2021年2月22日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年2月22日(月)14:00~
 

出席者

出席委員(19名)五十音順

欠席委員(2名)

(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者
 

  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、時間を過ぎていますので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日もお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度の医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただいております。本日のWeb会議における委員の出席状況ですが、登美委員、山口委員から御欠席との御連絡を頂いております。また、亀田委員、山本委員は遅れての参加との連絡を頂いております。したがいまして、本日、現在のところ当部会の委員数21名のうち、17名の委員がWeb会議に御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続きの御理解と御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際しましても、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましては、マスクを着用したままで説明をさせていただきますので御了承いただければと思います。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がございますので、審議の進行方法について御説明をさせていただきます。審議中に御意見や御質問をされたい委員におかれましては、まず、御自身のお名前と、発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を指名させていただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言をお願いいたします。なお、発言者が多いときには、御発言されたい委員がメッセージ欄のほうに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に指名させていただきますので、適宜、メッセージ機能のほうも御利用をお願いいたします。
○清田部会長 これまでの御説明に御質問や御意見等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いします。
○事務局 事務局です。それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日、あらかじめお送りしました資料のうち、資料1~資料25-2と製剤写真のほうを用いますので、お手元に御用意をお願いいたします。このほか、資料26として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料27として「専門委員リスト」、資料28として「競合品目・競合企業リスト」を事前にメールでお送りしております。なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申し付けください。
 続いて、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をさせていただきます。資料28の「競合品目・競合企業リスト」です。1ページ目ですが、「アリケイス吸入液590mg」です。本品目は「<適応菌種>アミカシンに感性のマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)<適応症>マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺非結核性抗酸菌症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 続いて2ページ目の「ジクトルテープ75mg」です。本品目は「各種がんにおける鎮痛」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 3ページ目、「アキュミン静注」です。本品目は「初発の悪性神経膠腫が疑われる患者における腫瘍の可視化」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の1品目を競合品目として選定しております。
 4ページ目の「ダラキューロ配合皮下注」です。本品目は「多発性骨髄腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 5ページ目の「ベネクレクスタ錠10mg、同錠50mg、同錠100mg」です。本品目は「急性骨髄性白血病」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定をしております。
 6ページ目の「ポライビー点滴静注用30mg他1規格です。本品目は「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
 7ページ目、「レンビマカプセル4mg他1規格」です。本品目は「切除不能な胸腺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目なしとしております。
 続いて、競合品目・競合企業リストの8ページです。「ペマジール錠4.5mg」です。本品目は「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
 9ページ目の「アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.2mL「MA」他3規格」です。本品目は「関節リウマチ」などを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
 10ページ目、「バリシチニブ」です。本品目は「I型インターフェロン関連自己炎症性疾患」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 11ページ目、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)」です。本品目は「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の唾液腺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
 12ページ目の「ニボルマブ(遺伝子組換え)」です。本品目は「原発不明癌」を予定効能・効果としており、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 13ページ目、「レンバチニブメシル酸塩」です。本品目は「子宮体癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
 14ページ目、「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」です。本品目も「子宮体癌」を予定効能・効果としており、予定される効能・効果のほう、同様のものとして、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 15ページ目、「sotorasib」です。本品目は「KRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定をしております。
 16ページ目、「抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン」です。本品目は「中等症以上の再生不良性貧血」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定しております。
 最後の17ページ目、「Susoctocog alfa」です。本品目は「後天性血友病A患者における出血抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の品目を競合品目として選定をしております。
 以上です。
○清田部会長 今までの御説明は皆様聞き取れましたでしょうか。聞き取れないようでしたら、チャットで御連絡をいただきたいのですが、ないようなので進めます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を得たものとします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 事務局です。薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについてです。まず、議題1「アリケイス」、議題2「ジクトル」、議題3「アキュミン」につきましては、退室委員、議決に参加しない委員ともにいらっしゃいません。続いて、議題4「ダラキューロ」につきましては退室委員なし、議決に参加しない委員として、亀田委員、南委員。議題5「ベネクレクスタ」については退室委員なし、議決に参加しない委員として、亀田委員、中野委員、清田委員、南委員。議題6「ポライビー」については、退室委員として松下委員、議決に参加しない委員として、亀田委員、濱委員、南委員、山本委員、渡辺委員。議題7「レンビマ」については、退室委員が山本委員、議決に参加しない委員として亀田委員、南委員。議題8「ペマジール」については、退室委員として山本委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議題9「アダリムマブBS」については、退室委員なし、議決に参加しない委員として亀田委員、川上委員、清田委員、中野委員、南委員、宮川委員。議題10「バリシチニブ」については、退室委員なし、議決に参加しない委員として亀田委員、南委員。議題11「トラスツズマブ」については、退室委員として松下委員、南委員、議決に参加しない委員として亀田委員、濱委員、山本委員、渡辺委員。議題12「ニボルマブ」については、退室委員として南委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議題13「レンバチニブ」については、退室委員として山本委員、議決に参加しない委員として亀田委員、南委員。議題14「ペムブロリズマブ」については、退室委員として山本委員、議決に参加しない委員として南委員、横幕委員。議題15「sotorasib」については、退室委員として松下委員、山本委員、議決に参加しない委員として亀田委員、濱委員、南委員、横幕委員、渡辺委員。議題16「抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン」については、退室委員なし、議決に参加しない委員として亀田委員、川上委員、島田委員、中野委員、松下委員、南委員、山本委員。議題17「Susoctocog alfa」については、退室委員として松下委員、議決に参加しない委員として亀田委員、川上委員、濱委員、南委員、宮川委員、山本委員、渡辺委員です。また、議題18についても、各委員より寄付金や契約金等の受取りの申告をいただいておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明で特段の御意見等はありますか。よろしいですか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は審議事項18議題、報告事項6議題、その他事項1議題となっております。それでは審議事項の議題に移ります。議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より、議題1、資料1、医薬品アリケイス吸入液590mgの製造販売承認の可否等について御説明いたします。タブレットの資料1のフォルダを開き、★マークの付いている審査報告書のファイルをお開きください。
 アリケイス吸入液590mg、以下、本剤と略しますが、本剤は、アミカシン硫酸塩を有効成分とするアミドグリコシド系抗菌薬の吸入剤であり、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックスという細菌群、以下、「MAC」と略しますが、MACによる肺非結核性抗酸菌症(以下、Non-Tuberculous Mycobacteria「NTⅯ症」と略します)を適応症として申請されました。本邦において、同じ有効成分を含有するアミカシン硫酸塩注射剤が様々な細菌感染症に対する治療薬として承認されており、実臨床においてはMACによる肺NTM症に対しても使用されております。本剤は、治療抵抗性かつアミカシン感性のMACによる肺NTM症患者を対象とし、注射剤と比較してアミカシンの全身曝露を抑えることにより、アミドグリコシド系抗菌薬で問題となる副作用、具体的には聴覚障害などを軽減しつつ、肺内へ効率的に薬剤を送達することが可能となるよう、リポソーム化アミカシンの吸入剤として開発されました。治療抵抗性のMACによる肺NTM症患者を対象とした国際共同第III相試験成績等に基づき、本剤の製造販売承認申請が行われました。本剤は、2020年12月時点で、5つの国又は地域で承認されており、米国では2018年9月、欧州では2020年10月に承認されております。本申請の専門委員として、資料27に記載の8名の委員を指名しました。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。まず有効性について、審査報告書の通し番号38/56ページ、審査報告書37ページの表34を御覧ください。表34の3、4列目にある治療抵抗性のMACによる肺NTM症患者を対象とした国際共同第III相試験(INS-212試験)において、主要評価項目である投与6か月目までの喀痰培養陰性化、つまり微生物学的な除菌を達成した被験者の割合をこの表の3行目に示しております。こちらは多剤併用療法に本剤を上乗せした治療レジメンである本剤群で29.0%、アミドグリコシド系抗菌薬を含まない多剤併用療法のみの対照群で8.9%であり、統計学的に有意な群間差が認められております。なお、MACによる肺NTM症への初回治療においても、アミドグリコシド系抗菌薬であるストレプトマイシンの多剤併用療法への上乗せ効果は約20%と報告されております。
 日本人集団の有効性については、通し番号39/56、審査報告書38ページ、表35を御覧ください。表の2、3列目の国際共同第III相試験(INS-212試験)の日本人部分集団において、主要評価項目である投与6か月目までの喀痰培養陰性化を達成した被験者の割合を3行目に示しております。本剤群26.5%、対照群0%であり、全体集団と同様の結果でした。以上より、治療抵抗性のMACによる肺NTM症患者に対する本剤併用レジメンにおける有効性は示されたと判断しました。
 次に安全性について、通し番号41/56、審査報告書の40ページを御覧ください。海外第II相試験(TR02-112試験)、国際共同第III相試験(INS-212試験及びINS-312試験)の3試験に含まれた肺NTM症の被験者を併合した肺NTM症集団、こちらは一部の被験者においてはMAC以外の細菌による肺NTM症も含みますが、これらと、本剤を用いた反復投与試験11試験(肺NTM症に加えて、基礎疾患として嚢胞性線維症又は気管支拡張症のいずれかを有し、慢性緑膿菌感染症を伴う被験者を含みます)の被験者を併合した安全性解析対象集団における安全性の概略をお示ししております。死亡に至った有害事象は、下から3行目に示しておりますが、曝露期間で調整した死亡率は、肺NTM症集団では本剤群4.0及び対照群9.2、安全性解析対象集団では本剤群1.8で対照群8.4であり、いずれの集団においても本剤群が低い結果でした。また、曝露期間で調整した重篤な有害事象の発現頻度を下から4行目に示しておりますが、肺NTM症集団では、本剤群33.4及び対照群31.2、安全性解析対象集団では、本剤群30.2及び対照群で34.8であり、両群間で同程度でした。
 続いて、日本人集団における安全性の概略については、通し番号44/56、審査報告書43ページ、表40を御覧ください。日本人における肺NTM症集団における本剤の安全性プロファイルは、全体の肺NTM症集団における本剤の安全性プロファイルとおおむね同様でした。しかしながら、日本人肺NTM症集団において、曝露期間で調整した重篤な有害事象の発現頻度は、下から4行目に示すとおり、対照群10.9と比較して、本剤群37.9と頻度が高く、この内訳はアレルギー性胞隔炎、肺臓炎、間質性肺炎等の過敏性肺臓炎関連事象でした。当該事象については、添付文書等で注意喚起を行う必要があると判断しました。
