第148回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和3年12月9日(木)10:00~10:49

場所

全国都市会館

議題

  1. 令和4年度診療報酬改定の基本方針について

議事

議事内容

○榊原課長 定刻になりましたので、ただいまより第148回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、ありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。
会議中、御発言の方は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
委員の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
平井伸治委員が退任され、新たに、全国知事会社会保障常任委員会委員長、福島県知事の内堀雅雄委員が就任されています。後ほど御挨拶を賜れればと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、菊池部会長代理、羽田委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、内堀委員、袖井委員より途中退席の御連絡をいただいております。
松原委員より、交通事情により若干遅れるという連絡も頂戴しております。
本日、記者の方には別室にて会議の模様を傍聴いただきます。
それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、先ほど事務局から御紹介のとおり、新たに内堀雅雄委員が就任されておりますので、内堀委員から一言御挨拶を賜れればと思います。では、よろしくお願いいたします。
○内堀委員 田辺部会長、御紹介をいただきまして、ありがとうございます。
今年9月、全国知事会の社会保障常任委員会委員長を拝命した福島県知事の内堀雅雄です。平井鳥取県知事の代わりに本部会に参加をさせていただきます。皆さん、どうぞよろしくお願いします。
○田辺部会長 こちらこそよろしくお願いいたします。
御挨拶、どうもありがとうございました。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ります。
本日は、「令和4年度診療報酬改定の基本方針について」を議題といたします。
初めに、令和4年度診療報酬改定の基本方針について、事務局のほうから資料の御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料1及び資料2に基づいて御説明さしあげます。
診療報酬改定の基本方針につきましては、これまで医療保険部会、医療部会で並行して御議論いただいてまいりました。去る11月29日の医療部会、12月1日の医療保険部会におきまして基本方針の骨子案をお示しして、御議論いただきました。
本日はそれを踏まえまして、基本方針の案をお示しさせていただいてございます。資料2に沿って、骨子案から修正された点を中心に御説明さしあげます。
「1.改定に当たっての基本認識」でございますが、1つ目の基本認識「新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築など医療を取り巻く課題への対応」でございます。
1つ目の○の下から2行目でございますが、前回の医療保険部会での御指摘を踏まえまして、「医療機能の分化・強化、連携等」のところに「外来・入院・在宅にわたる」という修飾をつけてございます。これは趣旨の明確化でございます。
2つ目の基本認識、1ページの真ん中より少し下でございますが、「健康寿命の延伸、人生 100 年時代に向けた『全世代型社会保障』の実現」でございます。
1つ目の○の最後の辺りでございますが、「既に減少に転じている現役世代(生産年齢人口)は、2025年以降、更に減少が加速していく」としてございます。これは骨子案の文章は若干ミスリーディングになりかねない表現でしたので、事実関係に沿って表現を整理したものでございます。
2ページにお進みいただきまして、3つ目の基本認識「患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」でございます。
3つ目の○につきまして、先日の医療保険部会での委員の御指摘を踏まえて、記述を厚くしてございます。「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機に、我が国のデジタル化の遅れが顕在化した。社会全体として、ICTの進歩やデジタル基盤の整備が進み、クラウドベースで、安全かつ高速に情報を共有・連携することが可能な時代になってきており、個別にシステムを整備するよりも低いコストで運用可能となってきているという指摘もある。こうした背景を踏まえて、医療分野におけるICTの利活用をより一層進め、電子カルテ情報の標準化など、デジタル化された医療情報の活用や医療機関間における連携のための取組の推進等により、質の高い医療サービスを実現していく必要がある」としてございます。
