2021年8月26日 第2回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和3年8月26日(木)14:00~15:00

場所

オンライン会議

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  •  風神 佐知子
  • ◎加藤 久和
  •  高橋 陽子
  •  樋田 勉
構成員以外の関係者
  •  西郷 浩(早稲田大学政治経済学術院教授)
  •  眞子 武久(東京都総務局統計部人口統計課)
事務局
  •  村山政策立案総括審議官
  •  武藤参事官(企画調整担当)
  •  野口統計管理官
  •  井嶋労働施策情報分析官
  •  奥垣統計企画調整室長
  •  渡邉審査解析室長
  •  高田雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

  1. 1 毎月勤労統計調査におけるベンチマークの更新等について
  2. 2 その他

議事

議事内容


○奥垣統計企画調整室長
定刻となりましたので、ただいまから「第2回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」を開会いたします。1つ事務的な御連絡があります。ワーキングの途中の通信状態で、音声が途切れたり、あるいは発言のときに音声が発言できなくなった場合等については、お手数ですが、チャットやメール等で事務局まで御一報いただければと思います。よろしくお願いいたします。
本日の出席状況ですが、稲葉委員が御欠席です。また本日は、審議協力者として、早稲田大学政治経済学術院教授の西郷先生、東京都総務局統計部人口統計課の眞子課長に御出席いただいております。以後の進行については、加藤先生にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。それでは、議事を進めてまいります。本日の議題は、1.毎月勤労統計調査におけるベンチマークの更新等について、2.その他となっております。ワーキンググループで検討すべき課題については、前回委員の皆様からも様々な御意見を頂戴したところですが、おって事務局に整理いただくこととし、まずは、ベンチマークの更新に関する議論を進めたいと考えております。
なお、本日のワーキンググループは16時までを予定しておりますが、予定時間を若干過ぎる可能性もあるかと思います。そのような場合、御予定がある方は御退席いただいても結構です。
まず、議事1「毎月勤労統計調査におけるベンチマークの更新等について」です。前回のワーキンググループでは、ベンチマーク更新に用いることのできるデータの候補である「平成28年経済センサス‐活動調査」と「事業所母集団データベースの令和元年次フレーム」において、労働者数等の精度がどの程度あるのかということを実際に見た上で議論していきたいということになりました。そこで、事務局のほうで試算等を行っていただき、本日資料として取りまとめていただきました。それでは、事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 
○野口統計管理官
雇用・賃金福祉統計室の野口です。資料1について御説明いたします。2ページ目ですが、ベンチマーク更新の検討に当たって、前回の議論を踏まえながら論点として4点に整理した資料を御用意しております。1点目は、前回の検討会の中で御議論いただいたことですが、令和3年に「経済センサス‐活動調査」が全数調査で行われております。この労働者数を毎月勤労統計調査の母集団労働者数として使うということを前提に、今回のベンチマーク更新をどのようにするかということを御議論いただいているところです。前回、「令和3年経済センサス‐活動調査」を使うということが委員の皆さまの御意見で、まとまったものを挙げさせていただいております。
論点の2点目は、令和4年1月に毎月勤労統計調査のベンチマーク更新を行うこととした場合、利用できるデータは何があるかということです。重要な点は、資料の2行目にあるように、いわゆる真の値とする労働者数をどう設定、若しくはどう把握するかという点です。現存する真の値に類するものとして、事業所に関する全数調査を行っている調査として、丸1、平成28年経済センサス‐活動調査、丸2、事業所母集団データベースで利用可能な最新のものが令和元年次フレームです。この2つがあります。今回、それぞれのデータについて特徴を整理しております。事前にポイントを2つ挙げております。
1つ目の平成28年経済センサス‐活動調査は、民営事業所については全数調査を行って労働者の把握が可能となっております。公営事業所については調査をされていないため、何らかの措置が必要になると考えております。なお、平成28年経済センサスを使ってベンチマークを更新するとした場合には、令和4年1月から5年以上前のデータを用いることとなりますので、論点として挙げております。
2つ目の事業所母集団データベース(令和元年次フレーム)ですが、令和元年6月1日現在に存在する全ての事業所を対象にしているものです。労働者のデータには、後ほどの資料で御説明させていただきますが、過去のデータから更新されていないものがあるということが分かっております。
論点の3点目、平成28年経済センサス‐活動調査の結果を利用してベンチマーク更新をするとした場合は、先ほど御説明しましたが、公営事業所の労働者数をどういうふうに設定すべきかということが論点かと思います。
