第2回訓練基準の見直しに係るワーキンググループ議事録

日時

令和3年12月22日

場所

TKP新橋カンファレンスセンター

議題

第2回 訓練基準の見直しに係るワーキンググループ

議題 (1)訓練基準の見直しの方向性について
    (2)その他
   

 
              

議事

議事録
〇大城補佐 ただいまから「身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会 第2回訓練基準の見直しに係るワーキンググループ」を開催いたします。皆様には、ご多忙のところ本ワーキンググループにご出席いただきありがとうございます。本日は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための対応としまして、Webでの開催となり事務局のみ会場からの参加となります。続いて、構成員の出席状況ですが、本日は有馬構成員が遅れて出席する予定です。その他の構成員につきましてはご出席いただいております。また、日本聴導犬パートナーの会の松本構成員におかれましては、UDトークを使用して御参加いただいております。また、傍聴者向けに手話通訳者を配置しております。構成員の皆様におかれましては、ご発言の際は明瞭にゆっくりご発言くださるようご協力をお願い致します。あわせて、マスクを着用している場合には発言時のみで差し支えありませんので、マスクを外していただければ幸いです。次に、事務局を紹介いたします。自立支援振興室長の奥出です。企画課長補佐の平田です。福祉用具専門官の周藤です。社会参加活動支援係長の田中です。私は自立支援振興室長補佐の大城です。以上よろしくお願い致します。続きまして、本ワーキンググループの取り扱いについてご説明いたします。
本ワーキンググループの議事については公開とさせていただき、また議事録については、後日厚生労働省のホームページに掲載することとしておりますので御承知おき願います。それでは本日の議事に入る前に資料の確認をさせていただきたいと思います。構成員の皆様には事前にお送りさせていただいておりますが、議事次第、資料の2点となります。ウェブ開催としておりますので、ミュート機能を設定していただき、ご発言される際は手を上げるというアイコンを画面に表示していただく、もしくは実際に挙手してお知らせ願います。それでは本題に入らせていただき、江藤座長に議事を進めていただきたいと思います。江藤座長、よろしくお願いいたします。
〇江藤座長 それでは議事次第に沿って進めさせていただきます。「議題1訓練基準の見直しの方向性について」事務局より資料の説明をお願いいたします。
〇周藤専門官 事務局の周藤です。資料のご説明をさせていただきます。まず「資料 訓練基準の見直しの方向性について」、「訓練基準の見直しの方向性(案)」のスライドをご覧ください。今回ご議論いただきたい事項は、これまでのあり方検討会や前回のワーキンググループの議論を踏まえまして、三つ挙げております。スライドの中ほどになりますが、一つ目が「使用者のニーズの把握について」、二つ目が「利用者ごとの長期計画の策定、補助犬リタイア時期について(フォローアップ方法を含む)」、三つ目が「訓練日数について」とさせていただきました。本日は主にこれらについて方向性を議論していただきたいと考えております。
スライド2ページ目に移ります。「使用者のニーズについて」になります。主なご意見、下線のところは前回のワーキンググループから追加した内容となります。一つ目が「最初の段階でその人が何を求めているのか見極める必要があるので、インテークできる専門職が関わっていく必要がある。」二つ目が、「ニーズを適切に把握できるよう補助犬希望者と面接する際は、訓練士だけではなく専門職も同席することにしてはどうか。」三つ目が、「その人に寄り添った支援を行うために、チームとして支援するために、指定法人にも相談に入ってもらってはどうか。」とのご意見がございました。その下が現状になりますが、現状訓練基準においては介助動作訓練、聴導動作訓練は、使用者の障害とニーズについて正しい評価に基づき行うこととされており、合同訓練も使用者の障害やニーズに合わせた訓練をすることとされています。また、使用者のニーズ評価や犬の適性評価等は育成団体のみで行うのではなく、内容に応じて専門的な知識を有する者とともに行うこととされております。
スライド3ページ目に移ります。こちらは第1回ワーキンググループでもご提示させていただいた資料と同じものになります。補助犬使用希望者のニーズ等の把握は、各訓練事業者において行われており、適正評価については、過半数の事業者で利用相談時や候補犬とのマッチングのときに行われているとの調査結果です。
スライド4ページ目に移ります。「使用者のニーズの把握についての方向性(案)」となります。「障害のある方がめざす生活を実現するために、補助犬以外の方法も含めた支援を検討していくことも重要であるため、利用相談時に使用者のニーズを適切に把握すること等を明確にすること。」もう一点が、「訓練士だけではなく、専門職の関与によっても目指す生活を実現するために認定申請予定の指定法人も必要に応じて関わっていくこと」を方向性(案)としております。
続いて、スライド5ページ目に移ります。こちらは、「利用者ごとの長期計画の策定、補助犬のリタイア時期について」になります。先ほどと同様に下線部分は前回のワーキンググループから追加したものになります。「リタイアについては、犬やユーザーの状況によるものであるため明確にする必要はない。」「ある程度基準を設けていないと、犬が高齢になっても同伴することになりかねない。」「フォローアップの中でユーザーの生活状況や、犬の健康状態等も確認しながら交代時期の見極めが必要」といったご意見がございました。
スライド6ページ目に移ります。現状としては、補助犬引き渡し後は状況に応じた継続的な訓練や指導、リタイア時期の相談指導は、最低1年に1回、最初の1年目は2~3ヶ月ごとに利用者に状況報告を求めることとされております。
7ページに移ります。こちらも前回ご提示しましたデータとなりますが、フォローアップの多くは訓練士が携わっており、その方法や内容は書面や電話、使用者から相談などがあった場合に対応しており、犬の健康状態や作業状況、補助訓練や再訓練などが9割ほど占めております。
スライド8ページ目に移ります。リタイア時期については、フォローアップや使用者からの相談時に判断しており10歳を上限とするといった事業所が多くを占めていることがわかります。
スライド9ページに移ります。こちらは今回新たに追加しましたデータとなりますが、フォローアップの頻度について示したものであり、フォローアップは2年目以降減少するものの柔軟に行われることが調査結果からわかるかと思います。
スライド10ページ目へ移ります。「利用者ごとの長期計画の策定、補助犬のリタイア時期についての方向性(案)」となります。方向性としては、補助犬のリタイア時期は補助犬や使用者の健康状態などに応じて判断されることから、一律に基準を設定することは難しいと考えられますが、補助犬ユーザーは使用している補助犬が引退した後も、新たな補助犬の貸与を受けて補助犬との生活を継続していくこととなるため、訓練事業者は使用者の長期的な視点を支援していく必要がある、このような視点を明確にしてはどうかと考えております。
続いてスライド11ページ目に移ります。「訓練日数について」になります。下線部は前回のワーキンググループにおいていただいたご意見となります。「合同訓練日数について、2頭目以降の場合、使用者は補助犬のことを理解しているため、負担軽減のためにも日数を短縮して良いのではないか。」「求める補助犬の姿が決まれば、訓練内容も決まってくるのではないか」とのご意見がございました。現状は訓練日数については介助犬・聴導犬と訓練ごとに日数は設定されているところでございます。
スライド12ページに移ります。同じく前回ご提示しましたデータとなりますが、訓練日数は基準以上に実施している事業者もあることがデータからわかるかと思います。
13ページに移ります。こちらも新たにご提示するデータとなりますが、合同訓練日数のところを見ますと2頭目以降は1頭目より訓練の日数が少なくなっております。こちらは平成30年度のみずほ総研の調査研究のデータでございまして、介助犬・聴導犬合わせた数値となっておりますのでご参考までにというところでお伝えさせていただきます。
最後スライド14ページに移ります。「訓練日数についての方向性(案)」ですが、2頭目以降の日数を短縮してはどうかといったところを方向性(案)としております。資料の説明は以上になります。
