第3回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会バス作業部会(議事録)

1 日時

令和3年10月8日(金)10時00分~12時14分

2 場所

労働委員会会館 講堂
(東京都港区芝公園1-5-32 7階)

3 出席委員

公益代表委員
  • 東京医科大学公衆衛生学分野講師 小田切優子
  • 筑波大学ビジネスサイエンス系教授 川田琢之
労働者代表委員
  • 日本私鉄労働組合総連合会中央副執行委員長 池之谷潤
  • 全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長 鎌田佳伸
使用者代表委員
  • 東武バスウエスト株式会社取締役社長 金井応季
  • 京成バス株式会社代表取締役社長 齋藤隆

4 議題

  1. (1)改善基準告示の見直しについて
  2. (2)その他

5 議事

議事内容
○中央労働基準監察監督官 それでは定刻になりましたので、ただいまから第3回自動車運転者労働時間等専門委員会バス作業部会を開催します。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日の議事運営に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、原則、報道関係者のみの傍聴とさせていただいており、更に傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で、運営させていただきます。会場の皆様におかれましては、会場備付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの御着用や咳エチケットに御配慮いただきますようお願い申し上げます。なお、換気のために常時扉を開けさせていただきますので、あらかじめ御承知置きください。
 まず、本日御出席の委員について、鎌田委員と齋藤委員の御到着が若干遅れるとの御連絡を受けておりますが、全員出席となります。定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。また、国土交通省から、オブザーバーとして御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 続いて、お配りした資料の確認をさせていただきます。資料1、参考資料1、参考資料2を配布しております。御確認いただきますようお願いいたします。
 カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。これ以降の進行は、川田部会長にお願いします。よろしくお願いいたします。
○川田部会長 川田でございます。それでは議事を引き継ぎ、議題に入っていきたいと思います。議題の(1)は、「改善基準告示の見直しについて」です。この点については前回の作業部会で、事務局から案を提出すべきではないかという御提案がありました。今回、資料の中に出てきておりますので、まずはこの案の内容について、事務局から御説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 事務局です。それでは資料1、参考資料1、参考資料2について御説明をさせていただきます。まず資料1「改善基準告示の見直しの方向性について」の1ページ、見直しの背景です。3業態同様ですが、共通事項として、自動車運転業務については令和6年4月以降、新たに月45時間、年360時間の上限規制が適用になります。さらに臨時的な場合でも、年960時間が時間外労働の上限になるということです。また、労働基準法第36条に基づく指針により、時間外労働・休日労働については、できるだけ少なくすることが求められるということになります。
 働き方改革関連法の附帯決議においても、過労死防止の観点から、この改善基準告示の見直しを行うこととされています。
 次に休息期間ですが、令和3年7月の脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討委員会の報告で、1つ目の矢印にありますように、「勤務間インターバル」と脳・心臓疾患の発症の関係については、1日5、6時間程度の睡眠が確保できない状態の場合には、いわゆる長時間労働と発症との関連性が強いと評価されており、勤務間インターバルの時間数や回数が、睡眠の短さや疲労感等に有意に関連していると分析されています。また、長時間の過重負荷の判断については、勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無、時間数等について検討して評価することとされております。
 一方、1日当たりの休息期間については、EU規則において「11時間(週3日までは9時間に短縮可)」、ILO161号勧告においても「11時間(いかなる場合でも8時間を下回ってはならない)」と定められています。
 2ページです。「拘束時間について」ということですが、これまでの議論で、労働者代表からは、脳・心臓疾患の労災認定基準等を踏まえ、拘束時間は「1か月275時間」、「4週平均1週63時間」に見直すべきだとという御意見が、使用者代表からは、1か月の拘束時間を導入してもらいたい、あるいは「4週平均1週」も残して選択制とすることも検討してもらいたいということ、さらに「特例」については、一定程度残していただきたいし、「乗合バス」も特例の対象として、「年6回」まで延長を認めてもらいたいという御意見がこれまでの議論で出されております。また、公益代表から、特例について乗合バスについては適用すべきでないということ、1か月の時間外・休日労働が月100時間を超えない範囲とすべきということ、対象期間も延ばすのは適当ではないのではないかという御意見がありました。
 それらを踏まえて、拘束時間についての見直しの考え方を3ページに、1、2、3と提示させていただいております。1 労務管理上の負担軽減の観点も踏まえ、バスについても「1ヶ月の拘束時間」を原則とし、当面の間、「4週平均1週の拘束時間」も存置してはどうかということ、2として、バスの拘束時間は、今の3業態の中で最も短くなっておりますが、更なる拘束時間の縮減を促すために、月の上限を現在と同程度の水準を維持しつつ、年間を縮減するような考え方でどうだろうかということ、3として、貸切・高速バスについては、労災認定基準なども念頭に上限を抑えつつ、季節的な変動にも対処できるようにしてはどうかということを考え方として、赤色で見直しの案を提示させていただきました。
 現行では、4週平均1週の拘束時間が65時間であり、これを月に換算すると、281時間に相当します。貸切バス・高速バスについては、労使協定が必要ですが、52週のうち16週まで、4週平均1週71.5時間ということになっております。この71.5時間というのは、月換算すると309時間に相当します。※で、「281時間=195時間+86時間」「309時間=195時間+114時間」と書いてありますが、この195時間というのは、下の「参考」にあるとおり、1か月の法定労働時間と休憩時間を足したものです。ただし、所定労働日数は月によって異なりますし、休憩時間も事業場によって様々です。ここで示している計算式や数値は平均の数値で、あくまでも目安であるということを念押しさせていただきます。
 そういう考えの下、案として、まず1か月の拘束時間です。1か月の拘束時間は、年3,300時間を超えない範囲で281時間までとします。また貸切バス・高速バスについては労使協定を締結して、年3,400時間を超えない範囲で、年6回294時間まで延長できるようにするとさせていただいております。月294時間というのは、時間外・休日労働が99時間ということになります。それから、4週平均1週の考え方も存置するということで、当面4週平均1週の拘束時間は年3,300時間を超えない範囲で1週65時間、貸切バス・高速バスについては労使協定を締結して、年3,400時間を超えない範囲で年52週のうち26週まで、4週平均1週67時間まで延長するということを考えております。
 4ページの「1日の拘束時間、休息期間について」です。これまでの議論として、労働者代表からは、労災認定基準の専門検討会報告書についても、勤務間インターバルがおおむね11時間未満だと過重負荷に影響を与えると結論づけられているということで、休息期間は11時間とすべきであるということ、休息期間が8時間では、睡眠時間が十分に確保できないことは、実態調査の結果からも明らかであるということ、そしてEU規則を参考に、原則11時間とするのは良いけれども、ただし書きの回数や時間については慎重に検討したいといわれております。一方、使用者代表からは、休息期間を一律11時間とするのは困難で、現行どおりとしたいという御意見がありました。
 それらの御意見を踏まえ、5ページです。見直しの考え方として、脳・心臓疾患の専門検討会報告書において、長時間の過重負荷の判断に当たっては、「勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無」を検討し、それを評価することが妥当とされたということ。また、その報告書の中で、1日5、6時間程度の睡眠が確保できない状態が継続するのであれば、長時間労働と発症との関係が強いと評価できるとされており、今般の実態調査でも「休息期間」が8時間以下の場合、半数以上が睡眠時間が5時間以下となっていること。以上の状況を踏まえ、休息期間については原則11時間とする一方、一定程度業務の繁閑に対応するため、これによらない上限時間や回数等を別途設けることとしてはどうかということで見直しております。
 現行は、1日の休息期間が8時間、1日の拘束時間が13時間(最大16時間)です。15時間超えは週2回までとなっておりますが、提示させていただく案として1日の休息期間については、原則11時間としつつ、これによらない場合の上限時間、回数等について別途設けるということ、1日の拘束時間については、その裏表の関係だということで、休息期間と同様の考え方で設定をするというものです。
