第5回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和元年12月3日(火) 10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等について
    1. (ⅰ)中間とりまとめ について
    2. (ⅱ)工作物及び船舶に関するワーキンググループの設置について
    3. (ⅲ)引き続き検討を行う論点について
  2. (2)その他

議事

○副主任中央労働衛生専門官 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。ただいまより、第5回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会を開催させていただきます。委員の出席状況ですが、本日は委員全員に御出席を頂いております。また、連合からの御推薦を頂いている委員については異動に伴う変更がありましたので、御紹介をさせていただきます。今回から漆原委員に検討会委員に御就任いただいております。よろしくお願いいたします。以降の議事進行については、座長にお願いいたします。
○豊澤座長 おはようございます。議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 委員の皆様には、お手元にタブレットを御用意しております。トップページに本日の議事次第、資料1、資料2、資料3-1、資料3-2、参考資料をPDFで御用意しております。また、過去の検討会やワーキンググループで使用した資料については、参考資料としてそれぞれの検討会、ワーキンググループごとにフォルダーに入れて御用意をしておりますので、適宜御参照いただければと思います。資料について過不足がありましたら、お知らせをお願いいたします。
○豊澤座長 それでは、本日の議事に移りたいと思います。まず議事の(1)、建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の技術的事項についての中間とりまとめ案についてです。前回、第4回の検討会で私から、これまで議論されてきた論点については、ほぼ方向性が定まってきて、今回の検討会で中間とりまとめを行いたいので、今回の検討会までに事務局へ中間とりまとめ案の作成を依頼しました。それで本日、資料1として案が提示されております。まず資料1について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等の見直しの方向性(案)」ということで、この検討会の中間とりまとめの案をお示ししております。構成は、1として「方向性について合意が得られた論点」、2として「引き続き検討を行う論点」という形で、2つに分けてまとめております。まず「方向性について合意が得られた論点」から、説明させていただきます。これは平成30年7月から、この検討会で議論を行っていただいております。方向性について合意が得られた主な論点について、以下のとおりとりまとめることにさせていただいております。
 まず1つ目の論点は、解体・改修工事開始前の調査です。課題として、建築物の解体又は改修を行う場合は石綿則の第3条において、石綿等の使用の有無を目視、設計図書等による調査で石綿等の使用の有無が明らかにならなかったときは、分析による調査が義務付けられているところですが、これらの調査を行う者の要件は明確に規定されておらず、その調査方法・範囲についても法令上、明確になっていないという課題があります。また、平成28年5月の総務省勧告の中で、建築物や石綿含有建材に関する十分な知識のない者が調査を行っていること、調査方法に関する認識が不足していることなどを要因とし、調査が不十分なまま解体等工事が行われている事案が指摘されています。
 一方、建築物の解体・改修前の石綿等の使用の有無を調査する者については、平成30年10月に厚生労働大臣、国土交通大臣、環境大臣の共管による告示において、調査者講習登録規程が定められました。この講習を修了した者は、平成31年3月末現在で1,275名いらっしゃるという状況になっております。今後、石綿等を使用した建築物等の解体・改修工事が更に増加することが見込まれる中、この調査を実施する能力を有する者の早急な育成・確保が必要な状況という課題があります。
 また、事前調査で石綿等の有無が不明であった場合、含有と見なして必要な措置を講じれば分析は不要とするというのが、石綿則第3条第2項のただし書きで規定されておりますが、吹付石綿については適用除外がされているという状況です。しかしながら、吹付材の石綿含有が推定できる場合、工期の関係から分析を行わず、隔離等の対策を行うなどが求められるケースがあるという課題があります。さらに石綿則第3条においては、調査結果の記録の作成が義務付けられているところですが、この記録の保存年限が規定されていないという状況です。一方、先ほどの総務省勧告においては、調査結果が適切に作業者に共有されないまま、石綿飛散・ばく露防止措置が講じられず、解体等工事が行われた事案も指摘されています。
 こうした課題を踏まえ、以下のとおり石綿則の見直し等を行うことが適当ということで、アにありますように、事前調査の方法の具体化として、石綿則の事前調査については、必ず現地調査を行わなければならないこととすると。ただし石綿等の製造、使用等が禁止された以降に着工した建築物については、この事実を設計図書等で確認することで足りるとしてはどうかとしております。マル2では、石綿則における事前調査については、外観からでは目視で直接確認できない部分を含め、解体・改修工事に関わる全ての部位を調査しなければならないとするとしております。これらの見直しに併せ、次のa~dのとおり運用上の考え方を示すとともに、eの対応を行うことにしております。
 それでは、ざっとa~eまで御紹介させていただきます。aはねじを外す等、建材を全く損傷させることのない解体等を行う場合については、事前調査を行う必要はないということです。bは、工事着工後に調査が必要な建材が見つかった場合は、再度調査が必要であるということです。cは、調査において同一と考えられる材料の範囲を、同一ロットのものなどを例示するとともに、例えば同一の建材としての材料の判断方法として、天井板であれば点検口から裏面を確認するなど、客観的かつ合理的な判断方法を示すということです。dは、石綿を含有する可能性のある建材について含有なしと判断する方法として、分析による方法のほか、当該建材について商品を特定し、かつ、当該商品についてメーカー証明、又はメーカーによる情報と照合する方法によるということです。また、その分析に当たっては試料採取が必要になるわけですけれども、その試料採取の具体的な箇所数については、別途、専門家による検討を行うべきということでまとめております。
 続いて、吹付材に対するみなし規定の適用です。イですが、先ほどの石綿則第3条第2項のただし書きで除外されている吹付石綿等について、吹付石綿等を除去する場合に求められる措置(外見から判断して必要と思われる最も厳しい措置)を講じることを前提に適用除外とはしないで、みなしができることとしてはどうかということでまとめております。
 続いて、ウの「事前調査を行う者の要件の新設」です。マル1ですけれども、適切な能力を有する事前調査者が着実に育成・確保されるよう、事前調査を行う者については一定の講習、これについては現行の建築物石綿含有建材調査者講習を想定しており、これを修了した者、又はそれと同等以上の知識・経験を有する者です。この同等以上の知識・経験を有する者については今、現行の厚生労働省の通知で示している、日本アスベスト調査診断協会に制度改正前に登録された者を想定しており、こうした者でなければならないとしてはどうかということです。