その次、4つ目の○でございますが、これも先日の医療保険部会の御指摘を踏まえまして、医薬品についてのみ記述していた項でございましたが「医療機器等」を加えてございます。「医薬品・医療機器等の存在意義や創薬力の重要性が社会的に改めて注目されてきており、イノベーションの推進により創薬力・開発力を維持・強化するとともに、革新的医薬品を含めたあらゆる医薬品・医療機器等を国民に安定的に供給し続けることを通じて」といった形で修正してございます。
4つ目の基本認識、「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」のところは、特に修正は加えてございません。
3ページにお進みいただきまして、上から4行目、5行目でございます。医療保険部会、医療部会におきまして、成長と分配の好循環についても言及すべきであるという御指摘を頂戴いたしましたので、「社会保障の機能強化と持続可能性の確保を通じて、安心な暮らしを実現し、成長と分配の好循環の創出に貢献するという視点も重要である」としてございます。これは、今申し上げた4つの基本認識のどこかに属するというよりも、少し離れた大きな視点でございますので、1行空けてこうした文章を記載してございます。
「2.改定の基本的視点と具体的方向性」ということで、1つ目の基本的視点として「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」、重点課題でございます。
3ページの一番下の○でございますが、ここは新型コロナウイルス感染症患者への対応について様々な医療機関に御活躍いただいたことを記述しているところでございますが、先日の医療部会におきまして、宿泊療養についても記述すべきだという御指摘を頂戴いたしました。下から4行目に「自宅・宿泊療養患者への医療を提供する医療機関」という言葉を補ってございます。
下から2行目、「各々の医療機関等がその機能に応じ」と、医療機関の後に「等」という言葉をつけてございますが、これは実際に地域医療を守るために様々な役割を果たしていただいたもの、医療機関だけでなく薬局なども含め様々な機関ございますので、そうした御指摘を踏まえて「等」という言葉を入れてございます。
4ページにお進めいただきまして、真ん中辺りの3つ目の○でございます。地域包括ケアシステムについて記述しているところでございますが、前回の医療部会におきまして、急変時の対応も地域包括ケアにおける重要な要素であるという御指摘を頂戴いたしました。この○の上から4行目のところに、「急変時の受入体制の確保を含め医療機関間・医療介護間等の連携の取組を推進することが重要である」としてございます。
その次の○ですが、3行目に「今回の診療報酬改定においても」ということで、「今回の」という言葉を補ってございます。これは、その前のところで「感染拡大時の短期的な医療需要には、各都道府県の『医療計画』に基づき機動的に対応することを前提に」という言葉を補いましたので、こうした医療計画の見直しが行われる前の今回の改定においてもという、自明のことではございますが、そうしたことを明確にする意味で言葉を加えさせていただいてございます。
4ページの下から「具体的方向性の例」ということで、1つ目の○の1つ目のポツ「新型コロナウイルス感染症患者の診療について実態に応じた評価を行いつつ」というところにつきまして、前回、医療保険部会、医療部会において、これまでの特例的対応の検証に基づいて実態に応じた評価を行うといった趣旨を記述すべきであるという御指摘を頂戴いたしました。
この点につきましては、現在中医協におきましても、コロナ特例の算定状況等のデータを事務局からお示ししつつ議論が行われておりまして、まさに「実態に応じた評価を行う」という文言に尽きているものと考えて、原案のままとしてございます。
5ページにお進みいただきまして、最初の2行のところでございますが、「急性期病棟等について、平時からの体制・機能強化を推進」としていたところにつきまして、前回の医療保険部会、医療部会での御指摘を踏まえまして、「感染拡大時における対応も見据えつつ」という言葉を補ってございます。
5ページの真ん中辺り、かかりつけ医機能の評価のところでございます。
1つ目のポツでございますが、これも前回の医療保険部会、医療部会での御指摘を踏まえまして、「個別の疾患だけでなく、患者の療養環境や希望にも配慮した診療が行われるよう」という言葉を補った上で「かかりつけ医機能を評価」としてございます。
このページの下から3つ目のポツでございます。
1つは、「患者に対する薬物療法の有効性・安全性を確保するため、服薬状況等の一元的・継続的な把握」としてございます。前回お示ししたもので「服薬情報」としてございましたが、前回の医療部会において服薬情報だけでなく服薬状況も把握するという趣旨が明確になるべきだという御指摘でした。「服薬状況等」としてございます。
