第5回身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会議事録

日時

令和3年10月22日

場所

TKP新橋カンファレンスセンター

議題

第5回身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会

議題

  1. (1)認定要領の見直しに係るワーキンググループにおける検討結果
    • 検討状況報告
    • 介助犬・聴導犬認定要領の見直し(案)
  2. (2)身体障害者補助犬に係る調査研究等について
  3. (3)その他

議事

議事内容
〇大城補佐 定刻になりましたので、ただいまから「第5回身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会」を開催いたします。皆様には、ご多忙のところ本検討会にご出席いただきありがとうございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための対応としまして、Webでの開催となり、江藤座長と事務局は会場からの参加となります。続いて交代に伴い、新たにご就任いただきました構成員をご紹介いたします。社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長、菊地通雄様。横浜市健康福祉局障害自立支援課福祉給付係長、奈木修人様。お2人の方にご就任いただいております。続いて構成員の出席状況をご報告いたします。本日は横浜市の奈木様からご欠席の連絡をいただいており、12名のご出席となります。なお、吉田構成員からは遅れるとの連絡を頂戴しております。また本検討会のオブザーバーといたしまして、警察庁交通局交通企画課から岸田様にご出席をいただいております。次に、事務局を紹介いたします。まず、本年9月に障害保健福祉部長と企画課長の異動がございましたのでご紹介いたします。障害保健福祉部長の田原です。
〇田原部長 田原です。どうぞよろしくお願いいたします。
〇大城補佐 企画課長の矢田貝です。
〇矢田貝課長 矢田貝です、よろしくお願いいたします。
〇大城補佐 続けて、自立支援振興室を紹介します。室長の奥出です。
〇奥出室長 自立支援振興室長の奥出と申します。よろしくお願いします。
〇大城補佐 福祉用具専門官の周藤です。
〇周藤専門官 周藤です。よろしくお願い致します。
〇大城補佐 社会参加活動支援係長の田中です。
〇田中係長 田中です、よろしくお願いいたします。
〇大城補佐 私は自立支援振興室長補佐の大城です。以上よろしくお願い致します。まず初めに、障害保健福祉部長の田原よりご挨拶申し上げます。
〇田原部長 改めまして、障害保健福祉部長の田原でございます。江藤座長をはじめといたしまして、構成員の皆様には日頃より障害保健福祉行政の推進につきまして、ご尽力、ご協力をいただいております。この場を借りて感謝を申し上げます。検討会の開催に当たりまして一言挨拶を申し上げます。身体障害者補助犬でございますけれども、平成14年に身体障害者補助犬法が成立をいたしまして、以降着実に社会に浸透してきております。さらに身体障害者補助犬に関する理解を広め、社会における受け入れを促進することが必要と考えております。さて、本検討会でございますけれども、前回3月までに訓練事業者、指定法人へのヒアリングなどを行いまして、介助犬および聴導犬に係る認定要領、それから訓練基準を見直してはどうか、というようなご意見を伺ったところでございます。このため、まず認定要領の見直しにつきましては、ワーキンググループを7月から9月に3回ほど実施をいたしまして、本日はそのワーキンググループでのご議論を踏まえた取りまとめについて報告をいたしまして、ご意見を賜りたいと考えております。また訓練基準の見直しの方でございますけれども、これも認定要領の方と同様に3回のワーキンググループを今後11月から開催を予定しております。取りまとめができましたら、第6回、次回の本検討会を来年の2月から3月に開催をいたしましてご報告をする予定でございます。来年は身体障害者補助犬法の成立、そして施行から20年を迎えます。厚生労働省といたしましても、さらに普及啓発に取り組んでいきたいと考えております。構成員の皆様におかれましても、今後とも身体障害者補助犬の普及啓発に向けまして、改めてご協力を申し上げまして、私の挨拶といたします。本日はご検討よろしくお願いいたします。
