2021年12月24日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年12月24日(金)16:30~

出席者

出席委員(17名)五十音順
欠席委員(4名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理


行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」のウェブ会議を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 このたびの医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ウェブでの審議とさせていただきます。
 まずは、本日のウェブ会議におけます委員の出席状況でございますけれども、登美委員より御欠席との御連絡をいただいております。このほか、浦野委員、松下委員が遅れて御参加、小崎委員、山口委員も後ほど御参加されると思われます。
 したがいまして、本日ですが、現在のところ当部会委員数21名のうち16名の委員がこのウェブ会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
 今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告をさせていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 清田でございます。
 それでは、本日の審議に入ります。
 まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のウェブ会議に係る資料の確認をさせていただきます。
 本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料として資料No.1を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
 このほか、資料No.2として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料No.3として「専門委員リスト」を、資料No.4として「競合品目・競合企業リスト」を事前にお送りしております。
 また、追加で資料No.5として「モルヌピラビルの投与に関する日本感染症学会ガイドライン案」を、資料No.6として「変異株への対応に係る中和抗体薬の承認条件の変更等について」を事前にお送りさせていただいております。
 なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
 続きまして、本日のウェブ会議に係る競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。
 資料No.4の1ページを御覧ください。
 ラゲブリオカプセル200mgでございますが、本品目はSARS-CoV-2による感染症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本ウェブ会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
 議題1、ラゲブリオ、退室委員、大曲委員、松下委員、議決に参加しない委員、亀田委員、濱委員、南委員、山本委員、横幕委員でございます。
 なお、薬事分科会審議参加規程第5条において「申請資料作成関与者である委員等は、審議又は議決が行われている間、審議会場から退室する」とされておりますが、同条のただし書において、「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる」となっております。
 以上でございます。
○清田部会長 ここで、今回、議題1の審議に関しまして、SARS-CoV-2による感染症に関する治験の実施経験がある大曲委員の意見は参考になるのではないかと思われます。当部会として、大曲委員には、御出席いただき、御意見を述べていただいてはどうかと考えておりますが、皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、御異議がないようですので、御了解いただいたものとして、大曲先生には御出席、御意見をいただくことといたします。
 今の事務局からの説明に特段の御意見はございますでしょうか。
 よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は、審議事項1議題、報告事項1議題となっています。
 それでは、審議事項の議題に移ります。
 松下委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題1の間、会議から御退室いただくことにいたします。
 議題1につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ラゲブリオカプセル200mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。「特例承認に係る報告書」のファイルをお開きください。
 本剤の有効成分であるモルヌピラビルは、生体内で加水分解された後に細胞内でリン酸化され、SARS-CoV-2のRNA依存性RNAポリメラーゼの基質となり、ウイルス複製過程で新たに合成されるウイルスゲノムの変異割合を増加させることで、ウイルス複製を阻害します。今般、本剤が英国においてConditional Marketing Authorizationが得られていること等を踏まえ、国際共同第II/III相試験(MK-4482-002試験)の速報値等に基づき、SARS-CoV-2による感染症の効能・効果について、特例承認に係る承認申請が行われました。なお、12月23日付で米国FDAにおいてEmergency Use Authorizationが認められております。
 本申請の専門委員として、資料No.3に記載の5名の委員を指名しました。
 審査の概要について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
 有効性について、通し番号11ページ、表8を御覧ください。
 SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する軽症から中等症のSARS-CoV-2による感染症患者を対象とした国際共同第II/III相試験の第III相パートの中間解析において、主要評価項目である無作為化29日目までに理由を問わない入院又は死亡が認められた被験者の割合は、本薬群で7.3%、プラセボ群で14.1%、群間差-6.8であり、本薬群とプラセボ群との比較において統計学的に有意な差が認められました。
 本試験では中間解析において早期の有効性の基準を満たしたことから、その後の新たな被験者の組入れは中止されました。本試験の成功の可否を判断する上での主たる結果は中間解析の結果ではありますが、組入れ中止までに無作為化された全ての被験者の無作為化29日目までの解析結果も得られており、通し番号15ページ、表12に記載しております。主要評価項目について、本薬群で6.8%、プラセボ群で9.7%、プラセボ群との群間差-3.0であり、中間解析結果と比べて本薬群とプラセボ群の群間差が小さい傾向が認められております。その要因について、申請者により中間解析前後での被験者背景や試験環境の相違等の影響について検討が行われましたが、明らかな要因は特定されませんでした。中間解析の後、様々な要因が積み重なったことにより群間差が小さくなった可能性はありますが、組入れ中止までに無作為化された全ての被験者の無作為化29日目までのデータにおいても、本薬群でプラセボ群と比較して理由を問わない入院または死亡が認められた被験者の割合が低い結果が認められており、本剤の有効性を否定するものではないと考えます。
 少しお戻りいただいて、通し番号13ページ、一番上の段落を御覧ください。
 変異株の影響について、国際共同第II/III相試験の第III相パートの被験者において認められたSARS-CoV-2の株は主にミュー、デルタ、ガンマ株でした。また、in vitroの検討において、本薬の主要代謝物は、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ株に対してSARS-CoV-2の従来株と同程度の抗ウイルス活性を有することが確認されており、プレリミナリーな検討ではオミクロン株においても同程度の抗ウイルス活性が認められたと説明されています。
 変異株に対する抗ウイルス活性及び本剤投与による耐性変異の発現の有無は、本剤の有効性に関する重要な情報となり得ることから、製造販売後も引き続き情報を収集し、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療現場に情報提供する必要があると考えます。
 安全性について、通し番号17ページ、表13を御覧ください。
 国際共同第II/III相試験における安全性の概要を示しております。本薬群とプラセボ群において有害事象等の発現割合に大きな差異は認められておりません。
 続きまして、次のページ3.2.1「妊婦又は妊娠している可能性のある女性等への投与について」を御覧ください。
 生殖発生毒性試験において催奇形性が認められており、ヒトに対して潜在的な催奇形性リスクを有する可能性が考えられることなどを踏まえ、妊婦又は妊娠している可能性のある女性は禁忌とすることが適切と考えます。
