2021年5月28日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年5月28日(金)14:00~

出席者

出席委員(21名)五十音順
  • (注)◎部会長 ○部会長代理
行政機関出席者

議事

○医薬品審査管理課長 ただいまから、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。この度の医薬品部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 本日の出席状況ですが、大曲先生と島田先生が後ほど御参加いただけると承知しておりますので、現在のところ、当部会委員数21名中19名の先生方がこのWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際しても、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただきますので、御了承いただければと思います。
 それでは清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 清田です。それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名いただきます。随時メッセージ機能も御利用ください。
○清田部会長 これまでの御説明に、御質問、御意見等はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~13と製剤写真を用いますので、お手元に御用意ください。このほか、資料14として、「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料15として「専門委員リスト」、資料16として「競合品目・競合企業リスト」、それから、その他資料1-1~1-4として、コミナティ筋注の添付文書改訂に係る資料を事前にメールにてお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良等がございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続いて、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料16の1ページを御覧ください。タズベリクですが、本品目は濾胞性リンパ腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。2ページを御覧ください。ルタテラですが、本品目は神経内分泌腫瘍を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。3ページを御覧ください。ライザケア輸液ですが、本品目はルテチウムオキソトレオチド(177Lu)による腎被曝の低減を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページを御覧ください。ユニツキシンですが、本品目は大量化学療法後の神経芽腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。5ページを御覧ください。ハイヤスタですが、本品目は成人T細胞白血病リンパ腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。6ページを御覧ください。タルクですが、本品目は続発性難治性気胸を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に、特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりです。議題1「タズベリク」、退室委員は山口委員、議決に参加しない委員は亀田委員、南委員です。議題2「ルタテラ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員です。議題3「ライザケア」、退室委員なし、議決に参加しない委員なしです。議題4「ユニツキシン」、退室委員なし、議決に参加しない委員なしです。議題5「ハイヤスタ」、退室委員は山口委員、南委員、議決に参加しない委員なしです。議題6「タルク」、退室委員なし、議決に参加しない委員なしです。また、議題7についても各委員より寄附金・契約金等の受取の申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議」以外の審議に該当いたしますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に、特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。本日は、審議事項7議題、報告事項5議題、その他事項2議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移ります。議題1です。山口拓洋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議題1の審議の間、会議から御退室して御待機いただくことといたします。山口委員は御退室をお願いいたします。
── 山口委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料番号1、医薬品タズベリク錠200mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの75分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 Enhancer of zeste homolog 2、以下、EZH2と略します。EZH2は、ヒストン修飾を介して遺伝子発現を調節するポリコーム抑制複合体を構成する因子の一つであり、ヒストン等のタンパクのリジン残基にメチル基を付加する反応を触媒することで、クロマチン構造を凝集させ、遺伝子の転写を抑制すること等により、胚中心細胞等の分化、増殖等に関与すると考えられています。本剤の有効成分であるタゼメトスタット臭化水素酸塩は、EZH2に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、EZH2のメチル化活性を阻害することで、細胞周期の停止及びアポト-シス誘導を引き起こし、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
 今般、本剤は、EZH2遺伝子変異を有する再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(再発又は難治性に対して未治療の場合を除く)を効能・効果として承認申請されました。令和3年2月時点において、本剤は再発又は難治性の濾胞性リンパ腫に係る効能・効果で、米国のみで承認されています。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料15にありますとおり8名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第I/II相試験である101試験及び国内第II相試験である206試験が提出されました。有効性については、審査報告書45ページの表28を御覧ください。再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫、以下FLと略しますが、FL患者を対象とした101試験の第II相パートのコホート4において、主要評価項目とされた奏効率は68.9%であり、事前に設定された有効性の判断基準を満たしました。
 審査報告書43ページの表27を御覧ください。再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性のFL患者を対象とした206試験のコホート1において、主要評価項目とされた奏効率は76.5%であり、事前に設定された閾値を上回りました。以上の結果等から、再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性のFL患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書47ページの7.R.3安全性についての項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象は、感染症、骨髄抑制、二次性悪性腫瘍及び光線過敏症が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。以上のような審査の結果、機構は再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 なお、本剤の投与に際してEZH2遺伝子変異の有無を確認するための体外診断用医薬品が開発されており、先般承認されております。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、事前に渡辺委員より御質問を頂いておりますので、機構より回答させていただきます。「本剤は、比較的副作用が少ないが、EZH2遺伝子変異を有する再発又は難治性のFL患者のうち、高齢者でかつ造血幹細胞移植の適応がなく、CHOP療法、ベンダムスチン、フルダラビン等の細胞毒性抗がん剤の使用が適さない患者に対して、初回治療として本剤を使用することは許容するのか。また、若年でかつ造血幹細胞移植後の患者に対して、維持療法として本剤を使用することは許容するのか」という御質問を頂きました。まず、1点目の御質問について、本剤の臨床試験成績より二つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性のFL患者において本剤の臨床的有用性が認められたこと等を踏まえると、前治療歴が二つ未満の患者に対する本剤の投与は推奨されないと考えております。