論点の4点目、ベンチマーク更新を行うとした場合に、当然のことながら賃金や労働時間の推定の結果に変化が生じてきます。この影響をどういうふうに確認するか、毎月勤労統計調査を御利用いただいている経済の先生方の知見の中でお考えになるようなこと、どういうことに視点を置くべきかということなどについての御知見を賜れればと思います。具体的な数字等について御説明いたします。
3ページ、ベンチマーク更新に用いることのできるデータとして、今申し上げた令和元年次フレームと平成28年経済センサス‐活動調査についてのポイントを、調査対象、時期、我々がベンチマーク更新を用いるとした場合の課題や検討が必要な事項の大きく3つに分けて整理しております。前回の資料でも類したものを御用意しておりますが、改めて、簡単に御説明いたします。
事業所母集団データベースの令和元年次フレームは、令和元年経済センサス‐基礎調査という調査を使って全ての事業所を把握しております。把握している事項を簡単に申しますと、事業所の存続を把握しているものです。※にあるように、労働者数等は、平成28年経済センサス、令和元年経済センサス等の結果を利用して補完をしております。調査の時点は、令和元年6月1日以前の結果です。このような中で、事業所の名簿として事業所の一覧としては更新されているものですが、労働者数が全て更新されているわけではなく、毎月勤労統計調査のベンチマークとしてどういうことに留意することが必要かということを御議論いただければと思います。
平成28年経済センサス‐活動調査については、全ての民営事業所を平成28年6月1日時点で調査したものです。全ての民営事業所に対し、事業所名簿だけではなく、こちらの調査、労働者数も把握しております。一方で、課題等としては、民営事業所を全数調査しており、公営事業所については、平成28年6月1日時点で調査しておりませんので、そこに何らかの措置をする必要があるかということを御議論いただければと思います。今回は、補間や推計の方法について幾つかの案を事務局で整理しておりますので、後ほど、7ページで御紹介させていただきます。
4ページ、令和元年次フレームのデータの更新状況を整理しております。ポイントは、令和元年次フレームのデータの更新状況ですが、今回、集計したのは毎月勤労統計調査の対象となる常用労働者5人以上の事業所について、どのような状況か整理したものです。大きく分けますと、令和元年次フレームと平成28年次フレームがあります。この平成28年次フレームは平成28年の経済センサス‐活動調査と、平成26年の経済センサス‐基礎調査のうち公営事業所を併せて整理したものと聞いております。この2つを比較したものが、「H28経済センサスでは集計対象外」の欄です。「H28経済センサスから労働者の更新があった事業所」という欄に、この2つの特徴を整理しております。まず、「集計対象外」の8.2万事業所については、平成28年から令和元年に新たに把握された常用労働者5人以上の事業所、若しくは平成28年から令和元年に把握される間に常用労働者規模が5人未満から5人以上になった事業所の総数です。その下の欄の「更新があった事業所」ですが、平成28年から令和元年の調査において、労働者数が更新された事業所の数は、全体で約32万事業所です。全体の令和元年の事業所数、民営の192万事業所全体から比べますと、約17%程度の事業所の労働者数が更新されたということです。このような状況を事業所の規模別に整理したものが5ページです。
まず、平成28年の「集計対象外」のものです。規模変更や新規のものがありますので、約8万事業所を規模別に見ますと、大半が5~29人規模の事業所になっております。
また、先ほど32万事業所は全体のうち約17%と申し上げましたが、労働者数の更新があった事業所の多くは全体で規模が大きくなるほど更新率が高く、事業所規模が小さい所では更新の状況が余り比率として多くないという状況が今回の結果から分かっております。
6ページに、令和元年次フレームと平成28年次フレームの産業別の状況を参考として並べておりますので、御参照ください。
7ページは、平成28年経済センサスをベンチマーク更新の対象として用いる場合に必要な措置として、公営事業所の補間なり、更新の推計が必要かと事務局で考えております。更新するに当たりまして、幾つかの案を今回提案しておりまして、それを実際に計算しております。まず、案として考えられるものを、5案提示しております。案1は、平成28年の公営事業所の労働者数を、平成26年時点から変化していないという前提において、数字をそのまま使ってしまうという案です。案2は、平成26年の公営事業所の労働者数に民営事業所の労働者数の伸び率で公営の労働者数を伸ばして、平成28年の公営事業所の労働者数を推計しようという考え方です。
案3は、平成21年と平成26年の公営事業所の労働者数が把握されておりますので、その間の伸び率を利用して、平成28年まで伸ばすというものです。案4は、令和元年と平成26年の2点間の公営事業所数の増減率を平成26年の労働者数に乗じて、平成28年の公営事業所の労働者数を推計するというものです。案5は、令和元年の公営事業所の労働者数を推計して、平成26年から令和元年までの公営事業所の労働者数の伸び率を平成26年の労働者数に乗じて推計するというものです。これは令和元年の時点で、既存と新規に分けて新規のものについては労働者数が新たに把握されておりますので、把握されているものはそのまま使い、把握されていないものについては伸び率を使って計算をしながら補間するというものです。最新の公営事業所の労働者をできる限り反映させて、平成28年の公営事業所の労働者数を把握するというものです。
8ページに、試算の結果をまとめております。全体で申しますと、全体の労働者数について、公営と民営を足して、約4,700万人程度です。表の右側、公営事業所の労働者数については200万人程度で、産業別の構成で若干の差はありますが、総数としては大きく変わっていないということです。案2の民営事業所の労働者数の増減率から推計する場合は、全体に労働者が少し大きくなっているのがこの表で分かります。
