第3回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会 工作物に関するワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和2年3月3日(火) 15:00~17:00

場所

労働委員会会館講堂(7F)
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1)工作物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等について
    (i)  工作物 WG に お ける とりまとめ(案) について
  2. (2)その他

議事

○副主任中央労働衛生専門官 定刻よりも少し前なのですが、皆様おそろいのようなので、ただいまより「第3回建築物解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会工作物に関するワーキンググループ」を開催いたします。本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日はスペースを少し広く取り、かつ皆様方のお手元にマイクをそれぞれ御用意しておりますので、発言のときはマイクを使って発言していただければと思います。よろしくお願いいたします。また、委員の出席状況ですが、本日は全員御出席いただいております。それでは以下の議事進行については、豊澤座長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○豊澤座長 それでは早速始めたいと思います。議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 本日のワーキンググループの資料については、お手元に紙で御用意させていただいております。一番上に議事次第、それから配布資料一覧を付けております。クリップを外していただいて、資料1が、工作物ワーキンググループの取りまとめ案、資料2が、工作物における石綿の使用状況等で、こちらは国土交通省が調査されたものをまとめたものです。また、過去の検討会及び各ワーキンググループの資料については、お手元のタブレットに御用意をしておりますので、適宜御参照いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○豊澤座長 よろしいですか。では本日の議事に入りたいと思います。(1)の「工作物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等について」の(i)工作物WGにおける取りまとめ(案)についてです。前回第2回のワーキンググループで、私のほうから事務局へ、ワーキンググループとしての取りまとめ案の作成をお願いしているところです。本日の資料1として案が提示されております。まず資料1について事務局から説明をお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 それでは資料1の説明をいたします。お手元に資料1を御用意ください。工作物のワーキンググループの取りまとめ(案)ということで、第2回までのワーキンググループでの御議論、御意見等を踏まえ、それぞれの論点ごとに取りまとめの内容をまとめたものです。順に御説明いたします。
 まず1つ目として、事前調査についての1)事前調査の対象についてです。1つ目のポツですが、先日、建築物に係る検討会において、解体・改修工事において、改修作業の中には石綿等が飛散しないような作業が一定程度含まれるものがあり、石綿が飛散しないことが明らかな作業ということで事前調査を要しない作業として考えられる作業があるのではないかという御議論を頂いて、(1)~(3)の考え方に整理されたところです。その整理された考え方については、工作物においても同様に整理することとするとなっております。(1)~(3)の考え方について御紹介させていただきます。
 まず(1)は、対象物が、石綿が含まれていないことが明らかであるものです。例えば木材、金属、石、またはガラスのみで構成されているものや、畳、電球などであって、それらの切断等・除去・取り外し時に周囲の材料を損傷させるおそれのない作業は、対象物が石綿が飛散するおそれがないということで事前調査を要しない作業と整理することになっております。この具体的な作業については、例を示しておりますが、手作業や電動ドライバー等でネジを容易に取り外すことができるもの、ボルト・ナットで固定しているような固定具を取り外すことで対象物の除去が可能な作業などが考えられるということで例示させていただいております。
 (2)です。工作物に対して石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられる極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業です。例えば、画鋲みたいなものを壁に刺すとか、釘を打って固定するなどについては、石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられるような極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業として、事前調査を要しない作業として整理をしてはどうかということをまとめております。
 (3)です。現存する建材や材料等の除去を行わず、新たな建材・材料を追加するのみの作業ということで、具体的には既存の塗装の上にそのまま、除去することなく新たに塗装を塗るとか、建築物でいいますと壁紙をそのまま貼るとか、そうしたものが想定されます。同じような考え方を、工作物でも同様に整理するという案にしております。
 続いて2つ目のポツです。工作物については、その用途とか、仕様、過去の調査結果から、石綿を使用していたかどうか等の調査結果から、石綿が含まれていないことが明らかな工作物については、国土交通省の調査等が含まれるかと思いますが、当該石綿が含まれていないことが明らかであることから、当該工作物の解体・改修作業は、事前調査を要しない作業と整理するとしております。例としては、鉄道線路の軌道、道路舗装等、滑走路、防波堤、ダム、堰など、資料2にまとめているものが具体的には含まれてくると考えております。
 続いて3つ目のポツですが、解体・改修作業に係る事前調査を行う日よりも前に、当該作業に係る部位等について、既に石綿則に基づく適切な事前調査、これは建築物の中間取りまとめでも示しておりますが、書面等による調査及び現地調査が行われているという事前調査が行われている工作物については、当該調査の記録を確認することで事前調査に替えられるものと整理します。この事前調査の中には、例えば定期修理等の記録で、これももちろん書面や書類等の確認、書面や書類で残っているものが示されているものが現地で同じ状態であることを現地確認されているという条件が付きますが、それを満たしているものであれば、この事前調査にも含まれると考えており、こうした事前調査の記録を確認することで、事前調査に替えられるものと整理をすることとしております。
 次に、2)です。事前調査者の資格要件についてです。工作物の事前調査については、適切な実施を確保するため、建築物と同様に、調査を行う者に対して一定の知識等を付与する仕組みが必要であるとしております。一方で、その知識等を付与するための仕組みとか、付与すべき知識の内容等については、ワーキンググループでの議論でもありましたが、その対象とする工作物の範囲が広かったり、実際に石綿含有建材が使われている箇所が多種多様だということもありますので、これについては引き続き検討を進めることとするとしております。
