2021年9月22日 第48回労働政策審議会 議事録

1.日時

令和3年9月22日(水)9:30~11:15

2.場所

オンラインによる開催(厚生労働省議室(9階))

3.出席者

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員
事務局

4.議題

  1. (1)令和4年度予算概算要求について
  2. (2)分科会及び部会等における審議状況、法案の国会審議結果について
  3. (3)その他

5.議事

議事内容
○清家会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第48回「労働政策審議会」を開催いたします。
 皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 今回も、前回に引き続き、オンライン会議による開催となりましたことにつき、委員の皆様には御理解をいただきたく存じます。
 では、審議会の開会に際しまして、三原厚生労働副大臣から御挨拶をいただきます。
○三原厚生労働副大臣 厚生労働副大臣の三原でございます。
 本日はお忙しい中、第48回「労働政策審議会」に御参集いただきまして、厚く御礼を申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、前回に引き続きましてオンライン会議による開催となりましたが、例年、秋の労働政策審議会では、翌年度の予算概算要求の内容等の重要事項について御議論いただいております。令和4年度の厚生労働省予算概算要求におきましても、新型コロナウイルス感染症から国民の命、暮らし、雇用を守る万全の対応を引き続き行ってまいります。
 また、一人ひとりが豊かさを実感できる社会を実現するため、ポストコロナに向けた「成長と雇用の好循環」の実現のための取組等を柱に、重点的な要求を行っております。
 感染症が雇用・労働に影響を与える中、現場を熟知した当事者である労使の参画を得て議論を深めていただくことは、ますます重要であると思います。
 委員の皆様方におかれましては、今後の労働政策の方向性について幅広い御見識と豊かな御経験に基づき、活発な御議論をいただきますようお願い申し上げまして、私からの挨拶といたします。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○清家会長 ありがとうございました。
 三原副大臣は、他の公務のため、ここで退席されます。ありがとうございます。
○清家会長 カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
 傍聴席の報道関係者の方は、傍聴会場へ御移動をお願いいたします。
○清家会長 それでは、議事に入ります前に、本日の審議会について、事務局から御説明をお願いします。
○松本政策統括官付参事官 事務局の政策統括官付参事官の松本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 厚生労働省では審議会等のペーパーレス化の取組を推進しており、本日も厚生労働省内の会場はペーパーレスで実施しますので、お手元のタブレットを御利用ください。
 また、厚生労働省の会場内で御発言される際は、マスクを着用したままにてお願いいたします。
 オンライン参加の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしてください。御発言の際は挙手ボタンを押していただき、会長から指名がありましたら、マイクのミュートを解除して御発言ください。通信の状態などにより音声での御発言が難しい場合には、チャットで御発言内容をお送りください。音声等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡ください。通信遮断などが生じた際には進行を一時中断する場合がございますので、御承知おきください。
 続きまして、本年9月14日付で労働者代表委員2名の交代がございましたので、新たに就任された委員を御紹介申し上げます。
 資料1の労働政策審議会委員名簿を御参照ください。
 情報産業労働組合連合会中央執行委員長の安藤委員でございます。
 次に、日本郵政グループ労働組合中央執行委員長の石川委員でございます。
 続きまして、事務局にも異動がございましたので、御報告いたします。
 厚生労働審議官の坂口でございます。
 総括審議官の村山でございます。
 雇用環境・均等局長の山田でございます。
 政策統括官(総合政策担当)の大島でございます。
 政策立案総括審議官の田中でございます。
 会計管理官の松下でございます。
 また、本日、荒木委員、奥宮委員、内田委員は、所用により御欠席と承っております。
 事務局からは以上でございます。
○清家会長 それでは、議事に入ります。
 議題(1)「令和4年度予算概算要求について」、議題(2)「分科会及び部会等の審議状況、法案の国会審議結果について」につきましては、事務局から御説明をお願いいたします。
○松下会計管理官 資料2に基づきまして、令和4年度予算概算要求の内容について御説明をさせていただきます。資料2を御覧いただきたいと思います。
 資料の1ページ目でございます。令和4年度厚生労働省予算概算要求の全体像を示しているものでございます。来年度に向けまして、大きく4つの柱で概算要求を行っております。
 この資料の左側、1つ目の柱といたしまして「新型コロナの経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築」、2つ目の柱といたしまして、緑の部分でございますが「ポストコロナに向けた『成長と雇用の好循環』の実現」、3つ目の柱といたしまして「子どもを産み育てやすい社会の実現」、4つ目といたしまして「安心して暮らせる社会の構築」、こうした4つを柱といたしまして、必要な要求を行っているところでございます。
労働政策審議会の委員の皆様方に御覧いただきたいのは、左から2つ目の緑の柱でございます。「ポストコロナに向けた『成長と雇用の好循環』の実現」の部分になります。
 この部分、次の2ページ目に雇用・労働の重点要求(ポイント)といたしまして、1枚に整理をさせていただいております。この資料に基づきまして、概略を説明させていただきます。
 この分野でございますが、大きく3つの柱立てで構成をしてございます。
 まず1つ目の柱であります「雇用維持・労働移動・人材育成等に向けた支援」のうち1つ目の○でございますが、雇用調整助成金等による雇用維持、産業雇用安定助成金等による在籍型出向の取組を支援することとしております。この事項の要求額につきましては、令和4年度の概算要求額については明示してございません。その代わり、アスタリスクがついてございます。この部分、雇用調整助成金、産業雇用安定助成金等にかかる要求額につきましては、今後の感染状況や雇用の状況を踏まえ、予算編成過程で検討することとしております。このため、概算要求時におきましては、具体の予算額を明記しない、事項要求とさせていただいております。
 次に、2つ目の○でございます。女性・非正規雇用労働者へのマッチングやステップアップ支援等についてでございます。ハローワークにおける担当者制による求職者への支援やマザーズハローワークによる支援などといった内容を要求してございます。
次に、3つ目の○のデジタル化の推進、人手不足分野への円滑な労働移動の推進といたしまして、デジタル分野等の職業訓練の強化などといった内容を要求してございます。
 続きまして、2つ目の柱の多様な人材の活躍促進の部分でございますが、まず1つ目の○、女性活躍・男性の育児休業取得等の促進といたしまして、助成金等による男性が育児休業を取得しやすい環境の整備や女性活躍推進のための行動計画に基づく企業の取組支援といった内容を要求してございます。
 また、2つ目の○、就職氷河期世代の活躍支援と、そのページの右側でございますが、1つ目の○から3つ目の○にかけてになりますが、高齢者の就労・社会参加の促進、障害者や外国人に対する就労促進、就職支援などにも引き続き取り組むこととしてございます。
 また、その次の○でございます、昨年成立をしました労働者協同組合法の施行に向けまして、労働者協同組合の設立を希望する方への相談支援の実施などといった内容を要求してございます。
