第5回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録

日時

令和3年9月16日(木) 17:00~19:00

場所

厚生労働省会議室及びテレビ会議

出席者

出席委員(五十音順)
  • (会議室)    ◎磯部哲
  • (テレビ会議)  伊豆津健一  泉祐子   内田信一  奥田真弘
  •         ○佐藤嗣道  戸部依子    花井十伍    森豊隆志
  •  ※◎委員長 ○委員長代理

行政関係出席者

 厚生労働省
 (会議室)
  浅沼 一成 危機管理・医務技術総括審議官
  大臣官房厚生科学課
       佐々木 昌弘(厚生科学課長)
    鷹合 一真(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
    藤井 哲朗(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐)
  健康局
    鶴田 真也(健康課予防接種室長)
    井本 成昭(健康課予防接種室評価・分析専門官)
    饒波 正平(健康課予防接種室室長補佐)
  医薬・生活衛生局
    中井 清人(医薬安全対策課長)
    塩川 智規(医薬安全対策課課長補佐)
    山本 剛(監視指導・麻薬対策課課長補佐) 他
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
 (会議室)
    井口 豊崇(医薬品安全対策第二部長)

 

議題

  1. 1.委員の求めに応じた個別事項への対応について
  2. 2.医薬・生活衛生局からの定期報告について
  3. 3.その他

議事

○医薬品等行政評価・監視委員会室長 ただいまより第5回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催いたします。
 皆様には、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 本日の委員会は、対面ではなくウェブ開催としており、磯部委員長を除くほかの委員には、厚生労働省外から参加いただいております。
 また、傍聴に関しては、ユーチューブでライブ配信を行っております。
 資料は通信負荷軽減の観点から、基本的に画面に投映しませんので、傍聴されている方々も含め、ウェブサイトに掲載している資料をお手元に御用意ください。
 すみません、先ほど一部の方からウェブサイトではなくて、共有してほしいという話もあったのですけれども、こういう形で作業を進めておりましたので、今回は通信負荷の観点から、画面に投映しない形でやらせていただきたいと思っております。次回検討させてください。
 なお、前回の委員会で、厚生労働省の回答が聞こえないとの意見がありましたので、事務局や担当部局からの説明、回答はできるだけゆっくりはっきり御発言いただくよう、お願いいたします。
 議事に入る前に、事務局に異動がありました。9月14日付で危機管理・医務技術総括審議官に浅沼、8月1日付で医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐に藤井が着任しました。
 それでは、以後の議事進行は、磯部委員長にお願いいたします。
○磯部委員長 磯部です。皆さん、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 最初に事務局から委員の出席状況の報告をお願いします。
 また、前回決定した利益相反の取扱規程に基づいて、各委員の申告内容の御報告を併せてお願いいたします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 まず出席状況についてです。全ての委員に御出席いただいており、委員会開催の定足数に達していることを御報告いたします。
 なお、資料2-1の御説明をいただく参考人の大北准教授は、御都合により18時25分頃から参加いただく予定です。
 続いて利益相反についてです。まずは取扱規程に基づく申告のうち、個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告です。今回は個別の新型コロナワクチンについて取り扱うことから、寄附金等の受け取り状況について申告いただいております。その申告結果について御報告いたします。
 確認結果ですが、内田委員よりモデルナ社、武田薬品工業株式会社より50万円以上500万円以下の受け取り、アストラゼネカ株式会社より50万円以下の受け取り、奥田委員よりファイザー株式会社より50万円以下の受け取りと申告をいただいています。したがいまして、内田委員におかれましては、議論にて意見をいただくことは差し支えありませんが、個別の新型コロナワクチンに関して、仮に何らかの議決を行う場合には、当該議決に加わることはできません。その他の委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わることができます。
 なお、各委員の申告書につきましては、厚生労働省のウェブサイトで公表させていただきます。
 続いて、委員会の議題によらない全般的な利益相反の定期的な開示です。これは議題とは関係なく、薬事に関する企業や厚生労働省、PMDA、AMEDとの関係性を広く申告してもらい、利益相反の状況として公開するものです。
 項目としては、審議会への参画状況や研究費の受け取り状況などがあり、それぞれの該当の有無は参考資料2-2として添付しております。
 各委員の申告書は、委員会のウェブサイトに公開しておりますので、詳細はそちらを御覧いただければと思います。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、委員の求めに応じた個別事項への対応として、後発品等の製造管理・品質管理の問題、新型コロナワクチン関連、そして、医薬・生活衛生局からの定期報告となっております。
 資料は、皆さん、お手元で見てくださいということで、先ほどもお話がありましたように、大北参考人には6時半前ぐらいから御登場いただく予定にしておりますので、その他の資料から進めていきたいと思います。
 テーマが非常に盛りだくさんでありますので、厚生労働省からの説明につきましても、恐れ入りますが、簡潔にということをお願いすると同時に、皆さんの御意見などもそこら辺を御留意いただき、効率的に進められればと思いますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず昨今の後発医薬品企業のGMP違反の事案を受けて、議論することとしていた、後発医薬品の製造管理・品質管理です。これまでの経緯や国としての取組について、担当部局から説明をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 それでは、監視指導・麻薬対策課より、直近に発生しました小林化工や日医工における品質問題と行政処分、また、それらに対する主な薬事監視上の対策について御説明いたします。
 資料1を御覧ください。
 2ページ目から2社の個別事件について、簡単に御説明いたします。
 小林化工の事例でございますが、昨年12月に小林化工が製造販売する抗真菌剤、イトラコナゾール錠について、別の医薬品である睡眠誘導剤の混入が発生し、その結果、服用された多数の患者さんにふらつき、目まい、眠気等、これに伴う事故が発生し、問題となった製剤については直ちに回収、服用中止等を実施したものでございます。
 この事案を踏まえまして、12月21日から当該法人に対して立入検査を実施しまして、詳細な調査を行っております。
 その結果、判明した違反実態を次のページに記載しております。経営層も法令違反を把握していながら、改善策を講じていなかった。言い換えますと、組織的な違反行為が行われていた。その結果、健康被害が生じたイトラコナゾール錠以外にも多数の医薬品において、承認内容と異なる医薬品の製造、二重帳簿の作成、品質試験の結果の捏造等の関係法令違反を長年にわたって行っていたことが確認されております。
 それを受けまして、下にございますとおり、これまでで最長となります116日間の業務停止命令及び業務改善命令を行っております。
 4ページからは、具体的な製造工程における違反の内容を記載しております。4ページはイトラコナゾール錠の製造における問題としまして、右側の緑色の部分が通常の医薬品の製造、オレンジ色の部分は今回問題のあった製造方法で、例えば原料の取り違えについても、本来は2人で行うべき作業を人員不足で1人で行っていたり、認められていない原薬を継ぎ足しで行い、虚偽の記録を作成。品質試験についても、一部の試験が未実施等、多数の違反が重なることで、別の医薬品の混入という重大な問題の発生につながったということでございます。
 5ページは、その他の医薬品の製造実態について記載しております。先ほどのイトラコナゾール錠と同様に、重要な工程を人員不足で1人で実施したり、承認された製造方法とは異なる方法で製造したり、二重記録の作成、一部の項目について、製品試験を実施せずに結果を捏造したことが確認されております。
 6ページからは、日医工についての御説明でございます。こちらは昨年の2月に同社の富山第一工場に対して無通告査察を実施したところ、GMP違反の疑いが判明し、その後、複数回の調査を重ねた結果、承認書と異なる製造方法での製造や不適切な手順に基づく品質試験の実施が判明したものでございます。
 これを踏まえまして、富山県の本社に対して、約1か月間の業務停止処分を行っております。
 具体的な不備の内容を記載したのが7ページでございまして、先ほどの小林化工と同様に、緑色の部分が通常の製造、オレンジ色が今回の日医工の実態となっておりまして、先ほどの小林化工の事例と同様に、承認書と異なる方法での製造、一部試験の未実施、逸脱の結果判定後の対応の不備などが認められております。
 このような重大な違反事件が発生を踏まえまして、後発医薬品の品質確保に関する今後の取組として、特に薬物監視に関係するものを8ページにまとめさせていただきました。8ページの表を御覧いただければと思います。
 一番左側の欄ですが、(1)は製造業、医薬品の工場に対して直接遵守を求めるもの、(2)の部分は製造販売業ですが、こちらは品質に関する市場への責任を負う立場でございますけれども、その製造販売業者に対して遵守を求めるもの、(3)は製造販売業者に対して指導等を行う行政に関するものでございます。
 真ん中の対応方針の欄にございますとおり、今回大きく九つの取組を記載しております。主な取組につきましては、後ろに個別の資料を掲載させていただいておりますので、このページではそれぞれの項目について、概要を簡単に御説明させていただきます。
 1.製造業者における管理の徹底でございますけれども、小林化工への行政処分を行った今年の2月に、同様の事件を防止するために、ほかの製造業者に対しても原薬管理の徹底をするよう周知を図るとともに、本年の4月にはGMP省令の改正を行いまして、これまで通知による指導としておりました安定性モニタリングの実施や記録の信頼性確保について、規制の中に盛り込むことといたしました。
 2.製造業者における品質管理に係る人員体制の確保でございますが、小林化工、日医工共に品質管理体制の不足が指摘されていたことを踏まえまして、立入検査時の製造所における製造の規模に応じた品質管理体制、必要な人員など、それらが確保されているかを確認していくということでございます。
