイドライン案をお開きください。
 最適使用推進ガイドラインは、医薬品で行われている取組に倣い、試行的に作成するもので、新規作用機序の再生医療等製品について最適な使用を進めていくため、この再生医療等製品を真に必要とする患者や、使用する医師や医療機関の要件についてお示しするものです。ガイドラインの案については、現在、一般社団法人日本血液学会、一般社団法人日本輸血・細胞治療学会、一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会、日本血液疾患免疫療法学会、一般社団法人日本遺伝子細胞治療学会、公益社団法人日本臨床腫瘍学会、一般社団法人日本骨髄腫学会の7学会の御協力を頂いて検討しているところです。本部会の委員からも御意見、御指摘がございましたら、それも含めて検討させていただきたく、案をお示しする次第です。
 ガイドライン全体の構成から説明いたします。1ページに目次がございます。まず、2ページの「1.はじめに」で、このガイドラインの位置付け、内容を紹介しています。次に、4ページの「2.本品の特徴、作用機序」で、この製品の基本的な情報を記載しています。5ページの「3.臨床成績」で、今回の承認審査で確認した主な臨床試験における有効性と安全性の成績を紹介しています。12ページの「4.施設について」では、最適使用のための施設や医師の要件を示しています。14ページの「5.投与対象となる患者」では、有効性と安全性の観点から、これまでに得られているエビデンスの下、どういった患者に投与するのが最適かを示しています。最後に、15ページの「6.投与に際して留意すべき事項」では、これまでに示した施設、患者要件で実際に使う場合の留意点を示しています。
 具体的な要件について、特に「4.施設について」以降を説明いたします。資料の12ページを御覧ください。「4.施設について」ですが、まずマル1-1に四つの施設の要件を示しています。(1)は日本造血・免疫細胞療法学会が定める移植認定施設のうち、認定カテゴリー1若しくはそれに準ずる施設として、医師や看護師の配置が充実している診療科又は本品に係る治験の実施施設で治療を行うこととしています。(2)で、本品は投与後に重篤な有害事象が発現する可能性が高く、ICU等において集学的対応が必要となることから、全身管理が可能なICU等を有していることを要件としています。(3)は、アフェレーシスを安全に行うための要件です。(4)は、本品の承認後に予定される全例調査を適切に行うための要件です。
 次のマル1-2に、医師の要件が書かれています。こちらも、多発性骨髄腫の専門的知識や診療経験を重視し、さらに製造販売業者が実施する本品の使用に関する講習を修了した医師が複数名配置されていることを要件として求めています。また、複数名の医師のうち1人は治療の責任者として、(1)~(3)までの要件全てを満たす人を責任者として配置することを求めています。
 次に、14ページを御覧ください。「5.投与対象とする患者」について、「有効性に関する事項」のマル1では本品の効能・効果に係る基準及び治験の組入れ基準、マル2では治験の除外基準に該当する患者の要件を主に記載しています。
 安全性に関する事項のマル1には添付文書の禁忌に該当する事項を、マル2には治験での除外基準に該当する患者を記載しています。
 次に15ページ、「6.投与に際して留意すべき事項」を御覧ください。ここは、添付文書の重要な基本的注意の欄を基に記載しています。特にマル3の2ポツ目、サイトカイン放出症候群(CRS)への処置については、こちらの表8に示すアルゴリズムにのっとって管理することが重要であり、また16ページの表の下のポツ、神経系事象への処置については、17ページの表9に示すアルゴリズムにのっとって管理することが重要ですので、添付文書よりも詳細な記載としています。今後、本ガイドラインは、医薬品と同様に、保険適用上の留意事項としての活用を検討していただくこととしています。
 また、冒頭に机上配布することとしておりました外観資料について、ただいま画面共有をさせていただきますので、少々お待ちください。ただいま画面に映っておりますのが、製品の外観になります。説明は以上です。
○合田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。佐藤陽治先生。
○佐藤(陽)委員 国衛研の佐藤です。御説明ありがとうございます。素人なもので教えていただきたいのですが、投与対象外の患者の中に、同種造血幹細胞移植の治療歴のある患者が入っているのですが、これはどうしてなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。基本的には、同種造血幹細胞移植の治療歴のある患者というのは、先ほど2試験を御説明させていただきましたが、いずれも除外基準に設定されておりまして、当該対象に対する本品の安全性に係る情報がないということです。こちらについては、専門協議と最適使用推進ガイドラインに係る検討会議において、同種の造血幹細胞移植の治療歴のある患者は、現時点では安全性に係る情報がないということで、その主な理由で除外の対象になっております。以上です。
○佐藤(陽)委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 Webで手を挙げられている荒戸先生、お願いいたします。
