令和3年度第1回化学物質のリスク評価検討会(発がん性評価ワーキンググループ) 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和3年10月20日(水) 13:30~15:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 12I
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング12階)

議題

  1. (1)職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書について
  2. (2)日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価
  3. (3)中期発がん性試験(2020年度実施分)の結果の評価について
    株式会社DIMS医科学研究所実施分
    チモール
    2-sec-ブチルフェノール
    株式会社ボゾリサーチセンター実施分
    ノナン酸
    メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル
  4. (4)その他

議事

○福田有害性調査機関査察官 本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
また、試験機関のDIMSさんとボゾさんにつきましても、お忙しい中御参加いただきまして、ありがとうございます。
それでは、定刻になりましたので、令和3年度第1回発がん性評価ワーキンググループを開催いたします。
私は、本日、座長の平林先生に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます、有害性調査機関査察官の福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず本日の委員の出席状況についてでございます。本日は特別参集者の西川先生を含めまして6名の委員の先生方全員に御出席いただいております。
なお、本日は会場参加とオンライン参加の併用という形で開催させていただいております。4名の先生方がWebでの参加となっております。
また、本日は、中期発がん性試験の結果の概要の説明のため、試験機関の株式会社DIMS医科学研究所、株式会社ボゾリサーチセンターの方々にもWebで参加いただいております。
さらに、本日の会議の一般の傍聴者につきましてはWebでの参加としまして、音声配信のみさせていただいております。
注意事項となります。オンライン参加の委員の皆様方におかれましては、周囲の音を拾ってしまうこともありますので、御発言される場合を除きましてマイクをオフに設定していただきますようよろしくお願いいたします。
続きまして、本年度事務局側に異動がございましたので、御紹介いたします。
8月1日付で化学物質評価室長に佐藤が着任しまして、7月20日付で室長補佐に吉見が着任しておりますので、それぞれ2名から一言御挨拶申し上げます。
○佐藤化学物質評価室長 ただいま御紹介にあずかりました佐藤と申します。内田の後任として8月1日付けで赴任しております。早2か月を過ぎて、すみません、Webでの御挨拶となってしまいますが、御容赦ください。前任の内田同様、引き続きよろしくお願いいたします。
○吉見化学物質評価室長補佐 ただいま御紹介いただきました化学物質評価室長補佐の吉見と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○福田有害性調査機関査察官 また、改めまして、私は6月1日付けで有害性調査機関査察官を拝命しまして、リスク評価を担当することになりました福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、今年度も平林先生に座長をお願いすることといたしまして、平林座長に以降の議事進行をお願いしたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○平林座長 ありがとうございます。
平林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○福田有害性調査機関査察官 資料の確認をいたします。本日の会議もペーパーレスということで、会場にお越しの委員の皆様方にはお席の上にタブレット端末を配置させていただいております。画面下の丸いスイッチを押していただきまして、マイプライベートファイルという画面が出ると思いますので、そちらから資料を出していただきますと、資料と参考資料が収納されております。資料につきましては資料1~資料4-4、参考資料としましては参考1~参考6-3まで資料が準備されております。資料で何かございましたら事務局に連絡いただければと思います。オンラインの先生方にも資料を事前に配付させていただいておりますので、この後何かございましたら事務局までお知らせいただきたいと思います。 
資料の確認は以上になります。
○平林座長 ありがとうございます。
それでは、本日の議題に入ります。
まずは議題(1)「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書について」ですが、事務局より説明をお願いいたします。
○佐藤化学物質評価室長 では、私、佐藤から概要を御説明いたします。
資料1を御用意ください。報告書本体は参考2ですが、文章だけの報告書になりますので、図が入った資料1を用いまして簡単に概要を御説明いたします。
それでは、ページを飛ばしていただきまして、5ページ目を御覧ください。これが現行の化学物質規制の仕組みとなっております。
左側の三角形の上のほうから厳しい規制がかかっております。一番上の色が濃いところは8物質ありますけれども、製造・使用が禁止されています。
その下の赤い枠線で囲われているところが発がん性などが確認された物質ということで、特別な規則、省令になりますけれども、そういったものに基づきまして、個々具体的な措置、ばく露を下げるような措置、ああしてください、こうしてくださいといった、とるべき行動が決められております。
その下の3番目のところが許容濃度またはばく露限界値が示されている危険有害な物質ということで、リスク評価が行われている物質になります。その中でも発がん性などが確認されたものが、矢印にありますように上のほうの厳しい規制に移っていきます。
2番目と3番目のところは法律に基づいて義務がかかっておりまして、それが一番右側にありますように、ラベルを付けてください、あと安全性の情報、逆に言えば有害性・危険性の情報なのですけれども、ラベルに書き切れないような情報も盛り込んだSDSという情報シートを必ず渡してくださいと、そういったことが義務付けられている部分になります。
このように一部の化学物質については規制がかかっているのですけれども、残念なことに、左側のほうにあるのですけれども、3番目のカテゴリと4番目のカテゴリ、労働災害の8割は実はここが原因で起こっております。厳しい規制がかかっていない物質が原因で労働災害が起こっているという実情がございます。こういったところの労働災害を減らしていくのが行政の役目ですので、そういったことを模索するために検討会が行われた次第です。
戻っていただいて、1ページ目を御覧ください。
真ん中に参集者ということで、「本検討会」と「リスク評価ワーキンググループ」の2つに分かれております。右側のリスク評価ワーキンググループでは技術的な検討を行っております。2年ぐらい期間をかけて検討いただきまして、今年の7月に報告書が取りまとめられております。
めくって2ページ目をお願いいたします。
(1)「労働災害の発生状況」なのですけれども、右側の表を御覧いただきますと、左から2列目の件数でパーセントが括弧の中に書いてありまして、上から厳しい規制がかかっている順に並んでいるのですが、先ほど御説明いたしましたように下のほうで件数が多くなっています。こういったところを何とかして少なくしていきたいのですけれども、なぜこういった状況が起きているのかというのをいろいろ検討いたしますと、左側の2つ目の白丸にありますように、厳しい規制がかかる特定化学物質障害予防規則などに追加されると、その物質の使用をやめて、危険性・有害性を十分に確認・評価せずに規制対象外の物質に変更して、その結果十分な対策がとられることがなくて労働災害が起こっているのでしょうというような分析がなされております。
こういった状況を何とかしたいということで、4ページ目を御覧ください。
報告書では、大きい矢印があるところですけれども、危険性・有害性が確認された全ての物質に対して国が定める管理基準の達成を求め、達成のための手段は指定しない方式に大きく転換する、「自律的な管理」と呼んでおりますけれども、そういったものに大きく方向を変えております。
