第4回 医療扶助に関する検討会 議事録

日時

令和3年11月18日(木) 16:00~18:00

場所

AP虎ノ門 会議室A(11階)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル)

出席者(五十音順)

議題

  1. (1)今後のNDBについて
  2. (2)医療扶助に関する諸課題と取組について
  3. (3)その他

議事

(議事録)
○北尾保護事業室長補佐 事務局でございます。
 では、定刻になりましたので、ただいまから第4回「医療扶助に関する検討会」を、前回に引き続き、オンライン会議で開催いたします。
 皆様方におかれましては、大変お忙しいところを参加いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の出欠でございますが、高知市の藤村委員が都合により御欠席となってございます。
 また、日本医師会の松本理事におかれましては、都合により途中退席という御予定をお聞きしてございます。
 また、事務局につきまして、9月の人事異動により社会・援護局長が交代しておりますので、一言御挨拶をさせていただきます。
○山本社会・援護局長 9月に社会・援護局長に着任いたしました山本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 この検討会でございますが、医療扶助のオンライン資格確認の導入の議論をはじめとして、医療扶助に係る諸課題について熱心に御議論いただいているところでございまして、構成員の皆様には厚く御礼を申し上げます。
 生活保護制度ですけれども、コロナ禍の対応におきましても、最後のセーフティネットとして、改めてその重要性が認識されているところでございますが、一方で、制度の適正化につきましても常に求められているところでございます。本日御報告させていただきますけれども、次の制度見直しに向けた議論もこれから本格的に始めていきたいと思っております。本会におきましては、とりわけ医療扶助を中心として諸課題を議論していただいておりますが、生活保護制度をよりよいものとするために、今後とも皆様の議論を深めていただければと思います。
 本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○北尾保護事業室長補佐 なお、社会・援護局総務課長、保護課長、保護事業室長もそれぞれ人事異動により交代となってございます。事前に配付しておる座席表のとおりでございますので、紹介については省略させていただきます。
 では、会議冒頭、カメラの頭撮り等がございましたら、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、以降の議事運営は尾形座長にお願いいたします。
○尾形座長 こんにちは。尾形でございます。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 まず、1番目の議題ですが、「今後のNDBについて」ということであります。まず、この議題につきまして保険局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 保険局医療介護連携政策課長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1「今後のNDBについて」という資料を御覧いただけますでしょうか。
 NDBにつきましては、本年7月、「医療保険部会」等におきまして、今後の取扱方針について御了承いただいてございます。その中で、医療扶助のレセプトに係るものもございますので、これにつきましては、この検討会に状況を御報告させていただいた上で具体的な手続を進めてまいりたい、そのように考えてございまして、今日、お時間を頂いた次第でございます。
 1ページ目でございますが、NDBでございます。
 厚生労働大臣は、法律の規定、高齢者医療確保法16条の規定に基づきまして、保険者等からレセプトデータ等の提出を受け、これをNDBに収載しているということでございます。後ほど詳しく御説明さしあげますが、収載に当たっては匿名化し、個人が特定できない状態で格納されているという状況でございます。
 一方で、こうしたデータをきちんとしたルールの下で活用していこうということでございまして、収集したデータにつきまして、相当の公益性を有する分析等を行う者に対して提供できるといった規定が、一昨年の法改正で整備され、施行されてございます。
また、提供に当たっては、社会保障審議会の下に「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」が設けられてございまして、一件一件、個別に審査が行われているところでございます。
 また、提供を受けた研究者等が守らなければならないルールが法律あるいはガイドラインにおいて定められておりまして、法律の規定を御覧いただきますと、個人を特定するために他の情報と照合することを禁止するとか、情報の安全管理措置義務として、サーバーの保管場所やログの管理。それから、目的外利用の禁止とか、これに違反した場合の罰則の適用。さらには、ガイドラインにおきまして、成果物を公表するに当たって、厚生労働省において事前にチェックを行い、最小集計単位で行われているかどうか、研究目的と整合的かどうか、こうしたことを確認するような形で、厳格なルールの下で運用することになってございます。
 2ページにお進みいただきますと、今後のNDBの検討事項についてでございますが、こうしたデータの価値を国民に広く還元できるよう、データの整備を進めていく。こうした考え方の下、丸1として書いてございます収載・提供情報を拡大していこうということで、居住地の情報とか所得階層の情報を加えようですとか、2つ目、他の公的データベースと連結し、より深い研究ができるようにしよう。あるいは、研究者等の方の利便性を向上するという意味で、クラウド化を進めて、医療・介護データ等の解析基盤、HICと呼んでいますが、そうしたものの開発を進めていこう。
 こうした方向性に基づきまして、3ページでございますけれども、これまで、先ほど申し上げた「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」あるいは「医療保険部会」におきまして、今年の3月から7月まで様々御議論いただきました。そうした中で、患者所在地情報、これは郵便番号と市町村コードでございます。それから、所得階層情報と申し上げましたが、これは医療保険における高額療養費の自己負担限度額の適用区分。それから、今日の本題に関わりますが、公費負担医療につきまして、この専門委員会における審査を強化した上で提供していこう、そうした方向性が確認されてございます。
 4ページにお進みいただきます。公費負担医療につきまして、令和元年の健康保険法等の改正につきまして、もともとこの公費負担医療に限らず、第三者提供制度が法定化されて、先ほど申し上げた様々な環境が整備されたところでございます。
 そうした中で、生活保護受給者に係る医療扶助レセプトにつきましては、収集はしてございましたが、運用上、これまで生活保護に関する様々な課題もございましたので、提供されていなかったということでございます。これは、今も提供は制度上は可能なのですが、まだ提供対象外としてございます。
 一方、その他の公費併用医療と書いてございますが、いわゆる全額公費である医療扶助を除く公費負担医療につきましては、レセプトはもちろん収集してございますし、その提供自体も個別の申請に対して行われておりました。ただ、このレセプトにある「KO(公費レコード)」の選択ができない。つまり、このレセプトが公費であるかどうかが分からない形で提供がなされていたというのが、今までの現状でございます。
