第3回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会船舶に関するワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和2年3月3日(火) 10:00~12:00

場所

労働委員会会館講堂(7F)
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1)船舶 の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等について
    (i) 船舶WGにおけるとりまとめ(案) について
  2. (2)その他

議事

○副主任中央労働衛生専門官 ただいまより第3回建築物の解体・改修作業における石綿ばく露防止対策等検討会船舶に関するワーキンググループを開催いたします。本日は大変お忙しい中、御参集をいただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出席状況ですが、全員御出席です。それでは以降の議事進行については、豊澤座長にお願いをいたします。
○豊澤座長 皆さんおはようございます。ちょっと離れているので大きな声でしゃべりたいと思います。まず、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 それでは本日の資料については、紙で御用意をさせていただいております。お手元にゼムクリップで留めてある資料を御用意しておりますので、御確認ください。表紙として議事次第、配布資料一覧ということで1枚のもの。資料1「船舶WGにおけるとりまとめ(案)」。参考資料1、参考資料2として、1つは国土交通省令第八十五号の官報のコピー。それから2つ目として、厚生労働省・国土交通省・環境省の3省共管の告示第1号の官報の写しを御用意しております。併せて資料No.は付いていないのですが、パワーポイントを印刷しております。こちらも参考資料としてお配りをしております。以上が本日お配りしているものでして、あとお手元のタブレットのところには、前回同様、過去の検討会、それぞれのワーキンググループの資料を全て載せておりますので、議論の際に御参照いただければと思います。何かございましたら手を挙げて御連絡いただければと思います。
○豊澤座長 よろしいでしょうか。それでは本日の議事に移りたいと思います。(1)船舶の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等についての1の船舶ワーキンググループにおけるとりまとめ案についてです。前回の第2回のワーキンググループで私のほうから事務局に対して、この本ワーキンググループとしてのとりまとめ案の作成を依頼しているところです。本日の資料1として案が提示されております。まず資料1の中身について事務局から説明をお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 資料1の御説明をいたします。お手元に資料1を御用意いただければと思います。こちら資料1はこの船舶ワーキンググループにおけるとりまとめの案ということで、これまでのワーキンググループでの御意見、御議論を踏まえてとりまとめの案として提示するものです。順に御説明をいたします。
 1つ目、事前調査についての、1)事前調査の対象についてです。1つ目のポツのところですが、こちらについては2月17日に建築物等に係る検討会で事前調査を要しないと考える作業として、(1)~(3)の考え方が整理されております。建築物に限らず、船舶についても同様の考え方で整理できるという形でとりまとめております。(1)~(3)について御説明をいたします。
 (1)の作業ですが、その作業の対象物が石綿が含まれていないことが明らかであるもの。例えば木材、金属、石、ガラスのみで構成されているものだったり、また畳だったりというものが例示されると思いますが、そうしたものであって、それらの切断等・除去・取り外し時にそれが付いている周囲の材料を損傷させるおそれのない作業。これについては、石綿の飛散のおそれがない作業、事前調査を要しない作業としてはどうかということで、そういう形で建築物でも整理されておりますので、船舶についても同様の整理をするということとしております。
 具体的にその周囲の材料を損傷させるおそれのない作業としては、手作業や電動ドライバー等で容易に取り外すことが可能、またはボルト・ナットで固定しているような固定具を取り外すことで対象物の除去等が可能な作業ということで例示しております。
