第329回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2021年(令和3年)10月28日(木) 14時00分~

場所

東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館 講堂(7階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 山川 隆一(部会長)
(労働者代表委員)
  • 冨髙 裕子
  • 相羽 迅人
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 田尻 久美子
  • 平田 充

議題

  1. (1)雇用仲介事業の在り方について(公開)
  2. (2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  3. (3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容

○山川部会長 それでは、ただいまから第329回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会を開催いたします。本日は公益代表の原委員、松浦委員、使用者代表の佐藤委員が所用で御欠席です。田尻委員、永井委員、奈良委員はオンラインでの御参加となっております。
 議事に先立ちまして、配布しております委員名簿にありますとおり、労働者代表委員として、新たに冨髙委員が就任されております。冨髙委員、御挨拶をお願いいたします。

○冨髙委員 御紹介いただきました冨髙でございます。10月6日に開催された連合の大会で、仁平の後任の総合政策推進局長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

○山川部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、本日は議題1「雇用仲介事業の在り方について」を御議論いただきました後に、議題2と3の許可の諮問に係る審査を行います。許可の諮問に係る審査につきましては、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱いますので、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するということで、非公開になっております。では、議事に入ってまいりますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
 議題1について本日は前回の部会において、委員の皆様の御意見を踏まえ、今後論点として議論することとされた事項について、雇用仲介事業者の業界団体の皆様からヒアリングを行います。全国求人情報協会理事長の鈴木様、事務局長の猪尾様、全国民営職業紹介事業協会会長の紀陸様、専務理事の上市様、日本人材紹介事業協会会長の渡部様、専務理事の石田様、事務局長の川野様にお越しいただいております。本日は、御多忙のところ御出席いただきまして大変ありがとうございます。資料に基づき、業界団体の皆様から、それぞれ御説明いただきまして、その後委員の皆さんとの質疑応答をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。まず、全国求人情報協会様、お願いいたします。

○猪尾事務局長 全国求人情報協会です。資料に沿って御説明をしたいと思います。まず、2ページの目次を御覧いただきますと、パートを大きく3つに分けています。全国求人協会の概要について、活動について、受託事業である求人情報提供ガイドラインと適合メディア宣言制度の概要について、簡単に御説明をしたいと思います。この御説明で協会の役割や機能について御理解を頂ければと考えております。
 3ページには協会の設立・会員・代表・事業とありますが、協会の設立は1985年2月に、求人広告の適正化のために自主規制団体として設立をされました。その後2009年に現在の名称である全国求人情報協会となりまして、2012年の4月には、公益認定を受けて公益社団法人に移行しております。正会員の数は2021年10月1日現在61社です。正会員のリストも付けておりますので御覧いただければと思います。正会員に対しては協会掲載基準の遵守、苦情対応窓口の設置及びその告知、応募者からの報酬受領の禁止、ユーザーの個人情報等の適正な取扱いといった基準を設けており、入会時にも当然審査はしますが、入会後も毎年定期的に審査を実施しております。我々自主規制団体として存在しておりますので、自ら襟を正すということを定期的に実施しています。
 4ページには協会の倫理綱領・掲載基準・ミッションステイトメントについて書かせていただいております。協会では求人広告のための倫理綱領と掲載基準の制定をしています。倫理綱領では、絶えず求人広告の質的な向上に努めることで、求職者の信頼に応えなければならないとしております。掲載基準については、掲載明示項目、掲載明示促進項目、求人事業主の確認、広告掲載の際の審査の実施、掲載を差し控えるケースなどについて定めております。また2003年にはミッションステイトメントとして、スローガン、ミッション、ビジョン、スタンダードについて制定をしております。スローガンにありますとおり、信頼できる求人情報を一人ひとりにということで、基本的には求職者のためにということを軸に、労働市場の活性化、あるいは多様な就業機会の提供を掲げております。全求協のビジョンの中においては、官民連携についてもうたっておりますので御覧いただければと思います。
 続きまして5ページには協会の組織について書かせていただいております。基本的には求人広告の適正化推進に向けた組織を作っており、全ての組織は会員社により主体的に運営しています。協会の議決機関としての総会、理事会、協会の事業や組織運営に関する重要事項の協議機関として、政策委員会、常任委員会を中心に運営をしております。また、3つの専門部会や各種委員会などを、会員社から選出された委員により主体的に運営をしています。例えば、全国審査室長会議は、日常的に会員社の審査の仕事をされている審査責任者、あるいは苦情相談員会議については、会員社の苦情相談を担当する苦情相談の責任者に主体的に運営をしていただいています。
 続きまして協会の事業について御説明をしたいと思います。繰り返しになりますが、求人広告の適正化に向けて基準やガイドラインを設けており、その実践・運用を日常的に行っていくということに注力しています。図を見ていただきますと、右側に求職者、左側に求人者、その間に我々求人メディアが位置しております。求職者へ情報提供する際の一連のプロセスを記載しておりますので、御確認いただければと思います。まずは左の求人者の、いわゆる掲載依頼を起点にして、求人メディアが掲載可否の判定、いわゆるその企業は掲載していい企業かどうかということの判定をし、掲載基準に則した広告の表記、あるいは応募者対応などの啓発を求人者側に行っています。その工程を経て求職者に対して求人広告として情報の提供を行うという一連の流れになっております。その後、求職者の側が応募する流れに移りますが、仮に求職者が応募した後、何らかの求人者との間のトラブルがあった際には、苦情相談の窓口を設けておりますので、苦情対応をそこで行います。事実の確認を求人者側にして、事実の実態を捉えた後、求職者側にも結果の連絡をするという流れになっております。協会はこの求人メディアの後ろ側にいるという立場ですが、求人メディアの会員社が、この一連の活動を健全に行っているかということを、求人広告のモニタリングチェックなどを含めて、会員資格審査を実施しています。
 また、適正化推進のための支援を行っています。全て求人情報の適切性をしっかりと担保し、よりよいマッチングの実現のために、このフローを実施していると御理解いただければと思います。求人情報適正化協議会、いわゆる求人適合メディア宣言について、ここでは協議会でガイドラインあるいはチェックシートを作成したり、苦情相談のマニュアルを作成して提供したりということをしています。
 調査研究の部分です。労働関係法令の改正などに際して、官民連携による労働市場の活性化をテーマにして、調査研究・提言といった活動を行っております。市場規模の調査については毎年実施し、発表をさせていただいています。真ん中に求人広告掲載件数等集計結果とありますが、これについては毎月月次で発表しております。会員社から集めたデータを処理し集計したものです。基本的には行政機関、新聞などの各種メディアに情報提供しており、労働市場のいわゆる傾向値を示す指標として注目を頂いているというように自負しています。
 3つ目、新卒学生の就活に関しての専門部会を発足しております。若年労働者の問題整理やアクションプランの検討もしております。大学4年生、大学院2年生を対象とした就職活動実態調査、あるいは入社後の追跡調査も毎年実施し、発表をさせていただいております。
 教育、広報についてです。先ほどから求人広告の適正化の推進のお話をしておりますが、基本的にはそれを推進するためにはベースになる知識がないと実行が伴いませんので、会員社の従業員に対しての教育をそれぞれ行っています。
 1つ目、求人広告取扱者資格制度とありまして、右に写真を入れていますが、求人広告ハンドブックという250ページぐらいになる冊子を作っていまして、基本的には労働市場にまつわる背景、あるいは協会の成り立ち、労働関係法令、求人広告そのものについて、求人広告を掲載いただく前の審査について、その後のトラブルの対応についてなどを一冊にまとめ、これをテキストとして試験を行っています。その試験に合格すれば、求人広告取扱者資格証というものを発行し、継続的な学習の機会を提供しているということです。基本的には会員社の営業職の方あるいは制作職、原稿を作る人たち向けの制度です。
 2つ目、企業を審査する、あるいは広告を審査する方々、苦情相談を受ける相談員向けの自己啓発の機会の提供を行っています。
 3つ目、会員企業の従業員向け研修というのは、主に会員社のいわゆる新人向けの研修です。例えば中途採用で入った方もそうですし、新入社員、新卒で入った方もそうですが、新たに入った方々向けに、ベーシックな労働市場を取り巻く環境の理解であるとか、業務の中で日々起こるケースについてケーススタディをやったり、会員間の交流などを行っています。
 4つ目、求人広告賞の選考・表彰とありますが、こちらは年に一度、会員社の方からエントリーを頂いています。基本的に求人広告は求職者がその広告を見てアクションし、求人者に採用され働き始める、就業機会を得るというプロセスを経るのですが、その模範となる、より良いマッチングができた事例をエントリーいただいて、それを表彰するというものです。基本的には会員社の従業員の方の事例共有とモチベーションアップの企画の1つとして考えています。
 5つ目には会員に対して、月次で2回のメールマガジン、あるいは会員専用のWEBサイトを通じて、労働市場のトピックスであるとか、行政指導に関する情報、あるいは会員企業が発表する各種調査等について情報提供をしています。
 続きまして適正化に関しての大切な活動である求人企業に対する啓発活動です。右側に少し資料を付けましたが、求人情報に関わる苦情相談の発生要因を常に把握しておりますが、ここ数年ほぼ同じ傾向ではありますが、何らか苦情の相談があったときの発生要因は、企業側にあるということがおおよそ分かっておりまして、約60%ぐらいが求人企業要因ということになります。例えば新しい法令ができたときに、すぐに察知してそれを理解してということができていないこともありますので、我々求人メディアが間に入って求人企業に対して、その啓発をしていくということが不可欠となっております。協会では募集、雇用、採用に関する基礎知識をまとめた小冊子であるとか、随時旬な情報のリーフレットを作成するなどして、基本的には会員社の営業の担当の方が求人者を訪れたときに、啓発活動を日々行っています。
 続きまして事業とは直接ということではありませんが、社会貢献活動という位置付けでの取組についてです。1つは小学生、高学年の方向けにキャリア教育の取組を実施しています。2015年から小学校に対して支援活動をしておりますが、これは求人メディアとして日々求人者に触れていますので、多種多様な仕事、職種があるということを必然的に知ることになります。その知見を活かして、小学生向けに世の中にある様々な仕事を考える機会を設けて実施をしております。ちなみに昨年度、コロナの状態ではありましたが、全国で11校、うち3校はオンラインということで実施をしております。
 2つ目は、これも毎年行っていますが、定期的に期間を定めて、障がい者雇用の支援のキャンペーンを実施しております。こちらは求人広告ですので、基本的には掲載料を頂いて事業を営んでおりますが、この障がい者雇用支援キャンペーンについては、求人広告を無料で掲載いただいて、障がい者の雇用につなげていただくという活動をしています。過去10年の成果を数えてみますと、約1,000名の障がい者の方の雇用の創出を実現できたということです。求職者、求人者からも一定の評価を得ているというように感じております。
 ここからは協会が厚生労働省から委託されている事業、求人情報提供ガイドラインと、適合メディア宣言制度の概要について御説明いたします。こちらは2016年に協議会が設置されまして、約2年の準備期間を終え、2018年の6月にスタートしております。その名のとおり、求人メディアの自主宣言制度でありまして、第三者が審査、認定・認証するものではなく、求人情報提供事業者が自らPDCAサイクルを回してガイドラインに適合した取組を行うことを、自己責任に基づいて宣言するものです。基本的には求職者からの信頼を得るための経営的に不断の努力を続けているということが、大きなポイントであると考えております。宣言したメディアについては、ガイドラインに沿った取組をし、掲載時のチェック表の運用をし、当協議会が開催するセミナーを受講、PDCAサイクルをしっかり回し、自己責任の下で適合のチェックをします。また、宣言書は代表者の名前入りの宣言書を提出することなどが、この制度の主な要点です。
 最後のページです。こちらのグラフはスタートした2018年の6月から直近の2021年9月までの宣言社数・宣言メディア数の数字を表しております。スタートした2018年6月については、38社105メディアから始まっており、現在では63社126メディアとなっております。メディア数について、2019年の147から現在にかけて少し減少しているように見えますが、これはいわゆるメディアのカウントの方法の変更と、メディアの統廃合・クローズの影響です。特に2020年の1月からコロナが大きく影響して、事業の規模としてはそれほど大きくない母体の19メディアがクローズし、メディア数が減ったということです。宣言社数に関しては、ほぼ60数社ということで推移していると御覧いただけるかと思います。また、現状の2021年9月時点の宣言社、宣言メディアの会員と非会員、協会の会員は63社のうち51社、126メディアのうち110メディア、協会の非会員については12社16メディアという内訳になっております。事務局では毎年開催される協議会において、このガイドラインの改訂に関する検討であるとか、宣言社数、宣言メディアを増やすための施策の検討などを行っております。6ページにも図示しましたが、ガイドライン、チェックシート、苦情相談の対応のマニュアルなどを作成して活用していただいております。同時にメディアに掲載されている求人広告のモニタリングチェックも事務局の中では実施して、常に適合メディアの宣言をしたメディアの質の担保に努めているという状況です。ここまでが協会の概要、事業と宣言メディアについての御説明となります。以上です。ありがとうございました。

