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第6回循環器病対策推進協議会 議事録
厚生労働省健康局がん・疾病対策課
日時
令和3年11月19日(金)13:00~15:00
場所
BasisPoint Lab. 新橋日比谷口店
(オンライン開催)
(オンライン開催)
議題
1 開会
2 循環器病対策の取組について
3 厚生労働科学研究班からの報告
4 その他
2 循環器病対策の取組について
3 厚生労働科学研究班からの報告
議事
- ○岩佐課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第6回「循環器病対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
私は、事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の岩佐と申します。
まず、協議会委員の交代がございましたので、最初にお名前だけ御紹介をさせていただきます。神奈川県医務監、中澤よう子委員、国立循環器病研究センター理事長の大津欣也委員、日本看護協会理事、木澤晃代委員にそれぞれ御就任をいただいているところでございますので、御紹介申し上げます。
本日の出席状況について御報告いたします。本日は委員20名全員に御出席をいただいており、定足数に達していることを御報告いたします。
また、本日は3名の参考人の方に御出席をいただいております。神戸市立医療センター中央市民病院、坂井信幸参考人、旭川医科大学、東信良参考人、佐賀大学、野出孝一参考人、よろしくお願いいたします。
続きまして、資料の御確認をお願いいたします。議事次第と座席表、名簿、資料1、資料2-1から2-3、参考資料が1から4までございます。
資料を御確認いただけない場合は、事務局まで御連絡いただければと思います。
また、前回協議会以降に事務局側も人事異動がございました。がん・疾病対策課の課長が、前回協議会開催時の江浪課長から、昨年8月に古元課長、また、本年11月1日より中谷課長に交代をしております。また、健康局長が正林から佐原に交代をしております。
初めに、中谷課長より御挨拶をさせていただきます。
○中谷がん・疾病対策課長 ただいま御紹介がありましたとおり、11月1日付でがん・疾病対策課長に着任いたしました中谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日局長の出席を予定しておりましたが、あいにく公務のため欠席でありますため、私のほうから一言御挨拶をさせていただければと存じます。
まず、この協議会は、御承知のとおり、平成30年12月に成立いたしました健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法に基づきまして設置をされてございます。先生方には大変熱心に活発な議論をいただきまして、昨年10月、循環器病対策推進基本計画の閣議決定に結びつきました。永井会長をはじめ、委員の皆様には大変御尽力いただきましたことにこの場を借りて心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
現在、各都道府県において地域の実情を踏まえ、基本計画に基づいた都道府県の循環器対策推進計画が策定されているところでございます。今日の会議でもその策定状況について御報告をさせていただく予定でございます。これらの計画を策定した上で、対策が各地域でしっかりと推進され、脳卒中、心臓病その他の循環器病及びその後遺症に苦しんでいらっしゃる方々、並びにその御家族にとって少しでも状況が改善されますよう、関係者の皆様とも連携を取りながら着実に取組を進めてまいります。
最後に、本日御参加の皆様におかれましては、今後とも脳卒中、心臓病その他の循環器病対策の一層の推進のために御指導、御支援を賜りますようお願いを申し上げまして、挨拶とさせていただきます。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○岩佐課長補佐 それでは、これからの進行につきましては、永井会長にお願いいたします。
○永井会長 それでは、議事を進めさせていただきます。
令和2年度7月16日に開催されました第5回協議会では、循環器病対策推進基本計画(案)を取りまとめていただき、ありがとうございました。その後、パブリックコメントを経て、10月27日には閣議決定に至りました。
本日は、前回協議会から1年以上経過しておりますので、基本計画策定後、各都道府県の循環器病対策推進計画の進捗状況、循環器病対策に対する取組などを含めて、事務局から説明をしていただきます。
では、資料1の説明を事務局よりお願いいたします。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
お手元の資料1を御覧ください。昨年10月27日に閣議決定されました循環器病対策推進基本計画に基づき、各都道府県で循環器病対策推進計画を策定することが基本法で定められています。
本日現在における各都道府県の計画の進捗状況をお伝えいたします。既に計画が策定されているところが8都県、パブリックコメントを開始したところと合わせると14都道県になります。また、緑色で示しています30府県においても、既に協議会等を開催し、計画の策定に向けて御議論を進めていただいているところです。
ピンク色で示しています3府県、石川県、京都府、奈良県におかれましては、現時点ではまだ初回の協議会等が未開催と伺っております。石川県では、来月より協議会を開催し、今年度中の計画策定を予定していると伺っており、その他の府県におかれましても、計画の策定に向けて取り組んでいただいていると伺っております。各都道府県で積極的に循環器病対策に対する取組を行っていただいていることにお礼申し上げます。
以上となります。
○永井会長 ありがとうございます。
では、各都道府県の循環器病対策推進計画の進捗状況につきまして御意見等ございましたら、挙手の上、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。また御発言があれば、適宜、後ほど手を挙げていただければと思います。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、続きまして、令和3年度の循環器病対策の概要について、事務局より説明をお願いいたします。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
お手元の資料1の4ページからを御覧ください。令和3年度の循環器病対策の概要についてお伝えいたします。
5ページ目から令和3年度の厚生労働省における循環器病対策に係る事業の概要を示しています。1、循環器病特別対策事業としては、各都道府県に国から2分の1助成の形で、基本計画に基づく幅広い支援を行っております。ほかにも、2、循環器病に関する普及啓発事業、3、治療と仕事の両立支援モデル事業、4、緩和ケア研修推進事業、5、データベース構築支援事業などを行っております。また、厚生労働科学研究では、主に政策に関わる研究を行っていただいております。
それぞれの事業につきまして説明を加えさせていただきます。
初めに、循環器病特別対策事業として、各都道府県に国から2分の1助成を行う形で、地域施策の支援を行っております。協議会等の会議体等の運営、人材育成、普及啓発、両立支援、相談支援、多職種連携体制の構築など、基本計画の内容に沿った形で幅広い施策を対象としております。本年度は基本計画策定後の初年度でありましたが、47都道府県のうち40都道府県から応募をいただいております。本事業につきましては今後も継続を予定しており、来年度はより多くの自治体に活用できるよう周知を行ってまいります。
続いて、循環器病に関する普及啓発事業です。こちらは循環器病とはどのような疾患であるのかなどについて、まだ国民に十分に理解されていないという背景があり、幅広い普及啓発活動が必要と考えております。循環器病の多くは日常の生活習慣などが影響すること、循環器病発症後の症状や、循環器病の発症直後にどのような対応が必要かなどを含め、国民の皆様に対して広く普及啓発を行っていく事業となります。本事業につきましては、日本脳卒中協会、日本脳卒中学会、日本循環器学会に依頼し、互いに連携していただく形で普及啓発を行っていただいております。
循環器病の患者に対する治療と仕事の両立支援モデル事業について説明いたします。両立支援につきましては、患者さん・家族を中心に、両立支援コーディネーター、医療機関、企業が連携して、トライアングル型のサポート体制を行うことが求められています。本事業につきましては、一昨年、昨年に続いて本年度も心血管疾患の患者さんに対する両立支援モデル事業を6病院で行っていただいているところです。
循環器病に関する緩和ケア研修推進事業について説明いたします。2018年度の診療報酬改定から、末期心不全が緩和ケア診療加算及び外来緩和ケア管理料の対象疾患として追加されております。また、昨年2020年度からは、診療報酬に係る緩和ケア研修として、日本心不全学会により開催される基本的心不全緩和ケアトレーニングコース、通称HEPTが認められております。本事業では、高齢化に伴い増加している心不全診療の向上を目指して、本心不全緩和ケア研修の推進を行っております。循環器専門医を含め、心不全を診療する医師に本研修を受講していただきたいと考えており、10年間で2万人が本研修を受講できることを目標としております。
