令和3年8月24日 医薬品産業ビジョン策定に向けた官民対話 議事録

日時

令和3年8月24日(火)16:00 ~17:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター「ホール15E」

出席者

  1. (1)医薬品業界
     眞鍋 淳 日本製薬団体連合会会長
     岡田 安史 日本製薬工業協会会長
     ジェームス・フェリシアーノ 米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会委員長
     青野 吉晃 欧州製薬団体連合会(EFPIA)副会長
     畠 賢一郎 再生医療イノベーションフォーラム会長
     澤井 光郎 日本ジェネリック製薬協会会長
     鈴木 賢 (一社)日本医薬品卸売業連合会会長
  2.  
  3. (2)アカデミア
     中釜 斉 国立がん研究センター理事長
     岩崎 甫 日本医療研究開発機構 医薬品プロジェクト プログラムディレクター
           山梨大学融合研究臨床応用推進センター長
  4.  
  5. (3)行政庁
     田村 憲久 厚生労働大臣
     山本 博司 厚生労働副大臣
     こやり 隆史 厚生労働大臣政務官
     三ツ林 裕巳 内閣府副大臣
     三谷 英弘 文部科学大臣政務官
     宗清 皇一 経済産業大臣政務官
     三島 良直 日本医療研究開発機構(AMED)理事長
     藤原 康弘 医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長

議事

議事概要
○林課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「医薬品産業ビジョン策定に向けた官民対話」を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、薬害根絶デーということでございまして、医薬品に関わるちょうどこの日に開催ということになりました。
 本日、司会進行を務めさせていただきます、厚生労働省医政局経済課課長の林でございます。よろしくお願いします。
 また今回も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、行政庁参加者以外はウェブ参加ということでお願いしております。行政側も、田村大臣、鎌田局長、佐々木課長、内閣府の阿蘇審議官はオンラインで参加しております。
 なお、正林局長、内閣府の八神局長は遅れて参加予定です。
 また、ウェブ参加の方々は、御発言時以外はマイクをミュートにするようにお願いいたします。御協力、よろしくお願いいたします。
 それでは、開会に当たりまして、まず各省庁の政務の皆様方より御挨拶をいただきたいと思います。
 まず、田村厚生労働大臣より御挨拶をお願いいたします。
○田村大臣 本日は、お忙しい中、官民対話に御参加いただきましてありがとうございます。
 今ほど来お話もありましたけれども、薬害の誓いの碑の前で今日は式典がございまして、私、出席をさせていただきまして、団体のほうから御要望いただいてまいりました。二度と薬害で貴重な人の本当に人生が狂わないようにということで、改めて誓いをしてきたわけでございます。皆様方にも今後ともいろいろ御協力いただきますようによろしくお願いいたします。
 さて、産業界の皆様方におかれましては、引き続き新型コロナウイルスとの闘いということで大変御尽力いただいております。ワクチン、それから治療薬という形で、いろんな形で安定供給、開発を進めていただいておるわけでありますけれども、日本の国も、ワクチンのほう、2回接種者が40%を超えてきた、また、1回以上の方々が52~53%になってきておりますが、この新型コロナウイルスとの闘い、デルタ株にアルファ株から置き換わる中で、ワクチンだけでは全てが解決しないということがある程度分かってきた、世界の状況であります。これからも、長い闘いになると思います。そのような意味では、さらなる変異していくウイルスに対しての、ワクチンでありますとか治療薬、こういうものの開発が重要になってくるわけでございまして、よろしくお願いいたしたいと思います。
 さて、本年5月に開催いたしました官民対話でございますけれども、この夏の医薬品産業ビジョンの策定に向けて各方面から御意見を賜りました。御出席の皆様方の御意見も踏まえましてビジョンの案文をお示しさせていただいて、その上で業界の取組や行政への期待を改めてお聞きすること、また今後、実務レベルの意見交換を開催していきたく、その協力をお願いすることを目的として、医薬品業界とアカデミア、また関係省庁の皆様に再びお集まりをいただいたということでございます。
 言うまでもなく、医薬品は国民の命、健康を守るとともに、ある意味、非常に経済の活動を支える重要な役割、産業としても重要な意味合いがあろうと思います。今後とも革新的な創薬や医薬品の安定供給、これを通じて医薬品産業が日本社会に貢献いただけますように、官民での協力体制を構築できればと考えております。今日のこの会議の機会をさらに実のあるものにしてまいりたいと思っておりますので、どうか本日もよろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。お願いいたします。
○林課長 ありがとうございました。
 続きまして、内閣府、三ツ林副大臣より御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。
○三ツ林副大臣 健康・医療戦略及び科学技術イノベーションを担当しております内閣府副大臣の三ツ林でございます。
 昨年度から始まった第二期の健康・医療戦略につきましては、健康・医療戦略推進本部のもとの医薬品開発協議会で医薬品に関する議論を進めるとともに、日本医療研究開発機構、AMEDを中心に基礎研究から実用化まで切れ目ない研究支援を一体的に行っており、日本発の革新的な医薬品の創出に向けた研究開発の充実や基盤強化に取り組んでおります。
 加えて、新型コロナウイルス感染症の被害拡大を防ぐため、変異型ウイルスも拡大しつつある中、ワクチンの研究開発、生産体制強化は菅政権として極めて重要です。6月にはワクチン開発生産体制強化戦略を閣議決定し、研究開発についてもしっかりと推進していくこととしております。
 特に国産ワクチンの早期の開発が望まれる中では、アジア地域における臨床研究、治験ネットワークの活用など、官民が協力し、スピード感を持って取組を進めることが必要と考えております。また、新型コロナワクチンの開発を通じて海外ネットワークの充実を図ることは、中長期的な視点からも海外展開の基盤をつくることにつながるなど、医薬品産業の発展にとって重要な取組になると考えております。
 本日は、医薬品産業ビジョン策定に向けた貴重な機会でございますので、関係団体の皆様におかれましては、我が国の医薬品産業がさらに成長していくため、忌憚なく御意見をいただきますようよろしくお願いいたします。
○林課長 ありがとうございます。
 続きまして、三谷文部科学大臣政務官より、御挨拶いただきます。よろしくお願いします。
○三谷政務官 文部科学大臣政務官の三谷英弘です。
 本日は、産業界やアカデミアの皆様と有意義な議論が行えることを期待しております。文部科学省といたしましては、革新的な医薬品の創出に向けまして、クライオ電子顕微鏡など先端設備について産業界の皆様も一層利用しやすくなるように整備を進めております。また、企業の皆様の御協力も賜りながら、官民マッチングファンドによる10万人の全ゲノム解析を実施するなど、出口を見据えた研究開発にも力を入れているところです。
 さらに、今般閣議決定されたワクチン開発・生産体制強化戦略に基づき、緊急時の迅速なワクチン開発を可能とする平時からの研究について、産業界の皆様と連携をして取り組むこととしております。文部科学省といたしましても、今後とも健康・医療分野の研究開発を推進してまいりますため、皆様と一層一丸となって取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○林課長 ありがとうございます。
 次に、宗清経済産業大臣政務官、お願いいたします。
○宗清政務官 宗清でございます。よろしくお願い申し上げます。
 医薬品産業は、近年のバイオ技術の急速な進展、またデジタル技術との融合により、現在大きな変革の時期を迎えており、今後の発展が期待される成長産業として極めて重要であると考えております。また、ワクチンを初めとする重要医薬品の確保は、経済安全保障にも直結する喫緊の課題でもございます。