○山川部会長 ありがとうございました。委員の皆様から御質問等がありましたら挙手をお願いいたします。冨髙委員お願いします。

○冨髙委員 御説明ありがとうございました。まずは様々な取組をされていることに敬意を表したいと思います。3点ほどお伺いしたいなと思います。1点目ですが、9ページに、求人広告の苦情の6割が求人企業に起因しているということで、求人企業に対していろいろな取組をされているということ、その横に求人情報に係る苦情相談の発生要因において、求人メディア要因は11%であるという記載があります。様々な苦情相談の対応をされているということですが、協会会員以外の求人メディアに対する苦情なども、場合によっては御相談があるのではないかと思っております。協会会員と非会員に関する苦情相談の内容で何か違いがあるのか教えていただきたいのが1点目です。
 2点目ですが、アグリゲーターのような求人者の依頼を受けないで、求人情報を収集して携載している事業者もあるかと思いますが、求人広告の適正化という観点から全求協で何らか働きかけをされていることがあれば、伺いたいと思います。
 3点目ですが宣言されていないメディアもありますが、非会員の事業者に宣言を広めるとか、あと協会の会員になっていただくとか、業界全体の求人広告に対する信頼性の向上のために、何らか取り組んでいることがあれば伺いたいと思います。加えて、法制に関する部分を含めて調査、研究されていると思うのですが、自主的な取組だけではなく、政策的に改善を求める事項や後押ししてほしい事項など、何かありましたら伺いたいと思います。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。ただいまの御質問につきましていかがでしょうか。

