第17回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和3年9月29日(水)13:00~14:00

場所

オンライン開催

議題

(1)全国がん登録情報等の提供について

議事

 
令和3年9月29日13時から開催 第17回厚生科学審議会がん登録部会
 
○岩佐推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第17回「厚生科学審議会がん登録部会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、また、急遽の開催にもかかわらず御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
 健康局がん・疾病対策課がん対策推進官の岩佐でございます。
 今回新型コロナウイルス感染症の状況等を踏まえまして、ウェブでの開催とさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、参加中、画面はオンにしていただきまして、マイクはミュートにしていただき、発言の際にはミュートを切っていただきまして、最初にお名前をいただいてから御意見・御発言等をいただければと思います。御意見等がございますときには、画面上の挙手ボタン、もしくは直接手を挙げていただければ、部会長のほうから指名させていただきます。
 委員の出席状況でございますが、本日は有賀悦子委員、家原知子委員、石井夏生利委員及び中村康彦委員から御欠席の御連絡を頂戴しております。
 本日のがん登録部会の委員定数19名に対しまして、出席委員が15名ということで、議事運営に必要な定足数10名に達していることを御報告申し上げます。
 本日、2名の参考人に御出席をいただいております。
 国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターのセンター長、東尚弘参考人。
 それから、国立がん研究センター、がん対策研究所国際政策研究部の部長、松田智大参考人となります。
 それでは、開会に当たりまして、健康局長より一言御挨拶をいたします。
○佐原局長 皆さんこんにちは、健康局長の佐原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、先生方は大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。また、日頃より、厚生労働行政を幅広く御助言・御指導いただきましてありがとうございます。この場をお借りして改めてお礼を申し上げたいと思います。
 早速ですが本日の議論、全国がん登録につきましては、平成25年にがん登録等の推進に関する法律が成立いたしまして、平成28年1月から施行され、皆様のおかげでその登録及び利活用が大変進んでまいりました。
 一方で全国がん登録情報の国外提供につきましては、がん登録等の推進に関する法律において明確な規定がなく、これまで行われてきておりません。
 本日は、全国がん登録情報等の国外提供について、現行法において考えられる対応案をお示ししまして、先生方に御議論をいただければと思っております。委員の皆様方におかれましては、それぞれのお立場から活発な御意見、また、御議論いただければと思います。
 今後とも、先生方からの力添えをお願いいたしまして、冒頭の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩佐推進官 それでは、以降の進行につきまして、辻部会長のほうによろしくお願いいたします。
○辻部会長 皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 では最初に、事務局から資料の確認をお願いします。
○渭原補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 事前にメールで送付をさせていただいております。
 議事次第
 資料1 全国がん登録情報等の提供について
 参考資料1 厚生科学審議会がん登録部会委員名簿
 参考資料2 がん登録等の推進に関する法律
 参考資料3 全国がん登録 情報の提供マニュアル 第2版
でございます。
 資料の不足、落丁等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 以上をもちまして撮影を終了いただきますよう、御協力をお願いいたします。
○辻部会長 先生方、よろしいでしょうか、資料は問題ございませんでしょうか。
 問題ないようですので、審議に入りたいと思います。
 本日の議題は「全国がん登録情報等の提供について」ということであります。
 今回は、事務局から、全国がん登録情報等の国外提供につきまして、これまで整理されてこなかった課題や対応案などを提案していただきます。議題を提案した後、委員の皆様から御意見・御質問をいただきたいと思います。
 最初に、事務局から資料の説明をお願いします。
○渭原補佐 それでは、資料1の「全国がん登録情報等の提供について」について、お話しさせていただきます。
 論点です。全国がん登録情報等の国外提供については、がん登録推進法等において明確な規定がなく、これまでも行われてきておりません。こうした現在の運用については、国外での情報漏えい等を防止し、基本理念である情報の厳格な保護に資する反面、国際共同研究や国際機関へのデータ提供の機会が制限され、十分な活用ができていないという指摘がございます。
 全国がん登録情報等の国外提供について、情報の厳格な保護及びがんに係る調査研究の活用の観点からどのような対応が考えられるか、本日は御提案させていただきます。
 まず、地域がん登録情報等の国外提供の例を御紹介いたします。がん登録推進法施行前の地域がん登録の運用におきましては、国際共同研究事業として、一部の都道府県が匿名化された個票データを世界保健機関WHOの一機関である国際がん研究機関(IARC)と国際がん登録協議会(IACR)が5年ごとに刊行している「5大陸のがん罹患率(CI5)」に提供、実質は共同利用してきた実績がございます。
 本事業は世界のがん罹患率をデータブック化し、各国のがん対策に寄与することを目的としており、これまでがん登録を実施している65か国343登録が参加してきております。日本は第1回の1966年から継続して参加してきております。
 実際の運用においては、各国のがん登録からIARCに匿名化された個票データを掲出し、IARCのサーベイランス部で標準化した精度管理を経て集計値を算出しております。
 スライド4とスライド5で、現在のがん登録推進法における全国がん登録情報等の提供に係る取扱いについて御紹介いたします。厚生労働大臣による全国がん登録情報等の提供につきましては、がん登録推進法において4ページにあります第17条と5ページにあります第21条第3項と第4項で規定がございます。