この試算結果を踏まえて、公営事業所の推計労働者の平成26年からの増減率を整理したものが、9ページです。ここまでが公営事業所の推計に関するもので、こういった形で案1から案5までを推計しております。民営事業所の労働者数の増減率から推計するという案2では、公営事業所数が増加傾向で出ております。平成26年から令和元年までの増減率で推計する案4や案5の場合は、労働者数が減少するという結果を得ております。ここまでが平成28年の公営事業所の労働者数の補間方法と、補間の試算の結果です。
これらの結果を使ってベンチマーク更新をした場合に、毎月勤労統計調査結果がどのようになるか、粗い試算ですが可能な範囲で試算をしております。
10ページ、労働者数の推計結果は、ベンチマーク更新によって減少するということが今回の試算です。下の表を御覧ください。まず、平成28年6月推計の本月末労働者数の丸1が、この時点の現行の毎月勤労統計調査の常用労働者数の推計結果です。丸2が、今回のベンチマーク更新、平成28年6月時点で毎月勤労統計調査に適用した場合に得られる常用労働者数です。その下に、その差分(丸2-丸1)、比率(丸2/丸1-1)という順番に並べております。平成28年6月時点の推計では、常用労働者数はベンチマーク更新で全体的に減少します。また、令和元年6月推計は、令和元年次フレームを用いてベンチマーク更新をした場合の試算ですが、同様に、ここでも労働者数は減少しています。
御参考までに、案1から案5それぞれ及び令和元年次フレームについて、令和3年5月、できる限り足元の毎月勤労統計調査の調査結果にベンチマーク更新を適用した場合の影響を試算したものですが、常用労働者数が減少しています。以下、きまって支給する給与、総実労働時間についても試算をしておりますので御覧ください。
11ページに、今の試算結果の労働者数を産業別に平成28年6月推計、令和元年6月推計、令和3年5月推計について、その構成割合を交えながら産業別の表で整理しております。
12ページ及び13ページは、参考として、今回のベンチマークの対象となる経済センサス、それぞれの調査に対して、毎月勤労統計調査の労働者で割った、いわゆるベンチマークのギャップ率に類するものを産業別・規模別に整理したものです。まず、12ページですが、案1から案5までが平成28年6月時点で計算したものです。令和元年次フレームは、令和元年6月の時点で、ベンチマークのギャップ率に類するものを計算したものです。13ページ目は、令和3年5月時点で、どのようなギャップ率になっているかを試算したものです。
14ページ、ベンチマーク更新によって常用労働者数の推移がどのように変わっているか試算したものです。恐縮ですが、グラフが西暦になっておりますが、赤が現行の毎月勤労統計調査の常用雇用指数の数値です。青が平成28年の経済センサスの結果を活用して試算したものです。緑が、令和元年次フレームを活用して、ベンチマーク更新をした場合に得られる常用雇用指数の推移を整理したものです。
15ページ、ベンチマークの計算のイメージを簡単な絵に整理したものです。今回、御留意いただきたい点ですが、平成28年経済センサスをベンチマークとして活用した場合、図の中の赤い×マークの左から2つ目ですが、平成28年5月末時点、若しくは6月1日時点で、ベンチマークとして得られるものとして「G2」があります。ただし、前回の資料で御説明したように、毎月勤労統計調査において、平成30年1月に、平成26年6月の経済センサス‐基礎調査を使ったベンチマーク更新をやっておりますので、現時点では「G1」というベンチマーク更新による差分(G2/G1)のギャップを得ております。今回、平成28年のデータを使ってギャップ修正を行う場合には、G1の分の差分を補正しなければなりませんので、グラフで申しますと、「令和4年1月ベンチマーク更新(予定)」の上にあるように、今回の平成28年を使ったベンチマーク更新においては、G2割るG1ということで、前回のベンチマークのギャップ分を補正してベンチマーク更新を行うということになります。令和元年のフレームを使った場合には、今回のベンチマーク更新とベンチマークの時点の間に過去のギャップの修正はありませんので、得られた「G3」というギャップをそのまま使うことになります。以上、令和元年次フレームの特徴、平成28年の経済センサスを使う場合の公務の取り扱いについての試算、それらを使って毎月勤労統計調査にどのような影響が出るかを試算し、それぞれの結果を御提示させていただきました。私からの説明は以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございました。御質問あるいは御意見を伺う前に、今、途中でネットの影響でうまく繋がらなかったところ、聞き逃がしたところ、うまく聞こえなかったので、再度説明していただきたいところがございましたら、お申出いただければと思いますが、いかがでしょうか。ネットの都合上で途切れたところがあると伺っています。もしございましたらお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問を含めて、委員の皆様から何か御発言を頂ければと思います。なお、今回、論点ごとに議論を整理するということではなく、どこからでも構いませんので御自由に発言いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。どなたからでも結構ですので、お願いいたします。高橋先生、よろしくお願いいたします。
 