 さらに戸建ての住宅に係る事前調査については、使われている建材・規模・用途から、調査対象となる建材の種類等が限定されること、戸建て住宅のみ取り扱う事業者が一定程度存在するということで、知識・技能水準については現行の調査者講習と同等のものとなるよう留意しつつ、戸建て住宅に関する留意事項、事例等に特化した講習を修了した者による調査も可能としてはどうかということでまとめております。
 これら石綿則の見直しに合わせ、運用上の対応としてa~cの対応を行います。aですが、戸建ての住宅に限定した講習については、具体的な講習時間、講習カリキュラムについて今後、国において専門家等の意見を踏まえながら検討すること、また、知識・技能を修得したかどうかを判定する修了考査の時間については、現行の調査者と同程度の1時間程度を必須とするとともに、受講資格は現行の調査者と同じとするとしてはどうかというものです。
 bですが、構造が複雑で、使用されている石綿含有建材も多様と考えられる一定規模以上の建築物については、特定調査者又は一定の実地・経験を積んだ一般調査者によることを推奨するものです。
 cですが、解体工事等を行う事業者については多数に上ることから、できるだけ多くの者が事前調査を行うための知識等を習得できるよう、講習実施体制及び習得のための期間を確保すること、解体工事を行う事業者は小規模事業者が多いということで、講習受講について必要に応じて支援を行うということでまとめております。
 次にエの「分析を行う者の要件の新設」です。事前調査における石綿の分析について、適切な能力を有する分析者が着実に育成・確保されるために、石綿則において分析者は一定の講習を修了した者、又はそれと同等以上の知識・経験を有する者でなければならないこととすると。この石綿則の見直しに合わせ、分析を行う者の要件とする講習の運用上の考え方、今後の対応方針については、以下のとおりとします。講習の内容については、こちらに示す表のとおりとすることとし、分析方法によって用いる分析機器が異なることから、どちらか一方の分析方法に係る講習を受講することを求めることにしております。具体的な講習時間、講習カリキュラムについては、今後、国において専門家の意見も踏まえながら検討するということでまとめております。
 続いてオの「事前調査結果の記録等」です。解体等の作業を行う労働者が、石綿含有建材の場所等の詳細情報を共有し、具体的な内容を確認できるよう、事前調査結果を現場に備え付けなければならないとしております。マル2ですが、事前調査結果については、行政による店社に対する指導において、関係書類として活用すること、解体業者が適切な対策を講じる動機付けとすること、労働者の健康管理のための作業内容・期間等の記録作成に活用することなどを目的とし、自主点検の記録の保存期間(3年)などを踏まえ、石綿則において次のa~iの事項について、一定の期間保存しなければならないとしております。
 aは現地調査等の結果ということで、こちらについては使用箇所を特定できる情報(写真等)を残していただきます。bは調査方法及び調査箇所について残していただくということで考えております。特に石綿含有なしと判断した場合はその判断根拠と、それに対応する同一建材について、しっかり記録を残していただきます。具体的には分析によらない場合は、先ほどの調査方法の中にもありましたが、特定した商品名等、当該商品等についてのメーカーが証明した書面などを残していただくことにしております。cは調査を行った者の氏名及び要件を満たすことを証明する書類、dは調査の範囲ということで、回収等の場合は、調査範囲と作業範囲の一致状況が特定できる情報を残していただきます。eはその他の必要な情報ということで、調査年月日、事業場対象物件の名称、建築物の種別、fは分析を行った場合に限りますが、分析結果、分析方法、分析を行った者の氏名及び要件を満たすことを証明する書類、その他必要な情報、分析に係る必要な情報ということで、こちらの記録を残していただくことを求めるということでまとめております。併せて、労働者の健康管理の観点から、40年間の保存が義務付けられている労働者の作業の概要・期間等の作業の記録については、今説明した調査結果の記録からまとめた調査結果の概要も、この40年保存の事項として追加するということでまとめております。以上が事前調査に関わる部分です。
 (2)として、「解体・改修工事開始前の届出」です。建築物の解体又は改修を行う場合で、石綿等が吹き付けられている耐火建築物又は準耐火建築物において、石綿等の除去を行う場合については、作業開始の14日前までに労働安全衛生法第88条に基づく計画届を行うことが義務付けられております。また、石綿含有の保温材、耐火被覆材、断熱材、いわゆるレベル2と言われるものですが、これを除去する場合においては石綿則第5条の規定に基づき、作業開始前までに労働基準監督署に作業届を行うことが義務付けられております。
 しかしながら総務省勧告においては、事前の調査を適切に行わずに解体工事を行う事案に加え、必要な届出を行わないまま解体工事が行われた事案が多数確認されたとの指摘がされております。解体・改修工事については、製品が生産される工場等での対策と異なり、工事が終了してしまうと対象建築物等がなくなってしまったり、改修前の建材がなくなったりしてしまうということで、その工事が届出が必要な工事であったか、その工事において石綿ばく露防止措置が適切に行われたのかどうか、事後に確認することが困難という状況です。そのため、事業者にとってはそうした措置を講ずる動機付けが働きにくい状況にあるといった課題があります。
 こうした課題を踏まえ、石綿則の見直しを以下のとおり行うことが適当ということです。アは「解体・改修工事に係る届出制度の新設」ということで、事前調査及び措置の適切な実施を促すこと、行政が解体・改修工事を把握し、必要な指導等が行えるよう、戸建て住宅も含めて解体工事の大部分を対象としつつ、同規模の改修工事も対象とする基準として、石綿則において既存の計画届、作業届に加え、以下の基準に該当する工事については、石綿含有の有無に関わりなく、以下の事項について原則として電子的な届出により、あらかじめ労働基準監督署に届け出なければならないこととすると。
 工事の基準についてはa、bでお示ししております。解体工事部分について、床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事、請負金額が100万円以上である建築物の改修工事という基準に該当するものについては、新たな簡易届出の対象とするということでまとめております。これは前回の検討会で御議論いただいた内容で、12ページで前回の検討会で示した案と、前回の検討会で出された主な意見と、それを踏まえた対応案ということで考え方をまとめております。
 12ページを御覧いただきたいと思います。前回の意見を踏まえ、「前回の検討会で出された主な意見」としては、100万円以上とする基準に異論はないという御意見、一方で安価に解体を引き受ける事業者が対象から漏れてしまうおそれがあるという御意見、建設リサイクル法で既に80m2以上の届出が周知されているので、解体工事については床面積80m2以上という基準としたらどうかという御意見、改修工事の100万円という基準については小さ過ぎて、建設業許可のない者も対象となるため、周知が図られるのかという疑問もあり、500万円あたりが妥当ではないかという御意見、事前調査が適切に行われていない現状をどう改善するかというのが議論の出発点だったので、屋根や水回りなどの改修工事も対象に入れるようにするべきという御意見がありました。これらを踏まえ、解体床面積80m2以上の解体工事、それと同等の工事として、屋根や水回りの改修工事も対象となる同規模の改修工事も基準とするということで、先ほどのa、bでお示しした80m2以上の解体工事、100万円以上の改修工事を基準とするということでまとめております。
