第332回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2021年(令和3年)11月24日(水) 10時00分~

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館
職業安定局第1会議室(12階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 原 昌登
  • 松浦 民恵
  • 山川 隆一(部会長)
(労働者代表委員)
  • 相羽 迅人
  • 冨髙 裕子
  • 永井 幸子
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 佐藤 英毅
  • 田尻 久美子
  • 平田 充

議題

  1. (1)雇用仲介事業の在り方について(公開)

議事

議事内容

○山川部会長 おはようございます。それでは、ただいまから第332回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は、労働者代表の奈良委員が所用により御欠席で、佐久間委員はオンラインでの参加となっております。
 本日は、議題1の「雇用仲介事業の在り方について」を御議論いただいた後に、許可の諮問に係る審査を行います。許可の諮問に係る審査につきましては、資産の状況等の個別の事業主に係る事項を扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当しますので、非公開となっております。
 では、議事に入りますので、カメラの頭撮りがありましたら、ここまでとさせていただきます。
 まず、議題1「雇用仲介事業の在り方について」ですが、これまでの部会での御議論を事務局に整理していただいておりますので、まずは事務局から説明をお願いします。

○高橋補佐 需給調整事業課の高橋でございます。お手元に資料1として、雇用仲介事業等に関する論点とこれまでの議論という資料をお配りしております。部会長から、これまでの議論の整理を、というお話がありましたため、これまでお示しした個別議論の文章を基に、部会で頂いた主な議論を※書きとして各項目に付しております。
 Ⅰの基本的な考え方の部分です。4ポツ目のイノベーションという言葉につきまして、あくまで求職者の保護が第一義的な目的であるという御意見と、イノベーションにより新たな雇用仲介事業が発展していくことは、求人者、求職者双方にとっても有益なものだという御意見がありましたため、これを記載をしております。
 Ⅱの各論です。(1)の1多種多様な雇用仲介事業の法的位置づけですが、新たな形態も含めた雇用仲介事業については、他の雇用仲介事業と同程度の規制が必要だという御意見がありましたため、これを記載しております。
 2ページ、3の募集情報等提供事業者の把握に関しまして、その必要性と把握の範囲の趣旨を明確にすべきという御意見がありましたため、記載をしております。
 (2)官民の連携についてです。1の職業安定機関との連携に関しまして、人材サービス総合サイトなどを活用した分かりやすい情報発信について御意見を頂く一方で、行政のお墨付きのような見え方にもなるため、情報の公開については、十分な検討が必要ではないかという御議論があり、こちらに記載をしております。後ほど、他の仕組みにおける公表事項については御紹介をしたいと思います。
 2のAI等に関する業界団体の役割について、業界団体任せではなくて、国でしっかり対応すべきという御議論があったため、職業安定機関が業界団体と協力して今後検討というふうに記載しております。
 (3)です。優良認定事業の周知・検討に当たって、優良認定事業者となることのメリットを明らかにする必要があるとの御意見を頂きましたので、記載をしております。具体的な認定事業者の声につきましては、また後ほど御紹介したいと思っております。
 (4)です。募集情報の的確表示に関しまして、実際にどのような措置が必要になるのか、現実的に対応可能な範囲を見極めつつ、これを明らかにする必要があるとの御意見を頂きましたので、記載をしております。また、現行の職業安定法第5条の3の労働条件明示の主体として募集情報等提供事業者を追加すべきではないかという御意見を頂きましたので、これも記載をしております。