 以上より、国際共同第II/III相試験の第III相パートは速報値のみが得られていること及び日本人における投与経験は極めて限られていることから、本剤の安全性プロファイルについて明確に結論づけることは困難であるものの、添付文書において、英国のSUMMARY OF PRODUCT CHARACTERISTICS等と同様の注意喚起を行うことに加えて、妊婦又は妊娠している可能性のある女性は禁忌とすることで本剤の安全性リスクは管理可能と考えます。また、本剤の日本人における安全性について、製造販売後も引き続き情報収集し、新たな知見が得られた場合には速やかに医療現場に情報提供する必要があると考えます。
 臨床的位置づけについて、同じページの下方、3.3を御覧ください。
 国際共同第II/III相試験の第III相パートにおいては、おおむね軽症~中等症Iに相当する患者が組入れ可能とされていたことから、本剤はこれらの患者における治療選択肢の一つになると考えます。なお、SARS-CoV-2による感染症のために入院での治療を要する患者を対象に本薬を投与したときの有効性及び安全性を検討することを目的としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験において、中間解析の結果から明確な有効性が示されず、第III相パートへの組入れは実施されなかったことを踏まえると、重症度の高い患者に対する本剤の有効性は確立していない旨を添付文書において注意喚起する必要があると考えます。
 また、国際共同第II/III相試験の第III相パートはSARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する患者が対象とされましたが、本邦において、重症化リスク因子を有しない軽症~中等症の患者における治療選択肢はないこと、当該試験において本剤の抗ウイルス薬としての有効性は示されており、重症化リスク因子を有しない患者に対する有効性も類推可能と考えること、本剤は経口剤であり軽症~中等症の患者への投与に適した剤形であること等を踏まえると、本剤の投与対象は重症化リスク因子を有する患者が中心ではあるものの、高熱や呼吸器症状等の相当の症状を呈し重症化のおそれがある場合など、本剤の投与が必要と考えられる患者に対して投与可能としておくことは有用と考えました。なお、本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考に検討されることが適切と考えます。
 最後に、通し番号19ページを御覧ください。
 本申請に際し提出された資料を踏まえ、本剤のSARS-CoV-2による感染症に対する有効性は期待でき、安全性については、得られた情報を踏まえて適切に注意喚起を行うことで管理可能と考えます。ただし、本申請に対し提出が猶予された資料を踏まえ、改めて本剤の品質、有効性及び安全性について検討する必要があると考えます。また、本剤を特例承認する場合の効能・効果、用法・用量及び承認条件等は、ここに記載したように設定することが適当と考えました。
 本品目は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。
 なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 続いて、日本感染症学会のガイドラインにつきまして、事務局から資料No.5の御説明をお願いいたします。
○事務局 本剤の使用に当たりましても、今回、日本感染症学会においてガイドラインを作成いただいております。本剤に関連する部分が資料No.5としてついておりますので、御説明させていただければと思います。
 こちらに記載のとおり「モルヌピラビルの投与に関する日本感染症学会ガイドライン案」として、現在、感染症学会から出されている「COVID-19に対する薬物治療の考え方」というガイドラインにおいて、今回の承認後、モルヌピラビルの項を追加して、以下の記載を追記する方針で検討いただいております。
 上の方は御紹介ですが、真ん中ら辺の「投与時の注意点」の所におきまして、今回、添付文書においては1)のとおり臨床試験における主な投与知見を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与することとされておりますが、このうち「重症化リスク因子を有する等」についてどういった方が対象となるのか、本剤を投与する意義が大きいと考えられるかについて、2)に具体的にリストアップしていただいております。それが61歳以上から始まる項目でございますが、こういった事項に該当する方が本剤を投与する意義が大きいと考えられるという現在のガイドライン案になっているところでございます。
 なお、それ以下の所につきましては、その他の投与に当たっての注意事項を記載いただいているところです。
 御紹介は以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは先に、大曲委員から補足のコメントがございましたらば承りたいのですが、大曲先生、いかがですか。
○大曲委員 国際医療研究センターの大曲です。ありがとうございます。
 まず、位置づけとしましては、これまでコロナに対する重症化あるいは死亡のリスクを下げる手段としては抗体製剤が2種類、日本では認可されております。それは実際に現場でも使われておりまして、特に大きな問題は起きていないと思っています。
 やはり内服での製剤での治療というところは、現場の診療の負担を減らす、患者さん本人の負担を減らす、あるいは患者さんにお薬を届きやすくするという観点から求められていたものです。それが1点。
 もう一つは、今、オミクロンが問題になっておりますけれども、今後もオミクロンをはじめとして様々な変異株が出てくるであろうと思います。抗体製剤はいい製剤ですが、出てくる変異株あるいは変異体の変異の状況によっては有効性が失われ得るということも十分にあり得ます。それを踏まえますと、抗体製剤、内服薬も含めて、様々な変異株の出現時に対応できるような薬剤を複数以上持っておくことがリスク管理上も重要だと思っています。そういう観点からは、このような内服の薬剤が治療の選択肢に加わることは、臨床の現場としては非常に歓迎されるところです。
 あとは、これは薬食審の範囲とは違うところですけれども、使う上では抗体製剤の有効性と比べるとこの薬が少し低く見える点はありますので、実際の現場の使用においては、投与した患者さんに対してしっかりと経過観察をするといった対応が必要ではなかろうかと思っております。
 私からは以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。
 島田先生、どうぞ。
○島田委員 一番最初に、政府関係の方々とマスコミの方々とかが承認済みかのごとく発言があって、もう何百万回分以上買ったとか、これを何々に使うとか、この委員会で承認される前にいろいろな報道が行われるというのが問題だと思います。これは1点、指摘しておきたいと思います。本来、この会議で決まった上でという話だと私は思っているのです。
 もう一つの点は、昨日かおとといかロイターの報道で、フランスでこの薬は効果がないから購入中止とか、そういうインフォメーションがあるのですけれども、それに関して全く触れられなかったのです。英国で認められたと今、言われましたし、同じようにロイターでは、アメリカでも認められたという話があるのですけれども、フランスで購入中止という大きな出来事が起こっているということは考慮に入れなければいけないのではないかと私は思います。これに関してはコメントです。
 今、御説明のあった表8はチャンピオンデータで、これだけであればすごく効いているからいいのではないかと思われるのですけれども、これは治験規模(実施人数)750名だと思うのですが、倍の1,500名を解析した15ページの表12では、ほんの少しになってしまったのです。有意差は0.0218なのでないとは言えませんけれども、先ほどのもう少し大きかった有意差、0.0012に比べると有意差が減ってしまって、追加になった症例数を見てみますと、プラセボが322分の15で4.7%、本薬群は324分の20で6.1%なのです。つまり、本薬群の方がプラセボ群よりも成績が悪いということです。単純に引き算をするとそのようにもなってしまいます。
 この報告書を見直してみると、表2から始まっているのですけれども、ドーズレスポンスがおかしかったり、最初の表2、図1は800mgがかろうじて勝っているのだけれども、400mgとか200mgは全然駄目とか、ドーズと全然合わないようなデータもあり、21分の8ページの表5を見ますと、ドーズレスポンスがおかしいのです。プラセボが5.4で本薬は800mgが4.1、400mgが3.9、200mgが1.4、つまりベストのドーズが200mgなのです。このように少し変なデータが出ているわけでして、言っては悪いけれども試験全体が信用性の乏しいような形で出ているわけです。
 21分の12ページの表9を拝見しますと、全体的には効果があるように言っているのですけれども、例えばSARS-CoV-2抗体ありのイベント発現具合はプラセボが2.9、本薬が2.9と全く変わらないのです。つまり、抗体ありということは、ワクチンを打っている人の場合はあまり変わらないということも示しているわけでして、これも実薬が本当に効くのかなという感じがいたしますし、その下の表10はウイルス量なのですけれども、3日目と5日目は有意差がありそうな感じもするのです。3日目はプラセボで6.16、本薬で5.8とか、5日目はプラセボで5.29、本薬で4.80、極めて近い。統計学的にやると有意差があるのかもしれませんけれども、ウイルス量の減り方が本薬群でも極めて弱いということも報告があるのです。