○猪尾事務局長 では、最初にありました会員、非会員の苦情相談のところですが、基本的には会員社自身がそれぞれ苦情相談窓口を設けていますので、自社に苦情相談がまず入りますのが前提で、そこからこぼれたものであるとか、こぼれたというのはちょっと表現が違いますが、うまく回らなかったものが協会のほうの相談窓口に来るというケースがあります。その中で会員であれば事実を確認し、会員の側にもう一度フィードバックし、きちんと事実確認と対応をしてくださいというお願いをします。非会員からのケースというのは少ないですが、多少はあります。非会員でありますので、実際にその求人情報事業者に対して何かフィードバックしたりは直接的にはどうしてもできないものですから、事実を聞き、求職者の相談がほとんどですが、求職者に対して対応の仕方をお教えするという対応をさせていただいております。
 それから2つ目の質問、アグリゲーターに関する働きかけですが、現在のところ我々から積極的に何か働きかけをしているということはございません。
 それから宣言メディアの、例えば数を増やすときには、非会員の方向けのオープンセミナーなどで、我々の活動を周知し、その中から会員になっていただいたり、あるいは宣言メディアに入っていただいたりということをやっております。そのセミナーの中で、我々が常に作成しているツールなどを提供しています。例えば、先ほど少しお話しました市場規模の調査なども、会員以外に求人者の側からいろいろなデータを提供いただいて調査しますが、その際にデータ提供いただいた代わりに我々が作っているツールを御提供し、御活用くださいというような活動もしております。

○鈴木理事長 政策的なところということに関して申し上げると、具体的にこのような形でという提言まではいっておりませんが、やはり先ほど説明させていただいたとおり、求職者目線に至ったときに、一番トラブルになる要因というのは求人企業、求人者の法的な理解不足とか、そういうところが非常に起因していたり、あとは出す情報そのものの精度とかそういうことが非常に起因するケースが多いので、できる限り官に対して、いつもコミュニケーションを取らしていただいているのは、我々も一生懸命やりますが、求人者への啓発を民間だけでやれることはやはり限界がありますので、その辺りをよろしくお願いしますと、常々申し上げているところでございます。以上でございます。

○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問等ございますでしょうか。佐久間委員どうぞ。

○佐久間委員 本日はどうもありがとうございます。お忙しいところ大変恐縮でございます。私からも1点質問させていただきます。7ページに記載をしていただいてます求人広告携載件数の集計結果につきまして、景気動向の指数としても役立つ資料だと思います。会員の皆様方は、基本的には情報誌を発行しているということですが、ネットも平行してやっている方も多数いらっしゃると思うのです。紙媒体だけの情報提供とか、ネットによる情報提供とか、その場合に会員の皆様についても情報誌だけではなくて、ネットでの求人・求職情報の提供が増えているのではないかと思います。要は、会員の皆様の比重は、紙媒体からネットでの情報提供に重点が変化しているのではないかと考えますが、最近の感触でいいのですが、会員の皆様について、どの程度移ってきているのか、教えていただきたいと思います。
 それから、もし、その募集情報等提供事業者の方々が、情報誌を発行していればもちろん会員として入ることはあるのでしょうが、ネットの活用ということでこちらの協会のほうに入りたいというときに、その定款とか会員資格とか、そういうものを拡大して加入させることが出来るのかを教えていただきたいです。

○猪尾事務局長 今の御質問にお答えしますと、現状は基本的に、紙ではなくてほぼネットだというふうに御理解いただければいいと思います。実はこの求人広告の携載件数のカウントも各社から出していただいているものは、ネットのメディアを中心に出していただいている。分かりやすくいうと紙のメディアの数を数えるということは容易ではないので、基本的には8割方ネットに移行していると御理解いただいて、この数字の元もネットの中の報告の数であると御理解いただければと思います。
 先ほどの最後の定款も含めてですが、もともとは全国求人情報誌協会という名前でございましたが、当然社会の移り変わりによってネット化も進みましたので、全国求人情報協会ということで、既に定款上もネットに入れ替わったところも普通に会員化できるというような状態になっております。

○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問等ございますか。小野委員どうぞ。

○小野委員 御説明ありがとうございました。非常に重要なお仕事されているなと思ってお話を伺っておりました。質問が3つほどあります。まず1つ目ですが、3ページ目の会員のところに61社と書かれてあります。下のほうにはいろいろお名前、会社名が書いてありますが、まずこの61社というのは、全国のこういう求人の業界でどのくらいカバーされているのかというようなことが、分かったら教えていただきたいです。
 それと、このお名前がいろいろ書かれていて、知っている会社もあれば知らない会社もあったりもするのですが、いわゆるその求人メディアというふうに言われても、求人だけをやっている会社なのか、あるいは新聞とか広告とかほかのことを、本業があってそれをベースにして、何か求人とかもやられているようなところも入っているのかというような、そういう何となく地図みたいなものを教えていただきたいのが2点目です。
 3つ目が、昨今いろいろネットでのやり方も変わってきていると、前回の部会などでも話が出ていたりしたのですが、例えばアグリゲーターやスポットマッチング、人材データベース、SNSとかいろいろやり方が広がってきているということなのですが、この会員の中でどういうふうなやり方をサービス提供されているのかというのを、もし把握されていたら教えていただきたいなと思います。

○猪尾事務局長 会員の構成ですが、この正会員というのが61社ありまして、基本的に北海道から九州沖縄までの会社で、首都圏、特に東京に本社を置いている会社はいわゆる全国規模の会社だというところが多いと思います。あと地方の北海道だったりとか九州だったりとかは、その地域、地域である種有力なというか、影響力をもっているメディアを事業として営んでいるということでございます。
 61社は大体正会員は昨年70社弱ぐらいあったのですが、コロナの影響で求人メディアを閉じたりとかで減っています。我々が把握しているいわゆる求人メディアを業としている会社の数は、正確にはちょっと把握しきれていませんが、400から500ぐらいはあると思っています。その中の60社から70社ぐらいが我々の会員で、この中には新聞といったような業界は入っておりません。基本的に求人メディアをメインとした業でございます。先ほどいった400から500であろうというのは、規模の大小かかわらず全国津々浦々数えるとそれぐらいにはなるであろうということです。それ以外のところでまた300から400ぐらい、新聞であったりとか、いわゆるメインにしているわけではなく、広告として求人の広告も扱っているようなところもある。そういう把握の仕方をしております。

○鈴木理事長 会員各社の業態についてですが、当然これだけの会社があるので、いろいろなことをやられているのですが、基本的にはこの求人メディアの運営を中心にされているところが圧倒的に多いです。同時に地域に根差した会社が多いですので、例えばタウン誌などのような、販売促進の広告を募るビジネスをやられている会社もありますし、あとは人材領域の中でも求人募集のメディア運営だけではなくて、一部派遣業や人材紹介業などを兼業されている会社もあります。先ほどおっしゃっていただいた新たな新形態サービスのアグリゲーターやSNSなど、その辺りの事業をやられている会社というのは、この協会にはまだほとんどいなくて、ごくごく限られた大手の一部の事業がそれに少し該当するのかなというところです。新たな新形態サービスというのは、現段階ではこの全国求人情報協会への加盟はしていないような状態ですので、そこのかぶりは少ないという状況です。

○小野委員 分かりました。総合サイトみたいなものもやっているというわけではないのですよね。

○鈴木理事長 そうです。

○小野委員 クローリングして、要は人材データベースみたいな形で自社にその求人がくるものだけではなくて、他社にきたやつも一緒にネット上に挙げるというようなもの。

○鈴木理事長 はい。そうですね、全くやっていないということではないですが、ほとんどここに書かれている会社はほとんど地域社ですが、そういう形態をやろうと思うと、かなりテクノロジーを駆使した開発体制とか運営体制というのが必要ですので、ほとんどの会社はそういうサービスはやっていなくて、純粋に求人情報、先ほど説明申し上げたように、求職者と求人者をインターネット上で求人情報というものでマッチングさせるという業態をやられている会社が大半です。

○小野委員 分かりました。ありがとうございます。

○猪尾事務局長 付け加えますと、先日の部会での資料にありましたサービスの類型の中でいきますと、求人メディアとくくられた所が、我々の団体ではメインになっているというふうに御理解ください。