 5ページに戻ってください。この届出情報については、a~cの内容ということでまとめております。a、工事に関する基本情報として、解体工事を実施する事業者の名称等、解体工事の作業場所の住所、建築物の構造の概要、新築工事の着工年月日、過去の改修工事の有無とそれらの着工年月日、解体・改修工事の名称及び内容、解体工事であれば床面積、改修工事であれば請負金額、石綿除去等に係る作業の期間、石綿作業主任者の氏名です。
 b、事前調査に関する情報として、事前調査の実施年月日、調査を行った者の氏名と要件を満たすことを証明する書類、分析を行った場合は分析者の氏名、要件を満たすことを証明する書類です。
 c、事前調査の結果及び予定する石綿除去等に係る措置の内容として、建材ごとの石綿含有の有無、判断根拠、作業の種類、破砕・切断等の有無、措置の内容について、具体的には14ページでお示ししているように、チェックボックスにチェックをしていただくような、簡易な届出とするということでまとめております。
 また、工事の基準のうち、請負金額については石綿則において以下の取扱いとするということで、解体工事又は改修工事を同一の事業者が2以上の契約に分割して請け負う場合は、1つの契約で請け負ったものと見なして適用するということを、こことも併せて石綿則で位置付けることにしております。
 マル3ではこれらの石綿則の見直しに併せ、a~cに運用上の考え方をお示ししております。aは、同一工事の仕事を複数の事業者が請け負っている場合、元請事業者がこの届出を提出すること、bは、工事着工後に新たに調査が必要な建材が見つかった場合、当該建材について再度調査を行った上で、再度調査を行った建材について追加で届出を提出することを求める、cは、改修工事の請負金額については、材料費も含めた工事全体の請負金額とするということでまとめております。こちらが簡易な届出制度の新設です。
 続いて、(3)「隔離作業に係る措置」です。吹き付けられている石綿等の除去を行う場合、また保温材等のレベル2建材を除去する場合については、石綿則の第6条に基づき、作業場所の隔離、負圧の維持・点検、石綿等の漏えいの点検、隔離解除前の除去した石綿等の粉じんの処理及び除去箇所の湿潤化等が義務付けられているところです。この石綿除去作業において、石綿を取り残したまま隔離を解く事案も散見されているという課題があります。
 厚生労働省、環境省が実施した調査において、集じん・排気装置の不備、集じん機とダクトとの接合部に足場が当たったことによる一時的外れや作業員の出入り等の不備、隔離の不備、機材等に石綿等が付着した状態での持ち出しなどにより、石綿等が隔離の外に漏えいした事案が確認されているということで課題として挙げております。
 隔離等と同等以上の効果を有する措置として、グローブバック工法を厚生労働省の通知において示しているところです。このグローブバック工法について法令上求められる具体的な措置が明確になっておらず、独自にグローブバックを作成して作業を行うような事例も見られ、こうした課題に対応するための見直しとして、ア、隔離・漏洩防止措置については、マル1石綿則において、石綿則第6条第1項第1号及び第2号に掲げる負圧隔離を求める作業を行った場合、その隔離を解く際には当該作業で除去を行った吹付石綿等について、石綿等の除去が完了したことを確認しなければ隔離を解いてはならないこととしております。
 マル2この石綿則の見直しに加え、以下のaで示した対応を行うとともに、bの運用上の考え方を示すことにしております。(a)のaの対応ですが、(a)石綿作業主任者への能力向上のための研修等により、集じん機・排気装置の点検等の徹底を図ること。(b)作業中にダクト等に衝突しないよう、また、衝突した場合は応急措置を行うよう、注意事項等を示すこと。(c)洗身室の使用方法についても十分教育するよう、労働者への特別教育の教材等の充実を図ること。(d)負圧隔離の漏れの有無の確認方法として、作業前の確認方法は目視やスモークテスターを使用する方法のほか、触診などの方法も例示に加えること。(e)吹付材劣化による脱落などにより、機材等に落下・付着している石綿については、作業開始前に清掃作業等を行うなどにより、石綿の飛散持ち出し等の防止をするなど、注意事項等を示すこと。(f)除去建材崩落等の際の作業方法について留意事項等を示すこと。b、グローブバッグ工法については(a)~(g)の具体的な措置内容を示すこととしてまとめております。
 続いて、(4)「隔離を必要としない作業に係る措置」は、隔離等の措置が必要となる建材以外の具体的にはレベル3と呼ばれる成形板等の石綿含有建材については、石綿の飛散の程度が比較的低いので、石綿則において、切断等を行う場合も隔離等の措置は求めず、湿潤な状態にすること。労働者に呼吸用保護具を使用させることを義務付けているところです。これらの建材のうち、ケイ酸カルシウム板第1種については、破砕した場合、比較的高濃度の石綿の飛散が見られます。一方で、湿潤化に加えて、負圧までは求めない隔離を行うことにより、外部への飛散は抑制できるとの測定結果が環境省の調査において得られているということです。
 こうした課題に対応するとして、アで示す石綿則の見直し等を行うことが適当としてまとめております。ア、レベル3建材に対する措置として、マル1石綿則において、レベル3建材については破砕を行わずに除去することを原則とするとともに、石綿等を含有するケイ酸カルシウム板第1種をやむを得ず破砕する場合は、湿潤化に加えて、作業場所の周囲を隔離しなければならないこと。マル2この石綿則の見直しに加え、次のa及びbの対応をするということ。a、清掃に係る指導を行うこと。b、除去等の作業場所でのマスク着用の指導徹底ということでまとめております。
 (5)「作業の記録」で、先ほど、事前調査結果の記録と課題については、ほぼ同内容のため割愛いたします。そうした課題に対応するとして、ア、作業計画に基づく作業実施状況等の記録などの見直し等を行うことが適当とまとめております。マル1作業計画に基づく作業の実施状況及び従事労働者に関して、以下の目的は課題に対応するものということで割愛いたします。以下のa(a)~(e)及びbの事項を一定の期間保存しなければならないこととするとまとめております。
 a、作業の実施状況等の記録で、(a)~(e)の内容を記録していただくこととしております。この作業の実施状況等の記録については、※にもありますが、現場ごとに(a)~(e)の事項について日時・撮影場所・各措置の内容が分かる形で写真等により記録しなければならないとしております。なお、作業の記録内容については、現場での過度な負担とならないように留意が必要であることも併せて追記しております。
 b、従事労働者の記録についても作業計画に記載されている石綿を取り扱う作業の順序ごとに当該作業に従事した労働者及び周辺労働者の氏名と当該作業日を記録しなければならないということでまとめております。
 また、マル2労働者の健康管理の観点から、40年間の保存が義務付けられている労働者の作業の概要・期間等の作業記録については、今、御説明した作業実施状況等の記録からまとめた湿潤化、保護具の着用等の「ばく露防止対策の概要」も保存を義務付ける事項として追加することでまとめております。
 (6)「作業時の作業環境測定」です。課題として、石綿等が使用されている建築物等の解体等工事においては、作業場所や作業内容が随時変化することで、作業場所、作業内容が変化していますが、一方で、石綿の濃度を測定するためには一定程度の期間を要することから、作業環境測定は義務付けておらず、石綿則においては、湿潤化による飛散の程度の低減、保護具の着用等を義務付けています。しかしながら、労働者が従事する石綿等の除去作業における当該作業環境に対応した、より一層適切な呼吸用保護具の選定が必要との指摘があるということです。
