第7回がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和3年11月30日(火)17:00~19:00

議題

  1. (1)がん診療連携拠点病院等の指定要件について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○岩佐がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第7回「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
事務局を務めます健康局がん・疾病対策課の岩佐でございます。
本協議会につきましては、YouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただければと思います。
また、本日は12名の委員全員の御出席をいただいております。限られた時間でございますので、委員の皆様方の御紹介は割愛させていただきます。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は、厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1、2。参考資料1~9がございますので、それぞれお手元に御確認いただければと思います。不備等ございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
それでは、議題(1)「座長の選出について」でございますが、参考資料1を御覧いただければと思います。本ワーキンググループの開催要綱となってございます。この中で「3.その他」(2)におきまして「本ワーキンググループに座長を置く。座長は、ワーキンググループ構成員の中から『がん診療提供体制のあり方に関する検討会』の座長が指名する」とされてございます。事前に、がん診療提供体制のあり方に関する検討会の土岐座長より、藤委員を座長にと御指名いただいております。したがいまして、藤委員に座長をお願いしたいと思います。
藤座長から一言御挨拶をいただきました後、その後の進行につきましては、藤座長にお願いしたいと考えております。
また、会議中につきましては、画面をオンにしていただきまして、御発言等ございましたら挙手をする、もしくは挙手ボタンを押すという形にしていただきまして、こちらから指名がありましたら御発言を頂ければと思います。
それでは、藤座長、よろしくお願いいたします。
○藤座長 皆さん、こんにちは。座長に指名していただきました九州がんセンターの藤也寸志でございます。よろしくお願い申し上げます。
私は、食道がんの外科医ですけれども、がんの情報提供や相談支援、厚労省のがん診療提供体制のあり方に関する検討会や、がん診療連携拠点病院の指定に関する検討会などに関わってまいりました。今回は、がん診療連携拠点病院、以下このワーキンググループでは成人拠点病院ということになると思いますが、その整備指針の見直しのワーキンググループの座長という大役を仰せつかって緊張しております。全力を尽くしたいと思います。構成員の皆様の御協力をよろしくお願い申し上げます。
それでは、議題(2)「がん診療連携拠点病院等における指定要件の見直しについて」に移りたいと思います。
まず、資料1、2を事務局より御説明いただきたいと思います。それでは、事務局、よろしくお願いします。
○事務局(成田補佐) 事務局でございます。まず、資料1を御覧ください。
こちらは、がん診療連携拠点病院等の現状の確認のスライドとなっております。特に新しい内容はございませんので、簡単に御紹介させていただきます。
2ページは、現行の整備指針において、ここに記載されている類型が規定されているというスライドでございます。
3ページは、令和3年10月1日時点の各類型の指定病院数を示しております。
4ページは、前回の指定要件見直し、つまり現行の整備指針に向けた改定のポイントを示しておりますが、がん医療の更なる充実、病院完結型から地域完結・循環型医療へ、医療安全の更なる推進、指定に関する課題の整理の4点でございました。
5ページ以降は、現行の整備指針の内容を抜粋したものですので、説明については割愛させていただきます。
資料2の説明に移らせていただきます。
「1.見直しの進め方」です。平成30年7月31日施行のがん診療連携拠点病院等の整備に関する指針について、令和4年夏ごろの改定を目指して必要な検討を行う方針としております。
現行の整備指針に記載の指定要件について見直しの論点を抽出して、各論点について本ワーキンググループで検討を行います。
各検討会等での意見を踏まえるとともに、第3期がん対策推進基本計画、患者体験調査報告書、患者体験調査に基づく提言書、厚労科研若尾班における研究、遺族調査報告書の内容等を参照して、整備指針の指定要件に沿って、さらに要件に含まれていないものも加えて見直しの論点の案を抽出しました。
次に「2.見直しの論点(案)」の項目を順に説明いたします。
まず、1点目「望ましい」等の要件についてです。現行の整備指針では、「望ましい」や「原則として」といった表現を含む要件が入っておりますが、それらの要件について満たしていても、そうでなくても差がないため、充実に向けた推進力になっていないという意見がございます。
これらの要件の必要性や効果についてどう考えるか、また充足率などを一定以上とすることを必須要件化することについて、どう考えるかとしております。
続いて、希少がんです。希少がんの特徴として、まず、診断が難しくて時間がかかるということ、専門施設を見つけるのが難しいということが挙げられます。
患者体験調査において、「がんに関して専門的な医療を受けられた」と回答した人の割合は、希少がん患者において「そう思わない」が4.9%と、一般がん患者と比較して高い傾向がございました。
希少がんについて適切な診療体制を検討し、必要に応じて整備指針に盛り込んではどうかとしております。
次に、地域がん診療連携拠点病院(高度型)の在り方です。整備指針において、拠点病院(高度型)の指定は、同一医療圏に1か所と定められているところでございますが、同一医療圏に複数であっても要件を満たす場合には指定を認めるべきであるという指摘がございます。
その一方で、高度型の指定要件には定義が不明確なものが含まれているとの指摘もございます。
高度型を設けたときの目的や現時点における実態も踏まえた上で、その必要性や指定要件の在り方について、どう考えるかとしております。
次に、要件未充足への対応です。現行の整備指針では、拠点病院等が指定要件を欠くに至ったと認めるときは、勧告、指定の取り消し、指定類型の見直し等の対応を行うことができるものとすると定められておりますが、それぞれどういった場合にこれらの措置を講ずるかについては明記されておりません。
統一的な対応のため、どういったときにそれぞれの措置を行うか明記することについて、どう考えるか。
また、それぞれの要件の充足状況について確認する体制について、どう考えるかとしております。
次に、拠点病院が主に体制を確保すべき対象とするがん種等についてです。現行の整備指針では、我が国に多いがんとして肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん及び乳がんを挙げておりまして、拠点病院等には、これらのがんに対して集学的治療等を提供する体制を有することが求められております。
一方で、最新のデータでは、膵がん及び前立腺がんの患者数は肝がんの患者数を上回っておりまして、上記の5つのがん種のみが指定要件に含まれるのは不自然ではないかという指摘がございます。
また、希少がんに対する体制の充実も求められるところでございます。
拠点病院等が医療提供体制を確保するべきがん種についてどう考えるか。また、それらに入らないがん種についての取扱いをどのように考えるかとしております。
次に、情報の届出です。整備指針において、拠点病院等は必要な情報を国に届け出ることと定められておりますが、こちらの要件について何をもって充足と判断するのか不明確であるとの指摘がございます。
こちらの記載の具体化について、どう考えるかとしております。
次に、クリティカルパスについてです。整備指針において、クリティカルパスの整備が求められておりますが、全症例に対して実施するのは困難であるとの指摘がございます。
がん診療におけるクリティカルパスの在り方について、どう考えるかとしております。
次に、キャンサーボードです。整備指針において、キャンサーボードの開催が指定要件となっておりますが、キャンサーボードの定義が不明確であり、また対象症例についても現行の整備指針上は明確化されていないという現状がございます。
キャンサーボードの定義や対象症例について、明確化してはどうかとしております。
次に、小児がん患者の長期フォローアップです。整備指針において、小児がん患者の長期フォローアップについて、小児がん拠点病院や連携する医療機関と情報を共有する体制を整備することと定められておりますが、必ずしも適切なフォローアップがなされていないとの指摘がございます。
長期フォローアップを充実するために、拠点病院においてどのような要件を置くかについて検討してはどうかとしております。
次に、AYA世代のがんについてです。AYA世代のがん患者さんは、置かれている状況も様々であって、患者さんのニーズも多様であることが示唆されております。
AYA世代の患者数はがん患者全体から見ると少数で、患者さん本人にとっては周囲から治療等に関する情報を得ることが難しく、また、医療者側から見ると支援体制の構築が難しいという課題がございます。
ですので、AYA世代のがん患者への治療・支援の体制を充実させるための要件について、どう考えるかとしております。
次に、妊孕性温存療法です。患者体験調査において、「最初のがん治療が開始される前に、不妊の影響について説明を受けた」と回答した人の割合は52.0%にとどまっておりました。その一方で、拠点病院等を対象にしたアンケートでは、全体の25.1%の病院が生殖機能温存の体制について「充足困難」と回答しております。
令和3年4月から新たな国の事業も開始となったところでございまして、妊孕性温存の体制整備に資する要件について検討してはどうかとしております。
就労支援の充実です。患者体験調査において「治療開始前に就労の継続について医療スタッフから話があった」と回答した人の割合は39.5%にとどまっておりました。
必要とする患者さんが情報・支援を確実に受けられる体制の整備に資する要件について検討してはどうかとしております。
次に、手術療法、放射線治療、薬物療法の提供体制です。がん診療において、手術療法、放射線治療、薬物療法の質の向上や均てん化が必要であると指摘されております。
それぞれに係る要件について、どのように考えるかとしております。
緩和ケアの提供体制です。患者体験調査において「つらさがあるときに、すぐに医療スタッフに相談できると思う」と回答した人の割合は、身体的苦痛で46.5%、精神的苦痛で32.8%でした。また「身体の苦痛や気持ちのつらさを和らげる支援は十分であると感じる」と回答したのは43.0%でした。
こういった結果を受けて、緩和ケアに係る部会における検討を参考に、緩和ケアセンターも含めた緩和ケアの体制整備のための要件を検討してはどうかとしております。
地域連携の推進体制です。整備指針において、我が国に多いがん、その他必要ながんについて、地域連携クリティカルパスを整備することと定められておりますが、拠点病院等を対象としたアンケートでは、32.2%の病院が「充足困難」と回答しております。
さらに、地域連携を推進するために必要な要件について、どう考えるかとしております。
セカンドオピニオンです。拠点病院等を対象にしたアンケートでは、94.5%の病院が「全拠点病院でセカンドオピニオンによる紹介の体制整備が必要である」と回答しております。
その一方で、患者体験調査の結果では「担当医からセカンドオピニオンについて話があった」と回答した人の割合は34.9%にとどまっており、セカンドオピニオンに関する情報提供を推進するための要件の在り方について、再度検討してはどうかとしております。
病理診断に携わる医師の配置です。整備指針において、専従の病理診断に携わる常勤の医師の配置を必須要件として求めているところでございますが、施設によっては人員確保が困難であるという指摘があります。
