令和3年9月10日 第23回 社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会(議事録)

日時

令和3年9月10日(金) 13:30~15:00

場所

WEB会議
東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和3年度調査)の調査票等について
  2. 2.その他

議事録

議事内容
○新田介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、第23回「社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
本日は、昨年度と同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
また、傍聴席等は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、粟田委員、石川委員、小坂委員、近藤委員より御欠席の御連絡をいただいております。
続きまして、事務局に異動がありましたので、紹介させていただきます。
老健局高齢者支援課長の須藤明彦でございます。
続きまして、老人保健課長の平子哲夫でございます。
最後になりますが、私、介護保険データ分析室長の新田惇一でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。
本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様には、ここで御退出いただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、以降の進行は、松田委員長にお願いいたします。
○松田委員長 松田です。
それでは、議事に入りたいと思いますので、まず事務局より、本日の資料、ウェブ会議の運営方法の確認をお願いします。
○新田介護保険データ分析室長 まず、お手元の資料の確認になります。
本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料を、ホームページにも掲載しております。
まず、議事次第と委員名簿がございます。
次に資料1、事前確認シート。こちらは(1)~(4)までございます。
資料2、調査概要等目次。
資料3、別紙が1~4までございます。
次に参考資料とございまして、参考資料1、令和3年度調査の進め方について。
参考資料2、令和3年度介護報酬改定を踏まえた今後の課題及び次期改定に向けた検討について。
参考資料3、平成27年度以降の調査の実施における基本的な考え方。
参考資料4、令和3年度調査検討組織委員長一覧。
参考資料5、調査票の種別・対象施設等一覧。
以上になります。
資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
次に、ウェブ会議における発言方法等について確認させていただきます。
御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。画面で松田委員長に御確認いただき指名していただきますので、指名に基づき御発言いただくようお願いいたします。挙手しているにもかかわらず発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。
なお、チャット機能等で記載いただいた内容につきましては、ウェブの画面及び配信動画におきましても表示されますので、御承知おきください。
以上でございます。
○松田委員長 ありがとうございました。
それでは、議事次第に沿って進めていきたいと思います。
まず、議題1「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和3年度調査)の調査票等について」、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○新田介護保険データ分析室長 では、事務局のほうから、議題1につきまして御説明させていただきたいと思います。
今回、まず資料1を御確認いただきたいと存じます。令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査ということでございまして、本年度は4つの調査を予定しております。
まず1つ目、介護医療院におけるサービス提供実態等に関する調査研究事業につきまして、御説明をさせていただきます。
調査の趣旨、目的といたしましては、平成30年に創設された介護医療院は、長期にわたり療養が必要である者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設とされており、「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナルケア」等の機能と「生活施設」としての機能とを兼ね備えた施設とされております。
令和3年度介護報酬改定におきましては、医療と介護の連携の推進に向け、これらの機能の充実の観点からも加算の見直しが行われたところです。
審議報告における今後の課題といたしましては、サービス提供の実態や介護療養型医療施設 等からの移行状況を把握した上で、介護療養型医療施設の廃止期限も踏まえつつ、どのような対応を図ることが適当なのかを検討していくべきとされており、次期改定が医療介護同時改定であることを念頭に、医療介護連携のさらなる推進に向け、介護医療院の機能の強化のための検討に資する基礎資料を作成する必要がございます。
本調査では、介護医療院、介護療養型医療施設、介護療養型老人保健施設、医療療養病床及びその利用者に対する調査を行うことで、おのおのの施設におけるサービスの提供状況や利用者の医療ニーズ・ADL等の実態、施設間の利用者の流出入等の把握を行います。
また、各施設に対する調査により介護医療院への移行予定を把握するとともに、施設および自治体等における移行に向けた課題を明らかといたします。
具体的な調査内容は、資料2に調査票が別紙1でございますけれども、本調査は、各施設に対する施設調査票及び各施設からの退所者・退院患者票、介護医療院については短期入所療養介護利用者を対象とした個票調査も行うことを予定しております。また、許可権者及び保険者である自治体に対しても調査を行う予定でございます。
各調査の調査内容と集計・分析の視点といたしましては、資料2の別紙1-3でございます介護医療院票では、基本情報、介護医療院への移行時の状況に加え、入退所先別の利用者数、医療措置の実施状況、医療のさらなる充実、みとりの質のさらなる向上のための課題等について調査をいたします。
次に別紙1-4、病院・診療所共通票では、療養病床に対する調査として基本情報を収集し、別紙1-5、別紙1-6でございます介護療養型医療施設票及び医療療養病床票では、各施設における入所者の情報、医療の実施状況及び介護療養病床廃止後の2024年時点での予定病床等について調査をいたします。
次に別紙1-7、介護療養型老人保健施設票につきましては、療養病床に対する調査と同様の項目について調査を行うものでございます。