 また、その検討に当たってはワーキンググループで頂きました御意見の中にもありましたが、建築物に関する事前調査に必要な知識等、これは既に制度として建築物石綿含有建材調査者講習制度がありますが、そこで整理されている知識等と共通する内容があるのかないのか、あるとすればどの範囲なのかとか、工作物についても、多種多様とはいえ、一部をグループ化して考えられるものがあるのではないかという御意見もありましたので、その必要な知識等に共通点の多いものをグループ化して取扱うことについて、こうした点に留意しながら検討をすると。その検討に当たっては、工作物を所管する国土交通省や関係省庁との連携、それから大防法のほうでも工作物を対象としておりますので、環境省さんとの連携が必要であるという形でまとめております。
 続いて、2の簡易届出制度の対象についてです。1)届出対象とする作業の範囲として、1つ目のポツです。先ほどの説明の中にもありましたが、工作物については、様々な種類のものが存在するというところは皆さん共通の認識かと思いますが、建築物については、一律に建築物であるということで石綿含有材料を使用している可能性が高いというように整理されておりますが、そうした建築物とは異なり、石綿含有材料が使用されている可能性の高い工作物が、工作物全般というよりも一部に特定されると言えることから、工作物に係る簡易届出の対象については、石綿が使用されている可能性の高い工作物に係る解体・改修工事に特定するという形でまとめております。特定するということでポジティブリスト化するということになりますが、具体的なポジティブリストについては、2つ目のポツに、現時点で考えられるものを並べて示しています。煙突、焼却設備、貯蔵層、鉄骨架構、上下水道管、化学プラント等に係る製造設備、ボイラー・圧力容器、タービン、盛土保護壁、トンネル、遮音壁、料金所の床材、発電施設、変電施設、それから観光用エレベーターや、鉄道施設に係る設備等が該当するのではないかということで、現時点の案としてお示ししております。これは前回までのワーキンググループの中で、過去の資料から石綿が使用されているという情報があったものの中の頻度が高そうなものを抽出して示しております。また、その特定物品リストについては、案ということで説明いたしましたが、今後、国土交通省初め、工作物を所管する関係省庁から情報収集を進めた上で、具体的な設備等の特定ですとか、一覧としてお示しするときに、現在の羅列している例示が、どうしても階層が、言葉悪いですが、ぐちゃぐちゃな状態ですので、そこをしっかりカテゴライズして整理した上で最終的なものをお示ししたいと考えています。
 次に3つ目のポツです。このポジティブリストを対象にするとした上での届出対象とする工事規模についてですが、工作物については、解体工事であっても、床面積では工事規模を特定できないことから、解体・改修工事ともに、建築物の改修工事と同規模である請負金額100万円以上の工事とするという案にしております。100万円以上であればリスクのある改修工事を一定程度カバーできていると、これまでの議論の中でもありましたので、この範囲にしたいと考えております。
 次に4つ目のポツですが、建築物と、この請負金額100万円以上の工事の契約の考え方について記しておりますが、建築物と同様に、解体・改修工事を同一の事業者が2以上の契約に分割して請け負う場合は、これを1の契約で請け負ったものとみなして適用するということ。それから同一工事の仕事を複数の事業者が請け負っている場合には元請事業者が提出するという整理は、建築物と同様の整理ということでまとめております。
 続いて、2)定期修理の取扱いについてです。工作物については、建築物とは異なり、一定期間ごとに定期的な検査に向けた修理・修繕が行われているというような御意見がワーキンググループの中でありました。その中で簡易届出の対象と整理された工作物は簡易届出を工事の度に出していただくということになりますが、一方で、平成18年9月以降に建造されたものについては、石綿が使用されていないことが明らかであるため、石綿が使用されていないことが明らかである工作物については、数年に一度の定期検査のための修理・修繕の度に、平成18年9月以降に建造されたものだということの届出を繰り返し求めるというのは合理的とはいえないのではないかということです。このため、2つ目のポツですが、平成18年9月以降に新築された工作物については、制度改正後の初回の定期修理時に、その建造年月日の届出を求め、その後の定期的な検査に向けた修理・修繕については届出不要と整理するという形でまとめております。
 次に、3の発注者による配慮です。ワーキンググループの中の議論でも御意見がありましたが、特に製造プラント等の施設については、工事を請け負う事業者がそのプラントにおける改修工事の状況や、プラントそのものについて写真撮影等をすることです。許可しないようなケースがあったり、許可があるとしても発注者が確認をした上での許可がないとできないというような実態についての御意見がありました。一方で、作業状況の記録の保存については、作業のしている方の状況ですとか、求められる措置が適切に構じられているかということを写真等で残すということになっておりますので、写真等を撮影するに当たっては発注者の許可を得ることが必要であるということから、この発注者については、当該作業を行う事業者が適切に写真等による記録の作成が行うことができるよう配慮を求めるという形にしております。
 また、2つ目のポツですが、1番でも整理をしておりますが、過去に適切に事前調査を行った工作物については、過去の事前調査等の記録で事前調査に替えられるという整理にしておりますが、そうしたことも含めて、解体・改修作業の発注者は当該作業を行う事業者が事前調査を適切に行うことができるよう、当該作業に係る工作物の設計図書や過去に行った石綿の有無に係る調査結果等の記録等の提供についても、発注者からもらえないと把握ができないというような御意見もありましたので、配慮するものという形でまとめております。以上、工作物ワーキンググループの取りまとめです。
○豊澤座長 今、事務局から取まとめ(案)について説明していただきました。この取りまとめ(案)について、御意見等を伺えればと思います。分けて議論をしていきたいと思います。1の事前調査については、1)と2)で分けて議論したいと思います。1)の事前調査の対象についてということで、資料1の1ページ目について御意見を伺えればと思います。
○笠井委員 今、御説明のあった1の1)のポツの2つ目の所ですが、例示として鳥居とか鉄道ということが書かれていますが、あくまでもこれは例示だということは十分に承知していますが、ポジティブリスストのときにも御説明があったように、今後ここについては関係者と更に調整をして、合理性のあるものについては追加していくとか、そういうことの調整というのは今後やっていけるということでよろしいのでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 まず、この制度の運用に当たってお示しする通知の中で、明らかなものについては、できるだけ例示をしたいとは考えています。
○川口委員 3点ほどございます。1つ目は、ポツの1つ目ですが、いわゆる施行年などを問わずということで、材料に含まれていないというもので作られていれば外すことに異議はございません。
 2番目で、今、笠井委員からお話がありましたが、今は例示的な形で書かれているということですが、今後、新たな知見とか、範囲の拡充といったことが分かりましたら、是非そういったものをどんどん追加していっていただきたいということです。それと、このような事実の把握に向けた検討とか調査といったものは必要なのではないかと思いますので、継続してやっていただきたいなというところです。