その一方で、病理診断について遠隔での診断精度も高くなってきておりまして、常勤の医師が不在でも医療の質を保つことができるのではないかという意見も頂いております。
病理診断の提供体制として、適切な質を確保しつつ必要な体制を確保するための要件について検討してはどうかとしております。
相談支援センターです。患者体験調査において「相談支援センターを利用したことがある」と回答した人のうち、86.9%は「役に立つ」と回答しておりました。
その一方で、「利用したことがない」と回答した人のうち「必要としていたときには知らなかった」や「何を相談する場なのかわからなかった」という回答も多く、引き続き周知に取り組む必要がございます。
全ての患者さんが、がん相談支援センターを知り、必要時に円滑に活用できる体制の整備が進むような要件について検討してはどうかとしております。
情報公開です。整備指針において、院内がん登録数や各治療法についてのがん種別件数について、ホームページ等で情報公開に努めることと定められておりますが、治療成績を含む情報公開について積極的に進めるべきとの指摘がございます。
拠点病院等としての情報公開について、どう考えるかとしております。
研究です。整備指針において、政策的公衆衛生的に必要性の高い調査研究に協力することと定められておりますが、当該項目について拠点病院等を対象にしたアンケートでは、全体の3分の1に近い32.2%の病院が「一部の施設に必要」と回答しております。
拠点病院等に求められる研究協力体制について、どう考えるかとしております。
BCP的な視点に基づく診療体制の確保についてです。新型コロナウイルス感染症が蔓延した状況下において、医療機関によっては診療体制の維持が困難になったケースもございます。
感染症の蔓延や災害等の状況においても、必要ながん診療を提供できるようBCP的な視点に基づく診療体制の確保を推進するような要件について検討してはどうかとしております。
ICT技術の利活用の促進です。新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴いまして、会議や研修、セカンドオピニオンの提示並びに患者サロンの開催等の諸活動において、中止や延期を余儀なくされる例が散見されております。
現行の整備指針においては、これらの諸活動につきまして、対面もしくはオンライン等の開催形式についての明確な規定はありませんが、オンライン会議システム等の活用を推進できるような規定を設けることについて、どう考えるかとしております。
リハビリテーションです。第3期がん対策推進基本計画において、国はがん患者の社会復帰や社会協働という観点も踏まえ、リハビリテーションを含めた医療提供体制の在り方を検討すると定められております。
その一方で、現行の拠点病院等の整備指針には、がん治療に伴うリハビリテーションについての指定要件が存在していないのが現状ですので、リハビリテーションを推進するための要件について、どう考えるかとしております。
ピアサポートの促進です。患者体験調査において、ピアサポートについて「知っている」と回答した人は27.3%にとどまっておりまして、その中で利用したことがある人はわずか6.4%でした。実際に利用した人の中で「役に立った」と回答した人の割合は73.6%でございまして、満足度は高いと言えます。一方で、サポーターの育成について課題があるとの意見もございます。
ピアサポートへの拠点病院等としての支援体制を検討してはどうかとしております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございました。資料1と資料2について御説明を頂きました。
資料1は大丈夫だと思いますので、資料2の「1.見直しの進め方」に関してでございます。その次の各論に入る前に、全体としてこのワーキンググループとしての進め方の共通認識をつくるべきかと思います。したがいまして、事前に私と事務局で協議した点について、まず御説明させていただきたいと思います。
先日行われました、がんの診療提供体制のあり方に関する検討会でも出たのですが、この見直しをするときには資料やデータに基づいた見直しをしてほしいという意見がございましたので、それはそのとおりだと思います。
具体的には、カギ括弧で5つ示しておりますけれども、これらを参考にします。第3期の基本計画というのは、最近中間報告の案が出ておりますし、患者体験調査の結果、患者体験調査に基づいて出された提言書、さらに亡くなった患者さんの御遺族への終末期に関する調査があります。一方で、成人拠点に対する厚労科研による調査もありまして、この中で今の整備指針、指定の要件に対する拠点病院側の捉え方や問題点が数多く示されています。
そして、これらの資料を参考にしながら、第3期の基本計画を推進していくために新たに加えるべき要件があるのか。あるとしたら何なのか。今ある要件の中でも「原則として」というのが地域がん診療連携拠点病院だけでも4つ、「望ましい要件」が35ぐらいあります。「望ましい」はある意味極端に言えば、「望ましい」だからしなくていいという拠点病院もあるかもしれないし、「望ましい」を一生懸命前向きに整えている施設もたくさんあると思います。このような中、実態調査で明らかになってきたのは、拠点病院側の過重な負担感を言う人たちがたくさんいます。それを低減させることが可能なのか、また必要なのかも含めて、成人拠点病院の制度そのものの持続可能性も考えながらしていかなければいけないと思います。
すなわち、基本計画をさらに実現させるために前進するという考えと、一方では拠点病院側の持続可能性も考えた、この両方のバランスを考えながら議論していくことが必要なのではないかと思っております。
その結果として、どうなるか分かりませんけれども、要件が厳しくなり過ぎて拠点病院の数が減るとか、易しくなり過ぎて逆に増えるということがあるのかもしれませんし、そもそもの均てん化や現在指摘されている拠点病院間の格差の問題も同時にかつ総合的に考えながら、今回のワーキンググループを進めていければと思っております。
ちょっと話は変わりますが、このワーキンググループのスケジュール感についてお話をします。来年の6月から7月上旬には、このワーキンググループで案を出す必要がございます。それまでに確定しておく必要があります。その過程の中で、がんとの共生のあり方に関する検討会や、その中の緩和ケアの部会などから、我々のワーキングにいろいろな意見が寄せられると思いますので、それについての議論をする時間も必要になります。
それから、がん診療提供体制のあり方に関する検討会の中の1つが本ワーキングなのですが、もう2つ、がんゲノムの拠点に関するワーキング、小児がんに対するワーキングが3本並列して走っていきます。もちろんその中にはAYA世代であったり、希少がんであったり、どこのところにも関わるものがありますので、そういうところがニッチに落ち込んでなくなってしまわないようなことも注意しながら、アンテナを張りながらの意見を進めていきたいと思っております。
そのスケジュール感ですけれども、今から7月までに何回するかというのは決まっていないそうです。現実にほかのワーキングや検討会もいっぱいありますので、予定が立たないということですが、そうたくさんできないであろうと思いますので、できるだけ前倒しをしながら、後で残ったところの総合的な議論ができればいいかなと思っております。
今までのところで何か御意見ございますか。実は、本ワーキンググループの進め方について、増田昌人構成員から事前に意見を出していただいておりますので、できましたらまずそれをお聞きした上で議論に入りたいと思いますが、いかがでしょうか。今この時点で確認しておきたいことはございますか。
では、ないようですので、増田構成員、参考資料9の説明を5分程度でタイトですが、よろしくお願いいたします。
○増田(昌)構成員 琉球大学病院がんセンターの増田です。
では、私から指定要件の改定に当たっての基本方針に関する提案、基本計画の目的、アウトカム目標にさらに貢献するための明解化をさせていただきます。私が提出させていただいた参考資料9を御覧いただきながら聞いていただければと思います。
2002年3月にがん診療連携拠点病院(以下、拠点病院)が最初の指定を受けてから20年近くの歳月が過ぎ、拠点病院制度は我が国のがん医療の向上に大きく貢献したと実感しています。
その上で現時点の課題は2つあると考えています。
1つ目は、現行のがん診療連携拠点病院等の整備に関する指針(以下、整備指針)に書いてある指定要件が、第3期がん対策推進基本計画(以下、基本計画)の目的に沿っていない部分や不足している部分が一部あるので、今後このワーキンググループで議論を重ね、これまで以上に基本計画の目的に沿い、アウトカムの達成により貢献できるような指定要件にする必要があると思われます。
2つ目は、2001年8月に定められた整備指針は、改定のたびに指定要件が増加し、かつ現況報告のための項目も増加しているため、拠点病院や国民にとって体系が分かりにくく、複雑で冗長になっている面もあり、基本計画の目的との関係が不明瞭になっていると思われます。結果的に、拠点病院にも負担感が強いと思われます。ここ数年は、現況調査の項目数を減らす、添付するべき別紙資料を減らすなどの改善が行われていますが、一部不十分な箇所があると思われます。がん患者さんや、その御家族の利益を高め、不利益を生まないように質を担保した上で、体系的で明解な形に再整理、一部簡略化することが肝要です。その結果、拠点病院の負担感も軽減すると思われます。
そこで、基本計画の目的、アウトカム目標にさらに貢献する明解化、つまり質の担保を向上させながら負担を軽減するためには、個々の拠点病院に対する評価を充実させる必要があると思います。具体的には、アウトカム評価を中心にプロセス評価を積極的に加えること。また、制度発足から約20年が過ぎた拠点病院の経験と実績を尊重し、個々の拠点病院自身が自ら考えカバーしている、各都道府県や二次医療圏の状況も踏まえた改善策をつくり、自ら実行するというPDCAサイクルをこれまで以上に強化するとともに、場合によっては義務化することも必要だと思います。その場として、都道府県がん診療連携協議会が最適であると考えます。
そのための具体的な方策を私から4つ提案します。
1、がん計画との関係性を明確にする。がん医療の分野ごとに、がん計画の目指す姿、アウトカムを具現化するための拠点病院制度であることを明確化し、各分野アウトカムへの効果の観点から指定要件を検討する。
2、この方法であれば、がん患者さんやその御家族に不利益が生じないように質を担保、患者アウトカム向上への貢献を高めた上で、拠点病院の負担の軽減につなげることが可能であると思われます。
3、がん計画の評価指標と連動する拠点病院の評価指標を設定する。上記のアウトカムを軸にしてロジックモデルを用いて、それを達成するための中間アウトカム、プロセスを明確化、それらをモニターできる評価指標を設定する。その際には、5年生存率のように、その性質上短時間では評価が難しいアウトカム指標が多くあることを踏まえ、プロセス指標をより多く用いることを検討する。また、指標は重点項目に絞って測定を行うことを確認する。
4、評価指標の測定は、A現況調査で収集する評価指標と、B現況調査以外で収集できる評価指標に分ける。この整理ができれば、Aの現況調査で収集する項目が減少すると考えられます。拠点病院の調査負担は減るが、評価指標はより充実し、より患者のアウトカム向上に効果が増すと考えられますので、がん患者さんやその御家族に不利益が生じないようになると思われます。
5、拠点病院は指定要件、現況調査の項目数を簡素化する分を自主的なPDCAサイクルとして自院の評価をきちんと行い報告する。これらの進捗や評価の場として、都道府県がん診療連携協議会を位置づけ、その仕事の第一とする。現行のこの部分に関しましては、現行指針のIIの6、PDCAサイクルの確保とIVの5、PDCAサイクルの確保を強化する。さらに、自院の存在する二次医療圏、都道府県拠点病院では都道府県の評価をきちんと行い、PDCAサイクルに明確に組み込む。
以上、基本計画の目的をさらに強化するための明確化を御提案申し上げます。
どうもありがとうございました。
○藤座長 増田構成員、ありがとうございました。基本は、がん対策推進基本計画と指定要件がマッチしていないところが少し見受けられるということかと思います。そこを明確にする、基本計画を進めるための指定要件なのだということを認識しながら議論を進めていく必要があるのだということだと思います。