 続いて、アミドグリコシド系抗菌薬で、留意すべきと考えられる聴覚障害等の有害事象の発現状況については、通し番号47/56、審査報告書46ページ、表43を御覧ください。肺NTM症集団において、曝露期間で調整した聴覚毒性/聴覚障害の発現頻度は表の上から3、4行目、列にして2、3列目に示しており、本剤群において聴覚毒性は22.0、聴覚障害は15.6、対照群においては聴覚毒性18.5、聴覚障害13.9であり、本剤群で発現頻度が高い傾向が認められました。さらに、アミカシンによる聴覚障害は、アミカシンの累積曝露量と関連している可能性が報告されていることから、本剤は全身曝露の低い吸入剤ではありますが、これらの有害事象の発現に注意が必要と考え、添付文書等を用いて医療現場に適切に周知することといたしました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本申請は、新投与経路医薬品としての申請であることから、再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断いたしました。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがですか。
○松下委員 3つほど教えてほしいのですが、まず、有効性の判断を、いわゆる培養検査で見られているのですが、例えば画像所見の改善などのエンドポイントで見た報告はないのかということがまず1点目です。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 本申請のピボタル試験である212試験においては、主要評価項目は御指摘のとおり、投与6か月目及び投与終了3か月後の培養陰性化を主たる評価項目として評価いたしました。御指摘の臨床に係る評価項目については、QОL指標等、複数の副次項目で検討はいたしましたが、現時点で得られているところは、培養陰性化のような顕著な群間差は認められていないという結果を確認しております。
○松下委員 分かりました。2番目は、背景としてHIV感染症をお持ちの方が対象症例に含まれていたかどうか教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 後ほど御連絡させていただきたいと思いますので、次の質問をよろしくお願いいたします。
○松下委員 最後の質問です。これは吸入剤ですが、環境への影響等について注意点はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問の点としては、医療現場で使用、若しくは御家庭で使用される際に患者さん以外の同居家族等への曝露等の懸念という質問でよろしかったですか。
○松下委員 はい、同じで結構です。
○医薬品医療機器総合機構 それに関しては、現時点で治験等での報告は上がっておりませんので、御指摘の点に関しては十分理解しましたので、環境への曝露、特に同居家族等への曝露に関しては、少し情報を精査して、申請者と相談して、御回答させていただけますでしょうか。現時点で特段気になる点というのは機構としては考えておりませんが、少し精査が必要かと考えています。
○松下委員 例えば、独特な臭いがするとか、刺激臭があるとか、できるだけ個室で行うようにとかといったことをメーカーは考えているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点で申請者が作成している資材等ではこのような注意喚起はなされていないと理解しておりますので、御指摘を頂いた点を少し明確化して、申請者と、この使用する環境等について調整を進めたいと考えております。御指摘ありがとうございます。
○松下委員 分かりました。以上です。
○清田部会長 それでは、松下先生の2番目の御質問については、今調べていただいて、濱先生、南先生から御質問を頂いていますので、先に濱先生、御意見をお願いします。
○濱委員 製剤写真を見ますと、本剤は吸入剤ですが、注射薬のバイアルと非常によく似ています。誤投与防止の観点から改善が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問を確認させてください。本剤の資料の製剤写真において、本剤は吸入剤ですが、薬液に関してはバイアル瓶に入っておりまして、その形状から誤投与を懸念されているという御質問でよろしいですか。
○濱委員 はい、そのとおりです。
○医薬品医療機器総合機構 こちらに関しては、医療安全上の観点から、禁注射である旨のラベルをバイアルに必ず貼付するように指導しておりまして、医療現場ではまず第一にそこを確認いただけるかと思います。誤投与に関しては、機構でも懸念点でしたので、医療関係者への周知等含めて情報提供をしっかりするよう申請者に伝達したいと思います。
○濱委員 アミカシンについては、既に注射薬があります。禁注射の記載はありますが、吸入液という表記が目立たないのも問題かなと思っていますので、誤投与が起きないような注意喚起を十分にしていただければと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただいた吸入液、販売名には付してはおりますが、ラベルの工夫等で見やすくというところは、実際に医療現場で使っている医療関係者の方が一番分かりやすい形で、医療現場の声を聞くような形で、申請者と調整させていただきます。御指摘、ありがとうございます。
○清田部会長 それでは南先生、お願いします。
○南委員 審査報告書の29/56ページの表28の有害事象・副作用をプラセボ群と比較した表があるのですが、軽微なものだとは思われるのですが、発声障害、咳嗽、口腔咽頭痛、喘鳴など刺激症状のように思われる症状がプラセボ群よりも多くなっているようです。恐らく局所の刺激だと思われますが、一方で、添付文書の書きぶりを見ますと、そのことが伝わってこないように思います。吸入剤なので、刺激症状はあっても仕方ないかもしれないのですが、注意喚起は必要ないのか少し気になりました。お考えをお聞かせいただければと思います。
○清田部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点の表28は、第II相試験ですが、安全性解析集団等含めて、肺NTM症集団で特に発声障害が多く認められている点に関して、機構でも状況を確認しましたので、簡単に御説明いたします。
 まず、発声障害ですが、こちらは比較的高頻度で認められておりますが、発声障害が認められた被験者の80%以上で転帰は回復となっていることは確認しております。回復した被験者のうち、半数以上の60%は特に本剤の投与中断・中止することはなく、回復に至っているというところです。また、発声障害が認められて本剤を投与中止・中断に至った被験者でも、その後、80%程度は回復ということで、これらの有害事象については可逆性の事象であるとは考えております。
 添付文書での注意喚起については、現在、添付文書上の11.2項の「その他の副作用」で5%以上という高頻度で認められると考えられる事象として、咳嗽、発声困難、口腔咽頭痛等の事象を挙げておりますので、臨床現場で使用される際には、この5%以上というところを一つ目安として使っていただくことになると考えております。ただし、御指摘の点も踏まえて、有害事象の発現頻度が比較的高い事象については、適切に注意喚起、情報提供をするよう申請者にも伝達させていただきたいと思います。
○南委員 そうですね。添付文書以外の手段でもいいと思いますが、やはり患者さんがびっくりしないように情報提供を頂ければと思います。
○清田部会長 それでは、大曲先生、お願いします。
○大曲委員 1点、コメントになります。報告書の47/56を見ますと、めまいのことの記載があります。有害事象の重篤なものとして、回転性めまいが1例あって、転帰が未回復だったとあるのです。実際に49/56に、やはりアミノグリコシドですので、クラスエフェクトとしての腎障害や聴器の問題のことはここにも記載があって、注意喚起が必要ということで触れていただいてはおります。
 それを受けて、添付文書はどうかということで私も見ていたのですが、こちらは該当するところは添付文書の1ページ目の8.1、ここに関してはめまいや耳鳴や難聴等のいわゆる第8脳神経障害に関して注意は喚起してあるのですが、方法としては、聴力検査を実施することが望ましいという記載があります。実はめまいというのは、結構厄介で、この病気の患者さんは高齢者が多いと思いますが、めまいで、しかも戻らないめまいが発症するとADLが極めて低下します。動けなくなってしまう、歩けなくなってしまうということもあります。そういう意味で重いということがあります。ただ最近、アミノグリコシドは余り使われていませんので、ドクターもそういったことは知りません。ですので、これだけだと恐らく拾い漏れるだろうという懸念を持っております。人数は少ないのかもしれませんが、実際に現場では診察のたびに、ふらふらしないかとか、目が回らないかといったことは、丹念に聞くようにしておりますが、そうした配慮が要るであろうことを、添付文書かあるいはそれ以外の情報共有の媒体でお伝えいただければと思います。以上です。
○清田部会長 機構からありますか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点、ありがとうございました。アミノグリコシド系抗菌薬のクラスエフェクトに関しては、機構も注意深く審査をし、リスクは一定程度ある薬剤と認識しておりますので、現状のアミノグリコシド系抗菌薬の使用頻度等も踏まえて、適切な医療現場への情報提供という観点から申請者と、情報提供資材等も含めて、今後調整させていただきます。
○大曲委員 ありがとうございます。
○清田部会長 最初の松下先生の御質問の2番目の御質問で、HIV感染症患者さんはどれだけいたかということに関してはいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきました点について、本剤の臨床試験では、HIV感染症患者に関しては除外基準で組み入れられていないというのが回答です。
○松下委員 分かりました。
○清田部会長 松下先生、よろしいですか。
○松下委員 理解いたしました。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありますか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。議題1について、承認を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題2に移ります。議題2について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、ジクトルテープ75mgの製造販売承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って機構より御説明いたします。審査報告書を御用意ください。以降の審査報告書のページ数は、各ページの下段に47分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤はジクロフェナクナトリウムを有効成分とする新規の貼付剤であり、今般、各種がんにおける鎮痛に係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本剤は3枚貼付したときのジクロフェナクの全身曝露量が、既承認のジクロフェナクナトリウム経口剤の1日最大投与量である100mgを反復投与したときと同程度になるよう設計されている全身作用型の貼付剤です。本申請の専門委員として、資料27に記載されている7名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。なお、審査報告書の42ページ「10.その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照ください。有効性については審査報告書25ページの表25及び26ページの図4を御覧ください。がん疼痛患者を対象としたプラセボ対照二重盲検無作為化治療中止試験である国内第III相試験の成績を示しております。主要評価項目である二重盲検期における鎮痛効果不十分となるまでの期間について、本剤群とプラセボ群との対比較において、統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されています。また、同試験の副次評価項目に関する結果については、審査報告書31ページの表31を御覧ください。痛みの強さを示すVAS値をはじめ、患者の疼痛改善度など、いずれの評価指標についても、本剤投与群でプラセボ群を上回る傾向が認められております。以上より、本剤のがん疼痛に対する有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性については、審査報告書の33ページを御覧ください。表33に、国内試験で認められた安全性の概要と、主な有害事象の概要を示しております。主な有害事象としては、消化管障害、肝障害、腎障害などが認められておりますが、既承認のジクロフェナクナトリウム経口剤での安全性プロファイルと比較して、がん疼痛患者において現時点で安全性上の重大な懸念は認められておりません。したがいまして、既承認のジクロフェナクナトリウム経口剤と同様に、消化性潰瘍のある患者や、重篤な心機能不全又は腎障害のある患者は禁忌とするなどの安全対策を講ずることで、がん疼痛患者への本剤投与時の安全性は管理可能と考えております。
 また、事前に渡辺委員より御質問を頂いておりますので、御回答申し上げます。「鎮痛効果は十分で、貼付部位の皮膚反応も軽度・低頻度であり有用な薬剤であると思います。本剤ががん疼痛以外に使用される可能性がありますが、当局はどのように対応されますか」との御質問を頂いております。
 承認された効能・効果、用法・用量にて、適切に医薬品を使用していただくことが大切と考えておりますので、申請企業に対して、御指摘いただいた内容も含め、本剤の適正使用のための医療従事者及び患者に対する情報提供資料に含めるよう、改めて指導いたしたいと思います。なお、申請者は、現在、がん疼痛以外の腰痛症、肩関節周囲炎等に対する開発を行っていることが企業のホームページで公表されておりますことを申し添えさせていただきます。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能・新剤形医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないとすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、渡辺先生からは先にコメントを頂いていますが、いかがでしょうか。
○渡辺委員 企業としては、がん疼痛以外に対しての適応も今後拡大していくという方向性なわけですから、本剤が、現時点でがん疼痛以外の方にも効果がある、効くということは明らかなわけです。そこのところを実際に臨床現場で、例えば腰痛のある患者さんが骨転移でがん疼痛なのか、通常の変性に伴う疼痛なのか分からないときがありますから、なかなかここを区別することは難しいことだろうとは思います。将来的に拡大して全ての疼痛患者さんに役に立つということでしたら納得のできる御回答です。
 気になることがもう1つあります。資料2の1/47ページの効能又は効果のところで、「各種がんにおける鎮痛」という表現が書いてあります。それから、添付文書案の効能又は効果は、「各種がんにおける鎮痛」という表現です。説明の中でも、「がん疼痛に対する鎮痛」というような表現が使われておりましたし、要は、がん疼痛を有する患者さんの鎮痛ということが本質なわけで、「各種がんにおける鎮痛」の「おける」という前置詞が誤用なのではないかと思うのです。国語をもう一回勉強するとともに、ちょっと考え直していただきたいと思います。以上です。
○清田部会長 機構から御意見をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘をどうもありがとうございます。効能・効果については既に各種がんにおける鎮痛として承認されているNSAIDs製剤の効能・効果の記載も踏まえまして、今回、「各種がんにおける鎮痛」とさせていただいております。先生からの御指摘も含め、記載ぶりの変更等が必要かと言う点も含めて、再度検討させていただきます。
○清田部会長 それでは、後ほど機構のほうからお知らせをよろしくお願いいたします。
○渡辺委員 分かりました。
○清田部会長 それでは、宗林先生お願いいたします。