〇江藤座長 ただいま事務局から説明がありましたが、これまでの検討会や前回のワーキンググループの議論を踏まえますと、「使用者のニーズの把握」「利用者ごとの長期計画の策定と補助犬のリタイア時期(フォローアップ方法を含めて)」「訓練日数」といった点が検討課題になってくるのではないかと思います。これまでの議論を踏まえた形で、資料が取りまとめられていますので、概ねこのような方向で差し支えないだろうと感じておりますが、本日はこれらの点について構成員の皆様にご議論いただきたいと思います。皆様のご意見をうまくまとめられるように効率的に議論を進めていきたいと考えておりますので、項目ごとに20分から30分程度で時間を区切ってご意見をいただきたいと思います。
それでは「使用者のニーズの把握」からご意見をいただきたいと思います。補助犬によって障害者の自立と社会参加の支援をしていく観点から、どのような視点で訓練していくことが適当なのかといった根っこのところにも繋がっていくのではないかと思います。ご発言がありましたら、順番に指名してまいりますので、挙手または手を挙げるのはアイコンでお知らせください。阿部構成員どうぞ。
〇阿部構成員 前回の話し合いのときも申し上げましたが、使用者のニーズの把握については、いかに私達育成団体とユーザーさんのコミュニケーションが深く取れるかどうかだと思います。その時もそうですが、初めのときにしっかり話をしてお互いをわかり合えないと進めないというか、いくら専門的な意見を聞いても、なかなかつかめないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇江藤座長 それでは、続きまして水上構成員どうぞ。
〇水上構成員 そもそもの仕組みの話になると思いますが、訓練どうするかということの前に、公費で賄われている以上、補装具の支給制度の仕組みを取り入れるということは考えられないのかなと思っています。補装具と一緒で、希望者の方は市区町村に申請を出すと思います。補装具も支給申請を出していて、更生相談所が申請者のニーズに合っているかどうか判定を行うと思います。そのあたりが、聴導犬や介助犬だと、誰が判定を行っているのかというところが不明瞭なのかなと思っています。なので、本当に聴導犬・介助犬が必要な方に対して、必要な犬が出せているのかどうかということになってきている、今はそのような課題があるのかと思います。訓練そのものよりも、もっと前の段階でその仕組みに課題があるのではと感じています。更生相談所が入れば、完成前に適合しているかどうかとか、判定の条件満たしているかどうかってことを適切に見る機能があると思います。もしかしたら指定法人と育成事業者が一緒になっているところは、それができるのかもしれませんが、育成事業者と指定法人が別であれば、指定法人に最初の入り口のところから入ってもらって、それをやるという仕組みをもっと確立するべきだと思います。指定法人にそれをしていただくべきなのか、別に設けるのか、また議論が必要なのかはわかりませんが、いずれにしても、その仕組みを取り入れた流れにしないと育成事業者は24団体くらいあって、多分すごく差があると思います。希望者の方に、介助犬とか聴導犬がそもそも必要なのかどうかというところもそうですし、どういう犬がその方の社会参加・自立のために必要なのかというところが、育成事業者任せでいいのかというのは、これまでの木村構成員や松本構成員のお話を聞いていてもすごく感じるところですし、そこの見直しが必要なのかなと感じています。訓練のあり方のところからは外れてしまいますが、意見として述べさせていただきました。
〇江藤座長 補助犬については、福祉用具の仲間ということで、補装具と同じような、というご意見ありましたけれども、扱いとしては福祉用具で障害のある方の生活支援、社会参加の促進というようなそういう目的で考えられていると思います。それでは阿部構成員。
〇阿部構成員 先ほどのご意見を伺って、私達はまずはユーザーさんのお住まいの自治体がフィルターをかけて、この人に犬を持たせていいでしょうとか、助成しましょうとか、そういうことを決められます。それはこの「ニーズの把握」に繋がってないのでしょうか。
〇江藤座長 「使用者ニーズの把握」ということで、そういうことも含めてご意見いただければと思います。
〇阿部構成員 まず面接に来られて、可かどうかというのを自治体が判断されるのですけれども。
〇江藤座長 それでは水上構成員、ご発言をお願いします。
〇水上構成員 前回、松本構成員からのお話だったと思いますが、専門職が不足していたりすると、そこの希望者の方に対する判断というか、介助犬や聴導犬の適用がきちんとできないという課題があるのかなというふうに感じたので、専門職にきちんと入っていただくという意味でも、そういう仕組みが必要なのかなと感じています。肢体不自由者とか聴覚障害者のことを理解して、その方にとっての社会参加が何か、自立とは何かということを、きちんとインテークすることもそうですし、アセスメントすることもそうですし、それに則って長期計画をたてるとか、そういったところの仕組みがきちんとしていないと、後々問題が起こっているのかなということを感じました。
〇江藤座長 それでは、砂田構成員。
〇砂田構成員 私は阿部構成員がおっしゃっていること、とてもよくわかります。まず障害福祉課の方が、県の方で給付が決定してから、育成事業者の方に連絡が来ることがすごく多いので、そのときに当然ですが障害福祉課の職員であったり、ソーシャルワーカーであったりが、その方に補助犬が必要かどうかというのはしっかり精査をして、県の担当者が選んでという、そこは専門職が関わっているのではないかなというふうに思います。なので、あえてそれをする必要があるのかなと疑問に思うのが一つ。それからもう一つは、指定法人にも相談に入ってもらってはどうかということですが、指定法人で認定試験を受けるときは、合同訓練・総合評価の前に最初にソーシャルワーカーや医師の面談と、例えば介助犬の希望者であればPT/OTさんの検査とか、聴導犬ユーザーさんであれば言語聴覚士さんの検査とか、そういったものをやってから合同訓練・総合評価、認定試験の流れにいっています。なので、指定法人は最初から入っているのが、今の補助犬の認定制度ではないかなと思いますので、ただそれが今回の話で言うと、きちんと機能していないということであれば、新しく入れるというのではなくて、例えば指定法人の面談がしっかり機能するようにしていくというような、そういう仕組みの作り方が大事なのではないかなと思います。
〇江藤座長 木村構成員、どうぞ。
〇木村構成員 阿部構成員や砂田構成員から、県の補助犬助成事業を受けたことが前提となってお話がありましたが、実際には助成事業のない県もたくさんありますし、助成される頭数も限られていまして、県の助成に当たらない人の方が多いような状況です。ですから、助成事業を経ないで、介助犬や聴導犬を持つ使用者はたくさんいますので、その辺のことをきちんと決めずにおくと、助成を受けなかった人というのは、ニーズ評価がされないままで介助犬を持つことになってしまいます。どちらかというと助成を受けない人の方が多いですから、水上構成員からお話があったような補装具助成のような方法を考えておかないと、ニーズ評価ができないと思います。ニーズ評価だけではなく、介助犬使用者の場合、肢体不自由者が多いですから、合同訓練にどの程度耐えられるのかという医学的な評価もきちんとリハ医師や作業療法士、理学療法士の方々にも見ていただく必要があると思っています。訓練事業者が合同訓練を始める前に、僕としては指定法人とともに相談をするような形のニーズ評価をしていただけるとありがたいです。以上です。
〇江藤座長 ありがとうございます。それでは水越みゆき構成員。
〇水越みゆき構成員 日本聴導犬推進協会の場合は、県の方から給付をするので聴導犬を出してくださいとわれることはほとんどないです。協会の方に最初に聴導犬が欲しいという申し込みがあって、そこで協会の方で専門職や訓練士等といろいろ相談や評価をしていってから、実際に聴導犬の候補犬が決まって、訓練の目途が立っていくっていうふうな形になっていくので、この方に聴導犬を給付して欲しいと言われ、この犬でというふうにすぐ出せる状況ではないっていうところがあります。その辺は育成団体ごとに、たくさん犬を保有している団体は出してくださいって言われたらすぐに出せるような状況であるとは思いますが、当会のように小さな協会だと抱えている頭数も多くないので、その方にすぐにぴったり合う聴導犬を出すことができるかと言われたらそれは無理な話になってしまうので、どちらかというと認定をする指定法人の方と、最初に連携をとれるような形を作っていく形で書いていただくような方法がいいのではないかと思います。あと、砂田構成員、阿部構成員が話をされていたと思いますが、県の方でふるいにかけてこの方に給付すると決めるということでしたが、県の担当者は聴導犬や介助犬のことをちゃんと理解しているのかというとこに疑問を持つことが多いので、実際私達の協会にも県や市区町村から「聴導犬が欲しいと言われましたが、どうしたらいいですか」と相談を持ちかけられるくらいなので、県にいる相談を受けている方たち、どの方に給付をしていくか決める人たちが、実際に介助犬や聴導犬のことを理解しているかと言ったら理解してないというのがほとんどだと思っています。なので、県の担当者とかにお任せするのはどうかな、というのが私からの意見です。
