第146回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和3年10月22日(金)13:00~14:34

場所

全国都市会館

議題

  1. 1. 令和4年度診療報酬改定の基本方針について
  2. 2. 国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について
  3. 3. 後期高齢者医療の保険料賦課限度額について
  4. 4. オンライン資格確認等システムについて

議事

議事内容

○榊原課長 定刻になりましたので、ただいまより第146回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。
会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
次に、前回の医療保険部会開催以降、事務局に人事異動がありました。私より御紹介いたします。
保険局保険課長の江口でございます。
保険局医療介護連携政策課長の水谷でございます。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、石上委員、一瀬委員、井深委員、菅原委員、平井委員、本多委員より御欠席の御連絡をいただいております。
本日、記者の方には別室にて会議の模様を傍聴いただいています。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○榊原課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
石上委員の代理として村上参考人、平井委員の代理として蓬田参考人、本多委員の代理として井上参考人の3名の出席につき御承認賜ればと存じますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(委員首肯)
○田辺部会長 ありがとうございます。
なお、井上参考人は途中退席されるとの御連絡をいただいております。
それでは、議事のほうに入りたいと思います。
本日は、「令和4年度診療報酬改定の基本方針について」「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」「後期高齢者医療の保険料賦課限度額について」「オンライン資格確認等システムについて」、以上の4つを議題といたします。
では、初めに「令和4年度診療報酬改定の基本方針について」を議題といたします。事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。資料1「次期診療報酬改定に向けた基本認識、視点、方向性等について」の資料について御説明さしあげます。
1ページをお開きいただけますでしょうか。「改定に当たっての基本認識について」ということで、4つの項目を立ててございます。前回、9月22日の医療保険部会におきまして、この基本認識につきまして4つの例を掲げさせていただいて御議論いただきました。
そこでおおむねの方向については御理解をいただきつつ、いろいろな御指摘をいただきましたので、それを踏まえた形でこの4つの項目について、その関係性も含めて分かるように文章を下のほうに書き足すような形で改訂をしたのがこの基本認識の案ということになってございます。
1つ目の柱が「新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築など医療を取り巻く課題への対応」ということでございます。
全部読むと長いので簡潔に御説明させていただきますが、1つ目の○のところで、医療機能の分化・強化、連携、地域包括ケアシステムの推進、かかりつけ機能の充実、こうした取組を進めてまいりましたが、今般の新型コロナの感染拡大によりまして地域医療の様々な課題が浮き彫りになり、地域における医療機能の分化・強化、連携等の重要性が改めて認識をされた。
その上で2つ目の○でございますが、まずは足元のこのコロナ対応に引き続き全力を注いでいく。その上で、新興感染症等が発生した際に病院間など、医療機関間の役割分担や連携など、平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替えるなど、そうした体制を確保していく必要があるということで、今般の感染症対応により浮き彫りとなった課題にも対応するよう引き続き取組を進めていく必要があるといったことを最初の認識として掲げてございます。
2つ目が「健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現」ということで、1つ目の○は人生100年時代を迎えようとしております。2040年頃には団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となって高齢者人口がピークを迎えるとともに生産年齢人口が急激に減少していく。
こうした中で2つ目の○でございますが、健康寿命の延伸により高齢者をはじめとする意欲のある方々が役割を持ち、活躍のできる社会を実現するとともに「全世代型社会保障」を構築していくことが急務の課題。
こうした考え方で、これまで数次の改定を行ってきたところであり、このような視点は今回も引き継がれるべきものである。まさに、これまできた流れというのは引き継がれるべきものだということを2つ目の基本認識で述べてございます。
3つ目は、「患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」ということでございます。
1つ目の○で、可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう、患者が安心して医療を受けることができる体制を構築し、患者にとって身近で分かりやすい医療を実現していく。
そうした中で2つ目の○でございますが、医師等の働き方改革等について取組を進めていくということ。
それから3つ目の○でございますが、社会全体としてICT技術の進歩、デジタル基盤の整備が進んでいく中で、医療分野におけるICTの利活用をより一層進めるといったことを実現していく必要があるということ。
それから4つ目の○でございますが、今回のコロナでも医薬品の存在意義、あるいは創薬力の重要性が改めて注目されました。イノベーションの推進により、創薬力を維持・強化するとともに、革新的医薬品を含めたあらゆる医薬品を国民に安定的に供給し続けるということを述べてございます。
4つ目の基本認識が「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」でございます。国民皆保険を堅持するため、経済・財政との調和を図りつつ、より効率的・効果的な医療政策を実現する。具体的には骨太方針、あるいは成長戦略なども踏まえつつ対応していくといったことが書いてございます。
2ページからは、「改定の基本的視点について」ということでございます。前回、9月22日の医療保険部会では5つの例を出して御議論いただきました。
そのときに出した5つの項目が、新型コロナ対応をはじめとする新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築。
2つ目が、医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革。
3つ目が、医療機能の分化・強化、連携地域包括ケアシステム。
4つ目が、患者・国民にとって身近で、安心・安全で質の高い医療。
5つ目が、効率化・適正化等の視点でございました。
前回の御議論の中でこの1番目と3番目、つまりコロナで浮き彫りになった課題と、医療機能の分化・強化、連携というものは重なり合う部分も多いのではないかといった御指摘もいただきましたので、そこの部分をまとめる形で「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」を視点1として重点課題としてはどうかと考えてございます。
それから、視点2は先ほど前回2番目として掲げておりました「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」
それから、視点3と視点4は、前回4つ目、5つ目の例として掲げてございました「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」でございます。
それぞれについて御説明申し上げます。3ページにお進みいただけますでしょうか。「視点1 新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」でございます。
最初に、この視点の部分の考え方が書いてございます。簡潔に御説明しますと、1つ目の○で先ほどもありました地域医療の様々な課題が浮き彫りになる。
その中で2つ目の○ですけれども、おのおのの病院はその機能の応じた役割を果たしており、かかりつけ医を中心とした外来、在宅医療を含め、地域医療全体を視野に入れ、適切な役割分担の下、必要な医療を面として提供することの重要性が再認識された。
当面、コロナ対応に引き続き全力を尽くしていくことが重要でありますが、平時からの取組・感染拡大時の取組等について、あらかじめ地域の行政・医療関係者の間で議論・準備がなされていくことが必要であります。
4つ目の○では、これまでも様々な取組を進めてまいりました各地域における医療機能の分化・連携の取組は必要不可欠である。そうした中長期的な状況や見通しは変わっていないという中で、最後の○ですが、外来・入院・在宅を含めた地域全体での医療機能の分化・強化、連携は引き続き着実に進めることが必要としてございます。
【考えられる具体的方向性の例】ということでございます。
