2021年11月5日 第3回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和3年11月5日(金)13:55~15:06

場所

オンライン会議

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  •  稲葉 由之
  •  風神 佐知子
  • ◎加藤 久和
  •  高橋 陽子
  •  樋田 勉
構成員以外の関係者
  •  西郷 浩(早稲田大学政治経済学術院教授)
  •  眞子 武久(東京都総務局統計部人口統計課)
事務局
  •  鈴木政策統括官
  •  田中政策立案総括審議官
  •  古舘参事官(企画調整担当)
  •  野口統計管理官
  •  井嶋労働施策情報分析官
  •  奥垣統計企画調整室長
  •  渡邉審査解析室長
  •  高田雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

  1. 1 毎月勤労統計調査におけるベンチマークの更新等について
  2. 2 本ワーキンググループにおける今後の検討課題について
  3. 3 その他

議事

議事内容


○奥垣統計企画調整室長
ただいまから、第3回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを開会いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の出席状況ですが、全員の先生方に御出席いただいております。また、本日は審議協力者として、早稲田大学政治経済学術院教授の西郷先生、東京都総務局統計部人口統計課の眞子課長に御出席いただいております。
それでは、以降の進行は、加藤主査にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
皆様、本日は毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループに御参集いただきまして、お忙しい中、どうもありがとうございます。それでは、議事を進めてまいりたいと思います。
本日の議題ですが、1.「毎月勤労統計調査におけるベンチマークの更新等について」、2.「本ワーキンググループにおける今後の検討課題について」、3.「その他」となっております。なお、本日のワーキンググループは16時までを予定しておりますが、予定時間を若干過ぎる可能性もあるかと思います。そのような場合、御予定がある方は、御退席いただいても結構です。
それでは、まず議事1の「毎月勤労統計調査におけるベンチマークの更新等について」です。前回のワーキンググループに引き続き、ベンチマーク更新の方法について議論を行いたいと思います。なお、今回のワーキンググループにおいて、一定の方向性を打ち出したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
 