〇江藤座長 それでは松本構成員、ご発言をお願いします。
〇松本構成員 専門職の係わりに関しては、ずっと前からお話させていただいていますが、ほとんどの補装具、補聴器をはじめ、補装具に関しては、例えば病院で先生や専門の相談員の方と相談をした結果必要となって、福祉の窓口に行ったり業者に行ったりという形になって、実際に手にするというような流れがあると思います。そうすると手にしたいと思う前に、手にした方がいいのではないかという判断を専門職の方にしていただくチャンスがほとんどの場合はあります。けれども補助犬の場合は、介助犬の場合は病院のOT/PTの方と関わって介助犬という選択をする場合はあると思いますが、聴導犬の場合は先ほど水越みゆき構成員もおっしゃったようにダイレクトに犬が欲しい、聴導犬がほしいと思って訓練事業者に行くというパターンがほとんどです。福祉事務所に行って相談をした結果、補助犬がほしいとなるパターンはほとんどないと思います。そうなった場合、最初にユーザー希望の人と対面するのが訓練事業者ということになります。そこで、阿部構成員がおっしゃったようなコミュニケーションをしっかり取るというのは当然必要なことですが、そこは単に希望を聞く等のコミュニケーションではなくて、きちんとしたその人のニーズを把握する専門的な視点が必要ということをお話してきました。その際に、もちろん訓練事業者にインテークができる専門職がいればベストですが、なかなかそれが協会の規模や人員的な理由で難しいというときに、何かしらの方法で専門職との関わりが必要だと思います。一つの方法として、指定法人とあらかじめ最初の訓練を始める前の段階で関わってはどうかというのは一つの案であって、もちろん自分のところで連携をとっていて、きちんとした専門職と関われるのであれば、必ずしも指定法人と絡むというのはマストではありません。ただ、指定法人にいる専門職と関わるというのも一つの方法ではないかということだと思います。なので、補装具の一つとして補助犬を考えたときに、訓練を始める前の段階でユーザーとなる、希望を出している障害者のニーズを正しく把握するという過程が必要ではないかと思います。以上です。
〇江藤座長 それでは水上構成員どうぞ。
〇水上構成員 既に水越構成員にも少し発言いただきましたが、都道府県からの補助金を決定していただく段階では、希望者の判定は私も出来ていないと思っています。補装具支給の流れで考えても、更生相談所がきちんと判定するという機能のところが、補助犬で考えたときに私たち育成事業者は第二種社会福祉事業の届出をしただけで育成ができてしまうというところなので、本当に正しく人の評価も犬の評価をし、正しいマッチングをしてというところを間違いなくやるためには、評価基準や判定できる仕組みが必要だというのは、松本構成員がずっとおっしゃっていることと同じだと思います。育成事業者だと、自分たちも含めて第二種社会福祉事業の届け出だけでできちゃうっていうところが、もう少しきちんとした評価をするところが間にないと、県からは本当に決まったように申請して、その流れに乗ればその方に給付していただくということは、できてしまうので、そこは仕組みとしては足りないのではと考えています。
〇江藤座長 続いて砂田構成員、どうぞ。
〇砂田構成員 今の皆さんのお話だと、指定法人が全く機能していないような感じを受けます。例えば、ここの指定法人で認定試験を受けましょうというと、先ほど申したように最初に面談やPT/OTさんの検査がありますよね。それは、皆さんが言う、一緒にタッグを組んで入ってもらった方がいいというのには当てはまらないということになるのでしょうか。例えば、当会では申し込みの方がいらっしゃってここで試験を受けましょうというふうに、希望者さんに決めていただいて、そこでまず指定法人の面談などを受けていただいて、そこから合同訓練を始めます。その理由は、まず面談の段階で指定法人がこの方には介助犬は必要ないです、聴導犬は必要ないです、という判断をされれば当然ですけれども、認定試験は受けられませんので、認定も取れません。なので、最初の段階で指定法人の面接と検査を受けていただき、この方には必要ですねという判断を得てから、試験に向けて合同訓練を始めていくっていう流れが、私は今の補助犬の認定制度なのではないかと思っているので、今皆さんがおっしゃったように、新たに指定法人以外にとか、最初から指定法人に入ってもらってというのはもう既にやっていることなのではないかなというふうに感じます。以上です。
〇江藤座長 それでは北澤構成員、どうぞ。
〇北澤構成員 砂田構成員がおっしゃったように、実際のところ今の育成の流れの中で、この方に介助犬を渡していくかどうかというのを検討する際に認定事業者に加わっていただいているというのは実際のところあると思います。そのほうが多いのではないかなと思いますが、それが今、訓練基準の中で明記されているかというと、そこがないのであればそういうところを入れていってもいいのかなと思います。ただ、水上構成員、松本構成員、木村構成員がおっしゃっているような、補装具の流れと同じようにするのであれば、育成をしていない認定事業者にも、もっと介助犬ユーザーと介助犬の生活というのを知っていただく必要があるのかなと思います。どうしても、日常的にユーザーと関わっている育成事業者と総合評価や認定審査のときだけ関わって、後は書類でやりとりしますよというふうな認定事業者だと、視点等がずれている部分も多く感じるので、もし認定事業者が最初から貸与に進める前から関わるというのであれば、認定事業者に育成の部分、ユーザーと介助犬の関係性の部分をより知っていただく必要性はあるのかな、そういう仕組みをあらかじめ作っておく必要はあるのかなとは思います。
〇江藤座長 それでは木村構成員どうぞ。
〇木村構成員 現時点の訓練基準の要綱の中では、ニーズ把握についての規定があまりないと思います。ですから、実質は合同訓練を受ける前に、指定法人の医療関係者の方の評価を受けて、合同訓練を受けるようになりますが、現状の訓練基準の要綱の中にはそういうことが書かれていないので、そういうことをきちんと明記して、今そういう方法をとっていない訓練事業者があれば、そういう方法をとっていただけるように、訓練基準に合同訓練を受ける前に指定法人の評価を受けるというようなことを明記していただけるといいのではないかと思います
〇江藤座長 それでは朴構成員。
〇朴構成員 水上構成員の発言の中で、何か問題が起こっているようなことをおっしゃっていましたが、具体的に何か事例ってあったのでしょうか。
〇水上構成員 特にそういう事例があるわけではありませんが、松本構成員や木村構成員からのお話を受けて、お困りになっているユーザーさんがいらっしゃるのだろうということで、きっと課題はそういうところにあるのかなというふうに思いました。仕組み自体を変えなければ、そのあたりの解決にならないのではと思ったので、そういう発言をさせていただきました。
〇朴構成員 課題は解決しなければいけませんが、その対応のシステムを作るとまた別の課題が発生すると思います。私は今お話している内容を盲導犬の育成事業者にも当てはめるのかを考えていました。訓練事業者が出した犬で、ニーズの把握ができていなくて、これだけの問題があるというものがあれば、システムを変えなければいけないと思いますが、現在第二種社会福祉事業者で介助犬・聴導犬を実際に寄付も集めて出している事業者のやり方は盲導犬を前例としていて、今の段階では十分に機能していると思います。一方で、申請を出しながら20年近く1頭も補助犬を出していない事業者もあることに関しては、第二種社会福祉事業の申請だけでいいのかを、また別の問題で考えていただければいいと私は思います。以上です。
〇江藤座長 使用者のニーズの把握ということで、今ご議論いただいているわけですが、事業者と指定法人のそれぞれの関係も踏まえていかがでしょうか。松本構成員、どうぞ。
