2021年9月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年9月27日(月)18:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」のウェブ会議を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 この度の医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ウェブでの審議とさせていただきます。
 本日のウェブ会議におけます委員の出席についてでございますが、小崎委員、松下委員、渡辺委員より御欠席との御連絡をいただいております。また、川上部会長代理は後ほど御参加いただけると承知しております。
 したがいまして、本日は現在のところ当部会委員数21名のうち、現時点で17名の委員にこのウェブ会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続きまして、事務局に人事異動がございましたので、御報告いたします。
 医薬品医療機器総合機構審査マネジメント部長の安川孝志でございます。よろしくお願いいたします。
 以上になります。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告をさせていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
 今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告をさせていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいておりまして、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願いいたします。
 また、本日のウェブ会議に際しましても、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者におきましてはマスクを着用したまま説明させていただきますので、御了承いただければと思います。
 それでは、清田部会長、以降の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 清田でございます。よろしくお願いいたします。
 本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のウェブ会議に係る資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料は、9月21日にメールにてお送りさせていただいたCTD類と、9月22日にメールにてお送りさせていただいた「特例承認に係る報告書」、また、9月24日にメールにてお送りさせていただいたCTD1.2承認申請書及び資料1から3と製剤写真を用いますので、御用意をお願いいたします。
 なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
 続きまして、本日のウェブ会議に係る審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。
 資料No.3の1ページを御覧ください。
 ゼビュディ点滴静注液500mgでございますが、本品目はSARS-CoV-2による感染症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本ウェブ会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
 議題1、ゼビュディ点滴静注液500mg、退室委員、大曲委員、議決に参加しない委員、亀田委員、濱委員、南委員、山本委員でございます。
 薬事分科会審議参加規程第5条において「申請資料作成関与者である委員等は、審議又は議決が行われている間、審議会場から退室する」とされております。ただし、同条のただし書で「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる」となっております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 ここで、今回、議題1の審議に関しましては、SARS-CoV-2による感染症に関する治験の実施経験がおありであります大曲委員の意見は参考になるのではないかと思われます。当部会としては、大曲委員には御出席いただき御意見を述べていただいてはいかがかと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に御異議がないようですので、御了解いただいたものとし、大曲先生には御出席、御意見をいただくことといたします。
 今の事務局からの説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は審議事項1議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移ります。
 議題1につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ゼビュディ点滴静注液500mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