一方では、先ほど申しました拠点病院、成人拠点病院側の過重な負担をどうにかできないか。そのときに、基本のキは基本計画に基づいて考えながら指定要件を決めていく必要があるのではないかということだと思います。
その具体的な方法としては、がん計画との関係性を明確にした要件にすること。指標をもうちょっときっちり加えていったらどうかという御意見なのだと思います。
増田構成員の御意見の評価指標の設定については非常に大切なことだと思います。現在の指定要件の中には、体制を整備する「はい」「いいえ」だけの回答のところがたくさんあります。中には、別紙としてストラクチャー評価やプロセス評価もありますけれども、そうではない「はい」「いいえ」だけの回答のところも多々ありますし、そういうところは指標を用いて不明確さをなくしていったらどうかという御意見なのかとお聞きいたしました。
東先生、がん診療連携拠点病院としてQI活動等をずっとリードしておられる立場として、今のことについて何か御意見ございませんか。今のことだけでなくても、全体の進め方のベースの考え方などについて御意見があれば伺いたいと思います。
○東構成員 ありがとうございます。国立がん研究センターがん登録センターの東と申します。
がん対策の評価やQIに限らずしてきたので、増田先生にも御協力を頂きながらやってまいりましたので、指標ということを御指摘頂いたのはとてもありがたいと思います。
それに関連してということでちょっと考えたのですが、いつも指標を設定するところで思うことなのですけれども、一番大事なのはアウトカムもしくは目標だと思っています。患者さんのアウトカムというだけではなくて、拠点病院を評価するとすれば、拠点病院がどうあるべきなのか、どう目標に向かって進んでいくのかという目標を明らかにした上で、それができているのか、どれだけ近づいたのか、それに必要なことをやっているのかを評価するとすっきりすると思います。
拠点病院がどうあるべきかということを私が総括する立場ではないとは思うのですけれども、今ある指定要件からまとめてみると、3つぐらい目標があるのかなと個人的に勝手に整理してみました。1つは、医療の均てん化を担っていく、そのために標準的な医療は確保して提供していくのだということ。もう一つは、地域と連携して患者さんをサポートするというお話。3つ目は、もしかしたら少し忘れられがちなのかもしれないですけれども、国のがん対策の一翼を担って、それに貢献していくということ。そんな感じなのかなと、これは完全に私の個人的な勝手な整理ですけれども思っています。
そういったことを御議論頂いた上で何か共通認識があると、各論に入っても見失わないのかなと、指標を設定するのにも役に立つのかなと考えました。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。最初から非常に大きな話になってきましたが、非常に大切なところです。
今3つ挙げていただきました。均てん化を担う制度であること。2番目は地域連携、これは均てん化とペアになっているのだと思います。均てん化が及ばないような地域もあるわけですから、そこをどうやって連携していくかも津々浦々でがんの標準的な医療が受けられるような仕組みをつくるということでは、がんの地域連携も非常に大切なテーマ。それを担うのも拠点病院の仕事だということ。もっと言えば、それはがん対策に対する貢献をするのだということだと思います。先ほど増田構成員がおっしゃいました、がん対策推進基本計画の実現に貢献するような組織であるべきだということにも関わるのかもしれません。
そのほかに、成人拠点はこういう視点もあるべきだという意見があったら、お聞かせ願えますでしょうか。なかなか話が大きくなって難しいところはありますが。
松本構成員どうぞ。
○松本構成員 患者団体の松本でございます。
今の増田先生からの御提案、また、東先生からの御説明を頂きまして、向かう方向について少し理解ができたように思っております。患者の立場から申し上げますと、そもそもなぜ拠点病院がつくられ、指定要件が整えられてきたのかを今回改めて振り返りました。そうしますと、たどり着くところは、がん対策基本法だと思っております。この中に、がん患者が居住する地域にかかわらず、等しく科学的知見に基づいた適切ながん医療を受けられるということが書かれています。これが私たち患者・家族が、基本法がつくられるときに望んだ最も重要なことでした。それをつくるための指定要件であるということ。決してこの指定要件の検討会がチェックシートをつくるという目的ではなくて、何を実現していくのかを先ほど東先生もおっしゃいましたけれども、そこに立って議論を進めていくべきと考えております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。非常に基本的なスタンスを話していただいたのだと思います。がん対策推進基本計画が第1期から始まって一番言われていたのは、とにかく均てん化でございます。最終的に均てん化を進めていったら今、集約化などの意見も起こってはいますけれども、第一の目的の均てん化というのは、ある意味ある程度は実現されてきているのでしょうけれども、まだまだ不十分なところもあるということなのだと思います。それを実現するために今回の指定要件をどう変えればいいのか、変えないほうがいいのかなどの議論をしていくことになります。
後である程度の各論には入りますが、増田先生どうぞ。
○増田(昌)構成員 補足をちょっとさせてください。今、松本構成員からありましたし、その前に東構成員からもありましたように、均てん化と改正基本法の精神にのっとって私たちは考えなければいけないのかなと。具体的には第3期の基本計画を実現する。そのために今までそういう観点はなかったのかもしれませんが、都道府県拠点病院は存在する都道府県の医療全体について少し考えていただく。もう一つは、地域拠点病院は二次医療圏に原則1つということですので、存在する二次医療圏全体のことも考えていただく。そのために例えば、地域連携や1つの拠点病院で全てを賄うことはできませんので、そこでほかの病院との協力関係を築くとか、どうやって連携していくかを築く、そういう姿勢も必要で、地域の二次医療圏全体の5年生存率の向上や、がん相談支援の情報提供や相談支援の向上といった観点を少し盛り込めたらいいのかなと。そうすると仕事が増えますので、その分簡略化できる部分は簡略化するということで、全体として持続可能なものにしていくといいのかなと。そのバランスを少しみんなで考えられるといいのかなと思っております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。今のは都道府県拠点病院を中心としてでしょうけれども、拠点病院が地域のがん医療の状況もチェックしながらまとめていく必要もある。それがPDCAサイクルをまとめていく指標につながるのかもしれませんが、そういう御意見だったと思います。都道府県拠点の仕事が増えるかもしれないけれども減らすことも考えながらという、両輪を考えながらということが我々に望まれているのだと思いますので、各論の御意見を伺うときも、そういうことも考えながら、この要件をどうにかすると、それは負担が増えるのか減るのかということ。減ること前提であってはいけない、一番最初に増田構成員が言われましたように、現在の質を落とすようなことがあってはならないというのが大前提なのだと思いますが、いろいろなことを考えながらいきたいと思います。
ほかに何か御意見ございますか。大西構成員どうぞ。
○大西構成員 山梨大学の大西です。よろしくお願いいたします。
今挙げていただいた視点は非常に重要だと思いますが、それぞれの診療技術によって、特に私は放射線治療関係なのですが、均てん化と地域との連携といっても、現状では各連携拠点病院での医療技術内容、治療成績等に恐らく差がありますので、目的としては患者さんに安心して受診していただく上で、見える化といいますか、病院の情報をどんな治療をやっていて、どんな患者さんを相手にしていて、どれくらいの成績を出しているのかをもうちょっと見える化といいますか、わかりやすく表示するべきだと思います。恐らく情報としては得られていると思いますが、情報の提供の仕方、どんな方でもアクセスしやすく見やすいというか、その病院が対象としている治療技術や診療内容の見える化がもっと進むような視点ができたら必要ではないかと感じております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。これまた重要な視点ですね。先ほどちょっと言いましたけれども、集約化が必要な部分がどうしても出てくるときには、情報を公開しないといけないという形になりますので、情報の提供の在り方についての要件も考え直すべきところがあれば考え直すということかと思います。
もう一人手が挙がっていたように思いますが、久保構成員どうぞ。
○久保構成員 日本看護協会の久保でございます。
資料2でお示しいただいた見直しの論点に関しては特に異論はございません。これまでの皆様のいろいろな御意見で、今後議論する上で寄って立つものが明確になってきたのかなという気がしております。
1点、この資料の中で幾つか「実施困難」という声が聞かれているもの、調査結果で実施の割合がそれほど高くないものについて挙がっておりましたが、今後議論していく上で、それらの背景や要因となるものがもしあるのであれば示していただけると、要件を今後検討していく上で有用になるのではないかと感じました。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。確かに、一番最初に言いましたデータに基づいてというのがそういうことなのだと思います。拠点病院側の何パーセントが実施困難と答えていたら、それは本当に困難なのかとか全然基準がありませんけれども、全体を見ながら我々の中でどこかで線を引くところは引いて、要件を決めていきたいと思います。ありがとうございます。
ほかはないですか。もしなければ、「2.見直しの論点(案)」にいきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○藤座長 ありがとうございます。では、資料2「2.見直しの論点(案)」に沿って議論を進めたいと思います。
まず申し上げますが、今日の論点は各論を、これも既に各論ではありますけれども、本当に各論のことを細かくディスカッションするのではなく、今後このワーキンググループが約半年間で何を中心に話していくかということの項目出しのコンセンサスを得たいというのが今日の大きな目的です。もちろんその途中途中で、この論点も新しく加えなければいけないなということが出てくるのは当然だと思いますので、それは全然構わないのですが、今日は今後、次回から何を話していくかのコンセンサスを得たいと思っています。
今のことは御理解いただけますか。今日は相当スピーディーというか、さささっと行ってしまうことになりますので、御容赦いただければと思います。
今から入りますけれども、各論と言いましても結構ピンポイント的な項目もありますが、「望ましい」等の要件についてなどのように、全体に関わるような問題もありますので、認識を共有したいと思っています。
これは先ほど説明がありましたけれども、「望ましい」等の要件がたくさんある。地域がん拠点だけでも35ぐらいあります。「原則として」も4あります。ここをどのように変えていったらいいのか、「望ましい」という段階でないのであれば1ランクアップは「原則として」ですが、もっとアップは「原則」を外した指定要件に入ってしまうわけです。そういうところに上げるのがいいのか、上げなくてもいいのか。極端に言ったら「望ましい」というファジーなものはやめてしまえというようなこともあり得るのか、ないのか。やはり「望ましい」がないと全部の拠点病院が大変なことになるという意見もあるかと思います。そういうことについて議論をしていきたいと思っています。
幾つかずつ私がコメントした上で議論をしていきたいと思います。
