第6回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録

日時

令和3年12月21日(火) 10:00~12:00

場所

厚生労働省会議室及びテレビ会議

出席者

出席委員(五十音順)
  • (会議室)    ◎磯部哲
  • (テレビ会議)  伊豆津健一  泉祐子   内田信一  奥田真弘 
  •         ○佐藤嗣道  戸部依子    花井十伍
  •          ※◎委員長 ○委員長代理

行政関係出席者

 厚生労働省
 (会議室)
  浅沼 一成 危機管理・医務技術総括審議官
  大臣官房厚生科学課
       佐々木 昌弘(厚生科学課長)
    鷹合 一真(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
    藤井 哲朗(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
  健康局
    鶴田 真也(健康課予防接種室長)
    井本 成昭(健康課予防接種室評価・分析専門官)
  医薬・生活衛生局
    中井 清人(医薬安全対策課長)
    山本 剛(監視指導・麻薬対策課課長補佐) 他
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
 (会議室)
    堀内 直哉(医薬品安全対策第一部長)

 

議題

  1. 1.委員の求めに応じた個別事項への対応について
  2. 2.医薬品等行政評価・監視委員会の意見・勧告について
  3. 3.医薬・生活衛生局からの定期報告について
  4. 4.その他

議事

○医薬品等行政評価・監視委員会室長 それでは、ただいまより、第6回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催します。
 皆様にはお忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 本日の委員会は、対面ではなくウェブ開催としており、磯部委員長を除くほかの委員には厚生労働省外から参加いただいております。
 また、傍聴に関してはYouTubeでライブ配信を行っておりますので、事務局や担当部局からの説明、回答はできるだけゆっくり、はっきり、大きな声で御発言いただくようお願いいたします。
 なお、資料は随時投映させていただきますが、通信環境が悪くなった場合は、通信負荷軽減の観点から資料の投映を中断いたしますので御了承ください。
 なお、ホームページの審議会・研究会等のところから読み込むと、資料のところはまだリンクが張っていないことが判明いたしまして、その横の開催案内のところをクリックしていただくと、下のほうに資料のリンク先が張ってあります。また、ホームページのトップページの新着情報からも入れますので、YouTubeを御覧の方は御確認ください。
 それでは、以後の議事進行は磯部委員長にお願いいたします。
○磯部委員長 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最初に、事務局から委員の出席状況の報告をお願いします。また、利益相反の取扱規程に基づいて、各委員の申告内容の御報告をお願いいたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 まず、出欠状況についてです。
 本日は、森豊委員から御欠席の連絡をいただいておりますが、9名中8名の委員に御出席いただいており、委員会開催の定足数に達していることを御報告いたします。
 続いて、利益相反です。
 まずは、取扱規程に基づく個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告です。
 今回は、議題1の「委員の求めに応じた個別事項の対応」で、個別の医薬品の議論を行う可能性があることから、関連企業からの寄附金等の受取状況についてあらかじめ申告いただいており、本日は「退室」や「議論または議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。なお、各委員の申告書につきましては、厚生労働省のウェブサイトで公表させていただきます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 議事次第にありますように、本日の主な議題は、まず、委員の求めに応じた個別事項の対応、この中で後発品等の製造管理、品質管理の問題とHPVワクチン接種の2点を扱います。
 そして、医薬品等行政評価・監視委員会の意見・勧告について。
 3点目に、医薬・生活衛生局からの定期報告についてとなります。
 今回も議論の対象は多くなっておりますので、厚生労働省の関係の方からの御説明を賜りますけれども、その簡素化など、効率的に進めていきたいと思いますので、御理解・御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、前回に引き続きまして、後発医薬品の製造管理・品質管理です。
 これまでの経緯や国としての取組について、前回御説明がありました。委員から引き続き、本件については本委員会で議論したいとの要望がありましたので、その後の状況の変化等について、医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課から御説明をお願いします。どうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 それでは、監視指導・麻薬対策課より「後発医薬品等の製造管理及び品質管理について」としまして、後発品の製造業者における違反と行政処分、また、それに対する対応につきまして、前回の本委員会において御報告をさせていただいておりますが、その後の状況について簡単に御報告をさせていただきます。
 こちらは資料1のスライドに基づきまして御説明をさせていただきます。
 まず、2ページ目になりまして、こちらは本年、令和3年におけます医薬品の製造販売業者及び製造業者に対して行われた行政処分の一覧となっております。このうち、後発品製造業者である、1つ目の小林化工株式会社と、2つ目の日医工株式会社につきまして、前回御説明をさせていただいておりますが、こちらの表のうち、その後も複数の企業において法違反が発見され、行政処分が行われております。
 このうち、久光製薬は先発品、北日本製薬と松田薬品については一般用医薬品の主な製造業者となっておりますので、小林化工や日医工と同様に後発医薬品製造業者であり、違反が見つかった品目数の多かった下から2番目の長生堂製薬につきまして、次の3ページにおいて簡単に御紹介をさせていただきます。
 3ページ、長生堂製薬の行政処分でございます。
 概要でございますが、こちらの事案につきましては、小林化工等における違反事例や行政処分の発表を踏まえまして、長生堂の社内で調査、自己点検が行われましたところ、不正が発見されたため、令和3年4月に所管の都道府県であります徳島県に対して、長生堂より報告が行われたものでございます。
 その後、長生堂からの報告を踏まえて、徳島県が複数の工場に立入調査を実施したところ、承認書で規定された製造方法と異なる方法で医薬品を製造、出荷をしていたこと、製造中に規格不適合品が発見された場合に適切な処置を行っていなかったことなどの違反が確認されております。なお、小林化工の事案と異なり、当該違反による健康被害は発生しておりません。
 これに対する行政処分ですが、本年10月11日付で、医薬品製造業及び製造販売業に対しまして、最長31日間の業務停止処分を行っています。現在は業務停止期間を終えまして、また、徳島県において業務改善の確認を行っておりまして、個別の品目について適切に製造ができることを確認した上で、順次、製造の再開を行っているところでございます。
 次に4ページ、こちらは前回もお示ししました一連の製造不備の事案を踏まえました、薬事監視上の対応策、取組についてまとめたものでございます。
 上から順に、製造業関係、製造販売業関係、行政関係に分けて、大きく9つの対応方針を記載しております。
 このうち、直近に進捗があった部分について下線を引いておりますので、簡単に御紹介をさせていただきます。
 まず、真ん中辺りの「4.製造所に対する製造販売業者の管理監督の徹底」に関しまして、今回の一連の事案において、一部の製造販売業者でGQP省令に基づく主体的な品質管理の役割を果たせておらず、特に製造販売業者による製造業者に対する管理が不十分であったとの指摘がありましたことを踏まえまして、業者間の委受託の適正化による製造販売業者の責任の明確化など、製造販売業者が行う品質管理、GQP制度の運用改善に向けまして、研究班を発足しまして、こちらで現状の課題分析を含めて検討を開始したところでございます。
 次に「(3)行政関係」のうち「7.都道府県の検査手法等の向上」に関連しまして、無通告立入検査ガイドラインにつきまして、以前から案を作成し、各都道府県と相談・調整等を行っておりましたが、各都道府県宛てに11月7日に、このガイドラインの周知を行いました。こちらについては、今後も知見を収集しながら、随時見直しを行っていくこととしております。
 続いて、8ポツでございますが「後発医薬品品質確保対策事業」等による製品試験結果を踏まえた立入調査を実施することとしておりまして、現在、令和2年度の収去検査の結果を踏まえた調査を実施しているところでございます。
 取組の進捗は以上となりまして、次の5ページは、前回と同じ対策と取組のイメージ資料でございます。
 また、最後の6ページには、基本的な情報としまして、医薬品の製造販売業者や製造業者に対する指導等に関しまして、行政側の分担について参考として記載をさせていただいております。
 上から順番に御説明いたしますと、まず、医薬品の元売を行う製造販売業者につきましては、都道府県が許可を行い、管理基準でありますGVP、安全管理に関する基準、またはGQP、品質管理に関する基準に関しましても、都道府県、具体的には都道府県の中の薬事担当部署の職員が確認を行うということが実施されております。
 続きまして、2行目の通常の製造業者につきましても、営業許可は都道府県知事となっておりますが、管理基準でありますGMPの確認につきましては、品目ごとに行われることになっておりまして、新医薬品に限っては、承認前及び承認後初回の調査まではPMDAが行い、それ以外の調査は、新医薬品以外の後発品を含めまして、都道府県が行うこととされております。
 一番下の特殊な医薬品、生物学的製剤や放射性医薬品、培養系の医薬品の製造業者につきましては、例外的に厚生労働省が許可権者となっておりまして、GMP調査もPMDAが行うこととされております。
 このように、行政内で所掌は分かれておりますが、実際の企業への指導に当たりましては、必要な情報共有や協力を行いながら、指導を行っているところでございます。
 次の7ページ以降につきましては、前回の資料を参考資料としておつけしておりますので、必要に応じて御確認いただければと思います。
 長くなって申し訳ございません、資料1に関する事務局からの御説明は以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、御質問・御意見があればお願いいたします。
 では、戸部委員、どうぞ。
○戸部委員 おはようございます。ありがとうございます。
 今、御報告いただいた中で、長生堂さんの事例、承認書で規定された製造方法と異なる方法で製造していたという件なのですけれども、これは、その内容というか、原因といったところがどういうことだったのでしょうか。その原因によっては、今後の無通告立入検査の重点化とか、立入検査での検査対象というか、そういったところに関係してくると思うので、教えていただければと思います。お願いします。
○磯部委員長 お願いします。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 御質問、ありがとうございます。
 長生堂の件につきましても、前回御説明をさせていただきました小林化工、日医工の件の同様に、企業において外部の有識者にも御参加いただいている調査委員会が設置されておりまして、そちらで今回の事案の原因も含めた調査が行われ、また、その結果は報告書として公表されているところでございます。
