第2回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会バス作業部会(議事録)

1日時

令和3年8月18日(水)10時00分~12時14分

2場所

労働委員会会館 講堂
(東京都港区芝公園1-5-32 7階)

3出席委員

公益代表委員
  • 東京医科大学公衆衛生学分野講師 小田切優子
  • 筑波大学ビジネスサイエンス系教授 川田琢之
労働者代表委員
  • 日本私鉄労働組合総連合会中央副執行委員長 池之谷潤
  • 全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長 鎌田佳伸
使用者代表委員
  • 東武バスウエスト株式会社取締役社長 金井応季
  • 京成バス株式会社代表取締役社長 齋藤隆

4議題

  1. (1)改善基準告示の見直しについて
  2. (2)その他

5議事

議事内容
○中央労働基準監察監督官 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただ今から、第2回自動車運転者労働時間等専門委員会バス作業部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 本日の議事運営に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、原則として報道関係者のみの傍聴とさせていただいており、さらに、傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で運営させていただきます。会場の皆様におかれましては、会場備え付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの御着用等御配慮いただきますよう、お願い申し上げます。なお、常時、換気のために扉、窓を開けさせていただいております。御承知おきいただければと思います。
 まず、本日御出席の委員につきまして、御欠席の委員の方はおられませんので、定足数は満たされていることを御報告申し上げます。なお、鎌田委員におかれましては、本日オンラインでの参加となります。また、国土交通省からオブザーバーとして御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、お配りした資料の確認をさせていただきます。ダブルクリップで留めている一番上が次第で、その下に資料1として、改善基準告示見直しに関する御意見について、参考資料1として、改善基準告示見直しについて(参考資料)、一番下にA3の1枚紙で、参考資料2として、タクシー、トラック、バスの改善基準告示の内容の一覧表とお付けしております。不備がございましたら、事務局までお問合せいただければと思います。
 それでは、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。これ以降の進行は、川田部会長にお願いいたします。
○川田部会長 部会長の川田でございます。これより、議事進行は私のほうで進めさせていただきます。まず、第1回の部会の際に、小田切委員が欠席されておりました関係で、部会長代理を選ぶ手続を今回の部会で行うことにしておりました。部会運営規程第3条で、部会長は部会長代理を指名することができると規定されておりますので、私のほうで指名をさせていただきたいと思います。小田切委員に部会長代理をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○小田切委員 かしこまりました。よろしくお願いいたします。
○川田部会長 それでは、小田切委員に部会長代理をお願いいたします。
 次に議題に入りたいと思います。議題1「改善基準告示の見直しについて」です。まず、資料について事務局より御説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 事務局の黒部でございます。よろしくお願いします。資料1、参考資料1、参考資料2について説明いたします。まず、参考資料2については、改善基準告示の内容の一覧表です。
 資料1から説明いたします。まず、バスは4週平均1週の拘束時間が決められております。ほかの業態は1ヶ月ということですが、これまでの議論の中で、「月にしてはどうか」という御意見もありましたので、それを踏まえた形で説明いたします。
 現在、4週平均1週の拘束時間が65時間となっています。これを月に換算すると、281時間になります。下の※の2つ目を御覧ください。月換算281時間というのは、法定労働時間と休憩時間が195時間で、86時間が1ヶ月の時間外・休日労働時間となる形です。
 この中で、労働者代表の御意見です。「1年の拘束時間」については、一般則の720時間を念頭に3,300時間とすべきであるということです。また、「1ヶ月の拘束時間」は、「4週平均1週の拘束時間」があれば不要なのではないかという御意見がございました。それから、災害とか事故等の「特別な事情」があれば、例外的な運用にすればいいというような御意見が出されています。
 使用者代表からの御意見です。「1年の拘束時間」は、労働基準法と同様、時間外960時間を前提にまず考えるべきだ。労側は3,300時間と主張するが、休憩1時間を前提としているわけで、実際の休憩時間は1時間ではない。そういった現状も踏まえて考えるべきではないかということです。さらに、「1ヶ月の拘束時間」は、労務管理上、利便性が高いので、新たに導入してほしい。4週平均と選択制にしてほしいという御意見がありました。
 下の表を御覧ください。貸切バスを運行する営業所、そして高速バスの運転者についてですが、労使協定があるときは、年52週のうち16週まで、4週平均1週71.5時間まで延長できるという規定がございます。この71.5時間まで延長できるという規定は、これを1ヶ月に直すと309時間になるということで、実質上、114時間の時間外・休日労働時間があるという形になっております。
 この関係では、使用者代表からは、71.5時間の特例については、需要変動がどうしてもあるので、今後も必要であるという御意見がありました。それと、「貸切バスを運行する営業所」だけでなく、「高速バスを運行する営業所」が書いていないので、これも特例を使えるようにしてほしいという御意見がありました。
 次のページを御覧ください。「1日の休息期間」が8時間となっておりますが、労働者代表の御意見は、「1日の休息期間」は、ILO勧告を踏まえて、労側全体として11時間を目指したいということです。使用者代表からは、「1日の休息期間」を11時間に見直すと、拘束時間とか労働時間の減少につながり、朝ラッシュの減便等、お客への影響が大きい。現行でも休息が長かったり短い日もあるので、平均すると、大体1日11時間以上の休息は取れているという御意見がありました。
 次は「1日の拘束時間」です。今は13時間で、最大が16時間です。1日の拘束時間の13時間は、4時間の時間外労働時間に該当します。16時間のほうは、7時間の時間外労働時間に該当する訳です。労働者代表からは、「1日の休息期間」を11時間にするのであれば、当然その裏返しで、1日の拘束時間は最大13時間になるという御意見がありました。使用者代表からは、現在でも、平均すると大体1日13時間の拘束時間となっているという御意見がありました。
 次に、「1日の拘束時間の延長」について、15時間超えは週に2回までという規定がございます。これについては、労働者代表、使用者代表、お互いに発言はありませんでした。
 3ページを御覧ください。「運転時間」と「連続運転時間」についてです。運転時間は2週平均9時間、4週平均1週40時間となっております。貸切バス、高速バスについては、特例があるという形です。労働者代表からは、天候や渋滞の影響で超過する場合があるので、柔軟な運用として取り扱っていいのではないかという御意見がありました。使用者代表からも、おおむね同様の御意見が出されています。
 連続運転時間4時間と、その後の4時間以内又は4時間経過直後に30分以上の「運転の離脱」が必要ということについてです。これも、労働者代表からは、天候や渋滞の影響で超過する場合もあるので、柔軟な運用でいいのではないかという御意見がありました。それから、国交省の基準を踏まえて、4時間ではなくて2時間に短縮してもいいのではないかという話がありました。使用者代表からは、柔軟な運用が必要だという御意見でした。
 4ページを御覧ください。特例とその他についてです。特例は3つありまして、分割休息特例、2人乗務の特例、フェリーの特例がございます。労働者代表からは、分割休息特例については、基準を明確にして見直すべきという意見でした。使用者代表からは、現行どおり残してほしいということでした。2人乗務の特例とフェリーの特例については、労働者代表、使用者代表、いずれも発言はありませんでした。
 最後は休日労働についてです。2週間に1回となっています。労働者代表からは、休日労働は2週間に1回程度が妥当ではないかという御意見がありました。使用者代表からは特に御意見は出ておりません。資料1は以上です。
 続いて、参考資料について説明いたします。まず全体の状況ということで、基礎統計です。1で、バスの労働時間の関係です。全産業に比べて、144時間長い傾向にあります。2の所定外労働時間については、全産業に比べて216時間長いということです。3の年間賃金については、全産業平均より12%低い状況です。4の人手不足感については、全職業平均の2倍近くあるということです。5の高齢化については、全産業平均に比べて平均年齢が20%高いということです。6の女性比率については、全産業平均の1割未満と低い傾向にあるという状況です。
 2ページを御覧ください。基礎統計の2です。バス運転者は、全産業と比べて年齢が高い傾向があります。超過実労働時間数についても、全産業平均より長い傾向です。一方、所定内給与は全産業と比べて低い傾向にあります。
 次のページを御覧ください。働き方改革関連法が成立しましたが、国会の附帯決議の中で、自動車の関係が幾つか出ております。参議院で、時間外労働時間の上限が休日を含まずに年960時間という水準に定められている中で、過労死防止の観点から、見直すように求められております。これは衆議院でも求められております。