 一方で、加工時等に損傷のおそれがない作業であっても、作業の対象物が石綿含有の可能性のあるものとしたものについては、運搬等の際に対策が必要なので、調査の対象とする。
 (2)、こちらは例えば画鋲を壁に刺す、釘を打って固定をするもの。これについては石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられる極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業として、これについても事前調査を要しない作業ということで、整理をします。こちらも船舶についても同様の整理をすることにしております。
 (3)、こちらは新たな建材・材料を追加するのみの作業ということで、現存する建材・材料等の除去は行わないということで、石綿の飛散のおそれがない、事前調査を要しない作業として整理をするとしております。
 こちらは建築物等と同様の整理ということですが、2つ目のポツですが、こちらについては過去に石綿則に基づく適切な事前調査でして、これは具体的にいうと、その中間取りまとめのところで求めております、書面による調査及び現地調査がなされているものですが、そうした形が担保されているような、例えば過去に行った定期修理等の記録など、そうした記録が残っているものについては、その当概調査の記録を確認することで、事前調査に替えられるものと整理するという形にしております。
 続いて2)の事前調査の資格要件のところです。(1)、既存の制度の活用についてです。船舶に含有される有害物(石綿含めてその他の有害物も含めてのもの)の調査については、シップ・リサイクル条約において、総トン数500t以上の船舶について、その船舶に含有される有害物質の量や所在を記述した有害物質一覧表(以下「インベントリ」)を作成・維持し、解撤時に船舶リサイクル施設に引き渡すこととされております。また日本国内においては、500t未満も含めてシップ・リサイクル法に基づき、国土交通省において、その作成されたインベントリを確認し、その内容が適切なものについては、適合証を交付する仕組みが設けられている。一方で、インベントリを作成する専門家についても、日本海事協会における研修を受けた者が行うOJT等による研修を受け、能力等を習得した者について、日本海事協会が認定を行うことにより、その専門家についても能力等の担保がされているという状況で聞いております。
 このため国土交通省が公布した有害物質一覧表確認証書、これを有する船舶については、当概インベントリの内容が船舶の石綿を使用状況等の適正に反映していると考えられることから、このインベントリの作成をもって事前調査が行われているものとし、その船舶の解体・改修等の作業を行う事業者は、石綿則第3条に基づく事前調査については、その当概インベントリを入手し、確認することで同条の義務を履行したものとみなす。一定の知識を有する者による改めての事前調査は不要とするという形で整理をしております。
 (2)新たな資格制度の検討についてです。今、御説明をいたしました有害物質一覧表確認証書を有していない船舶については、このインベントリがないということで、既存の船舶に含有される有害物質を調査し、その内容を国が認証するような、公的な仕組みの対象となっていないことから、その船舶の事前調査の適正性を確保するために、調査を行う者に対しては一定の知識等を付与する仕組みが必要と整理をしております。ただし、その知識を付与するための仕組みや付与すべき知識の内容等については、引き続き検討を進めることとする。
 また今後の検討に当たっては、ワーキンググループでもいただきました御意見等を踏まえた留意事項というのを整理をしております。1つ目に既存の建築物に関する事前調査に必要な知識。既存の建築物については、石綿含有建材調査者講習制度というものがありまして、その中で整理されている知識等々共通する内容があるかないか。それから留意事項の2つ目としては、過去にこのワーキンググループの資料でも出させていただいておりますが、過去に船舶における石綿対策について整理されたマニュアル等の活用ができるかどうか。それから先ほど少し御説明でも触れましたが、シップ・リサイクル法に基づくインベントリの作成に携わる者に必要な知識等を付与する研修等。そうしたものの活用ができるかどうか。そうしたことを留意しながら必要な知識の内容ですとか、知識を付与するための仕組み。これを引き続き国土交通省と連携をしながらやっていく必要があるという形で整理をしております。