○荒戸委員 荒戸です。再投与についての考え方をお伺いしたく思います。今回は再投与の症例が極めて少なく、効果も今一つということで、添付文書で再投与はしないというように規定されています。キムリアも、今年の4月に添付文書に同じような文言が追加されているようなのですが、一方で、海外の添付文書ではそういう記載が見付けられなかったので、この辺の再投与に関する考え方を、一度お伺いさせていただきたく思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。まず、本品の用法・用量及び使用方法等に係る議論においては、今、少しお話が出ておりましたが、実際に本品の再投与というのは臨床試験では幾つか経験があるのですが、奏効等の結果を見てみると、再投与をした後の治療成績というのは、初回投与に比べて低く、申請者としても、再投与に関しては推奨できないという結論を持っているということで、用法・用量又は使用方法において、非常に重要な情報になりますので、過去のCD19CARを含め、再投与はオプションにはならないということについては、用法・用量又は使用方法において明記するというように、これまでも一貫して対応していると思います。再投与をしたときには、ターゲットとなる腫瘍の抗原の発現のパターンが変わったりとか、いろいろな情報を取られていると思いますが、現時点では再投与を推奨できるという情報は得られていないということで、承認事項として明記する形としております。
 国内外で、どこまでを明記した形でやるかというところは、いろいろなシステムも違うということでして、本邦においては、これまで一貫して、再投与しないということについては用法及び用量又は使用方法の所に明記するという形で、承認審査を進めてきております。以上です。
○合田部会長 荒戸先生、よろしいですか。
○荒戸委員 そうすると、海外でも再投与はほとんど行われていないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、再投与が推奨されないということについては、申請者から説明を受けていて、どこまで明記するのかというのは、審査の中で出てはいたと思うのですが。極端なことを言えば、再投与を絶対にしてはならないかというところまでは、申請者に確認を取る必要はあるかもしれませんけれども、積極的な再投与というのは検討課題というか、まだそういう状況にあると我々は理解しております。以上です。
○荒戸委員 分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 次に、小野寺先生、お願いできますか。
○小野寺委員 今回の製品においては○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○遺伝子導入すると聞いております。そうなると、これまで日本で承認されたCAR-T療法における細胞調製が全て異なると思います。もちろん、対象疾患が異なることもありますが、基本的にCAR-T療法の有効性に関して機構は原材料としての患者細胞処理をどのように考えているでしょうか。つまり、今後、新たなCAR-T療法開発に関して患者細胞の採取・調製に一定の基準を定めるか等の質問です。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。一般的な話として、CAR-T製品は各社各様で製造方法を確立してきているというのが背景で、CAR-T製品、CD19でも3製品が承認されて、今回、新しくアベクマが審査をされておりますが、アフェレーシスまではいいのですが、その後の処理をどこで何をやるかということの標準化を、なかなか機構から「一律に、これでお願いします」と指導することは難しいと思っています。ただ、現場では、それぞれの製品と契約するに当たって、違うやり方があって煩雑だという話は伺ってはおります。その標準化については、現場の課題として認識はしているものの、どのように効率よく、効果的に、この治療というものをできるかということについては、今後の課題かなと考えております。以上です。
○小野寺委員 機構の仰るとおりでこれら作業工程を一元化することは難しいとは思います。ただ、今後、複数のCAR-T療法の結果が報告され、その結果を横並びに再評価することで製品間での調製方法の違いが見えてくる可能性はあると思います。その意味で、今、何かするべきとは思いませんが、そこの観点を考慮して頂き、学会等を含めて原材料採取における患者細胞アフェレーシス等の管理基準等を定めていただければと存じますし、そうなればより品質が担保された細胞の患者投与が可能になると思います。是非、この点に関して機構側でも検討していただければと存じます。
○合田部会長 ありがとうございます。次は永井先生、お願いできますか。
○永井委員 二つの臨床試験成績が提示されていて、初めのフェーズ1と称される臨床試験では、実は43例中33例が試験を離脱しています。そのうちの大半が原病の悪化や死亡であり、一時的にしか効いていません。そこで、実際の臨床試験成績が32ページにあったので数字を眺めてみたのですが、そうは言うものの、OR、OS、あるいはPFSで見ても、それなりに効いているのだなとは思われました。