 4ページにあります第17条では、国のがん対策の企画立案等に必要な調査研究のための利用等の場合、5ページでは、その他の調査研究のための利用等の場合に関して規定がございます。詳細な条文については、後ほど御確認いただければと思います。
 そこで、全国がん登録情報等の国外提供についての検討課題として次の5つを挙げさせていただきました。(1)国外提供の要件、(2)安全管理措置、(3)提供する情報の範囲、(4)審議方法、(5)都道府県知事によるがん登録情報等の提供についてです。こちらの5つの検討課題について、次のスライドから検討の視点及び対応方針案について提案させていただきます。
 スライド7ですが、国外提供の要件について、検討の視点としましては、国外の利用者に対しては、がん登録推進法に基づく安全管理措置等の実効性の担保について懸念があること、また、全国がん登録情報等が非常に機微性の高い情報であることを踏まえると、情報の厳格な保護の観点から、国内の行政機関等が共同で責任を負うこととする等の慎重な対応が必要ではないかというものでございます。
 対応方針の案としましては、全国がん登録情報等の国外提供については、当面の間、がん登録推進法第17条第1項第2号に基づく全国がん登録情報の提供として整理されるものであって、次の要件を全て満たす場合について可能としてはどうかと提案させていただきます。
 1つ、提供目的が、我が国のがん対策の企画立案、または実施に必要ながんに係る調査研究のためであると認められること。
 2つ、第17条第1項第2号に該当する委託を受けた者等が、外国政府、または日本が加盟している国際機関といった公的機関であること。
 3つ、委託、または共同して研究を行う国の行政機関、もしくは独立行政法人が提供依頼申出者となり、共同で責任を負うこと。
 4つ、当該情報により識別をすることができるがんに罹患した者、または第三者の権利利益を不当に侵害する恐れがあると認められないこととします。
 今、申し上げたがん登録推進法第17条に基づく国外提供のイメージを次のスライド8に記載しております。
 今回は、国外にある第三者を直接の提供依頼申出者とする申出については、がん登録推進法に基づく安全管理措置等の実効性の担保について懸念があることから、現時点での提供は不可とします。こちらは引き続き慎重な検討を行うのですが、本対応方針案における国外提供の考え方は、第17条第1項2号に該当する委託を受けた者等が、外国政府、または日本が加盟している国際機関等の公的機関であって、かつ委託等を行う国の行政機関、もしくは独立行政法人が提供依頼申出者となり共同で責任を負う場合について、国外提供が可能としております。
 続いて、安全管理措置についてですが、検討の視点として、全国がん登録情報等の提供を受けた者は、これらの情報を取り扱うに当たって、その漏えい、滅失及び毀損の防止、その他の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないとされており、これについて、提供マニュアルの安全管理措置が求められております。
 国外提供においても、これらの安全管理措置が遵守されることが必要であり、そのためにどのような点に留意する必要があるかという点から、以下の対応方針を提案させていただきます。
 まず、国外での利用の可能性がある場合は、申出書にその旨を明記することを必須とするとともに、国外の利用者からもがん登録推進法に基づく安全管理措置等を遵守する旨の誓約書の提出を求めること。
 2つ目として、国内及び国外の利用者のデータ利用状況を継続的に管理・監督する旨を利用規約に明記した上で、提供依頼申出者に対し誓約書の提出を求める。
 3つ目として、国外の利用者が十分にがん登録推進法に基づく安全管理措置等の内容について理解できるよう提供依頼申出者に求める。
 4つ目として、審議会等は提供依頼申出者に対して、国外の利用場所における安全管理体制や利用場所で適用される個人情報保護法制、または規約等について必要な説明を求める。
 5つ目として、その他、情報の安全管理等の観点から、特段の懸念を有するものでないことを審議会等において審査することとしてはどうかと提案させていただきます。
 10ページ目では、提供する情報の範囲について、以下の検討の視点がございます。
 がん登録推進法第17条第1項は、全国がん登録情報について、これに必要な限度での提供を可能としており、その提供される情報の範囲は、調査研究の目的等を踏まえて、必要最小限であることが基本です。
 また、国外提供に当たりましては氏名、住所、生年月日等の個人識別性の高い情報については、特に慎重な判断が必要です。
 これらを踏まえ、対応方針として、当面の間は情報の厳格な保護の観点から、国のがん対策の企画立案等に必要な必要最小限の個別具体的に慎重に審議していくこととしてはどうかと提案させていただきます。
 次のスライド、審議方法について、これまで申し上げた(1)から(3)に基づき、以下の対応方針を提案させていただきます。
 国外提供の取扱いについては、(1)から(3)の要件を満たすことについて、個別具体的かつ慎重な判断が必要であることから、当面の運用として、これに関する審議は厚生科学審議会がん登録部会及びその下に設置される審査委員会において審議するものとしてはどうかということです。
 5つ目の課題として、都道府県知事による都道府県がん情報等の提供についてでございますが、こちらは第18条、または第19条に基づき、都道府県知事が提供を行う場合についても第17条と同様に解して差し支えないこととしてはどうかと提案させていただきます。
 以上が、(1)~(5)の検討課題について、その対応方針について申し上げました。
 次のスライド13、14では、国外提供時の安全管理措置に関するマニュアルの記載と対応案についてお示ししております。
 スライド13の上ですけれども、利用者につきましては、提供するがん情報を利用・閲覧する可能性のある国外の者を利用者として申出文書に明記する。
 また、国外の利用者についても同様の措置が可能となるよう、国内・国外双方の利用者から報告できるような連絡体制を構築し、その旨を申出文書に明記すること。
 データを扱うに当たりましては、国外の利用者についても、中間生成物について国内と同様の管理を行い、国内・国外双方の利用者から報告できる連絡体制を構築し、その旨を申出文書に明記すること。
 また、国外の利用者についても同様の措置が可能となるよう、提供依頼申出者と国外の利用者の間で個別に契約を締結する等、その他合理的な方法により監査等の措置が担保されていることについて、その旨を申出文書に明記することを提案させていただきます。