 続いて2の簡易届出制度の対象についてです。届出の対象とする作業の範囲について、これまで御議論いただいていたところですが、船舶については過去にマニュアル等でも整理がされているとおり、過去に石綿が使用されていた可能性が高いと考えられる一方で、既に定期修理等で石綿含有材料が、石綿非含有材料に交換されている可能性が高いといったことがワーキンググループでも指摘されているところです。一方で交換されている状況等も含め、現在の船舶において、どの程度の石綿含有材料が残存しているのかという資料ですとか、データ等については更なる収集が必要な状況にあるということです。このため、届出の対象とするべき石綿含有材料が使用されている可能性が高いと考えられる箇所が特定可能かという点も含め、引き続き国土交通省と連携して、現在の船舶における石綿等の使用実態を把握した上で届出対象についての検討を進めていることとしております。
 続いて、定期修理の取扱いです。船舶については一定期間ごとに定期修理等が行われているが、一方で、平成18年9月に石綿の製造使用等が禁止された以降に日本籍となった船舶については、この製造使用等の禁止が適応になっておりますので、石綿が使用されていないということが明らかです。届出の対象については今後整理をするということで、その整理がされた以降のお話ですが、そうした対象であっても、一応平成18年9月以降に日本籍となった船だということを届出を求めることが必要になってくるわけですが、それを定期修理の度に日本籍となった船であるというような内容を求めるというのは、明らかな内容なものを繰り返し出すということで、そこは合理的ではないという御意見もありましたので、そうした内容を踏まえまして、平成18年9月以降に日本籍となった船については、今回の制度改正後の初回の定期修理時に建造年月日、日本籍となった年月日ですね。届出を求め、その後の定期修理時等においては、届出不要と整理するという形にしております。
 続いて3の発注者による配慮です。先ほどの1の所などでも触れている記録の内容については、発注者が持っているようなケースもあり、そうした発注者が持っているものを提供いただかないとの難しい場面もあるというような御意見もありましたので、発注者は、当概作業を行う事業者が事前調査を適切に行うことができるよう、当概作業に係る船舶の設計図書だったり、過去に行った石綿の有無に係る調査結果等の記録の提供についても配慮をすることを求めるとする。今回のワーキンググループのとりまとめの案は以上です。
○豊澤座長 それでは議事に入る前に、今回インベントリ制度について国交省から御説明いただけるということですので、お願いしたいと思います。
○オブザーバー国土交通省海事局 よろしくお願いします。国土交通省海事局船舶産業課の坪井と申します。この会議にはオブザーバーとして参加させていただいておりますが、インベントリに関わる法制度、条約については、私どもの課でやっている部分がありますので御説明させていただきます。手短にお配りしている資料を基に御説明いたします。
 参考資料2の後ろに、こういう資料が付いておりますので、こちらを御覧ください。まず国内法令のシップ・リサイクル法の概要ですが、正式名称は「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律」となっています。こちらは2年前に通常国会で成立しています。所管は国土交通省、厚生労働省、環境省です。施行期日は、条約が効力を生ずる日となっております。この条約と申しますのは、シップ・リサイクル条約、香港条約ですが、こちらは現状効力は生じておりませんので、シップ・リサイクル法自体は施行は今のところはしていません。ただし、相当制度という制度が既に今年度始まっております。相当制度というのは、実質上インベントリを作成していくという制度になります。制度としては、国土交通大臣が船舶所有者が作成をした有害物質一覧表を確認して、確認証書を発給します。それで、船舶を解体する段になりましたら、再資源化解体事業者に有害物質一覧表を添付の上、再資源化解体業者を主務大臣が許可をし、解体計画の承認をしてから、解体作業に移るという流れになっております。
 次のページを御覧ください。シップ・リサイクル法の適用船舶というページです。マトリックスになっておりまして、上下の段に、船の尺度500tというのは、大きさと考えてよろしいのですが、500t以上、500t未満、そういうところで1つ線があります。EEZを超えて航行、運航時はEEZを超えないという、2つの切り口があります。EEZは排他的経済水域だと思いますが、その軸に分けて考えますと、500t以上の大きめの船で、EEZを超えて航行する船については、全て例外なくシップ・リサイクル法の適用を受けます。
 500t未満のEEZを超えて航行する小さめの船ですが、外洋まで出ていく船については非適用ということになります。