 このようなことを全部勘案しますと、大曲先生も先ほど効果が弱いとおっしゃいましたけれども、私はかなり弱いような気がします。
 それと同時に副作用の点ですけれども、先ほどちゃんと読まれなかったのですが、例えば21分の17ページの下3分の1、日本人における安全性の5行目に「本薬800mg群8/15」、これは日本人で800mg投与すると15分の8で副作用が出て、中毒性皮疹が3例、これはその下の(注)35番をみますと2例は経口ステロイド薬を使用しており、10~12日後、治癒となっており軽症との記載はあるが、それほど軽症とは判断できません。CPKが2例、あとは起立性頻脈症候群などいろいろとあるのですけれども、結構副作用が出ていて、治験薬との因果関係は否定されなかったとあるのです。日本人では何か副作用が出そうな危険性を感じるようなデータが出ております。
 それに、この薬はもともとRNAポリメラーゼをうまくだますというような形の薬ですけれども、先ほどもおっしゃいましたが、妊婦に関して非常に危険性が高いと思われるわけです。だから、妊婦に対しては非常に注意するとか、いろいろと書いていますけれども、幾ら注意しても内服薬ですから、若い女性とか妊娠可能性の女性に使われる可能性がすごく高いので、有効性と危険性を鑑みると、私は少し危ないような気がするのです。今日の御説明のようにすんなり効くから、副作用もないからみたいな感じでは駄目なのではないかと思います。
 以上、長くなりましたけれども、「特例承認に係る報告書」を読ませていただいての私の考えを述べさせていただきました。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、吉田課長の方からお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 最初の政府全体の対応についての御批判の部分に関しまして御説明させていただきます。
 先生の御指摘のとおり、若干先走ったような報道がいろいろとなされているというのは事実かと思います。ただ、私どもは決して審議会を軽視しているわけではございませんで、我々のコメントあるいは大臣のコメントあるいは総理のコメントのいずれにおきましても、「審議会で了承されれば」ということを必ずつけた上でコメントはさせていただいております。これは間違いございません。ただ、その部分を飛ばして報道されてしまっていることについては誠に遺憾なところでございますが、その点については御理解いただきたいと思います。さらに申し上げれば、あらかじめ薬剤について調達をすることについては、リスク管理の観点からは、あくまで承認されることを前提として、逆に承認されなければ無駄となることを覚悟の上で政府としては対応せざるを得ない、こういうことについても、ぜひとも御理解いただきたいと思います。
 繰り返しになりますが、決して審議会を軽視しているわけではございませんで、あくまでも審議会におきまして承認を可とするという結論が得られるという条件の下もろもろの政府としてのコメントをさせていただいているということは申し上げたいと思っております。
 二つ目の点で、フランスの方で購入を取り消したという報道は承知しております。ただ、これについて私どもは詳細は存じ上げませんが、フランス政府の考えとしまして、ファイザーのお薬といったものもある中で、政府の考え方としてどちらを優先するか。例えばファイザーのもの、今回のもの、どちらを調達するのかということについての御判断かと思いますので、それは政府としての判断だろうと思います。
 ただ、私どもとしましては、薬事承認をするかどうかということについては、当然それぞれの国ごとに判断するべきだと思っておりますので、海外の状況もそういうことがあるのだということは認識した上で、あくまでも我が国としてこの薬剤についての有効性・安全性について、当審議会でじっくり御審議いただいて、結論をいただければと考えるところでございます。
○清田部会長 あとのことは、効果が弱いのではないかとか、副作用もある程度あるのではないかとか、それはこの報告書のとおりでございますので、それを含めてこれから審議していくということでよろしいでしょうか。
 ほかにたくさん御質問をいただいていますので、亀田先生、どうぞ。
○亀田委員 亀田です。よろしくお願いします。
 島田先生の質問を少しスペシフィックにいく部分がございます。
 一番最初なのですけれども、この薬剤はウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼを阻害するということですが、ヒトのDNA依存性RNAポリメラーゼを阻害しないということが明確に記載されている部分が見当たらなかったのです。そうなのだろうとは思うのですが、まずそこを確認したいと思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 宿主のDNAポリメラーゼの結果ですけれども、ヒトDNAポリメラーゼ、アルファ、ベータ、ガンマに対してIC50が1,000µmol/L以上ということで、阻害していないというデータが得られております。
 以上でございます。
○亀田委員 DNAポリメラーゼですか。私が聞いているのはDNA依存性のRNAポリメラーゼです。
○清田部会長 機構から答えられますか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お時間をいただけますでしょうか。
○亀田委員 分かりました。これは一番基本的なところですので、さっと御回答いただければと思います。
 それでは、次の質問なのですけれども、島田先生が御指摘になりましたウイルス量の所で、12ページの表10の3日目、5日目の所は、確かに数値上は0.3、0.5ぐらいの違いですけれども、これは対数ですので、0.5の違いはかなり大きいのではないか。なので、表10はオーケーだと思ったのです。
 ただし、5ページの表2と図1、これも島田先生の方から御指摘いただいておりまして、本薬800mg群だけがよさそうに見えて、ほかが全くよさそうに見えない、本当にこれは大丈夫かということで、確かに用量反応性としてはおかしいと思うのですけれども、特に表2の方で、中央値95%信頼区間が記載されております。ただ、このサンプリングをしたのがDay14の次はDay28です。何か逸脱とか中止があった場合にはその間で捉えられますけれども、何もなかったら14、28の間は取りません。なのに、陰性化になったところまでの時間が中央値95%信頼区間で記載されております。そうすると、例えば表2の一番左の所は普通に見えるのですが、その隣の400mgの所は中央値がほぼ95%信頼区間と重なっていて、27と28です。800mgの所は14が中央値で95%信頼区間が13~14です。これもまず見ることはありません。そして一番右のプラセボも、中央値が15で95%信頼区間が15~27です。このように、表を見るとこの解析の仕方が正しかったのだろうか、ディスクリートな日数でサンプリングされているものをこのように解析したことが正しいのでしょうか。例えばもう少し素直に14日における陰性化率でやるとみんなが分かりやすいデータになるのではないかと思ったのですけれども、ここの解析方法についてコメントをお願いします。
○清田部会長 機構から答えられますか。
○医薬品医療機器総合機構 表2の解析に関してなのですけれども、このような時間の解析を行う上では一般に中央値がよく用いられます。したがって、今回中央値でお示ししたことについては、時間の解析という観点からは通常よく行われていることだと思います。
○亀田委員 サンプリングの時間がこのようにディスクリートに14、28というふうに飛んでしまっても一般的なのでしょうか。もう少し連続的に1からずっと1日ごととかであれば全く普通だと思うのですけれども、サンプリングのタイミングが通常とはかなり違うので、それでも普通なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先生がおっしゃるように、時間を評価しようとした場合には、連日評価をすることが最も適切に時間を評価できるのだと思います。一方で、臨床試験の実施の限界があり、どうしても一定の決まった時点でのデータを取らざるを得ないというところがございます。なお被験者によっては、必ずその決まった時点ではなく、多少前後にずれてデータが取られるときもあります。
 時間のデータに関しては、表2の下部の図1が時間を横軸、縦軸を累積イベント発現割合とした形での結果になっております。投与までの時間の中央値がちょうど累積イベント発現割合が50%点に到達したときの時間であり、表2と図1を両方確認いただくことにより、適切に時間に関する情報を提供できるのではないかという考えで、報告書に記載させていただきました。
 以上です。
○亀田委員 ありがとうございます。
 ただ、やはり図1を見てもDay14から28の所が横線になっているものも多いわけです。そこのサンプリングがないからということですので、通常我々が見るような累積のものとは違うと感じました。これに関しては以上です。
○清田部会長 最初の御質問は、機構からお答えできますか。
○医薬品医療機器総合機構 DNA依存性RNAポリメラーゼに関する情報なのですけれども、申請者は試験をしておりませんが文献報告が出されておりまして、生化学的な試験が行われております。DNA依存性RNAポリメラーゼに対して、天然のCTPの740分の1の取り込みであるという評価がなされております。また、細胞毒性試験で特に問題ないというところで、申請者としてはDNA依存性RNAポリメラーゼを阻害するリスクは低いと考察しております。