○宗林委員 渡辺先生と近い部分はあるのですが、がん疼痛だけにしか使用してはいけないということを、どのぐらい制御できるのかお医者様ががん性疼痛の時のみ処方箋を出すということであれば、他の腰痛だとかいろいろなものには使わないということで、ある程度制限はできるのかと思いますが、うちに持って帰ったときには、もう1つの質問とも重なりますが、市販のジクロフェナクナトリウムのテープが今は市販されております。また、飲み薬との重複も含めてあるかと思います。その辺での重ねての使用をどうやって阻止していくのか。国民への情報提供という観点からその辺りをお聞きしたいと思います。以上です。
○清田部会長 機構からどうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘どうもありがとうございます。今回は、がん疼痛に対して有効性が示されたと考えておりますので、がん疼痛以外に対する使用がなされないように、適正使用について十分に情報提供することが必要と考えております。先ほど患者さまの自宅にある他のジクロフェナク製剤との併用に関する懸念を御指摘いただきましたが、添付文書の用法・用量関連注意の欄で、「他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けること」との注意喚起をしております。また、患者さまが、他の局所貼付剤と混同されないよう、剥離紙及びアルミ包装の部分に指示された1日使用枚数を守る旨の注意喚起をしております。また、患者さま向けの指導箋においても、処方された患者さま以外は使わないことや、1日あたりの使用枚数は最大3枚までとなっていること、他の消炎鎮痛剤との併用は避けることなどの注意喚起をしております。
〇清田部会長 宗林先生、よろしいですか。
○宗林委員 今のパッケージとか、製剤写真等も見せていただきながら発言しています。家庭内に入ると、同様の形式の貼り薬が非常にたくさんあり、確かに名前とか、75mgであるとか、の成分量は違うのですが、大変分かりにくいかと思いますので、他のものに絶対に使用しないということの徹底と、他のものとの重ねての使用をしないようにということ。それなので、同じぐらいの大きさで、同じように剥がすもので、名前だけが違うというものが家庭内にはたくさんあるかと思いますので、その辺の配慮をより一層お願いできればと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点、改めて、申請企業に伝えさせていただき、より適切な情報提供、注意喚起について検討するよう指導させていただきたいと思います。なお、剥離紙部分における指示された1日使用枚数を守る旨の注意喚起は、通常の一般的な局所作用型貼付剤では目立つような記載はなく、注意喚起等の差別化を図ってまいりたいと思っております。
○宗林委員 はい、分かりました。どうぞよろしくお願いします。このジクロフェナクナトリウム自体の製剤も貼り薬はたくさんありますので、よろしくお願いします。
○清田部会長 南先生お願いいたします。
○南委員 有効性を検証したJP-06試験は、ランダマイズド・ディスコンティニュエーション・デザインだと思われますが、その場合、他の薬をベースに併用した上での試験だったのか、ランダム化で中止した患者群では一切鎮痛薬は投与されていなかったのか、試験デザインについて確認させてください。ベースに併用していなかった場合は、レスキューを許容していたと思うのですが、レスキューの使用量、使用頻度に差はなかったか、確認させてください。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘どうもありがとうございます。御指摘いただきました第III相試験、JP-06試験における鎮痛剤の併用薬に関してですが、局所治療薬の使用や、感冒等の解熱を目的とした一時的なアセトアミノフェンの使用を除き、レスキューを含む全ての鎮痛剤は使用禁止されておりました。
○南委員 よくそれで倫理委員会が承認したなと思いますが、試験の結果が出た以上、承認しないという訳にはいかないと思います。ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。
○清田部会長 他に御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。ないようですので議決に入ります。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議はないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて議題3に移ります。議題3について機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、アキュミン静注について機構より御説明いたします。紙資料は資料3の審査報告書をお開きください。電子ファイルを御覧になる場合は資料3のフォルダをお開きいただき、★の付いている審査報告書のファイルをお開きください。
 審査報告書通し番号4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本薬は、放射性フッ素(18F)で標識されたフルシクロビンを有効成分とするPETトレーサーです。フルシクロビンは、アミノ酸トランスポーターを介して細胞内に取り込まれ、正常細胞よりもアミノ酸代謝が亢進している腫瘍細胞等でより多く取り込まれることを利用して、本薬を用いたPET検査により腫瘍を可視化いたします。脳腫瘍では主に磁気共鳴コンピューター断層撮影(以下、MRI)検査を用いて手術の適否や摘出範囲が決定されますが、MRI検査では腫瘍の辺縁を十分に評価できない等の問題から、腫瘍摘出範囲の決定に資する更なる情報が必要とされております。 欧州のガイドラインでは、本薬と同様に陽電子放出核種で標識したアミノ酸をトレーサーに用いるPET検査が、神経膠腫の摘出計画等において推奨されており、日本脳神経外科学会より、本剤の早期承認に関する要望書が厚生労働省に提出されております。本剤は、申請者である日本メジフィジックス株式会社により本邦における開発が行われ、今般、国内臨床試験成績に基づき、神経膠腫が疑われる患者の腫瘍の可視化に関する効能・効果で、医薬品製造販売承認申請がなされました。本薬は、海外では、神経膠腫が疑われる患者の腫瘍の可視化に関する効能・効果で承認された国又は地域はありませんが、生化学的再発が疑われる前立腺癌の可視化に関する効能・効果で2016年に米国で初めて承認されて以降、30か国以上の国又は地域で承認されております。本剤の審査に関して、専門委員として資料27に記載しております委員を指名いたしました。
 本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性について説明いたします。神経膠腫のうち、最も予後が不良な膠芽腫で、造影T1強調MRI検査に基づく腫瘍体積に対して一定以上の体積を摘出できれば、摘出した腫瘍の体積の割合が大きいほど生命予後が改善する報告があるため、現在の悪性神経膠腫の診療では、神経機能の温存を図りつつ、可能な限り多く摘出する方針で手術が実施され、その摘出範囲は、造影T1強調MRI検査に基づき決定されております。しかしながら、MRI検査で腫瘍と特定される領域外にも腫瘍が存在することが課題とされております。
 以上を踏まえて、審査報告書の通し番号22ページの「7.3 国内第III相試験」の項を御覧ください。臨床的に神経膠腫が疑われる日本人患者を対象として、本剤投与時の有効性及び安全性の評価を目的に、非盲検非対照試験であるNMK36-BT-P301試験(以下、301試験)及び無作為化非盲検比較試験であるNMK36-BT-P302試験(以下、302試験)が実施されました。対象疾患が希少であり、各試験に組み入れ可能であった被験者数が限られたことから、審査報告書の通し番号22ページの7.3.1項に記載しているとおり、本剤の診断性能は、今申し上げました2つの試験を併合したデータに基づき評価されました。その結果、中央画像判定で、造影T1強調MRI検査で陰性(腫瘍がなく)、かつ本剤を用いたPET検査で陽性(腫瘍がある)と判断された領域の病理診断をSОT(真のスタンダード)とした場合の陽性的中率は88%であり、その95%信頼区間の下限は事前に設定された評価基準(70%)を上回りました。また、通し番号23ページの7.3.2項に記載しておりますように、本剤を用いたPET検査の有用性に関して、302試験の主要評価項目である高悪性度神経膠腫が疑われる患者における9か月無増悪生存率の点推定値は、本剤群では33.3%であり、対照群の46.7%を上回りませんでしたが、302試験は対象疾患が希少であるため、実施可能性の観点から目標症例数を設定せざるを得ず、限られた症例数の中でもより適した評価ができるよう、全摘出が可能な症例等に評価対象を限定することも、治験の実施上困難であったといった試験デザインの限界がありました。
 審査報告書の通し番号31ページの7.R.2.4項を御覧ください。次の32ページの表15に示す「全摘出の成否」及び「膠芽腫か否か」の2要因を考慮した302試験の各群の被験者背景から、申請者は、302試験では、予後に大きく影響する因子である「全摘出の成否を含めた腫瘍摘出の程度」や「腫瘍の悪性度」の影響を十分に制御できず、それらの因子に群間で偏りが生じたことが結果に影響した可能性がある旨説明しており、機構は、302試験の結果は、被験者数が極めて限られることによる試験デザインの影響を受け、本剤を用いたPET検査と無増悪生存期間の関係を必ずしも適切に反映していないものと判断いたしました。対象疾患が希少で、再度試験を実施しても、予後評価に適した患者を十分に組み入れることは不可能と推察されることもあり、このような状況で可能な検討として、事後的ではありますが、302試験の本剤群の各症例の腫瘍摘出体積を検討したところ、本剤を用いたPET検査により、造影T1強調MRI検査では特定できない腫瘍の存在を特定でき、特定した腫瘍を実際に摘出できた症例が認められました。
 以上より、高悪性度神経膠腫が疑われる患者において、MRI検査に本剤を用いたPET検査を上乗せして腫瘍摘出範囲を決定することで、MRI検査では特定できない腫瘍の存在を特定でき、予後がより改善する可能性がある手術を受けることができる患者集団が、実臨床において存在すると判断いたしました。
 続いて安全性について、審査報告書の通し番号34ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤の国内外の臨床試験で発現した有害事象の種類に特定の傾向はなく、ほとんどが軽度又は中等度の事象であり、高度の有害事象は本薬との因果関係が否定されていること、また、海外での製造販売後安全性情報からも特段の安全性上の問題は認められていないことから、本剤の安全性は臨床的に問題となるものではないと判断いたしました。
 審査報告書の通し番号35ページの「7.R.4 効能・効果について」の項を御覧ください。本剤の効能・効果には、有用性が示唆された高悪性度神経膠腫が疑われる患者において、MRI検査との併用で、腫瘍摘出範囲の計画を行う際の補助として用いることを明示することが妥当と考えました。また、再発時の診断能や有用性のデータは示されていないことから、初発の悪性神経膠腫が疑われる患者を対象とすることが適切と考えました。以上より、本剤の効能・効果は「初発の悪性神経膠腫が疑われる患者における腫瘍の可視化 ただし、磁気共鳴コンピューター断層撮影検査による腫瘍摘出計画時における腫瘍摘出範囲の決定の補助に用いる。」とすることが妥当と判断いたしました。
 以上の審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤の再審査期間は8年、また、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、事前に渡辺先生より、「「神経膠腫の浸潤範囲を適正に評価でき正確な切除範囲を決定できる」ことが本薬剤の「売り」のようですが、その決定が患者の予後(生存期間延長並びに神経機能障害軽減)に寄与することは検証されていません。しかしながら、手術直前に見る画像に病変辺縁がくっきりと描出されていれば脳外科医の手術に臨む意気込みも高まることでしょう。」との御意見、「神経膠腫以外の脳腫瘍、癌の脳転移、癌の術後再発の評価など、他の状況への適応拡大の可能性もあると思いますがいかがでしょうか」との御質問を頂戴しております。
 頂戴した御質問について、機構は、本薬の腫瘍細胞に多く取り込まれる性質を踏まえれば、適応拡大の可能性を否定するものではないと考えております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 まず渡辺先生から、今の機構からの回答に対していかがでしょうか。
○渡辺委員 機構からの回答には満足していますが、外科医のメンタリティとして、見えるものは取りたいということで取るわけです。辺縁がくっきりしていてそれを取るのでしたら、それはどちらかというと、脳外科医の精神衛生上には良いだろうと思います。例えば、今回の経過の中で、これを使って正確に取れたと考えられるような場合に、どのぐらい神経機能の障害が残らなかったかというか、神経機能の障害を回避できたかという効能、それについての検討というのは探してもどこにもないようですが、その点は今後の検討課題なのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本剤の陽性的中率を踏まえると、PETで陽性の部分のうち、神経機能の観点から摘出可能な陽性部分を摘出するという用法で使っていただくというものになります。神経機能の回復は、個々の患者の腫瘍の状態にもよると考えております。
○医薬品医療機器総合機構 機構から補足させていただきます。今回の第III相試験において、実際にPET検査の画像を基に切除された被験者は15例中7例おりました。それらの症例における、KPSの評価では術前から改善又は術前の状態を概ね維持している状況は確認できております。限定的な評価ではありますが、KPSでは、悪化を示すような情報はなかったと考えております。以上です。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○渡辺委員 その情報はとても貴重な情報なのでPSの過剰な切除をしないで済んでPSを保てたというふうに今の説明で理解できたので、更に有用性が確認できたのかと思いました。ありがとうございました。
○清田部会長 宮川先生どうぞ。
○宮川委員 今の渡辺先生のお話にも関連するのですが、本剤の臨床的意義というものはよく分かりました。本剤を用いたPETの結果が偽陽性で正常組織の摘出が行われるリスクが重要な論点と考えられるということで、31/42ページに、実臨床においても本剤を用いたPET検査で偽陽性が生ずるものと考えると書いてあって、偽陰性に加えて、この偽陽性のリスクについても、添付文書である程度注意喚起をしていくことが必要なのかどうか。私は専門ではないので、その辺について教えていただけますか。以上です。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。御質問の偽陽性について7.R.2.3の審査報告書の通し番号30/42ページで議論をしております。その中で、偽陽性が生じた要因について、30/42の7.R.2.3の中ほどに書いてありますけれども、評価領域1(中央画像判定でMRI造影陰性、PET陽性と判定された領域)で偽陽性が生じた要因というのが、採取部位が意図した部位からずれてしまったというサンプリングエラー、また腫瘍の初期像という極めて希な状況ということで、生検の陰性結果が正しくなかったという状況であったことから、本試験で認められた偽陽性に関しては、その発現状況に基づく検討から本剤の診断能の観点からは注意喚起が必要な状況とは考えておりません。以上です。
○宮川委員 ありがとうございました。
○清田部会長 南先生どうぞ。
○南委員 今の続きなのですが、31ページの中ほどに陰性的中率が書いてあります。陰性的中率が30.8%ということは、要するに陰性であっても安心できない、陰性であってもさらに切除したほうがいいかもしれない、と解釈できるかもしれません。この数字を読むときに気を付けなければいけないのは、単なる神経膠腫なのか、悪性神経膠腫・グリオブラストーマなのかというところに気を付けないといけないと思います。陽性的中率が88%、これはMRIで陰性でもPETで陽性であれば、そこに癌があるということなので、これはいいと思います。ただ、この88%というのは、グリオブラストーマ・悪性神経膠腫のデータなのかということと、先ほどの陰性的中率も同じように悪性神経膠腫のデータなのかということを確認させてください。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書の29/42の「7.R.2.2 本剤を用いたPET検査の診断能について」を御覧ください。301試験と302試験の併合データでは、全体集団の陽性的中率の結果は、事前に評価した基準値の70%を上回りました。登録時の悪性度別の結果では、高悪性度神経膠腫が疑われる患者で88.9%、低悪性度神経膠腫が疑われる患者では85.7%という結果を確認しております。以上です。
