第22回社会保障審議会統計分科会 生活機能分類専門委員会 議事録

日時

令和3年9月22日(水)14:00~15:45

審議方法

オンライン会議

出席者

<委員(五十音順)>
出江紳一委員、井上剛伸委員、鎌倉やよい委員、小松雅代委員、才藤栄一委員、長島公之委員、林玲子委員、藤田香織委員、牧野和子委員、正立斉委員、向野雅彦委員、山田深委員

議題

1.委員長の選出について
2.今後の検討課題について
3.その他

議事

 
○事務局
 これより第22回「社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会」を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、お忙しいところウェブ会議により御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 冒頭、進行を務めさせていただきます国際分類情報管理室の鈴木と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 開会に先立ちまして、本日はウェブによる開催ということで、御出席状況の確認と御発言の方法を御説明させていただきます。
 Webex会議の画面下にビデオ、マイクのアイコンがございます。最初はビデオ機能をオンにしていただきまして御挨拶等をさせていただき、議事2に入りましたら接続の安定性確保のため、ビデオ機能をオフにしていただきますようお願いいたします。
 また、マイク機能は御発言されるとき以外はオフにしていただき、アイコンをクリックして斜線が出ているとオフになっております。
 御発言の際は挙手をしていただき、委員長から指名をされましたら、マイク機能をオンにした上でお名前を名乗っていただきまして御発言をお願いいたします。
 また、御発言の終わりには「以上です」と一言付けていただき、マイク機能をオフにしていただきますようお願いいたします。
 会議中に委員の皆様に異議等の御確認をお願いする場面がございます。その際は、異議のない旨を表明する場合はマイクをオンにしていただき、拍手をしていただきますようお願いいたします。
 
○事務局
 では、開会をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず本日の会議資料の確認をさせていただきます。事前に送付いたしました会議資料を御覧ください。
 まず、議事次第がございます。
 その後に、資料1「今後の検討課題について」
 資料2「ICFを巡る国際的動向と展望(山田委員提出資料)」
 資料3「ICFの普及に関する取り組みについて(向野委員提出資料)」
 参考資料として、参考資料1「生活機能分類普及推進検討ワーキンググループ成果報告書」
 参考資料2「ICFの概念図とコードの概要」
 参考資料3「ICFに関するこれまでの取り組み」
 参考資料4「社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会運営要綱」
 参考資料5「社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会委員名簿」
 資料の確認は以上でございます。
 議事に入ります前に、幾つか御連絡がございます。
 委員会運営について、簡単に御説明をさせていただきます。本委員会の運営については社会保障審議会の運営に準ずること、会議は原則公開であること、議事録も原則公開されることとなっております。
 それでは、事務局のほうを御紹介させていただきます。
 政策統括官付企画調整担当参事官の古舘でございます。
 
○古舘参事官
 よろしくお願いいたします。
 
○事務局
 室長補佐の安藤でございます。
 
○安藤室長補佐
 よろしくお願いいたします。
 
○事務局
 事務局の紹介は以上になりますが、まず最初に参事官の古舘より御挨拶を申し上げます。
 
○古舘参事官
 改めまして、今月14日付で政策統括官付企画調整担当参事官に着任いたしました古舘でございます。本日、委員の皆様におかれましては御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 改めて、この委員会は平成18年にWHOにおいてICFについて検討を行う生活機能分類グループというものが設置されたことを契機として、日本国内においてもICFの効果的な普及啓発を図るということを目的に社会保障審議会統計分科会の下に設置されました。
 以来、これまで21回という多くの議論を重ねていただいております。令和元年からは、本委員会の下に生活機能分類普及推進検討ワーキンググループを設置いただきまして、2年にわたって現場レベルでの普及促進を目的とした検討をいただき、今年の3月、この委員会で成果報告書を御報告させていただいたところでございます。
 一方、国際的にもICFの一部の項目が盛り込まれたICD-11、これは来年1月、WHOで発効が予定をされております。このICD-11の第V章、あるいはICFそのものの活用がこれからますます求められていくという中で、この委員会で多様な現場で広く活用される方策を目指して御検討いただく。これは誠にありがたく、大変重要なことと考えております。
 委員の皆様におかれましては、専門的見地からぜひ忌憚のない御意見をいただきまして、活発な御議論を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 
○事務局
 それでは、専門委員の先生方を御紹介させていただきます。事務局でお名前を申し上げましたら、自己紹介と簡単に一言コメントをお願いいたします。
 出江紳一委員が、遅れて参加するという御連絡をいただいていますので、まずは井上剛伸委員からよろしくお願いいたします。
 
○井上委員
 国立障害者リハビリテーションセンター研究所の井上でございます。福祉機器を専門でやっておりまして、ICFのほうでは環境因子、特に製品とか、その辺りが中心に興味があるというところでございます。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 奥平真砂子委員は、本日欠席という御連絡がありました。
 鎌倉やよい委員、お願いいたします。
 
○鎌倉委員
 鎌倉でございます。現在は日本赤十字豊田看護大学で学長をしております。看護の立場から参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 小松雅代委員、お願いいたします。
 
○小松委員
 大阪大学の小松と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 こちらのほうの委員に拝命いただきまして大変うれしいことだと思います。また、大変恐縮ですけれども、私の意見が少しでもお役に立つことができるように頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 才藤栄一委員、お願いいたします。
 
○才藤委員
 才藤でございます。藤田医科大学教授で、専門はリハビリテーション医学です。この委員会には比較的長く関与させていただいています。今後ともよろしくお願いします。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 長島公之委員、お願いいたします。
 
○長島委員
 日本医師会で常任理事をしております長島公之です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 林玲子委員、お願いいたします。
 
○林委員
 国立社会保障・人口問題研究所の副所長をしております林玲子と申します。どうぞよろしくお願いします。
 人口や健康のどちらかというと統計という立場から、障害指標だとか、そういう研究をしていることからこの委員会に参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 藤田香織委員、お願いいたします。
 
○藤田委員
 国立病院機構沖縄病院で呼吸器内科をしております藤田と申します。診療情報管理士も持っておりまして、診療情報管理学会と一緒にICDだけではなくICFのほうも今後勉強していきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 牧野和子委員、お願いいたします。
 
○牧野委員
 日本介護支援専門員協会副会長、牧野和子と申します。利用者の尊厳の保持と自立支援を目指して、多職種連携を含む形でケアマネジメントを行っている職種でございます。先生方にいろいろと御意見を賜り、持ち帰りたいと思うものもたくさんございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 正立斉委員、お願いいたします。
 
○正立委員
 全国老人クラブ連合会の正立と申します。それぞれの地域にはおおむね60歳以上の高齢者から構成する老人クラブという組織がございますが、当会はその全国組織となっております。高齢者の当事者団体ということで参画しておりますので、他の先生方と違い、特に専門的な知見を有しているわけではございませんので、その点、御容赦いただければと存じます。
 当会としてICFの普及、または今後の取組にどのように関われるのか、または関わっていけばいいのか、委員の皆様方の御意見をいただきながら考えていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 向野雅彦委員、お願いいたします。
 
○向野委員
 藤田医科大学の向野でございます。私は昨年度まで生活機能分類普及推進検討ワーキンググループで座長として働かせていただきまして、今年度から参加させていただくことになりました。どうかよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 山田深委員、お願いいたします。
 
○山田委員
 はじめまして、杏林大学から参りました山田と申します。私は、専門がリハビリ医学になります。5年ほど前からWHO-FIC、日本協力センターの一員としてFDRGのほうに参加をさせていただいておりました。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
 ありがとうございました。
 本日の出欠状況ですが、奥平委員が欠席でございます。また、出江委員は遅れて参加という御連絡をいただいております。委員の3分の1を超える御出席をいただいておりますので、運営要綱に従い、本会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 では、議事に入らせていただきます。
 まず議事1の本委員会の委員長の選任を行いたいと存じます。各委員の先生方、どなたか御推薦をいただけますでしょうか。
 林委員、お願いいたします。
 
