第77回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和3年12月3日(金)13:00~16:00

場所

Basis Point Lab.新橋日比谷口店

  • オンライン開催

議題

  1. (1)前回の協議会でのご意見について
  2. (2)第3期がん対策推進基本計画中間評価報告書骨子案

議事

議事内容
○がん対策推進官 それでは、定刻を若干過ぎましたので、ただいまより第77回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます健康局がん・疾病対策課の岩佐でございます。よろしくお願いいたします。
なお、本協議会はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
本日は、委員の皆様全員の御出席となっております。
健康局長は公務のため欠席とさせていただきます。
また、11月1日付でがん・疾病対策課長に中谷祐貴子が就任しておりますので、御報告させていただきます。
続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は、厚生労働省のウェブサイトにも掲載しておりますが、議事次第、資料1、参考資料の1~7となっておりますので、御確認いただければと思います。
また、参考資料7につきましては、こちらは11月26日に国立がん研究センターより公表されました「院内がん登録2020年全国集計」でございます。こちらについては、がん診療連携拠点病院を含む863施設のおよそ100万例のデータの集計となっているところでございます。10年以上継続して登録数が増加していたところ、2020年の登録数については、前年度と比較して、施設平均で4.6%の減少と、初めて減少となっております。
これらについては、患者数が減ったというよりは、コロナ等々により発見数が減少したのではないかと厚労省としては受け止めておりまして、早期発見、早期治療のため、がん検診の受診等をしっかりと進めていく必要性があると考えておりまして、さらなる受診勧奨に努めていきたいと考えているものでございます。
事務局からは以上でございます。
以降の進行は山口会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山口会長 山口です。それでは皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、議題(1)の「第76回がん対策推進協議会での主な御意見に対する対応について」です。
事務局が参考資料4を提出しておりますが、これにつきまして、何か御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○山口会長 それでは、先に進めさせていただきますけれども、もし、振り返って何かございましたら、その旨をおっしゃっていただき、発言をしていただきたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○石岡委員 東北大学の石岡です。
○山口会長 どうぞ。
○石岡委員 ちょっと発言が遅れました。
参考資料4の横の下の枠のところですが、前回、私から、拠点病院当たりのがん薬物療法専門医の数について、前回調査と比べて変化がないことや、あるいは5大がんの化学療法を内科医が担当する拠点病院の割合が若干減少したことについてのコメントを申し上げました。
学会としての対応をいろいろやってきたのだけれども、非常に残念な結果だというようなことを申し上げましたが、その後、日本臨床腫瘍学会に持ち帰りまして、前半のがん拠点病院当たりのがん薬物療法専門医数は、学会の調査では、過去3年間増えているという結果でした。
これは、画面の共有はさせていただけないのですか。
○山口会長 事務局いかがですか。画面の共有できるのであれば、ぜひ。
○がん対策推進官 大丈夫です。
○山口会長 大丈夫です、先生。
○石岡委員 これは、2018年のがん薬物療法専門医の数が、1,375人、上の四角い箱の下のところの合計数です。がん拠点病院は、これは必ずしもその当時のがん拠点病院とは言えないのですが、現在のがん拠点病院に相当する病院の中に割り当てると、当時は、1拠点病院当たり2.2人という人数でした。
上のほうを細かく見ますと、例えば国立がんセンターだと、1病院当たり30人のがん薬物療法専門医がいて、地域のがん拠点病院はわずか1.4人、都道府県がん拠点病院は、その間で6.7人という数字です。
これがその内訳で、「指定なし」と書いてある左上の茶色いところががん拠点病院以外の病院に所属するがん薬物療法専門医です。おおむね4分の3ががん拠点病院に所属していることを御理解いただけると思います。
これは同じ表で2019年です。専門医数は1,452人まで増えて、がん拠点病院当たりの専門医数は、右の一番下の2.2人から2.4人に少し増えて、内訳はほぼ同じです。
これが直近の2020年のデータです。現在、1,530人専門医がおりますけれども、がん拠点病院当たりの人数は2.4人から2.5人に増えており、内訳はほぼ同じです。画面共有はこれで終わりにしますが、学会のデータと拠点病院への調査した数字に乖離があります。その解釈といたしましては、まずは、回答があまり正確ではないことがあります。それから、私ども学会側でがん拠点病院に所属していると理解していても、拠点病院の施設長が、診療を主たる業務にしてない人をあえて入れてないという可能性もあるかもしれません。
それから、最近知った情報ですが、がん拠点病院側が調査するときに、専門医のデータベースがないので、いちいち毎回調査するということがあります。そのときに調査するのは、院内を調査しても、回答率が低かったりして、正確な回答がなかなか返ってこないので、拠点病院側は、学会のホームページとかを見るそうです。学会のホームページを見ると、例えば私どもの学会ですと、私は東北大学大学院医学系研究科と所属を書いております。その場合は、東北大学病院ではないのだろうという判断が生じてしまって、実際は正確な数字ががん拠点病院の施設長側で把握することができてないことが、現状ではないかと思います。
この会議ではそういった数字でずっと評価をしてきたので、「おおむね変わりない」という評価でよろしいかと思いますが、決して増えてないわけではないことを、今日、委員の先生方に御理解いただきたくて、説明申し上げました。
山口先生、以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
この先、詰めるのは難しいように思うのですけれども、まずは、事務局は拠点病院のデータを取りまとめた結果を反映しているわけですが、何かコメントはありますか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
この数値につきましては、現況報告の結果を取りまとめて、それをお示ししているという形になります。
どういった形でデータを取ると、より正しく現状を把握できるのかというのは一つの論点かなと思っておりますけれども、そのあたりについては、ちょうど今、拠点病院の要件等の見直しの検討をワーキンググループを立ち上げて開始をしたところでございますので、そこの中で検討をさせていただき、より正確な実態を把握し、それらを改善していくという形に向けて進めていきたいと考えております。
○山口会長 ありがとうございました。
私自身、拠点病院の指定の委員会を多分十数年やらせていただいて、そこで把握してきたことは、今、石岡委員がおっしゃったように、現況報告書が必ずしも正しくないのですね。非常に多くの項目があって、実際まとめるのは各医療機関の事務担当が主にまとめていますので、したがって、齟齬がいろいろ出てくるというのがこの十数年の歴史で、徐々に改善をしてきていると思いますが、その中の一つにこういう問題が起きている可能性があるように思います。ここは、現況報告を厚労として求めるときに、病院の事務の方がより正確に把握できるように、かなり詳しくこういう形で算出してくださいということをまずは申し述べていただくことが必要かなと思います。
この数字が、今、石岡委員おっしゃったように、決して減ってはいない、徐々にだけれども増えてきているということを把握できましたので、大変結構だと思うのですけれども、がん医療の均てんという観点から言いますと、ある病院に30~40人いて、別な病院に1人というのは、これは将来改善をする必要がどうしてもあろうかなと思うのですけれども、石岡委員のほうから、そこの改善策について、過去に、臨床腫瘍学会の理事長のほとんどの方が同じことをおっしゃっていて、政府を挙げてもっとより積極的にそういうものの認定を進めるような方策を取ってくれませんかということは、この数年間ずっと言われ続けていると思うのですけれども、石岡委員として、将来、数を増やし、均てん化を図るという観点から言うと、どういうことをお考えになっているか、ここでお聞かせいただければと思います。
○石岡委員 山口先生、発言の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
まず、厚生労働省のこの会議は、がん対策の会議ではありますけれども、この専門医の数に関しましては、文部科学省が管轄している大学医学部を有する附属病院は、非常に大きなベースになっていることは明らかで、都道府県側の診療連携拠点病院や地域のがん拠点病院のかなりの部分は、いわゆる大学病院が占めているという状況もございます。
そういったところに私どもの専門医が国立がん研究センターの2病院と比べて、必ずしも多くない理由は、とりわけ、地方の医学部に腫瘍内科や、あるいはがんの薬物療法を専門にする講座や診療科が必ずしも設置されていないという問題がございます。
そういうようなことで、例えば医学部の学生が、腫瘍内科という存在を必ずしも身をもって体験していない地域もありますし、また、そういった地域でニーズや希望がある方は、東京に行って、それこそ国立がん研究センターに行くと、そういうようなことになってしまうのですね。これは、偏在ということに解決がなかなか届かないということになると思います。
また、地域のがん拠点病院に腫瘍内科を開設しても、そこに専門医を集めるには、地元の医学部に腫瘍内科の講座や診療科がなければ、医師を確保するのは難しく、これまでの医学部附属病院と地域の拠点病院との関係を見れば、これはもう明らかだと思うのですね。例えば、呼吸器内科がない大学病院はないと思いますが、地域の拠点病院にも必ず呼吸器内科があります。それは、大学医学部附属病院と地域の拠点病院は人事でつながっているから、そういうことが維持できるわけですね。そう考えると、必ずしも厚生労働省の施策だけでは解決しない問題が私はあると思います。文科省と連携した形でのがん医療専門医の養成ということも、今後も、私は必要ではないかと思います。
少し長くなりましたが、山口先生、以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
こういう問題は非常に大きな問題なので、この点に関して、御出席の委員の皆様から御発言があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
以前は、大学の講座で、私学はそれほど難しくないけれども、緩和ケアの話だったと思うのですが、国立で新しい講座をつくることはなかなか大変な話だよということをよく議論してきたと思うのですけれども。
土岐先生、お願いします。
○土岐委員 大阪大学の土岐です。
私、現在は病院長をしている立場で言わせていただきますと、今、若い人は専門医制度に乗ってきますので、専門医制度の中での立ち位置がはっきりしていないことが腫瘍内科への参入を妨げている要因になると考えています。
私は外科系ですけれども、実は、外科医も人手不足で、化学療法をできない状況になっておりまして、高度化する化学療法に対応できないという状況ですね。これは、日本全体で非常に重要な問題なので、早くそこを育成する必要があると考えております。
○山口会長 土岐先生、それでよろしいですか。
ほかに御意見。
木澤先生、どうぞ。
○木澤委員 ありがとうございます。
今、山口先生に御指摘いただいた点ですが、緩和医療も同様ですが、腫瘍内科医の育成を文科省等と協力しながら進めることが、日本のがん医療の質を担保する上で非常に重要だと思うので、ぜひ進めていただければと思います。
緩和ケアも同様に、ぜひ、人材育成に力をお借りできればと思っています。よろしくお願いいたします。
○山口会長 ありがとうございました。
羽鳥先生、お願いいたします。
○羽鳥委員 日本医師会の立場ではなくて、専門医機構の理事の立場で申し上げます。
今、専門医機構のほうでは、19の基本領域があり、そして、その上にサブスペ領域を考えております。内科の14、外科の6、それから、放射線の2などが決まっております。
がん腫瘍専門医は、内科、外科、小児科、放射線科などの基本領域からすすまれる方が多いと推定されますがルートが明確になるとよいと考えます。僕も努力しますので、皆さんのお力も貸していただければと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
なければ、今日は文科省の方は出ておられるけれども、内容が違いますよね。
○がん対策推進官 オンラインで、高等教育局の医学教育課の方もいらっしゃると思いますけれども、もし、何かございましたら、一言いただければと思います。
○文部科学省高等教育局医学教育課課長補佐 文部科学省でございます。
今いただきました御意見ですけれど、それぞれの講座を整備するのは、まずは大学の中でどうやって決めていくかということが非常に重要かと思います。
その中で、先ほど御意見のありました、内科として、サブスペとして認められていくということで認知が広がっていけば、おのずとその大学の中でもそういった整備が進むという観点も出てくると思いますし、そういった状況になりますれば、文科省としてもいろいろと広報等を通じて整備の協力ができるのではないかと感じております。
以上でございます。
○山口会長 分かりました。学会等できちんと整理をすれば、文科省としては極めて前向きに捉えるという理解でいいですか。
○文部科学省高等教育局医学教育課課長補佐 どういうふうに整備していくかというのは、その時々の大学からの要請に応じて検討しないといけないと思いますので、そこを踏まえて、今後検討していかないといけない問題ではないかと思っております。
○山口会長 ありがとうございました。
石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 今、専門医機構の羽鳥先生と文科省の医学教育課の方から御発言いただきました。
私ども、ここ10年近く、途中からですけれども、新専門医精度対策を非常に万全を期してやっておりまして、最近、専門医制度の二階でサブスペシャリティが正式に決まった中で、私どもがん薬物療法専門医はまだ認められてない状況になって、非常に残念に思って、学会の中ではみんな非常に落胆している状況なのです。
最後まで、それが認められないという状況ではないと思うのですが、今の臓器横断的な領域が、医療の中で非常に求められているのですね。総合専門医というのもそうですけれども、そういったところが今回の専門医制度で認められたサブスペシャリティが、そういった視点はなかったと思います。例えば血液内科であれば、内科からでないと血液の専門医は採れない。でも、血液学会の理事から聞けば、これは非常に落胆していると。小児からも入れないというようなことで。これは消化器もそうですしね。そういった柔軟性に欠ける専門医制度の二階建てのサブスペシャリティの決め方を、今の医療に即して迅速に対応できるような形をつくるには、もう少し柔軟な対応が私は必要ではないかということを、羽鳥先生には申し上げたいと思います。
