第1回訓練基準の見直しに係るワーキンググループ議事録

日時

令和3年11月15日

場所

TKP新橋カンファレンスセンター

議題

第1回 訓練基準の見直しに係るワーキンググループ

議題 (1)訓練基準の見直しに係るワーキンググループついて
    (2)訓練基準の主な論点について
    (3)その他

   

 
              

議事

議事録
〇大城補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、「身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会 第一回訓練基準の見直しに係るワーキンググループ」を開催いたします。皆様には、ご多忙のところ本ワーキンググループにご出席いただきありがとうございます。本日は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の対応としまして、Webでの開催となり、江藤座長と事務局は会場からの参加となります。続いて、構成員の出席状況についてご報告いたします。本日は、日本理学療法士協会の佐藤構成員がご欠席されておりますので、14名の構成員にご出席いただいております。また、日本聴導犬パートナーの会の松本構成員におかれましては、UDトークを使用して参加いただいております。また、傍聴者向けに手話通訳者を配置しております。構成員の皆様におかれましては、ご発言の際は明瞭にゆっくりご発言くださるよう、ご協力をお願いいたします。次に事務局を紹介いたします。自立支援振興室長の奥出です。
〇奥出室長 自立支援振興室長 奥出と申します。よろしくお願いいたします。
〇大城補佐 福祉用具専門官の周藤です。
〇周藤専門官 周藤です、よろしくお願いします。
〇大城補佐 社会参加活動支援係長の田中です。
〇田中係長 田中です。よろしくお願いいたします。
〇大城補佐 私は室長補佐の大城です。以上、よろしくお願いいたします。まず初めに、室長の奥出よりご挨拶申し上げます。
〇奥出室長 改めまして、構成員の皆様こんにちは。皆様におかれましてはご多忙の中、本ワーキンググループにお集まりいただきまして誠にありがとうございます。身体障害者補助犬につきましては平成14年の法施行以来、指定法人、訓練事業者、あとユーザーの皆様をはじめ多くの方々のご尽力によりまして、法律の目的であります、障害のある方の自立および社会参加に寄与してきたところでございます。来年は、補助犬法の成立および施行から20年を迎えるにあたりまして、厚生労働省といたしましても、さらに普及啓発に取り組んでいるところでございます。一方、昨年度実施いたしましたヒアリング調査の中で、介助犬・聴導犬にかかる認定要領、あるいは訓練基準の課題というものを、多くのご意見をいただいたところでございます。そのため今年度は認定要領および訓練基準の見直しに係るワーキンググループを設置して、それぞれ3回程度開催をし、見直しに係る検討を進めていくこととしております。認定要領の見直しに関するワーキンググループにつきましては、一足早く7月から9月まで3回開催をいたしまして、その取りまとめを行い、先月の検討会でご報告をしたところでございます。このワーキンググループも本日を含めまして、3回の開催を予定しているところでございます。議論のために、それぞれ課題を用意させていただいていますけれども、認定要領のワーキングもそうだったのですが、やはりまず実態というものがどのように行われているかいうところの把握をしっかり行いたいと思っております。ぜひとも訓練事業者からご参加いただいた構成員の皆様におかれましては、多くのご発言をいただければと思っております。ぜひ、それぞれの立場で、忌憚のないご意見をいただきますようよろしくお願いいたしまして、開催にあたっての私からの挨拶といたします。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
〇大城補佐 続きまして、本ワーキンググループの取り扱いについてご説明いたします。本ワーキンググループの議事については、公開とさせていただき、また、議事録については後日、厚生労働省のホームページに掲載することとしておりますので、ご承知おき願います。それでは本日の議事に入る前に資料の確認をさせていただきたいと思います。構成員の皆様には事前に資料をお送りさせていただいておりますが、「議事次第」「資料1」「資料2」「参考資料の1から2」となります。今回はウェブ開催としておりますので、ミュート機能を設定していただき、ご発言される際は、手を上げるというアイコンを画面に表示していただく、もしくは実際に手を挙げてお知らせ願います。それでは本題に入らせていただき、江藤座長に議事を進めていただきたいと思います。江藤座長、よろしくお願いいたします。
〇江藤座長 江藤でございます。日本リハビリテーション連携科学学会の理事長をしておりますが、ご存知ない皆様方も多いと思われますが、この学会の初代の理事長は国立身体障害者リハビリテーションセンターと言っていた時代の指導部長をされていた方が、初代の理事長でございまして、私も国リハに7-8年関わっておりましたので、そんなご縁で座長を務めさせていただけるのではないかと考えております。それでは、議事次第に沿って進めさせていただきますが、本ワーキンググループが初回開催のため、まずは各構成員に自己紹介をお願いしたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
〇大城補佐 各構成員の皆様からご挨拶をいただきたいと思います。簡潔に、自己紹介、所属法人のご紹介等をお願いいたします。「資料1」の2ページ目の名簿順に従って、お願いいたします。それでは、日本サポートドッグ協会 阿部明子委員、よろしくお願いいたします。
〇阿部構成員 こんにちは、日本サポートドッグ協会理事長、阿部明子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私どもNPO法人でございまして、平成15年10月に設立いたしました。これまでに、介助犬19頭と聴導犬15頭を社会に出しております。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本聴導犬協会 有馬もと委員、よろしくお願いいたします。
〇有馬構成員 皆様、こんにちは。日本聴導犬協会の有馬もとと申します。日本聴導犬協会は2021年11月現在、日本初で唯一、ADI「アシスタンス・ドッグ・インターナショナル」の認定試験に合格し、私が日本で初めて聴導犬と介助犬のADI国際インストラクターの資格を2006年にいただいております。訓練方法については、国際基準を満たすために、日本の補助犬法の規定ももちろんですが、ADIおよび、日本聴導犬協会はイギリスの聴導犬協会からご指導いただいています。国際的な基準を満たすような訓練方法をとっております。現在も、イギリスの聴導犬協会のアソシエーションとして、私どもは3年に1回くらいイギリスに行かせていただいて、研修をさせていただいております。加えて、海外の育成団体10ヶ所くらいで研修や視察をさせていただいた情報も訓練の基準の参考にさせていただいています。日本では、なかなか聴導犬が増えないので、普及のために、皆様とお話しさせていただくことをとても楽しみにしておりました。よろしくお願いいたします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、兵庫介助犬協会 北澤光大委員、よろしくお願いいたします。
〇北澤構成員 特定非営利活動法人兵庫介助犬協会で、理事長をしております北澤と申します。私ども、特定活動法人兵庫介助犬協会は兵庫県西宮市で兵庫介助犬協会と千葉県船橋市で千葉介助犬協会という二つの事業所を運営している法人です。今回のワーキンググループで、これまで初めて介助犬の訓練の基準などが改正されるということで、ユーザーにとってよりよいサービスを提供するために、皆さんと一緒に良い案を作っていけたらなと思っておりますのでどうぞよろしくお願いします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本介助犬使用者の会 木村佳友委員、よろしくお願いいたします。
〇木村構成員 日本介助犬使用者の会の木村佳友です。よろしくお願いします。私は交通事故で頚髄を損傷して、車いすの生活になり、補助犬法が成立する前の1996年に初代の介助犬シンシアとの生活を始めて、現在は3代目の介助犬のデイジーと生活をしています。介助犬の使用者歴は25年になり、日本の介助犬使用者の中では一番の最古参になっています。日本介助犬使用者の会は、2001年に厚生労働省が、訓練基準の検討会を設置する際に、介助犬の公的認知を求めて活動していた使用者が中心になって使用者の交流や、情報交換を目的に2001年に設立した団体です。今回も皆さんの意見をお聞きし、訓練基準が少しでもより良く見直しができるように役立てられればと思っていますので、よろしくお願いします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、ドッグフォーライフジャパン 砂田眞希委員、よろしくお願いいたします。