 資料No.1の星マークのついている「特例承認に係る報告書」のファイルをお開きください。
 新型コロナウイルス感染症はSARS-CoV-2による感染症であり、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が宿主細胞のアンジオテンシン変換酵素2に結合することで宿主細胞に侵入し、感染に至るとされております。ゼビュディ点滴静注液500mgは、スパイクタンパク質上の受容体結合ドメインに対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体製剤であり、宿主細胞へのSARS-CoV-2の侵入を阻害すると考えられています。海外では、米国FDAによるEmergency Use Authorizationが得られており、今般、特例承認に係る承認申請が行われました。
 本申請の専門委員として、資料No.2に記載の8名の委員を指名いたしました。
 審査の概要について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
 有効性について、通し番号31ページ、表23を御覧ください。
 重症化リスク因子を有し酸素投与を要しないSARS-CoV-2による感染症患者を対象とした海外第II/III相試験において、主要評価項目である無作為化後29日目までの疾患の急性期管理のための24時間を超える入院または理由を問わない死亡が認められた被験者の割合は、中間解析において、本薬群で1%、プラセボ群で7%であり、プラセボ群との比較において統計学的に有意な差が認められ、試験は早期有効中止とされました。なお、中間解析以降の無作為化は中止されたものの、既に無作為化されていた全例が29日目の来院または早期脱落に至った時点で最終解析が実施され、結果は本薬群で1%、プラセボ群で6%であり、中間解析と同様の傾向が認められました。
 日本人患者における有効性の結果は得られておりませんが、SARS-CoV-2による感染症の診断基準、病態、重症化リスク因子、治療法等に国内外で大きな差異はなく、本薬は外来性因子に対する抗体でありヒト組織と交差性を示さないこと、本薬は体内のIgG抗体と同様に代謝を受け各アミノ酸へ分解されるため、消失過程に民族差が生じる可能性は低いと考えられることなどから、本薬のPKが日本人と外国人で大きく異なる可能性は低いと考えられることなどを勘案すると、日本人患者においても一定の有効性は期待できると判断いたしました。
 以上を踏まえ、海外第II/III相試験の成績に基づき、重症化リスク因子を有し、軽症から中等症Iに相当する酸素投与を要しないSARS-CoV-2による感染症に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。ただし、現在、日本人を含む健康成人を対象にPK、安全性等を検討する第I相試験が実施中であり、当該試験の成績が得られ次第、有効性及び安全性に及ぼす影響も含め、医療現場に速やかに情報提供する必要があると考えます。
 変異株の影響について、通し番号31ページ、中ほど「SARS-CoV-2の変異株の影響について」から始まる段落を御覧ください。
 海外第II/III相試験の実施時期に実施国で認められた主なSARS-CoV-2は野生株、アルファ株及びガンマ株でした。また、海外第II/III相試験の被験者から、次のページ、表24に示した変異を有するウイルスが認められました。さらに、in vitroにおいて懸念される変異株及び注目すべき変異株に対する本薬の中和活性の低下は確認されておりません。
 以上を踏まえると、臨床でのデータは限定的ではあるものの、現時点では、変異株に対する有効性は期待できるものと考えます。ただし、製造販売後も引き続き情報を収集し、新たな知見が得られた場合には速やかに医療現場に情報提供する必要があると考えます。
 安全性について、通し番号34ページ、表25を御覧ください。
 海外第II/III相試験において、プラセボ群と比較して本薬群で事象の発現割合が高い傾向は認められませんでした。また、次のページ、海外第II/III相試験における過敏症を含む注入に伴う反応の発現状況は表26のとおりでした。加えて、入院患者を対象としたほかの臨床試験では、本薬群でアナフィラキシーの発現が1例認められました。
 以上より、アナフィラキシーを含む過敏症等について、ほかの抗体製剤と同様に注意喚起を行うことを前提に、SARS-CoV-2による感染症に対する本剤の安全性リスクは管理可能と判断いたしました。ただし、日本人の患者に対して本剤を投与した経験は現時点で得られていないことから、日本人における安全性について、実施中の臨床試験の成績も含めて、製造販売後に引き続き情報収集し医療現場に適切に情報提供する必要があると考えます。
 最後に、通し番号41ページを御覧ください。
 以上の審査を踏まえ、機構は、ここに記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。
 本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断いたしました。
 なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、委員の先生方から御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょう。
