第1回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会 工作物に関するワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和2年2月3日(月)16:00~18:00

場所

中央合同庁舎5号館 専用第13会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)工作物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等について
    1. (i)建築物に係る検討状況について
    2. (ii)工作物WGにおける論点について
  2. (2)その他

議事

○副主任中央労働衛生専門官 本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより、第1回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会工作物に関するワーキンググループを開催いたします。委員の出席状況ですが、本日は全員御出席いただいております。
 それでは、まず始めに、本日の会議の開催に当りまして、化学物質対策課長の塚本から御挨拶を申しあげます。
○塚本化学物質対策課長 こんにちは。厚生労働省の塚本です。皆様におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。皆様御承知のとおり、石綿ですが、その有害性などから、平成18年に原則、製造・使用等が禁止されましたが、これまでの間、約1,000万トンもの大量の石綿が輸入され、建材をはじめ、様々な用途で使用されております。また、毎年約1,000名の石綿ばく露による労災認定がなされているところでございます。
 このような中、今後、石綿含有の建築物の解体が増加し、ピークを迎えるなどとされており、石綿含有建築物・工作物の老朽化などに伴います解体・改修などにおきまして、いかに石綿の飛散、労働者のばく露を防止するかが大きな課題となっております。石綿が大部分使用されました建築物に係るばく露防止対策などにつきましては、既に石綿含有の事前調査の強化、また作業記録の保存、届出の充実などにつきまして検討を進めていただいておりますが、石綿障害予防規則の適用があります工作物につきましても、同様の解体等におきますばく露防止対策の強化などにつきまして、検討が必要な状況にあるかと思います。
 これらを踏まえまして、本ワーキング会合におきましては、工作物の解体・改修などにおける石綿ばく露防止対策について検討をお願いする次第でございます。参集いただきました皆様におかれましては、お忙しいところ誠に恐縮ですが、活発な意見交換などにより、労働者の石綿ばく露防止対策の充実・強化が図られることをお願いいたしまして、冒頭の御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 続きまして、本日、初会合でございますので、委員の御紹介をさせていただきます。お手元の参考資料5の別紙3に委員名簿がございますので、この名簿順で御紹介をさせていただきます。まず、出野委員です。
○出野委員 出野です。どうぞよろしくお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 続きまして漆原委員です。
○漆原委員 漆原でございます。よろしくお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 続きまして笠井委員です。
○笠井委員 笠井です。どうぞよろしくお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 川口委員です。
○川口委員 川口です。よろしくお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 佐原委員です。
○佐原委員 メンテナンス工業会の佐原と申します。よろしくお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 豊澤委員です。
○豊澤委員 豊澤です。よろしくお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 本日は、オブザーバーとして、国土交通省の環境政策課から神田様、それから建設業課から清水様に来ていただいております。
○清水様 清水です。よろしくお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 それから、環境省大気環境課からも来ていただいております。
○秋山様 秋山です。よろしくお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 ありがとうございました。事務局の紹介です。先ほど御挨拶をしました塚本化学物質対策課長です。   
○塚本化学物質対策課長 塚本です。よろしくお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 課長補佐の中村です。
○課長補佐 中村です。よろしくお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 私は高村と申します。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、議題に入る前に、参考資料5の開催要綱の3の(4)に基づく座長についてですが、これにつきましては、事務局といたしましては、豊澤委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
 それでは、豊澤委員に座長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。ここからの議事については、豊澤座長にお願いいたします。
○豊澤座長 議事進行のほうを務めさせていたただきます豊澤です。よろしくお願いいたします。まず、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○副主任中央労働衛生専門 委員の皆様方とオブザーバーの皆様方には、お手元のタブレットのほうに資料を御用意しております。タブレットには、過去の検討会等の資料については、参考資料ということで、それぞれ検討会ワーキングごとのホルダーに入れております。本日の資料ですが、まず議事次第、資料1として、建築物に関わる検討会の中間とりまとめを用意しております。資料2として「工作物WGにおける論点(案)」、資料2の別紙1として、「建築物石綿含有建材調査者講習の講義」、別紙2として「建材・非建材の割合」、それから資料2の別紙3、別紙4については机上に紙で配布しております。続いて、参考資料ですが、参考資料につきましては、タブレットのほうに参考資料1~5までを御用意しております。また、参考資料6として、「道路施設におけるアスベスト対策について(報告書)」の抜粋を机上に紙で配布させていただいております。
 また、委員の皆様方には、既存のいろいろな通達や法令等において、工作物について定義というか、書かれているところがありまして、それについて抜粋したものを、机上に1枚紙で御用意しております。皆様、ございますでしょうか。
○豊澤座長 それでは、本日の議事に移りたいと思います。議事の(1)工作物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等についての(i)建築物に係る状況等についてです。まず事務局から説明をお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 資料1をお開きください。先ほど課長から御挨拶させていただいた中でもありましたが、建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策については、平成30年7月から議論を行ってまいりまして、12月3日の第5回検討会までに議論の方向性が得られたことを中心に、中間とりまとめという形で1月6日に公表しております。工作物について議論をする上で、建築物における議論等、それからその中で得られた方向性について、まず御説明をしたいと思います。資料1の中間とりまとめは、1月6日に公表した中間とりまとめそのものです。中間とりまとめの構成としては、大きく分けて2つに分かれております。1つ目は、1「方向性について合意が得られた論点」というところ。それから、9ページの中ほどにありますが、2「引き続き検討を行う論点」ということで、大きく分けて2つあります。本日は、最初の1「方向性について合意が得られた論点」を中心に御説明したいと思います。
 1の(1)解体・改修工事開始前の調査です。現行制度においても、建築物の解体又は改修を行う場合には、石綿障害予防規則の第3条において、解体・改修の対象となる所について、石綿等の使用の有無を調査すること、明らかにならなかったときは分析による調査をすることが義務付けられているところですが、これらの調査を行う者の要件は明確に規定がされておらず、調査方法・範囲も法令上明確になっていない現状があります。