 6ページです。「運転時間と連続運転時間について」です。これまでの議論の中で、労側からは、国土交通省の「バス運転者の配置基準」を踏まえ、「高速道路の実車運行区間では、連続運転時間はおおむね2時間以内まで」とするようになっているので、それを改善基準告示においても定めるべきではないかという御意見があります。さらに、運転時間はダイヤの組み方によって偏りが出かねないので、長時間労働につながらないよう、一定の配慮が必要ではないかという御意見もありました。一方、使側からは、連続運転時間は現行どおり4時間としてほしいということ、改善基準告示がこれ以上複雑にならないようにしてほしいということ、運転時間の規制そのものもなくした方がいいのではないかということ、運転時間は現行どおりでいいのではないかという御意見が出されております。
 そして、それらを踏まえた見直しの考え方が7ページです。国土交通省の「高速乗合バス交替運転者の配置基準」等で定められている連続運転時間に関する基準については、運行計画上の基準もあり、告示との整合性がなかなか難しいこともあるため、私どもの告示の通達において言及をして、指導に当たってはその周知を図ることとしてはどうかと考えております。具体的には案の下、赤字で記載しておりますが、高速道路の実車運行区間においては、連続運転時間は運行計画上、おおむね2時間までとするといった内容を記載して周知していくということです。なお、運転時間、連続運転時間については、そのまま変更なしということで考えております。
 8ページの「特例、その他について」です。これまでの議論では、労側から主に3点の御意見が出されています。「分割休息特例」は、業務の性質上、勤務の終了後8時間以上の休息を与えることが困難な場合の例外的な措置であるので、事業者はそれを留意した上で運用してもらいたいということ、「2人乗務特例」については、もう少し休息期間の下限を長くしてもらいたいということ、また、恒常的な渋滞まで「予見されない遅延」として除外するのはやめてもらいたいということと、「軽微な移動」については、拘束時間規制から除外することは肯定しかねるということです。
 一方、使用者代表からは、特例については貸切・高速バスを中心に現在も活用されているので、現行どおりでいいのではないかということ、休日労働の頻度については、現行どおりでいいのではないかということ、駅前ロータリー、路肩、駐車場等での「軽微な移動」とか、事故や災害による遅延等の「予見されない遅延」については、柔軟な運用を認めてもらいたいというような御意見がありました。
 これらについて9ページにありますように、見直しの考え方として1、2を示させていただきました。1として「休息期間」を見直すこととした場合、「分割休息特例」及び「2人乗務の特例」の規定も、併せて見直すこととしてはどうかということ、2として、災害や事故に伴う遅延や軽微な移動等については、例外的な取扱いを認めることとしてはどうかということです。
 現行の規定は、青字で書いてあります。分割休息特例でしたら、勤務の終了後8時間以上の休息を与えることが困難な場合に、1日において継続4時間以上、合計10時間以上の分割特例を認めると。このあたりの数字をどうするかという問題になりますが、今のところ1日の拘束時間、休息期間の問題が詰まっておりませんので、まず分割休息特例については1日の拘束時間、休息期間の見直しに応じて見直しをする。2人乗務の特例についても、1日の拘束時間、休息期間の見直しに応じて見直すこととする。隔日勤務の特例とフェリーの特例と休日労働については、特に意見がありませんので、現行どおりとするということを考えています。
 さらに、予期しない事象による遅延、軽微な移動、適用除外業務とを設けてはどうかということですが、適用除外業務については既にトラックでは導入されております。大規模災害に伴う「緊急輸送」とか、「緊急通行車両」が適用除外となっておりますが、バスとタクシーも含めるという形で考えております。
「予期しない事象による遅延」については、事故や悪天候といった予期しない事象が発生した場合については、1日の拘束時間、連続運転時間、運転時間を延長させることができるということです。ただし、労働時間に応じた賃金の支払いは、当然必要になってきます。また、「軽微な移動」についてはSAや路肩等において、交通上の理由から、ちょっとした移動を行う必要がある場合で、客観的な記録があるような場合については、1運行当たり30分の範囲で連続運転時間を延長させることができるという規定を設けてはどうかということです。資料1の説明は以上です。なお、参考資料1と参考資料2がありますが、これは先日御説明させていただいたものから、リーフレット等の差し替えを行っているだけですので、説明は割愛させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○川田部会長 それでは、以下、議論に移っていきます。今、事務局から見直しの方向性について説明していただきました。この後の議論の流れとして、資料1に上げられた項目の順番に、私から労使の見解を確認しながら議論を進めていきます。順番としては、各論点ごとに進めていきます。それぞれの論点について、最初に労側の委員から御意見を伺い、引き続き、使側の委員から御意見を伺い、その後は、御自由に御議論をお願いいたします。
 なお、本日の議論の目的は、この場で改正案を決定するものではなく、労使の各委員にそれぞれの立場から率直な意見を御発言いただき、年度末の取りまとめに向けて議論を深めるものですので、皆様、積極的に御議論のほどよろしくお願いいたします。
 まず、資料1の3ページの拘束時間の論点から御議論を開始いたします。右下で、まず、前回の作業部会において、労務管理上の負担軽減も踏まえて、1か月の拘束時間を導入したい旨の御意見が使側からございました。今回、事務局がお示しした資料1の案では、1か月の拘束時間について年3,300時間を超えない範囲で281時間とすること、それから、貸切バス・高速バスの特例については、年3,400時間を超えない範囲で、年6回294時間を上限とすることという御提案がございました。
 また、現行と同じ4週平均1週の拘束時間についても存置することとし年3,300時間を超えない範囲で65時間、また、貸切バス・高速バスの特例については、労使協定を締結することで、年3,400時間を超えない範囲で年52週のうち26週まで4週平均1週67時間を上限とするという旨の提案がございました。1か月の拘束時間と4週平均1週の拘束時間について議論いたします。まず、労側の委員から御意見をお願いいたします。
○池之谷委員 拘束時間に関しては、年3,300時間という時間を設けていただいておりますので、それについては一定程度評価できると考えています。ただ、月の関係で、単純に281時間に12を掛けると3,372です。使側からは、改善基準告示は至ってシンプルにしてほしいという意見を頂いています。その中で、281時間で年間調整して3,300を超えないというのは、かえって複雑になるのではないかという感覚がございます。それならば、単純に3,300を12で割った275を上限といった方が至ってシンプルであり、より使側の考え方に沿うのではないかと感じています。
 年間3,000というところと月の話は御議論いただきたいと思いますが、週の関係であったり、ほかの拘束時間のトータルの計算が過重労働にならないためには、片方に寄らない働き方が一定程度必要になると考えています。そこについては少し御議論いただき、心身的に疲れないためにはどういうものを作っていかなければいけないのかなど、何らかの形でのハードルの作り方は必要だと考えています。
○川田部会長 それでは、鎌田委員からお願いいたします。
○鎌田委員 すみません。予見しないことで多少遅れてしまいました。全体的な時間の構成というか、細かいことはこの後に論議すると思うのですが、おおむね、いい感じだと思います。結局、一定期間は両論併記になるということで、「当面の間」というのはどれぐらいの期間をイメージしているのでしょうか。基準の周知期間中が「当面の間」なら、では、よーいスタートと言ったときに片方になっていれば問題はないと思いますが、これがずっと両方あるということになるとあまり意味がないのかと思います。以上です。
○川田部会長 今、「当面の間」の部分について御質問があったかと思います。この案の中の「当面の間」について、事務局から何かありますか。
○監督課長 今の段階では、「当面の間」を特段いつまでと区切っておりません。今回、この改善基準の見直しをして定着を図る中で、まだ先の話ですが、今後、次の見直しのタイミングを考えていくことになると思います。
 現段階ではその時期がいつなのかは申し上げられません。しかし、今回は1か月単位と4週単位の基準を併存させますが、労働基準法の改正により、令和6年以降、時間外の上限規制を含め、通常の単位として1年・1か月が自動車運転者の労務関係の中に入ってまいりますので、その中で、自然と1か月の方に移行していくであろうと思われます。そして、4週平均は役割を終えたのではないかというタイミングで見直しをするということかと思っております。
○川田部会長 それでは、次に、使側の委員から御意見を伺います。
○齋藤委員 まず、大前提というか、今、改善基準の見直しについて労使、あるいは、公益の先生方と議論しています。1つの視点として、実運用をするに当たっては、できるだけ柔軟な制度であった方がいいかと。全国にはいろいろな事業者があるので、あまり決め過ぎると対応が難しくなってくるのではないかと思っております。