 4ページを御覧ください。過労死の労災補償状況について、令和2年度の件数です。左のほうが、脳・心臓疾患の請求件数です。右の欄が支給決定件数です。請求件数は1から15までありますが、さらにそれ以下もありますので、全部含めると784件です。そのうちの道路旅客運送業について、これはタクシーとバスが含まれていて内訳が分からないのですが、請求件数は20件となっております。支給決定件数については、道路旅客運送業はこの表の枠外でして、全体で194件あるうちの2件という状況です。
 5ページを御覧ください。脳・心臓疾患の労災認定基準です。異常な出来事、短期間の過重業務、長期間の過重業務で労災が認定されるわけですが、長期間の過重業務の中で、「発症前1ヶ月間に時間外労働が概ね100時間超」、「発症前2~6ヶ月間の月平均時間外労働が概ね80時間超」のいずれかの場合に、業務と発症との関連性が強いと評価されて認定されているという状況です。
 6ページを御覧ください。現在、脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会を開催しまして、改正を進めている状況です。労働時間の100時間、80時間というところは、現行基準が適当だと、改めて確認されております。ただし、7ページは報告書の一部を抜き出したものですが、勤務間インターバルが短い勤務については、睡眠時間の確保の観点から、勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無、時間数、頻度といったものも含めて評価していく、そういった考えで労災認定していくことが妥当だということで、報告書は書かれております。
 8ページを御覧ください。脳・心臓疾患の労災認定基準の労働時間の評価の基本的な考え方についてです。これは、前回も今回も、専門検討会報告書において支持されている考え方です。矢印の上から2つ目を御覧ください。1日6時間程度の睡眠が確保できないと、おおむね80時間を超える時間外労働が想定されてしまうということです。矢印の4つ目ですが、その日の疲労がその日の睡眠等で回復できる状態であったかどうかは、医学的な研究から、1日7~8時間程度の睡眠ないしそれに相当する休息が確保できているかどうか、こういったところで判断されるということです。医学的知見が、このようになっているということです。
 9ページを御覧ください。御承知のとおり、これまで御説明した時間外労働の上限規制は、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも、年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)とされております。自動車を含む一部の業種では、改正法施行5年間は、上記一般則の適用はないという形になっております。
 10ページを御覧ください。そのような中で、医師も適用猶予業務になっているのですが、医師の労働時間規制については検討が進んでいて、A、B、Cというように、病院の機能に応じて時間外・休日労働時間の上限に差が設けられているのですが、最終的にはA水準の年960時間/月100時間未満(いずれも休日労働含む)、ここを目指すこととされているということです。
 11ページ、12ページを御覧ください。36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針です。これは、36協定の締結に当たって留意していただくべき事項ということで、平成30年9月7日に告示として、働き方改革関連法に関わる他の法令改正と同時に出されております。法改正以前の指針では、自動車運転者は適用除外でしたが、今回からは自動車運転者も含まれるので、今後、時間外・休日労働について協定するに当たっては、この指針に定められた内容も考慮しなければいけないということです。
 例えば12ページの左上ですと、臨時的な特別な事情がなければ、限度時間を超えることができない、できる限り限度時間に近づけるように努めていただきたい、6の休日労働の日数とか時間数はできる限り少なくするように努めてください、7の限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保してください等、こういった指針も告示で定められていて、これも自動車運転者は適用になるということです。
 14ページからは、実態調査の結果になっております。まず、1年の拘束時間については、バス全体では85%、乗合バスの一般路線では87%、高速路線では75%、貸切バスでは80%の事業者が、「3,300時間未満」と回答しております。
 15ページを御覧ください。4週平均1週の拘束時間については、バス全体では78%、乗合バスの一般路線では81%、高速路線では69%、貸切バスでは60%の事業者が、「63時間未満」と回答しております。63時間未満というのは、年3,300時間未満の水準という状況になっております。
 16ページを御覧ください。4週平均1週の拘束時間について、自動車運転者に聞いたものです。「適切と思う4週平均1週の拘束時間」は、「63時間未満」の割合が85%でした。「適切と思う延長する場合の4週平均1週の拘束時間」については、「65時間以下」の割合が74%でした。「適切と思う延長する場合の週数」については、今は16週ですが、「12~15週」が47%でした。
 17ページを御覧ください。時間外労働時間数についてです。バス全体では88%、乗合バスの一般路線では88%、乗合バスの高速路線では89%、貸切バスでは87%の事業者が、「4時間以下」と回答しております。
 次に、休日労働の回数についてです。これは、法定休日という1週間に1回の休日を指します。バス全体では67%、乗合バスの一般路線では66%、乗合バスの高速路線では80%、貸切バスでは61%の事業者が、「1回以下」と回答しております。
 19ページ、20ページを御覧ください。1日の拘束時間についてです。今は、原則13時間、最大で16時間になっております。バス全体では67%、乗合バスの一般路線では69%、乗合バスの高速路線では60%、貸切バスでは59%の事業者が、「13時間以下」と回答しております。原則どおりが多いということです。
 次に、休息の関係についてです。これは労働者に聞いたものです。1日の休息期間は、自動車運転者のうち53%が、「8時間以上9時間未満」と回答しております。また、「8時間以上9時間未満」と回答した自動車運転者のうち、最も多い年収額は「600万円以上」だったということです。休息期間と睡眠時間の関係性を右の表に表しております。休息期間が「8時間以下」だと、睡眠時間が「5時間以下」というのがかなり多くなっております。「11時間超」の休息期間だと、睡眠時間が「7時間30分超8時間以下」が一番多くなっていまして、休息期間と睡眠時間は相関があることが見て取れます。
 21ページ、22ページを御覧ください。連続運転時間についてです。連続運転時間(4時間)について、バス全体では97%、乗合バスの一般路線では97%、乗合バスの高速路線では95%、貸切バスでは97%の事業者が、「4時間以下」ということで、おおむね守られているということです。
 運転時間についてです。2日平均1日9時間ということで、これもバス全体では89%、乗合バスの一般路線では89%、乗合バスの高速路線では87%、貸切バスでは91%の事業者が、「9時間以下」と回答しており、これもおおむね守られているということです。
 23ページ、24ページを御覧ください。特例の利用状況についてです。休息分割の特例、2人乗務の特例、隔日勤務の特例、フェリーの特例などがあります。実際にたくさん利用されているのが2人乗務の特例で、最も多く利用されております。
 24ページは、諸外国の自動車運転者の労働時間の規制の状況です。日本、ILO、アメリカ、EUと並べております。ILO条約については、そもそも拘束時間の定めはないのですが、「休息期間は連続10時間であり、週2回以上8時間に短縮不可」ということです。EU規則については、拘束期間が定められておりまして「1日13時間」、「休息期間は11時間(週3日までは9時間に短縮可)」と定められております。13時間と11時間を足すと24時間になるわけですが、このような規定が定められて、運用されているということです。
 25ページ、26ページを御覧ください。御承知のとおり、ILO条約第現在153号とILO勧告第161号において、「事故、故障、予見されない遅延」、「不可抗力の場合」については、自動車運転の労働時間の規制の特例が認められております。現在日本では、このような規定は設けられていません。
 26ページには、具体例としてイギリスとスイスを挙げております。イギリスでは、悪天候、交通事故、故障、フェリーの中断、生命や健康に危険を及ぼす可能性のある事象については、運転時間、連続運転時間、休息期間の定めを逸脱することができるというように定められております。ただ、運転者がタコグラフ、記録シートにいろいろと記載をしなければいけないということも併せて決められております。スイスについても、故障、暴風雨、雪崩等の予見できない緊急的な事象について、適切な駐車スペースに停車する時間は、運転時間、休息期間等から逸脱することができるということです。ただ、こちらもイギリスと同じように、運転者がその状況を記録に残しておかなければいけないという形になっております。
 27ページから29ページを御覧ください。国土交通省の処分基準です。国土交通省において、過労防止の観点から、一般乗合旅客の場合、1ヶ月の拘束時間及び休日労働の限度に関する違反については、1件確認された場合には「10日車」、2件確認された場合には「20日車」の車両停止処分を行うものと定められております。一般乗合と、一般貸切では少し違いますが、それぞれ基準があるということです。
 28ページからは参考です。高速乗合バスの交替運転者の配置基準が、国土交通省で定められております。その中で、高速乗合バスについて、「連続運転時間は高速道路の実車運行区間で概ね2時間まで」と定められております。高速乗合バスの休憩時間は、「実車運転4時間毎に合計30分以上」と定められております。