 5ページに実際の公費負担者番号というものがございますが、この公費負担者番号・法別番号の2桁が分からない形で提供されているため、一般のレセプトと混じる形で公費負担のものが提供されていた。生活保護については、そもそも生活保護の医療扶助レセプトは提供されていなかった。これが現状でございます。
 6ページでございますが、こうした状況につきまして、公費負担医療のレセプトを活用することについて、様々なニーズ、メリットについて御議論がなされました。
 「医療保険部会」「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」での資料を一部改編したものでございますが、例えば公費負担医療につきましては、患者数とか罹患数がより精度が高く把握することができる。また、生活保護受給中の患者の方を含めた分析が可能になる。そうしたことによって、医療サービスのより正確な実態が把握できる。あるいは、3つ目のポツでございますが、感染症法に基づく公費負担医療につきましては、例えば今回の新型コロナにおきましても、そうした患者の分析も踏まえた感染症予防計画等の立案が可能になるのではないかということがございました。
 また、生活保護の医療扶助レセプトについて申し上げれば、生活保護受給中の患者の方の地域別の疾病構造とか受療行動の分析を行うことができるのではないか。あるいは、2つ目のポツでございますが、医療保険と生活保護受給を行き来されている患者さんもいらっしゃいます。そうした方の健康状態、医療サービス受療の実態を把握できますし、そうしたことは、生活保護に至る前段階で健康管理上の必要な対策を講じて、重篤な症状に陥らないようにする政策の立案にも資するのではないか。そうした御議論がございました。
 7ページにお進みいただきますと、一方で、個人情報という観点からの様々な御懸念もあるところでございます。今、どういう形で収集・提供がなされているかということでございますが、まず収集の段階で個人情報を削除してNDBに格納がなされております。さらに、提供の段階で、再び匿名加工化した上で提供がなされているということでございますので、提供した情報をもって患者個人を特定することは不可能な状態である。したがって、個人情報保護法上の個人情報には該当しないものであるという形でございます。実際に提供されるときには、CSV形式でレコードごとに提供されるということになってございます。
 8ページにお進みいただきますと、全体の流れが書いてございます。今、申し上げたとおり、収集時におきましては個人情報を削除した状態で収集するということ。それから、提供時は、提供の都度、ハッシュ化のアルゴリズムを変えて提供がなされるということですとか、実際の研究目的等に照らして、必要最小限の範囲でしか提供しない。そうしたことを徹底しているところでございます。
 それに加えて、今般の法改正におきまして、先ほども申し上げました特定の個人を識別する目的で他の情報と照合することを禁止するとか、NDBのデータと連結できるデータは法令上に限定列挙されております。また、先ほども申し上げた法令及びガイドラインで安全管理措置が講じられているほか、公表に先立って、厚生労働省において公表物の確認を行う等の措置が講じられております。
 さらに、これに加えまして、より審査が確実にしっかりと行われるように、一番下のところに書いてございますが、今、個別のNDB利用の申請をいただく提供申出書、あるいはそのサマリにつきまして、厚労省・専門委員会における審査を強化する観点から、もうちょっと詳しい内容を提出いただくような意味での内容の見直しとか、あるいは個別審査に当たっても、場合によっては実際の研究者、利用される方に出てきていただいて審査を受けいただく。そうしたことも含めまして、個別審査の運営方法の見直しも行っているところでございます。
 私どもとしては、こうした対応によって個人情報の懸念にもしっかり対応できていると思ってございます。
 最後に、9ページでございます。今後のスケジュールと書いてある表でございますが、先ほども申し上げましたが、7月の「医療保険部会」において、今、申し上げたような基本的考え方について御了解いただいてございます。
上2つ、郵便番号・市町村コード、高額療養費の自己負担限度額適用区分は、情報としては新たに収集するものになりますので、システム改修等を経まして、来年4月から収載、そして提供を開始したいと考えてございます。
 それから、3つ目の公費負担医療の公費負担者番号でございますが、これは今、収集しているデータの中で、今度は公費負担者番号のレコードが分かるような形で申請があって、必要があれば提供するという形でございますので、これは、今、ガイドラインの改正がなされて、もう提供し得る状態になってございます。
 今日、この検討会におきまして、全額公費の医療扶助レセプトについて、今、申し上げたようなことを御報告させていただき、その上で必要なガイドライン改正等を行って、これについても提供を開始したいと考えているというのが全体の状況でございます。
 駆け足でございますが、私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見を承りたいと思います。なお、発言を希望される際には、カメラに向かって挙手をお願いいたします。私からの指名を受けた後、マイクのミュートを解除して御発言いただき、御発言終了後は、再度マイクのミュートをお願いいたします。
 いかがでしょうか。御質問、御意見等、承りたいと思います。
 それでは、小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 小塩です。御説明ありがとうございます。
 実は、水谷課長から何度もNDBについて御説明を伺って、私も勉強させていただいているところです。
 実は、私、内閣府のEBPMを進めるアドバイザリーコミッティーというところに属しておりまして、各省庁からEBPMをどのように進めていらっしゃるかという御報告をいただいているのですが、厚生労働省の方々がトップランナーだということが我々の委員会のメンバーの共通認識です。その一番の根拠は、このNDBが使われるようになっているということです。非常に規模の大きなデータを使って、最先端の計量的な手法を使って政策の評価を行うことが可能になっているということは、非常にすばらしいことだと思います。そのNDBが医療扶助の分析においても使われるようになっていくということは、非常に歓迎すべきことだと思います。
 医療扶助については、いろいろな言説があって、なかなか客観的な議論が難しいところが多かったのですが、これからそういうことが大きく改善されるというのは非常にすばらしいことではないかなと思っております。
 それで、ちょっと細かいところをお聞きしたいのですが、1つは、先ほどの御説明で居住地域とか所得階層がひもづけできるようになっている。我々社会科学の人間からすると、非常にすばらしいことが可能になったということなのですけれども、今後、こういう社会科学分野から見て重要だなと思うような情報がマッチングできるようになるのかということです。例えば、難しいかなと思うのですけれども、所得だけではなくて、学歴とか就業上の地位あるいは家族構成とか、贅沢なことを言ったら切りがないのですが、そういう情報が、NDBから直接取ることはできなくても、ほかの厚生労働省あるいは総務省等々のデータとマッチングできるようになれば、より正確な政策評価の分析ができるのではないかと思うのですが、それについてお聞きしたいと思います。
 と言いますのは、先ほどの御説明で8ページ目のスライドで、真ん中辺に事後規制というのがあって、その中の丸1で法令による対応というのがあります。その2つ目のポツで、NDBと連結できる情報は、法令に限定列挙と書いてありますが、具体的にリンクできるのは、現時点でどういう情報があるのか、ちょっとお聞きしたいなと思っています。これが1点目です。