本年度の厚生労働省の主な事業は以上になります。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
○横田委員 日本体育大学の横田です。
私は救急医療という立場で参加していると思いますけれども、説明ありがとうございました。
この基本計画にも書いてあるのですが、基本計画の16ページのところに、救急の患者さんが適切な医療機関に搬送されるために、救急隊の教育や地域のメディカルコントロールの役割が強調されています。この事業で言いますと、循環器病特別対策事業、6ページの「医療従事者を対象とした研修の開催等による人材育成」という部分がここに相当するのでしょうか。事務局の御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○永井会長 いかがでしょうか。
○桑原課長補佐 今いただきました御意見も含め、ご指摘いただきました関係するところも含めて取り組んでまいりたいと考えております。御指摘ありがとうございました。
○横田委員 ありがとうございました。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○美原委員 全日病の美原です。
循環器病対策事業ということで、各都道府県に対策の推進協議会が組織されていて、そこでいろいろな事業として補助金も受けているのだろうと思うのですが、それぞれの地域の特性があるにせよ、好事例みたいな形でそれぞれの地域に、こんなことをやっているよという情報の提供をお願いできないでしょうか。というのは、群馬県においては、保健医療計画会議の中でこの推進協議会と同じような機能を持たせているのですが、この会議のメンバーは大病院とか基幹病院の方々がメインになっております。この基本法というのは、予防、急性期治療から慢性期まで関わっているのですが、地方によっては、ともすると急性期に偏ったような組織になっている可能性があると思うのです。各都道府県においてそれぞれの地域の特性はあるものの、こういうことが好事例ですということを示していただけるといいかと思います。
また、2分の1の補助を頂いている地域の施策等々に関しましても、各都道府県、それぞれで考えていることもあると思いますが、こんなことをやっているよという情報があると、よりうまく機能するのではないかと思うので、御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
○永井会長 今の点、いかがでしょうか。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
貴重な御指摘をいただき、ありがとうございます。各地域の計画を踏まえて、好事例を抽出しながら各都道府県とも共有し、よりよい対策を進められるように取り組んでまいります。引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。
○永井会長 どうぞ。
○小室委員 東大の小室です。
循環器病に関する普及啓発事業のところですけれども、脳卒中の側は協会、学会があるのですが、循環器に関しては学会しかないということで、実は今年5月に日本循環器協会というものを設立しました。できたばかりで、実績というものはないのですが、今後国民への啓発、患者さんの声を拾うということを中心に行ってまいりたいと思いますので、そういう協会ができたということを情報共有したいことと、厚労省の方にはぜひ念頭に置いていただいて、協会を使っていただけたらと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○宮本委員 宮本です。
国のやっている事業としては、私は令和2年度の厚労科研費で「循環器病に関する適切な情報提供・相談支援のための方策と体制等の効果的な展開に向けた研究」を主任研究者でさせていただいており、次の循環器病対策推進基本計画に盛り込むような患者さんへの相談支援、情報提供の在り方について、今度中に提言をまとめるということになっております。先ほど小室先生が日本循環器協会についてご紹介されましたが、脳卒中のほうでは多職種連携が相談支援・情報提供のベースになるだろうということで、医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、MSW、ケアマネジャー、薬剤師など全ての職種の団体が集まる日本脳卒中医療ケア従事者連合という法人がこの12月に設立予定で、みんなで相談していくことになりましたので、報告いたします。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○横山委員 横山です。
私は予防の立場から関わらせていただいていると思うのですが、6枚目のスライドで都道府県向けの補助金のところの説明の中に「医療従事者を対象とした研修の開催等による人材育成」というのがあるのですが、ここの部分は医療だけが対象なのかということを御質問したいのです。要するに、予防に関わる保健分野。具体的には自治体の保健師さんとか企業の保健師さんとか、そういった方がここの部分に該当するのかということを教えていただけますでしょうか。
○永井会長 事務局、いかがでしょうか。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
御指摘いただき、ありがとうございます。こちらの部分につきましては、循環器病の内容を普及啓発していただくための研修という形となります。予防も一部に入りますが、主には循環器病の内容の研修と御理解いただけますと幸いです。
ありがとうございます。
○横山委員 分かりました。では、予防の分野の方を含むという意味に理解しましたが、よろしいでしょうか。
○桑原課長補佐 循環器病に直接関わる予防であれば。よろしくお願いいたします。
○横山委員 分かりました。ありがとうございます。
○永井会長 どうぞ。
○磯部委員 磯部です。
9ページの緩和ケアの研修は非常に重要な事業だと思いますので、ぜひ進めていただきたいです。日本心不全学会に委託して研修を受講する、コースを受けるということで、これは学会認定になると思うのですが、国としての位置づけが何かできるものなのか。どういう位置づけでこれを資格とするのか、例えば診療報酬に反映されるとか、あるいは国家資格ではないと思いますけれども、どういう形の認定を想定されているのか、ちょっと教えていただければと思います。
○永井会長 いかがでしょうか。
○桑原課長補佐 事務局でございます。こちらは学会認定トレーニングコースの受講証という形になりますが、がん領域の緩和ケア研修会の受講と同じような位置づけと考えております。昨年度から、緩和ケアの診療報酬に関わる緩和ケア研修として、こちらの心不全緩和ケアトレーニングコースが認められております。本研修会を受講していただくことで、末期心不全の緩和ケアを行う際のチームの一員として、診療報酬上も認められるという位置づけでございます。
貴重な御指摘ありがとうございました。
○磯部委員 分かりました。ありがとうございます。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○安保委員 慈恵医大の安保と言います。
5ページの3番の両立支援に関してですけれども、今、6病院を主体にしてやっておられるとお聞きしましたが、今後各県には必ず1つ、2つは早急に指定をしていただいて、そうすると、いろんな面で、先ほど宮本先生が言ったようなものも広くつながっていくと思うので、できる限り早く行政のモデルの事業のところを指定していただければと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。羽鳥委員、その後、峰松委員、お願いします。
○羽鳥委員 羽鳥です。
6ページ目の辺りで研修の開催と人材の開発、あるいは先ほど美原先生が御指摘されましたけれども、各都道府県における協議会のことですが、糖尿病対策推進会議とかがん対策推進会議が都道府県において結構活発に活動しているのは、モデルになると思います。今日、中澤医務監が神奈川県から出ていらっしゃいますけれども、県レベル、市町村レベルだとほかの会議に埋没というか、交ぜられてしまって、循環器対策そのものの会議体がないところが多いかと思うので、その辺をしっかり明文化していただいて、協議会を開催していただいて、そして先ほど美原先生から御指摘の好事例をいただくということが大事ではないかなと思います。というのは、日本医師会でも循環器病対策に関していろいろ情報を集めていくと、進んでいるところと全く取り組んでいないところと温度差がありまして、どうして大事なのかということがまだ医師の間でも共通意識になっていないような気がしますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
では、峰松委員、どうぞ。
○峰松委員 峰松です。
今の問題意識と同じです。本来ですと、基本計画が出て1年ぐらいの今年10月ぐらいまでに各都道府県の計画が出そろっていればよかったのですが、コロナの影響で相当遅れています。しかも地域差がある。それとは別に、中央で幾つかの事業は始められていますが、脳卒中・循環器病対策に関しては、中央の動きと地域の動きが連動しないと実効性が上がりません。