○林委員
 委員長の推薦ですが、才藤栄一委員を委員長に推薦したいと思います。
 
○事務局
 ありがとうございます。
 ただいま林委員より、才藤委員を委員長に御推薦いただきましたが、皆様いかがでしょうか。
 御異存がないようでしたら、本委員会の委員長は才藤委員にお願いしたいと存じます。
 それでは、才藤委員よろしくお願いいたします。
 また、才藤委員長には委員長代理の御指名をお願いいたします。
 
○才藤委員長
 御指名いただきましてありがとうございます。才藤でございます。この委員会に可能な限り貢献できるよう努力いたします。
 委員長代理には、鎌倉先生にお務めいただきたく思います。看護の立場というのはこのICFにとって非常に重要になるので、どうぞお認めくださいますようよろしくお願いします。鎌倉先生、よろしくお願いします。
 
○事務局
 では、ここからは才藤委員長に議事進行をお願いしたいと思います。
 また、委員の皆様、ここからはビデオ機能をオフにしていただきますようにお願いいたします。
 
○才藤委員長
 それでは、議題2に入ります。
 本日は多くの皆様に御発言いただきたいと思いますので、私からも適宜お伺いいたします。その際はぜひよろしくお願いいたします。
 「今後の検討課題について」、事務局から説明をお願いします。
 
○事務局
 それでは、資料1に関しまして御説明させていただきます。
 今回は、前回のICF専門委員会で御報告したワーキンググループの成果報告書を基に、ICFの今後の方向性について本委員会で御議論いただきたいと考えておりまして、こちらの資料1で今までの経緯や今後の検討課題案について御説明させていただきたいと思います。
 それでは、1ページ目を御覧ください。「第21回統計分科会生活機能分類専門委員会までの経緯」でございますけれども、2018年6月にWHOより公表されたICD-11にICFの一部の項目が導入されたことを受けまして、実務者レベルでの現場に即した具体的対応がこれまで以上に求められるということから、2019年3月14日にワーキンググループの設置が決定されたところです。
 2年間のワーキンググループの検討内容について成果報告として取りまとめ、前回の第21回ICF専門委員会にて報告されております。
 続きまして、2ページ目を御覧ください。「生活機能分類普及推進検討ワーキンググループ成果報告書」ですけれども、まず「概要」といたしまして、ICD-11第V章の活用に当たってコンセンサスが得られるツール等を作成する必要があり、本ワーキンググループでこの状況を解決するため、ICD-11第V章を足がかりとして国際分類にひもづいた生活機能評価の臨床現場における普及を進めるために取組を行い、その成果を報告書としております。
 具体的な成果といたしまして、左側の(1)にございますとおり、WHOが公表するICF関係資料の翻訳案を作成いただきました。
 また、(2)としまして、ICD-11第V章の具体的な活用案の作成ということで、ICD-11第V章の全項目の評価ツールの作成、国内でのフィールドテストに必要な教育資料及びツールの作成、フィールドテストの実施、ICFリコードルールの提案をしていただきました。
 この成果報告書の中で「今後の方向性」について右に記載されております。特に、より具体的な活用に向けた取組を今後進めることですとか、医療・介護職や情報管理に関わる専門職などの教育プログラムへの導入、または統計として役立てるための精緻な仕組みを作るために疾病統計への応用方法の検討などが触れられております。
 また、ICD-11第V章での臨床現場での活用方法を参考に、ICFそのものについて多方面で活用される手法を検討していく必要があるとされております。
 続きまして、3ページ目を御覧ください。こちらの報告書に関しまして、前回の第21回ICF専門委員会でいただいた御意見をおまとめしております。
 例えば、教育に関するシステムづくり、国際比較をするための分類としてデータを活用して分析等を行い、疾患と生活機能の分布や関係性を世界に示すことが必要。
 医療や介護などの既存の評価スケールとの互換性が担保されることが重要であること。
 疾病統計への応用について、新たな統計の枠組みでICFを取り込んでいけたらよいということ。
 また、評価者が変わっても普遍的に評価できるものが必要ですとか、介入による効果が客観的に評価できるようにするべきといった御意見をいただきました。
 続きまして、4ページ目を御覧ください。先ほどのワーキンググループ成果報告書と、いただいた御意見を踏まえまして、本ICF専門委員会の「今後の検討課題」としてこちらにおまとめいたしました。
 まず「方針(案)」ですけれども、令和3年2月に取りまとめられた生活機能分類普及推進検討ワーキンググループの成果を基盤としまして、国際的な動向を踏まえつつ検討を行い、将来ICFが多様な現場で広く使用されることを目指すということを大目標といたしました。
 続いて、そのため、当面ICD-11第V章の活用に重点を置き、リハビリテーション等の先行している分野からの普及を目指す。あわせて、国内での活用状況や得られた知見を国際的に発信し、世界のICFをリードしていくという方針案といたしました。
 この方針のための「今後の検討課題」として、下記に4点挙げさせていただきました。
 1つ目は、実用的な評価セットの検討です。こちらにつきましては、臨床現場で広く使用されるために、評価者に負担がかからず、普遍的に評価できる簡易セットを検討し、実用化を目指すこと。また、併せて既存の評価スケールとの互換性を確保できる仕組みを作ることとさせていただきました。
 2つ目、疾病統計への応用方法の検討です。統計として役立てるための精緻な仕組みを作るために、ICD-11の他章つまり第V章以外の章との組合せを行ったコード、例えば歩行ですとかADLといったところとの組合せを検討すること。
 3つ目、教育ツールの開発と教育環境の構築です。こちらも今まで検討されていたところですけれども、引き続き医療や介護職、情報管理に関わる専門職に向けた教育資料を作成し、臨床現場での普及活動を目指す。
 最後に4つ目ですが、国際的な貢献としまして、我が国の先行した取組を国際会議などで世界に発信していくこと。また、海外での活用状況につきまして、医療・介護分野のみならず幅広く情報収集を行い、今後もICFの可能性を探索することとさせていただきました。
 事務局からの本資料の御説明は以上となりますが、この後、この検討課題の具体的なイメージとして山田委員、向野委員から御発表いただきます。
 
○才藤委員長
 ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明がありましたけれども、4ページの検討課題の補足については今、紹介があったように山田委員、向野委員から説明がありますので、その後、また議論になりますが、3ページまでで何か御質問等がございましたらどうぞ遠慮なく挙手をお願いします。いかがでしょうか。
 それでは、その後にまた元に戻ってもよいと思いますので、次に移動したいと思います。山田委員、向野委員より説明をお願いしたいと思います。まず山田委員より、今後の検討課題の4つ目に当たります資料2「ICFを巡る国際的動向と展望」についてお話をいただきます。
 山田委員、お願いします。
 