具体的にどういうことなのかといいますと、下のほうに黄色で枠囲いされているところがあるのですが、国でGHS分類、これは国際的な分類方法なのですけれども、それに基づいて約2,900の物質を分類しております。その分類結果に基づきまして、危険性・有害性が確認された全ての物質を対象に以下の事項を義務付けるとなっております。
最初の黒ポツですけれども、情報の伝達がやはり重要だということで、ラベル・SDSの交付対象にしましょうということです。現行で674物質が対象ですので、大幅に対象となる物質が増えることになります。この伝達された情報に基づいて事業者のほうでリスクアセスメントを実施していただき、ばく露濃度を下げる手段を決めていただくということになります。
4つ目の黒ポツになりますけれども、薬傷や皮膚吸収による健康影響を防ぐためには、そういった物質については必ず保護眼鏡、保護手袋などの保護具を使ってくださいというような義務付けも必要ではないかとまとめられております。
最後の四角い黒ポツですけれども、今、特別な規則で規制されている物質があって、非常に厳しい規制がかかっているのですけれども、5年後をめどに、自律的な管理に移行できる環境を整えた上でという条件付きなのですけれども、個別具体的な規制、こういった特別な規則は廃止してもいいのではないかというようなことも書かれております。
6ページ目を御覧ください。
6ページ目が目指すべき新しい化学物質の規制の仕組みとなります。
真ん中の上のほうに約2,900物質とあります。これが国でGHS分類を既に行った物質です。これを対象に規制の拡大を図っていくのですけれども、いきなり2,900物質を義務付けるというのは現場も大変ですので、今年からスケジュールを決めて2,900物質に拡大していくことを考えております。実際は、2,900のうち、既にラベル表示・SDS交付の義務付けがかかっている物質と環境に対してだけの有害性がある物質がありますので、それを引いた残り1,800物質、これをまずはラベルとSDSの義務化というように考えております。
2,900物質以外に数万物質ありまして、それが右側のほうに書いてあるのですけれども、これにつきましても国のほうで、厚生労働省だけではなく、経産省、環境省と連携しつつ、GHS分類をどんどん進めていきます。進めていったものについても順次ラベルとSDSの交付の義務対象としていきたいと考えております。
めくっていただきまして、8ページ目を御覧ください。
8ページ目は、事業者の方にリスクアセスメントをお願いすることになるのですけれども、リスクアセスメントの実効性を高めるために労使双方によるモニタリングという仕組みをつくったらどうかと報告書でもまとめられております。リスクアセスメントでどのようなことをすればいいのかということは、左側の薄くオレンジ色で枠囲いされているところになります。こういったことに取り組んだものを記録として残して3年間保存する。そして状況について労使双方でモニタリングを行っていただく。そして、こういう事業所で万が一対象となる物質が原因で労働災害が起きた場合は、監督署が指示をして、外部の専門家の方々の知見を活用して事故の確認、再発関係の指導を行っていただく。そういった場合には必ず監督署に報告をしていただく。こういった枠組みを設けてはどうかと報告書に書いてございます。
9ページ目を御覧ください。これは事業所ごとのリスクアセスメントの体制になります。
まず事業所内で、赤字で太く書いてある「化学物質管理者」、この方がリスクアセスメントを行って、ばく露濃度を下げていく措置を考えて、実践していただく責任者になります。こういう方を必ず選んで置いてくださいという仕組みになります。
その数行下に、また赤字で「保護具着用管理責任者」という方があります。これは、ばく露濃度を下げる手段として保護具を選んだ場合には保護具を責任を持って扱う方が必要ですので、こういう方を選んで置いてくださいとなっております。
その下の職長、作業者の方にも、今、一部、教育の義務がかかっているのですけれども、その義務の範囲、内容、対象を拡大してはどうかと報告書に書いてございます。
かなり化学的な専門知識がなければこういった化学物質管理者、保護具着用管理責任者という方はなかなか置けないので、そういった方々を育てる仕組みも国・業界団体・関係機関が協力して育成することを考えております。
めくっていただきまして、10ページ目を御覧ください。
安全性データシート、有害性・危険性の情報をまとめたシートになるのですけれども、現行で必ず書かなければいけない項目がありまして、それに加えて、黒く太字の部分、あと赤く書いてある字があるのですけれども、そういったところを追加・拡充と考えております。やはり非常に重要な情報ということで、こういった情報を盛り込んではどうかとうたわれております。
2行目の「成分及びその含有量」ですけれども、これにつきましては、今は10%刻みで含有量を記載すればいいことになっているのですけれども、これを重量%のもっと細かい数字で書いてはどうかとなっております。
4行目、「人体に及ぼす作用」ですけれども、ここもどんどん新しい科学的な知見が出てきますので、5年以内ごとに情報の更新状況を確認してくださいという義務を課してはどうかとなっております。内容に変更がある場合にはSDSのこの部分を書き換えてくださいとなっております。
その次の「貯蔵又は取扱い上の注意」ですけれども、この項目に保護具の種類の記載を義務化となっております。推奨されるような保護具の種類を書いてくださいというようになります。
その次の「推奨用途と使用上の制限」、これは全く新しい項目なのですけれども、製品を譲渡または販売する場合には必ずSDSを付けて渡すのですけれども、その時点で想定している使い方、あとは使い方の注意事項、そういったものを書いてくださいという項目になります。
その下の細かい黒い字のところはこれまでどおりの情報になります。
その下ですけれども、今までSDSは紙もしくはCDといったもので相手方に渡してくださいとあったのですけれども、今度は、例えば2次元バーコードを用意して容器のところに貼って、そこからSDSの情報にアクセスできる方法、またはホームページで特設サイトを設けていただいて、そこにSDSを掲載していただくといったこともいいとしようと思っております。
次に11ページ目を御覧ください。
これは何かというと、ラベル表示された容器から別の容器に移して、それを間違って飲んでしまったという事故が発生したこともありまして、小分けする場合には必ず表示などで情報を伝えてください、そういう仕組みを作ってくださいということになります。
その下ですけれども、化学物質を作っている工場・プラントなんかを改造したり修理したり、あとは定期的に清掃する場合があるのですけれども、外部の方に委託して作業をお願いすることがあります。そういった場合に知らないと事故につながりますので、そういったことがないように、安全性の重要な情報を書いた文書を必ず渡してくださいという業種を拡大することを考えております。今までは一部のプラントだったのですけれども、GHS分類済みの物質を扱っているところは全てと考えております。
次の12ページ目を御覧ください。
今度は、また話が変わるのですけれども、特別な規則、有機則とか特化則があるのですけれども、これの対象となっている化学物質を扱っている方々は健康診断が義務付けられておりまして、おおよそ6か月以内に1回となっております。これを、厳しいのですけれども、ある一定の基準を満たした場合、1年以内に1回に緩和してはどうかということも盛り込まれております。
次の13ページ目をお願いいたします。
特別な規則に基づく化学物質を扱っている事業所さんは、その作業場を環境測定する義務があります。その測定結果に基づきまして、上から第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分と3つの区分に分けられるのですけれども、第3管理区分があまりよろしくない状況で、すぐ対策を打たなければいけない作業場の環境になります。行政といたしましては、いつまでも第3というのは困ることでして、早く第2、第1に移っていただきたい、状況を改善していただきたいというのがあります。そこで、第3区分でなかなか第2、第1に上がれないようなところにつきましては、外部の専門家の意見を必ず聞いていただき、改善措置を考えていただくということを義務付けしてはどうかという仕組みです。どうしても改善が困難な場合は保護具を使っていただいて、直ちに講ずべき措置というのがあるのですけれども、個人サンプラーなどによる測定、その結果に応じた有効な呼吸用保護具を使ってください、フィットテストもやってください、保護具着用管理責任者も選んで決めて置いてください、こういったことをすぐ講じてください、そういった場合には必ず最寄りの労基署へ提出してくださいと、こういう枠組みを作ってはどうかということになります。こうしたことに基づきまして、第3管理区分のところがよりよい作業条件に移っていくということを目指しております。