 2点目の御質問について、FL患者における造血幹細胞移植後の維持療法としての本剤の有効性及び安全性を検討した臨床試験成績は得られていないことから、造血幹細胞移植の維持療法としての本剤の投与は推奨されないと考えております。事前に頂いた御質問に対する回答は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。まず渡辺先生、この回答についていかがでしょうか。
○渡辺委員 この48/75ページを見ますと、かなり副作用も軽いですね。Grade3以上が極めて少ないということがあります。確かに今回は臨床試験、治験の対象疾患はある程度前治療があるというケースですが、そうした状況は十分承知の上ですけれども、かなり有効性が高くて有害事象も少ないものであるならば、ベネフィットを受け得る症例群というのは結構あると思うので、先ほどお尋ねしたような状況に関して、確かに臨床試験の対象には今までなっていないのですが、これから更に臨床試験を追加せよということで承認するのか、それとも何らかの手段でもって、こういう状況だったらいいのではないかというような判断ができるのか。機構がおっしゃるのは、いつもいつも同じような木で鼻をくくったような対応なので、少しわざと質問してみました。
○清田部会長 ありがとうございます。機構からいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先ほど申し上げたように、現時点で推奨される投与対象は前治療歴が二つ以上の患者となりますが、現在、海外において前治療歴が一つ以上の患者を対象とした第III相試験が実施されている状況ですので、我々としてはそういった結果も踏まえて、今後、先生に御指摘いただいたような患者に対する投与をどうするかという点について検討してまいりたいと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。渡辺先生、いかがですか。
○渡辺委員 つまり、適応拡大に関しては、既にステップを踏み出しているという理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御認識のとおりです。
○渡辺委員 ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、ほかの委員の先生方からの御質問を承ります。いかがでしょうか。
○南委員 南ですが、伺ってよろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○南委員 私が聞いていてはいけないのかもしれないのですが、頻度的に変異は、この疾患でどの位あるのかを教えていただいて、今回の承認の枠組みは、条件付き早期承認制度の枠組みを使っているのかどうか、他の制度を利用しているのか教えてください。今、海外で第III相試験が進行しているということでしたので、承認の枠組みについて確認させてください。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。最初に御質問いただいたEZH2遺伝子変異の頻度がどれぐらいかという点についてですが、FL患者では、文献によると7%~27%でEZH2変異があるということが報告されております。続いて承認の枠組みということですが、本品目は条件付き早期承認制度の枠組みではありません。
○南委員 了解いたしました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。宮川先生、いかがですか。
○宮川委員 基本的なことなのかもしれませんが、42、43/75ページの国内の所です。奏効率の90%信頼区間の下限値が閾値奏効率10%を上回ったことを評価する結果となっています。海外の臨床試験では95%信頼区間で検討したこと、それから海外の文献に基づいて下限値20%で設定したことに対して、国内治験では10%であったという想定の設定の根拠というのをお聞きしたいと思います。そういうことになると奏効率が上昇するのかどうか、単にこれは例数が少なかったということで、そうした枠組みをあえて取ったのかということについて、基本的なことなのですけれども、お教えいただきたいと思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。国内第II相試験の閾値の設定根拠に関連して御質問いただいたものと理解いたしました。審査報告書の43ページの脚注の51に閾値の設定根拠について記載しています。今回の臨床試験の対象患者が標準的な治療選択肢がないという状況で、臨床的に意義がある値として、閾値としては10%というものが設定されております。機構としては、閾値を上回ったことに加えて、今回コホート1で得られた76.5%という奏効率の値に臨床的意義があると判断して、一定の有効性が示されたと判断しております。
○宮川委員 その注釈も読んで、それで今、理由は症例数が少なかったことだけかとお話をしたのですが、それをもって奏効率が高いというような根拠で提出されたことがよく理解できないとお尋ねしました。その辺のところは、しっかりと説明が必要なのではないかと思って御質問いたしました。そういうことでよろしいのでしょうか。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 もう一度お願いできますか。恐れ入ります。
○宮川委員 注釈の所の51ということは、よく分かりました。つまり選択肢がない、それから患者さんの数が少ないということで、そうした設定をされたのだということだったのですが、根拠はそれだけでしょうか。それで奏効率が高くなったと、その結果76.5%というのをただ主張されるという意味が分からなかったのです。先に設定ありきでなくて、そういう理由があったからこうなったという説明をしないと、やはり整合性が立たないのではないかと思って御質問させていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。御認識いただいたとおりかと思います。
○宮川委員 では、そうした意味で76.5という数字が独り歩きしないようにしていただければと思います。それから、国際臨床試験に日本人が入れなかった背景というのは何かあるのでしょうか。国際試験の中に入らないということがあったという理由が少しよく分からなかったので、教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問は、先ほど御説明した海外で第III相試験が実施されている所に、日本がなぜ入れていないのかということでしょうか。
○宮川委員 そうです。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。この薬剤に関しては、海外の方が開発が先行しているという状況があって、残念ながら先行している海外第III相試験に日本が現在入れていないという状況です。ただ、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というのは、現在、申請者において検討していると聞いております。
○宮川委員 分かりました。なるべく同じ条件の中でしっかりと検討するのが本来のことなので、別途行われたことはよく分かるのですが、そうすると、基準として比較ができません。単なる論文上での比較というのは余り好ましいことではないので、なるべくそういうことを進めていただければと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 貴重な御意見ありがとうございました。
○清田部会長 それでは、松下先生、御質問があるようです。
○松下委員 お願いいたします。濾胞性リンパ腫は、時々組織学的にトランスフォームすることがあるのですが、そういった場合に使ってよいのかよくないのか、遺伝子異常があれば使ってよいのか、その辺は特にまだ決まっていないということでいいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。FLから形質転換して別の組織型になった患者に対する投与の可否についてですが、臨床試験ではそういった患者での投与経験はありませんので、現時点ではそういった患者での投与は推奨されません。
○松下委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。議題1について承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーでお待ちになっている山口委員をお呼びください。
── 山口委員入室 ──