○山田委員
 それでは、私のほうから今後の検討課題の方針ということで、国際的な動向を踏まえつつ検討ということですので、主にWHOが何を考えているのか、何を目指しているのかというところをWHO-FICの情報を提供させていただきながら御説明申し上げたいと思います。
 今、御覧いただいているスライドになりますけれども、これは昨年、2020年のWHO-FICの総会のときにFDRGの議長が提示したスライドからのものを拾ってきております。
 ICFは20年になりますけれども、この20年の間でICF-CYとの統合作業というものが一応決着を見て、新しくICF2020として出そうということでやってまいりました。
 それで、先ほど来話が出ておりますV章がICD-11に作られたということが一つの大きなことで、この2つを基にICD、ICHIと共通のプラットフォームを用いる新しい時代が幕を開けるということでコメントしております。
 この最後の一文に関しては「現代化」という用語を使っていますけれども、ICFだけではなくてICD、ICHIを一緒に使って評価をしていきましょうということをうたっております。
 次ですが、若干話が飛びますけれども、私の話を展開させていただくに当たって組織の裏づけをちょっと説明しておきたいと思います。ICFの改正を審査している委員会が、右下にあります分類・統計諮問委員会、CSACという委員会になります。具体的に作業内容を検討しているのが生活機能グループ、FDRG、その下のところになります。それで、ここに0から5まで数字が書いてありますけれども、ICFは年次改正を行っておりますが、その手順を示してございます。具体的に今、覚える必要はございませんけれども、FDRGの議論を経てCSACで投票をしているという流れになります。
 後で出てきますが、この一連の流れをプラットフォーム、ウェブ上の仕組みでやっていこうと今も取り組んでいるのですけれども、これが新しい仕組みに変わるということの案内を受けております。
 次のスライドです。20年間やってきた流れの中でWHO側が問題点として捉えているものの一つが、ICFを具体的にどう使ってもらっているかというところです。左側は「具体的なデータ収集」ということで、ICFの評価点を使っていますかということをFDRGが国際的に調査した結果があるのですけれども、72%のユーザーがICF評価点を使っていない。すなわち、数値化した評価を行っていないということが分かりまして、本来統計尺度であるこういった使い方をしていきたいということが根底にございます。
 右側の部分ですけれども、ユースケースということで、その次ですね。What WHO-FIC CC and FDRG will do nextということで、これも2020年のFDRGでのことになりますけれども、次に何をしましょうかという話ですね。3つポイントが挙げられています。
 日本語訳を下に示していますけれども、「生活機能に関するデータ収集の標準としてICFを利用する法的要求を促進するベストプラクティスを明らかにする」。若干、直訳すると分かりにくいのですけれども、プラクティスですね。臨床的に使う方法を模索していこうということで、なおかつそれが法的な背景を持っているといいですねということを言っています。具体的にはユースケースということで、この後、向野先生がお話ししていただけると思いますけれども、具体的な使い方のモデルを示していくということを言っています。
 次のポイントですけれども、ICFアップデートと現代化のプロセスに関する情報提供ということで、現代化ですね。これは後で見ますけれども、ICDとICHIと一緒に使っていきましょうということの促進を挙げています。
 最後に、こちらはV章に関わっているところですね。ICFとV章に含まれていますWHO-DAS、あるいはMDSの使っていくツールの開発をやっていきましょう。
 この3点を今後の展望として挙げています。
 次ですが、現代化というところに関してはこの図に集約されるのですけれども、WHO-FICのFoundationというものを構築しましょうということで、その中にはICD、ICF、ICHIが含まれていて、それぞれ別に使うのではなくて一緒に用いてテーブル化をしよう、表を作ろうということですね。これが、WHOがやりたいと思っているところの見取り図になります。
 それで、これを具体化したものが次のスライドになります。オレンジ色のウェブページですね。これが今も公開されています。一番左を見ますと、このトップのページにICD、ICF、ICHIとありまして、それぞれの評価尺度をここから引っ張っていくことができます。
 次のページにまいりますが、ICFの項目のところを見ますと中身は基本的にICFそのままの章立てになっているのですけれども、例えばb110というコードの例が書いてあります。ICFそのものに書かれているコードと、そのディスクリプションですね。ここは共通なのですけれども、それに含まれるもの、除かれるもの、インデックスタームという用語が最後に出てくるはずですが、All Index Termsというものですね。こんな整理がされています。
 具体的にここの中に書かれているインデックスタームというのはまだ書かれていませんけれども、これを作っていきましょう。これに協力してくださいというのが現代化に対する協力と言っているところのメインのテーマになります。この仕組みを整備していこうということで動いていく形になっています。
 三角形のエクスクラメーション・マークですね。びっくりマークがついていますけれども、今これは作成中ですよということで表示をされています。このスライドを作ったのは先月になりますけれども、本当に刻々と中身が変わっているような状況なので、どのタイミングで翻訳していくかということも考えていかなければいけないのですけれども、こんなものを目指していくというところになります。
 次はほとんど空白ですね。中には、このようにまだ全然中身がそろっていないページもございます。
 そういうことで、WHOが何を考えているのかということで、一番端的に分かりやすい資料ということで、毎年やっておりますICFのシンポジウムから担当官のRobert Jakob氏とNenad Kostanjsek氏の話の要約をちょっと引っ張ってきました。今、画面に出ているのは第8回ですね。2021年1月のときの発言です。赤字を引いていますが、彼らはセクションVチャプターを使い始めてくださいと言っています。次に、ICFの現代化に参加してください。これは今お見せしたプラットフォームの中身の具体化をやっていきましょうということを言っています。
 次ですが、具体的にV章の使い方に関しては選択肢が2つあって、WHO-DASを使いましょうということと、選択肢2は赤線を引いていませんけれども、Generic functioning domainsを使いましょうということを言っています。
 彼らは、これもやはりどうやって使うかということをユースケースとして挙げてほしいということを言っていて、国主導の事業が展開されることを期待していると言っています。中でも、特にWHOが作っていますのでWHO-DASを使ってくださいということを推しています。電子カルテや診療システムに統合できるといいですねということを期待しています。最初に法的な背景ということの話がありましたけれども、こんなところに反映されているかと思います。
 次が、2021年2月の第9回のシンポジウムのときの発言になります。全部は読みませんけれども、下のパラグラフですね。「今年初めにICFおよびICHIをICD-11と共通の電子ツール環境に移行させる作業が完了した」、先ほど申し上げたFoundationですね。それで、この中身の具体化をもう少しやっていきましょうということになります。
 「今後、我々はICD-11と同様の最新ツールを提供する。ICF提案・翻訳プラットフォーム」、FDRGのCSACの中でICFを年次改正するときの手順は新しいプラットフォームでやりましょうということで、ここで言っています。それに加えて、各国の言語に翻訳するのも電子化してやっていきましょうということで言っています。この段階ではまだこの文言だけだったのですけれども、先週のFDRGの会議の中では年末ぐらいにはこのシステムを稼働させていきたいということで言っていまして、来月、10月のFDRGのときに具体的なシステムを供覧するということを言っていました。
 そして、一番下の行です。「ICFターミノロジーおよび電子索引」、これはFoundationの中の話になります。これも整備していきましょう。その他、コーディングツールでしたり、あとはICF API、これはアプリケーションのことを言っていると言っていましたけれども、こういう支援するツールなども開発していくことが重要ですねということを言っていました。
 そういうことでまとめのスライドになりますけれども、大きな骨子は2つありまして、V章の活用と現代化の協力ということですね。V章の活用に関してはWHO-DAS、generic関係のdomainsを利用していきましょう。ICD-11と一緒に使っていきましょうということで、さっきの話に戻りますけれども、リハビリの分野をきっかけに使い方の具体例としてのユースケースを世界に発信していくことを求められているというか、対応したいということですね。
 現代化に関してはFoundationの整備の協力ということで、ターミノロジー、電子索引、インデックスを開発協力と書いてありますけれども、整備していきたい。あとは、コーディングツールであったり、そういうツール、恐らくいろんな言語で作られていくのだと思いますけれども、そこに何らかの関与をしてほしいということと、あとは翻訳の環境が整ってきますので、日本語の翻訳も進めていかなくてはならないというところになります。
 コーディングツール等々に関しては、まだ具体的な姿が見えてきていませんので、引き続きWHO-FICの動向を探りながらの対応になってくるかと思いますけれども、とりあえずFoundationは姿が見てきていますので、対応を検討していかなくてはいけないというところになっております。
 以上でございます。ありがとうございました。
 