 3番目はポツ3の所です。解体・改修工事の事前調査の話です。これは事前調査が過去に行われていれば、それに代用することによって調査を新たにやらなくてもいいという整理かと思うのですが、石綿の分析の基準値が、一番最初は5%、1%、0.1%というように変化していまして、石綿則が施行された後でも、1.0から0.1に変化しているということもございます。それから、分析法についても、一番最初に石綿則が施行されたときは、基発の188号、基安化発062201号などが廃止された後にJISが制定されて、JISについても2006年、2008年、2014年、2016年の4回、最初の制定を入れて改定が3回されています。中身も分析法も、かなりドラスティックに変わっている部分もあったりしまして、その分析方法なども十分に検査をしながら評価をしていかなければいけないというところがあると思います。この辺については、今の建築物石綿含有建材調査者の講習会の中でも、第3章の分析の所でしっかりと教育しているところでありまして、過去の分析結果を見るときの留意点といったことで整理させています。多分、今度これをやる方々というのは、石綿の詳しい調査の技術を持っている者ではなくて、過去の調査をやっているというものを確認することというような整理になっていると思うのですが、そういった方々が判断をする上で、混乱が起きないようなものを整備していかないと、過去の分析結果があるからいいではないかといったような、議論の水掛け論のようなことになってしまわないようにするということが必要なのではないかと思います。是非、そういったことをお願いしたいと思います。
 例えば石綿則1つ取っても、3条の調査というのは、それこそレベル1、レベル2、レベル3の全ての建材を調査というようになりますが、そのほかに石綿則8条という調査がございますが、これはばく露するリスクがあるかどうかというのは建物の事業者が調査をして対策を講じなければいけないということもございますが、これは吹付材と保温材といったようなカテゴリーになっているかと思います。石綿則であっても、このように違う目的で調査をすることがあり得るわけですので、全部が石綿3条の調査をしているかどうかということは限定できないと思います。時期によっても違うので、是非その辺のところも詳しく御説明したほうがいいのではないかと思います。意見です。
○出野委員 3点ほど確認させていただきます。1)の事前調査の対象についてということで、原則、全てが対象になると。例外を認める。この考え方には賛成させていただきます。
 あと細かいところなのですが、ポツの1の(2)に極めて軽微とありまして、これからの議論になるでしょうけれども、できるだけ具体性を持たせていただきたいと。現状もこの規定があるのですが、非常に戸惑いと言いますか、混乱があるように思っております。
 2点目が(3)で、「新たな建材・材料を追加するのみ」として例示が1つありますが、石綿則に状況を封じ込め、囲い込みとあるのですが、封じ込めと囲い込みというのは、もちろんここの対象にはならないという理解でよろしいのですよね。封じ込めとか囲い込みとは関係のない、新たな材料を追加するということですね。
○副主任中央労働衛生専門官 はい。そうです。
○出野委員 この辺りも具体的に例示等を示していただきたいと思います。
最後のポツですが、解体・改修作業に係る事前調査を行ううんぬんということですが、その2行目に「すでに石綿則に基づく適切な事前調査」とありますが、石綿則に基づくということですから、これは事業者による事前調査ということでよろしいのですね。そうすると、所有者等の事前調査は対象ではないという、また別の話という理解でよろしいのですね。石綿則に基づく適切な事前調査、つまり事業者による事前調査と。以上です。
○副主任中央労働衛生専門官 まず、川口委員からの御意見を賜ったところについて、事前調査の対象についての2つ目のポツの所について、今後、その追加について検討を進めるべきということで御意見を頂いております。
 基本的には、業界の方々から情報等を頂かないと状況の把握を進めることは容易ではないと思いますので、そうした情報提供を頂きながら、確認できるものについては例示の中に追加していくことは当然あり得ると考えています。
 また、3つ目のポツの所について、今、出野委員からもごさいました意見にもつながるのかなと思うのですが、ここでお示ししている石綿則に基づく適切な事前調査というのは、今、中間取りまとめで方法や範囲を明確化した事前調査を念頭に置いています。ですので、当然3条に基づくものであり、それから範囲、書面等による調査及び現地調査を必ずやりなさいという内容で、中間取りまとめでまとめておりますが、その内容が担保されているものと。ですので、事業者がやるかどうかというよりは、その内容が石綿則で求めている事前調査の内容が担保されているかどうかで判断をすることになろうかと思います。
○オブザーバー(国土交通省総合政策局) 国土交通省です。先ほどの笠井委員の話とダブるかと思いますが、事前調査の3ポツ目の、石綿が含まれていないものの工作物の整理と、ちょっと先になってしまいますが、2の2)のポジティブリストの整理等については、やはり建築物と比べて、工作物は非常に石綿が含まれる可能性が低いものが多うございますので、そういったことを考慮していただきまして、解体・改修等に関わる事業者に過度の負担を強いることがないよう、引き続き国土交通省を含め、関係省庁と調整をお願いしたいと思います。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局) 重ねてで恐縮ですが、そういったリストの精査をされるときに、例えば1ページ目の2ポツの所に書いていますが、用途・仕様、過去の調査結果から含まれていないことが明らかかということですので、明らかかというのをどう捉えるかによるのですが、当然、100%世の中に存在し得ないかというのは神のみぞ知る世界なので、やはり過去の調査や仕様といったものから合理的に想定されるかどうかというところで御判断いただきたいと思っています。万が一入っていたらのために、入っていた場合のためにと言い出したら、本当に全部やらなければいけないということになるので、ある程度合理的な調査なり、過去の状況を把握した上で、想定されないというものについてはリストに入れていくというような対応でお願いしたいなと思っております。
 ついでに言いますと、2ページ目のほうのポジティブリストも、先ほどの御説明の中でも、ここの書き方が「表現は悪いですが」とありましたが、いろいろなディメンションがあって、第1回か第2回かのワーキングのときにも、用途で考えたほうが早いとか、仕様とか、材料で見たほうがいいのかとか、目的で見たほうがいいのかとか、いろいろな要素があったと思うので、今見ると工作物の種類と、そのうちの箇所で捉えているような感じになるのですが、それに捕われずに、いろいろな要素の中から排除できるものは積極的に書くとか、入っている可能性が高いものはしっかりと書くとか、そこは柔軟にお願いできればと思っていますので、よろしくお願いします。
○豊澤座長 簡易届出のほうも議論いただきましたが、例示として排除できるものについての御意見として承っておけばいいですね。簡易届出のほうで、また議論をしていただきたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 (1)の2つ目のポツについて、できるだけ入っていないものについては、情報等を整理した上で追加をしていってほしいというような御意見だったと思います。