〇大城補佐 続きまして、本検討会の取り扱いについてご説明いたします。本検討会の議事については、公開とさせていただき、また議事録については後日、厚生労働省のホームページに掲載することとしておりますのでご承知おき願います。それでは本日の議事に入る前に資料の確認をさせていただきたいと思います。構成員の皆様には事前に資料をお送りさせていただいておりますが、資料は、議事次第、資料1 、2、 3、参考資料の1、2になります。Web開催ですので、ミュート機能を設定していただき、ご発言される際は、手を上げるというアイコンを画面に表示していただく、もしくは実際に挙手してお知らせ願います。それでは本題に入らせていただき、江藤座長に議事を進めていただきたいと思います。江藤座長よろしくお願いいたします。
〇江藤座長 それでは議事次第に沿って進めさせていただきます。「議題1 認定要領の見直しに係るワーキンググループにおける検討結果」について事務局より資料の説明をお願いいたします。
〇周藤専門官 事務局の周藤です。資料のご説明をさせていただきます。まず、「資料1身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会認定要領の見直しに関わるワーキンググループの取りまとめ」をご覧ください。認定要領の見直しに係るワーキンググループは補助犬の質の向上や、使用者の視点から介助犬・聴導犬の認定要領の見直しを行うために発足され、主に認定に係る申請書類の様式の統一、犬の動作検証時におけるリモート審査(録画もしくはリアルタイムの動画)の活用、審査員・専門職の役割の明確化、統一的な評価に基づく犬の認定について、身体障害者補助犬法における使用者の自立と社会参加の促進という目的を再確認しながら、ワーキンググループにおいて議論を行ってきました。補助犬の認定における審査の標準化や透明性の確保、使用者の負担軽減等の観点から取りまとめました内容についてご報告をさせていただきます。
まず一つ目の〇(丸)のところになりますが、指定法人に対する認定審査については、審査の標準化や透明性の確保、使用者の負担軽減が期待できることから、様式の統一化を検討することが適当であるとされまして、検討にあたっては、今後、各指定法人における認定審査の方法、視点その他についての現状を意見交換しながら進めていく予定としております。
次に、認定審査における犬の動作の実地検証に際して、リモート方式を活用することについては、指定法人の遠隔地に在住する使用者の負担軽減に資することや、ICT技術の向上等を踏まえ、活用可能であることを明確化するとともに、指定法人の所在地が限定されていることも踏まえ、使用者負担軽減の観点から活用を進めていくことが適当とされたところです。その際、指定法人は介助犬・聴導犬として必要な能力の認定を適切に行うことができるよう、リモート方式による犬の動作検証等に当たっての審査方法などをあらかじめ定めておくことも議論されました。リモート方式については、認定要領の修正を案として資料2において、後ほどご説明いたします。審査方法等についても各指定法人における認定審査の方法、視点その他についての現状を意見交換しながら標準化を進めていく予定としております。
続きまして、審査委員会に参画する審査委員については、それぞれの職種に応じて審査における役割等を明確にしておくことが重要であり、標準化を検討することが議論されました。こちらについても認定要領の修正案として資料2の方で後ほどご説明いたします。この件につきましても、標準化を検討するに当たっては、各指定法人における認定審査の方法、視点その他についての現状を意見交換しながら進めていく予定としております。
また、本ワーキンググループの議論においては、補助犬の使用を希望する方に対して、その生活全体を組み立てる支援が重要との意見が多くあり、指定法人における認定審査においては、使用者の自立と社会参加を促進する観点での審査も意識する必要があることを明確化することについても、認定要領の修正の修正案に反映し、こちらについても資料2においてご説明させていただきます。補助犬の使用希望者の生活全体を組み立てる支援については、訓練事業者においては使用を希望する者からの相談段階において重要となるため、今後議論が開始されます「訓練基準の見直しに係るワーキンググループ」においても、議論いただく必要があると考えておりますので、訓練基準の見直しのワーキンググループの構成員の皆様に対しては、このことについてもご説明する予定でおります。