それから、文科省の方に申し上げたいのは、そういう体制が整えば文科省も考えると御発言をいただいて、これは非常に新鮮な御発言としてありがたく受け止めますけれども、私ども学会からは、決してそれを始動することはできないということです。いろいろなことをやってまいりました。これは自主的に大学がやれる部分と、あと、専門医との関係がありますので、私どもはそれを実現するために最大限の努力を今後も払いますけれども、文科省側あるいは専門医制度側のほうから、何か一回始動していただくということはどうしても必要ですので、その点、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○羽鳥委員 すみません。羽鳥から少しだけ発言させてください。
○山口会長 どうぞ。
○羽鳥委員 専門医機構のほうで、サブスペのところが今議論になっているのは、地域の中堅クラスの病院で標榜できるところというイメージで、例えば循環器とか呼吸器とか内視鏡とかそういうことがメインになっているということがあります。そういうサブスペの表示の仕方ということであります。
それは、1つは広告のできるということも関係しているかと思いますが、ただ、先生のおっしゃるように、僕自身も総合診療のほうの担当なのでじくじたる思いなのですけれども、先生のおっしゃるように、横断的なことが求められていることにきちんと十分に対応できていないことは、中にいても感じているところですので、先生の御意見は必ず反映させていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○石岡委員 よろしくお願いいたします。
○山口会長 ありがとうございました。
長く横で見ていますと、専門医制度が現在の姿になるまでに大変な苦難の道を歩んできて、やっと今の形でまとまって、その中で課題があるという状況なのだと思いますけれども、少し時間をかけてしっかり議論をしながら進めていかざるを得ない問題、様々なセクターが関与していますのでね。そのように思いますけれども、ただ、できることは、ぜひどんどん進めていく。その障害になっていることは、こういう場で明確にしていただいて、今日も少し明確になったように思いますけれども、前に進めていけばいいのではないかなと思っております。
この辺でこの議論は終わろうと思うのですけれども、何より患者さんのためという視点で物事を見るのがこの協議会ですので、腫瘍内科医がいる、あるいは緩和ケアの専門医がいるということは、腫瘍内科に関して言えば、単に標準治療を実施するのみならず、現在行われている治験の情報とかをしっかりお持ちでしょうし、さらには患者さんの薬物療法による副作用を改善させる手立てを一番よく御存じなのが、全般的に腫瘍内科医ということになりますので、その患者さんの苦しい思いを少しでも緩和する、和らげる、そういう意味で腫瘍内科医を均てんさせていく、あるいは緩和ケア専門医を均てんさせていくというのが、そもそも医療の均てんというがん対策の基本に関わることですので、ぜひ、そういう方向性を目指していただくよう、学会の関係者の皆さんあるいは患者会の方々も含めてお願いをしておきたいと思います。
文科省の方、お願いします。
○文部科学省高等教育局医学教育課課長補佐 先ほど、石岡先生のお話をいただいたのですけれども、個別の事案について、個々、別々に指導するすというのはなかなか難しいと思います。全体として、こういった方針で行くのだというような総意というものがあれば、そういったものに向けて対応するということはあり得ると思うのですけれども、文科省のほうから強く指導をすべきというような話でいくと、今の時点ではなかなか難しいのではないかなと思っております。
○石岡委員 すみません。私は、「始動」という言葉をスタートするという意味で使いました。失礼しました。
○山口会長 霞が関もいろいろありますので、上手にやっていきましょう。
では、これはここまでにさせていただいて、次に移らさせていただきます。議題(2)で「第3期がん対策推進基本計画中間評価報告書案について」議論を進めたいと思います。
冒頭で、この件に関しては、委員の皆様から事務局がヒアリングをさせていただいて、いろいろな御意見を頂戴しているところではあるのですが、そういう意見を伺って、また、この中では、この協議会の委員を、多分、私が一番長く務めておりますので、その第3期のときのいろいろな経験も踏まえて、今回と次回のこの協議会の議論の進め方について、会長として少し申し上げておきたいなと思います。
ポイントは、まず、この2回の作業、今回と次回の作業では、4つの議題を議論していくことに多分なろうかと思います。基本は、この中間報告書の内容に関する議論ですけれども、それ以外に、中間報告書の構成自体がこれでいいのか。それから、2番目に、今申し上げた中間評価報告書の内容、特に、この協議会から出す推進に係る意見ですね。それから、3番目に、第4期の基本計画に向けて、現在の項目からさらに進化させるには、どういう項目を整理し、どういうものを新たに加え、といった議論を、中間報告をまとめていただく委員の皆様から意見を承っておくのが筋だと思うのですね。それから、4番目に、第4期の基本計画が終わると、その後、ちょうど今日やっている中間評価を必ずやることになっております。それは大分先の話ですけれども、結局、今回皆さんに評価をしていただいた中で、不適切な部分もいろいろありましたので、そういうことを第4期に向けてしっかり申し送っていかなければいけないと考えております。
以上の4点についてもう少し詳しく申し上げていくと、まず、中間評価報告書に関しましては、本日、事務局より案が提示されていますが、この構成でよいのかどうか、この議論はぜひ進めて、お願いしたいと思います。
会長としてちょっと気がつくのは、この中間評価報告書案の8ページになるのですけれども、重点的課題という形で5項目ぐらい挙がっているのですが、これは本当に必要なのかどうか。挙がっているものはいずれも大切なのですけれども、ところが、この重点課題を挙げると、では、ほかは重点ではないのか。例えばAYA世代、小児がん、希少がんは重点課題ではないのかという議論につながりかねないので、これの取扱いはちょっと慎重にやったほうがいいのかなと思います。全てについて、分野別の施策のところで全部評価していきますので、これが本当に適切かどうかは皆さんの御意見を承っていきたいと思います。
もう一点、構成上の問題として、AYA世代や小児がんなどに関して、医療の充実の部分と共生の部分にダブって入っている面が多々見られます。本日、御意見を承るときに、委員の皆様の中で、これは医療のところで述べるべきなのか、それとも共生のところで述べるべきなのかということで迷っておられる方がいらっしゃると聞きましたので、さっき事務局とも相談をいたしまして、診療に関わるような部分は、医療の充実のところで御意見をいただき、あるいは暮らしとか社会的課題に関するところは、第3の共生のところで意見を述べていただくのがいいのではないかなと一応整理はしたのですけれども、そう簡単ではない部分もありますから、結果的には、どちらでおっしゃっていただいても、事務局としては、それをしっかり把握してまとめますとお願いをしております。ただ、この部分を構成上、3期でちょっと問題があったところなのだと思うのですね。こういうところの整理をしっかりやっていく必要があるだろうなと思います。
それから、2番目の中間評価の内容ですけれども、これは何と言っても一番のポイントなのですが、特に協議会としての推進事項、赤で書いた下線が引いてある部分、ここについては充実を図って、ぜひ御意見を賜りたいと思います。
それから、3番目、第4期計画に向けてですけれども、これは、会長としてではなくて、委員の一人としてこういうことも大切なのではないかという事例だけ5つほど申し上げておきます。こういうことなのだということをちょっと知っていただいて、私は、これが第4期で取り上げるべき重要な項目だと思うというようなことをおっしゃっていただくと、大変結構ではないかなと思います。
1番目、今回の構成に関わることですけれども、全体目標、それから、重要課題、分野別の施策等という、こういう分け方が出ていますが、ここに改善の余地が結構ありそうな気がします。いろいろ伺う中で、例えば手段と目標がダブってしまっているのではないかという意見も聞き及んでおりますので、この辺の整理は、大きな構成上必要なのではないかなと思います。
第2に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、医療と共生のところの整理が必須だと思います。
第3に、高齢者の項目は、小児がんとか希少がんと一体化するのではなくて、75歳以上で見ると、4割のがん患者が75歳以上というのは、今、日本の現状ですから、この高齢者を独立させる。エビデンスも何もないところで、75歳以上の高齢者は診療を受けていますので、ここが大変重要な課題かなと思います。
第4に、私自身として、過去数年間のこの協議会の議論を聞いてきまして、情報の均てんは必須だと思います。これは、委員の皆様も、今回もおっしゃっておられます。
それから、第5に、私自身は、予測医療と呼んでいるのですけれども、言い換えると、一人一人の個別的リスク評価に基づくがん医療というのがそろそろ始まるだろうなと思っておりまして、実は、数年前、3期の計画のときに、このことを絵も描いて申し上げたのですけれども、採用はされませんでした。まだエビデンスが十分ではないとか、そういう理由だったのですけれども、例えば喫煙者に対する予防、検診、それから、日々の診療、あるいはゲノムから来た遺伝性がんに対するそういう予防から始まって診療に至るまで経過観察も含めて、こういう項目が多分50や100は並ぶのではないかなと思いますけれども、まだまだエビデンスはないので、しかし、そういう時代が来たのだよということを、第4期の計画である程度記載をしておくのがよろしいのかなと思っております。
これはあくまでも個人的な話なのですけれども、例えば今のような5つの項目に類することを、委員の皆様それぞれの御専門の分野で、4期ではこういう項目をぜひ立てるべきだということをおっしゃって、記憶に残しておいていただければ、その全てを取るとこはできないと思いますけれども、きっと事務局のほうで検討していただけるのではないかなと思います。
最後に、さらにその先の話ですね。第4期の中間評価に向けてですけれども、今回、皆さんに第3期の中間評価をやっていただいて、いろいろお気づきいただいたと思うのです。前にも申しましたけれども、項目の取捨選択をしっかりやらなければいけないと。適切でない項目を除き、新たな項目を入れる。それから、質の評価ということを委員のどなたかおっしゃっていたと思うのですが、数値の評価だけになっているけれども、質の評価も大切です。評価は難しいのですけれども、やはり入れるべきだろうなと思います。あるいは、例えば難治がんあるいは高齢者のがんは、評価項目がなかったということも問題だったのだろうなと思います。
もう一つは、数値を比較するに当たって、1年間のデータしかないと。前年度はこうで今年度はこうだという、これではなかなか評価できませんので、評価項目をしっかり決めた上で、5年に1回、3年に1回きちんと数値を出していくという努力も多分必要で、そうしないと本当の意味での中間評価にはならないだろうと。これは、私もそう考えますし、委員の皆様からもそういう御意見をいただいております。
大変長くなって恐縮ですが、今日、司会をするに当たって、こういう4つの論点を意識しながらお話しいただけると大変ありがたいと思っております。
今、私が申し上げたことに関して、何か御意見いただけますでしょうか。今後、2時間半余りをこういう議論、次回も含めると、多分数時間を費やすことになるものですから、こういうこともきちんと言うべきだとかという御意見があれば、ぜひ、この場でお教え願いたいと思います。
よろしゅうございますか。
では、実際に進めながら、もし、その時点で、こういうこともしっかり併せて検討してくださいということをおっしゃっていただくようにいたしたいと思います。
それでは、まず事務局のほうから、資料1について説明を受けていきたいと思います。1番の概要について、それから、全体目標の進捗状況、それから、分野別施策の個別目標の進捗状況の順番に議論をしてまいります。
では、まず事務局から、1番の概要について、資料の説明をお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
資料1について、冒頭の部分、説明をさせていただきます。
まず、4ページ目のところでございますけれども、こちらにつきましては、第3期計画の策定に至る背景ということで、「はじめに」のところの抜粋となってございますので、説明は割愛させていただきます。
また、6ページのところでございますけれども、中間評価とは、このような形で考えて、実施していくことを記載してございます。
7ページ目でございます。ここから具体的な中間評価ということになってくるものでございますけれども、ここは「要旨」という形にしまして、簡単にこの中間評価の全体をまとめて、多くの方にある程度理解をいただけるようなものにしたいと考えております。内容等については、当然、これからの議論の内容も踏まえて修正等をしていくものと考えておりますけれども、まず最初のところに、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」というもの。これは、第3期計画の全体の目標として掲げているものでございますので、これらについての総合的な評価を少し追加で記載をさせていただければと思っております。
その上で、全体目標3つございますので、それらの概要を引っ張ってきて、こちらのほうに記載をさせていただく形で考えているものでございます。科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、それから、患者本位のがん医療の実現、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築という形で、それぞれこの後の内容を引っ張ってくるような形になると考えております。
中身につきましては、この後の細かい議論の中で出てきたものを引っ張ってくるような形にしておりますので、そちらで個別に議論をしながら、最後にまとめとして、この資料にさせていただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上、「I 要旨」のところまでの説明とさせていただきます。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、最初の概要の部分について、御意見を賜りたいと思います。どうぞ挙手をお願いいたします。
森内委員お願いします。
○森内委員 ありがとうございます。
これまで出されてきた様々な意見を要約していただいたと思っております。7ページの2)になりますが、「患者本位のがん医療の実現」の4行目、「今後、更なる充実に向けて、対象を明確化し」とありますが、記載内容から、対象が何を示しているのかがもう少し分かるといいと考えます。例えば小児やAYA世代、高齢者など、対象を表現できるものについては、明記していただいたほうがよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