 こうした課題を踏まえ、以下の取組を行うことが適当であるということでまとめております。具体的な取組内容は、ア、様々な作業における作業環境中の石綿濃度の測定・公表ということで、今後、国で建築建材等の種類、解体作業等の種類ごとに作業環境測定の結果をとりまとめて公表し、これらを参考にして、各作業におけるリスク把握、必要な呼吸用保護具の選定等を行い、促進することでとりまとめております。以上が一定の方向性が得られたものと論点ということで、とりまとめの内容になっております。
 2「引き続き検討を行う論点」です。次に掲げる論点について、引き続き検討を行うこととしております。(1)解体・改修工事開始前の届出に関して、計画届の対象拡大について。(2)隔離作業に係る措置として、ア、仕上塗材に対する措置は、現在、石綿則においては施工方法によって規制内容が異なっており、吹付施工されたものはレベル1建材としての規制、吹付施工以外の方法で施工されたものは、いわゆるレベル3建材としての規制となっている現状があり、一方で、仕上塗材の除去等の作業において、当初の施工方法で石綿等の飛散性が異なるものではないこと。いずれの施工方法による仕上塗材についても、レベル1建材ほどの高濃度の石綿等が飛散しない状況が見られることで、これらの課題に対応するため、来年の2月を目途に、国において仕上塗材の除去作業における飛散状況及びこれに対する対策を検証することで動いております。これを検証した上で必要な措置について引き続き検討を行うこととしております。
 (3)隔離を必要としない作業に係る措置として、ア、湿潤化が困難な場合の措置は、レベル3建材の作業において、湿潤化を義務付けているところですが、湿潤化が困難な場合については、その限りではないとしています。この困難な場合の措置として、何か考えられるかを引き続き検討することとしております。
 (4)解体・改修工事に係る管理体制は、ア「現場における安全衛生管理体制」、イ「労働者に対する教育の充実」については、引き続き御検討いただく論点としてまとめております。(5)事業者に対する指導等は、ア、関係情報の公開等についても引き続き検討を行うことでとりまとめております。
 最後に、(6)大気汚染防止法等との連携ということで、現在、環境省の中央環境審議会の小委員会においても、今後の石綿飛散防止の在り方について検討が行われており、10月21日に開催された小委員会において、検討のとりまとめとして答申案が示されているところです。この答申案に盛り込まれた以下の論点を含む事項についても、今後、検討を行うこととして挙げております。
 ア、隔離空間からの石綿等の漏えいの監視として、この環境省の答申案の中でレベル1・2の石綿含有建材の除去する隔離場所からの石綿の漏えい監視を強化として「集じん・排気装置の正常な稼働の確認の頻度を増やすとともに、前室における負圧の状況の確認についても頻度を増やすこと」とまとめられております。
 一方、石綿則第6条の規定においては、漏えい監視のため、マル1隔離場所において初めて作業を行う場合に、作業開始後、速やかに集じん・排気装置の排出口からの石綿等の漏えいの有無を点検。マル2その日の作業開始前に、負圧を保たれていることを点検することを求めているところですが、確認の頻度を増やすとの環境省の答申案の方針も踏まえ、この漏えい監視の在り方について、今後、検討する論点ということでとりまとめております。以上、簡単ではありますが、中間のとりまとめ案です。
○豊澤座長 ありがとうございました。ただいま事務局から中間とりまとめについて説明していただきました。中間とりまとめ案について御意見等あればお願いします。
○本多委員 中間とりまとめの前半については、関係委員の皆様での活発な議論並びに事務局の方々によりまして、各委員と精力的に意見交換をなされておりまして、大筋での異論は特にありません。その前提の下で、4~5ページに書かれている事前調査の結果の届出制度に関して、1点懸念する点がありますので改めて発言させていただきます。
 それは小規模工事を対象として、どのように周知徹底するのかとの重い課題について不安をぬぐえないということです。これまで何度か申し上げているように、500万円未満の工事しか請け負わない業者であれば、建設業許可は御承知のとおり不要です。その意味で100万円の基準となりますと、業許可を持っていない業者も対象となりますので、こうした制度が新設されたことを周知することは至難の業ではないのかなと思っております。このことは先ほど事務局から14ページで補足説明がありましたが、複数名の委員の皆様も懸念としては申し述べております。そもそも今回の見直しの趣旨は、法令を守らない悪質な事業者も含めて網を掛けるということだと思いますので、制度を作ったはよいけれども、実際に周知することもできないとなりますと、実効性のないものとなってしまうのが心配ですので、行政におかれましては今までとは違った取組が求められると思っております。この点について、行政のほうで有効な取組を進めていただくことが必要だと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 なお、もう一点、届出方法について、中間とりまとめの案にも原則として電子届の記載はありますが、電子化して簡易に行えることにすることを再確認させていただきたいことと、それから、石綿が明らかにないような場合には極めて簡単な運用も今後検討いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。以上、恐れ入りますが、1点だけ申し述べさせていただきました。
○豊澤座長 そのほかはありますか。
○笠井委員 全建の笠井です。今、本多委員からもおっしゃったとおり、私どももそのように考えております。ただ1点確認させていただきたいところがあります。2ページ目の1の(1)のアのマル3のaに書いてある所です。「ねじを外す等建材を全く損傷させることのない方法で解体等を行う場合は、事前調査を行う必要はないこと」という書き方になっていますが、これは意味がもうひとつ理解できないのと、こういうことを書いてしまうと、こういうことを理由に事前調査をしないという悪質な業者を見抜けるのかというところがちょっと問題になるのではないかと思います。
 本多委員からもありましたように、100万円という金額については、かなり我々ビル者は、一般建築を扱っている者は低い数字です。ただ、杜撰な工事をする業者を取り締まらないといけないということに関しては否めませんので、そこの部分であれば石綿含有建材を使っていない例えばガラス工事とか、石の張り替え工事であるとか、そういうものは石綿とは関係ないですが、決して建材を解体、破砕しないで済むのかというとそういうものでもないので、その辺はここの文章は少し誤解を与えかねないので、見直しと再考をしていただきたいなと思っております。取りあえずは本多委員の意見を踏まえて意見を申し上げさせていただきました。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほかはありますか。