国がやっている事業に関する情報提供、それから各地域で行われている幾つかの試みとか、そういった情報をお互いに提供し合って、できればこういった協議会でもその内容を報告していただければありがたい。糖尿病とかがんの動きに比べて、そこら辺のぎくしゃく感がまだまだ解消できていないなという気がします。ぜひそこら辺のことをやっていただいて、できるだけ早く僕らがコロナが始まる前に予想されていたような軌道に乗せていただければと思っています。地方と国の情報提供の在り方について、今の状況を教えていただければありがたいです。
○永井会長 今の点、よろしいですか。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
貴重な御指摘ありがとうございました。昨年10月に基本計画が閣議決定された後に、今年の3月までに計6回、国から都道府県に向けて、好事例も含め情報提供の説明会を行っております。その際に、都道府県の計画策定に関する内容や、基本計画の策定までの経緯、本基本計画に基づいてどういったことを進めていただきたいかということをお伝えしております。
その後も2か月に1回ぐらいの頻度で、各都道府県の担当者に直接電話で連絡を行い、自治体で困っていることなどの情報を聞かせていただき、対応案などについてお伝えしております。都道府県と密に連携できるよう心がけておりますが、御指摘頂いたとおり、不十分なところもございます。改善し、より一層循環器病対策が進むように取り組んでまいります。
○永井会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
そうしましたら、続いて循環器病に対する総合支援の取組について、事務局よりお願いいたします。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
お手持ちの資料の10ページからを御覧ください。来年度に循環器病総合支援センターのモデル事業を行うことを検討しており、その内容について説明させていただきます。循環器病については、がんで言う各都道府県に設置されたがん診療連携拠点病院に当たる枠組みが現時点ではございません。そのため、都道府県が密に連携できる施設が定まっておらず、総合支援の施策を進めにくいとの御意見をいただいております。
一方で、循環器病は急性期診療が必要な場合が多く、時間的に早いタイミングでの診療、治療が求められる疾患特性もあり、早期に治療のできる施設がある一定数は必要で、施設数を絞ることは難しいところもございます。また、循環器病の診療においては、どの施設も急性期を含めて積極的に御対応いただいており、ランクづけにつながるような施策は難しいと考えております。
一方で、基本計画に基づき、総合的な支援を進めていく必要があり、都道府県と連携を取りながら、地域の支援の核となる「総合支援センター」を設置することを検討しました。総合支援センターは、各都道府県からの推薦を受け、総合的な支援を担うことのできる病院に新たに設置することを考えております。総合支援センターの役割としては、都道府県と密に連携を取りながら、総合的な支援に関わる施策を進めていくことを考えております。相談窓口を設置し、電話やメールなどで患者さんからの循環器病に関する相談支援を受けられる体制を行っていただきたいと考えております。都道府県と連携しつつ、専門家が集まって支援についての検討会などを開いていただき、各地域で利用可能なパンフレットなどの作成や、地域の病院、かかりつけ医などとの連携も進めていただくことを期待しています。また、後ほど説明させていただきます循環器病のデータ入力支援等も行っていただきたいと考えております。
本事業につきましては、まず数か所のモデル事業で始め、その効果などの検証を行った上で、よい結果が出てくるようでしたら、将来的には全国の各都道府県に設置できればと考えております。
総合支援センターの適切な要件については、現在特別研究などでも検討いただいているところですが、今後、モデル事業で設置された総合支援センターが効率的に支援を行うことができたかなどについての検証や、より実効性のある総合支援を行うための必要な提言など、総合支援の推進のための検討を行っていただく委員会として、総合支援委員会を本協議会の下部組織として設置いただきたいと考えております。こちらの内容につきまして御検討いただけますようお願いいたします。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明に御質問、御意見をいただきたいと思います。羽鳥委員、どうぞ。
○羽鳥委員 総合支援センターはとても大事なことだと思います。ただ、脳卒中と循環器は少し設立の経過も違うので、なかなか一つにするのは難しいことだろうなというふうにも思います。いわゆる冠動脈に特化したような、あるいは東京都のCCUネットワークのような、もう既に循環器としてセンター化しているようなところもあるでしょうし、逆に脳卒中だと、リハビリセンターとかそういうところがその任にふさわしいようなところもあるかと思います。ただ、今回、せっかくこの6疾患を総合的に捉えるという観点でスタートするわけですので、厚労省も大変でしょうけれども、ぜひ一つにまとめる努力をしていただいて、特にがん対策などで進んでいるレジストリ研究が、循環器の場合は脳卒中も心臓病も後れていると思いますので、特にレジストリ研究が前に進むような方向で検討していただくのも大事ではと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
峰松委員、どうぞ。その後、堀場委員、どうぞ。
○峰松委員 峰松です。
非常にすばらしい概念だと思いますし、ぜひ進めていただきたいのですが、今、話が出ていましたけれども、例えば脳卒中の領域ですと、脳卒中センター、脳卒中学会が指定した中でコアになるようなところに患者相談窓口をつくっていこうということがもう既に進行しています。だから、今、既存のものとして、あるいはこれからつくろうとしているいろんな動きがあると思うので、それらをちゃんと整理しないと、たくさんのものが乱立してうまくいかないということもあると思うのです。脳卒中に関しては宮本先生がここら辺のことをよく御存じなので、よければコメントをいただければと思います。
○宮本委員 宮本が話してよろしいでしょうか。
○永井会長 どうぞ。
○宮本委員 峰松先生、ありがとうございました。
日本脳卒中学会では認定した脳卒中センターのコアとなる施設に脳卒中相談窓口を2022年度から設置する方針で、現在そこで行う業務についての検討を行っておりまして、先ほど私がお話しした厚労科研の研究班もそれに応じて脳相談窓口で行う業務内容の検討をしております。向かっている方向性はただいま事務局のほうから説明がありましたものと同じですので、ぜひ厚労科研の研究班の結果と学会の歩みと並行して進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○永井会長 ありがとうございます。
では、堀場委員、お願いします。
○堀場委員 私、患者としてもこれまで困ったことや不安を病院でしか相談できず、なかなか解決できずに長く抱え込んでしまっていたことが、支援センターができることにより、より相談できる環境が整い、早期に解決できることになると期待しております。これからもよろしくお願いします。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
では、横田委員、その後、磯部委員、お願いします。
○横田委員 ありがとうございます。日本体育大学の横田です。
事務局、説明ありがとうございました。総合的な支援ということで、極めて重要だと思います。循環器疾患に関しては、先ほど羽鳥先生がおっしゃったように、心臓と脳卒中と大きく分ける、あるいはその予防、あるいは急性期、リハビリ、あるいは在宅というところでかなり総合的な対応が必要と思います。とはいっても、これらがそれぞれ個々に急性期の病院、あるいは回復期の支援センターとかと乱立してしまうと、混乱も招きかねないので、総合支援委員会がしっかりと議論をして、乱立がないようにお願いしたいと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 榊原の磯部でございます。
私もこの総合支援センターは大変期待しておりますので、ぜひ進めていただきたいと思っております。この課題を見ますと、情報提供、相談支援等とございますので、医療的な診療そのものよりは、その周辺の情報提供、支援だと思うのです。がんとかの場合は、かなり社会的な面、就業の面、福祉面、そういったものに重きを置くのではないかと思いますが、私どもは相談支援窓口をもう十数年来しておりまして、24時間稼働して電話相談・対面相談等をずっとしてきておりますけれども、相談の内容は、もちろん社会福祉的なものとか生活上の問題もたくさんございますが、それ以上に、病状に関わる相談がほとんどで、病状に絡めて福祉をどうするとか、あるいは今の症状をどう解決するのか、救急対応をどうするのか。例えばペースメーカーなどデバイスが入っておられると、何かショックのようなものを感じたと。植え込み型除細動器のトラブルや生活上・就業上の問題とかがあります。そのときにどう対応したらいいか。24時間そういう問合せがございます。そういった医療上の緊急も含めた課題と、社会的な患者紹介、地域連携、あるいは福祉、生活支援、そういったことと不可分一体のところがございます。申し上げたいのは、いわゆる9時~17時で相談窓口を開いて、そこで解決するような問題は循環器病ではなかなかございませんので、その特殊性をぜひ理解していただきたいと思います。