 それから、2点目は研究者としての立場からの御質問ですけれども、学術論文をジャーナルに投稿する場合に、倫理審査をちゃんと経ているかというのが最初にチェックされる項目になっています。NDBについては、その点はいかがでしょうか。というのは、私も仕事柄、厚生労働省が出している、例えば国民生活基礎調査など、いろいろなデータを使わせていただいているのですが、そのとき倫理審査を経ているかという説明がなかなか難しいのです。その点についていかがでしょうか。例えば、統計法上、倫理上、問題ないというのがクリアできているということなのでしょうか。その辺がはっきりしていれば、データを提供される際に説明があると、研究者からすると非常にありがたいと思っています。
 以上2点、御質問させていただきます。
○尾形座長 2点、御質問です。水谷課長、お願いします。
○水谷医療介護連携政策課長 小塩先生、御質問どうもありがとうございます。
 まず、1点目でございます。居住地・所得階層の情報ということで、新しく追加して、そのほかに学歴とか就業上の地位とか家族構成とか、研究をされる立場からすると、多分そうした情報というのも含めて分析できたら非常にいいだろうなという情報かと存じます。ただ一方で、この所得階層とか居住地という情報も、私ども、新たに取っているわけではなくて、今まさにNDBに格納しているレセプトデータの中で取れる範囲で、居住地、それはすなわち、実際の郵便番号とか市町村コード。それから、所得も厳密な意味での所得ではなくて、高額療養費の自己負担限度額の適用区分の範囲内で頂いているということになります。
 それに加えて新たな情報ということになると、全く新しい情報を取ってくるという、やや別のフェーズの議論になってしまいまして、私どもとしては、こうしたいわゆる属性の情報につきましては、今、レセプトの中からさらに取ってこられるものとしては、居住地と所得階層というのが1つの到達点なのかなと考えてございます。
 それから、他のデータベースとの連結でございます。すみません、私も詳しい説明を漏らして大変失礼いたしました。2ページをお開きいただきますと、他の公的データベースとの連結ということで、右下のほうに小さな形でいろいろ書いてあるものがございます。今、法律上、NDBと連結できるという規定が整備されているのは、この介護のデータベースとDPCのデータベースということになります。これにつきましては、介護はもう始まっています。それから、DPCのデータベースは来年4月からということで、もう連結が具体的に進んでいる状況でございます。
 その下に、ほかに連結が考えられるものとして書いてございますのが、小児慢性特定疾患とか難病のデータベース、あるいは死亡票とかがん登録。これらは、まだ法的な整備が済んでおりませんし、実際どういった形で連結ができるのか、できないかも含めて、今、私どものほうで内部的に検討を進めているという状況でございます。
 それから、2点目の倫理審査の関係でございますが、これにつきましては、今、NDBの使用に当たってのガイドラインの中で、自治体は別ですけれども、それ以外の方について、基本的に倫理審査委員会における倫理審査を経ていただくということを1つの手続として掲げさせていただいているということでございます。私もそれ以上の詳細を今、お答えするものを持ってございませんが、倫理審査についてきちんと経ていただいてやる。そうしたルールをガイドラインで事前に研究者の方にお示しして、それを適正に進めているという状況でございます。
○小塩委員 どうもありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。
 ほかはいかがでしょうか。
 太田委員、どうぞ。
○太田委員 御説明どうもありがとうございました。
 法学部で法律学を勉強している者として、計量研究はしておりませんので、自分が利用する側に回ることはほぼないのですが、それだけに法学者として個人情報の保護の問題と、情報を利用した差別の問題がどうしても気になりますので、事前の説明をお受けしたときも、その危険はないと思いましたが、公的な場で述べておきたいと思います。くれぐれも個人情報保護に反する利用、情報を利用した差別だけは引き起こさないようにしていただきたい。
 もちろん、生活保護受給者だけをよけた分析というのは、これはかえって生活保護受給者のためにもならないだろうと思うので、もちろん適正な利活用はしていただいて構わない、公表対象に含めていただいて構わないのですけれども、歴史をひも解きますと、一般的な基準を使いながら、実は特定の社会階層の人たちだけを狙い撃ちにする法律などというのは幾らでもあったことでございますので、もちろん研究の自由等の問題もございますけれども、研究の目的・内容が適正であって、ちゃんと整合的な計画であるかどうかを、それこそ研究の観点からきちんと審査していただければと願っております。お願いでしかありませんけれども、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 もっともな御指摘かと思いますが、水谷課長、何かありますか。
○水谷医療介護連携政策課長 太田先生、どうもありがとうございます。
 まさに御指摘のとおり、この医療扶助レセプトの情報というのは、そうした意味でも配慮する必要があるということで、これまで提供せず、また、こうした形できちんと丁寧に進めながらやってきたつもりでございます。もちろん、運用に当たっては、個人が特定できるような形であってはならないということは、私ども、そういうシステムでやっているつもりでございますが、実際の個別の研究の申請が上がってきたときの審査におきましても、そうしたことを踏まえながら、まさに必要最小限の原則にのっとって、きちんとデータが提供され、またそれにのっとって分析され、公表されるように厳重に取り扱っていきたいと考えてございます。
○尾形座長 よろしくお願いいたします。
 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、ほかに特に御質問、御意見等がないようですので、本件に関しては以上としたいと思います。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。資料2につきまして、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○進士保護事業室長 事務局でございます。資料2について、説明いたします。よろしくお願いいたします。
 資料2を御覧ください。「医療扶助に関する諸課題と取組について」ということで、後ほど詳細を御説明しますが、大きくは3つございます。
 1つは「生活保護受給者の利用割合が高い医療機関に関する調査結果について」、2つ目として「被保護者健康管理支援事業の実施状況について」、3つ目ですけれども、「医療扶助のオンライン資格確認の導入について」ということでございます。
 まず、2ページを御覧いただければと思います。1つ目の「生活保護受給者の利用割合が高い医療機関に関する調査結果について」ということで、こちらを御覧いただくと、改革工程表2020の抜粋になります。御覧いただきたいのは、字が小さくて恐縮ですが、赤枠のところのbのところです。生活保護受給者が通院・入院する割合が高い病院・診療所について2021年度中に調査を行うとされておりまして、これに基づきまして、我々、今回調査をいたしましたので、その結果を公表させていただくというものです
 3ページです。こちらが調査結果になりますけれども、具体的には上のリード文の2つ目の○のところを御覧いただければと思うのですが、この調査については、実はこれまで、医療扶助の審査支払機関である、社会保険診療報酬支払基金からのデータということで、具体的には生保レセプトと健保レセプトのみであったという状況でした。今回、それ以外に、より正確なデータ収集といったことを目的として、国民健康保険、後期高齢者医療分のレセプトの割合も含めて確認させていただいたということです。詰まるところを申し上げますと、これまで分母が健保と生保のレセプトだったものに、今回、分母に国保、後期高齢者医療のレセプトの割合を入れて計算したということです。
