第154回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和3年9月8日(水) 9:30~11:30
 

場所

 オンラインによる開催
 厚生労働省 職業安定局第1会議室
 

議事

議事内容
○伏木雇用保険課長補佐 皆様、おはようございます。
開催に先立ちまして、オンライン開催の御案内を申し上げます。
本日も、新型コロナウイルス感染症まん延防止の観点から、部会長以外の委員の皆様はZoomを利用して御出席いただいております。部会進行中は委員の皆様のマイクはオフとさせていただいておりますけれども、発言をなさる際には挙手をしていただき、部会長から指名の後にマイクをオンにして御発言いただくようお願いいたします。
会議進行中、通信トラブルがあった、音声が聞こえなくなったなどがありましたら、チャットないし御案内しております電話番号まで御連絡ください。
また、通信遮断が大きい場合には部会を一時休憩させていただくこともありますので、あらかじめ御容赦いただけますと幸いです。
なお、傍聴につきましても、本日もまん延防止の観点から別室にて行わせていただいております。傍聴の皆様におかれましても併せて御理解いただきますようお願いいたします。
オンラインに関する説明は以上となります。
それでは、部会長、進行をお願いいたします。
○守島部会長 皆様方、おはようございます。ただいまより第154回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
本日の出欠状況ですけれども、労働者代表の三島委員が御欠席でございます。
それでは議事に入りたいと思います。なお、マスコミの方は頭撮りとしてここまでとさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
まず議題の1番、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてでございます。こちらは本日付で厚生労働大臣から諮問を受けております。
まず、事務局から資料について御説明をいただき、その後、委員の皆様に御議論をいただきたいと思います。
それでは、事務局、お願いいたします。
○伏木雇用保険課長補佐 それでは、課長補佐の伏木から御説明をさしあげます。
資料は、1-1と1-2が関係しますけれども、1-2をお開きください。
省令案の概要ということでございまして、これまでお諮りしてきた内容とおおむね似たような内容ですけれども、緊急事態宣言も長引いている状況下におきまして、先月、雇用調整助成金の特例措置と併せて休業支援金につきましても、今行っているスキーム、原則的な措置は上限9,900円、まん延防止ないし緊急事態措置地域におきましては、地域特例として1万1000円というスキームを、11月30日まで延長するという方針をお示ししていたところです。今日お諮りする内容は、そちらを省令として資料を整えまして、審議会の御意見をいただくべくお諮りするというものでございます。
こちらをお許しいただけますれば、速やかに公布をして、11月までということでしっかり実施していきたいと思います。
その次のページに助成内容ということで、これまでもお付けしている表があるかと思います。単純に期限を11月までとするというものでございます。
その次は支給実績をつけておりますので、併せて御参照ください。
私からの説明は以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問・御意見等がございましたらお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、経団連の平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。手短に1件だけ意見申し上げます。
今、御説明がございましたとおり、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、休業支援金・給付金の助成の対象期限を11月末まで延長する改正と承りました。
何度も申し上げておりますけれども、コロナ禍が長期化してその影響も甚大になっている中で、二事業財政は既に枯渇している状況にあります。前回の部会でも意見を申し上げたとおりですけれども、財源確保策の議論がない中で対象期限の延長、支出のみを議論するのは妥当ではないと思っております。今後の議論に際して、今申し上げた意見をきちんと踏まえていただくことを明確にしていただかない限り、今回の諮問について妥当、もしくはおおむね妥当と認めることは難しいと考えております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 ありがとうございます。
11月までの特例の延長は妥当だと思いますが、コロナ禍の収束がいまだ見通せない状況であるということも踏まえとる、12月以降についても当面は現行の措置を継続すべきではないかと考えております。現場での対応を考えますと、12月以降の措置に関するこの審議と方針の発表については、遅くとも10月中に行っていただきたいと思っております。
平田委員の発言とも関わりますが、雇用保険二事業の今年度の予算が枯渇寸前であり、当面の財源の確保について、どのような措置を予定しているのか、教えていただきたいと思います。
また、次の議題にも関係しますが、今後、この部会で財源も含めた雇用保険制度の在り方や雇調金の特例の措置などについて議論することになると思いますが、法改正や制度改正に向けて、当部会における労使の意見を十分に踏まえた法改正とすべきだということを改めて強く申し上げます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
何かありますか。
○長良雇用保険課長 雇用保険課長でございます。
仁平委員から雇用調整助成金などの歳出増に対応した財源確保についての御質問がございました。本件に関しましては、昨年度も積立金からの借入れを含めた雇用勘定内でのやりくりに加えまして、一般会計による予算措置なども講じて必要な財源を確保してきたところでございます。仮に今年度確保している財源を上回るような支出が今後生ずるケースというのも想定され得るわけでございますけれども、そうした場合につきましても、以上を念頭に適切な対応策を検討してまいりたいと思っております。いずれにいたしましても雇用保険財政は非常に逼迫しておりますが、雇調金の特例などの実施に支障をきたさないように、対応に万全を期すことが何よりも重要だと考えているところでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見等、おありになる方はいらっしゃいますでしょうか。
杉崎委員、どうぞ。
○杉崎委員 ありがとうございます。
平田委員、仁平委員から御発言がございましたが、同様の趣旨で一言申し上げたいと思います。
休業支援金の対象となる休業の期限及び地域特例の期限を9月末から11月末まで延長すること自体には異論はございません。ただし、雇用調整助成金等の特例措置の取扱いにつきましては、財源である雇用保険二事業会計の枯渇化が必至な状況であることを考慮いたしますと、やはり本来的には収入確保策と同時に議論する必要があると考えます。