 3.製造業者及び製造販売業者における品質に対する企業経営層の責任の明確化についてでございますが、こちらは令和元年度に行われました医薬品医療機器法の改正におきまして、企業の法令遵守体制を確認するために、薬事に関する業務に責任を有する役員、責任役員を法律上位置づけまして、企業経営層の中にその設置をすること、また、企業として法令遵守体制の整備を義務づけておりまして、本年8月から正式には施行されておりますが、小林化工の事案を踏まえまして、本年2月の時点で可能な限り前倒しして法令遵守体制の整備を行っていただくよう、各企業に対して要請を行っております。
 4.製造所に対する製造販売業者の管理監督の徹底でございます。もともと医薬品の製造所につきましては、製造販売業者が必要な管理監督を行うことになっておりますが、今回の日医工や小林化工の件では、それらが一部適切に図られていなかったのではないかという課題がございましたので、現在、GQP制度の運用改善、見直しに向けて検討を行っております。
 5.製造販売業者による製造業者等に関する情報の公開でございますが、こちらは既に一部の企業では自主的に取り組んでおりますが、各製品がどの製造所で製造されているかといった製造に係る情報について、公開することとしてはどうかと考えておりまして、どのような形で公開ができるか検討しているところでございます。
 続きまして、行政関係に参りまして、6.都道府県による立入検査の実施強化でございます。これまでも医薬品の製造所に対する未通告での立入検査は実施をしてきておりましたけれども、小林化工の事案を踏まえまして、本年2月に全国の行政機関に対して、無通告立入検査の回数増加を依頼いたしました。
 また、7月には後発医薬品製造所への一斉無通告立入検査も実施しております。こちらの結果につきましては、資料1の後ろに添付しておりますので、参考までに御覧いただければと思います。
 7.都道府県の検査手法等の向上についてですが、無通告立入検査を行う際のポイントなどをまとめた調査員向けのマニュアルを作成したり、各種研修や模擬査察、PMDAとの合同立入検査の回数の増加などによって、主に都道府県の調査員の技術向上を図ることとしております。
 8.行政による製品試験結果と連携した調査の実施でございますが、こちらにつきましては、従来から別途実施しております後発医薬品品質確保対策事業という、市場に出ようとしている後発品をサンプリングしまして、それらの品質試験を行うという事業が行われておりますけれども、そちらの試験結果で問題があった品目につきまして、その品目の製造所への立入検査を積極的に実施していくこととしているものでございます。
 9.行政処分の厳格化につきましては、これまで各都道府県で若干のばらつきがございました行政処分の基準を統一化し、また、一部厳格化したものでございまして、こちらも8月から施行しております。こちらについても、資料1の後ろに詳細な資料をおつけしております。
 9ページにつきましては、御説明しました強化のポイントを図にしたものでございまして、製造販売業者や製造業者が行っている製造管理を表した図の中で、今、御説明しました各取組を赤い吹き出しでお示ししたものでございます。
 8ページの表の左側にそれぞれA、B、C、Dとございましたが、10ページ以降の各資料にリンクする形で記載しておりますので、御参考にしていただければと思います。
 長くなりまして申し訳ございません。御説明したような取組を重層的に実施していくことで、小林化工、日医工と同様の事例の再発を防止していくこととしております。
 簡単で恐縮でございますが、御説明としては以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 ただいま資料1に基づいて御説明いただきました。御質問、御意見があれば、お願いいたします。ミュートを外してしゃべっていただければと思います。あるいは手を挙げていただければ、指名します。どうぞ。
○森豊委員 森豊です。
 後発品メーカーに対しての立入調査の仕組みとか、監視の仕組みは、先発品メーカーと同等なのですか。それとも異なるのでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 御質問ありがとうございます。
 基本的に先発品も後発品もGMPという基準を守っていただくところは、同じでございます。
 監視の体制の違いとしましては、例えば一部の生物由来製品ですとか、放射性医薬品のような特殊な医薬品、あるいは承認直後の新薬のGMP調査につきましては、一部PMDAが行っている品目もございますが、その他の品目につきましては、都道府県が実施している状況でございます。
○森豊委員 ありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○泉委員 泉です。
 その前に、皆さん、お話の声はいかがでしょうか。しっかり聞こえてこない、響くのですが、厚労省側では直せませんか。
○花井委員 通信バンドが足らない感じです。
○泉委員 すごく聞きにくいです。私たちでも聞きにくいから、一般聴衆の方は資料も見られないわけですから、何がどうなっているのか分からないような状況ではないかと思います。この話はちょっと置いておきます。
 今の話の質問です。8ページに表が示してあって、具体的対応のところの一番上、1のところです。「4月28日のGMP省令改正により、安定性モニタリングの実施や記録の信頼性確保等を明記」と書いてありますが、どうしたらモニタリングを安定性に持っていかれるのか、記録が信頼できるものになるのか、それが問題なのです。それが問題だから、今回のような幾つかの後発メーカーの問題が起きるわけです。
 厚生労働省は2015年の化血研の立入調査のときに、あの会社は四十数年ぐらい、ずっとGMP違反をしていて、査察のときもこれから強化するとおっしゃっていたけれども、今回の問題の一部は、内部告発とか、残念ながら服用して、起因は定かではないですが、お亡くなりになったという、そういう要因で立入検査をして、査察の結果、違反を見つけているわけで、2015年から何年もたっているのに、いい方向に進んでいなかったという実例を今回見せつけられたということだと思います。
 そうすると、安定性モニタリングとか、記録の信頼性はどうやったらできるかということで、4月28日付でGMP省令を改正したというけれども、改正だけで、その先、改正をどういうふうに生かすかという実際の話を聞きたいと思います。もっと踏み込んで話を聞きたいと思います。
 今回、(厚労省は)PMDA(の予算確保等)に対して、(GMP)査察の関係で、2022年の概算要求を請求されていらっしゃいます。その話も報告で聞きたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 お願いします。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 ありがとうございます。
 まず御指摘いただきましたGMP省令改正による安定性モニタリングの実施ですとか、信頼性確保をどのように実際に実行していくのか、確保していくのかという御指摘でございますけれども、まさに御指摘のとおりと申しますか、当然ながら、GMP省令改正をしただけで遵守を100%守っていただくことは難しいだろうと私どもも考えておりまして、以前の化血研のときの点検では見つけられなかったのかという御指摘もございましたけれども、単独の対応措置だけでは改善をすることが難しいという観点から、8ページに記載させていただいたように、製造業者に対する取組だけではなくて、それを監督する製造販売業者に対する規制の強化、さらにそれを監視する行政の取組の強化、そういったものを組み合わせて、全てを実行していくことで、再発防止がようやく図られるものだと考えております。ですので、できるだけこのような取組を組み合わせて実施していくことで、品質管理・製造管理の改善を図っていきたいと考えております。
 2番目に御指摘をいただきました予算のお話でございますけれども、申し訳ございません、まだ概算要求段階ということもありまして、今回、資料の中に入れていなかったのですけれども、御指摘いただきましたとおり、来年度の予算要求としまして、行政のGMP調査の体制強化を目的とした予算要求をしておりまして、具体的にはPMDAへの予算を確保しまして、各都道府県との合同調査ですとか、各種研修の充実などを実施しまして、8ページの表の7番、都道府県の検査手法等の向上、ここの部分の強化について、さらに実施の強化をしていきたいと考えているものでございます。本日は口頭だけの御説明となってしまいまして、申し訳ございません。
○磯部委員長 ほかにいかがでしょうか。花井さん、奥田さんの順番でお願いします。
○花井委員 こういう対応だと思うのですけれども、海外調査をするときに、昔はFDAの人員とPMDAの人員を単純比較して多いとか、少ないとか、そういうことはやっていたのですが、EMAとか、FDAも含めて査察対象として全世界に工場があるわけです。そういった中で、いわゆるICHの中でも連携がなされているようですけれども、査察官の数と質が日米欧でどう異なっているかということを、今後、海外調査に行かれると思うので、中身でインスペクションに関することも重点的にやっていただきたいと思いました。
 以上です。
○磯部委員長 そういう御要望ということです。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 御指摘を踏まえまして、今後の取組に生かさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○磯部委員長 奥田さん、お願いします。
○奥田委員 教えていただきたいのですが、2月9日の通知で無通告立入検査の回数増加を依頼して、今回、日医工の無通告立入検査による法令不遵守の発覚というのは、この通知に基づいた回数増加があったから、分かったという時系列になっているのでしょうか。教えていただきたいと思います。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 説明が不足していたかもしれないのですけれども、日医工の件につきましては、2月9日に出した通知よりも前に発覚をしておりますので、別の経緯で判明したものでございます。
○奥田委員 ありがとうございます。
 いずれにしても、無通告立入検査をしたときに発覚したということは事実だと思いますし、御説明いただいたとおりだと思います。
 無通告立入検査の頻度をこれまでより増やすという、その有効性が多分あるのだろうと思いますが、それだけでは再発防止につながらないというのは自明なことだと思うのですけれども、いろんな後発製薬企業がある中で、製造管理の文化、品質管理に関する文化みたいなものが変わっていく一つのきっかけとして、立入検査への備えということもあるのではないかと思いました。
 質問として、もし分かったら、今日でなくてもいいのですが、無通告立入検査というのは以前からされていたという御説明だったのですけれども、この通知後でどのぐらいそれが増えるのか。実績に基づいてか、見込みみたいなものでも結構かと思うのですけれども、その辺りについて、もし分かれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 御質問ありがとうございます。
 申し訳ございません。どれだけ増えたかというところも含めて、今、数は手持ちで御用意できておりませんので、お答えすることができない状況でございます。
 ただ、いずれにしましても、こういった取組の強化を実施している以上、何らかの効果は我々も把握していく必要があると思いますので、いただいた御指摘を踏まえて、そういった数の調査等も検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○奥田委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○磯部委員長 戸部さん、お願いします。
○戸部委員 御説明ありがとうございました。
