2021年5月24日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

日時

令和3年5月24日(月)14:00~

場所

イイノホール&カンファレンスセンター Room B(4階)

出席者

出席委員(17名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名
 

欠席委員(1名)五十音順

行政機関出席者
  •  河野典厚(医療機器審査管理課長)
  •  大原拓(医療機器審査管理課再生医療等製品審査管理室長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  髙橋暁子(医薬安全対策課安全使用推進室長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  •  林直治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他

議事

○医療機器審査管理課長 お待たせいたしました。それでは先生方がおそろいになりましたので、薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本会議は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議形式を併用して開催いたします。初めに御退任された先生及び新たに着任された先生を御紹介させていただきます。まずご退任された先生ですが、大橋十也先生が御退任されたことを御報告いたします。続いて今回から新たに、国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンターのセンター長でいらっしゃいます、小牧宏文先生に御就任いただいていますので、御紹介させていただきます。大変恐縮ですが、小牧先生一言御挨拶お願いします。 
○小牧委員 皆様こんにちは、国立精神・神経医療研究センターの小牧と申します。主な履歴としては、臨床面では小児科学、小児神経学を専門としています。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 続いて、事務局に異動がありましたので御報告させていただきます。機構の安全管理監及び医薬品安全対策第一部長に池田三恵が着任しております。現時点で再生医療等製品・生物由来技術部会委員18名のうち、17名に御出席いただいていますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを御報告いたします。また17名のうち9名の先生には、Webシステムを用いて御参加いただいています。なお本日、医薬・生活衛生局長は公務のため欠席の予定、審議官は間もなく到着すると聞いています。
 本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。議題4に関しまして、国立がん研究センター中央病院の脳脊髄腫瘍科長でいらっしゃいます、成田善孝先生にWebで御参加いただく予定となっています。
 続きまして、議事に先立ちまして、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告いたします。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しています。今回全ての委員の先生から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいていますので、御報告いたします。
 委員の先生方におかれましては、会議の開催の都度書面の御提出を頂きまして、誠にありがとうございます。引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○事務局 続きまして本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1、議題2については会議を公開で行い、議題3以降の議題については、再生医療等製品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、配布資料の確認をいたします。事前にお知らせしていましたとおり、本日はペーパーレスで会議を進めたく、会場の皆様のお手元には議事次第、座席表、オキュラル及びデリタクト注の製品外観資料のみをお配りしています。製品外観資料については部会後に回収いたしますので、お持ち帰りいただかないよう御注意をお願いいたします。
 タブレットの操作について御不明点等ございましたら、お近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。
 次にWeb会議で御参加される委員の皆様へ、注意事項を御説明いたします。審議中はマイクミュートでお願いいたします。御発言される際には画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後にマイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただきますよう、お願いいたします。また接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
 それでは以後の進行について、合田部会長よろしくお願いします。
○合田部会長 合田でございます。今日はハイブリッドの会議です。私の所だけ画面が用意してあるのですけれども、申し訳ないですけれどもWebで御参加の先生も、できればカメラをオンにして御参加いただけると、皆様の先生方の反応が分かりますので、そうしていただくとすごく議事進行がやりやすいと思います。よろしくお願いします。
 それから、Web参加の先生方、もし御意見があるようでしたら、先ほど言いましたように手挙げのマーク以外でもそこで手を振っていただくとか、何かアクションをしていただく、又はお声を出していただくとそこで対応いたしますので、どうぞよろしくお願いします。
 では、これまでありました事務局の説明につきまして、何か御質問のある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。それではこれより議題に入らせていただきます。
 まず議題1、公開案件、次世代再生医療等製品評価指標についてです。事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題1、資料番号1、次世代再生医療等製品評価指標について事務局より御報告いたします。資料1の1ページを御覧ください。ヒト(同種)iPS(様)細胞加工製品を用いた亜急性期脊髄損傷(外傷性)の治療に関する評価指標を、平成30年度、令和元年度に検討し、パブリックコメントを経て令和3年2月26日に公表しましたので、概要を御報告いたします。
 ヒト由来のiPS細胞又はiPS様細胞のうち、同種由来iPS細胞又はiPS様細胞を加工した製品の品質及び安全性を確保するための基本的な技術要件は、平成24年9月7日付け薬食発0907第5号厚生労働省医薬食品局長通知「ヒト(同種)iPS(様)細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保について」に定められています。脊髄損傷に対する確立した治療法はなく、開発が進められているヒト(同種)iPS(様)細胞を用いた脊髄再生治療の実用化が期待されていることから、今般、特に亜急性期脊髄損傷(外傷性)の治療に使用する、再生医療等製品に関する評価指標を検討しました。
 本評価指標では、基本的な技術要件に加えて品質、有効性及び安全性の評価に当たって留意すべき事項を策定しました。評価指標の本体は、3ページ以降に添付しています。
 2ページを御覧ください。これまでに公表した評価指標の一覧を記載しており、一番左の列で「再生医療」に分類されているもののうち、一番下のものが今回新たに作成した評価指標となり、再生医療としては13番目のものです。説明は以上になります。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御質問、御意見等を受け付けますが、何かございますでしょうか。佐藤陽治先生、何かございますか。
○佐藤(陽)委員 「iPS(様)細胞」にはなぜ「(様)」が付いているかということだけちょっと補足させていただきますと、要するに最終製品ができれば原料としての三胚葉系への分化能ということについては、ひょっとして問題にならないかもしれないという可能性を想定して、「(様)」と付けているという次第です。要するに最終製品の品質から考えた原料・素材として適切なものであるが厳密な定義からはiPS細胞と言いきれないような細胞が有り得るという意味で「(様)」が付いているという次第です。それ以上の意味はございません。
○合田部会長 ありがとうございます。他に何か御質問等ございますか。この治療の臨床研究を聞きましたところ、今コロナの関係で止まっているという話だけ聞いていますけれども、皆様よろしいですか。
 これはお認めいただいたということにしまして、これで議題1を終了したいと思います。ではその次です。議題2ですけれども、これも公開案件です。遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認事項の一部変更手続についてであります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、いわゆるカルタヘナ法第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認事項の一部変更手続について、事務局より御説明します。
 カルタヘナ法では遺伝子組換え生物等の使用等に係る措置を定めており、環境中への拡散防止措置を採らずに行う使用等については、第一種使用等として、環境中への拡散防止措置を採って行う使用等については第二種使用等として、それぞれ使用に際して必要な手続を規定しています。このうち第一種使用等を行う場合、使用者は使用規程や生物多様性影響評価書を作成して大臣に申請し、承認を得る必要があります。
 ヒトへの医薬品の投与は第一種使用等に該当するため、遺伝子組換え生物を含む医薬品に係る治験を行う場合は、治験開始前に使用規程の承認を得る必要があります。治験開始前はヒトでの排出データ等の情報が限られていることから、治験開始後に収集したデータに基づき第一種使用規程を一部変更することも想定されます。しかし、カルタヘナ法では第一種使用規程について承認取得者の氏名及び住所の変更手続のみ規定されており、既に承認された第一種使用規程を一部変更する場合は、新たな使用規程として再度申請する必要があります。
 今般、既に承認された使用規程の一部を変更した承認申請を行う際の提出資料は、必要最小限とすること等を明確化することで、事実上の一部変更手続を可能とすることとしました。
 資料2で通知案をお示ししています。マイプライベートファイルにお戻りいただき、資料2をお開きください。本通知はカルタヘナ法の事務手続を定める「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の施行に伴う事務取扱い等について」(平成28年7月29日付け薬生薬審発0729第4号、薬生機審発0729第5号)の改正通知です。
 主な改正点は以下のとおりです。2ページ第1の1.(3)で、第一種使用規程の一部を変更する場合は、改めてカルタヘナ法第4条に基づく承認申請を行うことが必要である旨を明確化します。二つ目、2~3ページ2.(2)で、第一種使用規程の一部を変更する場合に提出する資料の内容を明確化し、承認申請書及び生物多様性影響評価書以外の資料は、追加の提出が必要となる場合のみ添付すればよい旨、承認申請書及び生物多様性影響評価書の新旧比較表を提出する旨を規定します。
 三つ目、3ページ2.(3)で、一部変更した使用規程を使用する場合に、変更届を提出することを規定します。これはカルタヘナ法では使用しなくなった使用規程の廃止手続が存在せず、変更前の使用規程も引き続き有効であることから、実際にどの使用規程が使用されているのか、当局で把握するためのものです。
 四つ目、5ページの第3で、第一種使用規程の承認に係る標準的事務処理期間は6か月であるところ、一部を変更する場合には、標準的事務処理期間によらず扱うことができるものとする旨を明記します。