また、コロナ禍の長期化に伴う一連の措置は事業主のみが負担する共同連帯の制度であります雇用保険二事業の範疇を大きく超えておりまして、感染症対策としての性格が極めて強いということから、その財源は本来全て一般会計による国費で負担すべきであります。
一方で、雇用調整助成金等につきましては、年度の半ばにして年間の予算をほぼ使い切ってしまっているというような状況ですが、申請件数、また、支給決定額を見ますと、ペースは一向に落ちておりません。加えまして、感染の状況が収束せずに緊急事態宣言が延長されるようであれば、当面の間、ペースは落ちないのではないかと思っております。
こうした状況を踏まえまして、今後、予算を使い切ってしまったことにより雇用調整助成金等の支給が滞る事態に陥らないよう、可及的速やかに一般会計による財政措置を講ずることで、雇用保険二事業を含めた雇用保険財政の安定化を早急に確保すべきであると考えます。さらにコロナ禍のような国家レベルの非常事態が今後生ずる可能性があることを念頭に、雇用調整助成金等の在り方や雇用保険財政の在り方をどのように考えるのかということについても、当部会でしっかり議論していく必要があると思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。中央会の菱沼でございます。
8月25日の部会でも申し上げたとおりでございますけれども、新型コロナウイルス感染症の急激な感染拡大が続きまして、その影響が長期化する中で今日の議論であります。補助金の特例措置の累次にわたる延長ですとか、産業雇用安定助成金の創設・拡充については、雇用の維持に大きな役割を果たしていると認識しておるところでございます。
その一方で、今、各委員がおっしゃったとおり、財源が枯渇しており、もはや雇用保険の財源では対応できるものではないというところでございます。
以前から申し上げていたとおりでございますが、後ほど議題の2にもつながるかなと思っておりますけれども、二事業の収支で差し引きマイナスとなった全額予備費ならず、一般会計から充当していただきたいなと考えているところでございます。
加えまして、先ほど杉崎委員のお話にもありましたけれども、雇用における国の責任を明確にするというところが大事なのかなと思っていますので、令和4年度以降の安定財源を確保する観点からも現在2.5%である失業等給付に係る国庫負担率を本則どおり4分の1にさせるなどして、財政の安定化を図っていく必要があるというところでございます。
現下の危機的な経済情勢において、雇用保険料率の引き上げを行うことについては、企業にとっては大きな負担増になりますので、経営者の事業継続だとか、雇用維持に対する切実な思いを切り捨て、倒産や廃業、失業者の増加を招く可能性を含んでいることを御理解いただけたらなと思っております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか御意見がおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。
いらっしゃらないようなので、議題1について、今、労使の方々から御意見をいただきましたけれども、公労使一致した意見をまとめるべきだということなので、私からも一言申し上げたいと思います。
この後、雇用保険制度の在り方自体についての議論がスタートしていくのですけれども、その中で、純粋な財源論だけにとどまらず、制度の在り方自体について全体として議論していくべきだと私も考えております。したがって、こうした議論を今後この雇用保険部会の場で行っていくということを前提に、今回の厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を職業安定部会に報告申し上げたいと思っております。
そういう形でよろしいでしょうか。ほかの委員の皆様からさらなる御意見がございましたらお伺いしたいと思います。
よろしいようですね。ありがとうございます。
それでは、これまで出た意見について、事務局にて報告書文案に記載するように準備をしてください。委員の皆様は申し訳ありません、5分ほどになると思いますけれども、そのままでお待ちいただければと思います。
(中断)
○守島部会長 それでは、報告文案の表示をお願いいたします。
今から事務局より読ませていただきます。
○伏木雇用保険課長補佐 それでは、画面にも表示されているかと思いますけれども、先ほどの御意見を踏まえた報告文案をお読みいたします。
1としまして、厚生労働省は、今後の雇用保険制度の在り方の検討に当たり、以下の点を踏まえるべきである。
(1)本年7月27日の答申にも記載されたとおり、雇用調整助成金の特例措置の取扱いについては、本来、収入確保策と同時に議論する必要があり、一般財源の投入強化をはじめ、収入確保策の具体化に向け一層取り組むべきである。
(2)加えて、新型コロナ対応が長期化する中で、雇用保険制度の一環として実施している雇用調整助成金の特例措置や休業支援金等の在り方、また、今般の新型コロナ対応で雇用保険財政が急速に逼迫したことも教訓に、このような緊急事態が今後生ずることも念頭に置いた雇用保険財政の在り方について、当部会においてしっかりと議論し、必要な法改正につなげていくべきである。
大きく2としまして、厚生労働省において、こうした意見をしっかりと踏まえることを前提として、厚生労働省案はおおむね妥当と認める。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ただいま読んでいただきました、かつ画面に表示されている報告文案によって、職業安定分科会への報告をいたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、この報告文案で後ほど開催される職業安定分科会に報告いたしたいと思います。
続いて議題の2、雇用保険制度についてでございます。事務局から資料について御説明をいただき、その後、委員の皆様に御議論をいただきたいと思います。
それでは、事務局、御説明をお願いいたします。
○伏木雇用保険課長補佐 引き続きまして、伏木から御説明を差し上げます。
今後、雇用保険制度の在り方について、この部会で御議論いただくに当たりまして、本日はキックオフの会ということで、制度の全体を御説明した上で、今後御議論いただく論点について、事務局から案を提示させていただいておるということでございます。
資料で言いますと、資料2から資料5までをお手元に御準備ください。参考資料は後ほど適宜御参照いただければと思います。
まず資料の2をお開きください。資料の分量が多いのでかいつまんでになりますが、ポイントになるところを御説明していきます。雇用保険制度のまず制度的な概略を御説明します。
2ページ、雇用保険とはということで、雇用保険の制度の目的を書いてございます。
また、その次の3ページに、雇用保険制度の体系ということでツリー図の形でお示しをしております。青いところですが、失業等給付、それから、育児休業給付、それから、雇用保険二事業、一番下に就職支援法事業とありますが、これはいわゆる求職者支援制度と呼んでいるものでございますが、こうしたものを雇用保険制度の中で、トータルで実施しているというものでございます。
4ページになります。雇用保険の適用事業及び被保険者ということで、詳しい説明は割愛いたします。