○山川部会長 ありがとうございました。平田委員お願いします。

○平田委員 御説明ありがとうございました。適正化のために自主的な取組みをされていることに、敬意を表します。適合メディア宣言には私も関わっており、非常に素晴らしい取組みだと思っています。その上で1つ質問です。労働市場のマッチング機能を強化していくためには、官民連携が重要です。加えて、デジタル技術を活用して新たなサービスが生まれている中、求人者、求職者といった、ユーザーが安心してサービスを利用できる環境づくりが必要なのではないかなと思っています。この部会での論点にも挙がっておりますが、仮に今後、環境を整備していくとするならば、事業者や、求人者、求職者それぞれの主体がメリットを得られるような視点が必要だと思っています。こういう観点からどのようなことを期待されているのか、抽象的な質問かもしれませんが、御回答できる範囲でお願いしたいと思います。以上でございます。

○鈴木理事長 ありがとうございます。まず厚生労働省とは先ほどの説明にもあったように、当方のほうで事務局を務めさせていただいております求人情報適正化推進協議会で、平田委員にも協力を頂いて適合メディア宣言というものを運営しておりますが、あのような形で我々がやっていることそのものの、求職者に対して提供する情報のレベルを上げていくということについては、非常に推進していただいていまして感謝をしています。今後のところに関していうと、やはり紙からネットへという大きな動きがあったのと同時に、今ネットの世界でも先ほども御質問あったように、かなり技術の進歩が日進月歩で進んでおります。それを我々が活用してサービス提供していくと、求職者からかなり今までになかった選択肢を提供してもらえたとか、今までになかった形でのスピーディーな仕事探しが実現できたというような、そのような声が非常にたくさんあるのですね。我々はできる限り、もちろん個人情報保護であるとか、求職者保護の観点というのは大前提として、やはりその技術を有効に活用したサービスづくりということは、これからも進めていきたいと思ってますので、そういう流れの中での推進や環境整備をしていただけることを期待しております。以上でございます。

○山川部会長 ほかに御質問はあろうかと思いますが、恐縮ですが、時間の関係で、もし追加でありましたら事務局にお寄せいただければ、別途お伺いして、お答えをまた御連絡させていただきたいと思います。大変貴重なお話をありがとうございました。続きまして、全国民営職業紹介事業協会様、お願いいたします。

○紀陸会長 部会の委員の皆様方に御説明をさせていただく機会を賜りまして、厚く御礼申し上げます。お手元に本文で5枚組のペーパーをお配りしてございます。これに沿いまして御説明をさせていただきます。民紹協の目的、それから協会プロフィールと書いてあります。ここにありますように、民紹協の組織の特徴として、先ず全職種を対象とした業種団体であるということ。また、協会のプロフィールの所を御覧いただきたいのですが、今、会員数が1,262社、内訳が、協力団体所属会員は553社、直接会員のホワイトカラー系は709社とあります。協力団体所属会員のグループとホワイトカラー系の直接会員のグループの2つがあるということがもう一つの特徴となっています。
 昭和62年に民紹協を発足いたしましたけれども、当時の協力団体所属会員というのは、看護婦家政婦ですとか、ここにおられます人材協もございますが、ホワイトカラー、そのほかに配ぜん人のサービスクリエーター、マネキン、調理士、ホテル&レストランの配ぜん人などの協力団体に所属する紹介所でした。発足当時はこういった伝統的な会員だけの組織でスタートいたしましたけれども、平成9年以降、職業紹介の業務の取扱いの範囲の拡大に応じまして、直接会員のウエイトがどんどん増えてきております。経過的に見ますと、この伝統的な会員が、以前は1,900ぐらいありましたけれども、今では553ぐらいに減ってきております。逆に、直接会員の比重が非常に増えている、これが大きな特徴であります。かつ、今、約2万8,000ぐらい職業紹介事業所がありますけれども、その中で人材協と合わせましても約95%の事業所がどの団体にも属していないと、今そのような現況にあることが、1つ問題ではないかと思っております。主な活動につきましては、専務理事の上市のほうから御説明させていただきます。