○山口会長 では、事務局お答えをお願いします。
○がん対策推進官 まさに、そういった内容を含めて、より具体化し、どういったところについて改善をしていくのか、充実をしていくのか、そういったことを明確化する必要があるということをここで申し上げているところです。例示として、中に幾つか挙げていくということも一つの案ではございますので、どういったものが例示としてふさわしいのかということで、御意見を賜ればと思っております。
○山口会長 ただ、ここは全体を述べている部分であって、分野別施策のところでそこは正確にどんどん書いていっているわけだから、逆に、ここで何かを絞って、それ以外のところはどうなのだという議論を生まないことも一つの手立てかなと思いますけれども、森内委員いかがでしょうか。
○森内委員 今の御意見を伺い、そのような考え方もあるなと思いました。後にも出てくるということですので、それで承知をいたしました。ありがとうございます。
○山口会長 それ以外の方、御意見をお願いいたします。概要の部分です。
それでは、次に移ります。全体目標についての進捗状況です。お願いします。
○がん対策推進官 こちらにつきまして、まず、簡単に構成の部分を少し説明いたします。
目標の詳細、この部分につきましては、基本計画のところから引用をしてくるような形で記載してございます。その上で、次の進捗状況及び指標測定結果というところでございますが、これにつきましては、これまでの3回の当協議会での議論を踏まえまして、特に下線を引いてある部分について、一定の評価ということでの記載をイメージしております。ここの下線を引いてあるところの表現ぶりなどを中心に見ていただきたいと考えております。
その上で、さらに下がりまして、赤字で書いてある文章のところが、がん対策推進協議会としてさらに推進が必要と考える事項としております。このあたりについても、先ほど山口会長におっしゃっていただきましたけれども、ある程度仮置きで、これまでにいただいた意見などを踏まえて、事務局側で記載をしてございますけれども、このあたりをさらに充実させていくという作業を進めていっていただければと思っております。
その上でございますが、9ページに戻っていただきます。まず、75歳未満の年齢調整死亡率については、ほぼ一貫して減少をし続けており、着実に減少してきていて、全体として、高く評価できるとしております。
ただ一方で、「感染症を原因とするがんにおける衛生状態の改善や治療方法の劇的な変化などの一部の要因に下支えされている可能性がある」というコメントを入れております。
また、9ページ一番下のところでございますが、年齢調整罹患率の数値は減少しているけれども、正確な評価のためには、さらに数年の傾向を確認することが必要であるとしており、がん対策推進協議会としましては、こういったことをまとめまして、引き続き低減させ続けていくために、早期診断を含む予防や治療、それから、対象を明確化して、改善の手法についても工夫を凝らしていく必要性がある。また、年齢調整罹患率についても、引き続き注視していく必要があるとしております。
2番目の「患者本位のがん医療の実現」のところでございますけれども、5年生存率については増加傾向であったとしております。また、様々な指標については、一定の評価はできるものの、改善の余地があるのではないかとしております。
11ページ目のところでございますが、がん対策推進協議会としては、一定の評価はできるものの、さらなる充実を目指して改善すべき領域を明確化し、その対策に取り組む必要があるとしてございます。
12ページ目、「尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」でございますが、この分野におきましても、一定の評価はできるものの、改善の余地があり得るという評価、また、家族の悩み等々についての支援については、増加傾向ではあるものの、さらなる充実が望まれるとしております。
13ページ目のところでございます。がん対策推進協議会として、がんの診断時から必要な支援を受けて、自分らしく日常生活を送ることができるよう、相談支援、それから、患者家族の悩み、負担に対する相談支援、それから、相談支援センターやがん情報サービス等のさらなる周知の取組が必要だとしてございます。
以上、簡単ではございますけれども、全体の目標ということで説明をさせていただきます。
○山口会長 ありがとうございました。
ただいまの部分について、御意見を賜りたいと思います。
羽鳥委員、お願いします。
○羽鳥委員 さっきのところで述べたほうがよかったのかもしれないのですけれども、今後、重点的に取り組むべき課題とも関連するのですが、先ほど山口先生もおっしゃいましたけれども、高齢者のがんについては、ぜひ取り上げておいてほしいと思います。というのは、現在の対策型がん検診は、諸外国を含めて、年齢の上限が決まっていて、それ以降についてはあまり協議されてないところがあるかと思うのですが、実臨床から見ると、本当に、75~80歳の方が検診を受けに来られていることがあって、この人たちをどういうふうに治療をすべきなのだろうか。あるいは、診断がついた後どうすればいいのだろうかと悩むことが多いので、その辺も取り上げてほしいのが1つです。
それからもう一つ、いわゆる5大がん以外の膵臓がんは、死亡数で言うと胃がんを超えてしまうのではないかと思いますので、そういうことを含めると、その辺の現状での数値を捉えておくことも必要ではないかと。これは第4期に向けて、恐らくポイントになってくることだと思いますので、5大がん、6大がん以外のがん種についても基礎的なデータを把握するのが大事ではないかということが1つ。
それからもう一つ、今後、いわゆるがんの治療も、AIとかビッグデータとか、いわゆる生活習慣病の喫煙、糖尿、心臓疾患とか、肥満とか、そういうのとがんがどういう関係があるかという、そういう大きな解析が必要になってくると思います。そういう基礎をデータを集めておくのは大事ではないかと思います。
それからもう一つ、これがちょっと大事だと思うのですけれども、HPVワクチンのことが避けられているような気がします。子宮頸がんについては、恐らく日本がこの8年間ワクチンを打てなかったことによって、日本だけが子宮頸がんが異常に増加する、そういうことが出てくるのではないかと思います。諸外国はもうほとんどゼロに近いような状態になってくるかと思いますので、そういうことの基礎調査のために、今しっかりデータを取っておくことが必要なのではないかと思うので、その4点について御検討いただければと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
事務局からの回答は、後ほどまとめてということにさせていただいて、手挙げ機能で入っていただいている、中釜委員、久村委員、三上委員、松田委員、順番に御発言をお願いいたします。まず、中釜委員お願いします。
○中釜委員 では、羽鳥委員の発言とほぼ重なってしまう面もあるのですが、10ページに書かれている、これからの重要な事項としての早期診断を含む予防や治療の改善ですけれども、5大がんの対策を実施しても死亡率の改善が見られていないという点です。これは難治がんのところでの議論になるかとは思うのですけれども、そういうことも踏まえて、もう少し具体的に対象や目標を明確化するという文言があったほうが、より明確になるのかなと思いました。難治がんの取扱いも同様です。
あと、もう一点は細かいのですが、12ページの進捗状況のところで、国立がん研究センターががん対策情報センターが運営する「がん情報サービス」と記載があるのですが、今般、センターの中では組織の改編も行い、がん情報に関してはがん対策研究所が運営するとなっていますので、この表現を、国立がん研究センターの運営すると変えるか、あるいはがんセンターのがん対策研究所が運営すると書いていただきたいと思います。当センターとしても、がん対策研究所が取り組む課題や目標については、機会をいただいて御説明したいと思います。私からは以上2点について、修正をお願いしたいと思います。以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、久村委員お願いいたします。
○久村委員 金沢医科大学の久村です。
私からは、12~13ページの「尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」の項目について、2点申し上げたいと思います。
まず1点目は、より適切な中間評価指標の検討が必要ではないかということです。がんとの共生というこの分野において、あるいは重要なのは、治療開始前だけではなくて、がんの治療中とか、それから、がん治療が終了した後の長期的なサバイバルですね。必要なときに必要なサポートを受けられたかどうかということも非常に重要な項目だと思っています。今回の中間評価指標にはこれが含まれていないので、より適切な指標を含めて検討する必要があるということがまず1点です。
もう一点目は、13ページの記載の内容です。医療機関における相談支援体制の充実はもちろん重要ですけれども、がん相談支援センターやがん情報サービスなどの充実だけに偏らない対策を記載していただく必要があるのではないかなと考えています。
特に、中間指標の3002番のがん診断からがん治療前に、病気や療養生活について相談できたと感じた患者さんの割合が76%ですけれども、悪い数字ではないのですけれども、この調査結果をよく見てみると、この相談相手は、家族が70%、主治医が67%で、友人が13%、そのほかの相談相手は、主治医以外の医療関係者を含めて1桁台のパーセンテージです。つまり、4人に1人は誰にも相談せずに、あるいは相談できたとは感じずにがん治療を開始していたということ。そして、相談相手がいたとしても、多くの場合は、家族と主治医だけというのが現状ではないかと思うわけです。これは、がん診断後の患者さんにとって一番不安なときに、しかも、がん患者の自殺率が一般人口に比べて非常に高いときでもあるにもかかわらず、多くの患者さんは実はひどく孤独な状況に置かれているのが現状ではないかなと推測されます。
相談支援体制の充実はすごく大事で、もちろんなのですけれども、診断直後の患者さんと家族の支援について、チーム医療というものを一層充実させていくということであるとか、医療機関の外でもピアサポート体制を充実させていくということ。それから、職場で相談しやすい環境づくりを進めていくことであったり、一般市民への教育とか啓発活動といった対策も含めて検討していくことも、このがんとの共生分野に関してはとても重要な事項ではないかと思うので、そういう点も13ページに少し書き加えていただけたらいいのではないかと思います。
以上です。
○山口会長 委員がおっしゃる、細部にわたる点は後の部分で書けると思うのですけれども、この部分で、「相談支援センターやがん情報サービス等の」これは役所言葉ですが、「等」が入っているので、それ以外のものもきちんと入れてあるよという形にはなっているのですが、あえて、久村委員のお考えでは、この相談支援センター、がん情報サービス、プラス何かの言葉を1つか2つ入れるとしたら、何をお考えですか。さっき、4つか5つおっしゃったのですけれども。
○久村委員 「等」に入ってしまうのかもしれないのですけれども、ピアサポート体制を充実させていくというようなことですね。特に、その辺は、また、個別の施策のところで述べられることかもしれませんけれども、ピアサポートというこの単語自体が本当に知らない人が多いというのもありますし、あと、職場で相談しやすいという体制づくりみたいなものも、医療機関の外でサポートがあるというのは、患者さんが尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築という点では、とても重要かなと私は思います。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、三上委員お願いします。
○三上委員 「にじいろ電車」の三上と申します。
私のほうからは、全体目標の2番目「患者本位のがん医療の実現」のところで述べさせていただきます。11ページの赤字のところの2行に加えまして、「その対策の1つとして、地域間、施設間での治療格差をなくしていくためにも、オンラインを活用した情報の集約化・共有化を進めるなど、改善の手法についても工夫を凝らしていく必要がある」という文言を加えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
こちらについては、前回、76回の協議会でも、地域とか施設の間で治療の格差が生じているということで発言をさせていただきました。
以上になります。
○山口会長 ありがとうございました。
松田委員、先に御意見を賜ります。
○松田委員 福井県健康管理協会の松田でございます。私は、9ページの進捗状況のところで意見を申し上げたいと思います。
がん種別に、75歳未満の年齢調整死亡率を見ることは非常に重要だと思います。どのがんに問題があるかということを見ていく必要があるわけですが、5大がんに加えて肝がんが出ておりますので、もう一つ加えるならば最近増加が著しい膵がんについても記載してはいかがかと思いました。
2つ目は、以前から何度も発言させていただいているのですが、年齢調整死亡率を見ていく上で、本当に日本の対策が奏功しているのかどうかを見るために、がん検診が行われているがんについては、諸外国との比較が非常に重要だと思います。先ほど羽鳥委員が、HPVワクチンのことをお話しになったのですが、ほかの国のがん対策はもっと奏功していて、日本よりはるかに年齢調整死亡率を下げているがんが幾つもあると思います。とすると、日本の対策に問題があるのではないか。そういうことが評価できることになろうかと思うので、諸外国との年齢調整死亡率の年次推移の比較をぜひやっていただきたいと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
木澤委員、お願いします。
○木澤委員 1点のみ簡潔に申し上げます。12ページの「尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」のところですけれども、そもそもこれは事前に議論をしておくべきだったのかもしれませんが、がんと診断されたときからの緩和ケアの充実や緩和ケアの推進が一つの大きな目標として立てられているのですけれども、それについてほとんど記述がありません。構成上無理だったらしようがないとは思うのですけれども、苦痛を持って生活されているがん患者さんの実態は調査で明らかになっていますので、この点は何らかの形で書き込んで、改善していくというようなことを加えたほうがいいのではないかと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
大西委員、お願いします。
○大西委員 2の「患者本位のがん医療の実現」の中で、5年生存率ですが、前回も述べさせていただきましたけれども、希少がんという項目を設けていただきたいなと思います。特にヨーロッパなどのデータを見ると、いわゆるメジャーがんとの比較をすると、15%ぐらい違うという数字も出ているので、その辺を明らかにしていかないと、希少がん対策も進んでいかないのかなということがあります。
そこで、その下の(がん対策推進協議会としてさらに推進が必要と考える事項)の2行目に、「改善すべき領域を明確化し」の前に、「希少がん、難治がんなど改善すべき領域を」と、そこの間に、「希少がん、難治がんなど」という文言を入れていただきたいと思います。