○才藤委員長
 ありがとうございました。
 なかなか複雑な話でしたけれども、どなたか質問はございますか。
 山田先生の話で御質問があったらどなたか手を挙げてください。私自身はたくさん質問があるので、なければ私が質問をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 林先生、よろしくお願いします。
 
○林委員
 どうもありがとうございました。Foundationというものがあるのかと思って、これは日本語への翻訳もされるというお話だったのですけれども、具体的にこれをどんどんアップデートするというのはログインをしたメンバーだけができるのかとか、こうしたソースコード自体を使って別のアップに組み込んでいくとか、そういったことができるものなのでしょうか。
 
○才藤委員長
 お願いします。
 
○山田委員
 御質問ありがとうございます。
 Foundationは具体的にどう使っていくか、これに関してはまだ具体的なものは示されていません。ですから、それをむしろいろいろ使ってもらってモデルを示してほしいというのがWHOの言っているところになります。
 それで、このFoundationの翻訳に関してもまだ方向性が見えていなくて、どんどん変わっていっている内容になりますので、どこで一旦フィックスしてどのタイミングで変えていくのか、翻訳していくのか、というのも今後の調整になってくると思います。具体的には、10月のWHO-FICの会議でその辺りはまた確認できればと思います。
 
○才藤委員長
 よろしいでしょうか。
 
○林委員
 ありがとうございました。
 
○才藤委員長
 私からお聞きしたいことがあります。1つは、山田先生のご説明がWHOの見解なのか、先生の考察なのか、2つ混ざっていて、私にとってみればそこが分かりにくく思えました。その意味で、私の質問は、WHOは、WHO-DASとGeneric functioning domainsのどちらかを使えと言っているようですが、そのような理解でいいのですね。
 
○山田委員
 そのとおりです。
 
○才藤委員長
 ところで、もしどちらか選べば実際に利用できるのでしょうか。
 
○山田委員
 利用しづらい、なかなか厳しいと言っていいと思います。ですから、この後の向野先生のお話で、利用できるようにいろいろ日本なりの工夫をしている段階と理解しております。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。私も先生に同意します。率直に、使用にあたってはこういう問題がありますよというくらいまで皆さんに言ってくれるほうが、皆さんは理解しやすいのかなと思いました。これが1つです。
 それが、現代化という言葉は、実際には何を意味するのですか。英語だとモダナイゼーションですか。
 
○山田委員
 モダナイゼーションという言葉を使っています。
 
○才藤委員長
 それは何なのですか。
 
○山田委員
 もともと現状、ICFは赤い本をテキストに印刷されたものですけれども、そうじゃなくてもっとデジタル化をして、ウェブの中のシステムとしていろんなところから検索がかけられるということをやっていきたい。
 
○才藤委員長
 テクノロジカルにデジタル化して、デジタルトランスフォーメーションをすることを現代化と言っているのですか。
 
○山田委員
 あとは、ICFだけではなくてICDとICHIと一緒に意欲的に使っていきたい。この2つを柱にしているという理解です。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。その3つを一緒に使うというのは、1つでも課題がたくさんあるのに、3つ一緒に使ったらよけい大変になりそうですね。その辺に関してはWHOはどう考えているのでしょうか。
 
○山田委員
 そこはかなり理想論を述べているのではないかと思っているのですけれども、なかなかWHOはその具体例を出すことができない。見たことはないですね。ですから、そこを何かブレイクスルーするようないい使い方を各国で示してほしいと言っているのが、リクエストになっているかと思います。
 
○才藤委員長
 今の話だったらすごくよく分かります。できればこの会議では率直な説明をしていただきたいですね。
 
○山田委員
 御質問いただいたので、御理解いただけたかと思います。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。今まで2、3年ほど話してきた内容そのもので、我々がすべき方向は間違いなかったと認識します。私はその矢面に立っていないので、こんなことを言っては申し訳ないのですけれども、最近の2回のミーティングで、WHOの先生方がいろいろ積極的な展開を広げてきていましたが、20年のあゆみはなかなか遅いと思います。我々が今、やるべきことは、現場でこれが「使えるようにする」ということを皆さんに認識いただくことだと思います。山田先生にはできればWHOはこう言っているけれども先生としてはこういうふうに思うと率直に発言して、皆さんの理解を促進していただきたいと思います。辛辣な言い方で申し訳ないですけれども、よろしくお願いします。
 何か反論がございましたら、どうぞ。
 
○山田委員
 大変分かりにくい話で申し訳ございません。私自身も何度も何度も資料を読み返さないと言葉はなかなか理解できなかったりして、やっと夏くらいになってFoundationの例示がなされて、ようやく姿が見えてきたというところでございますので、説明が分かりにくいことに関しては申し訳ないのですけれども、実際にウェブページとかも触ってみると少しイメージが湧いてくるかと思いますので、皆さんお時間のあるときにぜひ見ていただければと思います。
 
○才藤委員長
 どうもありがとうございました。
 ほかに皆さんから何か質問はございますか。なかなかまとまった時間で自分で考えることはそう多くないと思うので、この機会に分からないことは、少なくとも山田先生は一番よくWHOとコミュニケーションしているので、山田先生以上に理解している人はいないと思うのです。そういう意味では、皆さんぜひ質問していただいて、どちらに我々が進むべきかを考えたほうがいいと思います。
 林先生、追加で何かございますでしょうか。
 
○林委員
 今の才藤先生のお話で、せっかく言っていただたいので、今WHO-FICのFoundationを見ると確かにICDエンティティー、ICFエンティティーと、もう一つICHIエンティティーがあるのですけれども、これが今の状態でどういうふうにつながっているのかというのを画面共有でお示しいただくこととかはできるのでしょうか。それぞれ並列して今、掲示されているので、この3つを一緒にして使ってほしいというWHOの方の思いがどうも何をしようとしているかよく分からないところがあるのですが、どうでしょうか。
 
○山田委員
 すみません。事務局のほうで共有できるかどうか分からないのですけれども、スライドの6枚目でしょうか。一番下のところにAll Index Termsとあります。インデックスタームを作りましょうということでお話をさしあげたのですけれども、ここがやはりキーになってくると理解していまして、例えばb110という機能が、ICDで言うところのどういう病気のときにこの機能が障害とされるのかとか、そういうところとリンクづけしていく形が出来上がってくるはずなのですけれども、結局インデックスタームのところはまだ何も埋まっていなくて、これからこれを埋めていきましょうという課題が出されているという感じです。
 ですから、今、実際にFoundationのオレンジ色のページはありますけれども、見ていただいても多分全くその3つはつながっていないと思います。残念ながらそういう状況なので、これを変えていきたいというのがWHOの意向になります。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。私たちは、現状を把握したうえできちんとしたことをしていきましょうという話かと思います。それでいいですか。
 
○山田委員
 私は大丈夫ですが、林先生はいかがですか。
 
○才藤委員長
 よろしいでしょうか。
 
○林委員
 この右側のところのAll Indexに、今後どんどんICF、ICD、ICHIをつなぐ項目が追加されていくということで了解いたしました。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。
 それでは、長島先生どうぞ。
 
○長島委員
 日本医師会の長島です。
 基本的なことを教えていただきたいのですけれども、国際的動向という点では、日本以外の諸外国のこれに対する姿勢とか対応状況というのはどうなっているのでしょうか。
 
○才藤委員長
 お願いします。
 
○山田委員
 御質問ありがとうございます。
 諸外国も、基本的には日本と同じステータスだと理解しております。WHOは各国に対してこれのユースケースをどんどん出してくださいというふうに投げかけているところでございますので、我々としてはそれに対する答えを用意しようというのがこの会の趣旨かと思いますけれども、各国も同じような感じで取り組んでいるところです。ですから、これからいろいろな国での利用の方法がWHOのほうに集約されてきて、このFoundationも整備されていくものと理解しております。
 