また、羽鳥委員からは総合的に脳卒中、心臓病というくくりを御提案されましたが、私どもは循環器を中心にやっておりますけれども、脳卒中と心臓病は循環器病とは言っても診療・病状や相談の内容が大きく異なるところがあります。領域に特化した専門分野的な相談窓口はあってしかるべきで、例えば心臓に限った問題として、先天性心疾患の方が成人になられるに当たって、移行医療もそうですし、就業支援、就学支援、生活上の問題は非常に大きくて、それも病状なり患者さんの状態と非常に密接に関連しておりますので、ある程度特化したそういった経験があるところが相談窓口になるということも必要だと思います。
形態も対面だけではなくて、私どもは24時間電話を受けておりますが、ネット相談も含めて、多様な方法があると思いますので、少し柔軟に総合支援委員会、御検討いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○永井会長 ありがとうございます。
木澤委員、お願いします。
○木澤委員 ありがとうございます。日本看護協会の木澤でございます。
循環器病総合支援センターの設置、総合支援委員会の設置につきまして賛同いたします。循環器疾患を持たれている方は、急性期治療を終え、生活に戻っていくわけですが、様々なストレスがかかっている状況下で治療しながら生活します。そのような中でも症状をコントロールし、安心して生活できる場、そしてその受け口になる場が非常に重要であると思います。従いまして総合支援委員会での検討内容が大変重要であると思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○永井会長 山本委員。
○山本委員 PMDAの山本でございます。
総合支援センターは非常にいいアイデアだと思いますので、総論的には賛成でございます。ただ、幾つか意見が出ているように、循環器疾患の中でも心臓と脳の疾病の特性がかなり違うということで、そういうところへの配慮が必要だと思います。
先ほど磯部先生が小児の先天性心疾患の患者さんのことに言及されましたが、例えば脳卒中で高次脳機能障害の方は、現行で身体障害のケアとか福祉というか、サービスが割と固定しておりまして、一人一人の症状が相当違うような高次脳機能障害の患者さんの、ここをやってくれると助かるのにという部分が、実際にはケアのサービスがうまくポイントがはまっていないという問題が結構散見されているように思います。やはりこういうところである程度フレキシブルなケアをつくっていくという、行政の福祉とか介護のほうに意見をフィードバックしていけるような、そしてPDCAサイクルではありませんけれども、介護、福祉、その辺りのサービスはポイントをちゃんと押さえたサービスになっていくような仕組みづくりをしていただけると、非常にいいのではないかと思います。
以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
では、最後に木幡委員、どうぞ。
○木幡委員 木幡です。
ネーミングについてですけれども、「循環器病総合支援センター(仮称)」となっていますが、一般の方ががんや糖尿病に比べまして、「循環器病」という言葉はなかなか日常生活で使われていないということもありますので、せっかくいい施設をつくって、恐らく皆さん、ネットで検索をしてそこにたどり着いたりすることが多いかと思いますので、このネーミングで本当にここがヒットするのかというところも含めて、例えば脳・心臓・血管の病気でお困りの方へとか、お困りの方の総合サポートセンターとか、そういう易しいワードで名前もつくっていったほうがより届くのではないか。漢字ばかりの施設名ですと、どうだろうというふうに感じましたので、ぜひその辺りも御検討いただければと思います。
○永井会長 では、小室委員、早坂委員。時間の関係でお二人にしたいと思います。
○小室委員 短い質問をしたいと思います。11ページに「協議会の下部組織」とありますが、この協議会というのはこの会議ですね。したがいまして、どういうセンターにするかということをその委員会で話し合うということですね。話し合って、どういうセンターにするかということをまたこの協議会にフィードバックしていただくということでよろしいのでしょうか。
○永井会長 事務局、いかがでしょう。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
御指摘ありがとうございます。今おっしゃっていただいた内容でよろしいです。今、厚生労働科学研究などでも、要件などの検討をしていただいておりますので、その情報も踏まえていただきたいと考えております。また、今後モデル事業が開始したときに、モデル事業の中で何がよかったかという検証や、より良くなるための提案なども行っていただきたいと考えております。
○永井会長 では、早坂委員。
○早坂委員 早坂です。
医療ソーシャルワーカーの立場からですが、脳卒中の方は障害の分野の方との連携が欠かせないですし、心疾患についても高齢の方が多いので、介護保険分野との連携は欠かせません。ポンチ絵の中に医療と患者さん・家族というつながりだけでなくて、総合支援センターには障害福祉と介護の連携も必要だということが分かるように示していただけたらなと思いますが、いかがでしょうか。
○永井会長 今の点、よろしいですか。
○桑原課長補佐 承知いたしました。ありがとうございました。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、循環器病総合支援センターのモデル事業などに関しては、総合支援委員会を協議会の下部組織としてつくるということについて、御異議ございませんでしょうか。了承いただける方は、画面上で拍手のマークを押していただきたいと思います。あるいは手をたたいていただいても結構でございます。
(賛成者拍手)
○永井会長 ありがとうございます。それでは、御異議なしということで進めさせていただきます。
続いて、循環器病データベース事業について、事務局より説明をお願いいたします。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
お手持ちの資料1の12ページからを御覧ください。循環器病データベースにつきましては、現在、データベースの構築に向けた要件定義や仕様書の作成などを国立循環器病研究センターで行っていただいております。
循環器病データベースにつきましては、これまで行われた検討会の方向などを踏まえて、6疾病、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性冠症候群、急性大動脈解離及び急性心不全に係る診療情報を収集・活用する公的な枠組みを構築することを目指しています。今後、データベースの構築に向け、データベースの管理・運営を行う「循環器病情報センター」の主体を指定する必要がございます。これまでの実績や、検討会での報告、今後の持続的な管理が必要になることを踏まえ、データベースの管理・運営を行う「循環器病情報センター」の機能を、ナショナルセンターでもある国立循環器病研究センターに担っていただくことを、本日の協議会で御承認いただきたく思います。
以上となります。
○永井会長 いかがでしょうか。御意見をいただきたいと思います。中澤委員、どうぞ。
○中澤委員 ありがとうございます。私どもは地方自治体で医療行政を担っている団体の者ですけれども、先ほど羽鳥先生のほうからもちょっとお話が出ていましたが、神奈川県で循環器病レジストリといって、そういう情報を収集していくシステムをつくったことがありますが、一地方自治体だけでこのデータベース事業をやっていくというのは非常に難しいです。今回国立循環器病研究センターがこの情報センターの機能を担っていただくということで、国全体のこういうシステム、データベース事業ができるというのは大変すばらしいことだと思っております。
私たちは地方自治体の公衆衛生上のいろいろな施策や事業を打っていくに当たって、この情報をぜひ活用させていただきたいと思いますし、このようにデータを出していただけると政策上も打ち出しやすいということもあるかと思います。その際には私どもの意見を今後も聞いていただけるような機会があればと思っております。よろしくお願いします。
○永井会長 ありがとうございます。
大津委員、お願いします。
○大津委員 国立循環器病研究センターの大津でございます。
このようなことを見越しまして、今も委員会を立ち上げてその情報登録システムの構築を目指そうとしているところでございます。なるべく医療関係者に対しては手間のかからない入力システムの開発、そして収集した情報をいかに患者様に還元できるか、そのフィードバックを含めてシステムを構築していきたいと考えているところでございます。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、この循環器病データベースの管理・運営を行う「循環器病情報センター」としての機能を、国立循環器病研究センターに担っていただくということにつきまして。あ、小室委員、御意見ありますか。
○小室委員 一言コメントなのですけれども、この登録に関しては、ここに参加されている多くの先生が参加して、延々とどういう登録をすべきかと議論してまいりました。今、国循の大津先生がおっしゃったように、我々が危惧しているのは、脳卒中の専門医も循環器の専門医も非常に忙しいので、登録を新たにすることで医師に大きな負担がかかるのではないかということです。大津先生のほうからあまり手間のかからない方法を考えてくださるということですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、このデータベース管理・運営を行う「循環器病情報センター」としての機能を、国立循環器病研究センターに担っていただくということについて、御了承いただきたいと思います。了承いただける方は画面上で拍手、あるいは手で拍手していただいても結構でございます。