○上市専務理事 続きまして、その右側に記載しておりますが、主な活動といたしまして、6点ほど挙げております。最初の職業紹介責任者講習などの開催ですが、御案内のとおり、職業紹介事業者は職業紹介責任者を配置する義務があります。その責任者は5年に1回この講習を受講する必要があります。そういうことで、法定講習に位置付けられておりますけれども、令和3年度は年間120回開催する予定です。
 2点目、アドバイザー等によります無料の相談ですが、昨年度の実績は1,759件ですけれども、専門的なアドバイザーが無料の相談を行っております。この相談の中には、後ほど出てきます苦情の相談も含まれております。
 3点目、情報の提供ですが、機関誌「ひと」を隔月で、またメールマガジンを月2回配信しております。
 4点目、民紹協認定の職業紹介士の資格の認定を行っておりまして、3か月の通信教育と3日間の集合教育を受けていただいて、それぞれの試験に合格した方を職業紹介士として認定しております。平成18年から始めておりまして、昨年度まで延べ343名が認定されています。今年度につきましては、つい最近合格者を発表しまして、16名が追加されています。
 5点目、ブロック交流会の開催です。都道府県労働局と連携して、会員と協会などの交流を目的として6ブロックで開催しております。今年度はオンライン開催を予定しております。
 最後、厚生労働省からの受託事業ですが、2事業ありまして、1つ目が職業紹介の優良事業者の推奨事業です。これは後ほど優良認定制度に関するということで、もう少し詳しく御説明申し上げます。2つ目が、職業紹介の適正化推進事業ですが、これは法令遵守のために「自主点検ツール」を作成し、その普及を図るという事業です。
 2枚目以降の資料は、今回のヒアリングに当たりまして、論点が4つ示されておりまして、それぞれの論点に沿って、当協会としての考え方をまとめたものでございます。1点目は、多種多様な雇用仲介事業が展開される中で、新たな形態も含めた雇用仲介事業者について、労働市場において需給調整機能の一翼を担うものとして位置付け、官民の連携を進めることについての考え方を問われたものです。
 まず、総論といたしまして、労働力の需給調整において新たな形態の雇用仲介事業者が果たしている役割というのが、年々大きくなっております。現状では、職業安定機関が雇用仲介事業の全体の3割ぐらいしか、事業状況を把握できていないということもありますので、労働市場全体の状況を把握できる仕組みを構築して、総合的な雇用対策を担っていくべきであるという考え方には賛成しております。その官民連携については、民紹協といたしましても、職業安定機関と連携を図り、必要な情報の提供に、引き続き協力してまいりたいと考えております。
 少し各論的に申し上げますと、御案内のように、職業紹介事業は基本的に許可制を取っておりまして、年に1回書面による事業報告と、人材サービス総合サイトへの情報提供が義務付けられておりますが、許可事業者であってもサイトへの情報提供が、なかなかなされていないという事業者が多く見られる課題があります。そういうことで、紹介事業以外の事業者の情報を把握するためには、それらの事業を法的に位置付けるとともに、報告義務を課す必要があるのではないかというように考えます。また、情報の収集に当たっては、業界団体の役割も重要であろうかと思います。
 例えば、民紹協といたしましては、日頃から人材サービス総合サイトへの情報掲載を呼び掛けておりますけれども、その結果、民紹協会員は許可事業者の平均よりも掲載をされている割合が高くなっております。事業者の中には、業界団体の活動に余り関心を持っておられない事業者も多くありまして、職業安定機関としても業界団体の活動を周知するなどの、官民の連携を強化していただく必要があるのではないかと思います。
 また、最後にありますけれども、報告の負担を軽減するために、事業報告を電子報告にして、その内容がサイトにも自動で反映されるなどのデジタル化を検討していただけたら有り難いと思います。
 2点目は、特に、募集情報等提供事業者の位置付けと役割についてですが、こちらも御案内のように、募集情報等提供事業は、そこにありますような定義になっておりまして、「依頼を受けず」に求人情報や求職情報をクローリング・収集し、提供する事業者も存在しますので、そういった事業者をどのように位置付けるのかというのが課題になるかと思います。
 2つ目にありますけれども、職業紹介事業者とそれ以外は競合関係にありますが、一方で共存関係にもあり、密接に関係しています。自前で求人サイトを運営していない紹介事業者は、求職者の確保が難しくなっておりまして、このために求職者のデータを提供する事業者のユーザーになっているという実情があります。
 具体的に、その下に事例を挙げておりますが、紹介事業者が求人メディアに受け付けた求人情報の提供を依頼して、その閲覧者から応募の希望があれば、求職の申込みを受理して、紹介を行うという事業者もおられます。また、求人メディアの検索結果において、求人を上位に表示させるために、クリック課金のコストも掛けることがあります。紹介事業者が人材データベース事業者に手数料を払って、求職者の情報を受け取って、スカウトを送付することもあります。このように職業紹介事業者もユーザーとして安心して情報を利用できるように、紹介事業以外の事業においても、情報の正確性、的確性あるいは情報管理の厳格化、そういったものが確保されるようにしていただきたいと思います。
 4つ目は、AI等を活用した求人案件のリコメンドや求職者のリコメンド、こういったものがアンケートの結果にもありますように、非常に増えております。今後、AIの発達によりリコメンド機能が更に高度化いたしますと、紹介事業との境界がますます曖昧になってくるのではないかと思います。そうした中で、紹介事業とそれ以外の事業者との間で規制の違いが大きくなりますと、不公平感が高まるおそれがあるのではないかと。例えば、就職お祝い金が、紹介事業者には今年度から禁止されましたけれども、募集情報等提供事業におきましては、現在でもお祝い金の提供を謳っているところがあります。
 論点の3点目、優良な雇用仲介事業の認定についてですが、当協会は平成26年度から厚生労働省の職業紹介優良事業者認定制度の受託をしております。審査項目はそこにありますように、全部で82項目もありまして、多岐にわたっていて、かなりそのハードルは高くなっております。令和3年10月1日現在の認定事業者は39社でして、認定事業者の伸び悩みが見られるところです。制度のメリットといたしましては、3点ほど挙げておりますが、求人・求職者にとりまして、優良な事業者を選ぶ目安になるということ。それから、自社ホームページ、営業パンフレット、名刺等に認定マークを掲載又は記載ができて、ビジネスの拡大に活用できる。それから、人材サービス総合サイトにも優良事業者として明記される。そういうメリットの中で、実際に認定事業者の声といたしましては、そこにありますような業務の適正化や効率化を促進することができた。社内規程、業務マニュアルなどの策定、改善ができた。それから、小規模な事業者においても、これまで相手にされなかった企業から求人の申込みがあった。社員のモチベーションの向上につながったといった声があります。
 一方で、課題といたしまして、認定事業者がなかなか増えないという悩みがあります。その理由を3点ほど挙げておりますけれども、認定の準備にかかる負荷と、審査手数料の負担に見合うメリットに乏しく、中小規模の事業者にとっては負担が多い。それから、大手の事業者はもともと知名度があるので、認定を取得するメリットを感じにくい。3つ目ですけれども、紹介事業者の評価というのは、紹介事業者よりも紹介をする求人や求職者に左右されることが多くて、認定取得がなかなか差別化につながりにくい、そういったことなどがありまして、なかなか認定事業者が増えないというようなことですけれども、総じて、この認定のインセンティブがないといったことが、この認定事業者が増えないということにもつながっているのかなというように思っております。
 この認定制度は、認知度が低いというアンケート結果もありまして、少しデータをその下に載せております。今回、厚生労働省の委託事業でアンケート調査がなされまして、その結果については、○のほうで書いております。それに対しまして、同じく厚生労働省からの委託事業で、職業紹介の優良認定制度に関する認知度調査を行いまして、今年8月に公表しているのですけれども、その調査では、求人企業は人事採用担当者に聞いております。求職者の方は、職業紹介事業者、いわゆる「人材紹介会社のことを知っておりますか」と聞いて、「知っている」という方に調査したものですが、調査対象が異なると「知っている」という割合が、かなり高くなるという結果が出ております。
 4つ目の論点ですが、求職者の安心を確保し、自らが理解納得して雇用仲介事業者を利用できる環境を整備していくに当たって、募集情報の的確性や個人情報の取扱い、苦情への対応についてどう考えるかということです。今回の求職者アンケートで最も多い困りごとは、職業紹介事業者の場合は、「求人企業の募集条件と実際の就業条件が違った」というのが最も多く、次いで「応募したらすでに求人が終了していた」というものが続いております。これは職業紹介事業者以外でも同様の傾向にありまして、募集情報の的確性、最新性というのは雇用仲介事業者に共通する課題ではないかと思います。
 そういう中で、職業紹介事業におきましては、職業紹介責任者講習で労働条件の明示、個人情報の取扱い、苦情処理について説明をし、また、それを理解度確認試験で確認をしております。さらに、求人情報の的確性を確保するために、今年度は厚生労働省から委託を受けまして、職業紹介事業者向けの「自主点検ツール」を作成し、その活用を推進しております。
 例えば、その点検ツールの中の項目といたしましては、労働条件明示事項が漏れなく記載されているかどうかといったことや、実地による求人内容の確認をしているか、こういった項目も含まれております。雇用仲介事業全体で個人情報の保護の徹底を図るためには、職業紹介事業以外の事業についても、紹介責任者講習のような講習の受講というのを義務付けることも1つの方法ではないかと。それから苦情処理に関しては、職業紹介事業者は、紹介責任者に「求人者又は求職者から申出を受けた苦情の処理」を統括管理させております。紹介事業者以外の事業者にも苦情対応を求めるということでありましたら、苦情処理の責任者を選任しておくというのも考えられるところです。
 次に、職業紹介事業者団体に寄せられた苦情とその対応状況ですが、民紹協で受けました昨年度の苦情トラブルの相談件数は99件ありました。具体的な苦情は、そこにあるような内容ですけれども、対応といたしましては、求職者が利用している紹介所に連絡を取って、その内容を伝え、事実関係を確認するということを基本に、具体的に解決を希望する場合と、個別の紹介所名とか、求人者名を名乗らない苦情もありますので、それぞれの苦情の内容に応じて対応しているところです。
 最後ですが、紹介事業者の団体としては引き続き、いずれにも偏らない中立的な苦情の対応をしてまいりたいと思っております。併せて、その苦情を整理し制度の運用改善に資するように、適宜、行政当局にもお伝えしてまいりたいと考えているところです。以上でございます。どうもありがとうございました。

○山川部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御質問等がありましたら挙手をお願いいたします。相羽委員、どうぞ。

○相羽委員 説明ありがとうございました。私から3点伺いたいと思います。3ページにある4つ目の〇において、AIを活用したリコメンドについて話がありました。貴協会としては、AIによるリコメンドが進むことによって、職業紹介との違いが曖昧になるのではないかと懸念されていますが、リコメンドが客観的に見てどうなのか、どの部分が曖昧なのか、または選別、加工に当たるのではないかということも言われているのか、認識を伺いたいというのが1点です。
 それから、1つ目の〇に依頼を受けずに求人情報、求職情報を提供する事業者の存在と位置付けについての記載があります。募集情報等提供事業者の定義に該当しない事業者も増えているということで、この定義について見直しを行う必要があるか考えを伺いたいと思います。
 4ページの優良な雇用仲介業者の認定についてですが、課題として認定事業者が増えないことが挙げられています。先ほどインセンティブという話もありましたが、優良な事業者を増やしていくために、認定制度だけでなく、政策的にどのような後押しが必要なのか、何らか考えがあれば伺いたいと思います。以上3点について、よろしくお願いします。