次に別紙1-8、退所者・退院(棟)患者票では、利用者のADL等の基本情報、入退所先、措置の実施状況を調査するとともに、退所先が医療機関である場合については、退所となった理由等について調査をいたします。
また、介護医療院に対しては、退所者の情報を調査するのは今回が初めてということになっております。
次に別紙1-9、短期入所療養介護利用者票では、同様に利用者の基本情報や入退所先、医療の実施状況等を調査いたします。
最後、別紙1-10、11、12でございます都道府県票、指定都市・中核市票及び保険者票では、介護医療院への移行促進のための取組、市区町村との連携状況、移行に関する課題等について調査をいたします。
以上の調査によって、介護療養病床等の円滑な移行に向けた課題を抽出するとともに、介護医療院と医療療養病床の医療提供の実態の比較等を通じ、医療・介護の連携のさらなる推進に向け、次期医療・介護同時改定に資する基礎資料の作成を行うことを予定しております。
それでは、次の調査に移らせていただきたいと存じます。次は、LIFEを活用した取組状況の把握及び訪問系サービス・居宅介護支援事業所におけるLIFEの活用可能性の検証に関する調査研究事業でございます。
本調査の目的は以下の2点でございまして、LIFEを活用した取組について、LIFEの開始前後の推移を含めた実態、LIFEの活用が介護の内容や質に及ぼした影響等を明らかにするとともに、さらなるLIFEの活用に向けた課題を示すということ。
2点目といたしまして、次期介護報酬改定において、訪問系サービス及び居宅介護支援事業所を対象とするLIFEへのデータ提出とフィードバック等の活用を要件とした加算を導入する意義を検討し、その実現可能性や課題等を示すということを目的としております。
以上の目的を達成するために、アンケート調査やヒアリング調査、モデル調査や介護関連DB分析を行うものでございます。
具体的な調査内容といたしましては、資料2の別紙2にございます。LIFEに関連した加算を算定している施設事業者やLIFEへのデータ登録がない事業所・施設を対象としたアンケート調査。アンケート調査の回答があった事業所・施設のうち、必要に応じて事業所・施設へのヒアリング調査を実施する。また、訪問介護事業所、訪問看護事業所、居宅介護支援事業所を対象としたモデル調査を実施します。また、介護DBを用いたLIFEを活用した取組の実施状況の把握等も行います。
各調査票でございます。別紙2-3はLIFE登録済み事業者票でございますが、LIFEを利用している事業所を対象とするアンケート調査により、LIFEを活用した取組について、その取組状況を把握するとともに、さらなるLIFEの活用に向けた課題の検討等を行います。
別紙2-4はLIFE未登録事業者票でございます。こちらは、LIFEを活用していない事業所を対象とするアンケート調査により、さらなるLIFEの活用に向けた課題の検討等を行います。
別紙2-5は、介護支援専門員票でございます。こちらは居宅介護支援事業所でLIFEのフィードバック票をケアプランの見直しなどに活用していただくモデル事業を実施し、実施後にアンケートを行って、LIFE活用の具体的なユースケース、LIFE導入における課題等について調査を行うものでございます。
最後、別紙2-6でございます。訪問系サービス事業所票でございます。こちらは、訪問系サービスにおいて実際にLIFEを活用していただくモデル事業を実施し、実施後にアンケートを行い、LIFE活用の具体的なユースケース、LIFE導入における課題等について調査するものでございます。
以上の調査におきまして、LIFEを活用した取組について状況を把握するとともに、さらなるLIFEの活用に向けた課題の検討等を行うものでございます。
次、3つ目にございます文書負担軽減や手続の効率化による介護現場の業務負担軽減に関する調査研究事業でございます。
調査の趣旨、目的といたしましては、本調査は、介護報酬における利用者への説明・同意等に係る見直しや記録の保存等に係る見直し等による業務負担軽減の効果検証及びさらなる文書負担の軽減や手続の効率化等の検討に資する基礎資料を得るための調査を行うものでございます。
以上の目的のため、全国の訪問系サービス、通所系サービス、居宅介護支援、施設・居住系サービスを対象とした調査を行うものです。
具体的な調査内容といたしましては、資料2の別紙3にございますが、本調査は訪問系サービス、通所系サービス、居宅介護支援事業所、施設・居住系サービスを対象に郵送調査を実施いたします。なお、郵送調査を補足するため、対象以外の事業も含めヒアリング調査も実施する予定でございます。
各調査票の調査内容と集計・分析の視点といたしましては、1つ目といたしまして、押印の代替手段としての電子メールや電子署名、電子サイン等の利用など、今回の各種見直しの活用状況を調査し、活用していない事業所については、その理由や課題を確認するということ。
2つ目といたしましては、介護現場のICT環境や各種記録の保存の状況を調査し、介護現場の文書量の推移を推計するための基礎情報を確認する。
3点目といたしまして、令和3年度介護報酬改定で対応した事項以外で事業所が負担を感じている文書や手続の効率化等に関する要望・意見等を確認する。
以上の調査によって、事業者の業務への影響を明らかにするとともに、さらなる文書負担軽減や手続の効率化のための課題等を調査するものとしております。
最後でございます。4番目、福祉用具貸与価格の適正化に関する調査研究事業でございます。
調査の趣旨・目的といたしましては、福祉用具につきましては、貸与価格の適正化を図る観点の下、平成30年10月から、商品ごとに全国平均貸与価格の公表や上限価格の設定を実施しており、令和3年4月には、これまで設定した上限価格について初めて見直しを行ったところでございます。
上限価格の見直しを踏まえた貸与価格の動向や事業所の事務負担を含めた経営状況、サービスの質への影響等を把握し、次期上限設定に向けた検討のための基礎資料を得ることを目的として調査を行うものでございます。
具体的な調査内容といたしましては、資料2の別紙4にございます。介護保険総合データベースを用いた分析、福祉用具貸与事業所や利用者等へのアンケート調査、福祉用具貸与事業所やレンタル卸売事業所等へのヒアリング調査を行うということを予定しております。
また、各調査票の調査内容、集計の分析の視点でございますけれども、まず、介護保険総合データベースを用いた分析では、介護給付費の削減効果を把握する観点から、個別商品について上限設定前の平成29年10月以降の貸与価格分布の推移と、次回上限見直し以降の価格シミュレーションを行います。また、平成30年10月の上限設定時と令和3年4月の上限見直し時の介護給付費の削減効果を比較し、事業所規模別の平均貸与価格の変化についても分析を行います。
次に別紙4-3でございますけれども、福祉用具貸与事業所へのアンケート調査では、上限見直しによる事業所の経営やサービスの質への影響を把握する観点から、上限価格の見直しを受けた貸与価格の見直しや、仕入先やレンタル卸等の価格交渉等経営コストの効率化を図ったか、事務作業負担は平成30年10月の上限価格設定時と比較して軽減したか等について調査を行います。また、令和3年度介護報酬改定では、居宅介護支援の退院・退所加算等において求められる退院・退所時のカンファレンスについて、必要に応じた福祉用具専門相談員等の参加を明確化したことから、福祉用具専門相談員のカンファレンスへの参加状況、参加によるサービスの変化・効果を調査するものでございます。