認定要領は介助犬および聴導犬の認定のための一定のガイドラインとして、平成14年8月に定められ、以降、運用については、各指定法人に委ねられておりました。また、これまで指定法人間の情報交換等を行う場がなかったことから、指定法人相互の運用方法については把握できておらず、認定要領の見直しに係るワーキンググループにおいては指定法人の構成員からも情報交換の場の設定の要望があったところです。このため今後、指定法人が一堂に会する場を設け、それぞれの実態を踏まえつつ、指定法人間で丁寧に意見交換を行いながら、前述の課題について検討を具体化させていくことを予定としております。意見交換の進め方につきましては、資料3において、ご説明をいたしますが、令和3年度の「障害者総合福祉推進事業 身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方に関する調査研究」において、ご意見の交換の場を調整する予定でおります。
続きまして資料2のご説明に移ります。「資料2-1介助犬の認定要領 新旧対照表(案)」をご覧ください。資料1でご説明しました修正案となります。まず、「2 犬の動作検証等」については、赤字のところになりますが、「また検証等を実施する際に、録画やリアルタイムによる動画を用いることは差し支えないので検証時における使用者の負担軽減の観点から積極的に活用を検討すること。その際には、録画やリアルタイムによる動画を用いる場合でも、介助犬として必要な能力の認定を適切に行うことができるよう、あらかじめ検証等に必要な事項を定めておくこと」を追記しまして修正案としたいと考えております。
続きまして、「3 審査」のところになりますが、こちらも赤字のところになりますが「各審査委員の職種に応じた審査における役割等についても定めておくことが望ましい。なお、審査に当たっては、基本動作等の検証等のみならず、使用者の自立と社会参加を促進する観点での審査を行うよう努めること」を追記しまして、修正したいと考えております。
続きまして「資料2-2聴導犬の認定要領 新旧対照表(案)」になりますが、先ほどご説明しました介助犬の修正案において「介助犬」のところが「聴導犬」と変更しているのみでございますので、ご説明の方は省略をさせていただきます。
参考資料1-1および1-2については、修正案を反映した改正後の全文となりますのでこちらもご説明の方は省略をさせていただきます。資料の説明は以上となります。
〇江藤座長 認定要領に関しては、「身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会」において主に認定に係る申請書類の様式の統一をしてはどうか。また、犬の動作検証時におけるリモート審査、録画もしくはリアルタイム動画の活用をしてはどうか。また、審査員・専門職の役割の明確化をしてはどうか。また、統一的な評価に基づいて、犬の認定は行われているのか、といったような点について多くのご意見が寄せられたところでございます。これらについて引き続き、私が座長となりまして、ワーキンググループを3回実施し、資料1の取りまとめに至りました。取りまとめを踏まえた介助犬と聴導犬の認定要領の見直し(案)は、資料2の通りでございます。なおワーキンググループで「これまで指定法人間の情報交換等を行う場がなかった」との意見がありましたことを踏まえて、今後調査研究事業を活用して、指定法人間で意見交換をする場を設け、資料1に記載されている課題を具体化することのための検討をしていくこととしております。認定要領につきましては、以上の通りでございますが、構成員の皆様において、確認事項等ございましたらお願いしたいと思います。橋井構成員、どうぞ。
〇橋井構成員 はい、日本視覚障害者団体連合の橋井でございます。2点ですか、まず意見交換の場として、施設の中での連絡協議会というんですか、そういったものが出来上がるということがありましたが、これは全ての機関が入るんでしょうか。例えば盲導犬の場合でしたら、連合会があると聞いてはいますが入っていないところもあると聞いておりますので今回は、いかがされるのか。また、オンラインというんですか、ZOOMというんですか、そういったものでのワンちゃんとか利用者を見極めるということでしたが、もう既にやっているのでしょうか、その2点お願いいたします。
〇周藤専門官 事務局の周藤です。ご質問ありがとうございます。
