令和3年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会(議事要旨)

 

 

1.日時 令和3年12月7日(火) 13:00~14:47
 
2.場所  AP虎ノ門Aルーム
 
3.出席者
○日本通運株式会社人財戦略部専任部長 池田 祐一
○日本商工会議所産業政策第二部部長 大下 英和
(代理:日本商工会議所産業政策第二部課長 清田 素弘)
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹 坂下 多身
○東京海上ホールディングス株式会社人事部専門部長 砂原 和仁
○全国中小企業団体中央会事務局次長・労働政策部長 佐久間 一浩
○セコム株式会社総務人事本部参与 二宮 美保
○鹿島建設株式会社安全環境部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社人事労政部部長 山内 幸治

4.議題
(1)令和4年度概算要求の概要及び労災保険経済概況等について
(2)社会復帰促進等事業における主な新規・拡充(令和4年度予算要求)について
(3)令和3年度第1回検討会を受けて令和3年度成果目標を変更した事業について(報告)
 
5.議事<主な指摘事項と対応>
<総論>
○ 未払賃金立替払事業を除く社会復帰促進等事業費の予算を、全体として、昨年より5%削減した点については、一定の評価をしたい。
しかし、7月の令和3年度第1回検討会の際にも申し上げたとおり、いくつの事業については、なぜ社会復帰促進等事業として予算計上をするのかと感じられるものもあり、予算の削減幅も私どもの認識と乖離がある。更なる削減をお願いしたい。平成25年の予算と同じ水準くらいに向けて、PDCAを活用して削減してもらいたい。
 
○ 未払賃金立替払は過去の推移から今後を見通すことはできないが、危機感を持っている。雇用保険二事業では財源が枯渇しており、保険料の引上げが不可避となっているが、そうした中で未払賃金立替払等の影響で仮に労災保険料が上がるとなると企業としては耐えられない。例えば、働き方改革関連で11億円の削減努力をしていただいているが、今は一定程度の効果が出て、フェーズが変わってきているのであれば、必要なものに絞っていくという考え方があると思う。
 
○ 今年度増額される事業についての異論はない。無理矢理削減するのではなく適切に管理して欲しい。総額の推移を見ると削減が5%にすぎず残念に思う。この数年の微減は評価しており、一定の管理は行われていると承知しているが、平成24~26年は総額600億円程度であるのに対し、現在は1,000億円に近づく金額なので、1割、2割程度の削減を前提としないと私どもの認識との乖離が継続する。一つ一つの事業は大事だが、濃淡をつけて、予算消化ではなく、事業の取りやめなど評価の在り方を含めて検討して欲しい。
 
○ 単年度ではなく、中期的に事業費削減の計画、目標を検討できないのか。
例えば、来年度以降2年かけて10%、5年かけて30%削減といった議論ができないか。
 
○ 労災保険料の徴収は、そもそも災害補償を目的としており、社会復帰促進等事業はそれに付随するものなので、事業の必要性や予算規模についての議論が必要ではないか。
 
○ 既存の予算ありきではなく、例えば全体を2割減して新規案件を1割増やす等、根本的な見直しをお願いしたい。
 
○ 資料2の「労災保険経済概況」の資料について、収入の内数として示されている事項を合算しても合計額とならない。「雑収入」や「雑費」といった項目を設けて、内数の合算額が合計と一致するような資料づくりをお願いしたい。
 
<個別事業について>
○ No.10労災ケアサポート事業経費
・ 訪問支援について、労災ケアサポート事業のように、オンラインでの支援に変えることで、他の事業も交通費が減るのではないか。

 
○ No.15過労死等防止対策推進経費
・ 実績をみての減額ということだが、インターバル制度などの普及を図る中で予算が減額されてしまうと、過労死防止の観点からは厳しい数字に見えてしまうのではないか。
 
