技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第57回)議事要旨

人材開発統括官海外人材育成担当参事官室


 
日時:令和4年1月7日(金) 10:00~12:00
場所:Web会議
出席者:大迫委員、小宮委員、當間委員、花山委員、村田委員、山脇委員
厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課、外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構
(座席シート縫製職種関係)日本ソーイング技術研究協会、経済産業省
(紡績運転・織布運転職種関係)日本綿業技術・経済研究所、経済産業省
(アルミニウム圧延・押出製品製造職種関係)日本アルミニウム協会、経済産業省
 
 
議題
(1)座席シート縫製職種の試験の実施・運営状況の報告について
(2)紡績運転職種(前紡工程作業、精紡工程作業、巻糸工程作業、合ねん糸工程作業)及び織布運転職種(準備工程作業、製織工程作業、仕上工程作業)の3号整備について
(3)アルミニウム圧延・押出製品製造職種(引抜加工作業、仕上げ作業)の職種追加について(試験案等の確認)

【概要】
(1)座席シート縫製職種の試験の実施・運営状況の報告について
○座席シート縫製職種の試験の実施・運営状況について、日本ソーイング技術研究協会から報告があり、主として以下のような質疑が行われた。
・(受検者に事前提供する試験問題資料の中に、縫製手順が含まれていないことについて)他の縫製職種と同様に、受検生に対して縫製手順を事前に提供すればよいのではないかと思うが、もし縫い順は問わないということであれば、縫い順が異なっていても問題はなく出来上がった製品(仕上がり・寸法・、規格)で評価するということ、評価のポイントを公表すべきであるという指摘があった。また、縫製の順番を問わないにしても、縫製手順のうち、「寸法又は規格」「備考」は受検者に対して事前に提供しなければ練習が出来ないのではないかという指摘もあった。これらの指摘に対し、縫製手順を公表していなかった理由は、縫製手順は企業によって異なり、試験問題が普段の縫製手順と異なる企業からクレームが来る可能性が高いためであるが、色々な実習実施企業が、試験問題用の縫製手順と理解していただければ、公開はやぶさかではない、意見は参考にさせていただくという回答があった。
・受検料の問題と、試験問題の出題方法・難易度の問題はつながっており、経営を専門としている立場からすると、実習実施企業の中から批判が出るのも仕方ないという指摘があった。また、受検料に大きな差があること、合格率が非常に低いということは、業界としてどのような技術を身につけさせたいのかという合意・総意が無いのではないかという指摘があった。これらの指摘に対し、実習計画に基づいた形での習熟を最終目標にしており、それをもとに試験問題を作成しているとの回答があった。
・(会員と非会員との間で受検料に大きな差があることについて)会員に対する受検料を引き上げるのであれば、引き上げる算定根拠(試験準備費用の高騰、人件費の上昇など)を明らかにする必要があるという指摘があった。また、設備などが不要な学科試験で受検料に3倍も差があるのは問題であるという指摘があった。これらの指摘に対し、事務局の中で具体的な対応を考えて厚生労働省に提示したいという回答があった。
・専門級の実技試験の合格率が低いのは、実習内容と試験出題に齟齬があるのではないかと思われるため、実習内容と試験出題に齟齬がないか、実習実施企業にヒアリングして試験問題を作成しているのか、どのように把握しているのかという質問があった。これに対し、試験を行った後、試験監督官が受検生に試験の出来具合を聞くことはあるが、試験問題作成委員会が実習実施企業にヒアリングをした上で試験問題を作成することはない旨の回答があった。
・(第2号技能実習の必須業務では、シートクッションの一部分ではなく全体の縫製が出来る技術を身につけるとされているので)実習生には部分作業しかさせないのは実習計画に沿ってやっていないということではないかという問題があるが、業所管庁の立場としてどのように考えているのかという質問があった。これに対し、業所管省庁の経済産業省から、必要に応じて指導が求められると認識していると回答があった。
・日本ソーイング技術研究協会から「実習計画に沿ってやっていないケースもあるようだ。」という説明があるとその事実を協会が認めてしまっているということではないか、協会に対してしっかりとした回答を求めたいという意見があった。
○検討の結果、座席シート縫製職種の試験については、委員からの指摘を踏まえて、厚生労働省と相談の上、改善を実施するとともに、当専門家会議に報告することとされた。
 
(2)紡績運転職種(前紡工程作業、精紡工程作業、巻糸工程作業、合ねん糸工程作業)及び織布運転職種(準備工程作業、製織工程作業、仕上工程作業)の3号整備について
○ 紡績運転職種(前紡工程作業、精紡工程作業、巻糸工程作業、合ねん糸工程作業)及び織布運転職種(準備工程作業、製織工程作業、仕上工程作業)の試行試験結果について日本綿業技術・経済研究所から説明が行われ、主として以下のような質疑が行われた。
・受検生によって実技試験の点数が大きく異なった理由を詳しく説明して欲しいという指摘があった。これに対し、日本人を受検生としたが、日本人の場合は、多品種小ロットに対応できるよう多能工化しているため、実技試験の工程(巻糸)の熟練度の違いが結果に反映されたという説明があった。
・試行試験で発生した評価のバラツキ以外にも、今後バラツキが発生するようなことがあれば、1つ1つ確認し、対応策を策定するような進め方をして欲しいという意見が出た。
○検討の結果、紡績運転職種及び織布運転職種に3号を整備することについて了承された。
 
(3)アルミニウム圧延・押出製品製造職種(引抜加工作業、仕上げ作業)の職種追加について (職種の概要等の確認)
○アルミニウム圧延・押出製品製造職種(引抜加工作業、仕上げ作業)を移行対象職種として技能実習評価試験及び審査基準を整備することに関して、日本アルミニウム協会から試験案等について説明が行われ、主として以下のような質疑が行われた。
・(審査基準の「作業の定義」に、実習事業場に必要な要件として「安全衛生活動が行われている事業場」を追加し、安全衛生活動の具体的な内容として「安全衛生規定要件」として定めたことについて)安全衛生法上の「総括安全衛生管理者」の設置義務がない、300人未満事業場ではどのような取組が求められるのかという質問があった。これに対し、事業場トップが総括安全衛生管理者の役割を果たすということになるという説明があった。
○検討の結果、アルミニウム圧延・押出製品製造職種(引抜加工作業、仕上げ作業)については、試行試験を実施し、次回以降の専門家会議において再度、議論することになった。
 
(以上)