 一方で、平成28年5月の総務省による「アスベスト対策に関する行政評価・監視」において、建築物や石綿含有建材に関する十分な知識のない者が調査を行っていること、それから、調査方法に関する認識が不足していることなどを要因として、調査が不十分なまま解体等工事が行われている事案が指摘されているところです。
 他方、建築物の解体・改修前の石綿等の使用の有無を調査する者については、平成30年10月に厚生労働大臣・国土交通大臣・環境大臣の共管による告示において、講習登録規程が定められているところです。現状、この講習を修了した者は、平成31年3月末現在では1,300名弱という状況です。今後、石綿等を使用した建築物等の解体・改修工事、これは国土交通省の試算になりますが、2030年頃に解体・改修工事がピークを迎え、増加していく中で、調査を実施する者の能力の確保が必要な状況にあるということです。
 そうした背景から、ア.事前調査の方法の具体化のマル1で、事前調査については、必ず現地調査を行わなければならないこととするという方向性がまとめられております。2ページのマル2で、この事前調査については、解体・改修工事に関わる全ての部位を調査しなければならないこととするという方向性が示されております。マル3で、この石綿則の見直しに併せて、運用上の考え方ということでa~cの内容が示され、また、dの対応をすることが示されております。具体的に、aは、工事着工後に調査が必要な建材が見つかった場合は、再度調査を行う必要があること。bで、調査において、同一と考えられる材料の範囲について、客観的かつ合理的な判断方法を示すこと。それからc、具体的に石綿含有なしと判断する方法として、分析による方法のほか、商品を特定し、当該商品についてのメーカー証明・情報と照合する方法によることが示されているところです。
 イ.吹き付け材に対するみなし規定の運用。現行、石綿則第3条ただし書きにおいて、石綿等含有とみなせば分析を不要とする取扱いが示されているところですが、吹付石綿等についてはその適用を除外しておりますが、これについて、石綿則第6条に定める措置等、吹付石綿等を除去する場合に求められる措置(外見から判断して必要と思われる最も厳しい措置)を講じることを前提に、適用除外とはしないこととすること、吹付石綿についてもみなしを可能とすることが方向性として示されております。
 ウ.事前調査を行う者の要件の新設。先ほど、背景として適切な能力を有する事前調査者の着実な育成・確保が求められているというところで、この課題への対応として、石綿則等において、事前調査を行う者については、一定の講習を修了した者又はそれと同等以上の知識・経験を有する者でなければならないこととする。この一定の講習については、先ほど説明の中で触れましたが、3省共管告示の「建築物石綿含有建材調査者講習」、この制度を活用することを想定ということで取りまとめられております。なお、「一戸建ての住宅」に係る事前調査については、調査対象となる建材の種類等が限定されること、それから一方で、一戸建て住宅のみを取り扱う事業者が一定程度存在することから、一戸建ての住宅に関する留意事項、事例等に特化した講習を修了した者による調査を可能とするという方向性が示されております。
 3ページのエ.分析を行う者の要件の新設。事前調査における石綿の分析については、適切な能力を有する分析者が着実に育成・確保されることが求められているということで、この分析者は、一定の講習を修了した者又はそれと同等以上の知識・経験を有する者でなければならないこととするという方向性が示されております。なお、分析者に係る講習については、具体的な講習時間、講習カリキュラムについて、今後、国において、専門家の意見も踏まえながら検討することとされております。
 オ.事前調査結果の記録等。解体等の作業を行う労働者が石綿含有建材の場所等の詳細情報を共有し、具体的に確認できるようにするため、事前調査結果を現場に備え付けなければならないこととされております。また、事前調査結果については、行政による店社に対する指導において関係書類として活用すること、それから、解体業者等が適切に石綿ばく露防止対策を講じる動機付けとすること、労働者の健康管理のための作業内容・期間等の記録作成に活用することを目的として、石綿則において一定の期間保存しなければならないことが示されております。具体的に記録する内容については、a~iで具体的に必要な記録の内容ということで方向性を示していただいております。
 また、マル3として、労働者の健康管理の観点から、既に石綿則第35条の規定に基づいて40年間の保存が義務付けられておりますが、労働者の作業の概要・期間等の作業の記録について、「調査結果」からまとめた「調査結果の概要」も40年間の保存を義務付ける事項として追加することも示されております。以上が事前調査に関わる充実・強化に関わる部分です。
 続いて、4ページ中ほどの(2)解体・改修工事開始前の届出です。現行制度においても、石綿等が吹き付けられている耐火建築物又は準耐火建築物において当該石綿等の除去を行う場合は、労働安全衛生法第88条等に基づき、作業開始の14日前までに労働基準監督署に届出を行うことが義務付けられております。また、石綿含有の保温材、耐火被覆材、断熱材等を除去する場合については、石綿則第5条の規定に基づき、作業開始前までの監督署への届出が義務付けられております。作業届と言われているものです。
 しかし、先ほど触れました総務省の勧告においては、解体・改修前の事前の調査を適切に行わずに解体等工事を行う事案に加え、必要な届出を行わないまま解体等工事が行われた事案が多数確認されたとの指摘が行われている状況です。一方で、解体・改修工事については、いわゆる、工場等の製造現場での対策とは異なり、工事が終了してしまうと建築物等がなくなってしまったり、それから改修前の建材がなくなってしまうということで、届出が必要な工事であったのか、必要な石綿ばく露防止措置が適切に行われたのかどうかを事後に確認することが困難という状況です。その結果、事業者にとって届出や措置を実施する動機付けが働きにくい状況が現状です。
 このような現状の課題を踏まえ、ア.解体・改修工事に係る届出制度の新設ということで方向が示されております。マル1事前調査及び措置の適切な実施を促すとともに、行政が解体・改修工事を把握し、必要な指導等が行えるよう、一戸建て住宅も含め解体工事の大部分を対象としつつ、かつ、同規模の改修工事も対象とする基準として、先ほど御説明しました計画届、作業届に加え、次の基準に該当する工事については、石綿の含有の有無に関わりなく、工事に関する基本情報や事前調査に関する情報、それから調査結果等について、工事開始前にあらかじめ労働基準監督署に届け出なければならないこととするということです。届出が必要な工事の基準としては、解体工事部分の床面積の合計が80m2以上の建築物の解体工事、それから請負金額が100万円以上である建築物の改修工事、これらについては石綿含有の有無に関わりなく、原則として電子届による届出をしなければならないと示されております。
 届出事項については、aの工事に関する基本情報、bの事前調査に関する情報、cの事前調査の結果及び予定する措置の内容ということで、cについては、資料の一番最後のページにイメージを表の形で示しております。こちらについては、国交省等のデータからすると、対象となる工事については200数十万件とも試算されますので、先ほど申し上げたように、原則として電子届で届け出ることが可能となるよう、来年度の概算要求においても、このシステムの構築を要求しているところです。
 (3)隔離作業に係る措置です。吹き付けられている石綿等の除去を行う場合、それから石綿含有の保温材等を除去する場合については、石綿則の第6条に基づき、作業場所の隔離、負圧の維持・点検、漏えいの点検、除去した石綿等の粉じんの処理等が義務付けられているところですが、一方で、現行、石綿除去作業において石綿を取り残したまま隔離を解く事案も散見される状況です。また、厚生労働省及び環境省が実施した隔離を伴う除去作業の調査において、様々な状況において石綿等が隔離の外に漏えいした事案が確認されていることも報告されております。また、石綿則第6条においては、隔離等と同等以上の効果を有する措置ということで、グローブバック工法が通知で示されているところですが、グローブバック工法について具体的な方法等が明確になっていないということで、独自にこのグローブバックを作って作業を行うような不適切な事例もあることが現状としてあります。
 これらの課題を踏まえ、ア.隔離・漏洩防止措置の充実・強化ということで、マル1石綿則第6条で求める負圧隔離の措置を解く際には、当該作業で除去を行った吹付石綿等について、石綿等の除去が完了したことを確認しなければ隔離を解いてはならないこととするという形で取りまとめられております。また、漏えいした事案に対する対応として、aのとおり、引き続き法令に基づく隔離等の措置の徹底を図るとともに、具体的な漏えい事案に対応する方針が示されております。また、bで、グローブバック工法について、7ページになりますが、(a)~(g)のとおり、具体的な措置内容を示すとされております。以上が、隔離作業に係る措置の方向性が得られた論点の部分です。