当面、継続的な対応が見込まれる新型コロナウイルス感染症への対応。
医療計画の見直しも念頭に、新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組。
医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価。
外来医療の機能分化等。
かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価。
質の高い在宅医療・訪問看護の確保。
地域包括ケアシステムの推進のための取組でございます。
4ページにお進みいただきます。「視点2 安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」、こちらも重点課題としてございます。
1つ目の○では、医療提供体制の改革について、地域医療構想、医師偏在対策、医師等の働き方改革等、そうした柱で取組を進めてまいりましたが、2つ目の○、2024年4月から医師について時間外労働の上限規制が適用されるということになってございます。
3つ目の○では、こうしたことについて地域医療介護総合確保基金ですとか診療報酬改定で取組を進めてきた経緯を書いてございます。
その上で4つ目の○になりますが、2024年4月に向けての準備期間も考慮いたしますと、実質的に最後の改定機会となるということも踏まえまして、この医師等の働き方改革等の推進について実効性ある取組を進めていく必要があるのではないかということであります。
【考えられる具体的方向性の例】といたしましては、医療従事者が高い専門性を発揮できる勤務環境の改善に向けての取組の評価ということでございまして、具体的には労務管理の話のほか、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療などを掲げてございます。
2つ目の○で、地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の確保。
3つ目が、業務の効率化に資するICTの利活用の推進でございます。
5ページにお進みいただきます。「視点3 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」でございます。
患者の安心・安全を確保しつつ、医療技術の進展、疾病構造の変化等を踏まえ、第三者による評価、アウトカム評価など客観的な評価を踏まえながらデジタル化への対応、イノベーションの推進、不妊治療の保険適用をはじめとしたそうした取組を進めて、患者にとって身近で分かりやすい医療を実現していくということでございます。
【考えられる具体的方向性の例】といたしまして1つ目の○でございますが、患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価や、革新的医薬品を含めた医薬品の安定供給の確保等。
2つ目でございますが、医療におけるICTの利活用・デジタル化への対応。
3つ目で、アウトカムにも着目した評価の推進。
4つ目で、重点的な対応が求められる分野について、国民の安心・安全を確保する観点からの適切な評価。この中で、不妊治療等も書いてございます。
それから、その後、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進。
最後に、薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価と書いてございます。
最後に6ページ、視点4でございますが、「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」でございます。
医療費が増大していくことが見込まれる中、国民皆保険を維持するため、制度の安定性・持続可能性を高める不断の取組が必要でございます。
医療関係者が共同して医療サービスの維持・向上を図るとともに、効率化・適正化を図ることが求められるとしてございます。
【考えられる具体的方向性の例】といたしまして、後発医薬品やバイオ後続品の使用促進。
費用対効果評価制度の活用。
市場実勢価格を踏まえた適正な評価等。
医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価、これは再掲でございます。
それから、外来医療の機能分化等、こちらも再掲でございます。
そして、重症化予防の取組の推進。
医薬品の適正使用の推進。
こうしたことを掲げてございます。
本日、これに沿って御議論いただきまして、そうした御指摘も踏まえながら、特にこの4つの基本的視点のところにつきましては本日いただいた御指摘も踏まえながらさらに加筆修正も踏まえまして、また次回御議論いただきたいと考えてございます。
私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、井上参考人よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。これまで会合におきまして発言をさせていただいた意見がかなり反映されておりまして、感謝申し上げます。
その上で、前回までの発言の繰り返しになる部分もございますけれども、何点か意見として申し上げたいと思います。
まず、視点1についてでございます。ここで今回のコロナウイルスを踏まえた課題ということで、「かかりつけ医を中心とした外来医療や在宅医療を含め、地域医療全体を視野に入れ、適切な役割分担の下、必要な医療を面として提供する」との記載があり、これは、非常に重要なことだと思います。
既に今回のこのコロナの下で地域の複数の医療機関が連携をして対応するといった新しいモデルも見られているようでございますので、そういう複数で実質的な連携によって医療を確保するものが今後、新しい医療モデルとしてより推進されるような評価の仕方というのも考えていただきたいと思います。
一方で、今回の感染症の関係では、診療報酬上の特例的な対応もかなりなされておりますので、今後その検証をしっかりしていただきたいと思います。
また、これに関連しまして、医療機能の分化・強化、連携ということが書かれておりますけれども、やはり地域の人口の動態等を鑑みて、今後はやはり一定の集約化というものも必要であると考えておりますので、この辺りについても御検討いただきたいと思います。
また、視点4につきまして、効率化・適正化のところでございますけれども、前回、薬剤に関連した事項が多いというふうに指摘をさせていただきましたが、ここに外来医療、入院医療とありますけれども、これに加えまして歯科あるいは調剤につきましても効率化・適正化の余地というのはあるのではないかと考えておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
また、薬価の評価につきましては、創薬力の強化でありますとかイノベーションということが基本認識や基本的な視点に入っておりますので、このことにつきましてはぜひこの方向で御検討いただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。私からは、何点か意見を述べさせていただきたいと思います。
1点目は、かかりつけ医についてでございます。まず、かかりつけ医の機能や仕組みを整理し、外来や在宅を含めた地域全体での医療機能の分化・役割分担を進めることが重要ではないでしょうか。
また、かかりつけ医には、地域における包括的な医療の担い手として、健康に関するアドバイスや予防医療を提供することが期待されております。国民がかかりつけ医を通してヘルスリテラシーを高め、軽微な疾病には自分で対応するというセルフメディケーションを進めていくべきだと思います。
セルフメディケーションは医師の働き方改革にもつながるのではないかと考えておりまして、軽微な疾病に対する医師の負担を減らし、より高度な治療が必要な疾病に集中できるよう環境を整えることで、医療資源の有効活用が図られるのではないかと考えます。
また、地域の薬局や薬剤師、登録販売者などを活用したセルフメディケーションの推進といった視点も重要だと考えます。
もう一点、6ページの視点4、後発医薬品の使用促進についてでございます。昨今の後発医薬品をめぐる問題につきまして、薬価取引単価が低く、急激な需要増加に対応できない、対応するのは難しい、需要増加に対応できる生産体制の構築が難しかったのではないかという声も聞いております。また、昨今のカントリーリスクの結果として、海外産原料の調達が困難となっているという状況も考え併せますと、医療費の適正化を後発品への過度なシフトや薬価低減にのみ頼るのは危険であり、後発医薬品の取引価格の適正化についても今後検討すべき段階にあると考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、次に佐野委員よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、前回私どもが申し上げた意見について、この基本認識をはじめ全体として反映をいただいております。このことについて、感謝を申し上げたいと思います。
そこで2点、意見を申し上げたいと思います。
まず、視点1の【考えられる具体的方向性の例】にあります、かかりつけ医機能の評価についてでございますけれども、やはり今後国民が身近で信頼できるかかりつけ医は非常に重要になっていると考えておりますので、そのためにはかかりつけ医の評価について患者目線で見て納得感が得られるような評価となるように御検討いただきたいと思います。