 29ページは貸切バスの交替運転者の配置基準です。貸切バスについては、先ほどの高速道路の実車運行区間ではなくて、夜間については、「実車運行区間で概ね2時間まで」と定められております。貸切バスの休憩時間は、「2時間毎に連続15分以上」と定められております。参考資料2については、御承知のとおりですので、説明は省略させていただきます。以上です。
○川田部会長 ありがとうございました。今回の資料1では、検討を要する項目について1~4ページまで、1ページに1つずつ4項目に整理をしております。この資料1の項目順に、私のほうで適宜議論を整理しつつ、特に労側と使側の委員の皆様からの御意見を確認していきたいと思います。
 本日、この第2回部会の目的としては、この場で改善基準告示の改正案を決定するということではなく、労使にそれぞれの立場から率直な意見を御発言していただき、改善基準告示見直しに当たっての課題を、より明確にしていくということにしたいと思います。そのような形での御議論をお願いしたいと思います。
 今日のこの後の議題は実質これだけで、議論の時間も長くありますので、それぞれの立場から御発言を頂いた後、その発言を受けて更に御発言を頂くというような、いわば意見のキャッチボール的な形で、活発な議論を行っていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず資料1に沿って、1ページ目から御議論をお願いしたいと思います。最初に、私のほうでの整理として、現行4週間平均で1週間当たりとなっている拘束時間の設定の単位について、ここまでの御議論の中で、使用者側のほうから、労務管理上の利便性が高いということから、「1ヶ月単位の拘束時間」というのを新たに導入してほしい、あるいは「4週平均1週」との選択制にしてほしいという御意見がありました。また、労働者側の御意見としては、「1ヶ月の拘束時間」は「4週平均1週」の拘束時間があれば不要ではないか、あるいは、その両論併記という点についても、混乱するのではないかという趣旨の御意見があったと承知しております。
 そこで、この点について、このような状況を踏まえますと、改めて「1ヶ月の拘束時間」というものを設ける必要性についての理由がどのようなものであるのか、それから、両論併記という点についての御意見もありましたので、仮に4週間単位か1ヶ月単位かのどちらかを選ぶとしたらどちらなのかという点について、私のほうからまず使用者側委員のほうにお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。では、齋藤委員。
○齋藤委員 日本バス協会の齋藤です。まず、私どものほうから、1ヶ月単位でどうかという話を以前からさせていただいております。この理由ですが、今はいわゆる月当たりの労働時間管理というのが、通常ベースで行われています。一方、改善基準については4週単位で行っておりますので、毎年カレンダーが違って、ある起算日からずっと4週、4週、4週と追っております。したがって、毎年毎年、この月は何日だというように日にちが違って、それで管理をしているのです。全部の会社がやっているかどうかは分かりませんが、私どもでは社員手帳の年間カレンダーの中にいろいろ書いてあるのです。ここから次の4週が始まりますよということで、社員に周知をして、どちらかと言うと運行管理者に周知をさせ、ここからの4週間で改善基準を守るような体制を作っているということになるのですが、運行管理者にとってみると、やはりダブルトラックのような感じになっております。これを一括で月当たりにすることによって、労務の軽減が図れる、より分かりやすくなるというように考えております。したがって、ほかのトラックやタクシーも同様に1ヶ月でやっているという現状を踏まえますと、バスが1ヶ月でやらない理由はないのではないかということで、1ヶ月単位でというお願いをしているわけです。
 ただ、これも前から言っていますけれども、今の改善基準告示を遵守するために、一定程度のシステムを入れている会社が多いと思います。これを変更するということは、システム変更には結構お金が掛かりますので、一方的に1ヶ月ということになると、事業者によっては非常に困る事態が発生するのではないかということも踏まえ、基本は1ヶ月ですけれども、4週を認めてもいいのではないかという考えでおります。このシステム料うんぬんというのはお金が掛かりますので、仮に1ヶ月に統一するということになると、システムに関する国からの助成というのも、御検討いただければと思っております。それが今できるかできないかという話にはなっていませんので、それらも踏まえて、1ヶ月あるいはそうでない場合もあるという主張です。
○川田部会長 金井委員、お願いします。
○金井委員 金井です。今のお話にあったとおりですけれども、会社には運転手以外にも労働者がいるのです。労務管理は、基本的に1ヶ月単位で全てやっております。労働者にとっては給料だけではなく、福利厚生面など、様々な基準が1ヶ月単位で行われています。改善基準は4週でやっているわけですけれども、1ヶ月にすることで基準をそろえて守りやすくすると言いますか、分かりやすさにつなげる。時間管理の見える化をすることで、今4週管理と1ヶ月管理が混在して、一部煩雑になってしまっている部分がありますから、これを1ヶ月単位に統一することで、業務軽減というか、業務の負担を軽くしてあげるというのも、働き方改革の1つではないかということで、今回、このように出しています。
○川田部会長 今のを簡単にまとめさせていただきます。時間管理だけを見ても、通常の時間管理、割増賃金などもそうかと思うのですが、そういうものが月単位で走っているのと、改善基準告示だけは4週間が単位なので、例えば月の途中から4週間が始まってしまうということでの煩雑さがあります。さらに、時間だけではなく、福利厚生といった面での管理も月単位で行われている。その上で御意見を伺っていくと、基本的には月単位に統一することが望ましいけれども、システム改修に掛かる費用面のネックがあると。その点が仮に助成等でクリアできるとしたら、どちらかと言うと1ヶ月で統一することが望ましいという御意見かと思ったのですが、そのような理解でよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、今、御説明のあったところを踏まえて、労側の委員にも改めて御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。では池之谷委員、お願いします。
○池之谷委員 池之谷です。計算方法は4週がいいか1ヶ月がいいかというところですけれども、働く側又は使う側が広く理解した中身であれば、どちらでもいいとは思っています。ただ、例えば、毎月締め日が月末で1日が始めだとします。そうなったときの起算日というのは、毎月1日が起算日となっていくという計算方法なのか。そうなったときに、週65時間という今の決まりの中で計算をするときに、月末がきたからここで1回打ち切るということで、起算日からまた65時間ということを始めるのかどうか。では、振り返ったときに、65時間を超えている場合はどうなるのですか。また、2日平均で、2日に1回9時間という運転時間となったときに、締め日と起算日の狭間にあったときに、どちらで計算するのか。週平均65時間をしっかりとらまえる上では、管理としては4週の管理をしていくということであれば、現行と何ら変わりがないと考えています。
 今言った1ヶ月の計算方法で考えますと、時間外計算になると1ヶ月なのかなというように思います。所定内労働時間で考えると、4週平均で1年以上ずっと組めますから。あくまでも時間外労働のプラスアルファは、1ヶ月とか4週の枠から外れても構わないと思います。ただ、あくまでも労務管理上、先ほど言った65時間、2日平均9時間では、起算日をどこにするかによって、すごく曖昧になってくると思うのです。「そこもしっかりやりますよ」と言うのだったら、今までの管理と何ら変わらない。
 そうすると、今までやってきた管理をしっかりそのまま踏襲していくほうが、企業側の事務作業的にも煩雑にならないと思います。すみません。何度も繰り返し言いますけれども、「1ヶ月」と言ったときと「4週平均」と言ったときと、企業側としては労務管理を両方やらなければいけなくなりますよね。そちらのほうが煩雑だと思います。
 それと、1点聞きたいのですが、1ヶ月と4週とで福利厚生に違いが出るというところが分からないので、そこを教えてもらっていいですか。
○川田部会長 どうしましょうか。鎌田委員からも御意見があれば先に伺った上で、今の御質問の点について、また使用者側に御意見を伺いたいと思います。鎌田委員、この点に関して何か御発言はありますか。
○鎌田委員 この件に関しての前回までの論議では、両論併記で選択制という案が上がっていたのです。しかし、今ほど池之谷委員からもあったとおり、ちゃんとやれば今までの管理の仕方でもできるのに、あえて2つの選択制にするというのは、混乱を来すというように思っています。やるのであれば、どちらか1つというように個人的には思っています。
 働く側の立場からすると、多分、今までどおり4週平均1週の拘束時間のほうが、慣れているので問題ないと思うのです。ただ、労務管理上、組合員の中でも運行管理等をやっている方もいらっしゃいますから、そういった管理の面に立って、運転者だけが4週で一般の人たちが1ヶ月単位ということを考えると、統一してもいいのかなとは思っています。使用者側の方々が本当にそちらのほうがいいのであれば、私はどちらかと言うと選択制は反対ですけれども、片方にするのであれば、私は管理しやすいほうがいいと思っています。以上です。
○川田部会長 ありがとうございました。それでは、恐らく御質問の点は、1ヶ月単位に変えたときにどのような点がどう変わって、特にメリットが発生するのかというところについて、改めて御説明を頂きたいということですね。あと、福利厚生の面の1ヶ月単位での管理について、具体的にどういうことなのかという御質問があったかと思います。改めて使用者側の委員に伺いたいと思います。