 この改正案は本部会で御報告した後、本日頂く御意見を踏まえて修正し、通知にて発出する予定です。また機構における事前審査前相談において、「第一種使用規程の変更に係る申請前事前面談」を受け付け、提出資料に基づき一部変更手続に掛かる時間の目安を伝達することで、予見性を高める運用を行う予定です。事務局からは以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。本御説明について御質問等ありますでしょうか。委員の皆様、よろしいですか。厳密にカルタヘナ法で定められているルールですけれども、少しでも時間的に有効に審査ができるようにという配慮で、こういうような改定を行いたいということですけれども。はい、内田先生。
○内田委員 1点確認したいのですけれども、第一種使用規程の変更ということなのですけれど、この文章を見ると第二種のことも書かれていて分かりにくいと思ったのですが、第一種のみの通知ということにはならないのでしょうか。
○事務局 事務局からお答えします。こちらの通知は既存の通知の改正通知ということになっていまして、第二種に関しては既存の通知に書かれている内容を基本的にそのまま残しているという状態です。今回の改正内容に関しては、基本的には第一種使用規程に関係する改正となります。
○内田委員 その第二種の所の記載ですが、その前の昭和61年の通知をこのように書き直すという形での通知になっているのですけれども、そこまで戻らなければいけないのか、非常に分かりにくいと思いました。
○合田部会長 内田先生、何ページのところですか。特に言われているのは。
○内田委員 4ページの3のところです。
○合田部会長 関係通知の取扱いですか。
○内田委員 はい、引用されているのはかなり古い通知ですよね。これを改めてもう一度出されたと読めてしまったので、この第二種使用に関してどこが変わったのだろうと一生懸命見てもよく分かりませんでした。前の通知の改正ということで、第一種の所だけではなくて第二種も書いておく必要があるものなのかということです。
 あと、細かい所なのですけれども、第一種使用規程の「程」の字が「定」になっている所が2か所ほどありましたので、そこは修正いただければと思います。
○合田部会長 事務局、何かありますか、よろしいですか。
○事務局 ありがとうございます。御指摘いただいた点を踏まえて、適宜修正してまいります。
○合田部会長 関係通知の取扱いについてで、今、内田先生が言われている所は多分技術的な問題と言うのですか、テクニカルな所なので、もう一回内田先生と話をしていただいて。
○医療機器審査管理課長 内田先生、御指摘ありがとうございます。古い通知の引用の更に引用という形になっていて分かりづらいという御指摘なのかなと思っています。通知そのものをまた書き起こすほうが分かりやすいというのはそのとおりだと思うのですけれども、なるべく早くこの運用を始めたいと思っていて、今後またQAとかいろいろなところでの追加的な文書もあり得ると思いますので、もしよろしければその辺の追加的な文書の中で補足させていただくということも含めて、検討させていただきつつ、また実際のそういった文書の作成等に当たっては内田先生にもまた御相談させていただけるとありがたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○内田委員 それは結構なのですけれども、先ほどのような前の通知の引用ということもあるのであれば、第一種についてはこのように書き換えますが、第二種は変わりませんというような形で、むしろ書かないほうが分かりやすいのかもしれないと思いました。事務局と御相談させていただければと思います。
○合田部会長 内容的には言われたことそのとおりで問題ないので、後は技術的なことですので事務局預かりで、訂正する場合にはさせていただけると思います。それから今、課長からの御発言もありましたように、QA等で対処できる場合もあるかもしれませんので、そこも含めて対応するということで皆様よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それではこれもお認めいただいたということで、ここまでが公開案件です。次は準備が整い次第、非公開案件を審議したいと思いますが、よろしいですか。小原先生お願いします。
○小原委員 細かい点で申し訳ないのですけれども、やはり技術的な問題で大したことではないのですけれども、最後の注意の所の「字は墨、インク等を用い、楷書ではっきり書くこと」と書いてあるのですけれども、墨で実際こういう申請を書く方は現在いるのですか。ちょっと現実に合っていないような気がして、ここに墨は必要ないかなという気がするのですけれども、いかがなのでしょうか。
○事務局 事務局です。御指摘ありがとうございます。こちらに関しても内部で確認して、適宜修正させていただければと思います。
○合田部会長 小原先生ありがとうございます。ほかに何かございますか。よろしいですか。ありがとうございます。そうすると非公開案件に入りたいと思います。
(準備のため一時中断)
○医療機器審査管理課長 それでは準備が整いましたので、部会を再開させていただきます。よろしくお願いいたします。
○合田部会長 では、事務局、よろしくお願いします。
○事務局 本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告させていただきます。資料7「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。
 まず1ページの「オキュラル」ですが、角膜上皮幹細胞疲弊症を対象疾患としており、競合品目として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 2ページの「デリタクト注」ですが、悪性神経膠腫を対象疾患としており、競合品目として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 3ページのJRM-001ですが、機能的単心室症における心機能の改善を予定される効能、効果又は性能としており、同様の効能、効果等を有する製品はないことから、競合品目はなしとしています。以上、御報告いたします。
○合田部会長 ただいまの事務局の説明について、特段の御意見、コメント等はありますか。よろしいですか。それでは、特にないようですので、本部会の審議の事項に関する競合品目、競合企業リストについては、委員の皆様の御了承を得たものとします。
 それでは、委員からの申出状況について、お願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。委員の皆様から寄附金、契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議題1から議題6のいずれの議題についても、薬事分科会審議参加規程第12条「審議不参加の基準」に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。ただし、薬事分科会審議参加規程第13条に基づき、議題4において議決に参加できない委員は、小牧委員と宮川委員となっています。この際、御退室いただく必要はありません。以上、御報告します。 
○合田部会長 ただいまの事務局の説明について、御意見等はありますか。皆様、よろしいですか。それでは、よろしければこれより議題に入りたいと思います。
 では、議題3、再生医療等製品オキュラルの製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否についてです。機構より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明します。議題3、資料番号3、オキュラルの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
 タブレットの資料番号3、「(説明用)再生医療等製品オキュラルの製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否について.PDF」のファイルをお開きください。以降の審査報告書のページ数は、審査報告書のファイルの最下部中央に緑の文字で記載されているページ番号を使用します。
 それでは、審査報告書7ページ上段の「1.1申請品目の概要」を御覧ください。オキュラル(以下、本品)は、患者自身より採取した口腔粘膜組織から分離した口腔粘膜上皮細胞をシート状に培養して製造した、口腔粘膜上皮細胞シートです。
 次に、審査報告書7ページ中段の「1.2開発の経緯等」の項を御覧ください。角膜上皮幹細胞疲弊症、以下LSCDと略しますが、LSCDは角膜と結膜の境界にある角膜輪部に存在している角膜上皮幹細胞が、先天的又は後天的に減少又は消失し、周囲の結膜上皮が角膜上に侵入し角膜表面を覆うことで角膜混濁、視力低下等に至る疾患群です。本品は、LSCD患者の眼表面に移植することにより、移植された口腔粘膜上皮細胞が生着・上皮化し、欠損した角膜上皮を修復することを目的として使用される製品です。
 今般、角膜上皮幹細胞疲弊症を効能、効果又は性能として、承認申請されました。なお、本品は当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されています。現時点において、本品はいずれの国及び地域においても承認・販売されていません。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料3-2、タブレット資料番号で言うと2ページにあります。資料3-2にあるとおり、5名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明させていただきます。今般の承認申請では、臨床試験成績としてLSCD患者を対象とした国内臨床試験であるCOMET01試験及びCOMET01試験を完了した患者に対して、長期観察を行った国内臨床試験であるCOMET01-FU試験の2試験の成績が提出されました。
 まず、有効性について御説明させていただきます。タブレットの緑字のページ番号で審査報告書19ページの中段から下段です。7項です。臨床試験等の試験成績に関する資料及び機構における審査の概略の所を御確認いただければと思います。COMET01試験では、図2に示す重症度分類に従い、角膜表面全体が結膜組織で被覆されている状態であるStageIIIと判定されたLSCD患者が対象とされました。本品を単回移植したところ、審査報告書21ページ上段5行目に記載のとおり、主要評価項目とされた「本品移植後52週目における角膜上皮再建成功率」は、100.0%、6分の6例が成功という成績でした。長期観察試験であるCOMET01-FU試験は、6例中4例で移植後104週目においても角膜上皮再建が継続していることが確認されました。
 以上の成績等を踏まえ、LSCDに対する本品の一定の有効性が示されたと判断しました。
 続きまして、安全性について御説明します。審査報告書、タブレットの審査報告書31ページ中段「7.R.3安全性について」の項を御覧ください。審査報告書33ページの上から4行目以降に記載のとおり、本品使用によって発現が特に懸念される有害事象は認められず、安全性プロファイルに特段の懸念はないと判断しました。一方、臨床試験における症例数が極めて限られていることから、製造販売後には全症例を対象とした調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。
 以上のような審査の結果、機構は審査報告書3ページ下段から4ページ上段に記載した「効能、効果又は性能」並びに「用法及び用量又は使用方法」で、本品を承認することは可能と判断しました。
 本品は、希少疾病用再生医療等製品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断しました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の先生から御質問、御意見等がありましたら受け付けたいと思いますが、何かありますか。Webの先生方、皆さんよろしいですか。宮川先生。
○宮川委員 教えていただきたいことがあるのですが、28/54ですが、治験担当医師と効果判定委員会とで、重症度の判定結果が異なっております。要は件数としては異なっているというわけですが、機構はどのように考えているのでしょうか。6症例中5症例、相違点があるというのはどのような解釈をするのか、そのようなことが今までよくあったことなのか、そのことを専門委員はどのように評価していたのか。その辺についてお聞かせいただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。まず、今、御指摘のありました治験担当医師と効果判定委員会との間で生じました重症度の結果の相違ですが、6症例中5症例、評価の対象件数としては96件のうち16件で相違が認められたという結果でした。この効果判定委員会は、中央判定という形で位置付けられて、評価の客観性を確保するために写真を用いて中央で判定するとされていました。