〇砂田構成員 愛媛県松山市で介助犬と聴導犬の育成をしております、ドッグフォーライフジャパンの砂田眞希と申します。当会は今までに聴導犬が3頭、介助犬1頭、合計4頭を認定しておりまして、他団体さんに比べてまだ実績は少ないんですけれども、地方でやっているということで、認定試験の受験ですね、そういうところにかなり大きな壁というものを感じておりまして、今回は地方の声を届けるという形も含めて、この会に参加できたことをとても嬉しく思っております。よろしくお願いします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本言語聴覚士協会 立石雅子委員、よろしくお願いいたします。
〇立石構成員 一般社団法人日本言語聴覚士協会の立石と申します。よろしくお願いいたします。言語聴覚士という専門職の全国団体ということになります。聴導犬はですね、まだまだ本当によく知られていないというところでありまして、私達言語聴覚士は、聴覚障害のある方の支援ということも業務の一部でございますので、ぜひこの機会により広くこの聴導犬のことも含めて、一般にも知らせていくということ、それから専門職がどう関わればより良い方向性を目指せるのかっていうことをご一緒に探りたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本補助犬協会 朴善子委員、よろしくお願いいたします。
〇朴構成員 皆さんよろしくお願いいたします。日本補助犬協会は、3種類の補助犬を育成しております。補助犬法19年ですけれども、補助犬法の中で定められた三つのうちの盲導犬と介助犬・聴導犬があまりにもたてつけが違う。スタートしたときはそれも致し方ないかと思っておりましたが、どんどん離れていく感じがしておりまして、これからどうなるのだろうというような、危機感も持ちつつ参加をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本聴導犬パートナーの会 松本江理委員、よろしくお願いいたします。
〇松本構成員 日本聴導犬パートナーの会の松本です。このたびはこのワーキンググループに参加させていただきましてありがとうございます。パートナーの会は、出身の育成団体関係なく、聴導犬ユーザーであること、そして聴導犬を希望する人たちの中でいろいろな情報公開や交流をしていきたいということで、結成しました。皆さん、日本全国に点在していることで実際にリアルに会って交流というのはなかなか叶いませんが、SNSなどを利用して、みんなでいろいろな情報を共有しています。
私自身は、26年前から聴導犬と生活をし、現在3代目のパートナーと生活をしています。補助犬法ができる前からユーザーをやっていましたが、このような認定や訓練の基準の見直しによって、そもそもの身体障害者補助犬法の最初の大きな目標である、私達障害者の自立と社会参加に補助犬がどれだけ力を発揮してくれるかということを、改めて見直す機会になってくれるといいなと、障害当事者としても願っておりますので、今回のワーキンググループ、皆様といろいろ実りあるものにしていきたいと思っております。よろしくお願いします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本介助犬協会 水上言委員、よろしくお願いいたします。
〇水上構成員 皆さんこんにちは、社会福祉法人日本介助犬協会の水上と申します。ワーキンググループではお世話になります、よろしくお願いします。私達、日本介助犬協会は、横浜に本部事務所と愛知県長久手市というところに訓練センターを構えています。前身の団体は1995年から活動を開始して、法人格を2004年に取って、介助犬のみの育成をしている事業者になります。有馬構成員のお話でもありましたが、今ADIは有馬構成員のところ、日本聴導犬協会さんしか取っておらず、私たちもADIの認可を受けるべく準備を進めていて、有馬構成員にも色々なことを教えていただいて準備をしているところではありますが、コロナ禍で査察の方が来る予定が延期になってしまったまま、今調整中ではありますが、日本はやはり独特の文化がありますし、生活習慣もほかの国と比べてだいぶ違うことがあると思いますが、障害のある方の権利、人権とか、犬に対するアプローチっていうのは、世界と比較しても変える必要がないというか、文化に関係ない、生活スタイルに関係ないものかとも思いますので、日本にいるとどうしても限られた情報しかなかったり、訓練方法とかも海外に比べると遅れがちだなということを海外の方と接するたびに痛感しますので、なるべくそういったことの、障害がある方、介助犬や聴導犬と生活する方が社会に出やすい、自立しやすいということはもちろんですし、犬に負担のないようにしていくというのは私達、育成事業者の大きな責任だと思っていますので、そういったこととかも皆さんと共有できたらいいなというふうに思っております。よろしくお願い致します。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本獣医生命科学大学 水越美奈委員、よろしくお願いいたします。
〇水越美奈構成員 皆さんこんにちは、日本人生命科学大学獣医学部で教授をしております水越と申します。
よろしくお願いいたします。補助犬に関しましては、障害者リハビリテーションセンターで行っている訓練者の現任研修の方で講師をさせていただいております。獣医師であり、臨床動物行動学を専門にしております。どうぞよろしくお願いいたします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本聴導犬推進協会 水越みゆき委員、よろしくお願いいたします。
〇水越みゆき構成員 皆さんこんにちは。公益社団法人日本聴導犬推進協会の水越みゆきと申します。今回、このような形で委員会に参加させていただくことができて大変光栄に思っております。私たちの協会は、もともとはNPO法人聴導犬普及協会という名前で、かなり昔から聴導犬の普及と育成というのをずっと行ってきた団体で、NPOでの活動に限界を感じたので、公益社団法人を取得することを目的に、2018年に、一般社団法人日本聴導犬推進協会という名前に変更しまして、その後、公益社団法人へ認可をしていただき今現在活動を続けているところでございます。聴導犬の育成を始めたのがうちの協会の最初になりますが、実際に訓練基準を決める際に、私たちの協会からも委員が出たり、聴導犬とはどういうものかとか、聴導犬の訓練はこういうふうに進めていく、訓練日数とかそういったところでの話し合いを元に、今できている訓練基準が決められているわけですけれども、なかなかこれが有効に活用されていなかったり、実際に基準が基準として働いてないということを実際に育成している中で、感じていたことが結構ありましたので、今回こういったことで内容を変更してよりよいものにしていくということで、聴覚障害者の方にもその部分をしっかり理解していただきながら進めていくことができるのではないかなと思っています。どうぞよろしくお願いします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本社会福祉士会 森戸崇行委員、よろしくお願いいたします。
〇森戸構成員 公益社団法人日本社会福祉士会の森戸です、よろしくお願いします。社会福祉士会は福祉分野に限らず、医療や学校などをはじめ、様々な領域でソーシャルワークをしている専門職の団体で、今、全国で4万2000人くらい会員がいる団体です。ワーキングに参加させていただいて、障害のある方の自立と社会参加に向けて、よりよい訓練基準の見直しというところを皆さんと一緒に話し合えればと思っております。よろしくお願いいたします。
〇大城補佐 ありがとうございました。続きまして、日本作業療法士協会 吉田文委員、よろしくお願いいたします。
〇吉田構成員 皆様こんにちは。一般社団法人日本作業療法士協会の作業療法士の吉田と申します。よろしくお願いいたします。日本作業療法士協会は作業療法士の6割から7割程度の人たちが所属している専門職団体です。障害のある方の自立と社会参加を促進するために、作業療法が一体何ができるのかというところを同じ職業の者たちが集って日々勉強し、社会貢献をしていくために活動をしております。今回は、主に介助犬に関わることが多くなるかと思いますけれども、作業療法士はですね、リハビリテーション専門職の立場から障害のある方の自立と社会参加を促進するために、補助犬の訓練基準がどうあるべきなのかということを皆様と一緒に考えられたらというふうに思っております。訓練する際には、リハビリテーション専門職がどのように協力すべきかと、連携という視点からも、訓練基準について考えられたらいいなというふうに考えております。以上です。よろしくお願い致します。
〇大城補佐 ありがとうございました。それでは江藤座長、よろしくお願いいたします。
〇江藤座長 それでは議事次第に沿って進めさせていただきます。「議題1 訓練基準の見直しに係るワーキンググループについて」「議題2 訓練基準の主な論点について」それぞれ事務局より資料の説明をお願いいたします。
〇周藤専門官 事務局の周藤です。資料1と2のご説明をさせていただきます。まず「資料1 認定要領および訓練基準の見直しに係るワーキンググループの開催スケジュール(案)」をご覧ください。認定要領および訓練基準のワーキンググループはあり方検討会およびヒアリング等の意見を踏まえまして、今年度開催をしているところです。認定要領のワーキンググループは取りまとめの方が終わりまして、先月開催されました身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会において、とりまとめについてご報告をさせていただいたところです。訓練基準のワーキンググループも、認定要領のワーキンググループと同様に3回の開催を予定しておりまして、来年の2月頃に見直し案をあり方の検討会の方で報告をする予定で進めていきたいと考えております。資料1枚おめくりいただいて、訓練基準の見直しかかるワーキンググループの構成員の名簿になります。こちらについては先ほど皆様にご挨拶いただいたので省略をさせていただきます。1枚おめくりいただきまして、「身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方に関する調査研究」になります。これは令和3年度の「障害者総合福祉推進事業」として社会システム株式会社さんの方において調査を進めている事業になります。目的については1に記載の通りになりますが、介助犬・聴導犬の訓練基準や認定要領の見直しに向けた課題整理等を行っていく予定としております。資料1については以上になります。