以上です。
○山口会長 どうもありがとうございました。
今までの御意見をまとめて、事務局のほうから、まずは対応をお願いしたいと思います。
○がん対策推進官 いろいろと御意見をいただきまして、ありがとうございます。
ここの部分に関しましても、全体目標という形で記載をしております。計画の内容に沿った形で記載をさせていただいたところでございますけれども、細かい部分につきましては、個別目標の中での記載が適切だというものもあろうかと思っております。
ですので、ちょっと全体を見た上で、それでもやはりこれは全体目標のところに記載をしておくべきだということであれば、また、追加で御意見いただければと思っておりますが、羽鳥委員から、高齢者、5大がん以外のもの、それから、糖尿病やたばこなどの関連指標について、それから、HPVワクチンについてということで、4点いただきました。
特に高齢者のがんにつきましては、今回の指標の中で盛り込めなかったというところがございまして、なかなか評価が難しいというところであろうかと思いますので、このあたりは次期計画、それから、次回以降の課題ということで考えております。
また、5大がん以外のところの疾患、希少がん等々も含めてというところでございますけれども、データでお示しをしていくというのに関しましては、どういうふうな形でデータをつくっていくのかというあたりについて非常に難しい部分があろうかと思います。このあたり、もし、委員の皆様方の中で御知見がありまして、うまくまとめられそうだということであれば、また、御意見等を頂戴したいと考えておりますけれども、今回の評価指標の中では、今挙げているがん種別に、まずはデータを見ようということで評価を行っていると認識しております。
それ以外のものについても、希少がん等々対象を明確化して、次回に向けてしっかりと取り組んでいくべきだという意見については、次期計画以降のところで、どういったものを対象にしていくのかというのを、この協議会の中でもしっかりと議論をしていただきながら進めていければと考えております。
予防関連の様々な指標等々についてというところでございますけれども、このあたり、個別の施策のほうに一旦譲りたいと考えております。
また、HPVワクチンに関する記載についても、確かに、現状ではあまり記載ができていないところでございます。先日も、当該HPVワクチンについての積極的勧奨を再開する方向性を別の部会のほうで示されたというところでございますので、そういった内容等々を踏まえて、何らか記載を変更、充実させられるかどうかということで検討をしていきたいと考えております。
久村委員からは、指標等について十分に評価できていないものがあるということではございましたが、このあたり、次回の中間評価に向けての課題としていきたいと思っております。
また、3の部分のところで、医療機関以外での相談支援体制の充実、社会全体でということで御意見あったかと思います。そのあたりも、どういった記載ができるかということで、少し工夫はさせていただければと思っております。
また、三上委員の治療の格差についてオンライン等々を使用した情報の集約化・均てん化というところについてでございますけれども、これもどちらかというと個別の議題のほうでの反映がいいのかなとも思うところではございますけれども、この点に関しては、できれば、誰と誰の間での情報の集約化・均てん化なのか。医療機関同士のものなのか。それとも、患者さんたちに向けての情報の均てん化の問題なのか。そのあたりはできれば、明確化して教えていただければと思っております。
松田委員からは、膵がん等も入れるべきだという御意見、それから、他国との比較ということもございました。データについて、どういうふうに見ていくのかという非常に難しい点はあろうかとは思いますけれども、今回は、一応これまでの経緯等々もありまして、こういった項目で示しているところでございます。
膵がんについても、たしかデータはあったかなと思っておりますけれども、それをここに今回改めて載せるのが適切なのかどうかというのは、協議会の中での総意で決めていっていただければと考えております。
他国との比較をする場合には、恐らく背景となる状況、特に、例えば胃がんとかであれば、罹患率、ピロリ菌との関係性、そういったものなども含めて大分状況は違うのだろうなとは思っておりまして、それらをどう見たらいいのか、どこの国と比較したらどうだったか、それをどう見たらいいのか、そのあたりのところを含めて、一定の知見を集約化させた状況でないと、かえって、何かミスリーディングになるのではないかという気はしているところでございますけれども、そういった比較の指標として、適切なデータ等々があれば、それはぜひ教えていただければと考えております。
また、緩和ケア等の追記、希少がんについての言及、そういったところについても、ここの中で入れるのがいいのか、また、各論のところに記載されているもので行くのか、そのあたりは少し御意見を伺いながら、また、この文章の体裁については、検討をしていきたいと考えております。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
今の事務局からの御説明に対して、御発言いただいた方々から何か御発言があれば、もう一度受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
松田委員、お願いします。
○松田委員 松田です。諸外国との比較というお話をさせていただいたのですが、まずは、世界的にがん検診が行われているがん種でいいと思います。具体的には乳がん、子宮頸がん、そして大腸がんの3つです。これらの年齢調整死亡率について、ほかの先進諸国と比べて日本はどうなのかということは比較対象になろうかと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
そのほか、御発言いただいた方、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、この中間報告書として一本にまとめることになりますので、全体目標の進捗のところと分野別施策の個別目標云々のところの評価、ここにうまく分散して整合性を保っていかなければいけませんので、今日の今の御意見を踏まえながら、事務局中心に、整合性を保ちながら、これは前に出す、これは施策別のところで書くという作業をやっていただくようにお願いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
それでは、引き続き、「分野別施策の個別目標についての進捗状況」の議論に移りたいと思います。一定のところで休憩を取りたいと思っているのですが、この分野は量が非常に多いものですから、4つに分けて議論をさせていただきます。1番目が、「科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」の部分です。この点について、御説明を事務局からお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
資料14ページ目から、簡単に説明をさせていただきます。
14ページ目下段のところでございます。「生活習慣について」で、現在、習慣的に喫煙している者の割合について改善が不十分であったり、未成年者の喫煙率は減少傾向である。また、この点については、目標値の達成が見込まれるとしております。
また、妊娠中の喫煙、受動喫煙については、減少傾向であり、一定の評価ができるとしてございます。
15ページ目に行きまして、ハイリスク飲酒については、男性で横ばい、女性で増加であり、改善が必要としております。
また、運動習慣については、減少傾向であり、改善が必要としております。
また、肥満ややせについても、さらなる改善が必要。食塩摂取、野菜・果物の摂取についても、さらなる改善が必要としております。
17ページ目の感染症対策でございますけれども、肝炎に対してはおおむね評価できる内容であると。また、HTLV-1についても一定の取組をしているとしております。
これを踏まえまして、18ページ目でございます。がん対策推進協議会としてさらに推進が必要と考えられる事項でございますけれども、たばこ対策について、一定の効果が見られるものの、より一層推進していく必要性がある。また、運動習慣については、不十分であり、引き続き取組が求められ、また、食塩摂取について、男性では減少、女性ではここ数年で減少が見られないということで、引き続き、取組を推進していく必要があります。野菜・果物摂取量について、さらなる改善が必要だとしてございます。
18ページ目でございますが、がん検診の受診につきまして、新型コロナウイルス感染症が目標達成に向けて、後退する要素となっていることも踏まえて、さらなる受診向上の取組が必要としております。
また、コール、リコールについて、その実施割合については増加傾向であるとしております。
19ページ目でございますけれども、「がん検診の精度管理等について」多くのがん種で、十分とは言えず、改善が必要としております。
また、新型コロナウイルス感染症に関しての影響については、現時点では、まだ評価ができないとしております。
20ページ目に参りまして、精密検査の未把握率や未受診率については、さらなる減少に向けた取組が必要としております。
また、指針に基づくがん検診を実施している市町村の割合については、様々な状況もありまして、胃がんについては、評価が困難であるとしております。
また、職域におけるがん検診について、マニュアルを作成し、普及啓発に努めているということで、評価ができるとしてございます。
22ページに参りまして、がん対策推進協議会としては、がん検診の受診率が、男女とも全てのがん種で上昇傾向ではあるが、目標値の50%の達成ができていないものが多いというところです。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響等により、後退していることも想定され、引き続き、受診勧奨等を進めていく必要性があるとしております。
また、精密検査の受診につなげる取組を推進しながら、指針に基づくがん検診の受診や、チェックリストの実施等々について、しっかりと進めていく必要性があると記載をしてございます。
以上、「1 科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」についての説明でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
では、ここまでの分について御意見を賜りたいと思います。手挙げ機能を使っていただくか、あるいは挙手で把握できると思います。
羽鳥委員、お願いします。
○羽鳥委員 幾つかあるのですけれども、受診率向上のコール、リコールのこともいいと思うのですけれども、1つ、20ページの職域におけるがん検診、松田先生と一緒に出ている職域のがん検診のワーキングの報告にもありますが、職域の場合、任意型検診という、任意の検診ということになって、いわゆる強制力がない、あるいはデータを十分取り込めないということがあるので、ここを何とか仕組みに組み込めるようなことを提言していっていただければなと思います。
職域の中でも、例えば肺がんの検診だと2方向にする、あるいは、二重読影をするとか、それをきちんと義務化する、あるいは、逆に、そういうふうにきちんとやっているところは対策型がん検診の中のデータとしても取り込めるようにするとか、何か工夫していかないと、検診の受診率がいつまでも上がらないような形に見えてしまって、実際は、もうちょっと検診の受診率は高いのではないかなという印象もあるので、その辺、職域のがん検診をうまく一本化する工夫をしていただければと思います。
それからもう一つ、先ほど感染症のところがありましたけれども、17ページ。ピロリ菌も感染症でありましょうし、それから、HPVのウイルスも感染症でありましょうから、それも、本来は感染症として扱って討議するのがいいのではないかと思います。
その2点よろしくお願いします。
○山口会長 ありがとうございました。
松田委員、お願いします。
○松田委員 松田です。今、羽鳥委員が御指摘になりましたように、がん検診は市区町村が行っている対策型がん検診と、職域におけるがん検診の大きく2つに分けられます。実は、職域におけるがん検診の方が数多く行われているわけですが、法的な根拠がありません。ここで、受診率の目標が50%と出ているわけですけれども、これは、国民生活基礎調査というアンケートで求めています。すなわち、受診率は、市区町村で受けたもの、職域で受けたもの、他に個人的に受けているものも含んでいます。ただし、精度管理指標である精検受診率については、地域保健・健康増進事業報告による市区町村の検診のみに限っています。これは非常に無理があると思います。ですから、将来的には、職域の検診も法的な根拠を持たせて、その上で精度管理をして行うということが必要ではないかと思います。
そこで、一つ事務局にお伺いしたいのですが、今回、職域におけるがん検診のガイドラインを作成すると書かれています。羽鳥委員も御指摘になりましたけれども、実は、以前、ガイドラインの作成作業がワーキンググループで行われました。その際、法的な根拠がない職域のがん検診について、強制力を持たせるような「ガイドライン」という名称を使うのは問題ではないかということで、「マニュアル」という名前に落ち着いた経緯があります。
今回、マニュアルがある中で、さらに一歩進んで、ガイドラインを作成する、作成できるような状況になっているのかどうか。さらに、これからは、法的根拠を持って職域のがん検診も行うということなのかということを、ぜひお聞きしたいと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
では、引き続き、長谷川委員お願いします。
○長谷川委員 肺がん患者の会ワンステップの長谷川です。よろしくお願いします。私からは、がん検診に関して一言申し上げたいと思います。ここの部分に関して、国民への情報提供の在り方に関しては、一切触れられてないと考えました。私としては、がん検診の情報提供は、メリットの面を強調する一面的なところがあると思います。今、コロナウイルスでヘルスリテラシーがすごく高まっているので、ぜひ、検診が全てを解決するかのような情報提供は控えていただければなと。何かバランスのいい形のものを探っていくことが必要なのかなと思っています。
先ほども、海外比較でがん検診受診率をやってみたらどうかという、先生からお話がありましたけれども、そこに、私たちの国で推奨されているがん検診の幾つかは紹介されていませんでした。その意味では、検診をすれば全てが解決するかのようなイメージがどうしてもついているように思えます。そこを少しバランスよく変えていくような努力が必要ではないかと思い、指摘します。よろしくお願いします。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
谷口委員、お願いします。
○谷口委員 島根県の谷口です。衛生部長会から出ております。羽鳥委員の発言ともかぶる部分があるのですが、感染症予防の場合、がん予防のところで、HPVワクチンの件は今回入れたほうがいいのでないかなということは、意見としてお伝えしたいと思います。今後、ぜひ、これを急速に広げていく必要があると私は思っていますので、諸外国に比べたら大分遅れているという実態もありますので、ぜひ、これを記載して、この計画の後半で積極的に進めていく必要があるのではないかということが1点。