 本日は、年間の拘束時間の考え方が提示され、そして、月当たりの拘束時間の提示が事務局案として出されました。当初より、この改善基準の見直しの目的として、今の基準を厳しくするということがあり、それについては一定程度理解していると申し上げてきました。計算式については同意できないのですが、今日提示された3,300時間というのは一定程度理解はしたいと思っております。
 その中で、月当たりということですが、先ほど、池之谷委員からシンプル化の話が出ておりました。どうもありがとうございます。年間を決めて÷12とした場合、1か月の日数は30日や31日などそれぞれ違うため、平均で決めると齟齬が生じる可能性が高いのではないかと感覚的に思っております。あと、月における繁忙という問題、曜日の問題、同じ1か月といっても土曜や日曜の数が微妙に違うことがありますので、今日提示された今あるベース÷12を上限とした281時間、まだ多少議論があるとすれば、これは364日計算だとこういうことになるのですが、282時間という言い方もあるのですけれども、281時間という考え方もあると思っております。
 あと、特例の部分です。これも今までの主張等を踏まえていただき、どうもありがとうございます。現在の改善基準にいろいろな計算式が使われていることについて、いいかどうかはさておき、今の特例でいくと、例えば、繁忙期に休日労働を2日せざるを得ない場合に、改善基準上の基本ベースから考えると、仮に1日の拘束が13時間の場合に、13×2を足した数字が本来あるべき姿なのかと。新たに数値が出たとして、本来、13×2で26時間を足していただく方が理屈は立つのではないか。したがって、今日は294時間で出していただいておりますが、これについてはもう少し上乗せを考えないと、繁忙期対応が難しくなるのではないかと思っております。
 あと、案では週単位も残していただいたとなっております。週単位の特例ですが、基本ベースが65時間ということで、どうもありがとうございます。繁忙期にプラス2時間で対応できるのかということがあります。実運営上は、これについても上乗せしていただいた方がと思っておりますので、再検討していただければと思っております。
 また、何回も申し上げておりますが、今の世の中は、シルバーウィークが出てきたり、あるいは、過去に比べていろいろなイベントが多くなってきたことを踏まえると、貸切バス、高速バスに適用されている特例について、乗合バスだけの事業者は、全国的には数が少ないのですが、乗合バスにも適用していただければと思います。以上です。
○金井委員 今、齋藤委員から発言したことについて、一部補足いたします。前回もお願いしたのですが、貸切バスと高速バスの特例のところで、一部の事業者ですが一般の乗合バスの事業者についても認めてもらいたいのです。例えば、観光地で路線をやっている事業者があり、先ほど休みの期間が増えたという話がありましたが、年末年始をはじめ、春休み、ゴールデンウィーク、夏休み、お盆、シルバーウィークという季節波動が結構あり、需要増に応じるために休日労働をして輸送を掛けていき、利用者のために運行をを確保しています。是非、路線バスにも拡大を認めていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。以上です。
○川田部会長 今、私なりに御意見を伺ったところとしては、年間の時間と月等の時間の関係をどうするのか。単純に12で割った数字とするのか、月の方はもう少し多くするのかということ。あるいは、月なら月の中での偏りを防ぐような手立てについて何か必要か。それから、貸切バス・高速バスについて特例的に一定の範囲内で時間の上限を増やす、延長するという扱いを前提とした場合に増やす時間数。それから、乗合バスにもこういう扱いをするのかどうかという点が、ここまで伺った中で論点として出てきているのかと思います。
 これ以外の点でも結構ですので、更に、御意見、御議論を頂ければと思います。それでは、小田切委員、お願いいたします。
○小田切委員 労側から御提案があった点について、教えていただきたいことがございます。今の複雑なことをシンプルに整理すると、年間3,300時間を超えないということで、それを単純に割ると275になります。年3,300を超えない範囲で、確かに281ということで1の出っ張りがあり少し不思議な数のようにも見えます。その根拠は、左側に195+86とありますが、この具体的な281は、割算をした275まで落とした方がいいのではないかという、そこまではおっしゃってはいないのでしょうか。
○池之谷委員 使側から結構シンプルという話がありますので、それならば1か月は275と決めた方が分かりやすいのかと思っています。
○小田切委員 そうすると、3,300を12で割ると確かに275なのです。例えば、今の281の1だけ外して280などでも大丈夫ということでしょうか。というのは、年間3,300時間を超えない範囲ということなので、月によって少ないところもあるので、それを考慮して書いているのだと思います。シンプルな数になって、数が際限なく大きくなることがなければ構わないということでしょうか。それとも、3,300÷12が良いということでしょうか。
○池之谷委員 仮に281としたときに、年の初めから281を11か月間使ったときに、最後の1か月は200そこそこしか拘束できないということになるのです。そうなってくると、労働者を管理する上で、毎月、この人の拘束時間は何時間なのかと計算してデータを出さなければならず、かえって煩雑なのではないかと思っています。
 先ほど、齋藤委員からもあったとおり、月の日にちが30だったり31だったりすることがあるので一概にはいえない。その論点からいうと、今までどおりの4週での計算方法の方が分かりやすい。ただ、今、こういうたたき台が出てきていますから、そこまで論点を戻すつもりはないのですが、そこまでの話になると、そこの考え方が出てくるのかと思っています。
○小田切委員 理解できました。ありがとうございます。今、一般乗合バスも含めるかどうかという御要望があったことは別にして、私がこの案で懸念しているのは、貸切・高速バスで年間6回まで294時間まで延長できることを適用してはどうかということは、おっしゃるように繁忙期の対応には必要だと思いますが、年12か月のうち、仮に6回6か月が連続する事態が起きてしまうのは、生物学的にかなり負担を強いるのではないかということです。改善基準告示に年6回までを入れないと、どうしても事業が立ち行かないという御議論などがあるかもしれません。その辺りは、例えば、年6回を年4回に落とすなど、そういうことが可能なのかどうかということについて、実態も含めて更なる御検討を頂ければと思います。
 それは4週平均のところでも同じように、年52週のうち26週が何週間連続なのかを考えていくと、週数をどこまで落とすかということを更に御検討いただければと思います。もし、仮に改善基準告示の中で、年6回、それから、26週間が落とせないということであれば、分割する必要性などについても言及する必要があるのではないかと思います。
 一般乗合バスも、貸切バス・高速バスの適用に含めていただけないかというお話です。労使での御議論の結果になると思いますが、それを含めることになった場合は、なおのこと、年6回、26週を短くする必要性がなお出てくるのではないかと思います。
○川田部会長 それでは、今の小田切委員の御意見で挙げられた点も含めて、更に御自由に御議論いただきたいと思います。何かございますか。よろしいですか。では、お伺いします。それでは、鎌田委員お願いします。
○鎌田委員 今の話を聞いて思い出したのですが、前回か、その前か忘れましたが、この特例の部分については、あえて貸切・高速バスと明記しないで取ってしまえば、路線バスにも適用できるのでと言ったと思いますが、私もそれでいいのではないかと思っています。
○小田切委員 使側に、使側の感覚というか、御教示いただければと思うのですが、この年6回とした場合に、これが実際、6か月続いているようなことが実態としてかなり存在するのか、それとも、いや、そんなことはなくてという、そこがどうなのかと思います。実態が、例えば、8月、9月、10月、11月、夏休みから紅葉の季節までなど、8月、9月、10月、11月を想定すると、また12月が入ってきてしまったりいろいろですが、もちろん、事業者によって違うとは思いますが、これが何回まで連続で、逆に短くできるのかを教えていただければと思います。
 年6回を数値を下げるか、あるいは、この年6回を例えば連続して何か月と制限する方法もあると思います。例えば、年6回まで一人当たりですから、294まで延長できるのですが、一人当たりで見たときに1年間の中で必ず年3回までしか続けられないとか、そのような条件付けも疲労をふせぐ観点ではできると思うので、私も事業者での実態が分からないので教えていただければと思います。
○齋藤委員 先生がおっしゃるとおり、いわゆるシチュエーション、それぞれ全国いろいろなバス事業者がありますので、シチュエーションによることになってしまうのではないかと思います。例えば、私どもの会社で申し上げますと、幕張メッセという県が運営している大きな施設があるのですが、ここでのイベントの内容によって、人の行き来が、大分、変わってくるようなことがありました。そのイベント次第ということです。
 あるいは、以前にこの会で野球の話をしたと思いますが、野球もずっとホームでやることにはならないのですが、あるいは、そのホームのチームの成績次第で観客の入りが変わってくるとか、これを一概に決めるのはなかなか難しいのではないかと思います。それと、今は昔に比べていろいろなイベントが増えていることからしますと、年間の半分ぐらいは必要ではないかと思っております。