 スライド15は、参考資料としてがん登録推進法の罰則規定について記載しております。適宜参照いただければと思います。
 資料については以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
 ただいま御説明した内容のうち、地域がん登録の運用について、国際がん研究機関でがん情報を共同利用してきた大木委員に追加で御意見をいただきたいと思います。
 大木先生、よろしいでしょうか。
○大木委員 日本がん登録協議会の大木です。
 海外との共同利用は、第15回がん登録部会で、がん登録推進法の目的のさらなる達成のために、現状の課題と今後の期待というところで取り上げておりました課題の中の一つです。国民に役立つために全国がん登録を活用していく。国民へがん登録情報の利用を理解していただくように努力する。これが日本がん登録協議会の役割と考えています。
 私の発言内容としては、まず、国際機関との共同利用の経緯と、このことが不可欠な理由を述べます。次いで安全管理について述べます。本日、活発な議論をする上で、参考になればと思います。
 まずは国際機関との共同利用に関する我が国のがん登録事業と、これまでの経緯です。がん対策を立案、評価、改善するための基礎資料として、各都道府県が地域がん登録を実施してきました。ただし、がん登録のデータは単独では役に立ちません。データをほかと比較することによって、各々のがん対策の課題が明らかになり、次に何をすれば良いかが分かるからです。比較のためには質のよいデータでなければなりません。精度が高く比較可能だということです。比較するには標準化といって同じ定義やルールで正確に登録することが必要です。
 我が国のがん登録は、国際的に使用されている国際疾病分類腫瘍学、ICD-Oを採用してきました。ICD-Oはがん発生部位と組織型を世界共通のコードで分類しています。また、国際的標準基準に沿って、正確な臨床情報が抽出され、国際共通項目で登録されることにより、我が国のがん登録データの品質が向上してきたことは確実です。
 このような取組から、我が国のがん登録は都道府県間だけでなく、国際的にも比較可能な高品質のデータを作成・収集されるようになりました。そして、法律が施行されてからは、全国的にその精度が達成されました。がん対策は一次予防、がんの発症の予防、そして二次予防:早期発見・早期治療、三次予防、医療の向上・社会復帰に分類されます。このうちどれか一つでも効果が上がらないと、がんの死亡率を低下させることは困難なため、がん対策ではこれらを常にモニタリングし、問題点をチェックする統計、すなわちがん死亡統計とがん登録が必要なのです。がん登録を実施することで罹患率、進展度、生存率を把握することが可能になりますが、これらはそれぞれ一次予防、二次予防、三次予防に対応しています。
 地域がん登録事業として実施してきたデータの国際共同利用では、5大陸のがん罹患によって、我が国の一次予防や二次予防を評価することが可能でした。また、CONCORD研究では、生存率の推移が国際比較されており、経済協力開発機構OECDが各国のがん医療を評価した際にも、そのデータが引用されました。このような経緯から、これまでの我が国のがん対策は総合的に世界から評価されてきたと言えます。また、この国際共同利用を通して、その結果の解釈についても国際的に共有し、日本のがん対策へ貢献しました。
 ここからは、安全管理について触れます。法律が施行された以降は、全国がん登録データの利用に関しては、このがん登録部会等で議論や審議されることとなっています。特にがん登録データには、機微な個人情報と疾病情報という側面があって、これらが重要な課題であるということは明白です。データ対応に際しては、厳格に審査する必要があります。これは国外に限ったことではありません。
 ただ、国際共同利用では、利用先が物理的にすごく遠いとか、時差があって連絡が取れないのではないか、文化が異なったり、言葉が通じないなど漠然とした不安や懸念を抱くこともあるかもしれません。極端な例ですが、国家的情報利用や営利目的を思い浮かべてしまうかもしれません。しかし、これらの利用においての目的は我が国のがん対策の企画立案、または実施に必要ながんに係る調査研究のため、そして、世界の健康と福祉に貢献することを想定していること、加えて安全管理において、提供先でも法的整備が適切であること、実際の安全管理措置が対応できることが重要であって、その上で、安全管理について国内の申請者と共同で責任を負ったり、国内同様に誓約書を交わすことで、解決の道筋が開けるのではないでしょうか。安全管理を怠って情報漏えいした場合は、恐らく学術的・社会的にも信用を失います。
 このように、がん対策への活用と安全管理はセットで進めていく必要があります。個人情報の保護が大きな課題で、我が国に限ったことではありません。欧米など先進国で国際共同利用における安全管理措置については、これまでも十分に議論されてきたことです。
 本がん登録部会でも安全管理については議論されてきました。国外においても原則国内と同じ枠組みでできるようにすればよいと考えています。
 まとめますと、がん登録データの国際共同利用を安全管理の下で可能とすることは、我が国のがん対策を世界的に総合的に評価可能とします。反対に、できない場合には、国民は不利益を被ることになります。
 科学研究の国際化の進展に伴ってがん登録データの国際共同利用は、さらに増加すると考えられます。多くのがん対策関係者が、そのような取組に参加することによって、国際社会における我が国の学術的な存在感が向上するとともに、保健医療分野での我が国の貢献にもつながると思います。
 最後にお願いですが、今回は国際共同利用、全般の方向性とはいうものの、具体的には5大陸のがん罹患をイメージしての議論や説明がなされています。初めてのことですので慎重にすべきですが、どうかこの議論はぜひとも継続していただきたいと思います。CONCORD生存率研究や今後の国際研究の発展のためにも、21条に関しても道を閉ざさないようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○辻部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、国外提供についての検討課題及び対応方針案の1~5につきまして、項目ごとに議論を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
 それぞれの項目につきまして、まず本日、御欠席の委員の方々から御意見をいただいておりますので、そのお預かりした御意見を事務局から御紹介していただき、その後、御出席の先生方から御意見・御質問等がございましたら、御発言いただきたいとお願いいたします。
 それでは(1)国外提供の要件についてというところから始めたいと思います。