 経済産業省としても、これまでも創薬分野におけるイノベーションの社会実装や産業化に向けまして、医薬品の製造基盤技術の開発、また創薬型ベンチャーの資金調達を円滑化するための市場環境整備などを行ってきたところでございます。さらに、今般の新型コロナウイルスの世界的な流行で、社会経済活動への甚大な影響が生じたことを踏まえ、政府として、本年6月にワクチン開発生産体制強化戦略を閣議決定しておりますが、経済産業省としても、本戦略に基づき、さらなる変異株や、次のパンデミックの備えとして、国内におけるワクチンの製造拠点の整備や創薬ベンチャーの育成といった取組を新たに進めることとしております。
 また、産業競争力の強化の観点に加え、経済安全保障の観点からも、引き続き関係省庁と連携して、必要な政策を積極的に実施してまいります。今後の取組をより効果的に、皆様方にとって意味のある形で進めていくためにも、前回に引き続き、産業界、アカデミアの皆様方からの忌憚のない御意見を賜れば幸いでございます。
 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○林課長 ありがとうございました。
 それでは、冒頭の挨拶は以上とさせていただきます。また、宗清政務官、公務の都合上、これで退席されます。
 さて、本日の進め方でございます。まず、本日は、会議は全体通じて公開で開催させていただいてございます。また、本日の段取りでございますが、まず厚生労働省から、医薬品産業ビジョンの案について説明を若干申し上げます。その後、医薬品産業界、今日お集まりの皆様方より、資料に沿って御発言、御意見をいただきたいと考えております。その後、意見交換とさせていただきたいと思いますが、田村大臣、公務の都合上退席しますので、そこで田村大臣よりコメントをさせていただきます。その後、AMEDやアカデミアの皆様方から御発言をいただきまして、またその後、行政担当者から、いただいているコメント等を踏まえて、各局としての考え方を述べさせていただきます。その後、意見交換という形で進めさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 ウェブで参加の皆様方につきましては、資料は事前にメールで送付してございますので、御参照いただければと思います。この会議の方々はタブレットに入ってございます。
 早速ですが、まず、厚生労働省から医薬品産業ビジョン(案)の資料説明を行わせていただきたいと思います。資料番号で言いますと2-1を御覧いただければと思います。「医薬品産業ビジョン2021(案)」ということでございます。
 資料2-2が本文でございますけれども、時間の都合上、概要で御説明させていただきます。副題として、「医療と経済の発展を両立させ、安全安心な暮らしを実現する医薬品産業政策へ」と言っております。
 そして、医薬品産業政策が目指すビジョンとして、医薬品の重要性を改めて確認するということと、併せて、医薬品産業が経済活動を支えているといった意味を再度確認します。その上で、医薬品産業政策のビジョンとしては2つ。1つが、世界有数の創薬先進国として、革新的な創薬により我が国の健康寿命の延伸に寄与する。また、医学研究や産業技術力の向上を通じて産業・経済の発展に寄与すること。2つ目が、医薬品の品質確保・安定供給を通じて、国民が安心して良質な医療を受けられる社会を次世代へ引き継ぐこと。また、これらの実現のために企業における投資に見合った適切な対価の回収の見込みを示すことが重要であると、こういったことを掲げております。
 具体的な医薬品産業政策の方向性としては、前回のビジョンから8年が経過いたしまして、ここに書いてございます様々な変化がございます。これらを踏まえまして、総花的でなくて、3点に焦点を当てていきたいと思っています。
 1つが革新的創薬。特にアカデミア、ベンチャーのシーズを積極的に導入して、アンメット・メディカル・ニーズの解消を目指す。2つ目が後発医薬品でして、医療上の必要性が向上している実態を踏まえて、品質確保と安定供給を徹底していく。3つ目が、医薬品の流通ということで、必要なときに必要な医薬品にアクセスできる環境を整えていくために安定供給と健全な市場形成を実現するといったこと。これに加えて、医療上政策ということに合わせて、経済安全保障の視点を加えて産業政策を展開していくと考えてございます。
 2枚目を御覧いただきますと、今申し上げました3つ、革新的創薬、後発医薬品、医薬品流通、加えて経済安全保障のそれぞれのテーマに応じて主な課題と今後の方向性を整理してございます。
 革新的創薬につきましては、ここに課題に対応して方向性ということで、特に右側にあります公的支援の充実でありますとか、あるいは、ゲノムなど医療情報基盤の整備、活用推進、そしてアカデミア、ベンチャーなどとのネットワーク構築、治験環境整備、そして薬価制度の透明性・予見性の確保に取り組みます。
 後発医薬品につきましては、後発医薬品の特性を踏まえた安定供給の責任・管理体制の強化、そして安定供給や品質確保の取組状況の開示など透明性の向上などに取り組みます。
 医薬品流通につきましては、医薬品の価値に基づく単品単価交渉の促進、また、供給不安情報の早期把握と流通スキームの検討を進めます。
 4つ目の経済安全保障ですけれども、特に安定確保医薬品について、リスク分析とサプライチェーンの強靱化に取り組むということ。また、安定供給について、行政指導の徹底、情報公表の仕組みの検討と併せて、安定供給責務の法的な位置付けの検討を行います。また、ワクチンや治療薬については、収益性、予見性を確保するというような方向性を示しております。
 これらの方向性を踏まえまして、3枚目ですけれども、研究開発、薬事承認、保険収載、そして製造、流通という各段階、フェーズに応じて具体的な政策のあり方をもう少し細かくブレークダウンして記載してございます。
 時間の都合もございますので、3枚目、4枚目、5枚目と続きますけれども、後で御覧いただければと思います。
 これらを踏まえまして、最後、5枚目の中ほどでございますけれども、むすびというところで、今後に向けて2つ書いてございます。1つが、国民の理解促進ということでございまして、医薬品の重要性というものを国民に広く理解していただくような取組を実施する。また、官民対話の場でございますが、もう少し実務レベルのワーキンググループのようなものをつくって、継続的にこのフォローアップも含めてやっていくということ。そのために、(参考)にありますようなKPIをその実務的なワーキングの中でも議論をして決めていこうと考えております。
 大きい2つ目が体制整備であります。1つは、厚生労働省内の医薬品関連部局の組織体制の強化ということを挙げるとともに、政府全体の司令塔機能も必要ではないかということで、ワクチンについては先日の強化戦略に基づいて進めております。その他の分野についてもどうするか、引き続き議論していきたいと考えてございます。
 簡単でございますが、医薬品産業ビジョンの案について、以上、御説明を申し上げました。
 引き続きまして、産業界より御提出いただいた資料に基づきまして御意見等をいただきたいと考えてございます。事前にお知らせしているとおり、御説明、各団体3分以内ということでお願いしたいと思います。
 早速始めさせていただきます。それではまず、日本製薬団体連合会の眞鍋会長、よろしくお願いいたします。
○日薬連 日薬連会長の眞鍋でございます。
 本日は、大変お忙しい中、医薬品産業のために時間を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。今般の新型コロナの蔓延を受けまして、医薬品産業としても、自分たちの使命を改めて考えるときだと思っております。それでは、資料3-1の2ページ目をお願いいたします。
こちらは、前回5月の官民対話で日薬連から提示した要望の記載でございます。ここに記載されたことは、今、厚生労働省から御説明いただいたビジョン案にほとんど盛り込んでいただきました。感謝申し上げます。
 3ページ目をお願いいたします。まず1つ目として、医薬品の安定供給への取組について御説明いたします。
 昨今、複数の企業で発覚した品質問題によりまして、回収、生産停止、それに連鎖した欠品、品薄が多くの医薬品にて発生して、関連の皆様に多大な御迷惑をおかけしていることを深くお詫び申し上げます。