最後、別紙4-4は利用者票でございます。利用者へのアンケート調査では、上限見直しによる貸与価格やサービスの質への影響を利用者の側から把握する観点から、上限価格見直しを受けた貸与価格の変更に対する利用者の納得度やモニタリングメンテナンスの頻度、中身に対する満足度について調査を行うものでございます。
以上の調査で得られた結果から、介護給付費の削減効果や事業所の経営状況、サービスの質等について実態を把握し、今後も上限価格設定を続けていくかを含めて、必要な見直しを検討してまいりたいと考えております。
それぞれの調査の御説明につきましては、以上でございます。
なお、質疑への対応につきましては、各担当課より対応させていただきます。また、資料については、今後の介護給付費分科会の議論を踏まえ、修正等が生じ得ますので、御了承いただきたいと存じます。
以上でございます。
○松田委員長 それでは、議題1「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和3年度調査)の調査票等について」につきまして、議論したいと思います。
後ほど順番に議論いただきますけれども、まず最初に、ただいまの説明に対する全体を通しての御意見とか御質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、1つずつ議論していきたいと思います。議論に関しまして補足等がありましたら、各調査検討組織委員長の先生のほうからもコメントをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
なお、事務局の都合上、審議いただく調査は事業番号(4)、(3)、(1)、(2)の順に進行することとしたいと思います。
まず、資料1の事業番号(4)福祉用具貸与価格の適正化につきまして、御質問等があればお願いいたします。いかがでしょうか。
ないとさっさと終わってしまうのですけれども、よいですか。
福祉用具に関しては、価格が今までも給付分科会のほうでいろいろ話題になっていますけれども、よろしいですか。
では、また最後に戻るとして、次のほうに行きたいと思います。次は(3)文書の効率化につきまして、コメント、質問等はありますでしょうか。
文書の効率化に関しましては、やらないと駄目だと思います。訪問系の調査でいろいろとデータが出ているのですけれども、訪問系のサービスをやっている人が、働いている時間の半分ぐらいしか直接サービスをやっていなくて、3割が移動で2割が文書管理という話になっていて、この文書管理のやり方はICTなどを使うと移動時間の短縮にもつながってくるので、要するに直接サービスに割ける時間が長くなってくるということで、直接介護労働者の形の所得というか収入に関わってくるとても大切な調査だと思っています。
僕自身がちょっと違和感を覚えているのは、どちらかというと介護労働者だけに賃金の補助をするような公的な仕組みができてしまっているわけですけれども、交代でやっているところでは、同じ法人の中で、医療施設に勤めている介護職と介護系のところに勤めている介護職の間で処遇がなかなか調整できないという問題が出ているので、その意味でもこの文書管理はすごく重要だと思っているのですが、川越先生、委員長として何かありましたらお願いします。
○川越委員 今回の調査の目的は、改定によってどのような変化が生じたか、どのような効果があったのか、そうした実態を明らかにすることです。電子メール、電子署名、電子サインといった電磁的方法がどの程度利用されているのか、誰を対象に利用されているのかなどをおさえていくことを考えています。
これら利用実態は、事業所の規模、法人の種別、サービスの種類、文書の種類によっても異なる可能性があると思っています。電磁的方法を採用するに至った事業所とそうでない事業所ではどのような違いがあるのかも明らかにして、抱える課題が異なる事業所群で、課題に応じた対策を取っていく。こうした対策に使えるようなものにしていきたいと考えています。
ただし、アンケート調査だけでは全体を把握することはなかなか難しいと思っています。電子署名を導入している事業所はそれ程多くはないかと思っています。そのため、実際に導入をしている事業所に対し、何がどう変わったのか、どういったメリットを感じているのかを、また、導入していない事業所に対し、なぜ導入できないのか、どこにネックがあるのかを、個別ヒアリング等で詰めていこうと考えています。また、導入事業所に対しては、導入により文書量がどの程度減少したのか、負担感はどの程度軽減されたのかなども、ヒアリングでおさえていこうと思っています。こうしたヒアリングとアンケートの両方で、実態を明らかにしていこうということになっております。
私からの補完は以上です。
○松田委員長 ありがとうございました。
個別のところでの業務負担をどう改善していくかという話なのですけれども、僕が個人的にずっと思っているのは、オランダのビュートゾルフみたいに共同で事務処理するところがあって、そこで一括に処理するというやり方、共同文書処理事業所みたいなものを各地域につくってやっていくほうがいいのではないかとずっと思っているのです。堀田先生にいろいろと教えてもらってビュートゾルフなんかを見ていると、それがすごく上手ですよね。6,200人ぐらいの人たちが働いていて、たった30名ぐらいで文書管理をやれている。そういうことを考えていかないと、電子化していくということの効果はどうなのかなと思います。今回、個別のところでどのように対応するかという話もすごく大事なのですけれども、今年度というか来年度以降になるかもしれませんが、この後の議論の中で、システムとしてどうするかという視点もやっていただけたらなと思います。
堀田先生、何か御意見はありますか。
○堀田委員 ありがとうございます。
今、委員長がお話しくださったように、ひとまず訪問介護でということになると思いますけれども、看護のほうでもエリア全体でバックオフィス機能をという話があるように思いますが、全体の構造としてそういうことができるのかという議論は、まだまだできる余地があるなと思っています。
今、ビュートゾルフだとスタッフが1万人以上にもなっていますが、数十人でバックオフィスをということになっているので、そういったことはまだできるかもしれないということの検討にも進める一歩になればいいなと思っています。
以上です。
○松田委員長 ありがとうございます。
後ろはモネの『睡蓮』ですかね。
田宮先生、どうぞ。
○田宮委員 ありがとうございます。
2つお伺いしたいなと思っています。1つ、ちょうどLIFEが始まって、いろいろ文書負担がまた増えてくる時期ですね。それとの関係とかがどのようになるのか注意が必要と思います。前後比較をしようと思っても、新しい負担が増えたところになるので、多分LIFEのほうと連動して伺うか何かして。LIFEと区別し、どの程度その負担が増えているかというのと両方考えなければいけないシーンが出てくるのではないかなということが懸念で、1つです。
