32回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和3年12月21日(火)10:00~10:30

場所

WEB会議

議題

(1) 人材開発分科会報告(案)について
(2) その他

議事

議事内容

○武石分科会長  皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第32回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本分科会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、労働政策審議会運営規程第3条第1項に基づき、オンライン会議の開催といたします。本日の出欠状況ですが、公益代表の玄田委員、労働者代表の小倉委員、使用者代表の渡邉委員が御欠席です。海老原委員が今御確認中ということでした。それでは議事に入ります。議題1、「人材開発分科会報告()について」です。本日はこれまでの議論を踏まえ、事務局から人材開発分科会報告()が示されております。それでは資料1、資料2及び参考資料について人材開発政策担当参事官より説明をお願いします。

○宇野参事官  おはようございます。人材開発政策担当参事官の宇野と申します。私から資料について説明させていただきます。資料1と資料2がありますが、これは同じ内容で、資料2のほうは前回の骨子案からの変更点を下線、色付きで分かるようにしたものです。時間の関係もありますので、資料2のほうを私から説明させていただきます。前回からの変更点を中心に説明させていただきます。

 資料21ページ目を御覧ください。人材開発分科会報告()の下に、「~関係者の協働による『学びの好循環』の実現に向けて~」という副題を付けております。2つ目の○の3行目、これは前回の御意見の中で、デジタルトランスフォーメーションだけではないだろうということで、「カーボンニュートラル実現に向けたグリーン成長戦略の推進」という言葉を追加させていただいております。

 2ページ目を御覧ください。2(1)、下から2つ目の○です。ここも先ほどと同じ趣旨で「カーボンニュートラルの対応」という言葉が入っております。

 3ページ目を御覧ください。上から5行目、これも前回の分科会で御意見があったものを反映しております。「『学びの好循環』を生み、個人、企業、さらには経済社会の成長と長期的な雇用の安定につながることが期待される」と、「長期的な雇用の安定」という言葉を入れております。同じ3ページの(2)1つ目の○の「カーボンニュートラルの対応」、これは先ほどと同じ趣旨で加筆しております。

 4ページ目を御覧ください。1つ目の○です。前回の御意見の中で、前回の案では、「就職支援の状況も併せて協議」という表現でしたが、状況を協議というのは日本語的におかしいのではないかという御指摘を頂きました。ここは「状況」という言葉を直して、「就職支援の在り方についても協議できるようにする」と修正しております。

 4ページ目の下の○です。3つパラグラフがありますが、まず1つ目のパラグラフは、キャリアコンサルティングについての意義とか、あとキャリアコンサルタントに対する課題を前回御意見で頂きました。4行目で「キャリアコンサルティングは、働く人にとっての快適な職場づくりに資するとともに」という表現を入れました。その下で、「また、国家資格であり、守秘義務が課されているキャリアコンサルタントが、その専門性・信頼性を一層高めることが期待される」という表現を入れております。次のパラグラフの4行目、「明確化するべき」という表現でしたが、これも前回の御意見で、「べき」は少し強過ぎるのではないかということで、「ことが適当である」に直しております。次の行、「その際、労働者が安心・信頼して」の「信頼」、これも前回の御意見を踏まえて入れております。その次の行ですが、守秘義務というのは、国家資格で既に守秘義務がキャリアコンサルタントにかかっているのですが、キャリアコンサルティングを行う義務とのまぎれがあるのではないかという御意見を頂きましたので、ここの「守秘義務が課されている」は消しております。

 5ページを御覧ください。企業内における人材開発ですが、最初の1つ目の○の12行目、OJTを重視した人材開発を行ってきたという前回の御意見がありましたので、そこを加筆しております。教育訓練費が主要国と比較して少ないというのは、1ページ目でも、「OJTを除くOFF-JTの研修費用」という言葉が入っていましたので、ここは確認的に加筆をしております。同じ○の2つ目のパラグラフで、最初のほうですが、これも前回御意見を頂きましたので、「労使の信頼関係の下で」という表現を入れております。また、2つ目の○の②です。「労使が取り組む事項」の所に「べき」を入れるべきではないかという御意見を頂きましたので、ここを修正しているところです。前回からの変更点は以上です。私からの説明は以上です。よろしくお願いします。

○武石分科会長 御説明ありがとうございました。ただいまの説明に対する御質問、御意見がありましたら、Zoom機能の「リアクション」から「手を挙げる」マークを押していただいて、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いします。

○海老原委員  4ページ目の「在り方」という文章についてですが、非常に凝った良い表現だなと思って私は評価しているのです。役人文学で最高の言葉だなと思うのですが、なぜかと言いますと、在り方というのは、つまり改廃してなくすということまで問えるのか、考えられるのかが包含されている気がしています。私自身、キャリアコンサルティングの内情をよく知っておりますので、正直、ほとんど効果は出ないと思っているのです。それが効果が出なかったときに、やめるという決断までここでできるのか。この文章はすごく気に入っているのですが、できるのかできないのか、改めてお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