続きまして資料2のご説明をいたします。「身体障害者補助犬の現状と訓練基準の主な論点」の資料の方を御覧ください。まずスライドの1ページ、身体障害者補助犬の実働数のスライドになります。介助犬、聴導犬の方は令和3年4月1日時点の実働数になりますが、それぞれ介助犬が60頭、聴導犬が63頭となっております。1枚おめくりいただきまして、スライドの2ページ指定法人訓練事業者の数のスライドの方になります。介助犬訓練事業者の数は24事業者、聴導犬の訓練事業者の数は19事業者が現在ございます。続いて1枚おめくりいただきましてスライドの3ページ、身体障害者補助犬法第15条に基づく
指定法人のスライドになります。こちらは指定法人を掲載しておりまして、介助犬については7法人、聴導犬については6法人ございます。続いて1枚おめくりいただきまして、スライドの4ページに移ります。介助犬および聴導犬の訓練事業者の名簿になります。先ほど少し数について触れましたが、介助犬が24、聴導犬が19の事業者がございます。名簿については記載の通りになりますので、省略をさせていただきます。続いて1枚めくっていただきまして、スライドの5ページに移ります。「訓練事業者の状況Ⅰ」といったスライドになります。こちらのスライドから11ページの訓練事業者の状況Ⅶまでデータをグラフ化したものが続きますが、後ほどご説明いたします訓練基準の見直しに係る論点の参考となるように取りまとめたものになります。データ元は平成30年度実施しましたみずほ総研の調査データと、先ほど推進事業で社会システム株式会社さんが、取り組んでいるということをお伝えしましたが、そちらの調査においての速報を掲載しております。「訓練事業者の状況Ⅰ」については、Ⅰは利用者の適性評価について、使用希望者について把握する内容や、適性評価を行うタイミング等を示したグラフとなっております。使用希望者について把握する内容は、基本属性や障害の内容・程度等であり、ほとんどの事業者で確認していることがグラフからわかるかと思います。適性評価のタイミングについては、半数以上が利用相談のあった際に実施していることがわかります。続いて1枚おめくりいただきまして、「訓練事業者の状況Ⅱ」になります。こちらは、基礎訓練の実施状況について、それぞれの項目において「必ず実施」「一部未実施」「未実施」「無回答」でグラフ化したものになります。一枚またおめくりいただきまして「訓練事業者の状況Ⅲ」になります。こちらは「介助動作訓練」と「聴導動作訓練」の実施状況をグラフ化したものになります。先ほどの「訓練状況Ⅱ」と同様の質問項目で調査したものになります。スライド8ページ、「訓練事業者の状況Ⅳ」の方に移りたいと思います。こちらは介助犬・聴導犬の平均的な訓練日数をグラフ化したものになります。最低の日数で基準を設定しておりますが、多くの事業者において基準を上回る日数において訓練されていることがグラフからわかるかと思います。続いてスライドの9ページ「訓練事業者の状況Ⅴ」に移ります。フォローアップの実施者については、多くの事業者において、補助犬の訓練士が行い、書面や電話等においてフォローアップの必要性を確認していることがわかります。その内容としては、補助犬使用者のニーズや環境の変化等があげられ、それを契機にフォローアップをされているというところがグラフからわかるかと思います。続いて「訓練事業者の状況Ⅵ」スライドの10ページに移りたいと思います。こちらは補助犬のリタイア時期を示したグラフになります。介助犬・聴導犬ともにリタイア時期を設定している事業者は、7割程度で10歳としているところが半数以上となっております。続いて1枚おめくりいただき、「訓練事業者の状況 Ⅶ」スライドの11ページになります。訓練士の採用で重視していること、および他の訓練事業者との連携についてです。採用については保有している資格と、重要視していることの記載になっております。事業者間の連携については、指定法人や他の訓練事業者との連携は、4割から6割との調査結果となっております。ここまでが各種データのご説明とさせていただきます。
続いて1枚めくっていただきまして、「訓練基準に関する主な意見Ⅰ」スライドの12ページになりますがこちらに移りたいと思います。主な意見についてはスライドの15ページまで続きますが、あり方検討会、ヒアリング等におけるご意見を論点ごとに整理して取りまとめた資料になります。資料については、議論する時間を多くとりたいと考えておりますので、それぞれかいつまんでご説明させていただきたいと思います。まず「主な意見Ⅰ」〈使用者のニーズ把握〉においては、「使用希望者は補助犬によりどのような生活、社会参加をするかという視点が不足」「使用者と事業者の連携が不十分」などのご意見がございました。補助犬を希望する方に対して、生活全体を組み立てる支援が重要とのご意見は認定要領のワーキンググループにおいても議論されまして、こうした視点については訓練事業者においても重要な視点となるかと考えております。続いて1枚めくっていただきまして、「主な意見Ⅱ」スライドの13ページになります。〈利用者ごとの長期計画、補助犬のリタイア時期について〉は「マッチングや利用期間等に関する一人一人の長期的な計画書の策定」「引退時期の検討」などのご意見がございました。介助犬・聴導犬の訓練日数については、2頭目以降の合同訓練期間についてのご意見がございました。1枚おめくりいただきましてスライドの14ページ。「主な意見Ⅲ」になります。〈フォローアップの方法〉については、その実態の把握、内容などになりますが、そういったご意見がありました。〈訓練者の要件〉は「訓練士の教育システムの整理」、〈訓練事業者間の連携について〉は「情報交換の場や共同研修の必要性」「訓練の質や補助犬の質の向上がまず目的となる」などのご意見があったところです。1枚おめくりいただきましてスライドの15ページ。こちらは〈その他〉のご意見としてご紹介させていただきます。例えば一番上、「補助犬は個別性が高いところがあるが、個別性の対応を十分に損なわれないような基準を作成するのが課題」などこういったご意見がございました。
更にめくっていただきまして16ページになります。こちらがあり方検討会、ヒアリング等を踏まえまして、議論していいただきたいことで整理したものになります。スライドの下の方、〈論点(案)〉の二つ目の〇(丸)のところをご覧ください。本ワーキンググループで、議論していただきたいこととして、下線のところになりますが、「使用者ニーズの把握、利用者ごとの長期計画の策定、補助犬のリタイア時期、訓練日数、フォローアップ方法、訓練者の要件、訓練事業者間の連携」こういったところに多く意見が寄せられたというところで、議論の方を進めていただければと思っております。
今回こういった内容を踏まえて、補助犬の質の向上を図る観点からもどのような方策が考えられるか、など構成員の皆様の方からご議論いただければと考えております。参考資料の説明の方は省略させていただきます。資料1、資料2の説明は以上になります。
〇江藤座長 「訓練基準の見直しに係る意見」について構成員の皆様からご意見をお願いしたいと思います。ただいまのご説明の中で訓練基準の〈論点(案)〉として、「使用者ニーズの把握、利用者ごとの長期計画の策定、補助犬のリタイア時期、訓練日数、フォローアップ方法、訓練者の要件、訓練事業者間の連携」がございましたので、本ワーキンググループでは主にこのことについて構成員の皆様に忌憚なくご議論いただきたいと思います。皆様のご意見をうまくまとめられるように進めたいと考えておりますが、ワーキンググループの回数が限られておりますので、効率的に議論を進められるよう、今回は論点ごとに10分程度で時間を区切ってご意見をいただきたいと思います。それでは、介助犬や聴導犬の質の向上を図るために、現行の訓練基準においてどのような内容を補充すれば良いか、あるいは、どのような見直しを行った方が良いかという視点から、具体的なサジェスチョンをいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。松本構成員、どうぞ。