 そうしましたら、大曲先生に入っていただいていますので、大曲先生からコメントをいただけたらと思います。いかがでしょう。
 大曲先生、よろしくお願いします。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いいたします。
 今回のソトロビマブですけれども、既に日本では抗体製剤、イムデビマブとカシリビマブですね。こちらの部会でも議論がされて、承認されて、実際に現場で使われています。また違うお薬ではありますけれども、実際に社会的にもしっかりと使われていると認識しています。
 ニュース等でも流れておりましたし、今後こうした抗体製剤は海外でも使われるようになると、供給ですとか、不安なところもないわけではありません。今回のソトロビマブに関しましては、効果あるいは有害事象に関しては示されたとおりだと思っていますし、検討された段階では、特に今まで出てきた変異株、これから出てくる変異株に関する対応ということも設計段階でかなり慎重になされていると、これまでの論文等で見て聞いております。私としましては、こうした抗体製剤、非常に重症化のリスクを下げる意味で有効だと思っておりますし、選択肢が増えることと最終的に供給量も確保できる、その分供給量が増えることも考えると、今年また来ることを考えざるを得ない波のことを考えると、臨床現場としては非常に期待されているお薬だと思って見ております。
 一般的なところになりましたが、以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。
 非常にポジティブなサポートをいただきまして、ありがとうございます。
 委員の皆様から御質問はいかがですか。
 宗林先生。
○宗林委員 宗林です。
 1点だけ御質問がありますので、教えてください。変異株について、17/43のところを見ますと、ソトロビマブに関しての数値が載っており、先ほど口頭では変異株に対しての大差がないという御説明でしたが、私はロナプリーブと、変異株に関してのそれぞれの特性、違いがあるのかと思っていたので、それをまず御質問させていただきたいのと、患者さんにどちらの選択をするのかというときに、その人の株によってソトロビマブとカクテルを仕分けたほうが効果的ということがあり得るのかどうかについて伺いたいと思います。表7を見ますと、変化倍率のところ、これは大差ないと読むのかもしれませんが、数値的には少し差があるように見えますので、教えてください。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
 変異株に対する中和活性の変化倍率について、機構といたしましては、ロナプリーブと大差ないと考えております。
 ロナプリーブと本剤の使い分けですが、臨床上、有効性と安全性に大きな差異は認められていないと考えておりますので、いずれも治療選択肢の一つとして考えております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○宗林委員 では、差異なく選択肢にたくさんの種類が出てきたということで、特にどの患者、どの株だからということの選択はなく同じような形で使っていくということでよろしいですね。
○清田部会長 よろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりでございます。
○宗林委員 分かりました。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御意見はございますでしょうか。
 宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 教えていただきたいのはエピトープ変異のことなのです。33/43に書いてあり、大曲先生にもお伺いしたいところです。例えばこのエピトープ変異に関して、より早期に使うことによってこのような修飾されるという可能性があるのか。つまり、投与される時期によって少し差異が出てくることが想定されるのかどうか。いわゆる超初期なのか、初期なのかということによっても随分違いがあるのかという気がするのですけれども、それについてお教え願いたいと思います。
○清田部会長 大曲先生、お答えになれますでしょうか。
○大曲委員 大曲です。ありがとうございます。
 実は僕はあまり詳しくないのですけれども、でも、自分の理解している範囲でお答えしたいと思います。実際に投与する時期でこうした変異が出やすくなるかどうかというところに関しては、恐らく早いほうが出にくいのだろうという印象は持っておりますけれども、ファクトを示し切れておりませんので、先生、申し訳ありません。
 あとは、気にしているのはむしろ患者さんの属性で、例えばもともと免疫不全があって、特にB細胞系の免疫不全があるような、抗体が低いような方がいたりしたとして、こういう方々に使った場合に、結果的には症状としては抑えられるかもしれないけれども、比較的長い間バイアブルなウイルスが残ってしまってということは起こり得るのかと思っています。そういう患者さんはいらっしゃるのかと思っていまして、たまたまそういう患者さんに当たってこういうお薬を使った場合に、選択して残ってくるものに対して、いわゆるエスケープするような変異が残るですとか、変異を持つ株が残るですとかといったことは起こり得るのかとは思っておりました。