 日薬連では、医薬品の安定供給確保に向けて最大限の強化を行うべく、7月に安定確保委員会を設置し、対応の強化を進めているところであります。安定供給のためには、GMP・GQPの遵守といった各企業の責務の遂行が基本ですが、それに加えまして、スライドの図に示したような企業と行政が一体となった施策が不可欠です。医薬品や原薬の国内製造回帰を進めるには、製造設備構築への支援の継続に加えまして、生産に必要な原薬、原料、資材の備蓄についても国からの支援が重要であります。
 サプライチェーンの国際展開を同盟国と円滑に進めるには、品質規格、薬事規制に関する調和が重要となります。これらの施策により、体制を強化して、それを継続していくには、そのコストを賄うことができる薬価制度上の下支えが不可欠であります。これらの施策について、ぜひ御支援をお願いいたします。
 次のページをお願いいたします。2点目はワクチンについてです。先般閣議決定されたワクチン開発・生産体制強化戦略には、次のパンデミックが起きた際、日本が世界に先駆けてワクチンをつくるために必要な戦略が挙げられています。この戦略の実現には、感染症対策を一元的に指揮・管理する司令塔が不可欠です。また、現在、日本企業が開発していますコロナワクチンや治療薬を引き続き御支援いただき、国内で基盤技術を確立することが次のパンデミックの備えに直結すると考えます。
 併せて、感染症対応力の強化にはワクチンや感染症治療薬の事業環境を整備することが感染症領域の研究開発の活性化につながります。
 最後、3点目、ビジョンの実現に向けてです。ビジョンを確実に実現するために、実行計画を作案し、実務レベルで継続的な対話や検討を重ねることが重要だと考えています。また、製薬産業に対する国民の理解を深めるために、ぜひ官民を挙げた取組をお願いいたします。
 以上、我々も一層の努力を続けてまいりますので、さらなる連携をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○林課長 ありがとうございました。
 続きまして、日本製薬工業協会の岡田会長、お願いします。資料は3-2になります。
○製薬協 製薬協の岡田でございます。
 本日は、医薬品産業ビジョンについて意見交換させていただく機会を設けていただきまして、誠にありがとうございます。まずは、このたび、2013年から8年ぶりとなる産業ビジョン策定に対して心より感謝申し上げたいと思います。資料3-2の2ページを御覧ください。
 さて、国民皆保険を導入した1961年には全く想像もしなかった人生100年時代を迎えております。日本が超高齢化社会に向かう中で、国民の健康を支えること、健康寿命の延伸を図っていくことは、国として最優先のインフラ投資であります。また、たびたび国内医薬品市場の成長率をGDP成長率の範囲内にコントロールすべきである、あるいは薬価が社会保障費の調整弁として論じられることがありますが、むしろ医薬品産業の成長が日本経済の成長を牽引する、日本経済の将来を支えるという観点に立って、国家戦略として医薬品産業政策が講じられていくべきであると考えております。
 国と産業界がしっかりとスクラムを組んでいかないと、ライフサイエンス分野での日本の存在意義はますます薄れ、世界から立ち遅れてしまうと思っております。今こそ、そのような観点で、官民一体となって医薬品産業ビジョンを実行に移していきたいと思います。
 資料の3ページを御覧ください。イノベーション創出環境の整備について御説明申し上げたいと思います。
 感染症対策については、6月に閣議決定されましたワクチン開発・生産体制強化戦略について、政府の強力なリーダーシップのもとで製薬産業も一丸となって取り組んでまいりたいと思います。そして、日本発の革新的なイノベーションを創出していくためには、健康・医療ビックデータ利活用の基盤整備並びにアカデミア、ベンチャー、異業種等が有機的に連携するイノベーションエコシステムの構築が不可欠であります。こういったイノベーションを絶え間なく生み出すためのインフラ整備には国家の全面的なバックアップ、支援が不可欠であることを改めて申し上げたいと思います。
 4ページの最後のスライドを御覧ください。国民の健康を支えるための重要なインフラ投資、それは、この図に示しておりますとおり、新薬創出サイクルを回し続けることであると思います。そのことによって、アンメット・メディカル・ニーズを充足する薬剤を国民の皆様にお届けし続けることができると考えております。新薬の開発の成功率は2万から3万分の1であり、数百億円にも上る研究開発費を投じ、10年以上の歳月を必要といたします。そして、医薬品は、他の消費財と圧倒的に異なる点として、特許期間が満了すると後発品に置き換わることから、特許期間中に薬価が維持される仕組みというのは医薬品産業を支える生命線でございます。
 こういったイノベーション創出をしっかりと支える制度のもとで、革新的新薬を絶え間なく創出し、国民の健康を支えてまいりたいと思います。そして、知識集約型産業である製薬産業が日本の基幹産業として経済成長をしっかり支えていくことを誓いたいと思います。
 以上、製薬協の医薬品産業ビジョンに対する期待でございます。ありがとうございました。
○林課長 ありがとうございました。
 続きまして、米国研究製薬工業協会、PhRMAのジェームス・フェリシアーノ副委員長、お願いいたします。資料は3-3です。
○PhRMA 本日は発表の場をいただきましてありがとうございます。骨太の方針、成長戦略、今回の医薬品産業ビジョンで、政府として前向きな方向性を示していただき感謝いたします。
 はじめに、今回の医薬品産業ビジョンにおいて、薬価制度の透明性・予見性の確保に配慮した記述があること、またビジョンを官民協働でフォローアップすること、そして内資系、外資系企業を問わず日本市場へ投資を呼び込むための環境整備が明記されたことについて、感謝いたします。
 しかしながら、創薬エコシステムを実現するためには、官民で取り組むべき課題が多くあります。スライド1を御覧ください。
 創薬エコシステムの健全な発達には、世界と調和した薬事制度による迅速な承認、そしてイノベーションが適切に評価された薬価が必要です。これにより、投資の回収ができ、次の研究開発への再投資のサイクルがうまく回っていくことができます。
 スライド2を御覧ください。前回の官民対話でお示しいたしましたPhRMAの政策提言です。イノベーションを促進する創薬エコシステムの育成、効果の高い医療へ投資するため医療資源の適切な再配分、医療のデジタル化の推進が必要と考えており、医薬品産業ビジョンの実行により、これらの具体化が重要だと考えています。
 スライド3を御覧ください。より魅力的な投資環境を実現するためには、政府と業界の協力が不可欠です。特にこれからお話しする4つの点については、引き続き議論をお願いいたします。
 第1に、現在の薬価制度です。昨今の薬価ルールの頻回な変更により透明性・予見性が担保されなくなることで、今後の投資判断に影響を及ぼします。患者さんの更なるアンメットニーズ解消と革新的新薬への早期のアクセス確保に向け、再投資が可能となる制度改善が必要と考えます。
 PhRMAとして、透明性・予見性とは、改革の方向性や意思決定のプロセスが影響を受ける関係者に事前に示され、意見を述べる機会が与えられること、ルールの解釈、運用に一貫性と透明性があり、先入観のない判断が行われることが担保されることと考えています。このような考え方に基づき、2022年の薬価改定では、我々業界団体としっかり協議していただきたいと思います。
 次に、緊急時の迅速な薬事承認プロセスとデータ利活用についても、PhRMAとして重要と捉えています。
 最後に、官民協働のフォローアップ体制の強化です。本日、意見表明の機会をいただいたことには感謝しますが、3分の持ち時間の会議では、このような重要施策について実質的な中身の議論は不十分です。官民で継続的な協議ができる場を早急に設置し、進捗状況を把握できる体制の構築を強く求めます。
 今後とも、良き政策パートナーとして、日本の国民皆保険制度の持続可能性にともに貢献させていただければと思います。本日はどうもありがとうございました。
○林課長 ありがとうございました。
 続きまして、欧州製薬団体連合会、EFPIAの青野副会長、説明をお願いします。資料3-4でございます。
○EFPIA よろしくお願いいたします。本日は、このような機会を頂戴し、本当にありがとうございます。欧州製薬団体連合会、EFPIAの青野でございます。
 それでは早速ですが、資料をもってお話をさせていただきます。3-4の2ページ目を御覧くださいませ。
 私たちEFPIAは、日本の皆様にいち早く画期的な医薬品やワクチンを届けるために活動しており、会員各企業もそのために不断の努力を行っております。今回の医薬品産業ビジョン案の方向性は、誠にありがたいことに、私たちEFPIAの基本的な考え方と大筋で一致していると考えます。