○長島委員
 今後、諸外国でそこを詰められてまたそれにいろいろ対応するということだと、それほどのスピード感をもって臨む必要があるのかどうかというところはいかがでしょうか。
 
○山田委員
 ありがとうございます。
 スピード感という御質問でしたが、確かに日本だけ先走ると余計な努力をしてしまうこともリスクとしてはある面は否めないかと思います。
 ただ、今のところは後でお話しされる向野先生の取組などもWHOは把握されていて、非常に日本に先導的なデータを出してほしいということは期待されていますので、表現は悪いのですけれども、逆に言うとある程度言ったもの勝ちになる部分も、先に言ってしまうとそれがいいケースとしてモデルとして使われていく部分もありますので、そこはうまい手を打てるといいのかな、日本にとっては利益になるのかなと思います。
 
○才藤委員長
 長島先生、よろしいでしょうか。今の山田先生の話は的を射ていて私たちはそこを狙っていると思います。実際にICFをICDに付随させて使おうという「具体的な取組」が今、動いているという意味では多分世界のトップを走っていると思います。ですから、日本の皆保険であるというところをうまく利用しながら、均一なきちんとしたデータを提示できればと思うのです。そういう意味では、これは先走るというよりは、これをきっかけにICFの旗を振るという意味であり、いいことではないかと、私自身は認識しております。このようなお返事でよろしいでしょうか。
 
○長島委員
 よく分かりました。ありがとうございます。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。
 では、どうぞ。
 
○藤田委員
 ICFの利用についてなのですが、たしかドイツか、どこかヨーロッパの国で介護とか、そういう用語にコードをつけて社会生活を営む上で必要なものが、それが引けるようになっていると聞いたのですけれども、対応例とかはWHOから提示されていないのでしょうか。先ほどから評価とか統計のためのコードの利用とか、そういうイメージを抱くのですけれども、やはり当事者と介護する方の助けになるようなICFの活用についての視点がちょっと少ないかなと思ったので、いろいろ受けたいサービスを探すときに、そこにICFが紐づけられてインデックスがあると利用しやすくなるし、医療の現場だけではなくて日本全体に広がりやすいと思いました。
 以上です。
 
○才藤委員長
 では、私のほうから今のことに関してはコメントしますけれども、おっしゃるとおりだと思います。実際に日本国内からでもそういうものは出だしていて、ただ、規模感というか、まとまったある程度の全国レベルのデータを取っていくというようなことからすると、今、我々が動かしているものが一番手っ取り早いと思っています。
 ただ、先生がおっしゃるように、多分1つだけではなくて並列でいろいろなものが動き出せばもっといいし、そのときのツールとしては基本的なものが共有できますので、そういう意味で動いています。これは、委員が100人もいて膨大なお金がつけばいろいろなことが同時にできますけれども、今のこの規模だと一つ一つというところはございます。よろしいでしょうか。
 向野先生、どうぞ。
 
○向野委員
 私からも少し補足させていただきたいと思います。
 ドイツは法律でICFを使うということが決まっている数少ない国でございまして、実際にローカルにはかなりいろんな使われ方をしているようで、小さい取組みがたくさんあるという状況ではないかと思います。それで、実際にどういうふうに使うかとか、そういった具体的なまとまった取組というのは、今はないのではないかと思いますけれども、ローカルな解決策がたくさん出てきて、これからドイツの中でも新しく何か統一したものが出てくる可能性がありますが、今はいろんなところで模索が続いているような状況という感じではないかと思います。
 以上です。
 
○才藤委員長
 よろしいでしょうか。
 
○藤田委員
 ありがとうございます。
 
○才藤委員長
 それでは、後でもまた幾らでも質問は受けますので、次の話に移りたいと思います。
 
○井上委員
 すみませんが、関連でよろしいでしょうか。
 
○才藤委員長
 どうぞ、井上先生。
 
○井上委員
 今、機器の話をしていただいたかと思いましたので、それに関してドイツの状況と日本の状況を補足させていただこうと思います。ドイツは先ほど向野先生からもありましたけれども、ICFをヘルスケアの中で使っていくという流れがありまして、そういう流れよりもっと早くから福祉機器に関するデータベース、特にこれは労災関係の団体がやっているデータベースがあるのですが、そこのそれぞれの機器にはICFのコードがついています。ですから、ICFのコードから機器を引くということがデータベース上ではできる形になっています。
 それで、今、厚生労働省の研究費をいただいて、我々のグループでもそういったICFと福祉用具、福祉機器との関連づけというふうなものを作っていまして、それに基づいた機器の適合、導入のガイドラインというところにつなげようということで研究も進めておりますので、また御報告させていただければと思っております。
 以上です。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。今の辺りのところも、実際にこのグループでやっているものとすり合わせをしていただけると、より加速するのではないかと思います。ありがとうございました。
 それでは、向野先生の話に移ります。
 