 (4)隔離を必要としない作業に係る措置です。現行制度においては、吹付石綿等の隔離等の措置が必要となる建材以外の成形板等の石綿含有建材(いわゆるレベル3建材)と言われるものですが、これについては、石綿の飛散の程度が比較的低いことから、切断等を行う場合においても隔離等の措置は求めておらず、石綿則第13条において、湿潤な状態で作業をすること、それから第14条で、作業に従事する労働者に呼吸用保護具を使用させることが義務付けられているところです。ただ、これらのレベル3と言われる建材のうち、ケイ酸カルシウム板第1種については、データとして、破砕した場合に比較的高濃度の石綿の飛散が見られるデータが得られておりますが、一方で、湿潤化に加えて、隔離(負圧までは求めない)を行う、周りを養生するということで、外部への飛散が抑制されるというデータも同時に得られているところです。
 また、作業終了後に床等に建材の一部が散乱しているような事例もあるということで、こうした課題を踏まえ、ア.レベル3建材に対する措置の充実・強化ということで、マル1で、いわゆるレベル3建材については、破砕を行わず除去することを原則とするとともに、石綿等を含有するケイ酸カルシウム板第1種をやむを得ず破砕する場合は、湿潤化に加え、作業場所の周囲を隔離しなければならないこととする。この隔離は負圧までは求めず、養生シート等で囲うような措置を想定しております。また、これに加え、マル2のa、堆積粉じんの再飛散の防止のためのHEPAフィルタ付きの掃除機などによる清掃作業とともに、除去の確認を指導する、それから、呼吸用保護具の着用の徹底が示されております。
 (5)作業の記録。先ほど届出のところでも背景として御説明をしましたが、解体・改修工事においては、工事が終了してしまうと、適切な措置等が行われたのかを事後に確認することが困難ということで、その結果、事業者にとって届出や措置を実施する動機付けが働きにくい状況にある。また、総務省勧告において、石綿含有建材を使用していることが判明した後も、要は事前調査が十分にされていないなどの理由のほかに、そうした事前調査で分かった後も、飛散ばく露防止措置が適切に講じられないまま除去作業が行われた事案が多数確認されたとの指摘が行われている。こうした背景、課題に対する対応策として、ア.作業計画に基づく作業実施状況等の記録ということで、石綿則の見直し等の方針が示されております。
 こちらについては、マル1として、先ほどの事前調査の結果の記録の保存と同様の活用を想定して、事業者に対し、aで、作業の実施状況等の記録、それから、9ページの上のbの、従事労働者の記録について、一定の期間保存しなければならないこととすると示されております。作業の実施状況等の記録については、aの下の※に、現場ごとに、次の事項として(a)~(e)まで示されておりますが、これについて、日時・撮影場所・各措置の内容が分かる形で写真等により記録しなければならないとされております。写真だけではなく他の方法でも記録は可能と考えておりますが、一番分かりやすい方法として写真で例示をしております。これらの記録については、事前調査結果の記録と同様に、現行の第35条の規定に基づく40年間保存の作業の記録においてその概要を追加することも取りまとめの方針とされております。
 (6)作業時の作業環境測定です。こちらは、石綿則の見直しの内容ではないのですが、石綿等が使用されている建築物の解体等の工事においては、作業場所や作業内容が随時変化すること、それから、石綿の気中濃度を測定するには一定程度の時間、期間を要することから、作業環境測定は現行義務付けてはおらず、石綿則においてはばく露防止措置として、湿潤化による飛散の程度の低減、保護具の着用等を義務付けているところですが、一方で、労働者が従事する除去作業において、作業環境に対応したより一層適切な呼吸用保護具の選定が必要との指摘もされているところであり、これらの課題に対して、ア.で、様々な作業における作業環境中の石綿濃度の測定及び公表という方針が示されております。こちらについては、建築建材等の種類、それから解体作業等の種類ごとに作業環境測定の結果を取りまとめて国が公表し、公表されたものを参考として、事業者において各作業におけるリスクの把握、それから呼吸用保護具の選定等を適切に行うことを促進することが方向性としてまとめられています。以上が方向性について合意が得られた内容です。
 2「引き続き検討を行う論点」として、ざっと項目だけ読み上げます。(1)解体・改修工事開始前の調査です。こちらについては、建築物の解体・改修工事においては、例えば、電球や窓ガラスの交換など、建材を全く損傷することのない方法で解体等改修を行う場合があるということで、こちらの事前調査の在り方については、引き続き検討を行う事項ということで整理されております。
 (2)解体・改修工事開始前の届出ということで、ア.計画届の対象拡大。こちらについては、中間とりまとめの中では引き続き検討ということで整理されておりますが、第5回の検討会において、一定の方向性が得られているところです。今の作業届について、全て計画届にするという、14日前の届出を義務とする計画届にするという方針の合意がなされているところです。
 (3)隔離作業に係る措置ということで、現行の仕上塗材については、吹付工法の場合はレベル1建材という整理がされており、そうした規制、一方で、吹付施工以外の方法で施工されたものはレベル3建材としての規制となっているということで、こちらの仕上塗材に関する除去等における必要な措置については、今後、データを集めた上で、引き続き検討ということで整理をされております。来年2月と書かれておりますが、こちらについては今年の2月を目途にということで、情報を検証した上で引き続き検討ということで整理をしております。
 (4)隔離を必要としない作業に係る措置ですが、湿潤化が困難な場合の措置、こちらについても引き続き検討となっております。
 (5)解体・改修工事に係る管理体制ということで、現場における安全衛生管理体制、それから、労働者に対する教育の充実、こちらについても、第5回の検討会において一定の方向性が得られているところです。
 (6)事業者に対する指導として、関係情報の公開等。(7)大気汚染防止法等との連携ということについては、今後、検討会で議論ということで整理されているところです。
 駆け足でしたが、以上です。
○豊澤座長 それでは、今、事務局から、先日公表されました検討会の中間とりまとめについて説明していただいたわけですが、論点に移る前に、何か御意見等がありましたら承りたいと思います。よろしいですか。
 次に、議事の(1)の(ii)に移ります。(ii)工作物WGにおける論点についてです。まずは、資料2について事務局から説明をお願いします。
○副主任中央労働衛生専門官 それでは、資料2について説明をさせていただきます。こちらには、今回、工作物における対策について御議論いただくワーキンググループにおける論点として、事務局として考える案ということで御用意させていただいております。
 論点については、大きく分けて3つあります。1番目が事前調査についてです。中間とりまとめで充実・強化の方向性が得られた事項について、工作物についてどう考えるかというところ。2番目ですが、簡易届出制度の対象について。こちらは新たな届出ということで、こうした簡易届出制度を創設することになっておりますが、この対象範囲として工作物についてどう考えるかというところです。3番、その他として、上記の1、2以外の中間とりまとめの内容のうち、工作物について、その適用というか、工作物について異なる対応が必要となるものがないかどうかというところ。大きく分けてこの3点と考えております。
 1.事前調査についての論点です。1)として、工作物は非常に範囲が広いということで、工作物の中には、物の性質上、石綿が含まれていないことが明らかなものがあるのではないかといったところで、こうしたものがあるかないかというところを、御意見、御議論いただければということで、1)として論点案ということでお示しをしております。
 1つ目の2)です。事前調査者の資格要件は、建築物においては、既に3省共管告示で定める調査者講習制度があり、こちらを活用するということで、この資格要件を設けるという方針が得られているところです。工作物について、事前調査を行う者の能力担保をどう考えるかという論点です。具体的な考え方として、1枚目の一番下のほうになりますが、工作物に係る事前調査はどのように行っているのかというところ。それから、工作物の事前調査に関して、どのような知識が求められるのか。事前調査において、工作物の解体等の作業を行う事業者に、高度な知識等が必要な場合は、高度な知識を付与するような講習制度があるのかどうか。4つ目として、工作物の事前調査に必要な能力を有する人材を育成・確保するための新しい制度が必要かどうか。仮にそうした制度がない場合は、そういうものを新しく設けることが必要かどうか。必要な場合は、どのような制度が必要か。一方、必要でない場合は、どのような方法でこの事前調査の適正性を担保するべきかを御議論いただく形です。