 しかしながら、単群の臨床試験であり、最終的に外部対照との比較で有効性について評価したというくだりが、32ページの後半に書いてあります。ここで、95%の後ろ側が推定不能なのです。
○合田部会長 今、声が全然こちらに届いておりません。
○事務局 チャット欄に御質問内容を書いていただけましたら、事務局で代読いたしますが、いかがでしょうか。
○合田部会長 永井先生、声が届かないようですので、チャット欄に質問内容の御記入をお願いできますか。申し訳ございません。
 永井先生の御質問はチャットに御記入いただくことにいたしますので、先に小原先生、お願いします。
○小原委員 質問させていただきます。本製品を投与した後の神経障害の発現と二次性腫瘍発現というのが、表37と表50に一覧としてお示しされています。これは、本製品の投与によって誘発されたという可能性はいかがなのでしょうか。因果関係ありというものも中にあるようなのですが、これらについては、危険性として認識されていらっしゃるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。表37等は、臨床試験で発現が認められた、Grade3以上の例えば神経障害を発現した一覧ですので、必ずしも全てが本品との因果関係が否定できないとされたものではございません。因果関係ありというものについては、基本的には本品の投与によるものと考え得るということになりますので、誘発された可能性というのは否定できないと思います。
 神経障害においては、既存のCAR-T療法等においても注意を要すべき事象としておりますので、これらの事象が発現することに関しては、あらかじめ特定されたリスクとして、情報提供及びリスクマネジメント対策について、施設側の連携を含めて実施することとされております。
 二次性の悪性腫瘍についても、現時点では本品との因果関係を積極的に示唆する情報は得られていないと考えております。しかしながら、この点については、症例数が少ないこともありますので、市販後の全例調査において、懸念が認められないかというところについては引き続き情報収集する必要があると考えております。以上です。
○小原委員 ありがとうございます。
○合田部会長 では楠岡先生、どうぞ。
○楠岡部会長代理 楠岡です。対象疾患と製品に違いはあるのですが、これまでの悪性リンパ腫に対するCAR-T療法に比べて、重篤な有害事象とか死亡例の発生率が高いような印象が、前の審査報告書と比較しているわけではないのですが、そういう印象を受けるのですが、その点はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 実際には、ほかのCAR-T療法と適応症が異なること等から、直接的な比較は難しいと考えておりますが、我々もチームで審査をしてきた中で、既承認のCAR-T療法と比較して、本品で特に問題となるという結果は認められていないと考えております。
 なお、特に注意が必要な有害事象として、サイトカイン放出症候群、血球貪食性リンパ組織球症、神経障害等については、既承認のCAR-T細胞療法と類似しており、これらの有害事象の発現には十分に対応できる設備の整った医療施設において、多発性骨髄腫の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理等の適切な対応を行うことが前提にあるという上で、忍容可能と判断しております。以上です。
○楠岡部会長代理 注意を喚起することは当然必要なわけですが、既に承認されているCAR-T療法と今回のCAR-T療法、いずれも血液疾患で、悪性リンパ腫を専門にされる方と骨髄腫を専門にされる方は、必ずしもオーバーラップしているわけではないのですが、両方を対象とされた場合に、少しこちら側は慎重が必要なような感じも受けるところがあります。これからそれぞれの製品での症例を積み重ねた上で、もし差があるようであれば、添付文書等に注意を追加する必要があるのではないかと思いますので、その辺について、今後ともよろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。これで既にCARが4品目目になるのですが、これから情報を蓄積して、その情報に基づいて適正な注意喚起等がないかというのは、随時こちらも検討していきたいと考えております。御意見ありがとうございます。
○楠岡部会長代理 お願いいたします。
○合田部会長 宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 宮川です。確かに、多くの被験者の中で、サイトカイン放出症候群などは結構重篤な症例もあるように認めているのです。その対処法として、表38のCRSの管理アルゴリズム、そして、その治療のレベルはどこまで行われているのかと危惧します。患者の重篤さはいろいろな形があるのでしょうけれども、どこまで行われていたのかというのが非常に分かりにくい報告書になっていると思います。それによって、どのような結果があったかということは、非常に重要だと思うのです。それで、発現の頻度、重篤度、治療の度合いというのが書かれていないので、楠岡先生がおっしゃったように、不明確であるということが非常にここで問題だろうと思います。その中で、データベースで何となく調べて何か分かるよという形ではなくて、先ほどおっしゃったように、全例調査をするとか、しっかりとした後付けがないと問題であり、審議をして了解できる判断はできないと思います。そのような条件はしっかりと位置付けないと、今、部会長代理がおっしゃったような懸念があるのではないかと思うので、是非ともお願いしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局、どうぞ。