それから、全体にIT化に関わる方向の話だと思うので、これは対象外のお話なのかもしれませんが、IT化ということは、サービス提供者会議とか、今まで直接会わなければいけなかった業務がスマホでいいとか、そんなふうに結構IT化している実態があると思うのです。というか、してもよくなったと理解しているのですけれども、それがどのくらい進んでいるのかというのも重要と思います。IT化ということで、文書とは違うのですけれども、それをどこかで検証するようなところがあれば知りたいなと思っていまして、いかがでしょうか。
その2点です。
○川越委員 1点目の質問についてです。現時点では、LIFEの導入や活用がそれほど進んでいないので、どの程度負担が増加したかは評価しにくいかと思っています。活用も徐々に進んでいく来年、再来年であれば、導入事業所が増え、負担の増加の程度もより明らかにできるのではないかと思っています。
○田宮委員 LIFEをやっているかどうかは、チェックが入っていたほうが分かりいいと思うのです。
○川越委員 分かりました。現時点の状況として把握できるよう、内部で検討いたします。
2点目ですが、ご指摘の通り、事業所がデータを活用していく、ICT化を進めていくというのは、サービスの質を上げていく、業務をより効率的に提供できるようになる、間接業務時間を減らして直接業務時間を増やしていくために行われるものだと思います。そうすると、連携の質がポイントの1つになります。サービス担当者会議、退院前ケアカンファレンス、ケアマネジャーやケア職が撮った動画をリハ職が見てアドバイスをするなど、こうした多職種の連携を強化するためにICTなどを活用するという側面はあると思います。
今回行う予定のヒアリングでは、ICT導入や多職種間の情報共有を通じてサービスの質の向上を図っているような事業所を委員会委員から挙げてもらって、具体的なことを詳しく聞いていく必要があると思っています。ご指摘の点は、アンケートというよりも、ヒアリングの方で対応したいと考えております。
○田宮委員 ぜひお願いします。ありがとうございます。
○松田委員長 ありがとうございました。
木下委員、どうぞ。
○木下委員 ありがとうございます。
今、田宮先生のおっしゃったことに関連しているのですけれども、LIFEとこの文書の効率化というのは、一緒に比較したりとか、クロスで比較したりということは可能でしょうか。LIFEを効率的に活用しているようなところは文書もICT化が進んでいたりとか、あるいは、ICT化が全然進んでいないようなところは新しいデータベースも取り入れることができないということが想定されますが、そういった2つの調査を横並びで比較したりということが可能かどうかということについて、教えてください。
○川越委員 LIFEを導入しているかどうかを設問として追加するとしたら、その有無とのクロスをとることで、LIFE導入事業所と非導入事業所間の違いが少し確認できるかと思っております。
私は、LIFEというのは、各職種による個別のアセスメント情報を統合するための一つの切り口だと思っています。1人の利用者に対して多領域のデータが一元化されるにはまだまだ時間はかかると思いますが、導入がある程度進んだ段階で、もう一度、業務の効率化やサービスの質向上につながったかどうかの視点で、LIFEの効果を見ていく必要があるのではないかと思っております。
○木下委員 ありがとうございました。
○松田委員長 ありがとうございました。
LIFEの情報がいずれ一元化するだろうという話でありますが、藤野先生、何か御意見はございますでしょうか。
○藤野委員 すみません、今のところは大丈夫です。ありません。
○松田委員長 ありがとうございます。
今村先生、お願いします。
○今村委員 今のLIFEの調査項目を追加するときにお願いなのですけれども、前からLIFEをやっているところと、この4月からすごく苦労をして入れたところでは随分心証が違うと思うので、そこの峻別をつけられるように、ぜひ調べてもらえるとありがたいかなと思います。
以上です。
○松田委員長 ありがとうございます。
今のポイントはすごく大事だと思うのですけれども、LIFEは同じADLの項目に対して今は標準化できていないので、そういう意味では、もともと老健施設みたいにR4で取れているところと、今、今村先生が言われたみたいに、新たに追加的に取っているところでは負担が全然違うのだろうと思うので、そういう意味では、各介護施設が持っているいわゆる情報処理システムとの関連性が一番重要になってくるのかなと思うのです。長期的にはそこのところを標準化していかないといけないのかなと。診療報酬というのは、医療のほうでやっているどちらかというとレセコンに近いものなのかもしれないですけれども、電子カルテと同じ轍を踏まないようにしないといけないのだろうと思いますので、ちょっと大きな話になってしまうのですけれども、気をつけていただけたらと思います。
ほかはよろしいでしょうか。
福井委員、どうぞお願いします。
○福井委員 ありがとうございます。
ケアとかサービスの記録の電子化のソフトとか、スタッフの方が利用をいつから導入されているかという辺りも基本情報として聞いておいていただけると、いまだにファックスとかが主流になっているところもまだたくさんあると伺うので、その辺りも入れたらよりよいかと思いました。
○松田委員長 ありがとうございます。
では、川越先生、御検討をお願いいたします。
○川越委員 分かりました。
副委員長の井上先生がいらっしゃるので、補足はありますか。
○井上委員 いえ、大丈夫です。ありがとうございます。
○松田委員長 よろしいですか。
それでは、次に介護医療院のサービス提供実態について御質問があればお願いいたします。
井上委員、お願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
こちらは今回初めて退所者の方の細かいデータが出てくるということで、大変楽しみにしております。
1点確認をしながら今村委員長にお伺いしたいのですけれども、多くの場合、死亡という理由が多いかと思うのですが、ということは、その死亡されるまでの間にどういった医療が必要で、医療の必要度がどれくらいだったかということをしっかり調査してくださると理解をしています。
その結果を、今回は介護療養病床だったり介護医療院や介護療養型老人保健施設の中での比較だと理解をしているのですけれども、特別養護老人ホームでも同じような調査をずっと行っていまして、実はそこと比較すると、医療の必要度が高く医療処置が必要な方々が、きちんとここでみとりができているというようなことがデータとしても出てくるのではないのかなと思っているのです。
もちろん今回の調査との比較ではないので、今までの調査は参考値にしかならないのですけれども、その辺りについてのお考えがあればお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○松田委員長 今村先生、お願いします。
○今村委員 今村です。
介護医療院ができるまでは、その調査はやってきたのだと思います。特養とか医療療養とかでどれだけ退院される方に医療の濃度が違うかというのは明らかにしてきたという経緯があったと思います。
今、ここ2年ほどは、介護医療院が新しくできたので、そこで何が起こっているのかということに重点を置いているので、今回初めて退院される方がどんな人かということを調査できるということで、まだほかと比較できるレベルの数字が出るかどうかも分からないという状況だと思います。この介護医療院がほかの医療療養とかと肩を並べるようになってくると、それをちゃんと比較できるようになるのではないかと思いますので、今後はそれを考えていくべきかと思います。