1点目の意見交換の場についてですが、全ての指定法人にご参加いただきまして開催をする予定としております。2点目のリモート審査については、既に実施されている機関も何ヶ所かございます。ただ実施にあたっては、録画となると本当に犬の動作を適切に撮って確認できるのか、といったところのご意見も寄せられましたので、そういったところは、意見交換の場においても話し合いが行われる予定となっております。以上です。
〇橋井構成員 ありがとうございます。
〇江藤座長 その他にいかがでしょうか。中野構成員どうぞ。
〇中野構成員 中野です。リモート方式の認定・審査について、私も質問があります。リモート方式では、撮影上の問題がありうるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。例えば、認定に必要な犬の動作を適切に撮影できているのかどうか。また、聴導犬の場合には、環境音に上手く反応できているかどうかを確認する必要があるかと思います。撮影環境によっては、かなり条件を整えておかないと評価は難しいのではないかと想像しますが、その点は大丈夫なのでしょうか。それから大学等でもオンラインをかなり活用していますが、評価・試験等に関するものに関してはかなり厳密に条件を設定しています。ヒトに対するテストとは違うとは思いますが、例えば、不正な録画ではないかどうか等の確認等は必要だと思いますので、お考えをお聞かせください。
それから、もう一つ質問があります。今回は介助犬と聴導犬に関してですが、今後、盲導犬の認定・審査に影響する可能性、つまり、盲導犬の認定・審査でもリモート方式が導入される可能性はありますか。
以上です。
〇江藤座長 リモートについてはまだ一部で実施しているところはありますけども、今、中野先生がおっしゃられたようなことの問題点が大分指摘されていたかと思います。これからの議論かと思いますけども事務局どうでしょうか。
〇周藤専門官 事務局の周藤です。先生のおっしゃる懸念は、やはりワーキンググループでも議論はされました。要は動作の良いところを送って審査をしてもらえばそのまま認定となってしまうのか、といったことや、犬も毎回同じ動作が適切にできるわけではないので、動画撮影をする日に適切な動作が取れるとも限らないというご意見はありました。従いまして、リモート審査については認定審査を行うにあたって、すべてリモートというのは実行上難しいのかなというところもありました。ただ一方で、遠隔地の方やリモート審査の活用の検討をしているという法人もございましたので、だからといって全てリモート審査を否定するものでもないので、これについては前向きに考えていくということと、やはり具体的な内容については意見交換の場も活用しながらまとめていきたいというところではございます。
2点目の盲導犬に影響があるのかといったご質問についても、ワーキンググループの場でも盲導犬を例にした話し合いも結構出たところではございます。ただ今回話し合った内容は、直接的に介助犬・聴導犬がこうなりましたから、盲導犬の方も、というところにはなり得ないと考えております。なので、そのところはですね、もう少し整理して盲導犬、介助犬、聴導犬と共通するところは検討していくことが必要かと考えております。以上です。
〇江藤座長 はい、中野先生どうぞ。
〇中野構成員 ご説明ありがとうございました。リモート方式が一定の効果を持っていることには私も同意します。しかし、審査の場合には、各事業者が独自にルールを決めるのではなく、第3者機関が条件設定をした上で、一定の条件を満たす場合には、リモート方式で審査を実施しても構わないというやり方にしていく必要があるのではないかと思います。例えば、誰が撮影をするか、犬に対する指示もリモートで行うのか否か等、様々な要件あると思いますので、最低限の要件に関しては決めておく必要性があると思います。
2番目の質問をさせていただいた盲導犬への影響ですが、盲導犬の場合には、言うまでもありませんが視覚障害のある当事者が撮影するのは難しいので、そういう影響に関してはあらかじめ考えておいていただきたいと思います。第三者が撮影する等の条件を整えないと難しいのかなと思います。以上です。
〇江藤座長 ただ今、中野先生がご指摘されたようなことはワーキングの中でもいろいろと意見がありました。今回はリモートを使うということに関しては前向きに検討していくということで、具体的にどういう条件でやるか、どこでやるか、全面的にリモートだけでは済まないだろう、ということで今後の検討課題ということになっております。その他、いかがでしょうか。森戸構成員どうぞ。