 その結果でございますけれども、下に表もございますが、左のほうが従来の生保と健保のみのレセプトの場合、下のほうに1314機関と件数がありますけれども、そういった機関数だったのですけれども、これが右のほうに行っていただくと、国保と後期高齢を加えたところ、合計としては25機関まで低減したという状況です。
 それで、さらに今、申し上げた25の医療機関について、その指定権限を持っている都道府県等に対しまして、アンケートによるさらなる調査というものを実施しております。その結果が次のスライドになります。4ページを御覧ください。今、25機関と申し上げましたが、実はちょっと重複がありましたので、実際には23機関となってございます。
 リード文の2つ目のところに調査結果を端的に書いておりますけれども、生保受給者の利用割合が高い医療機関については、「保護率が特に高い地域に所在しているため」と回答する機関が10機関で4割ということで、最も多かったという状況です。その他、ポツの2つ目になりますけれども、介護関係施設等に併設または連携等している、あるいは救護施設など施設等への訪問診療や往診に特化しているという回答が見られました。
 これを受けて、5ページ目を御覧ください。今後の対応(案)ということで、整理させていただいています。
 資料の今後の対応のところに3つ○がありますけれども、そちらを御覧いただければと思うのですが、これを受けて、まず1つ目の○ですけれども、今後、厚労省において、毎年、国保、後期高齢者医療のレセプト割合等についても把握し、整理していきたい。
 それから、2つ目ですけれども、その上で、都道府県等に対して、被保護者の件数割合が高い医療機関について、被保護者以外と比較して高いという情報を提供することとしまして、都道府県等による指導等の参考としていただくこと。
 それから、3つ目の○ですけれども、厚労省において、今、申し上げた都道府県等における指導等の状況を適宜把握していきたいと考えております。
 続きまして、「被保護者健康管理支援事業の実施状況」についてでございます。
 7ページでございます。こちらは、健康管理支援事業の概要になりますけれども、この事業につきましては今年の3月から必須事業化され、全福祉事務所で実施されることになったものです。
 下のほうの中ほどに丸2事業企画というものがあると思いますけれども、具体的に何をやっているかということを申し上げますと、そちらにアからオということで並んでいますが、基本的にオの頻回受診指導というものをベースにしながら、アからエの取組をしていただきたいということで自治体にお願いしている状況です。
 資料をおめくりいただいて、今回、実施状況と申し上げましたけれども、事例という形で御紹介させていただきます。
 事例1が、大阪の豊中市さんでございます。リード文のところを御覧いただければと思うのですが、こちらにつきましては、まずは医療扶助に特化したデータヘルス計画を策定されていて、その中で評価指標とか数値目標を設定されて、さらには外部評価なども取り入れて、PDCAサイクルに沿って事業を展開されているということです。
 さらに、リード文の2つ目の後段のほうを御覧いただければと思うのですが、市独自の「健康管理支援事業実施マニュアル」というものも作成されていると聞いております。
 少しだけ取組の概要のところを御説明いたしますと、左のほうの四角囲いで、実施体制の強化と取組内容の充実化というところがあると思うのですけれども、庁内の実施体制として、豊中市さんにおいては、保健師さん、常勤の精神保健福祉士さん。さらに、今年度、令和3年度から正規の保健師さんを1名増員されているということで、このような形で実施体制の強化を図られているという状況でございます。
 9ページでございます。事例2は横須賀市さんでございます。こちらもまずはリード文を御覧いただければと思いますが、1つ目の○のところですが、庁内の実施体制として、多職種から構成されるプロジェクトチームを編成されて取組を推進されているということです。
 さらには、リード文の2つ目のところですけれども、大学機関と連携して、効果検証とか被保護者の包括的なデータに基づく多面的な分析により、最適な支援方法を検討されているということです。
 今、申し上げた大学との連携の部分について少しだけ御説明しますと、取組の概要の右下のところを御覧いただければと思うのですが、大学機関と連携した支援方法等の開発ということで、2つ目のポツを御覧いただければと思います。被保護者のレセプト・健診情報だけではなくて、生活習慣あるいは社会関係のデータも含んだ包括的なデータベースを構築して、多面的にその分析をすることで、最適な支援方法を検討・開発されるという特徴があります。
 資料をおめくりください。3つ目の事例になります。長野県安曇野市さんでございます。こちらもリード文を御覧いただければと思うのですが、まず1つ目の○です。こちらは、健診の機会を増やすなどして、被保護者にとって受診しやすい環境を構築されています。
2つ目の○になりますけれども、安曇野市さんでは専門職として管理栄養士さんを雇用されて、被保護者向けの「健康管理プログラム」というものを実施されているということです。
 今、リード文で少し申し上げたことを補足的に申し上げますと、取組の概要の左のほうを御覧いただければと思うのですが、被保護者の健診受診環境の構築というところがあります。安曇野市さんでは、もともと市内5か所の保健センターで実施される集団健診のみの健診だったということですけれども、担当課とも調整されて、各医療機関での個別健診の受診も可能とされたということです。
 それから、もう一つ、管理栄養士を雇用されて対応されているということですけれども、それに関連して、取組の概要の右の2つ目の四角、健康管理プログラムの実施というところを御覧いただければと思うのですが、1つ目のポツ、健診・医療機関の受診歴等の内容を基に、生活習慣・食習慣の改善が必要とされる者、あるいは健康状態が不明な者など、健康管理プログラムの対象候補を幅広く抽出されて、下に書いてあるような取組をされていると伺っております。
 11ページでございます。今、事例の御紹介をしましたけれども、こちらは我がほうの取組になりますが、「医療扶助の更なるガバナンス強化のための、保健医療施策全般との連携に関する調査研究」というものを今年度行っております。
 まず、背景の1つ目のポツのところを御覧いただければと思うのですが、医療扶助については、中長期的な課題として、そのガバナンスの強化といった指摘がございます。こうした指摘に対して、我々としては、まずは地域における保健医療施策と連携して取り組んでいくことが重要であるということの認識の下、調査研究事業を実施しているということです。
 その下に目的というところがあると思うのですけれども、ここで何をやっているかということを少し御紹介しますが、具体的には、健康管理支援事業の全国的な取組状況の把握。それから、健康管理支援に関する保健医療施策全般との連携に関する好事例の収集。そういったことを通じて、他制度とのよりよい連携・協働の在り方について検討するということにしております。
 下の事業の全体像を御覧ください。
 まず、有識者等による検討委員会を設置いたしまして、アンケート調査の項目などももんでもらいました。その下にアンケート調査とありますけれども、全国の福祉事務所宛てに取組状況等の調査をしている状況です。さらに、下にヒアリング調査とありますが、これはアンケートの結果から、より先進的な取組を行っている自治体を選定いたしまして、具体的な取組状況のヒアリングを行っていきたいと考えています。今、申し上げたアンケート調査、ヒアリング調査結果を踏まえて、保健医療施策の好事例、あるいは連携する上での課題というものを整理するとともに、よりよい連携・協働の在り方等について検討して、報告書等を今年度中にまとめていきたいと考えています。