5ページにまいりますが、被保険者につきまして、一番基本的なのは一般被保険者ですが、そのほか、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者という若干特殊な類型の被保険者というのも設けておりますという資料になります。
その続き、7ページをお開きいただけますでしょうか。一般求職者給付(基本手当等)ということでございまして、一番基礎的な失業したときのいわゆる失業手当になるものですが、受給するためには、離職なさった場合に一定の被保険者期間が必要になりますということで、基本的には離職の日から2年間、過去2年の間に12か月以上、ただし、2番目で倒産、解雇等による離職者、それから、有期雇用が更新されなかったこと等による離職者の方については特例的に1年間に6か月以上ということになってございます。
8ページですけれども、こちらは給付の基礎となる賃金日額、それから、給付率について記載しております。毎年8月1日に額を改定してございまして、ここに記載の内容は、令和3年8月1日からの内容ということになっております。給付率は賃金日額が低い方ほど給付率が高くなるように設定をし、50%から80%の範囲内で設定をしております。
9ページにまいります。こちらは給付する日数ということであります。基本的に年齢層ごとになりますけれども、被保険者であった期間に応じた日数を設定しております。ここでロの一般の離職者というところの下に※がついております。赤線を引いておりますけれども、この辺は暫定措置となっているところをお示ししております。すなわち一般の離職者は90日から150日の範囲ということなのですが、※にありますとおり、有期労働契約が更新されなかったことによる離職者、更新を希望したけれども、更新されなかったという方ですけれども、令和4年3月31日まで、今年度末までは、暫定的にイの倒産解雇等の日数を適用されるように暫定措置を講じているということでございます。
10ページを御覧いただけますでしょうか。今申し上げたように、離職の理由によって制度の内容に若干の違いを設けていますが、類型として左にあります特定受給資格者、それから、特定理由離職者、一般受給資格者という大きく3つの類型がございます。
一般受給資格者はいわゆる自己都合ということですが、特定理由離職者というのは御自身の都合であるが、やむを得ない理由により離職した者というものになります。また、期間の定めがある、先ほどの有期雇用契約で更新を希望したけれども、更新されなかった方というのも特定理由離職者の類型に入っております。特定受給資格者というのが、倒産、解雇等の理由による会社側の都合で離職した方というのが主になっています。それに応じて今御説明してまいりました必要な被保険者期間に違いがある。それから、所定給付日数に違いがある。また、給付制限期間というのも自己都合でお辞めになった場合は基本2か月ということでやっておりますが、上の類型の方々の場合は制限期間がないという形で違いを設けているということです。
これは有期雇用の方の欄に赤線で令和4年3月までの暫定措置と書いておりますのが、先ほど申し上げた暫定措置ということになります。
もう1点、ここの下の※2のところに暫定措置が書いてございます。昨年、コロナがまん延していく中で省令を定めてやっているということなのですけれども、令和2年5月から厚生労働大臣が定める日までの間、職場でコロナの感染者が発生したとか、本人ないし御家族に基礎疾患があるとか、あと、高齢、妊娠などを理由にということで、感染予防の観点からやむを得なく離職した方については特定受給資格者と省令上位置づけることにしてございます。
次の11ページになります。これは給付日数の特例ということで、一部の方々については先ほどの日数を延長して基本手当をお支払いできることになっております。典型的には訓練延長給付、訓練を受けている場合でありますとか、個別延長給付の中には災害で離職した場合とかというものが入っています。
これの中に1つ暫定措置がございまして、ホの地域延長給付というところでございます。こちらの対象は倒産、解雇などと書いていますが、先ほどの特定受給資格者と特定理由離職者のうち有期雇用契約の方です。雇用情勢が悪い地域に居住し、かつ重点的に再就職支援が必要であるという方に対して、所定給付日数を超えて60日間延長する。これはリーマンショックのときからの暫定措置がずっと続いてきているものでありまして、リーマン当時の雇用指標と比較して雇用情勢が悪い地域というのを確認した上で、令和4年3月31日末、今年度末までの暫定措置として現在も運営しているものでございます。
12ページは付随する手当ということで説明を割愛いたします。
13ページになります。先ほど被保険者で若干特殊な類型を設けていると申し上げましたけれども、そういう方々に対する給付、高齢の方、季節雇用の方について、一時金という形での給付をしているというものでございます。
お進みいただきまして、就職促進給付という類型でございます。これは早期再就職を支援するのが雇用保険制度の本旨であるというところでありまして、就業を促進するためのインセンティブになるようなものをお支払いしたりしている。典型的には再就職手当というものがございまして、所定給付日数を多く残して再就職した場合には、支給残日数に応じた一時金をお支払いするというようなものがございます。
お進みいただきまして、教育訓練給付であります。17ページから給付の内容でありますけれども、教育訓練給付は大きく3つの累計プラスアルファがございます。17ページにあるのは一般教育訓練給付、それから、特定一般教育訓練給付金ということで、対象となる訓練の質、レベルといいますか、職業への結びつきやすさに応じて、給付水準20%から40%という形で施行をしています。特定一般教育訓練については、令和元年の10月から施行しているというものでございます。
その次の18ページでありますけれども、3つ目の類型として、専門実践教育訓練の教育訓練給付金というものがございます。こちらが一番手厚い教育訓練給付金ということでありまして、まずは費用の50%相当でありますが、訓練終了後1年以内に被保険者として雇用されている方については、費用の20%を上乗せするという形でやっておりますので、最大70%、訓練の費用を見るというものでございます。
また、対象訓練について細かく列記しておりますけれども、例えば資格取得、看護師ですとか、管理栄養士みたいなことを書いていますけれども、比較的長期の訓練も含めて、この給付金は支援をする形になっているというものでございます。
これに関連し、この下に教育訓練支援給付金という暫定措置がございます。これも令和4年3月31日までです。これはこの専門実践教育訓練給付金の受給資格者の方について、その訓練終了見込みがあって、もともと離職していた方で45歳未満の若年離職者の方々に、給付水準と書いていますが、基本手当の日額の80%に相当する額をお支払いするというものでございます。こちらは専門実践教育訓練が比較的長期にわたるというところがございまして、その間、基本手当が受け続けられない方に対して、こうしたものをお支払いしているということでございます。
続いて、雇用継続給付にまいりますが、こちらは高年齢雇用継続給付、介護休業給付というものがございます。20ページに高年齢雇用継続給付がありますが、給付額のところ、現行15%になっていますが、先般、昨年法改正がございまして、令和7年度以降は10%に引き下げるということになってございます。