 その写真の判定において、結果の相違が認められた症例を含む該当症例では、共通して角膜の実質混濁や炎症が顕著であり、重症度評価の際に重要となる前眼部表面の凹凸不整が判定しにくいという特徴がありました。その結果として、一部の症例で、結果の相違が認められたということが報告されています。御指摘の点については、専門協議の中でも議論し、やはり血行の走行部位や凹凸不整というものを、特に重症度が非常に強いケースでは深さの部分の判定が少し困難な症例がいるということは十分に理解できるというコメントを頂きまして、その点も考慮して機構としては、相違が認められたということも考慮した解析を別途行い、最終的に本品の一定の有効性が示されたという結論には大きな影響は与えないということで、本品の有効性評価をしました。
○宮川委員 それでは、その症例は効果の判定が不能であったということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 1例です。スクリーニング時点で、B-1症例ですが、この症例に関しては、スクリーニング時点でStageIと中央判定がなされていますので、この症例に関しては評価が特に難しいということで、その症例を除く5例を含む解析を行った上で評価をしていますので、プロトコルどおりに実施された評価結果ではあるのですが、御指摘のような点は審査の中でも注視すべきだということで、当該症例を除外した解析も含めて有効性を判定させていただきました。
○宮川委員 分かりました。
○合田部会長 森尾先生、どうぞ。
○森尾委員 森尾です。今、関係しているところ、将来的に何かビデオか何かで撮るなど、深度などで問題になるような場合には、何か考えられたらいいのかなという気がしていました。
 次に質問なのですが、口腔粘膜組織採取についてという41ページ、42ページの所なのですが、これは機構の方とのやり取りがあってももっともなのですが、原料の採取というのは非常に重要だと思います。眼科医が採取できるというふうに書いてあるのですが、トレーニングの上ということですが、実際、眼科医が取られるようなケースが多いというふうに判断されて、これは難しいアサンプションだと思うのですが、それが1点。
 あと、採取できる人としては、やはりしっかりとしたところまで切っていくということになると、口腔外科医や頭頸部外科、顎顔面外科などがあるので、その辺も含めて何か協力を求めるような形にしたほうが、しっかりした原料が取れるかなと思ったのですが、この辺についての機構の考え方を教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘に関して、機構から御説明させていただきます。機構の審査においても、この製品の特性として原料組織を口腔粘膜から採取するということが、口腔内の手技について眼科医が必ずしも一般的に行っている手技ではないという点に関しては、審査報告の記載にさせていただいたとおりの審査を行いました。
 実際に治験に入った参加施設では、臨床研究等の経験も踏まえて、眼科医で一貫して行っていたところと口腔外科等との連携の下で実施をされていた、口腔内のクリーニングや採取後のモニタリングを含めてですが、そういったところもあって、安全にかつ適正な原料組織を有する組織を取ってこないといけないので、我々としてはそういった注意喚起も含めて、審査をしていました。
 本品に関しては、日本眼科学会が適正使用指針を作成して、発出予定です。その中で、口腔粘膜組織は眼科医を基本として採取するという旨の記載が行われるようで、その背景としては眼科医から見ると口腔粘膜組織の採取というのは、手技自体の難易度というのはそれほど高くないのではないかという意見がありました。一方で、実際に本品の必要な原料採取に関連する注意事項やトレーニング、こういったことは口腔外科等だからといって適切に実施できるとも限らないため、まず講習の実施というものを必須にするということと、場合によっては眼科医以外の、今、御指摘のあった例えば耳鼻科医や形成外科医、口腔外科、歯科医師が施行をするということも場合によっては考えられるということで、機構としても口腔内の組織採取前後における注意喚起の必要性や適切な連携は、図られるべきだと考えています。
○森尾委員 ありがとうございます。眼科医が意識高くやっていただくということであれば、それはいいかなと思いました。
 あと口腔外科医や耳鼻科医、形成外科医などの方々の場合には、トレーニングは不要と考えるかどうかというところはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。やはりこの幹細胞が含まれるということが、この製品の特性で、基底層にその幹細胞が含まれるということが非常に重要な点で、その原料を適切に採取するという観点からも粘膜固有層の深さで口腔粘膜組織を切離する、そういったことも留意しながら、やはり眼科医以外の担当医であっても、移植までの行為については熟知する必要は必ずしもないかもしれませんが、少なくとも採取においては一定のトレーニング等を要するということが、学会との協議の内容です。以上です。
○森尾委員 ありがとうございました。クリアになりました。
○合田部会長 ほかに御質問等はありますか。小牧先生。
○小牧委員 先ほどの重症度分類とちょっとつながるかもしれないのですが、委員によってちょっと結果が異なるということですが、そもそもこの診断というのはいろいろな原因があるということは理解しているのですが、その診断基準としては、もうしっかりしているものなのですか。適正使用という観点から質問させていただきました。
○合田部会長 事務局、どうですか。
○医薬品医療機器総合機構 細隙灯顕微鏡等を用いて、立体的な血管走行部位等、あるいは結膜化の有無を中心に診断をされていくものだと思います。これについては、国際的なコンセンサスのある重症度分類であり、類似製品であるネピックについても、使用成績調査として重症度分類、有効性評価、あるいはその製品の適用対象であるかどうかの判定を明確に行うという点で、こういった判定ができるということに関連して、やはりトレーニングの実施や角膜移植の実施の経験のある適正な医師及び医療機関で実施されるということになりますので、評価の方法としては基本的には実際に行われている指標だと考えています。
○合田部会長 小牧先生、よろしいですか。
○小牧委員 はい、分かりました。
○合田部会長 ほかに何か御質問等はありますか。中岡先生。
○中岡委員 森尾先生の意見とちょっとかぶるというか、関連するのですが、採取に当たって、場合によっては幹細胞が生えてこないという懸念はないのかということと、場所としては違う所から取ってきて、上皮組織ができてくることになりますが、長期というのはなかなか難しいと思いますが、どれくらい安定して生着しているのかということを、もし情報があれば教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。まず幹細胞が入ってこない懸念、本品の製造の成否に関連するようなところかと理解していますが、現状としては少数例ではありますが、治験で本品を製造した全ての症例において、いずれの症例もその規格等に適合した製品が作れており、その製造の失敗例というのはありません。用法・用量又は使用方法において、感染や炎症、瘢痕等が確認されない正常な部位から口腔粘膜を採取するという前提において採取されますが、これについては原因傷病や本品の製造の成否に関連する経験が少ないことから、製造販売後においても全症例で調査をして、適正な情報提供が必要となった場合には、迅速に医療機関に提供する等の対策が必要だと考えています。
 本品の生着の期間に関する御質問ですが、臨床試験において主要評価項目とされた時点は、本品移植後52週、すなわち1年間でした。本品が生着して安定するまでの期間を考慮しますと、52週、少なくとも今回は6例中6例が角膜上皮の再建成功に至りましたので、1年程度は生着し、フォローアップのデータからは2年程度、それ以降はまだ情報が限られていますが、半数以上の症例で上皮化が維持できたということですので、1年若しくはそれより長期というのが、単回で自己由来の製品として可能な時期ということで、これについても引き続き情報収集が必要になってくると我々としては考えています。
○中岡委員 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等はありますか。Webの先生方、よろしいですか。小野寺先生。
○小野寺委員 去年でしたか、同社が角膜輪部から採取した再生医療等製品(ネピック)の製造販売承認を取られていると思います。そこで、今回の製品とのすみ分けはどのようになるのでしょうか。また、これも以前質問したことですが、今回の製品も前回の製品と同様3T3-J2細胞を用いた培養法だと思います。現時点での副作用あるいは有害事象は特に生じていないでしょうか。もしそのような情報があれば教えていただきたいのですが。
○医薬品医療機器総合機構 はい、機構より御説明させていただきます。まず類似製品、角膜輪部の組織を原料として製造するネピックと口腔粘膜から採取した原料を用いて製造する本品、この二つの使い分けに関連するところですが、まず本品は口腔粘膜の組織を用いてLSCDの治療を行うことができるという観点から、両目に角膜の疲弊が生じているようなケースにおいても、口腔粘膜から採取する製品を製造して適用できる。両目に症状があるような人にも使うことができるということが、最大のメリットになるかと思われます。
 一方でネピックに関しては、異所性の組織を用いず、角膜上皮細胞を用いた治療が可能となる製品ですので、本来このLSCDの治療としては角膜上皮幹細胞の疲弊ですので、角膜上皮細胞を用いることによってネピックは角膜透明性が口腔粘膜上皮よりも優れているということが考えられます。したがいまして、移植眼の反対の目である対側眼に角膜輪部の疲弊が生じていないような症例では、角膜の輪部の組織を採取し、ネピックを使う医師もいらっしゃるかと思われます。こういった特徴や職業や年齢も考慮しながら、医師と患者によって最終的にはどの製品を使うかを判断されると考えられます。
○小野寺委員 そうなると、製品の選択は主治医と患者さんの選択で決定され、もちろん両目ということはあるでしょうが、その選択は比較的自由と考えてよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○小野寺委員 明確な決まりがあるわけではないということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、おっしゃるとおりです。使用できないものも当然あるかと思いますが、両方が適用可能というようなケースであれば、医師・主治医と患者によって判断されるという位置付けである、新たな治療の選択肢であるということを我々としては申請者と議論を進めています。
○小野寺委員 前回の製品を含めて安全性情報があれば教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 マウスのフィーダー細胞を原料として使っていることに関しては、類似製品のネピック、そして培養表皮のジェイス、これと全く同じ管理をされたものを使っています。現時点で、このマウスの細胞を用いることに関連する有害事象は報告されておらず、本品の規格においても○%以下だったと思われますが、特性解析を経て一定の混入率よりも下回るという成績に基づいて、混入率が管理されますので、特にマウス細胞に起因するような有害事象は認められていません。
○小野寺委員 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等はありますか。Webの先生方、よろしいですか。
 それでは皆様、御意見は出尽くしたと思いますので、議決を行いたいと思います。再生医療等製品オキュラルについては、承認を可としてよろしいでしょうか。また、条件及び期限付承認に該当せず、10年間の再審査の指定の対象としてよろしいでしょうか。御異議がある方はいらっしゃいませんか。よろしいですか。
 では、御異議がないようですので、そのように議決したいと思います。本件は分科会にて報告を行うことにします。これで議題3を終了します。