○野口統計管理官
統計管理官の野口です。資料1について御説明させていただきます。資料1の2ページです。ここに、前回頂いた主な意見を整理させていただいております。大きく分けて3つくくりを作らせていただいております。
まず、1つ目のくくりとして、ベンチマーク更新に用いるデータについてですが、令和元年次フレームは新しいデータではあるけれども、労働者数の更新状況は産業によってばらつきがあるように思われる。また、労働者数の更新があった事業所は17%、小規模の更新が少ない。もう1つの点として、令和元年次フレームのほうが情報量が多いので、ベンチマークとして利用することも考えられる。ただし、存続事業所の労働者数は平成28年から増加している分、労働者数が少なく見積もられる可能性があるので、工業統計を使って製造業の整合性などを確認してもいいのではないかというお話がありました。というのは、令和元年次フレームが大半の事業所について、存続事業所は外観確認で、労働者数を把握していないという特徴があったことに対する委員の先生方からの御意見です。
2つ目のくくりとして、公営事業所の推計についてです。これは、平成28年経済センサスをベンチマークに使うとしたときに、公営事業所の労働者数を把握していない点をどのように取り扱うかということについての御意見です。公営事業所については、後ほど資料に掲載させていただいている案が5つありましたが、案5がよいと思う。また、案1、案2、案4については、過去のデータ、具体的には平成21年から平成26年のセンサスのデータを使って、この案の適合度を確認してはどうかという御意見を頂いております。もう少し細かい話としては、案4、案5については大きな差はないけれども、案4のほうがシンプルで、作業上のミスを減らすという意味ではいいのではないか。案5については、新規把握分だけでも労働者数を把握して、労働者数を推計している点で利点があるというような御意見を頂いております。
大きな3つ目のくくりとして、ベンチマーク更新をするに当たっては、調査結果に関する影響を検証しておく必要があるのではないかということです。令和元年次フレームと平成28年センサス、どちらを使うにしろどのように給与など賃金に違いが出ているかというのを、きちんと見ておくべきというような御意見を頂いております。
これらの御指摘に対して、今回、3ページ以降の資料を御用意させていただいております。資料の3ページから8ページまでに、令和元年フレームについての御指摘を踏まえた分析をしておりますので御説明いたします。
まず3ページです。前回、令和元年次フレームを規模別に更新状況を整理させていただいておりますが、今回は産業別に把握している更新状況を整理させていただいております。令和元年次フレームにおける平成28年経済センサスからの事業所数や労働者数の更新状況を見ると、労働者数については「複合サービス事業」と「金融業,保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「製造業」で更新されている割合が多いということです。
資料の4、5ページに、規模別・産業別にこの状況を整理させていただいた資料を掲載しております。先ほど申し上げたように、前回の資料でもありました規模別の更新状況を見ると、大きい規模の事業所のほうが更新率がいい、それに今回の産業の特徴の「複合サービス事業」、「金融業,保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「製造業」等で更新状況が多いということが、4、5ページの資料でも確認できるような状況となっております。
資料の6ページです。製造業について、工業統計調査と令和元年次フレームの更新状況を比較しております。工業統計調査と経済センサスや令和元年次フレームについては、定義の違いがあります。定義の違いはありますが、3ページの更新状況を留意いただきつつ、労働者数の変化を確認いただければと思っております。工業統計調査の常用雇用者数を見ていただくと、平成28年6月で従業者4人以上の所で668万、30人以上で516万。平成28年経済センサスで見ると、常用雇用者数5人以上で771万、30人以上で592万と若干規模に差があります。これを令和元年6月時点の工業統計調査と、令和元年次フレームで把握されている製造業で見ていくと、それぞれ代表的なところ30人以上でいうと、令和元年6月の工業統計調査が551万、令和元年次フレームが604万となっております。この変動状況を見ると、一番下に伸び率があります。平成28年から令和元年の伸び率ですが、常用雇用者数の4人以上で工業統計調査が3.9%、30人以上で6.8%。これに対して、平成28年経済センサスから令和元年次フレームについて、常用雇用者5人以上で1.7%、30人以上で1.9%と、経済センサスから令和元年次フレームへの変化率のほうが更新状況を反映している可能性もあると思われますが、伸び率が小さいということが今回データから把握されております。以上が、前回頂いた論点について資料で確認させていただいたものです。
これらを踏まえて、資料の7ページです。ベンチマーク更新による常用雇用指数の変化の試算をグラフにしながら特徴を整理させていただいております。平成28年経済センサスを使ったベンチマーク更新をするとした場合には、グラフの真ん中の縦線の中ほどに青いマルで書いておりますが、この時点で毎月勤労統計調査の常用労働者数を経済センサスで把握している常用労働者数に合わせにいって、ベンチマーク更新をしたというものです。右側の線の中ほどぐらいにある緑のマルの所ですが、このマルが令和元年6月時点の毎月勤労統計調査の常用労働者数を、令和元年次フレームの常用雇用者数に合わせにいってベンチマーク更新をするというイメージです。ただし、下にある緑の太い矢印の下に注釈を入れさせていただいておりますが、令和元年次フレームの労働者数の更新については、いつの時点の労働者数が反映されているかというのが、令和元年次フレームを更新している様々な統計によって異なるために、いつの時点の労働者数か、いつの時点のものが把握されているのかというのが分からないというのが、今回までの内容で分かっているものです。
これらの全体像を整理させていただいているのが資料の8ページです。主要な点として、まず令和元年次フレームについて、縦に御説明させていただきますが、中ほどの労働者数の更新状況です。労働者数の更新状況は、平成28年経済センサス調査を基に、令和元年経済センサス等の調査結果によって更新されております。ただし、懸念の点が※の2つ目ですが、いつの時点の労働者数に更新されているかというのは、事業所によって異なるというのが令和元年次フレームの特徴です。
それから、データ利用に当たって課題があるという点です。下のほうにある※の1つ目ですが、令和元年6月の労働者数として使用した場合に、労働者数が過小に評価されている可能性がある。というのは、令和元年6月以前のいつかの時点で労働者数が更新されているために、実際に令和元年6月時点のものではないということを表しているものです。
※の2つ目です。先ほど産業別にお示しさせていただきましたが、労働者数の更新状況に偏りがあるということから、毎月勤労統計調査の調査結果を集計するときに、平均賃金等の結果に影響が出るということが懸念されるような状況です。表の右側です。平成28年センサスについて申し上げます。労働者数の更新状況については、全ての民営事業所で労働者数を平成28年6月時点で把握して更新されているということです。データを利用するに当たっての課題ですが、平成28年経済センサス活動調査が公営事業所の労働者数を把握していないため、毎月勤労統計調査のベンチマークとして利用する場合には、別途推計が必要になってくるというところがあります。
これらの特徴を踏まえて、事務局として整理させていただいた考え方を、表の下の青い矢印の所に、2つのマルでまとめさせていただいております。令和元年次フレームを用いる場合には、労働者数が過小に評価されている可能性があるため、何らかの補正が必要と考えられます。しかしながら、事業所によって更新状況や更新時期が異なるため、これら一つ一つについて状況を把握して更新するということは困難かと思っており、補正することは実質的には困難であろうと考えております。2つ目のマルですが、このような令和元年次フレームの状況を考えれば、次善の策として公営事業所の労働者数を推計した上で、平成28年経済センサス活動調査を用いるべきではないかというのが事務局として整理させていただいたものです。
続いて資料の9ページです。平成28年経済センサス‐活動調査の結果を用いてベンチマーク更新をさせていただく場合には、公営事業所の推計が必要になってくるというところです。冒頭、案1から案5というのが、前回御説明させていただいているものですが、公営事業所の労働者数の推計方法を5つ提案させていただいているところです。案1については、平成26年から労働者数が変化していないという前提に立ったもの、案2が労働者数が民営事業所と同程度の増減率で推移すると仮定したもの、案3が労働者数が平成21年から平成26年までの公営事業所の増減率が続くと仮定したもの、案4が、平成26年から令和元年までの公営事業所数の増減率を用いて平成28年時点の労働者数を把握するとしたもの、案5は、平成26年から令和元年の事業所数を用いるのですが、令和元年の時点の公営事業所の労働者数を推計した上で、平成26年から令和元年の事業所の労働者数の増減率を推計しながら、合わせ技で案4を補完するとしたものです。
続いて、資料の10ページです。平成28年の推計労働者数の結果を整理させていただいたものです。推計結果については、民営事業所の労働者数の増減率から推計するとした案2で若干大きくなっているということが前回お示しした特徴です。今回、前回と資料の体裁を変えているのは、余り大きな違いが出ない、若しくは違いを見て取っていただくために、今回は小数点第1位まで、労働者数を1,000人の単位で数値を示させていただいているところが前回からの変更点です。
資料の11ページです。冒頭に御説明させていただいた課題でも頂いているところですが、平成26年の公営事業所の労働者数というのは既知のデータですので、案1、案2、案4について、平成26年の既知のデータを平成21年の結果から推計するというものです。推計した結果が11ページです。結論から言うと、表の右側に推計した結果と平成26年の実績の乖離率として整理させていただいております。乖離率を見ると、全体で案1で1.5%、案2で16.1%、案4で-0.1%ということですので、乖離率の幅が計で一番小さいのが案4です。それから、産業別に乖離率を見ておりますが、「不動産業,物品賃貸業」以外についてはこの乖離率の絶対値がいずれの産業でも、案4が最も小さいという結果が出ております。
これを踏まえて資料12ページですが、案1から案5について、それぞれ特徴を整理させていただいております。案1については、推計の必要はないが、平成26年から平成28年の変化が反映されないということがあります。案2ですが、民営事業所の労働者数の増減率を使っている関係で、他の案よりも公営部門の労働者数が大きめに推定されるというおそれがあります。案3ですが、過去の伸び率に基づき推計されているため、近年の変化が必ずしも反映されないという可能性があるかと思っております。案4ですが、1事業所当たりの労働者数が変化しないという前提に立って推計するということになるかと思っております。案5ですが、案4に加えて労働者数を把握している事業所については、把握している情報を活用して推計ができるということになっています。
11ページの乖離率の状況等を踏まえながらこれらの論点を整理させていただいて、事務局で取りまとめさせていただいた考え方を下に1行記載させていただいております。第2回のワーキンググループの議論、それから今回の実績との乖離率の推計を踏まえると、平成28年の経済センサスを使う場合には、案4若しくは案5で公営部門の推計をしてはどうだろうかということで、事務局として案をまとめさせていただいております。
続いて、資料の13ページです。前回お示しさせていただいたベンチマーク更新の影響についての表を再掲させていただいております。さらに、それをもう少し細かく見るために、資料の14ページにベンチマーク更新が賃金等に与える影響について、更に丁寧に見させていただいたものを御用意させていただいております。
特徴としては、表の真ん中ですが、令和元年次フレームを用いたベンチマーク更新による試算をすると、毎月勤労統計調査の令和3年5月推計で「きまって支給する給与」について1,384円ほど現行との差が発生するということです。この差の要因は、事業所数や労働者数の更新状況の影響から、「宿泊業,飲食サービス業」の労働者が少なめに推計されている可能性があり、賃金水準の少ない労働者が少なめに推定されるために、全体の平均賃金を押し上げるというような結果が懸念されるというところです。資料の説明は以上です。
 