 以上です。
○亀田委員 ありがとうございました。
○清田部会長 もしよろしかったら、そのリファレンスを送ってあげてください。
○亀田委員 最初に確認したいところでした。
 以上になります。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、石井先生、御質問があるようです。
○石井委員 ありがとうございます。
 島田先生、亀田先生と同じポイントで恐縮ですが、審査報告書5ページの表2と図1です。今、御指摘がありましたとおり、200mgと400mgはプラセボより成績が悪くなっているように見えます。図1を見ますと、200mgと400mgではプラセボより治癒が遅くなるとも見えるのですけれども、もしこれが本当にそうであるならば、800mgをしっかり飲むということをきちんと周知しておくことがとても重要ではないかと思いました。このデータの解釈と対応について御説明をお願いできますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただいた点ですけれども、表2と図1につきましては、PCR結果が陰性となった検体採取日までの時間の結果を示しており、Kaplan-Meierを見ますと、200mgと400mgではイベント発現までの時間が遅くなるようにも見えるかと思います。
 実際には、当該結果のみではなく第II相試験から得られたデータを踏まえた様々な検討を経まして、国際共同第II/III相試験の第III相パートでは800mgで検討されておりますので、本剤の用量は800mgということで、それ以外の投与をされるということは想定されず、添付文書にも記載しております。
○清田部会長 皆さん理解しておかなければならないのは、各群で自然治癒例があるということなのです。これが少し話がややこしくて、非常に解釈が難しくなってしまう、そういう理解をしなければいけない。だから、試験そのものも割とそれを意識して、ただ、どれぐらいの頻度で自然治癒が入ってくるのかは誰にも分からない部分がございます。ですからこのような結果になるのではないかというのが私の印象なのです。それを御理解いただくほうがよろしいかと思います。
 よろしいでしょうか。
○石井委員 分かりました。患者さんが御自分で服用されるので、コンプライアンスの点は気になりました。
 以上です。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございました。
 機構、どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 恐らく今回、皆さんが疑問に思われているのが、第II相試験が2種類あるのですけれども、その結果を踏まえてどういった検討がされて第III相パートの用法・用量が決定されたかというところが分かりづらいのではないかと思いまして、差し支えなければそちらの御説明をさせていただければと思うのですが、よろしいでしょうか。
○清田部会長 お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 今回、主な臨床試験であった国際共同第II/III相試験の第III相パートの用法・用量は800mg、12時間毎ということでございました。その用法・用量が設定されるに至った経緯ですけれども、海外第IIa相試験(006試験)、報告書の通し番号5ページの今まで御指摘いただいた表2や図1はPCR結果が陰性となるまでの時間が検討されております。
 もう一つ、第II相パートとしては、通し番号8ページ表5ですが、主要評価項目として、理由を問わない入院または死亡が認められた被験者の割合が200mg、400mg、800mgの投与群で検討されております。
 この結果に加えて申請者は、今、御紹介した二つの第II相試験(006試験と002試験の第II相パート)、そのほかもう一つ、報告書には記載しておりませんが001試験の第II相パートというものがございまして、こちらの三つの試験で得られた情報を踏まえまして用法・用量の検討がされております。
 検討された内容といいますのが、本剤の作用機序を反映するウイルスゲノムのエラー頻度ですとか、本剤投与後の感染性ウイルスが検出された割合ですとか、入院や死亡のイベントといったことにつきまして、曝露応答解析が行われておりまして、その結果を総合して考えると、200mg、400mgを12時間毎投与より、800mgを12時間毎投与のときにウイルス学的効果の程度が大きく、用量反応曲線が最大となる付近に到達するということが示されております。
 こういったことも踏まえて、第III相パートの用法・用量は800mgを12時間毎と設定されまして、第III相パートで本剤の有効性・安全性が確認されたといった経緯になっております。
 以上です。
○清田部会長 石井先生、よろしいでしょうか。
○石井委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、南先生、どうぞ。
○南委員 ありがとうございます。
 私も今の点に関しては、第II相試験は第III相試験のデザインを決めるためのものと理解しています。第III相試験でしっかりと有効性が示されていますので、今は言ってみれば緊急事態でEUAに基づいてのことですので、第III相試験のデータで判断すればいいのかなと感じています。
 報告書の19ページ、それから御説明でもありましたが、重症化リスク因子を有しない患者に対する有効性も類推可能と考え使用できるようにしておくという御説明がありました。一方、添付文書の効能・効果に関する注意では、重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与することという記載がありまして、先ほどのガイドラインでも同様の記載があります。これは重症化リスク因子がなくても使える状態にしたいのか、逆に縛りたいのか、よく分からないのですが、どちらなのでしょうか。
○清田部会長 おっしゃるとおりです。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書におきましては、御説明を申し上げたとおり、重症化リスク因子を有しない場合でも投与可能な状態とするということを表現した記載にしておるところでございます。
 ガイドラインにつきましては、審査管理課の方から御説明いただけますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
 今回、ガイドラインを作成いただいた趣旨につきましては、添付文書上ではそういった範囲が対象になったという上で、現時点の様々な状況を勘案して本剤を投与する意義が大きいと考える方はその中のどういった方かということを特定していただいたと理解しております。
○南委員 添付文書で緩い記載にしておいてガイドラインで縛るというのは実効性があるのでいいと思うのですが、先ほどの説明を聞かずに添付文書の記載を読むと、重症化リスク因子がないと使ってはいけないのだと普通の医師は読んでしまうように思うのですが、いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
 通常の読み方といたしましては、一つだけ例示があってそれのみですので、通常の医師は重症化リスク因子を有する方に投与することが想定されると私どもは考えております。
 ただ、表現ぶりに「等」というのがついておりますので、よく読むとそうではない方も使えるのではないかと考える方ももちろんいらっしゃると思います。そこをさらに明確化するという趣旨でこのガイドラインが機能するのではないかと思っています。
○南委員 行政の方などはそのような理解をされるのだと思いますが、一般の人は「等」でそこまで読み取ることは難しいように思うのです。私も今回、悪性腫瘍薬のガイドライン作成に携わらせていただいて「等」の使い方を勉強したのですが、一般の人はなかなか読み取れないような気がします。
○事務局 事務局でございます。
 御指摘いただいたとおり、基本的には医療現場におきましても重症化リスク因子を有する方を対象とすることを想定しております。
○南委員 分かりました。そうであれば、そう御説明いただければよかったのですが、説明とこの記載内容が合致しなかったような気がしますので、この辺は方針を統一してやってもらえればと思います。
 先週、このデータが「New England Journal」に正式にパブリッシュされたと思うのですが、そこでサブセット解析の詳細な結果が載っていまして、点推定値ですけれども、アジア人ではプラセボの方がよいというデータでした。それから、先ほど抗体の有無のことがありましたけれども、論文でははっきりとcapsid antibodyという書き方をしてあって、既感染の方ではプラセボの方がよかったと記載してあるのですけれども、その点、何らかの注意喚起が必要ではないでしょうか。この薬の作用機序がRNAの阻害ということを考えれば、既感染でも効くのかもしれませんが大丈夫かという点と、民族差の可能性に関して、代謝経路等から示唆されていないかどうかということを教えてください。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御紹介いただいた「New England Journal of Medicine」を拝見しまして、人種別の部分集団解析についてイベントは本薬群で25分の7、プラセボ群で23分の7ということで、今申し上げたのはアジア人の情報ですけれども、例数もかなり少ないので、アジア人で明らかに効かないということは言えないと考えているところでございます。