 事務局から意見の紹介をお願いします。
○渭原補佐 事務局です。御意見を紹介いたします。
 (1)国外提供の要件について、有賀委員からは、現在、大学・研究機関では経済産業省による安全保障貿易管理において、輸出管理では公知の技術、物品などを対象として国外に持ち出すとき、事前の審査を受け、経済産業大臣の許可を受けるなどとしています。これは外為法に基づくものですが、がん登録情報がこうしたもの対象ではないことの確認がなされることは必要なことと、御意見をいただいております。
 こちらの御意見に対して経済産業省に確認しましたところ、がん登録情報は対象ではないと御回答いただいておりますので、報告とさせていただきます。
 石井委員からは、次の2点の御意見をいただいております。
 まず、個人情報保護制度において、国外提供は最大の論点です。越境データ移転規制との関係で、EUから十分な保護レベルを担保しているかどうかを評価される際に、がん登録推進法に基づく国外データ移転の仕組みが影響を与える可能性は否定できません。個人情報保護法では、外国にある第三者への提供が明文化されているため、本来であれば、がん登録推進法においても、国外提供の要件等を明文化することが望ましいですが、現行法の範囲で解釈するということであれば、当面は原案で示されている要件で進めていく方針に賛成します。安全性という点では、慎重に整理されているのではないかということです。
 2つ目としては、第17条第1項第2号に該当する者に「外国政府」が含まれますが、これについては審議会等において個別具体的な検討が必要です。個人情報保護法が制定されていることや、国家による情報の監視制度を有していることのみをもって判断できない場合があるため、国内外の個人情報保護制度に詳しい人物や、個人情報保護分野の情報技術を知悉した人物が参考人として議論に参加することが望ましいと考えます。
 中村委員からは、資料の対応方針でよいと御意見をいただいております。
○辻部会長 ありがとうございます。
 それでは(1)国外提供の要件につきまして、委員の皆様から御意見・御質問等がございましたら御発言をお願いしたいと思います。なお時間が限られておりますので、発言は簡潔にお願いします。
 祖父江先生、お願いします。
○祖父江委員 国外提供について、おおむねこれで私も賛成なのですけれども、この17条においては、匿名化と非匿名化情報の区別をしていませんよね。ですから、今の対応でいきますと、提供先の制限を設けるにしても、提供する中身として、非匿名化情報も含めてできるという解釈でよろしいですか。それとも、匿名化情報に限ってというものなのでしょうか。
○辻部会長 事務局、いかがでしょうか。
○岩佐推進官 そこにつきましては論点3のほうに係る話になるのかなとは思いますが、現時点での整理につきましては、まず、国外提供そのものの要件としては、非匿名化も含めて認められ得るというところですが、論点3のところで、その点については慎重な判断が必要だとしておりますので、個別に判断をしていく過程で恐らく非匿名化的な情報については落とされていくことになろうかと思います。ですので、結果的には匿名化した情報が提供されていくということになるかと思いますが、第17条につきましては御指摘のとおり、匿名化・非匿名化という区別がございませんので、そのような立てつけとさせていただいております。
○祖父江委員 了解しました。
○辻部会長 よろしいですか。
 羽鳥先生、いかがでしょうか。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。
 3ページ目で地域がん登録のお話がありましたけれども、地域がん登録、私も特に神奈川県医師会理事の時に、県立がんセンターの先生方と一緒に協力していました。この地域がん登録事業が始まったあとから個人情報保護法の規定が様々決まってきたかと思うので、地域がん登録が国際機関に渡せたからといって、全国がん登録の情報をそのまま提供するのは、基盤となる法律も変わったので明文化していかなくてはいけないのではないか。要するに個人情報をきちんとクリアしてかなくてはいけないということを文面としても明らかにしなければいけないと思います。
 それから、先ほども御指摘がありましたけども、外国政府という言葉がありましたけれども、EUとか幾つかの国は、多分日本と同じような考え方でいろいろできるかと思うのですけれども、例えば中国、あるいは北朝鮮とかイランとか、幾つかの国々にも提供することがあり得るのか。それはちょっと懸念されることかなと思うのですけれども、その外国政府というのは全ての外国政府という考え方なのでしょうか。その辺を教えていただければと思います。
○辻部会長 事務局、お願いします。
○岩佐推進官 その点につきましては、ここも対象は全ての外国政府が対象になり得るということではございますが、あくまでも我が国のがん対策の企画立案等に必要な調査研究のための利用等という形で考えておりまして、7ページ目の資料の中の一番下側のポツにもございますとおり、当該情報をより識別することができるがんに罹患した者、または第三者の権利利益を不当に侵害する恐れがあると認められないことなどについて、やはりしっかりと審議をした上で提供をする必要性があろうかと思います。ですので、我が国にとって、そこの政府に提供することが適切なのかどうかということを含めて審議会、それから、当部会の中で審議をして判断をし、提供するという形を考えてございます。
○羽鳥委員 了解しました。
○辻部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかいらっしゃいますか。
 山本先生、どうぞ。
○山本(隆一)委員 海外との共同利用というのは進めるべきだと考えますけれども、やはり安全とプライバシーの保護というのが大前提ですので、なおかつがん登録に関する法律には国外利用は記載されていない状態で、今、個人情報保護法や海外への移転に関するルールが明確に定められていて、なおかつ令和3年の個情法の改正で、行政機関も独立行政法人も学術研究や医療に関しては扱いが統一されるということになっていますので、そういう意味では、現時点のこの御提案の要旨を読むと、提供する情報は一応匿名化情報と読めますので、それに関しては全く問題ないと思いますけれども、これから先、匿名化情報ではない個人情報としても提供することが多分必要になってくるだろうと思いますので、これは引き続き検討して、やはり法律改正をしたほうが何かと問題が少ないと思っております。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 私も全く先生のおっしゃるとおりだと思います。今回は特に法律に明記されていないことを初めて行うということです。しかもそれは先ほど大木先生もおっしゃったみたいにCI5への情報提供という、これまでずっと半世紀近く行ってきたことを新しい法制の下で続けていいのかどうかということが議論されています。だから、このように限定した上でで本日の検討会は開催されていますので、今回はこういうことにして、最終的にはこれから法改正も控えていますので、本日はそういったことも含めて当面の間という形での議論でいかがかということで、よろしいでしょうか。
 坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 私も羽鳥先生と似た質問です。最後のほうなのですけれども、59条で、いわゆる違反した者は国外において、その罪を問うことができるということがあるのですが、例えば端的な例として犯人引き渡し条約に締結していない国で罪を問うても問いようがないというところがあるので、その辺の問題も十分配慮していただきたいということです。これは意見です。
○辻部会長 ありがとうございました。
 そういうことについて、やはり事務局にもまた検討いただきたいと思います。
 ほかにございますか。よろしいですか。
 それでは、これは非常に大事な話ですので、対応の方針案の要件として4つ書いてございますので、それぞれこれでいいかということを逐次的に確認させていただきたいと思います。
 最初のチェックが、提供目的が、我が国のがん対策の企画立案、または実施に必要ながんに係る調査研究のためであると認められるのこと。これが要件になる。これはよろしいですか。
 2つ目ですが、第17条第1項第2号に該当する委託を受けた者等が、外国政府、または日本が加盟している国際機関といった公的機関であること。これにつきまして、先ほど羽鳥先生からもお話がありまして、事務局からもお答えいただきましたけれども、そういった理解の上でお認めいただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 3つ目のチェックポイントですが、委託、または共同して研究を行う国の行政機関、もしくは独立行政法人が提供依頼申出者となり、共同で責任を負うこと。これはよろしいですね。これも今、坂元先生におっしゃっていただいたような、まだ整理が途中のところはありますけれども、大筋これでよろしいということで、お認めいただきますでしょうか。
 では、4つ目、当該情報により識別することができるがんに罹患した者、または第三者の権利利益を不当に侵害する恐れがあると認められない。よろしいですね。
 では、この(1)の国外提供の件につきましてはお認めいただいたということで、進めていきたいと思います。
 亀井先生、どうぞ。
○亀井専門委員 日本薬剤師会の亀井でございます。
 この対応方針というのは、具体的にはいつから運用するということで今検討しているのかが、現行法では明確になっていないということですので、どういう形で、通知等で示されるのか。そこをお伺いしたいと思います。
○辻部会長 事務局、お願いいたします。
○岩佐推進官 当該内容につきましては、現行法に基づいて、その法の解釈のところの議論を現在させていただいているところでございますので、基本的には、この部会において御議論・御決議いただきましたら、その段階で、以降こういった対応が可能になると認識をしてございます。
 また、詳細等について必要な手続等を含めまして、周知が必要な事項につきましては、追って通知させていただくような形になります。
○辻部会長 よろしゅうございますか。
○亀井専門委員 分かりました。ありがとうございます。
○辻部会長 そのように進めていきたいと思います。
 では(1)国外提供の要件につきましては、お認めいただきました。
 続きまして(2)安全管理措置について、移りたいと思います。
 事務局、御説明をお願いします。
○渭原補佐 それでは、欠席された委員の御意見を紹介いたします。
 (2)安全管理措置について、家原委員からは次の意見をいただいております。国外の利用者が十分にがん登録推進法に基づく安全管理措置等の内容について理解できるよう、提供依頼申出者に求めることとしてはどうかの意味が不明瞭です。国外の利用者が提供マニュアルの内容について理解できるよう、具体的な対応を検討すべきです。
 石井委員からは次の3点の御意見をいただいております。
 まず、情報を提供した国外の者から、ほかの第三者へ無断で再移転されない注意が必要です。
 続いて、事故発生時における報告等の仕組みや、必要に応じて利用の停止を求めることが必要です。
 3つ目として、令和3年個人情報保護法改正においては、公的部門に対しても外国提供制限の規制が設けられ、また、監督権限の一つとして、実地調査が導入されました。がん登録推進法においても外国政府に提供した後の情報の取扱いを把握できるような仕組みを検討すべきです。
 中村委員からは、国外の利用者についても利用規約の内容が遵守されるような対応を検討することと、御意見をいただいております。
 有賀委員からは資料の対応方針に賛同いただいております。
 事務局からは以上です。
○辻部会長 それでは(2)安全管理措置につきまして、委員の皆様から御意見・御質問等がございましたら、御発言をお願いいたします。
 亀井先生、どうぞ。
○亀井専門委員 事前のコメントに書きましたが、これが決まった後ですけれども、国外の利用者向けにこういったマニュアルなどを提供するといった辺りの準備は進めることができるのでしょうか。
○辻部会長 事務局、いかがでしょうか。
○岩佐推進官 その点につきましては、適宜翻訳等の準備を進めていただいて構わないと考えております。
○亀井専門委員 十分取扱いを御理解いただく必要があるかと思いまして、伺わせていただきました。
○辻部会長 重要な御指摘をありがとうございました。
 ほかにございますか。特にございませんか。
 それでは、先ほどと同様に対応方針案につきまして、チェックを一つずつ私から読ませていただいて、皆様方に御確認いただきたいと思います。
 最初のポイントは、国外での利用の可能性がある場合は、申出書にその旨を明記することを必須とするとともに、国外の利用者からも、がん登録推進法に基づく安全管理措置等を遵守する旨の誓約書の提出を求めるということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 2つ目、国内及び国外の利用者のデータ利用状況を継続的に管理・監督する旨を利用規約に明記した上で、提供依頼を申出者に対し誓約書の提出を求めるということでよろしいでしょうか。問題ございませんね。
 3つ目、国外の利用者が十分にがん登録推進法に基づく安全管理措置等の内容について理解できるよう、提供依頼申出者に求めるということでいかがでしょう。よろしいですね。この辺は先ほど亀井先生の御指摘のとおり、いろいろな訳文なども必要になってくると思うのですけれども。