○ No.16安全衛生啓発指導等経費
・ 技能講習修了証明書について、建設業ではキャリアアップシステムにおける技能者カード保有の推進という目標があって、320万人の技能者が全員技能者カードを取得するよう推進しているところであり、現在70万人、来年には100万人に達する予定である。技能講習修了証明書とマイナポータルとの一体化について、メリットを提示することもできるので、所管外にわたる部分もあるかもしれないが、一体化の目標時期を教えていただきたい。
 
○ No.22 働き方改革の実現に向けた労働時間の上限規制の定着による長時間労働の抑制等のための取組
・ 委託業者による36協定の入力・集計について、なぜ社会復帰促進等事業で行う必要があるのか。また、パンフレットの新規作成について、既存のもので良いのではないか。
 
○ No.36産業医学振興経費
・ 令和3年度第1回検討会において、産業医を安定的に供給するための取組として、医学部の地域枠の仕組みなどを参考にすることはできないかと指摘したが、その後の進展はどうなっているか。
また、医学部の地域枠の仕組みでは、都道府県の同意を得ない離脱者について、専門医の認定をしないという仕組みもあるようだが、そういった制度を参考に新たな仕組みを作ることはできないか。
・ 産業医の復帰を促進したいということだが、実際にはどの程度産業医が不足しているのか。また、産業医にとって復帰するメリットは何かあるのか。取組の強化により産業医は復帰するのか。
 
○ No.37未払賃金立替払事務実施費
・ 破産した企業からの取立ては難しいものと推測するが、取立ての実績や回収率を教えてほしい。
 
○ No.38過重労働の解消及び仕事と生活の調和の実現に向けた働き方・休み方の見直し
・ 働き方改革関連で11億円の削減努力をしていただいているが、今は一定程度の効果が出て、フェーズが変わってきているのであれば、必要なものに絞っていくという考え方があると思う。<再掲>
・ 働き方改革支援センターについて、浸透したものとそうでないものがあるため、メリハリを付けていただきたい。
  実際に47都道府県において働き方改革支援センターの予算の減額をしてよい段階に来ているのかを確認したいが、成果が見えず、地域差もあるものと思われるため、資料として提示していただきたい。
・ 労働時間削減や人材確保、同一労働同一賃金の実施方法等について課題や不安を抱えている企業の声は依然として多くあり、また、コロナ禍で雇用就業環境が大きく変化する中、改めて働き方を見直さなければならない企業も多いため、各社の実情に応じたより具体的な支援が必要になる。このため、効率化を図るため予算削減をすることは重要であるが、十分な支援を行えるような体制は維持していただきたい。
 
○ No.39テレワーク普及促進等対策
・ アウトプット指標について、相談件数を7,000件以上とするとなっているが、資料のダウンロード数が相談件数に含まれることとされており、指標として適切なのか。令和2年度の相談件数は8,717件とあるが、そのうちダウンロード数は何件あるか。
 
○ No.40医療勤務環境マネジメントの普及促進等事業
・ アドバイザーとして派遣される方はどういった方で、また、どのような権限が付与されるのか。アドバイスは有効なのか。
  また、アドバイザーが社会保険労務士だと、労働時間削減という観点では期待できるが、経営面という意味では経営コンサルタントや、弁護士などを入れる必要もあるのではないか。
 
○ No.41中小企業退職金共済事業経費
・ そもそも中小企業退職金共済の事業費がなぜ労災勘定から出るのか。アウトプット指標について、未達の理由が新型コロナウイルス感染症により、直接訪問から、電話や文書へ対応を変更したためとあるが、今後コロナ禍の見通しが立たない中で同様の目標を立てても達成することが出来ないのではないかという懸念があり、オンライン化を進めるべきだと考える。
 
○ No.42独立行政法人労働政策研究・研修機構運営費・施設整備費
・ 予算額の増減が大きい。急にやらないといけない調査もあるだろうが、委託先の入札等に時間かかる場合もあると思うので、臨機応変に調査ができるよう予算を組んでいただきたい。これだけと決め打ちにしないようにすべき。