 次に議題4です。非公開案件ですが、再生医療等製品デリタクト注の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否についての審議に入ります。本議題については、参考人として成田先生に御出席を頂いています。よろしくお願いします。それでは、皆様準備はよろしいですか。成田先生もいらっしゃっていますか。入っていますね、大丈夫ですね。それでは、機構より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題4、デリタクト注の製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。まず、タブレット資料4-マル1のPDFファイルをお開きください。以降の説明に用いるページ数は、お開きいただいたファイルの最下部中央、何々/71と記載されている緑の数字のページ番号を使用させていただきます。お開きいただいたPDFファイルの7/71ページの上から2行目以降。
○合田部会長 ちょっとすみません。Webハイブリッド会議でいつも思うのですが、3/71とかというのは、ここで見ている人は分かるのですが、Webの先生方も分かるのですかね。Webの先生は紙媒体が行っているのではないですか。大丈夫ですか。
○事務局 共通の資料をお持ちであろうと。
○合田部会長 昔、部会の資料を頂いたとき、いつもそこの番号がずれるので困った記憶があるのですが、Webの先生、よろしいですか。緑のものが行っているのですね。大丈夫ですね。では進めてください。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、お開きいただいたPDFファイルの7/71ページの上から2行目以降に記載しました「1.1申請品目の概要」を御覧ください。本品は、増殖型の遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)である遺伝子治療用製品です。本品はHSV-1のF株に由来し、腫瘍細胞における選択的な複製及び抗腫瘍免疫作用の向上を目的として、正常細胞での複製に必要なγ34.5遺伝子及びα47遺伝子の欠失とともに、ICP6遺伝子がマーカーであるlacZ遺伝子の挿入により不活化されています。本品は、悪性神経膠腫患者の腫瘍内に直接投与することで腫瘍細胞内で選択的に複製され、複製の過程で感染細胞を破壊して殺細胞効果を示すこと及び腫瘍反応性T細胞の誘導により抗腫瘍免疫効果を示すこと、この2種類の作用機序で悪性神経膠腫患者の生命予後を改善することが期待されております。
 今般、本品は原発性脳腫瘍の一種であり、一般的に予後が不良な悪性神経膠腫を効能、効果又は性能として承認申請されました。なお、本品は再生医療等製品に係る先駆け審査指定制度の対象品目、また、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。現時点において、本品はいずれの国及び地域においても承認はされておりません。本品の専門協議に御参加いただいた専門委員は、お開きいただいている資料の2/71ページにありますとおりの5名の委員となっております。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。PDFファイルの24/71ページの表12を御覧ください。真ん中にあります表12を御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験であるGD01試験の成績が提出されました。最初に、有効性について説明いたします。まず、本品の効能、効果又は性能である悪性神経膠腫について、概略を説明させていただきます。神経膠腫は原発性脳腫瘍の一種で、正常脳組織への浸潤性の進展を示す難治性の脳腫瘍です。脳腫瘍はGradeIからGradeIVまでに分類され、神経膠腫の中でも悪性度の高いGradeIII及びGradeIVを悪性神経膠腫と定義し、GradeIVが膠芽腫と呼ばれます。
 次に、PDFファイルの27/71ページの表16を御覧ください。小さいほうの表です。有効性の根拠となったGD01試験は、放射線治療及びテモゾロミドの治療歴を有し、治療後にも腫瘍が残存していた又は治療後に再発した膠芽腫患者を対象に実施されました。GD01試験において、中間解析時点で本品投与開始から1年が経過した13例について、主要評価項目とされた1年生存割合は92.3%であり、事前に設定された閾値である15%よりも高い結果でした。また、PDFファイルの32/71ページにあります表20と図7を御覧ください。失礼いたしました。図5です。2020年4月22日時点で、本品の初回投与日を起算日としたOSの解析が実施され、OSの中央値は20.2か月でした。
 機構の検討内容については、PDFファイルの33/71ページ、次ページを御覧ください。33/71ページの冒頭から記載させていただいたとおり、機構はGD01試験を非盲検非対照試験として実施され、試験デザイン、閾値の設定等には問題点があると判断しております。すなわち、GD01試験において主要評価項目とされた1年生存割合やTime to eventによる評価は、患者背景等の影響を受けるため外部対照との比較による有効性評価を行うことには限界があると判断いたしました。そのため、機構は申請者に個々の症例のMRI画像の提出を求め、追加で有効性の検討を行いました。
 PDFファイルの35/71ページの「7.R.1.3MRI画像の評価結果について」を御覧ください。追加で行った検討のうち、MRI画像の評価の結果、膠芽腫は長期にわたるSDの継続というのは非常にまれであるにもかかわらず、長期にわたりSDが継続している症例が一部存在したことが認められました。当該追加検討を踏まえた上で、本品の一定の有効性は期待できると判断いたしました。ただし、現時点で得られている本品の有効性に関する情報は極めて限られていることから、製造販売後も引き続き本品の有効性について評価する必要があると判断いたしました。
 安全性について説明いたします。PDFファイルの60/71ページに記載している、上から4行目ぐらい、「1.2安全性について」を御覧ください。本品の使用時に特に注意を要する有害事象は、免疫反応に伴う症状、骨髄抑制、痙攣発作、脳浮腫及び頭蓋内腫瘍出血であると判断いたしました。また、本品は投与のために、複数回の脳穿刺という侵襲的な投与手技が必要になること、投与手技の詳細及び投与手技に伴うリスクについても、資材等で医療現場に適切に情報提供する必要があると判断いたしました。本品の投与に当たっては、これらの有害事象に注意すべきではあるものの、膠芽腫の治療及び脳神経外科手術手技に十分な知識と経験を持つ医師によって有害事象の観察や管理、本品の投与中止等の適切な対応がなされるのであれば、本品の投与は忍容可能と判断いたしました。
 続いて、効能、効果又は性能について説明いたします。PDFファイルの60/71の「1.3臨床的位置づけ及び効能、効果又は性能について」を御覧ください。申請時の効能、効果又は性能である悪性神経膠腫は、神経膠腫の中でも悪性度の高いGradeIII及びGradeIVが該当します。GradeIVである膠芽腫患者を対象としたGD01試験の試験成績から、膠芽腫患者は本品の対象にできると判断しております。また、GradeIIIの悪性神経膠腫については、膠芽腫に準じた治療が行われており、現在、治療選択肢が限定的であることを考慮すると、必ずしも本品の適応から除外しないこととすることは可能と判断いたしました。
 なお、専門協議において、以下のような意見を頂きました。「本品が悪性神経膠腫に対する新たな治療モダリティとなることへの期待はあるものの、現時点で得られている結果からは他の治療選択肢よりも優れた有効性が示されているとは言えず、製造販売後に実施される評価によって本品の有効性が明らかになる段階である。したがって、医療現場において本品の有効性に対し過剰な期待を持たれることがないように、GD01試験の成績を医療現場に適切に情報提供する必要がある」という御意見です。機構は専門協議の議論も踏まえ、特にGradeIVに比べて既存治療の成績が良好なGradeIIIの悪性神経膠腫に対し本品を適応する場合には、再発患者であるかどうかを含めてリスクとベネフィットを慎重に検討することの必要性を資材等で医療現場に適切に情報提供する必要があると考えております。本部会で御異議等がなければ、申請者に適切に情報提供するよう再度指示させていただく予定です。
 次に、用法及び用量又は使用方法について説明いたします。61/71ページに記載している「1.4用法及び用量又は使用方法について」を御覧ください。用法及び用量又は使用方法について、GD01試験の設定に基づき、本品の投与回数を最大6回とした上で、1回当たり1mL中に1.0×10PFUを含むものを腫瘍内に投与することと設定することは可能と判断しております。投与部位に関しては、GD01試験の対象とされなかった部位のうち、特に脳幹部への投与については安全性の懸念が大きく、専門協議においても脳幹部への投与手技が確立していない上に、投与により出血等の有害事象が発現した場合には、後遺障害につながる重篤な有害事象又は死に至る可能性が高いため、極めてリスクは高いとの御意見を頂きました。
 機構は専門協議の議論を踏まえ、臨床現場に対する注意喚起としては、現在の添付文書案に記載されている「脳幹部への投与は避けることが望ましい」ではなく、「脳幹部への投与は避けること」とする必要があると考えております。本件についても、本部会で御異議等がなければ、申請者に適切に情報提供するよう再度指示させていただく予定です。
 製造販売後承認条件評価計画について説明いたします。次ページ、PDFファイルの62/71ページの「1.5製造販売後承認条件評価計画(案)について」を御覧ください。現在までに得られている本品の有効性及び安全性に関する情報は限られていることから、製造販売後に本品の有効性及び安全性の更なる評価を目的として、本品を投与した全ての患者を対象に、同ページ表46の使用成績比較調査及び2ページ先に進んでいただいて64ページの製造販売後臨床試験により、製造販売後承認条件評価を実施することが適切と判断しております。62ページの表46に戻っていただいて、使用成績比較調査については、対照群として、本品納入施設において、本品初回投与日から2年遡った一定期間、つまり、本品初回投与日から2年6か月前の時点から2年前の時点の6か月間に、悪性神経膠腫、これは初発又は再発どちらも含みますが、そうだと診断された全ての患者の情報をレトロスペクティブに収集される予定です。有効性評価については、主要評価項目としてOSを設定し、本品群と対照群について患者背景をマッチングした上で、比較評価することとされています。
 また、GD01試験で投与経験のない脳の下位、主として小脳に病変を有する患者については、64ページの表47に製造販売後臨床試験において本品の有効性及び安全性の計画を行うこととされております。
 最後に、PDFファイルの3/71ページを御覧ください。最初から3枚目の所です。以上のような審査の結果、機構は通常の承認ではなく、改めて本品の有効性及び安全性の評価を適切に行うことを条件に、期限を付した上での承認が適当と判断いたしました。開いていただいていますPDFファイルの3/71ページに記載しました効能、効果又は性能並びに用法及び用量又は使用方法で、4/71ページにお示ししました承認条件及び期限を付した上で承認することは可能と判断いたしました。有効性評価の実施に必要な期間を考慮し、承認の期限は7年が適当と考えております。また、本品の主成分は遺伝子組換えウイルスであるため、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、いわゆるカルタヘナ法に基づいて規定された第一種使用規程を遵守した体制下で本品を使用することが承認条件に含まれております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。続いて、資料の最適使用推進ガイドラインについても事務局から説明を頂ければと思いますが、その前に審議したほうがよろしいですか。
○事務局 事務局より、最適使用推進ガイドラインについて説明いたします。マイプライベートファイルにお戻りいただき、資料4-2の最適使用推進ガイドライン(案)をお開きください。最適使用推進ガイドラインは、医薬品で行われている取組に倣い試行的に作成するもので、新規作用機序の再生医療等製品について最適な使用を進めていくため、この再生医療等製品を真に必要とする患者や、使用する医師や医療機関の要件についてお示しするものです。ガイドライン(案)については、現在、一般社団法人日本脳神経外科学会、公益社団法人日本放射線腫瘍学会、特定非営利活動法人日本脳腫瘍学会、一般社団法人日本癌学会、日本遺伝子細胞治療学会の5学会の御協力を頂いて検討しているところです。本部会の委員の皆様からも御意見、御指摘がありましたら、それも含めて検討させていただきたく、案をお示しする次第です。