 具体的には、まず、医薬品が、国民の健康はもちろん、経済活動を支えるものと認識いただいていること、また、産業の特性を踏まえて、市場の予見可能性の重要性、これを指摘していただいていること、そして、内外資を問わない産業政策推進の姿勢を表明していただいていることなどでございます。
 私たちは、国民の皆様の健康と安定した経済活動のために同じ方向を見ていると言っていいと思っております。EFPIAはその方向に進んでいくために改善が必要と考える事項について、田村大臣ほか皆様からお話がありましたように、関係の皆様との意見の交換の場を継続していきたいと考えております。
 それでは、次のページをよろしくお願いいたします。研究開発についてでございます。EFPIAは、ビジョン案が研究開発に関して挙げられた様々な施策、これを全て支持いたします。一方で、治験の効率化ですとか規制の国際調和、この推進の必要性も引き続いて主張したいと思います。
 ビジョン案は、例えば日本の治験費用の高さを指摘しておられますが、その主因は、施設当たりの症例数の少なさですとか、非効率なプロセスに起因する症例単価の高さでございます。この点を認識いただき、改善することが必要だと思います。
 また、日本独自の規制を見直し、国際調和を図ることは、研究開発の促進や新技術の早期導入につながります。ここに挙げた項目についての引き続きの御対応をよろしくお願いいたします。
 次のページ、最後のページでございます。皆保険の持続性とイノベーションの推進ということですが、薬価を含めた市場の予見性、これは、規模の大小にかかわらず、あらゆる企業の投資判断に極めて重要でございます。しかしながら、ビジョン案でも言及されておりますように、近年の薬価制度変更によって、日本市場の予見性、これが不安視されています。本年4月の薬価改定がそれまでのビジョンで示されていた範囲を大きく超えて適用されたこともその一つであります。特許期間中に投資を回収することは可能と判断されてこそ、研究開発活動が活発化いたします。中間年改定や新薬創出加算の適用範囲について、特許期間中の医薬品の薬価の予見性を確保する視点での検討をぜひ引き続きお願い申し上げます。
 限られた時間ですのでこれで終了させていただきますが、日本の皆様の健康、そして経済活動を支える画期的な医薬品を将来にわたって安定的にお届けすることができますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
○林課長 ありがとうございます。
 続きまして、再生医療イノベーションフォーラム、FIRMの畠会長、説明をお願いします。
○FIRM 再生医療イノベーションフォーラム、FIRM代表理事、会長の畠でございます。本日は、医薬品産業ビジョン策定に当たり発表の機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
 早速ですが、2ページを御覧ください。初めに、御存じかと思いますが、革新的な再生医療関連の製品創出に向けた課題を改めて御提示いたします。
 我々が今後開発してまいる製品は適応患者が必ずしも多くなく、しかし、その一方で、長期処方が不要であるものを想定しており、従前のビジネスモデルとは異なったものでございます。加えまして、自家細胞製品では患者さん御自身の細胞を採取するため、倫理面からもプラセボ対照の比較試験の実施は困難でございます。
 さらに、日本独自の規制によりまして、グローバル開発を目指す企業においては、海外と同時に日本の患者様に治験を実施する、また革新的治療をお届けすることが難しくなることもあろうかと存じます。
 3ページを御覧ください。こういった点を踏まえまして、革新的な製品を創出するためには、既に種々御配慮いただいているとは存じますが、レギュラトリーサイエンスを基盤とし、海外と肩を並べることができる研究開発環境を早期に整備していくことが重要であると考えます。
 その柱の一つが医療データの利活用であり、もう一つの柱が規制調和であると考えてございます。医療データの利活用につきましては、既にレジストリデータ活用時の基本的考え方、留意点に関する通知等を発出いただくとともに、関連法整備など検討いただいておりますが、今後は実際にヒストリカルデータを用いた承認申請等の課題を整理し解決していく時期が来ていると存じます。
 また、規制調和につきましては、既に運用改善等の議論を進めていただいておりますが、引き続き御検討をお願いするものでございます。産業界でも海外の状況調査等、必要な対応をしてまいります。
 4ページ目を御覧ください。革新的な製品を上市する際に、その価値を適切に価格に反映いただくことは、産業側にとりまして最重要課題の一つでございます。再生医療等製品は、医薬品や医療材料とはコスト構造が異なり、従前の原価計算方式で価格を算定いただくことには限界があると考えます。その一方で、再生医療製品は、現時点では十数品目しか上市しておらず、かつ、これらが多様性に富むため、一義的に検討することは困難であろうかと存じます。
 今後、産業側でも海外事例などを参考にして検討を進めてまいりますので、薬価制度の透明性、予見性の向上のためにも産学官での議論の場を設けていただければありがたく存じます。これらを通じまして、再生医療等製品のイノベーションを評価し得る新たな算定方式策定に御協力賜りたく存じます。
 なお、FIRMでは、今後とも製造に係るエコシステムの実装や、不足するバイオ人材の育成に注力してまいります。引き続き御指導、御支援賜りましたら幸いでございます。今般策定される医薬品産業ビジョンが今後10年を見据え新たな革新的医療を創出する羅針盤となることを期待いたします。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○林課長 ありがとうございました。
 続きまして、日本ジェネリック製薬協会、澤井会長、説明をお願いします。資料3-6でございます。
○JGA 日本ジェネリック製薬協会の澤井でございます。本日はこのような機会をいただき、本当にありがとうございます。
 それでは、資料、2ページを御覧ください。後発医薬品の産業政策に関しましては、当協会として賛同、支持いたします。ただ、財源としての政策ではなく、健全な産業振興の政策というものを期待しておるところでございます。
 後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保についてでございます。後発医薬品企業が製造管理、品質管理体制を確実に実現していくよう、開発段階の体制の確認、そして承認段階及びGMP、適合性調査時の確認等を徹底すべきと考えております。今年の12月の薬価収載から新たなルールが追加されておりますが、後発医薬品への置き換えや供給に支障を生じない運用をお願いいたします。
 後発医薬品の製造管理体制の監視と透明性の向上についてでございます。GMP立入検査等に際して、後発医薬品企業のガバナンス体制の監視強化や、製造販売承認を有している製販企業がGQPに基づいた製品の品質管理に努めるよう、指導を徹底すべきと考えております。
 資料、3ページを御覧ください。安定確保が持続可能となる薬価制度と流通の仕組みの構築についてでございます。後発医薬品を継続して上市できるよう、初収載薬価の水準は維持すべきと考えます。既収載品の薬価については、個々の製販企業として、安定供給義務を果たせるよう、銘柄別の市場実勢価格が適切に反映される制度への変更が必要と考えております。流通改善の徹底によって適切な市場実勢価の形成を進めるべきと考えております。
 バイオシミラーについては、企業の育成と使用促進をお願いいたします。
 資料、4ページを御覧ください。最後に、当協会の今後の取組でございます。医薬品産業政策が目指すビジョンの実現を図るための3つの焦点の一つとして後発医薬品が掲げられたことを踏まえ、当協会は、品質確保と安定供給の徹底を官民一体で進めてまいります。情報の開示に積極的に取り組み、医薬品の価値に関わる情報の提供に努めてまいります。全ての企業が「各社の役割」を明確化し、「業界の構造転換」を進め、「信頼」される産業を目指してまいります。「供給の社会インフラ」として、「健康・医療・介護」の未来に貢献してまいります。
 当協会からは以上でございます。ありがとうございました。
○林課長 ありがとうございました。
 最後に、日本医薬品卸売業連合会の鈴木会長、資料3-7で御説明をお願いします。
○卸連 日本医薬品卸売業連合会会長の鈴木でございます。よろしくお願いします。