○齋藤委員 毎回というか、今までの話の中で、事務局のほうから年間の拘束時間規制という概念が出てきています。これについての考え方として、例えば年間960時間という制度が間もなく施行されるという流れで、年間という概念は一定程度は理解できるのです。しかし、それで4週でとなると、どうやって年間の規制と割り算するのか。やり方はこれから議論がなされるのかもしれませんし、これが正しいかどうかは分かりませんけれども、そこを考えると、仮に年間の拘束時間があって、それを単純に月当たり12で割るというような手法が、一つシンプルではないかと思います。そうなってくると、月当たりの拘束時間という概念が生まれてくる。そうした場合に、やはり管理は月当たりにしたほうがいいと。
 先ほど起算日の話がありましたけれども、起算日は多分、各社によって変わってしまうかと思うのです。就業規則で賃金の締めは決まっておりますから、ある会社は1日から月末とか、ある会社は16日から翌15日というように各社で決まっております。それは就業規則上、ちゃんと規定されておりますので、その上で管理を行っていくのであれば、実施可能ではないかと思っております。
○金井委員 福利厚生ということでの御指摘がありました。福利厚生と申しましたのは、一例を挙げただけです。会社ですから、基準となるものは給料だけではないという意味合いで申しております。職種も、運転手さんもいれば事務所の部門もあったり、法務、運行管理をする人など、いろいろな職種があるのです。今までは基準を月単位にして取っているのがほとんどですので、改善基準だけ4週というのは、煩雑さを生んでしまう部分でもあるということでお話をしています。
○川田部会長 ありがとうございました。それでは池之谷委員、お願いします。
○池之谷委員 これがある程度煮詰まったときに、私たちは私たちの責任として、分かりやすいからこういうように変えたという説明をしなければいけないのです。そうなったときに、今の福利厚生の話で、4週間と1ヶ月で福利厚生に違いが出るということなら、どこがどうかというのを、私たちはきちんと説明をする責任があるのですよ。それを納得した上で、1ヶ月に変えるなら変えるにしなければいけないのですけれども、「各社によって違いがあります」と言われると、私たちは説明のしようがないと思いますし、これを理由に変えましょうということにはならないと思うのです。
 それから、先ほど起算日の話をしました。確かに各社によって1日だ、10日だ、15日だとあります。それは分かります。私が言っているのは、締め日として各社が1日か5日かとかは分かりません、起算日をいつにするかは分かりませんけれども、その週の65時間の計算をするときに、どういうところを見るのかということをお尋ねしているのです。例えば締めて次の日からまた始まった、そこからまた1週間65時間という計算をするということなのか、それともきちんと1週間トータルで走っていたら、その前の週に遡って、締め日以前までの1週間の65時間のトータルを見るのかどうか。切るなら切る、切らないなら切らない、そこからまたスタートするといったときに、その半端週、半端な日数はどういう計算をするのか、どういうシミュレーションをしているのかということをお伺いしているのです。
○川田部会長 私のほうで議論を整理してよろしいでしょうか。考え方として、仮に現行の4週間単位を1ヶ月単位に変えるとしたら、その1ヶ月単位を前提とした1ヶ月当たりの上限を新たに設定することになるのだろうと思います。現在は4週間で平均1週当たり65時間ですから、言い方を変えると4週間の上限が65×4で260時間で、4週間たったところでまた260時間がリセットされ、改めて4週間で260時間を超えない範囲でやっていくということになるのだろうと思います。
○池之谷委員 それは理解しています。ただ、前の月の締め日と当月の締め日の関係で半端な日が2日間あった場合、この2日間の勤務を残して締め日がきてしまったといったときに、その2日間で13時間、13時間働き、次の起算日から前の週はなかったことにして、もう一回始めるということになると、また13時間、13時間、13時間やったら、1週間通して見たときに65時間を楽に超えていないかということになりませんか。それも65時間以内に収めるように管理するのであれば、今の4週での管理と全く変わらないですよねということをお尋ねしているのです。
○川田部会長 では事務局、お願いいたします。
○監督課長 私の理解ですけれども、現行、バスについては4週平均1週の拘束時間としております。これをどうすべきかという議論を、今していただいている訳です。他の業態、トラックやタクシーについては、1週間平均で何時間、という単位ではなくて、1ヶ月何時間という形で拘束時間を設定しております。ですから、バスについても、このような形で他業態と同様に、1ヶ月何時間という形で1ヶ月ごとに見るようなやり方にするのが、1つの選択肢だと思っております。恐らく池之谷委員の御意見は、「1ヶ月を平均して1週○時間」という規定を想定されていると私は理解したのですが、そういうやり方にするのか、それともトラックやタクシーと同じように、1ヶ月単位の拘束時間だけにするのか。そういうことも含めて御議論いただければと思っております。
○池之谷委員 1ヶ月で例えば200何十時間ですと、そこをフリーハンドでやろうということに果たしてなるかならないかですよね。バスがここまで細かく決まったのは、大量のお客さんを乗せて人の命を預かっているという中では、1週間最大65時間が限界だろうといったところからです、そこでの決め事ですよね。それを、この週は150時間で次の週は30時間でいいのかということになったときに、人の命を預かる以上、それはできないと思います。ですから、今ある4週平均とか2日平均9時間といった細かい決め事をやって、健康管理をしっかりやっていこう、そこを見ていこうというところが、ハイヤーやタクシー、トラックと違う点だと思っています。安全管理というのは、絶対にしなければいけないと思っております。
○川田部会長 分かりました。つまり1ヶ月単位の総量だけではなくて、より細かいところで見ていく必要性が、バスにはバスの事情としてあると考えるべきではないかというような御意見だと。
○小田切委員 おっしゃっている意味は非常に納得するところです。その御意見とは別に、この4週平均の拘束時間とは別に、1日の休息期間あるいは拘束時間というものの縛りは存在するわけなのですけれども、それではカバーできない週単位の時間というのが必須だという御意見だと思ってよろしいですか。1日の休息期間、1日の拘束時間を守れていた場合は、週平均にしなくても、必然的にある程度平準化がされていくと思うのですけれども。
○池之谷委員 作り方だと思うのですね。平均という言い方をしてしまうと、極端ですけれども、1日目が18時間で次の日が数時間だというのも、平均とならしたときに、13時間に収まっていますねという見方をされると思うのですけれども、例えば連続で18時間18時間、残りは2時間2時間2時間と、それが果たして健康管理上とか集中力も含めて妥当なのかどうなのかと。それが妥当じゃないから、2日平均9時間とか週の中の65時間というところも細かく分割をしている今の告示の体制だと思っていますから、あまり連続にならないような形を作っていかなければ。休息期間が今の8時間ではなくて15時間あげますと言ったとしても、その前の日にどのぐらいの長時間労働をしているかによって疲れがとれるかどうかというのは、全く別だと思っていますので、その観点から申し上げています。
○小田切委員 おっしゃっているお考えは非常に分かるのですね。「1日24時間働けますよ」をしてしまったら、その後幾ら休んでも問題になりません、それはもう大変な働き方です。そうした考えにのっとれば、月の縛りを更に週の縛りにして、2日の縛りにしてという流れの中で、1日の拘束時間、休息の最短の単位が決まっていれば、週当たりの平均という考え方でさらに縛っておかなくても大丈夫ではないでしょうかというのが私の考えなのですけれども。
○池之谷委員 その辺りの運用を含めて、各事業所や労働者がしっかり理解をしながら。そういう組み方をすると、いくら長くてもこれ以上はいきませんよという後ろ盾があると思うのです。それが明確に分かっているのであれば、そこにこだわる必要はないと思っています。
○川田部会長 この点は、恐らく論点を切り分けたこととも関わってくる問題だと思います。小田切委員がおっしゃったように、1日当たりの上限あるいは連続についての規制をかけると、結局、例えば1週間を例にとるならば1週間当たりの上限は最大限いってもこれだけだということが、1週間当たりの上限という形で設けていなくても、言える可能性はあると思います。その辺りは、少し他の1日当たりの時間や連続の規制なども見ながら考えていかなければいけないところかなと思います。
 論点の整理として、拘束時間を4週間で見るのか、1ヶ月で見るのかという点が、その先の話に関わってくる面が大きいかなと思い、先にこの点を伺いました。一通りの点について本日お話を伺いたいと思いますし、今、労側、使側双方の委員から御意見を伺って、それぞれの考え方等を少し深められたかと思いますので、今回は、この点については、このぐらいといたします。
 この拘束時間について、単位をどのようにするかとは別に、具体的な時間数をどうするのかという御意見を伺いたいと思います。4週間なのか、1ヶ月というものを新たに設けるのかという点については、次回以降も引き続き御意見を伺いながら議論をしていただきたいと思います。この後、時間数について御意見を伺いたいと思います。そのような状況ですので、ちょっと複雑になってしまうかもしれませんが、便宜上4週間平均1週の場合の拘束時間、4週間における拘束時間の原則と、特例的な場合の上限、現状では71.5時間とされているものの時間数の在り方について、4週間を前提とした場合と、1ヶ月を前提にした場合にどうなるかという点についても、御意見があれば併せて伺っていきたいと思います。
 引き続いて、1ヶ月あるいは4週間平均1週の場合の上限、拘束時間について、原則的な時間数、それから特例を設けるのであれば特例の場合の時間数についてどのように考えるかという点についてです。改めて、労働者側からは年間ということで時間外960時間を念頭に3,300時間とすべきという御意見が出されているかと思います。この点について、できれば制度としての4週平均1週、あるいは場合によっては1ヶ月にする場合の時間案についてどうお考えなのかという点を、改めて労側から伺いたいと思います。お願いします。