○高橋委員
お願いします。1点目の公営事業所の計算の方法ですけれども、印象としては、情報が多いので案5がいいと私は思いました。ただ、判断するには、もう少し情報があったらなと思いました。例えば、案1、案2、案4については過去の経済センサスの基礎調査のデータを使って、平成26年の公営事業所の労働者数を計算することが可能だと思いますが、平成26年の値を推計できているかどうかを確認した上で参考にしたらどうかというのが提案です。特に案4については、案5に近い方法ですので、案4を確認して特に問題がないと、平成26年の値を問題なく推計できているのであれば、案4よりも案5のほうが新規公営事業所の労働者数が分かるという点で情報量が多いですから、案5を採用してはどうかというのが御提案です。
もう1つのベンチマークのほうですが、令和元年の基礎調査は、新規事業所の労働者数を調査していて平成28年の活動調査よりも情報量が多いので、同じ理由で、令和元年のほうを利用すべきだと思います。ただし、存続事業所については、平成28年の活動調査から労働者数が変化していないと考えるのだと思いますが、この期間の労働者数はかなり増加していますので、令和元年を使うことによって労働者数を少なく見積もる可能性が出てくると思います。いい方法というのを私も思い付かないのですが、例えば工業統計を使って、製造業だけでも労働者数の動きが整合的かどうかを確認してはどうかと思います。
もう1点は確認ですが、平成28年の年次フレームで事業所は存在したけれども、令和元年において廃業している場合、廃業事業所の労働者数は除外されているのかどうかだけ確認させてもらえればと思います。以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございます。どうでしょう。
 