○山川部会長 よろしくお願いいたします。

○上市専務理事 1点目のAI等を活用したリコメンドが、更に高度化して活用が進むと、職業紹介事業との境界が、ますます曖昧になっていくことに関してです。現在リコメンド機能を活用して、どこまでが職業紹介に当たり、どこまでが当たらないのかということに関して、明確な線引きがなされていないようにも思います。これは、かなり前になりますけれども、一定の整理がなされているわけですが、イノベーションの進展に伴い、その基準が今の状況になかなか対応しきれていないところがあるのではないか。それから、更にAIの活用によるリコメンド機能が高度化していくと、作った基準がそれで妥当になるのかということもありますので、非常に難しい問題ではあると思いますけれども、そこを何らかの形で線引きをしていただければ有難いと思います。
 それから、募集情報等提供事業の定義に関しまして、依頼を受けずに情報を収集される場合の定義についてですけれども、私どもは、具体的にこうしてほしいということまでは、現時点では考えておりません。それぞれのビジネスモデルが違いますので、それを法律上どのように整備していくのかは、法律上の整合性といいますか、そういうものを十分検討された上で定義をしていただければ、職業紹介事業者としても、安心してその動きを見守っていきたいと思っております。
 それから、職業紹介の優良認定制度の認定事業者が増えないということに関しましては、私どもも厚生労働省からの委託を受けまして、仕様書の範囲で事業をやっているわけですので、仕様書を根本から見直して新たな事業として再構築をすることまで、私どもとするとなかなか踏み込めないところです。この事業に関しましては、この部会の委員をされています方にも、認証委員会の委員として多大な御協力を頂きながら進めてまいりまして、厚生労働省と認証委員会の委員の方、それから事務局という中で、この事業については、もっと認定事業者が増える方法はないのかということを毎年検討してきたのですけれども、なかなか抜本的な改善策につながっていないのは申し訳ないと思っているところです。そういう中で、今年度は認定制度の更なる周知を図るために、厚生労働省の御協力も頂きまして、新たに認定制度のポスターを作りまして、全国のハローワークでそれを周知していただくという取組をしております。そういったことが少しでも認定事業者の増加につながればいいなと思います。また、今年度は認定事業者が39社ということですけれども、これはコロナの影響を受けておりまして、昨年度は47社だったということで、今年度も引き続きコロナの影響は続いておりますので、この39社が更に減らないように、周知に関しては、更に取組をしていかないといけないと思っている次第です。

○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問ございますでしょうか。佐久間委員、どうぞ。

○佐久間委員 ありがとうございます。私からも1つ質問をさせていただきたいと思います。資料2の2ページ、〇の3つ目ですけれども、職業紹介事業以外の事業者の情報を把握するためには、それらの事業を法的に位置付けるとともに、報告義務を課す必要があるのではないか。それから、3ページの3つ目の〇の所に、職業紹介事業以外の事業においても、情報の正確性、的確性、情報管理の厳格化が確保されるようにしていただくのが望ましいと考えてます。その際に、今の職業紹介事業者は、許可をとらなくてはなりませんが、「許可」は、基本的には禁止されている事業、業務を行うことが可能となる、認めるという性格があると思うのです。そのため、どのレベルで事業者を把握するのか、例えば「届出」制で少し緩やかに把握をしていく方向なのか、また、次のページにも書かれていますように、情報の正確性ということになると、やはり、ある程度、事業者の活動概要等を把握していく方がよいと考えますので、1,260社の会員を有する業界団体として、また協力団体数も非常に大きい団体ですので、皆さんの所でも募集情報等提供事業者を把握することが可能なのか。それとも、国のほうで、何か事業者の概要をつかむ必要があるのかどうか、その辺をもう一回教えていただきたいです。

○上市専務理事 私どもの協会の入会条件としましては、許可を取っている事業者ということになっています。そういう意味では、少なくとも法律上許可を取っている事業者として、一定の責務を課されておりますので、コンプライアンスの意識は高いと思います。それでも、例えば人材サービス総合サイトで、全て情報提供がなされているかというと、そうでもない実態がありますので、情報の把握については、行政あるいは協会側も容易には協力が頂けないところがあるのではないかと思います。また、そういう中で新たな報告事項が増えたり、あるいは報告の頻度が増したりすることになりますと、事業者とすると負担が重くなるということで、ある程度の負担軽減を併せてやっていただきたいという希望があります。2ページの最後に書きましたけれども、もう少しデジタル的に報告をできる環境を整えていただきましたら、今よりも情報提供、あるいは逆に情報収集がしやすくなると思っております。

○山川部会長 ありがとうございました。よろしいですか。恐縮ですが、時間の関係で追加の御質問がありましたら、事務局にお寄せいただければと思います。大変貴重なお話をありがとうございました。最後に日本人材紹介事業協会様からお願いします。

○渡部会長 人材協の渡部です。冒頭概略について御説明させていただきます。人材強は職業紹介事業者の団体ですが、主に対象とするのはホワイトカラーです。ホワイトカラーの定義はいろいろありますが、従来よりこれらの層を中心とした職業紹介事業を運営する事業者によって構成されている団体です。会員数は256社で、多少上下ありますが、今も大体その近辺で推移しております。会員は大手事業者から中小事業者までということで、大手で言いますと、総合大手ということで数万人の社員を擁する所から、小さい所では個人で1人、数名でやっているという所もあり、非常に多種多様なダイバーシティに富んでおります。従業員別で下にグラフが書いてあります。円グラフで見ますと、青とオレンジ、グレーの所が30人以下ということで小さい所ですが、数としては30人以下の所が8割を占めています。公表されている数字が必ずしもないのですが、事業者数については、この許可を持っている法人の事業所は約2万8,000と言われております。私どもの会員になっていただいている所の事業所が2,900ということで、カバー率としては事業所ベースで言いますと約1割余。これも推計ですが、売上げで言いますと大手がかなり売上げていますので、3割強ぐらいということで、右側に3つの○で図示してありまして、大体このぐらいのカバー率となっております。下に人材協の倫理綱領と書いてありますが、もちろん許可を持っている会社ではあるわけですが、我々の倫理綱領に賛同していただいている会員に参加していただいているという団体です。
 4ページ、沿革です。昭和で書いてありますが、一番最初の前身は、1970年に任意団体として全国民間人材銀行懇談会。今でも使っていますが、いわゆる人材バンクというところからスタートした任意団体です。その下を見ますと、平成12年5月(2000年)に法人化しまして、社団法人日本人材紹介事業協会という形になっております。その後、12年ほど経まして、平成24年(2012年)に一般社団法人に移行し、現在に至るということです。現在は2021年ですので、前身の1970年から見ますと約50年活動している。その意味では大変歴史のある団体かと思っております。
ちなみに英語ではジャパン・エグゼクティブ・サーチ・リクルートメント・アソシエーション、jesraと言います。エグゼクティブ・サーチという単語が入っているとおり、いわゆるホワイトカラーが中心で、特にエグゼクティブの人材紹介をするところからスタートした業界というのが、我々のアイデンティティです。続きまして、活動について事務局の川野から御紹介します。