○宮川委員 ありがとうございます。
 そういう意味では使用する側がよく理解して、投与した後の管理をどのようにするかは非常に重要なことなので、その辺も厚労省も含めてぜひ注意喚起というか、より詳細な説明をしていかないといけないのかと思うのですが、大曲先生、そのような考え方でよろしいのでしょうか。
○大曲委員 ありがとうございます。
 投与された後の患者さんの動向、特に奇異な動向、例えば実際に発症してしまったとか、あるいは一定の特に免疫不全があるような患者さんに投与した場合の経過を追うですとかといった配慮は私も要るのではないかと思います。
○宮川委員 ありがとうございました。
○清田部会長 機構から宮川先生の御質問に対して何か追加はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構といたしましても、投与のタイミングや投与時のウイルス量に応じてエスケープ変異が起きやすいかといった解析のデータは提出されておりませんので、そこは御回答しかねるところです。
 なお、投与後のエスケープ変異の出現につきましては、今後引き続き申請者にも注視していくように伝達しています。
 以上となります。
○宮川委員 ありがとうございました。
○島田委員 今のことに関しては、ロナプリーブと全く同じなのですね。別にこのソトロビマブに限ったことではないです。
○宮川委員 ロナプリーブに関しても同じなので、発症時期を問わずに外来で軽々に投与するとか、その後は経過を詳細に追わないみたいな形でやっていることは少し心配です。患者にとって適切なフォローをして、使用に関してしっかりと情報伝達をして、適切な使い方を定めることが非常に重要なので、そのような情報提供は現場によろしくお願い申し上げます。
 島田先生、ありがとうございます。
○島田委員 それで、私の質問としては、前回のロナプリーブのときは、要は病初期といいますか、軽症例か中等症のIという非常に軽い時期に使うと効果があるというようなことだったのですけれども、入院に限って使うのだというようなことで、私もそのときそのような質問を投げかけたら、実は入院のときに使うから投与の数といいますか、無駄に使われることはないみたいな話だったのですけれども、それでやってみたら結局は誰も使わないみたいな状況が生じて、ロナプリーブは残念ながら病初期になかなか投与できなかったという経緯がありますね。今回は入院に限定ではなくて、軽症例も含む中等症Iだから、結局入院例にしてしまうとなかなか使いにくいので、外来や、ロナプリーブにやられたような規制の緩和は同じようにお願いしたいと思います。
 我々は医療機能強化型のホテル療養を県から任されて、250室と160室の二つのホテルをある意味で経営を任されたような形で医療機能強化型ホテルを運営しているというか、面倒を見ているのですけれども、そういったところで一番使われるのです。もう80例近く使いましたけれども、出遅れがあったのでその程度ですが、非常に副作用もほとんどなく効果もあったものと考えておりますが、そのような使い方が一番いいのではないかと思います。入院云々はぜひ省いていただきたいと思っております。
 以上です。
○清田部会長 吉田課長からお答えいただきます。
○医薬品審査管理課長 審査管理課の吉田でございます。貴重な御意見をどうもありがとうございます。
 ロナプリーブのときにもお話しさせていただきましたとおり、薬事におきます適応患者、対象患者というのは軽症、中等症の重症化因子有り患者ということで、特に外来とか、入院とか、今のところ限っているわけではございませんが、予防接種事業を所管している部局におきまして、供給量の問題から一定投与対象に制限を加えていたという経緯がございます。
 本剤につきましては、基本的にはロナプリーブと同じような使い方になるのだろうと思いますけれども、ロナプリーブをめぐる状況もございますので、お聞きしている範囲では当面は入院施設のある医療機関、ただ、速やかに入院患者だけではなくてそこでの外来や臨時の医療施設など、そういうものも含めて入院だけではなく少し広げた形となるようにしていきたいと聞いております。ただ、先生の御意見は当然だと思いますので、その辺りについては、そういう御意見があったことについては改めてお伝えさせていただきたいと思いますけれども、そういう状況でございます。よろしくお願いいたします。
○島田委員 了解しました。
○清田部会長 それでは、浦野先生、御質問をお願いします。
○浦野委員 御説明ありがとうございました。
 私は基本的な内容に関しては全く問題ないと考えますが、一つだけ面白いことが書いてあったので伺いたいのですけれども、15ページにRBDとACE2との結合に対する競合性というところがありまして、そこで意外なことに、このACE2とSタンパクの結合に対しては競合しないというのが書かれていて、これは多分ロナプリーブのときとは違う結果かとは思うのです。逆に言うと、ロナプリーブでは効かなかったものが今回のこちらだと効く可能性という意味で、ダイバーシティが広がるという意味では非常にいいことなのかと。例えばこれから現れる変異株に対して、ロナプリーブは効かないけれどもこちらが効く場合もあり得そうな気がするのです。そういう意味で、どっちを使うかというところに関して、患者さんに対して、例えばこの変異だったらこっちがいいとか、あるいは将来的にそういった情報が製薬会社から出てくることがあるのかとか、その辺の使い分け、この機構が違う、機序が違うというところと使い分けについて、機構が把握している範囲で結構ですのでお教えいただけますでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、RBDとACE2の結合に対する競合性は、本剤とロナプリーブで異なる特徴があります。それによって今後新しく出現する変異株や、新しく出現する変異株に対する中和活性のプロパティが両剤で変わってくる可能性は考えられると思います。なお、申請者には製販後引き続き耐性を有する変異株の出現等の情報を収集して、医療現場に適切に情報提供するように伝達していますので、適切に対応されるものと考えております。
