第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和3年11月15日(月) 13:00~16:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
萩森予防接種室長補佐 定刻を過ぎてしまいましたが、これより第26回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
 本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議事は公開でございます。また、前回の分科会と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
 なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 また、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 本日の出欠状況について御報告いたします。
 磯部委員、合田委員、今岡参考人から御欠席の連絡を受けております。
 また、伊藤定勉委員、沼尾委員から遅れる旨、連絡を受けております。
 現在、委員18名のうち14名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 続きまして、資料の確認でございますが、本分科会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方式で実施いたします。資料番号01の議事次第及び委員名簿から番号16の利益相反関係書類まで用意しております。
 資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局員にお申し出ください。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○萩森予防接種室長補佐 それでは、ここからの進行につきましては、脇田分科会長にお願いいたします。
○脇田分科会長 皆さん、お集まりいただきまして、ありがとうございます。今日も始めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 まず、事務局から、審議参加に関する事項について報告をお願いします。
○萩森予防接種室長補佐 ありがとうございます。
 審議参加の取扱いについて御報告いたします。
 本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告いただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、番号16の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
 本日は、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
 引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取について、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入っていきたいと思いますが、今日は、議題が2つで、1番目が「新型コロナワクチンの臨時接種」、2番目が「HPVワクチンについて」ということで、通常と違って3時間、時間が取られていますので、少し長丁場になりますけれども、皆さんから活発な議論をいただいて、円滑に進行していきたいと思います。できれば、1番と2番の間に少し休憩を挟みたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、1番目の議題「新型コロナワクチンの臨時接種について」ですけれども、最初に国立感染症研究所の鈴木先生に、ワクチンの発症予防効果について、AMEDの研究結果を説明していただいて、その次に事務局から「新型コロナワクチン接種の現状について」、説明してもらいます。
 それでは、まず鈴木先生から御報告、御説明をお願いしてもよろしいでしょうか。お願いします。
○鈴木委員 国立感染症研究所感染症疫学センターの鈴木です。
 それでは、資料1を御覧ください。私の提出資料となっております。
 2枚目を御覧ください。今、紹介がありましたように、AMEDの研究班の中で2つのグループが新型コロナワクチンの効果について検証しております。私からは、それぞれについて簡単に説明・紹介をさせていただきます。
 まずは、1つ目です。こちらは、感染研と東京都内の医療機関が合同して行っている研究です。2枚目に簡単に背景について説明があります。基本的には、こちらにも書いてありますが、症例対照研究の一種であるtest-negative designという手法を使って、ワクチンの有効性を評価しているものです。簡単に申し上げると、医療機関を受診する新型コロナ疑いの患者さんを登録します。その人たちの性別・年齢あるいは背景疾患等を含む情報。さらに、新型コロナのワクチン接種歴を聞き取ります。
 そして、登録者は当然外来でPCR検査を受けますので、PCR検査の結果が判明したら、陽性であった場合にはケース、陰性であった場合にはコントロールという2群に分類して、両者でワクチン接種率がどのように違うのかということを比較します。こうして出てくるワクチン有効性の値というのが比較的精度の高い値であるということで、国際的にも広く使われている手法が用いられております。
 3ページ目を御覧ください。こちら、感染研を中心としたグループでは、対象機関、今年の8月に対象となる7機関を受診した1867名を登録しまして、最終的にクライテリアを満たさない人たちを除外した結果、対象となっているのが1353名、そのうち陽性が636名、陰性が717名となっております。
 右側に年齢分布がありますけれども、大半が60歳未満。60歳以上は5%という比較的若い世代が多く含まれる対象者となっております。
 4ページ目を御覧ください。結果としてのワクチンの有効性です。先ほど申し上げましたが、対象となっているのは今年の8月、東京都内でほぼ全てデルタ株に置き換わった状態ということになります。
 この中で、一番右下ですが、ワクチンを2回接種して14日以降でワクチンの有効率が87%。信頼区間79~92%ということで、概ね8割以上の効果があるということは間違いない結果になっております。
 5ページ目には、結果の解釈について、観察研究デザインですので、幾つかバイアスなどについて注意する必要がありますが、デルタ株が主体になった状態であっても、ワクチン接種して2週間以上経過すれば、80%後半の有効性が期待できる結果であるという解釈が述べられております。
 詳細な報告書については、感染研のウェブサイトに既に公開されています。
 続きまして、少しページを飛びまして、8ページ目を御覧ください。こちらは、もう一つの研究グループ、長崎大学が中心となって全国の多施設共同研究として行われているものです。
 研究の方法としては、1つ目のものと同じで、test-negative designを使った研究となっております。ただ、1つ目の研究グループが東京都内の医療機関が中心であるのに対して、こちらの2つ目のグループは、10都県14か所の医療機関、全国をカバーしているものとなっております。
 カバーしている医療機関が、10ページ目に地図として示されているところです。
 11ページ目を御覧ください。こちらの研究の対象は、7月~8月のデータを集めているものです。1つ目のグループと少し違うところは、65歳未満に限っているというところです。
 12ページ目ですけれども、最終的に対象となっているのが65歳未満で、全体として890名が対象となっています。そのうち290名が陽性、600名が陰性という結果になっています。
 そして、表の右側に赤い字で示されておりますけれども、最終的なワクチンの有効率、一番右下、2回目接種して14日以上経過した場合に、ワクチンの有効率は85.6%、信頼区間が67.6~93.6%ということで、信頼区間が1つ目よりやや広めですけれども、80%後半の値が出てきているという状況です。
 13ページ目ですが、この研究に関しても、データを解釈するときには幾つか注意点がございます。こちらのほうも、別途報告書が既に公表されているところです。
 ということで、研究の手法は同じですが、2つの研究グループがそれぞれ独立して調査を行った結果、どちらも同様に80%後半の有効率が確認されたというのが、現時点でのこの2つの研究グループの結論ということになります。
 私からは以上です。
○脇田分科会長 鈴木先生、どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局から「新型コロナワクチン接種の現状について」、資料2の御説明をお願いします。
○九十九予防接種室長補佐 それでは、御説明いたします。予防接種室の九十九と申します。
 資料2を御覧ください。
 まず、資料2の1番「新型コロナワクチン接種の現状」につきましては、これまでの資料のリバイスとなってございまして、6ページ目を御覧ください。こちらに国内の新型コロナワクチンの接種状況について記載してございますが、全体で2回接種の完了者が74.7%、約75%。また、65歳以上では91%の接種率となってございます。
 以下の資料につきましては、リバイスとなりますので、説明は省略いたします。
 よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
 11ページを御覧ください。今日の論点というか、議題です。最初が、追加接種(3回目接種)についてということ、2つ目が小児の新型コロナワクチンの接種ということであります。
 まず最初に、「追加接種について」、議論したいと思います。追加接種の対象者、ワクチンについては、前回の分科会において、12ページのとおり意見をいただいたということです。12ページ、御覧ください。追加接種の対象者、ワクチンについて、その他の項目で意見をいただいています。
 これを踏まえて、事務局で制度設計を具体に検討してくださいということでしたので、また論点を整理していただきましたので、事務局から説明していただきます。それでは、お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 それでは、御説明いたします。
 まず、12ページ目を御覧ください。こちらは、前回、10月28日の当分科会における主な御意見でございます。
 時間の都合上、全てを読み上げることはいたしませんが、1番、追加接種の対象者につきましては、2回目接種完了者の全てに対して追加接種の機会を提供するという考え方に賛成という御意見をいただきました。
 3ポツ目、全ての方を追加接種の対象とする場合にも、例えば医療従事者等や高齢者など、特に接種を推奨する方などの情報について、追加接種の有効性・安全性に係る情報と併せて情報提供してはどうかという御意見をいただきました。
 3番、その他、1ポツ目、2回目接種からの接種間隔に関しては、市町村の予防接種台帳への登録に要する期間を考慮してはどうかという御意見をいただいております。
 また、3ポツ目、初回シリーズのワクチン未接種者への接種機会は、引き続きしっかりと確保してはどうかという御意見をいただいております。
 13ページ目を御覧ください。本日の論点、サブ論点を記載した資料でございますが、本日は、(1)~(3)までをまとめて説明させていただきまして、その後、省令、また大臣指示の改正について諮問させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 15ページを御覧ください。15ページ以降は、前回お示ししたファイザー社の有効性の逓減についての資料がしばらく続きますが、ポイントといたしましては、15ページの資料のファイザー社ワクチンの有効性(感染予防効果)に関しましては、16歳以上の各年代において、デルタ株かどうかにかかわらず、2回目接種後6か月までの追跡期間において逓減したとの報告がございます。
 一方、入院・重症化予防効果については、保たれている報告が多いという状況でございました。
 資料、飛びまして、19ページ目を御覧ください。この19ページ目、前回、プレプリントで報告したものでございますが、今回、論文化されましたので、改めて御報告いたしますが、60歳以上におきまして、ファイザー社ワクチン2回目接種から時間経過とともに重症例の発生率が上昇する傾向があったことが報告されてございます。
 続きまして、20ページ目を御覧ください。前回の分科会におきましては、ファイザー社を初回シリーズで使用した場合の有効性の逓減について御説明しましたが、モデルナ社とアストラゼネカ社につきましても御報告いたします。
 こちらは、モデルナ社ワクチンの感染予防効果の推移でございますが、モデルナ社ワクチンの感染予防効果は、年代を問わず、2回目接種後4か月以降において逓減したと報告されてございます。こちらは、プレプリント論文になってございます。
 研究内容としては、米ニューヨーク州在住の18歳以上を対象としまして、州内のサーベイランスデータを連結しまして、2021年5月1日~9月3日の研究期間における新型コロナワクチンの有効性を追跡した前向きコホート研究でございます。
 結果を左に書いておりますが、18歳~49歳、50~64歳、65歳以上におきまして、いずれも2回目接種後、有効性・感染予防効果が逓減したということでございます。
 続きまして、21ページ目を御覧ください。同じくモデルナ社の発症予防効果の推移でございます。まとめといたしましては、モデルナ社ワクチンの発症予防効果は、2回目接種後4か月以降において90%以上に保たれたという報告になってございます。
 続きまして、22ページ目を御覧ください。今度はモデルナ社のワクチンの入院予防効果の推移となってございます。
 左のものは、先ほど感染予防効果の推移で申し上げました同じプレプリントでございまして、研究内容は省略いたしますが、結果といたしましては、モデルナ社ワクチン接種者に関して、全体の年齢別入院予防効果を左に書いておりますが、18歳~49歳、50~64歳、65歳以上、いずれも保たれたという結論でございます。
 右の研究内容は、米国の研究でございまして、新型コロナウイルス様症状のPCR検査または抗原検査が陽性の入院例を症例としまして、検査陰性例を対象に設定したものでございます。こちらで新型コロナワクチンの有効性を分析した症例対象研究ですが、結果といたしまして、入院予防効果は以下のとおり保たれたという結論でございます。
 続きまして、23ページからはアストラゼネカ社ワクチンの初回シリーズ使用における有効性の逓減についてでございます。アストラゼネカ社ワクチンについては、デルタ株に対する発症予防効果は2回目接種後2~9週で最大となり、その後20週以降で47%に低下したという報告となってございます。
 こちらの研究は、イギリスの全国予防接種管理システムを用いたもので、発症・入院・死亡に対するワクチンの有効性を分析したtest-negative designの症例対照研究でございます。
 結果といたしまして、デルタ株に対する発症予防効果でございますが、2回目接種後2~9週で66.7%、2回目接種後20週以降で47%となってございます。
 続きまして、24ページ目を御覧ください。同じプレプリントでございます。今度は、入院・死亡に関する予防効果の推移でございますが、アストラゼネカ社ワクチンについては、デルタ株に対する入院予防効果は、2回目接種後2~9週で最大(95.2%)となり、その後20週以降で77.0%に低下。また、死亡に対する予防効果は、2回目接種後2~9週で最大(94.1%)となり、その後20週以降で78.7%に低下したと報告されてございます。
 続きまして、ここからは追加接種の効果に関する資料でございます。25ページ目に関しましては、前回お示しした資料で、説明は割愛させていただきます。免疫原性に関する資料でございます。
 26ページ目を御覧ください。今度は、追加接種の発症予防効果に関する資料でございます。こちらは、ファイザー社のプレスリリースによるもので、まだ論文化等をされたものではございませんが、ファイザー社は、ワクチン2回接種完了後に追加接種した群における、非追加接種群と比較した発症予防効果は95.6%であったと報告してございます。
 研究内容としましては、過去にファイザー社ワクチン2回接種を完了した16歳以上の1万名以上が対象となってございまして、追加接種群と非追加接種群を1対1で無作為に割り付けまして、有効性を検証したランダム化比較試験でございます。
 結果としましては、過去に新型コロナウイルス感染歴のない者において、非追加接種群と比較したときの、追加接種の発症予防効果は95.6%という報告でございます。
 続きまして、27ページ目を御覧ください。今度は新しい論文の御紹介でございます。追加接種の効果(感染・重症化予防効果)でございます。ファイザー社ワクチンを2回接種完了後5か月以降に追加接種した群における、非追加接種群と比較した入院予防効果は93%、重症化予防効果は92%、死亡に対する予防効果は81%であったと報告されてございます。
 詳細は割愛しますが、左下のまとめを御覧ください。性別、年齢(40~69歳、70歳以上)において、また有合併症数それぞれのサブグループ解析においても、同程度の入院及び重症化予防効果が認められたという報告でございます。
 続きまして、28ページ目を御覧ください。こちらに関しましては、前回お示しした追加接種のうち、感染予防効果・重症化予防効果に関してでございますので、説明は省略いたします。
 また、29ページにつきましても、前回お示ししましたので、省略いたします。
 30ページ目を御覧ください。こちらは、先日行われました審議会の審査報告書になってございますが、追加接種でファイザー社ワクチンを用いることの有効性に関するものでございます。
 PMDAの判断を左下に書いておりますが、PMDAはこの審査報告書において、ファイザー社ワクチンの追加接種について一定の有効性は期待できると判断しているところでございます。
 31ページ目を御覧ください。同じく審査報告書の、今度は安全性に関するものでございます。PMDAは、審査報告書において、ファイザー社ワクチンの追加接種に係る安全性プロファイルは初回免疫時と概ね同様であることを確認し、現時点で追加接種において重大な懸念は認められていないと判断したということでございます。
 続きまして、32ページ目を御覧ください。こちらは、審査報告書と、これを踏まえた添付文書でございますが、追加接種で用いるファイザー社ワクチンに関しましては、対象年齢が18歳以上の者として薬事承認されたものでございます。
 続きまして、33ページ目は諸外国における新型コロナワクチンの追加接種の対象者の動向でございます。カナダを御覧ください。こちらは先日の10月28日以降、10月29日にまた新しく対象者が拡大したというところでございます。
 続きまして、36ページ目を御覧ください。前回の分科会の御指摘としまして、全ての者に接種機会を与える、確保するということでございますが、特に追加接種を推奨する者について周知するべきではないかという御意見をいただきまして、このように整理してございます。諸外国におきましては、重症化リスクが高い者、職業上感染リスクが高い者、重症化リスクが高い者と接触の多い者を追加接種の対象としているところでございます。
 37ページ目を御覧ください。こちらは補足的な資料でございますが、一般に重症化リスクが高いとされております高齢者や基礎疾患を有する者。これは、具体的にどのような重症化リスクが高いことを示すエビデンスがあるのかを示した資料でございます。御参考にしていただければと思います。
 38ページ目を御覧ください。先ほど申し上げました、特に追加接種を行っていただきたい者に対する周知でございますが、追加接種を行うに当たりましては、重症化リスクの高い者や重症化リスクの高い者と接点の多い者、また職業上の理由等によりウイルス曝露リスクの高い者については、追加接種を行う必要性につき、特に周知を行ってはどうかと考えておりまして、御意見をいただきたいと思っております。まだこれは暫定版でございますが、このような形でリーフレットを配布して、その中にこのような周知を行いたいというところでございます。