○井上委員 ありがとうございます。
○松田委員長 田中委員、お願いします。
○田中委員 ありがとうございます。
介護医療院は、単なる医療機関でもなく、単なる介護施設でもなく、新しい類型で理念が伴っていますね。理念の中に、地域に貢献し地域に開かれたとなかなか格好いい言葉が入っています。介護医療院になった理由の中には、理念に共鳴したからと書かれていましたけれども、地域の住民が入ってくるでもいいし、地域側に出るでもいいのですが、実態として地域との連携に関するサービス内容の質問は含まれるのでしょうか。今、さっと見たところでは特に書いていなかったのですが、改定と関係がないから飛ばしてしまったということなのですか。いかがでしょうか。
○松田委員長 今村先生、お願いします。
○今村委員 今村です。
特に今回、地域への貢献という視点はあまり考えずに調査票を作っています。どんな患者さんがどこから来てどこへ行くのかということを調べることに重点を置いているので、今、地域貢献という観点はあまり入っていません。
どちらかというと、居住の場として本当に適切ですかということはかなり入れたと思うのですが、地域貢献のほうまでは、今回はあまりカバーできていないと思います。
○田中委員 居住、生活の場として言うと、施設の中に閉じ籠もるのではなく、地域にも開かれているあり方が介護医療院をつくるときの熱い議論の一部だったのです。機能の1つとして質問に加えていただくと、きっと江澤委員も納得していただけるのではないかと思うのです。
○今村委員 江澤委員からも、生活の場をつくるのにどれだけ苦労したかというのが分かるような調査票にしてくれというのは強く意見が出て、それの項目はかなり追加したのですけれども、どちらかというとどのような苦労をされていますかという調査になっていると思います。
○田中委員 可能ならば検討してください。ありがとうございます。
○今村委員 ありがとうございます。
○松田委員長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
田宮委員、お願いします。
○田宮委員 ありがとうございます。
本当に個別の調査が入るというのはとても重要だと思うのですが、関連して2点です。
1つは個別調査の対象者というのはどんなふうに選択されるか、書いてあったのかもしれませんが見つけられないので、各施設にどのようにサンプルするのか、ある期間、全員なのかとか、そこを教えていただきたい。
それから、退所者の中には死亡も含むのですよね。その場合、介護医療院というのは介護もしながら医療もして、そしてみとりもというところが入っていると思うのですが、みとりがどのように行われたかというのもできれば把握できたらと思うのですけれども、その辺がどこかに意識して入っておられるかどうかとか、その2点を教えていただけますでしょうか。
○今村委員 退所者については、まず全数です。対象期間を1週間であったり1か月にしたりして、その施設にとってそんなに過度な負担にならないように設定をしています。
○田宮委員 では、施設によって期間が違うわけですね。
○今村委員 そうです。施設種別によって違う。なので、介護医療院ならば1か月で5人ぐらいだろうということで設定されていて、医療療養とかだと1週間だったと思うので、そこで設定を変えて、客体が集まるようにはしています。
○田宮委員 全数は大事だと思います。
○今村委員 田宮先生が御指摘の死亡の特にみとりについては、調査票を作るときにもかなり議論がありまして、それについてはみとりのときにどのような工夫をされているかとか、どのようなバックグラウンドの下にやっているかという調査項目は入れております。
ただ、かねてから医療療養などのみとりもそうなのですが、医療機関でのみとりと介護施設でのみとりというのは随分違っていて、特にACPを遵守できるかどうかというと、入ってくる段階で本人との意思疎通が難しかったりして、なかなか準拠できないということで、医療でのみとりという概念で聞くしかないだろうということが専ら議論として行われました。ですので、先生が御指摘のところは注視して調査項目には入れているのですけれども、医療界の常識と介護界のみとりの考え方にちょっと差があるので、そこの部分がなかなか調査設計としては難しかったという状況であります。
○田宮委員 先生、すみません。今、個別調査票の26ページを拝見しているのですけれども、そのみとりの項目というのは調査票のどこになりますか。
○今村委員 個別調査票はみとりではなく、介護医療院の施設票とかのほうに。
○田宮委員 個別票の中にも死亡退院は当然入るわけですね。
○今村委員 退院の種別に死亡があるので。
○田宮委員 個別にあってもいいのかな。いろいろ議論されたということですけれども、何が行われたかは書いて。
○今村委員 どんな医療が行われたかは、死亡と死亡以外は比較できるように設計してあります。
○田宮委員 では、施設票のみとりのところはどこですか。
○今村委員 一番最後の問いだったと思います。9ページの問26、27辺りです。
○田宮委員 分かりました。
○松田委員長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
介護医療院の調査は本当に大事だと思いますので、これからも医療介護を使うところのかなり重要な政策になってくると思いますので、みとり等も含めて、ぜひよろしくお願いいたします。
続きまして、LIFEに関しまして御意見、御質問等はございますでしょうか。
これはかなりチャレンジングだと思うのですけれども、LIFEのデータを作っている介護訪問系の事業所、通所系の事業所みたいなところからフィードバック票を提出してもらって、それを居宅介護支援専門員のほうにお渡しして、それで活用を考える。多分そういう経験があるケアマネジャーさんがほとんどいない状況でこれをやることになるのだろうなと思うのです。この辺は多分いろいろ議論されたと思うのですけれども、いかがでしょうか。
藤野先生、いかがでしょうか。
○藤野委員 今、委員長が御指摘になったのはモデル調査のほうだと思いますが、かなり議論がありまして、LIFEを使ったから何かすぐによくなるみたいな魔法のようなことは起きないので、ここは具体的な利用方法というか、現場で何に使えるのかみたいなことを導入コンサル込みで見ていく必要があるのではないかということで、何度も修正した中で、こういったモデル調査ということになっています。
なので、当初は非常に大きな対象事業者数、たしか100事業所、100事業所みたいな計画があったのですが、そういうことではなくて、今回、担当事業者が伴走しながらLIFEをモデル活用するという調査項目にモデル調査のほうは修正しております。
○松田委員長 そのほうがいいだろうと思います。恐らくLIFEを活用しているどちらかというと通所系のところと、事前にいろいろとやっている老健施設とか、ある程度それに対応しているところをピックアップして、施設側のケアマネジャーさんでもいいと思うのですけれども、そこのケアマネジャーさんに入ってもらって、実際にそのデータをどのように活用するのかということをある程度分かっている人の中で回していかないと思うような結果が出てこないと思うので、そういう意味では、今、藤野先生が言われていた伴走型でやっていくというのが一番合理的なのだろうな、実現可能性があるのだろうなと思います。