(賛成者拍手)
○永井会長 ありがとうございます。それでは、了承されたということにいたします。
続いて、今後のスケジュールの説明を事務局よりお願いいたします。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
お手元の資料1の16ページからを御覧ください。今後のスケジュールにつきましては、現在の基本計画が2022年度までを目安とされていますので、来年度には第2期の循環器病対策推進基本計画を策定していく予定でございます。2022年度中に基本計画を策定し、2023年度に各都道府県で循環器病対策推進計画を策定いただき、2024年度から、ほかの医療計画、介護計画などと合わせる形で計画を進めていただくことを予定しております。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。御質問、御意見がおありの方は御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、先へ進ませていただきます。議事3、3つの厚生労働科学研究班から御報告をいただきます。時間の関係で3つの研究班からそれぞれ御報告をいただいた後でまとめて議論に移らせていただきます。各研究班からは発表時間8分以内の時間厳守でお願いいたします。
それでは、資料2を御覧ください。坂井参考人から報告をお願いいたします。
○坂井参考人 御紹介賜りました神戸市立医療センター中央市民病院の坂井でございます。
令和2年度から厚生労働科研「脳卒中の急性期診療提供体制の変革に係る実態把握及び有効性等の検証のための研究班」を担当しております。もともとこの研究班は令和2年から始まった日本脳卒中学会の脳卒中センター認定事業に伴って、我が国の脳卒中急性期診療体制がどう変わり、どう影響したかを調べる目的で発足しております。
左の図は、令和3年の認定一次脳卒中センター963施設の分布を、人口10万人当たりの四分率で色分けしたものです。密度の差はあるものの、全国をほぼカバーしています。
右の図は、日本脳卒中学会の年次報告と研究班の調査を基に、脳卒中センター以外の医療機関も含めて脳梗塞急性期の標準治療であるアルテプラーゼ静注療法と機械的血栓回収療法の年次推移を調べた結果です。悉皆率は97%以上を確保しています。これによりますと、令和2年に年間、それぞれ約1万6300件、約1万5800件の急性期医療が行われています。
さて、研究班の活動開始直前に新型コロナウイルス感染症が全世界で急速に拡大し、我が国の医療にも大きな影響を及ぼしました。そこで本研究班では急性期脳卒中診療への影響を調査いたしました。
調査内容は、脳卒中3大病型と2つの急性期医療の令和元年と2年の件数、そして一般診療、脳卒中入院、手術と血管内治療の予定治療、緊急治療に与えた影響を令和元年と比較して、それぞれの月でどう影響したかを調査しました。
上段は一般外来、下段は脳卒中救急入院です。2019年と比較して2020年のそれぞれの月で、診療機能が「通常どおり」「軽度制限」「中等度制限」「重度制限」「停止」に分類して調査しました。全国的に生活を大きく制限した4月、5月には通常どおりの一般外来機能を維持していた医療機関は30%以下になっていることが分かります。脳卒中救急は、その2か月でも50%程度の医療機関で通常機能を維持しておりました。新型コロナウイルスの診療に慣れるに従って、中等度以上の影響を受ける医療機関は減ってきています。
6種類の医療提供について、医療機関が制限なく前年と比較して変わらぬ診療を提供していた割合を示しました。少しでも影響があった場合は「通常どおり」と回答されなかったと思われますので、機能制限が「診療が行われていない」ことを意味するものではないことに留意していただきたいと思います。
脳卒中3大病型の月別の診療実績です。令和2年4月、5月に脳梗塞が減少しているのが目立ちますが、その他の指標は増減しながら推移しています。
これを新型コロナウイルス感染症の3つの波と合わせたグラフです。感染拡大期に診療実績が少し下がっているように見えます。
3回の感染拡大期7か月とその他の5か月の感染安定期を比較しますと、脳卒中入院患者数は、令和元年に比較して令和2年では感染拡大期には4.3%減。一方、感染安定期には脳卒中入院患者は5%増となり、有意差がありました。令和2年末現在で人口100万人当たり2,300人以上の感染が発生した北海道、東京、神奈川、大阪、沖縄の5都道府県とそれ以外の42府県に分けて検討しましたが、いずれも感染拡大期に脳卒中入院は減少し、感染安定期では増加しています。また、感染者が人口100万人当たり2,300人以上の都道府県では、それ以下の府県より減っていたことが分かりました。感染対策と行動変容が影響していた可能性があると考えています。研究班では令和3年のデータも収集しており、さらに検討を進めてまいります。
以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
続いて、資料2-2を御覧ください。東参考人から報告をお願いいたします。
○東参考人 よろしくお願いいたします。
厚労科研「心臓大血管救急におけるICTを用いた革新的医療情報連携方法の普及と広域救命救急医療体制確立に資する研究」の班長を務めております旭川医大血管外科の東と申します。
本日は、大動脈緊急症に関する研究について、ここでお話させていただくこと、非常に重要だと思っております。ありがとうございます。
大動脈緊急症と申しますのは、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂など、非常に緊急の治療を要する救命率のまだ低い疾患群でございます。冠動脈救急と異なる難しさといたしまして、この手術自体は非常に高難度で、多くの診療科や職種を巻き込むこと、あるいは関わる臓器も多彩・広範で、術後管理が非常に重要であるということで、緊急治療に対応できる医療機関が非常に限られているということがまず1つございます。
治療方針といたしましては、大がかりな外科手術か、あるいは血管内治療があるわけですが、その治療方針決定、デバイス選択には画像情報が必須であるということから、我々のICTを用いた研究班といたしましては、有効な医療者間の連携、特に病院間連携、あるいは救急隊と病院との連携の強化に資するデータが必要だと考えております。
人口動態統計におきましては、左側の赤いバーで示している大動脈瘤及び解離の死亡数というのは、心筋梗塞の約3分の1を占めておりますし、右側の東京都CCUネットワークデータ、高山先生、磯部先生のデータでは、心筋梗塞に対して大動脈解離や真性瘤、動脈瘤関係、大動脈緊急症関係が急性心筋梗塞の約3分の1の例数ということで、もはや大動脈緊急症はまれな疾患ではない。しかも死亡率が高いということで、重要な緊急疾患であると言えます。
どのような病院で治療すべきかというデータになるわけですが、左側は心臓血管外科学会、胸部外科学会のデータでございます。縦軸が急性大動脈解離、A型解離の30日死亡率、横軸が年間の手術件数ですけれども、赤で囲んでおりますように、年間20件以上を超えてきますと手術成績が安定してくる。右側、私の前の厚労科研の坂田班の研究成果によりますと、やはり手術件数(これは定期の胸部大血管手術件数の症例数ですけれども)が多くなればなるほど院内死亡のオッズ比が下がっているということから、明らかなVolume effectを認めており、大動脈緊急症はHigh volume centerで治療することが望ましいと考えられます。
これはJROAD-DPCデータを用いた研究で、既に報告されておりますけれども、急性大動脈解離の手術成績に影響する施設因子として、救命救急医療センター指定病院での手術、その病院での心臓血管外科医師数、循環器内科医師数、大動脈手術例数、そして胸部ステントグラフト手術例数が挙げられておりますので、やはりVolume effectといいますか、経験豊富な施設が望ましいということは言えます。
そこで、我々の班の取組ですけれども、大動脈緊急症における搬送距離と救命率の関係でございまして、これはJCVSDデータと言いまして、心臓血管外科学会のデータベースを用いた研究結果でございます。NCDデータには郵便番号がございますので、患者さんの郵便番号と治療した病院との距離を測って検討した結果、ここにデータは示しておりませんけれども、距離と死亡率はあまり関係がなかったということから、大動脈緊急症は、多少距離が遠くてもHigh volume centerで治療すべきであろうと結論されております。これについては現在、同様の検討を急性A型解離及び破裂性腹部大動脈瘤で行っている最中でございます。
そこで、やや遠くに運ばなければいけない、特に病院密度の低い地域では、画像を用いた施設間画像連携が有効ではないかということで、左側に示しておりますように、地方の病院で撮られたCT画像をクラウドに上げて、センター病院の専門医や専門でない先生、麻酔科医、看護師、CEなどがそのクラウドに上がった画像、同じ情報にアクセスして、患者さんの搬送時間を利用して、その情報から手術前に準備を進める、デバイスを準備するということをやりまして、旭川医大では時間の短縮、不急の救急搬送抑止効果等が得られました。現在全国多施設臨床研究を行っておりまして、12大学病院が参加しておりまして、それを拠点として100ぐらいの施設が参加して、病院間画像連携の有用性に関するエビデンスを確立しようとしているところでございます。