 考え方としてなのですが、(1)の事前調査の対象から抜くというのは、石綿則の対象から一切除くということになりますので、そこの判断というのは、しっかりと確実な情報に基づかないといけないかなと。要は、「ないだろう」ではなかなか抜けないと、厚生労働省としては考えておりますので、確度の高い情報を頂ければ、当然検討はいたしますが、「ないだろう」だと難しいということは御承知いただければと考えています。
 一方で、次の話になってしまいますが、ポジティブリストというのは可能性の高いものということで、「高いだろう」のところで作っていくものかと思いますので、リストの位置付けがそれぞれ異なりますので、そこは御承知おきいただければと思います。
○豊澤座長 そのほかにございますか。よろしいですか。それでは、この1番の事前調査についての1)の事前調査の対象についてについては、細かな御意見はございましたが、大筋で特段の反対はなかったと思いますので、このとおりに進めていただければと思います。
 次の項目に進みます。2)の事前調査者の資格要件についてです。御意見をお願いいたします。
○川口委員 2)についてです。「一定の知識等を付与する仕組み」ということについて、こういったことを考える、こういった知識を持っている人が中核となって調査を担うという方策を考えるという整理に異義はありませんが、建築基準法の2条に書かれている工作物と建築物の定義を見ていただくと分かりますが、工作物のほうが広くて、その中に建築物が入るという収まりになっていると思います。
 建築物をカリキュラムの中で扱っている人たちが全体の工作物をカバーするものではないということは明らかなのですが、一方で、建築物の中も設備機器で始まったり、いろいろな工作物に使うようなものも多数ありまして、ボイラーなどが設置されているようなこともございます。そういったようなことがありますので、カリキュラムの中では、そういったような分野についても拡充をずっと図ってきているというようなところです。
 現状で、今、告示で示されているのは、石綿に関する調査者は、建築物石綿含有建材調査者という制度が唯一であるというところですので、こういったような制度を積極的に活用して、調査者という、知識を有する者の養成、育成をしていただくのがいいのではないかというところです。
 最終的な目的としては、漏れのない調査ということなのですが、当然、工作物の部分については非常に専門領域が広くなりますので、そういった専門の知識の方と、石綿の知識を持っている石綿含有建材調査者の両方が協力し合ってやっていくという姿が、今の現状ですぐにできることというのは、その辺からのスタートなのではないかなと思います。細かい分野で一つ一つやっていきますと、非常に多岐にわたるというところもあります。
 一方、石綿含有建材調査者を受講している方々のプロファイル、どういった方が来ているかということを見ますと、ふだん建築物を扱っているような建設業の方々もいらっしゃるのですが、実は意外と多いのが、分析分野からの参入の方々や、総合解体をやっていらっしゃるような方々、それ以外も設計やコンサル、行政職員といったような方々で、多岐にわたる方々が受講されております。そういったような、非常に多岐にわたった方々がやっているというところも実は背景にありますので、いろいろな専門家の御意見があるのではないかなと思います。
 細かく区分するというようなことよりも、今あるシステムをうまく使っていくのがいいのではないかということで、今までも両方の御意見があったように私も思っているので、今後の検討というように整理されているというのは理解しているところなのですが、今できることからやるというのも、1つの方策であるのではないかなということで、改めて申し上げさせていただきたいと思います。
○漆原委員 これは前回も発言させていただいたところではあるのですが、工作物と建築物の付随の施設の定義をどう考えるのかというところで、それは簡易届出のところで、例えばエレベーターとかエスカレーターなどが入っていて、それは建築物の中の付随する設備だというように定義した場合に、どこまでが建築物の中の付随設備なのか。例えば煙突もそういう場合もあり得るということであれば、どこまでがそうで、どこからが違うというようなところがある程度分かれば、それをこの場でなくても、この次の検討の中でやっていただいてもいいのですが、そういったものがあると現場は混乱しなくていいと思います。例えばプラントの場合は違う、こういう場合は必要だと。その理由付けというところにいくと難しいところもあるかもしれませんが、ざっくりこうだというような形のものを示していただければというように思っています。
○出野委員 2)の事前調査者の資格要件についてですが、全体な流れについては賛成させていただきます。
 その中のBの所に「グループ化をしてうんぬん」とありますが、確かに建築物の調査者と、それ以外の工作物の調査者の内容が違うのは明らかだと思いますので、それを同列に扱うことはできないと思いますので、これは前回も発言したと思います。
 そのグループ化ということなのですが、この話をよく聞いていますと、プラント設備系が話題の中心になっているような気がします。プラント設備系とその他、土木系と建築系など、いろいろな分け方があると思うのですが、プラント設備系とその他のようなグループ分けで、講習会や資格制度を構築するのがよさそうな気がしています。そういう意見です。
 その下の2番の簡易届出制度ですが、これは全部というわけではなくて、指定があるわけですが、例えば現在は煙突とか焼却施設が並んでいますが、この並べ方というのは、何か意図はあったのでしょうか。別にないですよね。今のところは。
 これも意図的にと言いますか、区分をして、グループ化して整理していただければ有り難いかなと思います。例えばプラント設備系とか、土木系とか建築系とか、そういうまとめ方をして、各業界団体に投げていただいて、これでいいのかという確認を取っていただければ有り難いなという感じがします。
○豊澤座長 資格要件について、そのほかにございますか。川口委員も出野委員も、引き続き検討を進めることについては賛成だけれども、川口委員は建築物含有建材調査者をもっとうまく活用すべきであろうという御意見でしたし、出野委員も同じような趣旨で、プラント設備系とその他の工作物については分けて、工作物については建材調査者でもいいのではないか、それを使う可能性もあるのではないかというような御意見と伺いましたが、それでよろしいですか。
○出野委員 答えになるかどうか分かりませんが、プラント設備系というのは、かなり特殊性と言うか専門性が高いですよね。その他の土木建築系というのは、現在ある建築物の調査者の内容とほぼ同じとは言いませんが、かなり重なっているところがあるので、そこから引っ張ってこられると。あるいは、そのまま使えるかもしれないという感じがしております。
○豊澤座長 そのほかにございますか。
○化学物質対策課長補佐 まず、漆原委員から意見があった工作物と建築物の仕分けの話なのですが、今の石綿則はそこが明確に切り分けられているかと言うと、必ずしもはっきりと定義されているわけでもないわけですが、今回、調査をする資格者、後で議論に出ますが、事前調査の届出については、建築物と工作物とで扱いを変える可能性が出てきますので、今回、改めて石綿則上の建築物と石綿則上の工作物をどういう範囲にするかというのをきちんと整理したいと思っていますし、恐らくその整理は必ずしも建築基準法の整理と一致するとは限らないと思っておりますので、そこはまた関係者の方々とも相談させていただきながら整理をしたいと思っています。