 続きまして、39ページ目からは「使用するワクチン」について御説明いたします。
 40ページ目を御覧ください。これまでファイザー社の追加接種について御説明申し上げましたが、こちらの資料はモデルナ社についてでございます。追加接種でモデルナ社ワクチンを用いることの有効性に関して、これはFDAの提出資料になりまして、これもまだ論文化等されているものではございませんが、まとめたものでございます。結論から申し上げますと、モデルナ社は、2回目接種後6か月以降に追加接種を行うことにより、強固な免疫反応が得られたと報告してございます。
 研究内容ですが、フェーズII試験でモデルナ社ワクチン2回接種を行った344名に対し、2回目接種後6か月以降に追加接種50マイクログラムを行った群(追加接種群)と、フェーズIII試験でワクチンを2回接種した被験者から無作為に抽出した1080名(非追加接種群)を対象に、追加接種の有効性を比較した臨床試験でございます。
 結果としまして、中和抗体価は、追加接種群は非追加接種群に比べて1.76倍高かった。また、抗体反応率は、非追加接種群と比べ、追加接種群で非劣性が示されたという研究結果でございます。
 41ページ目を御覧ください。今度は、同じくモデルナ社ワクチンを追加接種で用いた場合の安全性に関するものでございます。こちらもモデルナ社臨床試験で、FDAに提出されたものでございます。
 結果といたしましては、モデルナ社は、同社ワクチンの追加接種の安全性プロファイルは、2回目接種で認められたものと同様であったと報告しておりまして、左下のポツでございますが、追加接種後29日目までに心筋炎・心膜炎、またはこれらに関連する有害事象は認められなかったという報告となってございます。
 42ページ目からは、追加接種における交互接種に関するものでございます。こちらは前回御説明したものではございますが、改めて御説明いたします。12週以上前にワクチンの初回シリーズを完了した成人を対象とした、交互接種を伴う追加接種の免疫原性は良好であったという報告でございます。
 これはプレプリント論文ではございますが、研究内容としては、米国の10施設において、ファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチン、ヤンセン社ワクチンを12週以上前に接種した18歳以上を対象に、交互接種を伴う追加接種の安全性・免疫原性を分析した試験でございまして、結果としましては、前回の繰り返しでございますが、交互接種を伴う追加接種6グループと、同種ワクチンによる追加接種3グループ全ての組合せで、追加接種前と比較して追加接種後15日目のIgG・中和抗体価が上昇したという報告でございます。
 43ページ目も、前回と同じ、今度は追加接種における交互接種の安全性に関するものでございますが、同じ著者のプレプリント論文で、まとめでございますが、新型コロナワクチンの交互接種を伴う追加接種の副反応は、初回シリーズにおける接種で報告された副反応と同程度であり、交互接種と同種接種で差がなかったという報告でございます。
 44ページ目を御覧ください。こちらは、前回もお示ししています諸外国の追加接種に関する組合せの対応状況の更新版でございます。英国、カナダ、フランス、ドイツでは、追加接種において使用する新型コロナワクチンについては、初回シリーズで接種したワクチンの種類にかかわらず、mRNAワクチンを推奨してございます。また、米国、フランス、ドイツは、初回シリーズで接種したワクチンと異なるmRNAワクチンの使用を認めているということで、特段、前回と大きな変更はございません。
 続きまして、45ページ目を御覧ください。この追加接種で交互接種を行うことに関しては、まだ科学的知見が限定的なところではございますが、追加接種後の健康状況に関する調査について、現在考えているイメージをお示ししたものでございます。
 この新型コロナワクチンの追加接種は、予防接種法に基づく臨時接種の枠組みで実施し、短期間で多数の方に接種を行うことが見込まれております。そのため、厚生労働科学研究として、追加接種においても、臨時接種の対象となるワクチンについて、接種する希望者を対象とする調査を行いまして、その結果を公表することによって、国民に接種後の状況を情報提供したいと思っております。
 具体的な調査項目ですが、3回目の接種後28日目までに発現した体温、接種部位等に関する詳細な情報の報告と、これに加えまして、追加接種後12か月までの新型コロナウイルスの感染状況、副反応疑い状況等を報告いただくものでございます。
 また、3番で、ワクチンの追加接種前、及び追加接種後1か月、3か月、6か月、12か月における新型コロナウイルスに対する血中抗体価もフォローしていきたいと考えてございます。
 こちらは、現在、実施体制を調整中の段階で、あくまでイメージではございますが、追加接種における交互接種が本審議会で認められた場合には、交互接種の群の健康観察も視野に入れて検討を進めていきたいと考えてございます。
 続きまして、46ページ目からは「2回目接種完了からの接種間隔」についてでございます。
 47ページ目は、繰り返しお示ししておりますが、2回目接種想定時期から追加接種開始までの期間は、イスラエルでは7か月、フランス、ドイツでは8か月、英国、カナダでは8か月以上となってございます。
 続きまして、48ページ目を御覧ください。前回の分科会で様々な意見をいただきましたけれども、現在、地方自治体におきましては、2回目接種を終了した者のうち、概ね8か月以上経過した者を対象に、追加接種を1回行うことを想定して順次体制整備を進めていただいているものでございまして、こちらに関しましては、9月22日の事務連絡、また10月22日の事務連絡に基づきまして、現在、体制を整備いただいているところでございます。
 49ページ目を御覧ください。2回目接種完了から追加接種までの接種間隔につきまして、特例承認に係る報告書の抜粋でございますが、薬事審査におきましては、追加接種の時期について、ほかの期間を検討してデータは得られていないが、臨床試験での検討結果に加え、米国及び欧州で「本剤2回目接種から少なくとも6か月後」に追加免疫、これは追加接種でございますが、可能とされていることなどを踏まえると、本邦でも「本剤2回目接種から少なくとも6か月後」と設定することは可能と考えるとされておりまして、この添付文書でも同様な記載となってございます。
 50ページ目からが論点のまとめでございます。読み上げさせていただきます。
 まず、対象者でございますが、現時点までに得られている追加接種に係る科学的知見等を整理しますと、ファイザー社ワクチンの感染予防効果の推移に関しては、2回目接種後6か月までの追跡期間において全年代で経時的に低下し、2回目接種後6か月では50%前後まで低下したと報告されてございます。
 ファイザー社ワクチンの入院予防効果や重症化予防効果の推移に関しては、2回目接種後6か月後まで維持されるとの報告の他、60歳以上に関しては、経時的に重症化予防効果が低下するとの報告もございます。
 モデルナ社ワクチンの感染予防効果の推移に関しては、2回目接種後4か月以降において、全年代で経時的に低下したとの報告がございます。また、アストラゼネカ社ワクチンについても、発症予防効果が経時的に低下したとの報告がございます。
 ファイザー社ワクチンによる追加接種の効果に関しては、2回目接種後より3回目接種後でより高い免疫原性の増加が確認されたほか、追加接種を行わなかった者に対するファイザー社ワクチンでの追加接種による有効性は、感染予防効果のみでなく、重症化予防効果も改善するとの報告がございます。
 諸外国においては、追加接種の対象者として、現時点では高齢者や重症化リスクの高い者、重症化リスクの高い者と接点の多い者、ウイルス曝露のリスクの高い者を対象とする国・機関が多いですが、対象者は継続的に拡大しておりまして、今後さらに対象者の範囲が広がることが予想されております。
 ファイザー社ワクチンの2回目の接種から少なくとも6か月経過した、18歳以上の者に対する3回目の接種に用いるワクチンとして、ファイザー社ワクチンが11月11日に薬事承認されたところでございます。
 以上を踏まえまして、こちらからは諮問の内容となってまいりますが、事務局案としては、新型コロナワクチンの全ての対象者において感染予防効果は経時的に低下すること、また、高齢者においては重症化予防効果についても経時的に低下する可能性を示唆する報告があること等を踏まえまして、感染拡大防止及び重症化予防の観点から1回目・2回目の接種が完了していない者への接種機会の提供を継続するとともに、2回接種完了者全てに対して追加接種の機会を提供することが適当ではないか。
 ただし、18歳以上の者に対する追加接種としてファイザー社ワクチンが薬事承認されたことを踏まえまして、まずは18歳以上の者を予防接種法上の特例臨時接種に位置づけることとしてはどうか。
 重症化リスクの高い者、重症化リスクの高い者と接点の多い者、職業上の理由等によりウイルス曝露リスクの高い者については、特に追加接種を推奨してはどうかとしております。
 続きまして、使用するワクチンでございます。現時点におけます科学的知見を整理しますと、諸外国においては、初回シリーズに使用したワクチンの種類に関わらず、追加接種にmRNAワクチン、これはファイザー社ワクチンまたはモデルナ社ワクチンを推奨する国が多い状況でございます。また、1回目・2回目で接種したワクチンと異なるmRNAワクチンの使用を認めている国もございます。
 海外の多施設研究においては、交互接種を伴う追加接種の有害事象は、初回シリーズで報告された有害事象と同程度でありまして、また、交互接種を伴う追加接種と、交互接種を伴わない追加接種の間で、有害事象は同様であったという報告がございます。
 国内においても、薬機法に基づき有効性、安全性を審査された結果、11月11日に追加接種で使用するワクチンとしてファイザー社ワクチンが薬事承認されたところでございます。
 これを踏まえた事務局案でございます。
 追加接種に使用するワクチンについては、諸外国の取組や有効性・安全性に係る科学的知見を踏まえまして、1回目・2回目に用いたワクチンの種類にかかわらず、mRNAワクチン(ファイザー社ワクチンまたはモデルナ社ワクチン)を用いることが適当ではないか。
 mRNAワクチン以外のワクチンにつきましては、科学的知見を踏まえ引き続き検討すると考えております。
 ただし、当面は、薬事承認されておりますファイザー社ワクチンを使用することとしまして、追加接種にモデルナ社ワクチンを使用することに関しては、薬事審査の結果を待って改めて議論してはどうかと考えております。なお、モデルナ社ワクチンにつきましても、11月10日に追加接種に係る薬事申請がなされております。
 続きまして、2回目接種完了からの接種間隔でございます。
 まとめでございます。
 9月17日の本分科会におきましては、諸外国の対応状況等を勘案し、2回目接種完了から概ね8か月以上後から行うこととしつつ、時期については、今後のさらなる科学的知見を踏まえ、必要に応じて適宜見直すこととされております。
 9月22日に、自治体に対して事務連絡を発出しまして、2回目接種完了から概ね8か月以上後に追加接種を行うことを前提としつつ、12月に追加接種を開始することができるよう準備を促したものでございます。
 海外では概ね8か月以上後から追加接種を開始しているところが多いですが、国内においても、薬機法に基づき有効性、安全性を審査した結果、11月11日に追加接種で使用するワクチンとしてファイザー社ワクチンが薬事承認されております。追加接種の間隔については、2回目の接種から少なくとも6か月置くこととされております。
 これを踏まえた事務局案でございますが、追加接種の接種間隔に関しましては、海外の状況や自治体の準備期間も考慮しまして、2回目接種完了から概ね8か月以上後のままとしてはどうか。ただし、地域の感染状況等を踏まえまして、自治体の判断によりまして、8か月より前に追加接種を実施する場合においては、薬事承認の内容を踏まえ、6か月以上の間隔をあけることとしてはどうか。
 また、追加接種については、2回目接種完了からの接種間隔を概ね8か月以上後とすること、初回接種と異なり1回の接種で完了することを踏まえまして、新型コロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種の実施期間を、まずは令和4年9月30日まで延長することとしてはどうかと考えております。
 ここから具体的な諮問に入りますので、説明者を変更いたします。
○川村予防接種室長補佐 予防接種室室長補佐 川村と申します。
 以降、こうした事務局案を踏まえた条文の改正イメージ、あと、資料3の諮問文について御説明をさせていただきます。
 まず、54ページです。
 現状、第7条において、1回目・2回目接種について規定されてございます。こちらがいわゆる初回接種ということになりますので、次に、第8条において、初回接種終了後6か月以上の間隔を置いた上で追加接種を行いますということを規定しています。次、御説明するのですけれども、この6か月以上というのは、最低限守るべき期間ということになりますので、標準的な期間については実施要領において規定しております。後ほど御説明します。
 次、55ページになります。こちらが新型コロナ予防接種の実施についての大臣指示の改正イメージでございます。
 2番、大臣指示の期間を、追加接種の実施に伴って令和4年9月30日まで延長いたします。
 3番、使用するワクチンの下、赤字部分について御説明します。先ほど御説明したとおり、薬事承認を踏まえて、追加接種は18歳以上の方に行うこととなりますので、18歳以上について行うということで、こういった12歳以上18歳未満の者に対して行う接種には使用しないことと、裏側から規定する形で18歳以上について追加接種を行うという形で規定してございます。
 次、56ページを御説明いたします。
 こちらの中ほどの(ウ)接種間隔ですけれども、先ほど省令において最低限守るべき間隔として6か月以上ということをお示しした上で、概ね8か月ということも踏まえて、標準的には8か月以上の間隔を置いて接種してくださいと、こちらが原則になりますので、明確に標準的な期間として書かせていただいております。
 最後、下のところ、海外在留法人等接種事業等、いろいろ列記してあるのですけれども、例えば外務省が空港でやられているような接種事業とかを打たれた方について、1回目・2回目、初回接種と類似のものを打った方について、ちゃんと追加接種の対象としますよというところを明確に入念的に書かせていただいている部分になります。
 57ページの期間の計算については、技術的な部分になりますので、説明は省略させていただきます。
 次、資料3を御覧いただいてもよろしいですか。こちらは、諮問文になります。先ほどの事務局案と改正イメージを前提として、3ページ以降、別紙1ということで、省令案要綱ということでまとめさせていただいております。
 第二の予防接種実施規則についてが、先ほど御説明した追加接種に係る規定とか、最低限の規制として6か月以上あけてくださいといったことを規定しております。
 なお、第一の予防接種法施行規則について、こちらは諮問事項ではないのですけれども、追加接種に伴って、いわゆる海外渡航向けの予防接種証明書等の様式改正等、所要の改正を行う必要があるので、今回、併せて改正しているところでございます。
 これで改正イメージと諮問文の資料3についての説明は終了させていただきます。ありがとうございます。
○九十九予防接種室長補佐 事務局でございます。
 すみません、先ほどの説明について1点訂正がございます。ページ番号が振っていなくて恐縮ですが、38ページ目になります。こちら、まとめのところで、重症化リスクの高い者との「接点」と書いておりますが、正しくは「接触」に直していただきたいと思っております。
 これを踏まえて、51ページ目を御覧ください。こちら、対象者について事務局案を提示したところでございます。3ポツ目、重症化リスクの高い者と、私、「接触」を「接点」と言い換えましたが、「接触」が正しいので、こちらは修正させていただきます。
 失礼いたしました。
○脇田分科会長 説明は終わりでいいですか。
○九十九予防接種室長補佐 説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
 かなり資料が多くて大変ですけれども、論点は、今、追加接種の対象者、使用するワクチン、接種期間等のところでありまして、諮問事項がありますが、そのことに関しては議論をした後にまたお伺いするという形で進めたいと思いますので、まず、今の説明について、御意見、御質問等あれば、委員の皆様からお受けしたいと思います。よろしくお願いします。
 坂元先生、お願いします。
○坂元委員 御説明ありがとうございました。
 今回の御説明で、要するに実施規則のほうには初回接種、つまり、第2回目の接種以降6か月以降、法律事項として書き込まれるということは理解しました。それで、もう一つ自治体に示される実施要領のほうには、6か月以降だけれども、標準は8か月以降とすると書かれる。多分、こういう理解かなと思うのですが、もう一つ、これはテレビ等で大臣とか首相が医療従事者優先という形を発言されていることです。
 そうすると、今回の予防接種法の附則第7条での大臣指示が、これを見ると12月1日からということになりますと、法律上は6か月以上とすると、2月、3月、4月、5月、6月も一部入るかもしれませんけれども、その間に打った人は、法律に従えば、市町村は接種券を送っていないと、6か月以降という権利は満たせないということです。そこが市町村としては苦しいのかなと。つまり、12月1日で大臣指示がでれば、法律上は6か月経過した人は全て受けられる権利があるということなので、それまでに接種券を送っていないと、当然苦情等が来るだろうと思います。なぜならば、標準というのは、実施要領という法律事項でないところに書かれているので、そこが市町村としては非常に苦慮するところです。
 それで、市町村としては、もう接種券を送ってしまうところもあると思うのです。そうすると、市町村によって発送がかなりばらばらになるというところです。12月1日の大臣指示以降は、医療従事者優先ということを言っていただけると、既に政治家の方は12月1日からは医療従事者優先と言っております。一般の高齢者は1月になってからだよと報道されているので、そこのところがしっかり明記されればいいと思います。このコロナワクチンの接種も、最初は2月7日の大臣指示によって国立病院機構の先生方から順次やっていって、実際に一般の高齢者が始まったのは4月以降だった。
 そうなると、医療従事者への接種と一般の人への接種というのは時期がかかりが違うので、その辺、厚生労働省が12月からは医療従事者優先だよということをはっきり言っていただけるのか、それとも12月1日から医療従事者も高齢者も含めて、用意どんで始めるのかです。できる自治体からやってくれというのか、そこはちゃんとしていただかないと、現場では、法律上、6か月以降受けられるということは明記されていますので、これは権利になってしまいますので、厚生労働省として通知なり、しっかりやっていただきたいと思います。そうでないと、今日、川俣委員も出ていますけれども、市町村としては本当にえっという感じが正直なところなので、しっかりした対応をお願いいたしたいと思います。6か月以降ということで異存を挟むものではありません。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 中野委員、お願いします。
○中野委員 中野からは、1点確認だけさせてください。
 追加接種に使うワクチンはmRNAワクチンということで了解いたしました。なおかつ、現在、薬事承認されているのはファイザー社のワクチンだけで、当面はそれだけになるということも了解いたしました。
 確認申し上げたいのは、ウイルスベクターワクチン、特に国内承認はアストラゼネカだけですけれども、これは現行では追加接種には用いないという理解でよいかというのを確認しておきたいと思います。と申しますのは、医学的理由で2回アストラゼネカ社ワクチンを打った方々が、9月ぐらいから始まっていると思いますので、2月、3月になると、その6か月というのだと、そろそろ期間に入ってくるなというので気になったという点と。