 次に3つ目の柱、誰もが働きやすい職場づくりにつきましては、1つ目の○でございますが、良質なテレワークの導入・定着促進のため、ワンストップの相談窓口の設置や助成金による支援に取り組むこととしております。また、このほか時間外労働の削減、年休の取得促進などに取り組む中小企業などへの助成金による支援、総合的なハラスメント対策の推進といった内容を要求してございます。
 また、その下の米印にあります建設アスベストの被害者への対応につきましては、さきの通常国会で成立をしました議員立法に基づきまして、基金を設置し、給付金を支給することとされております。こうした給付金の支給に必要な額などについて、予算編成過程で検討することとしております。
 次に2つ目の○でございますが、最低賃金・賃金の引上げに向けて生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者を支援するため、業務改善助成金を充実するといったほか、同一労働・同一賃金の取組の周知や相談支援、非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善を行う企業への助成金による支援、こうした必要な事業についての額を計上しているところでございます。
 最後になりますが、そのページの一番下の米印にあります雇用保険の国庫負担に関してでございますが、既に雇用保険部会で議論が始まっておりますけれども、今年度までになっております暫定的な国庫負担の引下げ措置の令和4年度以降の在り方について検討することとされております。
 資料の3ページ以降につきましては、時間の関係で説明は省略させていただきますが、2ページに関する項目などに関する詳細な資料を添付しているものでございます。
 以上、駆け足でございますけれども、令和4年度概算要求の主なポイントについて御説明をさせていただきました。
○松本政策統括官付参事官 続きまして、資料3「分科会及び部会等の審議状況について」及び資料4「法案の国会審議結果について」につきましては、各局の局長等から御説明申し上げます。
○吉永労働基準局長 労働基準局長の吉永でございます。
 私からは、労働基準局関係の分科会などにおけます審議状況につきまして、御報告申し上げます。資料は3-1が労働基準局関係になっているものでございます。
 前回の本審より本日までに労働条件分科会を1回、労災保険部会を3回、安全衛生分科会を1回開催しているところでございます。
 労働条件分科会につきましては、7月19日に第169回労働条件分科会を開催いたしまして、6月25日に公表されました裁量労働制実態調査の結果としまして、事務局から報告をいたしてございます。
 また、当該調査で明らかになりましたデータなどを踏まえまして、裁量労働制の在り方につきまして検討を行うため、労働法学者など学識者で構成されます「これからの労働時間制度に関する検討会」を開催することを事務局から御報告したところでございます。現在、検討会におきまして議論が進められているところでございます。
 2点目、労災保険部会につきましては、5月14日の第97回労災保険部会におきまして、特別加入制度につきましての検討及び関係団体へのヒアリングが行われ、その後、6月18日の第98回労災保険部会におきまして、自転車を使用して行う貨物の運送の事業、情報処理システムの設計等の情報処理に係る作業を特別加入の対象とすることにつきまして、取りまとめられたところでございます。
 これを受けまして、労働者災害補償保険法施行規則及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則などにつきまして、所要の改正を行ったものでございます。
 また、特別加入制度のさらなる拡大につきまして、7月30日の第99回労災保険部会におきまして意見が取りまとめられ、8月6日から9月17日までの間、厚生労働省ホームページにおきまして意見募集を実施したところでございます。
 安全衛生分科会につきましては、7月28日の第139回安全衛生分科会におきまして、3月24日に取りまとめました事務所衛生基準の在り方に関する検討会報告書を踏まえまして、事務所における部屋の作業面の照度の基準、作業場におけますトイレの設置基準などを見直す事務所衛生基準規則等の改正につきまして御審議をいただいたところでございます。
 本件につきましては、パブリックコメントの結果等を踏まえまして、継続審議となっているところでございます。
 労働基準局からは以上でございます。
○田中職業安定局長 続きまして、職業安定局長の田中でございます。
 職業安定局所管の分科会等における審議状況についてでございますが、時間の都合上、御説明は新型コロナウイルス感染症への対応、年度目標に関するものに限らせていただきます。
 まず新型コロナウイルス対応でございますけれども、通し番号23ページの2つ目の○、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令、2ページ飛んでいただきまして25ページの1つ目の○、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案についてでございます。これらにつきましては、雇用調整助成金制度の特例措置と新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の特例措置の期間の延長等を内容とする省令案を順次、職業安定分科会において御議論いただいているところでございます。
同じページのその次の○ですけれども、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令でございます。こちらは職業訓練受講手当の収入要件を緩和する特例措置の期間の延長等を内容としておりまして、職業安定分科会において御議論いただきました。本省令につきましては、本年10月1日に施行する予定でございます。
 年度目標に関しては、通しの26ページ、3つ目の○になります。2020年度の年度目標に係る評価及び2021年度の年度目標の設定についてでございます。職業安定分科会については、後ろの別紙9-1から9-3まで、障害者雇用分科会につきましては別紙9-4から9-6までにおいて、具体的な数値状況、評価の動向が記されておりますので、御参照いただければと存じます。
 職業安定局関係は以上でございます。
○山田雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局関係の分科会の審議状況について御報告いたします。
 まず、資料4に法案の話が出ていますけれども、本年6月に改正育児・介護休業法が成立し、公布されました。改正法については来年4月から順次施行されるところでありますが、施行に向けて2回にわたり政省令、告示事項について御議論いただいたところであります。
 資料3の101ページに戻っていただきまして、直近では8月30日の分科会において、改正育児・介護休業法について、妊娠、出産の申出をした労働者に対する個別周知、意向確認の措置が事業主に義務づけられることに伴い、その周知内容や方法等に関する事項、また、新たに設けられる出生時育児休業制度に関して、その申出方法や出生時育児休業中の就業等に関する事項について御議論いただき、おおむね妥当との答申をいただきました。
 また、改正育児・介護休業法のうち、出生時育児休業制度の新設等に係る施行時期を令和4年10月1日と定めることについて、妥当との答申をいただきました。引き続き、本育児・介護休業法についての円滑な施行に向けての準備を進めてまいります。
 雇用環境・均等分科会の2020年度目標の評価及び2021年度目標の設定も行っていただいております。具体的な評価内容、目標設定については122ページの別紙2-1、2-2を参照いただければと思います。
 一方で、勤労者生活分科会の審議状況についても説明させていただきます。
 まず、昨年12月に公布された労働者協同組合法の施行期日を令和4年10月1日とすることについて、8月2日に諮問し、妥当との答申をいただきました。
 また、本年6月に、中小事業主が行う事業に従事する者等の労働災害等に係る共済事業に関する法律が成立、公布されているため、その旨、報告いたしました。