 それから、SARS-CoV-2抗体を有する被験者の部分集団解析につきましても、「New England Journal of Medicine」では抗体ありの被験者の例数が本薬群で136例、プラセボで146例、抗体なしが本薬群で541例、プラセボ群で520例ということで、抗体なしの被験者に比べて抗体ありの被験者の例数は少ないというところと、既感染者の場合、今回の主な臨床試験である002試験の第III相パートの主要評価項目である入院または死亡のイベントを発現しにくい可能性があるため、部分集団解析の結果から、既感染者では有効性が期待できないということは言えないと考えております。
 また、代謝経路から、日本人が外国人と比べて何か懸念がないのかということにつきましては、本薬の消失経路がモルヌピラビルが加水分解によって代謝活性物質のNHCに、それがピリミジン代謝と同じ経路でウリジン及びシチジンへ代謝されることを踏まえますと懸念は少ないと考えております。
 また、臨床試験における日本人の薬物動態の速報値が得られてございますけれども、外国人と比べて臨床上問題になるような差は認められていないと考えております。
 以上、御質問の回答になっておりますでしょうか。
○南委員 症例数が少ないというのは理解します。それから、全体でポジティブなので、サブセットのデータを取り上げるのもあまりよろしくないということは理解していますが、もし民族差が懸念されるのであれば情報提供したほうがいいのかなと思ったものですから、その懸念が少なくとも今分かっている情報ではないということであれば、これでよろしいかと思います。
 ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、濱先生、どうぞ。
○濱委員 高齢者の投与について確認をさせていただきます。
 II/III相試験で一定数の高齢者への投与があったと思います。添付文書では16の6の3の高齢者の薬物動態の項には非高齢者と差がなかったという記載があるのですが、特定の背景を有する患者に関する項である9.8の高齢者の項の記載がありません。安全性や副作用の発現頻度に差がなければ定型文である非高齢者と比較して差がないという記載があるべきだと思いますし、もし高齢者特有のリスクがあるまたはないあるいは不明であっても、そのことについては書くべきだと思います。いずれにしろ、9.8の項目がないのはなぜなのでしょうか。書くべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の添付文書の9項の記載につきましては、何らかその集団で懸念があるような場合に記載するということが添付文書の記載ルールとして決まっておりまして、今回はそのようなことに該当しないと判断しております。
○濱委員 高齢者について特に懸念することがないという記載がよくあると思うので聞いているのですが、私の理解が違うでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 すぐに事例が思いつかないところではあるのですけれども、添付文書の記載要領は数年前に変更になっておりまして、変更前のルールに基づき作成された添付文書である可能性がございます。
○濱委員 すみません、たしかタミフルで、副作用は高齢者と非高齢者に差がないという記載が残っていると思うのです。
○医薬品医療機器総合機構 タミフルの添付文書を確認させていただきました。確かに御指摘のとおりの記載がございました。添付文書の記載要領が変わる前から記載してあったものについては、新記載要領に合わせて添付文書を変更するときもあえて削除はしていないという方針となっておりまして、新記載要領で初めて作成されたものについては新しいルールで作成されているということになります。
○濱委員 分かりました。
 ただ、この薬は高齢者が服用することも多いような気がしますので、資材でよいので、医療者に対しても少し注意喚起というか情報提供が必要かなと感じました。これは意見です。
 以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、宗林先生、お願いします。
○宗林委員 宗林です。
 2~3点お聞きしたいことと意見がございます。
 一つは有効性についてですけれども、11ページの表8の中間解析のデータが添付文書などに載っており、これが根拠となっているのだろうと思います。この場合、例えばプラセボ群は要するに14.1%が悪化したということで、それ以外の人は何の治療もしなくても治っているという読み方でよろしいのかなと思って見ていますが、その前提で言うと、これでも統計上、有意差はありますが、効果のプラセボ群との差は50%でありまして、さらにn数が大きくなってくる表12になりますとさらにその差が縮まってくるという状態で見させていただきました。
 審査報告書の方にも、有効性は期待できると考えられるがというぐらいの言葉になっておりまして、効果については用量依存性もあるとは言えませんし、やや不安定なのか、効かない人も結構いらっしゃるのかという感じはいたしました。
 もしそうであるならば、昔のインフルエンザ薬タミフルのイメージがすごく強いのですが、患者さんたちは熱が出てから必ず5日間飲んでくださいと言って飲むように渡されてしまう、あるいは感じてしまう可能性が高いのかなと思うのです。でも、この薬の場合は、全ての方が5日間で相当回復するということよりも、最初に大曲先生も経過観察が大事だとおっしゃいましたが、途中で酸素飽和度や熱がある程度悪くなってくることがあった場合について、クリニックなり患者さんも含めて、次の対処があり得るということを常に横に置いて注意をしていただけるように、ガイドラインの中ではそこまで入っていませんが、効果等を考えると、必ず5日間飲めば治るのだろうという患者さんの受け取りではなく、途中で少し悪くなってきたら次の対処を選択肢として考えなければいけない薬だということを明確にしていただきたいと思いました。それが1点でございます。
 もう一つは、総理等の発言でもありますし、先ほどの御説明でも少しありましたが、オミクロン株に大変有効性が高いという発言をよくお聞きします。これはそう言い切って大丈夫なのでしょうか。これは御質問です。
 以上でございます。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 まず、有効性ですけれども、今回の試験の主要評価項目は、入院または死亡が認められた被験者の割合ということで、重症化する患者さんがどのくらいいたかということでございます。その指標においては、御指摘のとおりプラセボ群では中間解析では14%であったところでございます。ただ、症状といったところは今回主要評価項目にされておりませんので、これはあくまで重症化する割合と御理解いただければと考えております。
 報告書の記載が、有効性が期待できるという書きぶりだったがどうなのかという御質問ですけれども、今回、第III相パートの結果が速報値でございましたので、そういったところなども含めて期待できるという記載をさせていただいております。機構の評価といたしましては、中間解析までの結果においても、それから、その後の全ての被験者の結果においても有効性は確認できていると考えております。
○宗林委員 今のところですけれども、表12は重症化というよりも入院ということなので、中等症も含めて、当然そのときには症状も伴っているだろうと思っていたのですが、違いますでしょうか。死亡はもちろん重症ですけれども、その前に入院となれば中等症でも入院してきますし、酸素飽和度が落ちたりとか、症状も悪化していくということだろうと思いますが、そういう理解とは違うのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、入院が必要なくらい様々な症状が出た状態ということにはなると思いますけれども、COVID-19におきましては、入院が必要でないような症状のまま軽快される方もいらっしゃると思いますので、先ほどのように入院または死亡を重症化ということで御説明させていただきました。
○宗林委員 それがこのような差でありますし何もなくても軽快する方もいらっしゃる中でこれだけの差ということを前提に、先ほど2点目の5日間のお話をさせていただきました。この辺はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤が処方されて、5日間飲んでくださいと渡されたときに、有効性が得られない患者さんもいらっしゃるかもしれないので経過観察が大事だという御指摘だったと思いますけれども、それにつきましては本剤に関わらず全ての患者さんに有効な薬はないことから、COVID-19に関わらず、薬を投与していても具合が悪くなったら受診してくださいという話があると思いますし、COVID-19においても、一度診察した後に症状が悪化した場合には受診をしてくださいと指導されると理解しておりますので、そういった通常の診療の中で対応が可能なのではないかと考えております。
○宗林委員 ありがとうございました。
 年末年始もありますので、それから昔のタミフルのイメージもありまして、とにかく5日間飲み切ってくださいという御指導の下で、多少の変動があっても飲み切る前では我慢してしまうことがないように、経過観察できるような形での使用をお願いしたいということでございます。