続きまして、14ページ、最後になりますけれども、これは、がんなどの遅発性、どうしても時間がかかってしまう病気があるのですけれども、こういったものの情報をいち早くキャッチするような仕組みを作ってはどうかということです。
左側にありますように、同一の事業所、四角で囲っているところですけれども、そこで同じような種類のがんを発症した労働者がいた場合には、産業医の方もしくは外部機関の医師の判断で都道府県の労働局に報告をしていただく。そうすると、都道府県の労働局では、厚生労働省と連携して、同じ化学物質を取り扱う事業所でも似たようなことが起こるのではないかと調査することができます。その調査結果に基づいていち早く対策を打つことができます。こういった仕組みを設けてくださいという内容です。
その下になりますけれども、今、30年以上保存が必要なデータがありまして、基本は事業所が保存するのですが、労働者が転職したり事業者が破産してしまった場合にはデータが散逸してしまうことがありますので、そうならないように第三者的な公的機関でまとめてデータを保存してはどうか、保存したデータもビッグデータとして予防対策に活用してはどうか、こういう枠組みをつくってくださいといった内容となっております。
報告書の概要は以上でございます。
○平林座長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの報告について御質問や御意見があれば、お願いいたします。
○若林委員 今御説明いただいた方針とか方向性については特段大きな問題点はないと思いますけれども、実際にいろいろな化合物の取扱いをする上において、化学物質を合成している中小の企業がいかにこれに対応できるかというところがかなり大きな問題点になるような気がするのです。やはり中小企業に関しては公的機関の支援のようなものを手厚くしていかないと、なかなか今言ったようなことが守られていかないというようなことになる可能性があるかと思うのですけれども、その点について事務局はどのように考えていらっしゃいますか。
○佐藤化学物質評価室長 今頂きました意見は、これまでも何回も同じような意見を頂いております。確かに中小企業にとって新たな規制とも言えるようなことになりますので、非常に大変なことだと思います。ただし、やはり必要なことですので、何とかして実行していただくような支援を今いろいろ検討している最中でございます。
○若林委員 分かりました。
○平林座長 ほかに何かございませんでしょうか。
○小川委員 外部の専門家のコンサルテーションを受けるということが8ページとかにあったと思うのですけれども、具体的にどういう方とかいうのは決まっているのでしょうか。例えばこういう人に相談してくださいというのを国のほうが提示するのか、事業者さんが自分たちである程度探さないといけない仕組みなのか、そのあたりを教えていただけるとありがたいです。
○佐藤化学物質評価室長 国のほうでこういった資格、こういった経験を有する方を提示することを考えております。具体的に報告書本体にも幾つか例示がされております。報告書に例示として載っている方々以外にも、例えばこんな資格も同等ではないかというような意見をいろいろ頂いておりますので、そういったものを取りまとめて国のほうで提示いたします。
○平林座長 小川先生、それでよろしゅうございますか。
○小川委員 具体的にどこにアクセスしたら分かるというようなことが分かる形なのですか。
○佐藤化学物質評価室長 はい。そこまで丁寧に情報を出していきたいと思います。
○小川委員 分かりました。ありがとうございます。
○小野寺委員 一番最初のほうの2ページで、今回、今まで規制とか表示義務がなかったものをどんどん表示してリスクを啓蒙していこうという動きなのですけれども、今までの中の特別規制物質という厳重に管理されているものにおいても2割ぐらいは何らか起きていまして、これの原因とか対策というのは、幾ら規制しても起きるということになってくると、そちらのほうも何らかの方策をしないと、幾らラベルしても意味がなくなる気がするのですけれども、その辺のところはどうお考えなのですか。
○佐藤化学物質評価室長 ここもどういった災害が起きているかというのは承知していないのですけれども、確かにこの部分、残りの2割弱が原因で起きております。特別な規則はかなり細かく決めているのですけれども、それを守っても駄目なのか、それとも守らないところがあったのかどうかまでは分析しておりませんので、すぐには回答できないのですけれども、この18%というところも当然減らしていかなければいけない部分だと思います。
○小野寺委員 分かりました。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかに何かよろしゅうございますでしょうか。
○津田委員 そういうばく露による障害が出たというときには、恐らく一番先に産業医のところに行くと思うのですけれども、実際には産業医がいることが義務付けられているのは50人以上の事業場になります。それより小さいところで今までのように起こっているわけです。この前の印刷工場のように。そういう場合にはさらに網の目を細かくして拾い上げるというシステムが必要だと思うのですけれども、今説明していただいたスライドのどこにそういうことが織り込まれているのでしょうか。
○佐藤化学物質評価室長 スライドの8ページ目の左のほうにあるのですけれども、労働災害が発生して監督署が指示した場合には外部の専門家の方に確認・指導していただくといったところにも少しは反映できるかと思っています。
○津田委員 お話を伺うと、義務付けておいても事業所からの申告がないと。ばく露事例は見つからない。見つからないという言い方は悪いのですけれども、見逃してしまうことがある。その辺はどのように改善していくのか。事業所にある程度任せるとなった場合にはそれが大事なことであると思うのですが、どの辺から進めておられるのでしょうか。
○佐藤化学物質評価室長 最初の若林先生の質問と重なるかと思うのですけれども、中小のところは大企業に比べてどうしても対策が後手後手になってしまう、抜けてしまう部分があると思っております。ですので、そういったところも自らリスクアセスメントを実践できるような支援、国からの専門家の助言とかそういったものも含めて何かしらできないかとは考えております。
○津田委員 ありがとうございました。
○平林座長 ほかに。
○西川委員 1つ確認ですけれども、化学物質管理の専門家を養成するために国家資格も前提に検討しているということで、これはいきなり国家資格にするのか、あるいは学会レベルの認定専門家にするのか、そのあたりは少し検討の余地があると思うのですが、いかがでしょうか。
○佐藤化学物質評価室長 いきなり国家資格だと、確かにハードルが高いのと、時間がかかるということもあります。今頂きました意見は大変貴重ですので、どうもありがとうございます。そこはよく検討していきたいと思っております。
○西川委員 よろしくお願いします。
○平林座長 ほかに。―よろしゅうございますでしょうか。
そうしましたら、次の議題(2)に行こうと思いますが、よろしゅうございますか。
では、議題(2)「日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価に関する検討会報告書について」です。
事務局より説明をお願いいたします。
○佐藤化学物質評価室長 では、資料2の共有をお願いいたします。
資料2は文章だけの報告書での説明になります。
まず検討会の趣旨ですけれども、上から4行目の後段にありますように、マル1からですけれども、日本バイオアッセイ研究センターにおきまして、標準手順書に基づいて動物試験を行っているのですが、一部手順書から外れる行為があったということが分かりまして、逸脱行為事案検討会というものを設けまして、なぜそれが起きたのかの原因、逸脱行為があった試験の特定、あと再発防止を検討してまいりました。
それとは別に、逸脱行為事案が試験結果に与える影響も当然評価しなければいけません。逸脱行為事案がもし試験評価結果に影響を与えた場合、今とられています化学物質の規制に影響があり得ますので、そういったものがあるのかどうか。
万が一あった場合、最悪の場合なのですけれども、マル3、試験のやり直しということを検討するためにこの検討会が開かれました。
結論なのですけれども、この資料の3ページ目を御覧ください。
3ページ目の真ん中に<検討結果>というのがございます。「要精査動物」と書いてあるのですが、これは何かといいますと、瀕死とか状態が異常な動物につきましては、バイオアッセイ研究センターで記録を付けておりまして、要注意観察の動物だと特定しています。この動物のことを要精査動物と定義付けています。というのは、この瀕死または状態異常の動物に必要な投与量の試験物質を投与しなかったおそれがあるので、要精査動物と定義付けております。これまで厚生労働省、この発がん性評価ワーキンググループなのですけれども、そういったところで評価を受けてきた試験結果がありますけれども、それにつきまして要精査動物に必要な投与量が与えられていなかった可能性があるということで、試験結果の大もとから除外した上で再集計しております。その結果、2015年以降の強制経口の試験について逸脱行為があったというように調査が行われておりまして、それに該当する試験につきましては除外する前と除外した後で違いはなかったということでした。