○化学物質対策課長 まず最初に本多委員、笠井委員からお話がありました事前調査結果などの簡易な届出について、建設業許可業者以外の事業者また法令を遵守しない事業者への周知徹底が重要であり、また必要であるという御指摘については、今回法令を遵守しない事業者に対する対応の強化が本検討会での議論の発端でもあり、この点にしっかり対応していくことは不可欠だと考えております。事業者に対する指導等の在り方については、引き続き御議論いただきたいと考えておりますが、具体的にはまず労働保険の適用などを通じた個々の事業場を把握していることを前提として、建設業許可業者以外の事業者の方についても地方労働局、労働基準監督署などを通じて、個別の文書による指導、店社、事務所への立入指導などを行うとともに、集団指導、自主点検など、様々な手法により制度の周知、制度の履行の確保を図ってまいりたいと考えております。また今回の届出ですが、環境省におきましても同様に検討されていると承知しており、地方公共団体とも連携して効果的に対応してまいりたいと考えております。
 2つ目の簡易届出については、事業者の負担、迅速な対応等の観点から、届出は先ほども御説明させていただきましたとおり、原則として電子的な届出とする方針です。また届出の内容、方法の運用についても、事業者における届出の負担がより少なくなりますよう、環境省とも連携したスマホからも届出が可能になるようなものとすることを考えております。さらに石綿が明らかにないような場合などについては、事業者負担がより少なくなるよう検討を進めていきたいと考えております。
○副主任中央労働衛生専門官 先ほどの笠井委員からありました2ページのマル3のaの所の「ねじを外す等建材を全く損傷させることのない方法」、この具体的なイメージがまず湧かないということと、こうしたものを事前調査を行う必要がないとすると、そうした方法だということが横行するのではないかという御意見を頂いたかと思います。
 まず、この記載のイメージしている損傷することのない方法というのは、この検討会での御議論の中でもありましたが、例えばトイレの取り替え等でねじを外すだけでトイレを取り外すような工事まで事前調査が全部、建材まで必要なのかというような御議論もありましたので、そうしたことをイメージして記載しているところです。
 一方で、今、笠井委員から御指摘がありました部分については、そうした懸念も当然考えられるところですので、aの表現については引き取らせていただいて、この部分についてはまた別途御相談をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○豊澤座長 ありがとうございます。よろしいですか。その他ありますか。
○本橋委員 笠井さんが説明したaの所ですが、私も質問しようと思っていたのですが、ちゃんと取れるということもそうですが、例えば、トイレブースのボードを取った後、解体工事は粉じんが出ないから終わるかもしれませんが、それを後で廃棄するときにスレート板だったら安定型でいいのですが、アスベストが入っている、入っていないで取扱いは違いますよね。むやみに割られたら困るので、その取扱いのときに改めて出すときに分析するというのは多分ないはずで、だとしたら全部あることにするのか、解体だけではなくて多分そこにも関わってくると思います。以上、コメントです。
○漆原委員 今の本橋委員が言われた所と関連しますが、仮に取り外した後に、それはいわゆる解体業者以外に運般業者もそこに関わってくるわけで、運般した後またそれを廃棄するというところにまた労働者が関わってくるということもありますので、そこのところは本当にあったかないかというところのチェックというのは必要なのかなと思っております。
 それと別な点ですが、P4とかP9の所に「従事労働者の記録」という記載がありました。それ自体は我々も賛成ですが、問題は労働者のほうから取ってみますと、従事歴を記録していますが、それは石綿に関与したものを手帳で管理するという扱いになっていますが、これは未だに電子化されておらず手帳ですので、そういったところについては、PHRがいいのかどうなのかはともかくとして、行政において電子的な取扱いで従事歴も積算できるような形にお願いしたいところです。やはり、転職をしたり企業が廃業した場合にそのデータがどこまで残るかということを考えれば、アスベストによる発症が遅発的なものですから、そういったところについてはやはり電子的な長期間の管理でお願いできればというところです。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございました。そのほかありますか。
○出野委員 3点ほどお願いします。まず1点目は既に出ておりますが、2ページのマル3のaの所です。これは前回まではほとんど議論はなかったような気もしていたのですが、突然現れたような感じがちょっとしました。トイレの話があったのは確かですが。基本的には上から2行目にあるように「全ての部位を調査しなければならないこととする」と書いておきながら、こういうことを明らかに書くというのは矛盾も感じますし、私としては反対をしたいと思っております。
 2点目は確認事項です。2ページ下から3ページにわたって、石綿含有建材調査者、人を養成するということがたくさん出てきますが、恐らく、ばたばたと時間がないということは予想されるわけですが、どのぐらいの経過措置と言いますか、どのぐらいの期間を考えておられるのかということを質問させていただきたいと思います。恐らく1年、2年ではできないのではないかと、その間は野放しかという感じはしますので、その辺りを質問させていただきます。
 それから、5ページの届出要件ですが、上から5行目、a、bがあり、80m2と100万円と。これは基本的に反対する立場ではないのですが、ちょっと懸念されるのは、例えば80m2というのは建リ法で80m2と言うので、これに合わせて分かりやすくしたということで説明をお聞きしております。建リ法のほうでもこれは引き下げようという話が現在あります。自治体によっては既に80m2を引き下げていると、規模要件を撤廃しているという自治体もあるということを考えて、今後どうするのか。例えば建リ法で50に引き下げたら、こちらも50に引き下げて追随するのかとか、そういうところをお伺いしたいと思います。現状、80m2に反対するものではないのですが。以上、3点です。よろしくお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 まず1点目の頂いた御意見については、先ほど笠井委員への回答と併せて、この部分の記載については別途御相談をさせていただきたいと思います。
 調査者講習を受講した者を、その調査者の要件にするということについて、その調査者の育成について時間が掛かるだろうと、対象となる人数も多いだろうしということで、その経過措置についてどのぐらいの期間を見込んでいるのだということで御質問があったかと思います。これについては、具体的な経過措置の期間については今後検討する事項ですので、具体的に申し上げることができないのですが、対象となる調査者の数としては、やはり解体・改修工事を行う建設業者において1人以上は必要だと試算しますと、数十万の調査者の育成が必要ということで考えておりますので、その数十万を育成するための十分な期間、講習期間の確保を今後取り組んでまいりたいと考えております。
 80m2の所については建リ法で既に動いているからということで、80m2とさせていただいているところですが、この建リ法の見直しも今検討が始まるのではないかという話で、その場合の対応ということですが、まずはその建リ法の議論如何にもよるとは思いますが、石綿則における簡易届出制度がうまく運用されるというところが一番の課題と考えておりますので、運用後の状況を見ながら検討していきたいと考えております。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。よろしいですか。
○笠井委員 1つ質問ですが、調査者の所で、一定の知見を有する者の例として、2ページ、アスベスト調査診断協会が書いてあったと思いますが、制度改正前に登録された者ということは、改正後のこういう方々は対象には入らないという意味と捉えてよろしいのですか。