 本日は、意見を述べる機会を賜りまして、田村厚生労働大臣初め関係者の皆様に感謝いたします。
 また、今回策定される医薬品産業ビジョンには医薬品流通に関わる医薬品卸の存在意義や今後の方向性などが示される予定になっていること、業界を代表して厚く御礼申し上げます。
 早速でございますが、当連合会として医薬品流通の将来に向けた基盤整備について御説明させていただきます。
 1ページの中央の図を御覧ください。上の四角の中に、医薬品卸の役割・機能として、医薬品の安全確保と安定供給、国家安全保障上の有事の際の供給、社会維持のための医薬品の需給調整を示しております。
 資料には記載しておりませんが、医薬品卸は、物流機能のほか、商流機能も担っております。医薬品の価格形成に重要な役割を果たしています。しかしながら、最近では第三者が商流機能に介入し、価格形成に歪みを生じているのではないかと危惧しております。これまで医薬品卸は、地域に根差した地域医療を医薬品流通を通じて支えてきたと自負しております。
 今回の新型コロナウイルス感染症においても、ワクチン接種が円滑に進むために、医療機関のみならず、大規模接種会場、職域接種会場などに決められた数量を正確に配送してまいりました。医薬品卸の活動が医療機関や薬局でなく、地域の様々な社会経済活動に密接に関わってきたからこそ、医薬品卸が果たすべき役割、機能を発揮できたものと確信しております。医薬品卸が医療機関を通じて地域住民の健康、生命に深く関わっていることを改めて自覚した次第です。
 医薬品卸がこうした役割、機能を引き続き十分果たすためには、医薬品流通の将来を展望し、流通改善の推進、医薬品の安定供給の環境整備が必要不可欠です。この2つの機能、基盤を整備することによって初めて、その下の四角にある医薬品の安定供給の維持・強化、災害・パンデミック時への対応力強化、グリーン化やデジタル化への対応などといった医薬品流通のあるべき姿を実現することができるものと考えております。
 2ページを御覧ください。令和3年6月に閣議決定された成長戦略実行計画において、流通改善ガイドラインの見直しの検討を行うことが示されました。これを受けて7月に行われた医療用医薬品の流通改善に関する懇談会において、厚生労働省より流通改善ガイドラインの見直しのたたき台が示されたところです。
 厚生労働省として、流通改善ガイドラインを早急に見直していただき、その見直しが着実に実施されるよう、積極的に御対応いただきますようお願いいたします。連合会としましては、長年、医薬品の流通改善に取り組んでまいりましたが、見直し後の流通改善ガイドラインを踏まえ、改めて流通改善に積極的に取り組んでまいる所存です。
 3ページを御覧ください。医薬品卸は、現在、一部、後発品製造問題により需給調整、代替品の確保などといった業務負担が増大し、通常とは異なる厳しい対応をせざるを得ない状況に置かれています。医薬品の安定供給ということを考えますと、医療上必要とされている安定確保、医薬品の取扱いをどのようにするかということは大事なポイントの一つです。
 当連合会としては、例えば基礎的医薬品のような取扱いにしていただくなど、薬価制度上の措置を講ずることも検討すべきであると考えております。今後、後発品の供給問題、安定確保医薬品の対応など、医薬品の安定供給に重大な支障を生ずることのないよう、環境整備を図っていただくようにお願いいたします。
 せっかくの機会ですので、薬価制度について申し上げることをお許しください。薬には尊厳性があるものと思っています。また、薬価にも公共性とともに尊厳性があるのではないでしょうか。薬価とは誰のものでしょうか。という根源的なテーマを提起したいと思っています。
 医薬品の卸の活動は、国民皆保険制度、薬価制度と非常に強く結びついております。特に薬価制度は医薬品卸の生命線です。遺伝子工学に基づく新しい医薬品が登場し、希少性があり、高額な薬価が認められる一方で、特許切れ医薬品が数量ベースで過半数を占めるようになった今日において、時代に相応しい薬価制度を構築していただき、医薬品卸がこれからも地域住民の健康と生命とを守る役割が担えるよう御指導をお願いいたします。
 今後、中央社会保険医療協議会において薬剤流通安定のための調整幅について議論される可能性があります。しかしながら、薬価制度における医薬品の流通経費の負担のあり方さえ明確になっていない中で、調整幅のみの議論を行い、引き下げるようなことになれば、医薬品の安定供給に重大な支障が生ずると考えております。
 最後に、医薬品卸は地域の雇用に対して大きな責任を持っております。毎年入社してくる若い人材の未来に大きな責任を持っております。医薬品卸は現在の顧客の取引について、若い働く人たちのためにも近代化し、ICTを駆使した生産性の高い高品質の業務に変革していく責任があると思っています。そのための企業努力を惜しまないことをお約束いたします。今後は今まで以上に厚生労働省の皆様との関係を密接にし、大所高所から未来につながる議論ができる環境を目指していただきたいと願っております。よろしくお願いいたします。
 以上です。
○林課長 ありがとうございます。
 以上を受けまして、田村厚生労働大臣から御発言をお願いいたします。
○田村大臣 公務の関係で、これにて失礼いたします。しっかりと聞かせていただきました。ありがとうございました。
○林課長 ありがとうございました。
 三ツ林副大臣もこの辺りで公務で御退席と聞いておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、AMED、アカデミアの皆様方からの御発言をお願いしたいと思います。関係者から順次御発言をお願いします。
 まず、AMEDの三島理事長、お願いいたします。
○三島理事長 医薬品産業ビジョン2021の案を拝見させていただきまして、各種重要な視点から盛り込まれているものと感じてございます。本日は、AMEDの取組の方向性について幾つか御紹介したいと思います。
 1ページ目を御覧ください。AMEDとしましては、今回のとりまとめの趣旨を踏まえながら、健康・医療戦略が掲げる革新的医薬品の創出による国民の健康寿命延伸等を推進してまいります。特に研究開発に近い立場から、関係府省との連携のもと、産業界の発展にも貢献してまいりたいと思います。
 まず、ワクチン・感染症については、経済安全保障の戦略的な自立に向けてワクチン・感染症研究における主導的役割を果たしてまいります。本年6月1日にワクチン開発・生産体制強化戦略が閣議決定されましたが、この中で、平時・緊急時を通じて戦略的資源配分を行う組織をAMED内に新設することとなっており、7月1日に数十名からなる準備室を設置いたしまして、来年4月までの稼働に向けて精力的に検討を進めてございます。
 2つ目でございますが、オープンイノベーションによる研究開発の加速として、異分野融合を通じたアカデミア、ベンチャー発のユニークな創薬技術やシーズの早期実用化を推進してまいります。その一つとして、本年春の調整費を活用して、バイオ医薬品やDDS技術などの創薬関連技術と各種疾患シーズ開発をAMEDがマッチングし、研究開発を推進する取組に着手しております。最先端の技術の応用を速やかに展開し、革新的製品の早期実用化を図ることで、オープンイノベーションコミュニティや創薬エコシステムの構築につながるものと考えます。
 こうした取組における産学官連携のあり方等について産業界との意見交換も予定しております。また、前回御紹介しましたAMED-FLuXによる実用化に向けた産業界の意見の取込みなどにも力を入れてまいります。
 2ページを御覧ください。デジタル社会における医療研究開発を推進するため、産業界も含め、幅広い利活用が可能なプラットフォームを構築してまいります。
 4番目のサプライチェーン強靱化に向けては、新規革新的製品創出や経済安全保障の観点から国内製造にも資する製造技術開発に取り組んでまいります。
 3ページを御覧ください。人材による研究開発力強化に資する取組として、AMEDでは、バイオインフォマティシャン、あるいは生物統計家等の人材の育成と強化に取り組んでおります。また、技術高度化に伴う知的財産戦略策定の支援、多様な特許取得支援を実施しております。
 AMEDとしましては、我々の基本理念でもある成果を一刻も早く実用化し、患者さんや御家族のもとにお届けすることを目指して、迅速かつ着実に研究開発を支援し、実用化及び社会実装、さらには、我が国の関連産業の成長・発展を支援するべく、関係機関と緊密に連携して取り組んでまいりますので、どうぞよろしく御協力のほどお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○林課長 理事長、ありがとうございました。