○加藤主査
どうも説明ありがとうございました。本日は既に御説明にありましたように、平成28年経済センサス‐活動調査と令和元年次フレームのいずれを用いるのが適切かという点と、仮に平成28年経済センサス‐活動調査を用いる場合には、どのような公営事業所の推計方法を用いるべきかと。この2点について一定の方向性を取りまとめたいと考えております。
これに則した形でこれから御議論をいただければと考えておりますが、2つの論点がありますので、まず、委員の皆様から平成28年経済センサス‐活動調査と令和元年次フレームのどちらのほうがいいのかという点を御議論いただき、その後に、もし仮に平成28年経済センサス‐活動調査をということであれば、公営事業所の推計方法についてどうすればいいのかということで、順を追って議論をさせていただければと考えています。
それでは最初に、平成28年経済センサスか令和元年次フレームかということで御説明にありましたような内容につきまして、皆様方、御質問、御意見等ございましたら是非お願いできればと思います。それではどうぞ、どなたからでもどうぞよろしくお願いいたします。
 
○風神委員
慶応義塾大学の風神です。
 
○加藤主査
よろしくお願いいたします。
 
○風神委員
やはり令和元年次フレームのほうはその更新状況が規模であったり、産業によって差があるという点と、労働者数が過小に出てしまっており、それが給与に影響を与えるということで、問題ではないかと認識しております。そうすると平成28年経済センサスのほうがいいのではないかと考えますが、これを使った場合にはやはり時間がたっていますから、今後この令和2年ですか、将来的に使えるようになった際にはその際にまたフレームを更新するなど気を付ける必要があるかなとは思います。以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりだと思っております。いかがでしょうか、ほかに御意見、コメント等いただければと思います。
 
○稲葉委員
稲葉です。よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
稲葉先生、よろしくお願いいたします。
 