 この中で原因についても分析結果が記載されておりますが、小林化工と日医工と同じような傾向で記載をされておりまして、様々な原因があるとされておりまして、一言で御説明することが難しいのですけれども、大きな原因の一つとしては、製品の供給、出荷を優先する考え方、品質よりも出荷を優先するという考え方が企業全体に浸透していて、体制整備だったり、責任者や担当者の判断といったようなところに様々なものに影響が出てしまったと。そういった実態が原因の一つとして考えられたとされております。
 それを踏まえまして、長生堂の業務改善の中でも、体制整備とか教育・訓練といったような再発防止策が行われているというところでございます。
 簡単ですが、以上でございます。
○戸部委員 ありがとうございました。
 そうすると、承認書で規定された以外の方法で製造することはいけないことで、変更があった場合には、適時に再承認の申請をしないといけないということは知っているけれども、あえてそれをしなかったということなのでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 説明が不足しておりまして申し訳ございません。
 御指摘のとおりでございまして、例えば、承認書と異なる製造方法でつくる場合には、所定の手続、例えば薬事承認の一部変更承認手続とか必要な手続がありますけれども、そういったものを経ますと、やはり出荷が止まってしまったりとか、時間がかかってしまったり、出荷量が減ってしまったりといったようなことがございますので、それよりも出荷を優先してしまったと。手続を怠って出荷のほうを優先してしまったと。簡単に申し上げると、そういったものが大小含めて様々なところに出てしまっていたということでございます。
 企業の中でも、自己点検とかあるいは行政からの査察、あるいは外部の製造販売業者、別の会社の監査も入るのですけれども、そういったところで問題が発覚しないように、二重帳簿とか、いわゆる記録の改ざんといったようなことも行われていたということでございます。
○戸部委員 分かりました。
 そうすると、制度としての問題はないというところなのでしょうか。
 例えば、医薬品の供給のニーズに対応するためには、製造工程等の見直しが必要なのだけれども、それを再認証を受けようとして申請すると、とても時間がかかるとか、非常に手続が煩雑ということがあるとか、そういうことではないということですね。
 要は、製造者の認識というか、そういったところが間違っているという判断でいいですか。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 そのとおりでございます。
 通常の製薬企業であれば、今申し上げたような必要な手続をしっかり取っていただいた上で製造方法の変更していただくというのが通常でありまして、正常のやり方となります。今回の事案、あるいは小林化工、日医工の事案につきましては、そういった手続を怠ってしまっていたというものでございます。
○戸部委員 分かりました。ありがとうございます。
○磯部委員長 戸部委員、貴重なやり取りをありがとうございました。
 変更しようというときに、その手続の手間ということを考えて届け出ない、ましてや改ざんするということが正当化されるはずがないのはその通りだと思うのですけれども、手続がどのぐらい負担、時間がかかるのか、運用で少し改善できるところはないのかというのは、戸部委員の御指摘なのだろうと思います。そこは見直すべきところがあれば見直していただきたいということになりますけれども、どのような相談体制があるのかとか、徳島の事情とか、詳しいことはよく分かりませんけれども、貴重な御指摘だったかと思います。ありがとうございました。
 泉委員、それでは、続いてお願いします。
○泉委員 ありがとうございます。
 私のほうから、主に2つ、この件で質問をさせていただきたいと思います。
 まず1つは、こういった違反事例に関する指導と教育に関してですが、今回のこういう問題が続いているのは、医薬品製造企業と販売企業と行政の3つに責任があると思います。そのうち、行政の責任ということでいえば、査察をして、非常に低いレベルの管理者がいるということが露見されましたけれども、今後適正化を図るには、やはり現場での指導や教育を続けたり、普通の企業のOJTと同じではあるのですけれども、これを医薬品ではずっと続けなければいけないと思います。
 そうすると、今までなあなあで済ませてしまったルーチンワークというのができなくなる、法令遵守を絶対に建前にしなければいけないという、それをしっかり身につけてもらうためにはどのように図るかが大変必要だと思いますが、行政側として、この医薬品製造企業と、そして、販売企業にどのように指導と教育を継続して行っていくか、ぜひ教えてもらいたいということが1つです。
 例えば、企業向けの講習を全員、必ず何年かに1度は受けるという形で、意識を染み込ませるような形をしていかないと、医薬品に関しては非常に難しい。働く側の気持ちがそこまでついていかないとならないと思います。もちろん、指導者というか管理者にもそうです。
 2つ目は、行政の取組の中で、特に都道府県への取組なのですけれども、厚生労働省、PMDAと、地方の関係が非常に曖昧に見えます。それは、実際にGMPで監査をしたとされるのは、厚生労働省だったりPMDAですが。実は地元の行政、地方行政の検査が必要であり、それから、保健所の関わりが必要となるのですけれども、こことの連携がちゃんと指導できているかどうか、行政の取組として特に都道府県の取組に対して、監査・査察手法が完全にどこの都道府県も一律に確立できているのかどうか。
 その都道府県に、どういう違反であればどういうことの罰則があるよということも覚えてもらわなければいけないと思うのですけれども、どのようにして都道府県のGMPにかかわる人材を育てていくと考えているか、この2つの点を教えてください。
○磯部委員長 お願いします。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 監視指導・麻薬対策課でございます。御質問をいただきましてありがとうございます。
 大きく2点につきまして御質問をいただいております。
 まず、1点目、企業の職員、従業員等に対する教育に関してでございます。
 まず、現状の制度から御説明をさせていただきますと、製造業者に課せられておりますGMP、それから製造販売業者に課されているGQP、それぞれにおきまして、企業の中で関係する職員に対する教育訓練を定期的にやらなければならないということが定められておりまして、全ての製造販売業者、製造業者につきましては、従業員に対する関係法令あるいはGMP等の教育訓練を行っているところでございます。
 一方、今回発生しました問題、今回の長生堂もそうですし、また、日医工、小林化工等も同じでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、各企業の第三者委員会の調査結果におきましても、原因は複数様々であると指摘はされているのですけれども、その中では、経営陣、経営層による製造管理、品質管理に関し、理解の希薄などが背景にあって、その結果、品質よりも出荷を優先するような企業の姿勢につながってしまっていたというような指摘がされておりまして、どちらかと言いますと、個々の従業員の教育訓練も重要ではあるのですけれども、それ以上に会社全体の姿勢、本来であれば品質を重視しなければならないという製薬企業としての姿勢が希薄になってしまっていたという、企業全体の在り方に対する指摘がされているところでございます。
 問題になっております、医薬品の安定供給は当然重要な要素ではございますけれども、それは当然ながら品質が確保された医薬品を製造することが前提でございますので、同様の事案の再発防止を図っていくためには、個々の従業員も教育に加えまして、さらに上といいますか、企業内の品質に対する意識の向上、品質文化の醸成というような言い方をすることがよくあるかと思うのですが、それを図っていただくということが重要であると考えています。
 この品質文化の醸成が重要であるということは、一連の問題の発生以前から、GMP等の運用に当たっては重要なものであるということが指摘されたわけでございますけれども、これは短期的に達成できるものではないと。何か一つの取組をすれば達成できるというものではなくて、経営層の意識改革から始めて、それだけではなく、企業内の各種体制整備、職員の教育といったような基本的な取組を地道に継続して、会社の中に経験とか実績とか雰囲気というものをつくり上げていく、積み重ねていくということで、結果として品質文化の醸成というものが生じると私どもとしては考えております。
 この品質文化の醸成というのが各企業において達成できるように、各企業に対しては、消費者といいますかユーザー目線に立った業務改善を継続していただくことが重要でございますので、私ども薬事監視の観点からも、御指摘いただいたような職員向けの研修、教育機会の提供とか、あるいは立入検査時に、人員体制や法の遵守体制がきちんと整備されているかといったような確認などを通じて、先ほど申し上げたような品質文化の醸成を支援するような指導をしていきたいと考えております。
 続きまして、大きく2点目、私ども行政のほうの体制についての御指摘でございます。
 具体的には、都道府県において査察とか検査手法のレベルなどにばらつきがあるのではないかといったような御指摘をいただいたのではないかと考えております。
 まず、査察のレベルにつきましては、これまでも研修やPMDAとの合同立入検査の活用などによって、都道府県の職員の検査手法の向上には努めてきているところでございますけれども、今回の一連の事案発生を踏まえまして、GMP査察体制のさらなる強化が必要だということで指摘をされていると理解をしております。
 ちょっと話がそれてしまうのですけれども、日医工の問題を踏まえて、富山県で設置をされましたGMP査察調査委員会において、県の査察体制について、外部の先生方に御評価をいただいた報告書が公表されております。こちらの中では、現状の都道府県によるGMP準備調査に関する課題につきまして何点か指摘をいただいておりまして、例えば、企業からの申請に基づいて行われるGMP調査につきましては、基準に適合しているかどうかということを確認することが主な目的になりまして、また、時間も限られているので、全ての記録を悉皆的に調査したりといったような、違反を見つけ出すような調査が物理的にもなかなか難しいところがあるといったような指摘をいただいております。
 これにつきましては、先ほども御紹介させていただきましたが、無通告立入検査の実施回数の増加とか、無通告立入検査ガイドラインの制定などを通じまして、各都道府県の査察レベルの均一化、レベルの向上というのに向けて取組を進めていきたいと考えております。
 また、PMDAと都道府県による合同査察の回数も今後増加させていく予定としておりますので、このような外部の目を都道府県の立入調査の中に入れていくといった機会も増やして透明性を確保していきたいと考えております。
 長い御説明となりまして申し訳ございません。以上でございます。
○泉委員 分かりました。
 では、簡単に。今のお話を受けまして、管理者及び現場が教育をきちんとしたかどうかの監視指導を厚生労働省はしっかりやっていってもらいたいということが1点。
 それから、都道府県がメインの仕事をするわけですから、決してそこのところは甘く見ないで、彼らがきちんと彼らで仕事ができるように、ここも指導していってもらわないといけないと思っていますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。
 今の最後の点は、たしか前回、PMDAの予算を確保して、合同調査とか研修の充実といったことを手当てするという御説明でしたよね。本当に重要な取組で、多分泉さんは何十年も前からこういう省令違反は駄目じゃないかと、何でもっと早く変わらないのだというお気持ちなのだろうと思いますけれども、地道な取組を継続していただくよりないと思います。
 ほかに何か御意見・御質問等はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 いかがですか。後発医薬品の製造管理、品質管理について、前回、そして今回と、いろいろ伺っていくと、なるほど課題が見えてくるなという気がするのですが、これは今後も議論を継続するのか、する必要があるか、何かその際、どんな議論のテーマがあったらいいか、何かアイデアはありますか。
 花井さん、どうぞ。