 運航中EEZを超えない船舶については、500t以上については海外売船、EEZを超えるときについては適用になります。500t以上で運航時はEEZを超えないものについて、国内解体の際にシップ・リサイクル法が適用になるということになっております。建造時にインベントリを作っておく必要はないのですが、解体時にはインベントリを作成して解体事業者に引き渡す必要があるということになります。ここは条約と国内法で相違のある部分です。
 500t未満で運航時EEZを超えないものについては、運航中、解体についてもシップ・リサイクル法は非適用、もちろん条約も非適用です。ただし、海外売船の際、日本国内の尺度と国際的な尺度は計算方法が若干違っておりまして、総トン数と呼び方は付いているのですが、計算上、国内で500tと称されるぎりぎりの大きさの船は、計算方法によっては国際的には500tを超える場合があります。そうした場合には、極めてレアなケースですが、海外売船の際にシップ・リサイクル法適用になります。少し細かいですが、全体の整理としてはこれで全て言い尽くせているはずです。
 続きまして3ページ、こちらはポンチ絵風で、船舶の意匠を模式的に表わしております。新しい制度でシップ・リサイクル法は現状は未施行ですが、相当確認という制度を使ってやる場合ですが、まず、建造時、初回確認として、造船所においてどういった製造者の、どういった型式のどういった素材をどこに取り付けたというものを全てリストアップします。その型式についてアスベスト等の有害物質は含まれていないことをメーカー証明を全て取り寄せます。それを元に有害物質一覧表を作成して、船舶検査官が確認証書を発給します。新船、現存船、現存船プラス専門家支援、現存船プラス適合証書という4つのケースが書いてありますが、このうち前回の検討会でIMC様から御説明があった現存船プラス専門家支援の部分については、もう少し詳しく後ろのスライドで御説明をさせていただきます。
 まず初回に船舶の中のどこにどんな有害物質があるのか特定した状態で、船主に船が引き渡されます。その後、船は商業運航していくわけですが、船舶は基本的に5年ないし6年ごとに安全法に関連して定期検査を受けることになります。それに合わせて、インベントリがその間適切に維持されているのか記録を確認して、移動があればインベントリを適切に修正して更新確認という作業をします。それを寿命のある間ずっと繰り返していくということになります。
 臨時確認というのは、船舶安全法の中で臨時検査がありまして、改造など大きな変更が船に対して行われた場合、臨時で検査を受ける必要があるということになっています。その際には、その工事が有害物質について移動があったか、なかったかというのを確認した上で、移動があった場合には臨時確認をするということになっております。
 相当制度では現状、船を解体する段のところまでは設定しておりませんが、制度が始まった際には譲渡等の承認という、解体に向けたプロセスが始まっています。このポンチ絵については船舶の意匠について、大まかに御説明させていただきました。
 4ページは先ほど申し上げた3ページの特例1のお話に関連する部分です。シップ・リサイクル法の中で、専門家を日本国は制度として設けております。専門家というものは、Aという人とBという人に分けておりまして、ただ違いは明確です。専門家Aは、実船調査、訪船調査を適正に行うことができるというものに加えて、インベントリ案を作成することができるという人です。専門家Bは、訪船調査、現地確認ができるという人です。ですので、専門家Bができる、仕事は専門家Aは全てやれますが、専門家Bは専門家Aが実施する仕事の一部、つまり、インベントリ案の作成ができないという関係にあります。技術面、法令の専門知識、実績、そういったここに書いてあることを済ませていることを適切に確認した上で専門家を登録します。当然、ここまでの作業をしますので、専門家を介して有害物質一覧表を船主が作成した場合には、検査の際に効率的な検査をしていくということになります。
 5ページは細かく書いてありますが、専門家は任期と言いますか、認定の期間が2年と定められておりまして、2年ごとに更新を受ける必要があります。その更新の際には、実船経験、初回確認の実績の部分を確認させていただくということになります。