○事務局 永井先生からのメッセージを読み上げさせていただきます。
 「機構へのお願いですが、32ページに臨床試験成績として幾つかの研究が挙げられていますが、介入研究と観察研究(臨床試験ではない)が混在しています。整理して記載を頂きたいです。特に、外部対照として参照する場合、エビデンスレベルの異なる臨床試験と観察研究をしっかり区別すべきです。なお、非介入、レトロスペクティブ研究を「試験」と称するのは誤りです。NIH、NLM、FDAともに、明確に区別しています。音声障害失礼しました。」とのことです。
○合田部会長 ありがとうございます。今の点について、何かございますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。永井先生の御指摘についてですが、申請資料から読み取ってそのまま記載しているというのが事実でして、混在しているという御指摘と明確にすべきという御指摘について、今後はそういったことがないように、これからは気を付けたいと思います。今回は、これでまとめているという状況ですので、今後検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○合田部会長 森尾先生、どうぞ。
○森尾委員 森尾です。有害事象についてですが、表26で日本人コホートで多かった有害事象が挙げられています。その中で、そもそも血球減少はなぜ起きるのか、白血球減少やリンパ球減少について、何か分かっていることがあったら教えていただきたいのが一つです。
 それと、これは少数例だからなかなか結論は出ないと思うのですが、なぜ日本人に多く見えているのかというところで、例えば量が同じ量で、450×10ですから、体格差の問題だったのか、年齢の問題だったのか、何か分かるようなことがあれば教えてください。いずれにせよ、これから情報を集められると思うのですが、かなりGrade3以上の白血球減少、リンパ球減少のパーセンテージが多いなという気がいたしました。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。日本人での被験者数が限られておりますが、今回の品目だけでなく、他の既承認のCAR-T製品につきましても、日本人での血球減少が多いことは共通しております。この品目に関しては、特に日本人で細胞が多くなるという傾向はないと考えています。日本人で細胞が相対的に多くなるような場合もありますので、今後、用法・用量の設定が日本人独自で必要なのか等、安全性プロファイルを今後積み重ねていき、より慎重な対応が必要なのか検討いたします。
○合田部会長 宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 やはり、その辺の問題というのは非常に大きいのだろうと思います。ですから投与目標数が、450だけではなくて、150から入っているわけです。それも、日本人の症例でなかったりとか、全体で4例しかなかったりとか、そのように非常に乏しい結果となっています。日本人の場合には、副作用も含めていろいろな反応が多いので、下限界を少し下げたところで承認用量などを決めて、150から450までと書いてあります。どうもその辺が明確ではありません。明快でないというのは、併合解析の問題であったり、非常に解析の中身が乏しいような気がするのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 正におっしゃるとおりで、日本人の成績については、450の成績、9例です。有害事象に関しても、今御指摘のあったとおり、日本人症例数が少ないものの高く認められているような傾向があるというところに関しては、正にそのとおりだと思います。ただし、本品の臨床的有用性については、この2試験を通じて期待できると判断し、承認条件に設定したとおり、速やか、かつ偏りのない全例調査を設定した上で、速やかに収集した情報を適正使用やリスク低減等につなげていくところについては、検討課題と思います。ありがとうございます。
○宮川委員 投与のところは問題ないにしても、採取のところは、様々な手法の中で行われていて、統一された形ではないと考えます。そういうことも、こういう結果に反映されているかもしれないので、その辺の読み方というのは非常に難しいのかなとは思います。機構の方も大変苦労されているのだろうと思いますけれども、だからと言って、これを簡単に承認していいのかどうかというのは、非常に不安だろうと思いますので、その辺のところもしっかりと審議していただければと思います。
○合田部会長 CAR-Tも4例目になると、いろいろな難しい例が出てきますよね。