 質問があるのですけれども、今、御説明いただいた内容、そして、小林化工、日医工について不具合があったということの実態は、5番目、7番目のスライドで理解することができるのですが、そこに至った原因は何なのかということです。今後、無通告の立入検査を強化されるということで、頻度とか、確認の方法は理解しましたけれども、なぜこういうことが行われていたのかということを、立入検査の中でどのように確認していくのかといったところが非常に心配です。先ほど奥田先生からも品質管理の文化というお話もありましたけれども、事業の健全性という視点での確認、そんなところも必要なのではないかと思います。そういった視点で立ち入り検査ができるのかどうかというところをお伺いしたいと思います。
○磯部委員長 お願いします。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 ありがとうございます。
 小林化工、日医工のそもそもの不備、事故の原因についてでございますけれども、御指摘のとおり、本日お配りしている私どもの資料の中では、そこまでの記載はしていないのですが、小林化工、日医工共に、いわゆる第三者委員会、あるいは外部の弁護士の方が入ったような委員会等において、詳細な社内の調査を実施しておりまして、その結果の報告書が公開されております。
 調査報告書の中で原因についても記載をされているのですけれども、様々な原因が複合的に関わっているとされておりまして、一言で御説明するのは難しいのですが、大きな原因の一つとしては、医薬品の安定供給、出荷を優先するという考え方が企業全体に浸透していた。それに比較すると品質が軽視されていたという部分がありまして、それが体制整備だったり、責任者や担当者の判断だったりというところに影響していただろうということが、原因として考えられるとされております。
 企業全体の風土といいますか、考え方に対する対応でございますけれども、8ページの表で申し上げますと、一つ、今回、3.企業経営層の責任の明確化を実施させていただいておりまして、各製造販売業者、製造業者の中で、法令遵守体制を明確化するということを義務づけております。先ほどの話と同じように、これだけで解決する問題ではないと理解しておりますけれども、今、申し上げたような企業風土を少しずつ変えていく、企業の考え方を変えていくきっかけとして、この制度がうまく運用・実施できるように、今後も私どもとしても指導していきたいと考えております。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 既にこのセッションの予定を超えている時間なのですけれども、泉さん、最後に手短にお願いします。
○泉委員 品質を捏造した企業姿勢というのは、まず犯罪だと思います。企業文化の話が出ましたが、それもそうでしょう。それから、後発医薬品メーカーの利益の在り方がどういうふうになっているのかという、そこのところも大変重要なことであると思いますが、一番大切なことは、7番目、都道府県の検査手法等の向上と書いてありますが、地元の企業に対して、都道府県が検査を行うわけです。ここはどういう立てつけでやるかということをきちんと定めておかないと、今と同じような事件がなくなるとは思えないです。
 2014年、PMDA、厚労省、都道府県はPIC/Sの世界規制当局に加盟していますから、当然そういうものは受け継いでいるはずなのですが、地元同士の中で検査をすることがどれだけ大変か、そこを考えて改革をしないと、なくなりはしないと危惧します。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 何かコメントはありますか。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 御指摘を踏まえて、今後の各検査員の研修ですとか、取組等に反映させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○磯部委員長 企業文化の対策強化というのは、そうなのだろうと思うのですが、何でいつまでもこれが続くのかという、先ほどの泉さんの声とか、見つけて直すのも大事だけれども、なぜそうなってしまうのかの原因をきちっと見極めるべきで、企業文化でたまたまということではなくて、なぜそうなってしまうのか、構造的な問題を把握したいという委員の意見だったと思いますので、この問題は今後も関心を持っていけたらと思っております。ありがとうございました。
 それでは、確認したいこととか、何かあれば、まずは委員の中で意見交換をして、今後、対応していければと思います。
 それでは、次に行きましょう。モデルナワクチンの異物混入事案になります。品質絡みということで、もともと佐藤委員、泉委員から事前に御質問をいただいていて、ちょうど担当課もここなので、ここで入れようかと思いました。よろしいですか。佐藤委員、泉委員から簡潔に質問の12、13について発言していただけますか。まず佐藤さん、どうぞ。
○佐藤委員 モデルナワクチンの異物混入のことが大きな問題になっていまして、つい先日はファイザーのワクチンでもそういうものがあったという報道がありましたが、どうも報道によると、異物の内容、そもそも何が混入していたのかということの確認を企業任せにしているようなのです。例えば厚労省で異物が混入していたワクチンのサンプルを押収して、国立医薬品食品衛生研究所に検査をさせるとか、都道府県単位でもいいのですけれども、そういうことをなぜしないのか、私としては疑問に思っているところです。あるいは工場への立入検査も必要ならばしなければいけないと思います。
 報道によると、先ほどの泉委員の話ではないですけれども、たまたまというよりも、スペインの工場の製造ラインそのものに問題があったのではないかとの報道も一部であるようですので、まさに製造工場における企業全体の問題かもしれないわけです。海外の工場への立入検査というのは、なかなか難しいのかもしれませんけれども、輸入品の品質管理に関して、今回のワクチンの問題だけではないと思いますが、そういうことについての問題も今回考えなければいけないと思ったのですけれども、その辺りについて教えていただければと思います。
○磯部委員長 お願いしてよろしいでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 ありがとうございます。監視指導・麻薬対策課でございます。
 異物の分析についてのお話でございますけれども、一般論といいますか、通常の対応について御説明をさせていただきますと、医薬品医療機器法におきましては、基本的に品質の問題につきましては、製造販売業者が一義的な責任を負っておりますので、原因究明やリスク評価等の必要な対応というのは、製造販売業者に行う義務が課せられているということ、また、製品の性質とか、製造工程につきましては、企業がより詳細な情報を持っているということで、迅速な対応が可能だと考えられることから、一般論としては、製造販売業者が原因究明等の調査を行う。その結果を踏まえて、行政が指導・監督をするとしているところでございます。
 一方、今回のモデルナ社のワクチンにつきましては、9月1日に武田薬品工業、モデルナ社が調査結果の速報の公表をしたところではあるのですけれども、念のため、国においても、今、佐藤委員から御指摘いただきましたように、国立医薬品食品衛生研究所におきまして、混入していた異物自体の分析をさせていただくことといたしまして、現在、その分析を開始しているところでございます。こちらにつきましては、結果が取りまとまった段階で公表をさせていただきたいと考えているところでございます。
 続いて、現地の立入りについてでございますけれども、こちらも基本的には企業が調査をすることが原則となっておりまして、今回の事案につきましても、武田薬品工業の担当者が現地に赴きまして、スペインの工場の立入りを行って、確認をしているところでございます。ですので、今後、行政による立入検査の要否も含めまして、武田薬品工業の調査結果を踏まえて、引き続き適切な指導をさせていただく予定としております。
 以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 泉さん、何かありますか。
○泉委員 今、小林化工等々のGMP省令を勉強したところで、GMPの観点から製造工場の製造過程で、もしかしたら金属かもしれないものが入っているなど、あり得ない話で、これは絶対にどこからどのように入ったのか、今、製造工場自体の調査を武田薬品工業がしているのであれば、きっちり報告を上げてもらいたいと思います。
 それと、もちろん日本からは調査できないにしても、先ほどちらっと言いましたように、PIC/Sの加盟団体ですから、あちらにお願いして、その調査報告をもらうことはできないのかと考えますが、いかがでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 御指摘ありがとうございます。監視指導・麻薬対策課でございます。
 武田薬品工業の調査結果につきましては、御指摘のとおり、しっかり調査をさせて、その結果の報告を受けることとしております。
 また、行政当局による査察につきましては、御指摘のとおり、当該製造所についてはスペインにあるということで、相互承認協定に基づきまして、GMPの調査につきましては、スペインの当局が必要に応じて実施することとされております。スペイン当局との連絡、あるいは情報共有は現在進めているところでございまして、先ほど申し上げたとおり、今後の対応については、武田薬品工業の調査結果も踏まえて、さらなる対応について検討させていただきたいと考えております。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 伊豆津さん、お願いします。
○伊豆津委員 先ほど紹介いただいたように、モデルナのワクチン、問題品の一部が国衛研に来ております。今、言われている話は金属ということで、複数の部門でしっかり検討したいと考えております。内容については、厚労省に報告した後、厚労省から発表されると思いますので、よろしくお願いします。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 ものすごく最近の事象ですので、報告を伺いながら、委員会としても海外との連携の在り方とか、制度的にもいろいろと気になるところがあると思いますので、今後も教えていただければと思います。
 ほかに御意見はありますか。よろしいですか。花井さんが手を挙げていました。どうぞ。
○花井委員 素朴な質問をしておきたいのですけれども、316ステンレススチールというものが混入していたということですが、最小サイズなのですか。実際、体内に入るサイズという理解でよろしいかどうか。つまり害があるかないかというよりも、そういうものなのかということが一つです。
 それから、ファイザー社は混入は認めていなくて、混入ではなくて、もともとのものが見える塊になっていると言っているのですけれども、それはそういう理解でいいのか、確認です。
 以上です。
○監視指導・麻薬対策課課長補佐 一つ目の御質問でございますけれども、モデルナ社、武田薬品工業のワクチンに混入していた金属異物につきましては、詳細の分析が継続しているところでございますが、先日、9月1日時点で発表された速報によりますと、異物自体は使用している注射針の細さよりも小さいものということで、報告されておりますので、理論上は注射針を通って体内に入る可能性はあると報告をされております。
 もう一つ、ファイザー社の白色の浮遊物が発見されているということで、一部の自治体から発表されているものにつきましては、昨日、ファイザー社から発表がございまして、合計95バイアルだったと思うのですけれども、これまでにも希釈をした後のバイアルの中に白色の浮遊物が発見されるという事例が報告されておりまして、それらにつきましては、もともとのワクチンの中の成分が凝集したものであるということか報告されております。
