2021年12月15日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年12月15日(水)18:00~

出席者

出席委員(17名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(4名)

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」のウェブ会議を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中御参集いただき、誠にありがとうございます。
 この度の医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ウェブでの審議とさせていただきます。
 本日のウェブ会議におけます委員の出席状況でございますけれども、小崎委員、山口委員より御欠席との御連絡をいただいております。このほか、川上部会長代理、南委員からは遅れて御参加との御連絡をいただいておりますし、大曲委員、松下委員は後ほど会議に御参加いただけるものと認識しております。
 したがいまして、本日ですが、現在のところ当部会委員数21名のうち現時点で15名の委員にこのウェブ会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
 今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告をさせていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。
 まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のウェブ会議に係る資料の確認をさせていただきます。
 本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料として資料No.1を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
 このほか、資料No.2として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料No.3として「専門委員リスト」を、資料No.4として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りさせていただいております。
 なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
 続きまして、本日のウェブ会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。
 資料No.4の1ページを御覧ください。
 COVID-19ワクチンモデルナ筋注でございますが、本品目はSARS-CoV-2による感染症の予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本ウェブ会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
 議題1、COVID-19ワクチンモデルナ筋注、退室委員なし、議決に参加しない委員、亀田委員、川上部会長代理、松下委員、南委員、宮川委員でございます。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は、審議事項1議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移ります。
 議題1につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、COVID-19ワクチンモデルナ筋注の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。
 資料No.1のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に青色で記載の40分の幾つの数字を使用いたします。
 本剤は、「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とするワクチンで、今年の5月に本邦で承認されました。昨年末以降、世界的にSARS-CoV-2ワクチンの接種が進められている一方で、今年夏頃から世界各地でSARS-CoV-2感染の再拡大が認められ、感染拡大抑制のための保健衛生上の措置として、SARS-CoV-2ワクチンの初回免疫を終えた人に対する追加接種が海外で開始されました。本邦においても、11月にコミナティ筋注の追加接種に係る用法・用量が承認され、12月より追加接種が開始されています。
 今般、本剤の追加接種に係る臨床試験成績に基づき、武田薬品工業株式会社より、追加接種の用法・用量の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
 本品目は、医薬品医療機器等法第14条の3に規定された特例承認に該当する品目として取り扱いました。
 なお、本品目の専門委員として、資料No.3に記載の5名の委員を指名しました。
 主な審査内容について御説明いたします。
 本剤の追加接種の用量は、初回免疫の用量100μgの半量となる50μgと設定され、臨床試験が実施されました。