 続きまして、国立がん研究センターの中釜理事長、お願いいたします。
○中釜理事長 国立がん研究センター、中釜です。本日は、発表の機会をいただき、ありがとうございました。
 私からは資料4、がんの全ゲノム解析への期待についてお話をさせていただきます。がんの全ゲノム解析については、今般の医薬品産業ビジネス2021の中にも、そのデータ基盤としての重要性が記載されています。実際に治験コストの軽減や、よりよい医療の実現、製薬協におけるグローバル市場での競争力強化のためにも、現状の全ゲノム解析等の実行計画をはじめとするデータ基盤の整備、その利活用の促進が非常に重要だと理解します。本日はその具体的な事例について紹介させていただきます。
 先ほど、この全ゲノム解析に関しては、AMEDの研究事業として支援がされているという三島理事長からのご説明がありましたが、現在、全ゲノム解析等の実行計画に基づいたロードマップが今年6月に作成され、それに従って事業が進められているところであります資料2ページ目をご覧いただけますか。
 どうしてがんの全ゲノム解析が必要なのかという点についてですが、現在は、がんにおけるゲノム医療に関しては、2019年6月に遺伝子パネル検査が保険収載され、それに伴って保険診療としてがんのゲノム医療が進められているところであります。しかしながら、このがんのパネル検査では、全ゲノムの0.02%程度の情報しか搭載されていません。これを全エクソンに展開しても1.5%、これに関して全ゲノムは圧倒的にその範囲が広がります。現在のパネル検査では約10%の患者さんが実際にその対象となる治療薬に到達できる状況ですが、この解析範囲を広げることによって、実際に患者さんが治療薬に到達できる可能性、さらには治療薬開発のスキームがかなり展開できるということが期待されます。
 スライド、次お願いいたします。この全ゲノム解析実行計画の事業目的として、3つ挙げています。1つ目は、全ゲノム解析等の結果を患者さんに還元する。2つ目として、新しい個別化医療等を実現し、日常診療への導入を目指す。3つ目は、全ゲノム解析等の結果を研究・創薬などに活用する。まさにこの3つのポイントが全ゲノム解析事業の目指すところであります。これは全ゲノム解析等実行計画ロードマップ2021からの引用であります。
 最後3ページ目のスライドですが、実際に全ゲノム解析によってどのような成果が得られるのか、実際に治療到達性が広がっていくのかということの具体的な事例です。ここには、つい最近、8月17日にプレスリリースをしました当センターでの成果を示させていただきます。スキルス胃がんというのは、非常に解析が困難で難治ながんであり、これにはなかなか効果的な治療薬がないのが現状です。このスキルス胃がんに関して、当センターでは約100症例に及ぶ患者さんの、その腹水からスキルス胃がんのがん細胞及びそこから抽出した細胞株を用いて全ゲノム解析を行いました。
 その結果、驚くべきことに、約半数の症例に高度の遺伝子の増幅・融合が見られたわけです。この遺伝子の増幅・融合に関しては、現行のパネル検査ではなかなか検出が困難でであることは想定されていたわけですが、実際にこのスキルス胃がんという難治ながんにおいて全ゲノム解析を行ってみたところ、遺伝子増幅・融合が非常に高頻度に見られました。その中で少なくともその半数、全体の約4分の1症例では、既存の分子標的薬が効果を示す可能性があります。その具体的な症例として、幾つか実際にマウスの腹腔内にこの胃がんの細胞を注入して腫瘍をつくり、それに対する様々な治療薬の効果を示したものを示しています。
 例えばEML4-ALK融合遺伝子に関しては、ALKの阻害剤を使うことにより、投与後10日前後で非常に劇的にそのマウスの腫瘍が消失しています。ほかのMET遺伝子増幅例、あるいはFGFR2遺伝子の増幅例に関しても同様に劇的な効果が見られました。しかも、この4分の1症例以外にも、遺伝子発現解析を行ったところ、いわゆるHippoシグナル伝達という非常に特徴的なシグナル伝達の亢進が見られ、それに対する阻害剤の候補も見つかっていることから、このような遺伝子増幅、あるいはその融合が見られたものに対する治療薬に加えて、Hippoシグナル伝達の阻害剤を組み合わせることによって、実験的にはかなり劇的な効果が見られていることを示しています。
 このように、遺伝子解析の対象を遺伝子パネル検査から全ゲノム解析に広げることによって非常に新しいものが見つかってくる可能性が大いにあるということが期待されます。しかも、スキルス胃がんという日本人に比較的多く、かつ難治ながんが全ゲノム解析によって解決できる可能性があるということであります。さらに、このデータを広くアカデミア、あるいは産業界と共有する利活用の仕組みをつくることによって、日本全体として、がんに対する治療薬の開発スキームを広げていく可能性があるということを御紹介させていただきます。
 私からは以上です。
○林課長 中釜理事長、ありがとうございます。
 次に、AMEDの医薬品プロジェクトプログラムディレクターをされております、山梨大学副学長の岩崎先生、お願いいたします。
○岩崎先生 AMEDの医薬品プロジェクトのプログラムディレクターを務めております山梨大学の岩崎です。
 今回は、日本発の革新的創薬の一層の推進とその実用化に関しまして、アカデミア及びAMEDの立場から、アカデミア創薬の加速・推進、実用化の推進、また臨床開発努力の強化、この3点につきまして意見を述べさせていただきます。資料は5ですかね。
 1ページを御覧ください。最近の革新的な医薬品及び医療技術の多くはアカデミアにおける研究をその源としております。我が国においても多くの優れた基礎研究がありますので、それらを適正に育てて、その成果を患者さんに届けることの必要性は高いものがあります。
 そのために、AMEDは従来より多くの研究課題を支援しておりますが、それらは基本的には研究者からの自発的な研究に基づいております。新たに、メディカルニーズが高い、かなりチャレンジングな戦略的なテーマ、こういうものを設定して、課題を選択する制度、こういうものの利活用、また、プロジェクトの完遂を可能とする複数年にわたる支援の実施、さらに、現在認定制度を検討しておりますが、橋渡し研究を支援する環境の強化等が必要だと考えております。
 次のページを御覧ください。アカデミアシーズの実用化には、製薬企業との連携や導出が必要であり、両者の良好な関係を構築することが極めて重要であります。また、新規性の強いシーズの開発、実用化にはバイオベンチャーの役割も重要で、ベンチャーを立てるということだけではなく、確固たる事業化を進める総合的な支援の仕組みが必要だと考えております。
 具体的には、まず、アカデミアの研究者に対しまして実用化の意識改革や必要な事項の理解を進めること、こういうものに対する取組、また、アカデミアの研究者と企業の直接対話による双方の理解の増進、また、バイオベンチャーの事業化を強化する伴走型の支援及び企業のチャレンジを応援する公的な支援プログラムの強化を提案させていただきます。
 先ほど三島理事長からも触れられましたが、アカデミアと企業との対話の場であるAMED-FluX、これまで2回実施しておりまして、双方から大変よいコメントをいただいておりますし、研究者の意識改革にも役立っておると考えております。
 次の3ページ目を御覧ください。最近の欧米でのワクチン開発においては、我が国の臨床開発力との間に大きな差があることが改めて認識させられました。実用化には数々の臨床試験、治験が必要であり、これには多くの患者さんやボランティアの方々の協力が必要不可欠であります。このためには、新薬開発に対する多くの国民の方々の適正な意識の向上と協力体制を築く施策が重要と考えております。そのためには、多くの方々に新薬誕生の担い手としての患者さんの役割に対する正しい理解、治験への積極的な参加を促す患者さん中心の医療の推進が重要と考えております。
 また、高校や大学など医学研究に対する教育の機会を増やすなど、長期的な視点に立つ方策も必要と考えております。また、臨床研究中核病院の機能強化、さらにはアジア諸国との連携による国際共同試験の環境整備も、このような臨床開発力の強化のための方策と考え、その実施が望まれます。
 以上、このような方策を講ずることにより、日本が本来有しております新薬の開発力が強化されるものと考えております。ありがとうございました。
○林課長 ありがとうございました。3人の先生方から御意見をいただきました。
 続きまして、業界の皆様方からの御発言等を受けまして、厚生労働省、行政の担当者から簡単に御発言をさせていただきたいと思います。関係局から順次発言をさせていただきます。