 直近で三つの自治体からそれぞれ白色浮遊物が立て続けに、同じロットで発生したということで報告がされておりまして、それについては、まさに今日もそうなのですけれども、ファイザー社で現物の確認とこれまでに報告されているものと同じようなものかどうか、ワクチンの成分由来によるものかどうかということを急ぎ確認しているところでございまして、近日中にその結果を発表する予定でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○花井委員 了解しました。
 いずれにせよ、モデルナ社のほうは、安全上の問題はまだ未知な部分があるので、基本的には使わないという方向でいくしかないと思います。
 ファイザー社のほうは、評価を待って、普通に考えると、いわゆる凝集しているだけ、可視的になっているということだけであれば、問題ない可能性もあると思いました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 おっしゃるように、ワクチンの安全は非常に重大な問題だろうと思います。今後も厚生労働省の中の担当の審議会などで、検証・議論していただくことなのだろうと思いますけれども、本委員会でも引き続き関心を持って注視していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、モデルナのワクチンについては、一旦ここで切らせていただきます。
 次は、資料はないのですが、HPVのワクチンの積極的勧奨について、事前の質問をいただいています。泉さん、お願いします。
○泉委員 私から質問をさせてもらいましたが、佐藤先生からも質問が入っていませんか。
○磯部委員長 入っています。
○泉委員 佐藤先生から先にどうぞ。
○磯部委員長 佐藤先生、お願いできますか。
○佐藤委員 それでは、質問させていただきます。
 HPVワクチン、いわゆる子宮頸がんワクチンの接種に関して、これまで国は積極的な勧奨はしていないということだったのですけれども、政府で積極的な勧奨再開に向けた検討を始めるとの報道がありました。ただ、それは安全性の観点から勧奨を再開しても大丈夫であるという、何か根拠となるデータがあるのかということに関して疑問がありまして、それがあるならば、お示しいただきたいというのが私の質問です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それに対して、御担当の方からお願いします。
○予防接種室評価分析専門官 ありがとうございます。健康局予防接種室の井本と申します。
 今、いただいた御質問ですけれども、国から積極的勧奨についての発言というのは、恐らく8月末に大臣からあった御発言の内容のことだと思います。おっしゃるとおり、平成25年に積極的な勧奨を差し控えて以降、継続的に厚生科学審議会副反応検討部会で国内外の知見を踏まえつつ、ワクチンの有効性・安全性に関する評価を行ってまいりましたところでございます。
 安全性のデータについては、過去の審議会で整理したものがございますけれども、積極的勧奨を再開するかどうかについて今後、議論をするという形で大臣が発言したものでございますので、現状の最新の知見に基づいて、改めて審議会で評価していくという形になるかと思います。現状で出せるものというよりは、それについて、今後、審議会で検討していくという形でございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。泉さんが手を挙げています。
○泉委員 私からも続きで質問です。まずワクチンの開始決定は審議会の審議マターだと思うのですが、その確認を一つ聞きたいということです。
 それから、ワクチンメーカー、ここでいえばMSDですけれども、直接のやり取りは厚労省と意見交換等があったのかどうか。あったのであれば、どういう内容をされたのか、その経緯を示してほしいです。
 三つ目は、メーカーから10月の再開を要望されているかどうか。
 四つ目は、現在、厚労省側で保管ワクチンを持っていますけれども、これが使われなくなると廃棄しないといけないわけです。それを廃棄したら、次の供給が難しいというやり取りがメーカーからあったと聞いていますが、それが本当かどうかということです。
 そして、メーカーはどういう立場の方が厚労省と対応しているのか。同じく厚労省側はどの立場の人が対応しているのか。
 そのときに文章とか、メールのやり取りがあったかどうか。
 まずここまで六つぐらい、お答えいただければと思います。
○磯部委員長 具体的な事実認定をどうするかという感じになると、今、ここで資料もなくて、教えていただくというのもあれかと思うのですけれども、審議会の審議マターかということはお答えいただけるでしょうが、それ以外、ワクチンメーカーとのやり取りというのは、8月までの話なのか、これからどうするのかという話なのか、よく分からないのですけれども、メーカーとはどういう交渉の経緯などがあるのか、話せる範囲で簡潔にお答えいただければと思います。
○予防接種室評価分析専門官 ありがとうございます。
 お答えいたします。まずワクチンの積極的勧奨を再開するという決定が審議会マターであるかという話ですが、先ほどお答えさせていただいたように、HPVワクチンに関しては、積極的勧奨を差し控えて以降、審議会でワクチンの安全性・有効性の議論をしてきたところでございまして、積極的勧奨の在り方、どうするかということを検討するに当たっては、審議会、副反応検討部会における議論が必要であります。そのため、現時点で積極的勧奨を再開するという方針を決定しているものではありませんで、そこを検討する、審議会で御審議いただく形になっております。
 2点目のワクチンメーカーとのやり取りに関しましては、具体的な中身についてコメントすることはできないのですが、HPVワクチンに限らず、一般的に定期接種に用いるワクチンの安定供給などのために、製造販売メーカーと日頃から調整を行う必要がありますので、そういった範囲内でのやり取りを行っていたという形のお答えになります。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 副反応検討部会では、もちろん安全性などの話をやるのでしょうが、さらには予防接種・ワクチン分科会とか、予防接種施策としてどうするかという、別の審議会にもかかることになりますね。
○予防接種室評価分析専門官 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりで、これまで、副反応検討部会で議論していたのは、積極的勧奨を差し控えたときに、ワクチンの接種で様々な症状が見られたということで、その症状の評価等を含めて、副反応検討部会でしっかりと評価した上で、積極的勧奨の差し控えをどうするかということに関しては、プラスアルファで副反応以外で議論するところもありますので、基本方針部会ですとか、そういったところで御審議いただく流れになるかと思います。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、HPVワクチンの件は時間もあれなので、これぐらいでよろしいでしょうか。
○泉委員 追加であります。手短に話をします。今、やり取りはどの立場なのかとお伺いしましたけれども、それにお答えしていただいていないので、過去の例を言いますと、厚労省と製薬企業が個別に対応して、薬を止めるべき時期を誤って、そのまま継続して使われてしまい、被害が非常に広がったという経過があります。積極勧奨に関しては、今、裁判もされていて、裁判のことはよく分かりませんが、被害者がいて、厚労省が決めることではなく、審議会が決めることであれば、ワクチンの供給についてやり取りすることは当たり前だと思いますけれども、必要以上に積極勧奨のような取組のことで話をして、そして、疑いを持たれるような形、行政のやり方は正しくないと思います。私たちはそういう被害を受けた者として、厚生労働省はいたずらに製薬企業と個別にこの問題を話すのではなくて、そのまま審議会に上げるべき、あるいは大臣に任せるべきという対応をすべきだと思います。そこのところは、肝に銘じてもらいたいと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 どうでしょうか。
○評価分析専門官 御意見ありがとうございます。
 お答えできるものとしては、繰り返しになってしまいます。
○磯部委員長 規制当局とメーカーの間は、適切な距離を保ち、透明性を担保して、疑われないような外観が取れていることが大事ではないかというのは、それまでの経緯から重要な御指摘だと思います。逆に審議会も諮問機関ですから、審議会ならいいということでも必ずしもないかもしれないわけだし、全体のプロセスが信頼を得られるようなものであるということが問われるのだろうと思いますので、そういう目で厳しく見られているという御意見があったということで、よく聞いておいていただければと思います。
 積極勧奨については、科学的な評価を別のところでやって、判断していくことになると思います。
 我々としては、保健衛生上の危害の発生・拡大防止という観点から、監視はきちんとしていくことになるので、今後もこの問題は扱っていければと思います。
 花井さん、どうぞ。
○花井委員 確認なのですけれども、予防接種法においては、ヒトパピローマウイルス感染症という疾病をA類にしているということで、これに対するワクチン接種をA類指定にしたことによって、市町村、自治体が勧奨し、対象者は接種努力義務を負うというのが法律上の立てつけになっているのですが、例えば勧奨するときに、今回の場合だったら、2価、4価、9価とあるのです。欧米ではほとんど9価に入れ替わってきている。2価のところは、メーカーとして負けたので、撤退ぎみで、そうすると、4価、9価を発売しているメーカーが中心になってきている中で、もしワクチンが完全に安全なものだと仮定したら、私がそう思っているわけではないですけれども、そうすると、新製品の9価のほうがいいに決まっているのですが、4価、2価が余っているからといって、それを勧奨するという話には法律上はなっていないのですけれども、どの商品を選ぶかというのは、誰がどう決められるのですか。自治体が決めるのですか。市町村が決めるのですか。それとも個人が決められるのですか。ルールがどうなっているか教えてください。
○磯部委員長 どうぞ。
○予防接種室評価分析専門官 ありがとうございます。
 現状、A類で定期接種化されているものは、2価と4価のみになります。9価に関しては、承認されたのが最近ですので、承認されてから定期接種化するかということはまた審議会で検討して、定期接種化する形になりますので、9価はまだ定期接種化の対象ではないということになります。
○花井委員 それは法律ではないですね。何で決まるのですか。法律は疾病名しか決めていないようです。
○予防接種室評価分析専門官 施行規則で、現状、2価、4価は定期接種ということになっております。
○花井委員 なるほど。法律に基づいた接種規則ですね。法にひもづいた形で一応なっているけれども、法律の条文上には書いていないだけということですね。
○予防接種室評価分析専門官 予防接種法には、製品名で書いてあるわけではございません。
○花井委員 省令か何かで、2価、4価と書いてあるということですか。
○予防接種室評価分析専門官 そういった御理解でよろしいかと思います。