○池之谷委員 こちらとしては、年間3,300時間ということで考えていますので、単純にそれを12で割って275時間。仮に月とした場合には、275時間という数字で考えています。
○川田部会長 ありがとうございます。現在の4週平均の枠組みを維持した場合については、いかがでしょうか。
○池之谷委員 4週平均にした場合は週65時間というのがありますから、おのずとその計算になっていくのだろうなと思っていますが。
○川田部会長 年間3,300時間。
○池之谷委員 年間3,300時間です。
○川田部会長 ということは4週平均ですから、13で割るようなイメージですか。
○過重労働特別対策室長 実態調査の資料の中でも書いておりますが、週に直すとおおむね63時間というのが1週になると思います。
○川田部会長 分かりました。そうすると、月だと275時間、4週だと1週当たり63時間ということだと思います。それから、現在の特例は、52週間のうち16週間までは労使協定を結んで、4週平均71.5時間まで延長できると。これについては何か御意見はありますか。
○池之谷委員 今の71.5時間については、貸切についても高速バスにしても繁忙期や閑散期などがありますから、特例を設けることは必要なのだろうなと思っています。ただ心配なのが、71.5時間を4週間連続やったときに、トータルの時間外数が、計算をすると80時間を超えてしまうはずなのです。そこは見直しが必要なのか、若しくは80時間を超えないように隔週にするなどという条件を付けるのかは、議論の過程に入ってくるのだろうと思っています。
○ 川田部会長 最後の点は、資料1の1ページの左側の一番最後の所の数字を見ると、4時間の場合、法定労働時間と休憩の1ヶ月当たりの数字が出ていますが、1ヶ月当たりで法定労働時間と休憩を195時間と想定すると、時間外・休日労働の合計が144時間と100時間以上になってしまうので、そういうところをもう少し減らすことを考えるべきではないかという御意見だと思いました。ありがとうございます。続けて、鎌田委員からも御発言があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○鎌田委員 特例の部分については、いずれコロナ禍が終われば、繁閑はあると思うので、今はないとは思うのですけれども。路線バス自体はこの特例を使うことはほとんどないので、高速バスも入れてくれということであれば、最初から貸切バスの特例とはしないで、文字を外してしまっていれば問題ないのかなと思います。以上です。
○川田部会長 ありがとうございます。乗合のことですが、貸切バス、今、労側からの御意見として、原則的な時間については1ヶ月であれば275時間で、4週間単位1週間であれば63時間という御意見を頂きました。また、特例についても御意見を伺いました。この点について、使用者側の委員にも伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤委員 先ほどの年間という考え方は、ある意味理解できますという話をしていました。その時間を何時間にするかについては、まだ議論不足なのかなという気はしております。ただし、国会の決議にもありましたとおり、総拘束時間を削減する方向であるというようにうたわれていますので、これは議論を経て今よりは減っていくのだろうなとは思っております。
 その上でいくつかお話をさせていただきます。前回、3,300時間の考え方についてお話がありました。1日の法定労働時間は8時間で、労働基準法上1時間の休憩時間があって、時間外は4時間だと。そういうことを積み重ねていくと、3,300時間という数字なのだということでしたけれども、果たしてこの計算式はそれでいいのかなと。あまり計算式の議論をするつもりはないのですけれども、実際の私どもの実労働時間というのは、8時間を超えれば労働基準法違反になるのですけれども、8時間かと言えば、ぴったり8時間にはなっていないのですね。労使という関係もありますけれども、路線の特性というものも踏まえて、8時間以下で1日当たりが成り立って、年間が2,000何十時間ということにはなっていないと。さらに、休憩も「法律が1時間だから1時間でいいよ」とはなり得ないのです。ということは、この計算式そのものが何か机上であって、この計算式に基づいていろいろなことをやっていくと、結構間違いが起こってしまうのではないかと思っております。
 改善基準上の拘束時間の考え方は確かそうではなくて、もっと抽象的な言い方をしているのではないかと思います。いわゆる出社した時間から終わるまでの時間というような、それも、具体的に何時間、何時間などとは、確か決めていなかったはずです。ただ、現状は週当たり65時間であるというところから発生していますので、それは是認したとして、そこをいかに減らしていくかという議論になってくるのではないかと思います。だから、3,300時間がダメだと言っている訳ではないのです。その元がこの計算式だと、実態とかけ離れているのではないかというのが1つです。
 それから、いわゆる特例の延長時間は是非残していただきたいです、これがないといろいろと事業運営上も不都合なことが生じてしまいますので。現在で考えると、例えば71.5時間にしますと、65時間との差が10%ぐらいあるのです。そうすると、決まった部分の10%程度は残していただければと考えております。それから、今は52週のうちの16週という考え方ですけれども、事業によってそれぞれ違いがありますので、これをトラックなどと同様に6か月ぐらいにしてもらえないかなと。では、これらの管理をどうするのだというのは議論がまた必要になってくるのですけれども、先ほどの年間の考え方というところから縛りを掛けていけば、必然的に収まってくるのではないかなと思っております。具体的な数字はどうなのか、計算式を、と言われると持ち合わせてはおりませんが。それが1つです。
 それから、私どもから貸切だけではなくて高速バスも特例をというお話をさせていただいております。よくよく考えてみますと、今は一般の乗合バスでも結構イベントごとが多くて、例えばプロ野球やサッカーのときに臨時のバスを出さなければいけないというような場面も生じてきますので、対象として貸切とか高速ではなくバスについて、そういう特例というものを是非認めていただきたいと思っております。以上です。
○金井委員 一部、補足で特例を認めていただきたいというところで、先ほどの齋藤委員からの発言のとおり、貸切だけではなくて高速に加えて一般路線についてもというお話ですが、季節波動やイベント等によって続行体制を取るというお話がありました。野球やサッカーやコンサートだとか、また学校が近くにある所だと、例えば試験のときや卒業式のときだとか、いろいろと工夫して続行体制を取っていくわけです。しかし、地域によっては、今まで貸切の季節波動で需要が増すからというところですが、観光地などはそういう観光バスがどんどん入り込んでいって、その観光地で一般路線を行っている事業者があるのです。そうすると、それらの観光バスがその観光地に向かう、また、マイカーがその観光地に向かって、道が非常に渋滞してしまう、これは秋の紅葉シーズンの日光とかで結構あるのですが。そうすると、季節波動は一般路線も相当受けるのが実状なのです。ですので、貸切、高速も加えていただきたいということに対して一般路線もというお話ですので、特にバスということで捉えていただいて、延長をお願いしたいと思っております。以上です。
○川田部会長 ありがとうございました。今の使用者側からの御意見といたしましては、まず、原則に関しては少し大きな話になるかと思いますが、例えば、3,300時間についてどう考えるのかということ。それから、特例に関しては、具体的に原則に対して10%ぐらいの幅をもたせていただきたい、あるいは、期間について月単位で掲げる場合に6か月程度まで許容範囲にしてほしいとの御意見。また、特例の対象について、一般路線についても必要性があるのではないか。このようなことを御意見として伺ったかと思います。
 この点については、ここまで伺っていても切り口が非常に多様であると思いますので、これとは別の切り口からの御発言も含めてという形で、改めて労働者側の御意見を伺いたいと思います。何か御発言ございますでしょうか。
○池之谷委員 はい、52週のうち16週と縛りを掛けているのは、年間の中で最大限延長できるのはそのぐらいだろうという判断ですよね。齋藤委員がおっしゃるように、ではその分が全部で104時間になるから、104時間を月平均にならして全部付けたらどうだとなると、それはまた違う計算になってしまうのではないかと。あくまで平均となると計算方法も煩雑になりますし、今ある決め事にプラスアルファするのは、議論にますます時間が掛かるのではないのかというのは、実感として持っています。
 それから、3,300時間の話ですが、3,300時間と申し上げているのは、あくまで1日の所定、時間外、休憩、全て含めたときのマックスで3,300時間以下だろうとのことで申し上げています。確かに齋藤委員がおっしゃるとおり、休憩時間が短かったり、日々の労働時間が短かったりということがありますから、その中では3,300時間以下になってくるだろうと思っています。アンケートなどをいろいろ見ていても、3,300時間まで行ってない事業者さんが大変多いと見ています。ただ、この実態をもってしても、労働者側としては、長時間労働、長時間拘束で疲弊が多いというアンケート結果ですし、脳疾患や心疾患だとかのデータの中にも一定程度出ていますから、そこら辺はやはり削減をしていく、縮小させていく必要があると思っています。
○川田部会長 ありがとうございます。鎌田委員も何か御発言はございますでしょうか。
○鎌田委員 特例の件ですか。
○川田部会長 特例も含めてです。原則、特例の両方が論点になっています。
○鎌田委員 先ほど言いましたが、時間はともかくとして、臨機応変に対応できるのであれば、文言そのものを変えてしまえば対応できるのではないかと思っているので、今の池之谷委員からあったとおり、問題があればそこは後で修正すればいいので、特にそれほど重たい問題ではないのかと個人的には思っています。以上です。
○川田部会長 ありがとうございました。この点も双方から御意見を頂いて、そろそろ次の論点にいこうかと思っておりますが、この1ページ目の「4週平均で1週の拘束時間」に関して、何かございますか。金井委員、お願いします。