それから、がん検診についてですけれども、先ほど二人の委員さんがおっしゃいましたけれども、今、生活基礎調査でがん検診の受診率を出していますけれども、本当にこの記載の仕方がいいのかどうか。例えば、先ほどの職域の話もありましたし、職域の検診の二重読影するとか、何か新たな方策を加えることによって対策型にできないのかとか、そういう検討も必要だと思います。
それから、医療機関で定期的に検査を受けている人たちもいると思うのですよね。こういったものについてどうかとか、例えば、昔に比べるとデータの情報のNDBとかああいうのが大分そろってきましたので、そういうのを活用しながら、実際に、日本のこのがん検診は、今、50%と言っているのですけれども、これは第4期に向けての話になると思いますけれども、いろいろ総合的に考えながら、どの程度のパーセントを目指すのかみたいな話も含めて、何かもう少し突っ込んだ議論をする必要があると、そういった意見を言わせていただきたいと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、土岐委員お願いします。
○土岐委員 私は、1次がん予防のところですけれども、アルコールに関して、実はデータはあまり改善していないのですが、赤のところには、喫煙はあったのですけれども、アルコールは加えていただいてなかったので、できたら、アルコールも加えていただけたらは思うのですけれども、一方では、アルコールに関しましては、体質、遺伝子多型が分かってきまして、これは恐らくハイリスクは飲酒量ですかね、どちらで判断されているのか、私は知らないのですけれども、実は、体質の問題もあるので、そのあたりの啓発も必要だと考えております。
これともちょっと関連するのですけれども、次の対策かも分かりませんけれども、ハイリスク群ですね。実は、今、がんが治っても、次のがん、術後のフォローとかは、5年でフォローはストップしてしまうのですけれども、でも、その患者さんが10年後に、また、別のがんとかいうのはすごく多くて、今、3次がん、4次がんというのがすごく増えてきているのです。ハイリスク群がかなり分かってきているので、そこを集中的に検診というか、拾い上げるような方法を、次のフェーズではぜひ考えていただきたいと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
石岡委員、お願いします。
○石岡委員 私は、がんの1次予防の喫煙のところを申し伝えたいと思います。15ページの表には、評価指標が大きく分けて5つありますが、その本家本丸はもう明らかに成人の喫煙率、一番上で、下の4項目は明らかに付加的なことで、禁煙希望者は全体の喫煙者の割合でしょうから、これは別として、成人の喫煙率が著しく下がれば、未成年者の喫煙率、妊娠中の喫煙率、受動喫煙は当然減るわけです。しかし、本家本丸の成人の喫煙率は決して減少しているわけではなく、付加的な部分の評価を見て、一定の評価を得ていることは、私は、評価としては、極めて不十分だと思っています。
これは、がんの1次予防のそもそも3期の目標が、成人の喫煙率を12%にするというところがあるのですが、私は個人的には、あるいは学会としても、これは0%にすべきだと考えております。特に、先ほど大分前に説明があった6ページの「中間評価の主旨」を見ますと、私は、2年前に入ったときも、ここを非常に疑問を持ったのですけれども、普通、中間評価というのは、これは6年に期間を延ばして、5年延ばしたので、中間評価をやる意味は、通常は、この期間内の評価をやって、期間内の3期の是正をするというようなのが一般的だと思っています。この場合は、中間評価は現実的にここまで来たものですね。第4期のための中間評価をやっているわけです。
そうしますと、この評価のありようでは、第4期に喫煙対策というのは一定の評価があった、さらなる改善を望まれるということになると、この目標の成人喫煙率の12%ということは、どういうふうに評価するかということは、私はちょっと弱くなってしまうと。簡単に申し上げれば、もう少し厳しい評価をして、4期では成人喫煙率の目標をもっと下げる、大幅に少なくする。そういったことも私は求めたいなと思っています。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
小原委員、お願いします。
○小原委員 ありがとうございます。日本社会事業大学の小原でございます。
先ほど、石岡委員から喫煙率の話がありましたけれども、未成年者の喫煙率は若干下がったといえども、多分、人数にしたらかなりの数ではないかなと思います。それに関しまして、今回、文科省の方々もいらっしゃっているところから、学校保健での知識の提供や、喫煙をすることによって、将来的にがんのリスクが高くなるといった教育等も非常に重要かと思います。ここではたばこのことは記載がございますけれども、未成年に関しましては、減ったではなくて、今後のさらなる改善が求められるのではないかというのが1点でございます。
それから2点目に、第4期に向けての意見でございますが、これは、これまでの議論の中でも何度か委員の中からも意見がございましたけれども、障害のある方々のがん予防とがん患者さんに対しての対応でございます。特に、障害がある方は、精神障害や身体障害も含めてですが、どのぐらいの検診を受けているのかというようなエビデンスが多分ないのではないかと思います。それに対しては、国民全体のがん対策と言ったときに、障害に関係なく、障害を持っている方々に対してもさらなる配慮、改善もしくは工夫が必要であると考えますので、その点も今後エビデンスを出していただく工夫と、それから、第4期に向けて対応を検討する必要があるのではないかと思います。
以上でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
飯野委員、お願いします。
○飯野委員 ありがとうございます。今回の第3期の基本計画を読んでみると、がん予防の重要性がすごく強調されていますが、全体から見ると、予防のところが非常に取組の進み方が遅いなと感じています。特に1次予防では、運動習慣にしても、ハイリスクの飲酒にしても、食塩とか野菜の摂取量などを見ても、改善しているというよりも悪化してきている部分があるところを重く見る必要があるのかなと。
コロナ禍の中での検診控えということもあったのですけれども、外出自粛による運動不足とか食事の偏りというところも非常に心配されているところでもあるので、この1次予防のところの対策を重視していくということが大事かなと。とりわけ子供へのがん教育、健康教育というところの重要性を感じています。
それから、2次予防のところのがん検診ですけれども、ほかの先生方がおっしゃっているように、職域の働き盛りの人たちのがん検診は非常に重要だと思うのですね。その中で検診の受診率50%という目標がありながら、実際、どのぐらいの人たちが一体どこで検診を受けているのかという正しい情報さえない状況を改善する必要があると感じています。まずは、きちんとしたデータを、どのぐらいの人たちがどこで受けているのかということぐらいはきちんと把握できるシステムをつくって、その上で、職域の検診については、例えば特定健診と一緒にやるとか、検診を高めるための対策を考えていかなくてはいけないのではないかということ。それから、女性の検診率の低さについても、対応を充実させていただきたいなと思います。
それからもう一点だけ、子宮頸がんについてですけれども、ワクチンについては、積極的勧奨を再開するということで決まったわけですけれども、ワクチンのことばかり言っていると、検診がおろそかになってしまうのではないかというところも、一方で危惧をしているところでありまして、子宮頸がんの検診の重要性もきちんと伝えていかなければいけないし、あとは、副作用の心配をしていらっしゃる方たちもまだいらっしゃるわけですから、きちんとフォローをする体制を構築すると。ワクチンを接種するならば、接種した後の状況とか、副作用はどうなのかとか、その方に対する治療がどうなのかとか、どう改善していったのかということも含めてフォロー・対応できる体制は、ぜひ進めていただきたいと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
最後に、根岸委員からお願いします。
○根岸委員 藤沢タクシーの根岸です。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、職域におけるがん検診について、3点ほど申し上げたいと思います。職域におけるがん検診は進んでいないというのが現状かと思いますけれども、まず1つ、資金的な問題があって、会社で決められた法定の検診項目プラス任意のところまで事業所のほうで責任を持って実施するというのは、現実的にはなかなか難しい部分があるかと思います。
できることとしては、市町村におけるがん検診、ここを企業のほうでも進めているということなのですけれども、今後、企業が、任意でありながらも、企業におけるがん検診を進めていくためには、1つはお金の問題、市町村で実施できるものに近いような資金的な支援というか、そういった部分も少しずつ検討の中に加えていただきたいなと思うところがあります。
それから、企業における検診の法的根拠は、労働安全衛生法が基本になっていますけれども、これが昭和47年にできた法律でして、ちょうど来年で制定から50年たつ一つの節目といいますか、今まで歩んできた安衛法の歴史から、今後どういうふうに企業が安全衛生に取り組んでいくかというような、ちょうど今考えていい時期にあるかと思うので、ぜひ、その中にがん対策が一歩でも進むような何か考え方が生まれてきて、それが法律の根拠として出てくるように、何か検討を進めていただけないかと考えます。
それから最後ですけれども、これは、私どもの業種の話で、ちょっと恐縮ですけれども、輸送関係でいきますと、がん対策というよりも、今は、どうしても脳血管疾患、つまり、交通事故に関連してしまうような検討が主になってくる傾向が強いのですね。ここは、私は非常に残念に思っているところで、がん対策ぜひ進めていきたいと思っているところです。
では、それを進めるにはどうしたらいいかということになりますと、これは、厚労省さんだけではなくて、ほかの省庁、つまり、いろいろな業種があるわけですから、他の省庁との連携というようなことも今後考えていかないと、職域におけるがん検診はなかなか進めにくいのではないかなと思います。
以上、3点です。よろしくお願いいたします。
○山口会長 ありがとうございました。
いろいろな御意見がありましたけれども、まとめて、事務局から答えられる範囲でお願いします。
○がん対策推進官 まず、職域の検診について様々の御意見をいただいたところでございます。最後に根岸委員からお話がございましたとおり、このあたり非常に難しい問題があるというところでございます。そういった中でも、マニュアルを定めて、それを広げていくということについて取組をしているところでございます。ガイドラインにできるような準備ができてきているかということについては、必ずしもそういう状況になっているという認識ではないというところでございます。あくまでもマニュアルとしてつくったものということになってございます。
一方で、精度管理をより充実するという観点では、様々な医療保険組合等々の施策の中で、少しずつがん検診の中身についてもより適正化していくという仕組みを少しずつ入れ始めているところだと認識をしておりますので、そういった取組であったり、あとは、職域で実施した検診のデータと市町村で実施した検診のデータをうまく連結させていくような取組などについても、少しずつ今進めているところでございますので、そのあたり、検診の検討会等々におきましても議論をしながら進めていきたいと考えております。
がん検診につきましては、長谷川委員からは、情報提供の在り方についてもう少しいろいろ考えたほうがということもございました。このあたりは非常に難しい点でございまして、バランスを考慮するとどちらかというとちょっとインパクトが弱まって、別にしなくてもいいのかという感じになってしまうところもありまして、そういったことも踏まえて、どういう周知の仕方、伝え方が適切なのかというのは、我々もいろいろと工夫をしながら進めていきたいと考えております。
その他、喫煙や子宮頸がん等々について御発言ございました。そちらについては、担当課であります健康課、予防接種室のほうから、少し御意見をいただければと思っております。
○厚生労働省健康局健康課女性の健康推進室長 健康局健康課でございます。
石岡先生からいただきましたたばこの部分、そして、土岐先生からいただきましたアルコールの部分に関しまして、お返事をさせていただければと思います。
石岡先生からいただきました喫煙率のトレンドに関して、目標を踏まえてもなかなか下りてきていないということですけれども、資料としては2018年までになっておりますが、2019年の我々の手元にある数字は16.7%で、この数字も含めると、少しダウントレンドが見えてきているかなということを把握しております。
一方で、「健康日本21」でも同じく掲げております12%という目標にはまだ到達できてないという状況でございますので、こちらについての評価の在り方も、まさに並行して、「健康日本21」のほうでも最終評価を行っておりますので、そこの中でも見極めていきたいと考えております。先ほどの御指摘や、「健康日本21」の最終評価の中身を踏まえつつ、事務局であるがん課と御相談しながら、書きぶりは検討してまいりたいと思います。
アルコールに関しましては、我々も非常に重要な項目だと考えておりまして、ここに書いておりますハイリスク飲酒者に関しましては、生活習慣病を起こすリスクが高まるという飲酒量、男性で40グラム、女性で20グラムの定義を置いた上で、こちらの数字を出させていただいております。
健康課からは、以上でございます。
次に、予防接種室からありましたら、お願いいたします。
○予防接種対策推進官 予防接種室です。
HPVワクチンに関しまして、飯野委員から御指摘をいただきましたワクチンの積極的勧奨が再開された場合に、接種後の症状を呈する方にしっかりと対応できる体制を構築しておくべきという御意見につきまして、少しコメントをさせていただきます。
この積極的勧奨の差し控えの終了が妥当との結論をいただきました、厚生科学審議会副反応検討部会におきましても、やはり同様の御指摘をたくさんいただいておりました。つい先々月から先月にかけて、現在、全国に84のそういった接種後の症状を呈された方に受診していただけるための協力医療機関を設けているのですけれども、そちらに対して調査をさせていただきましたところ、ここ数年は患者さんがあまりいらっしゃらなくて、医療体制の再構築の必要性が認識をされたところでございます。
したがいまして、私どもといたしましても、来年度に向けて、しっかりと医療体制、そして、相談支援体制、また、地域においてしっかりと対応できる医療機関に、該当の患者さんが紹介されるような、そんな連携体制を構築できるように努めてまいりたいと考えているところです。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、今の事務局並びに厚労省からの御意見を踏まえて、改めて御意見をいただきたいと思いますが、まず、羽鳥委員お願いします。
○羽鳥委員 羽鳥です。先ほど、根岸委員から、いわゆる事業主検診のお話もありました。そして、がん検診の受診率が上がらないというお話もありましたけれども、いわゆる大企業は、職域がん検診が進んでいるのですけれども、いわゆる中小企業ですと、そういう余力もなかなかないというお話もよく理解できます。