これを踏まえまして、下の白丸の2行目にあるのですが、これまでの評価を変更する必要はないと結論づけられております。
これが既に評価が終わった試験結果についての評価になります。
次に4ページ目を御覧ください。
投与試験が終わって病理組織診断中もしくは報告書作成中、要はまだここのテーブルに報告書が上がってきておらず評価を受けていない試験があるのですけれども、これにつきましては、要精査動物の取扱いが報告書で検討する際にいろいろ議論されておりますので、そのやり方に準じて、最後の白丸のところなのですけれども、今後試験結果の評価を行うに当たっては、マル1の試験における要精査動物の取扱いの考え方を踏まえ試験結果を精査した上で、報告書を取りまとめてここの評価のテーブルに出してくださいとなっております。
簡単ですけれども、以上となります。
○平林座長 ありがとうございます。
ただいまの事務局からの報告につきまして何か御質問、御意見があれば、お願いいたします。
○若林委員 今事務局から説明されたことについては特段問題点はないと思うのですけれども、このような逸脱行為があったということで、今後このような行為がないようにするためにはどのようにしていくのか、再発防止策をどのようにするのかということについて事務局からは何も説明がなかったのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○佐藤化学物質評価室長 再発防止につきましては、参考4、試験結果の評価とは別に逸脱行為を検討してきた会議がありまして、その報告書になるのですけれども、ここに具体的な再発防止策が幾つか提言されております。それに基づきまして、厚生労働省から日本バイオアッセイ研究センターに、こういうことを検討してこういうことを措置してくださいというお願いをしております。その結果につきましては、8月31日だったか、すみません、日付はうろ覚えなのですけれども、その日付をもってセンターから、こういうことを措置しました、こういうことを改めて決めましたというような報告が上がってきております。
○吉見化学物質評価室長補佐 補足させていただきますと、今御説明したように、厚生労働省から7月30日に労働者健康安全機構に対して指導といいますか対応の要請をいたしまして、それに対して8月31日に労働者健康安全機構から厚労省に対して改善の報告を頂いております。
具体的には、例えば今回こういった行為が起こった原因となった投与量シートの改ざんが困難となるようにSOPの改正を行ったり、研究者倫理研修などを実施したり、そういったことをしております。また、SOPについては、今回の事案を踏まえた改正に限らず、全般的に自主的に点検見直しを今後行っていくというような報告を頂いているということでございます。
○若林委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかにございませんでしょうか。
津田先生、よろしゅうございますか。
○津田委員 結構です。
○平林座長 ありがとうございます。
西川先生はいかがでしょうか。
○西川委員 今回の問題は、記録が改ざんされたとかいう以前に、動物がかわいそうだから投与しなかったみたいなところがあって、通常のGLP査察だと分からないことなのです。だから、それを再発防止するためには、恐らく教育的なことをしっかりしないといけないと思うのですが、そういうことも十分盛り込まれているのでしょうか。すみません、全部読んでいないので。
○小野寺委員 そのとおりなのですけれども、これは記録だけの問題なのです。あのまま投与を続けてしまうと動物が死ぬということは投与実施者が経験レベルで把握していて、この弱っている動物に投与したならば明日は多分死んでいるだろうということで投与をやらなかった。それを記録さえすれば、この期間は投与を施行しないという記録が残っていれば、何の問題もないわけです。ですから、教育といっても、記録のシステムをきちんとして、それが第三者の誰にでも分かるような形で表に出るようにする方向で取りまとめたと思うのです。もちろん教育も大切なので、それと並行しながら記録をしっかりするということだと思うのです。
○西川委員 そのとおりだと思うのですけれども、今回は実際に不正を行った人が自白しなければ全く分からないことですよね。だから、そこはそういうことが起こらないような手立てはしないといけないと思うのです。だから、記録の問題だけではないと思いますよ。
○平林座長 ですから、1人で行っていたということがある意味問題だったのだろうということはお話があったかと思います。必ず2人で検証する、その上で記録をちゃんと付ける、そのようなお話だったかと思いますが。
○小野寺委員 そのとおりで、投与責任者が1人の判断で、それも当日にするかしないかという判断をして、それが残っていなかったということなので、基準もさることながら、細かい基準を現場でするというのはなかなか難しいのですけれども、それを複数の人と、それを実施したという記録をきちんと残しておくということしかないのかなと感じました。
○吉見化学物質評価室長補佐 そういったことを踏まえて、今後そういったことが起こらないように研究者の研修を実施していただきました。これはもちろん今回一回だけではなくて、今後継続的に実施していくということでございます。
それから、今言ったように1人だけでやってチェックができないということが起こらないように、SOPの改正等もバイオアッセイ研究センターで実施しております。
○西川委員 ありがとうございます。
○平林座長 ありがとうございます。
小川先生はよろしゅうございますか。
○小川委員 今御説明いただいたことで大体大丈夫かと思います。やはり継続的な指導というか、ほかの事業者さんも含めて教育をきちんとやっていくということが重要だと拝察いたしました。よろしくお願いいたします。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかにまだ追加がございますか。特にないようでしたら次の議題に移りたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
そうしましたら、今年度の発がんワーキンググループで審議する予定の試験結果のスケジュールについて、簡単に事務局にお願いし、次の議題、ラット肝中期発がん性試験(2020年度)実施分の結果の評価についてに入ります。
事務局から説明をお願いいたします。
○福田有害性調査機関査察官 事務局から御説明申し上げます。
今年度の発がん性評価ワーキンググループで御審議いただく予定は資料3になりまして、本日の発がん性評価ワーキンググループで御審議いただく予定はこの資料の内容に盛り込んでおります。
本日は、チモール、2-sec-ブチルフェノール、ノナン酸、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルの4物質のラット肝中期発がん性試験の結果の評価を予定しております。
まずチモールとメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルですが、ともに平成25年度の遺伝毒性評価ワーキンググループで強い遺伝毒性ありとされまして、令和2年度の発がん性評価ワーキンググループでラット肝中期発がん性試験の対象ということで試験を実施いただいたものです。
それから残りの2物質、2-sec-ブチルフェノールとノナン酸ですが、いずれも令和元年度の形質転換試験の評価の結果で陽性とされまして、令和2年度の発がん性評価ワーキンググループでラット肝中期発がん性試験の対象とされまして、試験を実施していただいたものです。
チモールと2-sec-ブチルフェノールは株式会社DIMS医科学研究所、残りのノナン酸とメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルは株式会社ボゾリサーチセンターで試験を実施していただいております。
これらの物質の試験結果につきましては、お手元の参考資料の「中期発がん性試験(ラット肝中期発がん性試験)の結果の評価基準」を踏まえつつ、発がん性の評価、がん原性指針への追加の要否の検討をお願いしたく存じます。
なお、個別の試験結果につきましては、それぞれの物質の試験実施機関から説明することとしております。
○平林座長 ありがとうございます。
では、まずチモールにつきまして、試験実施者から説明をお願いいたします。
○DIMS医科学研究所/今井氏 DIMSの今井と申します。よろしくお願いします。
チモールのラットを用いた強制経口投与による肝中期発がん性試験について報告させていただきます。
