第7回外国人雇用対策の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和3年10月7日(木)13:00~15:00

場所

オンライン会場
厚生労働省職業安定局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎第5号館12階)

出席者

  • 天瀬 光二
  • 是川 夕
  • 酒井 正
  • 佐久間 一浩
  • 杉崎 友則
  • 冨高 裕子
  • 新田 秀司 
  • 山川 隆一(座長)

議題

  1. (1)中間取りまとめフォローアップ
  2. (2)その他

議事

議事内容
○山川座長 ただいまから、「第7回外国人雇用対策の在り方に関する検討会」を開催いたします。皆様方にはご多忙のところ御参集いただきまして、大変ありがとうございます。まず、事務局に異動があったようですので、御案内をお願いいたします。

○大臣官房審議官 外国人雇用担当の審議官になりました本多でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課長の吉田でございます。よろしくお願いいたします。

○外国人雇用対策課長補佐 外国人雇用対策課長補佐の分部と申します。よろしくお願いします。

○山川座長 本日はオンラインでの開催となります。また、新しい試みとして、検討会の様子をYouTubeで配信するということでありますので、事務局の吉田課長から説明をお願いいたします。


○外国人雇用対策課長 事務局です。オンラインで御参加いただいている皆様からの発言についてお願いがございます。オンラインの方は、事前にお送りしております「会議の開催、参加方法について」を御参照ください。座長が御発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」機能を使用してください。御発言される方を指名させていただきますので、指名された後に発言を開始してください。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお願い申し上げます。また、発言後は必ずマイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、今回から事前に御登録いただいた方に限り、本検討会をYouTubeで配信しております。YouTubeで御覧の皆様におかれましては、会議映像の録画や録音などについては御遠慮いただくよう、お願いいたします。
 続きまして、資料の確認に移ります。本日は、議事次第に続いて、資料1、資料2、資料3を御用意してあります。資料が見られないなどの不備がございましたら、事務局にお知らせいただけたらと思います。

○山川座長 本日の出欠状況ですが、九門委員と友原委員が御欠席と伺っております。それから、オブザーバーとして、出入国在留管理庁政策課からの御参加があります。カメラの頭撮りはここまでとなっておりますので、御退出をお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。議題1「中間取りまとめフォローアップについて」です。本年6月に、本検討会の検討結果として、中間取りまとめを行ったところですが、その後の外国人を巡る雇用状況や外国人雇用対策の取組内容や進捗について、事務局から説明をお願いいたします。