 それと、現場で接種しておりますと、前回も少し申し上げましたが、ヤンセン社のワクチンを1回打った方とか、中国でワクチンを2回打った方とか、いろいろなお問合せがございまして、その方々をどう取り扱うかは、これは長くなるので今日は触れないのですけれども、追加接種、初回接種は別として、その方々が希望してきた場合、前回御提案いただきましたように、追加接種が始まっても、初回接種未接種の者の接種は継続するということで拝聴していたと思います。
 ということは、ファイザー社、モデルナ社、場合によってはアストラゼネカ社ワクチンの初回接種もまだ継続ということになると思うので、追加接種は、薬事承認された、今のところはファイザーだけですよ。そのうちモデルナが加わるかもしれませんよということがはっきりしていたほうが、現場で御質問があったときに対応しやすいと思って確認させていただきました。
 以上です。
○脇田分科会長 中野先生、どうもありがとうございます。
 続きまして、川俣市長、お願いします。
○川俣委員 ありがとうございます。
 坂元先生がおっしゃったように、市町村にしたら2か月の期間は大分大きなことになりますし、国で認めたとなると、早くやってもらえるのではないかという意見が出ますので、その辺の8か月ということを上手に伝えていただけるとありがたいなと思っています。
 また、今の段階では、県のほうが医療機関の接種を進めていた。県で受けたので、医療機関の方々の名簿が、私たちは何をいつ受けたかというのが聞けないのです。そういうことも早めに提出していただけると、市町村が今度それをやるのか、また県が医療機関をやるのか、はっきりしていないところも、できたらきちんと決めていただけたらありがたいなと思っています。ぜひともお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 今、坂元先生と川俣市長のほうから、接種の実際の始め方といいますか、最初は医療従事者を中心に始めて、6か月たった高齢者というのは、あくまでもその後と言うとあれですけれども、来年の2月辺りから始まるみたいなことをきっちり言っていただけるのかということと。
 それから、医療機関、医療従事者の接種に関して、そこを県、自治体がやるのかどうかということをはっきりしていただけるか。
○脇田分科会長 まず、その点、事務局からコメントいただければと思いますが、いかがですか。
○鶴田予防接種室長 事務局です。
 3人の先生方から御質問いただきましたので、お答えさせていただきます。
 まず、坂元先生から御質問いただいた内容ですけれども、今回、概ね8か月のところにつきましては、8か月以上が標準である。ただ、6か月以上ということも接種可能であるということを明確にさせていただきました。あと、6か月以上で実施する場合も、あくまでも接種券がないとできないので、自治体が地域の感染状況などを踏まえて、対応が必要であると。ある意味例外的に御判断された場合は、そういったことが可能であるということで整理させていただいております。
 チラシにつきましては、38枚目のスライドで住民にお届けするチラシのイメージをつけさせていただいておりますけれども、基本的には概ね8か月が標準であるということが分かるような形で明記させていただいておりますので、このような形で、国としてもできる限り現場が混乱しないように周知を図っていきたいと考えております。
 続いて、中野先生から御質問いただきました、使用するワクチンの件ですけれども、今回、この審議会では、追加接種についてはmRNAワクチンを使用することをお諮りさせていただいているところです。ただ、今の時点で薬事承認されているのがファイザーだけですので、モデルナについては今後の薬事審査の結果を踏まえて、また皆様方にお諮りしたいと考えております。
 今回、お諮りする内容として、追加接種はmRNAワクチンということですけれども、1、2回目に使用したワクチンについては、言うならばアストラゼネカであっても、3回目、mRNAワクチンが使えるということでお諮りさせていただいておりますので、8月、9月以降、アストラゼネカのワクチンを使われた方も、今回、お認めいただければ、3回目にmRNAワクチンが使えるといった整理になります。
 あと、御質問としては、3回目に使うワクチンとして、アストラゼネカのワクチンをどうするかというのも御質問であったかと思います。mRNAワクチン以外のワクチンをどうするかにつきましては、アストラだけではなくて、来年、新たに入ってくるであろうノババックスのワクチンはmRNAではなく、組換えたんぱくになりますので、こういったものに関しましては、今後出てくる知見を踏まえて、また皆様方にお諮りしていきたいと考えております。
 最後、川俣様から御質問いただいた医療従事者のところですけれども、前回、初回接種のときは医療従事者が優先接種であり、市町村からすると、誰が医療従事者か分からないという状況がありましたので、医療関係団体の協力をいただき、名簿をつくって、V-SYSを使って、接種券つき予診票を発行したという運用をさせていただいたわけです。ただ、今回は、接種した記録が市町村のVRS、また予防接種台帳に入っていますので、それに基づいて8か月たった方に接種券を配るという運用ができるようになっております。
 接種体制については、9月の時点でお示しさせていただいておりますが、市町村が主体となって体制をつくりつつ、都道府県が市町村の取組を支援するといったイメージでお示しさせていただいているところです。県によっては、病院に関しては県が音頭を取って整理しているところもあるかと思いますし、あとは、地域でできた集団接種会場で、そのまま医療従事者も接種するという御判断をされているところもあると聞いております。
 ですので、ここは県と市町村で対応しながら接種体制をつくっていっていただきたいと思いますし、これは多分、地域によって本当に様々だと思いますので、どちらか一方と決め切ると、逆に自治体が動きづらくなると思っておりますので、各地域で市町村・都道府県とで話し合いながら決めていっていただきたいと思います。
 私からは以上です。
○脇田分科会長 どうぞ、坂元先生。
○坂元委員 川俣委員もおっしゃっていたのですが、先ほどの説明だと、接種券を受け取ってからとなると、12月1日から開始で、今、市町村は接種券を送れる状態ではないのかもしれないですね。印刷屋さんに依頼中とか、そういうところも多いかもしれません。そうすると、医療従事者が接種券を受け取ってから接種できるという12月1日からの状態にはない場合もあると思います。そうすると、医療従事者のほうは、例えば病院の中での記録等々、病院の中の判断で時期を見てある程度やっていくということを考えていただかないと、恐らく市町村はあくまでも予防接種台帳から打った時期を抽出して、接種券を配布するということが仕事になります。
 それから、VRSがどこまで完全に入っているかというのは、それぞれの市町村に聞いていただければ、いろいろ疑問の点が多いと思う。そうすると、12月1日からの開始で、医療従事者は接種券を受け取らないで接種するという形で始まらざるを得ない場合もあるのではないか。その辺の整理を、私は駄目だと言っているのではなくて、医療機関は医療機関の独自の名簿をつくっていただいて、その中でやって、後から市町村が送った接種券の中で、接種シールなり、処理していただくということをやらないと、接種券を受け取ってからというと、今の段階で2月分、3月分、4月分、5月、6月分の接種券を、12月1日から、その人たちが打てる権利があるものを全部配布するというのは、かなり難しいと思われるので、接種券を受け取ってからだと、現実に12月1日からは市町村では無理なところもあるのではないか。
 それから、市町村と県との間で医療従事者分の接種ワクチンをどのように配布するか、まだ全く決まっていないところもあります。現実に今は医療機関には市町村がワクチンを配布しているので、恐らく今後、現在の配布システムでは、医療機関の従事者用ワクチンの配布というのは市町村がやるのかなと思います。そうすると、県との調整も必要になってくるということなので、そこは十分考えていただきたいと私は思います。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 今の論点、どなたかさらにありますか。
○白井委員 坂元先生がちょうどおっしゃったところにつながるかなと思いまして、医療従事者のお話があったのですが、接種券がなくても接種できるというやり方を選択というか、6か月で接種券が間に合わない場合は、そうしていただければなと思いました。
 それと、関連ではあると思うのですが、最低6か月あいたらいいということで、準備できるところはあるかと思うのですけれども、その場合、今まで8か月前後という言い方をしていて、PMDAにも6か月以上と書かれておりますので、副反応報告というか、副反応の対応は6か月ぎりぎりでも大丈夫ですよというか、そういう補償についても、それでいいですねということを確認させていただきたいと思いました。
 あとは、後ろがどうなのか。8か月といった場合に、プラス2か月ぐらいかなとか、ブースターで長くてもそんなに変わらないのではないか、逆にゆっくりやっていただいてもいいかなと思うのですけれども、要領の中でお示しできるものがあるのか、その辺を聞きたいなと思いました。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 接種券が来なくても、自分の接種記録を確認していただいて、8か月たっていれば接種が可能になるかということですか。
 釜萢先生。
○釜萢委員 今の件ですが、私が最初、説明いただいた時点で、自分の認識としては、医療従事者の接種記録は、もう既に全て市町村の予防接種台帳に整理されているのだろうという思いでおりました。そうであれば、接種の終わった人から3回目の接種券を発行していくということがスムーズに流れるだろうと思っておりましたけれども、坂元先生や川俣市長さんからのお話で、それがそうではなさそうだというところが出てくると、その前提が少し不完全になってくるのかなと思います。
 一方、当面は、医療従事者に対して医療機関がしっかり管理の下で接種を行いますので、早い段階で接種対象者になる人たちはしっかり管理ができますので、接種券が手元に届かなくても接種が可能になるということは十分管理できるだろうと思います。その後で、今度は住民の方の接種が始まりますと、ちゃんと接種券がないと難しいだろうと思いますので、最初に始まる医療従事者に対する部分のときに、接種券はなくても医療機関がしっかり管理するという形で接種が可能になるような方法が必要なのではないかなと感じました。国の方、お考えをお示しいただきたいと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 そうしたら、ここでまた区切って、事務局、今の委員の先生方からの御意見に対してレスポンスをいただきたいと思います。事務局、いかがでしょうか。
○鶴田予防接種室長 事務局です。
 接種券のことについて幾つか御質問いただきましたので、これについて回答する前に認識を合わせた上で回答したほうがいいかなと思います。最後、釜萢先生から御指摘ありましたけれども、住民接種のときは接種券がないと接種がなかなかうまく管理できないのではないかという御指摘があったわけですけれども、他方で、接種券がなくても打てるようにしたほうがいいのではないかという御意見、坂元先生をはじめ、いただいたわけですが、ここに関しては、恐らく医療従事者に限って、そういう運用ができたほうがいいのではないかという御指摘として受け止めているわけですけれども、まず、そこの認識がずれていると、非常に答えづらいところがありますので、その認識でいいかどうかだけ、もう一回コメントいただければありがたいと思います。
○坂元委員 私も釜萢先生がおっしゃいましたように、医療従事者は自分たちで管理できると思います。接種券が来なくても、医療従事者は自分たちで管理していただければ、前も接種券が届かない前に始めていた医療従事者もかなりいますので、そこは大丈夫だと思います。ただし、一般市民は接種券がないと混乱が起こりますので、それまで自治体は努力して、一般市民の方、例えば来年の1月から打てるように接種券は届ける努力をしたいと考えております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 川俣市長、お願いします。
○川俣委員 同じです。前回も、最初のときも医療従事者は別のシステムで打っていますので、各地域の医師会とかで打たせていただいて、いろいろなことができたので、それは大丈夫だと思います。ただ、接種券を12月1日に出せと言われたら、とてもじゃない、今、全然準備ができていませんので、その辺を緩和していただくとありがたいなと思います。
 また、県によって、国がまだ言っていないので対応を教えてくれない。そうすると、市町村は動きにくいのです。だから、医療従事者は自由にやってくださいと言われれば、こちらも安心して対応できるので、その辺を厚労省のほうで表明してくれるとありがたいなと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。
○鶴田予防接種室長 今、御意見いただいたところでありますけれども、基本的には接種券をお渡ししてから予防接種するというのが大原則ということは、皆様方、異論がないところだと思います。ただし、12月1日から開始しようとするときに、医療従事者のところに不安があるという御意見であると受け止めておりますので、この点については、事務局としても一定程度検討させていただきたいと思います。ただ、これは国と都道府県と市町村の役割もある程度整理しながらお示しする必要があるかと思いますので、国でどこまで解釈を示すかどうかを含めて検討させていただきたいと思います。
 接種券の御質問はそのぐらいで、あと、いただいた質問としましては、補償のところについて御質問いただきました。12月1日、施行日ということで今回お諮りさせていただいておりますので、12月1日以降、予防接種法に基づく接種ということで、6か月以上の間隔をあけて接種していただいた場合については、健康被害救済制度の対象になりますので、そこは御安心いただければと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 それから、6か月以上、標準的には8か月以上。その後ろをどうするか。今、白井先生からもプラス2か月ぐらいですかという御質問がありましたけれども、その点と。
 あと、ワクチンの配布に関して、市町村と県の役割、その辺りについて御質問があったかと思いますが。
○鶴田予防接種室長 失礼しました。今いただいた2つの御質問について、お答えさせていただきたいと思います。
 接種間隔についてですけれども、概ね8か月以上後ということになりますので、後ろに関しましては、期限等は制度上は定めていません。厳密に言いますと、特例臨時接種の期限がありますので、9月30日までに接種していただければ、特例臨時接種の枠組みでの対応ということになります。どこが最適かというのは、今後、また新たなエビデンス等が出てくれば、それを皆様方と共有し、必要に応じて情報提供していきたいと考えておりますが、現時点では概ね8か月以上後ということになりますので、いつまでというのが規定されるわけではないということで御理解いただければと思います。
 あと、ワクチンの配分のところにつきましては、10月中旬にワクチンの配分を国として都道府県・市町村にお示しさせていただいております。今、具体的にお示しさせていただいているのは、12月、1月に接種を見込まれている方、400万人ちょっといらっしゃいますけれども、この分のワクチンについては、各都道府県・各市町村に分配する計画が仕上がっておりますので、ワクチンについては、具体的には11月の中下旬にお配りする段階となっております。
 2月以降の分につきましては、前回お示ししたときに、11月下旬にお示しするということを通知上盛り込ませていただいているところでありますけれども、なるべく早く皆様方にお示しできるように、今、鋭意調整している最中であります。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○坂元委員 確認ですが、今、補償の部分に関して、法律が半年以降なので、半年以降経過していればいいということですが、12月1日に大臣指示が出たということは、12月1日の大臣指示以前の追加接種は、たとえ半年経過していても補償の対象外という理解でよろしいのでしょうか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 事務局、その点はいかがでしょうか。追加接種に関してですね。
○鶴田予防接種室長 原則論はそうなりますので、12月1日以降に追加接種を開始していただきたいと考えております。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、その他の論点でも結構ですので、御意見、御質問。
 信澤先生、手が挙がっていますね。
○信澤委員 ありがとうございます。
 3回目用のワクチンの種類について、もう一回確認させていただきたいのですけれども、
先ほどの中野先生からの御質問に関連するのですが、1回目・2回目はアストラゼネカを接種した方は、3回目にmRNAワクチンを使えるというお話でしたが、逆に1回目・2回目、アストラじゃなきゃ駄目なのでアストラゼネカを選んだ方は、3回目は当然mRNAを使いたくないという理由があるのだと思うので、そういう方たちへの対応はどうされるのかを教えていただきたいということと。
 あと、接種期間が9月まで延長される中で、初回接種の方たちも9月30日まで接種できるという理解でよろしいでしょうか。
 その2点をお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 そのほか御意見ありますか。よろしいですか。
 では、まず、事務局、いかがでしょうか。ただいまの信澤先生の御質問ですけれども、アストラゼネカを使って、mRNAを使えない人はどうするか。これは別のワクチンがということかもしれませんが。お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 事務局でございます。
 今、御質問いただきました、初回シリーズでアストラゼネカ社ワクチンを打った方に関しましては、もともとmRNAワクチンが使えない方が含まれているのではないかという御指摘でございました。それは御指摘のとおりでございます。一方で、アストラゼネカ社ワクチンを追加接種で用いること、安全性・有効性に関するエビデンスをしっかり見極めてから、国としてもそういった位置づけを認めていく必要がございますので、こちらは科学的知見を踏まえて、今後の検討課題かなと思っております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 それから、9月まで特例臨時接種が延長されるということですけれども、初回接種もその期間であればできるということですが。
○鶴田予防接種室長 事務局です。
 今、分科会長、御指摘されたとおりで、9月末までは初回未接種の方も接種の対象になるということです。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがですか。
 坂元先生。
○坂元委員 医療従事者に関してですが、たしか厚生労働省のほうから2月16日に出された事務連絡において、医療従事者というのはどういうものかということがある程度書かれていたのですが、その中に医学生・看護学生等も含まれていたと思いますが、それは今回の医療従事者も2月16日の事務連絡をそのまま自治体は受け取って構わないということでよろしいでしょうか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 福島委員、手が挙がっています。お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