 幾つか御意見を頂いたのですが、資格をどうするかという話は、また改めての検討の中でよく御議論させていただければと思います。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局) ここをどう修正するかという意見ではないのですが、実際に工事に携わる方ということで考えますと、解体にしろ修繕にしろ、建設業の許可を持って工事をされる方ですし、それは結構、業界によって分かれていますので、例えば電気工事をやる業者が全然違う土木工事業の許可を取ってということは余りない世界ですから、それぞれの業界のそれぞれの仕事がどういう範囲になっているのかというところなどを捕らまえながら業界の声を聞いていただくと、その方たちはどこに石綿が入っているかということについても、ある程度知見を持ちやすい世界でもあろうかと思うので、その辺りはよく連携させていただきながら、業界の意見も聞いていただければ、効率的にできるのかなと思います。
○豊澤座長 コメントありがとうございます。
○副主任中央労働衛生専門官 実際に資格要件をこれから検討する上で考慮すべき事項について、いろいろ御意見を頂いていますので、今後の検討に当たっては、そういったことにしっかりと留意しながら進めていきたいと考えています。
○豊澤座長 そのほかはありますか。よろしいですか。特段、反対意見はないようですので、次の項目に進みたいと思います。2の簡易届出制度の対象について、1)と2)がありますが、これをまとめて簡易届出制度の対象について議論していきたいと思います。御意見をよろしくお願いします。既に幾つか御意見を頂いているのですが、繰り返しでも結構ですので、お願いします。
○笠井委員 繰り返しになりますが、このポジティブリストについては今後整理されるということですが、例えばこういうカテゴリーにおいても、ある所では入っているし、ある所は入ってないかもしれないという、この区分では区分しきれていない所があるかもしれないので、その辺りが明らかになれば「何々は除く」という表現とか、そういうこともあり得るのかなと思っています。そこも検討課題に入れておいてほしいなと思います。
 それから、3つ目のポツの規模要件なのですが、「請負金額100万円以上の工事とする」ということなのですが、正直なところ、これは初めて出てくる数字だと思いますので、今ここですぐに、いいとか悪いとかというのが、なかなか私自身としては判断が難しいなと思っていますので、もう少し何か根拠を示していただけると有り難いのですが、いかがでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 まずポジティブリストについて、当然、使用されている可能性の高い工作物ということなので、部位によっては一切使われていないという情報などもきっとあるでしょうから、そうしたものは当然除いていくことになろうかと考えております。
 先ほどオブザーバーからも御意見がありましたが、用途や材料などで対象を整理できるのではないかという御意見もありましたが、用途というか、どういった所の部位に、どういう目的で使われているというところで言うと、部位が特定できるので、そういう整理が可能かなとは思うのですが、一方で材料となると、材料が何であるかというところがそもそも事前調査になるので、やはり材料が何かというところでの切り分けというのは難しいかなと思っておりますので、一応、用途や部位など、使用されている可能性が高く、外から見ても特定のできるところで、ポジティブリストを作っていきたいと考えています。
 その中で届出対象と考えるときに、要は外から分かりやすいというところが建築物の中でも議論がされてきたところです。そうした考え方は、工作物の工事規模の基準についても同様の考え方を踏襲させていただいております。実際に工作物の工事について、幾ら以上であればどういったものがあるかという情報が、今現在、関係省庁のほうにも照会しながらではあるのですが、具体的な情報がないと。そういう意味では、この規模であれば、この対象が含まれるとかという情報がない中、とは言え、分かりやすい基準を設けるということで考えますと、やはり建築物の工事の規模基準をそのまま持ってくるということが、制度的には一番分かりやすいだろうということで、100万円という形で提示させていただいております。
 また、その100万円で切るところで、一方で土木工事については500万以上の工事が主ではないかというお話も聞いたりするのですが、一方で100万以上が全くないかというと、そうではないということで、例えばワーキンググループの中でも御意見があったと思うのですが、修理・修繕の中には100万前後のものもあるということで、当然、修理・修繕の中には配管等、石綿含有建材・材料が使われている工事も当然入ってきますので、そうしたところを一定程度、漏れなく対象にすると、かつ、分かりやすい基準ということで、この100万という基準を示させていただいております。一応、御質問等への回答としては以上です。
○佐原委員 2の1)の具体例で、あくまでも例ということで伺ったのですが、前回までは化学プラント、製造プラントという名称で書いてあったのが、今回、化学プラント等に係る製造設備と。これだと何か誤解を生じるのではないかなと。化学プラントのみに限定されるようなイメージを受けるので。
○副主任中央労働衛生専門官 そうですね。
○佐原委員 製造プラントとなると、ありとあらゆるものが、自動車から鉄から、食品が含まれるのですが、この表現になると化学プラントだけというイメージを生じかねない。
○副主任中央労働衛生専門官 化学プラントに限定するということではなくて。
○佐原委員 それは分かります。
○副主任中央労働衛生専門官 やはり使用されている可能性の高いプラントに係る製造設備に限定したいと考えておりますので、そこも含めて先ほど説明の中でざっと触れたところではあるのですが、関係省庁にも情報を頂きながら、石綿含有材料が使用されている可能性の高い製造設備等をポジティブリストにするということで、現時点で明らかに使われているだろうというのは、やはり温度管理が必要な化学反応などをやっているようなプラントは、当然、配管に保温材が使われていたり、それから反応槽に保温材、断熱材が使われている可能性が高いので、少し例示をさせていただいていますが、「等」の中には当然ほかのもの、使用している可能性の高いものが入ってくるということで、今回はそこまで整理ができていないので、「等」という形にしておりますが、化学プラントに限定ということではありません。
○佐原委員 具体例がいろいろ書いてありますが、この中で言うと、明らかに化学プラント等が一番ボリュームとしては大きいというか、我々の工業会の100社の改修・定修工事だけでも1兆円を超える規模があるので、それと料金所とか、そういうのと比べると、はるかに規模が違うかなということで、やはり整理をして、何らかの基準を作らないと、100万以上になると、前から言っているように、数千件、数万件ということになりかねないので、前回出たように定修は1つにするとか、具体的な事例を挙げていかないと、ちょっと整理がつかないかなという気がします。
○副主任中央労働衛生専門官 ありがとうございます。そこの部分については届出対象のほう、100万以上のところで書いている部分の下の所でお示ししていますが、正に前回の議論でもありましたが、定期修理については1つの業者が複数に分けて受けているというお話がありましたので、ひとまとめで出していただくことを想定しております。その辺りは分かりやすいようにお示しして、現場が混乱しないようにと考えております。