〇松本構成員 合同訓練の前に指定法人に関わってもらうことに対しては、いろいろなご意見もあると思いますし、指定法人にもいろいろなところがあるので一律で指定法人と関わるのがよし、とは思ってはおりません。あくまでも、専門職との関わりということをお話ししているので、それが指定法人であれ、自分の協会でももちろんいいのですが、補助犬法が犬を訓練するための法律ではなくて、あくまでも障害を持つ人たちの社会参加を促進するために補助犬をいかに有用に理解普及させ、より良い補助犬を作り出していくかということを考えて作られた法律であるということを考えると、たとえ相談が最初に育成団体に来たとしても、そこで考えなければいけないのは、犬をどうするかということではなくて、その相談に来た障害を持つ人たちが、今の生活のレベルや状況を少しでもよくするために、どんな犬が役に立つのかということを考えることが最初のスタートになると思います。それは福祉事務所からの流れで来た希望者にしても、病院などの専門職から紹介されてきた場合も同じだと思います。障害のある人たちが、自分の生活を少しでも改善、向上させるための手段の一つとして、補装具の一つとして補助犬を選んだということをまず考えたときに、考えなければいけないのは「その人」のことだと思います。その人を見るということが必要で、そこに専門的な視点が欲しいということです。だから、どんな犬がいいか、どんな訓練をしたらいいかということを考えるにあたっても「その人」を見なければできない、その人を見るときに、ソーシャルワーク等のきちんとした視点を持ってやっていただきたいということです。そこに指定法人は必ず絡むのがいいというのではなくて、指定法人という方法もあるということです。犬の訓練事業者ということを考えると、どうしても犬を見ること、犬をどうやってその人に合わせるか、その人に合ったどういう犬を作るかということになるとは思いますが、最終的なゴールは障害を持つ人たちの福祉の向上、生活の向上ということを考えたときには、人を見る視点がまず最優先、スタートの時点で必要だと思います。認定の段階ではなくて、訓練を始める前の段階で必要ということを繰り返しお伝えしたいと思っています。
〇江藤座長 それでは水越みゆき構成員お願いします。
〇水越みゆき構成員 松本構成員がずっとおっしゃっているように、聴覚障害者のニーズを把握していくというところで、専門職の関わりが必要で聴覚障害者の生活をどういうふうに見ていくかっていうことができる専門職が必要だということだと思います。前回のWGのときにもお話をさせていただきましたが、聴覚障害者の生活を専門的に見ることができる専門職って誰ですか、ということに対して明確な反応がなかったので、それをどうするのかというところを決めていただきたいと思います。なぜかというと、聴覚障害者って聞こえなくなった時期や成長してきた過程などでいろいろな考え方や理解する力、コミュニケーションの能力などが変わってくるというところがあります。そこを把握していかないと、実際に聴導犬と社会参加をしたときに問題を起こしてしまっているケースがかなりあって、私達の協会にも、うちの協会の聴導犬ではないけれども、実際にこういうことをして困ります、という相談を寄せられることが多々あります。なので、私達としてはこういう聴導犬を出していますというお話をするしかなくて、実際に問題を起こしてしまっている聴導犬に対して私たちのところから何かしていくということができません。社会で問題を起こしている聴導犬が一般的な聴導犬だと思われてしまうと、実際にきちんと働いている聴導犬も、聴導犬として機能していないというふうに思われてしまいます。聴導犬ってこんなものなんだ、と社会に認識されてしまうことが、今私達にとっては一番困ることだと思いますし、そうならないようにするために、ユーザー教育とかをしていかなければいけないわけなので、きちんと聴覚障害者の専門職として誰を配置していくのかということを決めて、それを合同訓練のときに生かしていくということが実際には必要なんじゃないかなと思っています。
〇江藤座長 それでは砂田構成員、どうぞ。
〇砂田構成員 何回も同じことになりますが、皆さんが今議論されていることが、指定法人も選択肢にありますよ、ではなく、認定を取るということは、つまり指定法人は絶対絡んでくるわけであって、指定法人は欠かせない存在です。なので、指定法人のあり方とか、先ほど北澤構成員がおっしゃったように、指定法人と訓練事業者がしっかり連携をとってやっていくという部分が問題であって、先ほど水越みゆき構成員が聴導犬として、トラブルを抱えているユーザーさんがいらっしゃるっていうことですが、それは訓練事業者ももちろん問題ではありますが、その犬を出してしまった指定法人の方に私は一番の問題があると思っているので、いくら訓練の指標を厳しくしてしまっても、例えば駄目な訓練をしても最終的に世に出す、出さないを決める権利は指定法人にあるわけなので、駄目な聴導犬が出てしまったということは、指定法人が正しく機能していないのではないかと思いますので、指定法人と訓練事業者の連携という部分をもう少ししっかりしていくことが問題解決に一番繋がるのではないかと思います。
〇江藤座長 それでは松本構成員、どうぞ。
〇松本構成員 水越構成員がおっしゃっていた、聴導犬ユーザー、聴覚障害者にとっての専門職ということに関して、私もずっと考えていて、介助犬の場合のOT/PTさんと比べたときに、私が聞こえなくなったときに、どんな人に私の道を指し示してもらっただろうかということも含めて考えてみましたが、正直立石構成員がいらっしゃるのにこう言うのもなんですが、STの先生に助けていただいたという覚えがあまりなくて、聴能訓練や補聴器のフィッティングではSTの方にもちろんお世話になりましたが、聴導犬という聴能ではない部分を考えたときの相談っていうのをした相手というのは、私はソーシャルワーカーでした。社会福祉の方に相談にのっていただきました。社会福祉士の方に相談することによって、補助犬という方法も含めた、私はこれからどうやって生きていくか、どうやって生活していくかということの道を少しでも指し示してもらうために、社会福祉士に相談しました。私自身も社会福祉士であることも考えていますが、聴導犬を希望する人のニーズの把握などをするにあたっては社会福祉士しかないのかなと。森戸構成員もいらっしゃるところで言うのもあれなんですが、私はそういうふうに思っています。なので、指定法人で社会福祉士が機能していて、社会福祉士がその人の補助犬も含めた生活全般に関しての相談を受けた中で、補助犬について評価していくということができれば一番いいのかなと思います。ただ、砂田構成員がおっしゃったような、指定法人と訓練事業者の連携はとてもいいことだと思います。ただ、連携がなれ合いになってしまうことが一番心配です。きちんとした評価ができるということが、訓練が始まる前にしても終わったあとの認定の段階でも、そこでなれ合いではない連携が保証されることが大事だと思います。そうしないと、なんとなく評価された、なんとなくの基準によって訓練がされて、評価も最終的になんとなくいいのでは、となってしまうような連携だとそれはいいことではないと思うので、シビアな視点も含めた連携であることが望ましいと思います。以上です。
〇江藤座長 それでは北澤構成員、どうぞ。
〇北澤構成員 先ほど聴覚障害者もしくは聴導犬ユーザーに関わる専門職はどういう職種かというお話があったと思います。実際、私は介助犬の育成事業に携わっていて、多分同じような問題が介助犬の育成事業にも出ていると思います。というのも、例えば肢体不自由者に関する専門職と言うと、例えば先ほどのソーシャルワーカーもそうですし、作業療法士、理学療法士というのもありますけれども、介助犬使用者や介助犬の訓練や犬の行動や学習のことをどこまで作業療法士、理学療法士、ソーシャルワーカーが理解されているかというと、なかなか難しい部分があると思います。私達育成業者としても、当然犬の訓練をしてきているので、私達自身も肢体不自由者のことをもっとよりよく知らないといけません。そこをチームとして取り組まないといけないというのが今の決まりだと思いますが、誰がイニシアチブをとって進めていくか、それが誰なのかというところは、同じような課題は感じています。以上です。
〇江藤座長 専門職といっても様々ですよね。専門職の教育も含めてですね、それでは立石構成員どうぞ。
〇立石構成員 ご指摘もいただきましてありがとうございます。確かに言語聴覚士が、補助犬のニーズがある障害のある方に適切に対応できるかというと必ずしもそうではないと思います。それは言い訳のようですが、言語聴覚士が数も少なく、例えば指定法人に必ず言語聴覚士が配置されるということにも、もちろんならないわけでして、医療の領域の中がせいぜいというところが現状です。ただ言語聴覚士は全く関わらなくていいとは私は思っていません。ですから専門職というときに、それぞれの餅は餅屋の部分があると思いますので、それをどう生かすかというところが大事なところだと思います。ですから、何かの職種でなければいけないとか、そういうことではないのではと考えております。以上でございます。
〇江藤座長 それでは続いて吉田構成員どうぞ。