 6ページ、これは4ページで言うところの特例2のやり方になります。インベントリができるまでを模式的に表わしたものです。インベントリができるまでも現存船と言いまして、現状インベントリがない船の船主が、これを機にインベントリを作ろうとしたときの流れになります。まず船舶所有者が専門家にインベントリを作りたいという御連絡をしていただくと、専門家が調整をして図面の確認をして、VSCPというのは、ビジュアル・サンプリング・チェックプランの略でして、その言葉で大体意味は分かると思いますが、現地確認をどのようにやりますという計画です。現地に入るということはこの検討会でも常々異論があるように、もしかしたらどこに何かがあるかもしれないというものですので、こういうふうに安全にやりますという計画を立てていただきます。そのビジュアル・サンプリング・チェックプランというものを船舶所有者にお返しをします。そうしますと、船舶所有者は、地方運輸局に申請書を提出します。申請書は一式という形になっておりまして、その専門家が作成したビジュアル・サンプリング・チェックプラン、IHMというのは有害物質のインベントリ案です。それから図面、全て船舶検査官がインベントリや実船調査が適切に行われるということを確認するために必要な書類を提出いただく。
 運輸局で全ての書類の適切性を確認すると、書類、VSCP等を船主にお返しして、それでは実際に船上で確認しましょうということになります。船上の審査は専門家と地方運輸局の検査官が一緒になって確認するということになります。そこで、これは分析をしないと分からないものについては、分析機関でサンプル分析をします。必要に応じて有害物質一覧表を修正して、最終的にセットした有害物質一覧表を船主にお返しをします。船主としてはこういった手続を踏んで、インベントリを作成したということになりますので、これを船舶検査官にもう一度提出すると、船舶検査官がこのインベントリを大臣の確認として確認してよいかというものを、最終的にこれまでのプロセスを踏まえて確認をさせていただいて、有害物質一覧表確認証書を作成し、船主に対して交付をします。長くなりましたが、この図はそのように読んでいただければと思います。
 7ページ、先ほどの流れを今度は文字にしたものです。7ページと8ページはちょうど上下になっておりますので、見比べていただければ違いがよく分かるかと思います。大きな違いは、専門家の支援を受ける場合。それは6ページの例で、今、長々と御説明した流れは、8ページの流れになります。
 専門家というものを活用しない場合には、船舶検査官が全ての情報を取り寄せて、全てしらみつぶしに確認をしていくということになります。それは制度上可能ですが、船舶検査官の時間が非常に取られてしまいますし、恐らく船主からしても、審査の時間はものすごく長くなってしまいますので、皆さんにとって良いことが余りないということで、現状は専門家を活用いただくということが主流と聞いております。
 専門家を活用しますと、専門家が情報収集の方法の確認や、図面調査方法の確認、船主がどういった情報を集めて、どういった図面調査をして、どういったインベントリオブハザードマテリアルの適合性を確認しているのかというのを全て専門家がやります。船舶検査官というのは、専門家がそういった能力があるということを確認して登録していますので、そこの部分は信頼します。ただし、後ろの工程に響いてくるチェックリストというのは、この作業をやりましたということを船主がチェックするリストですが、それをちゃんと全て埋めていることを確認し、ビジュアル・サンプリング・チェックプラン、訪船調査が正しく行われる。つまり、その訪船調査で危険等がないということを確実に確認した上で、次のステップに進みます。
 専門家を活用する場合には、船上審査についても使わない場合にはしらみつぶしですが、登録専門家を介す場合には、抽出検査という形になります。通達で指定しておりますが、どこの箇所を抽出するということは、当然決めておりませんので、手を抜くのは難しいと考えております。現場で、今回はこれとこれとこれを確認しますからよろしくお願いしますということになりますので、それが事前には知らされないわけですから、準備としては全て準備する必要があります。後の工程は同様です。7、8ページは専門家を使う場合に、船舶検査官がどのように検査を効率化して、迅速に審査をするかという御説明をさせていただきました。
 9、10ページは参考です。同じように見えますが、シップ・リサイクル条約、国際条約の適用船舶はこうなっておりますということで、締約国を旗国とする船舶、日本籍船ということです。
 総トン数500t以上の船舶。これも同じです。ただし国際総トン数です。管轄海域を超えて航行する船舶。先ほどシップ・リサイクル法ではEEZと書いていた所です。条約では締約国、旗国、総トン数、管轄海域、こういった言葉を扱っております。先ほども似たようなマトリックスを見ていただきましたが、適用となる部分は500t以上であって、国際航行する船舶ということで、形式的にはほぼ同様です。ただ、国内法のほうがちょっと適用としている部分が広いという形になります。