 それと、この改善基準というのは、多分、この範囲で何でもできるという制度ではないのではないかと思っております。例えば、通常、281か282というレベルで、先ほど言いましたとおり、1か月の間に法令上は休日労働2回できると、2週に1回ですからおおむね2回できると、そのようなカウントになるわけです。それからすると、この294時間というのは最低ラインではないかと、先ほど281を切りの良い数にというお話がございましたが、ここは切りが良ければいいという話にはならないのではないかと、これは私の勝手な思いです。したがって、ここは281という端数は付いても運営上はその幅の中で運営していくことになりますから、是非、その辺を踏まえた数値設定にしていただければと思います。
○金井委員 連続して6回はないかどうかというお話で、一番最初に齋藤委員からお話を申し上げたとおり、全国のバス事業者に実運用するに当たり、柔軟な対応ができるような、要は幅を持たせたようなやり方でないと、なかなか難しいのではないですかというお話が冒頭にありました。これも正しくこのとおりで、実際、運用については各社労使協定がありますから、その中で柔軟性を持った中で対応がしっかりできますから、それが実際、6か月連続でというのは私も聞いたことがないですが、6回と決めてもらい、厳しければ、そんなのできないという職場がきちんとあるわけですから、そこに機能があるわけですから、そのようにやらせていただけると有り難いと思っています。
○小田切委員 分かりました。そうすると、今のお二人のお話からすると、年6回という記述自体は事業者側に対しては求められるが、例えば、なお書きのような形で、一人当たり連続する年6回のうち、連続するのは3回までとすることが望ましいなど、いろいろな書きぶりはあると思いますが、そのようなことで全く守れないことになるわけではないと思ってよろしいですか。もちろん、事業者によるとは思いますが、望ましいという書き方にするか、ねばならないという書き方にするかで大分違うと思います。
 意図するところは、一人の方が6か月ずっとこれで働き続けてしまって、1年のうち、残りの数箇月は本当に労働時間が少ないことがあっても、過重労働は6か月蓄積すれば過労死のリスクを高めるので、連続しないという意識を事業者側にも持っていただくことは私は必要かなと思って述べております。
○齋藤委員 おっしゃることは分かるのですが、この改善基準の特例というのは、間違っていたらあれですが、確か、これは一人一人の労働者に対してというよりは、その期間、仮に、1か月とすると、ここは特例適用で全運転手に適用されると、私はそのような認識ですが、そういうことで良いのですか。
 私どもの会社ですと営業所ごとに決めて、誰の誰さんがなど、そのようにはしておりません。例えば、今年はできませんでしたが、江戸川ですと盛大な花火がやっているのですが、そのようなときに、花火輸送は結構大変ですので特例対象営業所にすると、そのような扱いをしております。
○小田切委員 すみません、教えていただきたいのですが、個人に対しての指導内容ではなく、事業所の計画レベルあるいは実態レベルになりますが、これはそれでのみくくられるという意識ですか。
○過重労働特別対策室長 一人一人の実際の時間がどうだというような形で、監督署は監査をする形になります。
○小田切委員 例えば、あるドライバーが事故を起こしましたとなったときに、運輸局から調査が入ると思いますが、そのうち、例えば、ドライバーが10人、20人いました。労使協定も締結していますし、ただ、そのお一人お一人の労働時間の管理を見ていく中で改善基準告示違反の人がいましたというような判断になると思いますので、お一人お一人の労働に対して、やはり6か月連続して294まで延長できる状況を、この改善基準告示で許してしまうと過労の観点では心配なのではないかという意味で、私は申し上げているのです。
○過重労働特別対策室長 労使協定があり、特例の場合については、もちろん労使協定があれば、今でしたら52週のうち16週までは4時間を4週間平均して1週当たり71.5時間まで延長することができる。それは事業所単位でできるのですが、監査するときには、個人、個人が守られているかということを見ていく形になります。
○小田切委員 見るときにはというのは、結果的にはお一人お一人の労働者は、これでオーバーしないようにしないといけないということですよね。そうですよね。
○齋藤委員 ですから、労使で、今ある4週は特例ですと決めて、その場合は全員適用されて、それが今ではいわゆる16週までですか、ですから、結果としては全運転手はそれに沿った形で改善基準の適用がされていると、私どもは対応している認識でございます。
○小田切委員 そうですね。その状況で労働者のレベルで見たときに、やはり16週続いてしまっているということですかね。実態ですよ。それは事業者によって。
○齋藤委員 実態としては、私どもはそうはなっておりません。
○小田切委員 そうですか。
○齋藤委員 私どもは。
○小田切委員 なるほど、それは優良企業と、失礼ながらそうでない企業もあると想定してここでは議論しなければいけないと思うのですが、そうした場合に、労使協定さえ結んでおけば、年6か月間、294時間まで延長していいのだという読み取り方になってしまった場合、それが年6か月間294時間ずっと働き続けた場合に、やはりリスクは残るという意識を私は持つので、ここが年6回という記述を残しても、例えば、連続するのは3回までとするというような文言を入れるなどの対応を御検討いただくのはいかがかと思っているというところです。やはり、これは個人一人一人の労働者がこのような働き方をしてしまう可能性が残る記述があるのは好ましくないと思います。
○齋藤委員 今日のところは、それが良いとか、悪いとか全く言えませんので、一応、そのような考えがあることは認識しました。
○川田部会長 それでは、事務局からお願いします。
○監督課長 先ほど齋藤委員から、休日労働を月に2回するとした場合に、13×2で26時間上乗せという考え方もあるのではないか、という御指摘がございました。今ご提案している294時間というのは、前回までも資料で若干お示しし、本日の資料の左下にもございますが、195時間、これはあくまでも月の平均というか目安ですが、これに対して99時間上乗せしたという考え方で、上限は294時間という数字になっています。その上限まで延長できるのは年6回ということで、ここに書かせていただいております。
 仮に、齋藤委員の御指摘を踏まえ、ここを更に上乗せして、かつ3,400時間の枠内でと考えますと、11、2時間これに乗せた上で年4回に限ることになりますと、この3,400時間という枠を変えず、そのような目的が達成できることにもなりますが、その場合には195時間を110時間ほど超える時間の設定となるということ。また、総枠を変えないのであれば年4回になりますので、そういったことも踏まえて御議論いただければと思います。
○齋藤委員 そこのところをはっきり聞かせていただき、年6回と今回の294時間というのは、つながりがありそうだと思ってはいたのですが、その辺で294時間というものに妥当性があるのかどうかというところが1つ我々には検討事項だと思っております。先ほど、仮に310時間とか、そのような話をいたしましたが、それとのどちらかの整合性というのですか、今日の時点ではそれは課題かなという認識です。
○川田部会長 時間的には、そろそろ次の論点に進む頃かと思います。この論点は、1か月、あるいは4週間平均1週の拘束時間の論点について何か御発言はございますか。ありがとうございます。
 それでは、次の論点に進みます。資料1の5ページ、1日の拘束時間、それから休息期間についてのところです。5ページの右下の部分の案です。1日の休息期間については、原則11時間としつつ、これによらない場合の上限時間、回数等について別途設けるということ。それから、1日の拘束時間については休息期間と連動することかと思いますが、休息期間と同様の考え方で設定する旨の提案がありました。こちらについても、同じようにまず労側の委員、次いで使側の委員という順番で御意見を伺います。池之谷委員お願いします。
○池之谷委員 この休息期間についても、大原則として11時間ということでとらまえていただいていますので、これについては評価できると思います。ただ、これによらない場合の上限時間、回数等を別途設けるというのは、どういうタイミングで別途設けるということなのか。この改善基準告示をまとめた段階では、きちんと作り上げますということなのか、それとも各労使にお任せしますということなのか、そこがちょっと見えてこない。確かにEU規則の中では3回までだ、というように明確になっています。その辺をどういうタイミングでというのをお伺いしたいと思います。
○川田部会長 事務局からお願いします。
○監督課長 本日の段階ではお示しできなかったということです。当然本日の議論も含めて、最終案の確定までには確定させるという趣旨です。
○池之谷委員 そういった意味では、EU規則で週3回まで9時間というところが、3回までがいいのか、2回までがいいのか、はたまた9時間なのか10時間なのか、というところをトータル的に議論するということで認識してよろしいのですよね。
○監督課長 はい。
○池之谷委員 ありがとうございました。
○川田部会長 それでは、鎌田委員お願いします。
○鎌田委員 この案は、私の考え方に非常に近いものであります。原則11時間というのは、前から池之谷委員とともに言っておりますが、これをがっつり守っていこうということが大前提なわけです。先ほど来話が出ているとおり、繁忙期に対応するためには、あまり言いたくはないのですけれども11時間で決まればいいのでしょうけれども、多分、繁忙期だと、これだと厳しいかなと若干会社側のことも考えたりもします。そういうことを考えると、上限時間ではないですね、下げるから下限時間になるのでしょうか。下限時間の設定と、その回数等というので、今ほどあったような諸外国のパターンを軸に検討すべきではなかろうかと。私の中でも、前の8時間に下げようかというわけには、見直しの論議なのでそこには落ちないよねという思いもあります。やはり妥当な線は9時間で、あとはそれを何回までにするかということが、多分もとになるのだろうと思っています。以上です。