ほか、いかがでしょうか。
恐らく川越先生が先ほどやっていく上で標準化していくのだろうという話をしていたのですけれども、今の感じだと、1つのADL項目に対して複数の見方が入ってしまっているという状況になって、それ自体が悪いことではないと思っているのですけれども、アセスメントとの連結をどう考えていくのかとか、LIFEだけではないですよね。要するに介護保険全体でいわゆる介護保険認定調査があって、アセスメントがあって、サービスの割りつけがあって、それでこれがどう変わっていくかということは、最終的には介護保険の認定調査のほうにも跳ね返ってくると思うのですけれども、その辺の連結というか、連動性が意識されるような方向に持っていくことが必要なのかなと思っていますので、取りまとめは藤野先生にしていただくとしても、この辺はずっと関わってきた川越先生、いかがですか。多分この中で一番介護保険をやっているのは、田中先生を除くと僕と川越先生なので、責任があると思うので。
○川越委員 LIFEというデータベースが構築されたときに、ケアマネジャーの方は、自分たちの業務にこれをどう生かせばよいのかがまだ整理されていない段階かと思います。
確かに、多職種のアセスメント情報がそろっている、同じ物差しで測られたものが用意されているというのは大事なことだとは思います。ただ、それ以前に、利用者が抱える課題に対するアセスメントでも、栄養士とリハ職の視点も項目も違います。おそらくケア職が見ているところも違う。お互いに関心を払っているところ、みているところが違うというところを、お互いが意外と確認していないといったことが現場では起こっている。まだまだ、同じゴールを見据えた協働ではなく、分業の世界になっているのだと思います。
本当の意味で、利用者のために何をするかというところと、そのために何が必要かを考えてから、誰が何をやるのかといった思考の展開をしていかないと、LIFEのようなデータがそろったとしても使いこなせないという事態になるのではないかと思っています。したがって、データがきちんと整備されていくという方向と、それらデータを利用者視点で活用していく考え方を学び実行できるようにするといった方向の両方をセットで整備していかないといけない。LIFEのようなルールが用意されたからといって、ツールが上手く活用できないままで終わってしまう。逆に、LIFEを導入したことで、かえって仕事の負担が増える可能性だって十分あり得るのではないかと思います。利用者が有する課題の解決に向けて、これらデータをどのように活用していけばよいかの視点でコーチングしながら、活用を一緒に学んでいくといったアプローチが必要ではないかといった指摘が委員会でもありましたし、私も実はそう思っています。
○松田委員長 そのようにしていかないといけないのだろうと思うのですけれども、あまりほかの国の話をしてもしようがないのですが、例えばフィンランドなんかだと訪問ケアを使っていて、結局、トリガーポイントが出てくるので、そのトリガーに対して各職種が何をやるか。いわゆるアセスメントから各職種のタスクにつながっていて、各職種がそのタスクに従って何をやるのかということを評価するという、いわゆるPDCAサイクルを回すような設計になっているのです。
今回のLIFEも、アセスメントみたいなものとうまくつながっていかないと、ケアマネジャーさんが何を目的としてこのサービスをやっているのか。各ケアワーカーの方が何を改善目標として何をやっているのかという、問題とプロセスとアウトカムの関係が見えてこなくなると、今回伴走型の調査をされるということなので、そこを少し意識できるようにして、将来的にそれが納得できると、皆さんが標準的な方向に動いてくれると思うのです。そんなふうにしていただけたらと思います。
藤野先生、どうぞ。
○藤野委員 委員長、川越先生、ありがとうございます。
川越先生が言われたように、道具というのと、もう一つは使い方という話で、今まで質の検証委員会でもう3周ぐらいしているイメージがあるのですが、道具の議論が多かったのです。その中で、松田先生が言われたように、PDCAというのがここ数年、大きなキーワードになってきていると思います。それを考えると、これも何度もこの委員会で申し上げているのですが、少し能力のある個人のケアマネさんがたまたま使うとか、介護職の方が使うというのは、これは決してPDCAではなくて、使うのであれば介護の現場の中である各種委員会や連携会議のどこで使うのか。もっと言うと、それがきちんと文書システムの中でちゃんと定義されているのか。いわゆるマネジメントシステムという使う方法と道具というのがある。アセスメントもそうなのですけれども、これがフィックスですということは未来永劫絶対に決まらないと思うのです。あくまで今回は初期値をつくって、PDCAを回していったときに、うちの施設でこういう目標を立てるには、こういう指標が足りない。では、次はこういう指標をLIFEで置きたい。そういう議論の場とセットにならないといけないと思っていますので、あまりテクニカルに、今回LIFEの指標がここで決まりますみたいな話ではないということをぜひ、これも未来永劫続く議論で、絶対にフィックスしない。PDCAを回すというのはそういうことですので、今までテクニカルに道具を作る話が長年多かったのですが、使う仕組みを意識しながらやるといいのかなと個人的には思っています。
以上です。
○松田委員長 ありがとうございました。
この議論は、個人的にはちょっとデジャビュなのです。何かというと、いわゆる要支援の人たちを対象にした地域包括支援センターで要支援の人たちのケアマネジメントという形で、いわゆるセンター方式というのが入って、ICFで細かく取って、いろいろなことをやってという話がかつてあったのです。今も細々と生き残っているのですけれども、結局あれは業務が過多になり過ぎたということと、なかなか視点がそろわなかったということで、実質的にはうまく回っていないという現状があって、道具を細かくやっていくと実務に役立たないものになってしまうので、そういう意味で、落としどころをうまく探っていただくような調査にしていただけたらいいのかなと思います。
研究のための調査みたいにしてしまうとうまくいかないと思うので、あくまで実務に役立たせる。要するに、実際にケアワーカーの方たちがこの仕組みを使って、自分たちの活動が改善していくというための手がかりになるような、そのくらいのレベルでやっていったほうが実質的だと思いますので、ぜひそういう形でやっていただけるようにしていただけたらと思います。
研究者としてあまりこんなことを言ってはいけないのかもしれないのですけれども、ぜひそういう形でやっていく。そういう意味で、今、藤野先生が言ってくれたとおりの手続をやっていただけたらと思います。
ほかに何か御意見はございますでしょうか。
井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
今の各委員の先生方のに関連するのですけれども、モデル調査の対象のところ、事業所を募集というふうに書いてあるのですが、今のお話を聞いていると、本人を中心としたいろいろなカンファレンスを一定程度やっていて、それに対してこのLIFEというものがあると冷静に話し合えるとか、職種ごとの違いの見方がより分かるようになるというような、モデル事業の限定性というのがあるのではないかと思うのですが、そこについての御意見があれば教えていただければと思います。