〇森戸構成員 私はワーキングに参加させていただいていましたが、補助犬法における社会参加という言葉の概念の捉え方をもう一度きちんと整理して、ある程度統一というか、共通の理解にしていくというような話題が出ていたと思います。実際認定の場面というのも、パブリックの場面、でどう活動できるか、他の人に迷惑のかからないかということを審査するところもあると思いますので、社会参加をどう捉えるかということについて、補助犬法における社会参加を、一度あり方検討会の中でもきちんと方向性を出していくことも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇江藤座長 ワーキングでもご意見があったように、社会参加をどう理解するか、どう定義していくかということで、実際に訓練のところでもまた議論が出てくるかとは思いますけれども。かなり大きい課題であって、この検討会で社会参加について詰めていく、そういう話題ではないように考えておりますが、いかがでしょうか。事務局の方でもどうですか。
〇周藤専門官 事務局の周藤です。森戸構成員がおっしゃったように、ワーキンググループでも社会参加の定義については結構時間を使って議論が交わされたところでございます。ただ社会参加という定義をどうしていくかとなると、なかなか幅が広くてワーキンググループの場や検討会の場を活用しながら整理していくというのは、難しいのかなと考えているところでございます。ただ貴重なご意見として事務局では賜りたいと考えております。以上です。
〇江藤座長 有山構成員、いかがでしょうか。
〇有山構成員 全日本ろうあ連盟の有山です。先ほどご提案があったと思いますが、認定法人の運営方法について意見交換の場を設けるという話がございましたが、それは具体的に例えば、今後ずっと継続的に行うのか、その状況を知りたいと思います。
2点目として、資料1の中の2番目の〇として、リモートは利用者の負担の軽減というふうに書いてございます。これは利用者が聞こえない場合は、コミュニケーションで手話通訳などの準備が必要ですよね。リモートで手話通訳をきちんとできるのかどうか非常に不安を感じております。リモートでの運営方法も明確に表示していただきたいと思っております。以上です。
〇江藤座長 事業者間での意見交換の場というのがこれまでなかったということは、ワーキングの中でもいろんな意見があって、それぞれ違う方法や、やり方ということがあって、現在同時に並行して走っている研究会議の中でまず議論を始めていってもらい、具体的にどのようにしていくかということはその研究の中で議論されていくことを、今のところ考えております。
それから、リモートはおっしゃられる通りで聴導犬に関して、音の問題がありますし、リモートで全て済むというわけではないので、リモートをどのように併用していくかということもこれからの課題としております。その他いかがでしょうか。それでは次の議題に進みたいと思います。
「議題3 身体障害者補助犬に係る調査研究等について」事務局から説明をお願いいたします。
〇周藤専門官 事務局の周藤です。資料3のご説明をさせていただきます。まず「身体障害者補助犬の質の確保と受け入れを促進するための研究」のスライドをご覧ください。この研究は、昨年度令和2年度に終了した研究でございますが、身体障害者補助犬の質を確保しつつ、受け入れ促進へ一層進めることを目的としています。例えば、受け入れ促進のためのガイドブックの作成や、衛生管理のための具体的な手引きの作成、補助犬の需給推計方法の提案等を研究テーマとして進めてまいりました。こちらは国立障害者リハビリテーションセンターの元総長 飛松先生が研究代表者として取りまとめされたものになります。
この研究の成果の一つとしまして、「補助犬使用者および訓練事業者のための補助犬の衛生管理の手引き」これは水越先生が中心となって作成されまして、現在厚生労働省ホームページの方にもURLを表示して閲覧できるようになっています。また、「補助犬ユーザー受け入れガイドブック」としまして、7編ございます。医療機関編、公共交通機関編、宿泊施設編、飲食店編、複合商業施設編、賃貸住宅分譲マンション編、保健所編の7つですね。こちらはガイドブックとパンフレット、ガイドブックの概要となりますが作成されております。またスライド左下になりますが、多言語パンフレットも英語版等を作成しておりまして、補助犬の正しい理解普及啓発に向けて、こういった手引きやガイドブック等も活用しながら、進めていくということになっております。