 追加接種の有効性は、初回免疫に係る海外第II相試験の被験者に対して、初回免疫から6か月以上経過後に本剤を追加接種した試験、P201試験パートBの免疫原性データに基づき評価されました。
 報告書9ページの最終段落から10ページを御覧ください。有効性の主要評価は、本剤の初回免疫の臨床的有効性を評価した海外第III相試験、P301試験における、初回免疫2回目接種後の免疫原性データに対する非劣性を示すこととされました。表5、中和抗体価の幾何平均比GMRについて、表の右端の列に示すとおり、両側95%信頼区間の下限値は非劣性マージンとされた0.67を上回り、点推定値は1.0以上であったことから、事前に設定された成功基準が達成されました。一方、表6、抗体応答率については、表の右端の列に示すとおり、追加接種後と初回免疫後の差の両側95%信頼区間の下限値はマイナス12.2となり、非劣性マージンとされたマイナス10%を下回り、事前に設定された成功基準が達成されませんでした。
 抗体応答率の差が事前に設定した成功基準を達成しなかった理由として、申請者は、追加接種のベースラインのGMTが初回免疫のベースラインのGMTに比べて高かったことにより、結果的に追加接種後の抗体応答率が初回免疫後の抗体応答率に比べて低くなったためと説明しています。抗体応答のベースラインは、P301試験は1回目接種前、P201試験パートBについては追加接種の前と設定されており、数値は報告書16ページの表8にお示ししております。P301試験のベースラインのGMTは表8の一番右の列の上段にあります9.62、P201試験パートBのベースラインのGMTは一つ左の行の125.70でした。
 追加接種に係る免疫原性の主要評価は、初回免疫の用量が承認用量である100μg群と、その半量となる50μgの二つの用量群を併合した結果を用いて解析が行われましたが、初回免疫の用量の違いが追加接種後の免疫応答に及ぼす影響は不明であることなどから、本申請の審査においては、初回免疫において承認用量が接種された初回免疫100μg群の結果を重視し評価することとしました。
 初回免疫100μg群に本剤50μgを追加接種した際の結果は、さきにお示しした表と同じく16ページ、表8に示しています。表8、左から3列目、P201試験パートB、初回免疫100μg・追加接種50μgの列を御覧ください。中段、追加接種後のGMTは二つ右のP301試験の初回免疫後のGMTを上回り、また、GMR及び抗体応答率はそれぞれ右隣に示す初回免疫の用量群を併合した際の値と結果的に同様の値でした。
 変異株に対する免疫原性については、報告書19ページ、表10及び表11を御覧ください。表10はデルタ株に対する中和抗体価を示す表であり、追加接種により初回免疫後の抗体価を上回る上昇が確認されました。また、ベータ株及びガンマ株に対する中和抗体価についても、探索的な結果ではあるものの、表11のとおり、追加接種前に比べて上昇が認められました。
 本剤の有効性に関する機構の判断は報告書20ページ、6行目以降に記載しています。二つの主要評価項目のうち、結果的に抗体応答率に係る非劣性を示せなかったものの、本剤の初回免疫に関しては高いCOVID-19発症予防効果が既に確認されており、また、P201試験パートBの初回免疫100μg群における追加接種後の抗体応答率は87.9%であり、抗体応答の基準を満たさなかった被験者の集団においても追加接種後に中和抗体価は上昇し、比較対象とされたP301試験における初回免疫後の抗体価よりも高い値が得られています。
 以上を踏まえると、P201試験パートBの試験成績に基づき、本剤の追加接種により臨床的な有効性を支持する免疫応答が認められると判断することは可能と考えました。
 以上の臨床試験の免疫原性の結果に加え、本剤と同様のmRNAワクチンであるコミナティ筋注の追加接種に係る成績及び追加接種後の疫学報告も総合的に考慮し、本剤の追加接種について、一定の有効性は期待できると判断しました。
 本剤の追加接種の安全性については、20ページの下から始まる7.R.4項に記載しています。21ページ、表12にお示ししたとおり、追加接種後の特定有害事象の発現傾向は、P201試験及びP301試験における2回目接種後の特定有害事象の発現傾向と明らかな違いはなかったことなどから、追加接種に関する臨床試験で確認された安全性プロファイルは初回免疫時とおおむね同様であり、追加接種に係る安全性について重大な懸念は認められていないと判断しました。ただし、臨床試験において評価された例数や被験者背景などは限られることから、製造販売後に引き続き追加接種に係る安全性について情報収集が必要と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、2ページに記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本申請は新用量医薬品としての申請ですが、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上あることから、再審査期間は残余期間と設定することが適切と判断しました。薬事分科会は報告を予定しております。
 なお、本剤の販売名「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」について、39ページ、「5.その他」に記載のとおり、本申請の承認後、欧州などでの販売名に合わせて「スパイクバックス筋注」に変更される予定です。また、同時に有効成分の名前が「エラソメラン」に変更される予定です。