 4ページ、(7)です。適切な履行の確保に当たっては、把握した問題点を検証しながら対応していくべきとの御意見を頂きましたので、これを記載しております。資料1に関しての説明は以上でございます。
 次に、資料2を御覧ください。最初の募集情報等提供の範囲についての資料ですが、新たな雇用仲介事業について、これまでの論点に沿って4パターンに改めて整理をしたものです。
 1は依頼を前提として募集情報を提供する者です。労働者の募集を行う者や募集受託者が掲載依頼をし、それを労働者になろうとする者が閲覧するのが、これまでも募集情報等提供とされていたものです。現在は、職業紹介事業者や他の募集情報等提供事業者が、自らの持つ募集情報の掲載を依頼したり、あるいは逆に求人配信を受けたりする場合も存在しており、こうした場合も新たに募集情報等に含めてはどうかというのが、これまでの議論でございます。
 2は依頼を前提として求職者情報を提供する者です。一番上の労働者になろうとする者が掲載依頼をし、それを労働者募集を行う者や募集受託者が閲覧するというのが、これまでも募集情報等提供とされていたものです。こちらも同様に、職業紹介事業者や他の募集情報等提供事業者が、自ら持つ求職者情報の掲載を依頼したり、あるいは求職者情報の提供を受けたりする場合が存在しており、こうした場合も新たに募集情報等提供の概念に含めてはどうかというのが、これまでの議論でございます。
 3は依頼なくクローリング、インターネット上の公表情報を収集してくることです。これによって、募集情報を収集、提供する者です。個社の採用ホームページや他の求人サイトなどに掲載されている募集情報を収集し求職者などに提供するサービス、これが最近では登場してきております。こうしたサービスは、これまで募集情報等提供の概念には含まれていなかったため、これを含めることとしてはどうかというのが、これまでの議論でございます。
 4はクローリングにより求職者情報を収集、提供する者です。ネットで経歴や自分のスキルを公表するといったことが、特にIT系のエンジニアなどではしばしば行われており、こうしたネットの公表情報を収集して、求人企業等に提供するサービスといったものが存在しております。こうしたサービスは、これまで募集情報等提供の概念には含まれていなかったため、これを含めることとしてはどうかというのが、これまでの議論でございます。
 1ページめくっていただいて、次が許可届出事項の公表についてです。現在、人材サービス総合サイトに情報を掲載しているほかの制度における公表事項を整理したものです。上段の職業紹介事業におきましては、事業所名称、事業所所在地、電話番号などを行政による公表事項としており、その他の手数料に関する事項、返戻金に関する事項、自社のURLのリンクといったものは事業者が自ら記載をする事項となっております。
 また、下段です。(旧)と付けておりますが、特定労働者派遣事業の届出制度におきましても同様に、事業所名称、事業所所在地、電話番号などを行政による公表事項としており、マージン率などは事業者が自ら記載をする事項としております。また、現行の派遣許可業者も基本的には同様のスキームとなっております。
 届出の公表が行政のお墨付きになるのではという御議論がございましたが、今御紹介したこれらの仕組みにおいては、優良認定や行政処分についての情報も併せて掲載しており、こうした取組は今後の募集情報等提供事業の把握、公表に当たっての参考になるのではと考えております。
 6ページにまいりまして、優良事業者認定を受けた事業者の声です。優良事業者認定を受けた事業者のメリットについて、定性的ではありますが、事業者の声を整理しております。顧客へのアピール材料や社内の意識の向上といったメリットがうかがわれるのではないかと思っております。資料1、2に関する事務局からの説明は以上でございます。

○山川部会長 ありがとうございました。これまでの議論を整理していただきました。また、御質問、御指摘のあった事項についても、補足、追加的な資料を用意していただいております。今回は取りまとめの方向に向けて御意見等がございましたら、御議論いただきたいと思います。御質問、御意見等ありましたら、挙手をお願いいたします。それでは、冨髙委員、お願いいたします。