今の2~3行後でございますが、薬局の業務のところ、「その際」というところで、薬剤調整などの対物、対人という言葉が出てきますが、これは前回の医療部会におきまして、対物業務、対人業務というのは明確に切り分けることが困難であるという御指摘を頂戴いたしましたので、「薬剤調整などの対物中心の業務を適切かつ効率的に実施することを前提に、薬学的管理などの対人中心の業務への転換を推進するための所要の重点化と適正化を行う」としてございます。
このページの下から6行目のところで、「医師会等」ということで「等」を補ってございますが、これも先ほど申し上げたものと同じように、薬局など関係機関も読み得るようにということで「等」ということにしてございます。
6ページにお進みいただきまして、2つ目の基本的視点、「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」、こちらも重点課題でございます。
下の「具体的方向性の例」というところでございますが、ここにつきましては具体的方向性の例の○レベルでのくくり方が他の課題と比べまして非常に大きかったということがございましたので、今までポツとしてお示しをしていたものを○に整理するような組替えを行ってございます。
1つ目の○で、「医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践に資する取組の推進」。
2つ目の○で、「各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進」。
3つ目の○で6ページから7ページにかけまして、「業務の効率化に資するICTの利活用の推進、その他長時間労働などの厳しい勤務環境の改善に向けての取組の評価」としてございます。
7ページの上から2つ目のポツは、今まで「人員配置の合理化」という言葉にしてございましたが、誤解を招きかねない表現であるという御指摘を頂戴いたしましたので、「業務の効率化・合理化を推進」としてございます。
このページの上から2つ目の○のところで、「令和3年11月に閣議決定された経済対策を踏まえ、看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応について検討」というくだりにつきまして、必要かつ実効性のある対応について検討し、その効果を検証するといった趣旨を書き込むべきだという御指摘を頂戴いたしました。
これにつきましても、閣議決定された経済対策を踏まえ、必要な対応について検討するという文言にしておりますので、原案のままとしてございます。
3つ目の基本的視点、「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」でございます。
下から5行目でございますが、オンライン診療につきまして、これは医療保険部会、医療部会ともにでございますが、11月19日に閣議決定された経済対策において、オンライン診療、服薬指導の適切な普及促進を図るといったことが盛り込まれているので、そうした趣旨を書き込むべきであるという御意見と、一方で、前回の医療部会でありますが、そうしたものについては、これから医療へのアクセスが徐々に悪くなってくる中で、患者の医療ニーズに適切に応えるための普及促進である。そうした趣旨であるべきだという御指摘もございました。そうした御議論を踏まえまして、このオンライン診療のところにつきましては、「患者ニーズを踏まえた適切な普及・促進を図る中で」という言葉を補ってございます。
続くポツにおいて、「オンライン服薬指導についても同様に」ということで言葉を補ってございます。
7ページの下から8ページにかけましては、基本認識のところで記述を厚くしたことに呼応する形で、こちらにつきましても「医療情報の標準化、ICTの活用等を通じて、医療連携の取組を進めるとともに、医療の質を向上させるため、データを収集・利活用したエビデンスに基づく評価を推進」としてございます。
8ページの下から2つ目の○は、先ほど申し上げた、服薬状況等、あるいは対物中心の業務、対人中心の業務の再掲でございますので、同じ修正が加わってございます。
8ページの下のほうから4つ目の基本的視点、「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」でございます。
10ページまでお進みいただきまして、1つ目の○のところで、こちらも対物中心の業務、対人中心の業務の再掲でございますので、同じ修正をしてございます。
10ページの真ん中辺りから、「3.将来を見据えた課題」でございます。
1つ目の丸の後段部分、「その際」以下のところに、前回の医療保険部会での御指摘を踏まえた記述を追記してございます。「『保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防・ 健康づくりに関するモデル事業』も実施されているところであり、今後、その結果や、かかりつけ医機能を含む外来機能の明確化・連携等を更に進めていく方策の検討等も踏まえつつ、地域資源の実情を踏まえた取組を推進すべきである」。