 次に、「医療扶助のオンライン資格確認の導入について」ということです。
 13ページでございます。こちらは、先般の通常国会で成立した健保法等の一部改正法の概要紙になりますが、赤枠で括っておりますけれども、その他の(3)ですが、医療扶助においてオンライン資格確認を導入するということにされまして、この法律が公布されているという状況です。
 続いて、14ページですが、御参考におつけしています。今、申し上げた健保法の一部改正法案の法案審議、具体的には参議院の厚生労働委員会ですけれども、附帯決議をいただいておりまして、その御紹介です。
 下線のところを御覧いただければと思うのですけれども、まずは、被保護者の個人番号カードの取得支援や、医療機関等におけるオンライン資格確認システムの導入支援を進めること。それから、何らかの事情により個人番号カードを保有するに至っていない被保護者に対して、引き続き医療券等の発行を行うなど、必要な医療を受けられる体制を確保すること。さらに、情報通信機器を保有していない被保護者が、マイナポータルを通じて自身の健診情報等を閲覧できるよう、適切な支援を行うこととされております。
 今、申し上げた個人番号カードの取得支援のところについては、15ページを御覧いただけますと、マイナンバーカードの取得促進ということで、福祉事務所宛てに10月に事務連絡を出しておりまして、こういった取組を通じて、福祉事務所を通じて、被保護者に対するマイナンバーカードの取得促進というものも図ってまいりたいと考えております。
 16ページです。医療扶助のオンライン資格確認に関するスケジュールということでお示しさせていただいております。
 上の段のほうを御覧いただければと思うのですが、令和3年度、今年度におきましては、調査研究事業を実施しておりまして、その中で、福祉事務所や支払基金におけるシステム改修の詳細や実務について検討を行うこととする。具体的に申し上げますと、システムについての要件定義をここで行っていると御理解いただければと思います。続けて、来年度ですけれども、先ほど申し上げた要件定義等を踏まえて、福祉事務所あるいは支払基金におけるシステムについて改修を行っていきたい。ついては、令和5年度でございますけれども、このオンライン資格確認を開始していくような段取りで考えております。
 下のほうに※印で書かせていただいておりますけれども、先ほど、福祉事務所とか支払基金のシステムのことだけ申し上げましたが、医療機関等については、その影響ですとか必要な対応について、ベンダーさんとも話をさせていただきながら、並行して検討しているような状況です。
 17ページです。令和4年度にシステム改修を福祉事務所等で行っていただくということにしておりますので、その予算措置ということで概算要求をしております。具体的には、左下の事業概要を御覧いただければと思うのですが、支払基金への補助と、自治体への補助ということで予算要求させていただいております。
 資料をおめくりください。18ページでございます。こちらは、オンライン資格確認に関連してということになりますが、「要否意見書の電子化に向けた具体的な方策について」ということで調査研究事業もしております。
 まず、要否意見書とは何かということが2ポツ目の※のところに少し書いてありますが、医療扶助の申請があった場合に、福祉事務所は被保護者に対して、まず要否意見書を発行して、その発行を受けた被保護者は、医療機関に必要な事項を記載してもらった後に福祉事務所に提出する必要があるというものです。その要否意見書についてですけれども、背景の2ポツ目のところを御覧いただきますと、現在、紙ベースで行われておりますので、これは非効率であり、電子化すべきという御指摘があります。
 3ポツのところに行っていただいて、このため、今回、オンライン資格確認の導入ということもしていきますけれども、そういったことも踏まえて、福祉事務所あるいは医療機関等の事務負担の軽減等の観点から、この電子化に向けた具体的な方策について調査研究を行っているということです。
 目的のところを御覧いただきますと、何をしているかということですが、福祉事務所に対するアンケート調査、それから福祉事務所や医療機関に対するヒアリング調査も実施して、現状の事務手続の内容・実施体制の把握、あるいは解決すべき課題の抽出を行うことによって、具体的な方策を検討してまいりたいと考えております。
 続いて、情報共有、他局の取組ということになりますが、電子処方箋の議論が進んでおりますので、少し御紹介させていただきたいと思います。
 20ページを御覧いただければと思います。リード文のところを御覧いただければと思うのですが、今の状況として、紙の処方箋を電子化するということと、あと、電子処方箋の情報を活用して、処方情報あるいは調剤情報を他の医療機関・薬局で閲覧することを可能とする仕組みを今、検討しているという状況です。
 21ページ目を御覧いただければと思うのですが、その電子処方箋のシステムを導入することによるメリットについて整理されておりまして、1つは、紙の処方箋がなくなることによるメリットということで、例えば処方箋の偽造や再利用の防止。2つ目ですけれども、処方箋の印刷に係るコストの削減。
 次に、大きな2つ目のところ、中ほどになりますが、処方内容を電子化することによるメリットということで、薬局から医療機関への調剤結果の伝達ですとか、あるいは先発を後発品に変更した場合の伝達というものがより容易になって、医療機関でも患者情報システムへの反映が容易になるといったメリットがあります。
 さらには、一番下の箱ですけれども、電子化した処方情報を共有することによるメリットということで、例えば1つ目のポツですけれども、医療機関と薬局の情報共有が進み、患者にとってより適切な薬学的管理が可能になるといったことが整理されています。
 22ページを御覧ください。こちらが電子処方箋管理サービスの仕組みの運用の全体像のイメージということになりますが、そこに書いてあるとおりですけれども、ポイントだけ申し上げると、こういった仕組みを実現するために、中ほどにあります、支払基金等において電子処方箋管理サービスというものを構築していくという形になっています。
 下のほうの成長戦略フォローアップという記載がありますけれども、その中でスケジュール的なことが示されておりまして、この電子処方箋の仕組みについては2022年度から運用開始をするとされているところです。
 おめくりいただければと思うのですが、今、申し上げた処方箋の電子化に向けたシステム構築事業ということで、令和2年度の3次補正予算案で確保していますということなのですけれども、先ほど運用の全体像のイメージ図のところで申し上げた、電子処方箋の管理サービスといったところに関して、システム改修に必要な所要の予算というものが措置されているということでございます。
 なお、医療保険におきましては、いわゆる全体のシステムの運用に関して、運用の費用負担の考え方について、全ての被保険者が公平な費用を負担する仕組みとすることも含めて、医療保険部会等で議論中ということでありまして、我々としては、その議論の方向性を見守っていきたいと考えております。
 最後でございますけれども、報告事項ということで、次期制度改正に向けた動きということです。
 今、次期制度改正に向けた検討スケジュールということで、生活困窮者自立支援と生活保護と並べて書いてあると思いますけれども、平成30年に生活困窮者自立支援法と生活保護法を一体的に改正しています。その中で、見直し規定と上にありますけれども、附則の8条で、法律施行後5年を目途として、施行の状況について検討を加える必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされておりまして、これを踏まえまして、今回、我々として、生活困窮・生活保護において、生活困窮のほうについては、論点整理検討会。それから、生活保護のほうについては、国と地方の実務者協議ということで、議論をスタートさせることにしております。