続いて1枚おめくりいただきまして、スライドの2ページ目となります。こちらは、令和3年度から研究を開始しております、「身体障害者補助犬使用希望者の訓練の効果測定のための研究」といった課題になります。こちらは研究代表者が国立リハビリテーションセンターの清野先生にお願いしておりまして、本日研究の概要説明の方も、清野先生にお願いしております。ここで清野先生の方に説明の方代わらせていただきたいと思います。清野先生、よろしくお願いします。
〇清野先生 承知いたしました。資料の共有はそちらでそのままお願いしてよろしいでしょうか。国立障害者リハビリテーションセンターの清野と申します。本研究の研究代表者を務めさせていただいております。本研究についてご説明をさせていただきます。この研究は今年度開始で2年間の研究になります。次のページをお願いいたします。目的になります。先行研究や先ほどご紹介のありました、昨年度までの厚生労働科学研究を踏まえて残された課題が大きく三つございます。
一つ目が、「補助犬使用希望者の適性や補助犬と使用希望者の訓練期間中の評価については明確な基準がなく、質にばらつきがある」という指摘があります。次に、二つ目です。「認定後の定期的なフォローアップについては規定がありますが、明確な基準がなく、対応にばらつきがある」という指摘があります。三つ目です。「現行の制度では行政機関が、事業者を評価する基準が整理されておらず、事業者のサービスの質の担保が課題である」ということが挙げられます。
このような課題を踏まえて、本研究の目的は次のようなものになります。「補助犬のニーズや適性のある障害者に適切に補助犬のサービスが提供されるよう、事業者のサービスの質を確保すること」です。この目的を達成するために、次の三つで進めてまいります。一つ目が、「補助犬が適性のある障害者に適切に提供されるよう、使用希望者の適性評価のあり方について検討する」ということです。これは「障害者の適性評価班」ということで進めてまいります。二つ目です。「補助犬の使用希望者と補助犬の訓練の評価や、事業者のフォローアップの適切なあり方について検討」します。これについては「訓練・認定の評価、フォローアップ」という分担班で進めてまいります。三つ目は「補助犬や事業者のサービスの質を確保するため、他制度との比較検討から今後の法制度のあり方について提言」いたします。これは「法令検証」という分担研究班で進めてまいります。次のページをお願いいたします。
本研究による期待される効果は四つあります。一つ目です。「補助犬の使用を希望する障害者の適性を適切に評価する。そのような基準を示すことで、評価の質が確保され、補助犬が必要な障害者により適切に補助犬とサービスが提供できるようになること」です。二つ目です。「補助犬の希望者と、犬の訓練を評価する基準を示すことで、訓練認定の質の向上を図ることができること」です。三つ目です。「訓練事業者および指定法人のフォローアップの基準を示すことで、補助犬使用者に提供されるサービスの質が確保されること」です。四つ目です。「現状の法制度の課題を踏まえ、事業者と提供されるサービスの質が確保される法制度のあり方について提言を行うことで、適切な評価のもと、適切に訓練が行われることに繋がり、障害者の自立と社会参加に寄与することが期待できるということ」になります。次のページをお願いいたします。
研究の流れ図ということで大まかな流れをお示しいたします。テーマごとに三つの班で進めてまいります。一つ目が「障害者の適性評価班」ということで私が取りまとめをさせていただいております。この班は補助犬の支給基準の明確化について検討を行います。二つ目です。「訓練・認定の評価、フォローアップ」の班です。こちらは帝京科学大学の山本先生に分担研究者として取りまとめをお願いしております。また、山本先生は昨年度までの厚生労働科学研究で先ほどご紹介がありました、ユーザーの受け入れのガイドブックの作成をしていただきましたので、最終年度にはガイドブックの基準や知見についての普及、説明会の実施ということも予定をしております。三つ目の班は「法令検証」です。こちらは筑波大学大学院の小澤先生に分担研究班として取りまとめをお願いしております。なお、全体のアドバイザー、また障害者の適性評価のアドバイザーとして、昨年度までの厚生労働科学研究費の研究代表者でいらっしゃいます現国立障害者リハビリテーションセンターの名誉総長 飛松先生に研究協力者としてお願いをしております。それでは次のページをお願いいたします。