2つ目の○でございますが、前回の医療部会におきまして、補助金等の予算措置ということにつきまして、国の補助金だけではなくて自治体の補助金もある。そうしたことが分かるように明確にすべきであるという御指摘を頂戴いたしました。「国や地方自治体の補助金等の」ということで、言葉を加えてございます。
最後の○でございますが、国民に対して医療制度に関する丁寧な説明を行っていくことが求められるとしてございました。この基本方針の文書自体は医療保険部会、医療部会のクレジットでおまとめいただくということで、ある意味、政府に注文をつけるような文言になっていたわけですが、前回の医療部会におきまして、そうした趣旨が明確になるようにすべきであるといった趣旨の御意見を頂戴いたしました。「政府において、診療報酬制度を分かりやすくするための取組を継続していくこと、また、国民に対して医療制度に関する丁寧な説明を行っていくことが必要である」としてございます。
それから、資料1、横置きの基本方針(案)の概要でございます。
こちらにつきましては基本認識の部分について、4つの基本認識の下に、先ほど申し上げました「社会保障の機能強化と持続可能性の確保を通じて、安心な暮らしを実現し、成長と分配の好循環の創出に貢献するという視点も重要」としてございます。
2つ目の基本的視点、左下の(2)でございますが、先ほど申し上げました「具体的方向性の例」というところで○レベルの項目の組替えを行いましたので、○の1つ目から3つ目のところが先ほど申し上げたように修正されているところでございます。
それ以外、この概要にいろいろなことを記載すべきだという御指摘を前回の医療保険部会、医療部会で頂戴いたしましたが、基本的にこの概要におきましては、基本的視点のタイトル、それから具体的方向性の例を本文の○レベルで記載するという考え方で整理をしてございます。
駆け足でございますが、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
まず、内堀委員、よろしくお願いいたします。
○内堀委員 田辺部会長、ありがとうございます。
今回の基本方針(案)については、これまでの議論を踏まえた内容となっており、賛同をいたします。
改定の基本的視点の一つとして、新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療供給体制の構築を重要課題として位置づけていただきました。現在、オミクロン株が国内でも確認されるなど、予断を許さない状況が続いています。診療報酬を含めた適切な対応が重要となりますので、引き続き特段の御配慮をお願いします。
私からは以上です。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ちょっと早めに出なければならないので、先に発言させていただきます。
この基本方針は大変よく目配りされていて、私もこれでいいと思います。とりわけ在宅のコロナ患者とか療養施設のコロナ患者を扱う医療機関などについて言及していただいて、非常によかったと思います。従来は大きな病院を対象にしているようなイメージだったのですが、在宅患者についても言及していただいて、大変ありがたいことだと思います。
できれば今回の看護師の賃金アップにつきまして、そういう在宅のコロナ患者を扱った医療機関の看護師なども、ぜひ考えていただきたいと思います。というのは、本来であれば病院に入るべき患者であったのに、やむを得ず在宅に置かれて、医療機関としても、御本人、その家族も苦労なさったので、その辺の配慮をお願いします。
それから、一番最後、国民に説明するのが政府の責務であるというのを明確にしたのは大変よかったと思います。例えば介護保険につきましては、自治体がかなり分かりやすい詳細な冊子を作ったり、説明会をしたりしているのですが、医療、そして年金もそうですが、社会保障の根幹をなすような基本的な制度の説明がほとんどなされていないということです。私もこの部会に入らなければ、後期高齢者にこんなに医療費が使われているということ、ほかの医療保険から援助を受けているということをあまり知らなかったので、このあたりをぜひ国民、特にその対象となる後期高齢者の方々に分かりやすく説明する方策、どういう形でやるのかははっきりしませんが、例えば老人クラブとか地域での会合とか、そういうものを通じてぜひ分かりやすく医療制度を説明するということをぜひお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
まず、基本方針の取りまとめに向けた事務局の御尽力に感謝を申し上げます。
その上で2点、コメントさせていただきます。
まず1点目でございますが、言うまでもなく人々が健康に暮らすための医療があり、命と医療の両方を守ることが求められております。それを支えてきた我が国が誇る医療保険制度でございますが、今、自助・共助・公助のバランスを見直す必要に迫られているのではないかと考えます。
コロナによる危機的状況を経験し、人々の間で健康に対する関心が急速に高まっているのではないかと考えます。診療報酬改定に当たっても、セルフメディケーションを一つの大きな軸に据えるという考えを踏まえた改定とすることが適切ではないかと考えます。