 ガイドライン全体の構成から説明いたします。1ページに目次があります。まず、「はじめに」で、このガイドラインの位置づけ、内容を紹介しています。次に「2.本品の特徴、作用機序」で、この製品の基本的な情報を記載しています。「3.臨床試験」で、今回の承認に用いた臨床試験の成績を紹介しています。「4.施設について」では、最適使用のための施設や医師の要件を示しています。「5.投与の対象となる患者」で、有効性と安全性の観点から、これまでに得られているエビデンスの下、どういった患者に投与するのが最適かを示しています。最後に「6.投与に際して留意すべき事項」で、これまでに示した施設、患者要件で実際に使う場合の留意点を示しています。
 具体的な要件について、特に「4.施設について」以降を御説明いたします。資料の9ページを御覧ください。「4.施設について」ですが、まずマル1-1に、三つの施設要件を示しています。(1)は悪性神経膠腫の診断、治療及び脳神経外科手術手技に十分な知識・技術・経験を持つ医師が常勤しており、不具合・副作用への対応が可能な施設体制が整っていると考えられる施設として、四つのいずれかに該当することを求めています。最初にお送りした案では、五つ目として、「本品に係る治験責任医師又は治験分担医師が勤務する施設」が含まれていましたが、学会からは、施設において脳神経外科手術の経験があること、安全性を確保できる体制が整っていることも必要である旨の御意見を頂いており、今回の案では、「本品に係る治験の実施施設、又はこれと同等の施設体制を有し本品に係る治験責任医師又は治験分担医師が常勤する施設(脳神経外科に係る診療科を有する場合に限る。)」としています。(2)は、本品のカルタヘナ法第一種使用規程を遵守し、適切に取り扱うための要件。(3)は、本品の承認後に予定される全例調査を適切に行うための要件です。
 次のマル1-2に、医師の要件が書かれています。こちらは、悪性神経膠腫の診断、治療及び不具合・副作用発現時の対応並びに脳神経外科手技に十分な知識と経験を有し、更に製造販売業者が実施する本品の使用に関する講習を修了した医師が治療の責任者として配置されていることを要件として求めています。具体的には、日本脳神経外科学会専門医の要件に相当する臨床経験等を有すること、本品の投与手技であるナビゲーション下生検術を含む定位脳手術の実績が5例以上あることを求めています。
 11ページを御覧ください。「5.投与の対象となる患者について」ですが、【有効性に関する事項】は、本品の一定の有効性が期待される患者、【安全性に関する事項】は、添付文書の禁忌に該当する事項を記載しています。【患者選択について】においては、マル1で本品の臨床試験の対象患者及び臨床試験の内容を熟知し、リスクベネフィットを検討して慎重に投与対象を選択することとしています。
 マル2には、本品の対象とならない患者及び使用方法を記載しています。
 1ポツ目の放射線治療及びテモゾロミドの治療歴のない患者は、現時点では臨床試験のデータがなく、テモゾロミド以外の治療歴のある患者への有効性・安全性が不明であるため、投与対象から除外しています。
 2ポツ目で、前治療実施後に腫瘍の残存又は再発が確認されていない悪性神経膠腫患者については除外、つまり本品が投与できるのは残存又は再発が確認された患者となりますが、下の三つの※で投与の判断に際しての注意事項を記載しています。一つ目に、前治療実施後早期は、放射線治療及びテモゾロミドの治療効果にかかわらず、腫瘍が増大したように見える事例もあることから、慎重な判断が必要であること。二つ目に、退形成性乏突起膠腫又は退形成性星細胞腫の患者、つまりGradeIIIの患者については臨床試験の成績がなく、膠芽腫患者、つまりGradeIVの患者において確認されているリスクベネフィットバランスを期待できない可能性があることから、外科的手技を有する本品を使用するリスクがベネフィットを上回る場合には本品を使用しないこと。三つ目に、初発のGradeIII、手術で腫瘍が取り切れなかったものの再発、つまり腫瘍の増大が確認できない場合について、外科的手技を有する本品を使用するリスクがベネフィットを上回る場合には、本品を使用しないこととしています。この部分については学会より、初発のGradeIIIの中には、膠芽腫と比べ予後が良い症例もあるとの御意見を頂いたことを踏まえ、最初にお送りした案への追加事項として、「リスクベネフィットの判断においては、予後に関連するIDH遺伝子変異の有無の確認、MRI画像による経過観察を行う等慎重に判断すること」と記載しています。
 3ポツ目、5ポツ目は、用法、用量又は使用方法を踏まえた記載です。
 4ポツ目は、臨床試験では全身症状の指標であるKarnofsky Performance Statusが60%以上の患者が対象となっていたことを踏まえ、医師の判断により、全身状態が悪く、腫瘍内投与の実施に伴うリスクが大きい患者には投与しないこととしています。
 6ポツ目は、脳の中でも小脳や脳幹部を含むテント下と呼ばれる部分の病変については、臨床成績がなく投与手技に伴う合併症等のリスクが高いことから、投与対象外としていますが、この部位への投与については、製造販売後臨床試験において有効性及び安全性の更なる評価が行われる予定です。特に脳幹部の腫瘍への投与については、投与手技が確立しておらず、投与手技に伴う有害事象により重度の神経学的後遺症や死亡を引き起こすリスクが高いと考えられるため、注意喚起をしています。
 7ポツ目は、テモゾロミド以外の抗悪性腫瘍剤との併用投与についてですが、臨床試験においてテモゾロミド以外の抗悪性腫瘍剤を使用しておらず、現時点ではテモゾロミド以外の抗悪性腫瘍剤を併用した際の有効性・安全性に関する情報が得られていないことから除外しています。
 次に13ページの「6.投与に際して留意すべき事項」を御覧ください。ここでは、不具合・副作用へのマネジメント等、添付文書の基本的注意の欄を基に本品を投与する際の留意事項を記載しています。さらに、マル1では添付文書に加え、製造販売業者が提供する資材等に基づき、本品の情報を十分に理解してから本品を使用すること、マル2では、本品に関する臨床試験成績は限られていること及びそれを踏まえた条件及び期限付承認であること、並びに本品投与のためには最大6回の定位脳手術等が必要となることのリスクを含めた本品の正確な情報について、文書を用いて患者又はその家族へ説明し、同意を得てから投与することを求めています。説明は以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、参考人の成田先生から、追加の説明をお願いいたします。成田先生、お願いいたします。
○成田参考人 グリオーマの中で、GradeIVの膠芽腫に対しては、テモゾロミドが標準治療薬で、アバスチンも使うことができます。テモゾロミドが承認されて15年、アバスチンが承認されて10年になりますが、それ以外には膠芽腫に対しての薬物療法としては、承認されているものはありませんので、そういう意味で今回のウイルス治療というのには期待したいと思っています。
 GradeIIIの神経膠腫、それから脳幹の神経膠腫に関しては、医師の裁量で使うべきだという意見もありましたが、日本脳神経外科学会、日本脳腫瘍学会で様々に厚生労働省に作っていただいたガイドラインを基に議論させていただきました。特に厚生労働省の方々が、我々学会の両方の意見も様々に取り入れてくださったこと感謝します。GradeIIIについてはリスクベネフィットを考えて投与してもいいけれども、脳幹の神経膠腫については、特に子供に多い疾患ですので、脳幹に針を6回刺すということはなかなか危険な可能性もありますので、脳幹神経膠腫に対しては、きちんと評価した上で治療するようにという厚生労働省の意見と学会の意見が一致したような感じになっております。基本的には厚生労働省と作ったガイドラインを基にやっていきたいと思っています。以上です。
○合田部会長 成田先生、ありがとうございました。それでは、今までの御説明を踏まえ、本デリタクト注について御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。荒戸先生お願いいたします。
○荒戸委員 北大の荒戸です。3点確認させていただきます。1点目は、遺伝子治療というか、今回はオンコリティックヴァイラスなのですけれども、ウイルスに対する抗体がある場合の効果について議論があるところで、ゾルゲンスマでは抗体のある場合には投与しないということになっていたかと思います。今回は、抗体陰性、陽性にかかわらず、有効性と安全性に影響はなかったというような記載で、抗体価による投与の規定はないのですが、具体的なデータを教えてください。あと、類似の治験において、HSVの抗体価で投与を規定しているようなケースがあるのか教えてください。これが1点目です。
○合田部会長 Webですから順番にやったほうがいいと思います。今の御質問について事務局からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。今回の16例のうち、投与前の時点では抗体陰性だった方が5名、それで残りが陽性でした。今回は画像評価のMRIで最終的に長期SDが認められた人が一番効いているのではないかというところで評価させていただきました。その3例については、全て投与前は陰性でした。ただ、現時点では数が少ないというところで、投与時点での陽性、陰性がどれだけ影響するのかは分からないというのが機構のスタンスです。
 もう一点、それらの例に関しても今回は6回投与するということで、結局2回目以降は全員が陽転されておられます。ですので、それ以降打ったとしても、本品については依然として有効性が認められたということです。
 他の品目で、同じようなHSV-1を使った治験なのですけれども、本邦で行われている治験で、抗体価については投与前、投与後に測っているというケースは多くあります。ただ、その抗体陽性をもって投与を取りやめるという運用をしているものは一つもありません。また、海外でも承認品というのは存在していますが、やはりそれについても抗体価が陽性になったら投与を取りやめるというような運用はされておりません。したがって、HSV-1の品目について、現時点で見られているところでは、抗体価が陽性であるから効かないとはされておらず、AAVのケースとは異なっているという状況です。
○合田部会長 荒戸先生よろしいですか。
○荒戸委員 はい、ありがとうございました。これは、製造販売後にも測定することになっているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 日常診療で測定しているものではないので、全て情報が取れるかどうかはまだ不明なところはあるのですが、機構としては抗体については情報収集を可能な限り行うようにという指導を行う予定です。
○合田部会長 荒戸先生よろしいですか。
○荒戸委員 はい。
○合田部会長 それでは、次の御質問をお願いします。
○荒戸委員 2点目は、臨床の効果のところです。IDH1の遺伝子変異の有り無しで、非常に有効性が違っているように見えます。これは、本品の投与とは関係なく、もともと予後が良いとか悪いということなのでしょうか。それとも、本品に対する反応性が違うということなのでしょうか。それと、これは結構有効性に関わっていそうなので、市販後に測定することになっているのかを教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 まず、IDH1遺伝子変異ですけれども、この変異がある場合には予後が良いということが既に知られております。ですので、予後を測定する上で重要な因子となっております。これに関しても、製販後の調査においては、IDH変異の有無というのは全て情報として取られて、最終的にはそれがどれぐらい影響したのかというのは解析可能という状況になる予定です。
○合田部会長 荒戸先生よろしいですか。
○荒戸委員 はい。是非確認していただければと思います。
○合田部会長 3点目をお願いします。
○荒戸委員 3点目は市販後の話で、今回の対照群は多分今までとは違っていて、レトロスペクティブにデータを集めることになっているので、収集する症例の時期は異なることになります。それでも、薬効や予後を十分評価し得るのかというところを教えていただけますか。