○清田部会長 よろしいでしようか。
○浦野委員 ありがとうございます。
 非常にクリアな説明で、ぜひそのように進めてください。よろしくお願いします。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 宗林先生、どうぞ。
○宗林委員 添付文書の3ページぐらいですか。表2の「主な選択・除外基準」というところがございますが、除外基準のところに「入院中の患者」という言葉があるのですが、これはほかの疾病によりということですね。ほかの疾病によって入院されている方という意味でしょうか。それから、選択基準のロナプリーブと比べて例えば室内空気の酸素飽和度が94、ロナプリーブは93だったような気がするので、この違いはたまたま実験条件がそうだったからというだけで同じと見ればよろしいのでしょうか。取りあえず、除外基準のところの「入院中の患者」という意味をもう少し丁寧に書いていただいたほうが分かりやすいかと。
 それから、前のページに妊婦さんのときの胎盤通過性がいいよという話が書かれておりますが、その都度判断ということではあると思いますけれども、これは胎盤通過性がいいということをどのように取ればいいのかと。通過性がよければ逆にいいのかという読み方もできますが、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合」というのは、例えばもう少し具体的に妊娠後期ならばいいとか悪いとかということなのか、少しこの辺も教えていただければと思います。2点ほど教えていただければと思います。
○清田部会長 機構からお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
 まず、選択・除外基準のところですが、除外基準の「入院中の患者」につきましては、ほかの疾患に限らず、SARS-CoV-2による感染症で入院している場合も含めて今回の試験では除外されております。
 それから、選択基準の酸素飽和度がロナプリーブの設定と異なるということについてですが、酸素飽和度の測定はばらつきが大きいため、同程度のものと考えており、今回は軽症から中等症Iまでに相当する患者が対象とされたということで、ロナプリーブとおおむね同様の状態の患者さんを対象にしたものと考えております。
○清田部会長 妊婦さんはどうですか。
○医薬品医療機器総合機構 妊婦さんの安全性について御説明させていただきます。
 本剤はモノクローナル抗体ですので、胎盤上のFc受容体を介して胎児に曝露されるケースが想定されるため、妊婦さんに投与した場合に、妊娠後期に胎児への曝露があることは事実としてございます。ただ、本剤は外来のウイルスタンパク質を標的としていますので、仮に妊婦さんに投与したとしても、妊婦さんの体にこの抗体が結合して妊娠の維持や胎児への影響を及ぼす可能性は非常に低いと考えられています。
○清田部会長 宗林先生、いかがですか。
○宗林委員 まず、先ほどの妊婦さんのところですが、これは専門家が見る添付文書ですので、これで分かるのかもしれませんが、私も安全性が高いので別に妊婦さんは非常に注意をするというような感じではないと思っています。思ったとおりの御説明だったのですが、ややそれが分かりにくい気がいたしました。これは感想までです。
 それから、先ほどの除外基準の入院中の患者さんというところですけれども、発症後陽性になってから7日以内で、今まではすごく厳しくて入院できなかったのかもしれませんが、今後発症してから7日以内であればCoV-2で入院していれば除外ということは必要ないのかと思っていたのですが、その辺はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先生の御理解のとおりで、入院というところはあくまで試験における設定ですので、実臨床において入院患者に投与していけないという意図ではありません。
○宗林委員 この臨床試験の条件という意味だけですね。そうすると、添付文書としては7日以内でも入院患者さんでもいいよということですね。
○清田部会長 表2の前の文章に「本試験の主な選択・除外基準は表2のとおりであった」ということだけなので、そこら辺はフレキシブルに適応があれば投与できるという考え方になろうかと、それでよろしいのではないかと思います。
○宗林委員 承知しました。ありがとうございました。
○清田部会長 どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 少し補足をよろしいでしょうか。今回、除外基準に「入院中の患者」という設定が入ったところとしましては、試験の主要評価項目が入院または死亡で見る試験になっておりましたので、そういった評価上の観点も踏まえて除外基準として「入院中の患者」とされたと理解しております。