駆け足で恐縮ですが続きます。次は育児休業給付でございます。23ページに概要を書いてございます。こちらは御覧いただいたとおりですけれども、支給額として育休開始から6月までは67%相当額、それ以降は50%相当額をお支払いするというものになってございます。
続きまして25ページ、雇用保険二事業として大きく雇用安定事業、それから、能力開発事業という2つの類型で実施しています。基本的には失業を予防するとか、あと、労働者の能力向上でありますとか、雇用保険の附帯事業という位置づけで、失業が起こりにくくするようなことを実施しているというものでございます。
続きまして、求職者支援制度、最初にツリー図で就職支援法事業と申したものでございます。27ページを御覧いただけますでしょうか。概要に書いてございますとおり、求職者支援制度は雇用保険を受給できない求職者、職をお探しの方が、月10万円の生活支援の給付金を受給しながら無料の職業訓練を受講できるという制度でございます。雇用保険と生活保護の間をつなぐ第2のセーフティーネットとして、これはリーマンショックで一旦基金事業として実施していたものを引き継ぐ形で制度として創設されているというものでございます。こちらにつきましても暫定措置で実施している部分はございます。Bの欄職業訓練受講給付金の支給要件というところで、本人収入が8万円以下というところなのですが、今、シフト制で働く方などについては月12万円以下というような特例を設けております。令和3年9月末までとなっていますが、今年度末まで延長予定ということになっております。
28ページ以降は制度の詳細になります。この場での説明は割愛いたしますので、後ほど御参照ください。
30ページにつきまして、求職者支援制度の国庫負担、雇用保険の財政運営全体については後ほど別資料で御説明しますが、求職者支援制度につきましては、こちらの資料を少し参照いたします。基本的には国庫と労使負担、2分の1ずつということになってございますが、雇用保険制度全体、今、国庫負担を引き下げるという暫定措置がある中で、この時限とあるところですが、令和3年度までは2分の1の10%水準ということで、100分の5、労使負担は裏を返すと100分の95という状態になってございます。
求職者支援訓練の実績も後で御参照ください。
31ページにお付けしているパッケージ、これは今のコロナ禍におきまして、収入8万円以下をシフトで働くような方は12万円以下に引き上げというようなことを、ほかの訓練の柔軟化などと合わせてパッケージとして実施しているという資料でございます。
制度の基本的なところはここまででございますが、32ページからは、雇用保険制度における新型コロナウイルス感染症への対応という資料でございます。
33ページをお開きいただきまして、コロナの影響で就職活動も十分にできないというような時期が一時あったということでございまして、延長給付を特例で設けてございます。こちらは33ページの上に書いてございますとおり、新型コロナの影響に対するための雇用保険の臨時特例法というものが昨年6月、こちらの審議会でも御議論いただいて成立をし、その中で実施しているというものでございます。対象者の方はこの緊急事態宣言を基準といたしまして、離職理由を問わない、ないし特定受給資格者及び特定理由離職者、これは先ほどの雇止めの方に限るというような形で、時期に応じて設定をしているということです。延長される日数は60日でございます。
続きまして、34ページは雇用調整助成金の特例措置ということでございます。詳しい説明は割愛いたします。
35ページに支給状況をおつけしています。
36ページにまいりますが、先ほども示させていただきました休業支援金・給付金という制度を、これもコロナの特例法を制定して、特別な制度として実施しているというところでございます。
37ページに支給実績をおつけしております。
資料2の制度につきましては、以上になります。
続きまして、資料3の主要指標ということで、支給状況など、これもポイントを絞って御説明したいと思います。
雇用情勢の資料は、毎月厚生労働省からも出している内容ですけれども、完全失業率は2.8%、有効求人倍率は1.15倍というのが足元の状況でございます。
2ページは雇用保険被保険者数の推移ということです。説明は割愛いたします。
3ページは一番基本の基本手当受給資格決定件数、受け始める方の推移です。基本手当につきましては、どちらかというと4ページの受給者実人員という数字を用いることが多くございます。令和2年度におきましては、受給者実人員は47万5700人ということで、平成28年以降ぐらい、ずっとかなりいい状況が続いていましたけれども、足元は若干悪化しているということでございます。水準としては平成26年度とか、それぐらいの水準であろうかと思います。
右側に月別を載せてございますが、令和2年度の6月以降悪化しているということで、令和3年の6、7月は前年の上がった状態からすると若干減ということで、おおむね同じぐらいの水準で足元の推移をしていると理解しております。
次の5ページ、基本手当の主要指標ということで受給者数、平均受給日数、平均受給日額、総支給額ということでございます。まず、総支給額で言いますと、令和元年度は5795億ですけれども、令和2年度においては7372億という水準になっております。また、平均受給日数が若干伸びてきている。会社都合で離職なさる、特定受給資格者になる方が多くなると日数が長い方が多くなってくるということもございまして、平均受給日数が若干伸びているかなというところでございます。
次の6ページが個別延長給付でございます。ここの中にコロナで実施している特例延長給付が含まれるということで御理解ください。この延長給付の受給者数ですけれども、令和元年度までは個別延長給付のみでかなり少なかったですが、令和2年度、コロナの延長給付を受給している方がかなり多くいらっしゃいまして、初回受給者数で言うと45万人という水準になっています。また、右側の表に月別の受給者実人員というのが載っておりますが、おおむね毎月10万人水準が続いているというところでございます。
そうしたことで、かなりコロナの延長給付を御利用いただいておりまして、左下に延長給付の支給額が書いてございますが、1167億円ほどという水準になっております。先ほど基本手当は全体で7372億と申し上げておりましたが、そこに加えて延長給付で1167億ほど給付がなされているという状況でございます。
続きまして、高年齢求職者給付金、これは高齢者向けに一時金でお支払いしていると申し上げたものですが、こちらも傾向どおり、基本手当と同じようなイメージで伸びているということでございます。
8ページは短期雇用特例求職者給付金ですが説明は割愛いたします。全体的に減少傾向でずっと来ております。
9ページの日雇労働者求職者給付の状況についても割愛いたしますが、全体的に減少傾向で来ております。
10ページの再就職手当の支給状況も、そう大きく水準に動きがありませんということで割愛いたします。
11ページの就業促進定着手当の支給状況についても、大きな動きはないということで割愛いたします。