○清田部会長 それでは、山口先生がいらっしゃいましたので、議題2、議題3及び議題7については関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず議題2及び議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ルタテラ静注の製造販売承認の可否等について機構より説明いたします。以後、審査報告書のページ数は各ページの57分の幾つで記載している数字を使用します。本剤は、ソマトスタチン誘導体とルテチウムの放射性同位体との錯体であるルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)を有効成分とする放射性医薬品であり、腫瘍細胞に発現するソマトスタチン受容体に結合し、177Luから放出されるβ線により、腫瘍細胞を傷害することで増殖を抑制すると考えられています。
 今般、本剤はソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍を効能・効果として承認申請されました。令和3年2月時点において、本剤は神経内分泌腫瘍に係る効能・効果で、8の国又は地域で承認されています。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料15にあるとおり8名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第III相試験であるNETTER-1試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書24ページにある表17及び図2を御覧ください。オクトレオチドを投与中に増悪したソマトスタチン受容体陽性の切除不能又は遠隔転移を有する消化管神経内分泌腫瘍、以下、NETと略させていただきますが、NET患者を対象としたNETTER-1試験において主要評価項目とされた無増悪生存期間について、高用量オクトレオチド群に対する本剤群の優越性が示されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書29ページにある7.R.3安全性についての項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象として、腎機能障害、骨髄抑制、骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病及びホルモン分泌異常(クリーゼ)が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法及び放射性治療に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。以上のような審査の結果、機構はソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 続きまして、議題3、資料3、医薬品ライザケア輸液の製造販売承認の可否等について機構より説明いたします。本剤は、L-リシン塩酸塩及びL-アルギニン塩酸塩、以下、リシン及びアルギニンと略させていただきますが、これらを有効成分とする輸液製剤であり、当該塩基性アミノ酸が腎臓に発現するメガリン/キュビリン輸送体等に対して、ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)と競合的に結合し、ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)の再吸収を阻害することにより、腎被曝を低減すると考えられています。
 今般、本剤はルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)による腎被曝の低減を効能・効果として承認申請されました。令和3年2月時点において、本剤はルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)による腎被曝の低減に係る効能・効果で、3の国又は地域で承認されています。
 本品目の専門協議に御参加いただいた委員は、資料15にあるとおり8名の委員です。
 以下、審査の概要を説明いたします。有効性については、審査報告書13ページにある7.R.1臨床的位置付け及び有効性についての項を御覧ください。今般の承認申請において、本剤のルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)投与に伴う腎被曝の低減効果を評価することを目的とした臨床試験成績は提出されておりませんが、本剤の作用機序や海外における使用実績に加え、リシン及びアルギニンを含有する輸液を併用することにより、ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)による腎臓の吸収線量が減少したこと。当該輸液の併用投与下で実施されたNETTER-1試験等において、ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)の臨床的有用性が確認されたこと等を考慮すると、ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)による腎被曝の低減を目的とした本輸液の投与について、一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については審査報告書15ページにある7.R.2安全性についての項のとおり、有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。
 以上のような審査の結果、機構はルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)による腎被曝の低減を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、ルタテラ静注について、事前に渡辺委員より御質問を頂いております。「対象疾患はソマトスタチン受容体陽性腫瘍となっていますが、消化管ホルモン産生腫(持続性ソマトスタチンアナログ製剤の適応疾患であるVIP産生腫瘍、カルチノイド症候群の特徴を示すカルチノイド腫瘍、ガストリン産生腫瘍等)がなくても、ルタテラ静注はインジウムペンテトレオチドを用いたシンチグラムで陽性ならば適用になるのでしょうか」との御質問です。
 御質問の意図としては、ホルモン産生腫瘍、即ち、腫瘍からのホルモン分泌による臨床症状を有する腫瘍でなくてもルタテラ静注の投与対象となるかということと理解いたしました。NETTER-1試験等においては、腫瘍からのホルモン分泌による臨床症状の有無にかかわらず患者が組み入れられた上でルタテラ静注の臨床的有用性が確認されていること等を踏まえ、臨床症状の有無にかかわらずルタテラ静注の投与対象となると考えております。事前に頂いた御質問に対する回答は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 先に議題7について事務局から概要の御説明をしていただいた後、先ほどの回答について渡辺先生から何かあるかお伺いします。先に議題7をお願いします。
○事務局 それでは議題7、放射性医薬品基準の一部改正に関して御説明します。資料7の1ページを御覧ください。先ほど機構から説明がありましたとおり、ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)注射液の承認申請に伴って、本品目の製法等に関する基準を放射性医薬品基準に追加するため、別紙のとおり当該基準の一部改正を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 それでは、渡辺先生、前もっていただいた御質問に対する回答を先ほどしていただきましたが、いかがですか。
○渡辺委員 お答えいただいたので、かなり臨床症状がなくても、疑われたらこのシンチグラムをやって、陽性ならば対象となると理解しましたが、例えば、ACTH産生腫瘍や、肺癌に伴ってというのは比較的多いですが、例えば、子宮頸癌に伴ってなど、ホルモン産生腫瘍があったりする場合があるので、お答えいただいたように、インジウムペンテトレオチドを用いたシンチグラムで陽性ならば、この薬剤を使っていいと、保険適応になると考えて、保険で切られることはないと自信を持って使っていいと理解しましたが、よろしいですか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。おおむね御理解のとおりかもしれませんが、本剤の効能・効果はソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍ですので、神経内分泌腫瘍のうち、ソマトスタチン受容体陽性だった場合に本剤の対象になると考えております。
○渡辺委員 お言葉ではありますが、ニューロ・エンドクライン・チューモールというのは、かなり広い範囲のものがあるので、先ほど申し上げたACTH産生腫瘍などもそういうものに含まれるので、かなり柔軟な対応ができると理解したいと思います。
○清田部会長 それでよろしいですか。機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりで問題ないかと考えております。
○清田部会長 渡辺先生、よろしいですか。
○渡辺委員 ありがとうございました。
○清田部会長 そのほかにございますか。南先生、どうぞ。
○南委員 診断ですが、ソマトスタチン受容体陽性を確認する検査は、1対1対応という理解ですか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。神経内分泌腫瘍に関しては、その診断の一環として、シンチグラフィーによる検査は実施されていると理解しておりますので、いわゆるコンパニオン診断医薬品のようなものは不要と考えております。