ただ、対策型がん検診は、市町村で住民であれば誰でも受けられるということがあるわけですので、もし、できましたら、そういう企業におかれましても、この対策型がん検診を利用されて検診を受けられるというのも一つの方法だと思います。都道府県、市町村医師会のほうでは、十分それに対応できるように、中小企業からの申し出を待っているようなところもありますので、どうぞ御検討ください。
それからもう一つ、僕も日本医師会のほうで産業保健の副担当をしているのですけれども、産業保健のほうでは、今、安衛法の改正というか、安衛法50周年を迎えて、少し見直しが始まるということですけれども、その中で、ぜひ、事業主さんのほうからもよりよい安全衛生法改正の中にこのがん検診のことも取り入れていただければと思います。
1つは、経産省がやっている健康経営というのもありまして、企業の評価として、がん検診をきちんとやっている、それも一つの評価の対象になっていると思いますので、そういうことを利用していただければいいのではないかなと思います。そのへんも、ぜひ御検討いただければと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
石岡委員。
○石岡委員 質問をさせてください。たばこの喫煙率の目標ですけれども、健康増進法に恐らく縛られている「健康日本21」と、どちらも厚生労働省の施策であるということでは違いはありませんけれども、縛られる法律は違うわけで、こちらでより厳しく例えば喫煙率を設定し、それが「健康日本21」と比べてより厳しい施策になっていて私は構わないと理解しているのですけれども、御説明によれば、そちらの様子を見て決めるというような御説明だったかと思うのですけれども、「健康日本21」に合わせる必要は私はないと思うのです。
○山口会長 では、厚労省からお願いします。
○がん対策推進官 厚生労働省でございます。
「がん対策推進基本計画」につきましては、「健康日本21」などと協調して実施することになってございますので、「健康日本21」の目標と「がん対策推進基本計画」の目標が違うというのは、基本的には、もともとこの計画をつくるための主旨、方向性とは少し反する形になってきます。
また、当該計画が閣議決定をされるものでございますので、政府全体の方針、つまり、必ずしも健康だけに重きを置いた形でお示しするものにするというのも、なかなか難しい点があるという点については、御承知おきいただければと思います。
○山口会長 石岡委員。
○石岡委員 もちろん、それはそういうことだろうなというのは十分理解しています。当然、喫煙というのは貴重な国の財源になっていることもよく知っておりますし、いろいろな意見が出てくるということは、「健康日本21」のほうにはそういう意見を言う方もいらっしゃるということはよく知っています。
しかし、私の立ち位置はがん対策基本法に縛られるがん対策推進協議会のメンバーですので、当然、こちらの目標に「健康日本21」を引っ張ってきてもらいたいというのが、私の今日の立場でございます。縛られる法律が違うならば違うだろうというのは、一国民としての理解で、それが行政の方の御説明される理解とは、私の一国民としての理解は異なるということです。ぜひ、こちらのがん対策推進協議会が示す第4期の喫煙率の目標値を非常に大きく下げるということを、「健康日本21」に反映させると。そういった方向に持っていっていただきたいというのが私の意見です。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
では、根岸委員。
○根岸委員 根岸です。羽鳥先生、先ほどは職域におけるがん検診について、御意見ありがとうございました。定年が延長されている中で、労働者のがん対策は非常に重要な課題だと思っております。今後も、ぜひ、また、御支援のほうをよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○山口会長 ほかはよろしいでしょうか。
○羽鳥委員 厚労省の中で、いわゆる旧厚生省畑と旧労働省畑の交流が少ないのではないか?と思います。産業保健委員会などで医系技官の方もぜひ労働畑のほうの部署に行って産業衛生を見ていただけると、両立支援の必要性など理解がすすむのではないかと思うので、ぜひ御検討ください。
以上です。
○山口会長 それでは、私のほうから補足をちょっとさせていただこうと思います。
今、この表の中のデータを皆さんが御覧になると、これはいろいろな事情があるのですけれども、一番まずいのが2016年度と2015年度の比較、それから、多くが2017年度と2018年度の比較で、ぱらぱらと2020年度の最近のものが出てくるという形で、要するに、この中間評価の数字にしてはあまり適切ではない数字が出てくるのです。これは中間評価に入れなければいけないというのは、いろいろな事情がありまして、十数年前、基本法ができて、基本計画ができたときに、がん検診受診率の場合は、50%なりの数字を出したときに、厚労省の幹部が批判されました。要するに、データがないはずだと。データがないものに目標値を設置して、一体どうするのだというような激しい議論があった挙げ句、生活基礎調査をともかく使おうということで決着したと承っています。
ですので、十数年たって同じデータを使っているというのも何ですから、将来に向けて、そういう統計をしっかり取れるようにしていく。職域に至っては、適切な評価指標がない状況なので、非常にシリアスな問題だと私は思っております。このへんは、ぜひ、今後、厚労省を中心に改善をしていただきたいなと思っています。
それから、先ほど、中間評価は次期のためだけかという御質問、御意見があったのですけれども、原則を外れた事例がありました。第2期の基本計画が、中間報告をまとめた時点で、進捗状況が一部あまり芳しくなかった。そこで厚労省としては、当時、「がん対策加速化プラン」を実践いたしました。中間評価報告は、そういう使われ方もされておりますので、必ずしも、次期基本計画のためだけにやっているものではないことを御承知おきいただきたいと思います。
それから3番目に、たばこの問題ですけれども、ほとんどの方が御存じなく、厚労省の担当者にも何度か聞いたけれども、誰一人として知らない法律が世の中には存在いたします。未成年者は喫煙してはならないという法律が、明治時代、山縣有朋内閣で決定されていて、それはまだ生きているはずなのですね。それは、たばこが健康被害ではなく、別な理由で、多分、ぜいたく品ということだと思うのですが、ともかくその法律は存在していて、未成年は絶対に吸ってはいけないというのがあります。ちなみに、静岡県ではこの法律を基に未成年者には訴えています。ぜひ、そういう法律が存在しているのだということは御承知おきいただきたいなと思っています。
以上3点、補足させていただきました。
それでは、時間も大分過ぎましたので、ここで10分ほど休憩を取らせていただきたいと思います。
 
(休 憩)
 
○山口会長 それでは、再開させていただきます。
次の「患者本位のがん医療の充実」についてですけれども、これは協議会としての評価という観点から言いますと、多くが、評価できる、一部改善で、希少がんのところと小児がんのところが改善が必要であるという整理になっております。あとは、おおむね評価できるか、一部改善が将来必要だろうという評価になっている部分ですので、ここを次にやらせていただこうと思います。
それから、熱心な御議論をいただいておりまして、今日は、切れのいいところで4時前後に終わらせていただいて、あとは次回に回させていただくと、そういう形の予定になっておりますので、お含みおきいただきたいと思います。
それでは、まず事務局から、医療の充実の分野を説明してください。
○がん対策推進官 それでは、議論の時間をつくるためにも、要点を絞って説明させていただきます。
22ページから説明させていただきます。「(1)がんゲノム医療」でございます。ちょっとページ飛ばしまして24ページでございます。がんゲノム医療の体制について、一定の評価はできるとしております。ただ、今後も引き続き取り組むべき領域があるということで、さらなる一層の取組が必要という形で記載をしており、また、全ゲノム解析についても言及しております。
次に、「(2)がんの手術療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法の充実」というところでございますが、こちらにつきましては、30ページに飛びます。がん医療提供体制、各治療法等については、概ね取組の成果が見られるとしてございます。ただ、さらなる知見の収集、それから、普及啓発やセカンドオピニオン等々については、より一層の取組が必要だという形で示してございます。
「(3)チーム医療の推進について」という項目になっております。31ページでございます。拠点病院以外については、取組の充実が求められるという形にしてございます。その課題につきましては、他の検討会、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」や、「がんの緩和ケアに係る部会」等での議論を踏まえ、しっかりと進めていくとしてございます。
次に32ページ、「(4)がんのリハビリテーション」でございます。下段のほうでございますけれども、拠点病院を中心とした取組の成果が見られているとしておりますが、引き続き、さらなる検討や対策の充実が必要だという点もあるということで示しております。
33ページからは、「(5)支持療法の推進」というところでございます。35ページになりますけれども、支持療法について、一定の実態把握がなされたものの、適正な評価のためには更なる知見の集積が必要であるとしております。一方で、体制の充実という観点では、さらなる取組が必要だとしております。
「(6)希少がん、難治性がん対策」でございますが、36ページになります。希少がん対策について、取組の成果は見られている部分もあるが、患者への情報提供、医療機関の連携ということで、一層の取組の推進が必要だとしております。
また、難治性がんについては、中間評価の指標の設定がなかったということで、次期計画に向けて対策を検討していくということにしております。
37ページ、「(7)小児がん、AYA世代のがん、高齢者のがんの対策」というところでございます。
38ページに行きまして、小児、AYAについて、均一な対策が適切とは言えない可能性もああって、それらについて、どのような形で実施していくのかということで検討をする必要があるとしております。
また、妊よう性の事業について、今後、普及啓発に取り組む必要があると。一方で、高齢者のがんについて、なかなか十分な評価ができていないということを記載しまして、次期計画の中でどのように取り組んでいくのか、引き続き検討が必要としております。
「(8)病理診断」でございます。39ページでございますけれども、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」の議論を踏まえ、引き続き、質の高い体制整備について進めていくということで示しております。
39ページ、「(9)がん登録」についても、精度管理については一定の成果は見られているとしておりまして、さらなる利活用ということで取組を進めていく必要があるとしております。
40ページは、「(10)医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組」というところでございますが、41ページ、がん研究について、「がん研究10か年戦略」に基づき、順調に進められているとしております。次期戦略や基本計画の策定において、引き続き検討をしていくという形でまとめてございます。
以上、非常に簡単ではございますけれども、「2.患者本位のがん医療の充実」ということで、説明させていただきました。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、先ほどと同じように、皆さんから御意見を賜りたいと思います。手挙げ機能を使っていただければ。
まず、石岡委員お願いします。
○石岡委員 各治療法について、30ページに記載のところ。これは事前に読んで、これでいいかなと思っていたのですが、今、読み返してみますと、1行目ががん医療提供体制の各治療法について、おおむね取組の成果が見られるというところ。これは、おおむねだから、全てではないし、ゼロでもないという意味だと思うのですが、これは土岐先生に伺いたいと思いますけれども、手術のほうはかなり評価にも見えます。放射線のほうもかなりいい評価があったかと思います。
私が一番関わるがんの薬物療法に関しましては、先ほど冒頭に少し説明させていただきましたけれども、評価の基となる数字はともかく、いずれにしても、さほど伸びてないというのが私のがんの薬物療法に関する意見なので、おおむねいいというふうな成果になってしまうと、少なくともがんの薬物療法も、おおむね取組はいいということになってしまいますので、私は、ここは一部のほうがいいかなと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
大賀委員、お願いします。
○大賀委員 まず最初に、山口会長からお話しになりました目次のところの小児がん、AYA世代のがん、高齢者のがん対策というところで、小児がん、AYA世代のがんを一くくりにして、高齢者のがんと区分けのところは分けていただくのがよろしいと私も思いました。
38ページのさらに推進が必要と考える事項のところですが、がんゲノム医療が実装されて、実際に小児とAYA世代にも、小児がん拠点病院を中心に検査の充実と、その利活用が進んでまいりました。小児領域では、遺伝カウンセリングの重要性が高いこと、それから、希少で多様な腫瘍が多いことから、可能な検査とその対応に関する具体的な提供体制を、成人領域に遅れることのないよう、御配慮をくださいますようお願い致します。
詳しくは、事務局のほうに伝えておりますが、同じがんゲノムの検査で、小児には実際にできないというのが現在ありますので、そういう部分に小児領域も追いついていけるように、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
次、看護協会の森内委員お願いします。
○森内委員 日本看護協会常任理事の森内です。
33ページ、「(5)支持療法の推進」について、「リンパ浮腫外来、ストーマ外来が設置されている拠点病院等の割合は、いずれも増加傾向で評価はできるが、」とあります。評価はできるのですが、今後さらに推進していくためには、リンパ浮腫やストーマ管理などの専門的ケアが受けられる体制の確保・充実に向けて、外来の要素をさらに入れていただく必要があるのではないかと考えています。がん治療を受けながら就労している方たちも大変増えていらっしゃいます。治療と就労の両立を維持するためには、リンパ浮腫外来やストーマ外来の設置割合が増えて、患者のアクセスが向上することができれば、症状の軽減や日常生活のQOLの向上につながると考えていますので、ぜひ、外来という機能を入れていただけたらと考えております。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 長谷川です。よろしくお願いします。
私からは、40ページ、「医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組」というところでお話しさせていただきたいと思います。先ほど、私、情報という観点で検診のことを申し上げたのですけれども、ここも情報という観点で申し上げます。