 1つは感想と、1つは質問です。本日のスライド51枚目~53枚目は、論点に対する事務局案に対して、分科会がこの内容で承認するかということだと思うのですけれども、これについて私は異存ありません。特に、51枚目の対象者のスライドの1ポツ目で、追加接種というのは、感染拡大防止及び重症化予防の観点から行うのだということを明記していただいて、大変クリアになったと思います。と言いますのは、最近の分科会の資料、非常に充実していますので、いろいろなところで注目されております。前回の審議資料では、追加接種を何のために行うのですかというところで、感染予防効果が低下してきているから追加接種するといった論調であったため、学会等でも論議になったことがありました。
 でも、私たちワクチンをずっと研究している者からすると、今回のコロナワクチンの感染予防効果については、付随で認められたものという理解です。発症予防効果が大変すばらしい数値として最初に認められて、その後、感染予防効果もあることが分かったぐらいの感覚です。発症予防効果と重症化予防効果をメインに考えつつ、重症化予防効果が経時的に低下する可能性を指す報告がありますので、ここをカバーするための追加接種ということを改めてお示しいただいて、私は大変ありがたいと思いました。
 あと1つ、質問は、すごく細かいことなのですけれども、実施規則を54枚目のスライドからお示しいただいておりますが、ここでいう「初回接種」は、第7条で規定するいずれかに該当するものと定義し、それより後の接種は追加接種と定義されています。これはこれでいいのですけれども、事務局からの今日のスライドの御説明であったり、質疑応答の中の御説明で、「初回接種シリーズ」という言葉を使われたりしていますね。恐らく文言については、事務局なりに十分練られた中で、今回、予防接種実施規則の文言としては「初回接種」を使おうということになったと思うのですけれども、そういう理解でよろしいですか。「初回接種シリーズ」ではなくていいという理解でしたか。
○脇田分科会長 福島先生、ありがとうございます。
 1回目・2回目を併せて初回接種と言うのかということですね。分かりました。そこは確認しましょう。
 中山先生、お願いします。
○中山委員 今の9月30日まで延長されたということですけれども、そうすると、1回目・2回目の初回接種シリーズを受けていない人は、遅くとも3月ぐらいまでに終わっていないと、ブースターは受けられないということに多分なると思うのですけれども、そういうアナウンスを厚労省のほうとしてはしていただけるのですか。そのブースターがどうなるのか、また延長されるのかもしれませんけれども、ブースターを受けたいのだったら、3月までに初回シリーズを終わらせましょうということを言ってあげたほうが、ワクチンの接種率も上がるのではないかなと思ったので、その辺をお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 それでは、ここで区切らせていただいて、坂元先生の御質問、医療従事者の中身の話。それから、福島先生の今の初回接種のお話と、中山先生のブースターを打つとすると、1月、2月までに終わらないと、次、打てませんよという話ですが、いかがでしょうか。
○九十九予防接種室長補佐 お答えいたします。
 用語について、今、御質問いただきました。初回接種とか初回シリーズという言葉がございます。海外に関しましては、1回打つワクチンとか2回打つワクチンといった、初回と言っても何を指すか分かりにくいというところがございましたので、この資料を説明する上では、初回シリーズと言ったほうが全てを含む概念で分かりやすいかなということも考えまして、この用語を使っております。ただ、実施規則での規定上は初回接種という定義をさせていただいたというところでございます。
 以上でございます。
○鶴田予防接種室長 事務局です。
 あと2問、追加の御質問について、お答えさせていただきます。
 まず1つが、坂元先生から言われた医療従事者等の範囲についてですけれども、今回、追加接種においては、優先接種という概念は用いていなくて、あくまでも2回目接種を受けた方が概ね8か月経過した後から追加接種をするということになっていますので、今回、医療従事者等の定義をする必要は、厳密に言えばないと思っています。ただ、先ほどの議論で、12月1日から接種するときに、基本的には原理原則は接種券を持った上で接種するのが大原則ですけれども、接種券がまだ届いていない時点で接種することができるかどうかということの整理が必要じゃないかというのが先ほどの問題提起であったかと思いますので、その点については、また改めて事務局で検討させていただきたいと思います。
 基本的には、これまでの議論の中でも、医療機関であれば接種した人をしっかり管理し切れているので、前もって打って、後で届く接種券を使って事務手続をしたらいいのではないかという御意見だと思いますので、その点は改めて事務局で整理したいと思いますが、その場合であっても、医療従事者等の範囲がどうこうという議論ではないかと思いますし、あくまでも医療機関として管理ができるかどうかという、また別の視点かと思いますので、その点については、事務局において、また整理させていただきたいと思います。
 もう一つ、期限のところで御質問いただいているわけですけれども、今回、延長ということで9月末までということで提案させていただいていますが、基本的には9月末までに、初回接種にしても、追加接種にしても、打った場合に対象になるということですので、この点についてはしっかりと周知等を図っていきたいと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 池田先生、釜萢先生、もしさらに御意見があれば、時間もありますので、そろそろまとめていただいて御意見いただければと思います。順番にお願いします。
○池田委員 池田でございます。
 今の事務局の御説明は理解しましたけれども、とはいえ、医学生や看護学生等は医療従事者ではないわけですけれども、これから将来の医療を担う大事な人材で、臨床実習なども必要なので、そういう方に早めに接種の順番が回ってくるというのは本当にありがたいことだし、実際、そのようにやるべきだと思います。
 それも含めまして、論点の事務局案のところに、6か月以上の間隔で打てるのが、地域の感染状況等を踏まえた自治体の判断と書いてあるので、自治体の判断がないと医療従事者等には早めに打てないかというと、そうではないと思うのです。1つの病院の中で様々な自治体に住んでいる医療従事者が集まっているわけで、それぞれの自治体の判断を待っていたら無理なので、ぜひ今回の分科会で決めることの中に、医療従事者等については、8か月よりも前に追加接種を実施することができるといいますか、そういったことも想定しているということを含めていただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 池田先生、53ページのところですか。
○池田委員 53ページと、あと51ページを併せて読めば、何となく医療従事者等は早めの接種も容認されるように読めるのですが、それが明記されているわけじゃございませんので、例えば53ページのところに「地域の感染状況等を踏まえて自治体の判断により」ということ、プラスアルファ、医療従事者等、感染リスクの高い職業ということが含まれているほうがより明確かと思いまして発言させていただきました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 鶴田室長さんから御説明があって、ある程度は理解しているのですけれども、優先接種という考え方を今回は取らない。優先接種というのは、対象者を限定し、いつからこの人たちが対象になります。また、いつからはその範囲がどうなりますというのをきちんと示すのが優先接種の考え方。
 一方で、例えば38ページに、住民に対する啓発の中で、「特に追加接種をおすすめする方」というのは、既に御説明があったように書かれている。このことと優先接種は確かに違うのだけれども、一般にそこまでよく分かるだろうからということもあるし、先ほどの医療従事者については接種券がなくてもできるのだというところと、もうちょっと整理したほうがよいかなという気がしておりまして、意見を申し述べました。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 そのほかに御意見ございますか。なければ、今の池田先生、釜萢先生からの御意見を事務局にレスポンスしていただいて、その後、諮問に関する話に行きたいと思いますが、事務局はいかがでしょうか。
○鶴田予防接種室長 事務局です。
 今回の追加接種については、原理原則で言えば、接種券がお手元に届いてから、それをもって接種していただくというのが大原則になると思っています。ここが崩れてしまうと、市町村管理ができなくなってしまうと思いますので、これは大原則として御理解をお願いできればと思います。そういう中で、極めて限定的・例外的な取扱いとしてどうするかというのが先ほどの議論だったと思いますので、それはそれとして、また事務局として整理して、またお示ししたいと思います。ですので、対象のところについては、その例外がどういう形で合理的に組めるか次第のところがありますので、事務局でここは引き取って整理したいと思います。
 あと、釜萢先生から言われた、特にお勧めするところですけれども、今回の追加接種の趣旨が感染拡大防止、また重症化防止というのが目的になってきますので、そういう観点で考えたときに、特に接種したほうがいい人はどういう人たちなのかということを具体的に示したほうが分かりやすいのではないかというのが、この分科会の前回の御意見だったと思いますので、その趣旨をしっかりと説明していきたいと考えております。
 私からは以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
 さらに追加の意見、よろしいですか。様々な御意見ありがとうございました。
 それでは、資料3に示されています、本分科会への諮問事項、追加接種の方法についての省令の改正案であります。これを御覧になっていただいて、これまで様々な論点がありましたけれども、特に大きな反対意見はなかったと理解しています。この諮問された原案どおりでお認めいただいているということでよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 皆さん、首肯していただきました。ありがとうございます。
 それでは、事務局におかれましては、この省令等の発出のための事務手続を進めていただきたいと思います。
 そうしますと、自治体において追加接種が実際に始まることになりますので、12月からスムーズに始められるように、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に進めさせていただきます。小児の新型コロナワクチン接種についての議論となります。では、資料2、事務局から説明をお願いいたします。
○川村予防接種室長補佐 失礼します。ちょっとよろしいでしょうか。
 すみません、私の説明が漏れていたせいなので、大変恐縮なのですけれども、さっきの諮問文について、別紙2に大臣指示が入っておりまして、こちらも御説明の上、改めて御確認いただきたいところですけれども、よろしいですか。すみません。
○脇田分科会長 どうぞ。
○川村予防接種室長補佐 別紙2ですけれども、こちらは先ほどのパワーポイントの55ページにある大臣指示、こちらも諮問内容としてつけさせていただいているので、簡単に御説明します。
 大臣指示の実施期間を来年の9月30日まで延長すること。
 追加接種に用いるワクチンについて、ファイザー社ワクチンについて規定した上で、その対象者は18歳以上として、かつ、大臣指示について12月1日から適用・施行しますということになってございます。
 こちらも大変恐縮なのですけれども、改めて御確認いただいて、承認の可否について御判断いただければと思います。
○脇田分科会長 分かりました。すみません、私もそこを漏らしていたかもしれません。
 省令案の改正とともに、別紙2の大臣指示の改正案ということですか。
○川村予防接種室長補佐 ありがとうございます。
○脇田分科会長 こちらについても、この改正案でお認めいただけるでしょうかということです。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 皆さん、首肯していただきました。それでは、この案でお認めいただいたということで、両方セットで確認させていただいたということになります。
 事務局、よろしいですか。
○川村予防接種室長補佐 失礼しました。ありがとうございます。
○脇田分科会長 それでは、進めていただいてもよろしいでしょうか。
○九十九予防接種室長補佐 ありがとうございました。
 続きまして、「小児の新型コロナワクチンの接種について」、御説明申し上げます。資料の59ページ目を御覧ください。
 まず、「諸外国の対応状況」でございます。報道等で御承知のとおり、現時点で12歳未満の小児への使用に対して、実際に承認されましたのは米国のみでありまして、カナダ、フランス、ドイツにおいては、ファイザー社による各国当局への申請が確認されている状況でございます。
 米国が12歳未満の小児を対象としたワクチンを承認した理由に関しまして記載しておりますが、小児に対するファイザー社ワクチンの有効性・安全性に加えまして、5歳~11歳までの小児にも新型コロナウイルス感染リスク、これは死亡・入院を含む重症化リスクがあること。注1で記載しておりますが、CDCによりますと、米国では5歳~11歳までの小児について、2021年10月14日時点で180万件の新型コロナウイルス感染報告のうち、新型コロナに関連する死亡143件、入院は8622件となってございます。また、小児多系統炎症性症候群は5217件という報告もございます。また、短期から長期的な後遺症の可能性が、特に基礎疾患を有する子供に見られることも指摘されております。
 続きまして、60ページ目以降は「新型コロナワクチンの有効性、安全性について」でございます。
 61ページ目を御覧ください。こちらは、最近、パブリックされました論文でございまして、5歳~11歳におけるファイザー社ワクチン10マイクログラムの2回目接種後1か月の免疫原性は、16~25歳における同社のワクチン30マイクログラムの2回目接種後1か月と比較して同等であり、2回目接種後7日以降の発症予防効果は90.7%であったという報告がございます。
 研究内容としましては、2021年6月から研究に参加しております5歳~11歳の2285名をファイザー社ワクチンの接種群とプラセボ群に無作為に割りつけまして、ワクチンまたはプラセボ接種1か月後の安全性、免疫原性、有効性を評価したものでございます。
 結果としましては、中和抗体価が事前に定めた免疫原性の成功基準を満たしておりまして、抗体反応率も2回目接種1か月後において両群とも99.2%であったということでございます。
 また、実際の有効性に関しましても、発症予防効果ですが、2回目接種後7日以降、これは5~11歳全体で90.7%、感染歴のない5~11歳では、こちらも90.7%という報告が上がっております。
 続きまして、62ページ目を御覧ください。こちらは、今、御説明した研究と同じ著者でございますが、安全性に関して述べたものでございます。
 結果としましては、局所反応の多くは軽度~中等度で、持続期間は1~2日でございました。接種部位の疼痛が最も多く見られております。
 全身反応ですが、一般的に全身反応は、1回目接種と比較し、2回目接種において報告頻度が高かったという報告でございます。
 63ページ目を御覧ください。現時点で得られている、小児(5~11歳)の新型コロナワクチンの接種に係る科学的知見等を整理しております。有効性、安全性の観点から、米国においては、ファイザー社ワクチンの5歳~11歳の小児への接種に対して緊急使用許可を承認したところでございます。我が国においても、ファイザー社より11月10日に薬事申請が行われているところでございます。
 こちらに関しまして、5歳~11歳の小児に対して新型コロナワクチンを接種することについて御議論いただきたいと考えております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 今、説明していただいたとおり、ファイザー社のワクチンで5歳~11歳の有効性・安全性のデータが示されている。ただ、感染症のリスクが米国と日本では全く同等ではないということもあるところで、ファイザーのほうから11月10日に小児用のワクチンが薬事申請されているというところで、今後、承認がされれば接種をどう考えるかというところで、今日、皆様から御意見をいただければというところであります。
 それでは、御意見があれば。いかがでしょうか。
 中野先生、お願いします。
○中野委員 ありがとうございます。中野でございます。
 本日、福島委員がおっしゃった、成人においても、感染拡大防止と重症化予防の観点、この2つのポイントが大事だ。ワクチンはこの2つが大事だというのは、私も全く同感でございます。それを考慮いたしますと、確かに幸い日本は小児の疾患の流行規模が小さいということ。重症者とかMIS-Cも含めて、海外に比べて報告数が少ないということ、それは事実であります。また、ワクチンに関して、若年者特有の副反応とかがないのか、重篤な副反応がないのかも、まだ分からないことが多いのも事実だと思います。
 ただ、自分が臨床の現場にいて思うことは、7月、8月に小児の患者さんが増えたとき、私は新型コロナウイルス感染症は、子供にとってもただのかぜではないと思っています。明らかにかぜよりは重症者とか、いろいろなことが起こっています。これは、患者さんの数が少ないと個人情報の問題もあるので、詳細までみんなで全ての情報を共有できていない状況だと思いますけれどもね。
 今後、ワクチンによる予防を考える上では、疾病負担の問題を2つの観点から、ともすれば他人にうつさないために子供に打つのはどうもとか、子供はかかってもただのかぜなのにという一言で片づけられているケースがしばしばありますが、予防できる手段がもしあって、その方が罹患して重症化したら、かかった方は非常に後悔するでしょうし、予防の手段が使えないと後悔することがあるので、そこは今後必ず認識しておかなければならないことだと思っています。
 以上でございます。
○脇田分科会長 中野先生、重要な情報の共有、ありがとうございました。
 釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 今、中野先生がおっしゃってくださった認識と、私は全く同じ思いでおります。
 それで、事務局にお尋ねですが、小児科学会は特にこの年齢のお子さんの治療に大きな力を持って役割を担っていただいていますけれども、小児科学会との意見交換の情報がありましたらば教えていただきたいということと。
 それから、この新型コロナというのは、子供が罹患した場合に決して侮れない病気だと私も強く思っておりまして、中野先生がおっしゃるとおりなのですが、一方、今、検討されている年代に仮にワクチンを接種しなかったとして、この年代が感染拡大の中核になってしまうという可能性について、どういうふうに認識しているかということも事務局から見解を伺えれば幸いです。
 以上、お願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 それでは、中野委員からは御意見ということだと思いますが、釜萢先生からの御質問に関して、事務局からレスポンスをいただけますか。お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 貴重な御指摘、ありがとうございます。
 まず、釜萢委員から御指摘いただきました小児科学会様との意見交換に関してでございますが、先日、11日に事務局と小児科学会様の予防接種に係る委員会様とオンラインで協議させていただきまして、様々な意見をいただいたところでございます。特に御意見いただいたと認識しておりますのは、まず、海外の状況と日本の状況が必ずしも同じ状況でないことは意識して議論するべきではないかというところと。ほかにも、実際に国内で、例えば小学校・中学校といったところでのクラスターの発生状況がどうなっているかとか、そういった国内における疾病負荷がどのような状況かといったことを踏まえて議論するべきではないかという意見をいただきました。