 2点目のオミクロン株のこともお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 オミクロン株につきましては、我々の得ている情報は、先ほど冒頭で御説明させていただいたとおり、in vitroでの検討におきまして同程度の抗ウイルス活性が認められたということが申請者より説明されています。したがいましてオミクロン株に対しても有効性は期待できるのではないかと考えております。
○宗林委員 分かりました。
 そうすると、遺伝子解析をした結果、オミクロン株と確定した人にこれを積極的に使っている薬、軽症者の第1選択の薬という位置づけでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 オミクロン株に対して有効性が期待できる薬剤はほかにもございますので、本剤は経口剤であるということ、既に承認されている薬剤は注射剤であるといったこと、また、患者さんの状況、供給体制なども総合的に勘案して、その患者さんに適切なものが選択されると考えております。
○清田部会長 まだそれを言えるまでのデータはないです。ですから、期待できると。
○宗林委員 私もそう思いますが、あまり強調してマスコミ等でオミクロン株にはこの薬の様にといわず、そこはきちんとバランスを取って載せてほしいと思います。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、次に横幕先生、お願いします。
○横幕委員 よろしくお願いいたします。
 何点かあります。
 今、機構の方から、全ての患者に効く薬ではないのだとありましたが、特に私はHIVの診療のフィールドにいることもあり、今までの抗ウイルス薬の歴史等を考えればそこは意見を異にするところです。本当にこの薬がSARS-CoV-2特異的に作られていて、よい薬であればもっと高い有効性があるべきで、平時であればしっかりとした薬として上がってくるべきものです。大曲先生も効果について少しおっしゃっていましたけれども、in vitroのデータ等を見ても、この薬は本来出てくる薬ではないのではというのが、ウイルスと日頃向き合っている医療者の感覚としてあります。
 事前レクでも少し申し上げましたが、そもそもこの薬がSARS-CoV-2特異的に作られた薬ではなくて、もともと開発がインフルエンザの治療薬として行われていてそれを使ってみたというところが機構の説明の中では言及されていません。そういった開発の経緯が前提としてあり、開発の治験薬概要書の所にインフルエンザウイルスに対する効果のデータもありますが、それを見れば当然インフルエンザの方がもう少し切れ味がよく効いているような印象があります。
 もし教えていただければ、ですが、この薬はインフルエンザではなく、今回SARS-CoV-2で開発が進められていますが、インフルエンザで開発が進まなかった理由があれば教えていただければと思います。
 あと、報告書の中で個人的に少し抵抗があったのは、16ページの有効性についての所です。In vitroもしくはin vivoであっても動物実験の所の特にフェレット、マウスのヒト化は少ししているかもしれませんが、その結果を以ってヒトでも抗ウイルス活性が期待できるという記載があります。それは少し乱暴ではないかと思っています。事前レクで、表10のウイルス量のデータ中、3日目、5日目では有意差をもってこの薬の投与群でウイルス量の低下が認められるとコメントをいただいていました。なぜそのデータを基に、有効性について、ヒトでも臨床試験で有意なウイルス量の低下があり、抗ウイルス活性が期待できると書けないのでしょうか。そう記載できない理由があれば、教えていただければと思います。
 動物実験等においては、本薬の有効性については主にmoiなど感染価や、ウイルス量で議論されています。この薬の特性から理解するところでは、恐らく感染伝播を阻止するというところでは、変異を入れてウイルスの感染価を下げことによる有効性は恐らくあるのだろうとin vitroのデータなどを見ても思います。一方、今回、この部会でもずっと議論されていますが、効果という点で、重症化を阻止する点について、もしデータがあれば教えていただきたいと思います。ウイルス量は確かに有意差を持って本薬の投与群で少し下がっているところがありますが、今までの臨床の知見で具体的にウイルス量が何log未満になれば、重症化につながる感染後の過剰な免疫応答が抑えられるような状況が得られるのでしょうか。
 この薬自体は、恐らくウイルスの粒子産生もしくはPCRで検出されるウイルス遺伝子の産生を何かぐっと抑えるまでの効果はないと思っています。もし臨床症状等を抑えるウイルス量のスレッショルドがあるのであれば、投与後に恐らくそれ未満に抑えることが可能な患者にこの薬の投与の対象を絞るべきだと思います。それはHIVの診療のフィールドでもありまして、ある抗HIV薬についてはウイルス量がある数値未満の患者に使用すべきというコメントを付けているものもあります。この薬が適切に使われるようにするためにという観点から、使用開始すべき感染後の日数の目安にもなるかと思うのですが、SARS-CoV-2の低ウイルス量の状態で使うようにすれば、感染伝播の効果以外に、重症化を抑える臨床的な効果が感染者本人のベネフィットとして得られると言えるのでしょうか。
 これは恐らく心配はないと思うのですけれども、この薬の作用機序の特徴として、ランダムに非常に高頻度にミューテーションを入れるというところがあります。投与終了後、SARS-CoV-2のウイルス量はまだ10の3乗~4乗もあります。そのような状況下で、もし、不十分な内服が行われたときに、病原性が増すような変化もしくは既存の薬剤等に対する効果を減弱させるような変異が起こるということも、蓋然性は低いながら可能性はあるかと思います。そういったものの監視を開発者に何か課すお考えはあるか、聞かせていただければと思います。
 少し長くなりましたけれども、以上です。
○清田部会長 たくさんの御質問をありがとうございます。
 機構からお答えできますか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、インフルエンザでの開発が進まなかった理由ですけれども、把握できておりません。
○横幕委員 特に何か治験が行われて、そのときに副作用が問題になったということはなかったという理解でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 そういったことがあれば、治験薬概要書に記載がされるはずだと思うのですけれども、そういった記載はなかったのではないかと記憶しています。
 次に、本剤の抗ウイルス活性について、報告書の16ページではin vitroでの検討やフェレットなどの動物の結果から抗ウイルス活性が期待できると記載している箇所について、臨床試験でのヒトでのウイルス量の検討を踏まえて抗ウイルス活性について述べていないのはなぜかという御質問だったかと思います。
 こちらにつきましては、臨床試験の結果について、ウイルス量が減っている、抗ウイルス効果があるということの理由に使えないと考えているという意図ではございませんで、報告書には大きく分けて非臨床での検討と臨床での検討という項立てで書いておりまして、臨床での検討については、本剤の臨床的な有効性・安全性を示している主な結果を説明することが重要だと考えておりましたので、そういった観点で臨床試験でのウイルス量の検討結果については記載をしておりませんでした。臨床試験のウイルス量の検討においてもウイルス量が減少することは確認されていると考えているところでございます。
○横幕委員 確認ですけれども、御連絡いただいたとおり、有意差があったということでよかったのですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御回答申し上げたとおり、仮説検定の多重性を調整していない結果であるため統計学的有意差については報告書に記載しておりませんでしたが、調整した結果ではないものの統計学的に有意な結果であったことは確認しております。
○横幕委員 例えば本薬の投与が適切な症例としての縛りみたいなものはつけられるようなお考えはありますか。
○医薬品医療機器総合機構 患者さんで、このくらいのウイルス量であれば投与する、しないという意図でよろしかったですか。
○横幕委員 そうです。効果がより期待できるような指標が何かあれば、薬の適切な利用につながるのではと思ったのです。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 結論から申し上げると、そういった閾値は設定できないと考えております。と言いますのも、SARS-CoV-2による感染症につきまして、鼻咽頭スワブ等から検体が採取されますけれども、そこで得られたウイルス量と臨床的な有効性は、現時点では明確な関連性がまだ分かっていないと考えています。
 また、SARS-CoV-2のウイルスは、重症化しない場合には感染後一定期間でウイルスが消失すると言われているということも考えますと、検査のタイミングなどでウイルス量が変わってきたりもしますので、投与対象の患者を選ぶに当たってそういった閾値を設けるのは難しいのではないかと考えております。
 最後にいただいていたのが、不十分な内服が行われたときに、病原性が増すようなミューテーションが起こる可能性は考えられるのではないかということで、そういったことについて監視をどうするかということですけれども、ここにつきましては、御指摘のとおり本剤の耐性化やミューテーションの情報は非常に大事だと思いますので、きちんと監視するように申請者には申し伝えているところでございます。