○冨髙委員 ありがとうございます。4点ほどございます。まず、基本的な考え方についてです。※印に記載されている内容は2つありますが、記載されている内容について、他の方と異なることを言っているということではないと思います。これまでも我々は、マッチングの質の向上は重要であり、イノベーションを否定するものではないが、求職者保護が優先されるべきと発言してまいりました。イノベーション自体は、求職者が安心してきちんと情報を選択できることに資するものであるべきと考えておりますので、これから報告を取りまとめていく際には、その点しっかりと明確にされるよう検討いただきたいと思っております。
 次に各論の、新しいサービスを含めた把握についてです。今回、法的に未整備であった募集情報等提供事業者を含めて、全般的に一定の整備が図られるという方向性自体は望ましいと考えています。
 その上で、※印にもあるように、ほかの雇用仲介事業と同程度の規制が必要であると申し上げてきましたが、リコメンド等の多様な実態等を踏まえると、募集提供事業者を把握する方法として、届出制でよいという意見もありましたが、実際に法の実効性を確保する観点からは、それで足りるのかという懸念があります。ただ、一方で現状を把握し切れていないことを考えれば、まずは募集情報等提供事業者を含めた雇用仲介事業の実態をしっかりと把握していただき、課題整理をした上で、望ましい規制の在り方について引き続きの検討課題として考えることもあり得ると考えています。
 3点目は、前回申し上げた募集情報の的確性に関する労働条件明示についてです。虚偽の情報や誤解を生じさせる表示の禁止は当然ですが、求職者が虚偽又は誤解を生じさせる情報にもとづいて応募し、労働契約締結に至って、そこで始めて労働条件が相違するということが分かったとき、労働者は法的には労基法第15条第2項に基づいて、労働契約の即時解約ができるに過ぎません。しかし、選考に至るまでの求職者の負担等を考えると、求職者保護の観点から、労働条件明示の対象に募集情報等提供事業者を含めることについては、引き続きの検討課題として考えていただきたいと思います。
 最後になりますが、今後の検討課題ということも含め、7の適切な履行の確保について申し上げたいと思います。適切な履行の確保のため、今後法整備にあたっては、法の周知を徹底していただきたいと思います。加えて、募集情報等提供事業者の提供する情報には、雇用だけではなくて、いわゆる業務委託や請負など雇用類似のものも含まれていますので、実際の運用においては、雇用と非雇用を分けるのではなく、情報の的確性や個人情報の保護など、雇用類似に関するものについても、就業者保護の観点から必要な助言指導を行っていただきたいと考えています。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はございますか。平田委員、どうぞ。

○平田委員 ありがとうございます。資料が非常に分かりやすくなってきたと思っています。御負担でなければ、例えば1ページ目の図で、従来型の事業者と、今回新たに把握していこうという事業者を区分けして説明するか、もしくは上のテキストで説明をするなど、もう少し工夫があるとより分かりやすくなると思います。御検討ください。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。これは工夫していただくことはできますよね。やり方はちょっと検討していただきたいと思いますが、よろしくお願いします。続きまして、田尻委員、お願いします。

○田尻委員 御説明ありがとうございました。何点か意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、(1)の新しいサービスを含めた把握の所なのですが、募集情報等提供事業の法的な位置付けを明確にすることや、事業を行う者を事前に把握することについては賛成なのですが、意見として記載されているとおり、必要性と把握する範囲の趣旨は明確にすべきと考えております。労働者になろうとする者がサービスを安心して利用できるようにするために、労働者になろうとする者に関する情報を収集して事業の用に供しているものに限定することが妥当と考えます。業界団体であったり中小企業の支援機関など、事業者サービスの一環として、ホームページで求人情報を掲載したり、合同説明会や面接会のイベントを実施したりしておりますが、そういった規制の強化、届出の過度な事務負担などで、積極的な開催が妨げられることがないように留意していただけたらと考えております。
 次に、官民の連携についてです。こちらはおおむね賛成しているのですが、行政としても人材サービス総合サイトの見直しなどに取り組んでいただき、情報発信の量と質を向上させる取組を行っていただくということは重要ではないかと考えます。
 次に、(3)の優良な雇用仲介事業の認定についてです。こちらは制度の周知や内容の改善について検討を行うこと、職業安定機関が優良事業者の利用を推進していくことについて賛成いたします。前々回も申し上げたのですが、厚生労働省の認定制度であることを明確に発信していただいたりとか、雇用仲介に係る認定制度、マークなどが多種多様ございますので、できるだけ分かりやすい形に統一していただいて、分かりやすい制度にしていただきたいと考えております。また、手続などの負担軽減についても併せて御検討いただければと思っております。
 次に、(6)の苦情の処理なのですが、苦情の処理に関しては雇用仲介事業者に体制整備を求めることは必要だと考えますが、雇用仲介事業者のサービス形態によっては、求人乱用の実態や求職者の希望など把握できる情報は異なることから、対処すべき情報の範囲を整理することも必要なのではないかと考えます。
 あともう1つ、(7)の適切な履行の確保についてです。ルールの違反について必要な指導監督を行うことは必要な措置だというように考えますが、逆に適切な運営はどういったものなのかということで、しっかりと事前に周知を徹底させていただくということが必ず前提になってくるのかなと思いますので、その点を是非お願いできればと思います。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。佐久間委員、お願いします。