○花井委員 なるほど。分かりました。逆に言えば、4価は男性にも使えるから、男性の任意接種に使うとか、本来いろいろあるわけです。今後どうなるか見ていきますけれども、手続が厳密であって、それが法律に基づいていて、適切に運用されるというところに疑惑が生じるようでは、まずいと思いました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、次の議題に行きたいと思います。資料2-2です。佐藤委員から御要望があったAMEDで実施しているワクチンの安全性評価の比較研究についてということで、健康局から御説明をお願いしたいと思います。
○予防接種室長補佐 それでは、資料2-2「保健・医療・介護・行政データを統合した大規模データベースを活用したワクチンの有効性・安全性の検証に資する研究開発」につきまして、予防接種室の饒波から御説明させていただきたいと思います。
 時間の関係もございますので、適宜割愛させていただきながら、読み上げさせていただきます。
 2ページ目でございます。本研究の背景・目的でございますけれども、ワクチンの有効性・安全性を検証可能なデータベースが必要という問題意識から始まっておりまして、科学的に正しい情報を非接種者等に伝えるために、ワクチンの有効性・安全性を検証可能な大規模データベース構築が必要ではないかという形で、この研究が始まったということでございます。
 3ページ目でございますけれども、現状、ワクチンを接種した方の有害事象については、副反応疑い報告であったり、副作用等報告について、厚生労働省に定期的に報告が来るということでございますが、例えばシグナルについて検証すること、対象となるものが立てられないということで、難しいということになってきております。
 本研究の目的としまして、例えば接種群の有害事象、非接種群のグループをレセプトという形で立てておりまして、そちらを用いることによってワクチン接種と有害事象の因果関係が検証可能になるのではないかということで、研究を行っているところでございます。
 こういったワクチンの検証のデータベースについては、4ページ目でございますけれども、アジア諸国においても構築されているところでございます。
 どういったことがこういったデータベースでできるかということでございますけれども、5ページ目でございますが、例えば対象疾患の発症と医療費との関連性の評価、有効性の評価でございまして、過去の高齢者の肺炎球菌についてのデータも記されていますけれども、一例でございまして、こういった有効性の評価ができるのではないか、成果が期待されるところでございます。
 おめくりいただきまして、安全性の評価につきましても、有害事象の発生との関連性の評価、検証可能ではないかということで、成果が期待されているところでございます。
 7ページ目でございますけれども、こちらの研究でございますが、2021年から始まっておりまして、現在の進捗状況として、STEP5まで全工程を実施できている自治体は2自治体ということで、適宜研究を進捗していっている状態でございます。
 8ページ目、こういった研究を進めていくに当たって、様々な課題が見えてきたということでございます。8ページ目から9ページ目にわたって、課題であったり、対応策について整理されているところでございます。
 9ページ目でございますけれども、ワクチンの課題とその対応策について、研究班の先生の問題意識としては、例えば自治体への費用の支出であったり、データ送信、環境構築といったインフラの整備であったり、データ精査等の専門的な知識、専門的な人材等についての必要性を述べられているところでございます。
 10ページ目でございますけれども、この研究の目的、最終的な目標としましては、日本版VSDの創設ということで、例えば米国、英国、デンマーク、フィンランドについては、予防接種歴と医療記録を合わせたデータベースが導入されているところでございます。市民共通のIDの欠落といったところや、日本と海外の医療制度等が全く一緒ではございませんので、AMEDのこの研究で、例えばデータベース構築、統計解析のノウハウを蓄積していくことによって、日本版VSDの創設を目指している研究となります。
 簡単ではございますけれども、説明については以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 資料に基づき御説明をいただきましたけれども、この点、御質問、御意見がございましたら、どうぞ。
○佐藤委員 佐藤です。
 御説明ありがとうございます。
 今の資料の中には、新型コロナワクチンは記載されていなかったかと思うのですけれども、それについてはまだやられていないと理解してよろしいのでしょうか。
○予防接種室長補佐 新型コロナワクチンについて、国民の皆様の注目度が高いというのは、研究班の先生も承知しているところではございますけれども、もともと予防接種台帳とレセプトデータを共に使うという研究でございますので、例えば新型コロナのHER-SYSデータであったり、そういうものが必要なのかどうかというところで、今、検討していただいている状況だと聞き及んでおります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
○佐藤委員 ありがとうございました。
 もう一点ですが、新型コロナワクチンに関しては、接種後の死亡が最大の懸念事項だと思うのですが、それに関して、レセプトでは死亡というのは全部つかまえられないということだと思うのですが、むしろ住民基本台帳とか、何らかの死亡の情報がきちんと分かるデータとのリンケージが必要だと思うのですけれども、それについての検討はなされているのでしょうか。
○予防接種室長補佐 死亡データなどの検討状況につきましては、研究班の先生でないと答えられない質問になりますので、申し訳ございませんけれども、私からは答えられないところでございます。
○佐藤委員 ぜひ今後の検討課題にしていただきたいと、要望いたします。
○磯部委員長 佐藤委員からは、そういうアイデアは前にも伺っていて、ぜひ一つの意見として、研究班の先生にも伝えていただけたらありがたいと思います。ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。伊豆津先生はよろしいですか。
○伊豆津委員 私も佐藤先生と似たような話ではあるのですけれども、この研究の中で長い目で見る疾患と流行が急に大きく変化するような疾患とで、やり方が違うような研究方法、また、データが必要なのかどうかについて、もしあれば教えていただければと思います。お願いします。
○予防接種室長補佐 疾患による解析手法の差についてでございますけれども、疾患の差も含めて、こういったデータベース研究で、どのような内容が出せるのかというところについても、こちらの研究で課題として行っていただいているところでございますので、研究の成果を踏まえて、国としても迅速・効率的に有効性・安全性を評価できるシステムの構築を考えていきたいということでございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、この件はよろしいでしょうか。
 今やっている最中ということで、今後、進捗して、さらには研究成果を共有できるような段階になれば、改めて説明いただくことができればいいと思います。ありがとうございました。
 それでは、続いて、資料3です。これは佐藤さん、お願いします。今後この委員会で検討すべき課題ということで、資料の御提出をいただいているのですが、時間があれなので、手短にお願いできればありがたいです。
○佐藤委員 それでは、手短に説明させていただきます。
 資料3は、以前、事務局とも今後この委員会で何をすべきかということに関して、少しディスカッションをした経緯がありまして、その中で、日本薬剤疫学会は医薬品の安全性の評価に関しての専門的な学会なのですけれども、その理事の先生方に今後この委員会で検討すべき課題について御意見をいただきたいとお願いをして、ヒアリングをさせていただきました。
 数人の理事の先生から御意見をいただきまして、その内容をこちらでまとめたものです。ですので、ここに書かれている意見は、理事個々の意見であって、日本薬剤疫学会の全体の見解でもありませんし、私個人の意見でもありません。そういうことをお含みおきいただいて、お聞きいただければと思います。
 1番目は新型コロナワクチンの安全性に関する評価方法についてですけれども、先ほど質問させていただいたように、ワクチン接種後の死亡やアナフィラキシーなどの重篤な有害事象の発生との因果関係の評価に関しては、一例一例の評価は難しい面がありますので、接種した群と非接種の人々の間での比較が必要であろうということで、死亡に関してはワクチンの接種台帳のデータを死亡の統計などと照らし合わせることが必要ではないか。そういうことが実際にできるのではないか。死亡以外の有害事象に関しては、今、御説明があったように、レセプトのデータとリンケージした研究が必要ではないかということが1点目です。
 2番目の薬害肝炎検証委員会の最終提言に対する進捗と成果の確認ですけれども、例えばGPSP省令の改正により、製造販売後のデータベース調査が加わったのですが、それがどの程度行われているのか。あるいはMID-NETというPMDAがつくっているデータベースがあるのですけれども、MID-NETだけではそこに参加している医療機関以外のデータが分からないという点がありまして、1人の患者さんを追跡することができないのです。その患者さんがMID-NETにデータを提供している病院にかかっている間は、データが分かるのですけれども、ほかのクリニックにかかったデータなどは拾えないので、問題がある。MID-NETだけではきちんとしたことが分からないということがあるのです。そういう面では、例えばレセプトのデータを電子カルテのデータなどとリンクするようなことも必要ではないか。そういうことも今後の検討課題ではないかということです。
 3番目です。個別の副作用報告制度についての見直しです。今、新型コロナワクチンの接種後の死亡や様々な有害事象についても、ツイッターなどのSNS上にたくさん上がっているわけです。そういうものを見ると、実際に厚労省に報告されている接種後の死亡例というのは、そのごく一部でしかないということが、何となくうかがい知れるわけですけれども、実際上がどうなのかということがよく分からないのです。厚労省に報告が上がったものだけで評価しようとすることに限界もあるのではないかということがあって、そういうことを考え直す時期に来ているのではないかというのが、もう一つの御意見です。
 4番目です。目的に整合した医薬品安全性監視活動への移行ですけれども、比較群を設けない使用成績調査というのが、長年、日本では半ば慣例的に行われてきたところがあるわけですが、一律に比較群を設けない使用成績調査をやることに意味があるのかとか、それなりにコストや労力がかかって、これは企業にとってお金がかかるだけではなくて、医療機関の医師も相応の労力を使わなければいけないのですけれども、本来的になかなか目的に合致しない調査に、時間・労力を費やすことに非常に無駄があるかもしれないということです。目的に応じて比較群を設けた調査が必要であれば、比較群を設けた調査を行うべきであるということだと思うのですけれども、今後はもう少し目的に合致した調査に限定するとか、フォーカスを当てて行うことが必要ではないかということです。
 5番目です。これは新型コロナワクチンについても言えることですけれども、ワクチンの安全性あるいはリスクに関して、誠実に情報を国民の皆様に開示していかないと、いつまでたってもデマや憶測が独り歩きするということ、本当の意味での信頼が得られないということです。厚労省が説明している内容に信頼がなければ、何の情報を信用していいのか全く分からない状況になります。今、新型コロナのワクチンについても、接種を受けるべきか、受けないべきかということの判断が、人によって非常に大きく異なっているということだと思います。ですから、まずは信頼できる情報をきちんと開示する。リスクに関する情報についても、信頼できる情報をきちんと開示して、その情報を共通の理解としてみんなが共有した上で、接種を受けるのか、受けないのかということの判断ができるようにならないと、いつまでたっても不信感だけが渦巻いている状況になるのではないかと懸念されます。