2点目でございます。資料2の9ページに「後発医薬品の使用促進について、安定供給の確保の状況等を踏まえつつ」と記載されておりますが、現在、後発品は主にカントリーリスクですね、海外産原料の調達の困難や薬価の一方的な引下げにより、既に安定供給が困難な状況に陥っている状況でございます。「確保の状況等を踏まえつつ」ではなく、「確保が困難な状況等の改善を図りつつ」とするなど、対策への目配りを組み込んだ目標設定としていただくように、ぜひお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
前回、私のほうから申し上げた修正意見についてもおおむね反映いただきました。感謝申し上げたいと思います。そういう意味で、本日の基本方針(案)については異論ございませんけれども、2点コメントさせていただきたいと思います。
まず1点目は、7ページの上から2つ目の○の「看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応」については、先ほども御説明がありました政府が出した経済対策との関連で文言の修正は難しいということであれば、やむを得ないのかなと思いますけれども、前回指摘させていただいたように、実効性ある対応が求められると考えておりますので、しっかりと事後の効果検証の仕組みを構築いただいて、それを実行いただくようお願いをしたいと思います。
最後に総括的なコメントさせていただきます。
今回の改定については、我々としては新興感染症にも強い、効率的・効果的な医療体制を構築するために、配分の見直しに主眼を置いためり張りのある改定とする必要性を強く感じております。今後、具体的な配分の議論は、当然ながら政府が決定する改定率や基本方針を踏まえて、中医協において議論されると承知をしておりますけれども、やはり入院、外来などにおいて、コロナ禍の教訓を踏まえて評価のめり張りをつけるなど、国民、患者の納得を得られるような議論を行っていただくように強くお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
今ほど佐野委員がお話しになりました件、同じ件なのですが、看護職員などの収入の引上げについてであります。看護、それから関連して介護、保育、それぞれ現場から非常に強いお声をいただいておるものでございまして、かつ、人材を地方においても確保していくという観点から、市長としては心から歓迎するものでございます。働く方々御自身の手に確実に届くような仕組みとしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
その上で、この方向で実現するための手法、制度設計あるいは予算について、ここからは国保保険者として発言をしたいと思います。
今年度補正予算案で収入引上げの予算が一部盛り込まれておるということでございますが、これは来年の2月から9月までの分とされておって、10月以降については、来年度、つまり令和4年度の予算編成過程において検討するとされておるわけでございますが、今回、この記述を踏まえて、10月以降の分の収入引上げが仮に診療報酬により実施されるということになりますと、今度は保険者に戻ってきまして、保険者の財政への影響、私どもの立場で言えば国保財政への影響が少なからずあるということが想定されます。
国におかれましては、国保財政への影響について、その負担に対する必要な措置について併せて御検討を願うとともに、まずはこの全体スキームについて早期にお示しいただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、本多委員、よろしくお願いいたします。
○本多委員 本多でございます。御説明、ありがとうございました。
私のほうからも、基本方針について一言申し上げさせていただきたいと思います。
まず、本文についてなのですけれども、これまで述べてきております私どもの意見を非常に丁寧に織り込んでいただいておりまして、その点、本当にどうもありがとうございます。評価したいと思っています。
一方で、前回の部会の場でも、医薬品のイノベーション推進、あるいはオンライン診療の普及促進という文言を、概要の中にも明示的に記載いただきたいというお願いをさせていただいたのですけれども、それが反映されなかったということは少し残念かなということも一方で考えております。ただ、文言こそ反映されておりませんけれども、この本文を踏まえて、現在の概要の中の整理でも内容は読み込めるということで、改めてこの場で修正を求めることはいたしませんが、いずれもその重要性は、この概要に記載されているほかの項目と遜色ないものと考えておりますので、ぜひ、今回の改定の中では対応について前向きに検討いただくように改めてお願いを申し上げる次第でございます。
また、今回の改定は、コロナ禍の中という異例の事態ではありますけれども、一方で今回の改定を、コロナ禍の中で明らかとなった提供体制上の課題に着実に対応する契機と考えることもできます。例えば今回の対応の中で遅れが指摘されました医療機能の分化、連携、あるいはその集約化を進展させるため、診療報酬上でも対応していくことが重要ではないかと考えております。