○向野委員
 よろしくお願いいたします。藤田医科大学の向野でございます。
 私は、ICFワーキンググループが昨年度までございましたけれども、その中で行ってきた取組と、それから引き続き厚労科研の研究班で実施しております最近の取組について御紹介をさせていただきたいと思います。
 昨年から委員として御参加いただいています先生方には御報告さしあげた内容ですけれども、新しい先生方もおられますので簡単に振り返りをさせていただきたいと思います。
 2019年4月から2年間、厚労省のこの委員会の下に生活機能分類普及推進検討ワーキンググループというものが作られまして、私が座長を務めさせていただきました。そこでは、WHOから出てくるICF2020をはじめとする新しい資料の翻訳対応を、山田先生を中心に実施させていただき、それからICD-11第V章、これがICD-11に新しく作られた生活機能の評価のセクションで、ICFのダイジェスト版みたいなものですけれども、こちらの具体的な活用案を作成していくということに取り組みました。
 我々の取組では、このICD-11の第V章の具体的な活用案を作成するということで、第V章を使うための評価ツールを作ることに取り組みました。もともと質問紙があるものに関しては翻訳を実施いたしました。特にWHODAS2.0に関してはWHOもかなりプッシュをしているところで、山田先生のお話にもございましたけれども、こちらに関してはICDのプラットフォーム上に問題文が掲載されておりましたので、その翻訳を実施させていただくという形で実施をいたしました。
 それから、新しいICFに基づく項目群に関しましては、採点リファレンスガイドというものを作りました。これは、ICFというのはもともと評価点という点数化の仕組みがありますけれども、点数化の仕方が定義されておらず、信頼性が低いと言われておりますので、その解決のためにガイドを作成して信頼性の検証まで実施をいたしました。
 次です。そして、十分な信頼性があるという結果も得ましたのでフィールドテストを実施させていただいております。今年の1月に20病院で実施させていただいております。
 次ですが、1,000名を超える患者さんを対象に、フィールドテストを実施しております。その結果、多くの患者さんで、我々がこれまで見ていた運動機能、認知機能の問題だけでなく、様々な問題を患者さんが抱えているということを明らかにすることができました。
 さらに疾患ごとに見ていきますと、疾患ごとに生活機能プロファイルが違うというところもお示しいたします。こちらは、くも膜下出血の患者さんと大腿骨頸部骨折の患者さんの比較ですけれども、特に注意、記憶といった高次脳機能や、それに関連した学習や問題解決といったところで、くも膜下出血の方は問題を抱えていることがわかります。一方で、筋力や関節の可動性の機能、歩行というところでは、大腿骨頚部骨折の方も多いことがわかります。このようにプロファイルの違いというものを見られるようにしたというのが、昨年度までの結果でございます。
 ここまで検証を行いましたところで、次に実際に臨床で使う段階に進みたいと考えております。こちらに関しては、山田先生のお話にもありましたように、WHOでも明確な方針が出ておりませんで、Use case-drivenで行っていきたいというお話をずっとされております。ですので、ICFを普及させる具体的な仕組みを、日本から先陣を切って作っていこうということで取り組んでおります。
 臨床で実際に使うためにはまず何が必要かと考えますと、まずICD-11 V章は66項目ございます。66項目、調査としてはできますけれども、やはり臨床で使っていくには項目が多過ぎるということで、ある程度シンプルにしていくことがまず重要と考えております。
 それから、そうはいってもICFの包括的な評価の仕組みも必要な場面では生かせるようにしたいということで、何段階かのセットを用意して、非常にシンプルなものからある程度包括的なものまで、幾つかの評価セットを準備するというイメージを持っております。そのような形で、厚労科研の研究班のほうで現在検討を進めているところでございます。
 右のほうには大体のイメージがありますけれども、非常にシンプルな共通コード、ICDと組み合わせて使うようなものから、障害のある患者さんの非常に細かな生活機能の評価に使うものまで何段階か用意して、それと併せて疾患評価としてWHODASのようなものを使うのがいいのではないか。これが我々の最初のイメージでございます。
 そして、このような形の構造を念頭にフィールドテストとアンケートを行いまして、その結果を元に草案を作りまして、そこからブラッシュアップをしていくというプロセスを考えております。
 次は、アンケートです。先ほどフィールドテストを実施いたしましたけれども、それに加えて医療者にアンケートを実施いたしまして、どういった生活機能評価があれば役に立つかということを聞いてみました。これは、パイロット的に20病院で169名のセラピスト、医師を対象に実施しております。
 まずどういうスケールがいいかということを1つ確認として聞いておりますけれども、こちらは2段階、Yes/Noクエスチョンのようなものがいいのか、痛みの評価のような0点、10点といった点数を直観的につけるような尺度がいいのか、基準をつくって段階的に評価するのがいいのか、アンケートを取りましたけれども、主観的な尺度ではYes/No、もしくは直観的なスケール、客観的な尺度としては点数の基準のある尺度がよいという回答が多い結果でした。こちらは我々の予想どおりの結果となりました。
 それから、項目数について言いますと、急性期では6項目から10項目程度、回復期では11から15項目程度がよいという意見が多いという結果です。
 さらに、リハビリテーションの対象となるような患者さんを念頭に、生活の中で最も重要な生活機能というのは何かを質問しました。これはコアとなる生活機能の項目を決めるために実施しました。生活に必要な生活機能は様々な環境によって変わってきますけれども、特に介助する家族がいるかどうかということが大きく影響することが知られております。例えば、介助者が誰もいなくて一人で生活する場合には、家事や買い物を自分でしなければいけませんし、逆に同居の場合には、家族との人間関係みたいなことが重要となります。
 そこで、患者さんが生活をする上で重要な生活機能は何かというアンケートを、一人で生活するのか、日中のみ一人なのか、家族が常にいるのか、環境別に重要な生活機能というものを調査したところ、上位10項目に印をつけてありますけれども、家族と同居する場合は、例えば睡眠とか情動とか言葉の理解、一人の環境では、問題解決とか日課の遂行というように、重要な項目はそれぞれ少し異なった分布をしているということが分かりました。
 一方で、環境にかかわらず重要な項目というのがありまして、その中では排尿機能、排泄、それから食べること、そして歩行、車いす移動のいずれかができるということ、こういったところが非常に重要と考えられているということが分かりました。
 以上のアンケートを踏まえて、草案を作成しております。客観的な尺度には基準が必要で、主観的な尺度には二択か直観的な尺度という結果に基づきまして、客観的な評価尺度としては我々が作ったリファレンスガイドを使用する。そして、主観的な尺度として直観的な評価であるWHODAS2.0を使用する。この2つをまず決めまして、項目はやはりかなり絞る必要があるということと、環境にかかわらず重要と考えられているこの4つの項目(排尿機能、排泄、食べること、歩行・車いす移動)を、評価の中心に位置づける形で検討をいたしました。
 次ですが、このような考察に基づきまして、研究グループ内でまず草案を作成しております。まず、先ほどの重要な項目というものをベースとしまして、共通コードを3項目決めております。これは、移動、食べること、排泄の3つで、チェックリスト形式で評価するという形です。先ほど4項目と言いましたけれども、排尿機能は活動としての排泄に含めるという形で作っております。
 さらに急性期の簡易セットとして8項目、これは広く使われているBarthel Indexと、FIMという生活機能スケールと、V章の項目の共通項目を抽出したものでありますけれども、Barthel IndexやFIMの代わりに使える簡易なセットということで作成しております。そして、それの上位として標準セットというICD-11 V章の中からコアとなる項目、23項目をピックアップしてきたものになります。このような形で幾つか作成をしまして、これを次の段階としては専門家の中でブラッシュアップをしていくという仕組みを作りたいと考えております。
 さらに、共通コード3項目と申し上げましたけれども、ここからこの3項目について自立しているか、していないかというような分類を作る。障害者の統計というのはずっと求められていることと思うのですけれども、WHOも含めまして障害者を定義するということには非常に強いアレルギーがあります。ですので、障害者を定義するのではなく、この重要な項目で自立しているか、していないかというのを一つの分類と して統計をとるということを一つのアイデアとして出しております。これをベースとしまして、今後ブラッシュアップをしていきたいと考えております。
 「疾病統計への応用」としては、こういった分類を使って、統計の中で疾病の頻度に加えて重症度も分かるようにこういった情報を加える。それから、疾病ごとに生活機能の問題についてそれぞれどのような問題が出やすいのかということを情報として加えられるようにして、疾病統計が患者さんの視点からどのような意味を持つのかについても表現することのできる仕組みを作っていくことを目指したいと考えております。
 あとは簡単に申し上げますけれども、既存のスケールをICFに置き換える仕組みが必要ということを以前から御指摘いただいておりまして、それに対応した仕組みの作成も進めております。もともとICFの項目を既存のスケールにリンクするルールというのが作られておりましたけれども、非常に曖昧なものでしたので、もっと具体的なものということで、ワーキンググループで作成をいたしました。現在はさらに項目を対応させて、それを点数化するということを次のステップとして作成しております。現在は、まずそのプロセスを定義して実際の検討に進めているところです。
 また、WHODAS2.0に関しては、現在やはり日本語としてちょっと分かりにくいということがフィールドテストでもフィードバックとしてございましたので、もう少し易しい形のバージョンを作れないかということを検討していく予定にしております。
 教育ツールとしては、今までも取り組んでまいりましたけれども、さらに作成したアプリケーションのブラッシュアップを行ったり、e-learning toolをきちんと学習のために使える形にまとめていきたいと考えております。
 こちらが、現在、我々厚労科研の中で取り組んでいる内容になります。
 以上になります。どうもありがとうございます。
 
○才藤委員長
 ありがとうございました。
 今の向野先生のプレゼンテーションに、何か御質問、御意見はございますか。
 
○長島委員
 日本医師会の長島です。医療機関で非常に切実、かつインセンティブになるものに診療報酬があります。それで、現在例えば回復期のリハビリテーション病棟の入院料を決める際に、アウトカム評価としてFIMが実績指数として、病棟に入ったときと出るときの点数の違いというものが使われていますが、このFIMを使うよりもICFを使ったほうがリハビリテーションのアウトカム評価に、より優れているとか、メリットがあるということが示されますと非常に有効で、それが診療報酬の評価に直結するとなると一気に普及するということかと思いますので、非常に現実的にはそのようなアウトカム評価にメリットがあるとか、優れているというようなことをしていただけると、非常に現実的かなと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
 