 6番は人材の育成とアカデミアの活用に関してです。肝炎検証会議の最終提言でも薬剤疫学などの専門家の育成が必要であるということが言われたわけですけれども、そういうことがまだまだ十分ではないということ、そして、PMDAあるいは厚労省の様々な審議会等の中でも、医薬品の安全性の評価に関しての外部専門家の活用というのが、まだまだ十分ではないということです。
 7番目ですけれども、PMDAの組織形態あるいは業務の在り方に関しても、いろいろな疑問が出されました。一つは、疫学の専門家がどういうふうに組織上位置づけられているかということです。PMDAの中に疫学の部門があるそうですけれども、疫学の専門家が審査部門や安全対策部門の業務にどのように関与しているのかという点で、十分な関与ができていないのではないかというのが一つ疑問点です。
 もう一つ、MID-NETに関してです。これはPMDAが鳴り物入りでつくったデータベースなのですけれども、信頼性あるいは適合性の審査、信頼性の保証に関する点ですが、製薬企業がMID-NETを使ってデータベース調査を行ったときに、信頼性が保証できるのかという、GPSPへ適合するのかということを確認するのもまたPMDAであるということです。自分のところのデータベースを使って企業がやった、その結果をPMDAがまた確認するということで、同じ組織内にあるというところが、ある種の利益誘導になるのでないかという問題点です。あるいはMID-NETを使ったものについては、審査が甘くなるということがないのかという懸念です。
 それから、副作用のシグナルに関してです。今、副作用報告データベースは、医療機関で副作用と疑われた症例が製薬企業を通じて、あるいは医療機関から直接厚労省、実際上はPMDAに報告されているものがあります。そういう症例の報告の蓄積がたくさんあるわけですけれども、そこからさらに安全対策上重要と思われる副作用シグナルを検出し、シグナルが検出されたものについて、それが本当に重要な問題なのかどうか、シグナルの仮説の強化・検証のプロセスということをきちんとやっていく必要があるわけですが、その辺りをどのように体系的に行っていくべきかということに関しては、日本は欧米から少し遅れていると言わざるを得ない点があって、こういうことについても、今後、体系的に行う体制が必要ではないかという意見が出たということでございます。
 これらについて、今日は議論する時間がないと思いますけれども、今後の検討課題として、この委員会としても順次議題の中に入れていっていただければと思っております。
 私からの問題提起は以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 ほぼ予定の時間になってしまいましたが、十分な説明をいただきました。
○佐藤委員 申し訳ございません。
○磯部委員長 委員の先生がこの委員会で議論すべきだと言って出してこられたものですから、ここはきちんと私たちで共有するべきだと思いますし、今日はこの後時間がないので、議論はできませんけれども、例えば委員の中で、メーリングリストで少し意見を言っていくとか、そういったことをやっていければと考えております。
 花井さん、手短にお願いします。
○花井委員 今、佐藤委員から中期的な問題、中期的な問題、いろんな問題を全面展開していただいたのですが、この委員会のアジェンダとしては3トラックあって、一つは定例的に報告を受けてチェックする案件、中長期的なことを検討する案件、もう一つはアドホックに固有のものを扱うという、これが三つのトラックだと思います。
 問題は今までのこの委員会で、ワクチンについて、アドホックなものという扱い方のまま、ずるずると来ました。今、進行しているので、次回までに先生方に提案なのですけれども、佐藤委員の一つ目の評価について、先ほどの評価法と似ているのですが、要するに特例症例で接種しているものを、今だとコントロール群がどんどん接種して、死亡例は全員打っているわけだから、比較ができなくなるのですけれども、今後、1回、2回、3回、4回と増えていくと、十分にコントロール群を置いた調査ができるので、台帳とレセプトを比較して、欧米のようにコントロールを置いた形でのCOVID-19のワクチン評価については、国として責任を持って行うべきという、この委員会としての提言というか、リコメンドを取りまとめて、早急に提出するのはどうか。
 内部にも背中を押してほしいという向きもあるようですし、国が責任を持って臨時接種なり、特例承認をしたのだから、本来はメーカーの責任なのですけれども、特例承認の場合はメーカーが売りたいというよりも、売ってほしいということでやっているので、そういう意味においては、メーカーに偉そうに言えないというか、そういう力関係もありますので、それは国が保障する話なので、次回までにこの委員会として、この点についてだけでは、至急リコメンドできないかということを提案しておきます。
 先ほどのAMEDの手法と似ていると思いますけれども、もちろんPMDAも含めてですが、国としてそれをやることが重要ではないか。東京都などの協力を要請するのも、国としての方向性が出ないとなかなか難しいので、東京都だけでもいいのですけれども、協力できる自治体、市町村とやるということを、国としてやるべきということを、ここの委員会としてまとめたいというのが私のお願いです。これはいわゆるアドホックなものに対する対応として、一つのアウトカムとして提案します。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 重要な話だと思います。何事もタイミングが大事だと思いますし、今の御意見は後でメールにして、委員の間に投げていただけますか。我々が調査して、議論して、その上でやらないとできないだろうと思いますし、むしろ実質の議論をもっとしたいという気がいたします。
 もう時間ですけれども、泉さん、とても手短にお願いします。
○泉委員 私は花井さんの意見に賛成です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、大北先生にお入りいただいているので、ビデオをオンにしていただきまして、予防接種の倫理についてということで、お話をいただきます。
 今日は、お忙しいところ、大北先生、ありがとうございます。委員会の委員一同、感謝申し上げます。
 今回、大北参考人に御参加いただく背景としましては、新型コロナワクチンの接種が、予防接種法上、御存じのように努力義務であって、本来、個人の自由意思に基づいて接種するかどうかを決めるところですが、ワクチン接種は個人の置かれている環境、条件によっては、事実上の強制になっているのではないかという問題意識があったので、これを踏まえて議論することになります。
 予防接種法上のコロナワクチンの位置づけであるとか、接種をどう取り扱うかということは、直接この委員会が取り上げる事柄ではありませんが、巡り巡って事実上の強制が何らかの安全性に関わらないとも言い切れないということで、関心は持つのだろう。委員会としては、ワクチン使用による保健衛生上の危害の発生・拡大の防止という施策がどういうふうに運営されて、実施状況をどう評価できるかという観点から論ずるべき論点ではないかということで、まず御発表いただいて、議論できればと思っております。
 改めまして、大北先生、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。15分ほどで予定しておりますので、お願いいたします。
○大北参考人 貴重な機会をいただきまして、私のほうこそ、ありがとうございます。
 予防接種の倫理ということで、10分ぐらい前からお伺いしておりましたけれども、既に皆様が十分に考えていらっしゃること、重要だと思っていらっしゃることを繰り返し確認するようなことにしかならないかもしれませんが、公衆衛生倫理というのは、議論する上でのフレームといいますか、重要なのはこういうポイントではないのかということを提示する分野になりますので、新しいことはあまりないかもしれませんが、お聞きいただければと思います。
 資料に予防接種の倫理とございますが、予防接種、ワクチンに関する公衆衛生上の倫理という点でいうと、大きくは二つ論点があります。配分に関する議論、今日はこちらではなくて、自主的であるべきなのか、それとも強制的であるのかということについての議論と大きく二つありますが、後者を中心に今日は確認していきたいと思います。
 ここで、強制という言葉を使用していることについて、確認というか、お伝えしたいのですけれども、おおむね私が参照しているのは、WHOをはじめ、英米系の議論を中心にしています。なので、英語文献上はマンダトリー(mandatory)が使われています。これをどう訳すのかというのは、非常に難しいところがありまして、義務的と訳すほうが穏やかだとは思うのですけれども、義務的と訳しますと、既に日本の予防接種法では、定期接種のA類とか、今回のCOVID-19のワクチンのようなものは、努力義務が課せられている状況には一応なっていますので、義務的というと、そこが混同すると思いましたので、そういうものではないという意味合いを含めて、あえて強制というちょっと強い言葉を使っています。逆に言うと、今の日本の予防接種法の制度上には含まれていない体制のことを強制ということで意味していると、まずは捉えていただければありがたいと思います。
 自主的あるいは強制的接種ということに関して、公衆衛生倫理で議論するときには、実体的と言うことがあります。これも訳し方が難しいところがあるのですけれども、そもそも自主的がいいのか、強制的がいいのかというレベルの議論の仕方と、どちらかに決める決め方とか、実施の仕方という手続的なもの、どういう手続を踏んで進めるのが妥当なのかという、この二つの次元の議論があります。公衆衛生の場合、後者、手続的なところがちゃんと妥当な手順を踏んでいるかということを重視する傾向にあることも、お伝えできればと思います。
 3ページ目の公衆衛生倫理は、ワクチンに限らず、概要ということで、非常に大まかにまとめさせていただきました。
 主な問いというのは、公衆衛生は個人から企業、いろんなエージェントが関与いたしますが、最終的に法制度に基づいて実施する主体ということで、国家が出てくることになると思います。国家、日本などの集団の健康に影響を与える政策をする、あるいはしないという不作為も含めて、どこまでそういったことが許容されるのかということが議論になってくる。
 その程度も倫理的課題としては、人権上の用語ですけれども、自由権的な課題、どこまで自由を制限するのか、隔離とか、あるいはプライバシーのリスクとか、そういうポイントもあれば、社会権的な課題、健康的な生活をどこまで公平に享受できるように、国家側あるいは行政側が担保するのかといった両側面の議論があります。
 予防接種は両方の議論がありまして、重要な健康を享受するための一つの武器というか、道具になると思いますので、アクセスを担保するという意味での社会権的な要件と、強制されない、されるべきかといった自由権的な課題の両方を含むことになります。
 こういう公衆衛生の施策について、倫理的要件ということで五つほどにまとめました。
 これは一つの学説にしかすぎませんけれども、こういった施策を検討するとき、倫理的妥当性を検討するポイントとして、そもそもその施策が有効なのか、あるいはメリット・デメリットは均衡が取れているのか、そもそもそういう施策をする必要性があるのか、実施する必要性もあるし、有効であると判断されたとしても、個人等に与える被害というか、損害を最小限に抑える工夫、あるいは取組がなされているのかということ、四つ挙げられます。