今回使用したチモールですけれども、白色の結晶で、水に難溶ということから、コーンオイルに溶解して使用しております。
製造・輸入量につきましては、2017年度に1万tとなっております。用途としましては、殺菌剤、軟膏・貼り薬の原料、水溶性塗料、塗料の防腐剤等に使用されております。
有害性情報としまして、急性毒性でラットの経口投与におきましてLD50が980 mg/kgとなっております。
このチモールにつきまして、肝中期発がん性試験を用いて肝臓のプロモーション作用の有無を検討いたしました。
方法につきましては、被験物質投与群を3群設けまして、そのほかに陰性対照群、陽性対照群の計5群の構成で、各群ともに20匹のF344雄ラットを用いて実施しております。実験開始日に起始物質としてDEN200 mg/kgを1回腹腔内投与しております。その2週間後より6週間、被験物質を0―申し訳ございませんけれども、ここは誤記載がありましたので、訂正していただきたいと思います。「250」が「200」、「500」が「400」、「750」が「800」の間違いでした。申し訳ございません。なので、200と400と800 mg/kg/dayの用量で毎日1回強制経口をしております。陽性対照群にはフェノバルビタールを500 ppmの濃度で混餌投与しております。なお、DEN処置後、第3週目の終わりに肝臓の2/3切除手術を行っております。投与終了日の翌日に全生存動物を安楽死させて肝臓を摘出し、病理組織学的検査を実施するとともに、肝臓の前腫瘍性病変であるGST-P陽性細胞巣の個数と面積を計測し、定量的解析を行いました。
投与量の設定理由について御説明いたします。
本試験の前に2試験予備試験を実施しております。
1つ目が2週間の反復投与毒性試験でして、ラットに被験物質を0、200、300、400 mg/kg/dayの用量で1週間経口投与しております。その結果、200 mg/kg/day群において血液生化学的検査及び器官重量で肝臓への毒性影響が見られましたが、体重に明らかな毒性影響は認められず、毒性兆候としては弱いと考えられたことから、肝中期発がん性試験の用量設定試験に用いる用量は高用量を800 mg/kg/dayとし、低用量を400 mg/kg/dayに設定して実施しております。
用量設定試験では、本試験と同様にDEN処置及び肝部分切除術を実施して、被験物質を3週間強制経口投与して、評価しております。その結果、一般状態において被験物質投与群で歩行失調が観察され、症状は用量に依存して頻度、また程度が増強しております。また、体重増加量におきましても被験物質投与群で有意な低値が見られ、器官重量では被験物質投与群で肝臓の絶対重量及び相対重量の有意な高値が見られたことから、800 mg/kg/dayの用量は肝中期発がん性試験において毒性兆候を示す最小限の用量であると判断したことから、この試験では800 mg/kg/dayを最高用量として、以下公比2で400 mg/kg/day及び200 mg/kg/dayで実施いたしました。
次に結果を報告させていただきます。
被験物質による影響としまして、一般状態では歩行失調、自発運動の低下または消失が被験物質投与群で観察されました。
次に、体重につきまして図1に示しておりますが、400及び800 mg/kg/day群では被験物質投与の影響と考えられる有意な低値が認められました。しかし、摂餌量におきましては被験物質投与による影響は見られませんでした。
次に、肝臓重量を表1に示しております。肝重量では、400及び800 mg/kg/day群で絶対重量、被験物質投与全群で相対重量の有意な高値が見られております。病理組織学的検査では、被験物質投与全群で肝臓の脂肪変性が、また800 mg/kg/day群で肝臓の被膜の線維化及び肝細胞肥大が有意に増加し、被験物質の影響と見られる変化が認められました。
次に、GST-P陽性細胞巣の個数及び面積の定量的解析を表2に示しております。被験物質投与群において対照群と比較して同程度あるいは低値を示したことから、発がんプロモーション作用は検出されませんでした。
陽性対照群におきましては、体重及び摂餌量の有意な高値、また肝重量の有意な高値が認められ、GST-P陽性細胞巣では個数及び面積いずれも統計学的に有意な高値が見られたことから、肝発がんプロモーション作用が明確に検出され、本試験の妥当性が示されております。
以上の結果から、チモールは本条件下において肝発がんプロモーション作用はないと判断いたしました。
以上です。
○平林座長 ありがとうございました。
質疑に入る前に1つだけ確認させていただきたいのですが、投与量設定の理由のところを御説明いただいたときに、予備検討の2週間強制経口投与の結果のところで、血液生化学的検査及び器官重量で肝臓への毒性影響が見られた用量を200 mg/kg/dayとおっしゃったように聞こえたのですが、これは400 mg/kg/dayで間違いないですね。
○DIMS医科学研究所/今井氏 すみません、400 mg/kg/dayです。
○平林座長 分かりました。ありがとうございます。
それでは、このチモールにつきまして御質問、御意見をお願いいたします。
○小川委員 この結果からすると、肝毒性はあるけれども肝発がん性はないという結果になると認識しております。遺伝毒性が明らかだったというのが選択の理由になっていたと思うのですけれども、これはin vivoの遺伝毒性はなくてエームス等ではポジティブだったという認識でよろしいでしょうか。その点は特にここで議論する必要はないことなのかもしれないのですけれども。
○小野寺委員 私もそこはすごく気になったところで、この報告書のフォーマットの有害性情報か何かのところに遺伝毒性の結果を入れてもらえるとすごく助かるのですけれども、事務局のほうでフォーマットは決まっているのでしたっけ。
○福田有毒性調査機関査察官 ちょっとそこまでは。すみません。
○小野寺委員 最初に説明されたデータの内容をこの報告書の中のどこかに盛り込んでいただけるとすごく助かるのですけれども、
○福田有毒性調査機関査察官 承知しました。入れ方は検討させていただいて、報告書に盛り込むようにしたいと思います。
○平林座長 今回の剤については?
○福田有毒性調査機関査察官 もともと議論したときの資料を見てもそこまで詳しくは載っていなくて、確認しないと何も出てこないという状況なのですけれども。
○平林座長 つまり、エームスは陽性であっても、vivoの遺伝毒性が陰性であれば、肝毒性があってもこの結果で受け入れられるけれども、ちょっと懸念が残るということですよね、小川先生。
○小川委員 はい。もしin vivoの小核とかが強い陽性だったとすると問題があるかもしれないのですけれども、そこのところが問題ないということであれば、理論的には生体で特段懸念となる遺伝毒性を起こすようなものでもなく、アセトアミノフェンのようなことが起こった可能性もあり得るのかなと思いました。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますでしょうか。
○佐藤化学物質評価室長 小野寺先生からの提案にありました資料は別途事務局で整理いたしまして、チモールにつきましても、当時の細かい資料を手元に持ってこなかったので、後ほど情報を提供いたします。もしくは2回目の会議のときにその部分だけ改めて御審議いただくということもありますので、そこは対応いたします。
○平林座長 確かにここは結論を出すのに大事な点だと思いますので、もし差し支えなければ、2回目に結論を先送りしようと思いますけれども、その前に、この際だからここのところもデータを明らかにしてほしいとか、何かございますでしょうか。
○西川委員 そもそもこの試験をした理由がありますよね。遺伝毒性が陽性とか、あるいは形質転換試験が陽性とか。そのぐらいは分かるのではないでしょうか。
○平林座長 これでは遺伝毒性陽性ということは分かっていますが、その遺伝毒性の内容の詳しいところがまだ分からないということですよね。
○福田有害性調査機関査察官 ざっくりとした内容であれば参考5-1の中で拾い上げて、昨年度の選定のときに使わせていただいた資料からの今回の物質の抜粋なのですが、その部分では変異原性試験で強い遺伝毒性があるというところまでは出ておりまして、具体的にどういう試験をしたかというところまでは出ておりませんでしたので、そちらについては確認して、次回にお答えというか、宿題として持ってこれればと思っております。
○平林座長 いかがでしょうか。
西川先生、それでよろしゅうございますか。
○西川委員 結構です。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかに追加はございませんでしょうか。
若林先生、よろしゅうございますか。
○若林委員 特に意見はありません。今の格好でいいと思います。
○平林座長 ありがとうございます。
津田先生、よろしゅうございますでしょうか。
○津田委員 結構です。
○平林座長 ありがとうございます。