一方、冠動脈救急におきましては、前回の坂田班の成果といたしまして、緊急カテーテルの実施が心筋梗塞院内死亡率を低減するということを上げておりますけれども、それでは、病院密度の低い地域におけるこういった緊急カテーテル実施がどのようにできているかということで、現在それをJROAD-DPCデータで熊本大学等を中心として検討されておりまして、病院密度が低くても循環器医師数を増やすことで効果があるのではないかという結論を今、解析しております。
最後に、私どもの研究班の全体像でございます。右側に書いていますが、最終的には広域ネットワークの提案ということですけれども、そこに「地域実状に即した」と書いてございますが、そのためにはデータが必要でございますので、学会データベースや、JMDCデータベース、NDB、それから先ほどの12大学病院における救急搬送実態調査などで全国のデータあるいは地域のデータを参考にして、地域実情を調べた上で、先ほど御紹介いたしました画像連携を用いた臨床研究の結果や、トリアージシステム。これは大都市でも使えると思うのですけれども、救急隊に持たせるアプリケーションによって患者さんのトリアージをするというシステムを今、開発しておりまして、それらの結果を用いてこの広域ネットワークを大動脈緊急症で提案したいと考えております。まだ研究途中でございますけれども、そういった内容で進捗いたしております。
以上でございます。
○永井会長 ありがとうございます。
続いて、資料2-3を御覧になってください。野出参考人から御報告をお願いいたします。
○野出参考人 どうもありがとうございます。
今回、令和3年度の「新型コロナウイルス感染症拡大による受診控えなどの状況も踏まえた循環器病の医療提供体制の構築に向けた研究」の研究代表をさせていただいてございます佐賀大学、野出でございます。この研究の背景と現状の報告をさせていただきます。
日本循環器学会と脳卒中学会は、コロナ感染を受けて、このような共同声明、あるいは循環器学会として「COVID-19流行期における循環器医療体制維持に関する提言」ということを行ってまいりました。
これは、この調査研究の一環として循環器学会によるアンケート調査を行いまして、虚血性心疾患と心不全で受診控えの可能性を評価しております。この調査は、循環器の研修施設、関連施設651施設にアンケートを行いまして、約半数の回答を得ております。この結果を見ますと、経験した施設の割合としては心不全の悪化が最も多いということになります。続いて虚血性心疾患、高血圧、不整脈という疾患が受診控えによる健康状態の悪化に関係しているということがございます。現在、最新のアンケートを行いまして経時的な評価をこれからしていくところになります。
もう一つ、循環器学会もサポートした形でCLAVIS-COVIDのコホート研究が進行中でございます。この段階では1,500例、49施設の病院においてCOVID感染により入院した患者さんのうち、循環器病及びリスク因子と合併した患者さんを対象にしまして、院内死亡等のイベントを評価している研究になります。この患者さんの数のうち、循環器病かリスクを持たれている方の予後なのですが、この時点では院内死亡が16%。非常に高い死亡率を持っております。
リスクを持っている方と持たれていない方の比較でございますが、明らかにCVDRFという循環器病か、高血圧、糖尿病等のリスクを持っている方の予後が低下をしている。欧米の報告と同じということになります。現在も最新のデータを解析しているので、ワクチン接種後はこの死亡率が改善しているであろうと考えられます。
CLAVIS-COVIDの結果をまとめますと、このようなリスクの方が死亡率が高い。海外と同様であるということです。
それから、こういった合併例についての背景因子の解析。
当然院内死亡例では合併疾患、重症が多いということです。
それから、特にD-ダイマーやプロカルシトニン、KL-6、トロポニン等のバイオマーカーが高い方が院内死亡例が高いということで、予後予測因子の可能性ということを示してございます。
また、厚生労働省のほうで遷延期の評価ということで、循環器学会としてもこのような慢性期の評価ということで、心不全のスクリーニングということで、このような検査のスキームを提案してございます。BNPが100pM、NT-pro BNPが400 pM以上という方がございましたら、こういう症状の下で循環器内科医に評価をいただきまして、慢性期のCOVIDの心不全のスクリーニングをしていくということを提案しているということになります。
もう一点、COVID-19関連心障害に関する調査研究(TRACE-COVID)も現在進行中でございます。これはCOVID感染が軽快されて退院した方の3か月後のフォローアップをするということで、例えば高感度トロポニン、あるいはBNPが上昇している方に関しては心臓MRIを撮っていただく。心臓MRIによって心筋の微少な障害というものを評価する研究が進行中でございます。現在30例が登録されまして、さらにまた症例の追加、それから今後解析を行っていくということになります。
一方で、ワクチンということがございますので、循環器学会としてもワクチンに関する声明ということで、このような形で声明を出してございます。
あるいは先日の厚労省の分科会で、循環器学会としてのこのワクチンに伴う心筋炎に関する声明ということを説明してございます。
これがCOVID感染による受診控えの評価の現状でございますが、前半の今後の医療体制の整備ということも並行して討議を行っています。来年の3月までにこのコロナ禍も含めた今後の医療体制、循環器・脳卒中医療体制の提案ということをつくっていきたいということを考えています。
以上、この研究班の背景と現状報告をいたしました。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、各研究班からの報告について御意見がありましたら、御発言をお願いいたします。峰松委員、どうぞ。
○峰松委員 峰松です。
坂井先生に説明をお願いしたいのですけれども、この研究内容というのはできるだけ早くまとめていただいて、全ての研究もそうですが、公表していただくことによって、それぞれ都道府県で進んでいる計画、実行に非常に役立つのではないかと思います。資料2-1の冒頭に出ていた一次脳卒中センター963施設の分布をぱっと見たときに、おやっと思ったのですが、これはどちらかというと人口密度の高いところが少なくて、そうでもないところが多いという格好に見えるのですが、多分これは都市部だと各センターのベッド数が多かったりして、数でやるとこうだけれども、ベッド数、あるいはさらに平均在院日数などを勘案した延べ入院患者数でやると全然違うものが見えてくると思うので、ここら辺はいろんな分析をして、それで各都道府県に、あなたのところはこんな状態だと提示してくれるとありがたい。そこら辺は私の今の考え方でいいのか、それから公表とか、各都道府県、全国に対してこういったものを情報提供する予定というのはどうなっているのでしょうか。
以上です。
○坂井参考人 峰松先生の御指摘ですけれども、このグラフは人口10万人当たりなので、どうしても人口が少ないところに色が濃く出る傾向があります。決して人口が多いところで医療提供体制が少ないということではないと理解しています。
それから、全国の医療機関をデータベース化していますので、都道府県別、二次医療圏別のリストは簡単に作成できますし、日本脳卒中学会は都道府県脳卒中対策推進委員を定めておりますので、都道府県データはそのままお渡しできる体制が整っております。先生の御指摘どおり、いろいろな指標を併せて公表しないと、この地図だけではちょっとミスリードになりますので、この辺りは気をつけて公表したいと思います。
○峰松委員 ありがとうございます。
○永井会長 事務局からコロナワクチン接種に伴う心筋炎・心膜炎について説明がございます。そちらを先にお願いいたします。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
お手元の参考資料4の最後の3ページ、20ページからを御覧ください。新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎を疑う事例の報告状況につきましては、厚生労働省でも副反応合同部会等で御議論をいただいており、補足説明をさせていただきます。
新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎発生に関しましては、特に若年男性において注視されています。10月15日の審議会において、10歳代及び20歳代の男性については、ファイザー社ワクチンに比べて、モデルナ社ワクチン接種後の心筋炎関連事象が疑われる報告頻度が多かったことから、十分な情報提供の上、ファイザー社ワクチンの接種も選択できることとするとされました。
ワクチン接種後に心筋炎・心膜炎を疑うとして報告された事例の頻度につきましては、ウェブサイトの更新により周知及び注意喚起を行っております。このスライドは10月15日更新時点のもので、真ん中にその報告頻度を示しておりますが、10歳代及び20歳代の男性において、モデルナ社のワクチンでは、ファイザー社の3~8倍程度の心筋炎・心膜炎を疑う症例が報告されている状況となっております。