 4つ目、審議会等は提供依頼申出者に対して、国外の利用場所における安全管理体制や利用場所で適用される個人情報保護法制、または規約等について、必要な説明を求めるということでよろしゅうございますか。ありがとうございます。
 その他、情報の安全管理等の観点から特段の懸念を有するものではないということを審議会等において審査するということとしてはどうか。これもよろしいですか。
 全体を通しまして何か言い足りないことはございますか。よろしゅうございますか。
 それでは(2)につきましても、お認めいただきました。
 では(3)提供する情報の範囲です。先ほども議論がありましたけれども、まず、事務局のほうから御説明をお願いします。
○渭原補佐 欠席された委員の御意見を紹介いたします。
 家原委員からは、次の意見をいただいております。「国のがん対策の企画立案等に必要な必要最小限の情報」というだけでは極めて不明瞭です。がん登録部会に委ねるとしても一定の基準が必要です。
 石井委員からは次の意見をいただいております。提供する情報については、できるだけ個人識別性を下げる安全管理措置を取ること。具体的な「必要最小限」の情報については、審議会等において項目ごとに慎重に判断をしていくこと。
 有賀委員、中村委員からは資料の対応方針に賛同いただいております。
 事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 それでは(3)提供する情報の範囲につきまして、委員の皆様から御意見・御質問等がございましたら、御発言いただきたいと思います。
 羽鳥先生、お願いします。
○羽鳥委員 どこそこの国ということを想定しているのかどうか分かりませんけれども、例えばEUとかアメリカとかが相手だとしたら、提供する情報の範囲をギブアンドテイクあるいはイーブンなものなのでしょうか。要するに日本側だけから提供するだけで、相手の国からもらうことができるのか。また逆に、もらうことによって何か国の施策にも役に立つだと思うのですけれども、それは先ほどの最初の幾つかのCI5とか、IARCとか、IACRとか、そういうところに登録するということでイーブンになると考えてよろしいのでしょうか。
 以上です。
○辻部会長 事務局、お願いします。
○岩佐推進官 この点につきましては、恐らくいただいた申請に対して個別に判断していくことになろうかと思います。例示として上げておりますIARCへの提供につきましては、同じような形で多くの国が情報を登録しているということで、基本的にはイーブンな関係になっていると考えています。これを例えばまた別途外国政府と日本国との間で、両国をこのように比較をして、それを対外的にも示せるようにしていこうとした場合には、やはり同じような情報が得られるようにということでの約束の下、部会において、その情報が適切かということで審議をいただくということを考えております。
 ですので、実際には個別の案件ごとに、それぞれの情報の範囲が適切なのかどうかということを含めて御議論をいただく。その際に、イーブンになっているのかどうかということも、その検討材料の一つに入ってもいいのだと考えております。
○羽鳥委員 分かりました。
○辻部会長 ありがとうございます。
 ほかに何かございますか。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。松本でございます。
 先ほどの大木先生からの御発表もありまして、患者の立場からも最適な研究に後れを取るようなことがないように、どうすれば安全にこの情報を提供できるのかという観点が必要だと思っております。
 対応方針の中に、個別具体的に慎重に審議という言葉がありますので、これに全て含まれるとは思いますけれども、念のために確認をさせていただきたいと思います。
 (1)の国外提供の要件について、スライド7ページですが、こことの関係があるかとは思っております。対応方針案の一番下の部分にありました当該情報により識別をすることができるがんに罹患した者を不当に侵害する恐れがあると、逆に言えば認められる状況というのは、どういう状況になるのかということを考えますときに、データをどのような形で提供するのか、どのように加工すればいいのかといった点について、これは仮定の話にはなりますけれども、どのような想定ができるのかというお考えがありましたら、お教えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○辻部会長 事務局、いかがでしょうか。
○岩佐推進官 基本的には、海外へ提供するに当たって必要最小限のものは何なのかということを判断し、なおかつ、その提供するデータの形、内容等々を含めて、それを海外に提供した際に第三者等の権利、もしくは提供した者の権利等を不当に侵害するような可能性が残されていないのかどうかということを評価していただくと考えております。ですので、どちらかというと審議をするまでのところで、どういう工夫をするのでこの情報であれば大丈夫ですよということを申請する側において十分に検討し、これであれば大丈夫ではないでしょうかという形で御提案いただくのかなと考えているところです。
○松本委員 ありがとうございました。承知しました。
○辻部会長 よろしいですか。
 祖父江先生、お願いします。
○祖父江委員 先ほどの発言とちょっと似通っているのですけれども、17条においては匿名、非匿名の区別をつけないということなのですけれども、21条だと研究者の利用に関しては匿名化、非匿名化を区別して、同意の有無によって使用できる、できないと区別しています。ここを慎重に判断するということですけれども、氏名、住所、生年月日等というのは利用可能であるというのは、ちょっと懸念があるような気がして、やはり法のレベルにおける匿名化された情報に限って提供できるという縛りをつけたほうが安全ではないかなと思うのですけれども、その点はいかがですか。
○辻部会長 事務局、いかがでしょうか。
○岩佐推進官 基本的には、この点について、まさにこの後の(4)のところを御承認いただければということにはなりますけれども、当部会において、そこをしっかりと慎重に判断するということですので、個人を識別できる情報というものを提供し得るシチュエーションというもの自体も非常に考えにくいところがありまして、実質的にそこの提供というのはないのではないかなと考えているところがございます。
 今回、こういう形にさせていただいたのは、やはり法律の立てつけ上、第17条にはそういった区分がない。特定匿名化というものはございますけれど、そういう形になっていないというところでございますので、その点は少し運用上の工夫をさせていただいた上で、実質的にこの部会において、原則個人識別情報等を含むものというのは認められないという形で審議をしていけば、使えることというのはないのかなと考えております。