そうしましたら、チモールにつきましては、経過は説明していただいて、肝毒性はあるけれど、プロモーション作用はないという結果につきましては御了承いただいたということでございますが、そもそもこの試験をするに至った遺伝毒性の内容についてもう少し詳細に分からないと最終的な結論が出しにくいということでございますので、次回の評価会議に結論を持ち越したいと思います。よろしくお願いいたします。
そうしますと、次の剤に移ってよろしゅうございますか。
では、次に2-sec-ブチルフェノールにつきまして、試験実施者から説明をお願いいたします。
○DIMS医科学研究所/今井氏 では、次に2-sec-ブチルフェノールのラットを用いた強制経口投与による肝中期発がん性試験について報告させていただきます。
今回の2-sec-ブチルフェノールにつきましては、性状はほとんど無色透明の液体で、水には不溶なので、この被験物質につきましてもコーンオイルに溶解して使用しております。
製造・輸入量につきましては、2017年度にこちらも1万tで、用途としましては農薬、液晶原体原料となっております。
有害性情報としまして、急性毒性試験ではラットの経口投与でLD50が320 mg/kgとなっており、遺伝毒性では形質転換試験で陽性となっております。
こちらの被験物質につきまして、肝臓のプロモーション作用の有無を検討しております。
方法は先ほどと同様でして、被験物質の投与量は0、250、500、750 mg/kg/dayの用量で投与しております。
用量設定につきましては、こちらも2試験実施しておりまして、まず2週間反復投与毒性試験として、被験物質を0、100、300、500 mg/kg/dayの用量で2週間強制経口投与しております。その結果、全ての群において死亡例は認められず、500 mg/kg/day群で一般状態及び肝重量への影響が見られておりましたが、体重においては影響が見られず、毒性兆候としては弱いと考えられましたので、用量設定試験における用量は、高用量を750 mg/kg/day、低用量を500 mg/kg/dayに設定して実施しております。
用量設定試験の結果ですけれども、一般状態において被験物質の影響と考えられる歩行失調、自発運動の減少または消失が観察されました。さらに体重では750 mg/kg/day群で有意な低値または低値傾向が見られ、器官重量では500及び750 mg/kg/day群で肝臓の絶対重量及び相対重量の有意な高値が見られたことから、750 mg/kg/dayの用量が肝中期がん性試験において毒性兆候を示す最小限度の用量であると判断し、本試験は750 mg/kg/dayを最高用量として、以下公差250で減じた500及び250 mg/kg/dayに設定して試験を実施しております。
結果ですけれども、被験物質による影響として、一般状態では予備試験と同様に歩行失調、自発運動の減少または消失が観察されました。
次に体重ですけれども、図1に示します。750 mg/kg/day群で第3週目のみ有意な低値が認められ、摂餌量では被験物質投与群において有意な高値が認められました。
次に、肝重量を表1に示します。被験物質投与群において絶対重量及び相対重量が用量に相関して有意な高値を示しております。また、病理組織学的検査では500及び750 mg/kg/day群で肝細胞の肥大が全生存例に見られ、被験物質の影響と考えられました。
次に、肝臓のGST-P陽性細胞巣の個数及び面積の定量的解析を表2に示します。被験物質投与群において対照群との間に統計学的有意差は認められず、肝臓の発がんプロモーション作用は検出されませんでした。
陽性対照群では、先ほどと同様に体重及び摂餌量の有意な高値、肝重量の有意な高値が認められ、また、GST-P陽性細胞巣の個数及び面積いずれも統計学的に有意な高値が見られたことから、肝発がんプロモーション作用が明確に検出され、本試験の妥当性が示されております。
これらの結果より、2-sec-ブチルフェノールは本試験条件下において肝発がんプロモーション作用はないと判断いたしました。
以上となります。
○平林座長 ありがとうございました。
ただいまのお話につきまして、御質問、御意見をお願いします。
○小野寺委員 肝臓のプロモーション作用がないという結果はすごくクリアなのですけれども、最初の参考資料のときからしてLD50値の倍ぐらいやっても死なないのですね。この参考資料というのは意味があるのですかね。2018年の新しいのに載っているのですけれども、実験自体はすごく古いかと思うのです。これはあまり毒性の参考資料にはならないと思いました。
それと、表1でいくと肝臓の絶対重量がフェノバルよりも増えているのです。これは、発がんプロモーションはないけれども、肝臓に対する増殖プロモーションはすごくあったということでよろしいのですか。組織を見たときには、肝細胞が増えているのか、肥大しているのか、今分かりますか。
○DIMS医科学研究所/今井氏 肝細胞が肥大しておりました。
○小野寺委員 増えてはいなかった。
○平林座長 確かに肥大と書いてある。
○小野寺委員 フェノバルよりもすごいというのは。
○平林座長 ちょっと気にはなりますね。
ほかに。
○西川委員 1.4の「有害性情報」のところで形質転換試験を遺伝毒性の中に入れているのですが、通常これは遺伝毒性ではないという意見が多かったと思うのです。若林先生あたりにお伺いしたほうがいいかもしれません。
○平林座長 若林先生、いかがでしょう。
○若林委員 この形質転換試験に関しては食薬センターの人たちが主にやっていた研究で、プロモーション活性があるものに関して非常に陽性率が高いというようなデータが出ていると思いますので、西川先生が言われるように、遺伝毒性という範疇にすると語弊があるかもしれません。
○平林座長 ありがとうございます。
これはどう表記したらいいですかね。
○西川委員 これは、後から出てくるボゾリサーチセンターの場合は形質転換試験のような形で分類していると思いますので、それに合わせるのも1つかなと思いました。
○平林座長 ありがとうございます。
では、それはそのように整えていただくことでよろしゅうございますか。
○福田有害性調査機関査察官 はい、承知しました。
○平林座長 ほかに何か御意見はありますでしょうか。
○若林委員 2-sec-ブチルフェノールの表2の250 mg/kg/dayのところで、GST-P陽性細胞巣が陽性細胞巣数、陽性細胞巣面積においてやや上昇傾向にあるけれども有意差がなかったようなデータになっていると思うのですけれども、ここは病理組織的に見たりもう少し細かく見ると何か所見はあったのですか。それともこれは誤差範囲だと考えたのでしょうか。
○DIMS医科学研究所/今井氏 この250 mg/kg/dayは特に特別な所見が出たということもなく、その上の500、750 mg/kg/dayでは高い値を示していませんので、陽性ではないと判断しております。
○若林委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○平林座長 ほかに。
津田先生、いかがでしょう。
○津田委員 GST-P陽性細胞巣で判定しているのですけれども、この報告書に標本上直径0.2mm以上の大きさで判定したかの記載があったほうが分かりやすいと思います。フェノバルビタール群では対照群の2倍の値が出ていればこの実験はうまくいっていると考えるわけです。報告書にそのように記載されたほうがいいと思います。
○平林座長 ありがとうございます。
陽性細胞巣の面積を陽性と判断した基準を明記するようにという御指摘ですね。
○津田委員 そうです。
○平林座長 ありがとうございます。
では、事務局のほうでそのように。
○福田有害性調査機関査察官 はい、承知いたしました。
○平林座長 多分以前にもそのような御指摘を頂いたような気がするのですけれども。
○津田委員 そのように言ったような気がします。
○平林座長 そうですよね。何か伺ったような気が。すみません、徹底していないようで。
事務局から今資料を頂きました。取り決めがあって、参考6-3の<参考1>のところに「GST-P陽性細胞巣の検査方法等について」という記載がございまして、そこで0.2 mm以上をとると明記されているそうです。すみません。
○津田委員 分かりました。
○平林座長 よろしゅうございますか。―ありがとうございます。
ほかに何かございませんでしょうか。
そうしますと、肝臓の重量の増加は明瞭で、ただGST-P陽性細胞巣の増加はないということで、プロモーション作用はないという試験結果は明瞭かと思います。この結果をもって発がん性の評価ということになりますけれども、いかがいたしましょうか。プロモーション作用なし、発がん性作用なしということでよろしゅうございますでしょうか。
○西川委員 結構です。
○平林座長 異議がないようでしたら、発がん性なしということで評価したいと思います。
そうすると、がん原性指針への追加の要否は関係ないですね。
ありがとうございました。
では、次にノナン酸についていこうと思います。
試験実施者から説明をお願いいたします。