 こちらにつきましては、改めて小児科学会様からも、またヒアリング等、この分科会でもいただきまして、活発な議論をしていきたいと思っております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 釜萢先生の後段の御質問の、今のお答えに入っているのかもしれませんが、子供たちがかかった場合に、小学校とかで流行の中核になるのかという、その辺の認識というのは、今、事務局はいかがですか。
○九十九予防接種室長補佐 御指摘ありがとうございます。
 現状で国内の感染の動向、詳細な伝搬といったものがまだ手元にデータがございませんが、少なくとも学校でのクラスターといった発生動向を見る上で、ある程度参考になるのかなと考えてございます。
○脇田分科会長 まだ、例えばインフルエンザのような流行の原因になるという状況ではないのかなというところですけれども、白井先生、どうぞ。
○白井委員 学校でクラスターになるかということについて、私たちが経験しているような学校とか就学前もそうですけれども、学校教育の中では余り感染していないのです。それ以外の課外活動とか部活動が多かったと思うのですけれども、そういうところでの感染が多いので、学校教育はガイドラインに沿って、かなり丁寧にやっていただいて、今からマスクを外すかどうか分かりませんけれども、そういう中では余り学校に広がるという印象はなかったです。
 ただ、就学前の幼稚園とか保育所の方々については、予防ができないお子さんたちということもありますし、従業員の方というか、スタッフの方からうつったという方も多かったような気がします。
 また、中野先生が、重症の方もいらっしゃるということで、多分、中野先生が診ていらっしゃるような大学病院の方は重症かもしれませんけれども、私たちのところで、後でクラスターかもしれないと思いながら検査をしてみると、大部分がかぜに近いというか、軽症の方が多かったと思いますので、全体は分からないところがあると思いますけれども、対象にするとしても、全ての5歳~11歳の方に積極的にワクチンを勧めるという方向については、慎重にしていただいたほうがいいかなと思っています。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 それでは、手が大分挙がっていますので、川俣市長、鈴木委員、阿真参考人、佐藤委員の順番でお願いします。
○川俣委員 川俣から。
 まず、私のほうで保育園児が感染したときがありまして、先生を交えて8人、クラスター扱いになったのですが、その場合、最初に先生のほうが発病しました。それで、先生と一緒のお子さんたちを検査したところ、誰も感染者、陽性者はいません。もう一人の先生が発熱があるというので検査したら陽性になっていたのですが、この先生のクラスも陽性者も発熱者もいないのです。
 ところが、全然違うクラスの子の親が、大きな企業だったので検査をしてくださいと言われて検査した結果、その方のお子さんだけ陽性者だったのです。改めて全部の園児を検査させていただきました。そうしたら、全く違うクラスの子が6人なっていたのです。そういうことになって、誰も症状がありませんでした。皆さん、休むことにはもちろんなりましたし、経過を見させていただきましたが、治療を要するような子は誰一人出てこなかったのですね。
 また、16歳~12歳にワクチン接種が引下げになったときにも、医師会の先生方でも、16歳以下を僕は接種しませんという方がいらっしゃったり、なかなか難しいこともあるので、それをまた12歳以下まで下げるとなると、親の同意を得るのはなかなか難しいのかなと、私はちょっと思っています。ただ、やるとなれば、小学生なので、1年・2年生は受けませんというのは集団の中では言えないのかなと、ちょっと思っています。
 先ほど白井先生がおっしゃったように、クラスターに学校とかはなりにくい。対応していますし、マスクは外さないようにしています。ただ、保育園とかはほぼマスクをしていませんので、かえってうつってしまったのかなという私たちの反省点があって、先生方の対応とか食事の仕方とかを随分厳しくしたのはあるのですが、その後は誰も出ていません。もちろん、低学年から、低年齢からワクチンを打っていただいたほうがいいのかもしれないけれども、これはかなり慎重にしないと、結局パーセンテージが上がらないのかなという気もするので、その辺を考慮していただきたいなと思っています。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 鈴木先生、お願いします。
○鈴木委員 先ほど中野先生から、子供にとっても、決してかぜだと軽く考えるべきではないという非常に大切な御指摘があったと思います。確かに海外のデータを見ても、子供の世代では重症化率も致命率も非常に低いということは間違いないと思います。
 ただ、日本でも今、活動度の高い20代~40代のワクチン接種が進んだ段階で、これからどんどん社会活動も活性化していくと予想されます。そうすると、必然的に社会全体として流行が拡大したときに、流行の主体を占める世代というのがワクチンを打っていない世代にだんだん下がってくるということも間違いないと思いますし、実際に英国とか米国はそのような経緯をたどってきたわけです。
 そのように流行の主体が低年齢化したときに、アメリカとかイギリスのデータを見ますと、今すぐ手元に出てくるわけではありませんが、少なくとも米国でも18歳未満の死亡というのが100のオーダーで報告されていると思います。イギリスで今、ちょっと検索しただけでも、スコットランドだけで25名の18歳未満の死亡が確認されているといった報道もあります。ですので、流行拡大したときに、ワクチンを打っていない世代で感染者が多くなって、たとえ致死率、重症化率が低いとしても、トータルとしては一定数の重症者数、死亡者数が発生するということは考えておかないといけないと思います。
 この辺り、もちろん我々、感染症疫学センターがちゃんと剖検していく必要があると思いますけれども、日本が今後、社会活動が戻ったときに、では、子供でどれぐらい感染者が発生して、その中からどれぐらいの入院とか重症者数が発生する可能性があるのかということに関しては、もちろん分かりませんが、推測も含めてデータをそろえた上で議論していく必要があるかなと思っております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 阿真参考人、お願いします。
○阿真参考人 ありがとうございます。
 概ねほかの先生方と同じ意見ではあると思うのですけれども、個人的に必要性があるということは理解しているところです。ただ、多くの皆さんが理解されているかというと、非常に難しいと思います。小学校・中学校でも、今、移動教室なども再開されていますけれども、食事以外の時間でのマスクの徹底など、かなりしっかりされていて、移動教室から戻ってきた学生たちが多くいても、そこでクラスターの発生などもほとんど起きていないということでありますので、どれだけの子にどれだけの重い症状があって、それから重症化する子がどのぐらいいるかということを相当丁寧に、慎重に伝えるということをしないと、理解を得るのはちょっと難しいと思います。
 ただのかぜだと思っているわけではないのですけれども、その理解を得るということに対して相当真剣に取り組まないと、多くの理解を得るのは難しいと感じています。
 以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。ありがとうございます。
 たくさんの意見とほぼ同じなのですけれども、世の中のワクチン接種が進み、相対的に小児の発症例が増えていることは承知していますけれども、これまでのところ小児の死亡例はなく、重症化も比較的しにくいというのが一般的な理解です。その中で小児にワクチン接種をするのであれば、何のためにするのか、ということをある程度、共通理解として持つ必要があると思います。
 ですので、先ほど59ページの資料の欄外に書かれていたような小児の重症例に関する数字を、欄外ではなくて、ちゃんと分かるように示していただきたいということと、あるいは、一般的に子供に行われているはしかのワクチンやインフルエンザワクチンなどのようなものと、重症化や致命率が比較できるのかどうか。日本国内で難しければ海外の事例と比較できるのかどうか、なかなか難しいところがあるような気もしますけれども、そのようなものを示していただけるといいと思います。
 現場で重症事例を御覧になっていらっしゃる先生と、接種を決める親御さんが共通理解を持つことはなかなか難しいのですけれども、受けたほうがいいということであれば、その差を埋めるための数値なり根拠なりが欲しいところだと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 坂元委員、お願いします。
○坂元委員 私の自治体のほうにも、多くではないですけれども、受けるのかという問合せは来ます。私としましては、日本では確かにアメリカと違って重症化例が少ないという話はありますが、打てる権利は担保するべきだろうと思います。
 ただ、1つの課題として、勧奨接種をするかどうかというところではないかなと思います。最初、コロナのワクチンを始めたとき、妊産婦には勧奨接種をしなかったという形で、5歳~10歳を勧奨接種対象にするかどうかという議論をして、私は基本的にこういうものは打てるチャンスを認めるべきだと思います。1つには、小さな子といえども、免疫不全とか、いろいろな形で、たまたまそういう重症化例が出ていないというだけで、そういう可能性も、中野先生の御説明もありましたように、すごく最前線とか、かなり深刻なケースも診ているというのを聞いていますので、予防接種法でできますよという権利は保障する。
 それから、副反応を見ても、5歳か6歳の子供が40度近い熱が出れば、大人と違って、ああ、ワクチンの反応があってよかったねという笑い話では多分済まなくなるので、その辺のしっかりしたインフォームドコンセントをやって、あとは勧奨接種対象にするかどうかというところをちょっと議論して、私は認めるべきだと思っております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 接種勧奨というか、接種の努力義務を課すかというところですね。ありがとうございます。
 様々な御意見ありましたけれども、概ね慎重に進めるべきではないか。海外と、それから、上の年齢層と比べても重症化率は低いし、日本ではまだ死亡例が報告されていないというところ。それから、学校内等においては感染が広がっている事例は少ない。学校の外の課外活動、部活動、塾といったところでのクラスターの報告はあるとは思うのですが、というところでした。
 佐藤委員からは、可視化、その他の感染症との疾病負荷が比較できるのかという御質問がございました。
 事務局からレスポンスございますでしょうか。
○九十九予防接種室長補佐 様々な貴重な意見をいただきまして、ありがとうございます。
 いただいた御意見を踏まえまして、どのようなデータが示せるかとか、そのようなことを検討してまいりたいと思います。クラスター対策をされております保健所長会のほうとか、感染症疫学センターの鈴木先生のところとか、そういったところにいろいろ御知見を伺いながら、どのような資料がつくれるか、御相談させていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 それでは、さらに御意見ございますか。
○森尾委員 脇田先生、厚生労働省にいる森尾からよろしいでしょうか。手を挙げられずに申し訳ありません。ありがとうございます。
 坂元先生がおっしゃった、打てる機会を確保するというのは非常に重要な概念だと思っております。今、何のために打つのかとか必要性という話がありましたけれども、一方、副反応というリスクのほうの情報提供が非常に重要だと思っておりまして、恐らくこれからアメリカで出てくる5歳~11歳の接種における副反応と、日本で、近似で、例えば12歳とか13歳でどういう副反応が起きているかというところを含めて、丁寧な資料を提供するということが非常に重要だと思っておりますが、この辺についても厚労省と一緒に何か知恵を絞れればいいのではないかと思います。
 以上でございます。
○脇田分科会長 森尾先生、どうもありがとうございます。
 その辺の情報もなるべく早くまとめていただいて、情報として提供していただくというところが丁寧なコミュニケーションにつながると思います。その点は事務局もよろしくお願いします。感染研も、当然そこはしっかりやっていくというところだと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 釜萢先生、どうぞ。
○釜萢委員 既に御指摘があったところですけれども、59ページの欄外に書いてあるCDCからの報告ですけれども、御説明もあったので繰り返しになりますけれども、180万人の小児の新規コロナ感染の報告で、小児多系統炎症性症候群の5217というのは、小児科としてはすごく多い数です。日本ではこんなに出ていませんし、この病気自体が日本ではそんなに多くないし、川崎病とは別のものと考えたほうがよろしいと思いますけれども、とてもこの報告数は多いですね。だから、海外との違いを小児科学会がまたヒアリングしてくださるということですが、その辺りのところをぜひきちんとした評価をしていただきたいと思っております。
 以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 小児多系統炎症性症候群、いわゆるMIS-Cと言われているものですかね。これの発生状況がアメリカでかなり多いのではないかというところですね。日本での発生状況というのが正確に把握されているのかというところ、今、釜萢先生の御心配もありますけれども、小児科学会とも連携して情報交換していくことを事務局にもお願いしたいと思います。
 そのほか、よろしいですか。これは、引き続き議論するということですので、ありがとうございました。それでは、この件に関しましては、今回いただいた意見を基に、また事務局のほうで論点整理をしていただきまして、引き続き議論を続けるということにしたいと思いますが、事務局、いかがでしょうか。それでよろしいですか。
○九十九予防接種室長補佐 いただいた御指摘を踏まえて、また論点整理等を行ってまいりたいと思います。ありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ちょっと押していますけれども、次にパピローマワクチンのほうに行きますけれども、その前にちょっと休憩しましょうか。5分程度でよろしいですか。そうしましたら、3時5分開始でいいですか。
○萩森予防接種室長補佐 今、分科会長から御提案がございましたけれども、3時5分再開ということで、一旦休憩させていただければと思います。ありがとうございます。
○脇田分科会長 それでは、委員の皆様、またよろしくお願いいたします。
 
(休 憩)
 
○脇田分科会長 それでは、再開させていただきます。
 ここからは、議題の2番目「HPVワクチンについて」ということで、ヒトパピローマウイルスワクチンの議論に進みたいと思います。
 分科会においては、これまでHPVワクチンの積極的勧奨の取扱いについては審議をしてきませんでした。今般、副反応検討部会・安全対策調査会合同会議において、積極的勧奨を差し控えている状態を終了するということが了承されたということです。これに伴いまして、HPVワクチンの接種を進めるために必要な事項。例えば、医療の支援体制の整備等です。それから、もう一つ、接種機会を逃した方への対応、いわゆるキャッチアップなど、そういった課題については分科会でも議論を行うことを求められております。今回、この点について議題に取り上げたいと思っております。
 まず、これまでの経緯を含めて、部会での議論について、副反応検討部会の座長を務められた森尾委員から御報告をいただきたいと思います。森尾先生、よろしくお願いいたします。
○森尾委員 脇田先生、ありがとうございます。
 まず、経緯でございますけれども、HPVワクチンにつきましては、平成25年4月に予防接種法上の定期接種に位置づけられて以降、副反応検討部会・安全対策調査会合同会議において安全性等の評価を行ってまいりました。その後、疼痛や運動障害を中心とした多様な症状が報告されまして、マスコミなどで多く報道され、平成25年6月14日合同会議にて、ワクチンとの因果関係を否定できない、持続的な疼痛の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではないという結論が得られたことを踏まえまして、厚生労働省健康局長通知により、積極的勧奨が差し控えられることになりました。
 その後、合同会議におきましては、HPVワクチンの安全性・有効性に関する評価、HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援、そしてHPVワクチンに関する情報提供の3つの課題に取り組んでまいりました。
 今回、資料4に概要の記載がございますが、10月1日と11月12日の合同会議の議論について、かいつまんで報告させていただきたいと思っております。
 10月1日の合同会議では、これら3つの課題について整理を行った上で、現在、HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨が差し控えられていることについて審議を行いました。最新の情報を基にした議論からの評価をまとめますと、1.HPVワクチン接種後に生じた多様な症状とHPVワクチンとの関連についてのエビデンスは認められていない。また、海外の大規模調査において、子宮頸がんに対する予防効果が示されてきている。
 2.HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について、適切な対応が検討され、今まで実施されてきた。
 3.HPVのリーフレットが分かりやすく改訂され、リーフレット等の個別通知が行われるようになり、現在、ワクチンの安全性と有効性について、十分な情報提供が行われるようになってきているということになりました。
 これを踏まえまして、大きな方向性として、積極的勧奨の再開を妨げる要素はないということが10月1日に確認されました。
 一方で、HPVワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項といたしまして、まず、地域で不安なく接種できるよう、協力医療機関の体制強化や地域の医療機関や学校等の連携強化が必要である。そして、最新のエビデンス等を踏まえたリーフレットの改訂が必要である。そして、積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方への対応について検討が必要であるといった意見もいただいたという次第でございます。
 先週、11月12日の合同会議では、安全性・有効性についての議論を含めまして、支援体制や情報提供の課題について、今後の対応の方向性が示された状況でございます。
 また、審議の結果、委員の総意として、HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当であるとの結論に至りました。
 また、HPVワクチンの接種を進めるに当たり、必要となる事項についても意見をいただきましたので、ここで提示させていただきます。
 主な意見といたしましては、まずは、今後も引き続き、ワクチンの安全性について新たなエビデンスを収集し、安全性の評価をしっかり行っていくということが挙げられます。
 また、協力機関への実態調査も行っておりますけれども、そこでは、必要な診療を提供するための体制が一定程度維持されている一方、近年、受診患者さんがいない医療機関も多く、研修会や関連機関間の連携の要望が挙がってまいりました。このことからも、これまでも定期的に実施してまいりました協力医療機関向けの研修会を引き続き実施し、内容を充実すること。また、協力医療機関同士が互いに相談できるような体制を構築し、協力医療機関と都道府県等が必要な情報を共有できるような連携の強化を行っていくことが重要との意見が出ております。
 相談窓口となる自治体からの相談内容についても、うまく把握できるような体制が検討できればという意見もございました。