○南委員 陰性的中率30.8%も、悪性だろうと悪性でなかろうと同じぐらいの数字だったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 陰性的中率30.8%は、高悪性度疑いと、低悪性度疑いを併合した結果です。悪性度別の陰性的中率も別途算出しております。それによると、高悪性度の患者での陰性的中率は44.4%、低悪性度神経膠腫での陰性的中率は0%でした。
○南委員 分かりました。低悪性度であれば、もともと取り込みがないからということで理解できます。要するに、これで陽性であれば取れと、陰性であっても安心するな、どこまで取るかは臨床で決めないといけないという使い方になるのかと想像します。ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。
○清田部会長 浦野先生どうぞ。
○浦野委員 基本的に良い薬剤だと思います。1つだけ伺いたいのは、今の議論に出てきた基準値70%というのを、最初どのようにして決めて、それをこれは超えたから大丈夫というふうに判断しているのか。それは、多分、今回のターゲットがアミノ酸トランスポーターだと思うのですけれども、そのLAT1かなと思うのですが、それが、どのぐらいの確率でこのグリオブラストーマで見ているという、事前の何か情報があって、この70%というのを決めたのかどうかというところを聞かせていただけますか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書の26/42の「7.R.2.1 国内第III相試験の試験デザイン及び本剤の有効性の評価方針について」の項を御覧ください。こちらの中ほどに今回の70%を決めた経緯を記載してあります。本邦において「悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の可視化」の効能・効果を有するアミノレブリン酸の悪性神経膠腫患者を対象とした国内第III相試験で陽性診断率65.8%という数値があったことから、こちらの数値を基に70%という数値が設定された経緯があります。本剤は、アミノレブリン酸と同等の位置付けではないのですけれども、事前の情報が限られる中での基準値としては、70%という数値は妥当であったと機構は判断しております。以上です。
○浦野委員 その5-ALAと、今回のⅬAT1に対するPETというのは全くバイオマーカーが違うわけですが、そのバイオマーカーが違うものだったとしても、同じこの数字約70%というところに設定するというのが妥当であるとお考えということですか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床的に要求される程度との観点での有用性を判断する上では7割は妥当であったと判断しております。以上です。
○浦野委員 了解しました。ありがとうございます。
○清田部会長 他に御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは議決に入ります。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 次は、議題18を先にやります。議題18について事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題18の放射性医薬品基準の一部改正に関して御説明いたします。資料18の1ページを御覧ください。先ほど機構から説明がありましたとおり、フルシクロビン注射液の承認申請に伴い、本品目の製法等に関する基準を放射性医薬品基準に追加するため、当該基準の一部改正を予定しております。また同時に、既に放射性医薬品基準に収載されているテクネチウム大凝集人血清アルブミンについて、粒度試験法を、顕微鏡法からレーザー回折法に変更を行う予定です。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がありましたら、お願いいたします。石井先生、どうぞ。
○石井委員 テクネチウム大凝集人血清アルブミンに関してお伺いしたいのですけれども、よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○石井委員 試験法が変わっており、判定基準の最後の部分で、もともとは長径100μm以上の粒子を含めないから、新しい方法では粒子を認めないとなっています。もとの試験に用いていた試料の量などを踏まえて、検出感度の観点から、2つの試験法で差違があるかないか、ある場合はどの程度かを教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 私どもで確認いたしまして、こちらについては新旧方法では差がないことを確認の上で進めているところです。
○清田部会長 石井先生、よろしいでしょうか。
○石井委員 はい、ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。大丈夫ですか。ありがとうございました。それでは議決に入ります。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて議題4に移ります。機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料番号4-1、医薬品ダラキューロ配合皮下注の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの68分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤は、ダラツムマブ(遺伝子組換え)とボルヒアルロニダーゼアルファ(遺伝子組換え)、以下それぞれダラツムマブとボルヒアルロニダーゼと略しますが、ダラツムマブとボルヒアルロニダーゼの配合剤です。ダラツムマブは、多発性骨髄腫(以下MMと略します)、MM細胞の細胞膜上に発現するCD38に結合し、MM細胞に対して抗体依存性細胞傷害活性を誘導すること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。また、ボルヒアルロニダーゼは、結合組織におけるヒアルロン酸を加水分解する酵素であり、ボルヒアルロニダーゼを配合することで大容量の薬剤を短時間に投与できるようになることが期待されております。以上より、本剤はボルヒアルロニダーゼの作用により、皮下組織における浸透性が増加することでダラツムマブが拡散吸収され、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
 今般、本剤は「多発性骨髄腫」を効能・効果として承認申請されました。令和2年11月時点において、本剤は、MMに関する効能・効果にて、7の国又は地域で承認されております。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料27にありますとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験である3012試験、及び国際共同第II相試験である2040試験が提出されました。有効性については、審査報告書34ページの表28を含む上段を御覧ください。再発又は難治性のMM患者を対象とした3012試験において、主要評価項目とされた奏効率及びダラツムマブの最高血清中トラフ濃度について、ダラツムマブ点滴静注製剤、以下Dara‐IVと略しますが、Dara‐IVに対する本剤の非劣性が検証されました。また、審査報告書32ページの表27を御覧ください。MM患者を対象に、本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用投与が検討された2040試験において、主要評価項目とされた奏効率は、いずれの併用投与においても、事前に設定された閾値奏効率を上回りました。以上の結果等から、MM患者に対する本剤の有効性は、Dara‐IVと同様に期待できると判断いたしました。
 安全性については、審査報告書41ページ中ほどの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意を要する有害事象は、同一の効能・効果を有する既承認製剤であるDara‐IVに対する審査時に注意が必要と判断された事象と同様であり、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、使用成績調査の実施が必要であると判断しております。以上のような審査の結果、機構は、「多発性骨髄腫」を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体のうちボルヒアルロニダーゼは毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。なお、原体のうちダラツマブは劇薬として指定済みです。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、渡辺委員より事前に御質問を頂いておりますので、機構より回答させていただきます。本品目の販売名について、医療安全上の観点から、「ダラキューロ皮下注1,800mg」から「ダラキューロ配合皮下注」へ変更された理由について教えてほしいと御質問を頂きました。
 医療用配合剤については、配合剤であることに気付かず誤って重複又は過量に投与されること等の防止策として、販売名の設定に関するルールが、「医療用配合剤の販売名命名の取扱い」に関する通知(平成26年7月10日付け)で示されております。本剤はダラツムマブとボルヒアルロニダーゼの2つの有効成分を含有する配合剤ですので、この配合剤の販売名のルールに基づき、ブランド名と剤型名の間に「配合」である旨を記載するとともに、末尾の含量の記載(1,800mg)を削除する変更を行いました。
 事前に頂いた御質問に対する回答は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。渡辺先生、いかがでしょうか。
○渡辺委員 ありがとうございます。配合剤であるということが明確だということが重要だという点は分かりました。そうすると、ダラキューロ・ボルヒアルロニダーゼ配合というような形で書いたほうがよろしいのではないでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。ダラキューロというのがブランド名に当たりますので、これがダラツムマブとボルヒアルロニダーゼを混ぜたもののブランド名として、ダラキューロという名前が付いているところです。
○清田部会長 渡辺先生、いかがですか。
○渡辺委員 まあ、いいです。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありますか。南先生、お願いします。
○南委員 添付文書を見ますと、この薬剤が臨床試験で検討されていないような併用も、先行製剤のダラツムマブのデータが採用されていますので、ダラツムマブと同等に、ダラツムマブが使用できる状況であれば、この薬も使用できると理解しますが、それでいいかを確認させてください。
 それから、ダラツムマブでもInfusion reactionが問題になって、低速度から投与を開始して投与速度を増していく、2回目も3回目も低速度から増していくというややこしい投与方法であるのに対して、皮下注射できるというのは非常に有り難いのです。しかし、Infusion reactionが発現した場合は、本剤を一度中断し、その後再開すると書いてあるのですが、皮下注射はほぼボーラスなので、このInfusion reactionに対する対応を残しておく必要があるかどうかという点について、いかがでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答差し上げます。まず1点目の本剤がIV製剤と同じように併用療法として使えるか否かについては、御指摘のとおり、今回、同様の臨床的位置付けと考えておりますので、使用可能と考えております。また、Infusion reactionの発現に関する注意喚起については、御指摘のように皮下投与というところでIV製剤ほど厳密な投与方法での管理はなかったということですが、臨床試験の実施、投与の中断や対処については、臨床試験の基準に基づいて、この皮下注製剤に関しても関連注意の所で、そういった注意喚起を設定しているところです。
○南委員 その場合、皮下投与の投与時間は、一切記載がないようなのですが、現場で混乱しませんか。
○医薬品医療機器総合機構 今回、ここで書かせていただいた中断というのは、投与中の中断というよりも、いわゆる休薬のほうを意味しておりますので、今回、投与速度を明確に変更するとか、そういった規定までは必要ないと考えております。
○南委員、いや、違うでしょう、この書き方は違うと思います。この薬は連日投与するわけではないですよね。せいぜい週に1回ですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。
○南委員 Infusion reactionが1週間も続いていたら、それは大変ですよ。この解釈は違うのではないですか。本剤の投与中断は、やはり皮下注しているときの中断だと思いますが。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。
 御指摘のとおり、投与中、今回、基本的には3~5分という形で、厳密に時間を測るわけではないのですが、3~5分の投与でやるというところで、その間に何か起きた場合には一旦それを止めるという意味になります。
○南委員 ただ現実問題、3~5分で起きることは、まず考えにくいですよね。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。確かに現実的に起こりにくいというところは、臨床試験でも、3~5分投与中にIRRが発現したという症例はほとんど見られなかったというところです。
○南委員 ですので、わざわざ記載する必要はないように思います。当然、患者さんが投与中に何かあったら、医療従事者は手を止めますよ。投与時間をどのぐらいにしたらいいのだろうかと、かえって混乱させるような気がします。IV製剤のほうには記載が要ると思いますが、この製剤に本当に要りますか。Infusion reactionが起きるというリスクはインフォームしたほうがいいと思うのですが、投与を中断しろと言われても現場は投与終了後ではどうしようもないと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりのところもあるのですが、Infusion reactionとは話がずれてしまうかもしれないのですが、例えば患者さんが投与中に痛みを感じたときなどは、やはり1回中断するというのはプロトコルでも規定がありましたので、そういった意味でも、投与中に中断するという規定は、あってもよろしいのではないかと。
○南委員 でも、それは医療従事者なら常識でやりますよ。わざわざ、添付文書に記載するほどの内容ではないのではないでしょうか。それでしたら、例えば抗がん剤を投薬しているときに漏れたときに「中止すること」なんて、いちいち書きますか。これは、単に先行の剤型の表現を引きずっているだけではないですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。この投与中断、投与速度の変更についても、専門協議の中で少し議論をさせていただいたところですけれども、投与速度の変更や、投与中に何らかのInfusion reactionの反応があったときに、投与速度の変更や一時中断というところも、メッセージとしては書いたほうがいいのではないかという御意見も頂いておりましたので、臨床試験の設定に基づいてこの注意喚起をさせていただいたという背景があります。御指摘いただいたように、中断については、常識的に分かるのではないかという御指摘かと思いますけれども、投与速度の変更だけ書いて中断を書かないというのもバランスが悪いのかなということで、このような記載にさせていただいたという状況です。
○南委員 それでしたら添文から抜いて、せいぜい資材で情報提供すればよいレベルだと思いますけれど。何か添文にいちいち書くのは、ちょっと恥ずかしくないですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。その点も含めて専門協議で御意見を伺ったのですけれども、やはりこの注意喚起自体は残すべきだという強い御意見がありましたので、我々としてはその御意見を採用させていただいたというところです。