よろしくお願いします。
○松田委員長 藤野先生、いかがでしょうか。
○藤野委員 すみません、直接の御回答にならないかもしれませんが、このモデル調査をやる議論の前段階であったのが、もともとフィードバック票を返したら何か起きるのではないかみたいな話が最初にあったのです。そんなことは起きないという中で、これは当たり前なのですが、PDCAを回すという組織の明確な意識がある事業者でないと変革は起きない。なので、お薬の治験のようにLIFEを使わせた、使わせなかったとか、そんな話でないということから、このモデル調査の話になっている。なので、少なくとも今からこれを使って何かに活用したいという意思表示のある事業所を選ぶということになっています。
○松田委員長 ありがとうございます。実務的、プラズマティックだと思います。
田宮先生、どうぞ。
○田宮委員 ありがとうございます。
ちょっとお話には出ましたが、フィードバックのことをヒアリング調査の中で明らかに、具体的な活用シーンとか議論の内容とかを聞いていくということになっていて、ここはすごく重要だと思うのです。フィードバック票は厚労省のほうでもまだまだこれからというところもありますし、1回目のフィードバックはたしか全体の集計だけが施設に送られた感じですので、これからどのようなものを現場が期待していて、どのようなことをやったら役に立つかというのも、このヒアリングでぜひ双方向で聞き取って、よりいいフィードバックができるようにするという視点も、今あるものをどう活用するかよりも前に、フィードバック自体をどうするかというのも現場の声で聞き取れるようにしていきたいなと思っています。
お願いします。
○藤野委員 ありがとうございます。
アンケート調査に関しては、そのような形になっているかと思います。
フィードバック票をどう変えていくのかというのも、早い話が大きな変更の管理というPDCAの中の話ですので、そういった中で、まずリアルに現場で何が起きるのかとか、何に使えるのかみたいなものをまず我々自身が知ろうというのがこのアンケート調査の主目的になっているかと思います。ありがとうございます。
○松田委員長 ありがとうございます。
福井委員、どうぞ。
○福井委員 ありがとうございます。
今年度、モデル調査で訪問系のところをなさるということで、訪問系ですと施設と違って別組織というか別法人ですので、御議論があったように、職種によって見る視点とか情報も違うので、ぜひ使う仕組みを考えることが大事だということだったので、別組織、別法人がどのように連携していくかというところも、施設とは違う視点で、ありよう、在り方というところも聞いていただけたらいいのではないかと思いました。
○松田委員長 別組織のものをどうやってまとめるのか、これはなかなか難しいですね。
○福井委員 難しいとは思うのですけれども、入れる情報だけではなくて、それを別の一つ屋根ではないところで、どのように連携の場とか会議の場をもって共有して活用していけるのかという、そこが施設と訪問系とでは違う、訪問系のほうがより難しくなる可能性があると思いましたので、そこも聞いておかれるとまたいいのかなと思ったのです。
○松田委員長 それをやるためには、サービス担当者会議がちゃんと動いているところ、尾道の高山先生のところとかみたいにちゃんと担当者が常に集まっているというところであればそういうのを使う素地があると思うので、そういうところをうまく選択してもらったらいいのかなとは思います。
いかがでしょうか。
木下委員、どうぞ。
○木下委員 本質とは少しかけ離れた瑣末なお話なのですけれども、アンケート調査は全国で抽出して5,000か所ということなのですが、これは満遍なくこういった様々な施設を抽出するのかということと、もう一つの質問は、調査の目的のところに、リハビリテーションとか特に機能訓練や口腔・栄養等について特に注力して調べると書いてあるのですが、あまりそのような項目が多くあるようには見受けられないのですが、それは今後の課題と考えてもよろしいのでしょうか。
その2点について、お願いします。
○藤野委員 藤野です。
客体の抽出については、一応、満遍なく5,000。この5,000というのはかなり議論がございまして、疫学、統計学的にはこれくらいでいいだろうという何年も前からあるお話と、一方で、改定検証・研究委員会の調査というのは、何となくできるだけ悉皆がいいのかなと。どちらがいいのか私は分かりませんが、一応今回は合理的な、施設に無駄な負担をさせないという方針を重要視しまして、統計的に十分な結果が得られるだろうということで5,000としています。
リハビリテーションを中心にというような議論は特になかったように記憶しております。私のほうの記憶にございません。申し訳ございません。
○木下委員 5,000ということは、実際にはどれぐらいの事業所が取り入れていらっしゃるのかなと疑問に思いました。まだそんなには多く広がっていないということだったので、少しその点についてお尋ねしました。リハビリテーションに関してというのは、調査目的のところにLIFEを活用した取組(特にリハビリテーション・機能訓練等々)と書いてありましたので、そのように御質問させていただきました。特にここの辺りに注力していないということであれば、全く問題はございません。
○松田委員長 川越先生、どうぞ。
○川越委員 LIFEというのは、2016~2017年に、訪問リハ・通所リハ事業所の質の向上のために開発されたVISITとCHASEが一体になったのです。VISITでは、2018年の介護報酬改定でデータ提供に対する報酬がすでについています。一方、CHASEは、2019年くらいから検討が開始されて、今回、VISITと併せてLIFEに統合されたものです。CHASE関連のデータは実質2021年4月からですが、VISITは3年前からすでに導入済であり、利用者フィードバック票なども、一部事業所では活用されています。
ところが、本年4月にLIFEを導入した事業所というのはまだ活用できる段階にはありません。経時変化のデータもまだそろっていませんので。そのため、こうした事業所に具体的なことを聞いてもなかなか実態は分からないかと思います。そうであれば、VISITを活用している訪問・通所リハ事業所から、利用者フィードバックの活用実態とその効果などを詳しく聞いて、問題点を整理してはどうかという意見があったということかと思います。
補足でした。
○松田委員長 そのとおりだと思います。
結局VISIT、CHASEというようなものがベースになっている調査ですので、LIFEはそれを合わせたものなのです。
ほかはいかがでしょうか。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員 調査の集計のときに留意をお願いしたいことがあって、今、LIFEの使い方という高尚な議論なのですけれども、実際に昨年からの調査の中で一番問題なのは、介護の現場がネットにつなげないとか、コンピューターをどう使ったらいいか分からないというところで、かなりつまずいていたということがあります。ですから、今回たくさんの事業所が新たにLIFEに参加しているので、実際につなごうとしたらどんなことが問題になったかという、もっと原始的な問題の部分をクローズアップして、こういう問題を克服していかないと、評価につながるデータの収集とかができないということもぜひ集計の際には指摘していただくように考えていただきたいと思います。