同時に、高齢化の進行など人口構造の変化は、コロナの影響の如何を問わず、否応なく進展してまいります。9月に出席したときに申し上げたのですけれども、例えば急性期の入院につきまして、将来の医療需給の変化に見合った提供体制を目指したこれまでの改定を継続していくということなど、人口構造上の変化を見据えた対応も重要であると考えております。こうした点も踏まえて、中医協における議論をさらに進展させていただきたいと考えております。
どうもありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
まずは、基本方針の取りまとめ、ありがとうございました。この基本方針に異論はありません。この方向でよいのではないかと思います。
その上で、今回、まず重要なことは、新型コロナウイルス感染症に対応しつつ、感染拡大時にも対応できる医療提供体制を構築し、それを維持するということだと思っております。
薬局薬剤師として、新型コロナワクチン治療薬の開発が今進んでいますけれども、感染症がどんなに蔓延しても徹底した感染防止対策に努めて、ワクチン治療薬を含め地域住民に必要な医薬品の提供、ワクチン接種への協力、自宅・宿泊療養患者への必要な医薬品の提供に引き続き努めていく必要があります。
薬剤師・薬局が地域包括ケアシステムの中でかかりつけ機能を強化して、全ての医薬品の使用状況を一元的・継続的に把握し、かかりつけ医、かかりつけ歯科医を初めとした多職種と連携しながら、地域住民、患者へ安全・安心な医薬品の提供、セルフケア、セルフメディケーションの推進に、より積極的に取り組んでいくことも不可欠です。
先ほど本多委員のほうからイノベーションの強化というお話がありましたけれども、医療は医薬品の安定供給が前提で成り立ちます。いまだ後発医薬品の安定供給に大きな支障を来していますが、医薬品の安定供給のためには生産体制だけはではなく、卸を含めた流通体制、そしてサプライチェーン全体の機能を強化することが不可欠で、そのためには、それを支える支援が必要だと考えております。ぜひこれらの点を含めてお願いしたいと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
今回の取りまとめ、ありがとうございます。提出されました基本方針(案)につきましては賛同いたします。この方向で進めていただきたいと思います。
その上で、前回も申しましたが、今回の一連の感染症対策を通じまして、平時からの地域における顔の見える職種連携のより一層の強化が重要であることが再認識されました。国民の健康、生命、生活を守る立場の医療提供者として、その責務を果たすための必要な評価は、引き続きよろしく御検討をお願いいたしたく思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
このたびの意見の取りまとめ、ありがとうございました。内容的には賛同いたします。
その上で、1点だけ意見を述べさせていただきます。
看護の現場で働く方々の収入の引上げについてです。先ほど前葉委員からも御指摘がありましたが、来年の10月から診療報酬で手当をするのであれば、保険者、そして患者の負担となります。そのため、厚労省におきましては、できるだけ早くそのスキームについてお示しいただくとともに、特に患者への広報をしっかりと行っていただきますよう、お願いいたします。
また、この看護の現場で働く方々に確実に報酬が行き渡っていることを検証できる仕組みも構築していただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
私のほうからも、まず、今回のまとめ案に関しては丁寧に修正を加えていただきまして、全体的には賛同させていただきます。
その上で、2点コメントさせていただきたいと思います。
まず、概要で、基本認識のところで「社会保障の機能強化と持続可能性の確保を通じて、安心な暮らしを実現し、成長と分配の好循環の創出に貢献するという視点も重要」ということがあります。今ほど何人かの委員の先生からもありましたように、看護職、看護補助者もそうですし、医療提供者側というのも一つの事業であり、そこに働く方は国民なわけです。その方々も安心な暮らしが実現できなければ、到底支える側を続けることができないという視点もぜひお考えいただきたいと思っています。
その意味で、特に今、疲弊していると言われている看護職あるいは看護補助者等々の職種に関しての賃上げ等に関しては、しっかりとした対応をお願いしたいと思っています。
とにかく、支える側、支えられる側ということだけではなくて、医療機関あるいは医療機関で働く方々も実は国民なのだという、そこの安心な暮らしに対しての成長と分配も必要なのだということをぜひ御理解いただければと思っています。