○野口統計管理官
事務局でございます。高橋先生、ありがとうございました。まず、御提案いただいた公営事業所の取扱いですが、現段階では、総務省から令和元年のフレームと平成28年のフレームを借りて利用させていただいています。それ以前の平成26年のフレームをどの程度借りられて、どういうふうに利用できるかは、すぐには御回答できませんので御提案として承らせていただきます。
それから、ベンチマーク更新で令和元年を利用すべきという御意見を頂きました。また工業統計も他省庁の統計ですので、どの程度のデータがあって、どういう利用、どういう推計ができるかというのも御意見を承りまして、事務局で検討させていただきたいと思っています。
3点目の御質問の廃業についてですが、廃業した事業所につきましては、事業所数からも労働者数からもきちんと除かれて、令和元年次フレームが出来上がっていると聞いています。以上です。
 
○加藤主査
高橋先生、よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
 
○風神委員
発言したいと思います。フレームは令和元年を用いるのか、平成28年の経済センサスを使うかですけれども、1点目として令和元年フレームというのは新しい情報である反面、資料の産業別のものを見ていると、更新があったような産業と事業所は減っているのに労働者数が増えていたりして、あまり更新されていないのではないかと考えられる場合が見受けられ、もちろん、更新があったかなかったかは直接には分かりませんけれども、産業によって更新にばらつきがあるように感じました。
コメントの2点目としては、令和元年フレームが新しいと言っても、資料でお示しいただいたように更新されている割合が17%で、かつ、小規模の事業所は反映されにくいということを考えると、この17%というのが果たしてどこまで新しいものと捉えるのかと疑問を感じて、懸念事項かなと思います。
ただ、どちらを使うのかによって、コメントの3点目ですが、令和元年フレームのほうでは労働者数というものはかなり少なく出てきて、それによって給与が上がっていますから、令和元年を使うのか平成28年を使うのかによって、かなり企業に対して動きが違うのであるならば慎重になる必要があるかなと思います。
コメントの4点目として、平成28年の案1から案5を拝見したときに、案1の変化がないというものと、案2の民営と公営が一緒で変化がないというのは実態として無理があるような気もします。また、民営の需給バランスで開業や廃業が決まるものと、公営の法律で決まっている部分が多いものとを同じように扱うのは、若干、無理があるように感じました。
また、10ページからの粗い試算を見たときにも、案1、案2と案3、案4、案5で動きが違うのかなと感じます。案3は、参照時点がやや古いように感じます。案4と案5は、現時点で10ページ以降の試算が粗い試算ということですけれども、もしそのとおりであるならば結果にあまり差がないようにも感じました。この結果に差がないときに、推計方法の差異というものが、統計を作っていく上で余り誤りを起こさない利点があるのであれば、案4も利点があるように感じます。一方、案4は事業所数を基にしているということですから、案5のほうが労働者数の状況を反映しているのかなとも感じました。
5点目として、産業によっては、令和元年のフレームのギャップは平成28年フレームよりも産業間のギャップが大きいように、資料の11ページ目から感じました。コメントは以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございました。事務局のほうから何かお答えすることがありますか。
 
○野口統計管理官
風神先生、ありがとうございました。先生のおっしゃるとおり、それぞれの評価については私どもも慎重に判断しなければならないと思っています。いろいろな視点で有益なコメントを頂いたことについてお礼申し上げますとともに、それぞれの特徴について更に分析できるところを深めることをさせていただければと思っています。一点、平成28年から令和元年について17%が多いか少ないか。それから産業によって、ばらつきがあるという御指摘もございましたので、この辺がどういうふうに影響しているかなど、御指摘を踏まえながら、もう少し数字を精査したりして改めて準備できる資料を考えたいと思っています。ありがとうございました。
 
○加藤主査
ありがとうございました。風神先生、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 
○風神委員
ありがとうございます。
 
○加藤主査
ほかに、いかがでしょうか。
 
○樋田委員
樋田です。よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
よろしくお願いします。
 
○樋田委員
3点質問と1つコメントさせてください。1点目は、年フレについてです。年フレに含まれている事業所については労働者数が空欄のものはないという理解でよろしいのでしょうか。2点目は、資料7ページ目の案4と案5の試算の結果についてです。この表は万人単位になっていて、万人単位で見ると案4と案5の数字は同じですけれども、千人単位でより細かいところを見ると数字が違っているという理解でよろしいでしょうか。3点目は、10ページ目の「きまって支給する給与」の動きが、令和元年の年フレと、平成28年経済センサスを使うときには少し違っているということについてです。
 
○加藤主査
樋田先生、聞こえますか。止まったようですけれども、問3の所でコメントの3つ目をもう一度お願いできればと思います。
 
○樋田委員
問3ですか。
 
○加藤主査
3つ目のコメントです。
 
○樋田委員
どこまで聞こえておりましたでしょうか。
 
○加藤主査
ギャップのところです。「きまって支給する給与」のギャップのところの話だったと思います。私が解説してすみません。今、「きまって支給する給与」のギャップの話のときだったと思います。
 