それから2点目は、「視点4 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」において、これは前回も申し上げたんですけれども、やはり限りある医療資源を有効活用するという観点から医療資源の重点配分という方向性も書き込んでいただくようにお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、次に林委員よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
2ページの「改定の基本的視点について」でございますが、視点1の新型コロナウイルス感染症に関すること並びに視点2の医師等の働き方改革の推進を重点課題として取り上げることには賛同いたします。
その上でこれまでも発言してまいりましたが、新興感染症、特にコロナウイルス感染症ではノースカロライナ大学などの研究で口腔内でのウイルス増殖の治験などが明らかとなっており、常に外科処置等を伴う歯科医療従事者としては感染拡大させないような特段の配慮を重ねてきておりまして、繰り返しになりますが、御理解いただきたいと思っております。
また、国民の意識も高まっておりまして、口腔内を定期的に清掃し、口腔健康管理を行うことで、誤嚥性肺炎等のリスクを軽減することも明らかとなってきております。
コロナ禍では当初、様々な混乱の下、受診控えなどが問題となりましたが、介護施設等を含む受療困難者の口腔の問題は依然ございまして、後回しになっているのではないかと懸念しております。ぜひ歯科訪問診療の充実にも念頭に置いた改定をお願いしたく、要望いたします。
また、歯科におきましてもやや遅れてはおりますが、厚労科学研究などで在宅現場等でのICT利活用の検証を行っております。好事例は取り上げていっていただきたく思っております。
加えて、歯科の補綴物の製作等におけるデジタル技術の応用など、ICTに関する新しい効果的な技術についての検討も含めて、事務局におかれましては進めていただきたいと考えております。
さらに、医師の働き方では、医科歯科連携の推進を進めることでその役割を推進できる部分が多いと考えておりますので、様々な点からの医科歯科連携の視点を御検討いただきたく、重ねて要望いたします。
私からは、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山でございます。
私のほうからも、資料1の視点1と視点2について3点意見を述べさせていただきます。
まず1点目は、スライド3ページ、視点1の「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」についてですが、これまでの新型コロナ対応でも明らかになりましたとおり、現状行われているようなぎりぎりの人員配置では非常時の対応ができないということがございました。
病床はいざとなれば臨時の確保も可能ですが、重症患者に対応できる医療従事者を急に確保することは難しいと思います。それぞれの病院が地域でどのような機能を担うべきかは今後の医療計画の中で議論されていくことと思いますが、重症患者にも対応できる医療従事者を平時からある程度、手厚く配置することも必要だと考えます。これが1点目です。
続いて2点目も同じく視点1についてですけれども、今般の新型コロナ対応に関しましては感染症に関する専門性の高い看護師が地域の医療機関や介護保険施設等と連携して、地域の感染対策に貢献してまいりました。こうした専門性の高い人材は大規模病院に集中していますので、それらの人材が小規模病院や介護老人保健施設、あるいは特別養護老人ホーム等とも連携して支援を行うことは大変重要です。
視点1の3つ目の○に記載されています「平時からの取組」がまさに重要で、この平時からの取組によって地域における感染対策の水準の向上、医療の質の向上を図ることが期待できますので、診療報酬でもこれを後押しする必要があるのではないかと考えます。
最後、3点目ですが、スライド4ページの視点2、「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」の中のタスク・シェアリング/タスク・シフティングについてですけれども、前回の当部会でも発言いたしましたとおり、タスク・シェアリング/タスク・シフティングを進めるためにも現在、各病院が採用に苦労しております看護補助者の確保、定着に寄与する措置が必要だと考えます。マンパワーの確保なしにタスク・シェアリング/タスク・シフティングは進みませんので、診療報酬においてもさらなる対応が必要だと思います。
以上3点、意見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
資料1でお示しいただいている案につきまして、特に重要と考えている点について意見を述べさせていただきます。
まず視点1につきましては、平時と緊急時のいずれにも対応できる効率的・効果的な医療提供体制を構築することは、案にお示しいただいているとおり、重点課題であると考えております。そのためには、地域医療構想の推進等により、地域全体での医療機能の分化・強化、連携を引き続き着実に進めていくことが必須であり、診療報酬によっても後押しをする必要があると考えております。
また、具体的方向性の一つとして既に中医協でも議論が行われておりますが、藤井委員、佐野委員がおっしゃったとおり、かかりつけ医が大きなポイントの一つであると考えております。
今回の新型コロナウイルス感染症をきっかけとして、かかりつけ医の重要性が広く国民の中で再認識されたものと思いますが、一方で、かかりつけ医の定義や在り方については十分な整理がなされていない状況であると考えております。医政局の方で議論される予定と聞いておりますが、そちらの議論の状況を踏まえ、連携しながら、かかりつけ医機能が果たされることによる患者のメリットを明確化し、それに見合った評価をしていくという方向性について、医療保険部会においてもしっかりと議論をしていく必要があると考えております。
また、視点4につきましては、重点課題とはされていないものの、我々保険者といたしましては引き続き重要な視点であると考えております。後発医薬品については、前回も意見を述べさせていただきましたとおり、全都道府県で80%以上という新たな目標の達成に向けた方針を明確に示していただくとともに、導入から10年以上が経過した体制加算の今後の在り方をはじめ、診療報酬における対応を検討していく必要があると考えております。
なお、診療報酬と直接関係する話ではございませんが、医療費適正化の観点では特定健診・特定保健指導の医療費適正化や健康増進の効果を実証した上で、さらに効果的な推進方策を打ち出していくことが重要であると考えておりますので、改めて述べさせていただきます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、森委員よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
前回発言しましたけれども、イノベーションの評価、それから医薬品の安定供給の確保を入れていただき、ありがとうございました。国民が革新的医薬品を含めたあらゆる医薬品に必要なときにアクセスできることで、安心・安全で質の高い医療が実現します。革新的な新薬などは特に開発当初、未知のリスクが考えられます。そうした薬を安全・安心に国民に使えるようにすることが薬剤師のイノベーションであり、しっかりと薬学的知見に基づく指導・管理に取り組んでいきます。
医薬品の安定供給のためには医薬品卸の機能も重要で、日本の医薬品卸は毛細血管型流通網を整備して、国内の隅々まで医薬品の品質を確保して迅速に供給する機能を有しています。医薬品の安定供給のためには、サプライチェーン全体の機能を強化することが求められ、今年の4月に初めての中間年改定が行われましたが、先ほど藤井委員のほうからも後発品メーカーへの影響というお話がありましたけれども、製薬企業、医療機関、薬局はもちろん、卸を含めた検証が必要だと思っております。
また、敷地内薬局についてはこれまで何回か発言させていただいておりますので、今回は改めて発言はいたしませんが、問題点については重々御理解いただいていることだと思います。敷地内薬局の公募に応じることのできる薬局を経営する法人の収益状況なども踏まえた見直しの方向性をよろしくお願いしたいと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上参考人よろしくお願いいたします。
○村上参考人 ありがとうございます。石上の代わりに出ております日本労働組合総連合会の村上でございます。
本日お示しいただきました改定の基本方針についての基本認識、そして基本的視点、ともに方向性としては理解した上で3点申し上げたいと思います。
1点は、地域包括ケアシステムの構築についてでございます。3ページの視点1の「具体的方向性の例」として掲げられてはおりますが、在宅医療、介護の需要はこれからますます高まっていく中で、24時間対応の医療や入院や在宅及び施設のサービスとの密接な連携体制の構築は道半ばでございます。これまで基本的認識や基本的視点に位置づけられてきたということを踏まえれば、介護サービスとの連携による在宅医療体制の構築も引き続き推進していくことが必要ではないかと思います。
もう一点は、6ページの視点4の「具体的方向性の例」の中に、先ほどもご発言がございましたが、後発医薬品やバイオ後続品の使用促進が掲げられております。後発薬の使用促進も重要とは考えますが、今回製造過程の問題が生じたことにより、使用促進に対する懸念や不安というものも一方で聞かれているところでございます。後発薬の使用促進というだけではなくて、品質確保ということについても併せて方向性として位置づける必要があるのではないかと考えます。