○金井委員 特例のところで、例えば一般路線バスを運行している事業所は、市街化調整区域でも、これは公共交通なので貸切の免許の保有ができる場合があるのです。ただ、貸切はそういうわけにはいかなくて、公共交通でないからというのが仕切りなのでしょうが。そうすると、今のような季節変動があるにもかかわらず、乗合の免許は保有できるのだけれども、立地の関係で貸切の免許は保有できませんということが支障になるケースがあります。ですので、今回、せっかくこういう御議論をさせていただいているので、その枠を一般路線まで拡大していただければ、そこら辺も解消できるということで、是非、延長特例の適用をお願いしたいと申し上げている部分です。
○川田部会長 ありがとうございました。それでは、ほかにこの1ページ目の論点について、どなたでも構いませんが、御発言はありませんか。
○小田切委員 小田切です。もし、先ほどお話してきた4週平均を選択にしないで1ヶ月とした場合は、この特例も1ヶ月単位という記載になると思うのですが、その場合、「年52週のうち16週まで」という表記が、「12ヶ月のうち何ヶ月まで」というところだと思うのです。池之谷委員がおっしゃったところで言うと、この16週は単純に4ヶ月までという整理でどうかという御意見と伺ってよろしいですか。
○池之谷委員 例えば、4か月だとしても、71.5時間という数字がありますよね。そこをどうとらまえるかなのです。例えば、80時間やりましたよ、片方が60何時間ですよと、それが果たして通るのかどうなのかというのは、議論が必要だと思っています。
○小田切委員 分かりました。その点で言うと、もう一方、先ほどの御発言は、使側は6ヶ月までという運用を希望されておられると理解してよろしかったですか。分かりました。
 私の公益の立場としての意見とすると、この計算式でいくと、既に1ヶ月114時間が時間外・休日労働という計算になってしまうことは十分に認識をして、この100時間超えになっている事実をもう少し縮めないといけないという認識を持った上で、4ヶ月までという現状を6ヶ月まで延ばすのはリスクが高いのではないのかと、個人的には思います。
○川田部会長 ありがとうございました。そのほか、この1ページ目についての御発言はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、2ページ目の「1日の休息期間」、「1日の拘束時間」にいきたいと思います。この点については、これまでの御議論の中で、労働者側から、1日の休息時間を11時間、必然的に1日の拘束時間は13時間という御意見をいただいております。また、使用者側からは、1日の休息時間の11時間について、必然的に拘束時間、労働時間の減少にもつながって、混雑や朝ラッシュの減便等、お客様への影響が極めて大きいというような御意見が出ているかと思います。長時間労働、あるいはそれによる健康への被害を抑制していくということと、事業の運営を円滑に行う、特に朝とかお客様への影響が大きい時間帯をどうするかということの両方を考えていく必要があるのかと思います。
 基本的には、双方の御意見を踏まえて更に御意見を伺いたいのですが、私としては、そのような状況で休息時間あるいは1日の拘束時間を考えていく際に、参照しながら検討する上でのよりどころとして、今回の資料でいうと参考資料1の24ページに出てくるEUの規則、そこでは、拘束時間について13時間、つまり休息時間が11時間で、ただ、週の3日までは9時間に短縮可能という制度になっている、この辺りが一定の参考にはなるのかと考えております。そこで、このような2段階の規制も考えられると思いますので、数字はこのとおりかどうかはともかく、この辺のことについて御意見を伺いたいと思います。まず、労働者側の委員から御意見を伺いたいと思いますが、お願いいたします。
○池之谷委員 この改善基準告示の見直しのときから言っていますが、8時間では到底短いのだと、様々なデータであったりアンケート調査などから考えたとしても、やはり休息期間は11時間という大原則は作っていかなければいけないと思っています。川田部会長がおっしゃったとおり、EUの規則の中で、11時間を例外的に9時間にするなどということが実際にありますから、そこに関しては、まだシミュレーションもできてませんし協議もしてませんが、そういう考え方はなきにしもあらずかと。ただ、週3回までなのか週2回までなのか、それが11時間から9時間なのか10時間なのか、そういったところは議論を深めていかなくてはいけないと思いますが、まず、大原則として11時間はとらまえておくべきだと考えております。
○川田部会長 ありがとうございました。鎌田委員、いかがでしょうか。
○鎌田委員 私も同じで、ILOの勧告を踏まえても11時間と。先ほどの資料にもありますとおり、脳・心臓疾患労災認定基準においてもインターバルは11時間が望ましいとありますし、睡眠時間についても7、8時間が適当となると、仮に11時間にした場合に、会社まで1時間あったとして、往復2時間あっても9時間という時間があるので、疲れも取れるし、この会議の大前提である過労死防止と長時間労働の是正という観点に立っても、妥当な時間だと思っています。
 もう1つ、使用者側の立場も分からなくはありません、ダイヤが組めなくなったり、大変な混乱を来すということも重々分かっています。しかし、それは今の話であって、今後、我々の業界に若い方々が希望を持って就職をして、バスの運転手になろうというようなことを考えると、今の長時間労働の現状で、低賃金・長時間労働というレッテルを貼られている状況では未来の公共交通は守れないと思っていますので、そういった観点からも、私は11時間が大前提だと思っています。以上です。
○川田部会長 ありがとうございました。それでは、使用者側の御意見も伺いたいと思います。お願いいたします。
○齋藤委員 何回か申しておりますが、拘束時間・休息時間でよく16時間や8時間というのが象徴的に取り上げられるのですが、休息時間の平均は11時間に今現在なっているのです。ですから、仮に16時間の拘束があった場合には、どこかでその3時間分を取り戻さなければいけないと。そうなってくると、13時間が原則だとしますと、逆に、10時間の拘束のときも出てると。そういったことで、ならしてみると平均で11時間と基準上はなっていると考えています。したがって、11時間というのは今現在でもなっておりますので、平均という見方で今後も維持していただければというのが休息の考え方です。
 拘束についても、裏返しの議論になるのですが、前から言っておりますとおり、この問題は過労死の防止であるとか、そういう問題がある一方で、いわゆる社会性、事業運営をどういうふうにするかにも関わってくる。したがいまして、事業者としては、「だからといってしようがないではないか」という気はなくて、回答できるところは回答していくのですが、この辺の規制によって、仮に運行回数が減って今よりも不便になるとか、そういう部分については、事業者の責任だけではなくて、社会的に理解をされて、こういうものを実施していっていただきたいと思っております。大体、今までと同じような考え方ですが、以上です。
○川田部会長 ありがとうございました。
○金井委員 そうですね。ここはすごく重い話ですので、社会的影響はかなり出てくる部分だと思います。事業者としては、それは責任でもちろんやるはやるのですが、実際、必要な時間帯にダイヤが当てられない、輸送力が当てられない。では、新しい人を雇えばいいではないか、乗務員さんに入ってもらえばいいではないかと。だけど、今は二種免許を持っている人が本当に貴重になってまして、常に慢性的に人がいないというのが通常です。ほとんどの事業者がそうだと思います。そういうところにもきっちり対応していかなくてはいけないということになりますので、ここは本当に非常に重いなと思っております。
○川田部会長 では、池之谷委員、お願いします。
○池之谷委員 齋藤委員からも、平均11時間取れてますというお話がありましたが、確かに平均で考えて11時間取れているのかもしれないのですが、この11時間取れていた現状の中でも、労働者側としては疲労度が高く、脳疾患・心疾患の状態も、これだけ高い。だから、長時間労働是正に向けて、改善基準方針を見直しましょうという話をしているわけです。11時間取れていますということであれば、これを更に延ばさなければいけないのかと思っています。脳疾患・心疾患も是正します、長時間労働を短く是正しますということで考えたら、では、もっと違う数字を持ってこなくてはいけないのかというのはあります。ただ、そこまで言ってしまうと議論が空転してしまいますから、あくまでも今の8時間ではなくて11時間ということは、改めて主張していきたいと思います。
 社会的理解ということはありますが、そこで働く人たちの健康を守るのだということでも、社会的理解を得られると思います。そこをまず守ってから、その上で企業運営をしていくと思っています。従業員の犠牲の上で社会的理解が成り立つとは思っていません。今回の見直しの根本である長時間労働の是正を真摯に見つめながら、しっかり対応していく必要があろうと思っています。
○川田部会長 齋藤委員、お願いします。
○齋藤委員 例えば、東京圏から電車、バスを使って2時間ぐらいの所にある通勤圏、そういう所の始発、終発は、住んでいる人にとっては結構大きな問題です。今後どういう形になるかわかりませんが、この結果次第によっては、運行回数を減らさざるをえないということもあるかもしれませんと。その場合に、それは運行事業者の責任で、すべからくやってくれとなってくると、我々としてはやっていけないと。だから、ある程度国民の理解をもって、そういうようにしていってもらう必要があるのではないかということです。これが1つです。