○樋田委員
分かりました。ありがとうございます。「きまって支給する給与」の動きが、年フレを使うときと平成28年センサスを使うときで少し違っていると思います。この違っている要因がどこにあるのかというのを、検討済みであれば教えてください。
コメントさせていただきたいことは、先ほど高橋先生がおっしゃったことと同じですけれども、公営の事業所を推計するということであれば、過去のデータを使って案1から案5のどれを使うと、平成26年の数値に近いものが推計できるのかを1つの指標にして、案1から案5の検討をするとよいのかなと思います。使っている情報という面では、案5が一番いいのかなと思いますが、試算して、その点を確認してから検討してはいかがかなと思います。以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございました。
 
○野口統計管理官
質問への御回答の順番が逆になって恐縮ですが、ベンチマーク更新を実際に実施した場合、令和3年5月の「きまって支給する給与」の動きについてです。粗い試算ですので精緻な分析が十分にできているわけではありませんが、特徴的なところを捉えています。1つは、産業の構成、規模の構成によって毎月勤労統計調査の結果に影響が出ています。令和元年の数字がプラスになっていることが特徴として挙げられます。これは、令和元年次フレームにおいて、宿泊業,飲食サービス業の労働者の構成が少し減少していること、情報通信業、学術研究,専門・技術サービス業の労働者の構成が少し増加していることなどから、賃金を押し上げるような影響が発生していることが、平成28年との違いとして挙げられると見ています。これがどの程度の分析というお答えになるか分かりませんが、数字の違いがあった所について、分析できるところを確認してみた結果ですので、御報告させていただきます。
次に、年フレや案4、案5の細かい数字については、事務局の別の者から御回答させていただきます。
 
○高田雇用・賃金福祉統計室長補佐
厚生労働省の高田です。先ほど御質問いただいた年次フレームの関係ですが、労働者数で空欄の所があるのかという御質問だったかと思います。データを見る限り、空欄というのはなかったかと思います。ただ、活動していない所だと思いますが、労働者数0人というのは一定程度あります。今回、常用労働者数5人以上の事業所を集計対象にしていますから、空欄はありませんでしたけれども、労働者数が0人の事業所を含め、5人未満の所は、今回の集計からは外れている状況になっています。
案4と案5の関係ですが、案4と案5で、数値の違いで言うと、人数的に1,000人未満ぐらいずれています。案4が数百人程度、500から600人ぐらいでしょうか、ちょっと多いぐらいの感じで、結果的にはあまり変わらないと。おそらく新規労働者の把握がそれほど多くなかったからではないかと思います。大体、7万事業所ぐらい公営の事業所はありますが、そのうち新規の事業所は数千事業所程度でした。そのため、案4、案5ではそれほど変わらなかったと考えています。以上です。
 
○加藤主査
樋田先生、よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はございますか。今回、いろいろ議論させていただいた中で、こういった資料をもう少し見ないとなかなか判断がつかないとか、あるいは、今いただいた試算に加えて、こういった試算をお願いしたいとか、あるいは令和元年フレームにするのか平成28年にするのかについて、こういった基準を見るべきだということで、今まで先生方からもいろいろとコメントを頂きましたが、改めて何かそういった御提案等を頂ければ有り難いなと思っています。是非、よろしくお願いいたします。
ギャップの所について、令和元年フレームと平成28年の決まって支給する給与の所で、樋田先生からの御指摘もありましたが、少し違う流れになっていたり、労働者数のギャップは過去のベンチマーク更新としてもそれほど大きな違いはないのかなと思ったりしています。この辺りでこういった点を見たほうがいいとか、こういう資料がほしいとかいうことがございましたら御提案いただければと思います。西郷先生、よろしくお願いいたします。
 
○西郷先生
今回は令和元年の年次フレームを使うのか、平成28年の経済センサスを使うのかということでのお話に限定されているので、今回のテーマとは違いますけれども、もともと労働者数についてどうあるべきかということが、毎月勤労統計調査では結構大きな課題になっていると思っています。毎勤の中で分かる労働者数の結果を0.5で見て、外部の情報から分かる労働者数の結果を0.5で見て、足して2で割るということは、またちょっと違いますけれども、それに近いような発想で労働者数の変化を捉えられています。片や、非常に毎勤の推計は精緻にできていて、労働者数というのは労働者1人当たりの推計がきちんとできれば、あとはうまくいく。逆に言うと、労働者数の推定というのがうまくいかないと全部それが崩れてしまうという非常に精妙な推計が行われています。ですから、今回は平成28年か令和元年かというテーマで検討していただいたわけですが、将来的には労働者数の推計というのがどうあるべきなのかを、今後、だんだん検討していただければなと。今回のテーマとはちょっと違う問題なので今まで発言を控えていたのですが、毎勤の長期的な課題としては、そういうことも考えていただければと思います。今回のテーマに関しては、今までの三人の先生方から御指摘いただいた点以外の追加の指摘はございません。発言は以上です。
 