 具体的には、それぞれの検討会等で、来年3月ないしは4月に取りまとめを行った上で、一番下でございますけれども、令和4年5月以降、社会保障審議会の生活困窮者自立支援及び生活保護部会において、制度改正に向けた議論を両方一体となってしていきたいと考えております。
 それと、最後に参考資料1を御覧いただければと思います。「各種適正化の取組について」ということで、1ページ目を御覧いただければと思います。こちらに、もう御紹介だけですけれども、前回、第3回の検討会においていただいた御意見ということで整理させていただいております。我々としては、今、ここに掲げてあります頻回受診対策あるいは長期入院患者への対応等について、引き続き、この検討会において御意見を頂戴したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 長くなりましたけれども、私からの説明は以上になります。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、一括して扱いたいと思います。御質問、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 横浜市の鈴木です。よろしくお願いします。
 冒頭にありました生活保護受給者の割合が高い医療機関に関する調査結果についてですが、この対応(案)がついているのですけれども、そもそも医療扶助運営要領などに、審査支払基金からのデータを基に、指定医療機関に対する一般指導・個別指導の規定があり、10年来、このデータを基に個別指導の医療機関を選ぶ際の一つに活用していた。国のほうもそのような話をしていたということで、自治体側に対して、どうしてこうなってしまったのかということを丁寧に説明しないと、この個別指導を何のためにやっていたのだということになりかねませんので、そこはお願いしたいと思います。
○尾形座長 これは御要望ということですが、事務局、何かありますか。
○進士保護事業室長 ありがとうございます。
 御指摘いただきましたとおり、今回、こういった形で対応(案)ということでお示しさせていただいておりますけれども、実際に今、申し上げたような都道府県等の指導において、どういう形でこういうことをやることになっているのかというか、いろいろ丁寧に我々としてもお伝えした上で、都道府県等において御対応いただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○尾形座長 鈴木委員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょう。
 野田委員、どうぞ。
○野田委員 資料の中で、医療扶助のオンライン資格確認導入の関係のところで2点ほど、これから取組の中のことという御説明がありましたので、できればそういったところで御配慮いただければというお願いに近いようなお話ですけれども、1つは、16ページにあります実施スケジュールのところでございます。令和4年度において、福祉事務所において生活保護システム等の改修を行うというスケジュールになっております。
 また、それにつきましては、17ページの事業概要のほうで、自治体への定額補助とあるわけですけれども、実際、今、私どものほうも来年度の当初予算に向けての事務的な作業を進めさせていただいているところですが、これだけの情報では、私どもが今、システムを委託してつくっていただいていますコンピューター会社に確認しても、予算要求できるような資料にならないというところがございますので、こうしたスケジュールに沿って進めていただくときには、無理がないような形で進めていただきますよう、まずお願いしたいというのが1点でございます。
 それと、18ページで、要否意見書の電子化に向けた調査研究に今、取り組まれているということで、アンケート調査、これから行われるものかなと思っております。いろいろな御意見あるかなと思うのですけれども、私どものほうにも生活保護の各福祉事務所への指導監査などのところにおいても、この要否意見書については、現状の意見書の様式について、書き方が難しい。医療機関からも問合せが多いですし、福祉事務所が欲しいと思っている情報がドクターからなかなか書いていただけないという御意見をいろいろといただきます。
 例えば、就労の可否の欄で軽就労可というところですけれども、医療機関からも、軽就労とはどの程度のことを指しているのかという御質問があったりもします。また、複数診療科を受診している場合の記載方法ですとか、移送費の理由欄。タクシー等を使う場合に、公共交通機関で駄目な理由を確認する必要があるかと思うのですけれども、それをどこまで書いていただくかというところについては、福祉事務所からも、こういうことを書いてくださいという付箋を貼ってお願いするという話も聞いております。
 なので、恐らくこれからのアンケート調査の中で、福祉事務所のほうからそういった意見が出てくるかと思いますので、それを踏まえて丁寧に検討していただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○尾形座長 これは御要望として承りたいと思いますが、事務局、何かありますか。
○進士保護事業室長 御指摘いただき、ありがとうございます。
 まず、1つ目のシステム改修のほうですけれども、我々として、調査研究事業を行って要件定義等をしているということなのですけれども、こういった取組をなるべく早く進めることによって、前もって様々な情報が提供できるように努めてまいりたいと考えております。
 それから、もう一つの要否意見書の書き方等についてということですけれども、御指摘いただいたとおり、アンケート調査の中でそういった内容の話もいただけると思っていますので、そういったことも含めて、今後、よく検討していきたいと考えております。
 以上です。
○尾形座長 野田委員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 豊見委員、どうぞ。
○豊見委員 日本薬剤師会の豊見でございます。
 資料2の17ページの事業スキーム案のところでちょっと確認させていただきたいのですけれども、右下の被保護者の確認のところで、マイナンバーカードを原則化。これは、取りまとめのときの文言で書かれているかと思うのですけれども、この原則化と書かれている、マイナンバーカード以外には、例外はどういったものが想定されていますでしょうか。
○尾形座長 これはご質問ですので、事務局、お願いします。
○進士保護事業室長 御質問いただき、ありがとうございます。
 今、御指摘いただいた、基本的には医療扶助のオンライン資格確認、マイナンバーカードを原則ということなのですけれども、資料の14ページになりますけれども、附帯決議のほうでもいただいていますけれども、基本は今、申し上げたとおり、マイナンバーカード原則ということなのですが、下から3行目の下線にありますように、引き続き医療券等の発行を行うなど、必要な医療を受けられる体制を確保するとありますので、そういった引き続き医療券といった部分も含めて原則化とさせていただいているところです。