まず(個別目標)のところでは、最後の行に、「がん患者に対し、治験や臨床試験に関する情報を提供する体制を整備する」と書いてあるのですけれども、赤字のところでは、患者に対しての情報提供に関しては一切書かれていません。いろいろなところで情報というのが今回出てきているのですけれども、例えば、マイナスからゼロにする、もしくは標準治療をするというところは幾つか書かれていると思うのですが、より研究というところに患者自身も関わっていくというところに関しては、ほぼ情報提供はないなと思っています。新薬を生み出すのは、先生方だけではなくて、患者が参加してこそ、きちんとした理解をしてこそだと思いますので、ここに関して、ぜひ、「情報提供」の文言を入れていただきたいと思いました。よろしくお願いします。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
鶴岡委員、お願いします。
○鶴岡委員 ありがとうございます。つるかめ診療所の鶴岡でございます。
私は、チーム医療の推進について、ご意見を申し上げたいと思います。全体として、病院内のチーム医療の記載に少し偏りがあるのではないかと感じました。がん対策全体を考えた場合は、地域での複数の医療機関、また、多職種によるチーム医療も重要かと思います。具体的には、31ページの記載に関して、「他機関、多職種の連携を含め」という言葉が入ると、印象が違うのではないかと考えました。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
久村委員、お願いします。
○久村委員 私からは2点ですけれども、まず32ページのがんリハビリテーションの(がん対策推進協議会としてさらに推進が必要とされる事項)の中に、拠点病院以外の医療機関のほかに、在宅でのリハビリについてもさらに推進していくということの必要性を入れていただけたらいいなと思います。在宅で療養されているがんの患者さんは多いですし、訪問リハビリなどを受けることができれば、患者さんの機能維持だけではなくて、家族の介護の負担の軽減にもつながっていくことなので、将来的には、在宅でのがんリハについても一層推進していけたらいいのではないかと思うのが1点目です。
もう一点目は、38ページの小児がん、AYA世代のがんに関連することですけれども、特に小児がんやAYA世代のがんの患者さんですけれども、適切な長期のフォローアップがなされていなくて、晩期合併症による心身の不調など、いろいろな悩みや不安を抱えているサバイバーの方がかなり多いのではないかと思います。中間評価の指標の中に、長期フォローアップ体制の整備に関して指標が含まれていませんので、何とも評価しづらいのですけれども、今後、こういった指標も含めて検討していただく必要があるのかなと思います。ただ、これに関しては、実は、がんとの共生部分のAYA世代の記載の中にもそういった長期フォローアップ体制という話が出てくるので、このへんの話を整理していく必要があるかなと思います。
以上です。
○山口会長 前半の部分ですけれども、がんの患者さんで、在宅でリハビリを受けられるようにという場合は、介護の認定が必要なのではないかなと思うのですけれども、それはなかなか難しいということをよく聞くのですが、久村委員、その点はいかがでしょうか。
○久村委員 介護認定が必要な方もいますし、医療保険で在宅療養の一環としてリハビリを受けるという方法もあるかなと思います。必要としている方は結構いらっしゃると思うのですけれども、リハビリを提供する側が、がんで末期の患者でということであると、なかなか提供しづらいというか、研修も受けてないのでということで尻込みしてしまうという場合もあるかなと思っております。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、茂松委員お願いします。
○茂松委員 ありがとうございます。28ページ、29ページの放射線療法についてのところですけれども、外来放射線診療、低放射線、IMRT、これも増えているのは間違いないのですけれども、JASTROで取っている統計とはパーセンテージがちょっと違うのは、アンケートの取り方の違いだと思うので、これは致し方ないかとは思うのですけれども、一番最後の緩和ケア研修修了者数が14万5,727人も放射線科医はいないので、この部分にこれが入るのはちょっと違和感が。これは多分全体での話だと思います。放射線治療医は、今、全国で4,000人ぐらいしかいませんので、医師以外を含めても、ですから、括弧の中で(放射線治療医以外を含める)というふうにするか、別のところに入れていただいたほうがいいかなという気がいたします。よろしくお願いいたします。
○山口会長 ありがとうございました。
土岐委員、お願いします。
○土岐委員 1点目は、がんゲノム医療のところですけれども、がんゲノム医療は、皆さん御存じのように、なかなか薬に到達できる率が低いというのは、医療をやっている者の中ではもう周知の事実ですけれども、この赤印のところに、いわゆるアウトカムをきちんと今後評価していくことを書くべきではないかと。これは、すぐ次に全ゲノムとなっているのですけれども、その前に一定の評価をしながら進めていくことが必要なので、そうでないと、どんどん先ばかり走っているような印象を受けるので、今後、評価していくことも書いたほうがいいと思いました。
もう一点目は標準治療のことですけれども、26ページに標準治療実施の割合が書いてあります。恐らくこれを見た人はかなり混乱する。例えば、30%、40%しか実施されてない標準治療もあれば、90%実施されている標準治療もあると。これに関しまして、その前の25ページに、これは確かに評価が難しい、いろいろな背景があるので、一概に何%行われているのがよいとは言えないというコメントがなされていて、それはそうかなという気はするのですけれども、一方で、標準治療というのは次から次とつくり出していくことのほうが大事で、いわゆるエビデンスに基づいた特定臨床研究、医師主導治験、そういったものを推進していくという姿勢のほうが大事なので、この標準治療の解釈について、もう少し突っ込んだ記載が25ページのところにできたほうが、これを見た人が誤解しないのではないかなと感じました。
以上、2点です。
○山口会長 ありがとうございました。
前半のゲノム医療の部分ですが、確かに5%、10%の世界であることはそのとおりですけれども、対象が、現在の保険の診療報酬としては、ほかの標準治療がなくなった、あるいは希少がん、小児がんに縛られているからという部分もやはりあると思うのですね。ですので、記載に当たっては、その点を明確にした上で、土岐先生がおっしゃるように書いていただくのがいいのではないかなと思います。ありがとうございました。
では、大西委員お願いします。
○大西委員 私からはやはり希少がんのことで、36ページですけれども、希少がん対策について取組の成果が見られている部分もあるということで、患者体験調査が基になっているかと思うのですけれども、この調査そのものが、全体では20%ぐらいはいるかと思うのですけれども、希少がん患者はわずか5.3%の調査だった。あと、若年性がんも2.2%だったという、回答数が非常に少ない。これが本当に正確に状況が反映されているのかどうなのかということと、あと、次の第4期につながるとは思うのですけれども、ここに「連携」という言葉が書いてあります。希少がんは、ここが一番ネックになっていますので、治療機関、それと地元の主治医、それと、地方の専門医、これがどう連携していくのか。今、中央への一方通行みたいな感じになっているので、それが治療機関がコンサルテーション的に地元の主治医にきちんと戻すことを念頭に置いたネットワークだとか、ぜひ、そういったところに進んでいただきたいなと思っております。
私からは以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
中釜委員、お願いします。
○中釜委員 中釜です。38ページの小児がん・AYA世代のところの記載についてです。先ほど、小児がん・AYAがんにおいては、長期フォローアップの必要性というところが指摘されました。現在、長期フォローアップに関しては、がんとの共生のところのライフステージに応じたがん対策のところで記載をされているわけですけれども、実際には、小児がん・AYAがんは連続します。それから、小児がんのほうも、晩期の後遺症や二次がんの発生など、そういう意味では長期フォローアップは、医療の中で取り扱うべきところもあるのかと思いますので、そのあたりを明確に明示されてはどうかと思いました。
それから、小児がんに関して、先ほどゲノム医療のところでの特殊性の話がありましたけれども、新規治療薬の研究開発も非常に重要であり、そこを充実させていくためには、小児がん特有の治療薬開発と同時に、小児・成人の同時開発をぜひとも推進すべきだと思いますので、そのあたりも記載されてはどうかなと思いました。
私からは以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、今までの御意見について、事務局のほうから回答できる範囲でお願いいたします。
○がん対策推進官 事務局でございます。今回、このあたりについて多くの御意見を頂戴しました。具体的な修文内容であったり、内容の修正、充実等々を図っていただきたいというものがほとんどだったかと認識をしております。
それらにつきましては、また、修文をさせていただいた上で、委員の皆様方にお示しし、さらなる議論を進めていっていただければと考えております。
以上でございます。
○山口会長 全体を通じての事務局からの回答だったのですが、意見を言っていただいた方に、さらに追加で御発言を求めたいと思います。もう少しという御意見があれば、承ります。
中釜委員、お願いします。
○中釜委員 先ほど、土岐委員のほうからも、ゲノム医療に関しては、患者さんへの薬剤到達率がまだまだ十分には高くないという状況であり、体制を見直して充実させることが必要で、先に進めるだけではなく、そのあたりの充実が必要だというご指摘があったかと思います。確かに御指摘のとおりでありまして、そのためにも、ゲノム検査をするだけではなくて、先ほど小児がんのところで述べさせていただきましたように、より積極的に開発研究のスキームをいかに充実させるのかというところが重要になってくると思います。現在は、例えば受け皿試験のようなものを提供することによって、その意味では薬剤到達率がかなり上がってきたと思いますけれども、これは開発研究を積極的にやっているところと薬剤到達率が、かなり正比例するという現象が見られていますので、がん医療に関わる拠点病院を含めて、開発研究のスキームの充実を進めていく、強化していく必要性があるかなと感じます。
追加の発言でした。ありがとうございます。
○山口会長 ありがとうございました。
そのほかの方で、御意見いかがでしょうか。
土岐委員、どうぞ。
○土岐委員 今、中釜先生がおっしゃったのは、本当に私も痛感しておりまして、がんの基礎研究、せっかく変異のある遺伝子が分かっても、それに対する薬が十分ないという状況ですので、それはぜひお願いしたいと思います。
同じような観点から、先ほども申し上げました標準治療の開発。先ほどの標準治療も、実施率が低いものはもう既に結構時代遅れになっているものも多くあって、これは、一年ごとに出れば、全てがらっと変わってしまうような世界ですので、標準治療の開発、そして、基礎研究の開発、その両輪をぜひ進めていただきたいと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
私どもの研究では、5,000例のがん患者をともかくパンキャンサーでやってみると、原因となる遺伝子変化が72%の症例で見つかります。その原因遺伝子は、363種の遺伝子由来でした。ヒトの2万の遺伝子のうち、363種の遺伝子が少なくとも72%の症例については原因になっている。
ところが、その363種の異常な遺伝子に対する薬剤は一部にすぎないという状況にとどまっていますので、これが将来の研究開発の重要なポイントではないかなと思います。そういう意味で、今の御意見はそのとおりだと思っております。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、この分野はここまでにさせていただいて、次に入ると20分ではちょっと済まないものですから、今日の内容の議論はここまでにさせていただこうと思います。ただし、あと20分の時間を使って、幾つか皆さんに知っていただかなければいけないこととか、あるいは、それを取りまとめて,次回にでも御説明いただくことをお願いしようかなと、最後思っていたのですけれども、あるいは、委員の皆様から、委員として、こういう情報が欲しいというようなことがあれば、改めて、この場を借りて申していただきたいなと思います。
私が事務局にお願いしようと思っておりましたのは、例えば、今日のこの中間報告書の中で、この協議会の下にぶら下がっている幾つかの部会がございます。3つか4つの部会があるのですけれども、その部会の内容が、まだあんまり上がってきていないのですね。結局、最後の段階で、その部会の結果がこの協議会の中間報告のみならず、今後の次期計画にも反映されていくと思いますので、少なくともこの協議会のもとにどういう部会が連なっているのか。そこの進捗状況は一体どうなのかというあたりは、次回の冒頭にでもちょっと説明していただくことをお願いしようかなと思っております。
例えば、関連して拠点病院のお話が随分出てまいりましたけれども、ちょうど先日から厚労省の中で、拠点病院の在り方の委員会が始まっています。実は、拠点病院というと、皆さん診療連携拠点病院を思い浮かべると思うのですけれども、実は、厚労のがんに関する拠点病院は3つに分かれていまして、小児がん拠点とゲノム医療中核拠点を初めとする連携病院と、この3グループがあるのですね。この3グループがある意味別立てでどんどん進んできたという状況がありますので、現在、その在り方委員会の下に3つのワーキンググループができて、その中で議論が始まっていて、それで、今後の指定要件とか、あるいはいつそれを承認して次に行くのかとか、そういうことの議論が現在始まっておりますので、そういう検討内容も、この協議会の結論には多分今後反映されてくると思います。
同じように、緩和ケア、厚労的に言えば、きちんとした組織図を出してもらったほうが、私の誤った説明よりも正しいと思いますので。ただ、皆さんに知っていただきたいのは、この協議会の議論の別なところで、様々な部会の議論が実は進んでいて、そういうものもどんどんこの報告書等に反映されてくることも、ぜひお含みおきいただきたいなというのが、次回にもう少し正しくやっていただこうと思っております。
皆さんから、例えば、今、私が申し上げたようなことで、ここは一体どうなっているのか、委員として知っておいたほうがいいとかですね。さっきありましたのは、「健康日本21」との整合性をどうするのかという問題も、多分これに関連した、今の私が申し上げていることに関連しているお話だと思うのですけれども、そういうことで疑問に思っておられること、あるいは、ここはどうなっているのか知りたいといったことを、もしございましたら、まずは、御意見として賜りたいと思います。いかがでしょうか。
石岡委員、お願いします。