○川口委員 簡易届出制度についてですが、工作物の種別その他の区分によって、含有建材の使用頻度の低いものと、頻繁に使うものとを区別して整理するというところは異議はありませんが、一方で、やはり先ほどからも出ていますが、リスクが高いもの、要は飛散とか暴露といったようなリスクの高いものという、優先順位というものがかなり必要だと思いますので、どういう優先順位でやるかということを、ちゃんと議論したほうがいいのかなと思います。
 それから、多分スタートしてやってみると、いろいろなものを実際に見てみるとほとんどないよというものが出てくるかもしれないですね。ですから、そういったものは、今回の簡易届出というのは電子化で届け出るということがありますので、いろいろな解析がしやすいデータセットができるのではないかと思います。その辺については随時、解析をして、これは必要ないのではないかというものは外すとか、そういった検討を継続してやっていただきたいと思います。
 それから、コストの話は先ほど笠井委員と佐原委員からお話がありましたが、1つの箇所から細かい工事がたくさん出てくることがあるかと思います。先ほど専門官から御説明のあった内容は、元請が1つで、その下の一次下請、二次下請が細分化されていれば1社において出しましょうといった整理だと、この文章を私は読んでいたのですが、一方で、1社が頻繁に同じ箇所を定期的に直すことがあります。今日はこっちのバルブが壊れたから直しましょうとか、こっちのパッキンを交換しましょうというのが、立て続けに出るようなことということが当然あり得るわけです。そういったように同じ所を出す度に簡易届出をまた再度出し直すということ、繰り返し出すというのは、やはり非常に頻繁になるかと思います。
 せっかく電子データでの届出をするというシステムになるわけですので、そのデータを保持しながら、例えば工期が変わったら日付だけを入れるとか、工事箇所だけを切り替えて出すというような、簡単なことができるようなインターフェースといったものを御検討いただいたほうがいいのではないかなと思います。以上です。
○副主任中央労働衛生専門官 ポジティブリストについて、リスクの高いもの、飛散性ということで御意見を頂いたかと思います。この届出対象についての考え方としては、建築物においては、対象となる建材について、飛散性等では区分をしておらず、レベル3も含めて対象にするということにしておりますので、工作物についても使用している可能性の高い建材の中で、レベル3だからといって排除するということは考えておりません。
あと、システムの中で頻度が高く届出をするようなケースもあるので、その頻度が高いものについては、できるだけ負担がないような届出が可能となるようなインターフェースということで御意見を賜ったかと思います。システムについては、これから構築するものですので、できるだけ届出を出していただく事業者さんに過度の負担がないようにということでシステム化を考えていますので、頂いた御意見も含めて、システムの構築に当たっては、それを踏まえたものにしていきたいと考えております。
○豊澤座長 そのほかはよろしいですか。
○出野委員 届出の対象で、請負金額が100万円という件なのですが、建築物の場合には解体が、床面積80平米、修繕工事が100万円となっていましたが、工作物については解体・改修ともに一律100万円と、そこがちょっと引っ掛からないわけではないです。例えば解体工事というのは手間賃だけですが、改修工事は材料費が入るわけですよね。そうすると、へたをすると材料費がかさんで手間賃が非常に安いということになると、非常に小さい規模の工事も対象になってしまうという不満が出ないかなと、ちょっとそういう気がしました。以上です。
○副主任中央労働衛生専門官 頂いた懸念というのは、そういう意味では建築物も同様というか、解体・改修工事、同規模ということで考えて作られたものですので、そういった御意見があることは、そういう意味では工作物に限らずということで考えております。
 そういった中での作られた基準というか、決められた基準ですので、工作物だから改修工事100万以上というのが適切ではないということではないかなと考えていますので、そうした説明で御理解を頂ければと考えております。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局) 中身というよりは表現ぶりの所なのですが、先ほどの材料で選ぶのか、箇所で選ぶのかというのは、そもそも材料で明らかに含まれてないのは、そもそも調査対象外になることと捉えると、勘違いすることを踏まえれば、余り材料で捉えるよりは、箇所で捉えたほうがいいのではないかという御意見かなと思っております。
 それはそれで今後詰めていかれるということだと思うので、よろしいのですが、実際にここの表現も、例えばトンネルの所で、前回の資料は押出成形セメント板とか、スレート板となっていたのを、内装化粧板とか天井板というように変えられているのですが、多分、今後詰めていく場合に、また変化がある可能性もあるので、ここで「具体的には、以下に示す物を対象と整理する」と書いてあるのです。1ページ目のほうは例と書かれていて、多分どちらも今後精査する意味では例だと思うので、「例」としておいたほうが誤解がないのかなと。ここのままだと、これはもう確定ですよというのが、ワーキングの結論ですみたいに見えてしまうので、そこの表現ぶりだけを御配慮いただけたら有り難いかなと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 そこは御意見を踏まえて、表現を工夫したいと思います。
○豊澤座長 そのほかよろしいですか。請負金の100万円以上の工事について簡易届出を出してもらうことについてはいろいろ御意見がございましたけれども、事務局からの御説明のとおり、分かりやすく、行政として一定程度漏れなくやりたいということで御理解いただけたと判断してよろしいですか。ありがとうございます。
 そのほかになければ、特段の反対の意見はなかったということで、次の項目に進みたいと思います。3番の発注者による配慮です。何か御意見はありますでしょうか。
○川口委員 発注者による配慮ということで、石綿則の整理の中でも発注者による配慮が入っているかと思うのですけれども、今回の工作物になりますと、ふだんから発注者がずっと管理している施設、どちらかというと公的な施設が多いのかなと、又はそういうふうな大きなプラントとかそういったものは、ふだんは一定の会社が維持管理していくことがされている。公共工事などは入札を踏まえて業者が選定されていくということがありますので、どちらかというと施行する側に治権がずっと続く、どこの何があるという情報を持つよりも、発注者とか所有者側が持っていることが非常に高いかと思いますし、台帳とかの管理も比較的よくされていることが多いのではないかと思います。ですので、先ほど出野委員からもお話がありましたけれども、やはり工作物に関する事前調査は、石綿則の整理では調査をするのは本来は事業者、いわゆる施行する側がやることになっていますけれども、やはり発注者の持っている情報、特に過去の調査結果は非常に大きいものがあると思いますので、この辺のところを発注者との協力というところは非常に重要なポイントになっていくかと。これがうまく機能すると、事前調査を毎回やらなくても作業が進むということで、合理的な工事が進められることにもなっていくかと思います。
 逆に言いますと、届出をするときも、発注者が届出をしていくことは今現状ではないのですが、例えばA社、B社と元請が一緒ならばという話がありましたけれども、発注者が一緒ならばという考え方も場合によってはあるかもしれませんので、その辺の情報を、発注者が同じならば、過去の出た届出が共有だよというような位置付けとか、ラベル付けとかが、電子化で名寄せができるようなことになると非常に有り難いかと思います。