○川野事務局長 代わりまして、人材協の取組について申し上げます。
 1.官民の連携についてです。厚生労働省、各都道府県労働局と日頃から個別事案での相談や打合せ。
 2.最新の指導内容や留意点の周知ということで、人材協と東京をはじめとした各地の労働局の皆様による講演を行っております。1月から10月まで各地の労働局の皆様に指導内容や留意点ということで、最近では、求人不受理、あるいは受動喫煙の項目の明示、帳簿記載がない項目の傾向などを共有いただいて会員に周知しています。
 3.今年から定期会合ということで、2021年から年4回厚生労働省と定期業界団体会合を行って、特にコロナ禍における求人・求職状況の変化、事業者の業況、トピックを共有したり、あるいは法改正に向けて何か要望事項はあるかといったことのヒアリングなどをしております。そういう意味では近密に連携して進めております。
 多種多様な雇用仲介事業については、私ども緊張してこの時代を迎えております。平成11年の職安法改正でかなり緩和していただいて、そういう意味では左側の図のように、ハローワークがセーフティネットの役割を担って、私どもは年収の高いゾーンで職業紹介を行い、その真ん中を求人サイト、求人誌などが担ってきたと思います。右側にあるように、昨今はこういった事業者が非常に重ね合いながら展開しておりまして、私どもは求人・求職の申込みを受けて、雇用契約の成立に向けてあっせんするという事業の価値を、いかに高めていくかということが非常に問われております。そういう意味では、この就業支援あるいは成長産業へのキャリアチェンジ、そういった難しいテーマについても、私どもは何かしら役に立っていくということを問われているという認識を持っております。
 苦情対応についての取組については、会員、非会員、求職者、求人者からの視点でお話いたします。会員からは年間平均1,134件の問合せや苦情を頂きます。会員からは職業安定法、あるいは関連労働法の確認、相談ということで435件あります。非会員からも188件の相談を受けております。
 求職者からの相談・苦情・問合せ等については、3年平均で年間32件程度となっています。いろいろな観点があります。条件が違ったとか、放置されたとか、応募していないのに面接を組まれたとか、そういった苦情が来ます。会員事業に関する苦情に関しては、先ほど全求協からもありましたが、私どもは直接、会員と事実確認をして、適切な解決に向けて助言、対応を御一緒するということです。非会員の苦情の場合は、私どもが直接非会員の事業者に連絡を取ることはなかなか難しいのですが、求職者には、こういった対応はいかがですかといった助言を申し上げたり、労働局、法テラス等の適切な窓口を御案内して、そちらをお勧めするという対応をさせていただいております。
 求人者からも年間平均23件あります。これも会員に関する問合せでは、例えば早期離職について返戻金が出ないとか、既往症の方の紹介をもらったとか、そういったやり取りに疑問を持った求人者からの相談については事実確認をして適切に対応、最後まで御報告するようにしています。非会員については、できる限り助言をさせていただいて、このような対応が望ましいということでアドバイスをしております。人材協と関係がないかもしれませんが、その場合にも、できる限りアドバイスをさせていただくこともありますし、全求協や派遣協を御紹介するという対応もしております。
 先ほど申し上げた官民の連携で得ている知見、苦情の対応をいかに会員にフィードバックしていくのかということで、教育・育成支援についての取組を御報告します。毎度毎度出てくる相変わらず続く指導内容とか、苦情が頻発している案件について特に注意をしていただきたいということで、こういった教育プログラムの中で本来あるべき姿はこうですといったことや、最近の傾向を事例として御紹介していきますが、中心になるのは職業紹介責任者講習です。こちらは400ページ近くのテキストを使って、終日6時間の講習をいたします。これはオンライン版も開始しました。3年間で4,539名が受講しております。この1日だけではなかなか難しい、応用編が分からない場合もありますので、職業紹介責任者アドバンスゼミということで、少人数で質疑応答をしながらかみ砕いて理解を深めるという研修を設けています。職業紹介責任者のレベルアップのみならず、従事者の皆様にはe-learningという形式で、毎年定期的に法令の確認、基礎的な知識の習得といった目的で提供しておりまして、3年で1万3,453名が受講しております。法規関連もゼミ形式で、少人数で細かくやる研修も行っています。また、安西法律事務所の弁護士の木村恵子先生にお願いして、法務実務セミナーということで、昨今の法解釈について詳しくセミナーを行っております。こういったことを中心に苦情、指導内容及び基礎的な遵守項目について周知をしております。会員向けのメールマガジンは年間76回、法改正等のメールについてはJESRACLIPという名前で238回、ほぼ毎日メールマガジンをお送りして周知に心掛けております。
 個人情報保護についての取組については、求職者の個人情報の取扱いについてや、公正採用選考をめざしてということ。個人情報保護法の改正とか、第三者提供(応募意思の確認など)、あるいは要配慮個人情報について、先ほど申し上げた教育メニューの中で確実にお教えして、理解を促しています。下の赤い囲みですが、問題が発生したときの周知の事例として、個人情報の適正な取扱いについてのお願いということで、会長の渡部の名前で会員各位に周知するという活動をしております。
 優良事業者認定制度についてです。民紹協が優良事業者認定制度を実施されておりますが、人材協のほうでは、医療・介護・保育分野における職業紹介の適正化に関する協議会ということで、厚生労働省委託事業を人材協は受託しております。その特徴について御紹介します。
 まず経緯です。医療関係は診療報酬制度が収入源でありますので、一般的にはホワイトカラーは30%の手数料ですが、医療関係は20%という形でサービスを提供していても、早く辞めますと結果的には手数料が高いという声が国会でも指摘される事態がありました。また自民党の中に議員連盟が発足して、手数料の上限を設ける議論がありました。安易に手数料を下げますと、逆に手間が掛けられなくなって、結果的に適格紹介に支障が出る場合もあって、悪質か適正な事業者かを納得して選んで利用いただくほうが良いという報告をまとめていただいて、厚生労働省から委託事業として人材協が受託しました。
 1つの特徴としては、(2)医療・介護・保育職業紹介の適正基準を作るときに、求人者側の業界団体、医療では日本医師会、日本医療法人協会、日本看護協会、日本歯科医師会、介護も全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会、全国社会福祉協議会全国社会福祉法人経営者協議会、全国介護付きホーム協会、保育も日本保育協会、全国私立保育園連盟、全国社会福祉協議会全国保育協議会に御参画いただいて、協働で適正な基準を決めたのが大きな特徴です。職種別に手数料も公表して、返戻金制度を必ず設けて、その内容について明示するということを決めております。
 (3)この基準を作るだけではなく、客観的に認定する制度ということで、適正事業者認定制度を作りました。ここにも更に求人者側の団体、先ほど基準を作るときは10と申し上げましたが、更に加わりまして15の団体と連携して構築しました。この1つのねらいとしては、求人者側と一緒に作った制度ですので、求人者団体が配下の各病院施設、介護施設、保育施設にこういった基準を守っている事業者を使いましょうと推奨して、お声掛けいただいているということがありますので、職業紹介の現場では、「お宅は認定を取っているの。取っていないと使いたくないのだけれども」と一言頂くことがありますので、逆に、事業者は取っておきたいというメリット、動機が働きやすいということで動いております。これは認定を取っただけではなく、1年に1度利用者の顧客満足度調査、あるいは苦情対応の項目を綿密にやりまして評価を頂いて、取っただけではなく、その内容が適切に運営されているか、あるいはベストプラクティスは何なのか、お客様が喜んでいる点をフィードバックさせていただくという仕組みを作って、毎年毎年改善していく。それで病院側が取っていないと使いたくないということで、どんどん広がっていくという仕組みを構築したところが1つの特徴です。今年は初年度ですので、これがどういった成果が出ていくかはまだこれからですが、鋭意努力したいと思っております。
 最後に、募集情報等提供事業の位置付けと役割について、私どもから言えることは、職業紹介と募集情報等提供事業では事業モデルが違う。利用料金の相場や想定利用者、利用方法にも違いがあって、一概に同じルールは無理があるかと思います。一方で求人者・求職者が誤認して混乱やトラブルにならないように、その違いを分かりやすく識別できるように、それぞれの仕組みやサービスを周知することは大変重要かと思われますので、そういった意見を述べさせていただきました。以上です。