 雇用環境・均等局からは以上です。
○小林人材開発統括官 人材開発統括官の小林でございます。
 人材開発分科会の関係につきまして、御報告させていただきます。資料は通しの131ページからが資料3-4ですが、133ページにございますので、そちらを御覧いただきたいと思います。
 開催実績はそのページの下にあるとおりでございますが、主な内容といたしまして、1つ目の○でありますが、技能検定の職種に眼鏡作製を追加いたしました。また、それに伴う省令改正とともに、指定試験機関として公益社団法人日本眼鏡技術者協会を指定するという関係の省令改正について御審議をいただいております。
 2つ目の○は職業安定分科会の関係でも御報告申し上げましたが、人材開発分科会のほうにおきましても御審議をいただいております求職者支援訓練におきまして、いわゆるオンデマンド型の訓練、eラーニングコースを実施できることとする内容でございます。また、年度の実績評価、年度目標について御審議いただいております。
 人材開発分科会におきましては、監理団体審査部会というものがございます。ここで技能実習制度におけます監理団体の許可申請が妥当かどうかについて定期的に御審議いただいておるところでございまして、適正と認められるものについて答申をいただいたところでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○大島政策統括官(総合政策担当) 続きまして、政策統括官所管の関係でございます。
 労働政策基本部会を8月4日に開催いたしました。一昨年の12月から今年の6月まで、12回にわたりまして検討会を開催しておりまして、その検討会の報告書を報告し、了とされました。
 この検討会ですけれども、「技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会」という題目で、資料の156ページ以下にその報告書の概要を添付しております。労使コミュニケーションの実態あるいは今後の課題等について取りまとめております。
 以上です。
○松本政策統括官付参事官 事務局からの説明は以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、ここからは委員の皆様からの御意見を承りたいと思います。
 円滑な議事進行のため、委員の皆様の御意見を全て承った後、事務局からまとめてお答えをいただくこととさせていただきます。
 では、御意見のある方は挙手のボタンをお願いします。
 それでは、相原委員、よろしくお願いいたします。
○相原委員 清家会長、ありがとうございます。委員の相原です。
 発言させていただきたいと思います。
 雇調金の関係で、資料2の1~2ページにコメントさせていただきます。
 まず、政府による雇調金の特別措置など、大変効果的な施策実施が、この間、失業者の抑制や雇用維持へ大きく寄与していることについては大変感謝申し上げたいと思っています。
 一方で、今なお助成金申請を行う企業が数多くある中で、年度内の雇用保険財源を十分に確保できていない、この点について強い疑義を申し上げておきたいと思います。
 この間のコロナ対策の人流の抑制策は、緊急事態宣言などの感染症対策の主要施策であり、その結果生じた雇用施策も、感染症対策予算で実施すべきであったのではないか。しかし、その対策の財源として、雇用保険を限界まで活用してきたことで雇用保険財源の枯渇に起因しているものと受け止めております。その上で、3点申し上げたいと思います。
 1点目は、国庫負担の割合についてですが、国庫負担割合を本則に戻すことだけではなくて、今後の雇用対策に必要な財源につきましても、一般会計から大規模な繰入れを実施することが重要かと思います。
 2点目として、社会保険料、さらには労働保険料の減免や納付猶予の期間の延長などを求める企業もまだまだある。こうした現実を踏まえますと、労使のいわゆる雇用保険料率を引き上げられる状況にはございません。また、引き上げるべきではないと改めて申し上げておきたいと思います。
 最後に3点目ですが、財源に関連しまして、令和4年度概算要求に関する重点要求の4つの柱につきまして御説明賜りましたが、4つの柱に掲げられている各施策が縦割りにならないよう、厚生労働省内はもとより、各予算や施策が、十分な関係省庁との連携の下、柔軟かつ適切に実施されるようにお願いしておきたいと思います。
 私のほうからは以上です。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、次に冨田委員、よろしくお願いいたします。
○冨田委員 冨田でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは、資料3-1の3ページ、裁量労働制に係る実態調査及び新たな検討会の開催について意見を申し上げます。
 我が国の1人当たりのGDP、すなわち労働生産性が諸外国に比べまして長いこと低迷しております。たしか1995年頃には1人当たりGDPが世界の第3位にあったと思いますが、現在は世界の20位よりも下の位置で長いこと低迷している。これに対して今まで労働時間の短縮ということで生産性の向上に努めてきた部分もあると思います。確かにこれも必要な取組みであるとは思いますが、デジタルトランスフォーメーションやカーボンニュートラル社会の実現など、産業構造が大きく変化しておりますし、労働人口も急速に減少している中で、こうしたアプローチだけでは持続的な労働生産性の向上が望めないと思います。産業界としても、この問題をどのようにしたらいいか、喫緊の課題だと考えております。もちろんデジタル化の問題や、業務そのものの改革も必要ですが、何よりもこれからポイントになるのは、働き手一人一人の「心の生産性」あるいはエンゲージメントの向上、すなわち主体的に働く意欲をどう高めていくか、そしてこれを通じて働き方の質を高めていく、いわば「働き方改革フェーズⅡ」と考えていいと思いますが、そうした取組みを加速させる必要があると強く感じております。
 こうしたエンゲージメント向上の打ち手は様々あると思われますが、何より社員一人一人が自立的、自主的に働ける環境を整備すること、とりわけ働き手に働く場所、時間帯をできる限り本人に委ねて、成果で評価することが重要です。現行の労働法制は、残念ながら上司からその都度指示を受けて働き、働いた時間の長さと成果が比例することを前提とした工場勤務を念頭に制定されたものでありまして、自立的、主体的な働き方には十分対応できていないように思います。こうした課題に対応するため、現行の労働法制の見直し、とりわけ裁量労働制の対象業務の拡大が急務だと考えております。
 先ほど御説明いただきました裁量労働制実態調査によりますと、裁量労働制適用者の8割以上が制度の適用について満足している、あるいはやや満足していると回答されております。また、働き方の認識として、時間にとらわれずに柔軟に働くことでワークライフバランスが確保できる、あるいは仕事の裁量が与えられることでメリハリのある仕事ができる、それから何よりも自分の能力を発揮しやすい、こういった回答が上位を占めております。7月末に設置されました検討会におきましても、この実態調査の結果や各企業の取組実態を踏まえ、適切な制度の利用が広がるような、建設的な議論をぜひお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。ありがとうございます。
○清家会長 ありがとうございます。
 それでは、次に安河内委員、よろしくお願いいたします。
○安河内委員 安河内です。ありがとうございます。
 資料2の9ページ、外国人技能実習生に対する相談支援体制の強化について、意見を述べさせていただきます。
 技能実習生が行方不明になる事案が発生した場合は、機構によって実習実施者への実地検査を優先的に実施することになっています。しかし、失踪事案が発生してから少なくとも6か月経過した時点で実施されていない割合が、行方不明事案全体の約2割あり、そのうちの約7割において、客観的資料が入手されていない状態であったという報告が今年7月に会計検査院から出されております。
 技能実習生が失踪する背景には、実習実施者における劣悪な労働条件や人権侵害等の問題があることも多く、多言語による技能実習生に対する相談支援はもちろんですが、悪質な実習実施者あるいは監理団体に厳正に対処するためにも、速やかな実地検査を行うことができるよう、体制の強化をお願いしたいと思います。