〇松本構成員 日本聴導犬パートナーの会の松本です。今、資料の説明をいただいて、資料2の最後に論点、これから話し合ってもらいたいことということが箇条書きにされていた、〇(丸)の二つ目の方を拝見しましたが、訓練事業者の訓練士の皆さんは犬の訓練に関してはプロで、海外の訓練のことを学ばれたりとか、いろいろなことで犬の訓練に関して皆さんプロだと私は思っています。だから、良い犬をつくるということに関しては皆さん、本当に技術を持っていらっしゃると思っています。なので、求める補助犬の姿というものが、ある程度きちんと決まれば、どのような方法で訓練をすれば良いかとか、何日ぐらい訓練をすればいいかとか、またその犬がどれくらいの状況になったらリタイアすべきかということはおのずとそこから決まっていくと思います。だからそこは、訓練日数であったり、リタイアの時期であったり、フォローアップの方法というのはかっちりと決める必要はないのではないかなと私は思います。それは犬の状況やユーザーの状況などに応じて、ある程度可変していくと思うので、そこは基準として定める必要がない、最低基準は決めるとしても、がちっと固める必要はないのではないかなと思います。ただ、私が一番気になるというか心配としているのが、同じ二番目の〇(丸)の中の、「使用者のニーズの把握や使用者ごとの長期計画の策定」というところです。これは同じ資料2の5ページ目に、利用者の適性評価についてというところのアンケートの結果が出ていると思いますが、どこの事業者さんもほとんどの方が、使用者の適性評価を行っていらして、それが相談のあったタイミングなのか、マッチングを行うタイミングなのか、いろいろあるとは思いますが、適性評価がされているということはこのデータではわかりますが、果たしてそれはどなたが行っているのか、というところがすごく気になるところです。
介助犬希望者の場合は、PTやOTという専門家の方が、その障害のある人の生活のためにどのような手段をとるのがいいのかということを考え、色々な提案や支援の方法というのを提示していく、その中に、「介助犬」も選択肢として出てくるということはある。そして、どのような介助犬であれば、その人がより生活向上していくかということも、そこで専門家の意見が加わると思います。私は聴導犬ユーザーなので、聴覚障害者の場合は、最初に訓練事業者のところに、聴導犬との生活を希望しています、と持っていくパターンがほとんどだと思います。そのときに希望を言ってきた障害者の適正評価というのは、果たしてどなたがやっているのか。犬の専門家である訓練士さんだけで行われているのか、果たしてそこに社会福祉士などの相談員のような人が、犬ありきではなくきちんとその人の生活や障害状況を踏まえて評価をされているのか、そこがとても気になるところで、そのスタートをきちんとしないと、目指すべき犬の姿というのも、正しいものは出てこないのではないかなというところを危惧してしまうので、訓練の方法や期間を論ずる前に、どのような犬を作るべきなのかということを、どのような専門職が関わって評価しているのかどうか、ということを各事業者さんがどのようにしているのかをお聞きしたいと思います。
〇江藤座長 ありがとうございます。今日は第1回のワーキングということで、事務局から説明のあった〈論点(案)〉でいくつか挙げられておりますけども、それに沿って一つずつこれからご意見をいただくことにしようと思います。最初に「使用者のニーズの把握」からご意見をいただきたいと思います。この点に関しては、先に開催した「認定要領のワーキンググループ」において補助犬の使用希望者からの相談段階で、生活全体を組み立てる支援をしていくことが重要になるので、今回のワーキンググループで議論してほしいというご意見があったところでございます。この点も踏まえて使用者のニーズの把握についてご意見をいただきたいと思います。ご発言がありましたら順番に指名してまいりますので、挙手または手を挙げるアイコンでお知らせください。それではまず「使用者ニーズの把握」ということに絞ってご意見をいただきたいと思います。朴構成員どうぞ。
〇朴構成員 参考にご説明すると、盲導犬も貸与する当協会の場合は、最初の相談面接は、1人ではなくて2名でだいたい対応します。その時には、施設長、歩行指導員そういった松本構成員の言葉で言うと「犬の訓練士の人」たちがやっているというのが実情だと思います。今回ニーズの把握とか評価というところで、使用者の方から不安であるという意見が出るのが、私は盲導犬と介助犬・聴導犬を比べたときに、決定的に違うのが訓練士の養成基準の有無だと思います。ユーザーのニーズの把握とか評価とか養成基準の中に盛り込まれています。ですから、それが犬の訓練士であろうが、そうではない社会福祉士であろうが、その法人できちんとそれができる人が複数名、通常は2名で面接をする、またそういった資料を作るということがなされています。盲導犬の業界のように訓練士の養成基準を、きちっと作って、職員や指導員の養成をかけていくということが必要になると思います。でないと、犬を訓練し、所有権のある犬を貸与フォローアップする、その費用も自分たちで集め、犬が亡くなるまで亡くなった後も、火葬埋葬まで責任を持つ育成団体が、自立できないと私は思います。これに関してもご意見いただければ嬉しいです。
〇江藤座長 使用者のニーズの把握について、いろいろあらかじめ要請に関する案を作成するとか、既に盲導犬でもやられているようなことをご紹介いただきましたけども、使用者のニーズの把握についてご意見いかがでしょうか。木村構成員どうぞ。
〇木村構成員 介助犬使用者の木村です。介助犬使用者は、聴導犬使用者や盲導犬使用者と比べると、ニーズが様々になる傾向があります。ですから、介助犬にとっては特に、使用者のニーズの把握というのは重要になります。ですから、多分、介助犬希望者が育成団体に連絡をとってくる場合は、電話やメールになると思うので、その時には、訓練士か事務局の方が、対応することになると思いますが、実際に面接する際には、介助犬の訓練士だけでは、障害者の人の障害の内容やニーズを十分に把握できない面もあると思うので、そういうときには理学療法士や作業療法士の方とともに面接することを義務化して、ニーズを把握していただきたいと思います。使用者は、介助犬にそれをやってもらいたいというふうに、申し出ても、作業療法士、理学療法士の方や社会福祉士の方が、それはまた別の方法で対応した方が、より良い社会参加ができる、という話にもなることもあると思いますので、訓練士さんだけでなく、リハ関係者の方々が同席してニーズ把握をするようにしていただければと思います。
〇江藤座長 使用者のニーズの把握の段階で、理学療法士・作業療法士といった各リハに関する専門職も同席して話を聞ければというご意見かと思いますが。その他にいかがでしょうか。有馬構成員、どうぞ。
〇有馬構成員 すでに、国リハで厚労省主催による補助犬訓練士への研修会を実施してくださって、理学、作業療法など多方面での勉強をさせていただいています。日本聴導犬協会では、2009年から日本聴導犬介助犬訓練士学院という後進育成の学院を創設して、そこで、理学・作業療法士、言語聴覚士の方、社会福祉士の方、あとはユーザーとなる聴覚・肢体・視覚障害者の方、に、来ていただき学院生に勉強していただいています。私は、社会福祉施設長資格という、民間の資格がありまして、それを取得。社会福祉施設長資格については、東京にも支部がありますので、計2名が持っております。その他にユーザーさんの希望や適正を知るために、ありがたいことですが元国リハの岩崎先生とか原先生、聴覚については田内先生、田内先生は国リハ病院の元副院長でいらっしゃいましたが、面談や相談、助言を仰いでいます。事前の面接にも入っていただきます。日本聴導犬協会は、ユーザーに進行性の難病の方が多いので、岩崎先生に定期的に来ていただいて、その方たちのニーズを聞いたり、訓練のオプションをつけたり、障がいの進行に応じた訓練を行っていくシステムを創りました。
聴覚については、ユーザーさん2名が、大阪市などの障害者相談員をされているので、その方たちがユーザーさんのニーズをお聞きしていただくシステムを持っています。先ほど、松本構成員から「犬の訓練士」とおっしゃっていましたが、通常、補助犬訓練士は、障がい学。福祉。医学などの勉強した上で、なおかつ専門家の方の協力を得て、絶えずユーザーさんたちといつも心が通じるような訓練を行わせていただかなくてはならないと、考えています。
〇江藤座長 北澤構成員どうぞ。
〇北澤構成員 兵庫介助犬協会の北澤です。使用者のニーズの把握ということなんですが、当会では作業療法士の資格を持った職員がおりまして、その職員が普段から犬の飼育管理であるとか、健康管理なども行いつつ、ユーザーのニーズの評価であるとか、飼育管理動作の工夫であるとかっていうのを、私達訓練士とも検討しています。今回これがテーマに上がったというのは、介助犬として認定を受けている犬であれば、認定審査でニーズに応じているかどうかについても審査員にも評価をされているはずなのですが、ニーズの把握ができてないというところが、育成事業者としての問題なのか、それとも認定審査の中でのふるいにかけられていないという問題なのか、の二つ視点があるのかなと思います。なので、その辺を育成事業者がどういったサービスを提供するかが、ユーザーに対してそれぞれ育成事業者でサービスの特徴があると思うので、それをいかにユーザーが選べるようになるかというのが大事ではないかと思います。
〇江藤座長 今日は第1回ということで、論点については一通りご意見をいただいて、また今後2回、3回とワーキンググループを開催するにあたって、整理していきたいと思いますが。水上構成員どうぞ。