 2.簡易届出制度の対象についてです。先ほどの説明の中にもありましたが、現行制度においては、工事前に作業計画等の届出を行うことが求められている工事がありますが、この工事についても、総務省勧告において必要な届出を行わないまま解体等工事が行われた事案が指摘され、一方で、工事が終了すると建物等がなくなってしまうということで、事業者にとって届出や措置を実施する動機付けが働きにくい状況にあると。こうした課題に対応するために、一定規模以上の建築物の解体・改修工事については、事前調査結果等の届出を義務付けるということで、この簡易届出制度の創設がまとめられているところです。
 建築物について届出を行わせるという取りまとめに至った背景としては、過去に輸入・製造された石綿等の約7割が建材に使用されていたということ、こちらについては別紙2に示されておりますが、過去1,000万トンの石綿が輸入等されていたもののうち、730万トン近い石綿が建材に使われているというデータがあるということで、石綿等の製造等が原則禁止された18年9月よりも前に解体・改修された建築物については、何らか石綿が含有されている建材が使われている可能性が高い、そうした共通認識の下で得られた方向性です。
 この建築物に係る簡易届出の対象、基準を決めるに当たっては、戸建て住宅も含めて解体工事の大部分を対象とする、それから、屋根や水回りの改修工事、こちらは石綿等が使われている箇所として可能性の高い屋根や水回りの改修工事も対象とする考え方に基づいております。こうした建築物に係る議論の背景等を踏まえて、工作物に係る簡為届出制度の対象をどう考えるかを御議論いただきたいということで考えている論点です。
 工作物については、多種多様なものがあるということで、建築物において共通認識としていた、いずれかの建材に石綿が含有されている可能性が高いという考え方がそのまま適用できる状況ではないのではないかということです。別紙3の机上で配布しているものですが、こちらは「工作物の例及び過去の調査結果等に基づく石綿使用例」ということで、事務局で過去の文書等から関係する記載を抜き出して表の形で取りまとめたものです。一番左側の列が工作物の例ということで、下の※1で示す過去の文書等から、工作物を例示されているものがありましたので、ここから抜粋をしているものです。
 その右側の縦4列ですが、こちらにそれぞれの工作物ごとに想定される石綿の用途・材料等ということで、こちらについては※2で示す資料等でそれぞれ工作物ごとに、そういった用途、かつ、こういった建材が使われているという記載があったものをそのまま転記させていただいております。こちらを見ても石綿含有建材に関する情報がない工作物も見られるということで、先ほどの工作物について、いずれかの建材に石綿が含有されている可能性が高いという考え方が、そのまま適用できる状況ではないのではないかということで、こちらについて御議論いただきたいと考えております。
 2つ目ですが、具体的には、物の性質上又は過去の石綿使用実績等から、工作物の種類から石綿が含まれている可能性が低いものがあるのではないかということです。別紙3で見ると、例えば鳥居などはそういったものかもしれないと考えているところです。
 3つ目です。工作物の届出対象については、建築物と同様に、物の性質上又は過去の石綿使用実績等から石綿が含有されている可能性が高いと推定されるものとしてはどうか。その場合、具体的にどのような工作物が対象になると考えられるか。工作物の中で特に石綿が含有されている可能性が高いと推定されるものを届出対象としてはどうか。そういったところを御議論いただくということで御用意しております。
 資料2の別紙3は先ほど御説明させていただきましたが、併せて別紙4「工作物における石綿の使用状況等」ということで、こちらも表の形で取りまとめているものですが、こちらについては、工作物、幅広いものが対象になりますが、国のほうの国土交通省で調査をされて、把握できている範囲について提供いただいたものをまとめております。調査で把握できているものということで、1)として、工作物の名称・種類ということで、それぞれ工作物の名称・種類、2)として、建造・設置時等における石綿使用の可能性の有無ということで、それについても調べていただいております。
 この表の中で整理されている工作物については、ほとんど建造・設置時等において石綿の使用の可能性がないと調査結果からされているものですが、3ページの道路については、「一部限定的に有」ということで、こちらについては別紙参照ということで、参考資料6として御用意をしております。道路に関する平成17年12月に取りまとめられた報告書の抜粋です。別紙4の3ページの道路に関する4)の記載と、参考資料6を併せ読んでいただければと思います。「また」以下で、「道路舗装については一部試験的に行ったものであり、その他の道路舗装に石綿の使用は想定されない」という形で報告されております。
 実際に一部試験的に使われたアスベスト含有舗装の状況について、平成17年12月27日現在ということで、参考資料6の3枚目に、アスベスト含有舗装(17件)で示されておりますが、こちらが試験的にアスベスト含有舗装が使われた道路ということで、そちらの当時の状況を調べた結果です。現在の調査によれば、こちらの17件についても全て除去されているのではないかということで御報告を頂いております。資料2についての説明は以上です。
○豊澤座長 それでは議論に移る前に、まず事務局からの説明について御質問がございましたら、論点の議論の前に承りたいと思いますけれども、何かございますか。よろしいですか。
 それでは、1つ目の論点について御議論いただきたいと思います。論点についての御意見、ここに挙げられている論点に追加すべきとの御意見を頂ければと思います。論点1ですけれども、論点1も盛りだくさんなので、一応整理上、1の「事前調査について」の1)と2)について交通整理して、御意見を伺いたいと思います。まず1)について、石綿が全く含まれないような工作物があるか、そのような工作物がある場合、規制の運用についてどのように考えるか。これについて御意見を承りたいと思います。よろしくお願いします。
○川口委員 石綿が含まれないような工作物があるかということですけれども、先ほど御説明の中にありましたように、明らかに使われていないだろうというようなものは、存在するだろうという判断でよいのではないかと思います。ただ、それがどういう工作物でどのような場所に使われているのかということを、判別することはなかなか難しいところでもあるかということです。例えば例で挙がっているような石であるとか鉄であるとか木や紙というようなものは、当然その物として石綿を使って作っているものではありませんので、そういったもの含まれない工作物として該当するということです。また、このようなものだけで作られている、また、それらの組合せ、例えば鉄と木を組み合わせているようなものというのも当然、石綿は含まれていないということになります。ただ、そこにさらに別の素材が入っているもので構成される工作物というものの存在は、考えなければいけないということかと思います。以上です。
○豊澤座長 ありがとうございます。そういうことなのだと思うので、1)と2)を分けずに、事前調査について、建築物と同様に事前調査者の資格要件を求めることが必要なのかという論点について、御意見を承りたいと思います。要件についての論点も踏まえて御意見を頂ければ有り難いと思います。
○漆原委員 石綿が含まれていないものはともかく、実際に含まれているとすれば、そこで建築物と工作物の違いがあるのも少し不自然だと思いますので、そこは同じ要件でいいのではないかという考えです。
○豊澤座長 ありがとうございます。賛成意見でも反対意見でもよろしいですが、何かございましたら承りたいと思います。
○川口委員 建築物に関する調査者の要件というのは、資料2の別紙1に、「講義」の内容が示されていますが、教えている内容は、主に建築物に関する調査のポイントとなっています。労働安全衛生法や大気汚染防止法に関する講義内容もありますけれども、全体としては、建築物の調査に対する一般的な内容になっています。ですから、その中には工作物関する講義内容は、今の教育プログラムの中に入っていませんので、そういったところというのは何かしらの補完する部分が必要になるのではないかと思っております。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○漆原委員 工作物自体の定義が幅広く、その中でも使われ方が多様なので、表に示されているような例示についても、一概に規定していくこともなかなか難しいと考えております。とはいえ、一般的な工作物についての講義は必要かなと思います。実際の個々の現場での対応までの講義はなかなか難しいのではないでしょうか。
○豊澤座長 ありがとうございます。そのほかございますか。
○笠井委員 全建の笠井です。工作物と建築物を分けてしまうと、工作物の定義や建築物との区別が曖昧である限り、きっちりとした整理は難しいと思います。また、委員の皆さんのご発言のように工作物は非常に多種多様あって幅が広く、どの工作物は石綿の事前調査が必要でどの工作物は事前調査は必要ないと区分するのがなかなか難しいと感じています。