○南委員 それが添付文書で分かるような記載はしなくてもいいか少し気になったのですが、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では、ソマトスタチン受容体のシンチグラフィーが用いられましたので、その内容については御理解いただけるような注意喚起を添付文書の効能・効果に関連する注意に記載しております。
○南委員 ただ、ユーザーはそうは受け取らない可能性が高いので、情報提供の仕方を少し考えていただいたほうがいいかと思います。後、余りこの検査一つにこだわる気がないのであればそれでもいいと思いますが、はっきりさせて情報を提供してもらったほうがいいと思います。同様のことになるのですが、ライザケアの輸液、腎障害予防のための輸液製剤ですが、一応、この本体のルタテラの方には、「アルギニンリシン25gを含有する輸液を投与すること」と書いてありますが、その輸液製剤の方には「本体投与前30分前から4時間かけて投与すること」と書いてあるのです。ルタテラの全文を読んだだけでは、30分前、それから投与速度までは考えが及ばないのですが、安全性を担保する上で、そこまで、もう一歩踏み込んで書いたほうがいいのではないか、もっと言えば、これは後発品が出る品目とは思えないので、商品名でしっかり書いたほうが現場は分かりやすいと思いますが、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 1点目の検査に関しては、臨床現場で誤解や混乱が生まれないように、資材等も用いて情報提供するように、申請者にも伝えさせていただきたいと思います。
 2点目の内容に関しては、ルタテラの添付文書からは、ライザケアの投与のタイミング等が分かりにくいという御指摘かと理解しておりますが、用法・用量はそれぞれの薬剤の添付文書に記載させていただいておりまして、両剤の投与のタイミング、投与速度に関しても併せて理解しやすいような形で、資材等を用いて臨床現場に情報提供するように、申請者に伝えさせていただきたいと思います。
○南委員 ただ、実際投与するときに、例えば、アミノ酸製剤を投与しているからいいという判断がされかねないのですが、これに関しては副作用に直結するところですので、もう一歩踏み込んだほうがよくないですか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 繰り返しになってしまいますが、それぞれの薬剤の用法・用量、投与のタイミング、投与速度については、通常、それぞれの添付文書で情報提供させていただいているところです。頂いた御意見を踏まえて、分かりやすい形で医療現場に情報提供できるように申請者に伝えさせていただきたいと思います。
○南委員 ルタテラをオーダーする際は、まず、ライザケアの添付文書は読まないと考えてください。
○清田部会長 これは私からの回答かどうか分かりませんが、南先生のおっしゃることはごもっともだと思います。ですから、是非踏み込んだ記載、誤解のないような記載を心掛けていただくということで、南先生、よろしいですか。
○南委員 とにかく、ルタテラの添文だけ読めば、安全に管理できるような記載にしてください。これだけでは危ないです。
○清田部会長 それで、機構の方はよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 実は添付文書の記載というのは、これまで何度か議論になりまして、添付文書中に販売名を記載するのはいかがなものかということが、1年半ぐらい前に議論になりました。今、機構の方では、コンパニオン診断薬等の販売名等も含めて、違う所でリスト化して載せる等の対応をしており、できるだけ添付文書には販売名を記載しない形で取り組んでおります。今の御議論は、当初、2年ほど前まで我々が添付文書中に販売名まで記載して具体的に明示していたものを、この医薬品第二部会で御議論いただいて修正をしたところですが、それに対して今回の御質問はごもっともとは思うものの、1年半ほど前に修正するよう強く言われて変えているため、どのようにすればよろしいでしょうか。
○南委員 そのときの議論は私は記憶ははっきりしないのですが、恐らく後発品が念頭にあったのだと思います。これは余り後発品が出てきそうもないマーケットの大きさだと思います。もし書くとすれば、例えば、「リシン、アルギニン製剤を」と書いておくと、この2種類しか入っていない製剤と特定されると思いますが、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 分かりました。これが一つの製剤であるということで工夫するようにということでしたら、検討したいと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 南先生、よろしいですか。
○南委員 御検討ください。
○清田部会長 宮川先生、お願いします。
○宮川委員 今、南先生がおっしゃったことと同じことを疑問に思ったものですから、そうしますと、使用する輸液はリシン、アルギニンのみを含有する輸液ということですが、その他のアミノ酸は入らないほうがいいのかどうか、その辺のことについてしっかりと記載をすべきかどうか。ほかのアミノ酸は入らないほうがよろしいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 ルタテラの投与に関してはライザケアがセットというところがあります。ライザケアの開発の経緯の中で、どういった組成が良いのかという検討もされておりまして、リシン、アルギニン以外のものが入ってきますと、浸透圧の上昇により有害事象の発現率が上がってくるということも考慮されて、今回、このような組成になっております。
○宮川委員 そうなりますと、南先生がおっしゃるように、そのような製剤に関しては今後出てくることはあり得ないような気がしますので、その辺のところは十分また検討していただければと思います。
 もっと基本的なところで教えていただきたいのですが、本剤や、それに関して、神経内分泌腫瘍における海外の使用状況はどの程度ですか。それはオクトレオチドやランレオチドが第一選択薬というような状況の中で、投与中で増悪した患者さんのうち、ソマトスタチン受容体の患者さんが適応となるという理解で良いのかどうか。その辺のところを教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 海外の使用状況について、海外のガイドライン等では、ソマトスタチン製剤を使用した後に本剤ということが主な内容として記載されておりますが、例えば、腫瘍の増殖が速い場合や、患者の状態によってはソマトスタチン製剤よりも本剤ということも選択肢としては記載されている状況です。
○宮川委員 ありがとうございます。
○清田部会長 松下先生、御質問をチャットで承っておりますが、松下先生、画面に出られますか。
○松下委員 大体、今のお話の流れで、添文に販売名を入れますと、後発品が出たときにまずいということが分かったのですが、要するに、後発品が出たときに実態と合わなくなるので、添付文書としてはいかがなものかとなることを恐れてということだと思います。とは言え、世の中には添付文書と実態が合わなくなっているものはたくさんありますので、そういったものを修正することをせずに、こういうところだけをきっちりやろうとするのもいかがなものかと思いましたので、コメントさせていただきました。
○清田部会長 機構からは大丈夫ですか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○清田部会長 そのことは気を付けるようにしますので、どうぞよろしくお願いします。ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは議決に入りたいと思います。議題2については、亀田委員、川上委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。議題2について、承認を可としてよろしいですか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 議題3の議決に入ります。議題3について、承認を可としてよろしいですか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 議題7の議決に入ります。議題7について、改正を可としてよろしいですか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、議題4に移ります。議題4及び報告事項の議題1、議題2については、関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。議題4及び報告事項議題1、議題2について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題4、報告事項の議題1及び2について、機構より説明させていただきます。まず審議事項の議題4、資料番号4、医薬品ユニツキシン点滴静注17.5mg/5mLの製造販売承認の可否等について御説明いたします。以降の審査報告書のページ数は、各ページの86分の幾つで記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるジヌツキシマブ(遺伝子組換え)は、マウス抗ヒトジシアロガングリオシド2(GD2)抗体の可変領域と、ヒトIgG1の定常領域から構成されるキメラ型モノクローナル抗体であり、神経芽腫細胞等の細胞膜上に発現するGD2に結合し、神経芽腫細胞に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)活性を誘導すること等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