集計のときに御考慮いただければと思います。
○松田委員長 ありがとうございます。
まさにそうですね。今、国がいろいろとやっているもので、つなげないというのが皆さん困っているみたいです。
ほかはいかがでしょうか。
堀田委員、どうぞ。
○堀田委員 ありがとうございます。
これはモデル事業に参加されるところでもいいかなと思うのですけれども、ひとまずこのLIFEが始まりますということで、それを活用してケアの質向上にということだと理解した上でなのですけれども、特に訪問系のサービスの方々から見て、ケアの質向上のためのPDCAサイクルをという目的を考えたときに、LIFEの枠組みだったりとか、中身そのものに対する御意見みたいなものも聞いていただける余地があるのであれば、聞いていただけるとありがたいなと思いました。
以上です。
○松田委員長 ありがとうございます。
田中先生は大学の会議があるので退室されていますけれども、LIFEのことは、介護事業者の方であってもあまりきちんと理解されていない。LIFEの目的は何なのかとか、中にはP for Pの仕組みだという形で、そっちに思い込んでしまっている方もいらっしゃるみたいなので、違うのですよという話をするのだけれども、そっちの思い込みが強い方もいらっしゃると思うので、確かにこのLIFEに関する方法をやらなければいけないなと思いました。
最初のところから今のものまでで、全体を通して御意見があればお願いいたします。
堀田先生、どうぞ。
○堀田委員 ありがとうございます。
事業(3)の文書負担軽減の部分で、今回の目的とはちょっと違うのかもしれないのですけれども、幾つか関連してということで申し上げられればと思います。
今、調査票でいくと、資料2の7ページ辺りに問16別表と並んでいるのですけれども、まず、それぞれの負担と考えたときに、ここに挙がっている様々な文書というのが、文書の種類によって管理者とか計画担当者みたいな特定の人が書かねばならない、あるいは書くことになっているはずのものと、全ての職員が書き得るものと、事務の方でも書いていただき得るものみたいなことがあると思うのです。その辺の負担感というところでいくと、実際はそれぞれの文書をどういう人が書いているのか、書かないといけないようなものになっているのか。もう一つ、さっきのLIFEの後半の話にも通じるのですけれども、それが負担に感じるというのが、例えばパソコン、デバイスがないというのと、システムにつながっているデバイスが限られているからとか、結構いろいろな要素が絡んでいると思うので、もし必要であれば、そういった視点も考慮していただければなと思いました。それが1つです。
もう一つ、今から申し上げることのほうが、負担軽減ということとはあまり関係がないということになるかもしれないのですけれども、今の別表の中に日報というのが入っていて、あるいは次の問18でも、個別のケア記録、日々記録についてということで聞いてくださっているのですが、そもそも例えば入所、通所、居住系などを考えると、日々の記録といっても、温度板があって、水分とか排せつの記録があって、それ以外にお話しになったこととか、もろもろのことを書くみたいな、いろいろな種類の記録するものがある。けれども、今回クラスターが発生した施設などでもお伺いしていると、実質的には記録のための記録になっていて、温度板は何となく体温がとか、気がついていたけれどもみたいなこともあったりするのです。なので、日々の記録というものが、本当に先ほどのLIFEの話にも通じるのですけれども、記録のための記録ではなくて、その記録をしたこと、それがバイタルであれ、あるいは日々の会話であれ、本当に自分たちのケアの質を高めるということに活用される記録になっているのかというようなことを、ヒアリングのほうでしか聞けないことかもしれないのですけれども、把握いただくことができればなと思いました。
その真意としては、書くだけになってしまっているもの。温度板とバイタルなどといろいろと書いているのだけれども、結局使われていなくて、保存が必要なものかどうかも分からないのだけれども、何種類もありますといって、ノートもあって、パソコンにも何か入っていますみたいな状態のところがまだまだあるのだろうなと思うので、その中でそもそも本当に記録のための記録ではなくて、質を高めるということのための記録の運用を図るためにはという問題意識をもし入れる余地があるのであれば、調査票というかヒアリングの中で何らか把握していただけるとありがたいなと思いました。
以上です。
○松田委員長 ありがとうございました。
川越委員、どうぞ。
○川越委員 御意見の趣旨は分かります。
ただ、記載する側の負担と、調査目的に沿って把握したいことのバランスの中で、今回どこまでやるのか、また、アンケートやヒアリングといったどちらの方法で実態把握をどの程度行うのかを考える必要があります。事業所によっては、記録をする人とそれらデータを入力する人が別であったり、1人1台端末があって1人で全部管理している場合があったりします。ケアマネジャーは後者の場合が多いかと思いますが、訪問系サービスだと個々のケアスタッフが手書きしたものを事務職が入力するなどの状況にあり、結果的に手書きが残らざるを得ないなど、いろいろなことが起こっているかと思います。ただ、このような多様な実態を網羅的に把握するというのは非常に大変な作業にもなりますし、個別性が高すぎるかと思っています。ご指摘の問題意識は持っておりますので、できるだけヒアリングのほうで可能な範囲で対応することを考えたいと思います。
○堀田委員 ありがとうございます。
○松田委員長 ありがとうございました。
診療報酬みたいに記録すべきもの、様式が決まっていて、それが決まるとベンダーさんが介護記録の仕組みの中にそれを取り込んでいってくれるので、そういう意味で、診療報酬と同じように、介護報酬のほうも定型的なものを決めていくというのがもしかしたら必要なのかもしれません。それがあればベンダーさんが対応してくれます。
ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
コロナ禍で本当に大変だとは思うのですけれども、よろしくお願いします。
それでは、今いただいた調査票等への指摘、意見等の反映につきましては、委員長のほうに一任とさせていただきます。
今後の流れにつきまして、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○新田介護保険データ分析室長 それでは、皆さんに御議論いただいた御指摘、御意見等を踏まえ、調査票の修正等、必要な対応をいたしたいと思います。そして、9月27日月曜日に予定している介護給付費分科会に報告し、そこで調査票の決定を目指して、進めていきたいと思います。
スケジュールに従えば、実際の調査は10月中には開始できると考えているところです。
それでは、ほかに御質問等がなければ、本日の議題はこれで終了といたします。
それでは、本日は閉会いたします。
お忙しいところ、ありがとうございました。
○松田委員長 ありがとうございました。