○稲葉委員
私、前回のワーキングを欠席してしまいまして、誠に申し訳ありませんでした。勘違いしている点があるかもしれませんが、そのときにはどうぞ御指摘くださいますようお願いいたします。この事務局の整理、8ページに説明されている最後の2行で整理されていると思いますが、この整理について賛成いたします。御指摘がありましたように、資料1の5ページ目にあります規模500人以上の更新ありというようなもので見ていきますと、非常に分かりやすいかと思います。「金融,保険業」では労働者数の更新ありが78%。そして「宿泊業,飲食サービス業」で見ると7%というように大きな差が生じているということが分かります。また、規模別に、4、5ページにかけて続けて見ていくと、大きな差が生じている、更新の度合いに差があるというような状況です。産業や規模によって更新度合いが異なるということは、令和元年次フレームをベンチマークとして使用するのは適切ではないという面があると思います。以上です。
 
○加藤主査
稲葉先生どうもありがとうございました。確かにこの規模によっても大きな更新の違いがあるということは、これはこのまま当てはめますと、更に、そのゆがんだ形での給与等の更新になってしまうということになるかと思います。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
今、風神先生と稲葉先生からは平成28年経済センサス‐活動調査のほうが適切ではないかというような御意見をいただきました。特に御意見等がなければ最初の論点に関しましては、平成28年経済センサス‐活動調査を、まずはこれを使っていこうというような形で取りまとめていきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
 
                                   (異議なし)
 
○加藤主査
ありがとうございます。それでは平成28年経済センサスを使ったということを前提とした場合、公営事業所の推計に関してということでございます。先ほどの御説明の後半のほうにございましたが、この公営事業所の推計方法について、もし御意見あるいは御質問等がございましたらお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
ただいま事務局のほうから、資料にございますように、第2回ワーキンググループにおける議論及びこれまでの推計といいますか、試算の結果を踏まえると、案4または案5で対応してはどうかというような考え方が示されております。これは案1、案2、案3と比べますと、いずれにせよこの方向性でもいいのかなと考えますが、何か御注文であるとか、御質問等がございましたらお願いできればと思います。
 
○樋田委員
樋田ですがよろしいでしょうか。
 
○加藤主査
どうぞよろしくお願いいたします。
 
○樋田委員
11ページの平成21年と平成26年のセンサスを使った試算をしていただきありがとうございます。この試算の結果を見ますと、案4の乖離率がもっとも小さく、案5についてもほぼ同じ計算式なので、案5も乖離率は小さいのだろうと思います。この結果と計算式の形から、案4あるいは案5が適当なのではないかなと思います。以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等、ございますでしょうか。基本的には案4もしくは案5、案5を基本とするということですが、データの状況や事務作業等を考慮すると、案4も捨てられないということもあるかと思います。もし御質問あるいは御意見等なければ当面ですね、案4若しくは案5ということを基本として進めていきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
 
                                   (異議なし)
 
○加藤主査
ありがとうございます。それではここまでの取りまとめということで少し中身について確認をさせていただければと思います。最初に前回のワーキングまでで議論が済んでおりますが、いつベンチマーク更新を行うかということについては、まず次回のベンチマーク更新に当たっては、母集団労働者数の推計と実績との乖離を早期に是正するために、令和3年経済センサス‐活動調査の公表を待たず、令和4年1月から行うことが適当と考えます。なお、本来は母集団労働者数の推計方法と一体的に検証することが望まれますが、これは今後の課題として整理させていただきたいと思います。
今、御議論いただきましたようにベンチマーク更新に用いるデータですが、ベンチマーク更新に用いるデータに関する論点として、労働者数をどれだけ適時、的確に把握できるかということが重要になるかと思います。
令和元年次フレームについては、より直近の情報を反映できるという利点はありますが、令和元年6月の労働者数として適用した場合には、労働者数が過小に評価される可能性があること。また、事業所によって更新状況や更新時期が異なる中、補正することは困難であるという特徴がございます。
一方、平成28年経済センサス‐活動調査については、多少時点は古くなるものの、平成28年6月の一時点での労働者数を把握しているという特徴があります。従前のベンチマーク更新の方法とも親和性があることから、平成28年経済センサス‐活動調査を用いることが適当と考えます。
そして、続きまして、公営事業所の推計方法です。平成28年経済センサス‐活動調査を用いる場合には、調査で把握されていない公営事業所の推計方法を考える必要があります。こちらにつきましては事務局から5つの案を示していただきました。このうち、案1は労働者数の変化を全く織り込まない。案2は民営事業所と公営事業所の伸びが同程度だという仮定している点で難点があります。また、案3は参照時点がやや古いのではないかという御意見もありました。案4及び案5は最新の調査の結果を反映しているものであり、いずれも適当と考えます。特に案5については、令和元年経済センサス‐基礎調査で把握した新規の公営事業所の労働者数を組み込んだものであり、より精緻に計算がなされているものと評価します。したがって本ワーキンググループとしては、案5を採用することが適当と考えます。
ただし、案4と案5ではシミュレーション結果に大きな差が見られませんでしたので、今後データの状況や実務作業を考慮し、作業量が膨大となることが判明した、あるいは作業手順が煩雑となり、誤りを起こすリスクが高くなった等の事情がありましたら、案5ではなく案4を採用しても差し支えないと考えています。その際は、事務局はワーキンググループに状況を報告していただくように求めたいと思います。
最後ですが、厚生労働統計の整備に関する検討会への報告ということで、通常ワーキンググループでは検討結果をまとめて報告書の形にして、厚生労働統計の整備に関する検討会へ報告を行っております。毎月勤労統計調査におきましては、本日の議題2で議論するとおり、まだ検討すべき課題が残っておりますが、ベンチマーク更新について一定の方向性が得られたことから、当該部分を切り出し、先行して報告を行いたいと考えております。本日取りまとめた方向性を基に、厚生労働統計の整備に関する検討会への報告案をまとめ、次回のワーキンググループで提示し、内容について議論を行いたいと考えておりますので、事務局においては準備をお願いいたします。
なお、最終的な報告書の在り方につきましては、他の課題についても議論が進んだ段階で改めて検討したいと考えております。というような形で取りまとめたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
 