しかしながら、コロナウイルス感染症にかかった患者さんの心筋炎・心膜炎の発症頻度は、mRNAワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を発症する頻度と比較して高いとの報告もあることなどを踏まえ、ワクチン接種のメリットが上回るとされています。
補足説明は以上となります。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、議論を続けたいと思います。今の点も含めて御議論いただければと思います。
私から坂井先生に。非常に面白いデータを拝見して関心があるのですが、2020年は19年と比べて感染拡大期に減って、安定期に増えたというお話で、とても面白いと思うのですけれども、実は私、個人的に2021年の死亡者を調べてみますと、脳血管疾患、特に心血管疾患の死亡が今年は非常に増えています。4月、5月、6月、7月、8月と。ぜひ年度をまたいで解析していただきたいと思います。2020年の状況と2021年は違っている可能性がありますので、その辺も含めての解析が必要ではないかと思います。
いかがでしょうか。どうぞ。
○坂井参考人 坂井でございます。
2021年のデータも引き続き収集しております。研究班は、予定ではもう一年続きますので、このような医療提供の状況だけではなくて、できる限りいろいろな指標を様々な角度から分析して御報告させていただきたいと思います。2021年の調査も継続しております。
○永井会長 よろしくお願いいたします。特に2020年というのは、19年に比べて死亡者が減った年なのです。非常に奇妙な興味深い現象が起こったようですので、ぜひ引き続きお願いしたいと思います。
○坂井参考人 御指導ありがとうございます。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。磯部委員、どうぞ。
○磯部委員 2点ございます。ワクチン後の心膜、心筋炎のことですが、この表を見てみますと、ファイザーで、若年男子が多いというのは明らかだと思うのですけれども、かなり広く年齢分布して男女共ございます。私どもは3例疑わしい、かなり濃厚なのを2例経験しております。2例は50代、60代の女性の心膜炎、心筋炎だったのですけれども、これは会社が収集したデータには含まれていません。それから諸外国のデータも提示されていますが、これは人種差もありますし、もう何千万も母数があるわけですから、日本できちんとしたデータを会社主導ではなくて、調べて、日本でどうかということと、特に若年男性が危ないということ以上に、全年齢にあるということは周知したほうがいいのではないかと思います。
もう一点は東班の御報告で、私も東班に参加させていただいております。今、救急医療が非常に難しい状況だと思います。追加で発言させていただきますと、私どもの病院はいわゆる大動脈緊急症を日本で一番たくさん緊急手術をしている施設だと思いますが、多くは三次救急センター、あるいは救命救急センターからの転搬送なのです。私どもの病院は二次救急ですので、直接運ばれてくることはほとんどございませんで、現状では三次救急は24時間心臓の手術に対応できないところが多くて、そういうところから2回目の搬送を受けているわけです。実際搬送途中で亡くなるといったケースも実はございまして、ぜひこの研究を早くおまとめいただいて、この提案に沿った診療体制をつくっていただきたいとお願いしたいと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
木澤委員、お願いします。
○木澤委員 ありがとうございます。
東班の報告について2点意見を述べさせていただきます。1点目は、大動脈緊急症をはじめとする高難度な緊急治療を求められる疾病に関する医療機関の集約化についてです。東先生がおっしゃった、多少距離が遠くてもHigh volume centerに搬送することが望ましいのではないかという点に関連しますが、外傷診療においても防ぎ得た死を回避するために、適切な設備や、スタッフが整った医療機関に救急搬送するというトラウマバイパスという概念がございます。そういったことやと対応可能な医療従事者の確保という観点からも医療機関の集約化が望ましいと考えております。
また、このようなHigh volume centerには高難度の手術等に対応できる専門的知識・技術を有した医師の配置とともに、循環器病に関する知識や技術を持った専門看護師、認定看護師や特定行為研修修了者の配置も必要であると考えております。
循環器病対策推進基本計画にもこのような人材の確保について明記されており、医療機関の集約化と専門的治療や看護が提供できる医療従事者の集約化をセットで考えていくことが必要であると考えております。
2点目は、医療機関の集約化に関する地域住民の理解の必要性についてです。地域住民は救急搬送時には一刻も早く近隣の、あるいはかかりつけの医療機関への搬送を希望されることが考えられます。そういった点から、日頃から地域住民に対して、重症度等を踏まえた医療機関の役割分担と連携について十分に説明し、理解を得ておくことが求められます。循環器病に関する普及啓発事業が推進されておりますが、医療機関の役割分担等の考え方についても、今後さらなる普及啓発が必要であると考えております。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○東参考人 非常に重要な御意見ありがとうございました。集約化に関しましては、それが理解いただけるかどうかということは、やはりデータが必要だと思いますので、データを出して、搬送距離が長くなることについてのデメリットやメリット、それから先生がおっしゃったような施設における人的支援、特に働き方改革にもつながるような集約化というのは重要かもしれませんし、あるいは重症度に応じた搬送の分担というものは、やはり画像とか情報がないとできませんので、そういった意味で、ICTの活用をこの集約化とセットで行わなければいけないと考えております。
○永井会長 ありがとうございます。
続いて、山本委員、お願いします。
○山本委員 山本でございます。
東先生の発表に関して私もコメントをさせていただきます。前職の国立循環器病研究センターはHigh volume centerだったので、大動脈瘤破裂の患者さんが多数運ばれておりまして、緊急手術を何本もやっている病院なのですが、横で見ていると本当に厳しい。いつ来るか分からないし、来るとすぐに手術に入らないといけない。しかも非常に長時間かかって負担の大きな手術なので、血管外科の先生方は常に疲弊している状態でやっていらっしゃる。でも、相対的には数が少ないように見えるのです。今でもかなり集約されているので、若い先生の目に止まることがちょっと少ない。やや相対的に地味な感じになっているのかなという気もします。必ず一定数は必要ですし、本当にマンパワーのかかるところなので、人材育成という観点もちょっと考えていただきたいなと思います。
もう一つは、先ほど東先生の発表の中にもありましたけれども、多数のいろんな多職種が関わるのですが、医者の中で言うと、放射線科医も緊急が必要になり、ICTという話が出ましたけれども、画像が必要になってくるので、しかも三次元構成で、かなり放射線科医にも負担のかかる部分なのですが、これも循環器で見ていますと、がんの分野だと放射線治療というのがあって、放射線科医が花形になる部分があるのですけれども、循環器領域ではどうしても放射線科がややサポート部隊という感じで、これもまた地味なのです。なので、放射線の若い先生方から魅力に乏しいような気もします。なのに、オンコールで夜中に呼ばれて読影をしたり、いろいろやっているというところがあって、循環器の救急を担ういろんな関連科の先生方を盛り上げていくということも重要かなと思いまして、ちょっとコメントさせていただきました。
○永井会長 どうぞ。
○東参考人 まず、破裂の動脈瘤に関しての数につきましては、先進国に比べてちょっと多いというか、待機手術の10%が破裂例でございます。ですので、それを半分ぐらいに減らさなければいけない。それは啓発であるとか検診の問題がございます。
人材育成の問題に関しましては、先ほどの画像連携をいたしますと、同じ画像にいろいろな方がアクセスいたしまして、それをどういうふうに判断しているのかとか、その結果がどうだったのかを共有することができます。搬送元の病院の先生も、搬送先の病院の先生も、いろんな先生がそこにアクセスしますので、そういう意味で同じ体験をできるということで、人材育成にもこういうICTは有効かなと考えております。
以上です。
○永井会長 では、小室委員、お願いします。
○小室委員 東先生と厚労省の方に質問ですけれども、基本計画の個別施策の2のマル2に救急搬送体制の整備というのがあったかと思うのですが、以前のこの対策推進協議会においても、循環器の救急は、磯部先生がお話しになったように、普通の一次、二次、三次ではない、そういう搬送が必要だという話が少し出ていたと思うのです。東先生のお話もまさに搬送をどうするかということだと思うのですけれども、それに対しては、厚労省として、また東班としてはどのような取組をされているのでしょうか。また、されるのでしょうか。
○東参考人 まず、いわゆる一定の医療区域を越えたような搬送というのが非常に多くなるのかなと思っています。県で1箇所しか大動脈緊急症に対応可能な医療機関がないという県もございまして、治療できる病院が限られておりますので、先生おっしゃるように、一般のPCIができる病院に搬送しようとすると、ちょっと違うということで、冠動脈救急とは別の医療体制といいますか、より広域の医療体制が必要であろうかと考えております。