○花井委員 この件につきましては、いろいろ広いテーマがあると思うのですけれども、1つは海外調査を今予定していますよね。独立行政法人方式というのは、つまり監視指導権限を国に留保したまま、他の審査とか安全対策をPMDAに出しているという立てつけは、FDAとかEMAはちょっと異なっているのです。
 実際のFDAの人員と定員数をよく比較するのですけれども、結局、アメリカなどだったら、地域の査察についてもFDAの定員があったり、つまり欧米と比較するに当たって、このインスペクションの体制というのを日本の体制が欧米とどこが違うのかとか、やはり足りない部分があるのかというところも含めて今後は見ていく必要があると思うので、海外調査報告を踏まえて、このインスペクション全体について、査察体制全体についてはもう一回議論するということで、取りあえず今回の件はこれで一応良いことにして、海外調査を踏まえてこの件を議論するとしたらいかがでしょうか。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 なるほどと思いました。
 手を挙げていらっしゃるので、泉委員もどうぞ。
○泉委員 花井委員に賛成です。これは延々とずっと続けていく問題ではなくて、やはり区切りが必要だと思いますので、ぜひ海外事業の様子を見ながら検討するという形でよろしいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 確かに日本の最新の情勢をこれだけの時間をかけて伺って、これから海外の情報を把握して、そういう感じで建設的な議論がまだ続けられればという気がいたします。貴重な御意見をありがとうございます。
 それでは、この件は以上ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 続いて、HPVワクチンの積極的勧奨のお話ですね。これも委員から御要望のあった事項ということで、担当部局から直近の状況についての御説明をお願いいたします。
予防接種室評価分析専門官 よろしくお願いします。健康局予防接種室の井本と申します。
 HPVワクチンの接種について、直近の審議会、議論されましたのは、正式に言いますと、厚生科学審議会、予防接種ワクチン分科会の副反応検討部会の10月1日及び11月12日の2回にわたって、このHPVワクチンについての積極的勧奨の在り方の議論がされたということでございます。
 お手元の2枚目の資料でございますけれども、こちらにはHPVワクチンに関するこれまでの経緯と、検討した課題について書いてございます。
 まず、子宮頸がんという病気につきましてですが、こちら日本で年間約1万人強が罹患しておりまして、毎年3,000人弱の方が亡くなっているような病気でございます。40歳までの女性のがんの死亡原因の、乳がんに次いで2位という形になっております。この子宮頸がんにつきましては、ほとんどがヒトパピローマウイルス、これがいわゆるHPVと略しておりますけれども、これの感染が原因とされております。
 HPVワクチンについてですけれども、ヒトパピローマウイルス、HPVへの感染を防ぐことでHPVの罹患を予防するものでございます。このワクチンは現在定期接種化されているものは、2価と4価というものがございます。これは何かといいますと、HPV、ヒトパピローマウイルスは様々なウイルス型がございまして、そのうち、特にハイリスク型、子宮頸がんの原因になり得るものというのが、メジャーのもので2つございます。HVP16型と18型、この2つを防ぐものが2価のワクチン。そして、これを含んでハイリスク型ではないのですけれども、別の型、6型と11型を含むウイルス型を防ぐもの、これが4価ワクチンという形で、現在、日本において接種されております。特にこのハイリスク型の2タイプ、これで子宮頸がんの理由の5~7割を占めると言われておりまして、これのウイルスの感染を防ぐものとなっております。
 そして、海外でも100か国以上で広く接種がされておりまして、先進各国では公的接種、また、WHOも接種を推奨しているようなワクチンでございます。
 日本の現状をこの下段に示しております。
 日本では、平成22年の11月から2年半弱にわたりまして、まず、予算事業におきまして、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業を行い、接種を行ってきたということでございます。それを踏まえて、平成25年の4月、平成25年度開始時から定期接種化が開始されました。
 以降、この前後に、ここに書いてありますとおり、疼痛または運動障害を中心とした多様な症状というものが報告され、メディア等でも多く報道されたということを受けまして、この定期接種化から2か月後、6月に、この厚生科学審議会、こちらが先ほどお話ししました副反応検討部会と安全対策調査会、これは合同部会でございますけれども、そちらのほうで、定期接種を積極的に勧奨すべきではないという判断を受けまして、積極的な勧奨を差し控えるといった形になりました。
 以降、8年半の間、この下の3つの課題について、副反応検討部会と安全対策調査会の合同部会で検討が行われてきたという形でございます。
 先ほどお話しした、それまでの検討状況を踏まえて、積極的な勧奨の在り方について議論が、本年、令和3年10月1日から行われまして、その課題が、先ほど申し上げた3つ。
 まず、1つ目が、HPVワクチンの安全性・有効性に関するエビデンスについての評価。
 2つ目が、HPVワクチン接種後の症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について。
 3つ目が、このHPVワクチンに関する国民への情報提供について。
 これの現状、そして、10月1日の段階で確認が必要だと言われたところを何点か挙げていただきましたので、それについての確認等を行いまして、11月12日に結論が得られたと。
 その結論としては、平成25年に積極的勧奨の差し控えを行いましたけれども、それを終了させることが妥当であるということがこの結論としていただいたものでございます。
 あわせて、この下に書いてありますけれども、この差し控え期間において接種の機会を逃してしまった方に対する接種というのも検討が必要だということを受けまして、こちらは現在、ほかの検討部会、安全対策調査会の合同部会ではなく、その上位になります予防接種・ワクチン分科会のほうで、いわゆるキャッチアップ接種に関する議論が行われているというところでございます。
 国といたしましては、この結論を踏まえまして、11月26日に積極的な勧奨の差し控えを終了させるという通知を自治体に向けて出しました。その中の内容といたしましては、令和4年、来年度の初頭、4月から個別の勧奨をしていただくという、基本的にはその方向で自治体にお願いしているというものでございます。
 ざっとでございますけれども、説明としては以上でございます。
○磯部委員長 御説明、ありがとうございました。
 それでは、ここからまた自由に、御質問・御意見があれば伺います。
 では、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 2点質問をさせていただきます。
 1点は、安全性・有効性に関する新たなエビデンスの下に今回検討がされたということなのですけれども、有効性に関するエビデンスについては、私も海外での疫学研究の論文などを存じ上げておりますけれども、安全性に関する新たなエビデンスというのはどういうものがあるのか。
 特にここで積極的勧奨の差し控えの理由となった、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛、また、運動障害を中心とした多様な症状というのが接種後に報告されたわけですけれども、そういう症状との関係において、安全性に関するエビデンスがどこまで出てきたのか。あるいは、そのことに関して国民に適切な情報提供ができるようになったのかという点が、私としては理解が難しいところがあるのですが、具体的にはどういうことが言えるかということを端的に教えていただければと思うのです。これが1点目です。2点目は後ほど御質問いたします。
○予防接種室評価分析専門官 まず、安全性に関するエビデンスというところで御質問いただいております。
 まず、繰り返しますが、先ほど平成25年のこの差し控え以降、この厚生科学審議会副反応検討部会と安全対策調査会の合同部会において、国内外の知見も踏まえつつ、このワクチンの有効性・安全性に関する評価は随時行ってまいりました。
 安全性につきましては、まず平成29年の審議会において、当時の科学的知見を整理した結果、HPVワクチン接種後に生じた多様な症状とHPVワクチンとの因果関係を示唆する新しい質の高いエビデンスは報告されていないというようにその時点で評価されました。
 その後の知見を集めたのが、まず10月1日の審議会でございまして、この審議会においては、さらなる国内外の最新の知見について、視点としてはエビデンスレベルの高い研究デザインであること、一定規模のサンプルデザイン、サンプルサイズであること。また、一定期間以上にわたって追跡された研究であることなどの要素を比較考慮して抽出したものを改めて整理いたしました。
 この結果、HPVワクチン接種後に生じた症状として、慢性疲労症候群とか体位性頻脈症候、自己免疫性疾患、様々な疾患とHPVワクチンとの関連性について、国内外でこれまで調査が行われているが、ワクチン接種との関連性は明らかになっていないという審議会での評価になりました。
 ただ、一方で、10月1日の審議会においては、追加のエビデンス、例えば、これ以上安全性・有効性も含めて、何か検討すべきエビデンスがあれば評価を行うべきであるという御意見もありました。
 それを受けまして、11月12日の審議会で、そのエビデンスについての課題について議論を行われた際に、有効性に関しては、その他に新たなエビデンスが確認されたということでございますけれども、安全性について新たなエビデンスがあるということは、委員のほうからも特に示されなかったという形でございます。
 これを受けて、審議会の結論といたしましては、HPVワクチン接種後に生じたこれらの症状とHPVワクチンとの関連についてのエビデンスがこれまで認められていないことなどから、現在のエビデンスによれば、ワクチンの安全性についての特段の懸念は認められない。ただ、その上で、今後も新たなエビデンスを収集しつつ、安全性の評価を行っていくというような結論になりました。
 これを踏まえまして、接種の今後の在り方、これで結論が得られて終わりというわけではなく、部会としても、新たなエビデンスが出てくれば、それに対する評価を行っていくと。それも含めて、あと、定期的に報告されております副反応の疑い報告とか、副反応検討部会で検討するものとして、しっかりとワクチンの安全性についての評価を今後も行っていくというような結論になっております。
○磯部委員長 ありがとうございました。
○佐藤委員 私としては、プラスアルファとして、積極的にこのワクチンの安全性に何か問題があるという新たなエビデンスというのは確かに出ていないのだとは思うのですが、この疼痛または運動障害を中心とした多様な症状について、やはりこのことについてのきちんとした解明が私としてはまだ十分なされていないのではないかと思うのです。ですので、そのことが明らかにならない状況で、まさに国民に適切な情報提供ができるのであろうかということが疑問だと思うということを意見として申し上げておきます。
 それから、質問の2点目なのですけれども、今度は寄り添った支援ということがもう一つあったかと思うのですけれども、HPVワクチン接種後に生じた症状で苦しんでいる方に寄り添った支援の体制ができたからということがもう一つ理由になっているのですが、質問としましては、本当に寄り添った支援がなされているのかということについて、実際にHPVワクチン接種後に生じた症状で苦しんでいる方から直接ヒアリングなどをされたのでしょうかということが質問の2点目です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、お願いします。
○予防接種室評価分析専門官 今の御質問なのですが、それは部会の場でヒアリングを行ったかというような御質問の趣旨でよろしいでしょうか。
○佐藤委員 部会の場でもそうですし、実際に何か、部会の場で直接ではなくても、そういう調査の結果というのがされているのであればそれでもいいかと思います。
○磯部委員長 広く支援について検討する中でということでしょう。
○予防接種室評価分析専門官 ありがとうございます。