                                   (異議なし)
 
○加藤主査
どうもありがとうございます。これで議題1は終了させていただきます。
続きましては、議事2の本ワーキンググループにおける今後の検討課題についてです。ベンチマーク更新以外のどの課題について検討を行うことが適当か、これまで委員の皆様からいただいた御意見も踏まえ、事務局に整理をしていただきました。それでは事務局から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 
○野口統計管理官
統計管理官の野口です。資料2について御説明させていただきます。資料2は本ワーキンググループ、それから統計委員会等で指摘されている毎月勤労統計調査の改善に関する様々な検討課題について、3つのくくりに分けて主要なものを整理させていただきました。ただし、資料の一番下に記載のとおり、標本設計、推計方法など、それぞれの課題が密接に関連していることもありますので、おおまかな枠組みとして整理させていただいたことを前提として、資料を御覧いただければと思っています。
それでは、資料の詳細を御説明させていただきます。まず調査方法、それから標本設計ですが、毎月勤労統計調査の地方調査と全国調査ですが、毎月勤労統計調査は地方調査のみに集計する客体があるというところが特徴として御説明させていただいています。この地方調査の客体と全国調査の客体を合わせるなどして、客体を全体として大きくして設計をし直すということが課題として挙げられているところです。
2つ目の課題ですが、調査対象事業所数の見直しです。括弧の中にあるように現在毎月勤労統計調査は事業所規模で申しますと、500人以上規模事業所を全数調査として調査をさせていただいています。ただし、この500人以上規模事業所の数が地域によって偏在をしたり、事業所の数が多くなってきているということもありますので、規模別の調査客体のバランスなどを考えるために、例えば「500人から999人」と「1,000人以上」など、サンプルを分けて見るなど調査対象事業所のくくりなどをどうするかということが、検討の課題として挙げられると考えています。
それから、3つ目ですが、調査員への依存度の少ない、安定的に調査ができる方法の検討です。現在、第二種5~29人規模の事業所については統計調査員によって調査をするという方法を取っていますが、今回の新型コロナウイルス感染症の影響や、いわゆるデジタルのインフラ環境の整備の状況などもありますので、例えばオンライン調査を有効に活用していくなどということで、調査方法を調査員に依存するのではなく多様化させるということが1つの課題かと考えています。御参考までに、今年秋から第二種のサンプル替えをさせていただいていますが、このサンプルからオンライン調査のIDやパスワードを調査対象事業所の指定の際に、最初から交付するという形で、オンライン調査を推奨するというような取組を始めさせていただいています。
4つ目ですが、企業にとって負担のない形で調査の方法ができないかということです。現在、事業所を対象に毎月勤労統計調査をさせていただいていますが、1つの企業で複数の事業所が調査対象になるなど、企業にとって負担が発生するというような声も聞かれるところです。こういった課題をどのように取り扱っていくかということも、将来的な課題と考えています。
続きまして、推計方法についてです。第1回の毎月勤労統計調査の仕組みの説明の中で触れさせていただきました母集団労働者数の推計においては、雇用保険データによって補正をさせていただいていますが、この適合度合いを0.5という係数で実施しています。この適合度合いをどういう比率にするのか、この0.5というものが適切なのかということを検証するということが、1つの課題と考えています。
推計方法の2つ目ですが、毎月勤労統計調査の回収率を考慮した推計方法を検討してもよいのではないかというご指摘です。視点としては、2つ考えられるかと思っています。回収率全体の水準がどういうものになっているかということ。それから継続して回答していただいている事業所の中で、例えば回収ができていない月があるというような状況で、調査結果にどのような影響が出るかということも考えていく必要があるかと考えています。
3つ目ですが、今回ベンチマーク更新について御議論を頂いているところですが、今回の資料でグラフを提示させていただいたように、ベンチマーク更新で少なからず常用労働者数に多少なりの動きがあります。これが調査結果に少なからずの影響を及ぼすということがありますので、調査結果がゆがまない計算方法、遡及推計の在り方など、技術的な検討をしてもよいのではないかという御意見があります。
それから毎月勤労統計調査を御利用いただいているユーザーの方々に対して、公表関係で幾つかの検討課題があると考えています。まずサンプル入替えやベンチマーク更新についての技術的な情報開示がまだ少なく、なぜ数字が変わったか、どの時点でどのように変わったかということが分かりにくいというような御指摘があります。
2つ目として利用者が使いやすい形での公表、それから恐縮ですが、数字に訂正が生じた場合にどのようにユーザーの方々に通知をすればいいのかということを検討しないと、例えば経済関係の先生方が既にデータをダウンロードして、分析をしようとしたときに、そのデータが最新のものであるかどうかを確認しなければならないという手間が生じているというような御指摘を、ワーキンググループの中でもいただいています。こういったものにユーザー目線でどのように対応するかということも、課題の1つと考えています。
3つ目ですが、季節調整法です。季節調整を実施している政府の統計は、毎月勤労統計調査以外についてはセンサス局法のX-12-ARIMAへ移行が済んでいます。毎月勤労統計調査については、正確に申しますとX-12-ARIMAを使ってはいるのですが、ARIMAの中のオプションでX-11オプションということで、いわゆるX-11を使っているという状況になっています。これをX-12に変更するということ、それから変更に当たっては季節調整の調整期間の設定なども議論が必要と考えています。
4つ目ですが、地方調査について都道府県間で公表の様式が違うので、地方調査を使うときの利用の便が悪いというような御指摘をワーキンググループでもいただいています。こういった共通のものを考えながら、都道府県の特性に応じた公表などに変えていくということも課題と考えています。
それから統計調査の結果に誤りが生じないために、毎月勤労統計調査をどのように工夫すればいいのかということも、このワーキンググループの中で御指摘を頂いているところです。以上が御指摘を頂いたことを整理させていただいたものを、資料として用意させていただいています。
一方で、先ほどベンチマーク更新のとりまとめを頂いた際に、加藤主査からもありましたが、本来ベンチマーク更新は母集団労働者の推計などと一体的に検証するということが必要というような御示唆がありました。そうしたことも踏まえまして、事務局としては次に検討していただきたい課題として、母集団労働者数の推計における雇用保険データによる補正の適合度合いを中心に御検討いただけると有り難いと考えています。
それから、もう1つ季節調整の手法について、様々なデータを御用意して御確認を頂きながら季節調整法をX-11からX-12に移行させていただく。この2つの課題が、速やかに手を付けて、現在の検討に関連性の高い課題と考えているところです。資料の説明については以上です。
 