○宗林委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。
 どうぞ。
○亀田委員 亀田です。ありがとうございます。
 1点質問させていただきたいのですが、これの用法用量としては全部一律に500mgになっていると思うのですけれども、ウイルスに対する中和ということで、ウイルスの発現量は個人差が当然あるはずで、実際にウイルスの変化を見ていてもかなりSDが大きいわけですね。そうしますと、ログで見ていてしかもSDが大きいということは、かなりウイルス量が多い人と少ない人でこの一律の用量でどうかということなのですが、そのウイルスの変化をDay5、Day8と見ていった場合に、ベースラインのウイルス量が非常に高い人とそれほどでもない人でどうなのかということで、ウイルスが多過ぎて中和し切れないリスクに関してのデータはございますでしょうか。
 以上です。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。
 まず、ベースラインのウイルス量ごとに主要評価項目等の有効性を解析した結果については、提出されておりません。一方で、今回500mgの投与によって、ウイルスに対するEC90値を上回る濃度を得るために、必要な血清中濃度である1.32μg/mlの20倍から30倍程度の血清中濃度が投与後28日目でも維持されているといったデータが得られておりますので、500mgの投与によって十分な曝露量が得られるものと考えております。
 また、臨床試験におきましては、ウイルス量の異なる被験者を含む全体集団で有効性が認められておりますので、用法・用量としては500mg単回点滴静注とすることが適切と判断しております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○亀田委員 ありがとうございます。
○清田部会長 中野先生、御質問をお願いします。
○中野委員 中野でございます。
 審査報告書の29ページ、表20についてお伺いいたします。このイベントというのは疾患による急性期管理のために24時間を超える入院または理由を問わない死亡というものがイベントとして挙げられていますが、本薬群で15日を超えてから、このKaplan-Meier曲線を見ますと、最初に2人、その後に1人ぐらい、3人ぐらいこのイベントが発生している方がいらっしゃるわけですが、SARS-CoV-2の感染症の方で15日を超えてから入院に至ったのはそんなに数は多くないかという気がしているのですが、この3人というのはSARS-CoV-2の感染症がこの時期に増悪して入院したという理解でよろしいでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。
 この時期にイベント、入院が発生した結果と理解しております。
○中野委員 他疾患ではなくSARS-CoV-2でこの時期に入院が発生しているわけですね。ありがとうございました。
○清田部会長 宮川先生、また御質問があるようですが。
○宮川委員 私も今の話を聞きたかったので。中野先生と同じ理由です。このぐらいの時間経過があって起きたことなのかお聞きしたかったところです。
 もう一つなのですが、これは厚労省の方かもしれませんが、「診療の手引き」の中にはロナプリーブのところで書いてあるところなのですが、結局重症化リスク因子の取扱いというところで、海外の第III相試験と本手引きとEUAという形で少し対応が違ってきています。今後もこの薬に関しても同じような対応を取られる形になっていくのでしょうか。つまり、海外の第III相試験、EUAの範疇、それから、日本の手引きでは少しずつ違うことが想定されると考えていいのでしょうか。今後の使用に関わってくるところなので、ぜひ教えていただければと思って御質問させていただきました。
○医薬品審査管理課長 審査管理課の吉田でございます。貴重な御意見をありがとうございます。
 この部分につきましては、予防接種事業での取扱いの部分もあるのですけれども、ロナプリーブのときと同様に、今回の治験での基準、EUAでの基準、手引きでの基準、それを並列で御紹介し、どれかに該当する方が対象患者ですというロナプリーブと同じような扱いで対象を決定する形にすると今のところは聞いているところでございます。
○宮川委員 ありがとうございます。
 焦点がずれた話で申し訳ございませんでした。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、そろそろ議決に入りたいと思います。
 なお、大曲委員におかれましては、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。また、亀田委員、濱委員、南委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 本日の議題は以上ですが、事務局から報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は11月4日木曜日午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。お疲れさまでした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)