〇吉田構成員 先ほどからお話伺っておりまして、色々なるほどと思うことがたくさんあって、勉強させていただいております。北澤構成員と立石構成員がお話してくださったことを踏まえて、二点お話しさせていただきたいと思っています。一点は北澤構成員が言ってくださったチームリハビリテーションということだと思います。立石構成員もどの専門職がということではなく、そのときに必要な専門職が必要な情報を、犬の専門職も含めてそれぞれ出し合って、力を合わせて何かを判断していったり、チームメンバーの中にはもちろん、障害をお持ちの当事者の皆さんも、メンバーとして入るということになっていますので、当事者の皆さんからのご意見、それぞれの専門家の皆さんからのご意見を合わせて、物事を解決していくという考え方が適切な考えなのではないかと思っています。それがリハビリテーションの考え方であるというふうにも思います。二点目はイニシアチブの問題ですけれども、その場面で解決すべき物事がどの専門職が一番知っているのかということで、場面によってイニシアチブを取る専門職というのは変わってくるとリハビリテーションの中では考えられています。もちろんチームを編成するときに、招集するときに医師が中心になるというようなことがある可能性はありますけれども、犬の問題が大きいのであれば、犬の訓練士さんが中心になるでしょうし、それから身体機能の問題であれば理学療法士さんとか、生活の中の困りごとについて犬を使ってどう解決するのかということであれば作業療法士なのかもしれません。今は介助犬をベースに喋らせていただいています。ですから、イニシアチブを取るのが誰なのかということを最初に決めておく必要はないのではと思います。ただ、合同訓練をする上で長時間一緒にいらっしゃる犬の訓練事業者さんというのは非常に使用者のことをよくご存知の場合もたくさんありますので、その力はぜひ発揮していただきたいというふうには思っていますし、先ほどご指摘いただいたように作業療法士、理学療法士、言語聴覚士の専門職も、犬のことについての知識を訓練士さんから学習しながら協力させていただくということが基本的な姿勢ではないかと思っています。以上です。
〇江藤座長 使用者のニーズの把握ということで、ご意見をいただいておりましたが、時間の制約がございますので、次の課題に移らせていただきたいと思います。続いて、「利用者ごとの長期計画の策定、補助犬のリタイア時期(フォローアップの方法を含めて)」ご意見をいただきたいと思いますが、それぞれ内容的に関連しますので、こうしたまとめ方で良いのではないかと思います。ご発言がありましたら順番に示してまいりますので、挙手または手を挙げるアイコンでお知らせください。水越美奈構成員委員、どうぞ。
〇水越美奈構成員 補助犬のリタイア時期についてですが、まとめの方にはあえて年齢をあげないでというようなことでしたが、私は獣医師でその中でも動物行動学を専門にしております。犬も人と同じように高齢になると認知機能の低下というのが起こります。犬では認知機能不全症候群といった診断名になりますが、この高齢性の認識機能の低下ですが、日本も含めてアメリカやスペインや英国など様々な国で調査がされていまして、結果を見ますと、11歳で15%から20%が認知機能低下の症状が現れます。そして15歳になると約80%の犬で症状が現れるという報告があります。ほぼ世界的に同じような結果が出ております。そういうことを考えますと、現在盲導犬などでは、10歳程度で引退させるというのは非常に理にかなっていると思います。また犬種は関係ありません。小型犬も大型犬もだいたい11歳で15%から20%、15歳で80%というような結果が出ております。そういうことを考えますと、確かに一律でということは、しなくてもいいかもしれませんが、例えば10歳ぐらいで後1年あるいは2年プラスできるのか、あるいはもう10歳で引退をすべきなのかという判断は必要かと思います。人と同じように認知機能の低下では学習の忘失が起こります。そうなると作業の効率が落ちたり、作業がしっかりできなかったりというようなことが起こりますと、犬の福祉だけではなく、事故にも繋がると思います。ですので、年齢についてはだいたいこの程度、10歳程度というようなことは付け加えるべきではないかと思います。以上です。
〇江藤座長 長期計画の策定に関連して、補助犬のリタイア時期について水越美奈構成員からお話がありました。それでは、木村構成員どうぞ。
〇木村構成員 水越先生からお話があったように、僕もある程度の引退時期を決めておいた方がいいと思います。水越先生からは、犬の認知機能の問題がありましたが、僕たち使用者の側にとっても犬の引退時期がある程度決まっていないと、自分の人生設計も考えられません。ですから、まず10歳か11歳ぐらいになった時点で、これからこの犬が後何年働けるかっていうことを、ある程度評価していただいて、それで次の犬をもらう時期が決まるので、合同訓練に入る時期を考えて、僕はもう定年退職していますけれども、仕事をしている使用者は会社と合同訓練の時期を相談するとかしなければならなくなります。ある程度の引退時期を決めて、そこからあと何年ということをきちんと把握していただくような方法をとっていただけると使用者としてもありがたいです。以上です。
〇江藤座長 いかがでしょうか、引退時期についてある程度は年数を定めておいてもいいのでは、というご発言です。犬も年齢で10歳11歳過ぎると認知機能が落ちてくるということです。それでは松本構成員どうぞ。
〇松本構成員 これまで2頭の聴導犬を引退させて、3頭目と生活している立場から言いますと、確かに長期的な見通しを考えたときに、突然そろそろ無理だと言われてしまうより、ある程度先の見通しが立っている方が、私達の人生設計にとってもありがたいというのは木村構成員おっしゃる通りだと思います。ただ、一方で個体差があるということや生活環境の差もあるということも考えたときに、やはり途中経過での評価が大事になってくると思います。一律年齢で決めるというよりも、いくつかの段階を経て、チェック項目をある程度決めてそれをクリアできるかどうかという、高齢者の運転技能じゃないですけれども、そういうチェック項目をある程度定めることによって、それを何歳ぐらいのときにやるということを定めるという形で、引退時期をある程度決めるということができたらいいのではと思います。それぞれの判断で、そろそろ無理だというのではなく、きちんとした判断の基準があるべきだと思います。それをいつの段階でするかということを決めておくことによって、数値としての何歳でというのを決めなくても、その犬の活動の限界というのがだんだん見えてくるのではないかと思います。それは犬の訓練士さんや獣医さんの方が専門家なので素人意見ですが、そういった数字で決めない方法もあるのではと思いましたが、いかがでしょうか。
〇江藤座長 いかがでしょうか、フォローアップの時期あるいはフォローアップの頻度なんかも関係してくるかと思います。水越美奈構成員、どうぞ。
〇水越美奈構成員 先ほど松本構成員の方から、何か基準であるとかというような話がありましたが、私ども行動学が専門の獣医の中ではいわゆる評価表というものはあります。人間の認知症の評価表のようなものはいくつか世界的にもありまして、それを使っています。我々は基本的には家庭犬を対象としていますが、だいたい8歳~10歳ぐらいになったら、1年に一回飼い主さんに評価表をチェックしていただいて、認知機能の進行を評価するということはできます。それを応用というか、例えば10歳ぐらいの時期にそういうものをやっていただいて、認知機能の評価を行い、同時に認知機能だけではなく、10歳を過ぎると特に大型犬でありますと、関節炎等の身体的な老化というのも著しく出てくる犬もおりますので、毎年の定期健康診断というのはどの団体もやっていらっしゃると思いますが、引退時期というか、高齢、例えば10歳くらいになった際にはそれらのチェックを加えるということで評価は可能かと思います。
〇江藤座長 補助犬についても定期健診は毎年行われているようでございます。フォローアップの方法、頻度も含めていかがでしょうか。北澤構成員、どうぞ。
〇北澤構成員 リタイアの話があがっていると思いますが、私達のところでは10歳過ぎてから11歳未満までに引退をするというふうに決めていて、このデータを見ても介助犬の場合は10歳から11歳で引退させるところがほとんどで、聴導犬の場合も12歳で少なくとも引退させているというところがほとんどなので、もし何か明確な基準を作るのであればそういうところを踏まえて考えてみてもいいかと思います。ただ私達の育成事業者だと、とても小さな規模でやっているので、この子はまだ健康上大丈夫だから、引退時期を少し遅らせようということがなかなか逆に言うとできません。というのも、ユーザーの方が次に2頭目、3頭目の介助犬を希望されるという方であれば、万が一10歳、11歳過ぎて実働させていて、急に何らかの問題が起きて介助犬が働けなくなったとなった場合に、すぐに次の介助犬を提供できる体制が整っているというわけではありません。そういうことを考えると、あくまでも私達のところの考えにはなりますが、健康上支障がある前に、もう引退をあらかじめ決めておくというのが、運営をしていく上でもユーザーにできるだけ介助犬との生活をスムーズに引き継いでいってもらえるようにするには、そうせざるを得ないのかなというのが今の実情かと思います。