 まず、医政局の迫井局長よりお願いします。
○医政局迫井局長 医政局局長をやっております迫井でございます。
 産業界の現状、それから様々な今後の展望、あるいは御意見、御説明いただきまして、誠にありがとうございます。コロナの中で、医薬品産業への期待、特にワクチンでございますが、治療薬の開発について関心が高まっておる、期待が高まっておるということでございます。今回の医薬品産業ビジョンを機に、感染症対策も含めまして、国民の皆様の理解を育んでいきたいと考えております。
 特に2点ほどコメントさせていただきますと、まず、先ほど申し上げましたが、国産のワクチンでございますとか治療薬の開発、これは革新的な創薬という従来からの取組、ここに国民の多くの皆様方の期待が高まっているということでございます。私どもといたしましては、こういったことの取組については、特に医療情報の活用、こういったことを念頭に、データ基盤整備でございますとか、それから治験の問題では特にアジアにおけるネットワークの構築等を通じて、イノベーション創出、こういった環境の整備に努めてまいりたいと思っております。
 そして2点目ですが、今回、コロナの関係でサプライチェーンに係る様々な課題の指摘がございました。これは医薬品の安定供給とともに、例えば海外に多く依存する原薬でございますとか原材料、そういったものが依存していく実態というものがございますけれども、こういった大きなパンデミックに際しましては、国内での製造等の支援も必要でございますし、緊急時の供給スキーム、こういったことも考えていかなければいけないと思っております。
 いずれにいたしましても、このビジョンにつきましては、実効性を高めることが重要でございますので、継続的な対話でございますとか実務者レベルでのワーキング、こういった業界の皆様との連携については引き続き取り組んでまいりたいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
○林課長 ありがとうございます。
 続きまして、健康局の正林局長よりお願いします。
○健康局正林局長 健康局長の正林でございます。
 私から2点申し上げたいと思います。まず、がんと難病についての全ゲノムの解析についてですけれども、これについて、先ほど中釜先生からも言及ありましたが、全ゲノム解析等実行計画、それからロードマップ2021、これを患者基点、それから患者還元原則のもとに着実に推進して、これまで治療法のなかった患者に新たな個別化医療を提供するとともに、産学官の関係者が幅広く分析・活用できる体制整備を進めると。こうしたことはもう既に骨太の方針にも盛り込まれています。
 今後は、幅広く医薬品などの開発を初め科学的なエビデンスに基づく治療などに全ゲノム解析等の研究成果が利活用されるよう、本日お集まりの医薬品産業関係の皆様の御意見も頂戴しながら進めてまいりたいと考えています。
 もう一点はワクチンであります。ワクチンの開発については、昨年度は第二次補正で生産体制の整備への補助、それから三次補正では、国産ワクチン開発企業について、有効性を検証する試験の実費、いわゆる治験に対する支援なども行ってきたところです。現在もそれは続いています。また、先日6月1日にワクチン開発・生産体制強化戦略、こういったものも閣議決定されましたので、国内での開発・生産の基盤整備を引き続き後押ししてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。
○林課長 ありがとうございます。
 続きまして、ウェブ参加をしておりますが、医薬・生活衛生局の鎌田局長よりお願いいたします。
○医薬・生活衛生局鎌田局長 医薬・生活衛生局の鎌田でございます。
 私からも2点申し上げます。1点目は、医薬局、薬事規制当局ですので、規制についてです。御指摘等ございましたように、国際調和を進めております。政府レベルでの大きな枠組みは調和が進んでいて、今は国内事情に応じた制度の運用という細部が課題になっているのではないかと考えております。例えばカルタヘナについて、御指摘いただいておりますが、こうした運用の細部ついて業界の皆さんと話し合いを進めており、最近のお話では、取組が前に進んでいるという評価を得ております。今後もそうした取組を進めていきます。
 規制については、最新の科学を取り入れ、新しい技術を世に実用化するための取組、いわゆるレギュラトリーサイエンスという考えに基づき、合理的な制度運用、制度改正というものを引き続き行ってまいります。
 2点目、今回のビジョンで指摘されたことの特徴として安定供給ということがあります。薬事的に考えれば法令遵守、そして生産における品質確保ということになります。日本の国内メーカーからは反省の弁も聞かれましたが、私どもといたしましても、法令遵守、生産工程における品質確保というものを進めてまいります。国内のみならず、海外において、例えば新型コロナワクチンの工場におけるGMPの問題がございました。最近でも、多くの患者さんが頼っている抗がん剤の工場における品質管理が指摘されております。この点についても、国際的な規制当局との協力も含め引き続き取り組んでまいります。
 以上です。
○林課長 ありがとうございます。
 続きまして、保険局の榎本審議官からお願いいたします。
○保険局榎本審議官 保険局、榎本でございます。
 本日は、各団体、卸の団体の皆様の御要望をいただきまして、ありがとうございました。本日御指摘いただいた皆様の御意見、御要望などを踏まえますと、やはり薬価制度に関して、1つは、新薬の価値の適切な反映をするということ、それからまた、薬価制度の予見性を確保するということなどについて主に御要望いただいたと認識しているところでございます。
 課題の主題である薬価制度につきましては、国民皆保険の持続性を確保するということと、一方でイノベーションの推進ということもあります。その両者を両立して、国民負担の軽減と医療の質の向上を実現するという観点でこれまでも必要な取組を行ってまいっているところでございますが、近年、特に高齢化により国民医療費が増大しております。こういった中で、これらの両者をうまく両立させるということが求められておりますが、これがなかなか難しい課題になっているというのが現状でございます。
 他方で、国民の皆さんにとってみれば、革新的な新薬が創出されるということ、これに対する期待は非常に高くなっております。そういった中で、感染症の治療薬も含めて革新的な新薬を今後も継続して開発・上市をしていただいて、国民の皆さんにお届けをするということが大変重要な取組だと考えております。
 今年の6月に閣議決定されました骨太の方針の中におきましても、革新的な医薬品におけるイノベーションの評価の観点、及びそれ以外の長期収載品等の医薬品について評価の適正化を行う観点から、薬価算定基準の見直しを、透明性・予見性の確保にも留意しつつ図るとされたところでございます。
 私ども保険局といたしましては、イノベーションの評価と薬剤費の適正化、それぞれのメリハリを利かせていくことが重要であると考えております。その中でも、薬価制度の透明性・予見性につきましては、私どもといたしましては、1つは、薬価改定の中でこれまで以上に業界の皆様の意見陳述の機会を設けさせていただくということを検討してまいりたいと考えております。それからまた、併せて、薬価算定組織の検討プロセスがございますけれども、その検討プロセスの透明性の向上を図るために議事録を公開する。今後公開するということを考えておりますので、近々公開できるように、その準備を進めていきたいと考えております。
 それから一方で、後発医薬品につきましては、引き続き使用促進に取り組んでいくということが重要でございます。そういった中で、やはり品質と安定供給の確保が大前提となってまいります。これらにつきましては、ぜひとも今後ともしっかりと取り組んでいただくようにお願い申し上げたいと思います。
 そういった中で、調整幅についての御指摘もございましたけれども、これらにつきましても、今後の議論の対象になっていくと考えておりますが、その際には安定供給への配慮ということが当然必要になってまいると考えております。
 本日頂戴いたしました皆様の御意見もよく踏まえまして、今後、中医協でしっかりと検討してまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○林課長 ありがとうございます。
 最後に、厚生科学課の佐々木課長から、ウェブ参加でございますが、発言をお願いします。
○佐々木厚生科学課長 大臣官房厚生科学課の佐々木です。