○副主任中央労働衛生専門官 そうですね。現在想定しているのは制度改正前ということで考えております。制度改正後は調査者講習を受講していただくというところで制度を進めていきたいと考えております。一応、想定ということです。
○笠井委員 はい、分かりました。それから、事前調査の届出については、本多委員からも冒頭ありましたが、やはりできるだけ我々としては簡便・簡易にしていただきたいので、当然、厚労省、環境省で御議論される内容だと思いますが、やはり、実際に届出をする者の意見も是非聞いて取り入れていただきたいので、ちょっと念押しになりますが、よろしくお願いします。
 それから、つまらない話ですが、グローブバッグの話ですが、「グローブバック」になっていますので、ここは修正をしていただければと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございました。
○田久委員 私のほうからも届出の範囲の関係はこれでほとんど賛成ですが、やはり100万円という部分と言いますと、全建総連傘下の本当に中小零細も含めてということですから、簡易にしていく届出の関係でそういった整理はきちんとしていただくと同時に、やはり周知をする関係の体制等、行政がきちんとそういったことを行っていくことを改めてそこは要請をしたいと思います。恐らくですが、私たちがこの間ずっと見てみますと、いろいろなことが改正されて、今で言いますと足場の改正、フルハーネスの改正、そういったところも含めると、実を言いますとほぼ3年から5年掛かります。社会保険未加入の問題も含めて5年掛かっていますから、その期間をあけるとなると、それはそれでまた問題になるのですが、これはやはりもう少し早めていくには行政はかなり力を入れてやらないといけないかなと。その際には、全建総連も含めたところの全国組織をもっている所の協力も含めて、是非検討をしていただければと思います。一人親方も対象になる可能性は十分あるので、この人たちは届出をしながら現場に行ってとなりますと、やはり簡易な電子、スマホなどの活用を是非検討していただければと思います。
○豊澤座長 ありがとうございました。委員の皆様から運用面や若干のコメントを頂きました。頂きました要望やコメントについては、行政でもしっかり受け止めていただきまして、運用に当たって対応を検討いただきたいと思います。また2ページ目のマル3のaの点については、事務局で調整されるということですので、よろしくお願いします。それではよろしいですか。中間とりまとめの内容については、これまで第3回と第4回の2回の検討会で御議論を頂いて、議論はほぼ出尽くした状況だと思いますので、事務局作成案でとりまとめていきたいと思います。ありがとうございました。それでは次に議事の(1)の(ⅱ)、これも第4回の検討会において私から提案させていただいたところです。工作物と船舶のワーキンググループについて、まずは資料2について事務局から御説明をお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 お手元のタブレットの資料2を開いていただければと思います。資料2につきましては、前回の検討会において御紹介させていただいた工作物及び船舶に関するワーキンググループの設置について、その設置の方針をお示ししています。石綿を含有する工作物及び船舶の解体・改修等における、石綿ばく露防止対策の見直しについては、「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」のワーキンググループとして、工作物に関するワーキンググループ及び船舶に関するワーキングループを設置し、検討を行うということでさせていただきたいということです。
 具体的に、2つの各ワーキンググループの参集者は以下のとおりとさせていただきたいということでお示ししています。1つ目、工作物に関するワーキンググループですけれども、メンバーといたしましては、公益社団法人全国解体工事業団体連合会、一般社団法人全国建設業協会、一般社団法人日本建設業連合会、日本メンテナンス工業会、日本労働組合総連合会、こちらのほうから委員を御推薦いただいてメンバーとさせていただいた上で、豊澤座長におかれましては、このワーキンググループにおいても座長を行っていただくことでワーキンググループを設置したいと考えています。また、このワーキンググループにつきましては、関係省庁からオブザーバーとして国土交通省、環境省にも御参画いただきたいとして参集者としております。
 船舶に関するワーキンググループですが、こちらにつきましては、一般社団法人日本造船工業会、一般社団法人日本中小型造船工業会、一般社団法人日本造船協力事業者団体連合会、日本基幹産業労働組合連合会、一般社団法人日本繊維状物質研究協会から委員を御推薦いただき、こちらについても豊澤座長に座長をお引き受けいただきたいということです。こちらのオブザーバーとしましては国土交通省に入っていただくということで、このワーキンググループを設置し、これについては2月までに数回、検討を行っていただいた上で、3月をめどに本検討会に結果を報告していただくといったスケジュール感で御議論いただきたいということです。ワーキンググループの設置については以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。今、説明いただいた工作物及び船舶のワーキンググループ設置等の方針について、御意見がありましたらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。特に反対もございませんので、ワーキンググループの委員構成、検討スケジュール等については資料2の事務局案のとおり進めてもらい、検討結果を検討会へ御報告いただきたいと思います。
 次に、議題1の(ⅲ)の残されている論点ということで、資料3-1の「計画届の対象拡大について」、事務局から説明をお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 お手元のタブレットの資料3-1をお開きください。先ほどの中間とりまとめにおいて、今後も検討する論点の1つとしてお示ししていました論点のうち、2点、本日は御議論いただきたいと考えております。そのうちの1つ目として、資料3-1の「計画届の対象拡大について」です。背景の所でお示ししていますが、建設業等に属する事業の仕事で、建築物の解体又は改修を行う場合であって、石綿等が吹き付けられている耐火建築物又は準耐火建築物において当該石綿等の除去を行う場合は、作業開始の14日前までに届出を行っていただく、安全衛生法第88条等に基づく計画届が義務付けられているところです。
 また、石綿含有の保温材、耐火被覆材、レベル2と言われている建材ですが、これを除去する場合においては、石綿則第5条の規定に基づき、あらかじめ労働基準監督署に届け出る作業届を義務付けているところです。一方で、吹付石綿とか石綿含有保温材、耐火被覆材等を除去する場合の措置としては、石綿則第6条の規定に基づき、作業場所の隔離、集じん・排気装置の設置、負圧の維持等が義務付けられているところです。また、大気汚染防止法令においては、吹付石綿及び石綿含有の断熱材、保温材及び耐火被覆材が使用されている建築物を解体、改造、又は補修する作業について、作業開始の14日前までに都道府県知事に届出を行うことが義務付けられている状況です。今、御説明した関係条文につきましては、1ページ目、2ページ目にかけてそのまま掲載していますので御参照いただければと思います。