 今般、本剤は神経芽腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は令和2年7月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年3月時点において、神経芽腫に係る効能・効果で米国及びカナダの2か国で承認されております。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料15にあるとおり9名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を御説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国内第II相試験であるGD2-PII試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書の28~29ページを御覧ください。神経芽腫ではリスク群別に治療法が推奨されております。GD2-PII試験の対象とされた高リスク群の神経芽腫患者に対しては、寛解導入療法、自家造血細胞移植を伴う大量化学療法、更に状態に応じた放射線療法又は切除術までが一連の集学的治療として推奨されております。このような治療体系を踏まえ、GD2-PII試験では、大量化学療法を含む集学的治療施行後に疾患進行が認められない高リスク群神経芽腫患者が対象とされ、本剤に加え、本剤によるADCC活性の増強を目的としたフィルグラスチム及びテセロイキンの併用投与(審査報告書ではDIN/FIL/TEC投与と表記)と米国で承認されている米国レジメンの有効性及び安全性を比較することを目的として実施されました。その結果、審査報告書29ページの表22にお示ししたとおり、主要評価項目とされた治験責任医師判定による無イベント生存期間(EFS)について、本剤/フィルグラスチム/テセロイキン併用投与群及び米国レジメン群における2年EFS率は、それぞれ80.8%及び62.3%であり、対照群である米国レジメン群と比較して、本剤/フィルグラスチム/テセロイキン併用投与群で明らかに劣る傾向は認められませんでした。
 当該成績に加え、本邦においてGD2-PII試験の対象とされた大量化学療法を含む集学的治療施行後に、疾患進行が認められない高リスク群神経芽腫に対して承認されている抗悪性腫瘍剤はないこと、神経芽腫は小児における希少かつ重篤な疾病であること等を考慮すると、大量化学療法を含む集学的治療施行後に疾患進行が認められない高リスク群神経芽腫患者に対する本剤/フィルグラスチム/テセロイキン併用投与の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については審査報告書の38ページ、7.R.3項を御覧ください。本剤/フィルグラスチム/テセロイキン併用投与時に特に注意すべき有害事象として、infusion reaction、疼痛、毛細血管漏出症候群、低血圧、感染症、骨髄抑制、電解質異常、眼部神経障害及び成長発達障害を挙げております。これらの有害事象については、小児のがん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の用量調節等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。
 ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後に本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は大量化学療法後の神経芽腫を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、事前に登美委員より御質問を頂いております。「国内臨床試験に基づく表16のPKパラメータは、添付文書にも示されていますが、添付文書のグラフを見る限り、特に半減期などは信頼性に乏しい値のように感じます。国内臨床試験は例数が少ないので、そのこと自体は仕方がないのですが、一方で本剤に関しては、海外臨床試験に基づくPPK解析も行われています。質問は3点、1点目は、PPK解析で用いられたデータに基づくPKパラメータと、添付文書中のPKパラメータは同程度とみなされるものだったのでしょうか。2点目は、PPK解析では3-コンパートメントモデルによって記述されたとのことですが、半減期はどの相に対するものと考えればよいのでしょうか。3点目は、添付文書に載せる際のデータは、海外臨床試験の方が少なくともこの場合は望ましい可能性があるとも思いますが、海外臨床試験での血中濃度推移のグラフも似たようなものなのでしょうか」との御質問です。
 回答の順番は前後しますが、まず1点目と3点目の御質問についてです。国内試験と同じ製剤が用いられた海外201試験の成績を評価した結果、海外201試験と国内GD2-PI試験では、採血時点に差異があるためPKパラメータの比較は困難であるものの、両試験で得られた血中濃度推移はおおむね類似しておりました。2点目の御質問については、添付文書でお示しした国内GD2-PI試験の半減期は、消失相の半減期です。事前にいただいたコメントに対する回答は以上です。
 なお、報告事項の議題1、資料番号8、グラン注射液75他5規格については協和キリン株式会社から、報告事項の議題2、資料番号9、イムネース注35については塩野義製薬株式会社から、いずれもユニツキシン点滴静注との併用で使用される薬剤として、神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、当該2品目についても承認して差し支えないと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは最初に、コメントを頂いた登美先生、いかがですか。
○登美委員 少しガタ付いていたので気になったのですけれども、あの回答で結構です。ありがとうございました。
○清田部会長 それではほかの委員の先生方、御質問、御意見はございますか。
○濱委員 濱です。添付文書の7項2の記載についてです。「本剤投与による疼痛を軽減させるために、本剤の投与前から投与2時間までにオピオイド鎮痛薬を投与すること」という記載がありますが、少し書き過ぎではないかと思っています。これだと全例にオピオイドを投与しろというように読めるのです。その必要は本当にあるのでしょうか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より御回答差し上げます。今回の国内第I相試験、第II相試験ともにこのような規定が設けられており、全例でオピオイド鎮痛剤が2時間後まで投与されておりました。その結果得られた疼痛等の有害事象の発現率を審査報告書に記載しております。疼痛についてはそれでもなお結構な頻度で発現しておりますので、第I相試験及び第II相試験全例で投与されていたことも踏まえ、このような注意喚記としております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○濱委員 全例で80%を超える痛みを感じているということは分かります。しかしGrade3の痛みがそれほど高いわけではないのです。オピオイドの投与を考慮することという記載が添付文書にあるのはよいと思いますが、本当に全例に投与が必要かどうかという分析は、もう少しされてもいいのではないかと思いました。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。機構より御回答いたします。今回、全例でオピオイド鎮痛剤の投与がなされた結果、この発現率及びGradeとなりますので、やはり同様にオピオイド投与は必要であると考えております。
○濱委員 そのとおりだとは思うのですが、添付文書の記載が、「投与すること」と言い切りになっていると、必要ない人にも投与することになりかねないのではないかと思いました。多分、現場では投与の要否は判断すると思っています。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございました。
○清田部会長 宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 私も濱先生の御意見に賛成です。「投与すること」というのは強制という形になるので、そうした情報を出したほうが好ましいと思います。7.2と7.3の両方とも「すること」と書いてあって、その辺は治療そのものに全部限定するという形になってしまうのです。確かに臨床試験はそうなのですが、濱先生のおっしゃるように、表現を少し適切にしていかないと、これが条件という形になってしまって、それができない人は実際に本剤の投与はできないという形になってしまうわけです。「すること」ということになれば、必ずそうなります。ですから、その辺の表現で何かしら適正なものがないかどうかを探っていただきたいというのが私の意見なので、何かしらの表現の適正化をお願いできればと思います。以上です。