〇水上構成員 多分皆さんが答えていただいたことと重複するのですが、木村構成員がおっしゃった通り、私達はユーザーさんのご希望を聞いて介助犬に何をするかということを訓練しますが、基本ニーズというものがどこを指して言っているのかっていうことにもよると思いますが、なぜ介助犬を必要としていて、また社会参加や自立ということの定義に及ぶことになるのかもしれませんが、何を目指しているから何が不自由で、その不自由さをきっと介助犬で解決したいというふうに思ってらっしゃるから、介助犬を希望されるのだと思いますが、そこの整理がまず必要なのかと思います。木村構成員がおっしゃっていた通り、ご自身が全て出てくるわけではないですし、話を整理する中では、不自由さを整理する中で、人を入れた方がいいのか、ものをいれた方がいいのか、介助犬を使うのがいいのか、そういうことを整理して、介助犬ができることが何なのかですし、中には介助犬と暮らすことがその方にとって有益じゃないという場合もあり、私達はお断りするケースもあります。おそらくその辺の整理が、松本構成員は聴導犬のことでおっしゃっていましたが、犬のトレーニングする人間だけで判断してしまうと、障害のある方が生活する上で、介助犬や聴導犬が有益かどうかとか、本当の困りごとを解決できるのかっていうことの整理が不十分になるということを、実際にそういう方がいらっしゃって、このような議論が必要になってきているのだと思いますが。そういった意味ではおっしゃる通りです。介助犬の場合は、色々な障害の方がいらっしゃいますし、犬にやらせたら危険だってこともありますので、そういった場合はリハ専門職に入っていただかないと、私達だけで「これが不自由ですね、介助犬にやれますよ」と簡単にやれるものではないですし、整理していただいて、犬は動作的にはやれるけれども、トータルで考えたら別の方法が、あなたにとって有益ではないかとか、色々な情報提供をするのは、介助犬育成事業者名だけではなくて、リハビリテーション専門職をチームとして支援をした方が、圧倒的にその方にとって、今、生活上不自由があってどのように社会参加や自立をしたいと思っていらっしゃるのかということに寄り添うためには、特に聴導犬のことに対しては不勉強でわからないんですが、介助犬に関しては絶対的に必要なことだと思っているので、それは当然、私達は指定法人ではないので、指定法人とも連携をとりながら、介助犬希望者の方がいたら、私達が支援できそうだと思ったら指定法人にも相談にも入ってもらって、有益かどうか、介助犬と生活するのが、その方のご希望に沿って支援することが果たして適当かどうかっていうことは、リハビリ専門職もチームに入ってもらってですし、指定法人にも入ってもらって、私達だけで進めてしまって、最後の最後になってこの方は介助犬適当ではないよということになると、認定を受けられないということになって、その方にとっても無駄な時間を費やすことになるので、介助犬と暮らすことに寄り添うためには、最初からチームとなってやっていくということが、今までやっていて、そうでなければならないことかなと感じています。
〇江藤座長 使用者のニーズの把握に関して、今ご意見は事業者間の連携の話などにもわたってきていますので、少し続けて利用者ごとの長期計画の策定、補助犬のリタイア時期ですとか、そういったことについてもご意見をいただきたいと思います。長期計画の策定ということでありますと、フォローアップの方法についても関連が深いので、一括してご議論いただければと思います。フォローアップの方法についてはフォローアップする際、どのような点に注意しているのかといった観点からのご発言をいただくことでも差し支えございません。利用者ごとの長期計画の策定、補助犬のリタイア時期、それからフォローアップ方法について、ご意見がございましたら、順番に示してまいりますので、挙手または手を挙げるアイコンでお知らせください。朴構成員、どうぞ。
〇朴構成員 育成団体の会議ってすごく大事なので、ここをはっきりさせておきたいと思いますが、補助犬の訓練士、介助犬・聴導犬の指導員というのは、犬の訓練の知識だけではできないんです。ですから、松本構成員や木村構成員が言っているように、犬の訓練だけに長けている人は介助犬、聴導犬、盲導犬の指導員になれないんです。内部できちんと専門性を有する指導員として養成をしていかないと。木村構成員がおっしゃった医療従事者の同席を義務化する案については、同席してもらうときもあるとは思いますが、法人内で養成を受けて、それが機能する法人でないと、こんな大切な事業はできませんということを言っているわけです。私は盲導犬事業者、盲導犬の訓練士、指導員を長くやってきているので、やはり繰り返しになって申し訳ないですが、介助犬だけが面接のときやニーズの把握は同席で、聴導犬と盲導犬は同席しなくてもいいのですか。盲導犬は、育成団体の中に専門性を有する指導員を養成するその機能があるから、特に同席を義務付ける必要はない。ですから、介助犬、聴導犬の育成団体も盲導犬の訓練事業者と同じような努力をする必要があると思います。そこを1点お伝えしておきたいと思いました。以上でございます。
〇江藤座長 長期計画の策定あるいは補助犬リタイア時期については、先ほどの資料の中でも10年なんて数字があったりしますけども、こういったフォローアップの方法についてもご意見をお願いしたいと思います。木村構成員、どうぞ。
〇木村構成員 引退時期についてですけれども、飼い犬の寿命が約10年ごと(2002年と2014年)に調査されていて、平均寿命が延びていますし、私が日本身体障害者補助犬学会で発表する予定になっている介助犬の平均寿命でも、2017年度以前は12.7歳でしたが、18年度から20年度までの3年間の平均は13.7歳まで伸びていました。有意差は見られなかったのですが、平均寿命は延びているので、介助犬の引退時期っていうのは、多くの団体で10歳を目途にされていますが、犬の健康状態も見極めた上ですけれども、1歳ぐらい寿命が伸びていますので、引退時期の目処も1歳ぐらい伸ばすことも考えてもいいのではないかと思っています。
〇江藤座長 犬の寿命が伸びているということで、引退時期は従来だいたい10歳ぐらいということですけれど今後、検討課題であるというご意見かと思います。その他にどうでしょう、フォローアップの方法も含めて。砂田構成員どうぞ。
〇砂田構成員 フォローアップの方法ですけれども、具体的に時期などを決めるというよりは、私は訓練士ですけども、見たらすぐわかっちゃうんですね、ユーザーさんとワンちゃんを見ればわかるので、最初の1年間はだいたい年に4回とかそういう形で会いに行ったりはしていますが、引退時期とかも全部含めて、犬って生き物なのでユーザーさんもどんどん変わっていくというか、例えばユーザーになりたてのときはすごく訓練士の言ったことを忠実に守ってくれますけれども、どんどん慣れてくると自己流になってきたりとか、やはりそういう部分もあるので明確にカチカチに決め過ぎるっていうのは補助犬には向いていないのではと思います。引退時期に関しても、それは個々の犬によって違うのと、これは介助犬や聴導犬ではないですけれど、私の知り合いの盲導犬ユーザーさんは8歳で引退を決めましたが、その理由は健康上の問題ではなくて、歩くスピードが自分には遅く感じて年をとってきたと感じたからと。その方が補助犬と生活する上で、少し不便は感じたということで決められたようなので、やはり何歳って決めるとか、基準を決めてしまうというのはケースバイケースがあるので、そこまで明確にする必要はないのではと思います。
〇江藤座長 有馬構成員、どうぞ。
〇有馬構成員 砂田構成員のところも聴導犬を育成してらっしゃるので、お分かりだと思いますが、聴導犬は小型犬が多く小型犬は寿命も大型犬よりも長い傾向があります。日本聴導犬協会では、毎年アフターケアとしてチェックを繰り返し、数頭が14歳ぐらいまで音をきちんと教えられたのと、主治医である柴内裕子先生にご相談して引退時期を決めています。砂田構成員がおっしゃったように、盲導犬は大型犬のラブラドールなので、10歳とか11歳の引退年齢が決まっているのかなと思いますが、特に聴導犬の場合は、大きさも本当にまちまちなので個々の能力や身体的な健康さで決めていけばいいと考えております。年齢の上限を画一的に決めるのではなく、ユーザーの希望を聞いた上で、犬の身体と働きということの両方で判断していけばいいのではないかと考えています。いかがでしょうか。
〇江藤座長 何人かの構成員の先生がたのお話でも、犬それぞれで大きさにもよりますし、聴導犬、盲導犬でも違うということで、一律に何年と決めるのはいかがなものかといったご意見が大半かと思いますが、その他いかがでしょうか。水越みゆき構成員、どうぞ。
〇水越みゆき構成員 聴導犬に関しては、先ほど有馬構成員や砂田構成員がお話をされていたので、犬の種類が決まっていないというところで、10歳を過ぎても働けるという状況が確認できるのであれば、身体的な問題とか行動的な問題で作業をさせる分には問題はないと思っています。ただそれもユーザーのフォローアップをしながら、ユーザーさんの生活の状況等を鑑みて、犬がそんなに外出しなくてもいいような状況になっているのであれば、そのまま引退を伸ばすって方向で考えることもできると思いますし、逆に先ほど8歳で盲導犬を引退させたということで、ユーザーさんが盲導犬の歩くスピードが遅くなってきたから、それだと合わないということであれば、聴導犬も同じような形で社会参加をしていく回数が前よりも増えていて、それが犬の負担になっていると感じられるのであれば、10歳になる前に引退させるという方法をとる分には構わないと思いますが、基本的にそれはフォローアップをしていたりとか、ユーザーさんと密に連絡を取り合っていくことで可能になっていく内容なのではないかと思います。うちの協会でも、最低でもひと月に1回は全然関係ないことでも連絡を取り合ったりとか、いつも何かしらやりとりをしているという状況で、ユーザーさんから何か困っていることがあったらすぐに話してもらえるような状況を作っていくということの方が、引退時期を考えていくとか長期的な策を考えていくとか、そういったことにも繋がっていくんじゃないかと思います。