 こうした状況を踏まえまして、3ページ目の所の論点ですが、作業開始前の作業届を義務付けている作業(マル1耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物における吹付石綿の除去作業、マル2建築物における石綿含有耐火被覆材、保温材等の除去作業、マル3建築物における吹付石綿、石綿含有耐火被覆材、保温材等の囲い込み又は封じ込め作業)について、現行、作業届を義務付けている作業です。一方で、14日前までの計画届を義務付けている作業、これは耐火建築物及び準耐火建築物における吹付石綿の除去作業と同様に、飛散防止措置、ばく露防止措置としては隔離等の措置を同様に求めているところですが、実態として隔離等の措置が不十分な事案が確認されている課題がございます。この隔離等の措置を確実に実施させるためには、事前に適切に工事の計画、工法、ばく露防止対策等の内容を行政において確認し、必要に応じて十分な時間的余裕を持って変更命令等を行えるようにすることが重要であるという観点から、建設業等に属する事業の仕事で作業届の対象となる作業については作業届ではなく、労働安全衛生法第88条等に基づく計画届、これは大気汚染防止法と同様の14日前の届出となりますが、こうした計画届を提出しなければならないとしてはどうかということで論点としてお示ししています。
 具体的に現行の作業届、計画届の対象につきましては、論点の下の所に表としてまとめています。現行、吹付石綿除去の作業のうち、対象となる建築物が耐火建築物、準耐火建築物については計画届ですが、それ以外の作業については作業届になっているものを、見直し案としては、今、全て作業届となっているものを14日前に提出が必要な計画届としてはどうかということです。資料3-1については以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。それでは、今、説明のありました資料3-1について、御意見を承りたいと思います。
○出野委員 届出制度の拡大の件ですが、今まで耐火、準耐火の吹付石綿だけが計画届で、あとは全て作業届と。この作業届というのは事前に、前もってということで極端に言えば1分前でも構わないということだったので、これは、もちろん石綿対策としては全然問題にならないということだと思いますから、私としては賛成したいと思います。
○豊澤座長 そのほか、ございますか。
○笠井委員 全建の笠井です。この計画届と作業届で、何が違うから計画届にしないといけないのかというところが分からないのですが、作業届であったとしても、当然、どのような作業の内容をするかを、きっちりと報告させることになっていると思います。その辺の違いをもう少し説明いただけると分かりやすいのですけれども。
○副主任中央労働衛生専門官 説明が不十分で大変申し訳ございません。この計画届にするという案を提示させていただいている理由ですが、論点の真ん中の所でお示ししていますように、作業届の対象となっている作業において、隔離等の措置が不十分な事案が確認されていること。こうした隔離等の措置を確実に実施させるためには、事前に時間的な余裕を持って届出内容にあります工事の計画、工法、ばく露防止対策等の内容を確認し、変更命令等の必要がある場合については、その時間的余裕を持って変更命令等を行えることが、この隔離等の措置を確実に実施させるためには必要であろうということで、14日前までにそうした工法等の内容を届け出ていただく計画届にしてはどうか。こういうことで提案しているところです。
○笠井委員 ということは、作業届であれば時間的な問題で行政側もチェックできないし立ち入ることもできない。そのために工事が終わってしまって意味がないと、そういうふうな意味と捉えてよろしいのでしょうか。
○化学物質対策課長 労働局から聞く声といたしましては、変更をお願いするに際し、あらかじめですと、かなり作業開始前に近い時期で出てくる。その際に工事の変更等をお願いした場合、非常に時間がタイトで現場が混乱するといった声も聞こえていることから、計画届ですと14日前まで、作業届ですと、あらかじめということになります。その一番大きな理由としましては、時間的な余裕を持って対応ができるようにというところが大きな理由ではないかと考えています。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほか、ございますか。それでは、資料3-1の論点の所で示されている方向性については、大枠について合意を得られたと思います。次の議題に移りたいと思います。議題1の(ⅲ)の残されている論点の2つ目、資料3-2の「現場における安全衛生管理体制」について、事務局から説明をお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 本日、御議論いただく残された論点のうちの2つ目です。資料3-2をお開きください。現場における安全衛生管理体制について資料3-2にお示ししています。現場における安全衛生管理体制につきましては、ワーキンググループにおいても御議論いただいていたところで、そのワーキンググループでの議論のまとめとして3つの○で記載しています。ワーキンググループの議論のまとめとしましては、1つ目の○で、現場全体の石綿の隔離・漏洩防止を確実に機能させるため、工事計画作成・工程管理等の技術上の管理等を行う者に、石綿ばく露防止対策に係る知識等を付与した上で、現場における石綿ばく露防止対策の全体管理を行わせるよう推奨する。
 2つ目の○で、隔離を行う石綿作業現場では様々な措置を講じる必要があるが、作業計画(施工計画)の作成に参画する者は、次のような知識・経験を持つ者が担うことが望ましいことから、施工管理等一般に関する知識等がある者に対して、当該知識等を付与する講習を受講するよう指導してはどうかとまとめられていました。具体的な知識の内容としては、労働衛生に関する知識、石綿含有建材の除去方法や使用箇所に関する知識、建築物(建築空間など)に関する知識、集じん・排気装置に関する知識、こうした知識を付与する講習の受講を求めていくべきとまとめられています。
 3つ目の○で、石綿作業主任者への能力向上のための研修等により、集じん機・排気装置の点検等の徹底を図るため、こうした研修内容に加えてはどうかといったことで、ワーキンググループでは御議論いただいていたところです。
 こうしたワーキンググループでの御議論を踏まえ、本日、お示ししている論点の所ですが、1つ目の○の所で、石綿等の除去工事に関わる者として、除去工事の計画を作成する者、建設業法に基づき工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる主任技術者又は監理技術者、除去工事を行う者(作業の指揮者及び作業者)などが、石綿等の除去工事に関わる者として考えられる。このうち除去工事を行う者につきまして、その指揮者については石綿作業主任者の仕組みがあり、作業者には特別教育の実施が義務付けられており、必要な知識等の付与が行われている状況にありますが、工事計画を作成する者及び工事現場全体を管理する者については、必要な知識を付与する仕組みがない状況がございますので、ワーキンググループの議論も踏まえ、以下の対応を行うこととしてはどうかということでアとイに分けて論点を示しています。
 アの所ですが、石綿に関する工事計画を作成する者として、隔離空間の設計を含め工事計画を作成する者については、以下の知識を有する者とすることを指針等で位置付けるとともに、当該知識に関する講習の受講を促進すること。また、国は、当該講習の受講に関して必要な支援を行うこと。ここで工事計画を作成する者に必要な知識として、次の6点があるのではないかとして挙げています。1つ目が労働衛生に関する知識、2つ目が石綿の有害性及び石綿建材を除去する際の飛散性に関する知識、3つ目が石綿含有建材の除去方法や使用箇所に関する知識、4つ目が建築物(建築空間など)に関する知識、5つ目が隔離空間の設計、負圧の維持に関する知識、6つ目が集じん・排気装置に関する知識です。こうした知識を有する者であることを指針等で位置付けるとともに、こうした講習の受講を促進することを求めてはどうかということ。