○合田部会長 事務局お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。御指摘いただいた点は、市販後の計画というのが、条件期限付きの承認の場合2度目の申請への有効性・安全性の評価というのがすごく重要な計画になってくるということで、毎回すごく議論になるところであります。Time to eventですので、本当にやるのであれば無作為化で前向きに取ってもらった結果が一番重いのですけれども、実際は市販後に無作為化というのはできないですので、現時点では外部対照の設定でベストな方法を申請者と協議し確定しているところです。
 今まで3製品が条件期限付承認で、どちらも販売後に前向きに対照群のデータを取っていくという話です。今回はちょっと違いますよね、というところで荒戸委員の御指摘かと思います。この製品は、契約施設ごとに、契約した時点から後ろ2年半遡って、そこにいた患者さんを情報収集するということです。契約の時期によっては、販売後の患者さんのデータを前向きに取っていくというようなところもあります。実際に契約した施設の全ての患者さんをその2年半遡った時点から6か月間患者さんのデータを全部取っていくということです。
 前向きに取る計画と、後ろ向きに取る計画と、どちらもベネフィットとデメリットがあります。今回、前向きでは懸念されるような患者背景の偏りとか、その自施設での治験、治療の違いによる施設間のバイアスというところは逆に回避できるのではないかというところもあります。今回我々としては、その施設ではレトロスペクティブということになりますが、評価は客観的に行われるというところで、採用は可能なのではないかというような判断をいたしました。
○合田部会長 荒戸先生よろしいですか。
○荒戸委員 はい。やはり、機構の方がおっしゃったように、良いところと悪いところがそれぞれあっても、どちらかを取るしかないのだと思うので、適切に評価し得るように御指導いただければと思います。以上です。
○合田部会長 荒戸先生ありがとうございました。他に御質問等はございますか。森尾先生お願いします。
○森尾委員 森尾です。二つ短いクエスチョンです。一つ目は、骨髄抑制なのですけれども、この機序について何か推察されているか。タイプ1インターフェロンなのか、あるいは血球貪食みたいなものが起きているのか、その機序について教えてください。ある意味では、タイプ1インターフェロンというのは、良い作用の裏返しの可能性も十分あるのかなと思っての質問です。
 二つ目は、51/71に小児のことが書かれています。現在、本品の投与は推奨されないけれども、これから適応に必要なデータの収集について速やかに検討する必要があると書いてあります。これは、実際に集めていくような体制になるかどうかを教えてください。
○合田部会長 機構からよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。一つ目の御質問というのは、有害事象の話ですか。
○森尾委員 はい、有害事象で、骨髄抑制がこれはインターフェロンαとかのデータがあってのことなのか。
○医薬品医療機器総合機構 その因果関係のところが、密接に何か作用メカニズムと関連して起きているのかというのは、まだここの段階では実際は判断できていないというのが現状です。実際のウイルス療法のメカニズム的なところで言うと、増殖性の高い腫瘍のみでウイルスは増えていくということです。そのウイルスの作用で何かを分泌して、全身的に抑制するというのは、まだ必ずしもそうではないのかなと、明確ではない、と思います。引き続き市販後も重要な安全性の評価項目として収集されていくのかと思います。
○森尾委員 ここで遮ってはいけないのですけれども、オンコリティックウイルスに割とよく認められるようなことというわけでもないのですか。すみません、水平展開になる感じですが。
○医薬品医療機器総合機構 我々が公にできるものとしては、メラノーマに対する海外の承認品かと思いますけれども、そこまで今回は精査しておりません。フィードバックできるようなものがあれば、またフィードバックさせていただきます。
○森尾委員 二つ目の小児の点はいかがでしょうか。
○事務局 小児については事務局よりお答えいたします。小児については、本品の投与経験がなく、臨床成績が得られていないのですが、成人と同様小児に対する治療選択肢も限定的であることを踏まえ、本品の小児を対象とした臨床試験がこれまで実施されていない旨を添付文書等で情報提供することにより、現場の医師がリスクベネフィットの判断に基づいて投与することの余地は残しておく必要があると考えております。
 小児に投与する場合も、市販後調査の対象となります。市販後調査の中で有効性・安全性に関する情報収集が行われていきますが、その方法について使用成績比較調査の中で行うのか、それとも別途小児だけ製造販売後臨床試験等の形でやるのか、その点については引き続き製造販売業者と議論していきたいと考えております。
○森尾委員 ありがとうございました。
○合田部会長 それでは、小牧先生お願いします。
○小牧委員 市販後の評価はすごく大事だと思います。最適使用推進ガイドラインの9ページにあるレジストリと、この市販後使用成績比較調査の役割分担との違いがよく分かりませんでした。その辺をもう少しクリアにしていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明させていただきます。そもそも、再生医療等製品自体が革新的な製品ということですので、この再生医療等製品というカテゴリーができた段階から、再生医療等製品の患者登録システムということで、全部、再生医療等製品を投与された患者さんのデータを登録する、もともとは機構で管理していたレジストリでもあるのですけれども、今は日本再生医療等学会に移管したレジストリもあります。さらにレジストリには、学会ベースのものと、この学会というのは再生医療等学会、日本再生医療学会以外の学会のレジストリも含みますし、企業が自社で管理しているようなレジストリも、その患者登録システムの中のレジストリの対象となります。
 そういうものに登録をして、データを共有できる部分と、今後開発する際に対照群のデータにしたり、何かの評価に使うということを前提に、漏れなく登録をするというのが推奨というか、義務付けられているという話ではないのですけれども、登録するようにとなっております。そちらのことを意図して、今後市販後もデータの利活用も含めて調査に利用していこうというところで書かせていただいているということです。
○小牧委員 関連学会というのは、再生医療学会のことですか。
○医薬品医療機器総合機構 今回の場合は、今のところ自社の企業のレジストリではありますが、もともとは基本的な患者背景とか、どういう患者さんが登録されているかというベースの部分というのは、皆さん活用しましょうということです。我々規制側も活用できるような形でもともと構築されています。企業だけのものというよりは、基本的な事項については皆さんが利活用できるように今後は協議が必要かと思います。
○合田部会長 今のところはすごく重要なところだと思います。レコメンデーションというよりも、そこはかなりしっかりやってくださいということでよろしいのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。基本的には登録するようにという通知は出ています。再生医療等製品に関与されている皆様方は、レジストリというのが日本の再生医療等製品の今後にもつながるところですので、皆さん意識を高くレジストリというのは構築されています。これを、今後は使い勝手の良い部分と、開発者の益もないといけないという部分がありますので、まだ、いろいろ議論は尽きないところではあります。基本的には、レジストリというものを皆さんが活用するというところで齟齬はないのかと思います。
○合田部会長 小牧先生よろしいですか。
○小牧委員 はい。
○合田部会長 他に、どなたか御質問等はありますか。宮川先生どうぞ。
○宮川委員 教えていただきたいのですが、49/71のところです。対象患者さんの考え方として、対象から除外した理由と、本品の投与が推奨される理由、考えられる理由ということについては慎重に考えていきたいと思うのです。このように、推奨される理由ということの中で、本文の5行目、6行目で、治療早期から本品を投与することで長期的な有効性を考えるうんぬんとあります。実際にその対象を広げていくというような考え方なのか。そして、その対象を広げていくということになれば、推定ですけれども、その患者さんはどのぐらいの程度と考えているのか。将来的には中医協の問題になってくるのでしょうけれども、いろいろ費用対効果の問題にもなってくるのではないかと思うのです。その辺の読みをお聞かせ願えますか。
○合田部会長 機構ですか、事務局ですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えさせていただきます。今回、49/71ページに患者背景、実際の臨床試験のときに組み入れられた患者さんと、今回議論が必要だということで広がる部分の考察です。実際は、GD01試験が探索的試験として開始されました。治験上患者さんをある程度選択をして、均一の患者さんでデータを取るというところからそうしているということです。限定して治験をやって、その結果は今回の評価の対象となっております。今回その部分で、実際の結果から希少疾病ということもあり、本当は治験で得られたところだけという話であればすんなり終わるのですけれども、実際にどこまで今回得られた結果を広げられるのかというところを、大分時間を要して審査をさせていただきました。
 GradeIIIについては、GradeIIIの中でも特に再発のGradeIIIの悪性神経膠腫の患者様というのは、他に予後が悪いというところもあります。この腫瘍に対して、このウイルスに感染するとそこで増えて溶解するというところに関して、メカニズム的なところも含めると広げられるのではないか。
 脳内複数病変も、複数回それぞれ分割して投与することで、有効性が期待できるのではないかというところに関して、一部理解はでき、今回は拡大ということで御提案させていただいています。
 4点目、5点目の下位。それから、先ほどから御審議いただいています脳幹の部分については、やはり危険性があるというところですので、下位に関しては使用成績評価という形ではなく、市販後臨床試験の中でデータをしっかり取って、IRBに諮り、同意も取っていただくという計画を、今回御審議いただいているところです。
○宮川委員 少し楽観的な見方というか、そういう言葉がずっと続いているので、それに関してはすごく懸念をしています。可能性だけで、そのように範囲を広げていくということが、本来からするとどうなのでしょうか。実際にはそういう有効性といったものも含めてですけれども、35/71のところでは、有効性を評価することは困難と判断しているにもかかわらず、最適使用ガイドラインも含めて、そのような枠組みを作るということが本来あっていいのかどうか。そういう根本的な話で、可能性を楽観視しすぎるということが本来からするとあっていいものかどうかということで、少しお聞かせ願いたかったということです。
○合田部会長 河野課長お願いします。
○医療機器審査管理課長 宮川先生、御指摘をありがとうございます。49/71ページの表にもありますように、悪性神経膠腫に対しては、現状膠芽腫に準じた治療が行われている実態があります。病理的にここの境界度が必ずしも明確でないということからも、悪性神経膠腫の範囲についてはリスクベネフィットを考えながら、治療選択肢が非常に限定的な分野でもありますので、現場の先生の御判断を交えながら使っていただくということも可能ではないかと考えられます。
 参考までに、患者数がどのぐらいになりそうかというところについては、年間ですけれども、膠芽腫で約2,400人、それからGradeIVを除いたGradeIIIの患者さんで大体年間1,200人程度といったデータがあると伺っています。
○宮川委員 ありがとうございました。もう一つ、結局は当初より中間解析を実施する予定であったにもかかわらず、中間解析の対象患者の設定が、データカットオフ以降にも設定されているということで、いわゆる後付け解析というような印象も持たざるを得ないということなのですが、そうならざるを得なかった理由があるのかどうか。32/71とか、そういうところにあるわけですけれども、こういうことに関してはどのように評価していけばいいのでしょうか。
○合田部会長 事務局よろしいですか、それとも機構かな。