うちも大きな協会ではないので、頭数をたくさん出していくことでユーザーさんのフォローもしていかなきゃいけない、新しい犬も訓練しなきゃいけない、次の2頭目、3頭目も考えていかなきゃいけないと言われてしまうと、今の状況ではすごく難しいと考えなければいけないような状況になっているので、ある程度団体として、自分たちが抱えていける頭数も決まってくるし、抱えていけるユーザーさんの数も決まっていくのではないかと私は思っています。もちろん、育成していく人間が増えていったりですとか、関わっていく人が増えていくことができれば、それだけ頭数をたくさん出していくこともできるようになると思いますが、フォローアップをきちんとしていくとか、2頭目、3頭目のことを先々に考えていく体制をとるということで決めていくのであれば、団体がどれだけ頭数を抱えられるかというのも決まってくると思うし、それがきちんと考えられている団体が、こういったところに出てきているのではないかと思っています。こういう会議に出てきていないとか、こういうところで話しが入ってこないとか、声をかけられない団体の方が、逆にこういったことをきちんとされていない団体が多いのではないかと感じるところもあります。できているところが決めていけば、厳しい内容で考えていくこともできるかと思っていますが、ユーザーさんのことを第一に考えていくということであれば、基本は密に連絡を取り合っていかなければいけないというのも私達、育成事業者は必ずやってかなきゃいけないことではないかと思っています。特に聴覚障害者の場合はコミュニケーション障害なので、その部分をしっかり把握した上で、聴覚障害者のユーザーさんとコミュニケーションを取ってかなきゃいけないということもあるので、その分私達育成事業者は、1人1人のユーザーさんに手をかけていかなければいけないというのが現状ではないかと思います。以上です。
〇江藤座長 フォローアップする過程で、ユーザーさんも年とともに変わっていかれることもあるわけで、フォローアップする際にどういった点に注意したらいいかということについても何かご意見があればご発言お願いします。阿部構成員、どうぞ。
〇阿部構成員 使用者ニーズから始まった内容ですが、基本は使用者さんとのコミュニケーションだと思います。ですから、いかに寄り添って育成をして、気持ちを繋げることによって、利用者さんとの長期計画であるとか、補助犬のリタイアの時期やフォローアップの方法であるとか、そういったことはすべてコミュニケーションから始まると思います。ですから、朴構成員がおっしゃられたように、基本の職員の育成、養成基準っていうのがしっかりできれば、自ずとこういったこともできていくのではないかと考えております。
〇江藤座長 木村構成員、どうぞ。
〇木村構成員 朴構成員などからあまりきっちりと決めない方がいいというお話がありましたが、今回のワーキンググループに参加されている訓練事業者の方々は皆さんきちんとされている団体だと思います。でも、介助犬の訓練事業者は全部で24団体あって、リハ系の訓練を行わない4つの指定法人と、2県に届け出を出している法人を考慮すると18法人になります。そのうち、現状57頭の実働犬がいる団体は、9法人しかないんですね。また、身体障害者補助犬法ができてから、認定犬を出している団体は11法人しかありません。20年近く1頭も出せていないような団体がありますので、そういう団体が僕は心配で、きちんと基準を設けて、今回参加されている団体の方々がやっているような訓練を他の団体がするようにしてもらわなければ、これから介助犬を希望される方々が、介助犬がきちんと訓練されていなくて、苦労されたりするということになってしまうのでは、と思っているので。ある程度の基準を設けておかないと、引退年齢についても、ほったらかしにして15歳まで実働してしまうようなことになりかねませんので、ニーズの把握や引退年齢もある程度の基準を設けておかなければならないと思います。
〇江藤座長 水上構成員、どうぞ。
〇水上構成員 継続指導のことで言うと、ユーザーの方の生活状況、身体機能の変化、社会参加状況の変化、そういったことを見ながら、犬に関しては、犬のパフォーマンスや健康状態、生活することによって行動自体に何か変化が出てきていないかということを見ていく必要があるかと思います。ということで言うと、基本的に確認しなければいけないことはあると思いますが、それもユーザーさんの身体機能の変化とか、進行性の方、加齢に伴ってということがあれば、リハ専門職の方にも一緒に継続指導に行っていただき、見ていただく必要が出てくる場合もあります。
あとは犬のことで気になるようなこと、もちろん動物病院に1年に一回とか、高齢になってくると二回とか検診に行っていただくというのは当然しますが、気になることがあれば獣医さんとも連携をとって介助犬として継続していけるかどうかは確認しなければならないと思います。当然、先ほどからあるように、ここに集まっている方々はそういうことを注意されていると思うので、木村構成員がおっしゃる通り、せめて私達が普段やっている最低限必要だろうということを基準に入れるということをすれば、もしかしたら心配な育成事業者があるのであれば、そこは守ろうね、ということを示すことができると思います。あと引退時期については、私達はこれまでやってきている中で、ラブラドールやゴールデンの寿命を見たりとか、これまで実働してきた子たちの寿命やパフォーマンスを見て、ある程度、何歳を原則引退で、ということにはしてはいますけれども。とは言え、次の代替えの犬の準備やその子のパフォーマンス次第では延長ということもありますし、時には先ほど砂田構成員のお話にあったように早く引退しなければならないということもあり、そこは他の補助具とは違って、生き物だということと、ユーザーさんも犬と暮らしていると、私達は引退勧告をしなければいけないとなっても、引退させたくないという心情が出てくるのも、犬だからだと思うので、そこは本当にしっかりコミュニケーションを取ることと、場合によっては専門職にも、犬のことで言ったら獣医さんですが、意見をいただいていく必要があると思います。あとは、一緒に暮らすだけ、家で作業するだけとしては問題ないけれども、社会参加をしていくことについて、やはり人混みに行くとか、映画を観に行くということに関しても、高齢になっても大丈夫なのかどうかというところがペットとは違うところになってくると思うので、そういう視点でも育成事業者で判断ができることもあると思いますし、専門職の意見を交えて判断しなければいけないことも多々あるのかということは感じています。
〇江藤座長 フォローアップの方法を、訓練基準ということで様々関わりがあるので、ご意見も多岐にわたっておりますけれども、それでは続きまして訓練日数についてもご議論いただきたいと思います。先ほど事務局から説明がありましたが、訓練日数は最低限の基準として定められています。介助犬や聴導犬として、きちんと訓練された犬なんですよといったことを国民に理解してもらうための指標でもあると考えます。訓練日数につきましてもご発言がありましたら、挙手または手を挙げるのアイコンでお知らせください。松本構成員、どうぞ。
〇松本構成員 議論のテーマがいくつかあるのはわかりますが、先ほど他の訓練士の皆さんもおっしゃっているように、訓練の日数にしても、フォローアップのやり方にしても、何にしてもそれぞれのケースごとになると思います。だからそれは、ここに参加されているようなきちんとした訓練事業者さんであれば、そこの中で皆さんが話し合うことによって、最低これだけは必要だという線、ここに参加されていないような、ある意味少し怪しげな訓練所ではできないであろうレベルをきちんと策定することは、参加されている事業者さん同士の話し合いでできると思います。それをここで、何日ぐらいとか、何歳で引退といった話し合いをこの場でするというのは、あまり意味がないのではないかと思います。なぜかといえば、身体障害者補助犬法というのは、犬の法律ではなくて、障害を持つ人の社会参加のために、社会参加の方法、支援の一つとして、補助犬という手段を使って社会参加をすることを目標として作られた法律だと思います。だから、訓練を始めるにあたって、犬の訓練計画と並行して、極端なことを言えば、障害のある人の社会参加計画、社会参加への道というのも、ある意味プランニングするくらい、その中で、補助犬がどのような役割をするかということを形として作っていくという必要があるくらい、人のことをベースに考えるべきものだと思います。そう考えると、訓練を始める前の段階での希望者の評価というのはとても重要だと思います。その人の身体的な状態やその人の気持ちを聞いてあげて、じゃあこれがいいんじゃない、あれがいいんじゃない、というだけではなくて、その人の今までのバックボーンであったり、家庭環境であったり、社会環境であったり、またその人が、実は言えずにいる本当の希望であったり、そういうものも引き出しながらこの人にとってベストな支援方法、ベストな介助ができる補助犬をつくるというプランにしなければ、単なる便利な犬を作ると思われてしまっても仕方がないと思います。やはり、人の社会参加のために役に立つ犬、訓練士の皆さんにとっては言い方が悪いかもしれないですが、そういう犬を作ってもらいたいわけです、私達は。そうするとやはり最初の段階で、その人が何を求めているかを、きちんと人を見る必要がすごくあって、そこは専門的に森戸構成員のように社会福祉士とか、ケースワーカーとか、インテークができる人が関わっていく必要あるのではないかと思います。それが事業者にいなくてもいいんですよ。協力する、連携する人でもいいけど、「人」も見える、インテークができる体制というのは必要だと思います。そうしなければ、その人が社会参加をするにあたって、本当に長くきちんと介助してもらえるような補助犬を作ることはできないのではないかと思うので、訓練日数、フォローアップの方法ということの話し合いより前に、どんな犬を作るかを皆さんがどのようにして決めているのかというところを、最低限これをしなければスタートできないというところを話し合っていただきたいなと思います。