3点目は基本認識に関する部分がございますが、先ほど井上参考人からもご発言がございましたように、新型コロナウイルス感染症の拡大との関係では医薬品の存在意義と創薬力の重要性について触れられています。この点は、エッセンシャルワーカーの処遇改善や医療提供体制の構築ととともに、多くの国民が要望するところではないかと思います。このような認識で、ぜひ議論を進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菊池委員よろしくお願いいたします。
○菊池委員 ありがとうございます。今日はオンラインで失礼しております。
久々の発言なので緊張しますけれども、私は医療本体ではなく周辺部のことについて2点発言させていただきます。
1つは基本認識で全世代型社会保障の実現がうたわれておりますが、これは日本全体の社会保障制度改革の大きな理念ですけれども、今回の基本的視点になりますと、恐らく視点4に関わるのでしょうが、ちょっと見えなくなっている感がございます。今回、視点1及び視点2に重点課題を設定するということは十分理解できるところでありますが、やはりこの基本認識については取りまとめに当たってですけれども、総論部分ででも入れ込んでいただきたいというのが1点です。
もう一つは先ほど村上参考人がおっしゃられたこととちょっと関わりますけれども、医療提供体制の構築との関わりで地域医療との関連ですね。コロナ対応はもちろん直近では最重要ですけれども、地域包括ケアシステムの推進というのも政策的な大きな流れがある。ひいては、最近は地域包括ケアと地域共生社会の融合といったものが図られようとしていると思います。介護、福祉、困窮、その他の分野とも関わってくるわけです。
視点1に地域包括ケアシステムの推進のための取組が入っていますし、かかりつけ医の機能評価も入っているところですが、地域包括ケア、さらにできれば地域共生社会といった視点も取りまとめに向けて少し入れ込んでいただきたいと思います。やはりこれからは地域を基盤とした制度間の横の連携というものが非常に重要になってきますので、その点を御留意いただければということでございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、次に袖井委員よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
私は途中から入ったので、これまでの議論と重なってしまうかもしれませんし、ちょっとその辺のところが気になるのですが、3点ばかり申し上げたいと思います。
1つは、視点の3とか4で評価ということが何度も出てきているのですが、日本では政策評価というのが非常に貧弱なんですね。だから、ここで評価する、評価すると書いてありますが、具体的にどうするのか。どのような評価のシステムをつくるのか、どこが評価するのか、つまり評価の主体ですね。そういうことを明確にしないと、やります、やりますと言っても具体的にどうなのかということが分からないので、もうちょっと詳しく書いたほうがいいのではないか。本当にこの問題だけではなくて、あらゆる政策評価というのが日本では欠けているので、この辺も具体化していただきたい。
2番目としては1ページ目のところですけれども、安心・安全の医療を提供するというところの4番目の○で、医療と経済の発展と書かれていることに私は違和感を覚えます。命かお金かと言ったらやはり命のほうが大切だと思うんです。だから、この辺の表現をもう少し考えられないか。医療の発展や医療の安定供給というのが第一で、もちろんお金がなければうまくいかないのですが、その辺の表現を考えていただきたい。
3番目に医師の働き方ですが、労働の場、あるいは職場の観点ばかりが取り上げられていますが、やはりワーク・ライフ・バランスというか、働く人の生活を重視すべきです。ワーク・ライフ・バランスの確立、あるいは仕事と家庭の両立ということをちゃんと入れてほしい。
そして、その上でワーク・ライフ・バランスが実現されるような多様な働き方や柔軟な働き方を考える必要がある。現在のような過酷な働き方ですと、本当に女性、特に子育て中の女医さんなどはとても不可能です。実際に医師の資格を持っていながら働いていないとか、パートになってしまったとか、そういう方も女性の中にはいらっしやいます。だから、職場の面からだけではなくて家庭生活との両立という面もぜひ考慮していただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。日本慢性期医療協会の池端です。病院団体を代表するという形で少し発言をさせていただきたいと思います。
まず、改定の基本的視点1から4についてはおおむね賛同させていただきます。特に視点1、2に関して重点課題ということは私も同感ですので、ぜひ集中的に対応していただければと思っています。
その中で、特に視点1についてですが、ここにありますように新型コロナウイルス感染症にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制ということがうたわれていますが、一方で1ページ目の基本認識の中に、平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替える。これが、今回のコロナ禍でなかなかできなかったという反省点があるかと思います。
その原因は幾つかあるとは思いますけれども、特に先ほど秋山委員もおっしゃったように、この場所というか、病棟、病室は何とか確保できても、そこにある医療従事者等の確保が急に湧いて出てくるものではないので、そこがやはり難しい。
それはなぜかというと、これまで何回かの最近の診療報酬改定のやり方を見ますと、実態調査を行って、そこで収支が少しでも出れば、そこを削るというやり方で何とか残余を見つけてはやり繰りをしていた中で、本当にぎりぎりの経営を強いられている。これは、官民かかわらずということになります。
そこで、本当に余裕がない。急性期も含めて余裕がない医療提供体制を強いられた中で、急にこういう新型コロナウイルス等々の特別なものに対して対応することが難しかったことは皆さんもある程度御理解いただけるのではないかと思います。それについて、どこまである程度余裕を持ったところが必要か。この新興感染症等については、ここの部分だけはそれを見た余裕の部分だということがもう少し明確に示せるような形でやっていかないと、これまでどおりの議論の進め方をするとまたそこで結局逼迫した状態が続いてしまって、なかなか対応できないということがあるので、この医療従事者に対して平時と緊急時にどう切り替えるか。
もちろん、一方で持続可能性ということを考えれば、むやみに点数をつけるわけにはいかないということは重々了解していますが、ここは少し知恵を絞って一定程度の新たなものを見つけなければいけないのではないかということがあるので、意見として言わせていただきます。
それからもう一点、コロナウイルス感染症等も含めてですけれども、感染対策というのは診療報酬上、加算の1、2というのが既にできていますが、ここがまだまだ取れているところが少ない。取っているところはある程度やっているだろうけれども、取っていないところは感染対策をしなくていいのか、あるいはコロナを受け入れているところだけ感染対策をすればいいのか。そうではなくて、最終的には全ての医療機関がしっかりした対策が必要だということは今回十分理解できたかと思いますので、そこについてさらなる裾野を広げるための対応、診療報酬上の何らかのインセンティブ等、あるいは少し基準を緩めた形で1、2、あるいは3、4というような形で裾野を広げる工夫も必要ではないかということで意見として言わせていただきます。
最後にかかりつけ医の定義ですけれども、これは中医協でも議論にありましたが、かかりつけ医の定義としては今のところ日本医師会、4病協が出している一つの指針が出ているかと思います。もちろん、枠をある程度定義を決めることはいいですけれども、がっちりはめてしまってそれを割り当てる。人頭割みたいな感じで割り当ててしまうと、それは硬直化してしまった非常に切磋琢磨できないかかりつけ医制度になってしまうので、そこら辺は世界に冠たる日本の医療保険制度体制のいいところで、フリーアクセスということを担保していること、ここによって本当に良質なかかりつけ医が淘汰されずにしっかりと生き残っていく。そういうシステムをつくって、そういうかかりつけ医が残っていく。そして、それが地域に根差していくという体制ができるような少し先を見た体制も必要ではないか。そういう考え方が必要ではないかということで、意見として言わせていただきました。
以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。前回申し上げたことも含んでいただいてありがたく思っているところです。
全体を通じて、または第2項目に挙げてあることと深く関わるのですが、地域医療の確保ということはすごく重視していただきたいと思っています。救急医療はもちろんなのですけれども、全国を見ますと過疎地、僻地、離島など、ある意味で医療の提供に非常に御苦労なさっている地域があります。そういったところに医療アクセスができないと定住もままならなくなりますし、命と財産を守るのが政治の使命ということでありますし、まさに今、総選挙中ですけれども、その要になるところが地域医療の確保だと思いますので、こういったことへの配慮がとても必要だろうと思っています。
もう一点、あえて付け加えるならば、診療報酬の点数にいきなり及ぶというのは難しいのかもしれませんが、今後の社会情勢を見ていくと、デジタル化、Society 5.0への対応やアクセス、その成就へのルートをやはり平坦につなげていかなければいけないなと思っています。この10月20日からマイナンバーによる健康保険証の代用といいますか、認証が可能になってきているわけですが、利用率とかはまだまだこれからですし、マイナンバーカードの交付率もまだ不十分ですし、カードリーダー普及もまだ1割もいっていないというような状況の報告があったりしていますから、ぜひこういったことのアクセスが広がるようなこともしていかなければいけないと思います。