○向野委員
 ありがとうございます。
 その点ですけれども、FIMとBarthel Indexとの比較においては2つの方向性を考えておりまして、先ほど申し上げたようにFIMとかBarthel Indexをつけたら全部点数がつくような形に簡易なセットでデータを集めるという方向性が1つと、それからアウトカム評価に使うという観点では、現在のFIMとかBarthel Indexですと天井効果があって患者さんがある程度自立して動けるようになるとほとんど満点になってしまうのですけれども、実際にはそれでも患者さんは様々な問題を持っていることが多く、その問題を十分に評価に反映できていないということがあります。
 ですので、今、行っているような包括的な評価というものを少し取り入れていけば、自立まではいっているけれども、問題がまだあるという患者さんの改善を拾えるようになると思いますので、そういったところで使えるような形をもう一つは目指していきたいと思っております。そういった意味で、アウトカム評価としてのメリットを出していけるのではないかと考えております。
 
○才藤委員長
 恐らく長島先生の質問と向野先生の答えには多少ずれがあると思いますが、FIMが誕生するのには始まりから20年くらいかかっているのですね。私たちはその歴史の中では追従しただけでした。ところで、ICFについては、私たちが始めて数年しか経っていません。もし最速でいくとすれば、ナショナルプロジェクトとして、たくさんの人と資源を投資して、一気にやってしまわなくてはならないのでしょう。けれども今のところは、先ほど長島先生の質問にあったようにWHOとの関係もそれほど明確ではないので、長島先生の期待に沿うには結構時間がかかるのではないかと思っています。
 ただ、流れとしては間違いない方向かなと思っておりますので、ぜひお力添えをいただいて一刻も早く先に進むようにいきたいと思います。
 さて、私の不手際というか、たくさん意見が出てきたのはいいことだと思うのですけれども、時間が押しています。
先ほど出てきたその後の件です。資料1の4ページ目の今後の課題に関して議論をして、その中でまたこの問題に戻ってくれば戻るということにしたいと思います。御意見等いただけますでしょうか。
 先ほど最初に事務局が説明してくれたもので「今後の検討課題(案)」と書いてあって4項目が立っています。
 「実用的な評価セットの検討」、これは今やってきているものの延長にあります。
 それから「疾病統計への応用方法の検討」、これも今の先にある話で、そういう意味では議論は順調にこれから重ねていくというものです。
 「教育ツールの開発と教育環境の構築」、これは参加してくださっている方々にもお力をいただいて、先ほど時間がないので紹介されていませんが、その部分を皆さんとも共有しながらいきたい。
 そして、最後は「国際的な貢献」、これはどちらかというと結果みたいな話だと思いますが、これ自身もやはりきちんとターゲットを決めてやっていかなくてはならないだろうと思いますけれども、この資料1の4ページ目の今後の課題について何か御意見がございましたらいただきたいと思います。
 では、出江先生、どうぞ。
 
○出江委員
 向野先生、どうもありがとうございました。大変すばらしい成果をあげられて、いよいよ評価セットということで早く使いたいのですが、どれがいいかという議論と並行して、もう使わせていただけないでしょうかということなのですが、どうですか。
 
○向野委員
 もちろん使っていただけるようであれば、資料を全て提供いたしますのでよろしくお願いいたします。
 
○出江委員
 これを広く、私が使いたいからということももちろんあるのですが、研究者にある程度オープンにして使っていただくということはできますか。
 
○向野委員
 基本的には全てオープンにしているものですので、使っていただいて大丈夫です。
 
○出江委員
 ICFの委員会のホームページかどこかに入っているのですか。
 
○向野委員
 はい。そうですけれども、必要であればまとめてアップデートしたものも含めてお送りします。
 
○才藤委員長
 それは使えるということでやり取りしてください。時間がないので先にいきます。
 
○出江委員
 ありがとうございます。
 
○才藤委員長
 鎌倉先生、何か今までのところでコメントはございますでしょうか。
 
○鎌倉委員
 看護の領域にどのように入れていくのかというのがなかなか難しいなと思っているのですが、今の評価で、病棟で行われているような内容に何か組み入れていくことができると、実用的になっていくかなというのは思っているところです。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。
 看護ですと、病院だと看護必要度との絡みというのがかなり大きな部分になって、これは実際にほとんどの病院が看護師さん任せでいっていると思うのですけれども、そこの整合性というか、矛盾がないようにするのはまず第一歩かなと思いますが、向野先生から何かありますか。
 
○向野委員
 才藤委員がおっしゃったように、看護必要度が非常にリンクしやすいところかと思いますので、まずはそちらのリンキングというか、ICFとの互換性をつけるというところをやっていきたいと考えております。
 
○才藤委員長
 この辺のところは、小松先生、いかがでしょうか。
 
○小松委員
 ありがとうございます。
 私が担当させていただいている、去年も向野先生や山田先生とも御一緒させていただいてリコード班とか、ワーキングのほうでも御一緒させていただいたのですけれども、そのときにやはりリコードというものに関してまだ大きな課題が残っているかと思います。向野先生の御研究の中で既にリコードを1,000人もの対象でされたというすばらしい研究がございますけれども、それに加えてやはりリコードをする人のレベルですね。ICFを理解している人のレベルというものは、全く初心者の方からよく理解している方までいろいろな方のレベルがあると思いますので、そういったレベルの方が一概にリコードに対して同じような評価視点で、評価基準でリコードできているのかということも今後検討していかなくてはならないのではないかと思います。その辺は、看護職の方におきましても同じことが言えるかと思います。
 もう一つ、向野先生の御研究の中で回復期と急性期のほうで御検討いただいているという非常に貴重な資料を出していただいているところに加えまして、今後はいろいろなライフステージでの疾患、例えば小児慢性特定疾患のような子供の難病や、大人の難病、介護保険に認定されるような高齢者、いわゆる慢性期ですね。地域におられる在宅療養の方たちに関してのICFの活用についても、十分な検討が必要なのではないかと考えております。
 以上です。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。
 林先生には何回かお話をいただいたのですけれども、林先生への要望としては今、医療の世界だけで話が始まっていて、これが一番シンプルだと思っているのですが、実際には労働者の流れ、企業等、あるいは社会人等でこの統計を使って、それも世界と比較するという意味では、どこに次に手を打ったらいいかという辺りのコメントがいただければと思うのですけれども。
 
○林委員
 ちょっと時間も限られていますけれども、先ほど向野先生の質問で、このフレームワークでリハビリのための評価をして、その後どういうふうにつなげるか。このスコアを取った人はこういうリハビリにしましょうというリハビリ計画が、それで自動的にできるとか、そういうことなのでしょうか。これは本当に分からないので、教えていただきたいのですけれども。
 
○向野委員
 まだそういう段階ではないかと思うのですけれども、メリットとしては、これまで評価していなかった項目がたくさんありますので、介入をする上では今まで考えていなかったところにも目を向けるというメリットはあるかと思っています。
 
○林委員
 ありがとうございます。
 
○才藤委員長
 今の議論は、恐らく重要なポイントかと思います。それで、実際に現場はヒューリスティックスが働いて、ある病気の患者が来るとぱっと取る項目が頭に浮かんで、大体その項目に合ったような評価スケールがあって、それを取って進みます。ところが、今回みたいなものは全ての状態を把握しようというので、そのヒューリスティックスの外側にある項目も入ってきますので、新しい発見ができる可能性は十分ある。
 ただ、現実には今のところはまだそこまで洗練されていないということです。これがもうちょっと一般化されて、医療の外まで全部、先ほど介護も出てきましたが、健康な人たち、あるいは健康だけれどもいろんな悩みを持っている人たちなどのことに関しても発展させるためには、次の準備が必要かと思って先生のお知恵を借りたいというところが、今回私が先生にご意見をいただいた理由でございます。
 