 先ほど言い忘れてしまったのですが、拘束時間の15時間超えは週2回まででという、我々にとってみれば一種の緩和措置があります。これはこれで有効に活用しているのですが、前から言っているとおりで、この週2回というのは、カウントするのが結構大変ですので、カウントが不要となるようなルールの決め方をどこかでできればいいかと。だからといって運営上、この特例措置がなくなると困りますので、その辺で何か考え方がないかと。少し漠然としているのですが、そう思っています。本当にカウントは大変です、当たり前のことと思われるかもしれませんが。始発から勤務して、例えば10時間拘束で、8時間空いて18時間です、前の始発から。これは、8時間空いたからいいだろうとはならないのです、24時間管理されていますから。そのカウントを毎日100始業、100ダイヤについて見ていく、これが結構大変なのです。猶予措置をやっているのだから、そんなの我慢せいと言われれば、そうなのですが、前から言っているとおり、守るほうも守りやすくする手法がやはり必要なのではないかという部分を、是非検討していただければと思っています。
○川田部会長 ありがとうございました。最後のところだけ確認ですが、要するに、1つは拘束時間の概念、始業から24時間ということも関係して、実際、現場で15時間超えになった回数をカウントするというか確認するのが、難しいケースがあると。
○齋藤委員 その後、見忘れてしまいました的な、ケアレスと言っていいのかどうかなのですが、そういうものができるだけない基準のほうがいいとは思うのですが、先ほど言った裏腹ですので、その辺をどうしていくかと、これは問題提起です。
○川田部会長 ありがとうございました。どの点でも構わないのですが、特に今出てきた1日の最大拘束時間とか、あと、15時間超え2回までというのは、例えば先ほど私から申し上げたEUの基準の休息時間で言うと、週3回までは9時間に短縮可という話と、ある意味表裏一体の話という性質があるわけですが、そういう一定の限度を設けた上で、2段階目というか、原則的な基準とは違うものを設けるという点も、そういう可能性も1つの論点になるかと思います。ほかの点でも構いませんが、使用者側委員から御発言をいただきましたので、特に労働者側委員から。では、池之谷委員、お願いします。
○池之谷委員 週2回まで15時間を16時間まで延長できる特例が、カウントしづらいというのは、どういうことか分からないのです。例えば所定内である程度ダイヤを組んでいると、カウントはできますし、そこに突発的な遅れが出ましたとかと言ったときに、それがはみ出てしまうというのは、その事例を見ただけで、15時間を超えてしまったというカウントはすぐできると思うのですが、そういう考え方でいいのではないかと思っています。
 ただ、今の15、16時間がいいのかということになりますと、先ほどから私たちは休息期間11時間ということで申し上げていますから、その11時間というところを照らし合わせたときに、15時間、延長16時間といったところも、しっかり見直しをしていかなくてはいけない。基本的に、この改善基準告示の見直しをやるときに、事業者アンケート、労働者アンケートをしっかり取って、その実態というか結果を踏まえて、私たちはいろいろ考えている。その各アンケートの中でも、11時間がよいのではないかとか、そういったアンケート結果が出ていますから、そこは反映をさせていく必要があると思っていますし、改善基準告示の見直しを私たちは託されているわけで、前回の改善基準告示と何も変わりませんというわけにはいかないと思っていますから、そこら辺を真摯に議論する必要があると思っています。
○川田部会長 ありがとうございました。では、金井委員、お願いします。
○金井委員 そうなのです。特発的なことがあって、15時間超えのものをはめないふうにすればいいのではないか。それはおっしゃるとおりなのですが、それが、ダイヤが変わると、その日、またその次の日、またその次の日と、どんどん関係性があるのです。所定で流れている分には、基本はそれはないです。人が生活していく上において、どうしても体調が悪くなってしまった、近所で不幸が起きてしまったみたいなことは、これは生きていく上にあることなので、そういうときに突発的に変更、変番をやるわけなのですね。
 ですから、この間申しましたが、運行管理者の専門性というか特殊性というか、非常に高度になっています。同じ働く者として、運行管理者の業務軽減、負担もかなりありますから、あえてそういう話が出てきたということでお願いしたいと思います。
○川田部会長 ありがとうございました。まだ結構重要な論点もありますので。この点についても、御意見は労側、使側双方の委員から伺ったかと思います。2ページの「1日の休息時間」、「1日の拘束時間」に関して、更に御発言はありますか。鎌田委員、お願いします。
○鎌田委員 先ほど池之谷委員からもあったとおり、休息期間が決まれば、最大拘束の16時間であったり、15時間超えが週2回というのも決まってくるとは思うのです。さらっと聞いていましたが、長時間労働の是正なので、16時間がそのままいいのかとか、15時間がいいのかというのは、また別の論議になると思うので、ここももしかしたら新しくしなくてはいけないという、長時間労働是正から言うと、そこは論議の大前提となるのではないでしょうか。以上です。
○川田部会長 ありがとうございました。この論点について、ほかに御発言はありますか。それでは、この点についても多くの御意見、御議論を頂いたということで、次に、残された時間が少ないですから、3ページの「運転時間」、「連続運転時間」にいきます。ここは大きく分けると、予見されない遅延とか、軽微な移動等についての扱いをどうするかという話が1つあります。また、それとは別に、そのようなものを切り離した原則的な運転時間、あるいは連続運転時間を何時間とすべきかというのが、もう1つ問題としてはあるのかと思います。議論の整理として、まず原則的な、特例的な扱いを切り離して考えた場合の原則的な時間数を、どのような時間とすべきかについて、既に一定の御意見を伺っているところですが、改めて労働者側委員から御意見を伺いたいと思います。お願いします。
○池之谷委員 連続運転については、おおむね2時間を考えています。これは、スキーバス事故を含めて、いろいろ連続運転が4時間だったものを、交替運転手の配置基準といったところ。確かに配置基準と改善基準告示では違うと思いますが、事故を踏まえた上で、運転手とか人間が集中できる時間はどのくらいあるのだということを、冷静に考えていかなくてはいけないと思っていますし、それを踏まえた上での交替運転手配置基準であるのであれば、そこは統一をさせて、おおむね2時間というところは押さえておかなくてはいけないと思っています。
○川田部会長 ありがとうございます。今、連続運転時間に関する配置基準との関係について御意見をいただきましたが、運転時間に関しては、何か御意見はありますか。
○池之谷委員 2日平均9時間といった点ですか。
○鎌田委員 私も交替運転者のときも会議のメンバーに入っていましたが、相次ぐ事故を考えたときに、連続運転時間は長いということで、おおむね2時間運転したら15分の休憩というのができたのですが、現行については二刀流みたいな形になっているので、原則、統一すべきでないかと思っています。これから使用者側の意見も聞きながら、いろいろな考え方はあると思いますが、原則、私も2時間がよろしいのではないかと思っています。
 それから、その下の悪天候とか、うんぬんかんぬんの所です。諸外国の例もあるのですが、恐らく天候に絡むような天災について、これは予測が全くつかないわけで、国交省の中でも、天候不良などの天災、その他読めない場合のときには減便できたりしているわけです。問題なのは、労働時間と関わってくるので、そこをどうするかということなのです。個人的には、天災と予測できないのは交通事故、あとは、車内で生命や健康に危険を及ぼすような可能性がある場合は、運転時間であったり休息期間から逸脱することはできるとするというのはいいと思うのです。ただ、渋滞があったからという1つのくくりではなくて、当然、繁忙期はあそこへ行ったら絶対渋滞するというのは予測できるので、これは渋滞ではないのではないかと思います。そこは分けて考えたほうがよろしいのではないかと思います。以上です。
○川田部会長 ありがとうございました。今、特例の扱いのことも出ましたので、併せて補足で御意見を伺って、その後、使用者側の御意見を伺いたいと思います。
○池之谷委員 鎌田委員と同じで、突発的に予測不可能な事象が起きたときには、それは改善基準告示からはみ出したとしても、猶予が持てる事例だと思っています。その上に立ってどう考えるのか。運転時間の2日平均9時間といったところ、また4週平均1週40時間といったところも、ダイヤの組み方によっては、片方に寄せることはできるのです。片方に寄せて、残ったところに、時間外をできるようにするとか、そういう組み方は、意図的にやろうと思ったらできるのです。しかし、それは長時間労働につながりますから、2日平均9時間とか、4週平均1週40時間とか、そういうのはきちんと決め事として残しておく必要があると思っています。ただ、運用上、これをもう少し何とか柔軟にできないのかというのは、いろいろなシミュレーションや協議の場が必要だと思っています。
 また、使用者代表から、軽微な移動等も何とか面倒を見てくれないかという意見がありましたが、軽微な移動といっても、そこは労働です。ですから、労働しなかったことにしてくれというのは、ちょっと言えないと思っていますから、そこは除外をしなくてはいけないと思っています。
○川田部会長 ありがとうございました。それでは、使用者側の委員の御意見を伺いたいと思います。齋藤委員、お願いします。
○齋藤委員 運転時間については前から言っていますけれども、論点が違ってしまって恐縮ですが、今回の改正に当たって、できるだけ改善基準を分かりやすくというか、使いやすく、管理しやすく、私の口癖でシンプル化などと言っていますけれども、そのようなことで運転時間という事項が果たして本当に必要なのかなと。労働時間は1日8時間で、バスの運転手の場合はほとんどが運転になるのですけれども、8時間から、点呼とか点検とか、あるいは折り待ちとか、そういうのをマイナスしていくと、必然的に運転時間になってきているわけで、これをあえて項目として入れるよりは、外したほうがより守りやすくなるのではないかということです。
 それから、連続運転ですが、1つは渋滞です。渋滞以外にもあるのですが、渋滞時のダイヤの組み方は非常に難しいです。特に国道何号線とかと言われている大幹線道路は、ある日は同じ区間を5分で走れるのが、ある日は30分になってしまうと。間を取れば10分とか15分とか、そのような場合に、では一体どこに所要時分を合わせればいいのですかと。30分でいいのですかと。前が空いてるのに、30分でだらだらバスが果たして走っていいのだろうかと。そうなってくると、おのずと真ん中ぐらいのところに合わせざるを得ない。しかし、月の何日はやはり5分の所が20分とか掛かってしまう。そうなってくると、そこで問題が生じてくると。そういう部分について、きちんと面倒を見ていただければと思っています。