そしてまた、健康や医療は一人一人の意識と努力がとても大切ですけれども、マイナンバーカードを使っての端末活用、あるいはほかの端末を使った自己管理、そして医療や薬剤等を受けるときの適切な安全と有効な活用の仕方、など将来は全てマイナンバーカードで連携されて、可能になっていくはずです。そういったことを見据えながら、こういった診療報酬におきましても全体がうまくなるような工夫ということもぜひ取り入れていただくことが日本社会としてのよりよいデジタル社会の実現に資すると思いますので、そういった大所高所からの勘案といいますか、配慮もぜひ欲しいと思ったところでございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、松原委員よろしくお願いいたします。
○松原委員 日本医師会の松原でございます。
先ほどお話がありましたように、かかりつけ医については十分議論しなければならないと思っています。その中で、かかりつけ医機能とはどんなものなのか。これは様々な要素がございます。例えば、ワクチンを打つのもかかりつけ医の仕事でありますし、健診をするのもかかりつけ医の仕事の一つであります。
日本のかかりつけ医はインフルエンザのワクチンもこれまで打っていたわけであります。その機能を使うと当初コロナのワクチンがなかなか来なくて、みんな首を長くして待って手ぐすねを引いていたわけですけれども、一旦ワクチンが来たら世界がびっくりするほどのスピードでワクチンが打てる仕組みが日本の国にはあるわけであります。
なぜ日本はあんなに簡単にワクチンを皆さんに打てるんだというような質問を、世界医師会のメンバーからよく聞きます。日本にそういう方法があって、制度は大変よいと思うのです。このかかりつけ医の定義は大変難しゅうございます。かかりつけ医機能自体がばらばらであり、眼科や耳鼻科の先生が行っているようなかかりつけ医機能、整形外科の先生が行っているかかりつけ医の機能もあります。かかりつけ医機能を持っている先生方がかかりつけ医なのであります。
そういった面で、これを法的に制度化するのは無理であります。これを無理に制度化しますと、先ほどの意見にもありましたように、がちがちのものをつくれば結局は患者さんに迷惑がかかる話であります。一つの機能だけではなくて、いろいろな機能が合わさっていろんなことをその方に合わせて対応しているというのが日本の国の医療の特色であります。そういったことを十分御理解いただき、制度を作って、がちがちのものにするのではなくて、むしろその機能をもっと充実させることが大切です。
例えば、今回コロナのワクチンを打つのでも、インフルエンザで一回診ていた方はアレルギー歴も分かっていますし、家族歴も分かっていますし、既往歴も分かっていますので、大変楽です。だからこそ、目いっぱい医療機関が頑張れば世界のスピードを追い抜けるだけの力があるわけであります。
ワクチンを打つことと同様なのですが、特定健診などもなるべくその地域の医者で受けていただければ、初診対面してどのような方なのか、どのような病気があるのか、御家族がどういう状態なのか、あるいは薬のアレルギーはあるのか、ないのか。そういったことまで把握できますので、ぜひ特定健診を充実させていただいて地域で受けるようにしていただきたいと思います。
以前は住民健診といって地域で受けるのがほとんどだったのですが、そういったことが受けられなくなっている人もございます。また、働いている方々も引退すれば地域に戻るわけでありますので、ぜひ働いている人の定期健診も地域で受けるようにしていただければ、今回のワクチンはさらに簡単に進んだのではないかと思って見ているところであります。そういったかかりつけ医機能を充実させることが大事なのであって、制度化することが一番いい方法だと主張されている方々はいらっしゃいますけれども、それは間違いだと思います。
2番目に、オンライン診療でございます。コロナのときも非接触性で、しかも来ていただかなくても診られるというのは完全に緊急時の対応でありまして、見ただけで分かる病気もありますが、それでは十分なことができない病気の方が多いです。検査も必要なこともございます。そういったことも含めれば、オンラインだけで全てに対応するというのは無理であります。むしろ、普段から診させていただいていて、その方の状況が分かって、そして何においても相談に乗れるような状況をつくっていくということをきちんとすれば、こんな感染症がきたときでもまさに電話一本で対応できるわけであります。
そういったことも含めて、オンライン診療は大変役に立ちますが、これは初診から、つまり、新患からは絶対に無理でありますので、そこのところを十分に考えていただき、地域でかかりつけ医の先生を持っていただくことによって対応できるということが今回非常によく分かったことでありますので、御協力いただきたいと思います。
3番目は、現在薬がなくて困っています。出そうにも卸業者さんから入ってこない。この原因は、その製造過程において問題があったので後発医薬品の供給が止まったためです。後発医薬品も精度が高くなり、20、30年前と状況が変わっております。しかし、そのような適切でないようなところがあるということが明らかとなりますと困惑します。20、30年前の後発品については安かろう悪かろうというような感じを受けることも多々ございました。厚生労働省さんにおかれましては適切に指導していただくことが大事だと思います。現在、突然薬がなくなっております。
もう一点は、諸外国にあまり製造を頼みますと、日本に原末を入れて固めただけで出していると確かに安くつきますけれども、何かあったときには今回のように輸入が止まってしまう。マスクのときと同じであります。そうしますと、基本的な患者さんの命を守るのに絶対的に必要な医薬品が足りなくなります。また、海外で発がん物質が混じっていて突然製造を中止されるようなこともございます。そういったことのなきように、何度も言っておりますけれども、日本にはしっかりとした基本的な薬品をつくる会社が多々ございますので、さらに完全な薬品を国内でつくっていただくことが大事だと思います。特に抗生物質や循環器の基礎薬品については決して供給が止まることのないように、政府の責任としてやっていただきたく思います。安かろう、つまり財政的に安いほうがいいというのは分かりますが、それだけでは国民の命は守れないということであります。
最後に、今、働き方改革が話題になっております。私も勤務医をしていたときに思ったのは、なぜこんなに事務処理の仕事が多いのかでした。若い医師は勉強して、そしてその症例、つまり患者さんに当たったときに、とことんその方についていろんなものを調べた上で一番いい医療をしたいと思っています。そして、そういった経験を積むことによってよい医者になり、また将来において患者さんを救うことができるので一生懸命勉強し、他の職種で働いている方々に比べたら大変長く時間を病院で過ごします。
しかし、その中で事務的な処理、つまり簡単に言えば、医師でなくてもできる仕事が多々ございます。クラーク、つまり医療事務者をつけていただくという制度が始まり、少しづつ充実しておりますが、まだまだ十分ではありません。つまり、患者さんのために、調べよう、新たな手法はないかということを考えようと思っていても、とにかく事務的処理に追われているというのが実際のところであります。そういったことに対してぜひ手厚くし、単純な労働時間ではなくて、その医師が育つのに必要な時間というものを別に考えていただき、そして同時に事務的なことについては専門職種に事務を任せていくことが、これからも大変必要なことではないかと思っているところであります。
もう一点は、前回からいろいろと議論しているところですけれども、大病院にかかるときにかかりつけ医の先生から紹介状を持ってきてくださる。そうすると、大病院の先生は大変時間も手間も省けますし、いろいろな検査も二重、三重にならずに済みます。これにつきましては現在、選定療養の制度で対応しているやり方というのはかなりいい方法だと思いますので、充実していくことは賛成であります。
しかし、全ての病院にこれを当てはめるのは無理であります。そこのところはまたこの審議会で十分に議論をさせていただきながら進めていきたいと思っているところであります。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
私は高齢市民ですが、この間のコロナのことなどを見ながら感じたことですけれども、皆さんから大体出ていることですが、医療の安心・安全ということで医師の偏在という言葉が使われていますけれども、どうしても疑問に残るのが医師、看護師等医療従事者の数が適正なのかどうかということです。
例えば働き方の点で、救急医療などの先生方は残業時間が年間1800時間くらいまで認められるような在り方が本当にいいのかどうかですね。私は、やはり通常の8時間労働プラス若干のアルファくらいで平時そういうことがやっていけるような改正があって、初めてコロナ禍のような場合、緊急対応ができるような形になるのではないか。その辺が十分確保されていなかったので、今回大変医療が逼迫する事態が生じたのではないかという思いがあります。
それから、この部会で直接関わることではないのかもしれませんけれども、やはり市民から見て感染症、それも症状が現れていない人でも感染する。こういった状況の中で、確かにワクチンの効果というのは後から見て相当大きかったんだとは思いますけれども、今年の第4次の緊急事態宣言時の急激な感染者の増加等を考えると、あるいはまたこの1年数か月かかっている状況を見ますと、やはり検査の問題がもっと充実しないと、こういった事態に対応できないのではないかと思います。その辺がきちんとすれば、また医療体制の面でももう少し余裕をもって臨めるのではないか。こういったことが診療報酬にどう組み込むことができるのか分からない点もあるのですけれども、そのように思いました。