そして、特に医療機関に関しては、今回のコロナを通して分かったことは、基本的に事業としての脆弱性が、この余裕がないところで有事に対応できなかったことがあります。ぜひその辺をおくみ取りいただいて、今後の診療報酬改定等にも生かしていただければと思っています。
2点目ですが、先ほど袖井委員もおっしゃったように、国民への丁寧な説明ということを文言として入れていただくことは非常にありがたいと思います。しかも、それが必要だということを言い切っていただいたことはありがたいと思います。
その点について、重点課題(1)にあります外来機能の機能分化というところで、この医療保険部会で指針をまとめることになりました大病院の定額負担に関して、これは選定療養制度を使った非常に分かりにくい仕組みです。患者さんがなぜこれを負担しなければいけないかということが非常に分かりにくい。これを医療機関側に説明を求めるのは非常に難しいということで、1点に絞っての話で申し訳ありませんが、この辺も含めて、全体できちんと国民が分かるように説明をお願いしたいということを付け加えて、私のコメントとさせていただきます。
以上、ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。意見を述べさせていただきます。
今回は、コロナ禍の中で事務局並びに委員の皆さんは大変だったと思いますし、特に事務局においては多岐にわたる意見をうまく調整、まとめ、修正もしていただいて、感謝したいと思っています。
では、3点、意見を申し上げます。
1点目は、ほかの委員も触れられましたけれども、政府広報の重要性と改善の必要性です。よく論語の言葉で「民信無くば立たず」という有名な言葉があって、元総理も引用されたりしていますが、政治あるいは行政を考えていくときに極めて重要な教えだと思っています。そのためにも、制度について、あるいは負担が発生することもありますので、それぞれの世代における負担や給付についても、より分かりやすい説明が必須だと思っています。今回は、このまとめの最後のところでも「政府において」と明記いただいて、その気概も伝わりますし、大変よかったと評価をさせていただいております。期待を込めて、よりよい実現をお願いしたいと思っています。
2点目は、デジタルと地域医療の確保のことです。必ずしも診療報酬に直につながることではないのかもしれないですが、地域医療を扱う者として将来を見ていますと、今後さらに加速していくデジタルトランスフォーメーションがあります。これがあるわけですので、今後の医療を取り巻く行政においても、将来への技術革新、また、それによる利便性などの改善や改革がより有効に生きるように、厚生労働省におかれてもぜひ頑張っていただきたいと期待をしております。
また、ほかの委員もおっしゃったのですが、その中でオンラインを活用した対応に関する議論が出てきました。コロナ禍の中でオンライン医療や看護の重要性や利便性を感じる人も増えてきていますので、このオンラインの促進などは、例えば休日や医療へのアクセスができない地域、あるいはその方にとってはとても大切な医療へのアクセスになるわけですし、地域での医療資源の少ない地方や地域の住民の皆さんにとっては、医療に関する安心にもつながる可能性もあると考えられます。今後さらに深い議論が必要だと思いますので、ぜひ今後も検討していただきたいと思っています。
さらに言えば、地域医療の確保のためには、様々に努力している地域もありますし、自治体もありますし、公的な病院等、もちろん民間病院もございます。こういった医療機関などへの配慮は引き続き重要だと思いますので、医療行政においてよりよい改善が図られるよう、今後も期待したいと思っています。
最後、3点目はちょっと大きな話ですけれども、SDGs的な発想の重要性ということです。今回の改定議論も、これまでの議論もそうですけれども、未来に向けて、これまで光が必ずしも当たらなかったところに力を注ぐ議論、また、調査、検討等もしていただいている訳でして、こういったスタンスで終始議論されてきたと思っています。
国連によりますSDGsは世界に発信中ですけれども、考えれば今後10年間のテーマとして決められており、「誰一人取り残すことのない」という理念を掲げて取り組んで、世界中で取り組まれていますので、この普遍的かつ、非常に個々の課題解決の動機になるようなテーマです。ぜひ、こういったスタンスに立ちながら、今後の医療行政等についても、誰一人取り残すことなく安心を届けていける、地域医療を確保していける、そして国民が生まれてから天寿全うまで、医療的な安心の下に暮らすことができる、そういったことが達成できるよう、多くの方々の御尽力を心から期待したいと思います。
今回、御尽力いただいた皆様に御礼を申します。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 日本医師会副会長の松原でございます。
今回、コロナに大変席巻されてしまったわけですけれども、感染症がここまで広がって、世界中の経済にまで影響が及ぼされるということを、恐らく世界中の方々、だれも思っていらっしゃらなかったのだと思います。唯一可能性があるとすれば鳥インフルエンザだろうと。ただ、インフルエンザは薬もあるし、診断もできるし、これについて対応ができると思っていたわけです。このように正体も十分分からなかったウイルスで、しかも防御する方法も十分でなく、治療法もなく、検査法もないということで、大変な思いをして闘っているわけであります。