次に挙げているのは希少がんです。これは、希少がんだけではなくてAYA世代であったり小児がんの長期フォローであったりということが、現在がん対策推進基本計画等でも議論されているところですので、これについての話をしていくのは絶対必要だと思います。ただ、それもシステム体制を整えているだけで、「はい」「いいえ」で答えてもいいのかと。そういう問題ではなくて、これをやることの具体的な活動をリストアップして提供する、要件にするということもあってもいいのかと思いますので、希少がんはテーマに挙がるだろうと思っております。
高度型の在り方です。御存じのように、前回から地域がん診療連携拠点病院の高度型と特例型というものが設定されました。特例型は要件を満たさないところがあったら、ある期間を見て改善されないようだったら拠点の更新をしないということが現実、昨年度の指定の検討会で起こりました。ここの場合は高度型ですが、高度型というのはその医療圏で一番とだけしか書いていません。高度型は指定されたら何をするかなどの定義が全くございません。かつ、高度型と言っても、ある医療圏の高度型と別の医療圏の高度ではない拠点病院はどちらが高度なのだという意見までありまして、国民に対して高度の定義がよく分からないような事態にもなっております。
したがいまして、実際の議論を始めるときには高度型を設けた背景も知った上でしないといけないと思うのですが、これをどう考えるか。極端なことを言ったら、高度型は分からないからやめてしまうのか、それとも高度型は高度だから指定はするけれども、高度型にはこういうことが必要になるという定義みたいなものを明確にするかということが必要になるのかと思います。
次に、要件未充足への対応。先ほど特例型の話をいたしましたが、指定の検討会、各都道府県から出されてきた推薦を通すのか、通さないのかという検討会で、実際に起こってきたところでございます。特例型で要件を満たしていないから、ある期間待ちますから満たすように頑張ってくださいということがあったのだけれども、その期間が来ても要件を充足することができなかった。充足する見込みもなさそうだというところは、拠点病院というからには、ある程度一定のレベルは要るのではないかということから、指定の要件の更新ができなかったところがございます。ただ、そういう決まりを整備指針の中に詳細に書く必要はないのだと思いますが、ある程度の方向性を決めないといけないのではないかという項目出しなのだと思います。
一方で、地域がん診療病院の中には特例型などがございません。要件を満たさなくなったところは勧告という形もしておりますが、それ以降の取扱いをどうするのかなどの議論も必要になってきます。例えば、その地域にはがん診療病院しかないのに、そこがなくなってしまったらどうなるのかということも地域の事情も考えながらしていかないといけませんが、ある程度の方針が必要なのではないかということを議論したいということかと思います。
今4つ「望ましい」等の要件について、希少がんについて、地域がん診療連携拠点病院(高度型)の在り方について、要件未充足の対応については、いかがでしょうか。これを今後の議題に挙げていくことについての御意見を伺いたいと思います。これは必要ないということもあるかもしれません。
松本構成員どうぞ。
○松本構成員 要件未充足への対応について意見を申し上げたいと思います。
今、藤座長からの御説明にもありましたけれども、拠点病院の指定に関する検討会が別にあって、そこで可否については議論をされていると承知しております。私も、その検討会の委員を務めていたことがございます。その委員を務めていたときのことですけれども、ある拠点病院が、科学的根拠が明確でない治療法を自由診療として実施しているとホームページに掲載していたことがありました。この件について、その検討会で大変議論になりました。私ども患者・家族の立場からすると、拠点病院という看板を上げているところからの情報提供というのは、盲目的に信じてしまいがちなところがあります。それによって、場合によっては患者・家族が最善の選択を妨げられる可能性さえあると私たちは考えました。
このような事態を防ぐためにも、問題がある場合の速やかな対応を求めることを明記しておくことは必要だと思います。つまり、患者・家族が最善の選択をできなくなるようなおそれがある場合に関しては、速やかな対応をすることについては明記しておく必要があるのではないかと申し上げたいと思います。
ただ一方で、要件未充足といっても、例えば、地方の医療機関などで専門職の配置などが難しいことがあるというのは、私は愛媛に住んでおりますので、よく見聞きをしております。努力したにもかかわらず、なかなかそこが十分満たせないところについては、一定の期間をおいて緩やかに見ていくことが必要だろうと思いますので、そういったことはきちんと分けた上で何らか明記しておくことは、この検討会で検討すべき事項だと考えております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。明記することが望ましいというのは多分皆さん意見は一緒なのだと思いますが、どういう明記の仕方があるかというのは、我々このワーキンググループで知恵を絞って出していければいいかなと思います。免疫療法や保険診療になっていないところは、現実に私は指定の検討会にも関わっているのですが、地域拠点の更新をしなかったところがあります。やめたという証明をちゃんとしてもらって地域拠点に復活したこともありますので、指定要件の中に明記されているからこそ起こったし、できた行動なのだと思いますので、そういうことも大切にしながら要件を決めていく必要があるのかと思います。
ほかにございませんか。増田構成員どうぞ。
○増田(昌)構成員 最初の「望ましい」等の要件について意見を述べさせていただきたいと思います。
私は、私のおります琉球大学病院が拠点病院であることを維持するための対策をずっと事務局としてやっておりまして、地方大学ですので、なかなか人もいない、レベルもそんなに高くないということで、実は私どもの病院では頑張ってこの「望ましい」を実現しようと思って一丸となって取り組んでいます。
この「望ましい」には多分2つ意味があって、今は義務化できないけれども、この方向でやるといいのではないかというサジェスチョンとしての「望ましい」と、もう一つは、今回は義務化しなかったのだけれども、この方向で4年後の改定のときには「望ましい」を義務化するというか、そのときにもちろん検討は必要だと思いますけれども、その方向で考えているから、皆さん準備してくれませんかというやり方もあるのかなと思います。私はどちらがいいかということではないのですけれども、その2つの考え方があるので、ここのワーキングで皆さんから御意見を頂戴して、どちらにするのか。
例えば、今「望ましい」というのは4年後には義務になるよということがあれば、地方で特に人がいないところは4年後を見据えていろいろ段階的に準備もできますし、また、急に指定要件のレベルが上がったときにも、何とか対応できる部分もあるのかなと思いますので、その書き込み方を少し定義づけしていただくと、この指定要件を頑張ってクリアするためにやっている拠点病院の医療者としてはいいのかなと思っておりますので、そこをワーキングで話し合えればと思います。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。「望ましい」も書きぶりを考えていくということなのだと思います。
今日は議論がありませんけれども、拠点病院のアンケート調査、これは若尾班で東先生が中心となってなさったことの中には、「望ましい」の意味が分からないというか、「望ましい」としている根拠がよく分からない。だから、やめてしまえという意見ではなくて、根拠をもうちょっと示して、これがあったら何を目標にしているのかみたいな書きぶりをもうちょっとちゃんとしてくれたらいいのではないかという御意見もたしかあったと思います。
東先生、間違いございませんか。
○東構成員 そうですね。今のお話、そのとおりだと思います。「望ましい」ということが根拠はどう望ましいのか。また、逆に指定要件となっていることの根拠も明確にして、それを違いが分かるようにしてほしいという意見もたしかあったかと思います。自由記載でかなりたくさんの意見の中からそういったところがありましたので、またいつか御紹介できることがあればと思います。
○藤座長 ありがとうございます。今のは「望ましい」要件どころではなく、必須要件の意味も分からないことがあるという意見があったのだということだと思います。これは全てをだらだらと長く要件の中に根拠を云々と書けないという実情があるのだと思いますけれども、できるだけ拠点病院が分かった上で、モチベーションを高く持ってもらうような書きぶりもひょっとしたら必要なのかなということなのだと思います。
ほかはございませんか。津端構成員どうぞ。
○津端構成員 よろしくお願いします。島根大学の津端と申します。私は、2点意見を申し述べさせていただきたいと思います。
まず、1点「望ましい」の要件に関しましては、今、増田構成員の御発言がありましたとおり、申請をする際に「望ましい」と書いてあると、なるべくそれを充足するように病院としては頑張るのですけれども、その理由の背景といたしましては、次の要件の見直しの際に、原則としてもしくはそれが完全な要件に入るかもしれないということを考えて病院のほうは準備することになろうかと思います。
ただ、一方で「望ましい」だからしなくていいと考える病院もあると思いますので、私としては「望ましい」というのは乱暴な言い方をしますと、ないほうがいいと思うのですけれども、ただそこを残すからには、必ず次には「原則として」、もしくはきちんとした要件に上げることを想定して残すことを考えるべきではないかと思います。なので、いつまでもずっと「望ましい」ではなくて、次の改定の際に必ずそれを1ランク上げるかどうかを検討するという位置づけが必要かと感じております。
もう一点、均てん化から要件未充足への対応ですけれども、先ほど松本構成員が述べられましたとおり、要件未充足と申しましても2つの方向といいますか、私も島根で勤務しているものですから、先ほど愛媛がというお話もございましたけれども、島根県もどんなに頑張って努力しても、病理の先生、放射線先生が少ないとか、メディカルスタッフの方が少ないという、いかんともしがたい問題がございまして、そういったところで要件未充足の場合には猶予期間を設けていただく、もしくはほかの病院と連携することでオーケーしていただくことが必要なのですが、一方で、松本構成員が述べられたような、提出するときの要件は満たしているのだけれども、私たち構成員から見て、これは的確かどうなのかという病院に関しての判断をどうするかというところで、2つ内容が混ざっているのかなと感じました。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。ほかはございませんか。
時間の限りがございますので、次に行きたいのですが、よろしいですか。
では、次のグループにまいりたいと思います。拠点病院が主に体制を確保すべき対象とするがん種等についてでございます。言葉の中に「我が国に多いがんとして5大がん」というのが明記されています。実際、数は多いのだけれども今、死亡は膵がんがベスト5に男女ともたしか入ってきていることもありますので、言葉の問題なのかもしれませんが、こういうところの書きぶりを変えたらどうなのかということになります。
ただ、現況報告の中には、5大がんの手術症例の数をチェックするところがあります。それも胃がんなら胃がんで胃全摘術とか幽門側胃切除術等幾つかの手術術式で数を書いてもらっている。放射線にもこれがあります。そういうときに、どのがん種の現況報告を求めるのか。また、それは一つ一つ求める必要もないという議論も必要になるのかと思います。
また、別紙で、診られるがん、診られないがん、◎、○を書けというものがあります。うちではこれは診られませんとか、希少がんとかもっと珍しいがんも含めてですけれども、希少がんが全部リストアップされているわけではありませんが、現況報告の中には5大がん以外のがんとしてずらっと並べてあって、◎、○、×を書くものがあります。そういうことをしていくのはいいのですが、5大がんばかり見るのはどうなのかという御意見もありますので、ここは書きぶりを議論していきたいと思います。希少がんに対する体制の充実も求められているところですので、5大がんばかりでやっても仕方ないのではないかという御意見なのだと思います。