 私ども、厚生科学審議会とかの危機管理を担当しておりますので、2点、重複を避けて仕組みづくりの観点でお話をしたいと思います。
 1つ目の厚生科学審議会ですが、具体例で申し上げますと、先ほど来話題になっております全ゲノム、この全ゲノムに関して、本年3月、厚生科学審議会に専門委員会を設けました。こうした形で、皆さんとの対話を進めながら仕組みとして仕上げていく、それを厚生科学審議会の場を使って築いていく、そうしたことを今後具体的にさらに進めていきたいと思います。
 2つ目の危機管理の立場からの仕組みづくりです。これの具体例はコロナだと思います。実際、コロナ、昨年の1月から様々取り組んでいく中で、情報を共有していく、このことは国民の皆さんとの情報共有もそうですし、皆さんとの情報共有、これも果たして十分だったのかということを振り返りながら、今後の危機管理の観点から、皆さんが創薬、製薬製造、こういったものを進めていくのに適した形の仕組みづくりを大臣官房の立場で進めていきたいと思います。
 私からは以上です。
○林課長 ありがとうございます。厚生労働省、行政からの発言、以上でございます。
 ここから、10分弱しか時間ございませんが、意見交換に移りたいと思います。御発言等ございましたら、お願いいたします。オンライン参加の方につきましては、Zoomの「手を挙げる」ボタンでお知らせをお願いいたします。また、御発言については、指名させていただきますので、指名いただいた際にマイクのミュートの解除をして御発言をお願いいたします。
 では、製薬協の岡田会長、お願いいたします。
○製薬協 事前に配付いただいた医薬品産業ビジョンの本文の最後の33ページの「おわりに」に、医薬品産業の現状や展望、必要な改革や支援について議論する官民対話の実務者ワーキンググループを設置するという記載がございます。この記載から、各論の細かい検討だけではなく、本文中にもありましたが、5年、10年レンジでどのような将来像についてしっかりと実務者含めて絵を描いていくという提案と理解しております。そういった観点から、この提案に強く賛同するとともに、ぜひとも製薬業界としても積極的にその議論に参画して、ビジョンの実現に貢献してまいりたいということを、この場をお借りして申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○林課長 ありがとうございます。御紹介いただきまして、概要でも簡単に触れましたが、この官民対話の実務者レベルのワーキンググループを設置いたしまして、今回せっかく策定しております医薬品産業ビジョン、その実現というか、実施状況等についてフォローアップを行うというような場として設置をし、また様々な施策について産業界からの御意見をいただくような場を設置したいと考えてございます。その中で、具体的にどのようなKPIを設定するのがいいかという把握なども進めていきたいと考えてございますので、引き続き産業界の皆様方にも御協力いただきながら、実効性のあるビジョンの実現に向けて取り組んでいきたいと考えてございます。コメントありがとうございます。
 ほかにコメントございましたらお願いします。
 では、日薬連の眞鍋会長、お願いします。
○日薬連 眞鍋でございます。
 COVID-19の状況で、日本、あるいは社会のサステイナブルな成長に医薬品産業が重要であるという認識のもとで、今回、医薬品産業ビジョンがつくられたと認識しております。冒頭でお話ししましたように、日薬連の要望事項はほとんど入れていただいておりますのでそれは感謝申し上げますが、1つ、今回のビジョンは厚生労働省により作成されています。官庁の縦割りが改善されてきていることは重々承知しておりますが、今回参加されております内閣府、経済産業省、文部科学省の方々の協力を得まして、ぜひともこのビジョン実現に向けて、私どもも努力いたしますので、よろしく御指導いただければと思います。
 以上でございます。
○林課長 ありがとうございます。各省の協力も引き続き得ながら進めていきたいと思います。
 続きまして、EFPIAの青野副会長、手挙がっておりますので、お願いいたします。
○EFPIA ありがとうございます。先ほどお話出ました、今回、最新案の「おわりに」に記載されておりますKPIでございますけれども、今後様々な御議論がなされるということでございますが、一言コメントさせていただければと思っております。
 現在、参考例として挙げられているかと思いますが、当然のことながら、これら産業経済政策の面が強く出ていると思うのですけれども、5年後、10年後に産業全体がどうなっているべきかといった大局的な視点が必ずしも反映されていないのではないかなと感じております。例えば日本の医薬品市場が世界においてどのような規模で、どのような位置づけであるべきかとか、海外からの投資規模、また産業によって雇用ニーズ、そういった視点もあるのではないかなと思います。また同時に、最も大事な国民皆様の健康長寿への貢献といった、革新的な医薬品の価値を享受していただく皆様への視点も大事だと思います。例えば今まで治療薬がなかった領域への新薬の承認の数ですとか新薬の治験数、そういった点も、ぜひKPIの設定、御議論の際、御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○林課長 ありがとうございます。ぜひ今いただいた御意見も含めて様々な御意見をいただいて議論して設定していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 ほか、特に御発言ございますでしょうか。
 特に手挙がっておりませんようですので、時間もそろそろおしまいに近づいております。まだまだいろいろコメント等もあるかと思いますけれども、この会議、このぐらいで終わりとさせていただきたいと思います。
 最後に、山本副大臣、こやり政務官より一言御挨拶をいただきたいと思います。
 まず、こやり政務官より、よろしくお願いいたします。
○こやり政務官 厚生労働大臣政務官のこやりでございます。
 本日は本当にお忙しい中御参加をいただきまして、また様々な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。今の議論の中でも様々お話が出ておりましたけれども、かつてなく、我が国において医薬品産業に対する期待というのは高まっています。我が国におきまして内外の様々な主体がお集まりいただいて事業活動をしていただく、その環境整備をしていくためにも、本日いただいた様々な御指摘を踏まえながら、各省一体となって、これからも官民で協力して取組を進めていきたいと考えておりますので、何とぞ御協力のほど引き続きよろしくお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。
○林課長 ありがとうございます。
 最後に、山本副大臣よりお願いいたします。
○山本副大臣 厚生労働副大臣の山本博司でございます。
 本日は、産業界、またアカデミア、関係省庁の皆様にお集まりいただきまして、様々な観点から改めて課題、意識の共有ができたものと思う次第でございます。今回お示しをしたこの医薬産業ビジョン案を踏まえまして、これを着実に実行していくための御要望を含めて御議論いただいた次第でございました。
 経済安全保障の視点から、医薬品に関する有事を見据えた平時からの備え、さらには品質の確保・安定供給に資するような流通環境の整備や国としての支援、こうしたことが重要であることを改めて確認した次第でございます。常に変化し続けるこのグローバル環境の中におきまして、我が国、日本の創薬力、これを維持・向上していくためには、官民一体での取組が必要でございます。先ほども岡田会長からの発言ございましたけれども、今後、実務レベルでも継続して対話を続けてまいりますので、引き続きの御協力をよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 本日は、お忙しい中、御出席を賜りまして大変にありがとうございました。
○林課長 ありがとうございました。
 医薬品産業ビジョンの案につきましては本日お示ししたところでございますが、最後確認した上で、厚生労働省として今月末ないし9月初めには公表させていただければと考えております。また、実務レベルの官民対話など引き続き産業界の皆様方にも御協力をいただければと思います。
 それでは、これをもちまして本日の会議を終了させていただきます。本日の議事録については、後日、厚生労働省のホームページにも公表させていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。