 ただ、我々としても本当の意味で個人を識別する情報というのが、本当に絶対に必要ないのか、必要となるシチュエーションがないのか分からないところもありますので、そこはこの部会において、しっかりと慎重に検討をした上で判断をしていけばいいのかなと考えている次第です。
○辻部会長 祖父江先生、いかがでしょうか。
○祖父江委員 ただ、しっかり判断する以上に、もっと明文化しておいたほうが、匿名データだけを提供できますと書いておいたほうが僕はいいような気がします。
○辻部会長 現状では17条では匿名、非匿名ということが書かれていないので、現状ではこのようなもやっとした書き方にして、実質的には慎重に審議という運用上のところで対応できればと思います。これは当面の間でもありますので、法改正についてとか、今後考えるとすれば、17条と21条の整合性がないところは確かに先生のおっしゃるとおりでありますので、その辺はその時にまた改めて議論させていただくということで、先生、いかがしょうか。
○祖父江委員 この中でまた対応するということで異論はありません。
○辻部会長 よろしいでしょうか。
 ほかにございますか。
 白井先生、どうぞ。
○白井委員 その法改正というのが、見通しとしてはどれぐらいの時間がかかるのか、あとはそうなると、具体的にいろいろな情報をどの程度出せばいいのか、ということ等を審議会で検討するということなのですが、差し当たって、そういうような情報を扱うという申出があるかというのと、どのタイミングでやっていくのかによって、結構忙しいのではないかなと思ったりするのですが、何回も何回もそういうような審議会を開いて考えるのか、年にどれぐらいで済むのかとか、その辺のことがちょっとイメージがつかなかったのですけれども、法改正までの猶予がどれぐらいなのかなと思いましたので、御説明いただければと思います。
○辻部会長 事務局、いかがでしょうか。
○岩佐推進官 基本的には、これまでにも非匿名化情報につきましては、本部会とその下の委員会、それから、匿名化情報については匿名化情報のほうの審査会のほうで審査をされているという状況でございます。そういった流れに基本的には載せていくということを考えておりますので、現状ですと、非匿名化の審査が申請を含めて年3回やっているという状況でございます。
 初回に関しましては既に締め切りを過ぎているところでありますけれども、今回の議論を含めて、その後でも少し申請をできるような形にしてはどうかとも考えているところではございますが、いずれにしても審議・審査のタイミングとしてはこれまでと同様という形を考えてございます。
○辻部会長 白井先生、よろしいでしょうか。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは(3)提供する情報範囲につきまして、対応の方針案は1つだけでございますので私のほうで読み上げさせていただいて御確認いただきたいと思います。当面の間は、情報の厳格な保護の観点から、国のがん対策の企画立案等に必要な必要最小限の情報を個別具体的に慎重に審議していくということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。お認めいただきました。
 それでは、続きまして(4)審議方法について移りたいと思います。
 事務局のほうから、欠席の委員の方々の御意見の御説明をお願いします。
○渭原補佐 欠席された委員の御意見を紹介いたします。
 中村委員からは次の意見をいただいております。審議方法については、対応方針案でよいと思われるが、案件の数が増えた場合等に審議会やその構成員にあまり荷重がかかりすぎないよう留意すること。
 家原委員、石井委員から御意見はございません。有賀委員からは対応案に対して賛同いただいております。
 事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 それでは(4)審議方法につきまして、委員の皆様から御質問・御意見等がございましたら、御発言をお願いします。
 山本先生、お願いします。
○山本(秀樹)委員 この対応案を見ますと、厚生科学審議会がん登録部会及びその下に設置される審査委員会とあるのですが、具体的にどこというのは、事務局の中にあるのでしょうか。その辺をお教えください。
○辻部会長 事務局、お願いします。
○岩佐推進官 まさに注のところで書かせていただいておりますけれども、厚生科学審議会がん登録部会細則の第1条に基づき設置される全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会において実施するということでございます。それと、当部会ということになります。
○辻部会長 名越先生、お願いします。
○名越委員 まずは審査委員会で討議されることになると思うのですけれども、これは国外利用を前提として設けられた審査委員会でもございませんし、先ほどから御意見が出ていますけれども、かなり国外の個人情報保護法とか安全管理措置などに通じている方がいないと、審査委員会の委員としても全く議論ができないのではないかと思いますので、参考人としてどなたかを入れるのか、あるいは少し審査委員の方を増やすなり、それに適したといいますか、特化した情報をお持ちの方をぜひ入れていただきたいと思います。
 以上です。
○辻部会長 事務局、いかがでしょうか。
○岩佐推進官 検討させていただきます。
○辻部会長 よろしくお願いします。
 ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
 それでは、対応方針案として書いたことを確認させていただきます。国外提供の取扱いについては(1)~(3)の要件を満たすことについて、個別具体的かつ慎重な判断が必要であることから、当面の運用として、これに関する審議は厚生科学審議会がん登録部会及びその下に設置される審査委員会において審議するということでよろしゅうございますか。ありがとうございます。御確認いただいたということになります。
 では、最後になりますが(5)都道府県知事による都道府県がん情報等の提供についてに移りたいと思います。
 事務局から御意見の紹介はございますか。
○渭原補佐 欠席された委員の御意見としましては、有賀委員、中村委員からは資料の対応方針でよいと賛同をいただいております。家原委員、石井委員からは御意見がございませんでした。
 事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 それでは(5)につきまして、委員の皆様から御意見・御質問等がございましたら、御発言をいただきたいと思います。
 天野委員、お願いします。