12ページからは教育訓練給付に入ります。一般教育訓練給付と特定一般教育訓練給付を記載しております。一般教育訓練給付が若干全体で減ってきておりますけれども、次の13ページで専門実践教育訓練給付を載せております。これが制度創設からなので、27年度以降が載っていますけれども、年々初回受給者数、御利用いただく方は増えてきております。支給金額も100億円強ということになってきていますので、トータルの教育訓練給付として御利用いただいている人数としては、それなりの水準で続いているかなと考えております。
14ページに先ほど暫定措置ですと申し上げました教育訓練支援給付金を載せております。毎年初回受給者数ということでは三千数百人程度でいただいております。支給金額は令和2年度においては85億円ほどということになってございます。
15ページは高年齢雇用継続給付で御説明を割愛いたします。
16ページは介護休業給付の支給状況、こちらも説明は割愛いたします。
17ページも割愛いたします。
18ページは育児休業給付の支給状況でございます。こちらは右から3番目に給付総額が載っております。毎年8%ぐらい伸びてきていますというようなことで御説明してきておりましたけれども、令和2年度におきましては6436億ほどということで、令和元年度からすると10%強伸びております。
それにつきましては19ページに月別の支給状況を載せておりますけれども、一度この雇用保険部会でも御説明しましたが、育児休業給付は令和2年度において、保育園がお休みになって育休を延長するというような動きがありましたということで、それで、令和2年度の支給がやや伸びているかなと考えております。令和3年度においては、そこまでの動きは今のところ見えていないかなと考えております。
こちらの資料の説明は以上とさせていただきます。
資料4をお開きいただけますでしょうか。財政運営でございます。
1ページは雇用保険制度についてということで、大きく3つの事業を実施しています。失業等給付、育児休業給付、雇用保険二事業であります。雇用保険料率もこれに充てるために、それぞれ1000分の2と4と3という水準で設定しております。
また、育児休業給付と失業給付については国庫負担が入った形、二事業は後ほど説明しますが、特例的に入っていますが、基本的な設計としては失業給付と育児休業給付に国庫負担が入っているという形でございます。それぞれ一番下にありますとおり積立金、育児休業給付資金、雇用安定資金を設けて運営しているということでございます。
この財源それぞれの状況を御説明しますが、2ページで、まず雇用保険料、こちらはまず原則的にはトータル15.5というのが制度の基本でございます。暫定措置として今年度末まで失業等給付分を1000分の2引き下げていると状態であります。
また、それに加えて、弾力条項という規定があるために、失業等給付と二事業分、それぞれ1000分の4、それから、1000分の0.5という数字で引き下げて、トータルで今1000分の9という数字になっている。弾力条項は※に書いていますが、財政状況に照らして一定の要件を満たす場合には、雇用保険料率を大臣が変更可能というようなものでございます。
3ページでございますが、これは失業等給付に関する保険料率の推移ということで、この青い幅は弾力条項で上げ下げできる幅です。平成19年度に幅を広げています。そうした中で、今、足元の令和2年度、3年度のところは0.2%、1000分の2という水準で下限の保険料率を設定しているということでございます。
4ページにまいります。これは雇用保険料の弾力条項でございます。上が失業等給付、下が雇用保険二事業ということになっておりますが、ちょっと式がややこしくなってきていますけれども、端的に申し上げますと、1年分の失業等給付費を分母として、上には積立金に単年度の収支を入れている。そういうことで、要は積立金の水準が給付費の2年分を賄える状態であれば、保険料率を引き下げてもよいだろう。一方、1年分を下回るのであれば、保険料は引き上げることも可能です、そういう仕組みになっています。
二事業については、分母は保険料収入ですが、これは1.5という数字で設定をしておりまして、1.5を超える場合には、保険料率は一旦0.5、自動的に引き下がります。そこからさらなる引き下げが可能です。ここは労政審にお諮りした上で決定するというスキームになっています。
5ページになります。次は保険料ではなくて国庫負担です。失業等給付と育児休業給付に国庫負担が入っていると申し上げましたけれども、給付の内容ごとに水準が若干異なります。この中ほどの箱のとおりになっております。国庫負担の現状のところですが、これまでもこの場でもいろいろ御意見をいただいておりますけれども、まず本来の55%への暫定的な引下げが平成19年度から入っています。できるだけ速やかに安定財源を確保した上で云々というのが入っているということです。今、足元は平成29年度から令和3年度までの間、時限的に本来負担する額の100分の10に引き下げられているということであります。基本手当で申し上げれば、13.75%だったものが2.5%になっております。
その下に、雇用保険法にこのように規定されていますという内容が書いておりますので御参照ください。
6ページは雇用保険料、国庫負担の長期の推移ですので、また御参照ください。
7ページにまいりますと、今まで申し上げたのが基本的な財政運営の仕組みで、その上で雇用調整助成金の特例等を実施するために昨年の臨時特例法で設定した特別の財政スキームということです。これは休業支援金等でもこれまで説明を申し上げているので、上の部分は説明を割愛いたします。
下の部分ですけれども、今、4つの措置を設けています。1番目は失業給付のところに一般会計からお金を繰り入れることができるという規定であります。2番目のところは雇用調整助成金の特例で上乗せになっている部分、中小企業分について一般会計を繰り入れるというものでございます。3番、4番は失業給付の積立金を核として、それぞれに必要があれば貸出しをすることができるということで、実際に雇用安定資金への貸出しというのを実施してきているということであります。
制度の説明は以上でありまして、8ページに収支状況を載せております。
こちらは令和2年度に決算が確定しておりますので、本日はその数字で初めてお出しをしております。失業給付の収支状況につきましては、支出のところ、これは予算が足りなくならないように若干余裕を見て積んでいたということはございますので、支出は予算よりも若干減っておりまして、差し引き剰余、収支状況、マイナス11,094というのが入っていますが、これは若干改善をしております。
また一方で、雇用安定事業への貸出しという額に変動がございまして、これは後ほど雇用保険二事業のほうで御説明を差し上げます。積立金残高が令和2年度末で19826、貸出しが累計額として右下にあるとおり1.6兆円という水準になっています。一番下に弾力倍率を載せております。令和2年度の決算を基に弾力倍率を先ほどの式で計算をいたしますと、1.85という水準になっておりますので、2を超えていれば引下げ可能ということで御説明しましたが、今回2年度決算の数字を見ると、2を下回っているということでございますので、令和4年度の保険料の設定に当たって、現行制度で考えていくと、保険料の引下げというのができなくなるという水準でございます。