 ご質問は網羅できていますでしょうか。
○横幕委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、中野先生、お願いします。
○中野委員 中野でございます。1点お教えください。
 第3相の臨床試験、臨床的な重症化予防効果に関してです。審査報告書の11ページに書いてあると思いますが、無作為化29日目までに理由を問わない入院または死亡が認められた被験者の割合ということで、この薬剤とプラセボ群で評価いただいたと思います。
 私の記憶に間違いがなければ、二つの抗体製剤、商品名で言えばロナプリーブとゼビュディはたしかSARS-CoV-2関連の重症化が評価指標だったと思いますが、私の理解で間違っていないかということと、そこの評価指標は企業が決めたのかもしれませんけれども、もし何か理由とかがあればお教えいただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ロナプリーブはSARS-CoV-2による入院又は理由を問わない死亡が主要評価項目で、ゼビュディについてはSARS-CoV-2によるか否かに関わらない入院又は理由を問わない死亡であったと記憶しております。主要評価項目をどのように設定するのかにつきましては、治験を実施する企業が考えることではあるのですけれども、いずれにおきましても、SARS-CoV-2に関連のある入院であれば直接的な評価となりますし、SARS-CoV-2による感染症は重症化することが知られておりますので、SARS-CoV-2によるとはっきりと入院理由が判断できないものについても拾った上で評価するという考え方も取り得るのではないかと考えております。
 以上です。
○中野委員 ありがとうございます。
 部会長がおっしゃった自然に治る方もいらっしゃる一方、なおかつ基礎疾患がある方とか高齢者がそのスタディーにどれだけ含まれているかということとも関係して、評価するのに結構大事なポイントではないかとも思ったので、御質問させていただきました。
 ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、宮川先生、お願いします。
○宮川委員 横幕先生から核心的な御意見をいただいたので、否定的な意見や若干の好意的な意見を多くの先生方から伺ってきました。この薬剤の本質的な問題点と、それ以外に運用面の問題点も明らかになってきました。どのようにこの薬を利用していくのかというところまで踏み込んだ意見もたくさん聞かれたような気がします。
 私は医師として、患者さんに投与した後の変化を確認して、どのように臨床場面で運用していくかが非常に重要です。僅かばかり効くというような言い方をしてはいけないのかもしれませんが、そのような薬であっても、どのような利用の仕方をするかということが大切です。軽症者の薬剤が少ない現状で、これからの運用の中で非常に重要案一手になるのかなという気もしております。いろいろな薬剤が存在しないと、大曲先生も先ほどおっしゃったように、実臨床の中で手だてがないとどうしようもありません。ですから、どのように利用するのかが問題です。外来で陽性の後、薬局から5日分処方を出すということではなくて、その初期に当たってはきちんとした運用規程のもとに存在すべき薬ではなかろうかと考えます。有効率が低く、軽症と思われる患者の状態の悪化を検知できる確実な経過観察が必要です。そういうものがなければ、この薬を生かすことができないと考えます。この部会では、薬そのものをどのような使い方をするかということを言うところではないのですけれども、実際の臨床の中ではしっかりと考えていくことをしないと、育薬ということにもならないのではないかと思っている次第です。
 以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。
 そろそろ御質問も出尽くしたようです。
 宗林先生、どうぞ。
○宗林委員 一つだけよろしいでしょうか。
 8ページの表5ですけれども、先ほど用量依存性がなくてどうして800mgに決めたのかなという御説明を機構の方がいろいろとお話しされて、総合的にというお話をされましたが、表5はこれだけ見るとまるで逆転をしていて、少ない投与量の方がよりイベントが少ないのではないかと読めてしまうのです。大変誤解を招きやすいので、用法・用量を800mg×2回に決めたきちんとした機構の御説明を少し書いていただいたほうがいいのではないでしょうか。そうしないと、これは公表されますので、この表で誤解を招くというか逆行しているように見えるのですが、私は見方が間違っていますでしょうか。
○島田委員 それは私が指摘しました。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、この表だけを見るとそういったふうにも見えるかと思います。
 本日御説明させていただきました用法・用量をどのように決めたかということにつきましては、本剤は承認条件として通常必要な全ての資料を出すようにということがついておりまして、それを踏まえて、通常の審査報告書に近い形の報告書を作成いたしますので、その際にきちんと記載させていただきたいと考えております。
○宗林委員 分かりました。よろしくお願いします。
○清田部会長 島田先生、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○島田委員 私が最初にしゃべって、皆さんの御意見があったので申しませんでしたけれども、横幕先生が本当に鋭い指摘をされて、インフルエンザウイルスで言うとアビガンと本当に似ているのです。有効性は、横幕先生のアンダースタンディングでは弱いと思われたということで、アビガンと非常に似たものなのです。
 ウイルスの量も、ほかのHIVなどに比べるとものすごく弱い効果しかなかったということ。そうするとミューテーションが起こり得る。これは一緒ですね。そのような危険性はあるということです。
 それと、南先生御指摘の「New England Journal」に載った、抗体があるときにはあまり効かないのではないかとか、表9にあるのですけれども既感染にあるのですが、そういったこともあります。
 日本人とかアジア人では、そういうエスニックなことは全く関係がないというお話もありますけれども、SARS-CoV-2感染症そのものはエスニックはものすごく関係があります。アジア人ではSARS-CoV-2に非常にかかりにくいのです。何らかの寄与があって、最近話もありましたが、そういう特性があるので、当然そういうものが出てくるわけです。ある程度抗体があると効きにくいということがあると疑われるということはあるのではないかということです。
 副作用も私が言ったように日本人では多い傾向があるのです。少ない被験者だからあまり有意ではないとか、そういう話もされましたが、15分の8はあるわけです。私が御指摘したとおり、日本人の副作用が結構あります。21分の17ページの下から6行目ぐらいに本薬800mgで様々な副作用が出ているので、この手の薬に対しては日本人は弱いのではないかということも示唆されるので、弱い効果のお薬で副作用は結構ありそうです。特に妊婦さんだとサリドマイドを思わせるような奇形性が出る可能性があるということです。その辺を全部勘案すると、本当にどうなのかと。ファイザーのプロテアーゼインヒビターパクスロビドを待ったほうがいいのではないかということも考えられるわけです。このようなことを申し上げたいと思います。
○医薬品審査管理課長 先生方、いろいろと御指摘、御意見をどうもありがとうございます。
 本剤につきましては、なかなか情報が少ないという中、分からないことが多い、それから、有効性・安全性についての評価もなかなか難しいというのが今の御議論になっているのだろうと思っております。
 一方で、宮川先生もおっしゃいましたとおり、お薬を生かす、育薬をしていくという観点から、仮にお認めいただいた後の使い方をどうするのか、すなわち患者さんをしっかりフォローしていける形にし、さらにはその情報をしっかりと企業の方が収集し、そういった情報も含めてさらに医療機関に的確にフィードバックしていく。その際には、今回の用法・用量がどうやって決まったのかということも含めフィードバックする。さらには、島田先生が御指摘のような妊婦の問題とかについては当然禁忌になっているわけですから、そういったことについてのフィードバックも的確に、特に市販直後の情報提供をしっかりやっていくというような運用をしっかりしていくことは極めて重要なことかなと思います。
 そういったことを徹底できるような手だてとして、この薬剤を仮に御承認いただいた後には、国が買い上げた形で薬剤の供給についてコントロールする形になります。その際に、このお薬を処方できる医療機関について、投与後に定期的なフォローアップがしっかりできる医療機関に本剤を届けるということを私ども行政の方からお願いする。
 さらに、企業に対しては、市販直後、一定の期間は、いわゆる全例調査をしっかりやって、その内容を医療機関にフィードバックする。そのことを私どもの方から企業に徹底させていただく。そういったことを私どもの方で提案させていただきたいと思います。
 そういったことが整うことによって、オミクロン株に対して、抗ウイルス薬でございますのでvitroのデータではあるかもしれませんけれども、一定の効果が当然期待できる薬剤でもございますので、そういった薬剤について有効性・安全性の観点からお認めいただけるのかどうかということについて、今、私が申し上げたような市販後の条件といいますか、運用上、こういう形にさせていただくことをお約束させていただくということをもって、承認の可否を御判断いただければありがたいと思っております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ここら辺で議決に入りたいと思います。