話が変わってフォローアップのことで提案があります。先ほどのニーズの把握のところでも、連携というテーマが挙がっていたと思いますが、私達としても認定事業者にもっとフォローアップにも関わっていただきたいとは思ってはいますが、現状ではそうなっていなくて、私達が認定を受けた認定事業者であれば、ほとんどが書面での現状確認であるとか、使用者には現状確認しているが、育成事業者の方には現状確認をしていないという認定事業者もあります。なので、先ほどのニーズの把握のところでも発言をさせていただきましたが、例えば年に1回とか2回とか決めて育成事業者のフォローアップに認定事業者が同行するような形で、使用者と介助犬・聴導犬の生活というのを、普段育成に携わっていない認定事業者のソーシャルワーカー等が関わるような、実際の生活を知っていただくような制度が必要になってくるのかなと思います。そうすることでニーズの把握の部分にも、もっといろんなことを反映させられていくのではと思い、ご提案させていただきます。以上です。
〇江藤座長 他にいかがでしょうか。木村構成員お願いします。
〇木村構成員 水越先生に質問です。先ほどのチェックシートは、素人の使用者でも簡単に行えるものでしょうか。そういうものがあればフォローアップの際に、必ずある程度の年齢に達すれば、チェックシートで認知症があるかどうかとか、兆しが見られるかどうかということを訓練士がチェックすることで、引退時期の判定の評価にも繋がると思います。簡単にできるものでしょうか。
〇水越構成員 今のところ確か三つぐらいありますが、統一はされていません。全て飼い主さんが、日頃の犬の行動についてチェックをする、〇×でチェックをしてそれを点数化することで、例えば認知機能低下症ではない、あるいは軽度であるとか、点数で判断します。飼い主さんの主観的なチェックなので、完全に判別するというのは難しく、そのためにいくつか研究者が作っているところでもありますが、非常にチェックは簡単です。30問くらい、時間は10分程度は必要にはなると思います。
〇江藤座長 よろしいですか。それでは松本構成員。
〇松本構成員 先ほど北澤構成員がおっしゃっていた、認定事業者によるフォローアップでの関わりということに賛成です。認定団体はペアを認定して、お墨付きを与えたという責任を考えたときに、きちんとその後状態が保たれているのかということはきちんと関わってチェックするべきだと思います。引退時期に関しても、そこで認定を出している責任者の立場から評価をするという視点があるのは、正しいと思います。そうしないと何か問題が起きたときに、認定を出した認定団体の責任が問われる部分はあると思うので、フォローアップを通して、そして引退の見極めに関しても認定を行った団体が関わることに関しては私も賛成です。
〇江藤座長 フォローアップにおいては認定団体も育成団体も、連携が必要だというご意見が先ほどからありますが、いかがでしょうか。フォローアップに関しても、訓練日数とも関係してきます。北澤構成員、どうぞ。
〇北澤構成員 皆さんの意見もお聞かせいただけたらと思っていますが、もしないようであれば、もう一つ疑問に思っていることを確認したいです。今回の議論の方向性として、私達育成事業者に対してより緻密なサービスの提供というか、細かい部分まで配慮した上でサービスをするようにということを求められるようになっていると思いますが、サービスの質や回数を増やしていくということになれば、育成事業者にはおそらく今以上のコストがかかってくるのではないかというのが予想されると思います。今でさえも、育成事業者は皆様からのご寄付に頼った運営をしているところがほとんどだと思うので、それもおそらく厚労省の担当されている方々もご存知だと思いますが、行政からの委託や給付の費用、私達がいただける費用だけではやっていけない、現状でさえもやっていけてないということがあります。厚労省として、育成事業にかかる費用というものを、果たしてどこが負担するべきだというふうに考えておられるかお考えをお聞かせいただけたらと思います。いかがでしょうか。
〇江藤座長 どうでしょうか、事務局の方でなにかございますか。
〇周藤専門官 事務局の周藤です。難しい質問でどこがということになると、我々も回答が難しいところがありまして、もちろん北澤構成員がおっしゃるような現状というところも、理解はしていますが、そこはもう少し細かくどんなところに負担がかかっているのか、回数とか頻度というところは精査していく必要があると考えております。以上です。
〇江藤座長 その他にいかがでしょうか。それでは続いて、訓練日数についてご意見をいただきたいと思います。訓練日数についてもご発言がございましたら、順番に示してまいりますので手を挙げるアイコンでお知らせください。木村構成員どうぞ。
〇木村構成員 先ほどのフォローアップの件に追加しても構わないでしょうか。認定基準のときにもオンラインを活用するというお話があったので、フォローアップの面についても回数を増やす意味で、オンラインのZoom等の会議で訓練事業者と指定法人と使用者が会話するような場面を設けてのフォローアップを綿密に行うようなことも検討していただければと思います。
〇江藤座長 前回もリモートを使ってというようなご意見あったかと思います。ご議論を基にして整理していくことになると思います。それでは砂田構成員。
〇砂田構成員 もう1回フォローアップに話を戻します。盲導犬はどのくらいの頻度でフォローアップをされているのでしょうか。
〇朴構成員 盲導犬は卒業して1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年と、フォローアップをします。歩行指導員は貸与を決める前にご自宅での面接や、家の周りの道路の様子とか環境を把握して犬を選んでいます。ですから1年経ってしまえば必要があるときにフォローアップをするということになります。それから引退時期を決めるときに9歳くらいから、医療的なデータを見ながら、ユーザーとの聞き取りも含めて現地に出向いて引退時期を原則の10歳で行うのか、代替ユーザーの場合はシームレスに犬を繋ぐことも考慮し、引退時期を決めます。砂田さん、このぐらいの説明で大丈夫でしょうか。フォローアップはやっています。介助犬・聴導犬とほぼ変わりありません。
〇砂田構成員 今の形で言うと介助犬が聴導犬だけ、どんどん頻度をもっともっと増やして、かけ離れているとどうかなという部分があって、盲導犬は朴構成員がおっしゃったような頻度でも、私の知る限りではユーザーさんも盲導犬も幸せに暮らしている方が多いので、そこで盲導犬と足並みを揃えていいのではないかなというのが私の意見です。
〇江藤座長 フォローアップに関連してもまだご意見あればと思いますが、訓練日数についても先ほど事務局からご説明があったような数字が出ていますが、いかがでしょうか。木村構成員どうぞ。
〇木村構成員 事務局より合同訓練の日数の紹介がありました。介助犬と聴導犬が合わさった平均値ですが、1頭目の平均値が74.1日ということですので、実際平均で言うと皆さん介助犬の基準の40日より長く訓練されていると思います。そこで実際、聴導犬の訓練日数が平均でどの程度か分かりませんが、僕は聴導犬の訓練基準における合同訓練10日以上というのは短いような気がしています。犬の訓練というのは何度も反復しながら、犬との生活を続けることで信頼関係が出てくると思います。合同訓練を10日で終えるような育成団体さんはあるのでしょうか。以上です。
〇江藤座長 介助犬・聴導犬合わせての平均日数が出ていますが、10日で訓練というのは現実にあるのかということです。水越みゆき構成員、どうぞ。
〇水越みゆき構成員 私たちは聴導犬の訓練事業だけをやっているので、聴導犬の話になりますが、聴覚障害者自身はコミュニケーション障害なので、聴覚障害者それぞれの評価を行った上でどのぐらいの期間合同訓練をしなければならないかというところを考えていきます。聴覚障害者それぞれ、説明した内容を把握する理解力についても、成長過程や過ごしてきた環境等ですべて変わってくるので、その方の能力に合わせてきちんと目標まで進んでいくだけの日数を使っていくというふうに私達は考えています。ですから、以前10日以上というふうに訓練基準を決めたときに、犬の訓練の部分だけのことを考えて10日以上と話し合って決められたのではないかと私は見ています。しかし、実際に聴覚障害者の方に対して社会参加ができるだけの、きちんとしたレベルの教育を施していくことを考えると、逆に介助犬よりも長くなってもいいのではないかと思うところはあります。もしくはそれと同じぐらいの長さの日数を、きちんとした団体なら使っているのではないかと思っています。以上です。