○国際労働力対策企画官 企画官の安井と申します。資料1から資料3までございますが、まとめて御説明いたします。資料1を御覧ください。こちらは、外国人の求職あるいは求人の状況について、最新の情報をまとめたものです。まず、新規求職者数の推移についてです。前回の取りまとめでは、4月末までの数字を出しておりましたが、それ以降の8月までの数字をまとめております。前々年同月比、コロナ前の平時と比べるという意味で、青い点線を御覧ください。5月の際は、ほぼ1.0ということで、前々年と同じレベルになっておりましたが、その後、緊急事態宣言等の影響もありまして、8月は1.41倍となっております。外国人の求職状況は悪化している状況です。
 非自発的離職の割合についてです。一時68.6%となっておりましたが、その後、一貫して低下傾向で、現在は43.3%まで低下しております。一方、日本人に関しては赤の実線ですが、27.7%ということですので、引き続き日本人と比べて、非自発的離職の割合が高いという状況は継続しております。
 こちらは、その非自発的離職を在留資格別に分類したものです。紫の実線が定住者です。こちらは日系ブラジル人の方で、そういった方が多いわけですが、こちらの方の非自発的離職の割合がほかと比べると高いという状況が継続しているということです。
 大事なポイントですが、就職率についてです。青い実線が外国人の就職率を示しているわけです。一時は8.1%まで落ちておりましたが、その後は改善してきて、6月は15.2%まで改善してきたところですが、新規求職者の増加に伴いまして、また10.7%まで低下をしております。同時期の日本人に関しては、25.6%ありますので、15ポイント程度開いているということで、外国人の就職は引き続き難しい状態ということです。
 それから、この就職率を在留資格別に分類したものです。一番下にある青い実線が、技術・人文知識・国際業務ということで、いわゆるハイスキルの方ですが、こちらの就職率が6.8%と比較的低くなっております。それから、紫の実線が定住者で、こちらも一時は15.0%まで伸びていたところが7.6%まで急落しております。そのほかについても低落している状況ですので、こういったところのボリュームが、新規求職者としてきているということになろうかと思います。
 求人の分析についてです。こちらは外国人向け求人ということで、求人の段階で明示的に外国人向けであることをおっしゃっていただいているものです。職業紹介に当たっては、これ以外の求人についても職業紹介を行っておりますが、指標として使えるということで使っているものです。こちらについても、赤い点線が前々年同月比になるのですが、徐々に改善してきておりまして、現在は0.93倍です。一方、有効求人については、新規求人を3か月平均に均しているような形になりますので、穏やかな形で上昇の傾向です。
 在留資格別の有効求人です。左側が専門的・技術的分野です。こちらについても、一時は4割減ぐらいのところであったものが徐々に上昇してきておりますが、まだ8割程度にしか戻っていないという状況です。専門的・技術的分野以外については、先ほど御説明しましたとおり93%ぐらいまで戻ってきているという状況です。
 外国語使用求人についてです。こちらは、技術・人文知識・国際業務の、主に国際業務の方々に対する求職ということです。一時は6割減まで落ちていたところ、大分改善はしてきておりますが、いまだに5割程度にしか戻ってきていないということになりますので、この分野で離職を余儀なくされた場合、この分野で再就職するのは極めて難しいということで、先ほど申し上げたような、技人国の就職率の低迷につながっているのではないかと考えているところです。
 資料2を御覧ください。先ほど座長から御案内がございましたように、中間取りまとめを踏まえて、現在行っている事項、あるいはこれから行っていく事項について、御説明する資料です。中間取りまとめの概要は全部で7つの項目がありますので、それぞれの項目について御説明いたします。
 1点目がデータの関係です。統計等の個別のデータを活用して、より詳細に分析をすべきだ、あるいは、エビデンスに基づく政策の立案をすべきだといった御提言を頂いたところです。こちらについては、資料3で具体的な取組を御説明させていただきます。これについては統計の整備ということですので、専門的・技術的な検討が必要であるということがありましたので、厚生労働省の委託調査事業により、「外国人の雇用・労働等に係る統計整備に関する研究会」というものを設置し、専門的な御検討を頂くことを考えております。
 検討事項は大きく3つございます。1つ目が、外国人の雇用・労働等に関する統計の現状と、今後の整備の必要性についてです。2つ目が、それを導入するに当たっての技術的課題です。3つ目が、既存の業務統計をどう活用するかということです。
 1点目については、日本人と外国人の比較ができるようにするということが大きな主眼です。現在、賃金については賃金構造基本統計調査により、在留資格があるわけですが、ほかの指標については、日本人と外国人の指標が比較できない状況になっております。こういった状況について、1番の、狭い意味での労働市場に関する統計、それから生活状況に関する統計、所得・貧困率・若年者教育等について、日本人と外国人を比較できる統計をどのように整備していくのか、その優先順位について御議論いただきます。3つ目については、産業別の労働力の需給、人手不足の状況をタイムリーに把握できる方法について御検討いただくということです。
 具体的な技術的課題ということですが、我々としては大きく3つの方法があると考えております。1つ、一番簡単な方法としては、既存統計に調査項目として在留資格を単純に追加すればいいわけですが、こうしますと、外国人の労働力人口は全体の数パーセント程度はありますので、きちんとした数字が出ないという弱点がございますので、サンプルサイズを増強するとか、層別サンプリングをするという方法が必要となります。
 もう1つの考え方は、いろいろな統計に入っている調査項目をコピーしてきて、それを1つの大きな統計にして、それを外国人専用の統計とする。その結果と既存の統計を比較することで、日本人と外国人の比較をするといったやり方もあろうかと考えております。また、縦断調査というのは、1つのコホートというグループを作って、それを毎年追跡していくというやり方もあろうかと考えております。
 労働力の需給調査については、業種別、地域別にタイムリーに把握する方法、これは推計も含めて、どういったものがあるかというのを御検討いただくということです。こちらについては、いわゆる人手不足感を調べるだけではなくて、離職率、賃金水準、在籍年数、技能等の把握についても行い、そういったものを総合的に判断した上で、人手不足というのがどうなのかを判断するような指標を御検討いただこうと考えております。