ここから先ほどご紹介した三つの班について、それぞれ計画と方法、進捗をご報告させていただきます。まず、障害者評価班についてです。今年度の計画として、障害者の適性や評価に関する先行研究を取りまとめ、リハビリテーションセンター系の指定法人に関する評価の実態について調査を行い、基準を検討するというふうに考えております。ただし、計画につきましては、調査研究事業ですとか、ワーキンググループの方向性を踏まえて、調査などが重ならないように調整しながら進めていければというふうに考えております。2年目ですけれども、来年度は身体障害者についての実態調査を行い、適性や効果、現状の課題やニーズを整理する予定で考えております。最終的に補助犬使用希望者のニーズや適性を評価するための基準を取りまとめ、提言を行う予定です。方法としましては、文献調査、アンケートやインタビュー調査ということを予定しております。進捗です。障害者評価の班として、調査実施のための会議を実施しております。特にこれまで行った内容としましては、地域生活支援事業の実態について情報収集課題の整理を行いました。またリハビリテーションセンター系の指定法人2ヶ所について、研究協力者の先生方から情報報告を行っていただき、情報収集を行いました。また今年度は、都道府県への地域生活支援事業に関する実態調査を計画し、現在調査案を作成中になっております。次のページをお願いいたします。
次は、訓練・認定の評価、フォローアップの班についてです。今年度は検討会やワーキンググループの状況、先行研究を踏まえて、フォローアップのあり方について検証を行います。2年目です。ガイドブックや基準について、知見の普及のあり方を検討し、知見普及のための説明会を実施いたします。方法としましては、情報収集や文献調査、必要に応じて、アンケート調査やインタビュー調査を行う予定です。最終年度には知見の普及のための説明会を実施する予定でおります。次のページをお願いいたします。
法令検証班です。今年度は、現行法令の検証や他制度との比較検討を行い、補助犬や事業者のサービスの質を確保する方策について検証を行います。来年度の計画です。現行法令における都道府県の事業者への対応の制度的課題を検証し、補助犬や事業者のサービスの質を確保する法制度のあり方について提言を行う予定です。方法は社会福祉法人や、福祉サービスの指導監査における根拠法令、自治体のホームページ等より評価の方法や基準について文献調査を行います。また、国や自治体が指定法人や訓練事業者が適正な事業運営をしているかどうかを確認している制度上の課題を他制度の比較から検証を行います。最終的にはそれらを取りまとめて、法制度のあり方について提言を行います。次のページをお願いいたします。
研究体制はこのような形になっております。研究代表者、分担者は先ほどご説明をした通りです。研究協力者については、国立障害者リハビリテーションセンターの飛松先生に全体アドバイザーをお願いしております。次に、国立障害者リハビリテーションセンターの石川先生には、聴覚障害者に関する知見の提供をお願いしております。また千葉県千葉リハビリテーションセンターの菊地先生、一般社団法人日本身体障害者補助犬学会の高柳先生、名古屋市総合リハビリテーションセンターの田中先生、東京大学の渡辺先生にも研究協力者として、全体あるいは各班の進め方にご協力をいただいております。報告は以上になります。
〇周藤専門官 清野先生、お忙しいところありがとうございました。この研究はご説明にもありましたが、昨年度までの研究の継続の課題を引き続き研究されることも含まれておりますので、今年度来年度と研究の方、お忙しいかと思いますが進めていただければと思います。我々も研究班のミーティングにはこれまでも参加させていただいておりますが、適宜いろんな情報の交換ができればと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、スライドの10ページの方に移ります。令和3年度の障害者総合福祉推進事業のご説明をさせていただきます。こちらの課題は、身「体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方に関する調査研究」と題しまして社会システム株式会社さんの方に採択されまして、調査研究を進めているところでございます。
「1.事業目的」のところになりますが「身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方について具体化する介助犬・聴導犬の訓練基準並びに、介助犬・聴導犬の認定要領の見直し検討に向けた分析および課題の整理」や、今後の方向性等について調査をする予定となっております。資料1の方でもご説明しました意見交換の場や、先ほどもご意見いただきましたが、この事業を活用しながら進めていく予定としております。令和3年度の調査研究となりますので、今年度に限りということで意見交換での場で話し合われる内容は、まずは年度内をもってある程度方向性を出すということが、まずは当面の目標になるかなと思っております。