○林委員
 それで、昨年度までいろいろ言っていて、WHODASにしても例えば広く世帯調査などに入れるときに、例えばワシントングループの障害の質問だと6項目で答えが4スケールで、ここで障害かどうかを分けようと、かちっと分けられるものだけれども、ICFにしてもWHODASにしてもそういう類いのものではない。
 ですから、今のリハビリ計画を一番適した形で作るとか、それから井上先生がおっしゃられた介護機器のコーディングに使うとか、そういうきめ細かく、かゆいところに手が届くということにすごく向いている指標なのだろうと思っているところです。才藤先生から労働の分野にと言われて、労働の分野ということでなぜだろうとはちょっと思ったのですが、前のときから言っていたのは、今後の検討課題のところについてちょっと誤解が何かあったのかなと思うのは、教育に関するシステムを作る、その教育という言葉なのですけれども、これがICFの教育というよりは教育現場、学校でICFをかなり使われている事例がこの間のシンポジウムなどにも出てきています。教育では、例えば養護学校とか、そういうところの利用とかだったと思いますけれども、そちらで既に使われている方がいるので、そちらの事例をもう少しこの委員会でも検討すると、より広く一般的というか、社会生活、学校生活にどう生かすのかという展望がちょっと開けるかなと思っているところです。
 それから、昨年度までずっと話題になっていて今日も出ましたけれども、ICFとFIMとかBarthel Indexとか、それからワシントングループとか、Eurostat型の障害の捉え方とか、いろんな捉え方があって、これまではICF、特にWHOはそういうところとは違うということで切り分けてやっていたのだけれども、やはり日本としては今まで使っているいろんな指標とか、質問の仕方とか、そういうのがあるので、先ほどどなたかが言いましたけれども、そういうのを含めた形でブラウザーなり、そういったものを作ったほうがいいのではないか。
 だから、ワシントングループのこの項目はICFのこの項目と対応していますとか、そういったものがブラウザー的に表示されて、先ほどのICF FoundationはICFとICDとICHIと、ということになっていましたけれども、さらにその下にFIMがあり、Barthel Indexがあり、ワシントングループがありというような形で、統合的に人々の生活機能を捉えられるというフレームがそこで見える。それをいろんな形でオープンソースにしてアプリに組み込むとか、そういう形で使ってもらうという形で考えたらどうかと思っているところです。
 
○才藤委員長
 分かりました。先生がおっしゃるのは、リコードよりはちょっと手前というくらいのところで、全体の包括的な絵が皆さんに見えるようにしたらどうかという意味ですね。
 
○林委員
 そうですね。
 
○才藤委員長
 それは、いい提案だと思います。また御相談させてください。
 あとは、牧野先生からまだお話がなかったかと思います。感想でも結構ですので、ぜひお願いします。
 
○牧野委員
 ありがとうございます。日本介護支援専門員協会副会長の牧野でございます。
 私たち介護支援専門員は、65歳以上の認知症の方を含む高齢者、難病の方を含む障害者、40歳以上で65歳未満の加齢に伴う疾病を原因とする要支援・要介護者を支援しております。この中には、若年性認知症の方を含んでおります。
 結論として申し上げたいのは、ICFを地域共生社会においても活用していくべきではないかということです。その理由ですが、ICFが在宅と病院、施設等をつなぐ共通言語になるのではないかと考えるからです。国際比較に加えまして、評価者が替わったとしても普遍的に評価できるものが必要だと考えますので、こちらの委員会の活動はとても重要だと思いました。山田先生、向野先生、御発表ありがとうございます。
 また、教育システムがうまく活用されていきますと、多職種連携にも功を奏すると感じております。
 本日こちらの委員会に参加するに当たりまして、私のほうで介護支援専門員を含むICFの学びの状況というものは事前提出をさせていただきましたので、御報告させていただきます。また、ICFが地域共生社会において活用されるべきであると発言した理由について、詳しくお伝えしたいと思います。
 介護分野においては共通言語がどうして必要なのかという点です。社会福祉法が改正され、私たちがこれまで取り組んできた地域課題について地域生活課題として対応していくべきと言われております。地域生活課題を解決していくために地域共生社会という視点が必要となるからです。
 
○才藤委員長
 事務局から巻きが入りまして申し訳ないですけれども、資料を提出いただいてメンバーの方々にそれを紙面でお伝えする格好でお許しください。司会の不手際で申し訳ないです。
 
○牧野委員
 分かりました。よろしくお願いいたします。
 
○才藤委員長
 牧野先生のおっしゃることは本当に全部もっともで、介護の世界までくっつかないといけないし、人間の特に身体、健康面ですね。認知も含めて身体の問題をこれで扱えるというのは大切だと思います。ありがとうございました。
 正立先生、ぜひひとつコメントをお願いします。
 
○正立委員
 ありがとうございます。
 冒頭のご挨拶で申し上げましたように、特に専門的な知見を有しているわけではございませんので、感想を述べさせていただきたいと思います。
 私どもは、高齢者に関わる大きなテーマだということで2006年から参加させていただいております。それで、このICFの重要性というものが健康状態を単に疾病とか障害という一部の視点から見るのではなくて、活動や社会参加といった生きることの全体像から捉えていくというようなお話を伺い、非常に感銘を受けたことを記憶しております。
 現状では医療現場での活用が先行しているようですけれども、この高齢社会の中で老人クラブの会員にも、目が悪い、耳が聞こえづらい、また膝関節が痛いというような人もおり、高齢者にとってどういった活動や社会参加がふさわしいのか、求められるのか。そういったことを広く国民全体に普及できるようなものになっていくといいのではないかと考えております。
 先ほど向野先生、山田先生からの御発表をお伺いして非常に勉強になりましたけれども、ぜひ例えば地域包括支援センターみたいなところで教育、ICFに対する教育ですね。そういったことを進めていただきながら、今後の方向を探っていっていただければありがたいと感じております。
 以上でございます。
 
○才藤委員長
 ありがとうございます。
 今日の議題は概ねこれで終わったわけですけれども、皆さんからいろいろな意見が出て非常にありがたいと思っております。少し委員長として考えて、次回の前になるべく早めに個別に先生方にお願い等をしながらこの委員会がアクティブに進むことを考えていきますので、その際は嫌だと言わずに御協力いただいて先に進む御助力をいただければと思います。
 それでは、最後の議題になります議事3のその他について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○事務局
 例年、年度末に開催しておりましたICFシンポジウムの開催時期についてです。今年度は来年1月にWHOよりICD-11の発効が予定されていることと、本日御議論いただいた今後の方向性に沿ってこれから各種進めていくことになりますので、そういった情報、進捗を盛り込める時期として、シンポジウムは来年度の前半に開催する予定で現在考えておりますので、この場でお知らせをさせていただきます。
 
○才藤委員長
 ありがとうございました。
 この件に関して御質問はございますか。来年の何月くらいになりますか。
 
○事務局
 夏前くらいです。
 
○才藤委員長
 夏前くらいに予定していますので、少し時間があるので成果がまた上がってくるのではないかと思います。ほかに全体で何か御発言がある委員はございますでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議事のほうはこれで終了いたします。
 最後に、事務局のほうから今後の予定について御説明をお願いします。
 
○事務局
 本日は、活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
 次回委員会の開催につきましては、現在のところ未定です。開催の時期が見えましたら、改めて事務局より日程調整の御連絡をさせていただきますので、御協力のほどをよろしくお願いいたします。
 
○才藤委員長
 ありがとうございました。それでは、これで閉会といたします。

照会先

政策統括官付参事官付国際分類情報管理室 知念、鈴木

代表03-5253-1111 内線7377