○川田部会長 それでは、使側の齋藤委員お願いします。
○齋藤委員 ここについては、2つの視点があります。1つはいわゆる考え方、もう1つは運用上の問題について幾つか申し上げます。まず1つは、休息11時間の考え方は、労働組合側から11時間という話は前から聞いています。基本的に一般則の話で、11時間という、いわゆる労働基準法上全体のというのは、まだ出てきていないという認識です。自動車運転手については、現在の告示では週2回最低8時間、残りは最低9時間、これが今ある原則です。11時間というのは、全くもって一般則では出ていないという認識です。
 それから、拘束時間で前から申し上げておりますけれども、8時間が週2回ということになると、いわゆる4週では今でも11時間以上の休息が確保されていますねという部分。それから変な話を申し上げますけれども、厚生労働省の方で作った中小企業向けの働き方改革推進支援助成金制度というのが、たしか2019年ぐらいからできていると聞いています。そこでは、9時間以上の勤務間インターバルがあれば助成がなされますと。今、全体的には、そういうのが一般的な考えであると認識しております。したがって、これをいきなりバスについては11時間だということについては、ちょっと議論が先行しすぎではないかと思います。
 日本は、いわゆるEUとか、あるいはILOに批准したり、あるいはその方向でやるというふうになってはいないのですが、例えばEUということになると、いわゆる全ての労働者が11時間のインターバルを取りなさい、というようになっていると聞いています。したがって、これはバスの運転手だけではなくて、世の中全てが11時間ということです。それが、この改善基準告示の見直しということで、11時間が果たしてあっさり決まってしまっていいのかという思いがあります。
 次に運営上の問題です。仮に11時間の休息ということになった場合、バスの需要に対する供給方について幾つか問題があるのではないか。例えば、朝5時台に出勤する運転手というのは11時間ということになると、その前は前日の18時台に勤務を終了している必要がある。したがって、この場合夕方のラッシュであるとか、夜間であるとか、それへの対応がなかなか難しい。運行に影響を与えざるを得ないことも生ずるのではないかということです。また、路線バスの勤務で、朝8時までに出勤するダイヤがほとんどですので、今度は逆に夜間便を増やしたとしたら、翌日の早朝になかなかつながりません。いわゆる繁忙期の問題もありますが、通常の、毎日の対応という意味で齟齬が出てくるおそれがあると感じています。
 それから、勤務シフトの問題です。これは、多くの事業者が多分労使で確認しながら、次はどういう勤務をやる、ああいう勤務をやるというようにしています。例えば、長拘束であるとか、あるいは体を休ませるという意味では、会社によっては公休に連続してあって、その公休の前後の取り方も、公休前はできるだけ早く勤務を終わらせて、公休後は遅い勤務に回す、というような配慮をしながらやっている事業者が多いのではないか。ただ、それができるかどうかということになると、できない場合がある、したがってこの場合はどうしようかということです。こういうケースがほとんどあるとは言い切れないのですけれども、そういうことに配慮している事業者もあります。それと、路線バスの運転手というのは、あらかじめ勤務シフトが決まっているという話を今までにもさせていただいています。ただ、あらかじめ決まっているのですけれども、想定以上に勤務変更をせざるを得ないというのが結構あります。例えば、急な病気であるとか、不幸であるとか、当日ある運転手が遅刻したとか、あるいは欠勤したなどなどがあります。その場合に、休息が11時間以上ということになると、算数としては当たり前のことなのですけれども、代わりの運転手の確保が結構大変になるのではないかと懸念します。
 現在でも、良いか悪いかはともかくとして、9時間というか8時間を超えている運転手は何名いるのだと。その中でこの人というようにしてお願いをして、勤務変更してもらうというようなことを行っています。その範囲があまり狭まりすぎると、これはもう運行に支障が生ずるおそれが出てくるのではないかと思っています。
 あとは、仮に入れ替えができたとしても、毎回毎回言うのですけれども、なかなかこれを全部いろいろな方面から適用させるというのは難しいことなのです。それは、日々の努力で運行管理者がやっています。それが、より厳しくなることによって、運行管理者の能力そのものも超えてきてしまうのではないかと懸念しております。したがって、この部分については、もうちょっといろいろな議論をしていく必要があるのではないかと感じております。
○金井委員 重なる部分もありますけれども、私の意見をお話しさせていただきます。今のところはすごく重要なところなので、あえて重ねて申し上げます。EUでは休息11時間のお話が出てきます。EUでは、ほとんどの労働者の休息時間は11時間が守られています。その中でも、EUでは自動車運転者に対する例外が認められているというのが今なのです。今の日本の状況はというと、先ほど勤務間インターバルのお話がありました。9時間以上を新規に導入した事業者に対しては助成をしていますと。だから、そういう方向に行ってくださいというように促進を図るというのが今なのです。ですから、9時間と11時間ということでは、そもそも日本とEUでは差がありますので、いきなり11時間の話というのは早すぎるというのが正直なところ戸惑っています。
 私は行ったことがあるわけではなくて、物の本で読んだりすると、EUのバス事業者というのは公営がほとんどで、民間でも国から多くの補助金を得て経営が成り立っている。それに比べて、日本にももちろん公営のバス事業者はありますけれども、ほとんどのバス事業者は民間の私企業でやっています。収支が成り立たなければ、事業の運営ができなくなります。ですから、全くその土壌が違うのです。比較する対象がちょっとそこに追い付いていないということがあろうかと思います。それが実態なのではないかと思っています。
 それと、実運用のところでお話をします。仮にですけれども、11時間というのをやっていくと、バスの輸送というのは、朝のラッシュ時間帯に多くの人材と、多くの車を投入してやるという事業です。例えば、皆さんが朝出勤するのは大体5時台なのです。5時台に出勤して、多くの車と多くの人材を投入してやっていきます。そうすると、5時に出勤した人のその前の日のシフトというと、11時間空けるには18時に終わっているということです。ですから、夜は使えないことになって、新しい人を採用するという対応ができないということになってしまうと、夕方のラッシュ帯とか、夜間の輸送力の確保ができなくなってしまいます。そうすると、減便は避けられません。逆に、今度夜間便を確保するためには、朝のラッシュ便の減便が必要になります。いずれにせよ大きな支障が出るというのは間違いないことです。実際に、多くの仕事をしている人たちの足を確保するというのが私たちの商売・事業ですから、社会的影響が甚大になります。これは、毎回毎回申し上げているところです。
 私も職場をあずかる身として、恐らく、休息時間を伸ばし過ぎると勤務シフトは、今週はオール夜間ダイヤです、2日間の休日をはさんでオール朝ダイヤです、というようにしていかないと追い付かなくなります。私は、知り合いの乗務員からよく話を聞くと、うま味みたいなものがあって、バスの仕事の乗務員の魅力というか、うま味というのは2日間の公休があって、休日前の午前ダイヤ終わりで、休日後の午後ダイヤ始まりにすると実質3日間休めます。時間的には、2日プラス1日ということになります。そういう利点もあって、みんなでシフトを決めながらやっていって、という職場が、今のところほとんどなのではないか。そういうのが一切できなくなるので、要は幅がなくなります。
 それと合わせて、今度は先ほどのお話で、調子が悪くなってしまった、近所で不幸ができてしまった、というのは社会的にあり得る話です。そうすると運行できる運転者として、変番、代番を探さないといけない。代番ができる人は、極めて少なくなりますから、運行管理者泣かせになります。そういう人を見つけられても、翌日からのシフトにも影響が全部流れていきます。今は運行管理者のなり手がいないのです。結構業務が難しいというか、負担が多いので、更に今度は運行管理者のメンタル面の懸念が出てきます。バスの職場は、メインとしては乗務員が一番多いので、乗務員がどうしてもメインに出てくるのですけれども、同じそのバスで働く労働者としては、運行管理者というのはすごく重要な責を持っていますから、やはり運行管理者の働き方改革ということも考えないと、事業が成り立たなくなってしまう懸念を持っています。
 最後にもう1つ。それで代番が見つからないという話になって、代番が見つからなければ、この便の運行ができませんでした、ごめんなさいというのは、路線バスは通用しないのです。今までは通用しませんでした。だけれども、これが頻発するとなると、申し訳ございません、運行が確保できませんでした、というのが日本全国で出てくる話になると、この社会的影響というのは、今はちゃんとできているのですけれども、今度はそういう運休の頻発といいますか、運休のリスクということは出てくるのだろうということが想定されるので、非常にここのところは厳しいと思っています。
○川田部会長 時間も限られておりますが、引き続き御議論いただきたいと思います。主たる論点は、現則11時間とした場合の、特に使側委員の方から懸念点等をお示しいただきました。ここまでのところだと、この点が主要な論点かと思います。それ以外の点でも結構ですので、自由に御議論をお願いいたします。池之谷委員お願いします。