 また、一方、外国人労働者全般に対する労働条件等の相談・支援体制の強化については、予算が半減されております。しかし、昨年政府が策定いたしました「ビジネスと人権に関する行動計画」においても、外国人労働者の権利及び人権保護は重要な取組として掲げられており、労働災害防止施策等を含めて、相談支援体制の内容をさらに充実させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、淡輪委員、よろしくお願いいたします。
○淡輪委員 淡輪でございます。
 私からは、資料2の1ページ、令和4年度厚生労働省予算概算要求における重点要求や、雇用の財政基盤のお取組について申し上げます。
 コロナ禍で、政府におかれては、昨年来、雇用調整助成金により雇用維持に取り組んでいただき、改めて感謝申し上げます。多くの企業が雇用調整助成金により、雇用の削減が大幅に避けられたと承知しております。
 他方、この結果、雇調金の財源である雇用保険二事業の雇用安定資金は危機的な状況に陥っております。令和2年3月以降の雇調金等の決定額は、8月時点で4.2兆円を超えており、まさに非常事態です。
 現状、雇用安定資金は枯渇し、失業等給付積立金から約1.7兆円を借り入れ何とか賄っていますが、制度の持続可能性の観点から、極めていい状況ではないということは間違いありません。
 雇調金は、地域や産業構造の変化等を支援するものです。コロナ禍が長期化している中、経済状況だけではなく、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止すべく、政府の政策等によって、企業活動が制限されないように、一刻も早く雇調金のために一般財源を投入し、雇用保険の安定化を図る必要があります。財政当局を含め、政府内で早急な議論を求めたいと思います。
 加えて、来年度の雇用保険料率の設定に際しては、雇用維持に尽力している企業にさらなる負担を課すことにならないように、しかるべく予算措置を講じていただきたいと思います。現在、引き下げられている国庫負担に対しても、原則の負担割合とするよう検討していただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、永井委員、よろしくお願いいたします。
○永井委員 ありがとうございます。
 資料2の令和4年度概算要求における重点要求ポイントの多様な人材の開発促進について、2点ほど意見を述べさせていただきます。
 1点目、就職氷河期世代の活躍支援についてですが、6ページの詳細を見ますと、ひきこもり支援は増額されているものの、その他の施策である地域若者サポステ、資格取得支援、都道府県プラットフォームなどの施策は減額となっております。経済財政運営と改革の基本方針2019に盛り込まれた就職氷河期世代支援プログラムは、具体的な数値目標を立てて3年間で集中的に取り組むとされており、本令和4年度予算で最終年度と認識しております。コロナ禍により人との接触が制約されているため、活動にも制約があるのは承知しておりますが、当事者の希望に寄り添い、必要に応じた就労への支援ができるよう、ひきこもり対策以外の施策についても充実させ、しっかり目標を達成させるべきと考えます。
 2点目は、2ページ目の多様な人材の活躍促進の就職氷河期世代以外の部分についてです。高齢者の就労、社会参加の促進や障害者の就労促進、外国人に対する支援、どれも重要な施策ですが、就職氷河期世代の活躍支援以外は令和3年度予算が減額されております。コロナ禍においても、多様な人材の育成や就労支援は引き続き重要であり、今後の労働政策としても不可欠な施策と考えます。重点要求として位置づけながらも、概算要求としては減額されていますが、今後の施策への影響がないようにお願いしたいと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして川﨑委員、よろしくお願いいたします。
○川﨑委員 川﨑です。よろしくお願いいたします。
 私からは、資料2の2ページにございます令和4年度の概算要求における多様な人材の活躍促進のうち、特に高齢者の就労、社会参加の促進についてコメントしたいと思います。
 人生100年と言われるようになってきている中で、特に高齢者がどういう働き方をしていくのかというところは非常に重要になってきているというのは、既に皆様御存じのとおりでございますし、また、高齢者がそれよりも若い人たちと比較しても、いろいろな働き方、そういったことに対してのニーズが出てきているというような昨今の状況になっていると思います。
 そういった中で、70歳までの就労機会の確保を努力義務としました改正高年齢者雇用安定法が今年の4月に施行されて、各企業において検討、対応が進められているという状況になってきております。
 その取組状況ですけれども、各種調査を見てまいりますと、雇用による措置である70歳までの継続雇用制度の導入が大層を占めております。一方、業務委託ですとか社会貢献事業等の雇用によらない創業支援等措置については、今回の改正で創設された新しい制度であるということがございますけれども、計画の作成と過半数の労働組合との合意など、導入に向けての手続が多岐にわたるということになっておりまして、そのための検討や情報、ノウハウといったものが不足しているのではないかということを懸念しております。高齢者の働き方に対してのニーズが多様化しているということを踏まえますと、創業支援等の措置といったものについても積極的に応じていくことが必要ではないかと考えています。
 厚生労働省におかれましても、パンフレットやQ&Aあるいはオンラインセミナーといったものを通じまして、改正法の周知、広報を行っておられますけれども、さらに就業確保措置の導入が進んでいきますように、企業の取組である好事例、特に創業支援等の措置についての事例収集に努めていただきたいと思いますし、それの積極的な周知展開もお願いしたいと考えております。
 私からは以上になります。ありがとうございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして山中委員、よろしくお願いいたします。
○山中委員 ありがとうございます。電機連合の山中です。
 資料2の12ページ、(4)総合的なハラスメント対策の推進について、要望させていただきます。
 令和2年度の雇用均等基本調査の企業調査の結果によりますと、セクシュアル・ハラスメントについて、防止するための対策に取り組んでいる企業の割合は82%とされております。しかし、この割合は10ある事業主の防止措置義務のうち、セクハラの発生有無にかかわらず、事前に講ずべき6つの措置のうち、いずれかに取り組んでいると回答した割合となっております。この調査の内容からでは、措置義務をしっかり履行している状況が分かりづらいのではないかと思っております。
 12ページに記載のとおり、2022年4月1日から中小企業にもパワー・ハラスメントの防止措置が義務づけられる予定で、今回取組支援の予算が計上されております。その前提として、まずは既存の防止措置を徹底するとともに、履行状況をきちんと把握できるような調査を行うべきではないかと考えます。
 また、「望ましい取組」とされております、カスタマー・ハラスメントや就職活動中の学生等に対するセクシュアル・ハラスメント対策についても記載をされており、そのこと自体は評価するものでありますが、コロナ禍での顧客等からの誹謗中傷やリモート下でのセクシュアル・ハラスメントなど、法改正や指針等の審議段階では十分に想定されていなかったような事案も発生しております。そのため、それらの例示も行いながら、「望ましい取組」の促進と実施状況を調査することも併せて検討をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、野村委員、よろしくお願いいたします。
○野村委員 おはようございます。
 全国中小企業団体中央会の野村でございます。