次は、情報の届出です。これは今のものと関わってまいります。自分たちの拠点病院が何を診ることができるのかということです。現況報告でリストアップもされていますし、集学的治療、標準的治療等の質の評価のため情報を国に届けることとありますけれども、何を届けているのだということですね。体制がありますとか、5大がんの数はこれだけですということで、ちゃんと質の評価になっているのかという議論もあるのだと思います。こういうところが、ひょっとしたら増田構成員が言われていたところに関わってくるのかもしれません。
クリティカルパスとキャンサーボードまで一気にいきます。こうなるとまた各論的なことになります。クリティカルパスは院内のクリティカルパスです。整備が求められているが、全症例に対して実施するのは困難であるとの指摘があるとありますが、これは実は拠点病院に対する若尾班のアンケートの中でこういう書き方があったのでしたかね。全症例には無理だよという御意見があったのだと思いますが、いずれにしても、拠点病院でがんの診療のクリティカルパスの整備が求められているというのは、今や書くほどのことでもないのかなというぐらい当たり前のような気がしますが、実はクリティカルパスをよくやっている人に聞くと、その実施率が物すごく低い病院もまだまだ世の中にはたくさんあるのだそうです。したがいまして、そういうデータもディスカッションしながら、クリティカルパスの在り方について議論もしていくべきだということだと思います。
キャンサーボードは皆さん御存じかと思いますが、定義が複数の診療科の医師などと書いてありますが、医師以外も入っていいのですが、医師が入って症例検討をしているのを月1回以上しているということです。月1回以上しているというイメージは、多分、何十人も集まって、全部の診療科が集まって、看護師もソーシャルワーカーも相談員も集まって議論するみたいなことを月1回というイメージなのかもしれませんが、実はほとんどの診療科でやっているであろう普通のカンファ、内科と外科が集まって病理も入れてやっているというのは、月1回どころの話ではないよなというのは、多分現場の皆さんも当たり前の話なのだと思いますので、この辺をもうちょっと明確にしないと、ただちょっとだけやっているということもキャンサーボードになっていることがあって、質の向上につながっていないのではないかということがあるのかと思います。
つたない説明ですけれども、今の4点について何か御意見ございますか。拠点病院の扱うがん、情報の届出、クリティカルパス、キャンサーボード。
鈴木構成員どうぞ。
○鈴木構成員 聖マリアンナ医大産婦人科の鈴木と申します。よろしくお願いします。
クリティカルパスに関しては、院内のと藤先生はおっしゃったのですが、地域まで広げるのはさすがに厳しいのでしょうか。それが1点です。
あともう一点は、キャンサーボードは大変大事なことであって、この後の各論でたくさん発言しようと思っていたのですが、参加すべき医療従事者の明確化も絶対的に必要だと思っています。後で述べますけれども、相談支援センターの方々も含めて。定義はもちろん必要なのですが、特に参加するメンバーも明確化する必要性があるのだと、当たり前のことですが、感じていました。
以上です。
○藤座長 「医師等」ではなくて、現況報告の中には病理と何かが参加しているか、C項目みたいものがあったりしますので、それだけではなくてキャンサーボードとして必要であると考えられる職種は明確にしておくということですよね。ファジーさをなくすという意味で大切なのかと思います。
津端構成員、その後大西構成員、お願いいたします。
○津端構成員 私は、呼吸器・臨床腫瘍学という化学療法の専門なのですけれども、キャンサーボードについて今お話しいただきましたので、私も少し追加で発言をさせていただければと思います。
キャンサーボードというのは目的が恐らく2つありまして、1つは、いわゆる典型的な症例の患者さんを扱って、多職種もしくは専門の先生から若手の先生まで含めてすることで、いわゆるがん治療の経過を学ぶというのがキャンサーボードの発祥であったかと思うのですけれども、恐らく今はもう一つの目的であります、集学的治療が必要な患者さんに関しまして、外科の先生、内科の医師もしくは放射線治療科の先生方と一緒に相談を行うという、いわゆる集学的な治療が必要な症例に関して検討するというほうが少しメーンになっているかなとも思っております。
どちらをメインで連携拠点病院でやっていただくかに関しましては、相談で決めていただければよいかと思うのですけれども、そもそもの目的、連携拠点病院に私たちが期待しているところ、参加されるメンバーについても明確化すべきだと私も思います。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。
大西構成員、お願いいたします。
○大西構成員 今の津端構成員の御意見にもあったかもしれませんが、一般的には標準治療の科内での検討といいますか、基本的にはキャンサーボードというと、一般的には診療科内での検討ではなく多職種での様々な治療法の検討を一般的には意味するのだろうと思っています。ただ実態は、実際のキャンサーボードはほぼ臓器単位、疾患別にやっていて、我々もやっているのは疾患ごとに、放射線治療は全臓器に該当しますので、週5回くらいそれぞれの臓器ごとにキャンサーボードを行っているのが実態で、それぐらいやらないと患者さんの個々の治療内容を検討することができませんので、全体丸ごと一つで月1回というのは大きな問題ですし、もうちょっと細分化した具体的な表現を盛り込まないと、全く実態のない形だけのキャンサーボードになってしまいますから、実態に即した表現や定義を考えるべきだと思います。
内容に関しては、後でもしかしたら具体的にもまれるのかもしれませんが、1つは、がん治療の場合、あちこちに標準治療とよく書いてありますが、標準治療に対してオプショナルに代替治療が存在しますので、必ず標準治療と代替治療の両方をディスカッションすること、それから患者さんに説明することと、いう内容を議論した上で記録に残すことを伴うべきかなと感じしております。
以上です。ありがとうございました。
○藤座長 ありがとうございます。ほかはございませんか。地域連携クリティカルパスは後でお話をしたいと思います。
ほかはございませんでしょうか。増田構成員。
○増田(昌)構成員 がん種につきましてですが、先ほど希少がんのことも少しあったわけですけれども、これも今日決めるわけではないと思いますが、方向性をみんなで考えたほうがよろしいかなと思います。ちなみに、沖縄県では沖縄県がん診療連携協議会の下の専門部会の医療部会と離島・へき地部会の中でこういうディスカッションが進んでおりまして、さらに第7次沖縄県医療計画の中での別個に部会がありまして、そちらでかなり進んでいて、希少がんに関しては、もちろん例外はあるのですけれども、原則としては都道府県拠点である琉球大学病院に照会しましょうということと、小児がんに関しましては県立こども病院の2か所で診ましょうという話。それぞれ11のがん種につきましては、医療計画の医療機能調査に基づいて専門とする病院を指定しておりまして、県庁のホームページにも出ているのですが、全ての原則論を書くことは難しいと思いますので、がん診療連携協議会の中でディスカッションすることを促すようなメッセージを入れたほうがよろしいかなと思います。
もう一つは、大原則のことも考えると、多分患者さんたちも迷わないのかなと思いますので、そこの議論をしていければと思います。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。ほかはございませんか。
では、次のグループにまいりたいと思います。4ページです。小児がん患者の長期フォローアップは、皆さん御存じのことだと思います。小児がんの治療成績が伸びているのもあるのですが、長期にわたってフォローアップをする必要があります。これは小児がん拠点の指定要件等々にも関わるのかもしれませんけれども、成人拠点でもこのフォローアップが必要になる場合が多いだろうと。特に、こども病院などでがんを扱われた場合に、その後のフォローアップ、成人になった小児がん患者の長期フォローアップは当然大人の病院で必要になってくるのではないか。ただ、大人の病院から言うと、小児がんだった人のフォローアップはなかなか難しいハードルもあるということですので、このあたりをがん診療連携拠点病院、成人の拠点として明確な方針を決めていく必要があるということだと思います。もちろん、これは全ての成人拠点に必要なのかどうかという議論も含めた話になってくるのだと思います。
次のAYA世代のがんは、我々の中では常識の言葉にはなっていると思いますが、これもまた15歳から39歳という定義が多いのかもしれませんが、その人たちのがんになったときの状況というのは高齢者等々とは違って、就学や就労、結婚、出産、子育て、いろいろな問題があって、それがまだまだ世の中に認識されていないのが大きな問題なのだと思います。したがいまして、AYA世代のがんに対するライフステージ、がんの施策を進めるに当たっては、拠点病院として何らかのアクションは起こさないといけないのではないか。そのための要件をどうしたらいいか考えるのはどうだろうかという案です。
次、妊孕性、生殖医療です。これもまた同じようなことです。このことがどんどん言われるようになってきているのだけれども、実際にこれができる病院は限られているということです。婦人科がある、産科がある、大学病院とか大病院にはなるのだけれども、そうではないがん診療連携拠点病院もある。そのときにどうするかというのは、連携を明確化するなどが要りますし、そもそも妊孕性の説明そのものが患者さんに伝わっていないのが大きな問題だと捉えられているのだと思います。これはしっかりした問題提起として、拠点病院側の認識をつけるためにも要件を入れたほうがいいのではないかという問題提起なのだと思います。すみません、ここで入れたほうがいいと言っていますけれども、いや要らないという意見だってあるかもしませんので、それは後日のディスカッションでやりたいと思います。
次の就労支援も似たような話です。若い人たちの就労支援ということもあるのですけれども、そうではないやや高齢の方でも就労している方もいっぱいいらっしゃるので、辞めなくていいんだよというのをどのくらい本当に言えているのかということ。ただ、体制を整えているだけのイエス・ノーの答えでいいのかということも考えながら就労支援、両立支援コーディネーターというのはありますが、要件の中には入っていません。もちろんそれをすぐ要件に入れるというわけではないのですが、そういう認識を高めるような活動をしているかどうかなどは議論をしていっていいのかと思います。
以上4つ、小児がん患者の長期フォローアップ、AYA世代のがん、妊孕性温存療法、就労支援の充実をディスカッションの議題に挙げることにつきまして、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
松本構成員どうぞ。
○松本構成員 私自身、33歳で子宮頸がんに罹患いたしましたAYA世代の患者であり、また、妊孕性を失った者としての経験がございます。AYA世代のがんについても、妊孕性温存についても、非常に重要な点だと思っております。患者の立場からすれば、もちろん全ての拠点病院で対応していただきたいという願いはあります。けれども実際のところを考えれば、全ての拠点病院で等しくというのは難しいのかなと思っております。特に、AYA世代については、例えば、どこか1か所AYA支援チームのようなものを設けるというような要件などにして、どこか拠点になるところをつくって連携するということがあるかと思います。
そして、妊孕性温存については、今本当に医学が進んで温存できるようになったにもかかわらず、先ほど藤先生からもありましたけれども、なかなかその情報が患者に伝わり切れていないということがありますので、その連携をどうしていくのかということ。そして、挙児希望の有無の確認、これも全ての病院でしていただきたい。いずれにしましても、AYA世代と妊孕性温存については、ぜひ積極的に要件として取り上げていただきたいということを強く申し上げたいと思います。
就労支援については、単に拠点病院の要件というよりは、地域全体を見ていくという視点が必要で、その視点に基づいた議論が必要ではないかと考えております。
以上です。ありがとうございました。
○藤座長 すみません、今の地域全体を見ていくというのは、もう少し。