 あと、この中で写真等の話があります。特に、こういう生産設備系については知的財産の考え方とか、生産上のノウハウ、配管の位置とか、そういったものでも非常に大きく変わるようです。そういったようなことが写真を残すことに対しての強いストレスになっているのかなと思っております。やはり写真を撮る作業は発注者側にやっていただいて、それをもらい受けるような形にせざるを得ないことも現場では起きるのではないかと思いますので、写真で残す場合は、例えば施行者側が写真を撮ると、どこが大事な所で、どこは見せてもいい部分なのかがはっきり分からないかもしれませんけれども、発注者側は、ここはちょっと背景に写っても困るという所がありますので、今はデジタルカメラを使うことが多くなっていますから、例えばマスキングするとか、モザイクをかけるとか、そういったような加工はいくらでもできる時代になっていますので、本来は加工してはいけないのが写真の原則だと思いますけれども、こういったケースではそういうことを認めていかないといけないのかなと。うまく回すためには、そういう工夫というのも一つあるかと思います。是非、それぞれの業界でいろんなやりにくい部分とか、写真を記録にしにくい部分があると思いますので、そういったものを少し調べていただいて、こういうルールを決めていくところには考えていただければと思います。
○豊澤座長 そのほか、ございますか。
○出野委員 今の写真の件ですけれども、発注者や所有者の配慮義務、これでも別に問題はないのかもしれませんけれども、もう一歩踏み込んで、発注者は配慮ではなくて、必ず写真を撮ることに反対してはならんと、拒絶してはならんと、いうのを原則にして、ただし、こういう場合について、例えば知的財産権に係るとかそういう場合については許否、拒絶することができると、そういう規定のほうが業者としては、解体業者としてはやりやすいかという感じはします。御検討いただきたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 今、発注者への。すみません、どうぞ。
○佐原委員 現実的にはちょっと、発注者も、国が言ったから「いいよ」というふうには、まずならないと思うのです。どうしても写真というのは前から言っているように、非常に拒絶反応があって、昨日も、別の経済産業省との打合せの中でもその話が出たのですけれども、相変わらず、もう頑強に拒んで、写真の件に関しては先に進まないと。だから協力を願いたいというレベルでは恐らく写真は撮れないかと思いますので、何らかのオーナーサイドの団体等にお伺いできればと思うのです。そういう会合の中でも、我々としてはいろんなAI技術などを活用してやりたいと提案しても、やはり拒否されます。その辺はどうしても、前に言いましたように、パテントの問題とかいろいろあって、どうしても写真だけは駄目だというのが現実的な世界なので、その辺は、省庁からヒアリングをしていただければと。
○出野委員 今の写真を撮ること自体にもう反対ということですかね。一回写真を撮って、これは表に出してもいいよとか、出してはいけないという判断をする、それ以前の問題だと。
○佐原委員 それ以前の、そうです。
○出野委員 写真を撮ること自体が反対だということですね。
○豊澤座長 川口委員は発注者に写真を撮ってもらえばと。発注者に隠したい所を隠してもらうというのはどうでしょうかという意見でしたけれども、それでも駄目ですか。
○佐原委員 いや、我々は写真を活用したいのですが、オーナーサイドがそういう頑なな態度なので、それをどうするかという問題です。
○副主任中央労働衛生専門官 実際にやり取りをされている発注者からそうした御意見があるということは実際にそうなのでしょうし、一方で、ワーキンググループの中でヒアリング結果として出させていただいた業者、団体からのヒアリングの中では、場合によっては写真が撮れるようなケースもあるということで、若干濃淡はあるでしょうし、厳しいという発注者が多いのかもしれないのですが、そこはできる工夫をするということを配慮として求めていくとともに、我々からもしっかりと発注者側にも、この制度についての周知というか御説明をして、御理解を頂くような形で進めていきたいと考えております。できる工夫がちょっと濃淡あるのだろうとは思っていますので、いろいろな工夫の仕方があるということで、発注者サイドの意見も聞きながら配慮を求めていきたいと考えております。
○笠井委員 付け加えてというか、補足ですが、カメラそのものを持って入れないという事態がやはりあって、私も経験があるのですけれども、黙ってカメラを持って入った者がいたのですが、そいつはもう出入り禁止になってしまいましたので、厳しい所はそれぐらい管理をして、カメラすら持って入らせないということになりますので、そこの厳しさをどのように考えていくかをもう一度検討しないと、御協力をお願いします程度では、先ほどからも出ていますように、なかなか難しいところがあるのかなと実感として感じております。
○オブザーバー(環境省水・大気環境局) 環境省です。ありがとうございます。今ほどいろいろと御意見を頂いた写真の件で、これはちょっと教えて頂きたい、これからさらに詳細というか、どういうふうにしていくかを、また考えていかなければいけない部分かと思うのですが、川口委員からお話にあった、例えば発注者に撮っていただくことになりますと、現場の実態として、例えば工場の方が見回りをされたり、現場の作業に着いておられたりとかがあると思うのですね。そういったことは、実際に現場としては、要は工場の方がそういうことを作業ができるほど見回りを頻繁にされているのかどうかということとか。あとは、例えば笠井委員がおっしゃるように、工事施行業者がカメラ自体を持って入れないという中で、当然ながら作業が完了したことを確認することが必要になってくると思うのですね。そういったところを、例えば写真が撮れないとしたら、どういうふうに確認をされているのか、現状というか、少し御教示いただけると有り難いと思うのですが、いかがでしょうか。
○川口委員 少ない私の経験的な話ですけれども、やはりカメラの持込みはほとんどの場合は許可されません。携帯電話等もカメラ機能のないものを持って来いというような感じに指導されて、そういうのを持込むことになります。写真については、そういう訳ですので撮る術がないのです。ですから、もし写真がどうしても必要な場合は、発注者にお願いして撮ってもらって、そのデータを頂くというプロセスを踏まないと写真を入手できないということがあります。そのような相談をしたときに、全然駄目だという場合もありますし、場合によっては、もう解体するものなので、ここの部分だけだったらばいいですという話の土俵に乗るケースも非常にまれだと思いますが、私の過去の経験ではありました。基本的には、先ほど佐原委員がお話されていましたように、ほとんど写真は撮れなくて、記録も残せなくてというのが普通ではないかと思います。可能性があるのは、発注者側にお願いをするという、ただこれも依頼で、確実にしていただけるかどうかは分かりませんし、こういう写真が欲しいと言ってもそのタイミングで来てくれるか、これは向こうのスケジュールのお話もありますので、できるかどうかは分からないというようなことだと思います。
○化学物質対策課長補佐 今いろいろ現場の実態として写真を撮ることのハードルの高さというのは、御意見として頂いているのですけれども、一応、記録の残し方については、写真以外に何か方法がないかということも含めて、いろいろな業種の方の実態もお聞きしながら、どういうふうに運用していくか考える必要があるかと思っております。必ずしも、ここでも写真だけが手段とは決めていないですので、それに変わる何かいい方法があるかということも含めて、お知恵を頂きながら、どういうふうに運用できるかを考える必要があるかと思っています。