〇江藤座長 利用者さんの役に立つということが一番の目標になるかと思いますが。有馬構成員、どうぞ。
〇有馬構成員 先ほど水越みゆき構成員が言ってくださったように、ユーザーさんとの会話やコミュニケーション、そしてニーズというのはとても大事で、少し話が戻りますが獣医師、訓練士、ユーザーさんの三つ巴でとか、作業療法士、理学療法士という方たちが皆さんでやっていかなければならないとは思いますが。一つ、松本構成員にご質問ですが、専業主婦で家からあまり出ないような方というのは持つことはできないということになってしまうのでしょうか。
〇松本構成員 私は主婦ですが、主婦でいるからこそ、例えば買い物に行くにしても、主婦をすごく舐めていらっしゃるのかもしれないですが、日常生活、子供の学校へ行くことや様々なところで社会参加しています。もしも家にからほとんど出ない、重度の障害がある方だったとしても、社会参加の機会というのはあると思います。
〇有馬構成員 よかったです、私もそのように考えているので。社会参加という意味が、どうしても昔の福祉の概念で「就労」にとられがちです。日本聴導犬協会のユーザーさんには専業主婦が多かったのですが、社会参加は様々な形があると考えています。先ほど。訓練の日数や引退時期のことが出ているのですが、そこを決める必要があるのでしょうか。訓練の日数の規定はもちろんあります。ただ、訓練日数というよりは、当会では生後2ヵ月くらいから育成期間中、11回の試験を実施します。候補犬に対して、幼犬期の適性検査や社会化をしたときの検査、高度な社会化における査定などをして、育成団体でここまでの合格点の候補犬なら貸与できるというようにしています。訓練日数というよりは、試験を何度も何度も行い、最終的にはユーザーの希望、身体能力などと候補犬の能力、適性を鑑みてマッチングを行います。日数も大事ですが、クリアする項目が大事ではないかと思いました。
〇江藤座長 日数については厳密に決めないでというようなことだと思います。続きまして水越みゆき構成員、いかがでしょうか。
〇水越みゆき構成員 私たちは自分で育てて認定している団体ではなく、横浜のリハビリテーションセンターか名古屋市のリハビリテーションセンターに認定をお願いしているので、逆に聴覚障害者の方たちからご相談を受けて、聴導犬を持つかどうかという最終的な判断や専門職から見ていただいての判断というところをすべてリハセンターにお願いをして、実際に相談などを受けてもらっています。その中で私達がずっとやってきて感じたことというのは、「聴覚障害者の専門家って誰なの?」、聴覚障害者の生活を評価するというところでの専門家は誰なのかというところが、ずっと疑問に思っているところで、言語聴覚士の方にそれをお願いするという形になってくると、言語聴覚士の分野とは少し違うところになってくるのかと思います。聴覚障害者を専門的に評価して聴導犬のニーズがどれで、聴覚障害者の方が実際に聴導犬と共に社会参加をするためのニーズは何なのかを誰が評価するのかというところが、実際私達がずっと悩んでいるところでもあります。松本構成員が話をしているところで、専門職が誰が入るのかというところを明確にしていかないと、聴導犬の部分は変わっていかないのではないかと思います。もう一点、実は「聴導犬とはこういうものです」というところが、聴導犬の育成団体それぞれがまちまちで、あまりにも統一感がないというのが現状だと思います。その統一感のなさが、訓練基準を決めるところにすべてバラバラになってしまっているのではないかと思います。もう少し、「聴導犬とはこういうものだ」というところをはっきりさせてからでないと、うまく話がまとまっていかないのではないかと思います。
〇江藤座長 続きまして、朴構成員。
〇朴構成員 補助犬を持つという権利として考えたときに、もちろん動物愛護の精神とか様々クリアしなければいけない問題はあるわけですが、「あなたには貸与しません」ということというのは、本当に慎重に。「なるほど、こういう事情で」という育成団体側の方針、信念、考えなども必要な問題ではあると思います。それはここではなかなか難しいので、その次の議題にいきますが、引退時期については先ほど木村構成員が「犬の寿命が1年延びているから引退時期についても見直した方がいいのでは」という意見になるほど、と思います。皆さんは原則何歳で引退というのを、犬を貸与するときにユーザーにお伝えしていると思います。犬と別れるというのは、とても大変なことですので。ただ実際にどのタイミングで引退するのかの中に、ユーザーが自分の補助犬を看取るのかどうかが影響すると思います。ユーザーが引退犬ボランティアとしてそのまま看取るのであれば引退の時期を少し伸ばしても大丈夫だと思います。でも協会登録の引退犬ボランティアに飼育を委託しますということであれば、老犬10歳過ぎると環境の順応性が低くなってくるので、原則10歳で引退をさせていただいています。また、育成団体として私達がすごく大切にしなければいけないのは、事業者としての継続性。確かに私達は寄付を集めて、1頭を直接経費500万円以上の犬を貸与するわけですから、1頭卒業させると助成金がついてもつかなくても、ローンを組むようなものです。言葉は悪いですけれども。10頭出せば10頭分の経費がこれから法人にかかってくるわけですから、育成団体としての事業計画に沿った事業をしていかないと、ケースバイケースでやっていくと事業が成り立たなくなるのではないかと心配です。最後に木村構成員委員がおっしゃったように、19年の長きにわたって活動の実績がない、つまり具体的には1頭の補助犬も出していない団体があまりにも多いというのは私達事業者にとっては厳しい問題です。これを私達が何とかできるかと言ったらできません。第二種社会福祉事業の届け出は事前の申請ですから。でもだからと言って、放置していていいのでしょうか。無くなった方がいいとかそういうことではないです。みんなで年間100頭ぐらいの介助犬・聴導犬を出したいと思っているので、仲間は多い方がいいですよ。でも育成の実体がない団体があるということに関しては、私達は自分達事として考えていく必要があるのではないかと考えています。
〇江藤座長 会議の時間の制約があるので、できるだけ短くお願いしたいと思いますけれども。続きまして木村構成員。
〇木村構成員 訓練期間についてですが、基礎訓練と介助動作訓練については僕たち使用者が関われる期間ではありませんが、合同訓練については介助犬の場合、40日以上と自宅での訓練が10日以上というふうに定められています。この基準をつくるときには、介助犬の育成団体は様々な団体があって、家での訓練を2時間しかしないのに、合同訓練は終わりのようなところがあったりして、きちんと基準を設けました。それで40日以上と合同訓練はなっていますが、今回お願いしたいのは1頭目の人は40日以上で構わないのですが、2頭目3頭目の人になると、当然補助犬法のことも理解していますし、外出時に気をつけなければならないこともわかっていますし、犬の行動管理や健康管理もわかっていますので、その辺のことをチェックして、問題がなければ訓練をする必要はなくなると思います。犬が変わっても、そこの部分の訓練は必要なくなると思いますから、2頭目以降の使用者については、合同訓練の期間を少し短くするような形の変更を行って頂けると、使用者の負担が減ると思いますのでよろしくお願いします。
〇江藤座長 続きまして水上構成員、どうぞ。
〇水上構成員 ニーズの把握や長期計画の策定、フォローアップ等全てのことが必要となると思いますが、松本構成員からあったように、私達が支援するのは、社会参加や自立をしたいことに対して困りごとがあって、それに対して介助犬なり、聴導犬なりでお手伝いできる方だと思うので、当然主体は障害のある方で、そのようなことで言うと、その方に対しての支援計画を立てて社会参加や自立をする上で介助犬が良いかどうか、どのように支援をする上で介入していくのかを考えていく必要があると思っています。その上でくどいですが、必要なところにリハ専門職や社会福祉士、獣医さん等専門職の方に入っていただいて計画をしていくということと、先ほどから朴構成員のお話にありましたが、公費を使ってやるケースも多いことを考えると、補助具を作るときの流れとも一部かぶってくるかと思います。もちろん介助犬は生き物で、補装具とは違いますけれども、そういう意味でプラスして考えていかなければいけない部分があります。補装具の場合は希望した方、必要であれば絶対に出るということだと思いますが、犬の場合は犬の福祉を考えるという上でも、もしかしたらお断りしなければいけないかもしれない、介助犬を希望しているけれども、マッチしないというパターンが出てくると思いますし、社会参加や自立をしたいというニーズを考えたときに、逆に介助犬がいない方がその方の目指すゴールや不自由なことを解決できるという方もいらっしゃると思います。そういう意味で、その最初のインテークのところでも、育成事業者だけでは判断できないようなこともあるので、きちんと専門職に入っていただいて、もちろんこの人は支援できるという段階で入ってもらうこともあれば、とても悩ましいというケースの方もたくさんいらっしゃるので、そういった時に必要な専門職に入っていただいて判断するということをしています。おそらくそれは継続指導をしていく上でも、身体機能が変化していく、進行性のご病気の方で言うと、もちろん見直しというか、その時のタイミングに合ったようなことをしていかなければいけないので、継続して連携をとった支援は続いていくと感じていますし、訓練日数もそれによって変わるということもあると感じています。