○松本構成員 言葉が足りませんでした。医療機関だけで就労支援ができるわけではないと思っています。例えば、産保センターや地域の患者団体ももしかしたら一翼を担うかもしれません。そういったところの連携についての議論も必要ではないかと申し上げたかったです。
○藤座長 ありがとうございます。
鈴木構成員どうぞ。
○鈴木構成員 AYA世代のがんに関しまして、今、松本構成員がおっしゃったとおりです。これは御存じのように様々な社会的な課題がある中で、今回見直しの中にアピアランスケアという言葉が入っていなかったことを非常に不可思議に考えて、また感じております。
また、厚労科研清水班で提言させていただいておりますが、AYA支援チームは現在14か所ございます。しかしながら、現状AYAの範囲が広過ぎるために、支援チームをつくるだけではなかなか厳しいという現状もあります。各施設による得意・不得意があるので、そこを横につなげるような対策が絶対的に必要だと思っております。
さらに、今回の見直し要件の中にないというか各論の各論になるのですが、がんの就労支援もそうですし、アピアランスケアもそうですし、全てにおいて公認心理師が関わること、本件のワーキングとは直接関係ないですが、がん患者指導管理料のロの中に心理師等々が入っているべきであるのを、こういった拠点病院の今回の見直しの中には心理・社会的なケアが少し弱いというか、ほとんどないような感じがして、そこもおかしいと考えております。
妊孕性温存療法に関しては、国の研究促進事業が既に4月から始まっております。国の研究促進事業ということは、がん側のアウトカムと生殖のアウトカムを創出するということから、生殖側は日本産科婦人科学会を初め産婦人科、泌尿器科全てが関与しています。この医療はがん医療であり、さっき藤先生が生殖医療はないとおっしゃったのですが、がん側ががん医療の一環であるということで、そこになくても構わないんです。がんの治療医がまず最初に一言伝えることで全てがスタートするので、前回のときにも実は関与させていただきましたが、第3期のときには、がんとの共生に関して共有する体制を整備することであったのですが、これは国の研究促進事業になっていることから、がん治療医がいかにしっかり伝えていくかを明記することが絶対的に必要ですし、繰り返しになりますが、これは国の研究促進事業が始まっているため、がんの医療の一環としてしっかり伝えていく。受け入れ側は体制が整っていますので、その点は確実に明記していただくべきだと感じた次第です。
就労に関しましても、私も含めてがん治療医がいかに患者に対してこの情報を伝えていないかが、先ほどの妊孕性と同じですが、その点を各論になりますが、がん相談支援センターの活用、心理師の登用など、全て横のつながりになるようなものに大きく抜本的に考えていく必要があるのではないかと思いました。
以上でございます。
○藤座長 ありがとうございます。生殖側は、もう条件は整っているということを逆に我々がんの医療者ももっともっと知らないといけないということですね。患者さんに伝える前に、がんの医療者そのものに伝える必要もあるのだと思います。
それから、途中で言っていただきましたが、一番最後に追加があるかどうかをお聞きしようと思っていて、そこで挙がる可能性があると思っていたのですが、アピアランスケアも非常に重要なことだと思うのですが、これについてもディスカッションにしたいと思いますが、いかがですか。
○松本構成員 ぜひお願いいたします。
○藤座長 では、鈴木構成員から御提案頂きましたので項目を1個追加、アピアランスケアもいずれディスカッションのテーマにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかはございませんでしょうか。どうぞ。
○田村構成員 京都大学の田村でございます。
先ほど松本構成員、鈴木構成員から御発表がありましたので重ねてですけれども、AYA世代のがんの方たちは少し狭間に置かれるという感じがありまして、成人でもなかなかうまく生きられなかったり、小児がん拠点病院であっても途中から成人という領域に入っていくという医療の枠組みの中の狭間に入っていて、非常にフォローが薄くなるなと感じていますし、御本人たちも自分たちがどこにどう行ったらいいのかというのは非常に悩んでいらっしゃるところですので、ぜひ、その辺の体制はしっかりと考えていただきたいなと思っています。
それから、今通ったので結構ですけれども、アピアランスケアについても私もこの中にないのがちょっと不思議だなと思っておりましたので、ぜひ、そこは検討に加えていただきたいと思います。
あと1点、就労支援ですけれども、これは松本構成員もおっしゃっていましたが、今ある程度の体制という意味では、就労支援しますよということは伝わるようにはなってきていますけれども、実際それを活用して患者さんたちが働き始めると、職場が見つかったというだけの簡単な問題ではないなということを非常によく耳にしております。なので、就労支援をするという意味をもう一度よく検討して、そこまで含めて本当にがん拠点等で行っていくのか、行っていけないとするならば、ほかの方策は考えていく必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
○藤座長 ありがとうございます。今のは先ほど松本構成員もおっしゃった地域との関わりもあるのだと思います。医療者だけが、がん拠点だけが頑張って言ったところで、職場が見つかればいいというものではないというのは貴重な御意見だと思います。ただ、拠点病院側で何ができるかというのは、また議論が別になるかもしれませんけれども、何らかのこの議論を通してそれを発表することで問題提起もしていくことができればいいなと聞いておりました。また議論したいと思います。ありがとうございます。
ほかはございませんか。
では、次にまいります。手術療法、放射線療法、薬物療法の提供体制です。これは、人員の配置などいろいろな問題があります。その中で、これは全部一個一個後で議論することになると思うのですけれども、どこぐらいの人員配置が現時点での落としどころになるかということも考えていかないといけないと思います。これは若尾班で、この人員は確保が困難とか、一部の病院でいいというデータが皆様のお手元にプリントされていたらあると思いますが、すごい量があります。結構なところが10%や20%が確保は困難というところがいろいろな項目で出てまいります。では、それを10%もできないから「望ましい」にするのかという議論もある程度は必要になってまいります。
例えば、私は外科ですので手術のことで言えば、手術の数をチェックすればいいというものではないということで、質の評価が大切だということです。その中で現在の要件の中にはSSI(Surgical Site Infection)、傷の感染のチェックを病院を挙げてやっているかという項目だけが挙がっています。こういうところが、もうちょっと手術の質を上げる項目をチェックする必要があるのか、ないのか。そういうことも含めて、それは放射線でもそうですし、薬物療法でもそうなのだと思います。ただ、ストラクチャーだけの評価をするのではなく、それで何人したかというプロセスの評価をするだけではなく、質を上げるための活動をどうしているか。それもプロセスですけれども、そういうチェック項目を挙げるか挙げないかの議論などが必要になってくるのだと思います。
そこに書いてございますように、放射線治療に係る医師、放射線技師、特に医学物理士等の要件についてどう考えるかと具体的に書いてありますが、これは大西先生中心に御議論頂きたいのですが、いろいろな意見があって、これは難しいという人がいっぱいいるということなのだと思います。これは後で議論したいと思います。
次に、緩和ケアの提供体制です。これはここで一生懸命議論するのは当然なのですが、その前に、がんとの共生のあり方に関する検討会がありまして、その中で緩和ケア部会というものができて、そこでいろいろ現状を議論していただいていますので、恐らくそこからこのワーキンググループにこういう要件はどうだとかいろいろなことが挙がってくるのかと思いますので、それを待った上でやっていく必要があると思います。あっちで議論、こっちで議論して収拾がつかなくなるよりも、我々としてはそちらを待って、その後本当に拠点病院全体の在り方、持続可能性やがん医療を進めるためには絶対必要だという議論もここでやっていくことになるのかと思います。
これに関して事務局は、今の感覚でよろしいですか。がんとの共生のあり方に関する検討会、後で相談支援等もできますけれども、それと緩和ケア部会との意見がこちらのワーキングに来て議論をするという認識でよろしいですか。
○岩佐がん対策推進官 緩和ケア部会の議論も並行して実施しているところでございます。全ての議論がこの検討までに終わるかどうかという点はあろうかと思いますけれども、ある程度拠点病院にお願いしたい内容等々については、なるべく早い段階で取りまとめをしていこうと考えてございますので、そういった御意見なども踏まえて、それらを具体的に要件化するためにどうしたらいいのかという観点で、先生方には御検討いただければと考えてございます。
○藤座長 ありがとうございます。
次が、地域連携の推進体制です。ここには地域連携クリティカルパスと書いてあります。地域連携というのは、地域連携クリティカルパスだけではなく単なるツールですので、これをどうするかということです。御存じのように、第1期の基本計画のときに、一番最初のスライドの中にも拠点病院をつくって地域連携クリティカルパスを整備するのが拠点病院の仕事だみたいなことがありましたので全国でやり始めたのだけれども、うまくいっているところと、うまくいっていないところの格差がいっぱいあるのだと思います。ですから、こんなもの役に立たないといってやめてしまうところもあるかもしれませんし、この辺の書きぶりをどうするのかということです。
それとは別に、それを使うにせよ、使わないにせよ、地域連携の推進体制は今後絶対進めていかないといけないことになるのだと思います。特に、今は医療だけでは済まない話になってきています。高齢者がいる介護施設でがんになった人が、うまいことがんの診療・治療に結びついているのかという問題も、非常に大きな問題になってきていると思いますので、そういうところも含めて、拠点病院としての要件の在り方を議論できたらいいのではないかと考えてリストアップされています。
それから、セカンドオピニオンについては皆さん御存じだと思いますが、皆様の施設では当然のごとくやっておられるのでしょうけれども、患者さんの立場から言うと、患者体験調査ではその話聞いたよというのは34%なんですね。3人に2人はそんな話聞いてないよということなのかもしれません。これをどうするかというのは、もうちょっと考えないといけないし、各拠点病院のスタッフなり体制整備について、もうちょっと分かるような指定要件を明確にしないといけないのかなということになるのだと思います。
以上、手術、放射線、薬物療法の提供体制、緩和ケア、地域連携、セカンドオピニオンについて、御意見ございますか。
増田構成員どうぞ。
○増田(昌)構成員 ここは根幹に関わるところではありますが、違う方向の見方を御提案したいと思います。
総論として、誤解を恐れずに言わせていただきますと、これは私自身の臨床医としての実感なのですが、がんに関わる臨床医はその場その場でベストを尽くしていると思いますし、実際に少なくとも拠点病院においては標準治療も多くの場合行っていると思います。外科医、放射線科医、腫瘍内科医はそれぞれの手術や放射線治療、薬物療法、免疫療法いずれもちゃんとしているのではないかと思っています。もちろん緩和ケアも身体的な専門医やサイコオンコロジーの先生も、また緩和ケアチームもきちんと対応しているのではないかと思います。なので、そこに細かな規定や人数、回数などいろいろなことを入れて質の担保を図るのは、現状においては既に適当ではないのではないかと思うのが私の感覚です。そこは、むしろ5年生存率や患者体験調査のアウトカム指標できちんと評価していくと同時に、これらはリアルタイムの評価が難しいものですから、それを補おうとしてクオリティー・インディケーターなどのリアルにプロセス評価をきちんとしていく。これを多く取り入れていくことが必要なのではないかと思います。
ここは割とちゃんとしているところなので、拠点病院の医師を初めとする医療者を信じてというのは言い方がまずいのかもしれませんが、出口のチェックがすごく大事になってくるのかなと思っております。そこで、少し要件を緩和していく必要があるのかと。ここは議論をしていただければと思います。