○永井委員 京大の永井です。それと強く関連した質問があるのですがよろしいですか。後ほどでも結構です。
○合田部会長 機構から回答できるのだったら先にお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明させていただきます。今回、申請者としては中間解析において、登録順に13名までの被験者のデータを用いることを考えていたということでした。それに関して、申請者としてはそのように考えていたのだけれども、治験実施計画書及び統計解析計画書等に、申請者としては適切に記述したと考えているということですが、我々の方の審査として、明確にそのように登録順に13例というところが書かれているとは判断しきれない部分がありましたので、そのような計画上の記載の不備というところをここに指摘させていただいたということです。結果として、中間解析の全てのデータを使った解析等も確認し、今回の結論に大きな影響はないということは確認させていただいております。
○合田部会長 永井先生、今のものに加えて何かありますか。
○永井委員 そういうことなのですが、私から見るときっちり書かれていると思います。25/71ページには、ここは恐らくプロトコルからの抜粋だと思うのですが、13例が1年間終わった時点で、ということが書かれていて、次のページにも、その13例を対象に解析したときっちり書かれています。これは、プライマリエンドポイントに関するものなので、非常に大事だと思うのです。昨日読んでいて「おやっ」と思ったのですが、記載の何が問題だったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。今回このような解析において、1年間の時点までに死亡又は死亡されなかった、つまり中止脱落になった被験者の取扱いのところが明確になっていなかったところを指摘させていただいております。
 したがって、その点について相談者としては登録順に13例というところだったということなのですけれども、その登録順というときに、1年以内に中止脱落になった被験者の取扱いが書かれていなかったところについて指摘をさせていただきました。
○合田部会長 永井先生よろしいですか。
○永井委員 はい、結構です。
○宮川委員 宮川です。そうなると、結局は機構がそのように読んであげたという感じもあるのですが、そういう理由もなく学術的な臨床試験の基本というのがないがしろにされているというか、読み違えるというようなことがあります。それは、当該企業に対して何かペナルティを与えるとか、実際にそのようなことに関しては問題の指摘はないのでしょうか。
○合田部会長 何かありますか。
○宮川委員 すごく重大なところに入っているだろうと思うのですが。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えさせていただきます。実際に実施されたのが医師主導治験でまず始まっているところもあります。途中からシーズに企業とマッチングをして開発がここまで来ているという段階です。もともとその時に、申請者がどこまでコミットしていたかというところも含めて定かではない部分があります。申請者に対して何かペナルティを、というところに関しては今のところ議論はしておりません。
○合田部会長 課長から何かありますか。
○医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。永井先生も御指摘ありがとうございます。これは、私の理解が間違っていたら言っていただきたいのですけれども、本質的に影響を及ぼすようなことではないという理解をしています。当初から、計画の中にこういうことを入れておいたほうがよかったよね、という指摘をしてくれたという理解なのですけれども、そうではなかったですか。
○永井委員 13例を対象に、死亡者も生存者も合わせて解析しているので、特に問題なかったと思います。先ほどの記載がなかったという点は本質的なことではなく、それをもって問題があるという類いのものではないと思います。
○医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。これは、医師主導治験として行われているものですので、計画の当初にこういうのがあったらよかったよね、という趣旨であれば、そこは申請者を通じてそのような意見がありましたということを、機構か私どもの方からお伝えさせていただきたいと思います。
○宮川委員 そのように、しっかりと言っていただければそれでいいのではないかと思います。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。
○宮川委員 それが、心配だったものですから。ありがとうございました。
○合田部会長 内田先生お願いします。
○内田委員 本品についてなのですけれども、ICP6をノックアウトするために、大腸菌由来のlacZ遺伝子を挿入していますが、それ自体は発現しているということがほとんど書かれていないのです。ただ、第一種使用規程のタイトルを見ると、「lacZを発現し」となっています。そうすると、脳内で大腸菌由来のベータガラクトシダーゼが常に発現をしているということで考えてよろしいのかどうかというところが知りたいのですが、中身にはlacZの説明が全然出てこないので、なんとなく意図的に隠されているような印象も受けるぐらいなのです。
 多分、免疫応答というところでは、ウイルスそのものに対する応答もあると思うのですけれども、その異種タンパク質の話もあると思います。治験の製品よりは、製法変更が行われていますので、製造細胞由来のDNAやタンパク質はかなり減ると思うのですが、異種タンパク質、lacZが発現するということになると、それについては本品に由来するものなので避けることはできないと思うのです。その辺のところは実際どうなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明申し上げます。lacZですけれども、ウイルスが感染すれば発現するというところで、このベータガラクトシダーゼについては品質管理の力価の測定のときに○○○○○法で測っているというところで使用はされています。そこのインフォメーションはそんなにないですね、という御指摘かと思います。毒性のところでも、ガラクトシダーゼそのもの自体の文献の考察で毒性はないという話、加えて非臨床のin vivoの成績から関連するような毒性は認められなかったというところで、評価はしっかりしています。
○合田部会長 内田先生よろしいですか。
○内田委員 はい。もう一点違うことです。最大6回投与ということなのですけれども、どこまで投与するかをどのように判断するのかというのは、治験と同じような形での判断になるのか、それはそれぞれ担当の医者が独自に判断されることになるのか、というところはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 実際の治験の投与回数については、26/71とかに本品の回数が書いてあります。いろいろ解析したので13例、16例、19例といろいろあります。6回までやっている患者さんは非常に多かったということです。使い方に関しては、腫瘍を見て、実際に投与した場所と、またちょっと違うところに病変が大きくなったりしているとか、そうするとそこにまた投与していくというような形で、やはり何度か複数回投与して、封じ込めるみたいなことをしないといけないということです。実際はその治験での投与の話とか、どうやってやるのかも含めて、そういう情報はフィードバックしていただきながら、現場で判断せざるを得ないところがあるのかと認識しています。
○内田委員 ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 資材案としては、投与中止に関する基準を設けています。腫瘍が消失したということと、その腫瘍内に投与することができない場合とか、リスクが大きい場合とか、そういったところに関しては記載がなされているという状況です。
○合田部会長 楠岡先生お願いします。
○楠岡部会長代理 ガイドラインの方で、9ページの4の施設について、マル1施設認定の(1)で四つほど挙げられています。4番目の、本品に係る治験の実施施設、今回の実施施設は1施設しかなく、かつ、この施設は上の三つのどこにも当てはまらないということがあって、一番経験のある施設を入れるというのは十分リーズナブルだと思うのです。その後のところで、治験責任医師又は治験分担医師が常勤する施設となりますと、分担医師が転勤していって同等施設に行くと、そこも実施可能になるという解釈でよろしいのでしょうか。
○合田部会長 事務局どうぞ。
○事務局 事務局からお答えします。楠岡先生のおっしゃっていただいたとおりです。治験を実施された医師が異動された先が治験実施施設と同等程度の体制を有する施設であれば、そこでも使用できるようにということでこちらは記載しております。
○楠岡部会長代理 治験に関わった方が限られているので、その経験をいかすということは非常に有効だと思います。今までガイドラインの施設基準にこのような書きぶりはなかったと思うのです。今回特にこういう書きぶりを加えた何か理由があれば教えてください。
○事務局 本品は1施設で治験が行われていて、適切に使える医師が非常に少ないという実情があります。こちらは、日本のアカデミア発のシーズというところも関係してくるかと思います。これから、本品を適切に使って患者さんに届けていく上で、きちんと使える先生方が使えなくなってしまって患者さんに届かなくなるということでは困りますので、きちんと使える先生方に情報発信していただきたいという意味も込めて、このような記載をしております。
○楠岡部会長代理 分かりました。
○合田部会長 他に御質問、御意見等はありますか。小野寺先生お願いします。
○小野寺委員 プロトコルの話が随分出ましたが、製造に関して教えてください。今回、製造は○○○○○○○に移動していますが、この○○○○○○○で製造された遺伝子組換えウイルスベクターで、治験はされているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。おっしゃるとおり、移管後の製品での臨床試験成績はありません。同等性評価をして、治験製品と市販製法で作られた市販製品というのは同じという判断で現在に至っております。
○小野寺委員 この○○○○○○○で製造されたウイルスベクターの非臨床はどの程度行われたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 移管後の製品で、再度、非臨床試験のデータを取り直しているかという御質問でしょうか。
○小野寺委員 そうです。これはin vivo製剤で、多分、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、○○○○○○○○○○○○○○○○います。多分、機構の方でも品質の同等性を確認されてはいると思うのですけれども、これは患者に投与する製剤ですので、そのようなデータ(in vivoでの安全性データ)はないと思うのですけれども、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 非臨床というのは、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○移管後の製品で実施はされておりません。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、○○○○○○○○測るというところです。移管後の製品で○○○○○○○○○○○○○○○○○○確認をして、○○○○○○○○○○○○○されている状況です。○○○○○○○○○○○○というところについては、確認はされております。
○小野寺委員 同等性の問題というのは難しいと思っています。機構は比較的いろいろな方面から、同等性を確認されていると思います。ただ、ヒトin vivoでの安全性評価を、治験ではなくて製販として行うということに、整合性はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 今の御質問の趣旨としては、このタイミングで変更する理由ということでしょうか。