 工作物をどのように定義するかもありますが、例えば我々が一番思い浮かべやすいものの中にプラントの施設がありますが、この工作物は非常に建築物に似ている部分もありますが、プラントの施設については、かなり専門的なノウハウや知識が必要な部分があり、普通に建築物の石綿事前調査だけを行っている者が調査できるのかというと難しい部分もあるので、そのような固有の専門的な知識が必要な場合は、例えば現状の調査者を活用するとすると、必要とされる専門知識を付加した講習が必要になります。では、現在、実際に工作物を誰が事前調査しているのかというと、恐らく石綿含有建材が使われているような工作物であれば、石綿除去会社の石綿作業主任者のような石綿の知識のある人が実施しているのではないかと思われます。工作物の種類の範囲が広いので、最初から石綿含有建材は使っていないと認識されている工作物については、多分、事前調査もしていない可能性もあるのではないかと思っています。
○豊澤座長 建築物石綿含有建材調査者講習の講義の内容に、何かしら工作物についての専門的な知識とか何かを付加する必要があるだろうということですよね。
○笠井委員 新たに工作物だけの石綿調査者を養成する制度を創設するよりは、そのほうが現実的ではないかと思っています。
○豊澤座長 川口委員のほうも、やはり補完するべきだという御意見だったと思いますけれども。
○川口委員 同じ意見でございます。
○豊澤座長 よろしいですか。ありがとうございます。そのほかございますか。
○出野委員 全国解体工事業団体連合会の出野です。3点意見を述べさせていただきます。1)で石綿が含まれていないことが明らかなものがあるかという話なのですけれども、もちろん物理的にはあると思うのですけれども、付着物や、あるいはその他のものを考えると、相当慎重さが必要かなという感じがします。例えば1つの例で、ある委員会で、私は「コンクリートにアスベストはありませんよね」と言ったら、「とんでもない」と、古いコンクリートには補修材がいっぱい使ってあると、その補修材にアスベストがいっぱい使ってあるという御意見もありました。そこの辺りまで考えないと、明らかに入っていないと余り物理的に考えると間違える可能性があるというのが1点です。
 あとは2)のほうですけれども、事前調査者の資格要件は、工作物の事前調査者資格、あるいは講習をやればそれに越したことはないのですけれども、余りにも今は資格・講習が多過ぎるというのが私の実感です。ですから、できるだけ今やっている講習にプラスアルファという形でやっていただければなという希望を述べさせていただきたいと思います。アスベスト含有建材、この建材というのは建築材料なのか建設材料なのか分かりませんけれども、私は建設材料だと、建築物も工作物も入っているのではないかと理解しておりますので、そこからちょっと拡大解釈と言ってはおかしいのですけれども、広げていただいて、現在のアスベスト含有建材、「建築物の」と付いていますけれども、ちょっと広げていただいて、講習会のプラスアルファのカリキュラムをちょっと付け加えてやっていただけたらと思います。
 3点目ですが、解体業者は建築物も工作物も何でも解体します。船でも解体します。何でもやっています。ということで、余り解体業者としては区分というか区別してほしくないと、一緒にやっていただきたいというのが業界の希望だと思います。以上3点です。
○豊澤座長 建設的な意見をありがとうございます。そのほかにございますか。よろしいですか。
○佐原委員 先ほどちょっと出ましたけれども、化学プラント等の取扱いなのですが、一般の建築物と違いまして化学プラント、石油とか製鉄もそうなのですけれども、工場にあるプラントというのは必ず定修というものがありまして、2年ないし4年に1回、稼動を止めて、ある部分を全て解体したり、保温材をばらして新しく配管をやり替える、あるいは塗装類をやり替えるというやり方をやっていますので、大体平成18年ぐらいですか、全面的に禁止になってから、5、6回から7、8回の定修というのは出ていますので、いろいろな方に聞きましたら、ほぼ石綿を使っているものはないと。ただ、ゼロではないということなので、その辺が30年から40年たった建物と違いまして、建築物は、常に2年4年で更新していっているということで、当初は石綿を使った保温材、あるいはパッキン、ガスケットがありましたけれども、今はほぼ取替えが終わって、無いということは判明しておりますので、その辺をどう捉えるか。ただ、ゼロではないというのをどう捉えるかというところです。例えば何百メートルという高い煙突での炉頂の配管であるとか、そういう所はまだ取り替えていない部分が一部残っている可能性はあるということなので、その辺も調査しないと分からないと。ただ、一般的な化学プラント、石油精製プラントという所に関しては、確実に定修で取組は終わっているので、無いだろうということが言えるかなと思います。
○豊澤座長 改修をきちんとやっている所については、ほぼアスベストは無いだろうと。
○佐原委員 ほぼです。
○豊澤座長 ただ、漏れている所についてはまだあるかもしれないと、ゼロではないだろうということですね。ありがとうございます。
○課長補佐 事務局からの質問なのですけれども、今、お話のあった定修のときの石綿があるかないかの調査というのは、どういう方がされているのでしょうか。
○佐原委員 これは工事会社ですけれども、お客様の設備を解体あるいは取替えをするという依頼を受けてやりますので、お客様からの指示で「ここにアスベストを使っていますよ」という指示があったり、あるいは逆に工事会社に対して調査をしてくれと、もう30年から40年前で設計図が残っていないので、調べてからやってくれと。両方の例がありますけれども、それも20年以上前のことですから、今はほとんどそういう事前に調査をしてというのはないのですが、我々工事会社としては、必ず各社に作業要領というのがありますので、アスベストを使っているか、ガスケット、パッキン、その辺、見えない所でどういうものがあるかというのを調査した上で工事に入るということは徹底しています。基本的には受けた業者がやるという感じです。処理まで責任を持ってやるということは、ただ、ほとんど最近はする必要はなくなったので、のっとってはやっていますけれども、産廃まで出すような作業はほぼなくなったということです。逆に建築物が今頃ワッと言っているのはちょっとびっくりしているような状況です。15年前は我々が大騒ぎして、それから石綿の健康診断をいまだにずっとほぼ全社員がやっていますけれども、そういう状態が続いて、ほぼ収束したかなというところでこのようなのがあったので、逆にプラント関係ではびっくりしているところです。
○笠井委員 質問してもよろしいですか。今、定修とおっしゃった範囲ですが、いわゆるプラントの施設の中には極めて建築に近い建屋のようなものもあると思うのですが、そういうものも含めてのお話なのでしょうか。
○佐原委員 我々の工業会としては、あくまでも鉄に関わる部分と言いますか、プラントそのもので、建屋については建築会社、いわゆるゼネコンさんがやっていますので、そこは我々は手を出せないので、配管とか塔槽類関係といったところしかやっていないです。建物に関しては検知がないものですから、その辺はやっていないです。
○豊澤座長 配管とかをやる場合は、過去においては作業主任者とか、そういう方が調査されていたのですか。
○佐原委員 もちろんそうですね。それと石綿の主任者も当然みんな取って。
○豊澤座長 作業主任者ですね。特別に訓練されたとか教育された人がやっているわけではなかった。
○佐原委員 資格を持った人間がやっていました。
○豊澤座長 ありがとうございます。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局建設業課) 論点1の、明らかに石綿が含まれていないものというのは何なのかというときに、前半の御議論では物の材質というのですか、石とか木とかコンクリートという材質で見る視点とありましたけれども、一方で資料2の別紙3とか別紙4で言うと、その目的物ということでの分類になっておりますし、また先ほどの説明で言うと、既に20年前のものとか年代というものもあると思うのですけれども、切り口としてその3種類が今の議論の中でも登場しているので、だからそこを整理して、外せるものは外してしまうと。まず年代で見たほうが早いものは年代で外してしまうし、それがどんな目的物に使われていようと材質で見れば、例えば生の木であれば絶対にないですよねと。あるいは目的物で言うと、公共施設の場合は公共施設としての仕様書がありますから、そういったものから見たときに、入っていることは仕様書ではあり得ないですよとか、落とせる根拠というのはそれぞれの種類ごとにあろうかと思いますので、その辺を整理していく必要があるのかなと思ったのが1点です。
 それから調査者についても、その整理に従って、調査者に求められる能力が多分違うと思いますので、単に年代だけが分かればいいのであれば、石綿の能力や知識が余りなくても、建てられた時期を適切にジャッジできる能力があればいいわけですから、そういった分け方と調査者というところのリンクを考慮しながら整理いただく必要があるのかなということを感じました。以上です。
○豊澤座長 今のところはよろしいですか。