 おおむねこちらはその施策が妥当か、妥当でないのかという実体的なことを検討する上でのポイントとして提示されるもので、最後に公的な正当化という要件が公衆衛生倫理上では非常に重視されます。public justification、うまくない訳し方だと思うのですけれども、公的にそういう施策を正当化することがちゃんとできているかどうか。どうしても公衆衛生ですので、一般の臨床医療のように、ちゃんと説明をした上で患者から同意を得るという、インフォームド・コンセントのプロセスが難しい。今回のCOVID-19のような感染症の場合はほぼできないので、ある意味で先走って行政側が施策を打たざるを得ない。そうなったときに、施策の妥当性を公的に公開でき、市民レベルで検討できるような状況になっているのか。施策をした後に、施策が本当に妥当だったのかという事後検証も非常に重視されますけれども、そうした手続も経た上で、事後検証自体も透明性を保ってなされているのかというところが、もう一つ、公衆衛生倫理としては重要視されるポイントになります。 
 こうした自由権的課題、社会権的課題ということで両方を見据えると、個人の自主的な行為によって公衆衛生の目的が達成されるということが、一番コンフリクトがない状態なので、望ましいと言えます。日本の感染症法も基本的にはそういう理念で成立していると理解しておりますが、そういったことを目指す上では、個人が自身の主体的な行為によって達成できるような、それが容易になるような、そういう環境を整えるという責務が主に国家等の行政側にはあるという議論もあります。Stewardship modelという表現で支持されることもあります。
 ワクチン接種ですが、これはCOVID-19に限りませんけれども、資料の4ページ目です。強制的接種を正当化するといった場合、いろいろな議論があるのですが、大まかには危害原理という表現と功利主義的議論がございます。本来は危害原理も功利主義に含まれるのですけれども、危害原理と功利主義的議論の二つ、ちょっと聞き慣れないネーミングかもしれませんが、挙げさせていただきました。
 危害原理というのは、単純に第三者に危害を及ぼさない限り、市民は自由であるという理念を表現したものですけれども、ひっくり返していうと、第三者に危害を及ぼす場合は、公的な制限を加えられるべきだ、ある干渉がなされるべきだという議論です。これが公衆衛生の自由権に関しての制限の正当化によく使われますけれども、ワクチンの場合は、ワクチンを打っていないという状態が、他者危害とまで言えるのかというところで議論が分かれます。十分にそう言い得るという論者もいますし、そこまでは言えないという論者がいるという話です。
 次に功利主義的議論といった場合には、ベンサムの最大多数の最大幸福というスローガンで御存じだと思いますけれども、利益が大きくなるような形で(行為が)なされることが正しいとなると、リスクが十分に小さくて、得られる利益が大きい場合は、なるべく利益を確保する方向で強制的な手段も妥当だろうという議論があります。
 代表的なものは、シートベルトとか、ヘルメットです。あれも個人がけがをするだけなのですけれども、強制的なものになっています。シートベルトをしたり、ヘルメットをかぶったところで、あまり負担はないでしょう。それに比べて、シートベルトをしたり、ヘルメットをすることによって、個々人であっても、けがとか、死亡が減るということは、やはり全体的にハッピーだという発想で義務化するという議論があります。
 duty of easy rescue、簡単に救済できるのだったら助けるべきでしょうという議論ともパラレルに議論されることがありますが、そうした背景で、例えばワクチン接種のリスクが十分に低くて、それで広く接種が広まることによって、社会全体あるいは世界全体として得られる利益が非常に大きい場合であれば、強制的に持っていくほうがいいでしょうという議論の根拠にもなります。
 もちろんこの議論は、安全性と有効性をどう評価するかということ自体で、議論が非常に分かれてくる。特に安全性をどう評価するかです。シートベルトのようなものだと、Peter Singerという、こちらの分野では有名な生命倫理学者がいますが、シートベルトになぞらえて、接種を強制してもいいのではないかという議論を展開している人もいますが、もちろんシートベルトと同じようには語れないという議論もあります。
 5ページ目からですけれども、資料の5ページ、6ページ、7ページというのは、今回のCOVID-19ワクチンに関しての強制接種、マンダトリーについての議論を大まかにまとめたものになります。一番参照したものは、WHOが2021年に出しているものでして、それをベースに、ところどころ他の論者の議論を付け足した紹介になっているものだと理解いただければ、ありがたいです。
 5ページの倫理的要点1というところで、まず強制とは何なのかというところですけれども、正直に言いまして、考えがぶれているところがあると思います。WHO自身は何らかの制限を直接・間接にかけることという形で、非常に曖昧な表現を用いているところがあります。
 もう一つ突っ込んで、個人にとってよりよい選択肢を剝奪するという表現をしている論者もいます。例えばどういうことかというと、オーストラリアではNo Jab No Payという、これはCOVID-19ではないのですけれども、そういうポリシーがあるようで、例えば麻疹といった幼児のうちに打つワクチンですが、打たない場合には、子供が受けるべきであろう社会保障的なものは、何らか制限をかけられるというポリシーのようです。
 こちらも正確には理解が及んでいないところがありますが、そうすると、よりよい選択という表現で何を言っているかというと、個人にとってはワクチンも打たない。けれども、十分な社会保障は受けられる。Aという選択もBという選択も享受できるというのが、個人にとっていいわけだけれども、No Jab No Payだと、ワクチンを打たない、Aという選択をすると、社会保障のBを受けられないとなるので、こういうものは強制だという表現をしている人がいます。これはある程度曖昧な中で、これが正しいわけではないのですけれども、一定の考える軸は提示していただいていると思います。なので、強制なのかどうかとなると、ある程度ペナルティーの有無というところに具現化してくるかとも思います。
 ペナルティーに関しては、世界レベルでも罰金とか、教育機会というのは、入学要件にしたり、一時休まざるを得ないとか、様々あるようですけれども、そういったものが問題になってくるということです。
 私が参照した範囲にしかすぎないですけれども、論者の中では、強制とは考えられないものとして、オプトアウトがございます。基本的には受けることになっているけれども、嫌だと言う人は拒否できるというやり方の場合とか、あと、インセンティブ、受けた人にはこれをあげますというタイプのものについては、特段選択の幅を減らしていないということで、強制ではないと位置づけているものもあります。
 ただし、オプトアウトも、嫌だという手続が非常に難しいと、強制にほぼなっているという指摘もでき得るかと思いますし、あと、インセンティブのところに、私の資料ではワクチンパスポートと記載しましたが、ワクチンパスポートにつきましても、今の、制限があるという生活をデフォルト、前提に考えると、ワクチンを打ったらある程度自由が享受できるというオプションを得られるという意味では、制限されるわけではないのですけれども、もともと制限がない生活をデフォルトというか、基準に置いて考えると、ワクチンを打たない限りは、その生活ができないという話になるので、どう考えるのかというのは、議論が分かれると個人的に思うところはあります。
 6ページは、WHOの議論がベースですけれども、先ほどいった実体的、手続的で分けたところの実体的を考える上でのポイントをまとめました。
 必要性ということは、お分かりいただけると思います。公衆衛生上の重要な目的として、それが課題になっているかどうかです。重大でもないのだったら、必要性もないという話だと思います。
 釣合いという表現はいろいろと使われますが、この場合は強制的ではないボランタリーな、自主的なやり方と比べて、強制的なほうがよりメリットも高いのかどうか。そういう意味で釣合いが取れているのかというところで、議論としては出てきています。
 安全性については、十分エビデンスに基づいているのか。
 それから、ワクチンの承認に関して、管轄機関が責任を持って承認をしているワクチンであるのか。ここについては、アメリカであったと思います。今は正式に承認されたと思いますけれども、当初は緊急承認状態で実施していたので、そういった状態では義務化は無理でしょうというレベルで言われておりました。
 あと、安全性についても、経時的なモニタリングが重要であることと、やはり並行して被害が出た場合の公的な補償を担保することが重要だという指摘です。
 有効性もお分かりになるかと思います。
 (十分な供給については)十分にワクチンが供給されている状態にある、希望している人がハードルなく容易に受けられるという状況になっていないと、強制も何もないだろうという話です。この辺りは実体的なポイントとして規定されているものになります。
 7ページ目に移りまして、ワクチンの強制接種をめぐる倫理的要点として、ここは重要だと思います。公的にちゃんと信頼を受けられるような形でのポリシー、あるいは手続を踏めているかどうかというところが、ワクチンの接種に関しては重要になってくるかと思います。
 信頼を得るという意味合いでは、下に書いています倫理的な決定プロセスを経ているか。これはやや繰り返しになりますけれども、重要になってくるのは管轄機関による透明性のある決定過程が担保できているのかというところになってくる。
 少し飛ばしまして、特に安全性に重点を置かれると思いますけれども、モニタリングとか、進行していく上で出てくる症状などは変わってくると思いますので、随時、新しい知見が出てきたときの再検討といったところが求められるということになると思います。
 8ページの検討課題ですけれども、COVID-19ワクチンの場合はどのような接種の在り方が望ましいのかというところに、一つの議論のポイントがあると思います。
 倫理的諸要点に関しての総合的な検討は、10代でどうなのかとか、高齢者でどうなのか、言わば対象者によって区別して議論することが必要になってくるだろうと思います。
 次にどういったポリシーが妥当なのかという実体的なところをある程度見据えた上で、強制が望ましいのか。ナッジと書きましたけれども、ナッジというのは、強制まではしないのですが、なるべく受けるように、あの手、この手で環境的な装置をつくるということです。
 そこまである程度かなり強制ではないけれども、圧力をかけていくことをよしとして考えるのか、あるいはインセンティブぐらいのレベルにするのか。それとも、もっとあらゆるもので、本当にその人自身が望むか、望まないかという自主的なところまでレベルを下げるかというような、そうしたところが検討課題になってくると思います。
 そういうことで、職域接種などは、本日の課題になっていると思うのですけれども、学校の集団接種をどう考えるのかというところは、議論が分かれてくるところだと思います。
 決定手続の適切さのところに関わってきますが、ここも重視する点ですけれども、管轄機関、ちゃんとした主体を持つ機関が、責任主体として明確に透明性と説明責任を確保した上で実施できているかどうか。
 信頼性の確保のところでは、特に安全性の評価とモニタリングのところが求められることになるのではないかと考えております。
 少なくとも集団接種等に関してですけれども、これもアクセスを担保するという意味で、肯定的に考えることも可能だとは思いますし、それとも、同調圧力等で集団接種で圧力をかけるやり方が望ましくないと考えるかというところも、議論が分かれるところだろうと思います。