 また、地域の医療機関が適切な対応を行い、地域の医療機関から協力医療機関への紹介をより円滑にできるように、必要な情報の周知を行い支援を行うことや、学校と医療機関との連携や、学校と都道府県等との一層の連携を図っていくことが大切であるとの意見がございました。
 HPVワクチンに関する情報提供に関しましては、リーフレットについては、最新のエビデンスなどを踏まえた改訂や、積極的な勧奨の差し控えに関する記載の見直し、情報が更新されるものについては、厚生労働省のホームページとリンクした情報提供が行えるよう修正を行うこと。また、学校における取組の在り方を文部科学省と検討すること。若者向けの情報提供の在り方を検討していくことなどが挙げられております。
 積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方への対応、いわゆるキャッチアップ接種については、この予防接種・ワクチン分科会で御検討いただけるものと認識しております。
 簡単ではございますけれども、合同会議からの報告は以上でございます。
○脇田分科会長 森尾先生、どうもありがとうございました。
 ただいま報告いただいたとおりですけれども、合同会議においてHPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当という結論ということでありますけれども、これを受けまして、厚生労働省としては、今後どのように進めていくことになりますでしょうか。
○木庭推進官 事務局でございます。
 厚生労働省といたしましては、合同会議の結論を踏まえまして、HPVワクチンの積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させる方向で最終的な検討を行ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 そうしましたら、委員の皆様から、この部分について御意見をいただきたいと思います。HPVワクチンの接種を進めるに当たり、必要となる事項についてです。症状に対応するための医療体制、支援体制、今、森尾先生から御紹介がありました。それから、ワクチンに関する情報提供に関連した部分。キャッチアップに関しては、後に議論しますので、まずはこの点について御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 中山先生から手が挙がっています。中山先生、お願いします。
○中山委員 御説明ありがとうございました。
 積極的勧奨の再開については、私も基本的には賛成いたします。その上で、以下の点について、厚労省としては、被害者に寄り添う実効性のある施策として、その実行を早急に検討していただきたいと思っております。恐らく、再開後に副反応と認められる症例の増加というのは起きてくるだろうと思いますので、それについては丁寧に調査していただきたいということです。それから、副反応の被害者と認められた人については、その後の経過の追跡調査を行っていただきたいと思っております。
 また、今、御説明にあった協力医療機関については、全国で84機関あるということですけれども、ここが被害者に本当に必要な医療を提供できているのかということも、引き続ききちんと評価していただきたいと思っております。
 また、これが私、一番大事だと思うのですけれども、副反応のうちの多様な症状を呈する症例については、いまだ確立した治療方法がないと聞いております。これについては、研究班を設けるなどして、早期に確立した治療法が開発されるように尽力していただいて、本当にこのワクチンを安心して受けられるようになっていただければいいなと思います。
○脇田分科会長 中山先生、どうもありがとうございます。
 釜萢委員、坂元委員の順番でお願いします。
○釜萢委員 先ほど御説明がありましたように、副反応検討部会と安全対策調査会合同部会で積極的な勧奨の差し止めをやめて、再開に向けるべきだと結論をお出しになったことに対しては、私も大変よかったと思います。
 先ほど森尾先生からお話がありました中で、特に私ども、実際に直接相談を受ける一番最初の窓口になる医療機関としては、このワクチン接種後、体にいろいろな変化が起きた、多彩な症状、多様な症状に対して、しっかりお話を伺って、そして、それぞれの地域の中心となる医療機関に紹介が必要なのかどうかというところ、さらにそこに力を尽くさなければならないと思います。
 厚生労働省から、相談を受けた医療機関における対応のパンフレット、これは私はとても優れたものをつくっていただいたと認識していますが、さらにより多くの医療機関がこの問題について、しっかり体制を整えて、接種後に相談を受けた場合に、接種をした場合も、また直接接種をしていなくても、しっかり対応できることが極めて重要で、その中で地域の中心を担う病院と連携を取るという体制をさらに強化しなければいけないと強く思っておりまして、私どもとしても、そのためにさらに役割を担いたいと思っております。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 坂元委員、お願いします。
○坂元委員 私も2名の委員の方に基本的に賛成でございます。現実に川崎市のほうは、勧奨接種という形ではありませんが、接種対象者に既に全員に予診票を配布しております。これは、厚生労働省のパンフレットを配った際に、多くの市民から、予診票を送ってこないという苦情のほうが多くて、それに併せて、現在、全ての対象者に送っております。形上、勧奨接種と同じ体制にはなってしまって、既に3000名弱の方が、この6月、7月、8月ぐらいで受けておりますが、今のところ、そういう重い副反応ということは寄せられておりません。
 月ごとに接種者が倍々に増えておりまして、8月の段階ではもう1000名の方が受けているということです。希望者は非常に多いということで、我々も正直驚いておりますが、それだけ厚生労働省の資料等を読んで、市民の方の認知が深まったのではないかと思っております。
 逆に、これは後の課題ですが、受けられなかった、つまり、積極的勧奨しなかった世代の方から、いわゆる不公平ではないかとか、キャッチアップをちゃんとやれという苦情のほうが現在多くて、今日、後半の課題として、むしろそっちのほうに期待しているところでございます。でも、副作用とか副反応というフォロー体制は引き続きしっかりやっていくという中において、今の市民の反応、ニーズ、希望を見ていると、接種勧奨は開始すべきではないかと考えているところでございます。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 沼尾委員、阿真参考人の順番でお願いします。そこで一度区切りたいと思います。
○沼尾委員 東洋大学、沼尾でございます。今日、参加が遅くなりまして、失礼いたしました。
 今回のHPVワクチンを積極的勧奨に戻すということなのですけれども、これまでいろいろな専門的な検討を経て、こういう判断が出されたと理解しております。私は、医療については専門ではないのですけれども、実際に積極的勧奨に戻ったときに、安心して打てる環境が大切だということで、協力医療機関の体制の問題ですとか、地域の医療機関との連携ということについても考えていくということを挙げていただいたところはよかったと思っております。
 ただ、他方で、自治体を見ていると、地域の中での医療機関相互の情報共有とか連携というところには課題があったり、個別に対応したりというところについては、まだまだというところもあるのかなと。その辺り、今、デジタルトランスフォメーションという話も出たりしていますけれども、ぜひ情報連携というところも含めて、何かあったときに速やかに、例えば近所のクリニックから協力医療機関のほうまで情報がスムーズに伝達されるとか、例えば行政の窓口で分からないときに専門家に相談できるとか、そういうところの連携体制整備を進めていくことが大事じゃないかと。これはワクチン分科会の課題というよりも、そもそも医療提供体制そのものの課題になるのかもしれないのですけれども、そういうところの財源確保も大切と思っています。
 もう一点ですけれども、今回、リーフレットを参考資料で出していただいていて、本当に丁寧につくられているなと改めて思いました。ただ、他方で、これを見たときに、1万人当たり5人という重篤な症状の報告頻度が出ているという数字が出たときに、これをどういうふうに評価すればいいのか。それが積極的勧奨ということとセットで、どういうふうに行動すればいいかという迷いというのもすごく出てくるだろう。そういったところについて、丁寧に、相談できる相談体制というか、話が聞けるような体制の整備というものをぜひ考えていただければと思いました。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 阿真参考人、お願いします。
○阿真参考人 積極的勧奨の再開ということで、とても様々な情報を冷静に専門的に分析してくださった方々、それから、その情報をしっかりとリーフレットなどにまとめてくださった方々、そして、それを受け取った方々、皆さん、非常に難しいと思われるところもあったと思うのですけれども、時間をかけて冷静に判断されて、こうして再開されるということは、非常に望ましい結果になっていると思います。
 先ほど少しお話ありましたけれども、リーフレットの改訂については、この間の審議会でも意見が出ていましたけれども、最後の文言のところだけとても惜しいところがあるので、御説明するお知らせをお送りするのではなくというところは、これからすぐに改善されると思いますけれども、そちらを改善していただきたいということを私からもお伝えしたいことと。
 相談体制などもかなり整理してくださって、各都道府県などで相談できるところにつながっていると思うのですけれども、そういったところも引き続き相談ができて、そして接種の不安が取れた状態で納得して受けられる体制をつくっていくことが大事かなと思います。どうしてそれをしなければいけないかというところがちゃんと伝わったということで、本当に様々な御尽力くださった方々にありがとうございますと思っております。ありがとうございました。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 一度ここで区切らせていただいて、今、委員の皆様からは、再開については反対ということではなくて、再開されることは同意する、あるいはよかったという御意見だったと思います。その上で、医療体制であったり、相談体制であったり、そういったところの充実というか、そこをしっかりやっていくべきだと。中山先生から、様々な論点について挙げられておりましたので、事務局のほうからレスポンスいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
○吉川参与 ありがとうございます。事務局の吉川でございます。
 先生方、様々に御意見いただきまして、どうもありがとうございます。
 まず、中山委員から御意見をいただきました丁寧な調査に関しましては、11月12日の副反応検討部会でも、同様に今後のフォローアップに関しての御意見を頂戴したところでございます。こちらに関しましては、例えば今後、協力医療機関の診療実態をしっかり把握して、継続的に、しかもタイムリーに見ていくといったことをフォローアップしていこうと事務局のほうでも考えているところでございます。
 また、今後、接種が広がっていくに当たりまして、接種後に出てきた症状の調査を丁寧に行う。こちらに関しましては、副反応検討部会で引き続き専門的な観点から評価していただく、ここが重要な部分と考えております。
 また、相談体制に関しまして、沼尾委員及び阿真参考人から御意見を頂戴いたしました。こちらに関しまして、ワクチンを接種する前の相談体制という形で受け取らせていただきましたが、まず、情報提供という観点からすると、例えば市町村からリーフレット等の情報提供が実際行われているところでございますけれども、それを踏まえて、実際に接種するかどうかに関しては、地域の医療機関においても相談が可能な部分だと思っておりますし、また、都道府県によっては、医療機関が予防接種センターとしての指定を受けているところがございます。このセンターにおいては、相談窓口を開設し、広く国民に対し、予防接種に対しての啓発を行ったり、あるいは予防接種の事前・事後の医療相談を行うこととされております。
 今後、こうした枠組みを活用しながら、ワクチン接種に関して安心して検討していただくことができるような体制を取っていきたいと考えております。
 どうもありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 今のところでよろしいでしょうか。はい。
 そうしましたら、さらに御意見、御質問等あればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 佐藤委員、それから川俣委員、順番にお願いします。
○佐藤委員 佐藤です。ありがとうございます。
 積極的勧奨の再開については、合同部会の御判断を尊重するものです。このタイミングで再開の判断をした根拠が分かりやすく示されるといいのではないかと思います。私自身は、昨年出た大規模調査、リアルワールドでのスウェーデンでの結果を大変大きなものと受け止めておりまして、根拠に基づいて判断が行われていくということが共有されることが大事ではないかと思います。
 また、既に出ているところですけれども、多様な症状に対するケアであるとかアプローチが丁寧に行われることが大事だと思います。特に、研究班で、こうした症状は、ワクチン接種にかかわらず、この世代の女の子たちに多く起きるということであれば、そこは接種したかどうかではなくて、もっと一般的・日常的に丁寧なアプローチが行われるべきで、ここの分科会の所掌ではないかもしれませんけれども、きちんと行われるべきだと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 川俣委員、お願いします。
○川俣委員 お願いします。
 まず、適切な判断になったということで、8年間ぐらいかかったということは、それだけ皆さん、いろいろ心配もあったし、いろいろな判断に時間を要したのかなと思っています。こういうふうになるということに対して、副反応のことや細かいことの知識が余りなかったので、大きなことになってしまったのかなと思っています。今回のコロナワクチンに関して、随分丁寧に副反応のこととかを指示していただいたおかげで、皆さん、熱が出ても2日で終わるのではないかという安心感で受けているのだと思います。それを今回のことも同じようにしていただければ違うのかなと思っています。
 そういうことの中で、実は今、高校生辺りが一番見ているのはSNSです。高校生たちと話すと、新聞も読まない、テレビも見ない。リーフレットなんか見るわけがないと思います。その中で、SNSに上手に発信するということも、これからの子供たちには大切なのかなと私は思っています。
 あとは、学校の中で、学校との協力ということで文科省というのも出ていますけれども、教育していただくことが大きな進展になるのかなと思いますので、この辺の協力もお願いしたいなと思っています。
 よろしくお願いします。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 今、佐藤委員と川俣委員、お二方から御意見ございました。川俣委員のほうからは、情報提供の在り方というか、方法というか、若い世代ですのでSNSを活発に利用する。それから、学校教育における在り方。それから、こういった症状が出やすい世代でもあるけれども、症状に対する対応そのものをどう考えるかということですけれども、事務局のほうから何か今の御意見に対してレスポンスございますか。お願いします。
○吉川参与 ありがとうございます。事務局の吉川でございます。
 佐藤委員から御指摘がありました、なぜこのタイミングなのかという点に関して、まず御説明させていただきます。佐藤委員からも御指摘がありましたように、2020年、2021年にリアルワールド、実際に接種した方に対してのワクチンの子宮頸がんの予防効果が出てきた。これは、非常にインパクトのある研究結果でございまして、副反応検討部会合同会議にて今まで評価を行ってきておりました安全性・有効性のエビデンスを充実させるという点で、このタイミングでの議論に寄与した部分が非常に大きいかと思っております。
 併せまして、これまでのエビデンスの積み重ねなどに基づいて情報提供を行ってきたところでございますけれども、昨年10月に市町村からの個別の情報提供を始めていただきまして、それが実際、どれくらい情報提供が行われているのか。そちらに関してのデータが、今般、集まってきたところでございます。その結果、少なくとも4分の3以上の自治体にて個別の情報提供、リーフレットの送付が行われているということが分かった。そうしたことなどを踏まえて、今回まさに議論を行ったところでございます。
 また、接種していない方に対しても、全体として医療体制を整えていくという話に関しましては、今、様々な厚生労働省の部局で取組が進んでいるところでもございますけれども、いただいた御意見をしっかり承っていきたいと思っております。
 川俣委員から御指摘がございました点でございますけれども、SNSなどで上手に発信するということは非常に重要な部分だと思っておりまして、今後、我々のほうでもぜひ検討を進めていきたいと思っております。こちらに関しましては、先週の金曜日の部会のほうでも、若者を対象とする情報発信・情報提供という観点から、しっかり検討するようにといった御意見も頂戴しておりますので、そうした観点から、我々のほうでどういったことができるか考えていきたいと思っております。
 最後に1点、学校での教育の話でございます。こちらも重要なポイントとして挙げられているところでございますけれども、ここに関しては、文部科学省とどういった在り方がよろしいかということを、しっかり検討を進めていきたいと思っております。
 どうもありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 白井委員、お願いいたします。
○白井委員 ありがとうございます。
 学校のことがちょっと出たのですけれども、学校での教育というのは指導要領に沿ってという中に入っているはずなのですけれども、今、積極的勧奨を再開するといった場合に、以前は学校で情報提供していただいていたと思うのです。むしろ、定期接種になる前から学校で教育せよと言われて、頑張っている自治体もあると思うのですけれども、このようなパンフレットとか、また学校に自治体のほうからパンフレットを配布していただくとか。そういうことは自治体の中でやってほしいということなのか、教育委員会と情報提供ができているのかとか、その辺をお知らせいただきたいというのが1つ。
 もう一つは、自治体ですけれども、ワクチンの費用は、もちろん定期接種ですから地方交付税措置の対象になっているはずなのですけれども、実績ベースで予算化していますので、年度途中から接種希望者がもし増えた場合に足りなくなるところもあるのではないかと思いますし、対象者に合わせて予算化しているとは限らないので、その辺、補助というか、場合によってはそういうことをお願いしてもよろしいのかどうかということをお聞きしたいなと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがですか。よろしいですか。
 では、今の白井先生からのポイント、2点ございましたが、その点について事務局からレスポンスいただければと思います。お願いします。
○吉川参与 ありがとうございます。事務局です。
 学校での教育、あるいは学校でのリーフレットの配布について御提案いただいたところでございますけれども、こちらに関しまして、先週の金曜日の審議会で、実際に学校でどういう取組が行われているのか。これは、支援体制及び学校での教育に関しての資料を提示させていただいております。いただいた御意見を踏まえて、今後、どういうふうに学校での情報提供、教育というところに資するようなことができるのか。ここは、文部科学省としっかり話し合っていきたいと思っております。
 また、もう一点でございますけれども、今後、接種の数が増えてくるに当たって、どういうふうな財源が必要なのかに関しましては、我々のほうでも総務省とも連携を取っていきたいと考えております。
 ありがとうございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
 そのほか、よろしいですか。ありがとうございました。
 そうしましたら、HPVワクチンの接種を進めるに当たって必要となる事項については、今日いろいろな意見をいただきましたので、事務局では積極的な勧奨の再開、それから、その進め方については、今日の分科会の意見を踏まえて対応をお願いしたいと思います。
 最後に、キャッチアップ接種についての議論に移りたいと思います。事務局から資料の提出がありますので、資料5-1と5-2の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○吉川参与 事務局でございます。
 資料5-1「HPVワクチンのキャッチアップ接種について」、御説明させていただきます。なお、資料5-2に「HPVワクチンのキャッチアップ接種に関する有効性・安全性のエビデンスについて」という詳細なエビデンスを示したものがございます。こちらに関しましては、事前に委員の先生方に配布して、お目通しをいただいております。本日は、審議時間の確保の観点から、資料5-2の説明は省略させていただきます。
 では、資料5-1を御覧ください。右下のほうに数字でページ数を書いてございますので、そちらのほうを御覧いただければと思います。まず、タイトルでございますけれども、「キャッチアップ接種について」。こちらは、用語としましては、HPVワクチンの積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方への対応ということで、今後、言葉として使わせていただこうと思っております。
 まず、1ページ目、目次がございますけれども、これまでの接種状況に関しまして御説明をさしあげた後、エビデンスについて概略を説明させていただきます。その後、キャッチアップ接種の考え方について、軸を1、2、3、それぞれについて、御説明させていただければと思っております。
 では、資料の3ページ目を御覧ください。
 10月1日の審議会の資料にも出ていた、これまでの経緯と課題の資料を持ってまいりましたが、ここのポイントとしましては、平成22年11月~平成25年3月までは、ワクチン接種緊急促進事業においてHPVワクチンの接種が行われておりました。また、平成25年4月からは、予防接種法の定期接種、A類疾病として接種が開始されたということがございます。その2か月後、積極的勧奨差し控えの通知が出たというのは、先ほど森尾委員から御説明があったところでございます。
 こちらに関しまして、具体的に4ページ目を御覧いただければと思います。
 2つのワクチン接種の枠組み、ワクチン接種緊急促進事業及び定期接種がございました。こちらの時期と接種対象者について示したのが、こちらのスライドでございます。
 接種対象者でございますけれども、ワクチン接種緊急促進事業の対象は、13歳の学年から16歳の学年になっております。ただし、例外として、12歳の学年も対象とすることができるということで、実質的には12歳を対象としたものは非常に少なかったと伺っております。
 一方、定期接種、平成25年度以降でございますが、こちらは対象が12歳の学年から16歳の学年ということになっておりまして、そのうち13歳を標準的な接種期間として設けております。標準的な接種期間と言いますのは、予防接種を受けるべき最も適切な期間として定められているものでございまして、接種を受けるように、いわゆる積極的な勧奨が行われることが多い年齢・学年であると認識しております。
 こうした形で、2つの事業、接種年齢がやや異なっている、13歳~16歳なのか、あるいは12歳~16歳なのか、そちらのほうがまずポイントとなりまして、13歳が現在は標準的な接種期間になっているというところが2つ目のポイントでございます。
 5ページ目、御覧ください。ワクチンの接種状況の推移でございます。
 平成25年4月以降の接種数、実際には施設納入数でございますけれども、示したものでございます。積極的勧奨差し控えに伴いまして、施設納入数ががくっと落ちまして、その後、低い状態が続いておりましたが、近年、少しずつ上昇してきているという状況でございます。
 下のところに各年度のワクチンの接種率の推移をお示ししておりますが、これを学年ごとに示したものが6ページ目のスライドでございます。6ページ目を御覧ください。
 こちらは2020年に出ました研究で、1回目のHPVワクチンを接種済みの者の割合に関しまして、生まれの年度、学年ごとの推定接種率を示したものでございます。こちらで見ますと、平成11年度以前の生まれは、ワクチン接種緊急促進事業のまさに中心的な対象であった学年でございますが、そちらの世代に関しましては接種率が7割程度であった。一方で、平成12年度以降の生まれの方々に関しましては、定期接種の積極的な勧奨が差し控えられた平成25年度以降、標準的な接種期間である13歳の学年であった、その世代に関しましては、接種率が非常に低くなっているといったデータでございます。
 続きまして、安全性・有効性に関してのエビデンスをお示しいたします。8ページ目以降に論文のまとめのみをお示ししております。論文の詳細に関しましては、先ほど御説明したとおり、資料5-2を御参照いただければと思っております。
 8ページ目、9ページ目にお示ししております有効性についての報告をまとめたものを、9ページ目の最後にお示ししております。最後、矢印のところを読み上げますと、HPV関連の子宮病変に対するワクチンの有効性は、概ね16歳以下の接種で最も有効性が高いが、20歳頃の初回接種までは一定程度の有効性が保たれることが示されていると記載しております。
 また、10ページ目に別の観点での有効性をお示ししておりまして、ここは一番最後の矢印のところでございますが、HPVワクチンは、定期接種の対象年齢以上の世代に接種した場合であっても一定程度の予防効果が期待できるが、性交経験によるHPV感染によってワクチンの予防効果が減少することが示されているといったデータをまとめたものでございます。
 11ページ目、安全性についての報告でございますが、HPVワクチンは、定期接種の対象年齢以上の世代への接種においても、明らかな安全性の懸念は示されていないということでございます。
 まとめますと、定期接種の対象年齢以上の世代においても、安全性の懸念は認められず、20歳ぐらいまでの初回接種ですと一定程度の有効性がある。また、性交経験によって、その有効性というものも変化するものでございまして、20歳以上だと有効性がなくなるわけでは決してないということが1つ強調すべきポイントだと考えております。
 12ページ目と13ページ目、性交経験に関してのデータを示しております。
 12ページ目は、性交を今まで経験したことがあるかどうかということに関して、中学生、高校生、大学生についてのデータを示しております。こちらを見ますと、中学生から高校生になる段階、そして高校生から大学生になる段階で性交経験率が上がっているということが見てとれるかと思っております。
 13ページ目は、性経験のない未婚者の割合でございますから、先ほどとグラフの数値が逆転したかたちになっておりますが、これで見ますと、18歳~19歳で性交経験のない未婚者の割合というものが74.5%、女性でありますが、20歳~24歳になると46.5%ということで、同じ大学生といっても、18歳、19歳という世代と20歳以上というところで少し変わってくるところがあるということを示唆するデータかと考えております。
 続きまして、キャッチアップ接種の考え方について、15ページ目以降でお示しいたします。
 15ページ目でございますが、キャッチアップ接種の基本的な考え方について記載しております。
 予防接種法において、まず定期接種の考え方でございますが、疾病の発生及びまん延の予防という観点から、接種した場合のリスクとベネフィットを比較考量した上で、投与することでベネフィットがリスクを最も上回ると期待できた者を定期接種の対象として定めており、HPVワクチンについては、12歳~16歳になる年度中の女子とされております。
 一方で、今回のキャッチアップ接種は、HPVワクチンの積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方に対して公平な接種機会を確保する観点から、時限的に、従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を行うことが想定されるということでございます。
 16ページ目、御覧ください。では、キャッチアップ接種を実際に今後やるかどうか、やる場合にどういうふうなことを対象にするのかを検討していただくに当たりまして、3つの検討の軸というものをこちらにお示ししております。軸の1つ目が、キャッチアップ接種の対象者。軸の2つ目が、その期間。3つ目が、対象者への周知・勧奨の取扱いについてでございます。それぞれの軸に沿って、今後検討を進めていただければと考えております。
 ここで1点、キャッチアップ接種の開始時期についての留意点というものを、簡単に御説明さしあげますと、もし今後、キャッチアップ接種を行うという判断をしていただいた場合の仮定の話になってしまうのですが、こうなりますと、予防接種法の施行令というものを改定することが必要になってくることが想定されます。こうしますと、いろいろ事務的な手続とか、実際に接種する市町村の準備期間などを考えますと、キャッチアップ接種について、こちらの分科会で結論をいただいて、すぐにキャッチアップ接種が始まるというわけではなくて、例えば年度が変わった後など、少し期間を置いた形でキャッチアップ接種が始まることが想定されます。ですので、いつ始まるのかということに関しても、こうした点についてイメージを持っていただきながら議論をしていただければと思っております。
 以下の資料では、令和4年4月というのが1つタイミングという形で想定されるものもございますので、図的にはそういったものが示されているところもございます。
 続きまして、18ページ目、御覧いただければと思います。ここから、キャッチアップ接種の対象者に関しての議論をお示ししております。
 18ページ目に関しましては、HPVワクチンのキャッチアップ接種に関する整理ということで、今後、非常に重要な資料として使わせていただければと思っておりますので、少し丁寧に御説明させていただければと思っております。
 こちらの表でございますけれども、何を示した表かといいますと、平成あるいは令和何年度に、平成何年度生まれの方が何歳に到達するのかを示したものでございます。ですので、例えば一番左上、平成22年度に平成9年度生まれの方は13歳に達するということが示されたものでございます。また、もう一つ例を挙げますと、令和3年度に平成17年度生まれの方は16歳に到達する。そうしたことが一覧になっているものでございます。全て、こちらの年は年度ということで御理解いただければと思っております。
 その上で、青色で示しているものが緊急促進事業の対象者であった13歳~16歳、そして例外的に対象であった12歳を少し薄めの色で示しているものでございます。ピンク色は、12歳~16歳を対象としている定期接種でございまして、13歳が標準的接種期間にある者ということになります。これで見ますと、平成25年度の積極的勧奨差し控え以降、どういった世代が影響を受けたのかということを見ることができます。
 併せまして、上の灰色のところに推定の接種率、先ほどお示ししたグラフのデータの数字をお示ししております。これで見ますと、平成9年度生まれ、平成10年度生まれ、平成11年度生まれが7割程度の推定接種率である一方で、平成12年度以降は下がっている。先ほどと同じデータが示されているところでございます。
 これを踏まえまして、19ページ目、キャッチアップ接種の対象者についての考え方をお示ししております。
 対象者の範囲については、2点ポイント。接種機会の公平性、ワクチンを接種する機会が今まで一定程度確保されていたか。また、接種による安全性と有効性とのバランス。特に、接種年齢が高くなるほどワクチンの有効性が低くなることについてどう考えるか。これらの観点を踏まえて検討することが必要と考えております。
 20ページ目~22ページ目に関しましては、対象者の具体的な案1、2、3をお示ししております。
 例えば、案1、20ページ目でございますけれども、こちらに関しては、平成25年度以降、定期接種の対象者であった者で、令和4年度に定期接種の対象外である世代全て、9学年を対象とする者でございます。
 また、案2でございますけれども、こちらに関しては、平成25年度以降、標準的な接種期間の対象年齢であった6学年、平成12年度~平成17年度生まれの方を対象とした案をお示ししているところでございます。
 また、22ページ目でございますけれども、こちらは定期接種の対象外である世代のうち、医学的にワクチンの有効性が相対的に高い世代を仮に20歳以下というふうにここで仮定しますと、その20歳以下を対象とする場合ですと、この4学年が対象となる。そういった案を3つお示ししているところでございます。
 なお、右に※書きでお示ししておりますが、例えばキャッチアップ接種の期間が1年ではなくて、2年以上とする場合に関しましては、キャッチアップ接種の期間中に定期接種の対象から新たに外れていく世代もございますので、そうした方々を順次キャッチアップ接種の対象者とするかどうか、こちらに関しても検討が必要な事項と考えております。
 これを踏まえまして、23ページ目、論点をお示ししております。接種機会の公平性や接種による安全性・有効性のバランスなどの観点を踏まえ、キャッチアップ接種の対象者(対象となる者の生まれた年度)についてどのように考えるかというのが、1つ目の検討の軸に対する論点でございます。
 検討の軸、2つ目、期間についてです。25ページ目、御覧ください。
 接種機会を確保する観点から、一定期間、キャッチアップ接種を実施することが重要でございます。
 ただ、この期間を過度に短く設定した場合に、短期間に接種が集中することによって、医療機関・自治体の業務や、接種を希望してから実際に接種できるまでの待ち時間、予約時間などに影響を与える可能性もございます。
 一方で、余りに長く期間を設定した場合に関しましては、早期に接種を行う必要がないという誤ったメッセージにつながる可能性もあります。この場合、特に年齢が高い世代においては、接種のタイミングが遅れることによってワクチンの有効性がより低くなる可能性もあるということでございます。
 こうした点を踏まえて、26ページ目、論点でございます。キャッチアップ接種の期間について、過度に短く設定した場合、長く設定した場合、それぞれにデメリットがあることを踏まえ、キャッチアップ接種の期間についてどのように考えるのか。
 最後の検討の軸でございますけれども、28ページ目、キャッチアップ接種の対象者への周知・勧奨の取扱いについての考え方でございます。
 キャッチアップ接種の対象者に対する主な周知・勧奨の方法については、例えばホームページや広報誌等を用いた周知とか、接種対象者等へのリーフレット等の個別送付による情報提供。そして、個別送付の際に接種をお勧めする旨のメッセージを添えたり、予診票を同封する等の個別の働きかけ、いわゆる積極的な勧奨になりますけれども、こういったものが案として考えられます。
 接種年齢が高くなるほどワクチンの有効性が低くなることなどを踏まえまして、接種の対象者の全部または一部に対して、予診票等を同封する個別の働きかけを実施するかどうかについて検討が必要と考えております。
 また、仮の話でありますが、こうした方々に対して個別の働きかけを実施するということが決まった場合については、その後で医療機関や自治体の業務などの影響を考えた上で、どういう形で、あるいはどういう順番で個別の働きかけを実施するかについても検討が必要となっております。
 29ページ目の論点でございますが、接種年齢が高くなるほどワクチンの有効性が低くなること等を踏まえ、キャッチアップ接種の対象者に接種機会を提供するだけでなく、その全部または一部に対して、予診票等を同封する等の個別の働きかけを実施するかどうかについてどう考えるか。
 最後、31ページ目、これまでのものをまとめたものでございまして、これまでの接種状況、あるいはエビデンスなどを踏まえまして、これらの3つの軸に関してどう考えるのか、御審議いただければと思っております。
 ありがとうございます。
○脇田分科会長 御説明ありがとうございました。
 ただいまの資料に基づいて、まず、キャッチアップを行うかどうかがあるわけですけれども、もしこれを行うとすると施行令の改正が必要になり、年度明けといいますか、令和4年度から開始するというのが現実的ではないかというお話があったと思います。その上で、対象者について、キャッチアップ接種の期間、周知・勧奨の取扱いといった論点を示していただきましたので、今日は皆様から御意見を伺って、その上で事務局にまた検討していただくということにしたいと思っておりますので、委員の皆様から、また御意見いただければと思います。
 それでは、坂元委員、池田委員、阿真参考人まで、たくさんありましたので、まず3名の先生方、順番にお願いいたします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 接種年齢が上がるに従って効果が減弱するということはよく分かっておりますが、実際に自治体の現場でそれを女性の方にどう説明するか。つまり、ここからはやっても意味がないという説明はかなり厳しいと、現実に思います。
 それと、例えばセクシュアルデビューの年齢があって、これは多分個人情報で、そういうことを聞いてから確認するというのも、これは現実にできない問題なので、自治体としては、勧奨接種期間に勧奨できなかった対象者は救済すべきではないかと思います。その上において、いわゆる効果の問題とか年齢の問題はしっかり周知して、相手の判断に任せる。接種機会を逃したということは、我々行政機関側の責務でもありますので、その女性の権利を保障するというのは、私は行政機関としては当然で、それに対しての効果の説明は別の資料等をつくって、相手の判断にお任せするというのが私は筋ではないかと思います。したがって、私は接種機会を逃した全年齢を対象にすべきだという考えでございます。
 それから、現実に、それだけではなく、今、自治体のほうにすごく要望が寄せられていますのは、いわゆる勧奨接種をしなかったことで知らなかったという女性で、自分判断で自費で受けた方がたくさんいまして、そういう方が償還払いをしてくれというものです。つまり、ちゃんと自治体が周知してくれれば、予防接種法そのものは生きていたわけなので、たまたま個人で払ってしまった。それを償還払いしてくれという要望・申し出がかなりあって、この辺も自治体としてはキャッチアップと同時に考えていかなければならない問題だと思います。私は、現場としては、全年齢をやるべきだと考えております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
 軸1のキャッチアップ接種の対象者に関しまして、私も接種機会を逃した可能性のある9学年、幅広く接種対象とするのが適切と思います。諸外国あるいは国内でも、リスク、メリット、あるいは費用対効果の研究などがありますが、費用対効果を考えますと、その有効性が下がってくる接種年齢が高い方というのは、対象から外すという考えもあるわけですけれども、今回はそういったケースと異なりますので、希望される方にはできるだけ多く接種の機会を与えるのが、公平性という観点から妥当と考えます。
 1点、質問なのですが、ここで議論しているというか、事務局のほうから御提案いただいているのは、いわゆる1回も接種していない方についての措置ということでよろしいのでしょうか。例えば、1回だけ打った、あるいは2回打ったという方で、3回目を控えている方もいらっしゃるわけで、その方も同じ考えでいいのか、それも含めて、今日議論しているのかということは確認したいと思います。
 仮に1回目あるいは2回打ったという方については、3回目は同じ種類のワクチンでないといけないとか、それとも種類が変わってもいいのか、いわゆる交差接種についても後で検討する必要が出てまいりますので、今回、それも含めての議論ということになっているのかというのは、1点、事務局に確認したいと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 次、阿真参考人、お願いします。