○課長補佐 ちょっと今の点で補足させていただきますと、建築物の議論の中でも、要は禁止された平成18年9月以降に建てられたものについては、基本的には建築着工年月日を確認していただければよいと。それには資格は必要ないという整理が一応されているということです。
 それと、今は正にいい点を御指摘いただいたのですけれども、材質、要は木なのか石なのか、検討課題にはガラスとかも出てきましたけれども、そういう観点での整理は、恐らく工作物だからとかではなくて、御意見にあったように建築物でも工作物でも同じ整理になると思います。それとは別の視点として、目的物として、例が適切かどうか分からないですが、道路はもうないから対象から外しましょうとか、そういう議論は工作物の中では整理が必要なのではないかなということで、資料も御準備させていただいているのですけれども、逆に建築物と固まりで見てしまうと、明確に抜けるものは多分ないのではないかという議論で、一応建築物は全部対象にしましょうという議論になっていたかと思います。
○豊澤座長 ありがとうございます。外すものをどうするかという、その辺の議論まで今日は詰めなくていいのですね。今は皆さんの御意見を承るということでよろしいですか。大体方向性としては明確になってきているような気がします。
○笠井委員 観点として合っているかどうか分かりませんが、例えば建築物の場合であれば、地域や建物の構造で防火性能が必要な場合には、例えば鉄骨造であれば耐火被覆が必要であるというように、建物として必要な性能を求められる中でその性能を発揮するために使われていた石綿含有建材があるので、工作物の場合にはどうなのかという観点もあろうかと思っています。
○豊澤座長 性能も加味して、どれを選ぶかという議論の中で検討しておくべきと。
○笠井委員 防音性能などもあろうかと思いますので、そのような観点に立って考えると考慮するべき範囲が広がってくるのですが。
○豊澤座長 ありがとうございます。では、一応論点の1つ目については、一旦ここで区切りたいと思います。
 次に2つ目の論点について、御議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。「簡易届出制度の対象について」ということでお願いいたします。よろしいですか。では、2つ目の論点について、意見を承りたいと思います。大体今の1の議論とダブる所が多いので、皆さん大体おっしゃっていただいたと思うのですけれども、そのほかに何かございましたら承りたいと思います。
○課長補佐 事務局ですが、先ほどの、使われている可能性が低いものは除外できるのではないかという議論と、届出の対象にするという議論は、またちょっと観点が違うかなと思っています。簡易的な届出を出していただくというのは、可能性がゼロでないものについては全て対象とするべきなのか、それとも、可能性が高いものを対象にするべきなのかという議論の整理は必要だと思っているのです。というのは、建築物は可能性が恐らく高いだろうということで、基本的には平米数と金額とで対象を一律に決めましょうという議論で来たのですけれども、例えば工作物について、先ほどプラントの話にもありましたが、もしかすると一部に残っているかもしれない、だからそのプラントの工事は全て対象にするのだという議論が、本当に効果的な制度になるのかどうかという観点での議論も必要かなと思っていますので、完全に対象から外すときの考え方と、むしろ積極的に届出という方法を使って把握しなければいけないときの考え方というのは、ちょっと分けて考える必要があるかなと思います。
○出野委員 質問ですが、建築物については解体の場合に80m2、改修工事は請負金額100万円以上と、一応これで決まっていますよね。これを見直す余地はないわけですね。工作物については、そういう線引きというか裾切り規定といいますか、そういうものが必要かどうかという議論と理解してよろしいですか。
○課長補佐 2つありまして、まずは一律で適用するべきかどうかという論点がまず1つあるのと、もう1つは基準を100万円、80m2、例えばどちらにするのかとか、金額はそれでいいのかということを含めて、議論というのはあり得ると思います。例えば工作物80m2という基準で適用して、本当に対象を決められるのかという議論は工作物によってはあると思いますので。
○出野委員 工作物は床面積がない場合が多いでしょうから、それは無理ですよね。そうすると金額ですか。請負金額100万円以上の工作物については対象にするとか、例えばそういう。
○佐原委員 今、出ました80m2というのは、例えば建築物だと敷地面積ということで非常に分かりやすいのですが、先ほどのプラントで言うと、縦に配管が20m引っ張っていて、これを改修して新しい配管に取り替えるという作業というのは非常にあるのですけれども、そういう場合はどう捉えるのか。それともう1つは、100万円以上という話もあったのですが、例えば1つの定修で30億円の定修というと、100万円以上の注文書が2,000~3,000件出るということになります。そういう例もあるので、1社で、1つの定修と言うと、何万件という請負の注文書が出るので、それは1つのプラントで配管20mで1つの注文書、横の配管で1つの注文書。それは掃除とか清掃作業というのも半分以上あって、メンテナンスですから、そういうのも全部含めると、ちょっと請け負った業者が非常に大変だなというのがあるので、何らかの決め事がないと困るなということはありますね。
○副主任中央労働衛生専門官 今、御説明を頂いた工事の中には、配管等をいじるような改修工事のほかに、掃除とかの工事も入ってくるとおっしゃったのですが、具体的にどんな工事が実際にプラント等であるのか。差し支えない範囲で、例えばこういう工事があるみたいなものを、お示しいただくことは可能でしょうか。
○佐原委員 具体的に言いますと、なぜ定修をやるかというと、建築物と違って、中に流体、物が流れていますので、それが詰まったり、強い酸性のものやアルカリ性のものがあって配管を溶かすとか、そういう問題を与えるので、必ず2年4年に1回取り替えるという作業が生じるのです。その際にパッキンが、今はないですけれども、パッキンが問題になったりということがあるのですが、工場の中にある建屋というのは、そういう危険物というのは直接触れるわけではないので、危険物が流れる塔槽、配管に関して定期的に取り替えをやるという作業が生じるということです。
○課長補佐 もう1つ御質問なのですが、今、1つの定修で2,000から3,000の注文書が出るという話だったのですが、それを例えば、仮に1つの業者がまとめて請け負うという形であれば、例えばそれを1つの請負として扱うのは、やはり無理がある感じですか。
○佐原委員 1つの工事として受けるのですけれども、あくまでも税法上では1件1件が注文書になるので、注文書の工期が期をまたげば翌年度の計上にするとか、そういう問題があるので、我々としては1件1葉で何千件という管理をやっています。非常に煩雑ですけれども。
○豊澤座長 ボイラー、タービンなどもやはり似たような感じですか。化学プラント・製造プラント、ボイラー・タービンが、資料2の別紙3のこの2行ぐらいはそんな感じなのですか。
○佐原委員 タービンについても必ずメンテナンスしないとぶれたりしますので、ボイラーの中の燃えかすが詰まったりすることがあるので定修をやると。ボイラーは必ず高温なので保温剤が周りにあるから石綿の問題はあったのですが、逆にボイラーは必ず定修をやるので、もう10数年前のボイラーがそのままというのはほぼあり得ないけれども、中小、小さい所ではある可能性はありますね。
○豊澤座長 そのほかに何かございますか。
○漆原委員 例えば資料2の別紙3のように、水道施設台帳上では、簡易水道で半分以上は一応把握されていますし、上下水道でも6、7割ぐらいは把握されていると思います。ただ、残りは市町村合併などで資料が散逸している部分もあるため、明らかにそこにアスベストがないと分かっているものであって、一定金額以上の水道管の取替え工事となったときには、この簡易届出の対象になるという理解でよろしいでしょうか。
○副主任中央労働衛生専門官 この届出の対象として、建築物のように一律に全部お願いして、かつ、その上で規模基準を作るのか。一律にするのかどうかというところなので、水道管が例として適切かはわかりませんが、例えばほとんど使われていないものを届出対象にするのかどうかというところから御議論いただくのかなと考えております。かつ、届出対象にやはりしたほうがいいということであれば、何からの基準でその工事の範囲を決めていく必要があるのではないかということです。水道管だから100万円以上とか、そこまでは現時点では情報などもないので、これから整理するべきものかと考えております。
○出野委員 間違えていたら国交省で御指摘を頂きたいと思います。先ほど解体業者は何でも解体すると言ったのですけれども、実は細かく分けると3階建てになっています。まず1つが、専門工事業者が、自分の専門工事の範疇のものを解体する場合には、解体工事用に許可は要らないとなっています。例えば清掃工事業、例えば焼却炉の解体、これは清掃工事業の許可を持っている方が多分解体すると思います。一般の解体業者が下請で入ることはあるかもしれませんけれども、原則としてはそういう形になります。ほかもそれぞれあるのです。化学プラント、あるいはボイラー・タービンなどの重量物据付業とかいろいろそういう専門工事業があるのです。そういう方が大体解体をするのではないかと、これは予想ですけれども、そういう問題があります。これが専門工事業者になります。