○加藤主査
御説明どうもありがとうございました。これから自由に御意見、あるいはコメント、御質問を頂きたいと思いますが、その前にまず私から1つ質問をさせていただきたいと思います。
外部の有識者の方から、母集団労働者の補正に関して雇用保険データの適用だけでなく、抽出率逆数の扱いの影響もある旨の情報を頂いています。事務局から、現状の抽出率逆数の取扱いについて教えていただきたいと思います。また、今後の取扱いや検討の方向性について、考えがあれば教えていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○野口統計管理官
御説明をさせていただきます。御参考になる資料としては、参考資料1第1回ワーキンググループ資料1を御用意させていただいています。その資料の6ページを御覧ください。ここでは、毎月勤労統計調査の母集団労働者数を用いた比推定とその過程で抽出率逆数を使った復元について御説明をさせていただいています。イメージで結構ですので、この推計を頭に置いていただきながら御説明をさせていただきます。毎月勤労統計調査の結果の推計についてですが、結果の推計を用いている事業所規模30人以上の第一種事業所の抽出率逆数については、平成30年1月にローテーションサンプリングを導入したことに伴って抽出率逆数を使用することになっています。その際の抽出率逆数ですが、抽出時点ではなく、集計時点の産業規模により抽出率逆数を用いています。これは調査対象事業所の規模が変わった場合に、抽出時点の産業規模による抽出率逆数を用いますと、同じ規模の他の調査票と異なる重み、いわゆるウェイトが異なることとなりますので、特定の調査票が結果に大きく影響を与えることがあるということを懸念したものです。特定の調査票の影響を避け、安定的な結果を得るための対応として、毎月勤労統計調査では抽出率逆数を集計時点のものを用いて、結果の推計をさせていただいています。
一方、主査から御質問がありました毎月勤労統計調査の母集団労働者数の推計についてですが、ローテーションサンプリング導入以前から抽出率逆数を用いていましたが、平成30年1月以降については、集計時に用いる抽出率逆数の使い方との整合性を保つという考えに立ちまして、集計時点の抽出率逆数を用いることとしています。結論から申しますと、結果の推計の時点、それから母集団労働者の推計の時点、この両方について調査の集計時点の抽出率逆数を用いて、整合性を持って毎月勤労統計調査のデータを作成するという方式です。なお、抽出率逆数の取扱いについては、母集団労働者数の推計で用いていますので、今後の課題として母集団労働者数の推計における雇用保険データの補正の適合度合いの検証の中で、併せて御議論いただくということも考えています。その議論の中で、改めて私ども事務局から抽出率逆数の取扱いの考え方やデータをお示ししながら、委員の皆様に御議論いただけると有り難いと考えています。以上です。
 
○加藤主査
御説明どうもありがとうございました。今の事務局の御説明に関して、何か御質問等はありませんか。高橋先生、よろしくお願いいたします。
 
○高橋委員
肌感覚で結構なのですが、推計などをされていて、事業所規模が急に大きくなったり、小さくなったり、産業が急に変わるということが、頻繁に起こるということはありますか。最近M&Aなども特に増えていますので、そういうこともあるのかなと思いますが。
 