以上でございます。
○永井会長 事務局は。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
貴重な御指摘ありがとうございます。今、東班も含めて、現状をまずしっかりと把握して、それでどのような対策が必要かというものを、研究班で検討していただいているところです。研究班からの検討の結果、そしてこの協議会での皆様の議論を経てから、施策に移していきたいと考えております。現在は研究班を含め、エビデンスを集めながら現状を把握させていただいているという状況となります。
ありがとうございます。
○小室委員 搬送に関しては総務省の管轄でもあるかと思うのですけれども、この法律ができて、基本計画ができてから、総務省のほうから日本循環器学会のほうに循環器救急の搬送について相談しましょうという申出があって、何回かお話し合いをさせていただきました。したがいまして、この協議会においてもその搬送に関しては総務省関係の方にも入っていただいて議論することが必要かなと思いました。
以上です。
○東参考人 ありがとうございました。
○永井会長 横田委員、どうぞ。
○横田委員 横田です。ありがとうございます。
今の議論は私も全くそのとおりだと思います。先ほど木澤委員のほうからトラウマバイパスという話が出ましたが、外傷に関しては、これは高エネルギー事故、高エネルギー外傷ということで、しっかりとした基準ができていて、外傷の専門の施設、三次救急医療施設が多いと思うのですが、搬送されるというふうになっています。
一方、循環器病疾患に関しては、救急の現場では超音波診断やCT等もありませんので、例えば坂井先生が中心となってやられた脳のLarge Vessel OcclusionのELVO scaleとか、あるいは大動脈解離のときの救急隊が使う病院前の判断基準に関する視点で議論が必要なのかなと思います。
以上です。
○東参考人 ありがとうございます。
実はそのトリアージアプリにつきましては、先ほどちょっと説明いたしましたとおり、現在開発しておりまして、大動脈緊急症用のトリアージアプリを救急隊に持っていただく研究計画は、既に倫理委員会に申請しておりまして、来年1月から始める予定でございます。それによりまして救急隊の方の啓発にもなるかと考えております。ありがとうございます。ですので、先生がおっしゃるように、プレホスピタルの関係の問題についてもかなり追求しなければいけないと考えております。
○横田委員 ありがとうございました。
○永井会長 そのほかにかがでしょうか。どうぞ。
○羽鳥委員 羽鳥です。
同じく東先生に質問なのですけれども、大動脈緊急症は医療の現場としてもとても大事だと思いますし、それからHigh volume centerが大事だということも大変よく分かります。この辺は現場の先生方、特に医師会の先生方にとっては、十分知られていないところもあると思うので、先ほどのアプリのことも含めて、普及啓発については医師会も協力させていただきたいと思います。御指導よろしくお願いしたいなと思います。
以上です。
○東参考人 こちらこそ御指導よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○永井会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○宮本委員 宮本です。
大動脈の話から外れるのですけれども、先ほど横田先生が言われたことはすごく大切で、脳卒中も血栓回収療法などは県境をまたいで隣の医療圏へ転送しているケースは結構あります。ですから、病院前スケールで評価して、救急で運ぶというところについては、今後の計画で県境をまたいでの移動があるということを前提に御議論いただいたらいいかなと思います。
○永井会長 よろしいでしょうか。どうぞ。
○坂井参考人 坂井です。
先ほど御指摘いただきました大血管閉塞を予測するスケールですが、脳卒中学会と研究班の共同プロジェクトで取りまとめました。横田先生、今、日本救急医学会のほうに検討をお願いしておりますので、また御助言をお願い申し上げます。
○横田委員 よろしくお願いします。
○永井会長 ほかにいかがでしょう。よろしいでしょうか。
それでは、ありがとうございました。
では、最後に議事4「その他」でございます。私から1点、特別研究班について御報告いたします。来年度に第2期の基本計画を策定するに当たり、いろいろな問題について検討が必要でございます。基本計画の三本柱の一つである研究の推進ということも検討が求められているわけで、現在、私が班長を務めている特別研究の中で「循環器病対策推進基本計画に基づく、重点的に推進すべき循環器病の研究領域の同定及び研究開発戦略の策定のための研究」を行っております。委員の何人かの方々、また関連学会などから幅広く意見を集めているところであります。この件については次回の協議会で改めて御報告いたします。
そのほか、基本計画に関する幾つかの研究班で検討が進められていると伺っております。
次回の協議会におきましては、研究班からの報告を中心に行っていただき、今後の課題のまとめをしていきたいと思いますが、そういうことでいかがでしょうか。
事務局、いかがでしょうか。
○森課長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。
ただいまいただきました永井会長からの御提案に基づきまして、次回は研究班からの御報告を中心に開催したいと思います。ありがとうございます。
○永井会長 ありがとうございます。
そういうことでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○永井会長 ほかに何か御発言、御意見ございませんでしょうか。全体を通してでも結構です。どうぞ。
○川勝委員 日本脳卒中協会の川勝です。
患者代表として国と都道府県の連携をもっと強めてほしいというお願いをしたいと思います。基本計画は三本柱があったと思うのです。今、永井先生がおっしゃったように、研究推進は3つ目。1つ目が正しい知識の普及啓発。2つ目が健康、医療の提供体制の充実。3つ目が研究推進だったと思うのです。
何でこんなことを言うかというと、私は東京都と神奈川県の循環器病対策の協議会委員として参加しました。そこで感じたのはどうしても皆さんの得意分野、2番目、医療提供体制の拡充の話に傾斜しているのです。これはほかの府県も同じだと思うのですけれども、どうしても1番目の普及啓発が漏れてしまっている。私はかなり意見を申し上げて、東京には国と同じ「SNS」とか「マスメディア」という言葉が入りました。神奈川県はまだ引き続きやっていますが、そういうふうに反映をしてくれているのですけれども、問題は、この後、計画をつくって、どうするかなのです。各県が計画をつくっても取組が偏るおそれがある。
ですから、厚生労働省も各都道府県の取組状況、先ほどお話があった好事例とか失敗例もあると思うのでそれを把握していただいて、全都道府県に情報共有していただく。それが現場を支えることになると思うのです。それこそ総合支援ですよ。ですから、国と都道府県の連携をさらに強めてほしいということをお願いしたいと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございました。
そういう意味では、総合支援センターの在り方が非常に重要になると思います。センターの運営はどういう形で、経費はどうするのでしょうか。もしよろしければ事務局からお願いいたします。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
御質問ありがとうございます。本モデル事業につきましては、10分の10を国が負担することを考えております。モデル事業では、総合支援センターの設置をするための費用として使っていただけたらと思います。その後につきましては、現在行っている都道府県向けの特別対策事業で継続していただくことも検討していますが、モデル事業の結果にも依存すると考えます。まだモデル事業の検討の段階でございますので、まずはモデル事業がしっかりとよい形で行われることが、今後総合支援センターが全国に広がるための必要な条件と考えております。ありがとうございました。
○永井会長 ぜひその中で普及啓発を含めて国と自治体の連携をよろしくお願いしたいと思います。
そのほかに何か御発言。峰松委員、どうぞ。
○峰松委員 今のモデル事業は、全国で公募されるのですか。それともどこにやってもらうかが決まっているのか。そこら辺がうまくいかないと納得いく結果が出てこないような気もするのですが、いかがでしょうか。
○桑原課長補佐 事務局でございます。
御指摘ありがとうございます。要件等につきましては、現在研究班でも検討していただいているところです。また詳細が決まりましたら、お伝えさせていただきたいと思います。
○永井会長 よろしいでしょうか。
もし御発言がなければ、本日の議事は以上といたします。
委員の皆様方には活発な御議論をありがとうございました。改めて感謝申し上げます。
次回からは第2期の基本計画の策定に向けた議論を行ってまいります。引き続き御協力をよろしくお願いいたします。
では、事務局から連絡事項等をお願いいたします。
○岩佐課長補佐 永井先生、皆様方、本日は長い時間ありがとうございました。
次回の開催等は追って御連絡をさせていただきます。本日はありがとうございました。これにて終了とさせていただきます。
○永井会長 どうもありがとうございました。