 まず、審議会の場という意味におきまして、副反応検討部会という場で、ずっと議論が行われてきたというところで、この審議会の趣旨が、広く接種が行われているワクチンの安全性のモニタリングと評価ということでございますので、科学的な評価の場ということで、これまでそういった健康被害を訴えられている方からの直接ヒアリングは実施していなかったという経緯がございます。
 また、この審議会以外の場ということにつきましては、毎年8月に行われています、全国薬害被害者団体連絡協議会の協議の際に、薬害訴訟の原告団の方からお話を伺っているということでございます。
 厚労省として個別に直接お声を伺う機会を設けることにつきましては、このHPVワクチン自体は訴訟の係争中ということもありまして、当事者の立場でもあるため、少し慎重に検討する必要があるかなとは考えております。
 ただ、先生がおっしゃったとおりで、接種後の症状に住んでいる方に対して寄り添った支援を行うということは、本当に国としても何より重要だと思っておりまして、そのために今、この審議会で課題に挙げてずっと議論を行ってきたというところでございます。
 これは部会の資料でも、今回細かいので完全にお出しはしてはいないのですが、この平成27年に、HPVワクチン接種後に生じた症状に対する当面の対応というもの、大きく5本の柱で支援の充実を図ってきたという経緯がございまして、その5本の柱を一つ一つ申し上げますと、救済に係る速やかな審査を行うことと、あとは、これは少し複雑なのですが、先ほど申し上げた、予算事業、要は定期接種化さされる前の事業でワクチンを接種していた方々は、この予防接種法上の救済対象にならないといったところでございまして、PMDA法という別の法律の救済対象でございましたけれども、救済の度合い、やはり予防接種法上に基づくもののほうがレベルの高い救済になっておりましたので、そこは合わせると。予防接種法上のレベルに合わせるために、予算措置でそこは合わせているような措置を行ったこと。
 3点目としては、医療支援の充実として、協力医療機関の設置とか、そういったところの医師向けの研修会を行うと。
 4点目としては、相談窓口の設置、生活面の支援の強化。
 5番目として、疫学的研究の推進、エビデンスレベルでのそういった研究の推進と、この5本の柱でやってきたというところがございまして、審議会でも、その点について様々な御意見をいただいております。
 それらが完璧になったから今回大丈夫というよりは、実際、接種率が低かった時期がございまして、新規の患者さんが、そういった医療機関を含めて、なかなか相談窓口を含めて新しい患者さんがおられなかったと。体制としては、この8年間の間にいろいろな課題とか反省点を踏まえてつくってきたもの、体制はあるけれども、それが今後、接種が増えていくことが予想される中でちゃんと機能するのかということを議論されたというのが、この2回にわたっての議論の内容となっております。
 ですので、引き続き、こういう診療体制と、この5本の柱の支援がしっかりされているかどうかということも含めて、今後審議会でもしっかりとした議論と意見をいただくような形になります。
○磯部委員長 ありがとうございます。
○佐藤委員 いろいろ取組をされているということはよく分かりましたけれども、医療機関に関しては、そういう医療機関を指定しても、その指定された医療機関で、症状で苦しんでいる方に寄り添った診療が実際になされなければ、その医療機関にかかっても意味がないということになりますので、その辺りも含めてきちんとした取組をしていただきたいということを意見として申し上げて私の発言を終わりにしたいと思います。
○予防接種室評価分析専門官 ありがとうございます。
○磯部委員長 支援というのは普通寄り添うもので、寄り添わない支援というのは本来おかしいかなと思うのです。あえて寄り添った支援という修飾語をつけている以上、その中身とプロセスなどが問われるという御意見でしたので、ぜひそれを踏まえて今後も続けていただければと思います。
 時間は大丈夫ですけれども、テンポよく。では、泉さん、花井さんの順番でお願いできますか。
○泉委員 花井さんからどうぞ。
○磯部委員長 では、花井さん、お願いします。
○花井委員 この8年間の経緯については、個人的にはいろいろ問題があったと認識していて、今、時間がないので、そこについてあまり議論はしません。
 あと、今回の意思決定についても、個人的にはちょっと時期尚早かなという認識を持っていますけれども、それについても取りあえず議論しませんが、先ほど佐藤委員がおっしゃられた、いわゆる寄り添った支援問題なのですけれども、実は、結局、ヒアリングを行っていないというところとも関係するのですけれども、実際に親身になっているお医者さんは、ある意味、多様な症状とこのHPVワクチンの因果関係に、疾病概念としてあるのではないかと思っているお医者さんが多いわけです。
 これは、いわゆる3枚目のスライドの1に当たる安全性のエビデンスに関わるのだけれども、この新しい疾病概念を例えば提案したとしても、それは、まず科学的なエビデンスにならないかもしれないけれども、実は1について、つまりその訴訟においては、まさに因果関係が争点になっているので、結局、これは訴訟というのは極論と極論が対立する場なのですけれども、やはりそういう医師は、逆に言えば、HPVワクチンのいわゆる多様な症状が原因になっているんだという主張を持っている人とも言えるわけで、結局そういった医師に対してのサポートがないというのは、やはり係争中だという事情が影響してしまうと思うのです。
 そこについては、私も別の場でも繰り返し言っていますけれども、やはり、これは接種事業で接種を受けた人がほとんどなのです。これ自体、本来公的に積極的に勧奨された接種というのは、いわゆる予防接種法が国会審議を必要とするから、つまり国会で決まらないと、勧奨、半強制というか、要するに努力義務としての接種というのはできないというのは、まさにこの人権との兼ね合いでそうなっていて、制度としてはある種良くできていて、国会において、努力義務を課して勧奨する立てつけを接種事業は先走っているわけですよね。この方々についてのケアというのは、単なる体制の話ではないので、ちょっとそこは曲げていただいて、実際に、その方々が診てもらって、親身になっている先生方を応援する具体的な研究班を設置してほしいと。
 これはある種裁判には不利になるかもしれない研究班になるというところで、腰が引けているのではないかという気はずっと思っていまして、それはちょっと考え直していただきたいと。
 事実上、やはり協力医療機関でも、親身なところとそうではないところは事実上はありますし、私どもはエイズの経験があるので、拠点病院を360か所以上設置したのですけれどもほとんど診てもらえなかったという歴史的経緯もあって、やはり行政レベルで協力お願いして、自治体レベルで選出する病院というのでは足らなくて、やはり、実際に親身になって診ている先生に支援したというのがHIV医療の成功のパターンだったので、そこはそちらとしての事情はあるけれども、ちょっと曲げて、やはり、今、彼女たちに手を差し伸べている専門家集団に、一定の予算、研究費をつけていただきたいということを、今日は申し述べるにとどめたいと思います。一回コメントをいただけますか。
○磯部委員長 では、お願いできますか。
○予防接種室評価分析専門官 係争中の話なので、そこの部分についてはこちらからは申し上げられないのですが、申し上げられるのは、協力医療機関の中にもいろいろな考えを持っている先生方もいらっしゃるというのがあります。特別、国としてはそれを排除しているわけではございません。なので、そういうところに受診される、各都道府県に1つ以上、全部、今84の協力医療機関がございますけれども、いわゆるそういう多様な症状がワクチン接種と因果関係あると主張されている先生方もその中に含まれているということがございますので、何か国として排除している、係争中だからその方々を排除しているという意図はないのと、研究班については、これはいろいろな、どういった研究をするかにもよりますけれども、そういった方々をまず支援するというよりは、広く、省として申し上げられるのは、公平な立場でそういったところ、研究班を含めてお願いしていくような立場になると考えておりますので、どうあるかというのはなかなかこの場で申し上げられないのですが、少なくとも排除しているということはないという、係争中であることが影響を及ぼしているということはないというのは申し上げたいと思っております。
○花井委員 その説明になるのでしょうけれども、疑惑は払拭できないのですが、でしたら、事実上、この先生がいろいろな治療法をトライアルしているとか、いろいろなことやっていると思うのです。症状が多様だから。そういう先生に実際に聞いてみて、その先生にお願いしていただくということを検討していただきたいということです。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今、予算の話とかもありました。それは置いても、訴訟中であるといったことはさておいて、医薬品行政、予防接種行政は厚労省しかできないわけですから、花井さんの御指摘のように、過去の薬剤エイズの経験とかも、きちんと十分生かしてやる。寄り添った支援という以上、それをきちんと生かしてほしいということは、やはり重要な指摘だと思いますので、そこはぜひ検討していただければと思います。
 それでは、泉さん、どうぞ。
○泉委員 発言させていただきます。
 1つ確認なのですが、PMDAに出された医薬品リスク管理計画表(RMP)によると、新たな9価ワクチンのリスク管理計画や承認の条件に、全例登録による安全監視活動のための情報収集をすることとなっていと聞いているのですが、ほかの症例とともに、ギラン・バレー症候群などのリスクがあるものを、多分、添付文書に記載をして提出するような指導を受けていると。それは本当かどうか、それをまず最初にお伺いしたいです。
○磯部委員長 今すぐ答えられますか。
 ちょっと確認中ということなので、ではコメントを続けてください。
○泉委員 分かりました。では、それは後日でも結構ですから教えてください。
 まず、今の話が本当だということを前提に話しますと、添付文書にそういうような内容が書かれるものを、行政が積極勧奨しますかということなのです。これは確かに、厚生科学審議会の副反応検討部会とか安全対策調査会の合同会議では、HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させる、このように出たことは存じ上げていますが、だからといって、何で厚生労働省が自ら積極的に勧奨を再開するのか、これが私にはよく分からない。
 その理由としては、ワクチンの接種は任意です。真の意味で任意であるべきで、打つ御本人が、学校や自治体から薦められたり、受けないことを選択したことで、全員受けさせる意識を持った専門家によって、偏見されたり差別されたり、学校に行きにくくなったりするようなはあってはいけないことであって、当然として、おうちの方と御本人が考えて、それで受けていくべきなのに、何でそういう合同会議で積極的な差し控えを終了させる、イコール、厚生労働省が積極勧奨を来年からやりますという話になるのか到底分からない。その理由の一つとして、PMDAのそういうような9価ワクチンの話があったり、添付文書の重大な副反応の項目が記載されるものに関して、何でこのワクチンだけ積極的に勧奨を薦めるのですか。
 そして、私はまず、この人たちの話をきちんと聞くべきは委員会であったり、行政だと思います。先ほど、なぜ話を聞かないのかということを、佐藤委員の話に対して、訴訟当事者であるからとわれましたが、それは関係ないです。訴訟当事者ではなくて、ここの委員会は、安全かどうか、本当にそういう副反応があり得るかということを検討するのですから、やはりそれは行政として、この被害者の話を、この委員会で私も聞いてみたいです。そう思います。コメントをください。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、何か。
○医薬安全対策課長 すみません。その前に、RMPについての御質問をいただきましたけれども、これは9価のことですか。
○泉委員 そうです。
○医薬安全対策課長 9価は確かに、御指摘のとおり、「全例登録による強化安全監視活動」ということで、全例登録して、「多様な症状」の発現状況を把握することになっています。ただ、9価はまだ定期接種になっておらず、今回の積極的な接種勧奨の対象ではありません。
○泉委員 9価は今後ということですよね。
○医薬安全対策課長 そういうことになります。