 機構からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方から御質問、御意見がございましたら承ります。いかがでしょう。
 中野先生、どうぞ。
○中野委員 どなたもいらっしゃらないのならば、確認だけさせていただきます。
 御説明いただいたとおり、血清中和抗体価がしっかり上がっておりますし、ただ、免疫応答率は当初設定した基準を満たさなかったということでございましたけれども、先ほどの御説明を伺いますと、1回目でしっかり抗体価が逆に上がっているので追加ブースター接種の効果が認められなかったという解釈かと理解いたしました。それで私も機構からいただいた御提案に異論はございませんけれども、その点を確認申し上げておきたいと。
 もう一点は、初回免疫と違って半量の接種でございますので、これは本日の審議とは直接関係はございませんけれども、接種の現場で間違いが起こらないように、添付文書に明快に書いていただいてあるのでいいかと思いますけれども、その点が接種に携わる者としては、半量をしっかり打つということの確認が必要かと思いました。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 機構からはいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 中野先生、御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
 まず1点目の確認事項に関して、先生の御理解のとおりで、想定よりも初回免疫6か月後の追加接種前の抗体価が高かったというところが原因です。その後はしっかり抗体価が上がっているということになります。
 2点目、半量になるというところに関して、添付文書以外のいろいろな資材においても追加接種の用量が半量であるということは注意喚起、情報提供をしっかりしていくということで、申請者からも方針が説明されております。
 機構からの回答は以上になります。
○清田部会長 ありがとうございます。
 中野先生、よろしいでしょうか。
○中野委員 ありがとうございます。了解いたしました。
○清田部会長 それでは、大隈先生、御質問があるようです。いかがでしょう。
○大隈委員 大隈です。よろしくお願いします。
 これの追加接種については特に異議はないのですけれども、今後そういう追加接種が同じ製剤で追加接種がされる場合と、異なるといいますか、同じmRNAワクチンでも違う製剤が当然ありますけれども、それの追加接種が考えられているようにお聞きしているのですが、そういう場合が今後どうなるのかをお聞きしたいのです。何かしらそういう予定とか、海外でもそういった追加接種が行われているかと思うのですけれども、それに対する有効性や安全性について情報があれば教えていただければと思います。
○医薬品審査管理課長 先生、どうもありがとうございます。審査管理課長でございます。
 本日の御議論につきましては、まさにモデルナ社のワクチンのブースターについての御審議という形になりますので、データについてはこのデータに基づいて御評価いただく形になるものであります。先生の御指摘のいわゆる交互接種、これについてはもちろん否定するものではございません。ただ、企業側が臨床試験は実施していないわけでありますので、添付文書にはその旨を記載する形になります。
 ただ、交互接種につきましては種々の研究が進められておりまして、これについてはいわゆる予防接種事業全体の中での御議論ということで、これまでもいわゆる厚生科学審議会のワクチン分科会でいろいろなデータに基づいて御議論がなされる形になっておりますので、本剤についてのブースターにおける交互接種についてもそちらで御議論いただいて、恐らく許容されるといいますか、認められる方針になるのではないかと認識しております。
 以上でございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○大隈委員 よく分かりました。
 海外からの情報はあるのでしょうか。
○清田部会長 中野先生、お願いします。
○中野委員 私の知る限りでは、薬事承認事項というよりは、英国では「COV-BOOST」という交互接種の研究が行われていて、12月に『The LANCET』に論文が出ております。ただ、英国でございますので、初回免疫がアストラゼネカのウイルスベクターワクチンとファイザーのmRNAワクチンを打ったというデータでございます。もちろんモデルナを追加接種しているデータはございます。
 それと、論文にはなっておりませんけれども、米国で同じように交互接種を、こちらの方はモデルナで初回免疫をしたものも含めてデータが一部出ております。ですから、少数例でございますけれども、世界ではいろいろな研究が進んでおりますし、日本でも一部は研究が並行して行われるか、計画があるかとか、そういうことは研究のレベルでは聞いております。
 ワクチンにずっと携わってきた者として、いわゆるワクチンの互換性の問題に関しましては、これまでも古くからはDPTワクチンの百日咳抗原が当然ワクチンによって種類が異なりますし、B型肝炎も現在国内で販売されている二つのワクチンはそれぞれ含まれているウイルスのジェノタイプが異なりますけれども、先ほど御説明がございましたように、どちらかというと薬事承認事項というよりはその後の知見の集積とか少数例の研究の結果に基づいて、いろいろなことが別のところで運用として決まっていくかと理解しております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 大隈先生、よろしいでしょうか。