○石岡委員 今、山口会長が話されたことと関係ありますが、時間軸をちょっと教えていただきたいのです。ここの中間評価は、次回でおおむね報告書は固まると理解いたしました。第4期の策定は来年度になると思うのですが、この「健康日本21」あるいは、その手前に、下の部会からの意見が出てくるということですが、どういう予定で第4期の策定の時期といいますか、過程まで進むのか。それをちょっと教えていただきたいのですが、よろしくお願いします。
○山口会長 では、事務局からお願いします。
○がん対策推進官 第3期計画が来年度までという形になっておりますので、来年度中に、国としての第4期計画をつくっていくことを目指すことになるという認識でおります。
その翌年ぐらいに、都道府県のほうが計画を策定しまして、走っていくことになりますので、都道府県のレベルで見ますと、これは、医療計画であったりとか、介護計画、その他の計画とスタートラインが同じになるような形で進んでいくことになります。
「健康日本21」に関しましても、同じようなスケジュール感で次期計画に向けた検討を進めていくように聞いております。ですので、大体同じぐらいのタイミングで検討をしていきながら、そこの双方での連携をしながら、協調して進めていくということになろうかと思います。
次期計画の策定のところになりましたら、協議会のもとに設置されている各委員会からの報告なども入れながらやっていくのかなと考えておりましたが、先ほど会長からもございましたので、次回にも、協議会のもとにぶら下がっている各委員会での検討状況といったものを少しまとめてお見せできるようにしたいと考えています。
以上です。
○山口会長 石岡委員。
○石岡委員 分かりました。具体的に、4期計画の策定は、大体何月から始めるのですか。目安でいいです。
○がん対策推進官 4期計画の策定に関しては、一応来年度、つまり4月以降というところです。その最初の会議自体をいつぐらいかというのは、現時点ではまだ明確にはなりませんけれども、一応今年度中にこの中間評価の作業を終えて、来年度4月以降は4期計画の策定ということで進めていきたいと考えております。
○石岡委員 そうすると、「健康日本21」とのすり合わせは、その前に省内でやられるのですか。同時進行ですか。
○がん対策推進官 基本的には同時進行で、4期計画を我々が策定している横で、「健康日本21」の次期の計画に向けた検討が行われるというところですので、同時並行で検討しながらという形になります。
○石岡委員 ありがとうございました。理解しました。
○山口会長 ほかに、御意見いかがでしょうか。
土岐委員、お願いします。
○土岐委員 がんが非常に増えて、いろいろな学会、いろいろな領域の先生方が興味を持たれておりまして、例えば、循環器、精神科とか糖尿とか、いろいろな方が、何とかオンコロジーとかそういう学会とかグループをたくさん立ち上げておられますけれども、今回、このがん対策協議会は、主にがんを中心とした学会ですけれども、そういう全ての領域の学問ががんに結びついたときに、その意見をどのように拾い上げていくのか。そういう方針は、今後考えておられるのでしょうか。
○山口会長 事務局から。
○がん対策推進官 ありがとうございます。厚労省としては、現段階では、どちらかというと、それぞれの疾患対策等々をする中で、がんに関連するものが出てきた場合に、そこと連携をしながら進めていくことはあるのかなと思っております。特に、当課におきましては、循環器病対策、それから、アレルギー疾患対策等々はしており、糖尿病であったりとか、そういったものも所掌をしているところですので、省内での連携はある程度できるかなと思っています。
確かに、この協議会の中でそういった立場を代表される方々がいらっしゃらないと言われれば、そのとおりかもしれないというところです。協議会のメンバーが20人となっている中で、この協議会の中でその議論をするときに、必要なメンバーというところで、どういった方が必要なのかということに関しては、辺縁を広げていけばいくほどその関係者は多様になってくるので、代弁する方は一人にまとめるのは難しいのかなと思いますので、そこの陣容については、別途、考えさせていただくことにはなろうかと思います。
ただ、こういう場に時々いろいろな方をお呼びして、御意見を聴くこともあろうかと思います。
○土岐委員 ありがとうございます。
○山口会長 中釜委員。
○中釜委員 本日の中間評価の今後の在り方とは直接関係ないのですけれども、がん登録に関して、精度管理や利活用の推進は非常に重要なことで、それと関連して、本日冒頭に厚労省から、院内がん登録に基づく全国集計の話がありました。これについて一言コメントさせていただきたいと思います。この報告では、2020年の診断例に応じて、そのがん登録件数が4.6%減少しているという発表で、その中から6万という数字がメディア等で報道されたわけですけれども、この6万という数字は、複数の病院で診断、治療を受けた場合は重複してカウントされているということがあるので、この数字の誤解を少し説明したいと思います。実際の実数としてどのくらいの件数の減少があったかということに関しては、初回治療開始例、この場合はその基となっている院内がん登録のデータはやや制約はかかりますけれども、そこから出てくる4万7,000という数が、実際の件数としての数に近いと思いますので、ここでコメントをさせていただきます。
それに加えて、院内がん登録・全国がん登録の情報を有機的に連携することによって、その都度タイムリーに必要な情報をできるだけ迅速に共有できるような仕組み、あるいはそれに基づいた対策が取れるような仕組み作りも重要かなということを感じましたので、コメントさせていただきます。
私からは以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
そのほか、御意見いかがでしょうか。
根岸委員、お願いします。
○根岸委員 藤沢タクシーの根岸です。よろしくお願いします。
これは次回の協議会のテーマに関連するかと思うのですけれども、多分、人材育成のところで出るかとは思うのですけれども、小児がんについてですけれども、具体的な言葉としては全然見当たらないのですが、日本小児がん看護学会が2003年に発足されておりまして、その中で、昨年から小児がん看護に特化した専門職の育成が始まっていると思うのですね。恐らく、既に有資格者の方が輩出されて、まだ2桁台だと思うのですけれども、多分、これからその育成が進んでいくだろうと思って、非常に期待をしているところですけれども、そういう小児がんの特に専門の看護に特化した人たちの存在を、ぜひ知っていただきたいということとその人たちの今の状況がどういうふうになっているのかということを、次回少し教えていただければ、大変ありがたいなと思います。よろしくお願いいたします。
○山口会長 ありがとうございました。
今日見ていただいているとおり、説明文章の黒い字で書いてあるところですね。ここには、今、御意見があったような新しい取組が始まっているとか、それがどういう状況まで来ているかとかということを記載されておりますので、その一環として、今のような事例がもしございましたら、委員の皆様からも、この活動を、もし、それがよければ、文章に入れたらどうかという提案をしていただけるといいのではないかなと思いますので、よろしくお願いします。
羽鳥委員、お願いします。
○羽鳥委員 山口会長からも最初に御発言ありましたように、これは中間報告ということですので、後半、ここは頑張るぞというのを何か一つ目標をつくってやっていったほうがいい。
先ほどのHPVワクチン接種の加速化でもいいと思いますけれども、何かこれは後半集中して取り組むという姿勢を見せるのも大事ではないかなと思います。
○山口会長 委員の皆様、今、羽鳥委員がおっしゃった点に関して、自分はこれがいいのではないかと思うような項目がもしあれば、今、承り、また、次回にそういう場面を設けようかなと思いますけれども、今、これだけはぜひというのはございますでしょうか。
特に、今はないという理解でよろしいですかね。
では、今の羽鳥委員の御意見に基づいて、次回、そういう中間報告書で強調すべき、残された期間に一生懸命やらなければいけないこと、これの項目をできれば挙げていただくよう、あるいは前もって事務局に御連絡いただくということをお願いしておきたいと思います。
ほかに、どういうことでも結構ですから、この協議会全般について何か御意見ございましたら、承りたいと思いますが、今日、池田委員まだ御発言いただいてないと思うのですけれども、何か御意見はございますか。
○池田委員 すみません。どこかで何かとは思っていたのですが、ちょっとなかなかで、申し訳ありません。
先ほど、根岸委員が最後に御発言していただいた看護のところのお話ですけれども、そこは私もとても共感いたしまして、小児とか小児がんの専門にしている看護師さんに、子供たちを見ていただきたいなというのはすごく思っていまして、看護師さんたちは異動がすごく多い職種なので、いろいろな小児科だったり、一般病棟だったりというところに移ってしまうと思うのですけれども、そうすると、せっかく専門性を学んでも、無駄とは言わないのですけれども、せっかく学んだ知識を生かすことができないなということをちょっと思っています。
看護師さんだけでなくてお医者さんとかもそうですけれども、異動のシステムとかそういったところの見直しも必要なのではないかなというのは少し思っていましたので、この機会に一言言わせていただきたいと思いました。ありがとうございます。
○山口会長 ありがとうございます。
追加して入れる項目で、私は、全く今の問題ですが、チャイルド・ライフ・スペシャリストを入れていただきたいと思っています。小児がんの医療の中では、科学に基づく医療のみならず、物語に基づく医療が非常に大切なのですね。チャイルド・ライフ・スペシャリストの役割は、病気の子供たちや親が病気の子どもたちと遊びながら心を癒すという職務ですので、まさに小児がんの子どもたちを癒す職種として、看護師とともに非常にいい活動をしていると思います。ただ、人数があまりにも少なくて、とても全病院に行き渡るという状況ではありませんけれども、資格も、アメリカの大学院で2年かそれぐらい行かないと絶対取れない資格なのですね。ところが、帰ってくると、事務職の扱いになってしまって、非常に待遇が悪いということで、増えないという面があるのです。
看護のほうでもそういう職種をつくろうとはしていますけれども、実力は、私たちが見る限りはかなり高いので、そういう職種を、今後、物語の医療というか、共生の社会では育てていかなければいけない。そういう職種を大切にする。これは、茂松先生がいつもおっしゃっている医学物理士も同じだと思うのですけれども、そういう新たな職種はこれからの課題ではないかなと思っています。
ほかに、御意見いかがでしょうか。
三上委員、お願いします。
○三上委員 「にじいろ電車」の三上と申します。
私も、人材育成のところで、小児がんの看護の専門性に富んだ看護師に関して、看護師さんは患者・家族にとっては身近な存在で、そういう専門性を持った看護師さんが要件の中に入っていくといいのかなというのと、あと、成人のほうではがん専門看護師さんという職種があると聞いたので、小児がん看護の専門性に富んだ看護師の育成もさらに進んでいくといいなと思っています。
長期フォローアップについても、ライフステージに応じたがん対策のところでお話ししようかなと思っていたのですが、長期フォローアップについても、ガイドラインの周知と実施であったり、フォローアップスケジュールの明確化であったり、妊よう性温存ネットワークの全国的な連携であったり、小児がん検診の推進、小児がんの検診というところもゲノム医療もちょっと関わってくるのかもしれないのですけれども、そこもさらに進んでいくと、予防的なものにもつながっていくのかなと思っています。
それから、小児がん拠点病院と成人病院との連携というところも、長期フォローアップのところには求められるのかなということを、医療のほうに入るのか、ライフステージに応じたというところで入るのか、ちょっと分からなかったのですが、申し上げました。
今回、結構細かな文章の修正に対しては、今日やった部分でそういう細かな文章の修正とかがあった場合には、メールとかでも意見を出してもよろしいのでしょうか。
○山口会長 それでは、今まで何人かの方からいただいた御意見の中で、全体意見が多かったのですが、事務局のほうからコメントすべきところをしておいていただけますか。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
まず、次回に向けて幾つか御意見を聞いてみたい等々の御意見ございました。そのあたりにつきましては、山口会長と相談をさせていただきながら、何らかの情報提供ができるように、少し検討を進めていきたいと考えております。
また、追加の意見、それから、修文等につきましては、引き続き実施をしていきたいと考えておりますので、細かい点を含めて御意見ありましたら、ぜひとも、事務局のほうにお寄せいただければと考えております。次回に向けて、私たちのほうでも、本日いただいた御意見を踏まえて、修文等をさせていただき、また、さらによくしていくためにということで進めていきたいと考えております。
1点、事務局から、先生方からもぜひ御意見・御知見を、次回に向けていただきたいなと思っているところでして、今も御意見いろいろと伺わせていただいていると、かなり専門性の高いニーズに対してもしっかりとその専門性を確立させ、実施をしていくのは、今後必要になってくるという、そこはそのとおりだと認識しております。
ただその一方で、人材であったり、様々な資源が有限な状況の中においては、それらを全て整備するというのはなかなか難しいというところになるかなと思っております。ですので、中身を充実していくけれども、そこにある人材、それから予算、様々なものを用いて、いかにより充実させていくのか、そこは非常に工夫が必要なところだと思っておりますので、どういう工夫をすれば、全てを新たに追加という形ではない形で解決できるのか、ぜひとも御提案をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○山口会長 今の御意見に対する御説明をいただきましたけれども、もう一度、今の回答も含めて何か御意見があれば。
石岡委員。
○石岡委員 今のお答えについてですが、確かに申されることはよく理解できます。3期から4期、目標は当然変わらなければいけないし、1期からのものをどんどん積み残していってしまっては、どんどんやることが増えて、目標も増える、予算も限られている。それはもちろん理解できるのですが、ただ実際は、アウトカムの問題で、今のがん医療がどうで何が足りないかということを客観的に評価して、1期から足りないものはやはり4期でも足りないということははっきりすべきで、1期でやったから、もうある程度いいだろうというようなことは、僕はちょっと違うような気がしますね。ですから、両方うまくそこを使い分けていくというのは確認しておきたいと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
ほかに。
それでは、この議論は、次回に引き継がれて行われますので、今日は、皆様の活発な議論によりいいディスカッションになったと思います。
ここで、私は司会を降りて、事務局側にお返ししたいと思います。よろしくお願いします。
○がん対策推進官 委員の皆様、本日は活発な御議論をいただきまして、ありがとうございます。
次回の開催予定につきましては、また、追って御連絡をさせていただきます。
本日は、長時間にわたりまして、誠にありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線4605)