○清田部会長 機構からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。機構より御回答いたします。先ほど国内試験のことを申し上げましたけれども、海外第III相試験においても、オピオイド鎮痛剤の前投与若しくは本剤投与後2時間まで投与は必須とされており、その結果、Grade3の有害事象が認められています。以上より、本剤の治療においてはオピオイド鎮痛剤の投与が重要と考えており、このような注意喚起としております。専門協議においても小児のがん化学療法に精通された専門委員より、オピオイド鎮痛剤の投与は、小児のがん患者さんに対して本剤に限らず一般的に行われているという御意見も頂きましたので、本剤による疼痛の発現率を考慮して、このような注意喚起が必要と判断しております。
○宮川委員 海外の場合は前又は後というような形だったような気がするのですが、違いましたか。いかがなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 海外試験においては予防的な投与です。
○宮川委員 分かりました。後はなくて、予防的な投与が必要だという形で書いてあるわけですね。
○医薬品医療機器総合機構 失礼いたしました。訂正いたします。予防的な投与に加え、本剤投与中もオピオイド投与は必要とされておりました。
○宮川委員 そういうことですね。分かりました。
○清田部会長 渡辺先生。
○渡辺委員 今の続きです。では、海外の添付文書、パッケージインサートではどういう表現ですか。How to be usedなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。機構よりお答えいたします。FDAのLabelのBOX WARNINGとして、予防投与と本剤投与中のオピオイド投与は、同様に注意喚起されております。
○渡辺委員 ですから、具体的な表現としてどういう表現が使われているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御回答差し上げます。FDAのLabelを読み上げます。「Administer intravenous opioid prior to,during, and for 2 hours following completion of the Unituxin Infusion 」ですので、本剤投与前及び投与中、そして2時間後までと記載されております。
○渡辺委員 その2時間後までが、例えば「Administration リサイアブル」と書いてあるのか、それとも「mandatory」と書いてあるのか、そこの続きの文を読んでください。
○医薬品医療機器総合機構 「Administrator」から始まる文章で、特にUp on requestやif neededなどは記載されておりません。「Administer intravenous opioid prior to, during, and for 2 hours」という、先ほど読み上げた文章になります。
○渡辺委員 それが名詞句のようになっているので、日本のこれのように「考慮すること」というようには理解できないと思うのです。ですから、いつも言いますけれども、治験でやったからそのとおりにしなければいけないという話でもないのです。例えば海外でも日本でも、投与前・投与中にオピオイドが加えられたケースが大部分であったので、「オピオイドの併用を考慮すること」では駄目なのですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御回答差し上げます。FDAのLabelのBOX WARNINGの冒頭の所に枠囲みで記載されている内容が、先ほど申し上げた内容です。その他の項に比べて強い要求になりますので、やはりここは必要に応じてではなく、必ず投与することと解釈できると思います。
○濱委員 濱です。先ほど、海外では全例でオピオイドが投与されているためというお話がありました。添付文書上の7の項あるいは臨床試験の所に、全例でオピオイドを投与した結果ということを記述することは可能でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御回答差し上げます。現在の添付文書においては、17項に国内試験を記載しております。先生のご指摘を踏まえ、添付文書の「17.臨床成績」の項に、全例でオピオイドの予防投与及び本剤投与中の投与が行われたことを記載いたします。
○濱委員 7項を読んだときにそこが飛べるようになっていれば、一応理解できるのではないかと思いますので、よろしく検討をお願いいたします。
○清田部会長 先ほどの渡辺先生の御指摘は、向こうの添付文書ではどうなっているかという話ですね。私は手元のWARNINGを見ているのですけれども、表現の仕方がどうなのかというのは、共有ファイルでお見せできませんか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。部会の先生方にお配りしているCTDの1.6項の資料として、FDAの添付文書が添付されていると思いますが、いかがでしょうか。
○清田部会長 皆さん、御覧になれますか。資料4の1.6の4ページの四角で囲ってあるものです。渡辺先生、御覧になれますか。
○渡辺委員 今見つけました。この左側のWARNINGですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。
○清田部会長 これを言っているのですね。
○渡辺委員 ここではINFUSION REACTIONSということが書いてあるのですね。
○医薬品医療機器総合機構 neuropathic painに対するopioid投与の記載が、2ポツ目の2行目にあります。
○南委員 南です。機構の方がおっしゃったとおり、Neuropathyの第2文目にこれをAdministerしろ、投与しろという命令形になっていますので、これはmustと同義と解釈できるのではないでしょうか、渡辺先生。
○清田部会長 これは英語の勉強になってしまいますね。ですから、これもメーカーから御紹介いただいて、御理解いただいた場合にユーザーの方々に使っていただくということでいかがでしょうか。
○渡辺委員 分かりました。
○清田部会長 申し訳ないです。ほかに御意見はございますか。
○宮川委員 私も理解しました。皆さん苦労されているのだなということは、よく分かっておりますので。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御意見はございますか。大丈夫ですか。ありがとうございます。それでは議決に入らせていただきます。議題4について承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。また、報告事項の議題1及び2については、御確認いただいたものといたします。
 続いて議題5に移ります。山口拓洋委員、南博信委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題5の審議の間、会議から御退室して待機いただくこととします。
── 山口委員、南委員退室 ──
○清田部会長 それでは議題5について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料番号5、医薬品ハイヤスタ錠10mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの55分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるツシジノスタットは、脱アセチル化酵素に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、ヒストン等の脱アセチル化を阻害することにより細胞周期の停止及びアポトーシス誘導を引き起こし、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
 今般、本剤は再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫を効能・効果として、承認申請されました。なお、本剤は令和2年7月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。
 再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫、以下、ATLLと略します。ATLLは海外では患者数が極めて限られており、臨床開発はなされていない状況等から、令和3年2月時点において再発又は難治性のATLLに係る効能・効果にて承認されている国又は地域はありません。
 本品目の専門協議に御参加いただいた委員は、資料15のとおり8名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国内第IIb相試験である210試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書28ページの表20を御覧ください。再発又は難治性のATLL患者を対象とした210試験において、主要評価項目とされた奏効率は30.4%であり、事前に設定された閾値奏効率を上回ったこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書31ページ中ほどの7.R.3安全性についての項を御覧ください。本剤投与時に、特に注意を要する有害事象として骨髄抑制、感染症、間質性肺疾患及び不整脈(QT間隔延長を含む)が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理、本剤の休薬・減量・投与中止等の適切な対応により忍容可能と判断しました。
 ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上の審査の結果、機構は再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問、御意見承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか、大丈夫ですか。それでは、ないようでございますので議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、待機されている山口委員、南委員をお呼びください。
── 山口委員、南委員入室 ──
○清田部会長 続きまして議題6に移ります。議題6につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題6、資料6、タルクを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料6のうち、2の事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書1ページ中段を御覧ください。申請者はノーベルファーマ株式会社、予定される効能・効果は外科手術による治療が困難な続発性難治性気胸です。本剤は、胸膜腔内注入用の滅菌調整タルクを有効成分として、胸膜の上皮を構成する中皮細胞を障害し、細胞の剥離、離脱による炎症状態を惹起させ、胸膜の癒着につながると推測されております。
 まず、1ページの対象患者数について御説明いたします。続発性難治性気胸は基礎疾患を原因として発症する続発性気胸のうち、治療を行っても再発を繰り返すエアリークなどの臨床像を示すもので、全身状態が悪い場合等には外科手術による治療が困難です。このような外科手術による治療が困難な気胸の患者数は、250~2,300人程度と推定されており、患者数は5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
 次に医療上の必要性についてですが、外科手術困難な続発性難治性気胸に対する保存的治療のガイドラインは定められておりません。一般に実施される胸腔ドレナージにおいて、重篤な合併症の併発の懸念やQOLの低下等を伴うこと、エアリーク部位の特定が困難な患者も一定数存在することなどから、現在胸膜癒着術については、効能・効果を有する薬剤がない等の課題があります。以上の検討から、医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に開発の可能性についてですが、国内第II相試験が実施されており、主要評価項目である胸膜癒着後30日以内の胸腔ドレーンの抜去の達成割合は82.1%であり、こういった結果も出ておりますので、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の基準を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは委員の先生方の御質問、御意見承りたいと思います。いかがでしょうか。ございませんでしょうか。
 私からちょっと、痛そうですね。これ、痛くないのでしょうか。ミノマイシンなんか、滅茶滅茶痛いのですよ。キシワニルはそうでもないですね。痛そうでない、痛くない。痛いそうじゃないって、そう痛みの記載ないようですので、皆さん、よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入ります。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、報告事項に移ります。それでは報告事項議題3~5につきまして、事務局からの御説明をお願いいたします。
○事務局 はい。まず、報告事項議題3について御説明いたします。資料10、2/77ページをお開きください。ベクルリー点滴静注用については、昨年5月に本部会において特例承認について御議論いただきました。その際、承認条件としてここに記載のとおり、六つの条件が付されております。これらの承認条件のうち6は、特例承認の申請の際に提出を猶予された資料を、承認後数か月以内に提出することとしたもので、企業から本年1月15日に資料が提出されるとともに、条件の4~6までを解除することについて希望がありましたので、その内容について機構に評価いただきました。
 4/77ページからは、品質及び非臨床に関する資料について、今回初めて提出された資料ですので、それらに関する機構の評価の概略が記載されております。また40/77ページの下部、ここから臨床に関する資料について、機構の評価の概略が記載されております。臨床試験の成績については、昨年の12月21日に開催された本部会において、この時点で得られていた試験成績を御報告したところですが、今回その残りの資料が新たに提出されております。加えて、承認時から実施されていた使用成績調査の中間報告についても、提出されております。
 これらの資料についての機構における評価の結果、臨床試験成績から有効性が認められており、効能・効果、用法・用量については変更の必要はなく、条件6は満たされたと判断しております。また、条件の4と5についても、承認時において安全性等に関する情報が非常に限られていたことから付されていた条件ですので、今回猶予されていた資料が提出され、確認されたことから、これらについては満たされたものと判断しております。議題3についての説明は以上です。
 続きまして、報告事項の議題4について御説明いたします。資料11のファイルを御覧ください。優先審査指定品目の審査結果についてです。販売名はパドセブ点滴静注用、一般名はエンホルツマブ ベドチン、申請者がアステラス製薬株式会社です。効能・効果が、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌です。優先審査の該当性について、通し番号の7ページを御覧ください。(1)適応疾患の重篤性については、適応疾患は、今回尿路上皮癌に関するものであり、これは生命に重大な影響がある疾患に該当すると判断されております。
 次に、(2)医療上の有用性についてですが、現在、本邦において、がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌を効能・効果とする医薬品は存在するものの、治療効果は限定的であり、この対象患者において全生存期間の延長を示した標準的な治療は確立しておりません。
 今般、本剤の有効性についてはそのような尿路上皮癌患者において、対照群と比較して本剤群での全生存期間の有意な延長が認められ、また、安全性についても、現時点で出している情報を踏まえると認容可能と考えられるものでした。本剤の医療上の有用性は高いと考えております。
 以上を踏まえ、優先審査品目に該当すると判断されております。
 続きまして、議題5、再審査結果について御説明いたします。資料No.12-1~12-4までを御覧ください。今回の再審査の結果に関する品目は、12-1としてゾレア、12-2としてレミケード、12-3としてインライタ、12-4としてイムノブラダーが対象となっています。いずれも機構における再審査の結果、効能・効果や用法・用量の修正の必要なく、カテゴリー1として評価されているものです。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは御質問がないようですので、報告事項の議題3~5につきましては、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項に移ります。その他の事項、議題1です。事務局からの御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項としまして資料13のニボルマブ(遺伝子組換え)の最適使用推進ガイドライン(案)について、御説明いたします。資料13のニボルマブ(遺伝子組換え)について、この度、非小細胞肺癌を対象として新たな臨床試験成績が得られており、当該試験成績について、最適使用推進ガイドラインに追記する改正を予定しておりますので、御説明いたします。なお、添付文書の臨床成績の項にも、当該試験成績を追加することを予定しております。以降の説明において、ページ番号は各ページ最下部の通し番号といたします。
 2ページの枠内に、対象となる効能・効果及び用法・用量を記載しておりますが、この度の改正でこれらに変更はございません。7及び8ページに、この度得られた臨床試験成績を記載しております。化学療法未治療の切除不能な進行・再発の非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に、ベバシズマブ(遺伝子組換え)及びプラチナ製剤を含む化学療法の併用に、本剤を上乗せした際の有効性及び安全性を検討したONO-4538-52試験の結果を記載しております。当該試験において、対照群と比較して本剤ベバシズマブ及びプラチナ製剤を含む化学療法の併用投与群で、無増悪生存期間の延長が認められております。
 安全性については16ページ以降に記載しておりますが、新たに注意すべき事項は認められておりません。