 シップ・リサイクル条約の対象物質等を付けております。御参考までにということで、アスベスト以外にPCB、オゾン層破壊物質、有害スズ化合物の4種類。表Bは新規搭載禁止まではされていませんが、有害物質と考えられている重金属等です。
 表Cは、運航中どんどん補給されたり、消費されたりするもので、新造の時点、あるいはインベントリ作成時点で必ずしも作っておいても余り意味がない、廃棄の際等に何が搭載されているかというのを確認するというものです。今回のそもそも石綿の話とは関係ない部分になります。
 表Dは、船に乗っている家電等ですので、リサイクル等の際には当然そういったものは取り外してリサイクル業者に渡して、お金にするというものですので、それを船と一緒に解撤するというのは通常考えられないです。駆け足になりましたが、私からの御説明は以上です。
○豊澤座長 インベントリ制度について詳しく説明していただきました。ありがとうございます。それでは、取りまとめ案について御意見を伺えればと思います。まずは資料1の1ページ目の1)事前調査の対象について御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○林委員 (3)の現存する建材・材料等についてですが、これは今回の対象は船舶ですので、建材という言葉は考えてもらって、船舶の場合は内装材とかそのような言葉を使いますので、建材となると陸上の建材と認識が共通になるような気がしますので、船舶特有の名称がありますから、そういうもののほうがよりよいかなと思います。
 (2)の石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられる極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業、例として画鋲を壁に刺す、釘を打って固定する、これも同様です。もし、具体的な例として出すならばもう少し考えて、画鋲を刺すというのは作業ではなくて、一種の動作ですから、もっと具体的な内容、項目のほうがいいのではないかと思います。以上でございます。
○豊澤座長 どうもありがとうございます。ほかにありますか。
○野口(隆)委員 (1)で例として、手作業や電動ドライバー等でということで、ボルト・ナットで固定しているような固定具という書きぶりがあるのですが、船舶では、特に機関室とかはボルトで止められているものは非常に多いと思いますし、前後の文を読めば事前調査を要しない石綿が含まれていないことが明らかなものというのは分かるのですが、この例だけを捉えると非常に多くの作業が該当してくると思います。本来、事前調査が必要なものがその対象ではないというように捉えないように、実際に展開する際に勘違いとかがないような展開をしていただきたいと思います。以上です。
○豊澤座長 コメントありがとうございます。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、特段の反対意見はないということで、次の項目に進みたいと思います。1の事前調査についての2)事前調査の資格要件についてです。御意見等がありましたらお願いいたします。
○野口(雅)委員 インベントリの作成をもって事前調査が行われているものとするという所ですが、実は防衛省の船についてはインベントリの作成義務はありません。ただ、これに代わるものとして、防衛省が作成したインベントリに準じたものとか、あるいは仕様で明記しているとか、そういったものはインベントリと同じような扱いをしてはどうかというのが意見でございます。
○副主任中央労働衛生専門官 インベントリに類する制度があるという御意見だったと思うので、そこは防衛省等にも確認をしてインベントリと並べられるものであれば、当然追加していくということになると思います。そこはこちらで確認をして、適切に対処したいと思います。
○野口(雅)委員 制度としてはないかもしれません。ただ、実態では防衛省がきちんとしておりまして、例えば、この運用で資格要件を持っている方が防衛省が作成した仕様を活用して、極端な言い方をすれば、転記して、それでもいいのだとか、そのような扱いもあるのかなと。
○副主任中央労働衛生専門官 内容も含めて担保できるかどうか、担保されているかどうかを確認させていただいた上で対応したいと思います。
○野口(雅)委員 分かりました。
○豊澤座長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○オブザーバー国土交通省海事局 今のお話は恐らく海上保安庁みたいな船も同様だと思いますので、そちらも調べていただければ有り難いと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 そこも含めて。