 もう1つは、例えば大型の焼却施設の解体とか、そういう大型の解体工事というのは普通の解体業者はやりません。総合的な企画、指導、調整が必要な工事、これは建築一式工事で発注する、こういう法律になっていますので、これは間違いないですよね。ということで、これは普通と言いますか、ゼネコンに発注、ゼネコンが届出する、解体業者は下請に入る、こういうシステムになっています。というので、上と下が切れていまして、この真ん中のどちらにも該当しないものについて、解体工事業の許可で営業をするという3階建てになっています。そこら辺りの切り口も考えて区分するというか、分けることも1つの案かなと、ちょっと思いました。
○豊澤座長 なるほど、ありがとうございます。
○佐原委員 プラントの業界で言いますと、解体がこれもまたちょっと特種になるのかなと思うのですけれども、一般のユーティリティー、水とか空気の配管については、一般の解体業者でやったりするのですが、先ほど言いました危険物というか、中に危険物が流れている配管、あるいは塔槽類に関しては、やはりメンテナンス専業でやっている業者でないと解体がなかなか難しいと。もう切るだけで終わるというわけではなくて、危険予知をした上でやらなければいけないということで、定修をやっている業者はほとんど解体をやるというのがちょっと特徴的かなと思います。
○豊澤座長 それぞれ事情があるということですね。そのほかはございますか。
○副主任中央労働衛生専門官 事務局から質問ですが、先ほどプラントについては2年おきの定修があるということだったのですが、これは危険物に関するプラントについては、2年おきの定修ということでよろしいのですか。
○佐原委員 全く一概には言えません。お客様の判断になるので、先ほど言った配管、磨耗の度合いが大きいであろうと思われるところはもう毎年やったりすることもあるし、そこまででもないところは4年に1回とか、同じプラントの中でもそれぞれやり方は違って、我々が言うのではなくて、お客様の中の製品の稼動状況とか流体の状況によって判断してやるので、全く一概には言えません。
○副主任中央労働衛生専門官 そうすると、例えば2年おきで頻度高くやっているものとか、お客様、発注者のほうで判断をしてやる部分についてはほぼ終わっていると考えられる一方、そうではない部分も実際には残っているかもしれないということですか。
○佐原委員 そうだと思います。我々も工事をやる立場なので、お客様の設備というのは30、40年前に建てた業者はちょっと分からないものですから、全て把握しているかというとそういうわけではないので、メンテナンスと定修をやっている範囲であれば分かりますけれども、それ以外の部分も、かなり各プラントは非常に広い敷地なので、全てを2年、4年にやるというわけではないので、その辺はちょっと分からない部分が現実的にはあります。
○副主任中央労働衛生専門官 先ほど御説明をしたように、保温材とか吹付材の除去等工事については、届出を出していただくということで、現行制度上も保温材、それから吹付材についていただくことになっていて、工作物において、保温材等の除去があれば当然届出を頂いていると。現行の届出について、今、データ等をちょっと整理をしているところでして、工作物の届出としてどういったものが出ているのか、どの程度出ているのかという、直近の数にはなりますけれども、そこは次回までには御用意できればと考えておりますが、いわゆる建築物においては、吹付け等のレベル1、レベル2でリスクが高いところだからここは届出対象に入れなければいけないと議論されていた工事について例示としてお示しできるかとは考えております。ちょっと今日はお示しができなくて大変申し訳ありませんが、次回までに例をお示ししたいと考えております。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局建設業課) 恐縮です。事務局の補佐から御説明があったように、調査の対象とすべき範囲と、届出の範囲は、必ずしも一致していないだろうと。というのは、石綿の入っている可能性の高いものと低いものがあって、極めて低いものについてはそもそも調査の対象外でいいでしょうと。その高いものと低いものの中間にあるようなものについては、調査はしないといけないでしょうと。ただし、それを全て届けられても逆に労力ばかり大きくなってしまいますし、届けられたほうとしても、本当にチェックしたい所ではないものが一杯来てしまうというものになってしまうので、そういう意味でいうと、簡単に言えば、調査をしなくていい対象は、今日、例えば、入っている可能性がないものリストみたいなものが出てきていますけれども、そういったものですよと。届出をマストでやらなければいけないのは、入っている可能性が高いものリストですと。今日の資料の別紙3のように、煙突とか、あるいは笠井委員がおっしゃったような目的で入っている可能性が高いものについては届出のマストですと。概念的にはそういう違いなのかなと思ったのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○課長補佐 補足的に、先ほど若干漠然とした言い方をしたのであれだったのですが、建築物で、この届出制度を作りましょうといったきっかけは、建築物に石綿が入っているにもかかわらず、届出もしないで解体しているものが多いことが問題視されて、それをとにかく幅広く把握できるようにこの仕組みを作りましょうというのがもともとの趣旨だったのです。工作物で例を出すとして、例えば道路については昔石綿が使われていた可能性があるものがありますと、ただ、今は残っているのは本当にごく一部ですと。だけれども、ごく一部残っているから、道路についても100万円以上の工事は全部届出の対象にするということになると、世の中で行われている道路の補修工事から全て出させて、だけどほとんど空振りだという仕組みを作るのは余り合理的ではないのではないかという考え方に基づいて、今、国交省からもありましたように、届出は、可能性が高いものを把握して、それが措置も何も取らないような違法な解体・改修が行われないようにするための歯止めとして機能させるという考え方がいいのではないかという御提案でございます。これをどう絞り込んでいくかという作業なのだと思います。
○笠井委員 非常に乱暴な言い方かもしれませんが、例えばダム、これは外しましょうとか、あるいは資料に示されている護岸とか、明らかに石綿含有建材は使われていないと考えられる工作物は外していく作業を行い、外していくものが増えてくると石綿含有建材を使用していた工作物とはどういうものかが見えてくるのではないかと考えています。それがなかなか難しい作業なのかもしれませんが、例えば鳥居とか、電柱とか、このような工作物は議論から外してしまう、とにかく外せるものはどんどん外していくという網掛けをしておいて、後で、やはり石綿含有建材が使われていたという問題が相当出てくれば、それは事前調査の対象に追加していくという考え方でないと、最初から網羅的に完璧に区分するのは大変難しいことだと思っています。
○豊澤座長 そういうものを、出野委員が言われたように、コンクリートでも補修していれば、もしかしたら補修材にアスベストが入っているかもしれない、そういうのを付け加えていくと、どうなのでしょう、その辺の議論は、どのぐらいあるのかにもよるのでしょうけれど。
○出野委員 今の意見の反対になりますけれど、外していくのと、逆に、ポジティブにこれとこれは届出をしなさいと、こういうやり方もありますね。そうすると業者としては、これとこれとをやれと言われたほうが、やりやすいと言えばやりやすいですかね。どっちがいいか分かりませんけれども。
○笠井委員 どちらからのアプローチで決めていくかだと思います。
○課長補佐 事務局からの御提案は、届出対象はポジティブリストみたいな形にしたほうが分かりやすいのではないかという御提案です。
○豊澤座長 そのほかにございますか。
○佐原委員 ダム自体は確かに多分使われていないと。ただ、ダムには必ずボイラー、タービンは付き物だということが出てくるので、非常にややこしいと言えばややこしいです。
○豊澤座長 おっしゃるとおりですね。ダムはコンクリート躯体はないだろうけれど。
○佐原委員 細かく見ていくとそうなってしまうので、ちょっと難しいなと。
○豊澤座長 議論は尽きないですが、論点2について何かありますか。なければ、もし必要だったらまた言っていただいても構いませんけれども、論点3について御意見を承りたいと思います。
 論点3は「その他」です。その他、「建築物における中間とりまとめのうち、上記1、2以外の内容は工作物についても妥当か。工作物について異なる対応が必要となるものはないか」という論点が示されていますけれども、その他について何かございますか。大体今までの議論で出ているものが多いと思いますが、事務局からこういう意見がほしいとか、何かそういうのはありますか、特にないですか。