〇江藤座長 合同訓練の日数については、平均値かなりの数値になっているかと思います。訓練日数について、主にご議論いただいていますが、先ほどのフォローアップに関連したことでもよろしいかと思います。吉田構成員、いかがですか。
〇吉田構成員 先ほどのフォローアップのお話に続けて、意見を述べさせていただこうと思って、手をあげましたが、訓練期間の話に移行していたので控えさせていただきました。江藤座長、ありがとうございます。訓練日数にも関係があるかと思いますが、介助犬を使用される方の中には進行性の病気をお持ちであったり、加齢によって障害が変化されたり、複雑な障害をお持ちで訓練日数に非常に多くを要するという方もおられるかと思います。フォローアップに関して言えば、変化が生じるような障害が予測されるようなことであれば、それはフォローアップの期間や回数をそれに合わせて検討していく必要があるかと思いました。問題がなければ、訪問しない場合もあるというようなお話でしたので、もちろんそういう場合にはおそらく問題がないのだろうと考えますが、その方のお持ちの障害や生活の状況の変化というのも、もちろんございますので、それに合わせてフォローアップの回数、頻度というのは決まっていくのかなと考えています。ですから、訓練期間も同じように、最低限必要な日数というのはあるのかと思いますが、上限というのはその方に合わせて設定されることが必要なのかなと考えます。以上です。
〇江藤座長 訓練日数に関して、ある程度上限は設定するにしても、利用者さん1人1人違うのでその方に合わせて考えるべきであろうかと思います。訓練日数についていかがでしょうか。水越みゆき構成員、どうぞ
〇水越みゆき構成員 ここに参加されている育成団体の方たちはある程度きちんとされているのではないかという話を前回させていただきましたが、あくまでも訓練基準というのは最低のラインを決めていくものだと思います。実際に聴導犬を育成されている団体さんから出てきている聴導犬で合同訓練をまともに受けていなかったというケースもあり、相談されたこともありました。話をよくよく聞いてみると、ちょっと行って30分ぐらい訓練してというのを2回~3回ぐらいやって、合同訓練が終わって認定と言われたユーザーさんもいらっしゃいました。今の基準でもある10日の訓練さえも実際にやっていないところがあると思います。できる限りきちんと合同訓練を受けられる、ユーザーさんとなる方が育成事業者もしくは指定法人から、聴導犬のユーザーとして社会に出しても大丈夫というお墨付きをもらえるような合同訓練をしっかり受けられる体制というのを作っていかなければならないと思います。そういったところで、最低基準での日数っていうのはしっかりと決めていただきたいです。
〇江藤座長 それでは、砂田構成員どうぞ。
〇砂田構成員 最低日数を決めるというのは賛成です。ただ皆さん少なくする方には頑張るかもしれませんが、たくさんやるというのは労力がかかるので違反をして駄目な介助犬や聴導犬をつくる団体というのはいないと思いますので、上限は必要であれば時間をかけて訓練をするという意味では、私は必要ないのではないかと思います。もう一つ先ほど水越みゆき構成員がおっしゃったように、合同訓練もまともに受けていなくて困っていらっしゃるユーザーさんがいたということですが、それは犬と訓練事業者に認定書を出してしまった、指定法人の方に私は問題があると思っています。認定制度というもの自体が、指定法人がしっかり機能していないからそういうことが起こったと思います。訓練事業者ももちろん大事ですけれども、訓練事業者がきちんとやっていて、そこで指定法人が正しく機能していれば問題はないと思いますが、今回のようなトラブルの例というのは指定法人が機能してないということが問題だと思うので、訓練事業者と指定法人というものの関係性っていう部分の見直しが一番重要じゃないかと思います。
〇江藤座長 それでは、北澤構成員。
〇北澤構成員 訓練日数についてですが、日数を決めるのであれば、例えば基礎訓練、介助犬の場合であれば介助動作訓練、何をもって基礎訓練期間、介助動作訓練期間というのかという部分も定義した方がいいのではと思います。現状の訓練基準を見てみると、例えば基礎訓練と介助動作訓練は並行して行えるというふうになっていて、兵庫介助犬協会の例で言うと、実際のところ基礎訓練として書かれている内容、例えば使用者に注目して集中することができるというのは、ある意味介助犬をユーザーに貸与するまで、私達の協会にいる間ずっとその訓練を続けているのであって、基礎訓練終わったから介助動作訓練がスタートするというものでもないと思います。その辺によって日数の数え方というのも変わってくると思うので、何から何までを基礎訓練とするべきか、というところも同時に考えた方がいいと思います。以上です。
〇江藤座長 それでは松本構成員どうぞ。
〇松本構成員 合同訓練に関して、先ほど極端に少ない合同訓練のお話が出たと思いますが、聴導犬の場合は確かに聴導動作としては、芸を教え込むように教える、ユーザーからコマンドを出すことがなくて、ユーザーは受身なのでユーザーは何もしないで、聴導犬が動くことが基本になってくるので、そこを簡単にはしょって考えれば、犬だけ仕込んでユーザーに渡して、合同訓練と称したマッチング、調整すれば済むと考えようと思えば、そういうやり方もあるかもしれないですけれども、逆を言うと私達が何もできない、ユーザーが指示を出すということがないということは、犬の中に本当にやる気がないときちんとした聴導動作が取れないということになります。そうするとユーザーとの信頼関係も必要ですし、ユーザーも的確に褒める等きちんとその子の聴導動作が合っているということを伝えるという、犬とのコミュニケーションも構築しなければいけないということを考えると、1回や2回、数分の合同訓練でやることはできないと思います。そこは訓練する側の考え方で、犬に単に芸をさせるような形での聴導動作というふうに考えるのであれば、確かに訓練士がきちんと教えてそれができれば合同訓練はOKになってしまうかもしれないですけれども、そうではなくてそれから毎日一緒に生活をするということを前提とした合同訓練であれば、ユーザーが自分の生活の中でどのように聴導犬に動いてもらいたいか、聴導犬が動いたときにどのようにコミュニケーションを取るかということも含めて、合同訓練をしなければいけないと思います。また家の中だけではなくて、社会に一緒に出て行ったときにレストランに入る、スーパーで買い物をする、色々な時に私達は耳が聞こえないので、犬の様子は目で確認するしかありません。例えば犬が何か声を出して騒いでしまったとしても、その動きは耳に入らないので気づくことができません。そういうことを考えると、雑多な状況である社会の中で一緒に生活をすることを考えたときに、そこに適応できるように私達ユーザーも訓練をきちんと受けるべき部分があると思います。そう考えると、最低これだけは、例えばテーブルの下でおとなしく待つことができる、電車などに乗っても混乱することなく交通機関を利用できるとか、犬ができるのではなくて、犬とユーザーがペアになってできるということを身に付ける期間が必要だと思います。ですから、日数だけにこだわるのではなくて、何ができなければ目標を達成できないという、基準が必要になってくると思います。以上です。
〇江藤座長 それでは、水上構成員。
〇水上構成員 特に合同訓練はペアで社会参加をされることを目的にしていて、その目的に則った合同訓練計画を立てて、何が必要かということを整理する内容が大事だと思うので、最低限これをしましょうということで日数が設けられたとは思いますが、日数そのものよりも、合同訓練計画書をきちんと立てて、社会参加をするために認定を受ける、その認定を目指したときに何をしなければいけないのか、何にどれぐらいかけなければいけないのかということを、きちんとすることが重要なのかなとすごく感じます。だからどうすればいいという提案はできませんが、意見としては計画をきちんと立てて、その計画に則って、でもその計画は育成事業者が作ると思いますが、それを更生相談所に当たるところにきちんと判定してもらい、今で言うと指定法人だと思いますが、チェックを受けてその通りでいいのか、計画も見直した方がいいのか、計画通りやっていても途中で方向修正が必要であれば、それもしなければいけません。中間評価をしながら、立てた段階、中間評価、総合評価、認定に値するところまでいけるのかというところの最終評価を受けて、認定試験に臨むというところをきちんと踏んでいかないと、日数だけただ経過したところで、その方が介助犬・聴導犬と社会参加をするゴールをサポートすることはできないのかなと感じています。
〇江藤座長 合同訓練についても日数だけではなく、訓練の内容について個々にあるので、ある程度項目をあげておいた方がいいのではというご意見が出ています。その他いかがでしょうか。北澤構成員、どうぞ。