○豊澤座長 防衛省と海上保安庁の船についても同様で、事務局のほうで調べていただければ有り難いと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 事務局からよろしいでしょうか。先ほどオブザーバーの坪井さんからインベントリの制度について御説明いただいたところですが、1点だけ確認させていただきたいことがありまして、6枚目のスライド、パワーポイントの資料の真ん中の列ですけれども、実際に専門家と中央運輸局の検査官が一緒に船上審査をして、そこで書面で残っている部材と現地のものを確認するというお話ですが、この流れの中であるなしが判断できない場合、試験機関でのサンプル分析をすると言われていたと思います。これは、分らないものは全部分析されていると考えてよろしいのですか。
○オブザーバー国土交通省海事局 インベントリは白と黒のほかにグレーというか、色を付けないという、3つの書き方があります。石綿について言えば、石綿がある・石綿がないということがメーカー証明や製造年、それから型式、分析等で明らかになったものですけれども、船の場合には機械等が乗っておりまして、その機械の中に石綿が入っているかどうかを確認するには、その機械を破壊するしかなくなってしまいます。破壊という言葉を、よく御存じか分かりませんけれども、例えば民生品の中でも、このシールを剥がしたら保証が無効になるというシールがあったりしますけれども、そのシールを剥がすとその下にネジ穴があって、ネジを外すと蓋が開くようになっていて、ただし、そのシールを剥がすので、その後、この機械に対する保証は一切できませんというものになります。ですので、そういったものについては中を開けずに、潜在的にその中には石綿があるという表現で記録をしています。潜在的にこの中には石綿があるという記録は解体時に確認をしてYes、Noをしっかりやるか、あるいは国内法で言うところのみなしとして、ありとして作業するということになります。
○副主任中央労働衛生専門官 今、御説明いただいたように、グレーの場合は石綿則上はみなして対策を講じていただくということが規定されていますので、グレーの場合の対応としては、それをしないと石綿則違反になるということは取りまとめの内容と併せて確認させていただきたいと思います。
○豊澤座長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。
○関元委員 書き方だけの問題ですけれども、既存の制度の活用のところの「このため」というのが一番最後のパラグラフの所で、この内容は多分資格要件というよりは、この前段の所に入れるべき内容なので、前段の所に「次ページの何々を参照」と入れてもらえると、もっと分かりやすくなるかと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 資格というよりも、事前調査に変えられるというところの(1)の内容と並びで、整理すべきではないかという御意見かと思います。
○関元委員 そういう意味です。
○副主任中央労働衛生専門官 そこは工夫したいと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○林委員 もし、お分かりであればお教え願いたいのですが、インベントリは作成できる機関、業者と申しましょうか、日本中にどれぐらいあるのか、把握されておられるようであれば数的なものを、恐らく皆さん把握されていないと思いますので、お教え願えればと思います。
○オブザーバー国土交通省海事局 把握はしているのですが、今、その紙を持ってきておらず、正確なことは申し上げにくいのですが、10~20社の間ぐらいかと思います。失礼ですけれども、その程度です。
○豊澤座長 ありがとうございます。10~20社程度ということです。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、この項目については特段の反対はなかったということで、次の項目に進みたいと思います。
 次は2の簡易届出制度の対象について御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小西委員 ここの所で「平成18年9月に石綿の製造使用が禁止された以降に」と書いてありますけれども、これに関して言うと、「以降に日本籍となった」という中には、これ以降に新しく新造された内航船も含むということでよろしいのですね。要するに、日本籍となったというのは、ほかのものが日本籍になったという場合と、それから、それ以降に造られた船がありますが、その両方を含むということでよろしいでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 概念としては、そういうことで記載をしています。そこが分かるように明記を。