○泉委員 だけれども、そのときにはもう積極勧奨されているという可能性もあるのではないですか。大体、リスク計画でこういうことが書かれているのに、何で積極勧奨するのか私には意味が分からない。
○予防接種室評価分析専門官 予防接種室ですけれども、そもそも、今、定期接種化されているのは2価と4価のワクチンでございまして、9価のワクチンはまだ定期接種化されておりませんので、これは積極勧奨の対象ではありません。
○泉委員 そういうことですね。分かりました。それは理解して、質問は撤回します。
○予防接種室評価分析専門官 いただいた質問にお答えいたしますけれども、審議会の経過は先ほど申し上げたとおりで、これは科学的なところを中心に審議されたということでございます。HPVワクチン、その審議会において積極的勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当であるという結論が得られたということでございますけれども、今後、このHPVワクチンについては、その他のA類疾病の定期接種と同様に、市町村が接種対象者やその保護者に対して個別の勧奨というものを行うことになります。
 つまり、積極的というのは、定期接種されていたほかのワクチンと一緒のことをやっていたという意味であって、そこから1つレベルを落として、この8年余りの間、勧奨度合いを落としていたということでございます。何かアクティブにアクセル全開踏むというわけではなくて、ブレーキをかけていたというところでございまして、この個別の勧奨、ほかのA類疾病の定期接種ワクチンと同様に、再開されることになった場合は、どういうことが行われるかといいますと、ほかのワクチンと同様に、接種をお勧めするメッセージされたりとか、予診票を同封するなどの方法を採ることが自治体ができるようになると。接種を希望する方にとっては、より接種を受けやすくなる環境になると。
 ただ、接種を受けるかどうかは、これは保護者及び御本人の意思に基づいて決定していただくものでございますので、特に国から強制するようなものではございません。
 HPVワクチンにつきましては、これまでも個別に、ワクチンの有効性・安全性についての情報提供資材、リーフレットを作成しまして、これは一度改訂を経て、昨年10月につくったものでございますけれども、こちらは接種対象者等への情報提供をしてまいりました。引き続き、このワクチンの接種について、判断、検討するための情報として、こういった情報を分かりやすく対象者に伝えるということが重要と考えておりますので、それについて詰めていくという形になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 ちょっと予定の時間も過ぎておりますので、戸部委員、佐藤委員からコメントいただいてよろしいですか。
○戸部委員 ありがとうございます。
 私からは感想のようなものなのですけれども、先ほど支援体制のお話がありましたけれども、接種後のそういった支援体制もさることながら、このワクチンの効果とか影響というようなところの情報提供というか、正しい選択がちゃんとできるような情報提供というようなところも支援として重要だと思っています。
 このHPVワクチンだけではなくて、コロナワクチンもそうですし、あるいは乳幼児に接種するワクチン、そういったことも含めてですが、やはり受ける人、あるいは関係者、いわゆるターゲットに合った形の情報提供、あるいは支援アクセスポイントはとっても大事だと思っておりまして、例えばこのHPVワクチンであれば、医療機関だけではなくて、学校関係だとか、そういったところの協力といったようなこともとても大事だと思います。そのようにターゲットに合った形の体制を整えないと必要な情報もまた集まってこないですし、そういったことも考えなくてはいけないのだなと今思いました。
 以上です。
○予防接種室評価分析専門官 学校を含めた体制づくりについて、まさしく審議会でも議論されたところでございまして、そういったところも踏まえて、大局的な観点から接種に関する対象者、安全に受けていただくとか、その相談体制と含めて検討していきたいと考えております。ありがとうございます。
○磯部委員長 佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 手短に。
 先ほどの泉委員の御指摘は大変重要だと思いまして、9価のワクチンについて全例登録を課しているということであれば、4価、2価のワクチンについても、今回の積極的勧奨の再開をするのであれば、それを契機に、今からでも、今後の接種者については全例登録するようなこと考えていただいてもいいのかなと思いましたので、意見として申し上げておきます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今の意見に対して何かコメントはありますか。よろしいですか。
○予防接種室評価分析専門官 9価のことについては、予防接種法上に基づくというわけには多分いかないと思うので、2価、4価については、副反応疑い報告として、そういった症状が出たものについては、製販業者とか医療機関から定期的に報告されておりますので、そういった症状が出た場合については、症例ごとに報告がされているというように理解しておりまして、それは予防接種法上に基づくもので常に報告されております。2価、4価、ほかの定期接種ワクチンも含めて全て同様の措置が取られているという形でございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 もう時間もあれですので、HPVワクチンについてはそろそろここまでとさせていただければと思います。
 今後も委員の関心はあるようですし、引き続き、厚生労働省の様々なところで安全性の評価等はされることと思いますけれども、本委員会においても引き続き関心を持って注視しているということで、また何か必要に応じてこうやってやり取りさせていただければと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、続いて、次の議題に進みたいと思います。「医薬品等行政評価・監視委員会の意見・勧告について」です。
 前回、第5回の委員会において、花井委員から、新型コロナワクチンの安全性評価の上で、非接種群との比較を行う方針について、委員会としての国に対する提言を出すべきではないかとの御意見をいただきました。ほかの委員の先生方からも、その大きな方針は異論がないということでしたので、この間、花井委員、佐藤委員を中心に意見のたたき台を作成いただきまして、各委員の意見も盛り込んだ上で意見書の案という形で本日資料の3-1という形で出させていただきました。本日は、この案について改めて全体的に御覧いただいて、お気づきの点があれば御意見をいただく。可能であれば取りまとめに至りたいということです。
 まずはこの意見書案について、花井委員、佐藤委員から御説明をお願いできますでしょうか。花井委員、お願いします。
○花井委員 趣旨につきまして、私のほうから説明させていただきます。
 今までの議論とも関係があるのですけれども、基本的にここの所掌するところは、医薬品の安全というところになるわけですけれども、先ほどから、健康局のほうがいろいろ言っているのは、ある種使い方問題で、先ほどの9価ワクチンの話でも、薬事としてあのようにいろいろ条件をつけているのは当たり前の話で、それをどう使うか問題は別の所掌、つまり予防接種法によって決めると。
 さらに予防接種法というのは、そこのA類疾病等々にするのに当たって国会を通すということなので、極めて手続的には理にかなっている。むしろ欧米諸国よりは、厳密に個人の人権を守った形でなければ国が努力義務すら課せられないという立てつけになっているので、制度上はよくできたものなのですが、今回のワクチンないし特例承認全般に言えることかもしれませんけれども、そのときに、薬事上の承認に当たっての一般的な承認制度のほかに、例えば条件付早期承認とか再生医療等製品の期限つき承認みたいなものもあります。これはやはり薬機法というのは規制行政なので、製販業者に対して規制を行っているという立てつけになるわけです。
 一部、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を受けて、制度上、開発要請という立てつけもあります。これもあくまで開発要請をされた企業が、製販業者発で、やはりそれを承認申請するという形で、一応、薬機法上の整理はできているのですが、この特例承認、ワクチンに関しましては、場合によっては、メーカーはそんなに売りたくなくても国が売ってほしいとか、早く日本市場に導入してほしいという国発だというところが大きく違うのです。
 これを薬機法の内部だけでやると、どんどん薬機法が、本当は製販業者の規制行政だったはずが、こちらの都合でどんどん緩めているという制度設計になりかねないところに懸念を示しているわけです。
 特に国がある程度緊急事態だから使おうとする医薬品に関しては、安全性を製販業者だけに責任を課すというのは、今の説明からいっても難しい場合が出てくるわけです。そうすると、薬機法上の普通の方法論では、やはり安全を確保できないという状況が生じるというのが問題意識の原点です。
 なので、この国の責任という書き方はちょっときつい書き方かもしれませんが、要は医薬行政だけではなくて、もう少し高いレベル、もしくは所掌が違う厚生科学審議会予防接種部会あるいは感染症部会等々の意思決定というものがあって、薬機法のほうはそれに協力する形で特例的な制度を構成しているというものなので、やはり国が一定程度その安全性については、製販業者だけではなくて責任を持たざるを得ないという制度設計になっているにもかかわらず、現状それがないと。欧米には一定あるというところに、我が国というか日本の市販後のワクチンに関する安全対策の足りなさというものがあるというのが問題意識の原点としてあります。
 また、一方で、今、特例承認制度は国内の医薬品については対応できないです。これについて、やはり補うという形で、現在進行形で、多分一両日中に結論を見ると思いますけれども、さらなる緊急事態、例えばテロとか、こういったパンデミックというときに対応できるような承認制度も検討されているので、その責任の所在として、承認制度を要請した側の、つまり国家の安全保障あるいは先ほど言った公衆衛生上の責任といったところからの要請があってこれをやるのだから、やはりもう一段大きな、要するに、市販後の安全性を評価できるシステムを国が持つのは必然であるという問題意識です。
 具体的な方法論については、佐藤委員のほうから説明いただけたらと思います。
 以上です。
○佐藤委員 では、私のほうから2以降について御説明をさせていただきます。
 2のところは、新型コロナワクチンの安全性について、今、検討がされている事項について整理をしております。これは添付文書の記載と、それからいわゆる合同部会で検討がされている内容を整理しております。
 この中で死亡、アナフィラキシー、心筋炎、血小板減少を伴う血栓症の4つについて、その報告についての検討がされていると理解をしております。ここは事実の確認です。
 3番です。
 ただ、結果的に、これらの有害事象との因果関係の評価においては、この表1にあるような、α、β、γという3つの分類しかなくて、ほとんどが、今、γに分類されているわけです。このαに分類された、すなわちワクチンと症状名との因果関係が否定できないものと分類されたものは、有害事象の中のごく一部にすぎなくて、特に死亡に関しては、αと認められた例はこれまで1例もないということでございます。
 ただ、2ページ目から3ページ目にかけて、合同部会の資料の中で、WHOのマニュアルを引用して、そもそも個別の一例一例の評価では、因果関係の評価というのは難しいのであるから、それを集団のレベルで系統的な評価をしなければいけないということが、この合同部会での認識としても共有されているところかとは思います。
 それなりにこれまでも人口動態統計等の結果との比較などはされてきたわけですけれども、薬剤疫学の専門の立場からすると、それで十分とはなかなか言えないと思われます。
 4番です。
 具体的にどういうやり方があるかということに関しては、後ほど私の専門の立場からの補足意見を御覧いただければと思うのですけれども、ざっくりとしたところがこの意見書案のところに書かれております。
 海外では、アメリカCDCのVaccine Safety Datalinkとか、北欧諸国は、そもそも、新型コロナのワクチンに限りませんけれども、そういうワクチンを接種した場合が全例登録されるようになっていて、その結果が評価できるようになっておりますし、この新型コロナのワクチンでは、例えば英国あるいはイスラエルでも、そのような医療のデータと連結ささせた解析というのが論文として報告されているところです。日本でも自治体の協力が得られれば、そういうことが可能であると考えて、こちらに記載しております。