 現在、私ども中央会には、休業や時短営業を続ける宿泊、飲食、サービス、観光、運輸をはじめとします全国の多くの中小企業から、苦境を訴える声が相次いで寄せられております。今なお多くの都道府県では、緊急事態措置やまん延防止等重点措置が講じられておりますが、さらに今後、中小企業の苦境が一層深刻化していくことを非常に懸念しております。それだけに、雇用維持を下支えする施策は必要不可欠であり、今後も引き続きまして、ぜひ雇用維持を支える政策を円滑に進めていただきますようお願い申し上げます。
 また、一方で、雇用保険二事業財源が枯渇化しており、雇用保険財政だけで対応していくことはなかなか難しい状況になってきていると感じております。今後の雇用保険制度の在り方につきましては、本審議会の職業安定分科会雇用保険部会において、今月より具体的な議論が始まっているとも聞いておりますが、しかし、企業を取り巻く経営環境が十分に回復していない状況で、雇用保険料率が引き上げられるということになりますと、現在、コロナ禍で踏みとどまっている企業にとりましても大きな財政負担増になってくるということをぜひとも御理解いただき、今後の有事も見据えての財政安定化のために、一般財源の投入や国庫負担の本則復帰を強くお願いしたいと思っております。
 また、本年度でございますが、コロナ禍の収束が見えていない状況にもかかわらず、最低賃金の引上げ額が過去最大の大幅なものとなっており、来月10月1日より順次、各都道府県におきまして引上げ後の最低賃金が適用されることとなっております。現在先行きの見通せない厳しい経営環境に置かれている中小企業が多い中、最低賃金の大幅な引上げということになりますと、倒産、廃業、失業者の増加を招く可能性があるということをぜひとも御理解いただき、中小企業に対する労働局並びに労働基準監督署の柔軟な対応をぜひお願いしたいと思っております。
あわせまして、中小企業の雇用維持や事業存続のためにも、まずその経営を支えていただく支援策につきまして、政府におきましてくれぐれも万全を期していただきますようお願い申し上げます。
 私のほうからは以上でございます。ありがとうございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、酒向委員、よろしくお願いいたします。
○酒向委員 よろしくお願いいたします。
 資料3の労災保険部会の審議状況に関連して、労災保険の特別加入制度の拡大について発言をさせていただきたいと思います。
 9月2日の成長戦略会議において、総理から「フリーランスの方々を保護するための法整備や労災保険に加入できるような制度改正を目指していく」という御発言がありました。フリーランスの方々へのセーフティーネットの拡充として、労災保険の特別加入制度の対象の拡大を進めていくことは、もちろん私たちとしても賛成でございます。一方、労働災害・事故を起こさせない、起こさないということが大前提になってくるのだと考えております。そういった意味では、特別加入団体が災害の予防において果たすべき役割も非常に大きなものがあると考えております。
 その上で、特別加入制度の拡大に当たりましては、特別加入団体が加入者に対して労災防止のための安全の教育をしっかり行うということが必要だと思っております。行政としましても、加入団体が安全衛生教育を適切に実施しているのかということについてしっかりと調査をしていただき、積極的に実施している団体がこの制度を担うように、必要な制度改正もお願いしたいと思っております。
 また、フリーランスの方々であっても、その働き方の実態が労働者であるならば、労働者として労災保険の本体が適用されることについても広く周知をするべきだと考えております。特別加入制度など、セーフティーネットが拡充されたとしても、本来労働者として扱われるべき人までが特別加入制度の対象とされ、必要な保護が受けられないということは、あってはならないと考えておりますので、御検討、よろしくお願いいたします。
 私のほうからは以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、井上委員、よろしくお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。井上でございます。
 私からは、資料2の5ページの「5 女性活躍・男性の育児休業取得等の促進」の中の「(1)男性が育児休業を取得しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援」に関して意見を申し上げたいと思います。
 資料4の法案の国会審議結果でも御報告があったように、改正育児・介護休業法は出産、育児等による労働者の離職を防いで、希望に応じた男女ともに仕事と育児などを両立できるようにすることを目的に改正され、育児休業を取得しやすい雇用環境整備や妊娠、出産の申出をした労働者に対する個別周知と意向確認の義務、さらには男性の育児休業取得促進のために、女性の産後休業期間である子の出生後8週間以内に4週間分を取得できる出生時育児休業の創設などが盛り込まれたと聞いております。これまでの育児休業に加えて、出生時育児休業が創設されたことによりまして、男性の育児休業については2つの育児休業が併存することになるなどと、少し制度が複雑になっているように思います。
 また、企業として特に気になります現業部門の職場を中心に、代替要員の確保が非常に課題だと考える企業が少なくないのではないかと思います。労働者からの妊娠、出産の申出が早ければ早いほど、企業としては準備ができます。そのような点も含めまして、改正内容や留意点の理解が進みますよう、施行日までに十分な周知をお願いいたします。
 あわせまして、各企業が取り組む際の参考となるような男性の育児休業促進に向けた取組を積極的に行われている企業などの事例も厚労省のサイトなどで御紹介いただけるとありがたいと思います。企業としましても、育児休業を取りたいと思う男女の労働者が希望する期間に取得できるように、周知活動やサポートに努めてまいりたいと思っております。
 私からは以上になります。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、次に安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 よろしくお願いします。
 資料2の10ページのフリーランスなどの曖昧な雇用について、意見を申し上げます。
 フリーランスの相談支援に関しては、フリーランス・トラブル110番を委託事業として実施されておりますが、相談はどの程度寄せられているのか。また、主な相談内容についてはどのようなものがあるのか、まずお聞きしたいと思います。
 連合でも、昨年10月、フリーランスのための課題解決サイト、「Wor-Q」をプレオープンいたしました。この間、サイトの拡充を図り、本年10月の本格運用開始に向け、直近では共済制度の創設やWor-Qコミュニティーを展開しているところでございますが、これらの取組を進める中で、セーフティーネットの脆弱性などに関する不安の声も多く寄せられております。仲介事業者を通じて仕事の発注を受ける者など、IT化の進展などに伴って就業形態は多様化し、フリーランスを含む曖昧な雇用で働く者の法的保護に関しては、他の先進国同様、喫緊の課題となっております。
 前回の本審でも労働者側から申し上げましたが、労働者性の判断基準の見直しに関しては、裁判例が出てくるのを待つのではなく、他の諸外国のように、労働者概念の枠組みの見直しの検討を開始し、就業者保護の強化に向けた取組を積極的に進めていただきますようお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、次に小松委員、よろしくお願いします。
○小松委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 私から3点申し上げます。
 まず、雇用調整助成金の特例措置については、先ほどより皆様からも意見が出ているとおり、コロナ禍の長期化により、事業主のみが負担する共同連帯の制度である雇用保険二事業の範疇を大きく超え、感染症対策としての性格が極めて強いと思いますので、その財源は本来全て一般会計による国費で負担すべきと考えています。
 なお、来年度以降の雇用保険料率改正に向けて議論が開始されておりますが、コロナ禍の厳しい経済状況を踏まえて、料率は引き上がることがないよう、強く要望いたします。