○南委員 では、Infusion reactionが発現することがあるから慎重に投与するとか、経過観察をするという表現ではないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。このInfusion reactionに関する注意喚起の記載については、こちらで引き取らせていただいて、検討させていただければと思います。
○南委員 お願いします。もともと、先行の注射製剤のほうも、この面倒くさい投与を延々と強要しています。Infusion reactionのメカニズムを考えれば意味の無いことを現場に押し付けているのですよ。やはり必要なことに限定するようにしないと、現場が迷惑するだけです。
○清田部会長 では、後日相談ということでお願いいたします。
○南委員 お願いいたします。
○清田部会長 宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川です。私も質問しようと思ったのは南先生と同じ所です。1点目は、この表現が非常に現場を混乱させるので、是非再考をお願いしたいこととInfusion reactionに関してはそのように思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。
 2点目は、53/68ページで、用法・用量に関連する注意のポツの3つ目です。「併用投与終了後も本剤単独投与を継続すること」ということで、注釈49が入ってくるのですが、この記載の意図がよく分からないので、この記載はどのような意図で書かれたのかをお聞きできればと思います。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答差し上げます。御指摘の所では、主にダラザレックス、IV製剤のときに少し議論があった内容ですので、その点を前提に説明させていただきますが、基本的に、本剤もダラザレックスも、他の抗悪性腫瘍剤と併用することを使い方として言っております。そのため、単独投与というのは基本的に推奨できないというところです。このBd併用とMPB併用に関しては、最初の段階では併用するのですけれども、途中からこの併用薬の投与が終わってしまって、その後は単独投与という状態になりますので、最初は併用だけれども後から単独になるということで、単独投与が認められるのか否かというところが少し疑義としてありましたので、そこをクリアにするために、併用投与が終わった後もこの併用療法に関しては単独投与を継続するといった注意喚起を付けたという背景があります。以上です。
○宮川委員 分かりました。注意喚起で疑義があったということで書かれたということで、了解いたしました。以上です。
○清田部会長 松下先生、お願いします。
○松下委員 松下です。チャットにも書きましたが、間接クームス試験への影響がなくなるまでの期間は、静注製剤と同じぐらいですか。もっと長く掛かるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 状況を確認しますので、少しお時間を頂ければと思います。
○松下委員 はい、分かりました。
○清田部会長 石井先生、どうぞ。
○石井委員 本剤は配合剤とされていますけれども、ボルヒアルロニダーゼアルファは、動態の改善を目的に添加されていて、それ自体は直接有効性を示すものではないと思いますけれども、配合剤という整理になった経緯がありましたら、教えていただけますでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 石井先生から頂いた御質問について、まず回答させていただきます。審査報告書の7ページ目を御覧ください。1.1項の最後の3行の所に少し触れているのですけれども、古い承認にはなるのですけれども、もともと遺伝子組換えではないヒアルロニダーゼについては、過去に「化学療法剤の病巣内移行の促進」という形の効能・効果として承認をされていました。今は承認整理されているのですけれども、有効成分という形で過去に承認されておりましたので、役割としては、皮下での拡散を促進するというものではあるのですが、この整理に倣って今回も有効成分という扱いをしております。以上です。
○石井委員 ありがとうございます。
○清田部会長 松下先生の質問にお答えになりますか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。松下先生より頂いた御質問については、今回、実際にクームス試験の影響を何か臨床試験の中で見たわけではないのですけれども、薬物動態の観点から考えますと、皮下投与も静注投与も体内に入った後の消失半減期、消失の仕方は、特に変わりはありません。そういった観点からは、特に静注製剤と何か違うところは推定しにくいかなと考えております。実際にデータはないですが、推定としてはそのように考えております。
○松下委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて議題5、及び報告事項議題3に移ります。議題5、及び報告事項議題3について、機構からの概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題5及び報告事項の議題3について、機構より説明させていただきます。まず審議事項の議題5、資料5、医薬品ベネクレクスタ錠10mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの51分の幾つで記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるベネトクラクスは、B‐cell leukemia/lymphoma 2、以下、Bcl-2と略しますが、Bcl-2に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、Bcl-2による抗アポトーシス作用を阻害しアポトーシスを誘導することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。現在、本剤は、慢性リンパ性白血病に係る効能・効果で承認されています。
 今般、本剤は、「急性骨髄性白血病」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は令和2年5月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されています。令和2年11月時点において、本剤は急性骨髄性白血病に係る効能・効果で25の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料27にありますとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験である656試験及び043試験が提出されました。有効性については、審査報告書14ページの表7及び図1を御覧ください。強力な寛解導入療法の適応とならない未治療の急性骨髄性白血病患者を対象とした656試験において、主要評価項目の1つとされた全生存期間について、プラセボとアザシチジンとの併用投与群に対する、本剤とアザシチジンとの併用投与群の優越性が示されました。以上より、強力な寛解導入療法の適応とならない未治療の急性骨髄性白血病患者に対する本剤とアザシチジンとの併用投与の有効性は示されたと判断しました。
 次に、審査報告書15ページの表8及び16ページの図2を御覧ください。656試験と同様の患者を対象とした043試験において、主要評価項目とされた全生存期間について、プラセボと低用量シタラビンとの併用投与群に対する、本剤と低用量シタラビンとの併用投与群の優越性は示されませんでした。しかしながら、当該試験において、プラセボと低用量シタラビンとの併用投与群と比較して、本剤と低用量シタラビンとの併用投与群で、完全寛解又は血球数回復が不完全な完全奏効が認められた患者の割合は高い傾向が認められたことなどを考慮すると、本剤と低用量シタラビンとの併用投与の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書24ページ下部の「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意すべき有害事象は既承認の効能・効果と同様であり、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な治療と知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人患者における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、「急性骨髄性白血病」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、急性骨髄性白血病に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果等に対して再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、報告事項の議題3、資料21、ビダーザ注射用100mgについては、日本新薬株式会社から、本薬との併用又は単独投与で使用される薬剤として、急性骨髄性白血病に関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、当該品目についても承認して差し支えないと判断しております。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょう。
○南委員 南ですが直接すみません。よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○南委員 ありがとうございます。報告書の35ページ表19に副作用がまとまっているのですが、好中球減少の頻度が増えています。この疾患の場合特にアザシチジンを併用したくなるのはMDSからAMLに移行してきた患者さんも多いかと思うのですけれども、アザシチジンの場合は血球回復が悪くてなかなか次の治療に入れないという場合も多いのですが、この試験は併用ではどうだったか、好中球減少の回復について最初に教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。確認させていただきたいので、少しお時間をいただければと思います。
○南委員 その間にもう1つ確認させてください。アザシチジンのほうですが、単剤でもということをおっしゃったのですが、これは全く臨床試験、少なくとも日本人での臨床試験のデータがないまま承認ということになるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。資料21の資料を御覧いただければと思います。ビダーザ注射用に関しての審査報告書になっています。こちらの審査報告書の5ページを御覧ください。造血幹細胞移植の適応とならない未治療のAML患者さんを対象として、本剤単独投与の有効性・安全性を検討する国内第II相試験が実施されています。有効性の結果は、表2と図1で示しています。事前に設定した達成基準は満たしていないのですが、日本人の投与経験はこちらに示しております。
○南委員 ありがとうございます。申し訳ありません。本当にこれでいいのかという意味も込めて、知っていて聞いています。ただ、海外ではこの薬がアンフィットのAMLに使われているので、承認せざるを得ないという状況も分かるのですが、今後こういうことが続くのはいかがかという気がしたものですから、指摘しました。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。少し追加で有効性のデータの説明をしたいと思います。先生が先ほどおっしゃっていたように、海外で古くから使われていて、診療ガイドライン等に記載されているという背景もあり、前向きに評価をしているというところですが、審査報告書の11ページを御覧ください。マル1本薬単独投与について、という中段の所からになりますが、今回、臨床試験の対象は造血幹細胞移植の適応とならない未治療のAML患者さんでしたが、その中で予後不良と言われる集団に対する有効性を検討したところ、そういった予後の悪い患者さんに対してはより本薬単独投与の有効性が期待できるような結果が得られていましたので、こういった有効性の結果も踏まえ、一定の有効性は期待できるのではないかという判断をしています。
○南委員 すみません、ちょっと意地悪な質問をして申し訳ありませんでした。他の薬剤をこの疾患に対して開発するときに、アザシチジンと併用するデザインの試験が多いのですね。今回もそうでしたが。日本ではアザシチジンが承認されていないがために、日本外しが起きます。現場で困っていました。私は是非承認していただきたいのですが、ちょっとせめてポジティブな何かがないと承認しにくいように思ったものですから、聞かせていただきました。ありがとうございました。回復の点について何かもし分かったら教えてください。もし分からなければ、承認を拒むものではないと思いますので、また後からでも教えていただければ結構です。
○医薬品医療機器総合機構 コメントありがとうございます。後で先生のほうに御報告したいと思います。以上です。
○南委員 お願いします。
〇清田部会長 宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 宮川です。機構と今の南先生のいろいろなお話で、南先生にもちょっとお伺いしたいところがあります。アザシチジンとの併用のところですが、低用量のシタラビンとの併用で、本来からすると、優越性というのはどうなのかということです。実際には21~24ページの報告書でも事細かに書いてあって、事後の解析結果等を踏まえて有効性は期待できると判断されると書いてあります。実際に本剤と低用量シタラビンのニーズが本当にあるのかどうか、私はよく分からないので、是非ともお伺いしたいと思います。臨床結果の結果にかかわらず、半ば強引に承認するような意義があるのかどうか。つまり今までアザシチジンで有効でなかった患者さん、不対応の患者さんは、実際には併用でも、その後、有効性であるということも言われております。低用量のシタラビンが臨床上入る余地があるのかどうかということで、是非、お伺いしたいと思って質問しました。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。強力な寛解導入療法の適応とならない未治療の急性骨髄性白血病患者に対する治療選択肢というのが、本邦において非常に限られているということと、先ほど少し先生も触れられていたのですけれども、MDSからAMLへと移行した患者さんにおいては、MDSに対してアザシチジンが既に投与されている患者さんが多いと考えられることなどを考慮しますと、アザシチジン既治療のAML患者さん、又はアザシチジンで不耐容のAML患者さんに対して、本薬と低用量シタラビンの併用投与というのが選択される可能性があり、本薬と低用量シタラビン併用投与を承認することに臨床的意義はあると判断しています。
○宮川委員 すみません、南先生、選択肢が少ないから一応低用量のシタラビンも入れていいのだというような感覚で言っていいものかどうかと、是非コメントをお願いしたいのですが。
○南委員 低用量シタラビンを使用することもありますが、日本ではCAGのような治療をすることもあって、余り投薬の頻度は多くないかもしれませんが、アザシチジンが使いにくい方にはやはり一定のニーズがあるかと思います。
 それから機構の今までの言い方をそのまま拝借すれば、選択肢が増えるということは現場にとってメリットになるというようなお答えかなと思います。
○宮川委員 すみません、ありがとうございました。
○清田部会長 それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、中野委員、南委員に置かれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。また、私についても同様の取扱いといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。また報告事項議題3につきましても、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、議題6及び報告事項議題2に移りたいと思います。松下委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題6の審議の間、会議から御退出いただきます。松下委員御退出をお願いします。 