逆に、周辺部分と言っては何ですけれども、専門家が自分のメーンの専門と思っていない部分は、私どもの琉球大学も含め都道府県拠点病院といえども不十分ではないかと思います。例えば、緩和ケアチームはすごくよく頑張っていらっしゃると思いますし、緩和のところにたどり着いた患者さんは、すごくよくされていると思うのですけれども、緩和の専門医師や看護師や緩和ケアチームにたどり着けない患者さんが大勢いるのではないかと思います。ここは、きちんとスクリーニングや、私のところでは毎日モニタリングしているのですけれども、そういうことをして患者をきっちり拾い上げるとか、それをまずは主治医チームが頑張って対応していく。主治医チームが何とかできなかった場合は緩和チームに紹介する、こういうシステムをきちんと今まで以上に構築することが一番必要なことで、これを丁寧にして、その場その場でできているかを評価していくことがいいのではないかと思います。それを拠点病院がすることによって、二次医療圏内のほかの病院にも波及していくのではないかと思います。そういった意味では、ほかに相談支援やインフォームド・コンセント、セカンドオピニオン、アドバンスケアプランニングのような部分はきちんと書き込んでいくことが必要なのかなと思っております。ですから、そこは少し分けて議論をしていくことが必要かなと思います。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。実際に行われているかなりのレベルの治療はアウトカムもしっかり見ていく必要もあるのだということだと思います。細かな要件ばかりにこだわらずに、そういう視点も持って、この議論を進めていこうとおっしゃっているのだろうと思います。実際に進めていきますとどうしても細かくなってしまいますので、増田構成員、また今みたいなコメントを途中途中で頂ければ、みんなハッと思うかもしれませんので、よろしくお願いします。
早坂構成員、手を挙げておられましたね。
○早坂構成員 日本医療ソーシャルワーカー協会の早坂です。私は、地域連携の推進体制のところで意見を言わせていただきたいと思います。
これはがん診療連携拠点病院ということですので、地域での医療機関の連携は本当に欠かせないものであり、拠点病院とそれ以外の病院の連携の在り方が求められていると思います。さっき藤先生がおっしゃっていたこともそうですし、加えて介護や福祉との連携も今非常に多くなってきています。介護施設で悪くなり、最期を介護施設で看取ってもらう方も増えているので、そういう意味では新たな課題としてあるかなと思います。
それと、地域連携クリティカルパスは、どうしても診療報酬のがん診療連携パスに引っ張られているのですが、1回目の入院しかそれが使えないということで、利用がしづらい状況です。実際に連携が必要なのは治療の合間や治療後で、クリティカルパスが整っていくことで、ちょっと前に言われていたがん難民ではないですけれども、積極的な治療を終えた患者さんが緩和ケアに至るまでの間の期間、どこで治療を受けたらいいのか、診てもらったらいいのかについて考える時期をどうサポートするかも検討の中に入れていただけたらと思います。
○藤座長 ありがとうございます。介護・福祉との連携というのはソーシャルワーカーだからこそ一番感じておられるのかと思います。ありがとうございます。
次にお二人、大西構成員と松本構成員、お願いします。
○大西委員 先ほどの放射線治療のところですけれども、細かいところはまた個別に後ほどもむのかもしれませんが、放射線治療に関しては実は物すごく大きな問題がございます。恐らく御存じの強度変調放射線治療という非常に高度な技術なのですが、がん診療連携拠点病院では装置やスタッフの技術的には実は提供できるにもかかわらず、診療報酬上の施設要件の規制で半分の施設でしか提供できていないというものすごく大きな問題があります。診療報酬上の規制とは、本当は放射線治療医師が2人いないと強度変調放射線治療を提供できないことになってはいるのですが、現状では放射線治療医師は1人という施設が半数近くを占めることから、診療報酬上の含めて根本的に検討するべき要件ということになると思います。
一方、放射線技師と医学物理士に関しては、今のところ技師は2名が望ましいとか、医学物理士の存在が望ましいという書きぶりなのですが、これに関しては施設の努力によって、質の高い放射線治療を提供するには技師は2名必ず必要ですし、医学物理士も原則必要ですので、この辺の書きぶりは望ましい要件の撤廃が必要で、もうちょっと厳しくしてもいいですし、厳しくするべきだと考えております。
緩和ケアに関してですが、新しい技術として、実は放射線診療的にはIVRという画像化治療がかなり普及し始めていますので、また具体的なことを考えるときに御検討頂ければと思います。
最後に、地域連携ですが、そもそもですけれども、がん診療だけではなくて最後のICTにも関わりますが、病院間のいわゆるオンラインでの連携、症例検討のカンファレンスをオンラインでできる環境、インフラをつくるというのは、そもそも現在、がん診療だけに限らず基本的にできると思いますし、これを今回の施設要件の中にどう組み込んでいくというのは、コロナ禍におけるICTの活用も含めて大きな一つの課題になってくると思っています。
以上です。ありがとうございます。
○藤座長 ありがとうございます。病理とも関わってきますけれども、オンライン診療がかなりできるようになってきたときに、それをどうするかということも含めて考える必要があるのだと思います。
医学物理士等々の話は、また大西先生、そのときに詳しく現状などを教えていただければと思います。
○大西構成員 了解しました。
○藤座長 では、松本構成員、すみません、時間が過ぎていますので簡単にお願いします。
○松本構成員 緩和ケアについて一言だけ申し上げておきたいと思います。
先ほど増田構成員からは一定程度できていて、そんなに細かく縛る必要はないのではないかという御指摘がありました。そのことは理解いたしますけれども、患者体験調査でつらさを和らげる支援が十分であると感じると回答したのは、わずか43%です。この数字を軽く見ないでいただきたいということは申し上げておきたいと思います。
それから、1点確認です。緩和ケアに係る部会の議論を待ってということでしたけれども、この部会での議論以外の点もあろうかと思います。この部会の意見に縛られる必要はないということでよろしいのか、事務局に確認をさせてください。
○藤座長 今の御意見どうでしょうか。
○岩佐がん対策推進官 まさに、この緩和ケアに係る拠点病院に係る要件をこの場で議論していただくことになりますので、当然部会の議論は部会の議論として御理解・御承知いただいた上で、追加的な議論をこの場で実施していただくと考えておりますので、必ずしもそこに縛られるものではないと考えております。
○松本構成員 ありがとうございました。
以上です。
○藤座長 今の点は確認しておきたいと思います。ありがとうございます。
では、続きまして、病理、相談支援、情報公開、研究にいきたいと思います。少し時間が過ぎるかもしれませんが、御容赦頂ければと思います。
病理も、病理の診断専門医が十分でないということがありますので、その医師の配置についてどうするかということ。
それから、バーチャルができてきている今、それをどの程度まで認めるかということなのだと思います。もちろん体制の確保をするための要件ですので、このあたりの各論は詳しくは後でお話しいたしますけれども、病理の増田構成員から後でコメントを頂ければと思います。
相談支援センターは、利用した人の満足度は高いのだけれども、利用した人がまだまだ少ないという現実はずっと言われ続けています。各拠点や相談支援センターが努力していないわけでは全然ない。私はこれに随分関わってきておりますので分かりますが、今のまま要件ともっともっとやれやれと言うだけでは、実際にアウトカムが十分でないというのは現実なのだと思います。しかしながら、がん相談支援センターで相談できるのだと患者さんに知らせることは物すごく大切なことであるというのは皆さん御理解いただけると思いますので、どういう要件を加えることでより伝わりやすくなるかという議論をしていく必要があるのだと思います。ただ、相談支援センターも少ない人数で、拠点病院の中で相当疲弊している部門であるのは間違いないことだと思いますので、その辺も勘案しながら御議論をお願いしたいと思います。
それから、情報公開は院内がん登録、東先生がおられますが、これについての情報公開をどの程度までしていくのか。していますか「はい」のチェックをどのようにしていくかも非常に大切なことかと思います。
最後、研究は、がん診療連携拠点病院というのはどういう組織かに関わってくるのだと思います。最先端の治験をしていく施設なのか、標準治療ができればいいのか、ここは格差でいろいろ問題があるかもしれませんが、そのあたりの研究における書きぶりも議論していく必要があるのかと思っています。
今の4点で何かございませんか。増田しのぶ構成員、病理の立場からお願いいたします。
○増田(し)構成員 ありがとうございます。皆様御存じのように病理の専門医が必ずしも足りない地域がございまして、そういう地域では、がん診療拠点病院に常勤の病理医を配置できないところがあることも分かっております。また、離島が多い地域や非常に移動に時間がかかる地域では、非常勤医ですら日帰りでは行けずに泊まらないといけないという地域も全国にはございます。ですので、このような形で、例えば、要件の中に遠隔病理診断などを盛り込むと、恐らくそれが推進力となって変わっていく可能性はあるのですけれども、ただ、病理医の立場からしますと、病理診断の診断精度をどのように担保できるかというのは非常に大きな課題になるかと思います。特に、手術中の迅速病理診断を遠隔でバーチャルスライドで行うことに関しての技術的な、今のレベルが十分かどうかの検証が必要ですし、患者さんのセキュリティーを担保した上でのデータ送信が可能なシステムも考えていく必要があるのだろうと思います。
そのときに、恐らく遠隔病理診断をやる側と受ける側と送る側との間の信頼関係や責任を誰がどのように持つのかというあたりの連携が必要になりまして、今日、均てん化だけではなくて、いろいろな意味での連携が必要だというお話が出てまいりましたけれども、連携を高度型の連携病院あるいは都道府県がやるのかとか、施設の間での信頼関係や責任もある程度加えた上での連携というところまで連携という言葉の意味を考えていかないと、実現はなかなか難しいのかもしれないとは思っております。
ただ、現在でも地域によって、既に経験値が高い遠隔理病理診断の地域もありますし、需要の高い地域、そういうところから実際にやっていくのも一つの考え方かと思っております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。そのあたりの御議論は本当に質の評価がどの程度できるのかということは我々にはなかなか分かりませんので、その辺のことも実際の議論のときに教えていただければと思います。よろしくお願いします。
ほかはございませんか。田村構成員から、次に早坂構成員、お願いします。
○田村構成員 相談支援センターのことでございますが、なかなか努力はしても広がらないという現状が本当に長く続いております。それぞれのところに出前で紹介に行ったりということも院内等ではしておりますけれども、現実的にはそれを活用する患者様というよりも、むしろ医療従事者のほうが十分に理解していないことが現状としてはあるかと感じておりますので、ぜひ何らかの要件を加えて周知ができるようにしていただけるとありがたいなと思っております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。
早坂構成員どうぞ。
○早坂構成員 この相談支援センターは10年以上やってきましたが、治療の選択や病気の理解というところで看護師さんが、今回就労支援という話も出ていましたし、地域連携や経済的問題についてはソーシャルワーカーが専門的に対応できると思います。ですので、患者さんにとってワンストップではないですけれども、がんということではあるのですが、どんな相談も受けられますという窓口にすることが必要で、そのためには専任であれ、専従であれ、看護師さんとソーシャルワーカーの両職種の必置、もちろん相談員研修を受けた上でということでもいいと思うのですが、両職種が必ずいるという体制にすることが院内からも信頼が持てる体制と言えるのではないかと思いますので、その職種の在り方というのは検討に入れていただけたらと思います。