 それから、配置基準の話ですけれども、確かこれは関越道のときの取り決めだったと思いますが、高速道ではかくかくしかじかと、そのような中身ではなかったかなと理解しております。これはこれで、改善基準とは別に、国土交通省の通達として事業者はそれぞれ遵守しておりますので、これは別に考えてよろしいのではないかと思っております。以上です。
○金井委員 連続運転のところでは、今、委員長がおっしゃったとおりで、現行どおりお願いしたいというところです。あと、ちょっと車を動かした場合、それは違うよというお話がありましたけれども、具体的に駅前ロータリーで所定15分の休憩を取りますというような、取っていたとして、例えば8分たった時点で、交通円滑化のためにというか、ちょっと車を動かしてもらいたいということで、1mなり2mなり少し動かしました、15分ですから、8分と7分に分割されてしまったと。そうすると、これは改善基準告示でいうところの休憩にはならなくなってしまう。こういうのは軽微な移動なので、そんなに頻繁にあるのかと言えばそういうことはないと思いますけれども、あったときには、連続運転のそういうのは外していただけないかなということでお願いをしているところです。
 あともう1つは、自然災害とか、やむを得ない運行の乱れとか、鉄道とか公共交通確保のために行う代行輸送などについては、いいのではないかというお話がありましたけれども、事業者の努力でも遵守するのが難しい不可抗力の事象とみなしていただいて、一時的な例外措置として、通達等で明示をちゃんとしていただきたいというところをお願いしたいと思います。
○川田部会長 ありがとうございました。今、使用者側から御意見を伺いました点について、特に運転時間に関しては、運転時間というものを設けること自体の必要性についての御意見があったかと思います。そういった点について労働者側の意見を伺った後、併せて最後の4ページ目の点、分割休息、2人乗務、フェリー、それから休日労働の2週間に1回、こういったことについても御意見をいただきたいと思います。今の連続運転時間についての使用者側の御意見を踏まえた労働者側委員の御意見と、併せて特例についての御意見を述べていただき、使用者側からも、その特例、その他の部分についての御意見をいただくという形で、最後に御発言を頂ければと思います。
○池之谷委員 何度も言いますけれども、連続運転時間とか運転時間は、アンケート調査にも出ているように、2、3時間というのが一番多いです。これは、4時間のところまでくると、集中力が途切れてしまうということの裏腹だと思っています。確かに貸切バスの事故、関越道の事故から配置基準というのがありますけれども、そこと一緒ではないというような理解はしています。ただ、人が集中できる時間はどのくらいなのかを考えたり、その事故のときに、やはり4時間は長いと判断をした、人の命を預かっているのだから4時間もずっと運転はできないというところからの考え方からしますと、どちらかに合わせましょうと言ったときには、これは改善基準告示の見直しですから、おおむね2時間というところにそろわされるのだろうなと思っています。
 突発的な事故とか、そういうことに関しては、国土交通省ともいろいろ相談をしなければいけないと思いますし、そこには柔軟な対応が必要だと思っています。くどくてすみませんが、軽微な移動に関しては、やはり移動させた以上は労働ですから、労働者側委員としては、そこを労働しなかったことにしましょうということに関しては首を縦に振るわけにはいきませんので、そこだけは御理解をいただきたいと思います。
 それから、分割休息の特例ですけれども、これは様々な見方があります。1日の勤務の中で、中4時間以上空いたときに、そこには分割休息の特例が使えますと、要は拘束の中に入れなくてもいいという判断が、地方運輸局とか労働基準監督署とか、全国バラバラなのです。関東一円では、何時間空いていようと始業から終業まで延べの拘束だと指導している所もあれば、4時間以上空いていたら、1日の拘束時間からそこは控除していいと判断している所もあるのです。だから、そこはここの基準にあるように、「8時間以上の休息を与えることが困難な場合、原則として」という所をきちんと明確にしていく、それから、各運輸局とか労働基準監督署とかに、そこをきっちり指導させることによって、全国統一の改善基準告示が作られると思っています。
 2人乗務の特例についても、「最大拘束を20時間まで延長することができる」というのがあり、では20時間拘束されていいのかという議論はありますけれども、頻度的にはそんなにないですし、そこら辺についてはアンケート調査の中にもあまり意見は出ていません。フェリーについても同じです。休日労働が2週間に1回というのがありますが、2週間に1回は妥当だと思っています。これを増やすと、連続勤務に引っ掛かってくると考えています。2回公休出勤してしまうと、20日連続勤務になり、連続勤務の限度、最大13日、それを裏返しますと、2週間に1回というところが当てはまると考えています。
○川田部会長 ありがとうございました。鎌田委員、御発言をお願いします。
○鎌田委員 先ほどの連続運転時間ですけれども、4時間というのをいかしてほしいというものに関しては、短縮しなくてはいけないものの前提に立っているので、アンケートをやった回答の大半が連続運転時間3時間以下ということを考えると、現行の4時間のままスライドというままでは、何のためにアンケートをしたのか分からなくなるのではないかなと思っています。
 その他のところで1点だけ、2人乗務です。先ほども少し出ましたが、20時間拘束して、問題はその休息期間を4時間まで短縮することができるという、現行の8時間を単純に2人で運転するから2で割れというのでは、ちょっとおかしいのではないかなと。結局、片方が運転しているときに車内で足を伸ばせている、休憩できる場所で仮眠ができるからという措置ですけれども、現行は、ドライバーに聞いたら全然休めないわけです。そこに行って、ではすぐ4時間寝られるかと言うと寝られるわけでもないので、それは単純に割るのではなくて、行って寝付きまでですよね、そんなすぐに寝られるという人はいないと思うので、4時間というカウントではなくて、せいぜい半分の2時間程度ぐらいでカウントしてもらえないかなと。今はコロナでこんな仕事はありませんけれども、例えば岡山辺りを夜8時に夜行で出発して、箱根に朝6時ぐらいに着いて、4時間仮眠してOKですよと。4時間仮眠して朝11時ぐらいに箱根を出て、岡山に夜中2時ぐらいに着いて、4時間仮眠して朝6時ぐらいの別の仕事をやるというような実例が実際にあったりするので、コロナ禍が終わったときに、また観光が盛り上がってきたときに、このようなダイヤを組まれると働く側としては非常につらいので、ここは是非見直してほしいと思っています。
○川田部会長 ありがとうございました。最後になりますが、使用者側の委員から、特に特例、その他の点を中心に御意見を頂けたらと思います。
○齋藤委員 簡単にという話ですので、これらにつきましては、今現在も活用されておりますので、是非現行どおりでお願いしたいと思います。
○川田部会長 ありがとうございました。金井委員、御発言ございますか。
○金井委員 その他みたいな感じでよろしいですか。ちょっとここには書いてはないのですが、専門委員会などでも私が申し上げた部分がありますので、あえてここでもう一回、確認のために申しますけれども、エージェントへの協力というようなところを、これは是非お願いしたいのです。旅行代理店などのことですけれども。バス事業者は仕事を受けるとしてはもちろんやっているのですけれども、今後しっかり求めていきたいというものです。仕事の受注者側の立場はどうしても弱くなってしまいますから、ここをよくやっていきたいということです。
 もう一つ、前に申しましたけれども、改善基準告示の適用が、バスとタクシーとトラックが対象というか、限定的になっていますので、運転業務を有償で提供するような新たなビジネスに対しても、運転者という面において、過労防止に向けた取組が実施されるように、公平で健全な競争が行われるように、環境整備を、これもお願いしたいと。これは継続でお願いしたいと思います。
○池之谷委員 エージェントの関係でおっしゃられましたけれども、軽井沢スキー事故以降、バス協会を含めて、JATAとANTAとパートナーシップ宣言を結んだではないですか。きちんと改善基準告示を守りましょうと。それ以降、相互通報制度も作って、改善基準告示を破るような無理な行程を含むエージェントに対しては、通報制度の中できちんと厳罰に処しましょうという動きをやっているのですから、それに準じてきちんと通報するなら通報する。パートナーシップ宣言を厳守する必要があると思っています。
○川田部会長 ありがとうございました。本日は活発な御議論をいただきありがとうございました。本日の議論はここまでとさせていただきます。
 次回の作業部会では、本日の御意見を踏まえて、更に見直しに関する議論を深めていくことにしたいと思います。最後に、次回の日程等について事務局からの御説明をお願いいたします。
○中央労働基準監察監督官 次回、作業部会の日程につきましては、日時、場所について調整の上、追って御連絡させていただきます。議事録につきましても、後日、御確認いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○齋藤委員 前回もお話が出て、今日は前回よりも踏み込んだ議論になっているのではないかなと思っているのですけれども、全体のスケジュール、日程との兼ね合いもありますので、できれば事務局案みたいなものが出て、それについて議論をしていくような、そういう形についても御検討いただければと思います。
○川田部会長 少し私のほうも事務局と相談しながら検討してまいりたいと思います。これをもちまして、第2回の自動車運転者労働時間等専門委員会バス作業部会を終了いたします。本日はお忙しい中どうもありがとうございました。