 加えて、時限的に本来負担の10分の1に抑えられている国庫負担につきましては、令和4年度以降は少なくとも本則に戻すべきと考えております。
 次に、失業なき労働移動について申し上げます。
 足元の雇用維持に加え、介護や建設をはじめとした雇用吸収力のある産業や、デジタルなど成長分野への「失業なき労働移動」の促進が求められます。離職者向け職業訓練、ハローワークによる再就職支援の強化に加え、労働移動支援助成金、トライアル雇用助成金の幅広い周知による利用促進など、様々な施策を並行して実施していくことが求められます。
 その際、各施策の効果をしっかりと検証し、見える化するなど、PDCAサイクルを回していくことが重要だと思います。
 あわせて、雇用の維持を図っていくためには、産業雇用安定センターのマッチング機能やコンサル機能の強化により、在籍型出向制度の活用をより一層進めていくことも重要だと思います。
 最後に、男性の育児休業取得促進について申し上げます。
 育児・介護休業法の改正により、「出生時育児休業制度」が創設されますが、多くの中小企業からは、制度内容そのものや要件が複雑との声や、代替要員の確保が課題との声が聞こえてきます。特に取得する際の賃金や給付金の仕組みについて労使ともに分かりやすい周知が必要であり、賃金がマイナスされるというマイナスのイメージをなくすことが取得促進につながると考えます。
 厚生労働省におかれましては、活用しやすいパンフレット類の作成に加えて、マンパワーやノウハウが十分でない中小企業に対して、専門家派遣による相談対応、好事例の周知、ハローワークにおける代替要員の確保のための求人支援など、きめ細かい支援をお願いいたします。
 以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、石川委員、よろしくお願いいたします。
○石川委員 ありがとうございます。
 概算要求に盛り込まれました長時間労働の是正や労使コミュニケーション検討会の報告書に関連して、過半数代表制について発言をさせていただきます。
 過半数代表は、労使協定を通じて法定基準を下回る労働条件設定の合法化に関わるなど、重要な役割を担っています。一方で、過半数代表者については、不適正な選出が多いなどの問題があるほか、協定締結後のモニタリング機能がないなど、制度上の課題も指摘されているところです。また、36協定につきましても、時間外休日労働を行っているのに36協定の締結がないとか、36協定を締結しても労基署に届出をしていないといった問題も起きています。
 労働組合のない事業所で時間外労働を抑制するなど、労働者が働きやすい環境を整えるためには、過半数代表者を労働者の代表として、しっかり機能させていくことが不可欠です。厚労省としても、過半数代表制についての実態把握を行い、運用を適正化するとともに、制度に不備や問題がある場合は見直しの議論を進めるべきだと考えますので、事務局の見解をお伺いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、西周委員、よろしくお願いいたします。
○西周委員 西周でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは、資料2の12ページの「(3)労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備」、特に1と2について意見を申し上げます。
 冨田委員から御発言のありました働き手一人一人のエンゲージメントを向上させ、労働生産性を高めていく働き方改革フェーズⅡの推進に当たり大前提となるのが、安全で健康に働ける職場環境の整備です。労働災害の防止に向けては2018年度から22年度を対象期間とする第13次労働災害防止計画において、17年度と比べて死亡者数を15%以上、死傷者数を5%以上減少させる目標を掲げています。しかしながら、令和2年労働災害発生状況によれば、死亡者数が過去最少となる一方で、死傷者数は2002年以降で最多となっています。中でも第3次産業は前年同期比で7,000人近く増加しており、対策が急務となっております。
 このような状況を踏まえ、政府においては、第3次産業を含む重点業種を中心に、安全対策の周知啓発や各種ツールや専門家の活用支援など、一層の取組の強化をお願い申し上げます。
 また、昨年の労働災害発生状況を年代別に見ると、60歳以上が全死傷者数の約4分の1を占めて最多となっています。同じ12ページに記載のある高齢者の特性に配慮した安全衛生対策を行う企業への支援により、高齢者が持てる能力を最大限発揮できる就業環境の整備が加速することを期待しております。
 もちろん労働災害の防止に向けては事業者の主体的な取組が何より重要です。私の会社でも、住友林業グループ労働安全衛生方針の下で、グループを挙げて労働災害ゼロの実現に向けて、今後とも働き手の労働安全衛生の確保に努めてまいる所存です。
 弊社、住友林業では、例えば建設事業に関しましては現場での安全衛生を第一に施工をしております。そのために、グループ社員はもとより現場での施工業者など住友林業の家に携わる作業者全員に、安全衛生に関する情報と注意喚起事項の周知を徹底し、安全知識と安全意識の向上について指導、啓発しております。
 また、弊社グループでは建設だけではなく林業、介護事業など多様な現場があり、海外を含め、全ての事業場での安全対策について努めております。
 ただ、弊社自体は定年を65歳まで延長するなど、長期雇用を経て高齢に至り、その経験を生かして安全面に抜かりなく対応してもらえるような方が多いのですけれども、協力事業者さんの中には、高齢になってから初めて建設現場などの現場で労働に従事されるという方も結構いらっしゃいまして、そのような方々がしっかりとした安全教育を受けて、訓練を経て、そして現場で従事するということになるためには、元請の事業者だけの努力ではいかんともし難い部分もございまして、政府の中小企業へのしっかりとした支援がとても重要になると考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上になります。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
 では、引き続きまして難波委員、よろしくお願いいたします。
○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。
 資料3の裁量労働制について、これからの労働時間制度の検討に当たって、要請させていただきます。
 資料3の5ページにあるように、裁量労働制実態調査の結果のポイントによれば、裁量労働適用労働者の労働時間が非適用労働者よりも長い実態になっていることが報告されています。加えて、調査結果の概要には、適用労働者の中には業務量、遂行方法に裁量権がない人がいることが明らかとなっており、また制度を見直すべきとの意思を示した者の半数が、健康やワークライフバランスへの配慮を求めていることも明らかとなっています。裁量労働制に関しましては、業務の遂行方法のみならず、業務量についても、真に裁量を持つ者に限定をしていかなれば、このままのみなし労働制の下においては、本来の目的から反し、長時間労働になってしまうことも十分に想像できます。
 まさに今、取り組むべき必要なことは、実態調査で明らかになりました課題への対応を急ぐことです。すなわち長時間労働の防止、そして健康やワークライフバランスの確保などに取り組むことであると思います。こうした問題への対応を論議しないで、安易にこのまま企画型の対象業務を拡大してしまえば、さらに長時間労働を招くことは明白であり、働く者の立場からすれば、認めることはできないと申し上げざるを得ないと思います。
 これからの労働時間制度の検討会におかれましては、企画型の対象業務の拡大ありきではなく、ぜひとも制度の本旨を改めて設定する観点に立っていただき、負担のかかる働き方になりがちな適用労働者をいかに保護するかという視点から、今、生じている問題を踏まえ、このことが今後発生しないような論議をぜひお願いしていただくよう、御要請申し上げます。
 以上であります。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
 次に矢口委員、よろしくお願いいたします。
○矢口委員 矢口でございます。ありがとうございます。