○高田雇用・賃金福祉統計室長補佐
厚生労働省の高田です。御質問について、具体的な数字が今手元にあるわけではないので、感覚的な部分によるのですが、先生がおっしゃられたとおり、正に合併などでの事業所規模が大きく変わる場合なども、比較的見受けられるように思います。あるいは業種によっては、季節性である時期にちょっと規模が大きくなったりなど、そういったケースも、ものによっては見受けられます。ちょっと細かいところまで申し上げられないのですが、感覚的には、特定の業種ではそれなりの頻度で規模変更は起こっていると感じています。
 
○高橋委員
ありがとうございます。そういうことがやはり頻繁に起こるようであれば、現状の推計方法も合理性があるのではないでしょうか。どちらが正しいということもないと思いますが、現状そういう感覚を踏まえて今の推計方法を取っていらっしゃると思いますので、毎勤の場合はどうするのがより適しているか、数字を確認しながら、今後、皆さんで話し合えたらと思っています。
 
○加藤主査
ありがとうございます。なかなか難しい問題で、確かに高橋先生の御指摘のとおりかなと私も思っています。ほかにいかがでしょうか。議事2については、いろいろな課題があります。私も母集団労働者の補正に関する話で御質問させていただいていますが、先にこの点についてほかに御質問、御意見等はありますか。その後にほかの課題について自由に御発言を頂きたいと考えています。今、高橋委員からもお話がありましたように移動した場合に抽出率逆数の取扱いについては、いろいろな考え方があるのだろうと思います。どのような取扱いがよいのかということについては、慎重な検討が必要かと考えますが、現行の取扱いは結果の集計と母集団労働者数の推計の整合性を保つための処理であって、一定の合理性があるのではないかと現時点では判断できるかと思います。
今後、母集団労働者数の推計については本ワーキンググループで検討したいということでしたので、雇用保険データによる補正だけではなく、抽出率逆数の取扱いも併せて検討してはどうかと考えています。事務局におかれましては、今後の進め方についても御検討いただければと考えています。この母集団労働者の推計も含めまして、その他の課題もあるかと思いますが、これから先どうぞ、委員の皆様、何か御自由に御意見、御質問がありましたらお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
なかなか範囲が広いと思いますので、先ほどの検討課題の中で3つ検討課題をまとめていただいたのですが、例えば調査方法、標本設計に関して何か御質問やコメント等がありましたら、まずそちらからお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 
○風神委員
慶應義塾大学の風神ですが、よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
よろしくお願いします。
 
○風神委員
事務局の最初に取り組みたいとおっしゃった、母集団労働者数の補正の0.5についての検討というのは、やはり非常に重要な課題であると認識しています。また同時に、本日の資料に挙がっている課題というのはいずれも重要と思いますし、また興味深く思っています。その中で最初の調査方法、標本設計ということでしたので、これに関しては昨今、東京一極集中や地方創生であったり、リモートワークなども重要視されていることを考えると、やはり地方調査票の活用や全国調査等の設計について、その設計自体を変えることがすぐにできるのかできないのか、取り組みやすいのかどうかということも併せて取り組む、その大きく変えるということまでしなくても、少なくとも今地方調査票を取っているので、公表状況を含めてもう少し活用方法について、検討するということも1つ重要ではないかと考えています。
また、もう1点として、先ほどのお話の中で、「調査方法・標本設計」の中の企業にとって負担のない形での調査方法の検討に関連して、秋からオンライン化を試みているということでしたので、是非、これは回収率が上がっているのかどうかや、オンライン化したことによって異常値というものが発生しやすくなっているのか、あるいはしていないのかというようなことを、このワーキンググループの中でも是非結果等は見させていただければ、非常に興味深く思っています。現段階では以上です。
 
○加藤主査
風神先生、ありがとうございました。確かに地方調査に関しては、今、御指摘いただいたように活用の方法もあるかと思いますので、是非御検討いただければと思います。ほかにいかがでしょうか。すみません、先ほど3つに分けて調査方法、標本設計と申し上げたのですが、推計方法、公表関係まとめてということで、どれからでも構いませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○稲葉委員
稲葉です。よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
稲葉先生、よろしくお願いいたします。
 