○大隈委員 分かりました。ありがとうございました。
○清田部会長 それでは、宗林先生、御質問をお願いします。
○宗林委員 宗林です。
 2点あります。1点は、今回ブースター接種の方が半量になっていますが、半量になった決定的な理由があるのであれば教えていただきたいと思います。
 それに関連してでもあるのですが、安全性のところのデータなどを見ますと、皆さんのモデルナを打った後の副反応が大変厳しかった印象があるので伺っているのですが、半量であっても副反応は同じぐらい、多少発熱とかが低い傾向でという表現はありますが、表12などを見ますと同じぐらいの副反応というデータでしょうか。
 以上2点でございます。
○清田部会長 機構からお答えできますか。
○医薬品医療機器総合機構 先生、御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
 まず、追加接種の用量が半量になった理由ですけれども、こちらについてはP201試験、このパートBの前の初回免疫の試験の結果に基づいて設定がされています。初回免疫50μgと100μgの群がありまして、その初回免疫の免疫原性の結果、同じくらい中和抗体価が上がっているという結果が出ていました。このパートAの初回免疫の副反応の結果を見たときには、50μg群の方が100μgよりも特定有害事象の発現割合が少ないということで、同じくらいの抗体価の上昇が認められるのであれば副反応の少ない用量を選択するというのがモデルナ社の考えであって、それに基づいて50μg群が設定されて、臨床試験が行われました。
 結果的に、先生が御指摘のとおり、パートBの結果を見ますと、一部の事象については少し発現割合が少ない事象もありますけれども、おおむね同じくらいと言えるような特定有害事象の発現割合の結果になっております。
○宗林委員 ありがとうございました。
 この同じぐらいの表12の所の数値ですけれども、これは半量にしても同じぐらいの副反応が出たということですね。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。
 表12の真ん中のパートBの列が追加接種50μgの結果でして、両隣が初回免疫の結果ですので、ここを横並びで見ていただくと、真ん中とその両隣で比較するという形になります。
○宗林委員 ですから、半量でも今回打てば副反応は同じぐらい出るというような数字ですね。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりです。
○宗林委員 承知しました。ありがとうございました。
○清田部会長 島田先生、お願いします。
○島田委員 島田でございます。
 大変分かりやすい説明だったと思いますので、私はこれで賛成なのですけれども、この全体を読ませていただいて気になる記述があったので、それだけ御指摘したいと思います。
 13/40を開けていただいて、「7.R.2 本審査の審査方針について」の上の3行ぐらいに、読ませていただきますと、本邦におけるSARS-CoV-2ワクチン接種状況、感染状況等を踏まえると、本剤の初回免疫を受けた全ての者において早急に追加接種が必要な状況ではないが、SARS-CoV-2感染による重症化や重篤な転帰を防止する観点から、追加接種には一定の臨床的意義があると書いてあるのです。確かにそうかもしれないのですが、海外でのオミクロン株の状況ですとか、ヨーロッパのものすごい感染状況、あるいは韓国はデルタ株なのでしょうけれども、ワクチンの効果が破られてすごい感染状況になっていることを考えると、本邦において確かにそうかもしれないけれども、要するに、各国の状況を考えると本当に早急に私は打つべきものだと思うので、すぐにはいいのだよ、ゆっくりやりましょうというような雰囲気が感じられるので、この記述は何か危機感がないように思うのですけれどもね。いかがなのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構ワクチン等審査部長でございます。
 御指摘のとおり、現在の状況は早くワクチンを接種することにかなり考え方がシフトしつつあるようには思いますが、この報告書を作成する段階においてはまだオミクロン株の脅威はそれほど明らかになっていなかった。作成日が12月2日ですので、経時的な状況の変化に関しては御容赦いただければと考えております。御指摘ありがとうございます。
○島田委員 本当にSARS-CoV-2の感染症に関しては刻々と状況が変化していくので、こういう公式の文書であれば書き換えてあれしたほうが、危機感をあまりあおるのはよくないかもしれませんけれども、ちょっとのほほんという感じがありますねと私は思ったので、御指摘したまでです。
 そういうことで、押し切られるならば私としては別に、これは通ればいいので、気になる記述かなと考えただけです。ありがとうございました。
○清田部会長 島田先生、ありがとうございます。
 では、そのように御理解いただければと思います。
○医薬品審査管理課長 先生、御指摘をどうもありがとうございます。
 もちろん我々も当然危機感を持っておりますし、先ほど申し上げました予防接種事業を担当している厚生科学審議会の方、あるいは政府全体としても早急に3回目のワクチン接種を行うというのは危機感を持って対応している状況でございますので、その点についてはどうぞ御理解いただければと思っております。どうもありがとうございます。