○豊見委員 薬局の場合は、マイナンバーカードではなくて、処方箋の情報によって資格確認が現状では行えるということで動いているわけですけれども、先日、取りまとめの際にもその点を述べさせていただいたところではあるのですが、そういった動きについては、現状どのような形で行っていますでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○進士保護事業室長 今度は処方箋のほうの御質問かなと思っておりますけれども、御指摘のとおり、処方箋についてもマイナンバーカードということを基本に考えられていると聞いておりますが、こちらについては、もう一つ、保険証でも資格確認は可能と聞いております。ただし、その場合は、医療機関で発行されたアクセスコードと被保険者番号を薬局でシステムに入力して、電子処方箋を取得するということになる。
○豊見委員 すみません、電子処方箋の話ではなくて、通常の紙運用の処方箋の場合に、紙の処方箋だけで現状の資格が有効かどうかという確認ができる状態になっているのですね。その際に、生活保護の方は、さらに処方箋と一緒にマイナンバーカードを出さないといけなくなるのかどうかという点です。
○進士保護事業室長 今の御指摘については、追って回答させていただければと思っています。
○豊見委員 よろしくお願いします。
○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 たびたびすみません。先ほど野田委員のほうからも話がありましたが、システム改修については、費用的なところもそうなのですが、時間的な猶予というのも非常に見ていただきたいと思っております。現在、生活保護自体のシステムも標準化ということで検討が進められておりますので、それに併せて、また医療扶助の関係で変更があるということになりますと、自治体が本システムと医療扶助、両方とも検討することになれば、時期的にバッティングするということもありますので、そこはお願いしたいと思います。
 それから、質問ですが、マイナンバーカードのほうの取得促進の通知、事務連絡が発出されましたが、検討されているかどうかをお聞かせ願いたいのですが、1つは、利用者側にもう少しメリットが伝わらないと促進にならないのではないかということで、通知にもマイナンバーがあればできることということが入っておりましたけれども、あれだけでは少し弱いかなというところで、もう少しメリットを感じさせられるようなことができないのかということ。
 御自身で取得するのがなかなか難しい方もおりますので、そこは自治体側の負担にかなりつながりますので、そこをカバーする仕組みをどうするのか。
 あと、実際にマイナンバーカードを取得しても、保険証として使うにはマイナポータルで保険証利用の登録をしないといけないのですが、医療機関などでも機器が入っていればできるのですが、それはそれで医療機関側の負担にもなるかなというところも含めて、そういうサポートなどをどうするのか。その辺、もしお考えがあれば教えていただきたいと思います。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○進士保護事業室長 事務局でございます。御指摘いただき、ありがとうございます。
 まず、利用者側のメリットということについて、我々のほうでも先般、事務連絡を出させていただいて、御指摘のとおり、福祉事務所側のメリットみたいなところは少し記載させていただいたのですけれども、どういったメリットが考えられるのかということを整理させていただいて、そういったことも少しお示ししていきたいと思っています。
 あと、それ以外に御質問があった、マイナンバーカードを被保護者の方が取得されるのはなかなか難しいですとか、保険証とひもづけるときの登録みたいな話がありますけれども、そういった部分の自治体の負担といった御指摘だったかと思っています。基本的には、我々としては、自治体に、例えば今もマイナンバーカードの取得に向けて、パソコン等を置かれて、そこで取得されているという例も聞いていますし、そういったところも御活用いただきたいと思っています。
 さらには、先ほど御指摘があった、最終的には福祉事務所の方にいろいろ御支援いただくという場面が多分出てくると思いますので、そういったところに対して、どのような支援ができるのかということは少し考えていきたいと思っています。
以上です。
○尾形座長 鈴木委員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 太田委員、どうぞ。
○太田委員 どうもありがとうございます。御説明もありがとうございました。
 私からは、大きく2つ、被保護者健康管理支援事業のお話に関連する部分と、最後にシステムのことでお伺いしたいことがあります。
 まず、被保護者健康管理支援事業に関しては、今日、事例を御説明いただくとともに、厚労省御自身でお調べになっている調査研究のお話をお伺いしたわけですが、ちょっと興味深いなと思ったのは、豊中市は、私のような素人でさえ、ここは社協中心に公私連携がなされているというか、社協がかなりよく活動しているところだと聞いているのですが、他方において、ここは被保護者健康管理支援事業に関してはかなり直営でやっているという点です。このため、公私の役割あるいは連携のようなことも視野に入れて、どうしてこちらは直営なのか、あるいはどういうものであれば公私の連携が可能なのかといったところも含めて調べていただければ興味深いと思います。
 その結果として、生活保護ですから、どうしても直営が必要な局面が出るのであれば、こういうものは直営でやったほうがいいというガイドラインのようなものもお考えいただけると、市町村としては、あるいは福祉事務所の設置地方公共団体としては助かるかなという気がいたしました。
 もう一つは、調査研究で先進事例を調べるということになりますと、豊中とか次の横須賀とか、結構重たいような、がっちりした先進事例が出てくるのですが、安曇野のようなものを見ていると、素人目には被保護者もようやく普通の被保険者のように健康診断を受けられるようになったという感じもあって、普通の市町村でもやれるような軽い取組み、軽くはないのかもしれませんが、ちょっとした工夫でやれる、そんなに重たくなくてもやれるような仕組みというものも案内していただけるとよろしいかと思いました。
 次に、システムのほうですが、鈴木委員はシステム標準化と一緒に来ると、仕事が二重になって大変だから、ちょっとスケジュールを考えてくれとおっしゃっていて、それはなるほどそうだと思ったのですが、同時に、システム標準化のほうと整合的に作業できるのだったら、それはやっておいたほうが、またごちゃごちゃすることを防げるのではないかと思います。
 ここは厚労省として、総務省のほうでもシステム標準化との絡み、あるいはガバメントクラウドとの絡みで住基ネットをどうするかという話をしているところでございますので、厚労省としても、この医療扶助のオンライン資格確認とシステム標準化の問題を担当部局と相談されて、整合的に、あるいは余り二度手間、三度手間にならないような形で作業をお進めになるような手はずをお取りになったほうがいいと思うのですが、そういうのはされているのでしょうか。いかがでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○進士保護事業室長 御指摘いただき、ありがとうございます。
 3点あったかと思います。
 まず、1つ目、豊中市さんですけれども、福祉の部門であると社協さん中心に外部委託という形でやっているけれども、何でこちらのほうは直営なのかという御指摘だったかと思います。豊中市さんの状況ですけれども、いろいろ確認させていただいたところ、豊中市さんは御指摘のとおり、特に自立相談支援といった部分について、いわゆる福祉的な部分については、社協さんが中心になって、あるいは委託されてやられているとお聞きしていますが、対象を被保護者に限定したような形の事業というものについては、委託というよりは、福祉事務所が直営で実施するという考えの下にやられているということでした。
 福祉を中心に委託というものが進められて、その中でいろいろな取組をされていると伺っておりますけれども、我々の健康管理支援といった部分までは、委託するということまでは至っていないという状況だと聞いております。