それから、先ほどの医療体制の問題ですけれども、私自身は高齢者の団体で様々な活動をやっておりますが、やはり多人数集まった事業の中で年2、3回くらいは救急車を呼ぶようなけが人とか病人が出ることがあるわけですけれども、やはりこの数年見ていて感じることは、救急車が来ても受入先が決まらないというのはコロナの前から生じていた事態だったように思います。
私は調布市ですので、大都市近郊のところということで地方とはまた違う面もあるのかもしれませんけれども、大都市近郊ではそういった形でもう既に3年以上も前から救急車が来ても受入先が決まるまで1時間くらいその場にとどまって連絡を取っているということをしばしば見ているわけです。そういった点でも、先ほど申し上げた医療の体制、医師や看護師等の数の問題、それから働き方の改革ということで、それが組み込まれるような診療報酬体制を考えていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、本議題についてはこれまでとさせていただきたいと思います。
次に、「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」及び「後期高齢者医療の保険料賦課限度額について」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○森田課長 国民健康保険課長です。よろしくお願いします。
まず、資料2を御覧ください。国民健康保険の保険料、あるいは保険税の賦課限度額でございますけれども、例年この時期に来年度の限度額の案をこの医療保険部会に御説明をさせていただきまして、意見を賜った上で政府として決定していくという形で進めさせていただいているものでございます。
資料の1ページ目ですけれども、ここでは平成12年度以降の限度額の推移を挙げさせていただいております。平成12年度、介護保険法が施行された年ですので、このときはプラス7万円となっておりますけれども、この前も含めて基本的には最大でプラス4万円、ここ10年くらいでは4万円ないし3万円、上限を引き上げてきているという状況でございます。今年度、令和3年度につきましては昨年の11月の部会で御説明させていただきましたけれども、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえまして据え置いたというような経緯がございます。
2ページ目ですけれども、近年の引上げの根拠といたしましては平成25年の国民会議の報告書、あるいはそれに基づく法律の規定に基づきまして議論をしてきているという状況でございます。
3ページ目をお願いいたします。賦課限度額見直しの考え方ですけれども、3つ目の○にありますが、医療給付費等が増加する一方で被保険者の所得が十分に延びない状況の中におきまして、限度額を引き上げないということにしますと高所得層の負担が変わらない中で中間所得層の負担が重くなるという状況になります。下のイメージ図の真ん中のイメージでございます。
こういう状況にならないようにするためということで、保険料の負担の上限を引き上げて高所得層にも少し多く負担をいただいた上で中間所得層の保険料に配慮するような形という考え方の下で限度額の見直しを行ってきているところでございます。この件につきましては、国民健康保険の様々な課題を協議いたします事務レベルワーキンググループがございまして、今回も議論した上でこの案を提示しておりますけれども、その中からは低中所得層の多い市町村におきましては相対的に所得の低い世帯で賦課限度額に到達することもあるので、市町村の意見も踏まえて判断してもらいたいということを常々御指摘いただいております。
こういったことを踏まえまして4ページですけれども、令和4年度の国民健康保険料、あるいは保険税の賦課限度額の在り方の案を整理させていただきました。
1つ目の○にありますとおり、被用者保険におけるルール等のバランスを考慮してこれまで見直しをしてきておりまして、被用者保険におきましては最高等級の標準報酬月額に該当する被保険者の割合が0.5%から1.5%の間となるようにということで法律で定められております。令和4年度ですけれども、限度額の超過世帯割合が1.5%台となるようにというふうに整理いたしまして、全体として「3万円」引き上げることとしてはどうかと考えております。これは基礎賦課分、後期高齢者支援金賦課分、介護納付金賦課分とございますけれども、それぞれのバランスを考慮しまして基礎賦課分を2万円、後期高齢者支援金賦課分を1万円引き上げることとしてはどうかというふうに整理をしております。
下のほうに表を幾つかつけておりますけれども、右の上から2つ目の表を御覧いただきますと、引き上げない場合というのが引上げ前、R4というところですが、一番右の合計の欄で引き上げないと1.68%が賦課限度額に達するということになりますけれども、これを引き上げることによりまして1.58%となるということになります。
一番下の表ですけれども、年収400万の世帯と限度額該当世帯で比較をしておりますが、引き上げない場合には当然賦課限度額該当世帯はプラスマイナスゼロですけれども、引き上げることによりまして限度額該当世帯もプラス3%御負担を上げていただく。これによりまして、中間所得層の伸び率が抑えられると考えております。
説明は以上になります。よろしくお願いします。
○本後課長 続きまして、後期高齢者医療の関係でございます。高齢者医療課長でございます。
後期高齢者医療につきましては2年に1度の改定でございます。資料の3でございます。
1ページ目は先ほどの国民健康保険の資料と同じでございます。趣旨といたしまして、高齢化の進展などにより医療給付費が増加する中で保険料の負担の上限を引き上げるということで、高所得層にはより多く負担をいただくことになりますけれども、中間所得層の被保険者に配慮した保険料設定が可能となるということでございます。
2ページ目は今までの経緯でございます。表の中の一番上がこれまでの後期高齢者の賦課限度額の推移です。制度が発足いたしました平成20年度は、50万円でございました。現在、令和3年度は64万円となっております。
この点につきまして、次の3ページ目ですけれども、来年度からの賦課限度額につきましてどうするかということでございます。これは、見直しのときのこれまでの考え方に沿いまして、令和元年度から令和3年度の国民健康保険の賦課限度額の引上げ幅が80万円から82万円に引き上げられていることを踏まえながら、かつ賦課限度額を超える被保険者の割合が大きく変化しないように限度額を見直してはどうかということでございます。こういった考え方に従いまして、賦課限度額を2万円引き上げて、64万円から66万円にしてはどうかと考えてございます。
なお、賦課限度額を超過する被保険者の割合につきましては、右側の真ん中、少し下に表がございます。64万円に据え置いた場合には1.36%ということで、現在より一定程度多くなってしまうということになります。
一方で、66万円に引き上げた場合には1.29%ということで、現在とほぼ水準が変わらないということになりますので、2万円引き上げて66万円としたいということでございます。
説明は、以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、前葉委員よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
では、私のほうからは国保について資料2で御説明をいただいたことについてお話をさせていただきたいと思います。
令和3年度は据置きでございましたが、4年度については国保保険料の賦課限度額でございますが、プラス3万円という数字を示していただきました。資料で今、御説明くださったように、限度額に達する世帯を1.5%に近づけていくということ、これまでの国と地方の間の協議を踏まえますと、このプラス3万円というのは一つの着地点であろうかと考えております。
なお、これまでこの賦課限度額の議論につきましては、地域における様々な差異についてお話がございました。保険料率、あるいは財政状況、そして保険者によって様々な意見がございます。
例えば、少し森田課長が説明の中で触れていただきましたが、多人数世帯、すなわちお子さんが多い世帯ですね。所得600万円程度でこの限度額に達するという世帯もございまして、こうした世帯についてはこの3万円の増というのはちょっと厳しいなという声も一部にございます。
しかしながら、全体としては厚生労働省におかれて今後引き続き国保基盤強化協議会の事務レベルワーキングで御議論を継続していただいて、最終的には全国市長会との間で御協議のほどをよろしくお願いしたい。基本的な方向としては賛成でございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
私のほうから、資料3の後期高齢者医療の保険料賦課限度額についてコメントいたします。
今回の賦課限度額の引上げについては、特に異論はございません。
ただ、これは高齢者の中において高所得層と中間所得層の保険料負担のバランスを見直すものであるということだと思います。無論これ自体必要なことではありますけれども、いわゆる増え続ける後期高齢者の医療費について、高齢者と現役世代の負担と給付のアンバランスの是正が必要だと思っております。
そういう意味で、本日の資料には入っていませんが、たしか以前出された資料の中で、後期高齢者の1人当たりの保険料の額は保険料軽減措置の影響もあるとは思うんですけれども、令和元年度において制度創設時には平成20年度と比べますと、後期高齢者の1人当たり保険料額は1.1倍だったのですが、一方、現役世代の1人当たりの支援金保険料相当額は1.9倍ということで大きな差が出ております。