 3つ目については、外国人雇用状況届を義務付けておりますし、ハローワークのデータもございます。先ほど御説明したハローワークのシステムから取っている情報ですが、こういったものを公表することも含めて、今後の定期的な公表も含めて、活用方法の整理を行うということを検討しております。
 こちらが委員の構成案ですが、座長には労働政策研究・研修機構の樋口理事長をお願いしております。また、ほかに労働統計の専門家、社会福祉関係の統計の専門家、あるいは労働経済の専門家、外国人の統計の専門家といった方々をお招きして、御検討いただく予定です。
 スケジュールについては、10月下旬に第1回を開催しまして、年内に中間取りまとめというか、大体の方向性をお出しいただいて、それをこちらの検討会で年明けに御議論いただけないかと考えております。そこでの議論を踏まえて、第3回、第4回の検討を行って、また4月以降にこの検討会で御議論いただいて、その結果を踏まえて、例えば新しい統計が必要ということであれば予算要求、あるいは統計委員会への承認申請といった手続を進めていくことを考えております。
 2つ目についてです。こちらについては、国際的な労働移動についてです。従来からOECDの移民作業部会に参加しておりますので、そちらに参加するわけですが、今回の中間取りまとめを現在英訳しておりまして、この作業部会等において、日本の取組を紹介することを考えております。
 一番下のポツを御覧ください。現在、海外からもございますし、日本国内においても、外国人が就職活動をするということが多くなっているわけですが、それが一体どういう入職の経路で、民間の職業紹介を使っているのか、ハローワークを使っているのか、いわゆる求人情報誌を使っているのか、そういったことが必ずしも明らかになっていないという状況ですので、それを調べて、それぞれの課題について把握して、そういったものの改善につなげていきたいということを考えております。
 こちらは参考ですが、出入国在留管理庁で行っていただいた在留外国人に対する基礎調査報告書の中で、「現在の仕事の見つけ方」という御質問がありましたので、それを述べております。こちらは単一回答になっておりますので、実際は複数のチャンネルで就職活動はされていると思いますが、最も印象に残ったものを選んだのか、あるいは実際に就職していたものを選んだのかは分からないのですが、そういった形のデータがございます。一番多いのは求人サイト、それから知人の紹介といったものが多くなっています。ハローワークについては5.0%という数字が出ております。こちらについては、在留資格別に並べたものですが、大きな傾向としては、求人サイトと知人の紹介が一番高いという流れについては、大体共通というところです。
 続いて、コミュニケーションの改善と文化ギャップの改善ということです。こちらについては、日系人の定住外国人を対象とした支援事業がありまして、そういったところの改善を図っていくというところで、具体的にはNPOと連携強化をする、あるいは求められるコミュニケーション能力を与えることを念頭に置いて、就職の改善を図っていくことを考えております。
 2点目以降は現状で行っているもので、毎年6月に、「外国人労働者問題啓発月間」を行っております。それから、令和3年3月に労務管理に使える例文集、あるいはキャリアコンサルタントの外国人向けの雇用開発、雇用管理に役立つ多言語用語集といったツールを作成しておりますので、それを引き続き普及していくということです。
 こちらが外国人就労・定着支援事業というものでして、身分系の在留資格の方々に対して、日本語のコミュニケーション能力、ビジネスマナーというものを学んでいただいて、就職に結び付けるという事業です。こちらの改善の内容ですが、従来、いわゆる困窮している方というのは、なかなかハローワークにたどり着かないという実態がありますので、そういった外国人の支援を行っているNPOの方と連携して、まずハローワークにお越しいただく取組をすると。その上で、ハローワークにお越しいただくわけですが、直ちに就職に結び付けるのは難しい、コミュニケーション能力等が足りないという方については、コミュニケーション能力向上の研修を受けていただきます。それについても、就職をしようと思っても、面接会場になかなか行けないような方もおられますので、そういったことについては、NPO等と連携しながら、いわゆる伴走型支援というものを図っていくといった形で、就職率の改善を図っていきたいと考えております。
 続いて、「できることリスト」というものです。こちらはどういったものかと申しますと、従来は日本語の能力と言うと、いわゆるJLPTのN2とかN3といったものでやっていたわけですが、そういったものですと、実際にどういう仕事に就けるのかということとリンクがはっきりしないということで、そういったものを改善するために開発されたものです。レベル1ですと、ビジネスホテルなどのベッドメイクのように、日本人と基本的にやり取りをせずに仕事ができるような場合です。レベル2というのは、やり取りはあるのですが、ファストフードのような定形的なやり取りがあるというものです。レベル3になってくると、例えばコンビニで働くように、比較的複雑なやり取りが必要なものというものです。それぞれに見合ったコミュニケーション能力を、それぞれの100時間の研修で身に付けていただくという形になります。
 また、求人開拓もこのシートを行って、どのレベルのどのような仕事か、レベル1でいいのかということなどを求人開拓で把握して、それを求人票に書いていただきます。例えばレベル1の修了者が出たときには、レベル1でもいいと言っている会社を紹介するという形で、システマティックに紹介することで、就職率の改善を図りたいと考えているところです。
 こちらは既に御説明した資料ですが、キャリアコンサルタント向けに、外国人の能力開発に関する専門研修を3日間の講習で、今年度中は行っております。こういった方々をたくさん育成することによって、企業内部におけるキャリアコンサルティングも改善していきたいと考えております。
 こちらが開発した各種ツールです。例えばここに3つ書いておりますが、労務管理に使えるポイント・例文集、これは労務管理をどうやって説明するか、こういう質問があったときはこう答えましょうというものです。それから、多言語用語集、就業規則のやさしい日本語版といったものもお配りして、それぞれの事業場における外国人雇用管理の改善を図っていきたいと考えております。