9ページにまいります。雇用保険二事業の収支状況ということでありまして、中ほどに雇用調整助成金がございます。令和2年度において、おおむね3.6兆円、予算として確保してきておりました。これは15か月予算みたいなことも言っていましたが、繰越額が6505億ほど含まれております。したがって、令和2年度に雇用調整助成金でお支払いしたのは3兆円弱という額になります。令和3年度、これは予算を今執行しているわけですが、6,117に繰り越した6,576を足して、今財源として12,693億円、約1.3兆円を確保しているという状態でございます。
決算で変動がありましたのが、収入の欄で一般会計より受入というところがございます。こちらは令和2年度の補正予算で一般会計1兆円程度、ここでは入っておったわけですけれども、雇用調整助成金等の一部として入ってくる額は決まっているので、令和2年度の支給実績に応じて清算をするような形になっています。結果として6956億円ということで、これで残った部分は令和3年度の予算のほうに繰り越した形になっていますので、一般会計より受入を令和2年度と3年度、通しで見ると、1.1兆円という数字でございまして、そこに変動ありません。ただ、令和2年度の縦で見たときに、一般会計が減ったということなので、その分、積立基金からの受入が、令和2年度分については増えています。
ちょっとややこしくて恐縮ですが、その裏側で、令和3年度の積立金からの借入額というのは減少して2301億円ということになっております。
また、令和2年度を清算する過程で、積立金から借入額というのが増えたということと併せまして、下から3段目、雇用安定資金、800億程度ありましたけれども、こちらも支出に充てられるということで、雇用安定資金残高がゼロとなっております。
令和2年の雇用保険二事業、これも一番下に弾力倍率をつけておりますが、借入れをしている状態ですのでマイナスという数字となっております。こちらももともと今年度においては保険料が下がった状態でしたけれども、令和4年度、現行制度でいくと下がることができない状態となります。
10ページに育児休業給付の収支状況、これも令和2年度決算で掲載しております。こちらはおおむね見込みどおりといいますか、育児休業給付資金というのを初めて積み立てる形になりますが、1000億程度の積み立てをしているということであります。
11ページ、12ページは長期の収支状況ですので、後ほど御参照ください。
資料4につきましては以上です。
最後に、資料5であります。今後、この雇用保険部会で御議論いただく主な論点案ということで事務局から提示するというものであります。大きく4つの○を記載しております。
まず、財政運営です。保険料率、国庫負担と令和4年度、ないしそれ以降の扱いをどうするかということでございます。
2つ目でございますが、給付制度の説明をする中で暫定措置になっているものがありますということを何点か申し上げましたが、そうした暫定措置をどうしていくかということについても御議論いただければと思っております。
3番目、これは今なお続いている新型コロナウイルス感染症への対応として、どのようにしていくべきかということであります。
4番目、その他としてございますが、雇用保険制度で実施している各種給付の在り方を全般的に御議論していければと考えております。
長時間申し訳ありません。私からの説明は以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして御意見・御質問等がありましたら、お伺いしたいと思います。
仁平委員、お願いします。
○仁平委員 5月21日の財政審の建議における雇用保険に関する記載を読み上げさせていただきますと、「保険財政の逼迫に対しては、まずは保険料の引き上げによる対応が検討されるべき。制度の抜本的な見直しなしに国庫負担割合を引き上げる理由は見いだしにくい。」と書かれておりますが、今の家計、企業の傷み具合は春の時点よりさらに悪化していると思いますし、まずは保険料の引き上げで対応すべきというのは到底受けられる状況ではないと思っております。制度の抜本的見直しなしに国庫負担を引き上げる理由を見いだせないというのもおかしいのではないかと思っております。
失業等給付に係る国庫負担割合は、国会の附帯決議にも反して、説明にもあったように本則の25%から現在2.5%へ引き下げられております。そもそも雇用保険に国庫負担を行う意義というのは、政府が主導する雇用政策において、その責任を明確化することであって、時々の財政状況によって国の責任が小さくなったりするというわけではないと思います。むしろ感染防止のために社会経済活動を制限してたことで国民生活が傷んでおり、そういう非常時であるからこそ、今こそ国の出番ではないのかと思います。
社会保険料や労働保険料の減免など、猶予期間の延長などを求める企業もある中で、労使の保険料の引き上げよりも、まずは国庫負担割合を本則に戻すということを最優先に考えるべきだと思います。
5月の財政審の建議の内容に縛られず、労政審としての意見を取りまとめて、必要な法改正につなげていくべきだということを、議論のスタートに当たり申し上げます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
酒井委員、お願いします。
○酒井委員 私のほうからは、求職者支援制度について説明がございましたので、求職者支援制度について、1点コメントというか質問をさせていただきたいと思います。
資料2の27ページにも示されていますように、現在、給付金の受給に当たっての収入要件というものが当初の月8万円から月12万円に引き上げているということで、私としてはこの措置は非常に重要な措置であると理解しております。この月8万円という当初の額は最低賃金から計算して、これ以上であれば雇用保険が適用されるということで設定された値であると思っておりますけれども、実際には雇用保険を適用されても、このコロナ禍の非正規雇用に見られるように、すぐには受給できないというような人たちがいるということを考えれば、月8万円ではなく、これを引き上げたという措置は非常に重要であると考えるわけなのです。
そうであるならば、これはコロナ禍というようなことで時限措置ではなくて、本来であれば恒久的な措置になってもいいのではないかと考える次第なのですけれども、この点に関して、時限措置ではなくて恒久化する可能性があるのかということに関して、厚労省としての意向というか、考えを伺えたらなと思います。私としてはこれを恒久化すべきなのではないかと考えるところです。
ただ一方で、求職者支援制度は規模としてはまだそれほど大きくないかもしれないですけれども、財源という問題も出てくるかと思います。特に求職者支援制度は雇用保険から漏れ落ちた人たちへの制度ですけれども、国庫負担が現在非常に低いということで何らかの検討が必要であるのかなという気がしております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
○長良雇用保険課長 酒井委員から求職者支援制度の特例措置の今後の道行きに関しての御質問でございました。資料にありますように、収入要件などの特例措置は令和4年3月末までの延長ということで考えているところでございます。まさに令和4年度からどうしていくかということは、この部会でも御議論をいただければと考えているところでございます。