○小西委員 そのように書かれたほうがいいような気がします。新造船であっても、1回は入っていませんという形の書面は出すという、簡易届出はしておくということですね。
○副主任中央労働衛生専門官 そうです。
○小西委員 分かりました。
○豊澤座長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。
○オブザーバー国土交通省海事局 オブザーバーの立場で恐縮ですが、最後の3の発注者による配慮の部分ですが、例えば、今、小西委員から御指摘のあった定期修理の一度だけというものも、船にとっては一度であっても、造船所であっては初めてというケース、例えば初回はA造船所で建造し、修繕はB造船所でやるという場合には、例えば船主から一度は報告していますという情報が共有されないと、造船所にとっては、それは初回の工事になってしまいますので、必ず発注者、つまり船主のこの制度についての理解をしっかり得て、施工していただくということが重要であると考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。簡易届出制度の対象についてと、3の発注者による配慮についても御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○関元委員 今、国土交通省のほうから御説明があったとおりでして、造船所のほうは、むしろ従業員を守るという意味で、船主からの情報の収集というのは非常に重要だと思っておりまして、どのように省令上書かれるか分かりませんけれども、十分に周知をお願いできればと思っております。
 併せて、これによって先ほどのインベントリ、必ずしも義務付けられていない船もたくさん、500t未満の内航船がありますけれども、これによってインベントリの取得の加速みたいな話が出てくるかもしれませんので、その辺りも含めて周知徹底をよろしくお願いしたいと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。ほかにありますか。よろしいでしょうか。大変貴重な意見を頂きました。2の簡易届出制度の対象についてと、3の発注者による配慮については、特段の反対意見はないということで、今回、このワーキンググループの取りまとめの内容については、事務局の作成案で取りまとめさせていただきたいと思います。
 また、今、お二方から御意見がありましたように、船主からの記録等の提供に係る協力等の要望について御意見がありましたので、運用に当たって意見を踏まえ、協力依頼等について留意いただければと思います。
 また、本ワーキンググループで取りまとめた内容については、本検討会に報告することとしておりますので、事務局では本検討会への報告の準備をよろしくお願いします。
 また、今後、引き続き検討するとしている事項もありますので、その検討の場は改めて設置することも含め、今後、検討してまいりたいと思います。
 それでは、大分早いですが、以上で本日の議題については全て議論していただきました。その他事務局から何かありますでしょうか。
○化学物質対策課長 大変お忙しい中、3回にわたる真剣な意見交換やご議論本当にありがとうございました。本日、頂きましたワーキンググループ会合の取りまとめに基づきまして石綿対策を強化し推進していきたいと考えております。引き続き残された課題もありますので、御協力方よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○豊澤座長 ありがとうございます。本日の議題は全て終わりました。それでは、事務局に司会をお返しします。
○副主任中央労働衛生専門官 それでは、本日は御審議いただきまして、ありがとうございました。それでは、本日の会議録については、各委員に御確認いただいた上で公開することとさせていただきますので、その際はよろしくお願いいたします。また、一部、取りまとめ案の記載ぶりについての御意見もありましたので、最終取りまとめ案については、皆様方と共有をさせていただきたいと思います。内容については、座長のほうに御相談の上、最終案ということでお示ししたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、以上で、第3回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会船舶に関するワーキンググループを閉会いたします。どうもありがとうございました。