○佐原委員 前にも言いましたように、写真は構内では絶対撮れないので、それに変わる方法として、三者立合いの上の完了という形をプラント業界では取っていますので、お客様(オーナー)をもっている方と、例えば高圧ガスだと担当官庁の方と、それと施行業者の三者で、これは終わりましたという確認を現認すると、それでサインをもらうという形でしか手はないです。完成したから、その部分だけ写真を撮るというやり方はしたことはないです。ほとんど現認。
○化学物質対策課長補佐 一応、この記録を残すことの趣旨は、よく御存じだと思うのですが、作業をされる方の安全がきちんと確保された形で作業をされているかということの記録を残すことなので、作業が終わったことの確認ではないのですね。その過程の記録をどう残していくかという。
○佐原委員 過程の記録に関してはないです。作業指示書というのはあるのですが、それに対してきちんと守ってやったかというのはなくて、終わったことの確認のみなので、途中でちゃんとマスクをしていたかとか、そういう確認の場面はないですけれども、当然のようにマスクをしてないと作業はできないし、それがパトロールで見つかればもちろん出入り禁止になるということで、構内作業については徹底して保護具は守らざるを得ないというか、それを怠ると、安全帯や白マスクなどの保護具全て、していない人に関しては出入り禁止になります。雇い入れている会社も当然それなりの罰則を受けますので、構内作業においては間違いなく徹底はされています。ただ、それを文書で出せと言われると、途中の作業においては、ないというところです。
○副主任中央労働衛生専門官 正に、これから記録を付けていただき、そして保存していただくことを義務化していくものなので、それをどういった形で担保していくかということで、写真以外の方法についても工夫できるものがあるかを、今後御意見を踏まえながら検討していきたいと思います。今、発注者とか、確認をしているという実態があるという御意見を頂いていると思いますので、そうした実態をどう記録に残していくかも含めて、写真以外の方法についての今後、検討に当たっては、それを踏まえていきたいと考えております。
○佐原委員 例えば高圧ガスの場合は、必ずオーナーサイドが立会いをしなければいけないということがありますので、作業中はずっと見ている、誰か1人必ず付いて見ているのがあります。そのオーナーサイド側がどういう記録を取るかを考えていけばいいのかなと。写真は撮れないにしても、そんな方法を考えたほうがいいかと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 ありがとうございます。
○出野委員 ヒアリング概要の資料がありますけれども、ここに入ってもよろしいですか。
○副主任中央労働衛生専門官 前回の資料ですか。
○豊澤座長 今日の資料です。
○副主任中央労働衛生専門官 今日の資料には付けてなくて。
○出野委員 前回ですか。
○副主任中央労働衛生専門官 はい。
○出野委員 失礼しました。
○副主任中央労働衛生専門官 あと第2回の工作物ワーキンググループの資料の中で、資料1の論点の所の最後のページに、今、出野委員がおっしゃっているヒアリング概要が載っています。
○出野委員 その中に、川崎市や横浜市ではプラントがたくさんありそうな感じがするのですが、そこでは、条令で、「作業完了届としては作業の巡回の写真で記録したものの提出が必要となっている」、「写真での記録を行っている」と、こういう回答があるのですが、この辺りは横浜市とか川崎市にお聞きになったとか、そういうことはあるのですか。本当にそのようにやっているのかと思いますけれども、ちょっと気になりました。
○オブザーバー(環境省水・大気環境局) 環境省です。こちらのヒアリング概要の中にある作業の写真等について、大気汚染防止法で特に今のところ、ここまでの義務はないのですが、各自治体の条例で、そういう作業完了届、報告なりを求めている例があるということです。川崎市、横浜市の条例でどこまで書き込んでいるかまでは、ちょっと詳細は承知していないですけれども、まずは行政指導で記録を確認するものとして、写真の添付を指導していると考えております。この記録の中で全く写真撮影を許可しない業界もあるというコメントもありますので、そういった場合はどうしているのかというところを、ちょっと聞いてみるのも一つあるかなと考えております。
○豊澤座長 そのほかございますか。発注者による配慮ということで、発注者の協力が不可欠だということについては、皆さんも異議はないと思います。やり方については、いろいろなやり方があるということで、今後検討していただくことで、この文章自体についてはお認めいただけるとしてよろしいですか。
 それでは、全体として何かございますか。ちょっと早いですけれども、大体の本ワーキンググループとしての意見はほぼ議論は出尽くしたように思いますので、事務局作成の案で取りまとめていきたいと思います。若干、具体的なポジティブリストについては、事務局から説明があったとおり、階層をそろえたり、修正をしていただければと思います。あとは発注者の協力、今議論になったところですけれども、発注者の協力に係る要望等の意見を踏まえて、運用に当たっては発注者への協力依頼等、留意いただければと思います。それから運用に向けた工作物と建築物の区分等の整理については、御意見がございましたので、運用に当たっては、意見を踏まえて整理していただきますようお願いしたいと思います。
本ワーキンググループで取りまとめた内容については、本検討会に報告することとしておりますので、事務局は本検討会への報告の準備をよろしくお願いいたします。なお、今後引き続き検討としている事項もございますので、その検討の場は改めて設置することも含め、今後検討し、決めさせていただきたいと思います。以上で、本日の議題については全て御議論頂きました。
 事務局から何かございますでしょうか。
○化学物質対策課長 お忙しい中、3回にわたるワーキング会合に参画いただきましてありがとうございました。また、熱心な御審議、意見交換により、本日工作物のワーキンググループ会合の取りまとめを行うことができました。この取りまとめ案を踏まえまして、石綿対策の充実強化、また労働者の健康確保の充実に努めてまいりたいと考えております。また残された課題も多々あるかと思います。引き続き御理解、御協力をよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○豊澤座長 本日の議題は全て終わりました。司会を事務局にお返しいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 本日は長時間にわたりまして御審議ありがとうございました。本日の会議録につきましては、各委員に御確認を頂いた上で公開することとしておりますので、確認等よろしくお願いいたします。また、本検討会に報告する取りまとめですけれども、今回お示しした案から少し表現ぶりとかを直したり、それからポジティブリストについて整理を進めたりと、少し修正した形にさせていただくことになろうかと思います。内容につきましては座長に御相談をして固めたいと考えておりまして、その固めた内容については皆様方に共有させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは以上で、第3回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会工作物に関するワーキンググループを閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。