○楠岡部会長代理 審査の内容という話ではないのですが、有効性の判定というのが、寛解ではなくて再発の期間延長などです。当然、重度の悪性腫瘍に対する抗がん剤の判定は、大体そういうところでなされているので、そこは全く問題はないと思うのですが、CAR-T療法という非常に先進的な治療であるということと、お値段も高いということで、患者の期待度がすごく高くて、これによって寛解というようなことを期待されると、思ったような効果が得られないという乖離がすごく出てくる可能性がある。この辺りのところは、今後CAR-T療法全般に言えることで、非常に先進的で高額な医療に対しての期待値をどう正しく伝えていくかというのは、大きな課題ではないかと。これは、機構というよりも厚生労働省の方の話になるかもしれませんが、そこは今回のデータからも感じられたところですので、審査の内容に関しての問題というわけではないのですが、コメントとして申し上げます。
○合田部会長 楠岡先生にまとめていただいて、ありがとうございます。非常に難しいところだなと思いながら聞いておりました。
 従来の抗がんというか、そういう製品ということから見た場合には、十分に大丈夫だろうと思いますが、コストとの関係と、今まで非常に切れ味がいいCAR-T製品ばかり見てきて、こういう状態になってしまうと、議論がいろいろ出てくるのかなという感じがいたします。Webの先生方、何かございますか、よろしいですか。
 それでは、ここで議決に入りたいと思います。再生医療等製品「アベクマ点滴静注」については、承認を可としてよろしいでしょうか。また、条件及び期限付承認に該当せず、10年間の再審査の指定の対象としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告を行うこととします。これで議題2を終了いたします。
 それでは、報告事項に移ります。議題3「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令別表第一号に基づき厚生労働大臣が定めるGILSP遺伝子組換え微生物の一部改正について」に入ります。事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、議題3について説明をいたします。お手元の資料3を御覧ください。「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令別表第一号に基づき厚生労働大臣が定めるGILSP遺伝子組換え微生物の一部改正について」です。
 GILSP遺伝子組換え微生物を定める告示について、資料2ページの別添1に構成が書いてありますが、この中で定められた遺伝子組換え微生物については、その第二種使用等をする間、「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」別表第一号に定められた拡散防止措置、つまり4ページの別添2に記載された拡散防止措置を採ればよく、カルタヘナ法第13条第1項に規定される厚生労働大臣の確認を要しないこととされています。一方、GILSP告示に定められていない遺伝子組換え微生物については、第二種使用等をする間、あらかじめ主務大臣の確認を個別に受けた拡散防止措置を採らなければならないこととされています。今般、このリストの内容を改正したいと考えております。
 今回の改正については、資料1ページの「2.改正の内容」に掲載しています。
 一つ目のポツですが、令和3年度までに大臣確認を行った遺伝子組換え微生物のうち、平成27年6月23日の前回GILSP告示改正以降にGILSP告示への収載が希望され、科学的知見等を踏まえてGILSP告示への収載が可能と考えられる遺伝子組換え微生物を告示に追加するものです。5ページ以降の別添3の新旧対照表を御覧ください。左側が改正案、右側が現行の内容です。赤字部分が今回の変更部分で、黄色セルの部分が、新たに追加される宿主及びベクター並びに挿入DNA及び由来生物等です。
 続いて、1ページに戻ります。改正点の二つ目のポツですが、こちらは告示の構成の整備です。前回平成27年の告示改正前は、別表1と別表2はそれぞれ(1)~(9)に分かれており、別表1の宿主ごとに使用できる挿入DNAを別表2で限定していました。平成27年の告示改正時に、宿主にかかわらず使用できるようにGILSP告示の構成を改正し、別表2の(1)~(9)の分類を無くしましたが、別表1の(1)~(9)の分類は分かれたままでした。現在、組み合わせられる挿入DNAは宿主によらず、全てのDNAを使用できる構成であるため、この度、別表1についても(1)~(9)の分類を無くし、宿主の順番をアルファベット順に並び替えることとしました。
 この改正についての今後の予定ですが、この部会で御了承を頂き、パブリックコメント等の諸手続を実施した後、告示の改正手続をさせていただきたいと考えております。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。本件について、委員の先生方から御質問や御意見等はありますか、よろしいですか。
○小野寺委員 このような改訂をしていただきありがとうございます。そこで、2点確認したいのですが、1点目は、どのような理由でリストに追加されたのでしょうか。2点目は答えにくい質問かもしれませんが、AAVベクターに関してはいかがでしょうか。現在、AAVベクターはGILSPに分類されていますが、これをリスト化することは可能でしょうか。この2点に関してお願いします。