そういう意味で、後期高齢者の給付費のうち公費負担分を除いた部分については、基本的に後期高齢者と現役世代で負担を分かち合う制度となっているんですけれども、その比率を決める後期高齢者の負担率の在り方については世代間の公平性を確保するという観点からも見直すべきだと考えておりますので、後期高齢者の医療制度のさらなる見直しについて早急に検討を開始していただきたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
私からも、議題3の後期高齢者医療の保険料賦課限度額について意見を述べさせていただきます。
今回の賦課限度額につきましては、異論はございません。そして、ただいまの佐野委員の意見と少し重なりますが、後期高齢者に係る医療保険制度につきましては、現役世代の負担を軽減しつつ、制度の持続可能性を確保していくために、後期高齢者の窓口負担割合について、将来的には一般区分を全て2割負担とすることを視野に、2割負担導入後の実施状況も検証しつつ、継続して議論することが必要であると考えております。
併せまして、今後急激な現役世代の減少と高齢者の増加が見込まれている中で、現役世代と後期高齢者の保険料負担の考え方の見直しや、現役並み所得者の給付費に係る公費負担についても検討していくべきであると考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、横尾委員よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
説明いただいた国保の資料の4ページ、並びに後期高齢者医療の3ページに共通している部分がございますけれども、ここにありますように中間所得層への負担に配慮して今回改めて見直すという案になっていることは理解できるところです。これらの制度は、ほかの医療のことも含めてですが、社会保障制度としては持続可能性をしっかりと担保しながらやっていくのが極めて重要な局面だと思いますので、こういった対応はやむを得ないかなという認識を持っております。
その上で思うことは、政府において政府広報などで、今の説明にもありました中間所得層への配慮などを中心とした理念、考え方の大切な部分、そして持続可能性をちゃんと担保していくなどについて、ぜひ広報で丁寧に国民の皆さんに届くようにしていただきたいと思います。そうしないと、保険料が上げる、上げない、できれば少ないほうがいいだけというような議論になってしまってもかえって混乱するのかなと感じます。
また、そのときに少し加味していただきたいのが、両方のグラフに書いてあります7割、5割、2割という軽減の配慮のことです。このことはかなり効いていまして、結構な人数の方が恩恵を受けていらっしゃると思います。このことに関しても、ちゃんとこういう配慮もしていますよと、制度の仕組みとしてされていることもお伝えいただくことが大事ではないかと感じておりますので、併せて厚生労働省並びに政府に配慮をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、松原委員よろしくお願いいたします。
○松原委員 保険の根幹に関わる話ですので、適切に議論していかねばならないことだと思っておりますが、まず日本国の保険制度では働いて元気な人、または大企業を中心とした大変お元気な方が多い集団と、病気をして地域に戻り、地域で暮らされている方、または中小企業の方、様々な方がいらっしゃる中で、それぞれにおいて対応しながらやっています。
後期高齢者の支援とは、引退して年金生活になられたお年寄りに対してはみんなで支えていこうという話であります。
確かに、お年を召した方の中にもかなり収入がある方はいらっしゃいますので、そういった方に御負担を保険料でするということについては適切ではないかと思います。病気になったときに、保険料も払っているのにさらに一部負担を増やすという事態については、私ども医療を担っている立場からすると、病気になって大変な思いをしている人に対してはいかがなものかと思います。1割負担が本来のあるべき姿だなと思っています。
後期高齢者の費用が増えてくれるというのは確かなのですが、そのために消費税を導入して準備しているわけでございます。そこのところで、もしも制度上の問題があるとすれば、もともとの根底のところ、つまり大きな企業のところは大変料率が低く、中小企業よりもかなり低い状態であります。そういったことについて対応するとすれば、むしろ保険制度の保険者の一本化をまずすべきであって、国民の皆さんがそれぞれの収入に応じて適切な形で保険料を集める。つまり、料率を統一化ができてから初めてそういった議論をすべきであって、現在ある後期高齢者の制度がかなり払わなければいけないから、だからおかしいというのはどうも筋違いのように思います。
もともとの制度の在り方も含めて考えるということが大事であります。国民の皆さんが皆さんで支え合うという後期高齢者制度、これもまた世界にない制度であります。日本国だけがうまくいっている制度でありますので、これが破綻しないようにうまく対応していくことが大事だということと同時に、それをもし変えるとしたら、やはりもともとの抜本的なところまで対応しなければならない。つまり、保険者一本化の話がまた出てくると思いますので、まだまだいろいろなことを検討しなければならないと思っているところであります。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、村上参考人よろしくお願いいたします。
○村上参考人 ありがとうございます。
先ほどの横尾委員の御意見と重なるところはございますが、それぞれ賦課上限に達する被保険者の割合が高まっているということから、いずれも引上げの方向性ということについては理解できるところでございます。
その上で質問なのですけれども、先ほどの資料の4ページなどにグラフが出ておりますが、この実線と点線が交差するところについて給与収入や年金収入については書いてありますけれども、この交差する点の所得は大体幾らになるのかというところについて御教示いただければと思いました。
また、それぞれ中間層のところは負担が減り、高所得層のところは負担が増えるということですが、これはどれくらいの人数になっていくのかということについても併せて本日でなくても結構ですので資料などいただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 御質問ございましたけれども、この点いかがでございましょうか。
○森田課長 申し訳ありません。後日、資料をお届けしたいと思いますけれども、資料2の4ページを見ていただきますと、令和3年度のところが給与収入でいいますと1100万円、令和4年度のところは1140万、このくらいの幅の話ですのでこの間の数という感じになると思います。
数字につきましては、後日お届けしたいと思います。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○村上参考人 ありがとうございます。
○田辺部会長 それでは、次に兼子委員よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
今までの御発言と重なる点があろうかと思いますが、1つまず申し上げたいのは、しばしばこの委員会で言われるのですが、現役世代と高齢者の矛盾といいますか、御指摘です。これも私はたびたび申し上げていますけれども、私は高額所得者とやはり所得の低い方との問題、そういう視点で捉えないとこの問題は解決しないのではないかと思っています。
国保、あるいは後期高齢者医療制度、いずれも医療費は高いわけです。それから、所得は低い。特に国保について言えば、不安定な働き方の人が多い。それから、所得との関係でいえば保険料の負担率が高いということですので、当面の措置として限度額を引き上げていく。私の単純な捉え方でいいますと、限度額の引上げは当面の措置としてもう少し額を高くしていくテンポを早くしていくほうが望ましいようには思っています。
それと、この制度間の違いなどを解決していくためには、保険制度全体の大きく言って4つでしょうか。こういったものが見直しされていく必要がある。
それから、やはり負担の問題ですので、税との関係でも公費、国費がどのくらい入っていくのがいいのかということも検討していく必要があるのだろうと思います。今は選挙中ですのでいろんな形で指摘されておりますけれども、純資産が1億円を超えるとこういう税とか保険料とか、かなり急激な形で公的な負担率が下がっていくという問題がありますので、やはりこういった点にも目を配りながらこの問題はやっていかなければならないのではないかと思います。
引上げには賛成です。当面の措置として引き上げることは必要だと思いますけれども、もう少し引き上げてもいいんじゃないかと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、御意見等がなければ本議題についてはこれまでとさせていただきます。
最後に「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料4「オンライン資格確認等システムについて」という資料を御覧ください。10月20日、おとといからオンライン資格確認の本格運用が開始をされました。また、マイナポータルでの薬剤情報、特定健診等情報の閲覧につきましても昨日、10月21日から閲覧を開始してございます。
その実施状況でございますが、1ページ目を御覧いただきますと、オンライン資格確認を導入するために必要となる顔認証つきカードリーダーにつきましては56.3%の医療機関、薬局に申込みをいただいてございます。そのうち、実際に準備が完了した施設数、2番のところでございますが、約2万施設、8.9%の施設となってございます。