 続いて、困窮外国人に対するハローワークの対応です。こちらは1回から6回までの中で、様々な取組について御紹介させていただきましたが、それを踏まえた新しい取組について御説明いたします。1点目は、先ほど御説明しましたNPOとの連携を図るために、相談員の拡充を行うことの予算要求をしております。もう1つ、外国人を雇用している事業所をデータベース化して、そちらを求人開拓あるいはマッチングに生かすという取組を試行しております。それから、来年の3月から、ハローワークの窓口で求人票を英語へ自動翻訳して、それを提供するような取組を行う予定です。それから、公益支援についても取組を行っているところです。
 こちらが、具体的な「外国人雇用事業所データベース」の例ですが、外国人労働者の増加数を押さえることができます。2020年4月から2021年4月までにどれぐらい増えたか。例えばAという製造業でしたら、全体で179人増加していることが分かります。それに、ハローワークに求人を出しているかどうかを紐付けて出すというものです。例えばこれを見ると、Aという事業所は食料品製造業ですが、全体で179人増えていますが、そのうちの87人は資格外で、いわゆるアルバイトですので、そういったマッチングには適しているということです。一方、Fというのは同じ食料品製造業ですが、48人中の38人は専門・技術を採用していることが分かります。ですので、専門・技術の求職については、こういった所を紹介するということが考えられます。あるいはJという所については、35人増加しているところ35人が専門・技術といった所もございます。Cという所は76人も外国人労働者が増加しているにもかかわらず、ハローワークには求人を出していないということが分かります。こういった所に求人開拓、求人を出していただけないかということを働き掛けて、求人を出していただくことによって、先ほど申し上げたような就職率の低迷を何とか脱したいと考えているところです。こちらは主要な労働局において、現在試行を行っているところです。
 もう1つの取組としては、令和4年3月より、ハローワークにおいて求人票の英訳を提供するという取組です。求人票というのは、ハローワークで求職しないと、なかなか御覧になったことはないかもしれません。ここに書いているように、非常に詳細なデータが詳しく記載されているものです。例えばどういった職種、仕事内容、雇用形態、雇用期間なのかということもありますし、皆さんの気になる賃金の賃金形態、賞与があるのかどうか、託児所があるのかどうか、社宅があるか、あるいは外国人を雇った実績があるかといったことも全部記載がありますので、こういったものを、現在のところは英語だけではありますが、事前によく読み込んでいただいて、希望の会社を選んでいただくということで、こちらもマッチングの改善を図っていきたいということです。
 こちらについては国際的な問題ですが、ミャンマーで現在政変等が起きておりますし、なかなかミャンマーに帰国できないという状況があるというように聞いております。そういったところについて、出入国在留管理庁のほうで、6か月とか1年、そういった特定活動について認めておられますので、そういったものの周知を図っているというところです。
 それから、先ほどの短期の特定活動ですが、例えば6か月というものに対して求人を取るのは、実は非常に困難でして、なかなか6か月の方がハローワークに来られても、就職に結び付かないということがございますが、こちらは1つの例として、東京近郊の農協に働き掛けて、農業というのは比較的季節的な労働もございますので、短期間でも受け入れる、求人があるということを把握した上で、それを支援者団体に伝えて、東京のハローワークにまず求職の登録をしていただきます。そこから、いわゆる広域紹介というのを行いまして、東京近圏のハローワークから就職に結び付けたという例です。これは全国ネットワークを有するハローワークの強みを生かした取組でして、こういったものを横展開していきたいと考えているところです。
 続いて、職場・地域での定着ということです。こちらについては、モデル事業を行っておりまして、特定技能外国人を大都市でない所に受け入れた上で、そこで定着していく取組を行って、それを横展開する予定でしたが、現在はコロナ禍の影響で入国できておりませんので、こちらについては令和4年度に予算の繰り越しを行った上で、令和4年度中に、好事例をまとめた報告書をまとめる予定です。
 続いて留学生です。こちらについては、第1回から第6回で御説明しておりますが、ハローワークと大学との間で連携協定を結びます。もう1つは、国内就職を支援するためのモデルカリキュラムを作っています。こちらについて、まず協定については、1年生、入学してすぐから、内定に至るまでの長い道のりをきちんと伴走型で支援するものです。モデルカリキュラムについては、まず就職準備コースということで、そもそも日本の雇用というのはどういうものなのか、日本で活躍するのはこういう人材だということを把握していただいて、そもそも日本で働くかどうかを十分に考えていただいて、是非日本で働くということであれば、実際にどうやって就職活動をすればいいのか、あるいは働き出したときにどういったコミュニケーションが必要になるかのガイダンスを行うという、2つに分かれたコースです。
 まず協定については、外国人雇用サービスセンターは全国に4つございますが、そちらで5つ、上智大学、名城大学、立命館大学、西南学院大学、福岡大学と協定を締結したところです。現在、その協定に基づいて、入門的な就職ガイダンス、インターンシップ、ハローワークへの求職登録といったものまでつなげる取組を徐々に始めているところです。
 モデルカリキュラムについては、全部で10コマありますので、理想的に言えば、言わば授業の単位にしていただくのが一番いいのですが、すぐにはできないということですので、モデルカリキュラムの一部でもいいので、就職支援ガイダンスとして使っていただきたい、あるいは外国人雇用サービスセンターで一通り全部やってみるといった取組を現在行っているところです。
 最後ですが、子供のキャリア支援というものです。こちらについては、神奈川県行政書士会が非常に先進的な取組をされているということですので、東京都と神奈川県の教育委員会の御協力を得まして、外国人に対する日本語の教育をする重点校と連携を取りながら、外国人生徒やその保護者に対するレクチャーとか、ワンストップの相談対応といったものの準備を現在進めているところで、そういったものを試行しながら、その課題などを検証して、更なる実施を目指すという予定です。以上、大変駆け足で恐縮ですが、説明は以上です。