〇北澤構成員 2頭目以降の合同訓練の期間が短縮できるのではというご意見が上がっていたと思います。これまでの経験上、確かに代替のユーザーは、初めて介助犬を持つ方に比べると知識も多く、経験もおありなので、短縮できる部分もあると思いますが、新しい候補犬と一緒に過ごす期間を確保するという部分も大事になってくると思います。ただ、こういう訓練をしましょうと言って、犬とユーザーとのうまい関係が築けたらいいのですが、合同訓練であれば40日以上となっていますが、犬と使用者が共に過ごすという期間も大事なので、訓練の内容としては端折れる部分があったとしても、過ごす期間は2頭目の介助犬を持つ方でも必要になってくると思います。
〇江藤座長 水越みゆき構成員、どうぞ。
〇水越みゆき構成員 合同訓練のことです。先ほど水上構成員がその内容が大事だということで、訓練計画を立ててというお話でしたが、そもそも「聴導犬とはこうあるものだ」というところが、育成団体ごとに曖昧になってしまっていると思うところがあります。家の中や聴導動作の部分に関しては、ほぼどこの団体も同じだと思いますが、社会参加というところを考えたときに、聴導犬はこうあるべきだというものがしっかりと決められていないことで、聴導犬の質のばらつきが出てしまって、質のばらつきが出るということは、それぞれに合同訓練の時間や、もともとの基礎訓練の時間、聴導動作にかける時間が違うという形になってしまうのではないかと思います。音に反応することだけに重点を置いていて、社会参加の部分に対してはそれほどという形で考えているような団体は社会参加の訓練期間は短くて済むだろうし、合同訓練の段階でも希望者さんに対して教える内容も変わってくると思います。逆に社会参加していくことに重点を置いていくのであれば、訓練内容も社会参加に特化した部分をさらにプラスして、訓練時間として使っていかなければいけなくなりますので、聴導犬はこうあるべきだという、社会参加しているところの姿、ユーザーさんと聴導犬の社会参加している姿をきちんと明確にしていくことが必要だと思います。
〇江藤座長 訓練基準の見直しということで、このワーキンググループが開催されておりますけれども本日もいろいろご意見をいただいております。訓練期間、合同訓練の内容、時間だけの問題ではないというご意見があるかと思いますけれども、時間が迫ってきております。全体を通じてその他、何かご意見がございましたらどうぞ。朴構成、お願いします。
〇朴構成員 少し気になるのですが、今実働犬を出しているところで社会参加に重きを置いていない育成団体が実際存在するのでしょうか。もちろんその人によって日常生活の中で社会参加の場面の多い人、少ない人はいらっしゃると思います。特定のユーザーさんや個人の意見を聞いて、あの団体はそういうところに重きを置いていない、よろしくない団体じゃないかというような思い込みがあるのではと、私は心配をしています。前回もご提案しましたが、育成団体のあり方が補助犬のクオリティやユーザーの満足度にも直結すると思っています。盲導犬と比べたときに、介助犬・聴導犬の育成団体の中で今これを急がないといけないと思うのは、共通する訓練士の養成基準です。ですから、私はぜひこの場で今日出た様々な課題を解決する意味でも、訓練士の養成基準をしっかり育成団体自身が話し合って作成し、お互いに助け合いながら訓練士の養成をしていく、そして良質な補助犬を出していくというところに尽力したいと思っております。ぜひ皆さんご検討ください。
〇江藤座長 それでは短くお願いしたいと思います。松本構成員どうぞ。
〇松本構成員 水越みゆき構成員の方から、社会参加に重きを置いているかどうかということによって、合同訓練の内容や日数も変わってくるという話があって、朴構成員の方から社会参加に重きを置いてない訓練事業がいるのかという話がありましたが、実際にユーザーの中には、聴導犬を伴って社会に出たら他の犬と喧嘩になってしまうとか、吠えてしまうということが実際起きてしまって困っている方がいます。それをどうしたらいいかと言ったら、犬を家に置いて出るという方法をとってしまわざるを得ないユーザーさんもいます。そういうことを考えると、確かにその人は社会参加をしているかもしれませんが、聴導犬との社会参加ということは重視されていないということになってしまっています。社会参加の定義というのは、毎回問題になっていますが、障害者の社会参加という大きなくくりではなくて、補助犬法における補助犬を伴っての社会参加を考えたときには、家の中で仕事をするだけであれば認定を取る必要がないということになってしまうので、補助犬とともに社会に出ていく、1人ではできなかった買い物を1人でしてみようと思う、そのためにはいろんな人がいる社会の中で、電車を使ったり、バスを使ったりしなくても、ただのちょっとの散歩であっても、一緒に安心して歩けるということは最低必要なことだと思います。そういうことも考えた上での合同訓練が、社会参加を前提とした合同訓練だと思うので、単に聴導動作をすればクリアというものではなく、そこが合同訓練の考え方の違いだと私は思っています。
〇江藤座長 時間が迫っておりますが、森戸構成員、どうぞ。
〇森戸構成員 今日のテーマのニーズの把握、リタイア時期、フォローアップというところでは、皆さんのご意見のとおり、チームでやっていくことが大切だと思いますが、そのときに補助犬との暮らし、補助犬を希望するということを尊重しながらも、それ以外の方法も含めてその人の生活をどう評価していくかという視点を持って訓練事業所、指定法人あるいは他の団体も含めて考えていくことが必要なだと思います。その人、その犬との生活をよりよくするために、他の方法も含めてニーズの把握、フォローアップができていくといいのではと思います。
〇江藤座長 水上構成員、どうぞ。
〇水上構成員 朴構成員がおっしゃった、訓練士の養成基準というものについては、私も強く希望します。盲導犬の仕組みを取り入れていただいて、盲導犬は歩行指導員というものがあると思います。介助犬・聴導犬に関しては訓練士が犬も訓練するし、障害者の方への指導もするというところがあり、資格を持っていないとできないということも特にありません。その辺の全く整備がされていないと思います。盲導犬の歩行指導員にあたる部分が、介助犬、聴導犬で言うところのどこになるかは議論をしていただく必要があると思いますが、そこは強く要望しますし、その仕組みは必要だと思います。
〇江藤座長 予定の時間となっておりますが、木村構成員どうぞ短くお願いします。
〇木村構成員 合同訓練というのは、犬にとっては使用者の環境に合わせた微調整の訓練ぐらいでいいと思いますが、僕は、合同訓練というものは障害者が介助犬使用者として社会参加するために、訓練士や周りのサポーターが訓練し、教育する場だと思っています。ですから、障害者のニーズや障害の内容にきちんと応じた訓練計画を立てて、補助犬と社会参加できることを把握した上で認定試験を受けるというような訓練計画を立てていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
〇江藤座長 時間ですが、次の要件がある方もおられるかと思います。最後に朴構成員どうぞ。
〇朴構成員 情報共有させていただきます、介助犬協会さん、ありがとうございました。当協会では既に介助犬と聴導犬の訓練士と指導員は分けて養成しておりまして、訓練士の上に指導員があって、その
養成基準は今日欠席された有馬さんの方にも情報提供して、一緒に要請基準作りましょうというお話をしていますので、ぜひ皆さんジョインしてください。
それから、先ほど聴導犬の認定を受けながら、犬を見たら噛みつくので家に置いていかざるを得ない聴導犬がいるということですけれども、これは盲導犬であっても介助犬であっても同じですけれども、育成団体および認定をした認定団体の問題であって、そこにぜひ情報をフィードバックしてください。そして改善してもらってください。それについては、私は個の問題だと思っております。
〇江藤座長 ありがとうございます。もう時間で、次の要件がある方もいるかと思いますので、本日のワーキンググループはここまでとさせていただきます。事務局は今回の議論を踏まえて次回の資料等の準備をお願いいたします。ここで進行を事務局にお返しいたします。
〇大城補佐 江藤座長、ありがとうございました。また構成員の皆様方にはご多忙の中ご出席並びにご意見をいただきましてありがとうございました。次回、第3回訓練基準の見直しに係るワーキンググループは1月31日月曜日10時から12時に今回と同様にWebで開催を予定しています。本日ご議論いただきました内容を踏まえ、事務局で資料を取りまとめたいと考えております。本日はありがとうございました。
 

照会先

 

障害保健福祉部企画課自立支援振興室