○事務局 一つ目の御質問については、それぞれの追加された宿主とベクター及び挿入DNAの追加が妥当と判断された理由についてということでしょうか。
○小野寺委員 そのとおりで、現在、GILSPに分類されている遺伝子組換え生物が全てがリスト化されているわけではなく、今回の場合、何かの理由でリスト化されたと思います。例えば、企業側からの要望等でしょうか。リスト化されるとかなり汎用性が向上するので可能であれば各企業はリスト化を希望すると思います。逆に、リスト化できない理由があれば教えて欲しいのですが。
○事務局 これらの今回追加しているものについては、もともと大臣確認を受けた企業の方から希望があったものを踏まえて、機構の方で科学的な知見を踏まえて毒性がないことなどを確認した上で、掲載をさせていただきたいと考えているものです。
○小野寺委員 つまり、企業からの要望によりリスト化が検討される、でよろしいでしょうか。
○事務局 企業に限らずなのですが、希望があれば随時受け付けておりますので、希望がありましたら、それを踏まえて、こういった形で告示を改正することについて検討をさせていただくという方向で運用をしています。
○小野寺委員 了解しました。それでは、先ほどの2番目の質問のAAVベクターに関する質問は結構です。今後、企業のみならずアカデミアから例えばAAVベクターのリスト化が要望されればその検討を開始していただけるということですね。
○事務局 はい、企業に限らず要望は受け付けております。具体的な要望書の様式等は機構のホームページにも掲載されておりますので、そちらの方を確認いただければと思います。
○小野寺委員 了解しました。ありがとうございます。
○合田部会長 ほかに御質問等はありますか。よろしいですか。よろしければ、これで議題3は終了したいと思います。
 では、議題4に入ります。「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」に入ります。事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 議題4、資料番号4について事務局から御報告いたします。カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を、治験等を目的として、特段の拡散防止措置を採らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を採った閉鎖系で使用する必要があります。
 まずは、第一種使用規程の承認を行った品目について御報告いたします。それでは、1ページの一覧を御覧ください。前回の部会での報告以降で、令和3年8月から令和3年10月までに第一種使用規程の承認を行った品目は、こちらの1品目となります。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、本申請における第一種使用規程に従って本遺伝子組換え生物等の使用等を行うに限り、生物多様性に影響が生じるおそれはないと判断したものです。
 続いて、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について御報告いたします。2ページの一覧を御覧ください。令和3年8月から令和3年10月までに、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの延べ30品目となります。これらについても、機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても、採られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。第二種使用等をする者と品目名等の組合せが重複しているものがありますが、これらの重複は、複数の「第二種使用等をする場所」についての確認申請があり、各場所について拡散防止措置の確認を行ったため生じたものです。以上、報告いたします。
○合田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、本件についての御質問等はありますか。Webの先生方もよろしいですね。よろしければ、これで議題4は終了したいと思います。
 本日の議題は以上です。事務局から連絡事項等はありますか。
○医療機器審査管理課長 事務局でございます。医療機器審査管理課長の関野でございます。遅れて申し訳ございませんでした。座って失礼させていただきます。
 冒頭に紹介があったと思いますが、10月1日に着任しまして、本日が最初の部会であったわけでございますが、途中からというか、ほぼ終わりかけた段階での出席で、誠に申し訳ございません。次回以降は、きちんとスケジュール管理をさせていただきまして、冒頭から出席をしたいと考えてございますので、またよろしくお願いいたします。
 なお、次回の日程に関しましては、また追って調整させていただいて御案内させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、これをもちまして、本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)