そこのところで考えてみますと、こういった感染症に対しての防御策があまりにも準備できていなかった。例えば今回、オミクロンが始まり、海外にいらっしゃる日本国民が戻ってこられるときに、その方たちを一時的に対応するような施設すら十分にないということであります。本来であれば成田か関空に専門のホテルを十分つくって、ふだんはホテルとして使い、何か大きな問題が起きたときには感染症に対応できるような構造のホテルを持っておくべきだったと今、思っているところであります。
そのような中で、日本にはECMOがかなりありましたので、最終手段として多くの命を助けることができたわけですけれども、これには大変な人員が要るということで、日常の医療に対してもしわ寄せが来ているというのも事実であります。
ただ、世界にはECMOどころか酸素すら足りなくて、病院の周りで亡くなっているというような現状があった国がかなりございます。そういったことから考えましても、我が国も余裕を持ってこの医療制度を運営していかないと、ぎちぎちのところでやりますと、イタリアのように病院の前で皆さんが亡くなっているというような第1波のときの現象が起こるわけであります。日本ではまだ少し余裕があったのはよかったことかなと思っています。いろいろなことを考える上で、経済第一ではなくて、国民第一で考えないとならないなと思っているところであります。
今回のコロナの教訓で、マスクの問題がありました。マスクは大した金額ではないので、この程度のものと思っていたわけですけれども、ほとんどを外国で作っていると、輸出を止められれば大変なことになるということの教訓であったと思います。同じように薬もそうであります。また、今回ワクチンで苦しんだのは、ワクチンを開発する機構を適切につくっておかなかったせいだと思います。そういったことも厚生労働省さんには十分検討していただいて、二度とこういうことのないように、国内でつくって、国内で対応するということが基礎的なものには絶対に必要なのだと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
私ども医師、看護師、薬剤師、そしてその他の医療職、さらに医療というのはやりっ放しではいけませんので、掃除をしたり、あるいは管理したり、いろいろな職種が力を合わせて、チームで仕事をしております。医療職の義務感と根性で一生懸命頑張っているわけでありますので、ぜひ、そういったチームに対する対応をしていただきたいと思います。
特に看護補助者の方々の費用が介護に比べてかなり低いので、介護のほうに流れて、病院のほうに看護補助者の方々が就職されないという現状がございます。10万とは言いませんけれども、それに近い金額の給与の差が出ているようであります。そういったことも含めて考えていかなければならないと思っているところでございます。
今回、基本方針をおまとめいただき、ありがとうございます。これを基にして中医協で議論すると思いますが、中医協においては現場の声をきちんと聞いていただきたい。保険者さんの財政的な支払いの問題もありますけれども、現場を十分に踏まえて検討していただいた上で、いろいろなことを決定していただきたく思います。現場から離れて机の上だけで考えますと、必ず大きな問題が起きます。中医協における議論を見守ってまいりたいと思っているところでございますが、何とぞ中医協の議論を重んじていただきたいと思っているところであります。
私ども、もう少しでこのコロナは切り抜けられると思っているところでありますが、まだまだ十分な対応ができていない面がございます。ぜひ政府の方々にも御協力いただき、医療者が最前線で闘えるように費用の面でもよろしくお願いして、意見としたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見もないようでございますので、基本方針としての取りまとめを行いたいと存じます。
ただ、その際に、社会保障審議会医療部会のほうでも基本方針の議論を行っております。本日の午後に行われる医療部会での議論と、こちらの医療保険部会との間での調整も必要になると考えられます。本日いただいた御意見、それから医療部会との調整を含めまして、最終的な基本方針の文案につきましては、部会長の私に御一任いただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
(委員首肯)
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、その形で対応させていただければと存じます。
本日はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
本日は、御多忙の折、御参加いただきまして、本当にありがとうございました。
それでは、これで散会いたします。ありがとうございました。