○ボゾリサーチセンター/山縣氏 ボゾリサーチセンターの山縣と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、ノナン酸のラットを用いた強制経口投与による肝中期発がん性試験についての結果報告になります。
被験物質の物理化学的性状ですが、液体で透明、無色~ほとんど無色という液体になります。溶解性については、水に不溶。記載にあるように多くの有機溶剤に可溶ですので、今回はコーンオイルに溶解して使用しております。
製造・輸入量及び用途については記載のとおりとなります。
続いて有害性情報ですが、ラット経口のLD50が5,000 mg/kgとなっております。また、形質転換試験は令和元年度で陽性となっております。
方法につきましては前の試験と同様ですので省略させていただきますが、陽性対照群はフェノバルビタールを25 mg/kgの用量で毎日1回強制経口投与しております。
続きまして、投与量の設定理由となります。
用量設定は1試験行っておりまして、部分肝切除ラットを用いた2週間の反復経口投与試験を行っております。有害性情報に記載がありましたようにLD50が5,000 mg/kgとなっておりますので、LD50の半量を超えるぐらいの3,000 mg/kgを高用量とし、2,000、1,000 mg/kgをそれぞれ中及び低用量として2週間反復経口投与しております。結果ですが、3,000 mg/kgまで投与しても、一般状態、体重、肝重量、剖検時の肉眼所見に明確な毒性は認められませんでした。結果から、本試験では3,000 mg/kgを高用量に設定し、以下公比2で除しました1,500、750 mg/kgをそれぞれ中及び低用量に設定しております。
結果です。
被験物質投与による死亡の発生、一般状態の変化、剖検時の肉眼所見及び肝臓の病理組織学的変化は認められませんでした。1,500 mg/kg投与群では肝臓の絶対重量の減少が認められております。これは表1に記載しております。
3,000 mg/kg投与群では軽度な体重増加抑制(媒体対照群と比較して-7%)、こちらは図1に記載しております。
また、摂餌量の低値と肝臓の絶対重量の減少が認められております。
しかし、被験物質投与群のGST-P陽性肝細胞巣の単位面積当たりの個数と面積には媒体対照群との間に有意な差は認められませんでした。
また、陽性対照群では体重、摂餌量の増加、肝重量の増加、小葉中心性の肝細胞肥大がみられており、GST-P陽性肝細胞巣の単位面積当たりの個数及び面積いずれにも統計学的に有意な高値が見られたことから、本試験の妥当性が示されております。
以上の結果から、ノナン酸は本試験条件下において肝発がんプロモーション作用を示さないと判断しております。
○平林座長 ありがとうございます。
ただいまのお話につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。
○小野寺委員 これはすごく毒性がない物質ですよね。3,000 mg/kgというとてつもない量をやって、結局、体重を見てみますと、用量相関的に解剖前の体重が下がっているのは毒性ではなくて、栄養的なバランスが崩れたとか、そちらのほうで、大量に化学物質を与えることによる生体への非特異的な影響と考えたほうがよいような。ましてや、こういう弱ってきて体重が落ちてきた動物というのは肝臓自体の活性が落ちてくるので、あまりこういう中期発がん性の増殖が止まってしまうような用量というのは本当に適切なのかなと疑問に思ったのです。こんなに毒性のないもので。今、医薬品の場合は最高用量も1,000 mg/kgと決めたのがあるのですけれども、それ以上に大量にやると、物の生化学的な影響よりも物理学的な影響、栄養のバランスが崩れるということで正常な生体反応が起こらない可能性が強いということも懸念されたので、この試験でプロモーター作用がないということは分かるのですけれども、あまり大量にやるのは考えたほうがいいのかなと思いました。
○ボゾリサーチセンター/山縣氏 よく分かりました。ありがとうございます。
○平林座長 ほかに何かございませんでしょうか。
○若林委員 ノナン酸そのものではないのですけれども、DIMSさんとボゾリサーチさんではフェノバルビタールの投与量、投与方法が違うのですかね。前にも一度、同じような試験系であればどちらかに統一した格好のほうがいいのではないかということを議論したと思うのですけれども、片方はゾンデでやって、片方は飼料か飲水に入れているのでしょうか。
○平林座長 たしか以前そのことを議論したかと思いますけれども、結局そのときには、それぞれの背景データなどの理由もございまして統一できないというような結論だったように記憶しているのですが。
○若林委員 この会議の方針として統一しなくてもいいということでしたら発言を撤回しますけれども、私は個人的には統一したほうがいいのではないかと思います。
○平林座長 以前そのお話があったことは承知しております。ただ、フェノバルを陽性対照におくという目的につきましては達成されているということで、試験の成立に関わることでございますので、それぞれの施設のやり方でということで承認したというような経緯があったかと思います。記憶が違っていればあれですけれども、大丈夫ですかね。
○西川委員 そのとおりだと思います。DIMSのほうは混餌でやって、ボゾリサーチセンターは強制経口投与でやっている。その値が強制経口投与のほうがはるかに高いのです。とはいえ、各施設の背景データも尊重しないといけないということもあって、ポジコンの役割を果たしていればいいだろうということになったかと思います。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかにこのノナン酸について何か追加の御意見はございませんでしょうか。
○津田委員 前から違うことはこの会議でも議論されたことがあるのは確かですけれども、そのときは、投与量0の群とフェノバルビタールと比べて値が倍になっていればいいだろうということでそのままになっていたと思います。これは0.05%混餌投与での条件です。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかに。
小川先生、よろしゅうございますか。
○小川委員 結構だと思います。
○平林座長 ありがとうございます。
そうしましたら、投与量の問題が多少ありますけれども、体重も下がっていて、肝臓も小さくなっていて、プロモーション作用も認められないということでございますので、ノナン酸につきましては発がん性なしということで判断したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
○西川委員 結構です。
○平林座長 ありがとうございます。
そうしますと、がん原性指針に追加する必要はないので、次の剤に移りたいと思います。
メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルにつきまして、試験実施者から説明をお願いいたします。
○ボゾリサーチセンター/山縣氏 メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルのラットを用いた強制経口投与による肝中期発がん性試験の試験結果を説明いたします。
物理化学的性状ですが、状態は液体で、こちらも透明~ほとんど無色の液体となります。溶解性は、可溶となっていますが100 mL中10 g程度しか溶けませんで、多くの有機溶剤に可溶とありましたので、今回もコーンオイルに溶解して使用しております。
製造・輸入量及び用途に関しましては記載のとおりとなります。
続きまして有害性情報ですが、ラット経口でのLD50が1,751 mg/kgとなっております。
遺伝毒性試験ですが、エームスと染色体異常試験、いずれも陽性となっております。
試験方法に関しては省略させていただきます。
続きまして、投与量の設定の理由になります。
こちらも部分肝切除ラットを用いた2週間反復経口投与による用量設定試験を行っております。投与量を3,000、2,000、1,000 mg/kgとして用量設定試験を行っております。結果ですが、3,000 mg/kgと2,000 mg/kgでは全例が死亡し、1,000 mg/kg投与群では死亡の発生はありませんでしたが、体重増加抑制、媒体対照群と比べて10%が認められております。したがって、本試験では1,000 mg/kgを高用量に設定し、以下公比2にて除した500 mg/kgと250 mg/kgを中及び低用量に設定しております。
結果です。
500 mg/kg投与群では体重増加抑制(媒体対照群と比較して-7%)と肝臓の絶対重量の減少が見られました。
1,000 mg/kg投与群では、起始物質投与45日後、こちらは第7週目相当です。あと55日後というのは第8週目に相当いたします。それぞれの週で1例ずつ死亡しております。これらの動物では間代性けいれんが見られており、本被験物質は中枢神経系への影響を及ぼすことが報告されていますので、被験物質の影響による死亡と考えております。