○加藤主査
西郷先生、ありがとうございます。今、先生から御提案いただいた内容については、この後、引き続きワーキングでも行っていくと伺っております。事務局のほうも、そういう形でよろしいですか。
 
○野口統計管理官
事務局です。毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループの設置ということを、厚生労働統計の整備に関する検討会で御了解いただいたとき、将来的に見直しの議論を進めるに当たって考えられる点として、今、西郷先生に御指摘いただきました母集団労働者数の推計精度の向上、それから標本設計の見直しという点を論点案として挙げさせていただいています。今回、ベンチマーク更新を実施させていただきながら、後々、今後のこうした課題の取組やそれをいつ実施するかということも、このワーキングの中で先生方の御意見を承りながら進めたいと考えていますので、状況を御報告させていただきます。以上です。
 
○加藤主査
ありがとうございました。西郷先生、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。今回はどちらにするかということの議論が中心で、まだ今日決めるわけではありませんけれども、今後、西郷先生の御提案のことについても是非議論していかなければいけないと私自身も思っています。ほかにどうでしょう。今回の件につきまして、コメントあるいは追加的なお話、質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
先ほどと重複しますが、さらに検討するためにこういう資料がほしいとか、あるいはこういう視点で見ておかなければいけないというところを少しまとめておきたいと思っているのですが、もし資料等について事務局に更にこういうところを見たいということで、追加的な御要望等がございましたら御提案いただければと思います。いかがでしょうか。ありがとうございました。
今、4人の先生方から御意見、コメント等を頂戴いたしました。もし今後、追加で用意していただきたい資料等がございましたら、会議終了後、1週間程度の間に事務局のほうに御連絡していただければと考えています。本日はいろいろと議論させていただき、次回に一定の結論を得たいと考えています。そういった形で進めていきますので、これに加えて、もし何かこういった視点が必要だということがあれば、また御連絡いただければと思います。公営事業所の推計については少し過去のデータを使って、それがどうだったのかということの御提案がお二人の先生からあったということ。それから、給与のギャップのお話、さらに、とりわけ公営事業所の推計では、案4、案5がいいというお話もございました。こういった点を更に煮詰めていく必要があるのかなと思います。もし追加で何かございましたら、いかがでしょうか。
ありがとうございます。それでは、皆様からいただいた御意見につきましては改めて事務局のほうで整理していただき、次のワーキンググループにおいて再度、検討したいと思います。
ベンチマーク更新の方法につきましては、次回のワーキンググループで一定の方向性を打ち出したいと考えていますので、御提案、御助言等がありましたら改めて事務局のほうに御連絡いただければと思っています。さらに先ほどの繰り返しになりますが、今回の御発言いただいた内容に加えて、ベンチマーク更新の検討に関して必要な資料等がありましたら、できれば9月3日(金)を目途に事務局宛てにメールで御連絡いただければ幸いです。引き続きよろしくお願いいたします。
次に、議事2.その他となっていますが、事務局のほうから何かございますでしょうか。
 
○奥垣統計企画調整室長
事務局です。事務局からは特段ございません。よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
ありがとうございます。今日は少し早いですが、御出席いただいた先生方からいろいろなコメントを頂きました。ありがとうございました。それでは、本日予定しておりました議題は以上となりますが、全体を通して御質問、御意見等がございましたらお願いできればと思います。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、少し早いですが、本日の議題は全て終了となります。事務局のほうにお返しいたします。
 
○奥垣統計企画調整室長
ありがとうございました。皆様、本日はお忙しい中、御出席ありがとうございました。本日は通信状況の影響で御迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。これをもちまして、第2回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを閉会させていただきます。ありがとうございました。
 
(了)
 

照会先

政策統括官付参事官付統計企画調整室

電話:03-5253-1111(内線7373)