○山川座長 ありがとうございました。それでは、ただいま安井企画官から御説明いただいた内容について、委員の皆様から御質問、御意見等があればお願いいたします。御発言の際には、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただければと思います。どなたか御質問、御意見等はありませんか。冨高委員、どうぞ。

○冨高委員 ありがとうございます。冨高です。御説明いただきまして、ありがとうございました。前回、中間取りまとめを行って以降、様々な取組を展開されていると理解しました。検討会でも、周知が非常に重要であるということは、ずっと言われてきたところですので、是非、全国展開をしていく上でも、周知を改めて徹底していただければと思います。
 もう1点、資料3で、外国人の雇用・労働等に係る統計整備に関する研究会を立ち上げることを、御説明いただきましたが、これについても大変良い取組だと思って伺いました。中間取りまとめにおいても、エビデンスに基づいた外国人雇用対策立案の基盤整備について指摘されていますが、客観的なデータに基づいて日本の労働市場全体を俯瞰する観点から、この外国人労働政策についても検討していくことが重要だと考えています。
 外国人労働者数は、日本の雇用労働者全体から見れば少ないかもしれませんが、昨年度は172万人に上っており、派遣労働者数と比較しますと、それより多くなっています。にもかかわらず、外国人労働者に対する保護という点で言いますと、技能実習を除けば外国人雇用管理指針等しかないということで、保護の観点からより強化することが望まれると考えています。以前から申し上げているとおり、統計を活用して、日本の労働市場の中での外国人労働を考えていくことが必要だと思っております。研究会の中で統計を整備していただき、外国人労働に関わる様々な課題の全体像を把握した上で、外国人労働者政策として総合的に検討することが重要だと考えていますので、是非、そういった観点を踏まえ、研究会を進めていただければと考えています。
 その上で、1点、この研究会の検討事項に関し、統計の整備について具体的に記載していただいています。労働力需給、人手不足という点については、特定技能制度の基本方針で、生産性の向上や、国内できちんと人材確保の策が取られているか、その上で人材確保がなお困難である場合には、外国人により、不足する人材の確保を図るべく、産業上の分野に限って行うということが定められています。単に有効求人倍率等だけではなく、生産性向上や国内人材確保の取組との関係もきちんと見られるような形で示していただきたいと思っていますので、意見として申し述べさせていただきます。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。