○池之谷委員 いろいろと会社側の御意見を頂きました。そもそも働き方改革関連法の中で、長時間労働を是正しましょうというところの入口ではないですか。その中で、朝5時から働いていて、夕方10何時までしか働かせませんというのを持ち出してしまうと、この働き方改革をどうやって是正するのかと率直に思っています。その社会的支障を与えないためには、乗務員については何時間でも働かせましょうよ、というふうに言っているようにしか聞こえないのです。やはり、過重労働をなんとか減らしていきましょうという立ち位置の議論をしていかないと、もう入口で詰まってしまうのではないか。
 EUの関係で11時間、EUに追い付いていないという話を主張されていました。私たちはこの議論を始めるに当たって、アンケート調査をやって、実際に全国のドライバーとしてどのぐらいの休息が必要ですかという調査を行い、高い回収率を頂きました。その中で、一定程度の時間が出てきて、それがEUの基準に本当に近いですねというところから、たたき台の11時間というのが出てきていると思うのです。EUは国柄が違うだとかそういうのではなくて、アンケート調査の実態を真摯に見る必要があると思っています。助成金の関係で9時間、10時間。9時間でも出ますという話がありましたけれども、確かに9時間、10時間でも出ますけれども、満額をもらうためには助成金制度として11時間です。会社側が言った、9時間でも出るというところを踏まえると、11時間取って満額をもらった方がいいのではないですか、という立て付けになると思います。その辺も少し考え方に大きな隔たりがあるかと思います。実際に働いている人たちの実態に即して、長時間労働の是正を真剣に考えていく必要があると思っています。
○川田部会長 齋藤委員お願いします。
○齋藤委員 毎回言っておりますけれども、1つは運転手の負担軽減はやるべきだとは思っています。ただ、それをやるに当たって、実運用としてできるのか、そこの議論をする必要があるのではないですか。数字をぽんと決める、そこまではあったとしても、その先にいわゆるダイヤ編成作業などがあるわけです。これが、できるのかどうか。これを検証するのは多分この会では不可能だと思います。ただ、私たちは長年の経験もありますから、多少感覚的なところもあって、一番最初に申し上げたとおり、実運用できるような柔軟性を持った対応を求めていかないと、数字は出したものの混乱するばかりです。それでは問題である、ということをずっと申し上げてきています。
 確かに、11時間というのは労働者の話として否定するものではないのですけれども、だからといって、それで行きましょうということになって、いわゆる現場レベルというのでしょうか、各社レベルというのか、そこが混乱しては改善基準を見直したことの意味が大分違ってきてしまうのではないか。そこの両立をどうやって図っていくか、これが議論で重要ではないかと思っています。
○川田部会長 池之谷委員どうぞ。
○池之谷委員 齋藤委員がおっしゃることは十分理解しています。確かに決まった後にという話も十分理解しています。改善基準告示はこの間に何回も見直している中で、毎回その議論は出ています。これを変えたときにどうなるのだ、ダイヤが組めないのではないか、というのは毎回出ていると思います。ただ、公労使が入って議論をし、改善基準告示をまとめて、これで行きましょうと言った後には、それをみんな守っています。後々の心配を先にしてしまうと何もできないと思います。一定程度どういう実態があって、何があってというのをまとめて、その後にダイヤが組める組めないではなくて、作ってしまったらそれに従うしかないと思っています。毎回毎回この改善基準告示の議論の後にその議論というのは出ていますというのは、齋藤委員も長年やっているから十分理解していると思います。その中で何を目的として、何を達成するのかというのをしっかり議論する必要があると考えています。
○川田部会長 鎌田委員お願いします。
○鎌田委員 毎回この話で、必ずここで終わってしまうのです。この間1年以上ですか。それは、立場が違いますので、必ずこの話はこうなるのです。ここに書いてあるとおり、原則11時間でも、もちろんこの数字が出てきたのは本日が初めてではないです。たたき台は初めてですけれども、もちろんこれで決まったわけではないですし、論議をする前提でのある意味たたき台ですからということです。我々としては、これをベースに働く側としてはもちろんやっていただきたいと思っています。会社側の立場も十分理解しています。ちゃんとした労使関係があるので、今の会社の現状がどうなのかも十分理解しています。当然ダイヤも組みにくくなる、というのは確実に分かっています。時間外労働も減ってきたら、賃金が減っていくのも分かっています。
全部を踏まえて、我々がこの11時間というのを提示しているのは、今の会社の現状を踏まえて、こうやったらこうなるだろうという考え方も十分理解できますが、我々が考えているのは、今のこの状況を打破していくとかいうようなレベルではなくて、未来のバスの産業のことを考えています。若い方々が二種免許を取ってバス会社に入ろうと思っている人が一体世の中に何人いるのか、何でそうならないのかというのは、幼稚園レベルで毎年アンケートをやると、将来なりたい職業の3位には必ずバスの運転手というのが入ります。ところが、大人になっていくうちに、今は確実に消えていくのは魅力がないからなのです。全ての企業とは言いませんが、長時間労働で、それに見合った賃金がないということで、若い人材が入ってこないということを考えて、やはり働きやすい労働条件で、ああ魅力ある産業だと。若い方々が、将来バスの運転手になろうというふうになるためには、やはりどこかで血を流さないと、我々を含めて改善していかないと良い産業にはなっていかない。将来残らないであろう産業にはしたくないと思っています。そういう思いを込めての、この改然基準告示の見直しということで、先ほど池之谷委員も言っているとおり、私も全く同感です。やはり、現実ではなくて、もう少し未来像を。繰り返しますけれども、本当に会社の現状もよく分かっています。分かっていて発言させていただいております。
○川田部会長 この点は、特に今私としての意見を申し上げるものではありませんが、今回の改善基準告示の見直しの中でも、最も重要な点になろうかと思います。引き続き労使それぞれの委員を中心に、現場における実情を踏まえた議論もできると思います。その中で、今回の見直しの全体については、第1回の部会の際に私なりに述べたように、一方で過労死防止の観点というのがあります。同時に、バスの事業を将来に向けて持続的に意欲的なものとして発展していくことが可能になるように、というような点があると思います。
 そういう中で、恐らく原則と、その原則によらない場合の扱い、最終的には両方をセットで見ていくことになると思いますが、引き続き検討すべきかと思います。事務局からお願いします。
○監督課長 今回、私どもの御提案で、原則11時間とさせていただいておりますのは、前回、平成8年に改善基準の見直しを議論してから25年たちました。その間に勤務間インターバルという概念が出てきて、法律の中では努力義務となっております。今年改定された脳・心臓疾患の労災認定基準では、11時間という勤務間インターバルを満たしているかどうかということが評価軸の1つであるということがうたわれるところまで今は来ています。そういう中で、11時間ということを原則として、この改善基準で盛り込むということが1つの方向性としてあるのではないかということで御提案させていただいております。
 現状の改善基準は、休息期間8時間以上ということになっていますが、裏表の関係にある拘束時間を見ると13時間、最大16時間ということです。16時間を24時間から引いて8時間。かつ15時間超えは週2回ということです。大雑把に言えば、最低基準が8時間、8から9時間までが週2回までですというのが現行の基準です。それを、原則11時間ということを是とするのであれば、それの下でどう例外を作っていくか、あるいは原則11時間をそもそもどうするのかということかと思います。
 本日、使側の皆様から具体的な現状のお話等々について細かく御教示いただきました。今回は私どもとして暫定的な御提案をさせていただきましたが、是非、具体的にどういう基準にするのかという御提案を、今回は難しければ、次回はそういう形で議論を詰めていただければと思います。
○川田部会長 齋藤委員お願いします。
○齋藤委員 今後、この事項といいますか、課題は継続して次回ということになるのだと思いますけれども、一部言い忘れたことがあります。何回か申し上げているのですけれども、今回原則があって、回数で多少緩和していくようなプランが示されたわけです。この回数管理というのは結構大変なのです。いわゆる前日の勤務の開始から始めて、全員について回数管理をしていかなければならない。それが、要するに週何回あるかとか、そのカウントというのは結構大変なのです。何で改善基準違反になるのだというと、前日の始業時間を忘れてましたと。その前日の終業時間から終わった休息期間だけ見て、これが例えば何時間余ったから勤務に就けてしまいました的な、そういうのが現場の意見として多いです。これをちゃんとやらなければ駄目だということにはなるのですけれども、その負担が非常に大変です。原則を緩和するという意味での回数という、その考え方そのものを否定するわけではないのですけれども、そういうものがない方が、要するに現場管理をするに当たって、先ほど運行管理者の勤務の問題が出てきましたけれども、そこの部分も緩和していく必要があるのではないかと思います。それも課題として挙げさせていただきます。
 それと、先ほどの続きになりますけれども、運行管理者という点で見れば、私たちは人繰りという言い方をしているのですけれども、この言葉が適切かどうかは分からないのですけれども、勤務に穴が空いた場合に、その運行を埋めるために他の人にやってもらう。これが、運行管理者として結構大きな仕事になっています。本来ならば、運行管理者というのは安全第一なのです。安全第一でやるのですけれども、それにこの仕事が下手すると夜中まで掛かって、前日の0時というか、本日の0時になっても穴が埋まらないみたいなケースがありますので、ここのところを軽減していくことが、イコール改善基準の遵守にもつながってくるのではないかと思っています。それも課題として一応挙げさせていただきます。