 1つ、死亡のリスクに関する評価については、自治体が保有するワクチン接種台帳のデータと、死亡に関するデータを結びつけるということが自治体レベルで可能であるということです。それから、死亡以外の有害事象については、レセプトのデータとリンクすることによって評価が可能であると考えます。
 前回か前々回か、このレセプトのデータの病名についての精度というのが問題であるというお話がありまして、そのことは私は専門ですから当然重々承知しているわけですけれども、それでも、ある程度の評価というのは可能だと思いますし、その問題をいかにクリアして、それなりにきちんとした解析に持っていくかというところは、まさに薬剤疫学あるいは生物統計学などの専門家が関与すれば、もちろんパーフェクトではないですけれども、かなりのところまでは解析ができるのではないかと思っております。
 それから、5番の最後のところですけれども、ここには、実はこの意見案を取りまとめる段階で、各委員の先生方から様々な御意見があったものを短く盛り込んでいるところですけれども、先ほど花井委員が言われたように、特例承認制度の下で使われている中で、まだまだ安全性に関する情報が十分ない中で、使い始められているということですので、これはこの新型コロナのワクチンに限りませんけれども、特例承認制度と一体化した市販後の安全対策を強化し、制度として設計するということも今後あってもいいのではないかということが書かれておりまして、これは先ほどの花井委員が言われたような特例承認制度に限らず、今度の緊急時承認というのですか、そういう場合にはますますそういうことが必要になってくるだろうと思います。
 そういうことで、こういうことをきちんと評価をして、その情報を国民に返していくということが、このワクチンに対する信頼を増すという点で重要ではないかと思っております。
 簡単ですけれども説明は以上とさせていただきます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 資料3-2の補足意見についても一部もう触れていただいているかと思いますが、何か手短に補足することはありますか。
○佐藤委員 では、3-2です。
 ここで私の個人としての意見を述べさせていただいておりますけれども、まず検討事項の中で、これは合同部会でもまだ検討がされていないことかと思いますけれども、マスコミの報道などでは、接種後の体調不良、その方々はワクチン後遺症といっておられるわけですけれども、そういう症状を訴える方がいるということが報道されていますが、この有害事象についても、そもそもそれはどういう症状であるのか、そういうことを調査して、個別の因果関係を評価するのはそれこそ難しいと思いますけれども、先ほどのHPVのワクチンのことについてもそうですけれども、こういう接種後の症状、まさに多様な症状を訴えられる方に寄り添った支援ということをやはり考える必要もあるのではないかと考えておりますし、そのためにも、まずはどのような有害事象が起きているのかということの調査がこれから必要ではないかと思っております。
 それから、接種後の長期的な影響については、まだ情報がないというところで、これについても、今後、評価・検討すべき課題だろうと思っております。
 それから、2番のリスクの集団としての系統的な評価方法については、少し踏み込んだことをここには書かせていただいております。
 まずは、死亡例についての評価なのですけれども、ワクチンの接種者と被接種者を比較する調査ももちろん必要なのですが、取りあえず行えることとして、ワクチン接種後、例えば一定期間、3か月以内とか6か月以内に死亡された例を全例、因果関係は一切問わずに、とにかくワクチン接種後、例えば3か月以内なら3か月以内に亡くなられた方全員を特定して、ワクチン接種から死亡までの日数の分布を調べることによって、ワクチンの接種と死亡が全く無関係なのか、多少なりとも因果関係がある例がそこに含まれるのかということについての評価が可能であると思います。
 もし、ワクチン接種と死亡が全く関係なければ、接種後の日数に関係なく一定の人数でお亡くなりになるということかと思いますけれども、もしワクチン接種と関係がある死亡があるのであれば、やはりワクチン接種後間もないところに死亡の数というのが集中するのだろうと思いますので、ざっくりとした評価がまず可能であるということです。
 それから、実は、薬剤疫学の手法の中で、自己対照研究という手法があって、これはまさに接種後に亡くなられた方を全員特定することによって、ある程度定量的な評価も可能な手法が、今は世界のいろいろなところで行われておりまして、特にこれはワクチンの安全性評価にしばしば用いられる手法ですので、こういう手法も可能であると思われます。
 それから、接種者と被接種者の死亡率の比較については、これはなかなかいろいろなバイアスが入り込む余地があるということが、コロナのワクチンではない様々なワクチンでの調査において指摘がされておりまして、そういう詳細についてはちょっと専門的になりますので、ここに書かれている内容を御覧いただければと思いますけれども、そういうバイアスについて、それを調整するために、死亡のデータだけではなくて、レセプトのデータともリンクをして、そういう調整ができるようにしたほうがいいということでございます。
 それから、最後、意見書の5「おわりに」についてですけれども、これも先ほど述べたことと重なりますが、接種後の健康被害に対する補償の問題です。これも最近マスコミでいろいろ報道がされておりますが、まだ補償についての審査というのが、あまり進んでいない状況かと思いますので、ここに関しても、誠実な補償ということが国民の信頼を得るために重要ではないかと考えております。
 以上、個人としての意見の補足でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、ここからこの意見案についての自由な討議ということにしたいと思います。
 この間、委員間のメールであれこれやり取りもしていましたけれども、我々こそ、この意見作成過程のプロセスを公開、透明にするべきだろうと思いますので、メールでいただいた意見を繰り返すということも含めて、各委員、この意見についてコメントなりしていただければと思います。
 全体的につくる過程では、佐藤委員の今の3-2も非常になるほどという御意見なのだろうというのもあるのですが、学術的な見解という面では、こういう研究方法もあるだろうがさらに別の方法論があるかもしれない、それを排除するわけではないので、個人の意見という形で別にさせていただいたということです。そして、できるだけ確からしさを維持するためにも、出典などをきちんとつけていただくといったことをお願いしたいということをしていたと思います。内容面について何かコメントをいただけますでしょうか。適宜ミュートを外して話していただいて結構です。
 どうぞ。
○花井委員 原案では細々全体の統治、法律上の統治システムにおけるステータスみたいなところをごちゃごちゃ書いて分かりにくかったところなのですけれども、委員長に見ていただいて、すっきりした形がよいということで、これですっきりしたのかなというのは思っています。
 ただ、いろいろな技法とか制度によって、より安全対策が強化されるというのは、やればやるほどいいというところもありますけれども、改めて示しておきたいのは、やはり心筋炎、心膜炎も欧米に教えてもらったわけですよね。実際には評価で、死亡例に関しては心膜炎、心筋炎の死亡例、つまり若い死亡例はみんなこれになってしまうわけです。30代とか20代の死亡例はこれですけれども、一応あれは因果関係が評価できないなとなっていて、これはある意味限られた情報で評価しなければならない症例検討委員の先生も気の毒とも言えます。
 限定的な情報で、評価不能として、何で評価不能なんだという批判されるという状況は、不当であると思うし、それから、それによって、もし救済の因果関係は認められないとすると、さらにそれは当事者にとってはより不当なので、改めてですけれども、これは医薬局だけではなくて、政府として医薬局を応援するというか、武器を与えるという意味がありますので、ぜひそういう趣旨で御理解いただけたらと思いました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 それでは、ここまで何十通かメールをやり取りした口火を切ってくださった内田委員、こちらからお願いしてよろしいですか。
○内田委員 いや、口火を切ったつもりはなかったのですが、佐藤先生がしっかり書いていただいたので。ある意味、公のものとして出すときにはこういう形のほうがよろしいのではないのですかということを申し上げただけです。
 しっかりした内容が出せてよかったと思いますし、実際、研究をやっている方が今でもいらっしゃるわけですよね。こういった方々。より一層、進めるべきだということをどこからか言わないといけないという考えはもっともなので、出せてよかったと思いました。本当にありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 では、戸部委員、お願いします。
○戸部委員 ありがとうございました。
 私は専門的なことはよく分かりませんけれども、やはりこの疫学調査はというようなところがとても重要と思っておりまして、そのワクチンの接種の件数と死亡のデータと、あとはレセプトのデータというようなところの、うまくリンクができるのかどうかに関心を持っていたて、今の情勢でそこができるのかどうかというところを心配しておりました。
 先ほど佐藤先生が意見をまとめてくださったところで、大体イメージといいますか傾向がつかめますよということだったので、この情報はすごく大事だと思います。例えばこの意見書の中に、先ほどの佐藤先生の整理していただいた疫学調査の事例といいますか、こういう考え方というところは、何かを参照できる形でリンクしていただけると、読む側もそういった疫学調査での可能性を検討できるかなと思いました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 では、泉委員、お願いします。
○泉委員 佐藤先生、花井さんの話、今の戸部先生の話もとても重要だと思うのですが、ここで出てくるのは、地方行政と国側、厚生労働省、行政には違いないのだけれども、それをリンクさせる、資料をつながらせないと。区や市町村の協力が絶対に必要になってくるはずです。死亡例とかそれ以外の有害事象の例をまとめ上げることができないはずで。実は、これは11年前の特例承認から今回2回目の特例承認みたいになっているけれども、その間も、こういった有害事象とか死亡例を統計を取っていかなくてはいけないという話があったのに手をつけることができなかった。そして、今日に来ているわけですから、今回、あるいは、また後にパンデミックが起きるかもしれないということを考慮すると、やはりデータの確立というのは絶対に必要であって、そうすると、予防接種台帳、これは市町村が持っているはずだと思うのです。それから、住民台帳、これも地方ですよね。それから、レセプト、こういうようなものをリンクさせて、しっかりとしたデータ確立が疫学的にはどうしても必要だということを盛り込む形で大臣に意見書を出したいなと思うのですが、委員長、いかがでしょうか。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 どうしましょうね。いや、大事な御指摘だと思います。
 私も、今、例えば医学研究の倫理指針の個情報改正に合わせた見直しなどにかかわっていますが、およそ医学研究全般、とにかくデータをいかに活用できるかというのは本当に大きな課題であると思っていますし、公衆衛生の向上という意味で行政に反映させるためのデータの取扱いというのも、必要な課題として認識しているところです。
 この文章の中でどう織り込むかというのは、今、にわかには妙案はないのですけれども、そういう問題意識を踏まえてのものであるとは思います。
 花井さんが今手を挙げているのは、この点についてしゃべりたいということですか。
○花井委員 はい。
○磯部委員長 どうぞ。