○天野委員 今の件について確認です。都道府県による都道府県がん情報の国外提供についてですが、都道府県のがん登録に関する審議会が情報提供の可否について審議を行うということでしょうか。私も県の審議会に委員として関わっていますが、全ての都道府県の審議会でがん登録であるとか、特に海外の事情に精通されている委員が参画しているというわけではありませんし、行政や都道府県庁においても同様で、必ずしも海外の事情に精通されているわけでもないかと思いますし、実務を担う体制も十分でない場合あるのではないかと考えますので、都道府県が都道府県がん情報を国外提供することについて、都道府県の審議会等で審議をするということであれば、私は慎重であるべきと考えます。
 具体的には、先ほどあったように厚生科学審議会がん登録部会と、その審査委員会の審議を通じて国外提供について一定程度事例が蓄積された後に、改めて都道府県による国外提供を考慮してはどうかと考えます。
 以上です。
○辻部会長 大木先生、何かこれについて御意見はないですか。
○大木委員 実績とか、今までの積み重ねが各県によってばらばらなことは確かだと思うのですが、県としては国の方針が出たら、それに準じてそれぞれが従って同じようにやっていくようですので、これからは都道府県レベルでそういった実績を重ねていくということもあってもいいかと思っています。一概に全部国でとなるのは、がん登録のデータの利用についても望ましくないかと思います。
○辻部会長 羽鳥先生、どうぞ。
○羽鳥委員 今までの都道府県レベルの地域がん登録で外国への情報提供はうまくいっていたということで、多分問題ないのだと思うのですけれども、これからこういう新しい仕組みができた以上は、やはり統一したスタイルのほうがいいと思います。ただ、今までやってきた情報提供のやり取りが無駄になってしまうのは、とてももったいないことだと思うので、認めていくべきだと思います。
 一つ提案ですけれども、都道府県レベルでやるとしたら、やはり国のこの審査会とか部会のほうに情報提供していただいて、そして、できるだけレベルを統一していくような、レベルというか提供内容を統一にしていくとか、そういうお互いの協調作業があってもいいかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○辻部会長 ありがとうございます。
 確かに天野委員、大木委員がおっしゃるように、47都道府県でこれまでの経験が違うのです。ですから、そこを一括して全て許すというのもいかがかと思いますし、全て待ったをかけるのも現実的ではないところがありますので、特に今、緊急の課題になっておりますIARCのCI5の情報提供に関しては、実績があるところはいいのかなと思うのですけれども、今までやったことがないところについては少し慎重に考えなければいけないと思います。ただ、そうであっても、やはり私としては羽鳥先生がおっしゃるように、都道府県がCI5に情報提供する際は国に報告していただきたいと思います。地方の話なので国が決める話ではないのですけれども、ただ、国に情報共有していただいて進めていくのが必要かなと、今、御意見を伺って思いました。
 もう一つなのですが(2)の安全管理措置のところで誓約書ですとか、利用規約でありますとか、様々なことをこれから日本語の英語化、あるいはフランス語化する必要が出てくるわけですけれども、それは各都道府県がばらばらにやると負担が増えるのと同時に、A県とB県で文言が違うではないかということが、多分、外国側で問題にされると思うのです。ですから、一つ私から事務局の方にお願いしたいのですけれども、国として、全国がん登録データを提供する際に誓約書とか、利用規約等の翻訳をつくられると思うのですけれども、それを各都道府県に共有していただければと思っております。
 それにつきまして、いかがでしょうか。
○羽鳥委員 賛成です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 ということで、事務局にぜひお願いしたいと思います。
○岩佐推進官 まさに懸念、それから、御意見、よく理解できるところでございます。法律上の位置づけからしますと、都道府県がん登録情報は都道府県知事の管理するものとなっておりまして、国ができるものについて同じ主体である都道府県知事ができないというのもなかなか難しい部分はあろうかと思います。ただ、しっかりとした体制を確保した上で慎重に進めていくべきという辺りのことはお伝えしつつ、また、情報提供も依頼しながら進めていくことは進めていきたいと思いますし、統一したもので進められるようにということで、その辺りはどういった工夫ができるかということで考えていきたいと思います。
○辻部会長 いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは(5)都道府県知事による都道府県がん情報等の提供についてということで、対応方針案ですが、第18条、または第19条に基づき都道府県知事が提供を場合についても、第17条と同様に解して差し支えないということで、先ほど来いろいろなご意見がありましたけれども、お認めいただいてよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。
 それでは全て御議論いただきましたので、チェック項目についてお認めいただいたと考えております。
 本日の議論をまとめてみたいと思いますけれども、がん登録情報の国外提供につきましては、事務局から説明がありましたように、現行法において、当面の間、(1)提供依頼申出者の別と利用目的、(2)として安全管理措置、(3)提供する情報の範囲の3つの要件の全てを満たす場合に提供可能ということで、皆様にお認めいただいたと思います。その際、当面の運用として、国外提供に当たる申出は、厚生科学審議会のがん登録部会で審議するということについても事務局から提案があり、お認めいただいたかと思います。また、都道府県知事による都道府県がん情報等の提供についても御提案いただきまして、お認めいただいたということでよろしいかと思います。
 本日は、委員の先生方から大変重要な御意見をいただきました。特にこれは運用上の問題についての貴重なサジェスチョンをいただいたと思いますので、本日の御意見を踏まえまして、事務局で再度運用面の整理を行いまして、今後の対応につきましては部会長預かりということにさせていただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
○岩佐推進官 本日は、大変活発な御議論をいただきましてありがとうございます。
 次回のがん登録部会につきましては、また追って御連絡をさせていただきます。
 それでは、本日の部会を終了したいと思います。委員の皆様方、長時間にわたりまして誠にありがとうございました。
 

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線 3825岩佐、2150渭原)