続きましてスライド1枚おめくりいただきまして、身体障害者補助犬の普及啓発についての資料を御覧ください。補助犬の普及啓発につきましては、昨年度、今年度と新型コロナウイルス感染症もございまして、令和元年度まで実施してきておりました各所でのデモンストレーションが、開催できない状況でございます。このような状況もありますので、昨年度はYouTubeの動画を、スライドに記載がございますが、「もっと知って盲導犬、介助犬、聴導犬」等の約2分程度の動画を作成し、厚生労働省のホームページに動画を掲載しているところでございます。
続きましてその下の方になりますが、関係省庁に対して補助犬ユーザーの受け入れガイドブックを周知協力依頼というところですが、こちらはガイドブックの7編をご説明させていただきましたが、こちらを関係省庁の方にお願いして周知をすることとしております。一方で先ほどの清野先生の研究の方でもお話があったかと思いますが、せっかく良いガイドブックですので、我々の方としましても協力をさせていただいて周知を図っていくことということでございます。続きまして、政府広報ラジオで広報予定となりますが、こちらは11月21日日曜日にTOKYO FMのラジオ放送において60秒間にはなりますが、身体障害者補助犬の普及啓発ということでCMのような形で、お知らせコーナーとして放送する予定でおります。TOKYO FMのアナウンサーの方が読み上げる予定ですが、こういったところも活用しているところでございます。以上、三つほどご説明させていただきましたが、まだまだ普及啓発に向けては、我々としてもコロナ禍を踏まえてどのようなものができるかというところも検討しているところでございますのでよろしくお願いいたします。
資料1枚おめくりいただきまして、スライドの12ページ。「身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会認定要領および訓練基準の見直しに係るワーキンググループの開催スケジュール(案)」のスライドになります。資料のスライドは下の方になりますが、第5回令和3年10月22日、本日、検討会を開催しております。以降は、何度かご説明をさせていただいておりますが、訓練基準の見直しに係るワーキンググループは11月以降、3回を予定しております。来年の令和4年の2月から3月頃、第6回のあり方検討会において、訓練基準の見直しの議論の取りまとめを今回と同様にご報告させていただければと思っております。
もう1枚、資料の方をめくっていただいて、こちら13ページ目、最後のスライドになります。訓練基準の見直しに係るワーキンググループの構成員の方の名簿となります。15名の方にご出席いただきまして、議論を進めていく予定としておりますので、ご承知おきのほどお願いいたします。資料3のご説明については以上になります。
〇江藤座長 ありがとうございました。身体障害者補助犬の調査研究は、ただいまご説明いただきましたけども、国リハの清野先生の研究とそれからコンサルタント会社、社会システム株式会社ですね、その会社の調査で取り組んでいるところでございます。また訓練基準のワーキンググループは来月11月から3回にわたり開催を予定しているところでございます。資料3について確認事項等ございましたら、よろしくご発言をお願いいたします。それでは特にご発言がないようですので、本日の検討会はこれまでで終了させていただきます。ここで進行を事務局の方へお返しいたします。
〇大城補佐 江藤座長、ありがとうございました。また構成員の皆様にはご多忙の中、ご出席並びにご意見をいただきまして誠にありがとうございました。次回、第6回身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会は、令和4年の2月から3月頃を予定しており、訓練基準の見直しに係るワーキンググループの検討状況をご報告させていただく予定です。日程につきましては、改めてご連絡させていただきますのでよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
 

照会先

 

障害保健福祉部企画課自立支援振興室