 ただ、公的な厚労省等の管轄機関において、自由に打つべきものだというポリシーを提示している以上は、それで末端まで一貫するということが責任主体の明確化及び透明性の確保になると思います。
 プライベートセクターで適当なことが行われているとなると、一貫性は取れていませんので、一貫してある程度のナッジのような強い圧力的なものでよいと考えるのであれば、それは公的な管轄機関でちゃんとした責任ある提示をすることが必要になってくるのではないかと思います。
 長くなりましたが、私からは以上です。
○磯部委員長 大北先生、ありがとうございました。
 本当に興味深い論点のお話をたくさんいただきました。研究会をやったら、あと90分できるという感じがしますけれども、質問や意見はいかがでしょうか。若干でも議論の時間を取りたいと思います。内田先生、どうぞ。
○内田委員 医療機関の場合は、自分の身を守るという意味もあるのですけれども、もともと4種のワクチンというのは、医学生ですらそこをやらないと、臨床の現場に出られないということで、それは法律で決まっているわけではないのですけれども、そういう枠組みで動いているわけです。
 そうしたときに、それはどちらかというと、自分がその病気になるよりは、患者さんにうつしてはいけないというプロフェッショナリズムだったり、そういうものがある意味自分のことよりも、人のためにというところに立って、ワクチンを打っている部分もあるのですけれども、そういったことを医療者ではない人に期待してはいけないかもしれないのですが、そういったことも啓蒙していけたらいいということが一つです。
 医療者に限っては、今、私も悩んでいるのですけれども、うちの病院でも全員がCOVIDのワクチンは打っていないわけですが、管理者としては打ってほしいという本音もあるわけです。その辺のときに職業によっては、ある程度こういった部分のいわゆる強制性というのは、どの程度発揮することが許されるのか、何かお考えがありましたら、教えていただきたいと思います。
○磯部委員長 大北先生、お願いします。
○大北参考人 ありがとうございます。
 グループごとによって強制的であるべきかどうかと分かれる議論になっています。その中で医療者をどう考えるのかというところはターゲットになっていて、確かに比較的自身の脆弱性もありますが、対患者に対する保護といった点で、強制的であることがある程度認められ得るという議論は多いというか、説得力はあると個人的に思います。
 先ほどプロフェッショナリズムとおっしゃいましたように、医師の場合はこういう言い方をしては何ですけれども、自身で選ばれた職業のところもありますので、そういったことも含めて、他の一般的な市民ということとは別枠で、ある程度の強制性を担保するという議論は十分にあり得ると私も考えています。
○内田委員 ありがとうございます。                                
○磯部委員長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○佐藤委員 佐藤です。
 今の内田先生の議論に関係するのですけれども、COVID-19のワクチンに関しては、そもそも感染予防効果があるのかということに関するエビデンスがどの程度あるのかによって、今の議論は変わってくるのではないかと思っているのです。
 そういう意味では、臨床試験で感染予防効果がきちんと証明されたものは、私はきちんとしたランダム化比較試験ではまだないと思っているのですけれども、疫学のデータでは、そこそこそういうものを示唆する結果も出ている辺りをどのように整理していくのかというのは、一つの課題だと思っています。
 そこがはっきりして、このように感染予防効果があるのだということが示されないと、説得力を持った議論にならないのかというのは、今、私の思っているところです。質問ではないのですが、コメントです。
 以上です。
○磯部委員長 大北先生、いかがでしょうか。コメントはありますか。
○大北参考人 ありがとうございます。 
 確かに6ページ目の四角で枠をつけて、飛ばしていますけれども、バランス、安全性という構成で、今、佐藤委員から御指摘されたのは、有効性ということで、どこまで、どういった性質のものが示されているのかといった指摘だと思います。
 そこも踏まえた上で、有効性が確かにそれほどではない、ある意味で感染予防効果という点でそれほどではないことになってくると、強制力を推す根拠としては弱くなるといった考えになってくると思います。そこはそのように意見が分かれてくるところだと思います。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 COVID-19のようなケース、あと、予防接種一般はいいのですけれども、とにかく新しい病気だというときだと、安全性は少々分からなくてもやったほうがいいのか、しかも、それをもっと義務づけるという方向で行くのがいいのか。そうであるからこそ、慎重で行くほうがいいのかといった、パンデミックのときの予防接種というのは、特殊な要素があるのでしょうか。
○大北参考人 ありがとうございます。
 ワクチンに限らず、ロックダウン等もそうだとは思うのですけれども、特に感染症などの公衆衛生施策の場合、先ほど冒頭で言ったように、分からないうちで見切り発車をせざるを得ない性格を本質に持っているものだというのが重要なのだと思います。
 そういった点では、安全性に関しても、先ほど磯部先生に御指摘いただいたように、そこで手間取っていると、何も手が打てずに、後から振り返ったら大失敗だったということも十分にあり得るわけです。なので、ある程度のところで見切り発車をすることも必要になってくるとも思います。
 ただ、そうした点で公的な正当化ではないですけれども、どういう基準で見切り発車をしたのかということが記録として残され、誰がどういう根拠で判断したのかというところが残っていて、それは後で裁判をするということではないとは思うのですけれども、後々のその判断が正しかったのかどうかを検証して、検証後、根拠を持って修正ができるような状況になっているのかというところは、非常に漠然としていますけれども、何よりも重要になってくると思います。
○磯部委員長 非常に重要な論点で、検証可能性という教訓を次の世代にということで、感染症はそういう歴史もあるのだろうと思います。ありがとうございました。
 たくさん議論したいのですけれども、時間がありますので、ここで大北先生からのお話は一区切りとしたいと思います。
○大北参考人 ありがとうございました。
○磯部委員長 最後の議題に行きたいと思います。定期報告、海外調査について、まとめて手短に資料4、資料5の説明をお願いします。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐 それでは、委員会室から御説明させていただきます。
 資料4の定期報告、資料5の海外調査について、まとめてということになります。
 資料4-1の、定期報告の具体的な進め方についてを御覧ください。
 定期報告の対象につきましては、第4回までの監視委員会にて御議論をいただきまして、参考資料4にあります方針が示されております。
 これに基づきまして、今回、実際の報告をさせていただくということで、運用方針を資料4-1のとおりに整理をいたしました。
 資料4-1の2ページ、半分より下の表を御覧ください。
 報告内容は大きく二つありますけれども、まず製造販売された医薬品の情報の部分を御覧ください。定期報告の対象といたしましては、新たに承認された医薬品のうち、先駆け審査指定制度の対象、海外で承認されていないものなど、マル1~マル4の四つが対象となっております。これらは、本日の資料4-2でお示しいたしますが、表形式で取りまとめまして、原則として資料を配付する形で御報告させていただきたいと思っております。
 また、この委員会で御報告いたしました後も、海外における状況として、承認状況や添付文書の情報を調査して、御報告したいと考えております。
 2ページの左下の報告内容のうち、国内における市販後の安全対策の設置状況や、外国での新たな措置の報告状況につきましては、実際には次回以降になりますけれども、御報告させていただきたいと考えております。 こちらも基本的には資料を配付する形での御報告を予定しておりますけれども、例えば緊急安全性情報、いわゆるイエローレターや、安全性速報、いわゆるブルーレターにつきましては、個別に概要を報告するなど、内容によって濃淡をつけて御報告ができればと考えています。
 資料4-2を御覧ください。こちらが実際の定期報告になります。 2ページから製造販売承認された医薬品の情報を整理しております。
 個別の品目の御説明につきましては、本日は割愛いたしますけれども、今回は令和2年1月から、この委員会の1か月前までに承認されて、先ほどの四つの要件のいずれかに当てはまる品目につきまして、品目名、効能効果、承認条件等の概要をお示ししております。今回は全部で31品目を掲載しております。
 次回以降の定期報告では、今回掲載した品目より後、つまりこの委員会の直近に承認された品目のみを御紹介させていただくことになります。 市販後の安全対策の報告につきましては、次回から報告をさせていただきます。
 次に資料5を御覧ください。こちらは新たに承認された医薬品で、先駆け審査指定制度の対象品目等について、欧米での承認状況等を調査した結果をお示しするものになります。
 調査対象といたしましては、今回は、先ほど資料4-2でお示しした31品目となっておりますけれども、今後新たに承認された医薬品で定期報告の対象になったものは、調査対象としてこれに追加していくとお考えいただきたいと思います。
 例えば2ページを御覧いただきますと、通し番号1の品目について、黄色の項目のところに販売名、国内承認日、効能効果等の情報が記載されております。水色の部分に米国FDAの情報、緑色の部分に欧州EMAの情報が記載されております。 この品目につきましては、FDAでも、EMAでも、承認の有無の欄が「なし」となっておりまして、現時点では、FDA、EMAで未承認ということが示されております。
 少し飛んで4ページの通し番号3の品目を御覧いただきますと、例えばFDAの青いところに承認日が記載されておりまして、FDAでも承認されていることが示されています。そのほかにも、現時点で添付文書の改訂履歴があれば、簡潔にまとめております。
 以上、このような内容につきまして、今後定期的に御報告させていただこうと考えております。
 御説明としては以上となります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。この点で御意見等はございますか。
 今後、こういう形でお願いしていき、定期報告については、次回以降は安全対策の措置状況や外国での新たな措置の報告状況についても、併せて報告いただくことを考えておりますけれども、毎回、結構な情報が出てくると思うのです。特に御専門の先生には、慎重に目を通していただき、前回の資料なのだけれども、こういうことがあったということがあれば、ここで取り上げられたらということも考えております。
 以上で本日の議題は終了ということになりますが、全体について御意見があれば、お願いします。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 ちょうど時間になりました。以上で本日の議論を終了ということになります。御協力をありがとうございました。
 それでは、事務局から最後に何かありますか。
○医薬品等行政評価・監視委員会室長 ありがとうございます。
 次回の委員会につきましては、日程を調整の上で御連絡いたします。
 また、議題につきましては、状況を見ながら御相談させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○磯部委員長 それでは、本日の委員会は終了します。長時間ありがとうございました。