○阿真参考人 私もお二人の先生方と同じで、全学年対象が望ましいと思うのですけれども、1点、私の理解が間違っていたら教えていただきたいのですけれども、28ページと29ページに、年齢が高くなるほど有効性が低くなるという言葉があるのですけれども、これは10ページの性交経験によるHPV感染によって、ワクチンの予防効果が減るということの理解でよろしいのでしょうか。年齢が高くなるほど有効性が低くなるというのは、10ページのこととは違っていると思うので、この書き方だとすごく誤解を生んでしまうので、もし10ページのほうが正しいということでしたら、28、29もそのように書いていただきたいと思います。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 取りあえず区切らせていただいて、事務局からレスポンスがあればいただきたいと思いますが、いかがですか。お願いします。
○吉川参与 御意見いただきまして、ありがとうございます。事務局の吉川です。
 まず、池田委員から御指摘をいただきました御質問に関してですけれども、今回対象としている方に対しての想定というところでございます。こちらに関しましては、平成25年度以降、接種が非常に落ちている状況でございまして、それを踏まえると、先生がおっしゃっていただいたように、1回も接種していない方々がメインとして我々は想定しているものでございます。
 ただ、一方で、今までに1回接種あるいは2回接種、既にしていらっしゃる方に対しての対応というものが、もちろん論点としてはあるかと思いますので、そちらに関して、少し技術的な部分もありますので、どういうふうな形で考えていくのがいいか、事務局のほうで整理が必要な部分かと思っておりますけれども、しっかり問題点として認識させていただきました。どうもありがとうございます。
 また、阿真参考人から御質問いただきました28ページ目、29ページ目の、年齢が上がれば有効性が下がるという記載の方法に関しましてですけれども、こちらに関しては、10ページ目でお示ししているような、性交経験によってウイルスに感染してワクチンの有効性が落ちる部分と、あとは、年齢が上がるほど、ワクチンに対しての免疫反応というものが少し変わってきて、ワクチンの有効性が変わってくるもの。両方とも考えられる部分であるかと考えております。ですので、そこを完全に分け切ることは難しいとは言うものの、エビデンスとしてしっかり示されているものとして性交経験というものがある。それは、我々のほうでもデータとして持っておりましたので、提示させていただいたところでございます。どうもありがとうございます。
○脇田分科会長 あと、これは答えられないかもしれないですけれども、坂元委員から償還払いができるのかみたいなことがありましたけれども、ここはどうですか。
○木庭推進官 事務局でございます。
 今般の積極的勧奨が差し控えられている期間に接種対象年齢だった方の接種につきまして、大変厳しい言い方になってしまうかもしれませんけれども、予防接種法の取扱いとしては、ずっと変わらずに定期接種だったということになります。ですので、どういう事由があって自費で支払われたのか、ちょっと分かりませんけれども、例えば9価ワクチンを接種されたとか、いろいろな事情があるかと思いますけれども、大変厳しいような言い方になってしまうかもしれませんけれども、償還払いというのは少し難しいかと考えています。ただ、様々な事情もあるかと思いますので、今、一概にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 そうしましたら、白井先生、伊藤先生、釜萢先生、福島委員でお願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
 対象者を全てに広げるということについては、私も賛成です。1回目だけではなくて、2回目、3回目も接種の機会を失った方も対象にしていただきたいのですが、今、3回接種じゃなくても、2回でもいいという海外のデータもあると思いますので、それは御自身が選んでいただくという情報提供をしたらいいと思います。
 あと、周知とか勧奨についてですけれども、既に母子手帳に全部入れているとか、予防接種券を配っていて、お手元にある人はそのままでもいいと思いますし、あとは、子宮がん検診を20歳ぐらいから勧奨していますけれども、実際は個別勧奨とか、私の市でも圧着はがきで個別に対応しているのですけれども、そういうものと一緒に提供するという方法もあるかなと思いました。
 あと、坂元先生が償還払いがという話で、事務局も答えにくかったと思うのですが、9価のワクチンをされた方は、どうしても自費で仕方なかったと思うのですけれども、その場合、定期接種の部分を差し引いてくれという人がいるかどうか。あと、本来は定期接種だったのに、医療機関でお支払いされたということになると、医療機関にお支払いいただくというか、そういう形になるのではないかと、自治体としては思っています。
 あとは、いろいろなパターンが出てくるとややこしいことがあるので、たくさんお問合せが来ると思うのです。また、接種は個別接種ということで医療機関にお願いすることになると思いますので、医療機関からもいろいろなお問合せがあると思いますので、Q&Aをきちんとつくっていただきたいなど、前回の説明にもあったと思いますけれども、研修とか学習の機会も提供していただければなと思っています。
 それと、ワクチンの有効性が下がるという言い方をされていたのですが、これは年齢が行っても、20代、30代で免疫がつかないということは多分ないと思うのですね。性交経験の有無だと思いますけれども、コロナについても、感染したからもうワクチンを受けなくてもいいかという話にはなっていませんので、これはちょっと意味が違うかもしれませんけれども、機会の提供としては与える必要があると思いますし、10年前とか20年前と比べると、皆さん、性交経験がまだそれほど多くない世代だと思います。
 なので、ぜひ20台以上の方にも、同じように提供していただいて、もし性交経験があったとしても、受けても害はないというか、普通のワクチン同様の健康被害はあると思いますけれども、性交の有無によって被害があるということではないと思いまして、そういうこともQ&Aとかに入れていただきたいなと思っています。
 よろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 伊藤委員、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
 皆さん、おっしゃるとおりで、機会を失った方々に不利益を補償しなければいけないと思うのですけれども、一方で、ワクチンの供給がちゃんとされるのかどうなのかということも含めて、不安な材料があると思いますので、広げられる前には、そういう実行上の話と。それから、もし供給に制限がかかるような状況であれば、何らかの形で順番をつけて、円滑な運用ができるような話をしないといけないと思いますので、それについての資料を次のときは御準備いただきたい。それはお願いでございます。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 今、伊藤先生がおっしゃったこと、私も申し上げたいと思っておりました。
 それで、積極的な勧奨が再開されるということになると、まずは定期接種の年齢の方々の接種をしっかりやらなければならない。それに加えて、キャッチアップをどうしなければいけないかということの議論になるわけですから、ワクチンの供給量と、接種を担当する医療側というか、医療機関の準備状況がどうなのかということについて、しっかり見通しを立てた上でキャッチアップの議論をしなければならないと思います。まずは、新たに定期の年齢に入ってくる方々にしっかり機会を確保するというのが非常に大事ですし、それからキャッチアップはどうかということになると思います。それは、ワクチンの量と医療機関の準備がどうなのかというところが重要になってくると思いますので、その検討が必要だと思います。
 それから、先ほど償還という話が出ましたが、医療現場におりますと、積極的な勧奨が行われなかったために、定期接種の年齢だった時期に、本来であればきちんと公費で接種できたのだけれども、その時期を逃してしまった。年齢が上がってしまった。その場合には、このワクチンが必要だと思って接種した方がいて、キャッチアップで救われる場合においては、坂元先生が言われたようなお話が出てくるという理解であります。ですから、そこはそういう要求が出てくることは、ある面、理にかなった部分もあるので、一概に駄目と言いにくいのかなと私も思っております。
 以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 福島委員、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
 事務局が最後に示していただいた論点の3つについて、1つずつ意見を述べたいと思います。1点目については、皆さんと全く同意見で、本来であれば積極的な接種勧奨を行うはずであった方々に、最新のデータを添えてもう一度案内を送るというのが、国ができる最善のことなのではないかと思います。その結果、私はやめておこうかなとか、私は受けようとか、それは個人で決められればいいと思います。川俣市長もおっしゃったと思うのですけれども、コロナワクチンをきっかけに、若い方も考える素地ができていますので、そこは若い世代といえども、御家族と一緒に、あるいは御自身でこれを機会に考えていただきたいと思います。
 2点目のキャッチアップ接種の期間についてですけれども、事務局が言われる、過度に短く設定した場合と過度に長く設定した場合というのが、どれぐらいの長さを想定されているのか分からないですけれども、私は1年というのは絶対やめたほうがいいと思います。自治体の準備が間に合わないということに加え、最年少で17歳のお子さんが対象になると思います。思春期の子はすごく忙しくて、受験あり、部活あり、塾あり、習い事ありといったことで、向こう1年間は落ち着いて接種のことなんか考えられないという子はたくさん出てくると思うのです。
 また、接種と関係なくても、接種後に偶然、体調が悪くなってしまう可能性は絶対避けられないと思います。接種後の症状を全て否定するという考えはそもそもありませんけれども、紛れ込みは絶対起こってきます。落ち着いて調子がいいときに受けていただきたいということを考えると、それは1年という短いタームではなくて、3年ぐらい確保すべきだと思います。その間に落ち着いて考えることができる時期があれば、では、受けてみようかとなると思いますし、何回か接種を受けないといけないことを考えても、最低3年ぐらいは期間を設けていただきたいと思いました。
 3点目の、キャッチアップ接種の対象者に接種機会を提供する際に、予診票等を同封する際の個別の働きかけについてですけれども、自治体で既に独自の取組として、接種ができますよというお知らせを送っておられた坂元先生をはじめ、経験のある方にお聞きになって決められたらいいと思います。確かに、同封すると、保護者としてはありがたいのですけれども、平成25年の最初の頃に、予診票が入っていたので強制的に受けないといけないと思った、などの話があったと記憶しています。なので、そこは同じことが起こらないように、いろいろな方の意見を聞かれたらいいのではないかと思います。
 すみません、長くなりましたけれども、以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
 ここで一旦区切らせていただいて、今、白井先生、伊藤先生、釜萢先生、福島先生から御意見いただきましたけれども、事務局、何かレスポンスございますでしょうか。お願いします。
○吉川参与 ありがとうございます。事務局の吉川でございます。
 まず、白井委員から御質問がありました、1回だけでなく、2回、3回目の接種の方も対象という話でございまして、その際に2回接種かどうかの御判断という話がございましたけれども、事実関係だけ御確認させていただきますと、現状、日本におけるワクチンの2回接種に関して、薬事の承認が下りているものではございませんけれども、ここの部分に関しては、現在、メーカーのほうでも検討している部分があると伺っております。ただ、いずれにしましても、おっしゃっていただいたものに関して、どういったエビデンスがあるのか、そこの部分の技術的な部分もどうするかということを事務局のほうで考えたいと思っております。
 続きまして、伊藤委員と釜萢委員から、供給あるいは接種に関しての体制の話というものを御意見を頂戴いたしました。こちらに関しましては、御指摘のとおり、供給量あるいは接種体制というものが整わない、あるいは十分でない状況でキャッチアップ接種を行っていくというのは非常に難しいところもございますし、釜萢委員からも御指摘あったように、まずは定期接種の対象者に関しての接種というのも非常に重要なポイントでありまして、その上で、さらにキャッチアップ接種をするということになりますと、そうした方々がしっかりワクチンを接種できるような供給体制が整えられるように。それは、例えばワクチンメーカーなどと我々がしっかり話をしていくべきところと考えております。
 最後、福島委員から御意見を頂戴しました。それぞれの論点について御意見をいただきまして、どうもありがとうございます。
 2つ目の論点に関しまして、接種の期間についてでございましたが、我々のほうで定性的な話をしても、定量的な話まで踏み込んで話をすることが難しかったので、先ほど例えば3年という数字をいただきましたけれども、そういった具体的な数字をいただきまして、今後の我々の検討の参考にさせていただきたいと思っております。
 また、3つ目に関しましても、自治体など、そういった御意見を踏まえた上でということは、しっかり御意見として承りました。
 どうもありがとうございます。
○脇田分科会長 それでは、続いて、坂元委員、佐藤委員、沼尾委員、順番にお願いします。
○坂元委員 先ほど釜萢先生がフォローしていただいたのですが、償還払いを求めているのは主に女子大生で、自分たちで高校を後にワクチンの意義を勉強したところ、HPVワクチンというのは女性は受けるべきだと、みんなで勉強して、そういう結論に達した人たちが接種対象年齢はもう過ぎてしまっているので自費で受けたという人たちです。今度、キャッチアップをやって、その年齢をキャッチアップの対象にすると、そういう人たちに対しては不公平感が出てしまうということです。御指摘のあるような、9価を独自に輸入して受けたという方たちではなくて、高校を卒業して自分たちで勉強して、これは女性としてしっかり受けるべきだという結論に達して受けた、主に女子大生などの方から、我々のほうに償還払いをしてくれないかという御要望があるものであって、私はその訴えはかなりリーズナブルだと思っておりますので、ぜひその面での御検討もお願いいたしたいと思います。
 以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
 基本的に今までに出た意見と同じですので、短かめに発言します。
 対象年齢を幅広に設定することに賛成します。特に、セクシュアルデビューの年齢は人によって違いますし、20歳~24歳までの経験が半数程度にとどまるというデータが示されたころであるにもかかわらず、例えば11年以前の人たちを対象外にすることは難しいと思います。対象を幅広に設定していただくのと同時に、坂元先生がおっしゃったように、年齢が上になってきた場合には十分な効果が得られないかもしれないということについては、丁寧に、本当にきちんとした情報を提供することが必要だと思います。
 それから、かなり広い年齢層が対象になったときに、自治体で対応ができるのかという問題が出ていましたけれども、年齢的に早く打ったほうがよいということが分かっているにもかかわらず優先順位をつけるのは、なかなか難しいと思います。むしろ自治体の対応できる範囲から逆算して、キャッチアップの期間を3年とか4年と設定するほうが現実的ではないかと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 ありがとうございます。
 今、先生方からは、機会の公平性ということを考えたときに、対象から外れた方全部を今回のキャッチアップ対象にすべきじゃないかという御意見が多かったと思うのですけれども、そもそも標準的な接種期間というものを対象年齢としている以上、そこの世代にはまっている方、例えば6学年を対象とするという考え方もあり得るのではないかと私は個人的には思いました。ただ、もちろん全体の機会の公平性を担保するという考え方もないわけではないと思うので、そこは理解できます。
 もう一方で、その有効性ということを考えたときに、年齢が上に行けば行くほど、その有効性が落ちていくということだとすると、その情報をぜひきちんと出してほしいということです。先ほど福島委員からもお話がありましたけれども、行政から問診票が届くと、これはみんな打たなければいけないのではないかと思ってしまうというところがあると思いますし、あとは自治体の場合でも、キャッチアップの接種というのと、通常の接種というのは何が違うのか。それは、全て積極的な勧奨で、全部受けてもらうというふうにするのかという辺りも含めて、キャッチアップ接種はどういうものなのかということを明確にした上で、そこの業務を決めていくということも、とても大事ではないかなと思いました。
 以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
 対象年齢に関しては、幅広にという意見と、今、沼尾先生からは、9学年ではなくて6学年でもよいのではないかという御意見だと思います。
 さらに、そのほか、ございますか。よろしいでしょうか。
 事務局から、全体を通して何かございますか。お願いします。
○木庭推進官 事務局でございます。
 先ほどの償還払いの件につきまして、現実にどういったケースがあるのか、まず事情をよくお伺いして精査させていただきたいと考えております。
○脇田分科会長 ぜひよろしくお願いいたします。
 皆様からかなり様々な御意見いただきました。キャッチアップ接種は、私もぜひ進めていただきたいと考えています。先生方の御意見を踏まえて、事務局のほうで次回には案をつくっていただいて、また議論させていただきたいと考えていますので、また委員の先生方、よろしくお願いいたします。
 それでは、さらに委員の皆様から何かなければ、これで議事は以上となりますけれども、よろしいですか。
 それでは、事務局のほうから何かありますでしょうか。
○九十九予防接種室長補佐 すみません、予防接種室の九十九でございます。
 1点、資料2に関して訂正というか、補足がございます。59ページ目を御覧ください。先ほどいろいろ御指摘いただきました、下に書いてあります注1です。小児多系統炎症性症候群の5217件につきまして少し訂正いたしますが、こちらは小児の全体の数でございまして、具体的な記載としましては、小児全体で5217件ですが、この半数が5~13歳との記載がございました。5~11歳の詳細な値は分かりませんが、記載としては、この半数が5~~13歳という記載がございましたので、訂正させていただきます。
 失礼いたしました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
 その点はよろしいですか。どうもありがとうございます。
 そうしましたら、事務局にお返しします。
○萩森予防接種室長補佐 ありがとうございます。
 本日は、長時間にわたり、活発に御議論いただきましてありがとうございました。
 次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。
 事務局からは以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
 ちょっと時間を押してしまいましたが、今日も活発な議論をありがとうございました。
 それでは、これで終了させていただきます。お疲れさまでした。ありがとうございました。