○花井委員 1段落目の文章は「厚生労働省においては」と書いているのですね。一義的に厚生労働省においては、一番最後の行から2番目ですけれども、つまり、そこを可能たらしめるためには、厚労省だけでは駄目なのです。なので、厚労省においては、個人的には「日本政府が」とかにしたいところなのですけれども、強過ぎるのであれば、厚生労働省においては日本政府に対してそういうあれを。どうしますか。ここを日本政府に直接言っていいですか。
○磯部委員長 いや、委員会としては、法律上は大臣にしか意見は出せませんので。
○花井委員 出せないですよね。
○磯部委員長 名宛人は大臣です。
○花井委員 だから「政府の強力な支援を得つつ」とかそういう言葉を入れないと、事実上、市町村に対して、やってよとお願いを厚生労働省がしてもなかなか聞いてもらえないのです。「忙しいのに何だ」みたいな話になってしまうので、やはり政府の応援は絶対必須なのです。なので、そのニュアンスをここに一言入れたら、一応意味としては入るということになるのではないでしょうか。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今、3-1の意見案のところの4ページ、4の終わりのところで「以上の調査を行うためには自治体の協力が不可欠であるが、厚生労働省の担当部局のみならず、政府が積極的な要請を行うことにより、それが実現する可能性が高まる」という、この辺りで十分趣旨は。
○花井委員 取れていますね。だから、本文にもちょっと入れておいたらどうですか。「政府の支援を得つつ」みたいな、そういうことを入れたらどうでしょうかね。
○磯部委員長 どこに。本文の。
○花井委員 本文というか、1の。
○磯部委員長 1のほうにも書けないかということですか。
○花井委員 厚生労働省が着手すべきだと書いているだけなので、厚生労働省においては政府の支援を得てとか、下の説明を。
○磯部委員長 分かりました。それは問題なさそうかなという気がしました。
 さて、順番が。どうしましょう。これは佐藤さんにまた話していただけばいいですか。今のに関連しますか。
○佐藤委員 直接は関連しないというか質問なのですけれども、実は、この意見書を出すということについて、先週でしたか一部報道がありまして、日本でもアメリカのワクチンデータリンクのようなものを構築するのだというような報道がなされたわけですけれども、この意見書を出すことはいいのですが、それがどの程度実現可能な見込みがあるのかということについて、今分かる範囲で厚労省のほうから教えていただきたいのが私の趣旨です。
○磯部委員長 何か今の時点で言えることとかはありますか。
○予防接種室長 厚生労働省予防接種室長の鶴田と申します。
 今回、御意見の中では、予防接種台帳、また、診療報酬のレセプトのデータ及びNDBのデータをひもづけて分析できる、そういう環境整えていく必要があるという御意見として受け止めております。
 海外では、ここにも書いてありますVSDといったそういった仕組みもありますので、我々はこういった仕組みが必要ではないかという問題意識は以前から持っていますので、その中で研究とか事業とか、そういった中で検証等をさせていただいているところです。
 これにつきましては、近いうちに、ワクチンのほうの審議会とでもしっかりと議論をしていく必要があると思っておりますので、まずはしっかりとプロセスを経て、中身を詰めていきたいと考えているところであります。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、奥田委員、何かコメントを一言。
○奥田委員 事前の議論があまり深く関われなかったのですけれども、データベースで解析を進めていくということを委員会としていて提案していくことに対して、必要なことだという認識は持っております。
 逆に、これまで何がこれを押し進められなかった理由になっているのかということが、制度設計だけの話なのか、技術的なハードルの問題なのか、この辺りについて、もう少し包括した上での要望の文言に、一部何を解決することで推進すべきだみたいな感じで、文言が入ってもいいのかなとは思ったのです。
 例えば、レセプトデータ、あるいは人口動態統計との照合ですね、恐らく、データの照合が技術的なハードルとしてあるのではないかなと思ったのですが、それは医療全般のデータベースがかなり伝統的に乏しく、そこがこれまで積極的活用という意味から遅れているという実態があって、こういう現状になっているとすれば、その辺りの強化といいますか、医療データの有効活用をより積極的に進めるという、そういったことの推進ということも入れる方向がいいのかなと個人的には思いました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 今の御意見も踏まえて、またさらに考えようかなと思いますけれども、伊豆津委員、お願いしていいですか。
○伊豆津委員 私のほうからは、この委員会の特徴といいますか、役割として安全性に関する評価というのが非常に重要だということで、それが中心として書かれることは当然だと思うのですけれども、これから、いろいろな種類の、コロナだけでもアプローチが異なるワクチンというのはかなりいろいろ出てくるということを考えると、その有効性に関する検証も含めてという部分が一つ関わってくるのかなとは考えています。
 多分、行政から考えると、作業としては非常に大変なのだと思うのですけれども、努力していただく価値があることなのかなとは思っています。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 様々なデータを駆使して、安全性の評価を充実させるということ、それは有効性のほうの話にも十分メリットもあるでしょうし、そういうデータの取扱い、そもそも何がそれを妨げていたかというのは、確かに私も関心があるのですけれども、むしろこの意見がそれをつき崩すきっかけになってくれればなと思いますし、今いただいた御意見を踏まえて、どういう修文をするか、私に一旦預からせていただけますか。事務局とも相談しますが、あまり、こうめったやたらに意見を出す機会はないだろうと思いますので、せっかくなら、今の御意見をできるだけ組み込んだ形で入れて、また、委員の先生方に確認していただいて「よし、これで」となって、日付を入れて大臣に意見をするという感じで今後進めていければと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○磯部委員長 ありがとうございます。
 皆様から御了解いただいたと思いますので、また修正後にメールでやり取りした上で決定ということにしたいと思います。
 何かまだ言い足りないこととかあれば。よろしいですか。大丈夫ですか。
 ありがとうございました。
 それでは、そのように進めさせていただくということでよろしいですか。
 では、この意見をつくるプロセスとしては、今のようなやり方にさせていただくと。事務局とも調整しつつ、私がお預かりして、文章を決めて、確認していただいて出すのですが、その後です。意見を出した後についての御相談ということです。
 薬機法に基づいて、この委員会のほうに報告をしていただくと。意見を受けて、こうしたよということの報告をいただくのですが、それをいつ頃にしましょうという話なのです。来月には何か応答してくださいというのは考えがたい。でも、1年後というのではちょっと物足りないというような具合であろうかと思いますが、でも、初めてのことですので、こういうときのパターン、その報告時期について何かお考えがあるでしょうかということで、まず、事務局に御相談ですが、お願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 例えば、消費者委員会で建議がされた場合は、おおむね6か月後までに施策の実施状況の報告を求めておりますので、それを本委員会に置き換えますと、おおむね半年後の委員会に報告する形になるのかなと思っておりますがいかがでしょうか。
○磯部委員長 そんなスケジュールですかね。
 泉さん、手が挙がっていますね。どうぞ。
○泉委員 この意見書は大臣に出されますから、事務局を通して大臣から回答をもらったとしても、その6か月後に全ての回答がもらえるとは思えないので、多分継続になるのではないかと思います。今はここまではやったけれども、これはまだ、こういうところに諮らないといけないというような形ではないかと思うので、その進捗状況もいただいていくという形かと。
 だから、6か月後に全ての回答をもらいたくても、それは行政だけではなくて、国や、政府のほうにも諮らなくてはいけないこともあると思いますから、ですから、その期間に進捗状況をいただき、さらに、その先をどのようにしていくかという、この場合はロードマップもできないでしょうがそういう形でもいいのではないかと思います。
 だから、一回で回答を全部もらうなどということはできないと思っておりますが、いかがでしょうか。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 重要な御指摘で、報告があったらそれでおしまいというものではなかろうということだと思います。そもそも報告の内容が満足できるものかということもあるでしょうし、おっしゃるように、こちらも継続して、その後はどうなったかといったことに関心を持って進捗状況を聞いていくということは可能だし、するべきことだと思いますので、泉委員の今の御懸念は、もちろん大丈夫、承知していますというお答えになります。
 ものすごく緊急とかだったら2か月後というのはあるのでしょうけれども、今回割ときちんと様々なものを考えてくださいということですし、6か月という辺りで進めさせていただいて、それで終わりではないので、そういう留保の下で進めさせていただければということでよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○磯部委員長 それでは、そのような方針ということで、さらに調整させていただければと思います。
 ですから、今後、微修正して意見を出すことになるわけですけれども、この委員会設置の経緯を鑑みますと、やはり勧告ではなくて意見であっても当然、重い意味を持っているものだと、それぐらいの思い入れでもって我々もつくっておりますので、すぐ、短期的に何かできるということは少ないかもしれませんけれども、厚生労働省としては真摯に御対応いただきたいということを申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、続いての議題に進めさせていただいてよろしいでしょうか。
 続いて、定期報告と海外調査について、事務局から報告をお願いいたします。
 今回は、安全対策の措置状況、外国での新たな措置の報告状況についても併せて御報告いただくことになります。それでは、資料の4と5ですね。よろしくお願いいたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 事務局でございます。
 それでは、事務局から、資料4の定期報告と資料5の海外調査についてまとめて御説明をいたします。
 まず、資料4の「医薬・生活衛生局からの定期報告」を御覧ください。
 表紙を御覧いただきますと、3つある項目のうち、まず、承認審査関係の項目として、「1 製造販売承認された医薬品の情報」があります。
 次に、2、3の2つにつきましては、市販後安全対策に関する報告となっておりまして、2が「国内における市販後の安全対策の措置状況」となっております。
 今回は、緊急安全性情報や安全性速報、いわゆるイエローレターやブルーレターについては新たな発出はありませんので、医薬品の使用上の注意の改訂に関しての報告になります。
 そして、3が「外国での新たな措置の報告状況」、いわゆる外国措置報告となります。
 それでは、2ページ「1 製造販売承認された医薬品の情報」を御覧ください。
 前回、9月の会議で御報告した後、新たに承認されたもののうち、3ページの表の外、※1で、マル1からマル4の要件に該当するものが定期報告対象となっております。
 今回は6品目が報告対象になっています。
 このうち、No.1のハイヤスタ錠は、大変恐縮ですけれども、6月に承認されておりまして、前回の会議で報告するところをリストに掲載できておりませんので、今回、御報告させていただきます。大変失礼いたしました。
 残りの5品目につきましては、いずれも9月末に承認されたものになります。
 こちら、1の御報告は以上となります。
 続きまして、4ページの[医薬品の使用上の注意の改訂について]を御覧ください。
 こちらは今回初めての御報告となりますけれども、11月19日に開催されました薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会で確認された内容の御報告となります。