 それから、2つ目でございますけれども、事例紹介で、一般の市町村でも取り組めるようなものをということでございます。まさに御指摘いただいたとおり、安曇野市さんの取組は、どこの自治体でも取り組みやすい内容にはなっているのかなと少し考えております。先進事例だけではなくて、今、御指摘いただいたような視点も含めて、今後、周知というか、横展開も検討していきたいと考えております。
 それから、3つ目でございますけれども、このオンライン資格確認と標準化との関係ということでございます。標準化の作業につきましては、まさに同じ部署内の別の課ですけれども、やっておりますので、日々連携させていただきながら取組を進めようとしているところでございます。御指摘も踏まえて、より一層連携しながら、なるべく自治体さんの御負担にならないような形での対応というものを考えていきたいと考えています。
○太田委員 どうもありがとうございました。
○尾形座長 よろしいですか。ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 小塩委員、どうぞ。
○小塩委員 私も、太田委員がおっしゃったことと関連するのですが、2番目の各市町村における支援事業の実施状況について、コメントさせていただきます。3つの市の取組を紹介されましたが、一種の社会実験をされているわけですね。例えば、横須賀ですとRCTをされて、チラシを配る、配らないで、どれだけの効果の違いがあるかというのを調べていらっしゃいますし、安曇野では集団健診と個別の医院の健診を一緒にしたらどうなのかということを調べていらっしゃるのです。
 これは、国レベルではなかなか試すことができない取組だろうと思うのですけれども、各市町村レベルで余り倫理的に問題のない、人々に大きな負担がかからない形で政策の工夫をして、それがどれだけの違いを生み出すのかというのを、がっちりとした手法、統計から見ても問題ないような手法でやって、その結果、いいものが出たら横展開するという取組が非常に望ましいのではないかと思います。
 横須賀市の場合は大学が絡んでいるという説明を伺いましたけれども、結構、この分野は、興味を持っている研究者がそれぞれの地域の大学にいるはずですので、学術的に見ても批判に堪え得るような分析をぜひしていただいて、その結果を全国に展開するという仕組みを厚労省さんでも後押ししていただくようなことがあれば、政策的にもいいし、それから学術面でもいい効果が出てくるのではないかと思いました。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。
 新保委員、どうぞ。
○新保委員 ありがとうございます。
 健康管理支援事業の推進に当たって、委員として参加していらっしゃる兵庫県、横浜市で、今、それを推進していくに当たり、力を入れていらっしゃったり、工夫していらっしゃることがあれば教えていただきたいということ。
 あと、それを推進するに当たり、課題になっていることがあれば、併せて現状についてお話しいただければありがたいです。
お願いします。
○尾形座長 それでは、これは恐縮ですが、鈴木委員、野田委員の順番でお願いできますか。鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 横浜市でも健康管理支援は取り組んでおりまして、先ほど他都市の状況にもありましたけれども、健診のほうはケースワーカー。あと、今、派遣の医療職を各区1名ではないのですけれども、9名、派遣していまして、そちらで勧奨することによって、かなり健診受診率が高くなっています。その結果を頂いて、保健部局のほうと連携しながら、必要な方に関して受診の指導や、あと生活習慣の指導なども行っているのですが、今、コロナ禍で保健のほうの部局がコロナ対応で非常に大変になってしまっている。
 ですので、健診の受診自体も、医療機関のほうも以前のように来る者拒まずというものではなくて、完全予約、密を防ぐという形になってしまっていますので、物理的に受診勧奨の人数もそんなに多くないですし、その後のフォローアップも難しくなってきているというところがあります。
 あと、課題感としては、生活保護をお受けになっている方は単身の方が多いので、生活習慣病の解消のためには、生活・食事というところ、どうしても外食とかコンビニで買ってこられる惣菜とかがメインになってしまうので、そういうものを少し自炊のほうに切り替えるというのは、誰がそれを教え、やっていくのか、支援していくのかという部分と、特定保健指導も3か月とか6か月という期間がありますから、そういう期間ですぐに改善されないというところがちょっと課題感として私は持っています。
 取りあえず、横浜市は以上です。
○尾形座長 続いて、野田委員、お願いします。
○野田委員 兵庫県においては、郡部、町の福祉事務所を置いていないところについて、県が健康福祉事務所を直接置いて実施しているわけですけれども、6福祉事務所で県内の12町について担当させていただいているという状況でございます。一つ一つの福祉事務所で見ますと、被保護者数が非常に少ないところもございますので、直営でそれぞれの福祉事務所でこの事業を行うということは、体制的にはちょっと難しいということもございますので、兵庫県のほうでは民間企業のほうに全町、6福祉事務所分を委託して実施させていただいているという状況にございます。
 今、状況としましては、支援対象になっている被保護者の方との信頼関係をまずつくっていかないと、こちらから一方的に言ってもなかなか動いていただけないという部分がございますので、まずそこに力を入れているという状況でございます。
 あと、町のほうの保健部門といかに連携していくかというところが、今のところ大きな課題となっておりまして、そこを民間企業のほうと調整しながら進めていきたいというところで、取り組み始めてから、まだそれほど時間がたっていないので、現状、御報告できる部分としては、そのような状況でございます。
○尾形座長 新保委員、よろしいでしょうか。
○新保委員 ありがとうございました。
○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 すみません、先ほどシステムのほうの話が出たのですが、今、業務システム自体の標準化の話が出ていますので、そこと同時に考えなければいけないのは、太田委員からもありましたけれども、本当におっしゃるとおりだと思います。
 ただ、横浜市の例を言いますと、指定医療機関制度になっていますので、指定医療機関の情報を生活保護システムに取り込んで医療券を発券するというシステムになっていますから、標準化でどういう業務システムになるか。それと、指定の業務を、医療機関コードでも、全国一律にして医療機関の情報を取り込むようにするのかとか、そういうことも含めて、いろいろ変わってくると思っています。そうすると、標準化が固まらないと、医療システムのほうはなかなか結論が出ないのかなというところなどで、スケジュール感というのは少し検討いただきたいというところです。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。よろしいですか。
 それでは、特にほかに御意見、御質問もないようですので、本件については以上とさせていただきたいと思います。
 今日予定した議題は以上でございますが、事務局から何か今後の予定等についてございますか。
○北尾保護事業室長補佐 ありがとうございました。
 第5回の検討会につきましては、日程、会場、開催方法等、詳細につきまして、追って御連絡させていただきたいと思います。
○尾形座長 それでは、本日の議論につきましては以上とさせていただきたいと思います。
 大変長時間にわたりまして熱心な御議論をどうもありがとうございました。