1点資料を紹介させていただきます。参考資料4というのがございまして、経済財政運営と改革の基本方針2021、いわゆる骨太の方針でございます。そちらの第2章の5の(4)、下の段に書いてあるところでございますが、求職者支援制度などのセーフティーネットの強化ということで、今般の感染症の影響を踏まえ、特例措置を講じた第2のセーフティーネットである求職者支援制度や、ちょっと飛びまして、さらなる拡充を見据え、その成果や課題を検証した上で、財源があるかどうかも含めて見直すと、このような形でまとめられているところでございます。当然、現在、特例措置の施行をやっているわけでございますので、そういった状況もつぶさに確認をしながら御議論を今後いただければと考えているところでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
続きまして、杉崎委員、お願いします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
先ほど仁平委員から財政審に関する御発言がございましたが、その御発言には全く同感いたすところでございます。
その上で、新型コロナへの対応及び財政運営に関連して意見を申し上げます。コロナ禍が長期化していることで、宿泊、飲食業をはじめ、いまだに全国の中小企業から雇用調整助成金の特例措置の延長を望む声が多く聞かれております。コロナ禍で影響が深刻な業種が以前の業績水準に回復するには相当の期間が必要であることから、雇用情勢、感染状況、中小企業の経営実態等を十分に注視しつつ、当面の間、特例措置は現行水準を維持すべきであると考えております。ただし、先ほど申し上げましたとおり、その財源は全額一般会計による国費で負担すべきであると考えております。
また、来年度は雇用保険率の暫定措置、国庫負担の暫定措置が期限を迎えることから、法改正をする必要があるかと思います。
また、失業等給付関係収支、雇用保険二事業関係収支ともに財政の逼迫により、令和4年度は弾力条項の発動が停止される見込みであり、失業等給付分の料率につきましては、現行の1000分の2から本則の1000分の8へ一気に引き上げるということも想定されます。
こうした中、長引くコロナ禍で大変多くの企業が厳しい状況にあることに加えまして、最低賃金の大幅引き上げが予定されていることから、まさに悲鳴にも近いような声が商工会議所に多く寄せられてございます。したがいまして、二事業分や育児休業給付分を含めた雇用保険料率全般につきまして、弾力条項以外の要因で将来にわたり引き上げることがないよう強く要望いたします。また、弾力条項の発動停止により料率がやむを得ず引き上げるというような場合には、負担軽減策を具体的に講じていただきたいと思います。
一方で、時限的に本来負担の10分の1に抑えられております国庫負担につきましては、雇用保険部会報告において暫定措置の継続は2年に限るとともに、令和4年度以降、できるだけ速やかに安定した財源を確保した上で、雇用保険法附則第13条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止すべきであると記載されていることに加えまして、本年4月、6月の衆参両院における雇用保険等の一部を改正する法律案に対する附帯決議等においても同様の趣旨が決議されていることからも、令和4年度以降は少なくとも本則に戻すことが不可欠であると考えております。
次に、給付に係る暫定措置につきまして簡単に申し上げます。コロナ禍が長引いていることから、各種の暫定措置を当面の間延長するということはやむを得ないと思います。ただし、これはあくまで暫定措置でありますので、感染状況に応じて対象となる期間を明確に限定することが必要だと思います。
次に、求職者支援制度についてでございます。コロナ禍により非正規労働者の皆様の雇用環境が非常に厳しいということ、また、成長産業ですとか、雇用吸収力のある産業へ労働移動を促進していく必要性があることを踏まえますと、求職者支援制度をより一層推進していくことが重要だと考えます。その際、職業訓練を効果的に実施していくということはもとより、ハローワークによる訓練受講者に対する就職支援をきめ細やかに実施していくことが非常に重要だと思いますので、事業効果を最大限に発揮するためにも、厚生労働省におかれましては所用の対応を講じていただきたいと思います。
また、給付に係る暫定措置、求職者支援制度とともに、当部会において執行状況の開示ですとか、効果検証を行う必要があると考えます。なお、求職者支援制度の実施に係る経費は原則が国庫2分の1、労使負担2分の1でありまして、平成29年度から令和3年度までの時限で国庫100分の5、労使負担が100分の95となっております。しかし、この制度自体は雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でない者が対象でありまして、雇用保険部会報告においても、そもそも全額一般財源で措置すべきものとされておりますことから、全額一般会計で負担すべきだと考えております。
最後に、雇用保険二事業を財源とした各種補助金・助成金について申し上げます。各種補助金・助成金は、有効活用している企業がある一方で、多くの中小企業から要件が複雑である、また、申請書の作成が大変であるといったような声が聞かれております。また、5月14日の経済財政諮問会議の資料によりますと、キャリアアップ助成金をはじめとした厚生労働省の補助金・助成金に関する中小企業の認知度は、いずれも半数の企業が知らないと回答しております。雇用保険二事業会計の枯渇化が懸念される中で、補助金・助成金が有効に活用され、政策効果を高めていくには、幅広い周知と申請に際してのきめ細かいフォローが重要だと思います。
こうした点は、雇用保険二事業に関する懇談会でも議論されているかと思いますが、厚生労働省におかれましては、所要の対応を講じていただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。
資料5の主な論点案につきましては、項目立てには特に異論はございません。このうち特に財政運営に関しましては、先ほど事務局からの御説明がありましたとおり、暫定措置が切れたりという状況もありますし、法改正絡みでもございますので、公労使で丁寧な議論を重ねていきたいということを考えております。
その中で、1の議論でもありましたけれども、財源が枯渇状態にある二事業をはじめ、雇用保険制度を今後も持続可能な制度としていくためにはどういった対応があり得るのか、十分な議論が進めていく必要があると思います。
また、来年度の保険料見直しに当たりましては、これまで委員の御発言にありましたように、雇用調整助成金の特例措置だとか、休業支援金、大変効果があったとは思っているところでございますが、そのほかの助成金等々もどれだけ効果があったのかということの検証を行った上で議論を重ねていったらいいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます、労働側の佐藤でございます。
私からは、主な論点案の2つ目、給付の暫定措置等の在り方についてでございます。課長補佐からの御説明もございましたが、今年度末を期限としております暫定措置については、コロナ禍により先行きが見えにくい状況なども勘案した上で、次年度以降の取扱いを議論して結論を得るべきと考えます。