○川田部会長 小田切委員お願いします。
○小田切委員 ここは、重要かつ非常に難しい、労使ともにいろいろ御意見をお伺いしていてそう思いました。公益の立場として、今後の議論で注意事項として御検討いただけないかと思うことを1点述べさせていただきます。この時間もそうなのですけれども、11時間というのがこの後の議論になると思うのです。
仮に他のILO、アメリカはちょっと別にして、EUの現状を見ていった場合に、いかなる場合でも8時間を下回ることはいけない。それから、回数のことがありますけれども、やはり連続性ですよね。私は国土交通省の別の委員会に出させていただいていて本当に思うのは、この睡眠時間で2日間連続して本当に運転してしまったのか、という状況で事故が起きているということもあります。原則11時間というのを、もし仮にもう少し短くして10時間というお話の議論が出てくるかもしれません。それであっても、8時間は絶対に死守していただき、8時間から短くならないということもあるのですが、連続して2日間短い休息期間がつながらないようにするというような意識を持っていただくと、非常に効果が出てくるのではないかと思います。
○川田部会長 この論点については本日はこのくらいにしたいと思います。次回以降の議論の中で、もし可能であればそれぞれのお立場から具体的な基準として、このぐらいが適当ではないかということが提示できるようであれば、そういうことも踏まえながら進めていくことが理想的かと思います。いずれにしましても引き続き検討していきたいと思います。
 それでは、残り時間が少なくなってまいりましたが、次の論点に進みたいと思います。資料1の7ページです。運転時間と連続運転時間についてということで、ここの部分は事務局からお示しいただきました案ですと、運転時間に関しては、2日平均9時間、4週平均1週40時間など基本的に現在のものと同じ内容となっています。また、連続運転時間についても4時間とする点など基本的に現在の内容と同じとしつつ、一番下のところですが、国土交通省の「高速乗合バス交替運転者の配置基準」について、この改善基準告示の方の通達においても言及し、周知を図ることにしてはどうかという提案がございました。これらの点について、まずは労側の委員から御意見を伺いたいと思います。お願いします。
○池之谷委員 連続運転の関係については、当初から言っていましたとおり運転者の交替の基準から考えても、今の4時間というのは少し長過ぎるのではないかと考えています。人間が集中して運転できる時間がどこまでという医学的な見地はありませんけれども、この間の様々な事故などを振り返ったときに、交替運転者の配置基準というのを決めたわけですから、その中では一定的に長過ぎるので、おおむね2時間という指針が示されたというのが僕の認識としてあります。だから、その時間がおおむね集中できる時間というふうにとらまえていいのではないかと考えています。
 ただ、地域性がございますから、2時間といったときに果たして1往復できるのかどうなのかというところ、それもロケーションによりますから、そこは緩和措置として、どういうハードルの付け方があるのかというのは議論しなければいけないと思っています。例えば片道が何キロ以上ある所では何時間までですよとか、そういうのも一定程度ロケーションを考えてあげる必要はあろうかなと思っています。ただ、普通は平均9時間、4週平均で40時間というところで一定のハードルを作ることは必要だと思っています。
○鎌田委員 労使協定があるときはというところでは、多分、これもまた乗合バスを該当させようとするのであれば、貸切・高速バスという文言はなくてもいいのかなと思います。連続運転時間については、私もおおむね2時間というのは大前提なのかなと思っています。もちろん、これも会社側の立場に立てばそういうダイヤを組んでいることも重々知っています。実際、「これ、短くなるとダイヤが組めなくなるよね」と加盟しているところの社長さんからの話も耳には入っていますけれども、自分で運転していても4時間はかなりしんどいです。これがダイヤで週に何度かあったら絶対眠くなるよねというのもあるし、過労防止の観点ですから、当然、この論議の入口で長いものは短くしなければいけないよね、短いものはちょっと延ばした方がいいよねという前提に立てば、2時間はという思いがあります。確かに提案どおり国土交通省と厚生労働省の立場が違いますので、そこを全く基の考え方の基準が違うところで生まれたものですから、それを合致させろという強引な意見ではないのですが、実際に人の命を運んでいる運転手の命をまず守ろうと思ったら、4時間は普通に考えて長いと思います。なので、法律上、違うものなので赤字で書いてある事項を入れていただいて、なるべく2時間を守ってもらいたいと、誰が見てもそういう文面になるような検討をしていただきたいと思っています。
○川田部会長 それでは、使側の委員の御意見をお願いいたします。
○齋藤委員 運転時間につきましては何回も言うとおりで、あれもこれもと項目をはめていくのでなく、いわゆる簡素化も必要なのではないですかと思っています。したがって、運転時間管理というのは外しても支障がないのではないか。要するに何回も言いますけれども、バスの運転手の運転時間というのは、ほとんどが拘束時間から規定されてきてしまう。それを逸脱するような運転時間というのは有り得ないわけで、是非、これの廃止といいますか、廃止というと何でも自由だということになってしまうのでなく、改善基準の範囲内でしかこれはできないですから、これを廃止していただければなというのが1点です。
 それと裏腹ですが、仮に廃止をしないということであるならば、運転時間については現行どおりと今回の提案もそういう形になっていますけれども、1つの問題として、これを言うと先ほどの廃止論がぼやけてしまうのですが、4週に替えて1か月平均での運転時間管理、これは必要があるかなと。というのは、1か月と4週というのは要するにスパンが違うのです。年間13回と12回の違いがある。したがって、拘束時間と同様1か月というくくりは必要ではないか。ただ、繰り返しになりますけれども、この運転時間という概念はなくても守られるのではないかと思っています。
 連続運転の所は、一番最後のところに出てくる話になって私らが申し上げているのは、いわゆる運転離脱において駅のターミナルであるとか折返場であるとか、そういう所で一部運転離脱をし得ない場合、今であれば1回でもしてしまえば10分のカウントがゼロになる。オールオアナッシングになってしまう。そうでなくて、軽微な運転離脱そのものは、これを認めてもらう必要があるのかなと思っています。ページが違いますが、今日の一番最後に載っているのは表現が難しいからよく分からないですけれども、いろいろな解釈があって仮にそういう事態があった場合、例えば4時間経過後に更に10分足りなかったら10分休憩というか、改善基準上は運転離脱という言葉しか書いていないですが、それを増やしなさいというようにも読めるのです。仮にそのようににしますと、できる業態とできない業態があります。乗合バスの場合に、10分延ばすから誰かほかやってよということに中々ならないところが難しいです。軽微な運転離脱のために更に運行開始を10分遅らせて、本来であれば何時何分に来るバスが、すみません、10分遅れて来ましたということになるのかというと、なかなか難しいのではないか。したがって、この運転離脱そのものは改善基準そのものなのか、いわゆる実態として当局の監査においてその辺をどのように見るのか。そういうのも議論の対象にしていただきまして、ここの問題解消をしていただければと思っています。
○金井委員 これも毎回ですけれども、赤字のところで交替運転手の配置基準という理解をしていますので、この2時間を超えて、おおむね2時間までというのは、高速道路上において連続運転時間が2時間を超える場合、次のサービスエリア、パーキングエリアでは休憩を取りなさいよということと理解しています。そのように理解しているということで、再度ですけれどもお願いしたいと思います。
○川田部会長 もう1つ論点があるので、一通り御意見を述べていただいた中で、更に御発言等があればお願いいたします。小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 こちらも大変難しい問題だと思いますけれども、今回、過労防止の観点から見直しをしているにもかかわらず、連続運転時間4時間が1分も短くならない案を出していいのかというふうな思いがございます。あと、もう1点は、国土交通省の運行計画上おおむね2時間というのは確かに視点が違うというか、ベースが違うことも理解していますけれども、こちら、高速道よりも一般道における運行も考えて連続運転時間が果たして4時間でいいのか。そこをもう一度考え直さないと、いろいろと大変な状況があるのではないかと思います。
 それから、これはあくまでも私の疑問も含めてですけれども、運転時間というのは2日平均9時間とか4週平均1週40時間と書いてありますが、こちらの考え方で大切なのは、1日にどれだけ運転するかという考え方ではないのかなと思います。平均の議論に持っていってしまうと、1日当たりの連続運転時間が長くなってしまう状況を許してしまっては、そこでの疲労というのは、翌日、あるいは翌々日まで持ち越す可能性が十分に考えられるので、そういう視点でこの時間は考えなければならないのではないかと思います。
○川田部会長 よろしいでしょうか。この論点に御意見等が更になければ最後にもう1つ論点がありますので、そちらに進みたいと思います。最後のところですが、資料1の9ページ目です。特例、その他についてというところです。ここでは特例のうち分割休息特例、2人乗務の特例については、1日の拘束時間、1日の休息期間の見直しに応じて見直すこととしてはどうかという提案がありました。一方、隔日勤務の特例、それからフェリーの特例、そして休日労働については現状維持という内容となっています。さらに、その他ということで例外の扱いについて、予期しない事象による遅延であるとか軽微な移動について例外的な取扱いを認め、適用除外の業務、大規模災害等の場合の扱いですが、これについてもバスを対象に含めるという提案がなされています。これらについて、まず労側の委員から御意見を伺いたいと思います。お願いします。