○国際労働力対策企画官 統計に関する御指摘がありましたので説明いたします。生産性の向上なども把握すべきという御指摘でございます。正に我々もそのように考えていまして、ここにありますように、例えば離職率が高いと、人手不足感は体感しているよりも実際は人手不足が少ないなど、あるいは生産性の向上ということになると、本来は賃金の水準が上がるべきであるなど、そういったこともありますので、そういった様々な指標を組み合わせた形で、そういった評価ができる方法について、御検討いただきたいと考えています。以上です。

○山川座長 では、杉崎委員、どうぞ。

○杉崎委員 ありがとうございます。日本商工会議所の杉崎です。1点目の意見は、ハローワークの機能を強化していく必要性についてです。日商が本年の7月から8月に掛けて全国の中小企業を対象に実施した調査で外国人材の受入れニーズを尋ねたところ、コロナ禍であるにもかかわらず、昨年、一昨年と同様に外国人材に対する高い興味、関心がうかがえるという結果となりました。また、特定技能外国人の雇用や受入れに係る課題に関しては、受入れ経験がない中小企業では、受入れ手続がよく分からない、採用に係るノウハウがない、受入れに際して漠然とした不安がある、外国人材のマネジメントの方法が分からないといった項目が多く挙げられました。
 一方で、本日の資料1を見ますと、コロナ禍により外国人の雇用・就業環境は厳しいということがうかがえます。また、資料2の6ページに記載の在留外国人の現在の仕事の見つけ方によると、ハローワークは5.0%という結果となっていて、ほかの項目よりも低い状況になっています。こうした状況を踏まえますと、外国人材の雇用・就業促進には、外国人材の受入れニーズがある中小企業と、就職を希望している外国人材とのマッチングの強化が非常に重要であるかと思います。したがいまして、ハローワークの機能を是非強化していただきたいと思います。
 2点目の意見は、厚生労働省が実施している施策や事業に関して、資料2の9ページに記載の就労・定着支援事業ですが、これは全国110地域、受講者5,500名という規模で研修が実施されており、外国人材の安定的な就職と職場定着の促進に大きく寄与している事業であると思います。できましたら、この事業の受講者の就職状況や、その後の職場定着の状況を調査していただいて、この事業の効果を見える化することや、さらに、外国人材の受講者の皆様や受入れ企業の皆さんの生の声をこの事業に反映するなど、PDCAをしっかりと回していくことが非常に有効なのではないかと考えています。
 また、先ほど日商の調査結果で、受入れ経験がない企業は採用に係るノウハウ、またマネジメントに課題を抱えている、不安を抱えているということを御紹介しましたが、14ページに記載の3つの支援ツールは非常に有効だと思います。また11ページ、12ページに記載の「できることリスト」も、ミスマッチの防止に非常に有効であるかと思います。また加えまして、22ページに記載の大学とハローワークとの連携協定についても、非常に重要な取組だと思いますので、是非、こういった施策の幅広い周知や、提携先の大学を増やしていくといった取組を強化していただきたいと思います。
 最後に、資料3に記載の統計の整備に関してですが、こちらも非常に重要な取組であるかと思います。こういった統計データは、雇用対策に係る正にインフラと呼べるようなデータですので、鋭意進めていただきたいと思います。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。それでは、吉田課長、お願いいたします。

○外国人雇用対策課長 杉崎委員、ありがとうございます。まず1点目のハローワークの機能の強化ですが、ハローワークについては、来所者の方々に仕事を紹介するという基本的な機能を、今、コロナ禍で発揮しているところです。外国人については、コミュニケーションの能力というところにも、マッチングの難しさがありますので、先ほど御紹介しましたコミュニケーションレベルで、どういう仕事でどのくらいのスキルなりコミュニケーション能力が必要かということを分析して、現場ではやるようにいるところです。また、一部先進的な取組ということで、この検討会でも御紹介しましたように、今までアプローチがなかった業界など、そうしたところにも働きかけをして、外国人に興味があるけれども、やってみたことがないという企業に、この機会ですのでという形でお勧めもしているところです。引き続き、良い取組を全国ネットなどで横に展開していって、少しでも就職ということに結び付けていきたいと思っています。
 定着支援事業については、かなり長くやっている事業ですが、先ほど安井企画官から御説明した資料10ページにもあるとおり、やはり最初の入口のアセスメントと出口のところも含めて、この事業の見直しをすることを予定していますので、その中でPDCAのサイクルが回るという仕掛けも考えていきたいと思っています。
 統計データについても、先ほど冨高委員の御発言にもありましたように、重要なインフラと認識しています。雇用・労働の狭いデータだけではなく、すぐには無理かもしれませんが、幅広く取っていけるような青写真を研究者の皆様に御議論いただければと思っています。事務局からは以上です。

○山川座長 ありがとうございました。外国人就労・定着支援事業については、効果が分かるようであれば教えていただきたというお話もありましたので、もし把握できるようでしたら、今後、御紹介を検討していただきたいと思います。それでは、佐久間委員、どうぞ。