〇江藤座長 有馬構成員、どうぞ。
〇有馬構成員 ご質問しても良いですか? 先ほどから「ここにいる育成団体はしっかりしているけど…」という話がありましたが、17団体のうちの7団体しか来ていない。他の人たちにもお声はかけたんでしょうか。お声はかけたけど、いらっしゃらなかったとか。
〇周藤専門官 一定の基準はこちらで設けさせていただきました。例えば、育成の実績が全くなければそういったところは除いてということをさせていただいております。
〇有馬構成員 ご説明で理解できました。ありがとうございます。さて、訓練の期間についてですが、これは参考的な情報ですが、通常はADIでは124時間というのがあって、木村構成員が先ほど「1日来て2時間しかやらない」と、40日だと80時間なってしまいます。ADIの124時間でも、注意しなくてはならない点もあります。124時間に到達するために、毎日頑張って長時間の訓練を続ける等、ユーザーさんや補助犬に対して、過度な訓練状態になるのはユーザーさんや候補犬の体調を優先して考えなくてはならないので、日数規定にするのも時間規定にするのも、双方にメリット・デメリットがありますね。日本聴導犬協会の場合は、滞在訓練を受けていただく際には、9時~17時までとってありますが、ご体調や修得の度合いによってフレキシブルに対応しています。一番は、ユーザーさんの体調を聞きながらやらせていただいています。休憩は頻繁に取っています。日数がいいのか、時間数で規定するのか、補助犬法の検討会の初期の頃から考えていました。1時間しかやらないで40日間というのもあると思うし、そこも少しご検討いただきたいと思います。
〇江藤座長 第1回ワーキングということで、いろいろとご意見をいただいていますが、お話にありましたように今回参加されているのは限られた事業者ですけれども、事業者間での連携ということも先ほどのワーキングでも話題になっていましたが、事業者間の連携について何かご意見ございますか。時間が短くなっているので、あまり長くできませんが。有馬構成員、どうぞ。
〇有馬構成員 先ほど水上構成員がおっしゃっていたのですが、私が元理事を務めさせていただいたADI側もどんどんメンバーを増やしていきたいと考えています。ADIでは相当に困難な認定試験もありますが、日本聴導犬協会では、みなさまにどのようにもご協力させていただきますので、育成団体が訓練方法を一緒に高めていくために、一緒にお勉強会等をしてきたいと思っています。まずは日本介助犬協会さんとそういう話ができたのと、朴構成員とは昔からいろいろ教えていただいたりしていますし、今回の会議をきっかけに日本介助犬福祉協会の川崎さんともお話ができるようになったので、少しずつですがこのような輪が広がっていければと考えております。国際基準については、お気軽にご相談ください。
〇江藤座長 朴構成員、どうぞ。
〇朴構成員 日数については、同じ1日でも長く訓練に臨めない方もいらっしゃいますし、訓練センターでの生活の負担感が強い方は在宅になったり、仕事を持っていたりということなので、本当に長ければ良い、短ければ良いというのは一概に言えないと思います。ただやはり原則というか、事業計画、訓練士の割り振りもありますので、原則何日というのを設けたいとは思っています。そのときに介助犬の40日というのは、いかがなものでしょうか。盲導犬は4週間です、新規で。代替えが2週間、半分になるので、やはり40日というのが少し長いなと、ユーザーの負担になっているなと思います。なぜこの話をするかというと、検討するときの基準というのが必要で、有馬構成員はADI、国際基準のデータを皆さんに何時間とか、それと盲導犬の基準を比べて、どの程度が妥当なのかという一つの手がかりとしていただけたら嬉しいと思っております。
〇江藤座長 訓練基準、日数等についていろいろとご意見をいただいてきましたけども、事業者間の連携ということでは、訓練基準の中に何か定めるとかそういったものではないかもしれませんけども、今回初めてお互いどういうことをやっておられるかということ、こういう機会はとても役に立つものだと思いますので、事業者間の連携については今後またどのように進めるかという課題で持ち帰って検討していきたいと思います。そろそろ時間ですけども、何か言い残したので言いたいという構成員の方おられますか。立石構成員、どうぞ。
〇立石構成員 専門職ということでこの会議に参加させていただいていますが、皆様方のお話を良く聞いていると、まず補助犬を選ぶという、補助犬というのは障害がある方の生活を高めるための一つの方法ですから、それが適切かどうかというのが最初に評価をされた後からのお話がこの検討会の本当のテーマなのかなという感じがしております。ですから、障害のある方にとって何が適切なのかというところに専門家がたくさん入るというのはすごく大事なことだと思いますが、それは常時必要ということではなくて、もしかするとカンファレンスのようなものをやることで、まずそこを絞っていくのが大事かなという感じがしております。ですから、その話はこの中に入れてしまうと多分非常にごちゃごちゃするかなというのが個人的に思った感想です。
それからフォローアップというのは、かなり頻繁にやることで適切と思われますが、基準を拝見しますと、1年に1回は少なくともということが書かれていて、初年度はもう少したくさんというのがありますけれども、このあたりはむしろ頻回にやることを決めた方がいいのかなと思います。それによってリタイアの時期ですとか、さらに補助的な訓練がいる等ということが決めていかれるのではないかと、お話を伺っていての印象として申し上げました。
〇江藤座長 松本構成員、どうぞ。
〇松本構成員 今のお話で、この検討会が評価された後の、つまり補助犬を選択した後の、という内容、やることの話し合いの場っていう話が今ありましたが、その評価自体が今とてもあやふやで本当にその人にとって補助犬と生活することがプラスになるのかどうか、どのような補助犬がプラスになるのかという評価が曖昧なことと、補助犬を希望する人自身がきちんとわかった上で補助犬がほしいと手を挙げて申し込みに行っているのか、単に同じ犬を飼うのなら、自分を助けてくれる特技がある犬の方が便利という気持ちで相談に行っているのかというところがとてもあやふやなところなので、そこで訓練をするにあたって、その人だったり、その人にとって必要なものを評価するところから訓練が始まるのではないかなと思ったので、私はずっとインテークのことをしつこく言いましたが、もしもそれをやることが前提で、どんな訓練がいいかとか何日やるのがいいかという話であれば、それは訓練の専門家である皆さんだけで話せばいいことなのかなと私は思ってしまうので、そこだけこだわらせていただいたので、評価自体が大事かなと、訓練を始めるにあたって。なのでこの検討会でも評価に対してはきちんと相談してほしいと思っています。
〇江藤座長 最初に使用者さんのニーズの把握、それに関連した評価から入っていくということで。訓練基準に関しての論点案としていくつか分けていますが、そう分けて議論できるものではないということで、いろいろと訓練に関わる使用者さんが生活に役立つというそういった視点から訓練基準を整理してからということだと思いますが。最後に何か言い残したということはありますか。あと2回3回とこのワーキングは続けることになると思いますが。有馬構成員、どうぞ。
〇有馬構成員 日本聴導犬協会は認定と訓練を委託された「指定法人」と「訓練団体」になります。朴構成員は先ほどからおっしゃっているように、盲導犬と同じように協会内で専門家を作っていかなければいけない。日本聴導犬協会にも社会福祉士の卵がいます。これから受験しなければいけないですけど。どの訓練所さんも構成メンバーの点で努力されていると考えます。社会福祉士の方にとって、聴導犬、介助犬は社会福祉士の範疇からすると違う分類に入ってしまうのではないでしょうか。犬のことも多少は勉強しなければいけないし、犬とのハーモニーや効用など様々あると思います。だからぜひ訓練施設と皆さんで力を合わせて、施設内に専門家を育てていくことが必要です。育成団体が成長しないと、ユーザーさんもハッピーになれない。ユーザーさんたちが満足できるように常に勉強していかなくてはならない。松本構成員と木村構成員は2つの団体から補助犬訓練を受けていらっしゃるので、きっとそこで満足していただいているのだと思いますが、もっともっと満足していただけるような、育成をしていきたいと考えています。
〇江藤座長 予定した時間なってしまいまして、訓練基準ということで第1回ワーキングを開催したわけですけれども、まず使用者さんのニーズをしっかりと把握して、またそこをどう評価するかといったようなことを、今後また訓練基準についてはワーキングを続けさせていきたいと思います。事務局の方では、今回の議論を踏まえて次回の資料等の準備をお願いできればと思います。よろしくお願いします。ここで進行を事務局の方へお返しすることとします。
〇大城補佐 江藤座長、ありがとうございました。また、構成員の皆様にはご多忙の中ご出席並びにご意見をいただきましてありがとうございました。次回の第2回訓練基準の見直しに係るワーキンググループは年末でお忙しいところ恐縮ではありますが、12月22日水曜日10時から12時に、今回と同様にwebで開催予定としています。本日ご議論いただいた内容を踏まえて、事務局で資料を取りまとめさせていただきます。本日はありがとうございました。
 

照会先

 

障害保健福祉部企画課自立支援振興室