 もう既にいろいろな方がお話しになっていますので、一部重複しますが、私からは3点申し上げます。
 まず、最低賃金の引上げに伴う中小企業支援策について申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、今年度の最低賃金は審議の結果、引上げ金額が28円、一部の地方では32円と、過去最大となりました。10月から最低賃金額が改定されますが、全国の中小企業から、コロナ禍で価格転嫁が困難な中での大幅な引上げに対して、不安の声が届いております。厚生労働省におかれましては、中小企業への支援にぜひ万全を期していただきたいということをまずお願いしたいと思います。
 この点につきましては、既に厚生労働省において、最低賃金に対する主な支援策である業務改善助成金の資金使途を拡充し、使い勝手を向上されておりますが、こうした支援策が有効に活用されるよう、中小企業への幅広い周知と申請に関わるきめ細かいフォローをお願いたします。
加えて、価格転嫁対策についても、大企業と中小企業の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言の推進など、中小企業庁等とも緊密に連携し、今まで以上に取り組んでいただきたいと思います。
 また、これまで繰り返しお願いしておりますが、最低賃金の決定プロセスにおいて、経済情勢や中小企業の経営実態が十分に反映されるように見直しをお願いしたいと思います。
 次に、企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大について申し上げたいと思います。今し方、難波委員よりも御意見がありましたが、それとは少々異なる意見でございます。
 御承知のように、人口減少が進む我が国では、持続的な経済成長の実現のために、労働生産性の向上が喫緊の課題となっております。コロナ禍の1年半でテレワークが普及・定着し、従来の働く時間や場所を限定する働き方から、仕事の成果を基軸とした柔軟で効率のよい働き方に対する関心が高まっております。実際、日商の調査では、アフターコロナを見据えて、今後政府に規制緩和等をお願いしたいテーマということで尋ねたところ、企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制等の「時間にとらわれない柔軟な働き方」と回答した企業の割合が最も多く、3割に達しております。
 また、先ほど冨田委員からも御紹介がありましたが、厚労省が6月に公表した「裁量労働制実態調査」によりますと、適用労働者の8割が「満足」と回答していますし、また、半数以上が時間にとらわれず柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる、あるいは仕事の裁量が与えられて、めり張りのある仕事ができるというように、非常に肯定的に評価をしているということを強調しておきたいと思います。現在、厚労省の検討会において、裁量労働制の制度改革案が検討されていると聞いておりますが、2018年の働き方改革関連法案では採用できなかった企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大につきまして、この機を捉えてぜひ実現していただきたいと思います。
 最後に、多様な人材の活用について申し上げます。
 人手不足の克服という観点だけではなく、一億総活躍社会の実現や、多様性から生まれるイノベーションの創出という観点からも、多様な人材の活躍を推進する必要性については広く国民の間でも共有されつつあると思います。
 厚生労働省においても、ここ数年来の重要施策の一つになっていると理解しております。実際、配付資料の「令和4年度厚生労働省概算要求における重点事項」にも、女性、就職氷河期世代、高齢者、障害者、外国人の就業や活躍に関する支援策が網羅されております。これらの多岐にわたる支援策を有効に活用して、政策的な効果が十分に発揮されるよう、労使団体と緊密に連携し、雇用者を含めた対象者に対する丁寧かつ幅広い周知や好事例の広報等に一層取り組んでいただきたいと思います。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、次に中川委員、よろしくお願いいたします。
○中川委員 ありがとうございます。中川です。
 私のほうからは、資料2の13ページ、参考資料1の69ページに記載の「非正規雇用労働者のキャリアアップの推進」について、要望として発言をさせていただきたいと思っております。
 資料にはキャリアアップ助成金の助成対象を絞り込むなどの見直しを行うと記載されています。一方で、コロナ禍の中で大きく影響を受けているのは非正規で働く方々であり、その多くが女性であると思います。この助成金を活用して、そうした方々よりを質の高い雇用へ転換すること、そして、よりよい処遇に改善することが大変重要です。
 本日の地元紙の新聞にも掲載されておりますけれども、私が働く宮崎県では、県内コロナ相談が9,102件と、実に1日50件以上の相談が宮崎労働局などいろいろなところから声が寄せられています。この対応に当たっておられます皆様方にも敬意を表するとともに、この相談の9,102件の中で、雇用調整助成金が実に8割、相談者は飲食業界、内容については、雇用の不安、解雇・雇止めなどに関してであり、そして今、ワクチン接種の中でも、ワクチンができないということを申し出たら解雇されたとか、別な職場に配置転換されたとか、そういったことが大きく取り上げられています。ぜひとも誰もが安心で安全で安定した職場環境、生活環境の構築に向けて前進をしていただきたいと思っているところでございます。
 また、厚生労働省自殺対策推進室が公表されました令和2年度における自殺の状況でございますが、今、若者、女性の自殺が非常に増えていると公表されています。宮崎県においても、自殺率が全国第2位で、特に20代の女性、それから若者の自殺が増えており、今、オール宮崎で、この自殺対策に向けて取り組んでいこうという取組をしています。
 また、参考資料1の72ページ、困難な問題を抱える女性の支援体制でございます。困難な問題を抱えている人たちの多くが本当に求めているのは、就業、生活の安定・安心・安全であり、自立であると思っております。困難な問題を抱える女性への支援などとも連携をしていただきながら、一人一人の支援や保障が確実に行き届くスキームを構築していくことがまさに今こそ大事ではないかと思っております。
 求職者支援制度も、省令改正により対策が充実したことは評価しておりますが、この制度が第2のセーフティーネットであり、その周知広報が、現在非常に困難な課題を抱えている人たち全てに行き届きますように、きめ細やかな丁寧な対応をさらに前進していただきたいと思います。活用する媒体の選択も含めまして、十分な対応をお願いしたいと思っております。
 要望ということで発言させていただきます。
 以上です。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして山本委員、よろしくお願いいたします。
○山本和代委員 山本です。よろしくお願いします。
 資料2に記載の女性活躍、男性の育児休業の取得・促進について、意見を申し上げます。
 育児・介護休業法が目指すところは、あくまでも就労継続、両立支援であり、女性の場合、不安定で低賃金の非正規雇用に就いているケースが多い。その上で、今回の改正で、有期契約労働者の要件が一部緩和されたことは非常に大きいと存じますが、制度を労使が正しく理解して運用することが望まれます。男性の育児休業取得については、単に取得率の向上を目的化することなく、労働者本人が安心して希望する期間、日数を取得できているかが重要です。これを確認するため、取得状況を取得率だけではなく日数で把握できるよう、雇用均等基本調査で毎年調査すべきと考えています。
 また、他の委員からも御発言がありましたが、そもそも出生時育児休業というのが分かりづらいという声があります。職場では改正法の施行に向けて研修を始め、様々な方法で周知を行います。法施行までに全管理者が受けられるようなオンデマンドやeラーニングを活用できればと考えます。例えば、厚労省が法や指針などに関する動画を作成し、それに事業主は改正事項に沿った社内規程を追加すれば説明できるようにするというような方法など、少しでも現場の負担が軽減するような準備をお願いしたいと存じます。