○山川部会長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様から御質問等があればお願いします。平田委員、どうぞ。

○平田委員 御説明ありがとうございました。苦情対応の所で控え目に書かれていましたが、全求協や派遣協とも連携をしているということで、民民の連携といった取組みに敬意を表します。その上で質問ですが、先ほど全求協から御説明があったとおり、紙からネットに移行し、ネットの中でも様々な進歩があるということ、それから、民紹協からは、そういった進歩をしている中で、リコメンド機能等の位置付けが曖昧になっているということについて御指摘がありました。それを踏まえて、そういった進歩やイノベーションを阻害せずに、かつ、新しいサービスを安心して利用できるようにするための環境整備を、事業者、求人者、求職者がメリットを得られるような形で進めていくためには、どうしたらよいか、また、今後のこの部会での議論への何か期待があれば、教えていただければと思います。以上です。

○渡部会長 では、私からお答えしたいと思います。確かにいろいろな技術が出てくると思うのですが、雇用仲介とは、言うなれば、求人情報と求職者情報の交換、仲介するので仲介ということで、多種多様のものがあるということです。いろいろな業態も切っていくと、その情報との距離間みたいなもので業態が決まってくるということで、我々の職業紹介は、一番その情報を深掘りしていって入っていくところが特徴、そこに価値を遡及するということです。
 それに対して、いわゆる最近多く出ているプラットフォーマーというのは、むしろ情報から離れて、場所だけ提供するけれども、自己責任で情報交換してねという感じ。こちらの雇用情報等の提供の方々とその中間の所かと思っています。ですから、情報を丁寧に扱えば扱うほど職業紹介と認定されて、法律の下でいろいろ規制されている。割とアイロニーな状況です。ただ、我々もどのような業態やサービスがあるかよく分かりませんので、先ほど川野が言いましたように、まずはどのような人がどのような情報提供しているのかを知った上で、それを利用者が認識していくことがまずは重要かと思っています。それに法的対応をするかどうかは我々が判断することではないのですが、まずはファクトファイディングみたいな形で努めていくということです。その次は、我々人材協は会員の皆さんについては、先ほど言いましたように、いろいろなことをやって適正な情報提供の教育指導をしています。最終的にはそういう中で協会等で取り組んでいって、レベルアップしていくことが必要ではないかと考えています。

○山川部会長 ありがとうございました。では、永井委員どうぞ。

○永井委員 御説明ありがとうございました。説明資料の6、7ページの内容について、いくつか質問したいと思います。まず6ページの多種多様な雇用仲介事業の図について、以前は棲み分けがあったということですが、近年は求人メディアや職業紹介事業の内容が拡大しているということで、重なり合う部分が多くなってきていることを、貴協会としても認識されていると思っております。重なり合う部分について、どのようなものがあるとお考えなのか伺いたいと思います。
 次に、重なり合う部分の中に、リコメンドがあると想定して質問させていただきます。リコメンドにはAIが掲示するものもあると思いますが、職業紹介の許可が必要な選別又は加工に当たる部分もあるのではないかと我々は思っています。貴協会として、AIによるリコメンドをどのように考えているのか伺いたいと思います。
 次のページの3、苦情対応の取組において、求職者からの相談・苦情・問合せについて、会員会社への助言及び支援を行っているとのことですが、具体的にどのような助言、支援を行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。また、その際、求職者に対しては、どのような対応をされているのかも併せて伺いたいと思います。
 もう1つ、非会員に対する相談・苦情については、なかなか難しいといった御説明があったと思います。適切な窓口への申告を勧めているということですが、人材協として、非会員会社に対して何か対応をされていることがあれば、教えていただきたいと思います。また、苦情の傾向として、非会員の基本的知識不足や不誠実な業務等の懸念が挙げられていますが、業界の健全な発展のため、非会員への働き掛け等について、貴協会として何か実施されていることがあれば、教えていただきたいと思います。以上です。よろしくお願いします。

○渡部会長 幾つか御質問を頂いており、手分けして御返事したいと思います。私からは、2つ目に出ましたリコメンドについて、大きな問題かと思っています。SF的に言えばロボットが人材紹介を行った場合、どうするかの話だと思っているのです。考え方として2つあって、法律に基づいて、今、職業安定法というか、職業紹介というのは情報を単に右から左に移するのではなくて、加工したということをもってして職業紹介という定義になっていると、そういう観点で考えるのか。あと、求職者から見れば、どのようなサービスでも、いい職業、仕事を紹介してくれたら同じだという機能面で見るかということだと思うのです。
 そこで我々が言えることは、どちらにしても同業として見られているわけですから、業界の地位であり、そのものをアップしていくという意味で言えば、レベルアップをしていくときに、共にやっていくことが重要かと思っているのが1つです。
 ただ、それを我々だけでできるかというと、我々も業界で限界があるわけですから、外側の方々がいっぱいいますので、先ほどお話したのですが、その外側の方々を我々のフォームアンドスコープの中に入れていくという中で、リコメンド機能を法律の中でどう位置付けるかと、これは私が言うことではないですが、御検討いただくのではないかと。ただ、ビジネスとして言えば、明らかに同様のビジネスですから、イコールフッティングを、職業紹介をやっている我々としては望むことは申し上げられるのかと思います。私からは以上です。

○川野事務局長 苦情について、会員、非会員、あるいは求職者、具体的な対応という御質問ですが、求職者からは個別の職業紹介に関して、自分の希望する求人を紹介いただけないとか、あるいは頼んでいないのに面接を組まれたといった苦情を頂いたときに、会員企業の法務、あるいは人材事業の窓口の担当の方に御連絡をして、事実確認をさせていただきます。その中で職業紹介の対応がまずくて、求職者に御不満を与えている場合は、きちんと事実の報告をしていただいて、是正をしていただくといったことも、是正方針も回答を頂いて、人材協からも回答しますし、直接求職者の方に御報告をしていただきたいという助言をさせていただいて、報告までするといったことをさせていただくことがあります。
 求人者の場合も同じです。求人者からすると、病気を持った方を紹介されたけれども、これで費用を払わなくてはいけないのかということを確認したいということで、職業紹介の法令に基づくと、こういったサービスが原点です、あるいはサービスにおいて直接聞いてはいけない項目もありますみたいな、そういったことの御説明をさし上げながら、御理解いただくことを支援したり、それ以外の場合であれば、直接、職業紹介の会社とやり取りをして、これも事実確認をして、きちんと解決に向けて支援をするといった、非常に具体的に手を突っ込んで対応させていただいて、完了報告まで御支援していることがあります。
 非会員の場合も、例えば個人情報の明示がうまくできていないということで、求人者から御連絡を頂いたときには、その会社に取りあえず御連絡できる場合はします。そして、こういう御指摘があったので、この明示については足りてないと思いますということで助言申し上げて、対応いただけませんかとお願いをすることは、まま、あります。対応いただいて御報告いただける非会員もいらっしゃいますし、その結果、「ありがとうございます」と言って人材協に入っていただくこともあるのですが、そういった、できる限りの助言まではやらせていただいて、私どもでは限界かなというときは、労働局のほうに御相談していただいてはどうでしょうかといった御案内を差し上げております。以上です。

○山川部会長 よろしいでしょうか。

○永井委員 ありがとうございました。

○山川部会長 それでは恐縮ですが、追加の御質問がありましたら、事務局にお寄せいただければと思います。大変貴重なお話をありがとうございました。それでは、本日のヒアリングは大変貴重なお話を頂きましたので、次回以降、個別の論点について議論を進めていきたいと思います。公開の議題はここまでとさせていただきます。本日は、皆様、大変貴重なお話を誠にありがとうございました。