○藤座長 ありがとうございます。現場で感じておられることをそのまま言っていただけたのだと思います。ありがとうございます。
東構成員、手が挙がっていますか。
○東構成員 情報公開と研究について少しだけ述べさせていただきたいと思います。
情報公開に関しましては、院内がん登録が例に挙がっておりますけれども、ある意味各病院で行うべき情報公開と、一括して情報をどこかにためて行うべき情報公開を整理して考える必要があるかと思います。各病院の情報は、各病院のある意味自由度を持ってアピールしていただければいいと思いますけれども、特に数字などですと一括して集計したほうが分かりやすいですし、使いやすいですし、理解もしやすいということがあるかと思います。また、これはそういった議論でできればと思います。
研究についてですけれども、ここには政策的公衆衛生的な必要性の高い調査研究が書かれております。これだけではなくて恐らく臨床研究の在り方も拠点病院がそれを担うべきなのか、そうではないのかは議論が必要だとは思いますけれども、分けて考える必要があるかなと思います。
私はどちらかというと、政策的公衆衛生的な研究・調査が専門なのですが、32.2%が一部の施設で必要と。この一部の施設で必要というのは、選択肢としてもう一つあるのが全部の施設で必要なので、逆に言うと一部だけでいいという主張ですので、32%もそうだったのは少し残念なのですけれども、ただ、拠点病院である限りは、もちろん純粋な研究は参加するかしないかは自由に決めればいいと思いますけれども、政策的に必要なものは、特に国がやるもの、協議会なり、こういった検討会に報告するものというのは、協力をしていただいて実態をきちんと把握できる体制が必要だと私は考えますので、これも負担とのバランスだとは思いますが、検討に挙げていただけるといいかと思います。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。
ほかにございませんか。研究というのは言い出したら相当いろいろなパターンが出てまいりますので、要件を決めるに当たっては何らかのコンセンサスを持って決めていかないといけないと思いますが、非常に大切なディスカッションするべき項目かと思います。
では、次にまいります。最後のグループです。これは今、要件にないところです。BCPについて。BCPというのはコロナだから出てきているのですが、地震や洪水、各病院は当然今は当たり前のようにやっているべきところですが、がんの診療について今後BCPをどう考えていくか、それを拠点病院の要件としてどのように盛り込むかを考えていく必要があるのだと思います。
ICTは先ほどもありましたけれども、今後コロナに関わらずいろいろなことが分かってまいりましたし、進歩しておりますので、これをどのように認めるかということです。例えば、1点具体的なことを言えば、緩和ケアの研修については、eラーニングなどは座学でいいのだけれども、コミュニケーションスキルの模擬患者さんたちを入れるようなものはオンラインでは駄目だろうという意見もあったり、だんだんと進歩してきて、それもできるようになってきていますので、そういうものを要件として認めるのかどうかを考えていく必要があるのかと思います。実際に、コロナのせいでそれができていない拠点病院がいっぱいありまして、それは経過措置として今年は仕方ないよということで見ているところもありますが、いつまでもコロナとばかり言っていられないので、オンラインの在り方も要件としてどう盛り込むかを考えていきたいと思います。
それから、今までなかったのが不思議ですが、リハビリについての体制を整えていく必要が、がんのリハであるということです。
最後もう一点ですが、ピアサポートについての拠点病院の指定要件の中にはその言葉がたしかないです。第3期の基本計画の中には、相談支援センターでするのとピアサポーターの支援をしていくことが明記されているので、これに対して拠点病院としての何かのアクションを起こさないといけないのかなということだと思います。ピアサポートの主体は患者会ですので、それを全部拠点病院がするということではないのかもしれませんが、患者会などが養成しようというピアサポーターの活動を支援するということはあり得るかもしれませんので、その辺の議論をしていただければと思います。
それに、また1個だけ加えさせてください。後で言いたいと思っている方がおられるかと思いますが、この中で高齢者の項目がございません。小児はあるのですけれども、ライフステージについてのことが共生の中でしっかり言われておりますので、高齢者に対するがんの医療をどうするか。その体制をどうするかは進めていかないといけない。高齢者に対する標準的治療が、なかなかデータや臨床試験もないということで、エビデンスがないのをいつまでも放っておけないのだったら、拠点病院がエビデンスをつくるということでは直接的ではないにせよ、その方向性の活動もしていく必要があるかもしれない。ないことはないと思いますが、その辺の議論も要件の中に加えていけるかどうかを考えていけたらと思います。
今言った5つ、すみません、もう時間が過ぎてしまっていますが、BCP、ICT、リハビリ、ピアサポート、高齢者について、津端構成員どうぞ。
○津端構成員 今、藤座長に言っていただいたのですけれども、実は私、最後に加えていただきたい項目といたしまして高齢者の項目を挙げようと思っておりました。背景といたしましては、お話しいただいたとおりなのですけれども、がん対策の基本計画の中に高齢者がAYA世代のがんと並列して書いてあるのですが、全く盛り込まれていないという状況。中身を見ますと、ガイドラインの策定を推進して、それができた場合には広げることを連携拠点病院は行うということが書かれているのですけれども、18、19、20でガイドライン等も出てきておりますので、具体的なことを記載する時期になっているのではないかと思っております。
患者様のアンケートを見ても、平均年齢は既に60代後半でいらっしゃいますし、御遺族の方のアンケートでも患者さんの年齢は70代後半ということで、こちらは避けて通れないと思います。
連携拠点病院の役割としては2点あると思っておりまして、こういったところを盛り込むことによりまして、先ほどお話しいただきましたけれども、エビデンスがない領域ではあるのですが、そちらに関してリスクを評価するというところは全くなされぬままにがん治療が行われている場合もございますので、オーバートリートメント、アンダートリートメントを防いでいくということと、もう一点、地域連携でも少しお話がありましたが、どうやって高齢者を地域で見ていくかに関しても、ぜひとも盛り込んでいただけたらいいかなと個人的には思っております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。先走って言ってしまってすみませんでした。
○津端構成員 とんでもないです。ありがとうございます。
○藤座長 次は、松本構成員、早坂構成員、増田構成員の順番でいきましょうか。お願いします。
○松本構成員 手短に申し上げます。ピアサポートの促進についてです。
今、出していただいている文章の中にも育成について課題があるとの意見もあるとあります。第3期の基本計画を受けまして、厚労省がサイコオンコロジー学会に委託して、研修プログラムの見直し、また都道府県との協働などについて取組をしております。この指定要件は前回定まってからこの4年の間にその変化がありましたので、これを踏まえた上での議論をぜひさせていただきたいと思っております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。その辺の現状をよく分かった上で議論していこうということだと思います。
次、早坂構成員、お願いします。
○早坂構成員 ICT技術の利活用のところなのですが、セカンドオピニオンもオンラインでできるようにできないかという提案をしたいです。特に希少がんなどは遠方での相談ということになるので、セカンドオピニオンも入れていただきたいというのが1点。
それと、実際にがんの拠点病院の中にWi-Fi環境が整備されていないという現実があることが分かりまして、小児が学校の授業を受けたり、あるいはオンラインのがんサロンなどもありますので、ちょっと類が違うかもしれないのですが、Wi-Fi環境についても検討していただけたらと思います。その2点です。
○藤座長 ありがとうございます。病院経営の問題もいろいろあるかと思いますが、その辺の活動を推進しようという体制があるかどうかということが大切なのだと思います。
次、増田構成員、お願いします。
○増田(昌)構成員 ピアサポートの件でお話をしたいと思います。
私どものところでは、ピアサポート及び患者サロン、ピアサポートの養成活動をして11年目になるのですが、長くやっていることもありまして、沖縄県以外からいろいろな問い合わせや相談事があるのですが、拠点病院の中でピアサポート活動がなかなか進んでいないことがありますので、ぜひこれを機会に、さっき松本構成員からもお話がありましたけれども、養成講座についても再度の改定が行われておりますし、私たちもそれに準じて養成活動をしていますし、ピアサポートの養成につきましては各団体がかなり気を遣って、十分に考えながらやっておりますので、そろそろ拠点病院、皆さんのところで受け入れていただくことも御検討していただければと思っております。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。これは基本計画の中に明記されているので、拠点病院としても何かする必要があるというのは、そのとおりなのだと思いますので、その活動支援がどう要件の中に盛り込まれるかを考えていく必要があるのかと思います。
最後、久保構成員、お願いいたします。
○久保構成員 BCPのところで意見を述べさせていただきたいと思います。
今回、状況の変化の大きなものとして新型コロナウイルス感染症の影響があるかと思います。感染防止のために遠方からの受診を控えたり、紹介数や手術件数、薬物治療、放射線治療の数も減ったと思います。感染症拡大や大規模自然災害のようなものが起こったとしても、治療やケアが中断されたり、滞ったりすることがないように、拠点病院と地域の病院等との連携体制の整備や拠点病院へのアクセスに困難が生じた場合の対応などについても御検討いただければと思います。
以上です。
○藤座長 ありがとうございます。それは一般論として大切というだけではなく、がんの拠点であるからこそ、拠点病院同士の連携等々、これはある意味地域を超えた、隣の拠点病院との連携という意味ではありませんから、広い意味の連携のことも考えていかなければいけないのかもしれません。ありがとうございます。
時間が過ぎてしまって申し訳ございません。以上で、予定していたところは終わったのですが、最後にこれは言っておきたい、言い足りなかったという点がございましたら。ございませんか。また今から各論を相当詰めていくことになって、議論はどんどん煮詰まっていくのかと思います。
本当に活発な御議論を頂いてありがとうございました。事務局としては頂いた御意見を整理していただきながら、次回からは各論的な内容を検討していくことになるのだと思います。
それでは、これで議論を終わりたいと思います。進行を事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いします。
○岩佐がん対策推進官 藤座長、構成員の皆様方、本当に活発な御議論を頂きまして、ありがとうございます。次回以降のワーキンググループの日程につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
また、本日、十分に伝え切れなかった分等々更なる御意見がございましたら、事務局までお寄せいただければと思います。
本日頂いた意見を踏まえまして、引き続き所要の検討を進めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の検討会を終了させていただきます。ありがとうございました。
 

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線4604)