○小野寺委員 もちろん、市販後に行うときもあるのですけれども、通常は治験でのフェーズの中で実施されるのではないでしょうか。今回の場合、製造変更にて製造された製品が承認されていると思います。確かに、今回の場合は条件付承認なので、そこで評価していくという判断なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 実際にこういったストラテジーというのが考えられます。実際は、今回の治験製品も○○○○○○で製造された治験製品で、そこから市販用製品にするというときに○○○○○○○○○○○○○○○○○をいろいろされて、GCTP下で製造できる製造施設で市販を製造するということで、そのタイミングで実際は変更が行われるというのは、今後、再生医療等製品の開発では結構あるのかなというような印象です。その際、臨床若しくは非臨床のin vivo試験というのをやり直すかやり直さないかというところについては、その品質の同等性がまずどうか、品質で判断ができなければ、非臨床、臨床という形でデータを積み上げていく必要性はあると思います。今回はその品質のところで、○○○○○○同等の作用は期待できるという成績はあるので、今回はこのタイミングでの変更についても問題ないということで判断しております。
○小野寺委員 ご説明されていることは分かります。ただ、今回は条件付承認ですが、一般的にはフェーズ3でマーケティングを想定し、大量・安定生産に向けたプロトコル変更することはあります。ただ、それは、基本的に治験内で行っていくべきもので、特に、in vivo遺伝子治療の○○○○○○○○○○○です。その意味で、たとえ承認されたとしても非常に注意深く品質の確認、特に安全性に関してはデータを採取し、最終的にそのデータを用いて評価するべきと思います。悪いとか良いという話ではなくて、是非、条件付き承認期間内に、これまで製造された製品ではない新たな製品で治療を行っているという認識の下に、しっかりとした安全性データがとれるプロトコルを検討して欲しいと思います。以上です。
○合田部会長 小野寺先生ありがとうございました。今の点で佐藤陽治先生何かありますか。
○佐藤(陽)委員 非常に重要な点だと思います。小野寺先生がおっしゃるように、市販後調査の中で、安全性に関しては非常に綿密に確認していっていただきたいということです。追加なのですけれども、市販後調査に関連して、ヒストリカルコントロールを同じ施設で一定期間遡ったデータを使うということですが、そうなると、恐らくデータ自身のクオリティがきちっと担保されない可能性があります。そういう環境の中でGradeIIIの、しかも再発していないようなところの有効性というのを本当に出せるのかというところが非常に心配なのです。その辺の見通しはいかがなのでしょうか。
○合田部会長 機構からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御回答させていただきます。見通しについては、今回、使用成績比較調査の骨子が、62/71と63/71の表で御説明している脚注4の10因子というのが予後に影響を及ぼすということで、これらはマッチングの推定に用います。この10因子というのが、現在、臨床現場ではそれが収集されている状況もあります。漏れなくこういった情報も含めて、後ろ向きであっても解析ができるという説明を申請者から頂いております。その中で、遡った患者さん全ての情報収集をする。特に、何か恣意的にデータが出てこないとか、そういう話は今のところ想定はしていないというところで、評価は可能なのではないかと判断しております。
○合田部会長 佐藤先生よろしいですか。
○佐藤委員 はい。
○合田部会長 他に御質問、御意見等はありますか。よろしいでしょうか。そろそろ4時になりますので、議決を行います。再生医療等製品デリタクト注については、本部会として承認の期限を7年として、製造販売承認を与えて差し支えないものとしてよろしいでしょうか。御異議のある方は御発言願います。よろしいでしょうか。それでは、御異議はないようですので、そのように議決をさせていただきます。本件は分科会にて報告を行うこととします。また、ガイドラインの方は、頂いた御意見を踏まえ、引き続き事務局において検討されていくことになります。議題4を終了します。成田先生、どうもありがとうございました。
 非公開案件の議題5、JRM-001を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否についての審議に入ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題5、資料番号5、JRM-001を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について事務局より御説明します。
 資料5の2ページに機構の事前評価報告書があります。本品の名称はJRM-001、予定される効能、効果又は性能は機能的単心室症における心機能の改善、申請者は株式会社日本再生医療です。
 機能的単心室症は、左右両心室をそれぞれ体循環又は肺循環に分担させられないと判断される心血管構築異常を有する先天性の疾患群の総称です。本品は、患者自身の心臓組織から分離・培養した心臓内幹細胞(以下CDCという)の懸濁液であるヒト(自己)体性幹細胞加工製品です。心筋細胞への分化能を有するCDCを利用して、外科的修復術後の機能的単心室症患者の冠動脈内に本品を心臓カテーテルで投与することにより、患者の心機能を改善させることが期待されます。
 希少疾病用再生医療等製品の指定要件への該当性について、順に説明いたします。
 まず、対象者数について、機能的単心室症に分類され得る、単心室循環症候群、内臓心房錯位症候群に合併する単心室、その他機能的単心室症に該当する疾患はいずれも指定難病であり、患者総数は約1万2,300人です。なお、本品の原料として用いられる自己心臓組織は外科的修復術時に採取されますが、機能的単心室症に対して外科的修復術が実施された患者数は、単心室症手術等の手術数から算出すると年間612人となります。
 以上より、本邦における対象患者数は、希少疾病用再生医療等製品の指定基準である5万人未満であり、条件を満たしています。
 次ページ、2ポツ目の医療上の必要性についてです。機能的単心室症の治療は外科手術が中心で、第1期から第3期までの複数回の心臓手術を行うことで、解剖学的な形態異常を段階的に修復します。しかしながら、長期の術後生存率には課題が残っています。外科的修復術後も酸素飽和度や心機能が回復しない症例は、最終的に心臓移植に頼らざるを得ませんが、本邦でのドナーが不足しているため心臓移植施行例は限定的で、機能的単心室症に対する新たな治療の開発が望まれています。
 本品により、心筋細胞への分化能を有するCDCを利用して、外科的修復術後の機能的単心室症患者の冠動脈内に心臓カテーテルで移植することで、患者の心機能を改善させることが期待され、本品の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、ページ下段の3ポツ目、開発の可能性についてです。CDCについて、現時点までに、外科的修復術後の機能的単心室症患者を対象とした、本邦での二つの臨床試験が実施されております。左心低形成症候群患者を対象とした試験では、CDCを移植した群では、右室駆出率がベースライン時と比較して3、6、12、18か月後に有意に増加しましたが、移植していない対照群では有意な増加は認められませんでした。また、左心低形成症候群又は心不全を有する機能的単心室症患者等を対象とした試験では、CDC移植群では、ベースライン評価後3か月後の心駆出率は移植後に有意に改善しましたが、移植しない群では変化が認められませんでした。安全性については、臨床上問題となる有害事象は報告されていません。
 申請者は、現在、機能的単心室症の小児患者を対象に、本品の非移植症例を対照とする、多施設共同無作為化比較試験を実施中です。なお、本品は小児先天性心疾患患者に実施する外科的修復術後の心機能改善について、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されています。
 以上の検討結果より、機能的単心室症に対する本品の開発の可能性はあると考えております。したがって、希少疾病用再生医療等製品の指定の3要件を満たしていると判断しております。本品の希少疾病用再生医療等製品の指定の可否について、御審議のほどお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見等ございますでしょうか。皆様よろしいですか。それでは、特に御意見ないということでよろしいですか。それでは、JRM-001については、本部会として、希少疾病用再生医療等製品に指定することとしてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、そのように議決いたします。
 本件は分科会にて報告を行うこととします。これで議題5を終了します。
 次、議題6、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 議題6、資料番号6について、事務局から御報告いたします。カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を治験等を目的として、特段の拡散防止措置を採らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために、遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を採った閉鎖系で使用する必要があります。
 まずは、第一種使用規程の承認を行った品目について御報告いたします。
 資料番号6、1ページの一覧です。前回の部会での報告以降で、令和3年1月から令和3年3月までに、第一種使用規程の承認を行った品目は、こちらの1品目となります。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、本申請における第一種使用規程に従って、本遺伝子組換え生物等の使用等を行う場合に限り、生物多様性に影響が生じるおそれはないと判断したものです。
 続きまして、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目についてです。2ページの一覧です。令和3年1月から令和3年3月までに第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの14品目となります。こちらについても、機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても、執られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。
 引き続き、農林水産省からの報告をいたします。
○農林水産省 農林水産省でございます。引き続き、資料6の4ページ以降です。動物用医薬品の分野ですが、カルタヘナ法に基づく申請については、本部会の傘下にあります動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会で御審議をいただいた上で、農林水産大臣が第一種使用規程の承認、もしくは第二種使用等の拡散防止措置の確認を行っております。
 4ページ、昨年5月以降に第一種使用規程の承認を行った品目は資料の1品目です。牛ウイルス性下痢ウイルスの一部遺伝子を豚熱ウイルスに置き換えたもので、豚用の遺伝子組換え生ワクチンの製造用株です。
 続いて5ページ、昨年5月以降に第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目を示しております。これらの7品目について、調査会で御審議を頂きまして、大臣確認を行いました。いずれも動物用医薬品の有効成分の製造用の微生物として使用されるもので、使用区分はGILSPとなっております。報告は以上です
○合田部会長 ありがとうございます。ただいまの報告について、委員の先生方、御質問等ありますでしょうか。皆様よろしいでしょうか。それでは、よろしければ、これで議題6を終了したいと思います。本日の議題は以上です。事務局から連絡事項等はありますか。
○医療機器審査管理課長 本日も長時間にわたりまして御議論いただきまして、誠にありがとうございます。次回の部会については、改めて事務局より御連絡させていただきます。連絡事項は以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。ちょっと今日は10分ほど延びてしまって、大変申し訳ございません。それでは、これを持ちまして、本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会いたします。本日はありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 大原(内線4226)