また、同1,000 mg/kg投与群の生存動物でも起始物質投与45日、第7週目から間代性けいれんが2~6例に見られ、強い体重増加抑制、こちらは媒体対照群と比較して-20%、あと肝臓の絶対重量の減少と相対重量の増加、あと小葉中心性の肝細胞肥大が見られております。
しかし、GST-P陽性肝細胞巣の単位面積当たりの個数及び面積は媒体対照群との間に有意な差が認められませんでした。
陽性対照群では体重、摂餌量、肝重量の増加、小葉中心性の肝細胞肥大が見られ、GST-P陽性肝細胞巣の単位面積当たりの個数、面積いずれにも統計学的に有意な高値が認められたことから、本試験の妥当性が示されております。
結論としまして、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルは本試験条件下において肝発がんプロモーション作用を示さないと判断いたしました。
以上となります。
○平林座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして御意見、御質問等ありましたら、お願いします。
○小川委員 この剤も同じことなのですけれども、もともと遺伝毒性があるということで実施されたと認識しておりますが、in vivoの遺伝毒性の結果についても、もしあれば記載いただければと思います。
○平林座長 事務局は結局同じ答えですよね。
○福田有害性調査機関査察官 はい。確認して盛り込むようにしたいと思います。
○小川委員 よろしくお願いします。
○平林座長 ほかに。
○若林委員 エームス試験、染色体異常試験でポジティブだということで、in vivoについてどのぐらいデータがあるか分かりませんけれども、この伊東法ではネガティブだということだとすると、多分エームス試験、染色体異常試験の陽性に関してもかなり高濃度で弱い変異原性が認められたというようなことが予想できるのですけれども、同じ陽性に関してもその辺のデータを加えると我々も総合的に判断しやすいと思うので、単に陽性ということに加えて、ドーズとかどのぐらいの遺伝毒性が現れたのかというようなことを簡単に記載していただければ大変ありがたいと思いまして、コメントいたしました。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかに追加の御質問あるいは御意見はございますでしょうか。
西川先生、いかがですか。
○西川委員 特にないです。
○平林座長 ありがとうございます。
津田先生はいかがでしょうか。
○津田委員 特にありません。
○平林座長 ありがとうございます。
小野寺先生。
○小野寺委員 プロモーション作用がないことは分かるのですけれども、どうもGST-Pの面積に有意差はつかないけれども用量相関的に上がっているような気がしないでもないのが気になるのです。でも、本当にポジティブな場合は、先ほど津田先生も言いましたように、コントロールのポジコンがきちんと動いているので、このぐらいは想定範囲内なのかなという結論でもいいと思います。
○平林座長 よろしゅうございますか。
そうしますと、少なくともこの剤につきまして、プロモーション作用は陰性ということでよろしゅうございますでしょうか。
○西川委員 結構です。
○平林座長 ありがとうございます。
その次に、エームス試験と染色体異常試験が陽性ということでございますので、肝臓以外の臓器を標的臓器とした中期発がん性試験の候補物質の対象になろうかと思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。あるいはエームスや染色体の用量などを検討して次回に持ち越しのほうがよろしいか。そのあたりは御意見いかがでしょうか。
○若林委員 今、平林先生が言われたように、エームス試験、染色体異常試験の陽性の内容を知りたいですね。わずかでも陽性だというのもあると思うのですけれども、その辺を総合的に見て判断させていただければ大変ありがたいと思います。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかに。
○西川委員 この中期試験に上がってくるのは強い遺伝毒性があるというものだったと記憶しているのですけれども。とはいえ、確認は必要だと思います。
肝臓以外を標的とすると、これは症状とかからいくと神経ですよね。脳になってしまうので、ちょっとこれも。
○平林座長 発がん性とは違いますね。
○西川委員 だからやりにくいのかなと思います。とにかく遺伝毒性の内容を検討した上でということでいいと思います。
○平林座長 分かりました。ありがとうございます。
よろしゅうございますでしょうか。
○小川委員 せっかく検討された方がいらっしゃるので、肉眼的な観察しかないと思いますけれども、腎臓とかほかの臓器も肉眼観察においては懸念になるようなものはなかったということでよろしいでしょうか。
○ボゾリサーチセンター/山縣氏 そうですね。特に気になる肉眼的に異常はありませんでした。
○平林座長 投与期間はどのぐらいですかね。8週間ですか。
○ボゾリサーチセンター/山縣氏 本試験だと、投与期間は6週間です。
○平林座長 分かりました。ありがとうございます。
そうしましたら、先生方の御意見も踏まえまして、まずこの剤のエームス試験あるいは染色体異常試験での陽性の程度、どんな用量で投与されたのかとか、そういったことを確認の上で最終的な結論を出したいと思います。次回ということでよろしゅうございますか。―ありがとうございます。
そうしましたら、全体を通じて御質問、御意見等ございましたら、お願いします。―特にございませんか。
○ボゾリサーチセンター/黒岩氏 ボゾリサーチセンターの黒岩と申します。サポーターから質問させていただいて申し訳ないのですが、今後の用量設定について方針を確認させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○平林座長 どうぞ。
○ボゾリサーチセンター/黒岩氏 先ほどのボゾリサーチセンターの1つ目の剤ですが、毒性が非常に弱い状況で、杓子定規にLD50の半分あたりを高用量にしようというような当初の方針があったと思いますので、それに従って用量設定を進めていましたが、適切ではないケースもあるのかなと今回判断したのです。このあたり、今後もしこの事業を続けさせていただく場合の方針等がございましたら、お示しいただけないでしょうか。
○平林座長 どなたに振りましょうか。多分、剤によってそんなに杓子定規に決められないような気もいたしますが、西川先生、振ってもいいですか。
○西川委員 LD50のデータはあるにしても、本当に同じ系統の同じ週齢の動物かどうか分からない状況ですよね。だから、あくまでも1つの目安として設定して、あまりにも違うのであれば、短い期間の毒性試験、予備試験でより正しい用量設定をしていくということになろうかと思います。あまり参考にはならないかもしれませんけれども。
○ボゾリサーチセンター/黒岩氏 ありがとうございます。
○平林座長 よろしゅうございますか。
○ボゾリサーチセンター/黒岩氏 高用量が例えば2,000 mg/kgとか3,000 mg/kgまで打てばもう大丈夫というようなところも、もし指針がありましたらお願いしたいのですが。難しいですかね。最初のころは、投与量が足りないと評価ができないのでまずいだろうということで、LD50の半分ぐらいは打っておきたいというご意見も頂いておりました。先ほど西川先生がおっしゃったように動物の系統によっても変わってきますので、用量設定試験でそのあたりを見極めて、できるだけ高い用量にとはしていたのですが、物によっては少し高過ぎるのではないかという状況がございますので、毎回悩みながら実験しているところではあるのですけれども、また検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○平林座長 ありがとうございます。
ほかに何かございますでしょうか。
特にないようでしたら、次に「その他」ということで、事務局から何かありますでしょうか。
○福田有害性調査機関査察官 検討をお願いしたい案件は以上でございます。
本日御検討いただきましたラット肝中期発がん性試験の結果の評価につきましては、いずれにしても残った部分は2回目で改めて資料等を提示させていただきたいと思います。
また、最後にもう一回資料3を御覧いただきたいと思いますが、次回につきましては、先生方に日程調整させていただいておりますとおり、11月25日に開催を予定しております。
議事の内容につきましては、今回はボゾさんとDIMSさんにお願いしたのですが、バイオに試験を実施していただいた内容を中心に2回目を予定しております。
以上でございます。
○平林座長 ありがとうございました。
ほかになければ、以上で本日の発がん性評価ワーキンググループを閉会とさせていただきます。
本日はお疲れさまでした。ありがとうございました。