今後の議論に当たって、事務局へのお願いとなりますけれども、例えば暫定措置によって給付が継続された者の状況でありますとか、暫定措置による日数を満期まで受給して給付が終了した者の状況など、定量的に状況が分かるデータ実績値を御提供いただけないか御検討いただきたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
続きまして、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 御説明ありがとうございました。
資料5にあるとおり、給付の暫定措置も含めて今後の雇用保険制度の議論に関する4つの論点については承りました。
その上で意見を申し上げます。先ほどの議題1とも関係しますけれども、今後議論を深めていく中で、財源を確保して雇用保険財政をどう再建するのかと、そういった検討が優先されるべきであると思っています。そのめどが立たない中で、給付面の議論ばかりすることは、あまり適当ではないのかなと思っております。今後の議論の中で個別に意見を申し上げていきますけれども、まず、そのように申し上げておきたいと思います。
それから、1つ単純な質問です。先ほど資料3の教育訓練給付について、具体的には12~13ページです。御説明で、専門実践教育訓練給付の支給は増えているというご説明でした。専門実践訓練給付が増えている分、一般教育訓練給付のほうは減っているのだと理解していいのかどうか、もしお分かりになるのであれば、御回答いただければありがたいと思っています。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
○長良雇用保険課長 ただいまの教育訓練給付の御質問でございます。詳細はまた資料を整理した上でお示しをさせていただければと思いますが、今し方御指摘があった13ページの資料3のところのトレンドを申し上げますと、この資料だけからも分かるように、実は一般教育訓練給付の給付自体はだんだん減ってきておりますけれども、男女比で見ますと女性の減り具合がちょっと大きくなっているというのが特徴かなと感じているところでございます。これの要因までは詳細な分析ができておりませんけれども、一つはニーズに見合った訓練というものが一般教育訓練の中で用意されているかどうかというところかなと感じているところでございます。ある程度の長期トレンドでございますので、少し求職者なり教育訓練を受けようとする方のニーズが少し変わってきているということも可能性としてあるのかなと思っているところでございます。
一方で専門実践教育訓練給付は14ページの資料でございますけれども、受給者自体は、一般教育訓練給付と比べると、もちろんそれほど多くはないですけれども、増加傾向にあります。その中で、男女比で見ますと、女性のほうが多いという傾向がございます。実際にどのような訓練が指定されているかなどの資料は後日またお示しさせていただければと思いますけれども、医療介護系のいわゆる資格取得などを中心に、かなり業務独占資格を狙った形の訓練、2年3年コースなどが多く指定されているということがございます。それが訓練の傾向に表れているのだろうと思っているところでございまして、こうしたものは代替しているかというのは我々も定かではございませんが、一定程度ニーズに見合った受講というのがだんだん図られてきているのではないかと感じているところでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、千葉委員、お願いいたします。
○千葉委員 ありがとうございます。
論点の4点目のその他に該当するかと思いますが、1点確認させてください。参考資料1の基本手当に関わる主な制度の変遷にも記載されてございますが、基本手当については平成15年改正で法定賃金日額、所定給付日数ともに引き下げが行われて現在に至っていると承知しております。こうした経緯も踏まえた基本手当の法定賃金日額、所定給付日数の在り方についても論点に含まれるという認識でよいか確認をさせてください。よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。
○長良雇用保険課長 基本手当に関しましては、毎回の制度見直しの際にも論点として御議論をいただいているところでございます。参考資料の制度変遷の中で基本手当の日額、日数、率などについてもお示しをさせていただいたところでございましたけれども、こうした内容についても御議論があれば、様々検討していくことになろうとは思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 私のほうから細かな補足的な意見なのですけれども、先ほどから給付の暫定措置に関して、多くの委員の方から効果の検証という話が出ておりますが、私も非常に同感です。同時に、今回のコロナ禍の給付の暫定措置ということにとどまらず、自己都合離職の給付制限期間の短縮化、あるいは今後、来年から始まる65歳以上のマルチジョブフォルダーへの適用といったことで、雇用保険の給付を巡る変更が近年非常に多いのではないかと思っています。そのことを踏まえますと、給付の今回の暫定措置だけにとどまらず、先ほどの変更も含めて一体的に効果を検証していって、その上で、雇用保険というものを今後効果的に利用するということにつなげていったらいいのではないかと思っております。
厚生労働省としては、このコロナ禍において様々な特例措置を設けるというほうで非常に御苦労されているかと思います。その中でこういった要望をするのはちょっと心苦しい面もあるのですけれども、やはりフィードバックの部分です。効果の検証といった部分をぜひしっかりとお願いできたらと考える次第です。
以上、コメントです。
○守島部会長 ありがとうございます。
○長良雇用保険課長 ただいまの御意見にもございましたように、基本手当の自己都合の短縮、これは昨年の10月から3か月を2か月にしております。それから、65歳以上の方のいわゆる複数就業者の所定労働時間が通算して週20時間以上ある方に関して、雇用保険の加入を特例的に認めていくというような方針も示しているところでございます。
これらの効果はすぐに定量的なものとして、なかなか数字として表しにくいだろうということもございますし、先ほどの議論とも関連いたしますけれども、基本手当を巡る状況というのは時事刻々と変わっていく可能性もあるということでございます。したがいまして、このテーマでどうというところにとどまらず、議論をするということに関しては不断にやっていく必要があろうと思っておりますけれども、今回の論点として我々が提示させていただくものに関しましては、時限が来るというところで、給付の暫定措置の部分について、まず、この9月から始まりまして、年末にかけて何らかの形で結論を見いだしていくというようなことで、検討のタイムスケジュールの優先度に関して、ここをあえてお示ししたという経緯がございます。
そういった中で、先ほど来御意見があった基本手当のものの背景状況についても、いろいろと検証なり御報告はさせていただければと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか、御意見とか御質問とか、おありになりますでしょうか。ほかの公益の方々も大丈夫ですか。
本日予定されている議題は以上でございます。
皆様方、お忙しい中、大変ありがとうございました。これで本日の部会は終了させていただければと思います。どうもありがとうございました。