 大曲委員におかれましては、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。また、亀田委員、濱委員、南委員、山本委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
○島田委員 私は反対です。
○清田部会長 分かりました。
 それでは、お一人反対ということで、ほか、賛成多数で可決させていただきます。どうもありがとうございました。
○清田部会長 それでは、続きまして報告事項に移ります。
 報告事項議題1につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項といたしまして、急遽議題を追加させていただきましたが、資料6を御確認いただけますでしょうか。これまで承認いただいた中和抗体薬の承認条件を変更することについて、御報告をさせていただければと思います。
 まず、背景についてですが、SARS-CoV-2による感染症を効能・効果とする中和抗体薬については、これまで2製品、ロナプリーブとゼビュディが承認されております。
 いずれも、承認時においては確認されていた変異株に対する中和活性については期待できるものとされてはおりますが、新規変異株については、製造販売後も引き続き情報は収集とされておりました。
 11月26日に新たにWHOによりVOCとされたオミクロン株については、スパイクたんぱく質に多くの変異が認められており、特に中和抗体薬の効果を減弱させるおそれがあるとも言われております。
 このように、まずは新規変異株におきまして、効果が認められないことが明らかとなった場合における中和抗体薬の薬事承認上の取扱いについて検討する必要があり、対応を御報告させていただければと思います。
 事実関係といたしまして、まず、ロナプリーブについてですが、製造販売業者が実施した疑似ウイルスを用いた非臨床試験におきまして、オミクロン株に対する中和活性が少なくとも1,000倍程度低下することが認められております。別添1に資料をつけさせていただいております。推定した値だということですが、○○○○○○を超えるという形で、少なくとも1,000倍程度の活性の低下が認められているという報告をいただいております。
 戻っていただきまして、1ページの(2)ゼビュディにつきましては、製造販売業者のプレスリリースによりますと、オミクロン株のスパイクたんぱく質にある37の変異を導入した疑似ウイルスを用いた非臨床データに基づいて、ソトロビマブは活性を維持していることが示されたとされております。また、EMAにおけるSUMMARY OF PRODUCT CHARACTERISTICSでは、オミクロン株におけるEC50の値は野生株に対して2.7倍とされております。
 また、御参考までですが、過去、米国においてイーライリリー社が開発した中和抗体薬バムラニブマブとエテセビマブにつきましては、変異株における中和活性が低下したことを受け、地域ごとの変異株の割合が5%を上回らない場合に限り緊急使用許可の対象とするといった措置が取られていると理解しております。別添2に詳細な経緯を記載させていただいております。詳細な御説明はこの場では割愛させていただければと思いますが、7分の5ページに記載している下の表「流通等の変遷」に記載しておりますが、2021年5月7日からガンマ株やベータ株の流行が始まりまして、その流行が一定以上認められた州においての使用を止めるといいますか、流通を止めるという措置が米国においても取られております。これは過去の例、海外の例でございます。
 こういったことを参考にしながら、7分の2ページを御確認いただければと思いますが、本邦における薬事承認における対応案ということで、こういったことを検討しております。
 まず、(1)承認条件の追加ですが、変異株に対して中和活性が低下することが認められる場合には、SARS-CoV-2による感染症に対する有効性に影響を及ぼすおそれがあることから、変異株の流行状況も踏まえて、本剤の適正な使用が確保されるよう必要な措置を講じることについて、下の四角にある承認条件を追加してはどうかと考えております。
 なお、新規変異株に係る中和活性等の検討、また、その結果の提出につきましては、先ほど御紹介したロナプリーブのデータにありますように、現時点でも製造販売業者から実質的に提供いただいておりますが、今後新たな対応が必要となった場合に備えて、承認条件としてこれも付与してはどうかと考えております。
 また、中和抗体薬以外の抗ウイルス薬につきましても、仮に変異株に対して同様の効果低減が認められた場合は、同様の措置を検討するのがよいのではないかと考えております。
 追加する承認条件(案)をこちらに書いておりますが、新規変異株の流行が懸念される場合、当該変異株に対する中和活性等を速やかに検討し、その結果を厚生労働省に提出すること。
 2点目として、本剤の有効性が減弱するおそれがある変異株が流行している場合は、新規変異株に対する中和活性、新規変異株の地域ごとの流行状況等を踏まえ、適切な患者に対して投与するよう医師に対して要請するなど、本剤の適正な使用が確保されるよう必要な措置を講じることという承認条件を追加してはどうかと考えております。
 また、こういったことを追加することと併せて、(2)添付文書における対応といたしまして、具体的に有効性が減弱するおそれがある変異株が流行している医薬品につきましては、医療機関向けの注意喚起のため、次の四角に書いてあるような注意事項を添付文書の冒頭に記載することとしてはどうかと考えております。
 記載例といたしまして、今回はロナプリーブのオミクロン株に対するものとなりますので、オミクロン株については、本剤の有効性が減弱するおそれがあることから、厚生労働省の事務連絡等に基づき、適切な患者に対して投与することといった記載例を想定しております。
 こちらで記載している厚生労働省の事務連絡が何を指すかということについて、次のページに御紹介しております。「4 医療現場における対応」として記載しておりますが、実際に有効性が減弱するおそれがある変異株が流行している場合に、企業が医療機関に対して対応を求める具体的な内容につきましては、薬事と言いますよりは、感染症対策を担う厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部において決定し、事務連絡がされると理解しております。
 今回の場合ですと、当面の対応として、コロナ本部で検討している内容でございますが、ロナプリーブについては、オミクロン株に対する中和活性が減弱することが報告されていることから、患者に対して投薬を行うまでに、患者の感染しているウイルス株がオミクロン株であることが明らかである場合や、その蓋然性が高い場合はロナプリーブを投与することは推奨されないという注意喚起がなされる予定と聞いております。また、デルタ株等これまでの変異株への有効性については、従前のとおりだということも併せて情報提供する予定だということでございます。
 また、今後さらにオミクロン株の蔓延が拡大していった場合に措定される対応としてマル2を記載しております。オミクロン株が一定の割合以上、例えば5%以上などを超えた場合には、「地域の感染状況に留意して使用するように」と述べた上で、上の当面の対応に加えて次の対応を求めてはどうか。これは少し対応を強化した形になっており、1ポツ目ですが、原則として、ロナプリーブの投与を控えていただき、他の薬剤、ゼビュディや、現在承認されている薬剤としてはレムデシビルを御使用いただくということ。ただ、患者がオミクロン株以外に感染していることが確認された場合や、その蓋然性が高い場合には、従来どおり投与可能であること。また、ロナプリーブはオミクロン株以外には有効であると考えられることと、各県の変異株の割合につきましては、アドバイザリーボード(ADB)の資料を確認いただくということを情報提供する予定でございます。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございました。
 委員の先生方から御質問等がございましたら承ります。
 どうぞ。
○中野委員 中野です。1点教えてください。
 これはCOVID-19に限ってということでしょうか。例えばインフルエンザウイルスのアマンタジン、今は誰も使いはしないと思うのですが、今後そういったほかの薬剤にも適用をされるということでしょうか。お教えいただければと思います。
○事務局 事務局でございます。
 この対応につきましては、当面、COVID-19についての対応として行っていく予定です。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○中野委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、報告事項議題1につきましては御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会の予定につきましては、追って御連絡させていただきます。
 よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。本当にありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)