○佐久間委員 佐久間です。よろしくお願いします。まず、「中間取りまとめ」の作成以降、今回の資料2でもまとめていただきましたが、対応の方向性から、実際に今取り組まれている状況について、コンパクトにまとめていただき、大変有り難いと思います。中間取りまとめ以降、本研究会が再開され、今回から新たなフェーズとして進められ、最終的な報告ということも考えていかなくてはならないのかもしれませんが、中間報告以降の厚生労働省として、すでに具体的に取り組んでいただいていることは、非常に素晴らしいと思います。
 また、資料3にも掲載されているように、中間取りまとめにおいて、7つの項目として分類をしたわけですが、私としては、外国人との共生をするためには、まず文化ギャップというものを私たち日本の方も、また外国の方も押さえていかなくてはいけない。それから支援、職場定着、留学生、こういうことが雇用に結び付けていくことが、重要ではないかと考えます。特に文化ギャップについては、これは前々回の委員会でも申し上げたのですが、外国の方も、例えば技能実習や特定技能などで来られる方、将来的に母国に技能、技術などを持ち帰っていただいて、“日本はいい国である”と思われたい。そのため、是非、日本の文化や慣習、それから正しい歴史認識的なものを理解した上で、日本に定着をするという進め方を、より一層取組を広げていただきたいと思います。
 それから、支援の方法ですが、当初、この会議体においてもハローワークの活用や関わり方について、協議をしてきたわけです。例えば外国人の技能実習や、特定技能というのはあらかじめ決められて我が国に来ているため、ハローワークを利用する機会が少なく、留学生や技・人・国のほか身分,地位に基づく在留資格を有しいる方が多い傾向です。ただ、これもまだまだギャップがあるので、これはハローワークの活用など推進していくための方策を考えなくてはいけないと考えます。併せて、それは職場定着ということにも通じるのだろうと思いますが、ハローワークの職員の方々も大変、お忙しいでしょうが、この充実を図らなくてはいけない、その方策を捉えていかなくてはいけないと感じます。また、留学生についても、大学、そして専修学校等でも留学生が多いですから、この地元の中小企業等に就職を結び付けるということの方策も、考えていかなくてはならないと思います。
 総じて、今回この会議体では、既存の外国人の統計資料と、いろいろな角度をもとにクロスをした集計結果を提出していただきました。非常に興味深い、よい資料を作成いただきました。それに加えて、今回また実態調査ということをしていただけるということで、進めていくわけですが、これからどういう結果が出るかによるかもしれませんが、これは是非、継続的に実施していただければと思います。
 それから、この統計調査に当たっては、今まで私たちがこの議論をしてきた中でも、在留資格別に結構いろいろな特徴があるということが分かってきました。ですから、この統計調査についても、在留資格別にクロスをしながら、分類をしながら、まとめていただくとその特徴が出るのではないかなと思っています。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。では吉田課長、どうぞ。

○外国人雇用対策課長 佐久間委員、ありがとうございます。まずマッチングの所については、御指摘があったとおり在留資格ごとに特徴がありますので、そうした特徴を捉えながら、また、普段はあまり来所をされない方々、技能実習の方、特定技能の方が、こういうコロナ禍で特例的に残っている方がやはりいらっしゃいますので、本日御紹介したような取組もアドホックにやりながら、是非、マッチングのほうをやっていきたいと思います。
 またデータについては、外国人雇用状況届出で、我々が事業主からいただいているデータは非常に詳細に在留資格を取っていますので、そうしたものを手掛かりにしながら、この研究会で議論していただければと考えています。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。では酒井委員、どうぞ。

○酒井委員 事務局からの御説明、ありがとうございました。私からは先ほどから出ている統計整備に関する研究会について、要望めいたことを話させていただきたいと思います。既に多くの御意見が出ていますので、重複になってしまう部分もあるのですが、今回の本検討会の中間取りまとめですが、これまで明らかにされていなかったような外国人労働者の実態というものを、データに基づいて明らかにしたという意味で、非常に新たな試みであったと認識しています。ただ、同時に、やはりデータ分析という中で、統計が整備し切れていないという状況も浮彫りにしたのではないかと考えています。
 例えば、先ほども御報告がありましたが、外国人労働者が置かれている労働の状態ということで、ハローワークを通じた求職者の状況ということを把握されているわけですが、検討会の中でも指摘されていましたが、そもそも外国人労働者がハローワークになかなか行ってくれないという現状を踏まえますと、やはりハローワーク以外のところでこういった外国人労働者の現状をリアルタイムで把握する必要があるのではないかと考えます。今のはあくまで1例なのですが、やはりこの中間取りまとめにおいて明らかにされた、こういう部分がまだクリアになっていないということを踏まえた上で、それを補うような統計を整備できないかという観点から、研究会で議論していただけたらなということが私の要望です。
 もう1つ、この外国人労働者をめぐる状況、特に政策の状況といったものが変わりつつあるということを踏まえた上での議論が必要かなと感じています。具体的に言えば、今後、外国人労働者が非常に長く日本に滞在する生活者としての側面が強くなってくる、そういったこと、あるいは日本の中でキャリアを展開していくという、そういう観点から統計的な把握ができたらいいのではないか、そういうことが必要なのではないかと考えています。これまでも、ある一時点で外国人労働者ということを把握することは、ある程度できてきた部分があるかもしれませんが、外国人労働者の動的な側面と言いますか、そういったことを今後把握できるように統計に関する議論を行っていただけたらなと考える次第です。以上、私から要望と言いますか、コメントめいたことですが、話させていただきました。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。では、安井企画官。