○池之谷委員 特例の関係につきまして、分割休息特例については今ある文言をきちんと守るべきだと思っています。業務の性質上、勤務の終了後8時間以上の休息を与えることが困難な場合という文言がありますけれども、8時間与えられたとしても中4時間空けて勤務を作って拘束時間から控除する。それを守っているところと守っていないところがいろいろあるのです。関東などでは出勤から退社まで拘束時間で全てカウントしている所もありますけれども、4時間空いたときにその4時間を1日の拘束時間から控除してしまっている。そういう指導をしている地域もあるのです。それが全国ばらばらなものですから、そこに対しては、きちんと指導で出勤から退社までが全ての拘束時間ですよという話を持っていかなければいけないと思っていますし、この8時間というのは休息期間の時間が何時間に決まるかによって変わると考えています。
 あと、災害とか事故に伴う遅延については、業務上やむを得ないところですから、そこについては特例というのをきちんと入れていくべきだと思っています。ただ、軽微な移動ということになりますと、予見されない軽微な移動ということでは理解できます。ただ、例えばバスターミナルといった所は移動が伴うというのは予見されますから、そこで移動したことに対して移動しなかったことにしましょうというのは、この中に入れるのはそぐわないと考えています。
○鎌田委員 赤字の部分ですけれども、予期しない部分というのは、ここに書いてあるとおり当然予測不能な部分ですので、これはあってしかるべきだと思いますし、一番下の適用除外業務も当然のことだと思っています。私も引っ掛かるのは、軽微な移動という文言というか表現の仕方です。難しいのですが、例えば、今、話があった駅前など毎回そこの路線で毎回そこに行って、毎回軽微な移動が発生してしまうのは予見ができるので、これは軽微な移動には入らないという考え方です。たまたまそこに行って警察か何かに、ちょっとここ、移動してもらえますかというのは予見できません。これは軽微な移動に入ると思いますが、そういう注釈がないと、何でもいいのかということになるのではないか。その辺の扱い方は検討する必要があると私も思います。
○川田部会長 使側の委員の御意見を伺いたいと思います。齋藤委員、お願いします。
○齋藤委員 予期しないところと関係するかですが、これも何回か言っていますけれども、乗合バスの場合はいわゆるダイヤというのがあって、そのダイヤに基づいて各停留所の到着時刻、発車時刻を各停留所に記載して目的地に向かう。御存じかもしれませんが、これが乗合バス事業のパターンです。その場合に停留所に何時何分と書く必要があるのですが、その時間をどのように設定すればいいのだろうか。毎回言いますけれども、A地点からB地点まで通常であれば5分で行けるところを、慢性的にある時は30分掛かる、ある時は2分で着くというケースがあって、この場合の所要時分というのをどのように設定すればいいのだろうかということです。一番悪いところに合わせればいいのではないかという言い方もあります。そうした場合にどういうことが起こるか。前の道路が空いているのに各停留所で何分もの間、バスが時間調整で待たなければならない。そういうことも起こり得るわけです。したがって各バス会社は、いろいろなバス会社の考え方がありますけれども、基本的には真ん中辺りをとって停留所の時間を記載していると、そのように認識をしています。これが、ある時に遅れた場合にどうなるのか。遅れたから遅れた分は運休にできるかというところです。改善基準違反だという言い方をすると、これ以上は走れませんということになってしまうわけで、その辺を現実的に加味したルールである必要がある。これは、何回も言いますとおり改善基準の告示そのものは、いわゆる一定の大枠みたいなことですので、その辺について現実的にどういう対処をするのかというのは、是非、当局としても実運用に支障がないようなものを作っていただきたいと思っています。
 軽微な移動につきましては先ほど申し上げたとおりですが、この文章、中身もそうですけれども、例えば駅前ロータリーとか折返場の問題という表現が入っていなくて、どちらかというと貸切バス向けの書き方になっているかなと。それから、表現そのものもなかなか難しい表現ですのでよく分からないのですが、仮にどこかで駄目だったら、あとでちゃんと取れるようにしないよということになりますと、乗合バスとしてはなかなか難しい問題になってきますよと。
 あと、例えば折り待ちが駅であったとして、ちょっと軽微な移動があるから10分に分けて運転離脱できるけど、10分で足りないから15分にしておこう。その15分の間で1回切られてしまうと、この15分も結局のところなかったことになるのです。こういうことで現実的な対応としてよろしいのでしょうか。よろしくはない。これでは実際に車は動ききれないと思いますので、この辺の議論も今後していきたいと考えています。
○金井委員 前回も私が具体的に申し上げたとおり15分の休み、折り待ちがあったときに7分たった時点で、これは予見できるかできないかでなく、予見できない内容でちょっと動かさざるを得なくなり、その後8分あるけれどもというと7分と8分でどちらも10分未満のため離脱はなかったと、それではちょっと困るのです。実情に合った形でとお願いしたのですが、今、ここに記載されているのはイメージが違う内容になっているので路線バスで実際に活用可能な内容というか、そういうのをお願いしたいと思っています。
 あと、最後の適用除外のところについては、以前に申しました公共交通不在時の代行輸送なども考えられるのかなと思っています。ただ、ここに書いてあるから事業者は必ず対応しなさいよではなく、事情もありますから、書いてあるからやるんだよではないということ。できる努力はもちろんするのですが、そういう実情もあるということを御理解いただきたいと思います。以上です。
○齋藤委員 金井委員から話がありましたように、適用除外業務でバスもということで、それはどうもありがとうございますということですけれども、結構難しいのは、この改善基準は全く無視していいのかというところなのです。実際問題、いろいろなことがあって深夜にそういうバスを出してくださいという要請を仮に受けたとして、その分、早朝便もあるわけですが、それは出し得ないとかいろいろなケースが考えられますから、一定の事業者としてできる範疇はやる必要があるかと思いますが、それを逸脱し続けると問題であるかなと感じています。
○川田部会長 何か追加の御発言等はございますか。小田切委員、お願いします。
○小田切委員 軽微な移動の点はいろいろと議論がありそうなので、もう少し文章の案というのでしょうか、そういうのを使側からも具体的に御提案いただくといいのかなと思って拝聴していました。まだまだ諸外国のことも勉強しないといけないように私は思うのですが、今回の予期しない事象による遅延という内容が入りますし、こちらの席に着いていらっしゃるような優良な企業、事業者の場合ではあり得ないと思いますが、こういったことを理由に労働者がかなり過酷な働きをせざるを得ない状況が、いつまで続くことを許すのかという状況になってしまうことが一番懸念されると思います。今の文面ですと、1日の拘束時間、連続運転時間、運転時間を延長させることができると書いてしまっていて、これはいつまで適用していいのかちょっと分からない部分がありますので、例えば車両の故障も何日続くか分からないとか、本当に東日本大震災のような大きなことが起きますとそれも長期に及びます。それを理由にドライバーの方の過労が蓄積するような働き方を、これを理由にされてしまってはいけないと思いますので、上限を望ましい形で「何日を超えないことが望ましい」といった、なお書き等を入れていくことも必要ではないかという印象を持っています。
○池之谷委員 軽微な移動という所が少し論点になってきているのかなと思いますが、例えばバスの駅前ロータリーといった軽微な移動が予見されている場所で、運行計画としてここで既に中断を取れるようなダイヤを組みましょうということ自体が、ちょっとこの特例からいって論点がずれていると思っています。あらかじめそういう移動が予想されている所では、中断休憩を運行計画に入れるべきではないという考え方も持っています。ただ、あくまでも予見できない場合、例えば緊急車両が来て、どうしても動かしてくださいというのは予見できない話ですから、これは除外をするべきだと思っています。ただ、最初から分かっているところを運行計画に入れて、そこで中断を取っていきましょうというのは、前も言いましたけれども少しこの中ではそぐわないと考えています。
○川田部会長 では、この辺りで本日の御議論はよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、本日の御議論はここまでとさせていただきたいと思います。次回の作業部会では本日頂いた御意見を踏まえて、さらに見直しに関する御議論を深めていきたいと思います。最後に、次回の日程等について事務局から御説明をお願いいたします。
○中央労働基準監察監督官 次回の専門委員会や業態別の作業部会の日程につきましては、日時、場所について調整の上、追って御連絡させていただきます。議事録につきましても後日、御確認いただきますのでよろしくお願いいたします。
○川田部会長 それでは、これをもちまして、第3回自動車運転者労働時間等専門委員会バス作業部会を終了いたします。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。