── 松下委員退室 ──
○清田部会長 それでは議題6及び報告事項議題2につきまして、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題6及び報告事項の議題2について、機構より説明いたします。
 まず、審議事項の議題6、資料6、医薬品ポライビー点滴静注用140mg他の製造販売承認の可否等について説明します。以後の審査報告書のページ数は、各ページの81分の幾つで記載している数字を使用します。
 本剤は、ヒトCD79bに対するIgG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体と、微小管重合阻害作用を有するモノメチルアウリスタチンE、以下、MMAEと略しますが、MMAEがペプチドリンカーを介して共有結合している抗体薬物複合体です。本剤は、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するCD79bに結合し、細胞内に取り込まれた後にプロテアーゼによりリンカーが加水分解され、遊離したMMAEがアポトーシスを誘導すること等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
 今般、本剤は、「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、令和元年10月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されています。令和2年11月時点において、本剤は、再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に係る効能・効果で、54の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料27にございますとおり9名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第I/II相試験であるGO29365試験及び国内第II相試験であるJO40762試験が提出されました。有効性については、審査報告書42ページの表30を御覧ください。自家造血幹細胞移植の適応とならない再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、以下DLBCLと略しますが、DLBCL患者を対象としたGO29365試験の第II相ランダム化パートのDLBCLコホートにおいて、主要評価項目とされた完全奏効率は、本剤とベンダムスチン塩酸塩及びリツキシマブとの併用投与、以下、本剤/BRと略しますが、本剤/BR群で40.0%、対照群であるBR群で17.5%でした。
 また、審査報告書40ページの表29を御覧ください。自家造血幹細胞移植の適応とならない再発又は難治性のDLBCL患者を対象としたJO40762試験において、主要評価項目とされた完全奏効率は34.3%であり、事前に設定された閾値を上回りました。以上の結果等から、自家造血幹細胞移植の適応とならない再発又は難治性のDLBCL患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書47ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象は、骨髄抑制、感染症、末梢性ニューロパチー、infusion reaction、腫瘍崩壊症候群、進行性多巣性白質脳症及び肝機能障害が認められています。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。
 以上のような審査の結果、機構は、「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。
 本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。
 また、報告事項の議題2、資料20、トレアキシン点滴静注用25mg他については、シンバイオ製薬株式会社から、本剤及びリツキシマブとの併用投与又はリツキシマブとの併用投与による再発又は難治性のDLBCLの効能追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、当該品目についても承認して差し支えないと判断しています。
 なお、「ポライビー点滴静注用140mg」他に関しまして、事前に渡辺委員より御質問を頂いていますので、機構より回答いたします。本剤の販売名が、医療安全上の観点から、申請時の「ポリビー」から「ポライビー」に変更されたことについて、医療安全上の観点とは何かという御質問を頂きました。
 申請時に提案された販売名の「ポリビー」について、類似する既承認薬が存在することから、既存の医薬品名称との類似性を回避し、医薬品の取違い等を防止する医療安全上の観点から、販売名が変更されています。また、本剤の英字表記の読み方についても御指摘を頂いています。本剤の販売名は、先ほど御説明した経緯により変更されていますが、英字表記については変更せずともポライビーと読むことが可能と申請者が判断し、このような英字表記になっていると認識しています。機構としては、この点について受入れ可能と考えています。
 事前に頂いた御質問に対する回答は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 渡辺先生、いかがですか。
○渡辺委員 簡単にいきますが、先ほどのダラキューロの場合には、配合剤であるということから変更したという安全性の考慮は分かるのですが、今回のこのポリビーの場合には、もし他剤と紛らわしいということならば、そういうこともちょっと書いておいたほうがいいのですが。具体的には「ポリビー」とした場合、現行の他剤というのは何なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。御質問の類似する既承認薬については、「硫酸ポリミキシンB」という医薬品が存在していますが、当該医薬品は医療現場で慣習的に「ポリB」と略して称されていると承知していまして、その薬剤と今回申請時販売名の「ポリビー」が類似しているということで、医療安全上の観点から名称変更をすると判断されたものです。
○渡辺委員 はい、分かりました。
○清田部会長 ほかに御意見はございますか。ありがとうございます。そうしましたら、議決に入りたいと思います。なお、亀田委員、浜委員、南委員、山本委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とします。また、報告事項議題2につきましても御確認いただいたものとします。
 続きまして、議題7に移ります。待機されている松下委員をお呼びください。
── 松下委員入室 ──
○清田部会長 それでは山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題7、8の審議の間、会議から退出して御待機いただくことにします。山本委員は退出をお願いします。
○山本委員 了解しました。
── 山本委員退室 ──
○清田部会長 それでは議題7につきまして、機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品レンビマカプセル4mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの25分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるレンバチニブメシル酸塩は、血管内皮増殖因子受容体等、種々のキナーゼを阻害する低分子化合物であり、当該キナーゼ活性を介したシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤は、「根治切除不能な甲状腺癌」及び「切除不能な肝細胞癌」に係る効能・効果で承認されております。
 今般、本剤は、「切除不能な胸腺癌」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は令和2年4月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和2年11月時点において、胸腺癌に係る効能・効果にて、本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料27にありますとおり、4名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験であるREMORA試験が提出されました。有効性については、審査報告書8ページの表2を御覧ください。白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある切除不能な胸腺癌患者を対象としたREMORA試験において、主要評価項目とされたRECIST ver.1.1に基づく中央判定による奏効率は38.1%であり、90%信頼区間の下限値(25.6%)は、事前に設定された閾値(10%)を上回りました。当該成績に加えて、REMORA試験の対象患者において全生存期間(OS)の延長を示した標準的な治療がないこと等を考慮すると、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある切除不能な胸腺癌患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書9ページの7.R.2を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象として、高血圧/高血圧クリーゼ、感染症、腎障害、出血関連事象、手掌・足底発赤知覚不全症候群、血液毒性、肝障害、急性胆嚢炎、不整脈、心機能障害、低カルシウム血症、血栓塞栓症、消化管穿孔、消化管瘻、気胸、可逆性後白質脳症症候群、創傷治癒遅延、間質性肺疾患、血中甲状腺刺激ホルモン増加及び甲状腺機能低下が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の用量調節等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。
 以上のような審査の結果、機構は、「切除不能な胸腺癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、渡辺委員より「胸腺癌は希少疾患であるとは言え、腫瘍縮小に伴う症状緩和効果のデータはなく、第II相試験の奏効率及びHistorical Controlと比較した生存期間の検討のみで一定の有効性が検証されたとは言い難い」との事前コメントを頂いております。
 御指摘のとおり、単群試験である本試験成績に基づく評価には限界がございますが、胸腺癌は希少疾病であり、比較試験の実施は難しく、今回得られた成績をもって本剤の一定の有効性は示されたと判断することは可能と考えております。事前に頂いたコメントに対する回答は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を頂戴したいと思います。渡辺先生、先にお願いします。
○渡辺委員 紋切り型のお答えなのですが、この試験自体は確かに症例数も少ないし、第II相試験で腫瘍縮小効果だけを報告しているのですが、例えば疼痛が緩和したケースとか、なぜベネフィットが感じられるような評価をしていなかったのかということを非常に残念に思います。試験のやり方自体に誠意がないと言うか、そのような感じがするのです。だから、既に取ったデータで、レトロにでもいいですから、腫瘍が小さくなったケースで痛みが取れただとか、呼吸困難がなくなったとか、そういうようなものは取れないものなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 この試験では、残念ながら患者報告アウトカムのような評価項目は設定されておりませんでしたので、事後的にも検討が難しい状況です。
 ただ、審査報告書の9ページ等にも記載いたしましたが、奏効が得られることにより、臨床症状の改善が期待できると判断し、今回得られた奏効率等の結果から一定の有効性は示されたと考えております。
○渡辺委員 そのように言うだろうと思っていたのですが、やはり痛みが楽になったとか、付随データでも、これからカルテ調査などをして掘り出すことはできないものなのですか。担当企業に言ってみたらどうですか。
○医薬品医療機器総合機構 今からカルテ調査というのは難しい状況です。この試験ということではございませんが、将来的に、我々が治験相談等で事前にデザイン等について御相談いただく際には、症状緩和効果、患者評価に関するエンドポイントの必要性について十分に検討してまいりたいと思います。
○南委員 今の点に関してなのですが、私も何らかの患者のメリットは必要だとは思うのですが、特に症状だとかQOLというのは、後ろ向きに取るのは非常に難しいと思いますので、今回は無理なのかなと私は思います。
 それから、分子標的薬で大きな腫瘍縮小効果と、それが長期間続くということが、、対象が少ない状況での承認の1つの目安、不文律になっているかと思いますが、臨床に関する概括評価を見ますと、奏効期間は11.6か月あります。プラチナ既 治療例で他にオプションはないということを考えれば、この分子標的薬の考え方に基づけば、私は十分に臨床的なメリットはあるのではないかと考えます。
 ただ、臨床試験がプラチナ既治療例で実施したにもかかわらず適応の箇所にはそれが記載されていなくて、「臨床試験の成績を参考に」という一番弱い書き方になっています。恐らくファーストラインで使われていくだろうということが予想されるのですが、機構側は、一応それも念頭に置いた上で、こういう書きぶりになるという理解でいいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答いたします。ただいま南先生より頂きました効能・効果、対象患者の記載についてですが、おっしゃるとおり、今後、一次治療として使用される可能性はあると思います。ただ、審査報告書の14/25ページに、この点に関する意見を記載しておりますが、現在、一次治療として使用されているカルボプラチンとパクリタキセルの併用投与は保険償還はされているのですが、薬事承認はされていないという状況です。このような薬事承認の状況を鑑み、効能・効果や効能・効果に関連する注意に「一次治療に対する有効性は確立していない」と記載するのではなく、臨床成績の項を参照することとし、臨床成績の項にREMORA試験の対象患者の情報を記載させていただきました。
○南委員 私も先ほどのウォーターフォールプロットの腫瘍縮小の程度、腫瘍縮小割合の頻度と、その持続期間を考えれば、むしろプラチナベースよりも、この薬を臨床的には先に使ってあげたいと思ったものですから、確認させていただきました。
○医薬品審査管理課長 審査管理課ですが、よろしいでしょうか。渡辺先生の御指摘に対しての機構からの回答、南先生のフォロー等がございましたが、これまでのデータをレトロで見るのは難しいと思いますので、例えば製造販売後の検討事項の中で、どこまでできるか分かりませんけれども、先生がおっしゃったようなベネフィットと言いましょうか、そういうものをできるだけ見られるような感じでできないか検討していただくということでいかがでしょうか。どこまでできるか分かりませんが、そういったことも検討していただくということでいかがかなと思いますが、どうでしょうか。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○渡辺委員 よろしくないのですが、最近は機構が臨床試験の事前相談はしないのでしょうか。そういうものがあったときに、何らかの患者の直接のベネフィットも検証できるような形にしてくださいという助言を、もし私が担当官だったらしますけれどもね。
○医薬品医療機器総合機構 機構の対面助言では、通常は主要評価項目を主に議論しておりますが、先日パブリックコメントが終了した抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドラインなどでも、患者アウトカムの評価が、臨床的な意義の面から重要な場合があると記載されていることから、今後は患者アウトカムの評価についても、必要に応じて対面助言で議論していきたいと考えているところです。
○渡辺委員 そのようにお願いします。
○清田部会長 宮川先生はいかがですか。
○宮川委員 今のように、多角的な評価というのは、これから重要です。是非ともそういうことにも配慮していただきたいと思います。これが1つです。