○国際労働力対策企画官 御指摘ありがとうございました。統計については、御指摘のとおり、ハローワークシステムのデータというものは、ハローワークの求職データしかないわけですが、日本全体における外国人のいわゆる失業の状態というものを把握できる術がないということは、全くおっしゃるとおりです。こちらについては、他省庁の統計ということにはなりますが、統計研究会に総務省の方もお呼びしていますので、できるだけ幅広い視野で検討をさせていただきたいと考えています。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。この統計の検討に関しては、種々御期待とともに御要望もいただいていますので、本日いただいた御要望等については、これから開催される研究会に適宜お伝えいただければと思いますので、私からもお願いしたいと思います。それでは、天瀬委員、お願いいたします。

○天瀬委員 ありがとうございます。今、山川座長からお話がありましたが、この専門委員会、統計の新たな研究会の発足ということで、これはこの検討会の議論を踏まえた上で、こういう統計を整備するという研究会が新たに発足するということで、大変よかったかなと考えています。
 事務局から御説明いただいた中で、幾つか手法に関することもあったわけですが、もちろんこれは統計の研究会の中で御議論いただければと思いますが、手法に関しては、受入れについて、先行する幾つかの海外の事例があると思います。この辺りは、例えば既存統計の調査項目をコピーして使うなど、そういった手法がいろいろあるわけですが、例えば近隣においては韓国の事例や、あるいは歴史の古い欧州の事例など、そういった事例を広く把握していただくことが必要になってくるのではないかということが1点です。
 もう1つは、今、酒井先生からも御指摘があったように、動的な視点と言いますか、外国人も常に動く、やはりそういう生身の人間であるという、そういった視点も必要かなと考えています。これは外国人に限ったことではないのですが、JILPTでもウェルビーイング(well-being)をこれからどう研究の中に取り入れていくかということを議論しています。これはもちろん外国人ということではなく、広く日本の労働者について、そういった視点を政策研究の中にどう取り込んでいくかという視点なのですが、やはり外国人においても、いかにやりがいを持ってこの日本の労働市場の中で働いていただくかという視点が必要になってくるのではないかと思いますので、そういった視点も、新たな研究会の中で広く御議論いただければよいのではないかと考えています。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。

○国際労働力対策企画官 御指摘ありがとうございました。1点目、諸外国のやり方は韓国、あるいは欧州のやり方の御紹介もありましたが、そういった諸外国の日本人と外国人を比較する統計のやり方についても、現在、研究しているところですので、そういったものを踏まえて検討したいと考えています。
 2つ目の動的な視点、こちらについてはいわゆる通常の統計調査ではちょっと難しいところがありますが、例えばパネル調査のようなものをするなど、そういったものができるかどうかということについても御議論いただきたいと考えています。
 ウェルビーイングについては、非常に重要な御指摘だと思います。現在、回答を持ち合わせていませんが、そういったことも含めまして、何らかの議論が可能かどうかということで検討させていただきたいと思います。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。天瀬委員のおられるJILPTからは、樋口理事長直々に検討会に参加されると伺っていますので、JILPTの新しい、先ほどおっしゃられたような研究の要素とも共鳴する部分があるのではないかということで、大変期待しています。
 ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。それでは、皆様方から様々な御意見を頂きまして、これまでの中間取りまとめとの関係もありまして、周知の重要性、それからマッチングの重要性、またマッチングのみならず就職した場合の定着も含めてのお話があったかと思います。また、この新たな統計の検討、統計整備については、皆様方から非常に御期待を頂いたと思います。また、御要望も頂きましたので、それをつないでいただければと思います。本検討会からは、是川委員も参加されていますので、中間取りまとめでの知見を種々御活用いただけるのではないかと改めて期待しています。ほかに何か特段ありますでしょうか。ございませんでしたら、本日はこの辺りで終了したいと思います。
「その他」について、事務局からお願いいたします。

○外国人雇用対策課長 本日は御多忙の中、活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。いただいた御要望、特に統計については、近々に開催する研究会に持ち帰りまして、検討を進めていただきたいと思っています。
 また、当検討会の次回の日程については、改めて各委員の先生方に御連絡をさせていただきたいと思います。事務局からは以上です。

○山川座長 それでは本日の検討会はこれで閉会とします。皆様、大変ありがとうございました。