○清田部会長 それでは、最後に宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川でございます。
 教えていただきたいのは抗体応答率のことなのですけれども、もう一回基本的なところで、コミナティの追加免疫のときと今回のときと求め方が違うのかどうか、その基本のところだけ教えていただきたいと思います。4倍ということのただの数字的なことだけが独り歩きすると困るので、コミナティのときと今回のモデルナのときと少し求め方が違うのか、その前の段階をどのように取り扱っているのかということについて少し教えていただければと思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 先生、御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
 抗体応答率については、先生に御質問いただいているように、ファイザーのコミナティの抗体応答率の算出方法とモデルナの算出方法が異なっております。まず4倍という倍率のところは同じです。違う点は、追加接種のベースラインの設定が異なります。本剤は、追加接種のベースラインが追加接種の直前の抗体価と設定しているのですが、コミナティでは初回接種の前、つまり、ワクチン1回目接種の前をベースラインとして抗体応答をそれぞれ評価しています。ですから、そういう設定が異なるということになります。
 今回、では、仮にモデルナのベースラインの設定をファイザーと同じように初回接種前にしたときにどういった結果になるのかということですけれども、それは報告書の17ページにお示ししております。最後の段落の上4行目です。「なお、ベースラインの差をなくすため」という所から始まる文章ですけれども、ベースラインを1回目接種の前の中和抗体価とした場合に、二つの用量群を併合した場合に、P301試験との差は1.6%、それぞれの用量群に分けた場合にも同じように1.6%となりまして、両側95%信頼区間もこちらにお示ししております値になりまして、仮に非劣性マージンマイナス10%で評価した場合にも、併合した場合の信頼区間の下限値が0.3ですので、マージンを満たすという結果になりまして、同じような評価をした場合にはファイザーの結果と同じような結果になるという数値が得られております。
○宮川委員 ありがとうございます。
 つまり、そのようなことを聞きたかったので、殊さら試験の数値だけを切り取られてしまうと、今回のスパイクバックスが単純に劣る言い方になってしまうので、このところの表現はしっかりと読む側が理解していかないといけない事象かと思ったもので、あえてお聞きいたしました。
 もう一つお聞きしたいのは、このスパイクバックスの場合は心筋炎・心膜炎のことがあるので、これも発症に関しての憂いというか、危険性というものは実際にあまりなかったという記載で書いてありますので、そのような取り方をしてよろしいのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
 心筋炎・心膜炎リスクについてですけれども、追加接種時の心筋炎・心膜炎のリスクに関しては、現時点では追加接種時のリスクを検討するのに十分なデータは得られていないというのがまずお答えになります。
 臨床試験では認められているかということに関してですが、P201試験パートBにおいては、心膜炎が1例認められました。ただ、この事象は初回免疫50μg群の8○歳の女性において、追加接種後89日目に発現しております。この被験者はグレード1の拡張機能障害及び慢性徐脈の既往症を有しておりまして、心膜炎と同時に狭心症も認められ、いずれの事象も治験薬との因果関係は否定されております。
○宮川委員 ありがとうございます。
 私も副反応部会に出ておりますので、89日目であり、そしてなおかつ高年齢者であり、基礎疾患を有しているので、そういう意味でこの事象に関しては、殊さら強調されるべきではないということが確認できればよろしいのかと思っております。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入りたいと思います。
 亀田委員、川上部会長代理、松下委員、南委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会につきましては、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○宮川委員 宮川ですけれども、事務局にお尋ねしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか。
 添付文書なのですけれども、添付文書の中で温度とそのときの保存の期間というものが少し当初から変わっているので、しっかりと周知していただくために、これは添付文書であるのですが、使用上のときにしっかりとやっていただければよろしいのかと思いますので、その辺は配慮をよろしくお願いします。温度と期間ですね。それをよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、皆さん、これで終了いたします。お疲れさまでした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)