○課長補佐 議論のための1つの御確認したい事項ということで、建築物のほうで、今回、石綿が含有されている作業については写真などで記録を残していただくという話にまとまっているのですが、例えばそれが先ほどの化学プラントとかもそうなのですが、お客様のところの補修とか、定修とかをやるときにも、請負った工事業者がそういうことをやることが許されるのかどうかということが以前話題として出たことがあるのですけれども、それについて何かお考えとかございますか。
○佐原委員 先ほど言いましたように、2つのケースがあって、石綿があるかどうかも分からないので調査も含めて全部やってでくださいというケースと、お客様から、これはもう石綿が入っているので、それに基づいてちゃんと届出なり最後まで産廃業者まで指定した上でやってくださいというケースの2つ。
○課長補佐 聞きたかったのは、工場の中とかを写真で撮ることになるので、守秘義務とかの関係で、なかなか難しいというのはないかと。
○佐原委員 写真は基本的に請負業者は撮れないです。設備オーナーでないといまだに駄目です。写真も携帯もiPadも全部持込み禁止なのです。ほぼどこの会社でも。
○課長補佐 その場合どうやって記録を残していくのかをちょっと整理する必要があるかと思います。
○佐原委員 作業指示書を基に、作業が終わりましたという書類を出すだけで、いわゆるゼネコンが全部写真を撮ったりするのは一切ないですね。お客様立合いの下に配管をバラしたりするので、危険物ですから、現認は必ずお客様が付いてやりますので、それでお客様が目で見て、写真を撮ることはないです。
 新設はもちろん記録書を作るときに写真は許可を得て撮る場合がありますけれども、補修、メンテナンス、定修で写真を撮るというのはほぼないです。終わったときも、必ず終わりましたということを、お客様の現認の上に、終了のサインをもらいますので。
○課長補佐 仮にそうだとすると、今回、建築物で議論したように、石綿がある場合は、一応作業計画を作って、作業計画どおりにやったかどうかを客観的な証拠で残してくださいということになったときに、どのようなやり方が考えられますか。
○佐原委員 それは書類で残して、最後は指定の産廃業者があるので、そこから書類をもらうということになるのかなと思いますが、もの自体が写真が撮れないので、処理業者の書類をもらうしかないかと思います。それも最近10数年は例がないので、直近の具体例はちょっと分からないです。
○漆原委員 今の話とはちょっと違うところで恐縮ですが、中間報告の4ページ目の中段ぐらいの所に、「解体・改修工事開始前の届出」とありますが、工作物だと、頻繁ではないにしろ多分それが難しいケースもあろうかと思います。先ほど水道の話をさせていただきましたが、漏水等で道路に水が貯まっているような状況で、すぐに工事に入らなければならないときに、ここで言う14日前までの届出というのはなかなか難しいでしょうし、ことによったらほかの工作物についても、緊急的な対応といった補修について、事前の届出はできないケースもあろうかと思いますが、そういうことは想定されるので、そこをどう考えるのでしょうか。
○課長補佐 それは例えば事前に調査を行うことも難しいというイメージですか。
○漆原委員 できるとは思いますけれども、それはケースバイケースなので、全てどうこうとはちょっと分からないのですが。例えば先ほどの水道管で言えば、まだ不明な部分の水道管の所についてはやはり調査も必要になってくる場合もあるでしょうし、というところはあるとは思いますが。そのほか、例えば資料2の別紙3にありますように、歩道橋とかそういった所の補修となったときには、そこがどうなのかというのはちょっと何とも分からないところではあります。
○副主任中央労働衛生専門官 14日前の届出の対象というのは、吹付材だったり。
○漆原委員 そうですか。
○副主任中央労働衛生専門官 そうですね。それから保温材等なので、歩道橋の場合はもしかしたらそうしたものが裏面にあるかもしれないと思うのですけれど。
○漆原委員 水道管は大丈夫です。
○副主任中央労働衛生専門官 そうですね。
○豊澤座長 水道管の場合は、簡易届出が要るか要らないかという議論で、その14日前というのは工事届出なので、これはそこまでは要らないと。
○漆原委員 失礼しました。
○豊澤座長 そうですね。レベル1のものだけについてですね。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局建設業課) 手続の話で言うと、災害のときはどうなっているのでしたか。
○課長補佐 一応、規定上は、きっかけが災害であろうが自ら工事をやる場合であろうが、解体とか改修をやるときは全て、例外なく、今のルールが適用されることになるので、吹付けとか、保温材は違うのですが、14日前に届出をしないといけないことになります。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局建設業課) 現行はそれがやられてないということですか。災害時にそんなことを言っているとはとても思えないのですが。
○課長補佐 でも、実際に災害で、例えば半壊した建物を解体しますというときは、同じように14日前に恐らく届け出ていただいていると思います。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局建設業課) 例えば阪神大震災で阪神高速の橋脚がポコっと倒れましたけれども、あそこの裏に仮にあったとして、燃えないようにか何か分からないですけれどやってたとして、その届出を14日前にというのは多分あり得ないですよね。災害時に緊急に何か、確か大防法は災害の場合は終わってから。
○オブザーバー(環境省) 大防法は一応その災害地等のものもありますけれども、ただ、阪神・淡路のときには、大防法そのものにまだ今の石綿の解体の規定がなかったので。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局建設業課) 例はよくないですけれど、災害のときにはそんなことを言ってられないという、みなしでとにかく作業を上げるぞみたいなことだと思うのですが。
○オブザーバー(環境省) 大気汚染、環境省からお話をさせていただきますと、一応、大気汚染防止法の規定で、災害時とか緊急時の規定は、届出の手続の順番の規定については設けていますけれども、本当にその緊急時だけで、それともう一方で、災害時の石綿飛散防止のマニュアルも今作ってお示ししておりますが、例えば半壊の建物を、まず避難して、しばらくして復旧・復興に向けて解体とかそういったのをやっていくときには、当然、通常どおり、入れればもちろん調査をしてもらったりとかということになりますし、ひょっとしたら吹付けがあるかもしれないけれども、中に入れなかったりとか、そういう調査をすることが逆に難しいというときには、自治体と協議しながらチュウジ解体をしたりとかいうことはありますので、本当の緊急時、目の前にというときと、復旧・復興とは少し扱いとしては別かなというところはあるかと思います。
○出野委員 災害の場合に解体をするとしたら、大体数箇月後ですね。復興・復旧工事というのは。その場でやるというのは人命救助ですね。人命救助のものを解体と言うかというと、言わないと思いますけれど。
○オブザーバー(環境省) 緊急のときには、人命救助とか避難の確保とかという、解体作業というよりも、本当の緊急対応という。
○オブザーバー(国土交通省土地・建設産業局建設業課) 道路啓開ですね。例えば東日本もそうですけれども、人命救助の前に道路啓開ができなかったら現地に行けないので、一番最初にやっているのは道路啓開なのです。そんなときに届け出れるわけはないので、そこは一応、後で、届け出れなかったから違反ですとは誰も言わないですけれども、言わないようなことに一応しておかないとおかしい。大防法みたいに事後届けでいいというように、どこかでなっているほうがいいと思います。
○豊澤座長 ありがとうございました。そのほかございますか。今日は皆さんからまずは意見を頂くということなので、もしなければ、以上で本日の議題については一通り議論を頂いたということにしたいと思います。たくさんの御意見を頂きました。石綿使用の現状とか状況について非常に貴重な御意見を承ったことを感謝申し上げます。
 それでは今日頂いた意見を踏まえて、論点を事務局で整理していただいて、次回のワーキングに出していただければと思います。そのほか届出についても少し調べていただけるということなので、その辺の資料もお願いいたします。その他、事務局から何かございますか。なければ本日の議題は全て終わりました。
 それでは、事務局に議事をお返しいたします。
○副主任中央労働衛生専門官 本日は長時間にわたりまして御審議、ありがとうございました。本日の会議録につきましては、各委員に御確認いただいた上で公開することとさせていただきます。
 次回のワーキンググループにつきましては、2月20日に予定しておりますが、開催場所等の詳細については、委員の皆様には改めて事務局より御案内させていただきます。
 以上で、第1回建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会工作物に関するワーキンググループを閉会いたします。本日はありがとうございました。