 イの所ですが、工事現場全体を施工管理する者について、建設業法に基づく主任技術者又は監理技術者などの工事現場全体を施工管理する者に限らず、工事現場全体を施工管理する者については、工事全体の施工方法や他の作業が石綿の除去作業場(隔離空間を含む)に影響を及ぼさないよう、以下の知識に関する講習の受講を推奨すること。また、講習の実施については、国は必要な支援を行うこと。具体的な知識の内容としては、次の3つの知識が考えられるとして挙げています。1つ目が石綿の有害性及び石綿建材を除去する際の飛散性に関する知識、2つ目が石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置に関する知識、3つ目が集じん・排気装置に関する知識です。こうした知識を得るための講習受講を推奨してはどうかとして、この工事現場全体を施工管理する者についてまとめています。これが1つ目の論点ですが、その他、現場の安全衛生管理体制の強化のために必要な事項はあるかについても御議論いただければと考えています。よろしくお願いいたします。
○豊澤座長 ありがとうございました。ただいま、事務局から説明がありました資料3-2について御意見を承りたいと思います。よろしくお願いいたします。
○笠井委員 笠井です。確認です。工事計画を作成する者ですが、これは安衛法であったり石綿則であったりする場合は、誰が作らないといけないのかよく分からないのです。要するに事業者とか元請会社、専門工事会社などいろいろな立場の人がいますけれども、一体、ここでは誰のことを指しているのか明快でなく、いきなり主任技術者と監理技術者という言葉が出てくると非常に違和感を覚えますので、その辺の整理をしていただきたい。実際の現場は、前回、他の委員からもあったと思いますが、主任技術者とか監理技術者は当然いますけれども、実際に工事を管理している人間は他にいるわけです。そういう人たちも含めてという意味合いで「など」と付けているのであればいいのですが、その辺の確認もさせていただきたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 1つ目の御質問について、説明が漏れていたかと思いますが、石綿に関する工事計画を作成する者について、現行においては具体的にこの者でなければならないという要件は定められていません。また、工事計画につきましては事業者に対する義務となっていますので、作業を実施する事業者において計画を作成いただくのが石綿則上の義務となっています。ですから、具体的に主任技術者、監理技術者が必ずこれをしなければならないということでお示ししているわけではございません。工事計画作成者についての御質問については以上です。
 また、工事現場全体を施行管理する者として主任技術者、監理技術者を例示していますが、当然、現場において施行管理をする者については、その他の方も含めていらっしゃるということですし、この論点もそうした方を含めた施行管理をする者ということで、笠井委員が御指摘のとおり、これに限るものではないということでお示ししているところです。
○豊澤座長 「主任技術者、監理技術者など」というのは、実効性のある者がやるという意味を含んでいると理解していいということですね。ありがとうございます。そのほか。
○出野委員 2点、お願いします。1点目ですが、主任技術者、監理技術者の受講を「推奨する」という文言になっていますけれども、もうちょっとレベルを上げてもいいのかなという感じがしました。推奨ですから受けても受けなくてもいいと、そういう感じに受け取れますので、もうちょっとレベルを上げてもいいのかなという感じがしました。
 もう一点は、主任技術者、監理技術者というのは建設業許可を持っている会社の話ですから、500万円未満の工事をやる会社は建設業の許可がないわけです。そういう会社には主任技術者も監理技術者もいないので、そこの辺りが落ちこぼれと言ったら失礼というか言葉が悪いですけれども、こぼしがないようにお願いをしたいと思います。特に戸建の住宅の解体工事は100万円、200万円の世界ですから、ほとんどが登録業者、建設業許可を持っていない会社が対応している。そういう例も相当ありますので、そこら辺りも見落とさないように、是非、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほか、ございますか。よろしいですか。それでは、資料3-2の論点の方向について大枠の合意は得られたということ。それから御意見がございましたので、留意する点として最終的な報告書をまとめる段階において、それを踏まえて事務局において整理していただければと思います。ありがとうございました。以上で本日の議題については全て議論いただきました。その他、事務局からございますか。
○安全衛生部長 本日は、今までの御議論を踏まえていただき、事前調査の強化とか新たな簡易制度の創設、各種措置や記録の強化などを柱とする中間とりまとめをとりまとめていただきました。本当にどうもありがとうございました。改めて厚く感謝申し上げる次第でございます。その中で、本日、本多委員、笠井委員、田久委員等から頂戴いたしました新たな簡易届出の対象範囲と絡んでの問題でもございますが、業の許可対象以外の部分に対する周知や指導の徹底とか、あるいは届出について現場できちんとワークするような簡易で、しかも合理的なものという御指摘に関しては、大変重要な御指摘であると私どもは受け止めさせていただいているところでございます。今後、残された論点の1つとしても、指導の在り方等の部分も残ってはいますが、いずれにしましても我々としてはしっかり取り組み、こうした対策が実効性を持って前へ進んでいくように、よく考えていきたいと考えているところでございます。また、笠井委員、本橋委員、出野委員からも頂きました資料1の2ページ目、「ねじを外す等建材を全く損傷させることのない方法で」の部分の記述に関しては、座長の御指示もございましたので私どものほうで改めて整理をさせていただき、皆様に御相談を差し上げてまいりたいと考えています。併せて、グローブバック工法等の記述に関しても適正化を図ってまいりたいと思っております。恐らく我々事務局としてもそうですが、各団体の皆様におかれましても、中間とりまとめの最終的な調整が整ったものというのは、いろいろな用途もあろうかと思っています。事務的に調整を丁寧に尽くした上で公表、また皆様の元に然るべきお届けする等、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。本日は、残された論点につきましても作業届、計画届の問題、また安全衛生管理体制の問題等の議論を深めていただきましたが、引き続き、是非、年を越えますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。改めて厚く感謝申し上げる次第です。どうもありがとうございました。
○豊澤座長 事務局から他にないですか。それでは、本日の議題は全て終わりました。事務局にお返ししたいと思います。
○副主任中央労働衛生専門官 本日は、長時間にわたりまして御審議いただき、ありがとうございました。本日の会議録につきましては、委員の皆様方に御確認いただいた上で公開をさせていただきます。また、次回の検討会の日程につきましては、委員の皆様には改めて事務局から御案内をさせていただきたいと考えております。以上です。
○豊澤座長 以上で、第5回の建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会を閉会いたします。ありがとうございました。