○稲葉委員
私から、標本設計にも関わる項目であると思いますが、推計方法として1つ、そして公表関係で1つ、合計2点について意見を述べさせていただきます。
まず推計方法に関する事項ですが、資料の2の部分の推計方法の1番目の部分、雇用保険データによる補正の話、そして2番目の回収率を考慮した推計方法、これらは非常に適切な検討課題であると考えます。特に2番目の項目ですが、大きな規模での企業から回答が得られないとなると、そこの部分の影響がかなり大きくなるということが考えられます。法人企業統計などでは、全数調査部分については補完を行っているということですので、毎月勤労統計においても、そういった補完処理の導入といったものを検討してもよいのではないかと考えます。
それとともに、推計方法全般として、感覚的ではあるのですが、現状の層は少し細か過ぎるのではないだろうかというような意見を持っています。その層の併合など、集計用乗率の取り扱い方といったものも含めて、推計方法全般の検討を行う必要があるのではないかと考えています。非常に大きなことになってしまいますので、どこまでできるかということは分かりませんが、これが推計方法に関して補足させていただく意見です。
もう1点は、公表関係に関わる事項です。公表関係の特に2番目に挙げられているもの、利用者が使いやすい形での公表方法といったものを考えるといったことに関してです。以前、集計プログラム自体の更新というものを考えている資料が提示されたかと思います。現状でCOBOLを使用していると資料では書かれていたと思いますが、このプログラムの更新の際には結果表章の統計表の様式自体も変更を考えたほうがよいのではないだろうかというような気がしています。私もかなり慣れてきまして、記号の意味なども見ると分かるようになってきたのですが、やはりほかの統計と比べると統計表の形式はかなり異質かなと感じています。集計プログラムに左右される話であると思いますので、変更する際には統計表の形式自体も利用者にとって使いやすい形式に直していただくという検討が必要なのではないだろうかと考えています。先ほどのどこがベンチマーク更新なのか分からないといったお話もあったかと思いますので、統計表として違う統計表を提示するなどの工夫が必要なのではないかと思います。これが公表関係に関わる意見です。以上2点について述べさせていただきました。以上です。
 
○加藤主査
稲葉先生どうもありがとうございました。
 
○西郷委員
西郷ですが、1つだけ申し上げたいことがあるのですが、よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
よろしくお願いいたします。
 
○西郷委員
設計方法に関して、こちらには挙がっていないのですが、以前、抽出率の逆数を使ったときに、それを整数化して丸めて集計しているというお話を伺ったことがあります。これは教科書的ではない処理なので、その丸めているということがどのように推定値に影響しているのかというのは、ちょっと分からない面もあるのですが、ただ一方で教科書的な観点からすると、ちょっと変則だということと、恐らく影響があるのは抽出率が低いところで、例えばかかる係数が2になるのか3になるのか。100になるのか101になるのかというのは余り影響はないような気もするのですが、抽出率の高いところは恐らく規模の大きいところですので、その係数が2になるのか3になるのかというのは、存外大きな影響を推定値に及ぼしそうな気もするので、この際、推定方法を見直すということであれば、その整数化の影響ということも評価していただきたいと思っています。以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 
○樋田委員
よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
よろしくお願いいたします。
 
○樋田委員
先ほど稲葉先生から御意見があった点について賛成です。特に推計方法については、雇用保険データによる補正の度合い0.5という係数の、現在における妥当性については検証が必要と思います。
また、回収率への対応も重要だと思います。第一種については、あまり無回答が多くないかもしれませんが、第二種は一定程度の無回答が発生していると思います。無回答の処理を、それほど無回答が全体に影響を与えていないと想定される今の段階で、検討しておくということは、今後、調査環境が悪化したときへの備えとして必要なのではないかと思います。
それから、調査方法についてですが、以前、第二種事業所の調査員さんや現場の実査担当の方とお話をする機会をいただいたことがあります。その際、調査環境が悪くなっているということ、例えば、調査対象企業の対応や、調査員が高齢化していて、新規の成り手がなかなか見付からないなどの、お話を伺いました。今のところ調査に支障を来すことにはなっていないと思いますが、早急にこのような調査環境の変化に対応するための方策を検討しておくということが必要ではないかなと思います。以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございました。考えますと、大きな課題、たくさんの課題がありまして、このワーキングでどこまで、全部ということはなかなか難しいかなと思っています。本日、委員の先生方からいただいた御意見も踏まえまして、次回のワーキンググループにおいて具体的な議論をしていきたいと考えています。例えばこの中でどうしてもこれは今回のワーキンググループの中で取り入れていかなければいけないというようなこと、今まで幾つか、抽出率逆数の話、あるいは様々な推計に対する回収率の影響を把握するなど、様々な御意見を頂いたのですが、これ以外に何かワーキングの中でどうしてもやっておくべきというものはありますか。
よろしいでしょうか。それでは、今までいただいた御意見を踏まえた上で、事務局で整理をしていただいて、次回のワーキンググループにおいてスケジュールを含めて具体的な議論をしていきたいと考えています。どうもありがとうございました。
それでは、最後に議事3として「その他」となっていますが、事務局から何かありますか。
 
○奥垣統計企画調整室長
事務局です。1点、御報告事項があります。お手元の資料の参考資料4を御覧ください。本日、お配りしています「毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループについて」ですが、6のワーキンググループの庶務を、先般、政策統括官の担務の変更がありましたため、「厚生労働統計の整備に関する検討会」の座長にお諮りしまして、要綱の改正をさせていただきましたので、この場で御報告させていただきます。よろしくお願いいたします。私からは以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございました。それでは本日、予定していた議題は以上となりますが、全体を通して御質問、御意見がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、本日の議題は全て終了ということになります。それでは事務局にお返しします。
 
○奥垣統計企画調整室長
皆様方、本日はお忙しい中、また貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。これをもちまして、第3回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを閉会させていただきます。ありがとうございました。
 
(了)

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