 それから、14/25なのです、「術後補助療法」という所の記載なのですが、術後補助療法としての有効性及び安全性は確立していない旨の注意喚起はしない、ということなのですが、国内の診療ガイドラインでは記載されていないということなので、実施される可能性が低いから必要がないということで記載がないという形になります。これが一般的な対応なのかどうかということは疑問ではありますが、確立していないのであれば「確立していない」という書きぶりで、ここに記載することはどうなのかなと思って、御質問させていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書14/25ページに記載しましたとおり、ガイドライン等で術後補助療法が確立している場合、かつ、術後補助療法に関する試験成績がない場合には注意喚起しておりますが、ガイドライン等において術後補助療法が確立していない場合には、これまでも特に注意喚起はしておりませんので、これまでの考え方に沿って、今回の記載内容を検討いたしました。
○宮川委員 「切除不能なうんぬん」というような、「根治切除不能な」というような、非常にミゼラブルなことが記載されていますので、どうしてもそこに視点が行きがちです。そういう意味で配慮されて有り難いと思った次第で、御質問させていただきました。
○清田部会長 この辺りでよろしいでしょうか。ありがとうございます。議決に入りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題8に移りたいと思います。機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料8、医薬品ぺマジール錠4.5mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以降の審査報告書のページ数は、各ページの67分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるペミガチニブは、線維芽細胞増殖因子受容体(以下、FGFRと略す)に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、FGFR2のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、FGFR2融合遺伝子等を有する腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられております。
 今般、本剤は、「FGFR2融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性胆管癌」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、令和2年7月の当部会における審議を経て、「FGFR2融合遺伝子陽性の局所進行又は転移性胆管癌」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されましたが、令和3年1月の当部会における審議を経て、「FGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。また、令和2年11月時点において、本剤は、FGFR2融合遺伝子又はFGFR2遺伝子の再構成を有する治癒切除不能な胆管癌に係る効能・効果にて、米国のみで承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料27にございますとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国際共同第II相試験である202試験が提出されました。有効性については、審査報告書33ページの表20を御覧ください。化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子又はFGFR2遺伝子の再構成を有する治癒切除不能な胆管癌患者を対象とした202試験において、主要評価項目とされたRECIST ver.1.1に基づく独立評価委員会判定による奏効率は、35.5%でした。奏効率の95%信頼区間の下限値は事前に設定された閾値を上回っており、また、臨床的に意義のある奏効率が得られていると考えます。加えて、FGFR2融合遺伝子ががんのドライバーであること、FGFR2遺伝子の再構成を有する患者とFGFR2融合遺伝子を有する患者との間で、奏効率に明確な差異は認められなかったこと等を考慮すると、202試験の対象患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書39ページの7.R.3を御覧ください。本剤投与時に、特に注意を要する有害事象として、高リン血症、漿液性網膜剥離、眼障害(漿液性網膜剥離を除く)、皮膚障害(爪毒性含む)及び急性腎障害が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の休薬等の適切な対応により忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。なお、202試験においてはNGS法により、融合先の遺伝子領域や融合の仕方により、融合遺伝子と再構成が厳密に区別されましたが、本剤の効能・効果については既承認の医薬品と同様に、広義の融合遺伝子の意図で、「FGFR2融合遺伝子陽性」と設定いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見を承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特になければ議決に入ります。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題9に移ります。待機されている山本委員をお呼びいただきます。
── 山本委員入室 ──
○清田部会長 機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題9と報告事項の議題1について、説明いたします。資料はタブレットの資料9になります。
 まず、審議事項の議題9、医薬品アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.2mL「MA」、同皮下注40mgシリンジ0.4mL「MA」、同皮下注80mgシリンジ0.8mL「MA」及び同皮下注40mgぺン0.4mL「MA」の、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び毒薬又は劇薬の指定の要否について、説明いたします。資料9の別紙(3)毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ、別紙(4)生物由来製品又は特定生物由来製品の指定資料のまとめを適宜御覧ください。
 本剤は、ヒト抗ヒトTNFαモノクローナル抗体であるアダリムマブ(遺伝子組換え)、[アダリムマブ後続3]を有効成分とする製剤であり、ヒュミラを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、持田製薬株式会社により製造販売承認申請がなされました。先行バイオ医薬品のヒュミラは原体・製剤ともに劇薬に指定されていることから、ヒュミラと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに劇薬とすることが適当と考えております。また、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。審議事項の議題9、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、並びに毒薬又は劇薬の指定の要否につきまして、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 同一品目に係る報告事項の議題1についても、併せて御説明いたします。機構における審査の結果、本剤とヒュミラの同等性/同質性が確認されたことから、本剤はヒュミラのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。以上です。
○清田部会長 ただいまの件につきまして、委員の先生方から御質問等がございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは議決に入ります。亀田委員、川上委員、中野委員、南委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私につきましても同様でございます。
 本議題につきまして、劇薬及び生物由来製品の指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。また、報告事項議題1につきましても御確認いただいたものといたします。
 続いて議題10に移ります。事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 議題10、資料10のバリシチニブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について説明いたします。資料の事前評価報告書を御覧ください。報告書1ページの中段です。申請者は、「日本イーライリリー株式会社」、予定される効能・効果は、「I型インターフェロン関連自己炎症性疾患(中條(なかじょう)-西村症候群、乳児発症性STING関連血管炎、エカルディ・グティエール症候群)」です。希少疾病用医薬品の3要件のうちの1つ目の「対象患者数」についは、先ほど御紹介したこれらの疾患につきましては指定難病であり、それぞれ、10例、20例、数例という程度の患者数で、とても希少な疾患となっており、患者数は5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
 「医療上の必要性について」です。本疾患についてはいずれも予後不良な疾患で、本邦で当該疾患を適応とした医薬品は承認されていない状況で、ステロイド等の対症療法が行われているところであり、新たな治療法が求められております。以上より、医療上の必要性が高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。現在、国内で患者さまを対象とした本剤の臨床試験が進行中であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を承ります。いかがでしょうか。ないようですので議決に入ります。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
 続いて、議題11に移ります。利益相反に関する申出に基づき、松下委員におかれましては議題11の審議の間、南委員におかれましては議題11、12の審議の間は会議から退出して御待機いただくことにいたします。松下委員、南委員は御退出をお願いいたします。
── 松下委員、南委員退室 ──
〇清田部会長 議題11について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題11、資料11のトラスツズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。
 希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書1ページの中段を御覧ください。申請者は「中外製薬株式会社」です。予定される効能・効果は「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の唾液腺癌」です。
 まず1ページの「対象患者数」についてです。本邦におけるHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の唾液腺癌の総患者数は約460人と推計されることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。治癒切除不能な進行・再発の唾液腺癌患者に対して、標準的な治療は確立しておらず、治療効果も限られていることから、治癒切除不能な進行・再発の唾液腺癌は依然として予後不良な疾患であり、新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の唾液腺癌患者を対象とした国内第II相試験において、本剤の奏効率は60.0%であったことから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を承ります。よろしいでしょうか。ないようですので議決に入ります。亀田委員、濱委員、山本委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
 続いて、議題12に移ります。待機されている松下委員をお呼びください。
── 松下委員入室 ──
○清田部会長 議題12について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題12、資料12のニボルマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。
 1ページの中段を御覧ください。申請者は「小野薬品工業株式会社」、予定される効能・効果は「原発不明癌」です。まず1ページの「対象患者数」についてです。原発不明癌は十分な検索にもかかわらず原発巣が不明であり、組織学的に転移病変であることが確認されている悪性腫瘍であると、国内外の診療ガイドラインで示されております。本邦における原発不明癌の総患者数は約1万3,680人と推計されることから、指定基準は満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。原発不明癌は、性別、腫瘍の部位、組織型、血清マーカー等に基づいて原発巣の癌種が推定され、当該癌種に対する標準的な治療を行うことが推奨される予後良好群と、それ以外の予後不良群に分類されます。予後不良群に対する確立された治療法はなく、その治療効果は限られているため、原発不明癌は予後不良な疾患であり、新たな治療薬の開発が望まれていることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。原発不明癌患者を対象とした国内第II相試験において、化学療法歴のある患者集団に対する本剤の奏効率が22.2%であったこと等から、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を承ります。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
 続いて、議題13に移ります。待機されている南委員をお呼びください。
── 南委員入室 ──
○清田部会長 山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題13~15の審議の間は会議から御退出して待機していただきます。山本委員は御退出をお願いいたします。
── 山本委員退室 ──
○清田部会長 議題13について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題13、資料13のレンバチニブメシル酸塩、及び議題14、資料14のペムブロリズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、これらは併用される薬剤であることから、併せて説明いたします。資料13の「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。
 1ページの中段を御覧ください。申請者は、レンバチニブメシル酸塩については「エーザイ株式会社」、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)については「MSD株式会社」です。予定される効能・効果は、いずれも「子宮体癌」です。以降、レンバチニブメシル酸塩はレンバチニブ、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)はペムブロリズマブと略させていただきます。