ただ、これらの施設は院内システムの改修などは完了していても実際の職員の方の研修など、そうした意味で運用開始を本格運用開始の10月20日以降に設定しているところもございます。実際に10月20日の時点で運用を開始した施設数につきましては1万1676施設、5.1%となってございます。
それから、本格運用開始後の状況でございますが、支払基金に設置をしてございます医療機関、薬局向けのコールセンターには通常よりも多くのお電話をいただいていると聞いておりますが、内容といたしましては顔認証つきカードリーダーの申込みに関するお問合せですとか、資格確認端末のセットアップ方法に関するお問合せなど、いわば通常のお問合せを多くいただいている状況というふうに聞いてございます。
また、一般の方からはマイナンバーコールセンターのほうにお問合せいただいてございます。10月20日の本格運用に合わせまして、メディア等でもたくさん取り上げていただきました。そういったことを踏まえた御質問をいただいている状況というふうに聞いてございます。
このオンライン資格確認は、これまでも過去の薬剤情報、特定健診情報を医療機関、薬局に提供することが可能になるということで、まさによりよい医療を受けることができるといったメリットが国民の皆様にはあるということでございます。10月10日のデジタルの日には、厚生労働大臣、デジタル大臣に実際にこのオンライン資格確認のデモンストレーションを行っていただきまして、そうしたことのアピールもさせていただきました。引き続き国民の皆様にそうしたメリットをアピールしていくということ。
それから、実際に顔認証つきカードリーダーは約6割の施設に申し込んでいただいてございますが、まだ準備が完了しているところが8.9%にとどまってございます。これにつきましては、パソコン、ルーターなどハードウエアが不足しているといった状況ですとか、あるいは実際にシステムの改修を行う事業者のほうでの改修の対応に時間がかかるといったような状況もあるやに聞いてございます。
パソコン、ルーターなど、ハードウエアの不足の対応につきましては、関係省庁一体となって供給元への働きかけ、あるいは実際に供給できる見通しを提示するなどしてそうした側面的なサポートを行っているほか、システム事業者に対しても改修対応能力を向上して対応していただきたいということ、それはこれまでも申し上げてきてございますが、引き続きそうした働きかけも強めながら、このオンライン資格確認のシステムを多くの医療機関、薬局で実際に使えるようになるよう、または国民の皆様にもそのメリットを実感していただけるよう、引き続き取組を進めてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○田辺部会長 御説明、ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、横尾委員よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
期待をしているテーマでございますし、取組だと思っています。デジタル化社会の入り口として、このことが一つのアクセルになると思っています。そういった意味で思うのですが、この10月20日からいよいよスタートしたということですが、多くの方がまだ認識の少ない部分もあるし、先ほどもちょっと触れましたが、そもそも全国的に本格稼働するには多くの医療機関現場などがまだ準備態勢が不十分なところがあるようなので、これは自治体も含めて努力していきたいと思っています。
そこでですけれども、実は既にマイナンバーカードの交付を受けた人たちにとってみれば、健康保険証としての登録手続が必要なんですね。ぜひこのことを周知し、勧奨といいますか、勧めていただきたいと思っています。
ちなみに、私も先週にその登録をやってみましたが、極めて簡単です。本当に簡単でびっくりしました。これだけ簡単なのだから、どうぞカードを持っている人は、役所に行くなり、サービスできるところに行っていただいて登録をして介護保険、健康保険証としての活用や今後の様々な活用に備えてくださいということをぜひ政府の広報、厚生労働省の広報などでも取り上げていただきたいと希望します。できたら厚生労働省に記者クラブがありますので、解説の記事とか、コメント欄とか、コラム欄とか、多様に発信できるところはあると思いますので、ご理解ご協力いただき、より分かりやすくそういったことも一般の方々にお伝えをいただいて、普及並びにオンラインの活用ということを、ぜひ全体としても、官民協働で促していただきたいということをお願いしたいと思っております。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き佐野委員よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
今日の資料では、現時点におけるファクト、事実だけが記載されています。今、当面の取組について厚労省の事務局のほうからも御説明があったのですけれども、やはり当初から目標としていたところの令和5年3月までにおおむね全ての医療機関等での導入を目指す。このことは、今後予定されているほかの関連施策を考えても何としても達成する必要があると思います。
そのためには、国として何をやっていくのか。また、関係当事者は何をやっていくのか。そこはタイムスケジュールも入った形でのアクションプランをつくって、きちんと進捗管理をしていくということがマストだろうと思います。そういう面で、令和5年3月に向けてのアクションプランの策定を早急にお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。
前回、オンライン資格確認システムについてのイレギュラーなケースへの対応の整理についてお示しいただき、ありがとうございます。内容を見ますと、被保険者証と同じくマイナンバーカードの持参を忘れた場合の取扱いは従前どおりということで理解はできるのですが、受入れ医療機関がオンライン資格確認に対応していない場合に、マイナンバーカードのみの持参でも同じような取扱いになるということでございました。
10月20日にマイナンバーカードの保険証利用が本格スタートいたしましたが、先ほど資料4に示されておりますように運用開始施設数は5.1%ということで、まだまだ対応医療機関数は少なく、対応医療機関が十分な数になるまでは患者、国民に医療機関を受診する際には被保険者証の持参も併せてお願いしたい旨、周知徹底していただくべきと考えております。マイナンバーカードの保険証利用がスタートしたのみの伝わり方が目立ち、移行時期において現場が混乱しないように丁寧な配慮をお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
オンライン資格確認等システムについては、厚労省のSNS上での動画配信など、かなりPRも進んでいるとは感じておりますが、先ほど横尾委員からもありましたように利用者にメリットが伝わるように、今後さらに周知いただければと思います。
また、令和5年1月にはオンライン資格確認の基盤を活用した電子処方箋の運用開始が予定されているなど、今後も更なる機能の拡充が図られていくことが想定されます。以前にもこの部会で申し上げましたが、新たな情報が追加される度にその費用負担の在り方を議論するのではなく、まず厚労省に総合的な全体像をお示しいただき、利活用の場面、ユースケースを整理して、その役割や受益等を踏まえ、費用負担の在り方を議論すべきであると考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
我々としても、この本格運用は待ち望んでいたことでございますので、歓迎したいと思います。今後はマイナンバーカード自体の普及を急ぐことはもとより、先ほどいろいろ課題をお示しいただきましたが、カードリーダーの申込み、医療機関等における早期の稼働開始についても一層の御尽力をいただければと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、松原委員よろしくお願いいたします。
○松原委員 医療機関にカードリーダーがきたのに進められないというのは、先ほど説明がありましたように、これをするにはソフトを変えなければならないですし、通信の仕組みを変えなければいけないのです。しかし、今、業者さんがほとんど対応できていない。
その理由に、半導体が足りないということをおっしゃるところも確かにございます。毎回申し上げますが、医療機関は現在のところコロナのために発熱外来をやらなければいけない。ワクチンを打たなければいけない。問診もきちんとしなければいけない。発熱者がどのような動線で入るかということにも注意しなければいけないという大変な状況です。ようやく緊急事態宣言が明けたわけでございます。IT化は進めねばならないことだと医療機関も十分に理解しておりますので、ぜひ積極的に進めてまいりたいと思います。しかし、あまり慌てて今、マイナンバーカードでできますよということをおっしゃると、医療機関に行ったらできないということになりますので、十分慎重に注意しながら着実に進めてまいりたいと思っているところでございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、御意見等もないようでございますので、本日はこれまでとさせていただきたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡いたします。
本日は、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございました。これで散会いたします。