 本年7月10日から11月18日まで、約4か月間で、一番左側に書いてありますけれども、No.21-08からNo.21-27の計20項目について対応しております。
 左から番号、医薬品の一般名、薬効分類、次に医薬品の添付文書の改訂内容が新旧対照表形式で掲載されております。続いて、改訂理由、直近3年度の国内副作用症例数となっております。
 右から2番目の列、添付文書の改訂に至った理由は、例えば21-08につきましては、国内症例が蓄積したこと。
 それから、21-17、18、これにつきましては、米国FDAのガイドラインや薬物相互作用試験の結果、こういったものを根拠に添付文書が改訂されております。
 個別の情報につきましては、恐縮ですけれども、後ほど御確認いただけますと幸いでございます。
 最後に13ページ「外国での新たな措置の報告状況」を御覧ください。
 こちらも今回初めての御報告で、先ほどと同様、薬食審の医薬品等安全対策部会で報告された370報の内容のうち、販売中止、回収など、審議会の報告案件に該当するものを抜粋して収録しております。
 今回は、全部で112包報が報告対象となっております。
 個別の品目の御説明は今回割愛いたしますけれども、表の見方は、左から、番号、外国で新たな措置がなされた医薬品の一般名、外国での措置の概要、それから、その措置を行った国、外国での措置の内容の区分、この報告に対する国内での措置状況の順になっております。
 例えば、一番上のNo.2、スピロノラクトンにつきましては、米国で回収が行われていますけれども、国内の状況は「対応不要」。これは海外で回収措置の対象となった該当のロットが国内では入っていないなど、国内での状況を確認した上で判断されております。
 なお「注目」となりましたものにつきましては、さらなる情報を収集して対応するもの、 それから、「対応済」のものにつきましては、既に添付文書の記載等があり、注意喚起が完了しているもの、「対応中」のものは、現在、安全対策措置を検討中のものとなっております。
 資料4につきましては以上となりまして、次に資料5を御覧いただきたいと思います。
 資料5につきましては、海外調査の状況ということで、こちらは新たに承認された品目で、国内承認審査時に海外で承認がなかったものや、特例承認等の対象品目について、欧米での承認状況等を確認した結果をお示しするものになっております。
 調査対象品目につきましては、2ページから4ページにかけて一覧表としてお示ししておりますけれども、9月の第5回の会議で結果を報告しました31品目に加えまして、今回、資料4で報告を行った6品目の計37品目が対象となっております。
 3ページの31、あるいは4ページ、33から37の品目につきましては、販売名を薄い黄色に塗っております。こちらは、今回から新たに調査する品目となります。
 残りは前回からの継続調査品目で、情報の更新がありました際には5ページ以降、個別シートをつけておりますけれども、そちらに情報を上書きしております。
 ちなみに、前回から更新があったものは、通し番号8のエンハーツ、それから、23のコミナティ、26のスパイクバックス、27のバキスゼブリア、32のロナプリーブの5品目になります。
 このうち、安全性に関係する内容の更新があったものは、23のコミナティです。
 ちょっと簡単にご覧いただきますけれども、23、コミナティでございます。
 資料の27ページになりますけれども、EMAの添付文書で、多汗症、寝汗、そういったものが追記されたというものになっておりますけれども、いずれも国内添付文書には記載がありまして対応が行われていますので、併せて御報告をいたします。
 御説明といたしましては以上となります。よろしくお願いいします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 これは御質問等はありますでしょうか。今、手元にあるのはA4用紙に2アップで印刷されているので、虫眼鏡がないと読めないという状態ではあるのですが。
 奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員 報告、ありがとうございました。
 ちょっと教えていただきたいのですが、資料4のほうの、外国での措置状況に関する一覧の新たな措置状況に対して、本邦における措置内容というのを書いていただいています。これは先ほどのスピロノラクトンの例では、本法で対応を不要とした、外国の措置と違う対応になったということについての説明をされていましたけれども、今回、全体にわたって、本邦での対応と外国での措置の対応が異なった場合には、その理由について、調査票をまとめるに当たって確認をしていただいているという理解でよろしいのでしょうか。
○磯部委員長 いかがですか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 それは、監視委員会の事務局への質問ということでよろしいのでしょうか。すみません。ちょっと質問の内容が十分理解できませんで。
○奥田委員 これは、多分安全対策課ですかね。こういった情報について入手した場合には、国内での対応が必要かどうかということの判断をされているのではないかなと思うのですが、その対応した結果をこの表にまとめられたという、そういう段階で出てきた資料なのか、あるいは今回まとめるに当たって、国内の対応と海外との対応が違うことについて、改めて考察されて出てきているものなのか、どちらでしょうかと。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 ありがとうございます。
 私から一般的なところでお答えをいたしますと、こちらの内容につきましては、PMDAのほうで、こういった外国措置報告を受けて、その上で国内の対応を全て検討した上でこちらに出させていただいております。ですので、一番右側の国内の対応状況が異なっているとしましても、それは国内の状況も全て把握をした上で、安全対策が取られるような形できちんと対応しているところと認識しておりますので、説明が足りておりませんでしたが、そのことを補足させていただきます。
○奥田委員 分かりました。それで安心いたしました。
 それから、もう一つは、資料5のほうで、海外での承認状況を確認していただいて、通し番号が今回1から37まであると思うのですが、以前の委員会で報告されたものも再掲されていると思いますが、これは、その後、新たな情報が入ったものについても反映されたものが今回挙がっているという認識でよろしいのでしょうか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 先生の御指摘のとおりです。こちらは全てもう一度確認をした上で御報告を差し上げております。
○奥田委員 ありがとうございます。
 もう一つ伺ってもよろしいですか。
○磯部委員長 どうぞ。
○奥田委員 エンハーツに関しての、RMPにおける扱いが、EMAとPMDAで今回異なっているという認識をしましたが、要するに特定された重要なリスクなのか、潜在的な重要なリスクなのかというところで、この辺りの違いが生じた原因、これは承認時期が、日本で承認されてから、PMDAで承認されるまでの1年以上空いているので、その間、データが蓄積されて、新たな情報に基づいて判断された結果がこのような違いになっているという認識でよろしいのでしょうか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 こちらは一般論になりますけれども、もちろん、これは調査をした時点では、こちらのとおりEMA、今年の10月27日状況ということになっておりますけれども、個別の状況については、今、こちらで全て把握できておりませんで、回答が難しいところもありますので、追ってまた確認して御連絡させていただきたいと思います。申し訳ございません。
○奥田委員 分かりました。
 リスクのレベルに対して懸念、判断が違った理由について考察ができてればと思ってお伺いいたしました。ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 では、それは後日確認の上、御回答いただくということでお願いいたします。
 では、花井委員、どうぞ。
○花井委員 ちょっと確認なのですけれども、海外回収で、日本にロットが入っているかどうか問題というのは、監麻課扱いであると思うのです。添付文書は安対課だと思うのですけれども、以前、監麻課扱いで回収の話があったときに、回収情報はクラス分けで、PMDAのホームページで公開されているのですけれども、PMDAに照会しますと、それは本省が出したものを、そのまま出したものをそのままただ載せているだけで、PMDAは直接関与していないという話がありました。
 私どもとしては、自分の疾病の医薬品だったので、情報が不十分だからメーカーとかにいろいろ言って、グローバル本社にも照会してもらって、いろいろな情報を出してもらった経緯があるのですけれども、この連携はちょっと悪いんじゃないかと当時指摘して、回収に当たって、その回収原因ですね。例えばある工場がおかしかったというのは、ただそれだけでは納得できないわけで、何でそんなことが起こるのだろうかとか、そういうところまで確認するのにPMDAと連携するようになっているのか、それとも、やはりそれは本省マターで、PMDAは単に情報を掲載するだけという役割になっているのかというのは、今、どうなっているのですか。
○磯部委員長 お答えいただけますか。では、お願いします。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 監視指導・麻薬対策課でございます。
 完全なお答えになっていないかもしれないのですけれども、関係部局の連携につきましては、回収の理由といいますか、どういった原因で回収が行われるかによって変わってくると考えております。
 原則として、企業が自主回収を行う場合には、回収報告というものを都道府県に提出をしまして、その内容が、PMDAのウェブサイトに掲載されるという流れになってございます。
 ですので、海外で回収が行われて、その情報が日本の国内企業に伝わって、国内企業のほうでも、順当に、同様に回収を行うという場合には、通常のルートで回収を行うという情報だけが都道府県経由、あるいは監視指導・麻薬対策課経由でPMDAに掲載されるということになります。
 一方、副作用とか医療機器の不具合とか、そういった安全性上の問題などを契機にして回収が行われるという場合には、私ども監視指導・麻薬対策課以外にも、PMDAの安全部局とか安全対策課の担当者とも連携をしながら、回収について企業に必要な指導を行うという流れになってございます。
 簡単に申し上げると、このような形で、ケース・バイ・ケースで必要な連携を行っているというような体制でございます。
○花井委員 ということは、私の理解では都道府県に一義的に行って、でも、ほぼほぼ時間差なく本省のほうにその情報が行きますと。その段階で、中途半端なものがあるではないですか。例えば、何か浮遊物があったという場合など。それは安全上問題ないですよと。もともとそれが問題ないですよという話なのだけれども、いや、本当にないのですかというところの判断がそこに一段階入るじゃないですか。それは、一応監麻課のほうでやって、メーカーは安全上問題ないと言っているけれども、本当にないかどうかやはりチェックする必要があるのではないかという判断は、一義的には本省の監麻課がやっているという理解でよろしいですか。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 ありがとうございました。
 品質上の問題に関する関係部局との調整につきましては、今御指摘いただいたとおり、監視指導・麻薬対策課、私どものほうで調整をさせていただいております。
○花井委員 了解いたしました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そのほか、何か本日の議題、全般について、もう時間は過ぎているのですが、御発言はよろしいですか。
 それでは、以上で本日の議論は終了となります。
 事務局から何かありますか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 事務局でございます。
 次回の委員会については、日程調整の上、御連絡いたします。また、議題については御相談させていただきます。
○磯部委員長 それでは、これで本日の委員会を終了します。長時間にわたりございました。