○武石分科会長  ありがとうございます。

○宇野参事官  御指摘の4ページ目の就職支援の在り方ですが、これは都道府県協議の場についての規定です。ここで考えているキャリアコンサルティングの在り方というのは、就職支援と言いますか、実際、離職者等の教育訓練を行う際に、例えば教育訓練機関やハローワークなど、労働力需給調整機関とか、そういったものが行うキャリアコンサルティングの在り方について協議をするということを念頭に書かせていただいております。ですので、先生がおっしゃったように、キャリアコンサルティングの制度自体の廃止などについては都道府県協議会ではなくて、国のほうで議論すべき内容と認識しております。以上です。

○海老原委員  全体の改廃はもちろん国がやるべきことですが、地域においてこれは役に立っていないとか縮小すべきではないかという判断は地域でできるわけですか。そういう声が出れば国も上げざるを得なくなるので、そういう意味まで包含してほしいと私は思っておりますが。

○武石分科会長  事務局、お願いします。

○宇野参事官  当然、地域の中でキャリアコンサルティングがどの程度役立っているのか、あとは、キャリアコンサルティングがどういうふうに形になったほうがいいのか、地域におけるキャリアコンサルタントの状況等々あると思いますので、その中では幅広い御議論は可能だとは思っております。

○海老原委員  ありがとうございます。私が何度もこの話をしているのは、内容を知っているだけに、役に立たなかったときに要らない箱物として残る、つまり既得権益になることだけは避けてほしい……。

○武石分科会長  海老原委員、よろしいですか。ありがとうございました。それでは、ほかに御質問、御意見はありますか。

○冨髙委員  今回、労働市場全体と企業内における人材開発の基本的な考え方の方向性について一定の取りまとめがなされたことについては意義があるものと考えております。

 その上で、これまでも申し上げておりましたが、今後、本報告書を基に、取組を具現化していくことになるかと思います。企業の責任において実施される教育訓練の強化なども含めた施策が様々推進される中で、やはり労働者自身がスキル、キャリアの向上に向けた学び直し、学びの必要性をしっかり理解、納得した上で行っていくことが重要であると考えております。取組を推進するに当たりましては、記載されている通り、非正規で働く労働者がスキル、キャリアの向上に資する訓練を受けることができる環境整備をより一層実効性を高めていく必要があると考えております。

 また、学びの好循環を進めるための①~③のプロセスに加えて、労働者が教育訓練を通して得られた成果の共有を図りつつ、企業の成長に資するより良い実効的な学びの好循環を作っていくことが重要と考えておりますので、その点についても改めて申し上げておきたいと思います。

 最後に、今後、年度内を目途にガイドライン策定に関する議論が行われると思いますが、具体的な議論を着実に進めていくために、早々に議論スケジュールなどを示していただければと思います。以上です。

○武石分科会長  ありがとうございます。基本的にこの報告書()については御同意いただけるということと、最後、今後のスケジュールについての御質問がありましたが、スケジュールについては何かありますか。

○宇野参事官  スケジュールについては、今日ここで報告書を御議論いただくことになります。その後、年明け以降、今、冨髙委員がおっしゃったように、早々にどういう形で御議論いただくかというのは、可能な限りスピード感を持ってまた御相談したいと思っております。以上です。

○武石分科会長  ありがとうございます。冨髙委員、よろしいですか。海老原委員、手が挙がっておりますが、追加で御意見ですか。

○海老原委員  追加でもう1つあります。4ページの「働く人にとって快適な職場づくりに資するとともに」というのも、またこれも官僚的なうまい表現だなと非常に感心しております。ここで言えることは、つまり、今のままではキャリアがうまくいかないから企業のほうが何とかしなさい、企業の制度設計を直しなさい、企業の給料を上げなさい、こういうことを言う権利もキャリアコンサルタントに……、これはこれでよろしいのですか。それが1個目です。

 もしそういう経営に対して文句が言えることがキャリアコンサルティングの権利として入ると、経営は彼らのことを選任したくなくなると思うのです。都合の良い人を選びたくなると思うのです。というので、そういう経営に不都合なことを言ったとしても、立場が守られるという仕組みは、ガイドラインを作るときにきちんと入れるべきだなと思っております。この2点です。いかがですか。

○武石分科会長  それでは、事務局からお願いします。

○宇野参事官  こちらの電波の関係かもしれませんが、1点目は途切れてしまったのですが、もし可能であれば1点目を教えていただけますか。

○海老原委員  4ページの○の後の「さらに」の文章です。4行目、「働く人にとって快適な職場づくりに資するとともに」と書いてあるので、つまり、職場づくりに関して、経営に対して、キャリアコンサルティングが、今のままではキャリアができないので、きちんとした職場づくりをしなさいという権利をキャリアコンサルタントが持っているのか……、いないのかというのは素晴らしい表現だなと思っています。