 まず、「対象患者数」についてです。子宮体癌の総患者数は約3万人と報告されていることから、指定基準を満たしているものと考えております。次に、「医療上の必要性について」です。進行・再発の子宮体癌に対する化学療法については、一次治療としてはドキソルビシン塩酸塩等による併用化学療法が行われておりますが、治療効果は限られており、二次治療は標準的な治療が確立していないことから、進行・再発の子宮体癌は予後不良な疾患であり、新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、レンバチニブ及びペムブロリズマブの医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。化学療法歴のある進行・再発の子宮体癌患者を対象とした国際共同第III相試験において、治験担当医師により選択された治療と比較して、レンバチニブとペムブロリズマブとの併用投与で全生存期間の延長が認められました。また、化学療法歴のない進行・再発の子宮体癌患者を対象とした国際共同第III相試験が実施中であることから、レンバチニブ及びペムブロリズマブの開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。議題13については、亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。また、議題14については、南委員、横幕委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。これらの議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
 続いて、議題15に移ります。松下委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議題15、17の審議の間、会議から御退出して待機していただくことにいたします。松下委員は御退出をお願いいたします。
── 松下委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題15について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題15、資料15、sotorasibを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。
 希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。1ページの中段を御覧ください。申請者は「アムジェン株式会社」です。予定される効能・効果は「KRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」です。「対象患者数」についてです。本邦におけるKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の患者数は、約6,700人と推計されており、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。KRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対しては、KRAS G12C変異陰性の患者と同一の化学療法等が行われておりますが、治療効果は限られており、KRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌は依然として予後不良な疾患です。また、KRAS G12C変異は、MAPK経路等の下流シグナル伝達経路を恒常的に活性化させること等から、腫瘍の生存・増殖に大きく寄与することが報告されており、KRAS G12C変異タンパクを阻害する本剤は、KRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する有効性が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。国際共同I/II相試験において、化学療法歴のあるKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者における本剤の奏効率は37.4%でした。また、化学療法歴のないKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象とした第II相試験が実施予定であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。亀田委員、濱委員、南委員、横幕委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
 続いて、議題17に移ります。待機されている山本委員をお呼びください。
── 山本委員入室 ──
○清田部会長 それでは、議題17について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題17、資料17のSusoctocog alfaを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。
 1ページの中段を御覧ください。申請者は「武田薬品工業株式会社」です。予定される効能・効果は「後天性血友病A患者における出血抑制」です。「対象患者数」については、本邦における後天性血友病Aの患者数は234人と報告されており、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。後天性血友病Aでは、止血のためにバイパス製剤が使用されておりますが、バイパス製剤に対する効果不十分例が存在すること、また、バイパス製剤投与後の止血効果のモニタリング指標は必ずしも十分に確立しているものではなく、凝固因子の過剰投与による血栓塞栓症のリスクも存在しております。本剤は遺伝子組換えブタ血液凝固第VIII因子製剤であり、後天性血友病Aの止血治療において、既存のバイパス製剤とは異なる作用機序で止血効果を示すことから、新たな選択肢となることが期待されており、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。米国では2014年に承認されており、欧州でも2015年に承認されております。現在、本邦では日本人後天性血友病A患者を対象とした国内第II/III相臨床試験を実施中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を承ります。渡辺委員、どうぞ。
○渡辺委員 今、一生懸命聞いていたのですが、このマイクがいつも聞き取りにくいので少し書きました。
○清田部会長 もう少し大きな声でお伝えするようにいたします。私の声は聞こえますか。
○渡辺委員 清田部会長の声は大変よく聞こえます。
○清田部会長 分かりました。ありがとうございます。それでは、議決に入ります。亀田委員、川上委員、濱委員、南委員、宮川委員、山本委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
 続いて、議題16に移ります。待機されている松下委員をお呼びください。
── 松下委員入室 ──
○清田部会長 それでは、議題16について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題16、資料16、抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。
 1ページの中段を御覧ください。申請者は「ファイザー株式会社」、予定される効能・効果は「中等症以上の再生不良性貧血」です。「対象患者数」については、本邦における再生不良性貧血の総患者数は、約1万500人と推計されており指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」です。再生不良性貧血は、汎血球減少と骨髄低形成を特徴とする骨髄不全症候群の1つであり、重篤かつ致死的な疾患です。中等症以上で造血幹細胞移植の適応とならない患者への標準的治療薬としては、抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンが承認されておりますが、ショック等を起こすおそれがあるため、ウサギ血清製剤の投与歴がある患者への再投与は原則禁忌とされており、本剤はウマ免疫グロブリンであるため、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」です。米国では1985年に承認され、2020年7月現在、米国を含む26の国又は地域において承認されております。本邦では厚生労働省からの開発要請を受け、中等症以上の再生不良性貧血患者を対象とし、国内第III相臨床試験を実施中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を承ります。いかがでしょうか。聞こえているでしょうか。大丈夫でしょうか。ないようですので、議決に入ります。亀田委員、川上委員、島田委員、中野委員、松下委員、南委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくものといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
 続いて、「報告事項」に移ります。報告事項の議題4~6について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 報告事項の議題1~3については、先ほど審議事項と同時に説明いたしましたので、報告事項の議題4からまとめて御説明いたします。
 まず、報告事項の議題4です。「医薬品炭酸ランタン顆粒分包250mg「ニプロ」及び同顆粒分包500mg「ニプロ」の製造販売承認事項一部変更承認について」、報告いたします。本剤は、カルシウム非含有リン吸着剤である炭酸ランタン水和物を有効成分とする高リン血症治療薬であり、現在は「慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」を効能・効果として、承認されております。議題8関連ですが、今般、ニプロ株式会社から「FGFR阻害剤投与に伴う高リン血症の改善」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされ、機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断されております。
 続いて、報告事項の議題5は「医療用医薬品の承認条件について」です。今回は4品目について承認条件の説明をいたします。まず資料23-1の「タフィンラーカプセル」です。2ページです。本剤は平成28年3月28日にBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に係る効能・効果にて承認され、承認時にこちらの中段に記載の承認条件が付されております。この度、ノバルティスファーマ株式会社より、実施された使用成績調査の結果等に関する報告書が提出され、機構において評価されております。
 使用成績調査については、3ページの2.の(1)製造販売後調査の結果を御覧ください。本調査は平成28年6月1日から平成29年9月30日までに、本剤及びメキニスト錠の投与が開始された313例の情報を基に調査結果がまとめられましたが、本調査において新たな注意喚起を要する情報は得られておりません。6ページの総合評価を御覧ください。そのため、提出された資料から承認条件は対応されたものと判断されております。
 続いて、資料23-2の「メキニスト錠」です。こちらは今御説明したタフィンラーカプセルとの併用で承認されており、この度、ノバルティスファーマ株式会社より、タフィンラーカプセルと併せて使用成績調査等の結果に関する報告書が提出され、機構において評価されております。使用成績調査においては、タフィンラーカプセルと同様に、新たな注意喚起を要する情報は得られておらず、こちらについても6ページの総合評価に記載しているとおり、承認条件は対応されたものと判断されております。
 続いて、資料23-3の「アナグレリド塩酸塩水和物」を有効成分とする医薬品「アグリリンカプセル0.5mg」の承認条件に係る報告です。2ページです。本剤は平成26年9月26日に本態性血小板血症に係る効能・効果にて承認され、こちらの中段に記載の承認条件が付されております。この度、武田薬品工業株式会社から、実施された使用成績調査の結果等に関する報告書が提出され、機構において評価されております。
 使用成績調査については、3ページの2.の(1)製造販売後調査の結果を御覧ください。本調査は平成26年11月25日から開始され、平成27年5月31日までに登録された689例の症例の情報を基に調査結果がまとめられました。本調査において新たな注意喚起を要する情報は得られておりませんので、8ページのIII.総合評価にあるとおり、提出された資料から承認条件は対応されたものと判断されております。
 続いて、資料23-4の「ケイセントラ静注用500及び同静注用1000」です。2ページです。こちらは平成29年3月30日に承認され、承認時に中段に記載の承認条件が付されております。この度、CSLベーリング株式会社から、実施された使用成績調査の結果等に係る報告書が提出され、機構において評価されております。使用成績調査については、3ページの2.の(1)製造販売後調査の結果を御覧ください。本調査は、平成29年9月から平成30年8月15日までに投与が開始された1,994例の情報を基に調査結果がまとめられました。新たな注意喚起を要する情報は得られておりません。そのため、7ページのIII.総合評価に記載のとおり、承認条件は対応されたものと判断されております。
 続いて、報告事項の議題6は「医療用医薬品の再審査結果について」です。資料24-1~24-4の4品目です。資料24-1は、有効成分名は「ヒスタミン二塩酸塩」、販売名は「アレルゲンスクラッチエキス陽性対照液「トリイ」ヒスタミン二塩酸塩」です。資料24-2は、有効成分名は「ボリコナゾール」、販売名は「ブイフェンド錠50mg、同錠200mg、同200mg静注用及び同ドライシロップ2800mg」です。資料24-3は、有効成分名は「シプロフロキサン」、販売名は「シプロフロキサン注200mg及び同注400mg」です。資料24-4は、有効成分名は「パゾパニブ塩酸塩」、販売名は「ヴォトリエント錠200mg」です。これらの品目については、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われました。審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定されております。報告事項については、以上です。
○清田部会長 委員の先生方からの御質問を承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項の議題4~6については御確認いただいたものといたします。続いて、その他事項に移ります。その他について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 その他事項の議題1は、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定を行いましたので御説明いたします。資料25-1を御覧ください。ファイザー株式会社より、サイバインコ錠50mg、同錠100mg、同錠200mg、一般名アブロシチニブについて、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎(そう痒の改善を含む)に関して承認申請がなされましたので、当該医薬品を最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定しております。
 続いて、資料25-2を御覧ください。こちらは類薬ですが、アッヴィ合同会社のリンヴォック錠7.5mg、同錠15mg、同錠30mg、一般名はウパダシチニブ水和物です。記載のとおり、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に対する効能・効果に関して承認申請がなされており、当該医薬品を最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定しております。
 これらの医薬品については、今後、関係学会等に御協力をいただきつつガイドライン(案)の検討を進め、本剤の承認について部会で御審議いただく際に、改めて皆様にガイドライン(案)を御確認いただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方からの御質問を承ります。よろしいでしょうか。それでは、その他事項議題1について御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上です。事務局から何かありますか。
○事務局 長時間にわたり御審議いただき、ありがとうございました。次回の部会は、4月21日(水)の午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を終了いたします。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)