 25ページの投与対象となる患者を御覧ください。有効性に関する事項について、ONO-4538-52試験で、臨床的有用性が示された併用投与、対象患者等を記載しております。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から、御質問ございますか。よろしいですか。
 それでは、その他事項、議題1につきましては御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項、議題2に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局から説明いたします。それでは、事前にお送りいたしました、その他資料No.1-1「コミナティ筋注、コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)試験の概要」を御覧ください。コミナティ筋注は2月12日の臨時部会で御審議いただき、現在、臨時接種のワクチンとして医療従事者、高齢者への接種が進められているところです。コミナティ筋注の第III相試験については、当初成人、高齢者を対象として開始されましたが、順次16歳以上、12歳以上と組入れ対象が拡大されており、この度2月の臨時部会の時点では得られていなかった12歳~15歳、約2,000例のデータが提出されましたので、その概要を御報告します。用法・用量については、成人と同様に1回30μg、0.5mLを、21日間隔で2回、筋肉内接種しております。まず、免疫原性について、表1にお示ししておりますように、16歳~25歳の年齢層と比較して、同等以上の中和抗体価の上昇が拡認されております。次に、有効性に関しては2ページの表2にお示しておりますが、ワクチン有効率は100%という値が得られております。
 安全性に関しては、以降のページにお示ししておりますが、12歳~15歳の年齢層における副反応、有害事象の発現は、16歳~25歳の年齢層における発現状況と同様でした。また、ショック、アナフィラキシーの発現は認められておらず、ワクチン接種による疾患増強リスクを示唆するような情報も確認されておりません。このような試験成績を基に、先般ファイザー社から添付文書の改訂の相談が機構に申し込まれました。
 次に、その他資料No.1-2「新旧対照表」の1ページを御覧ください。現在、コミナティ筋注の添付文書では、用法及び用量に関連する注意として、接種対象者を「本剤の接種は16歳以上の者に行う。」としておりますが、今回提出された臨床試験データを踏まえ、「本剤の接種は12歳以上の者に行う。」という記載に改訂する予定です。これに合わせて、添付文書の臨床試験成績の欄に、「12歳~15歳における成績」を追記いたします。
 また、保存方法に関する使用上の注意についても変更がございます。同じ資料の2ページの上段を御覧ください。これまでコミナティ筋注の冷蔵保存については、冷蔵庫で解凍してから5日以内に希釈して使用するよう情報提供しておりましたが、この度、2℃~8℃で1か月間保存しても、ワクチンの品質に問題がないという安定性試験結果が提出されたことを受け、「冷蔵庫で解凍する場合、2℃~8℃で1か月間保存することができる。」という記載を追記いたします。これらの変更を反映した添付文書改訂案は、その他資料No.1-3としてお示ししております。
 また、次にその他資料No.1-4を御覧ください。2月の臨時部会において、コミナティ筋注について御審議いただいた際には、2020年11月14日にカットオフをした海外第III相試験のデータが提出されておりましたが、その後も第III相試験のフォローアップが継続されており、先般2021年3月13日までのデータを解析した結果が、ファイザー社より公表されております。それによりますと、ワクチン2回目接種後、最大6か月までのデータでも、90%を超える発症予防効果、重症化予防効果が確認されております。
 コミナティ筋注に関するその他の御報告は以上ですが、先週の臨時の第二部会で御審議いただきました、日本では武田薬品工業が製造販売するモデルナ社のワクチンについても、12歳以上の小児を対象とした臨床試験において、有効性が確認されたという情報が公表されておりますので、今後このコミナティ筋注と同様に、添付文書改訂相談を経て、添付文書の改訂を行うことが想定されます。その際、医薬品第二部会の日程によってはメール等の御報告とさせていただく可能性もございますので、御承知おきくださいますよう、よろしくお願いいたします。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見ございますか。渡辺先生、どうぞ。
○渡辺委員 今、2℃~8℃で1か月保存可能になったということは大変喜ばしいことだと思いますが、私どもも個別施設での注射というのはしていて、この保存に関してものすごく制約が掛かっていたのですけども、今のこの改訂は、いつから有効になりますでしょうか。
○事務局 はい、事務局より回答させていただきます。これから部会後に引き続き作業させていただきますが、早ければ来週31日、月曜日に改訂を行いたいと考えております。
○渡辺委員 ありがとうございました。
○清田部会長 中野先生、どうぞ。
○中野委員 はい、中野でございます。添付文書改訂の御報告、ありがとうございます。この有効性、安全性が12歳~15歳も、16歳以上と変わりなくて、本当に良かったと思っています。本日の時点では多分御回答が難しいとは思うのですが、その下の年齢層、生後6か月~12歳という、本当の小児ですね。この乳幼児から小学生まで、この方々の治験も海外では進行中と理解しているのですが、有効性、安全性に特段の問題がない場合、同じような手順で承認になるのか。あるいは、やはり年齢も異なるからということなのか。その辺り、何かしら今御見解がもしあればで、よろしいのでお教えください。
○事務局 事務局より回答させていただきます。先生、御紹介いただきましたとおり、海外ではそのような年齢層での臨床試験が行われているという情報を、承知しております。その上で、今後についてですが、まだ少し予断をもってお答えできませんが、用法・用量などが変わる場合には、承認事項の一部変更となって、御審議いただく形になるかもしれません。その辺りは、また追ってお知らせさせていただきます。
○中野委員 ありがとうございます。よく理解できました。
○清田部会長 石井先生から御質問があるようです。
○石井委員 ありがとうございます。添付文書の14.1.1(2)冷凍保存、新しく加わった部分ですが、「なお、解凍後は再冷凍せず、有効期間内に使用すること。」とございますが、その有効期間は(1)の有効期間とは意味が異なると思われます。ここは、はっきり「1か月」と書いたほうが、よろしいのではないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただいてもよろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど石井先生から御質問いただいた、「いずれの場合も有効期間内に使用すること。」については、この有効期間に関しては6か月を想定しております。今の御指摘いただいた1か月とは異なると考えております。ですので、有効期間には。
○石井委員 そのとおりだと思います。有効期間は各ロットで定められていて、今、6か月まで証明されているとすると、6か月だと思うのですが、冷蔵保存の所で、「なお、解凍後は再冷凍せず、有効期間内に使用すること。」でしたら、ここで言っている有効期間は1か月ではないですか。有効期間と言うと、やはり承認された有効期間で、製造された時点からを言うと思うのですけれども。
○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。石井先生、(2)の有効期間につきましても、こちらも6か月というふうに考えております。
○石井委員 再冷凍せずに、解けた状態ですので、解凍後は駄目じゃないですか。
○清田部会長 冷蔵庫で解凍する場合には1か月、1か月ですね。
○石井委員 曖昧ですね。
○医薬品医療機器総合機構 よろしいでしょうか。すみません。ここで言う、先生が御指摘のように、その2℃~8℃では1か月間しか持たないのですけれども。その解凍後再冷凍せず、有効期間内に使用することと言いますのは、その間に6か月の有効期間が来てしまう前に使ってくださいというような注意書きになりまして、そういった趣旨の記載になっております。
○石井委員 分かりました。少し分かりにくいかもしれないですね。
○清田部会長 分かりにくいですね。
○石井委員 はい、ありがとうございます。趣旨は理解しました。
○清田部会長 そこは考えたほうがいいと思います。
○事務局 ちょっとファイザー社にも伝えまして、何らか資材等で工夫できるか、伝えたいと思います。何らか検討したい。
○清田部会長 善処いたしますということだろうと思います。よろしいでしょうか。
○石井委員 はい、ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいですか。
 それでは、その他事項、議題2につきましては御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か報告はございますか。
○事務局 次回の部会は7月30日、金曜日、午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。お疲れ様でした。ありがとうございます。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)