○宇野参事官  ありがとうございます。1点目のキャリアコンサルタントが権利を持っているかと言いますと、特に法律上はそういったものはありませんが、まず、前提として、キャリアコンサルティングは能開法の第2条第5項で、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことを言うと。これはキャリアコンサルティングです。キャリアコンサルタントは、これを行う者ということで定義されています。

 経営者の方にいろいろお話するというケースは、もしかしたらそういうケースがあるかもしれません。そういったものをキャリアコンサルタントは、今の法体系では能開法第30条の272項で秘密保持義務がありますが、秘密保持義務に違反しない内容であれば助言することは可能だと思います。いずれにしても、実際に主体的なキャリア形成というのは個人と環境の相互作用で培われるということで、いろいろ実際の話の中では単に個人のお話もありますし、職場環境の話があると思います。こういったものも含めて、どういったような形で企業内のキャリアコンサルティングがあるべきか。これはガイドラインの中でも重要な論点だと思いますので、引き続きまた分科会で御議論いただければと思っております。

○海老原委員  能開法の法律でどうなっているかと言いますと、企業が責任を持たなければいけないという1文が入っていると思うのです。そうしますと、責任を持たなければいけないという一括の……ないというふうに読み取れるのですが、これはいかがですか。

○宇野参事官  企業は、事業主については、能開法のほうでは確か10条の3だと思いますが、必要に応じてキャリアコンサルティングの機会なども、職業能力開発の向上及び促進に関する措置を行うよう責務規定があるかと思います。そういったものを踏まえて、今後企業内のキャリアコンサルティングはどうあるべきかという、実際の運用面や内容面については、またガイドラインで御議論いただきたいと思います。

○海老原委員  ありがとうございました。経営……の人がこの辺は全然ナーバスにならずに通ってしまったというのは、私は逆に驚いていたのですが、ガイドライン作りが楽しみです。ありがとうございました。

○宇野参事官  いずれにしても、先ほどガイドラインというお話をさせていただきましたが、これは片方側というわけではなくて、特に中小企業の業務が今回ガイドラインにありましたが、中小企業の支援策とか、どういうふうにキャリアコンサルティングをやっていくのかも含めて、これはそれなりにいろいろな論点があると思いますので、そういったことも踏まえてガイドラインで引き続き御議論いただきたいと思います。そういう趣旨で私は申し上げました。一応、補足です。

○武石分科会長  海老原委員、大丈夫ですか。

○海老原委員  はい、大丈夫です。

○武石分科会長  ありがとうございます。キャリアコンサルティングに関しては非常に積極的な御意見と慎重な御意見とありますので、また今後議論する必要があると思いました。今の件はよろしいですね。ほかに御意見、御質問がある方はいらっしゃいますか。特に御意見、御質問はないですか。それでは、この報告書の性格としては、建議としてまとめるということですね。

○宇野参事官 申し訳ありません。説明が漏れていました。今回、この報告書にも厚生労働省に求めるという記述が2ページ目の(2)の所にもあります。そういう意味で、もし可能であれば建議という形で、この分科会の報告を労働政策審議会会長に報告していただいて、労働政策審議会会長名で厚生労働大臣への建議という形でお願いできればと思っております。以上です。

○武石分科会長  ありがとうございました。今の建議とすることに関して何か御意見等ありますか。特にないようであれば議論はここまでとさせていただきます。議題1の「人材開発分科会報告()について」は、当分科会において、これまで御議論いただいてきたものと思いますので、本日提出された「人材開発分科会報告案」にて報告書をまとめさせていただきます。当分科会としては、「人材開発分科会報告」を労働政策審議会から厚生労働大臣へ建議すべきであるとの結論に達したということで、この旨を私から労働政策審議会会長宛てに御報告をしたいと思います。これでよろしいですか。

(異議なし)

○武石分科会長  それでは異議がないということで、これで進めたいと思います。それでは、事務局から報告文()の配布をお願いします。

(事務局より資料共有)

○武石分科会長  ただいま御覧いただいている報告文()で、労働政策審議会会長宛てに報告することとさせていただきたいと思います。これでよろしいですか。御意見のある方はいらっしゃいますか。

(異議なし)

○武石分科会長  ありがとうございます。それでは資料の共有をありがとうございました。ただいまの内容で報告をさせていただきます。これをもって厚生労働大臣への建議となりますので御了承ください。本日は、人材開発分科会報告書を取りまとめることができました。精力的に御議論いただき大変ありがとうございます。議題については以上となります。全体を通して委員の皆様から何かありますか。特にないようであれば、時間は早いですが、本日は以上とさせていただきます。次回の開催日程については、決まり次第、事務局から連絡をさせていただきます。以上をもちまして、第32回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。年末年始のお忙しい中、ありがとうございました。皆様お疲れさまでした。