○佐久間委員 ありがとうございます。今回の資料1に、これまでの議論の経過、前回から追記をされまして、より皆様方の意見も反映されて明確になってきているのではないかなと思います。基本的な考え方、そして各論についても、全体的には私は賛成です。
 そこの中で、登録または届出、職業紹介、派遣の事業者の許可ですが、そこまで厳しいものというよりは、まず登録や届出をしていただいて、行政のほうでしっかり把握をするということをしていただきたいと思っています。
 項目については、資料2の5ページに、参考となる職業紹介事業、これは現在のもの、それから旧の特定労働者派遣事業の届出ということが載っています。実態を把握するということで、どういう事業者が本当に存在しているのだと、怪しい事業者ではないなということを把握するためにも、5ページ、特定労働者派遣事業の旧の届出の項目というのは1つの参考になるのではないかなと思います。
 例えば職業紹介事業業務を実施しているのに、募集情報等提供事業者を兼ねているというときの、把握の仕方、つかみ方をどのようにするのかというところ、また、どういう形態のものをサービスとして実施しているかということ、求人側の情報なのか求職者側のものなのか、クローリングをして集めたもの、また双方向なのかというのを、事務局で用意をしていただき、チェックをするということで、どのような形態を実施するのかをつかんでいただきたいと思います。
 それから、新たに届出制から漏れた事業者、登録又は届出をしていない事業者を、どのように把握し、取り扱っていくのか、それについては再度検討させていただければと思います。
 あとは、業界団体の役割です。優良な認定事業者の関係もあるのですけれども、現在、4つ大きな団体があると思います。それぞれの組織の狙いとか設立目的とかあると思うのですが、ここがばらばらな状態で、介護の優良案件とか、全体的な優良案件とか、それぞれが活動されているわけです。三者が一体となる、統一をするとか、そういうことではないのですが、今以上に連携を取って周知等行っていただきたいなと思います。そして、平田委員が言われていましたが、やはり優良事業者の認定統一、インセンティブを付していただきたいなと思っています。
 最後に苦情処理の関係なのですが、募集情報等提供事業者を利用する中小の事業者にとっては、自分たちの企業の情報も出していくわけですから、ちゃんとした募集情報等提供事業者を頼っていきたいという気持ちがあると思います。そういう面で、不利になるというのは困りますので、何らかの形で行政のほうで苦情の処理の機関というのを作っていただきたいと思います。また、既存の組織体があれば、それを活用できるような方向でもよいのではないかと思います。話が長くなって申し訳ございません。以上です。

○山川部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。様々な御意見を頂きました。今後、引き続き検討すべきと思われる点ですとか、この方向で考える場合の運用上の留意点や示唆、御提案等も頂いたところです。今日頂いた種々の御議論も踏まえまして、次回には報告書の案を作成していただいて、それを示した上で更に御議論いただくということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                (異議なし)

○山川部会長 ありがとうございます。では、よろしくお願いします。
 公開の議題はここまでとさせていただきます。冒頭で申しましたとおり、ここから非公開の許可案件に入りますので、傍聴の方々におかれましては、ここで御退席をお願いいたします。