 以上です。
○清家会長 ありがとうございます。
 労使の委員から皆さん御発言をいただいたかと思いますけれども、公益委員から、中窪委員が御発言を希望されているかと思います。中窪委員、よろしくお願いします。
○中窪委員 中窪です。
 1点だけ質問させていただきます。先日、新聞等で、20年ぶりにいわゆる過労死の認定基準といいますか、脳・心臓疾患の労災認定の基準が変わったということを聞いたのですけれども、今日の御報告では、労災保険部会で特に議論はされていないようです。前に部会の委員をしていたときに、精神障害の基準の見直しをしたときにいろいろ議論したような記憶がありますが、今、拝見しますと9月の部会でも特にこれについて報告等はなされていないようなので、その辺の関係を教えていただければと思います。
○清家会長 ありがとうございました。
 ほかに御発言を御希望の委員はいらっしゃいませんか。よろしゅうございますか。
 それでは、ただいま各委員から御発言がありました点について、事務局のほうからお答えをいただきたいと思います。
○吉永労働基準局長 労働基準局長でございます。
 労働基準局関係の御意見につきまして、御説明申し上げます。
 まず、冨田委員、難波委員、矢口委員より、裁量労働制につきましての御意見がございました。
 裁量労働制につきましては、制度の趣旨にかなった対象業務の範囲の在り方、あるいは労働者の裁量と健康を確保する方策などにつきまして考えていく必要があるものと考えてございます。
 今後、裁量労働制が制度の趣旨にかなって労使双方に有益な制度として活用されますように、御指摘がございました実態調査の結果、あるいは労使の現場での運用状況等を踏まえまして、「これからの労働時間制度に関する検討会」におきまして、丁寧に検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 石川委員より、過半数代表制につきましての御意見がございました。過半数代表制につきましては、実態調査の結果を踏まえまして、平成30年に過半数労働者の適正な選出を図るための労働基準法施行規則の改正を行ったところでございます。こうした過半数代表者の選出の適正化につきましては、引き続き進めてまいりたいと考えているところでございます。
 また、酒向委員より、フリーランスに関しまして、団体の安全衛生教育につきましての御意見がございました。労災保険の特別加入につきましては、団体を通じて事務を行います現行の仕組みを活用しながら、さらなる適用範囲の拡大を検討してまいりたいと考えてございます。そうした団体が十分な災害防止措置を講じることができるかにつきましても、適切に確認を進めてまいりたいと考えてございます。
 また、フリーランスの労災保険適用の周知につきまして、今後、これにつきましては、本年3月に関係省庁連名のガイドラインを策定してございますが、こうしたガイドラインあるいは厚生労働省のリーフレットにおきまして、フリーランスでありましても働き方の実態が労働者に該当する場合には、労働関係法令の保護の対象となることをお示ししているものでございます。引き続き、こういったものの周知に努めてまいりたいと考えてございます。
 安河内委員より、外国人労働者全般に対します労働条件等の相談支援体制の予算につきまして御意見を伺いました。予算の減額がなされているところでございますが、多くにつきましては外国人労働者が働く業種、作業に関わります視聴覚教育の策定がおおむね完了したことによりまして、その分が減額されたためでございます。今後はこうした教材を活用しながら、外国人労働者に対する教材の活用の促進に力を入れてきたいと考えてございます。
 西周委員より、安全で健康に働ける職場環境の整備につきまして御発言がございました。重点業種の労働災害を防止するため、労働災害防止に関する機運醸成等の多様な視点からの周知啓発に力を入れていくとともに、高年齢労働者が安全に働くことができる職場環境の整備を推進するために、引き続き補助金による支援等を行ってまいりたいと考えてございます。
 野村委員、矢口委員より、最低賃金の引上げに伴います支援策についての御意見がございました。最低賃金の引上げに向けた中小企業への支援につきましては、中小企業の方々が業務改善助成金など始めていただきました支援策が活用できますように、厚生労働省本省あるいは労働局、労働基準監督署におきましても周知に取り組んでまいりたいと考えてございます。また、価格転嫁など下請取引の適正化の取組につきましても、関係省庁とともに連携を取りつつ、引き続き進めてまいりたいと考えてございます。
 矢口委員からは、最低賃金の決定プロセスにつきましての御意見がございました。最低賃金法では、最低賃金につきましては地域における労働者の正規・非正規、賃金、企業の支払い能力、この3点を考慮して決定することとされておりまして、中央最低賃金審議会でも、経済情勢や企業の収益等の指標を参照して議論をしているところでございます。
 今年度の目安賃金におきましては、採決によります決定となった際に、審議や総括を行うこととされているところでございます。中央最低賃金審議会におきまして、労使の御意見を踏まえつつ、引き続き検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 中窪委員より、労災保険の脳・心臓疾患に関します認定基準の改定につきまして、労災保険部会との関係につきまして御質問いただきました。基本的には、今回の脳・心臓疾患の認定基準の見直しにつきましては、局長通知で行わる範囲のものでございまして、そういう意味で、事務的につけさせていただいたところではございますが、必要に応じまして労災保険部会にもお諮りしながら、今後、進めてまいりたいと考えてございます。
 私からは以上でございます。
○田中職業安定局長 続きまして、職業安定局長でございます。
 まずはコロナ禍が長引く中で、労使の皆様におかれましては、雇用の維持、雇用の安定に最大限の御努力をいただいておりまして、心より感謝申し上げます。
 私どもとしても、助成金の周知あるいは迅速な支給という形で、支援策をしっかりとお届けする努力をしてまいりましたけれども、引き続きしっかりやっていきたいと考えております。
 それから、川﨑委員から、改正高齢法で御意見をいただいております。改正高齢法の施行の際には、労使団体の皆様にはパンフレット、Q&A等の作成、周知に大変御助力いただきまして、ありがとうございました。本年4月の施行以来、各企業の労使における積極的な取組が進んでおりまして、これについても改めて、重ねて感謝をいたします。
 引き続き、パンフレット等につきましては、厚労省のホームページに掲載するとともに、全国のハローワーク、独立行政法人高齢障害求職者雇用支援機構(JEED)を通じまして周知を行っております。雇用による措置につきましては、JEEDにおいて事例集等を作成しまして、積極的に周知を行っております。また、今回新たに努力義務となりました創業支援等措置の事例につきましては、JEEDにおいて、企業等への調査等を通じて今、収集をしているところでございまして、取りまとめた好事例につきまして、積極的に横展開を図ってまいりたいと考えております。
 次に、淡輪委員、小松委員、野村委員、相原委員から、雇用保険財源の確保について御意見をいただきました。雇用保険財政の状況は、令和3年度末まで雇用保険料率及び国庫負担の暫定的な引下げ措置を実施している中で、雇用調整助成金の支給増等が生じておりまして、厳しい状況にあると認識をしております。雇用保険制度の財政運営については、雇用保険料率や国庫負担の在り方も含めて、雇用保険のセーフティーネット機能が十分に発揮できるよう、今後、労働政策審議会でも御議論いただきながら、予算編成過程において十分に検討してまいりたいと考えております。
 次に、小松委員から御指摘をいただきました失業なき労働移動、在籍型出向制度の活用や、就職支援のための各種施策の効果の見える化などについての御意見でございますが、まず、各施策の効果の件につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響下の主な雇用関連施策の実績として、厚労省ホームページにおいて職業訓練の実績やハローワークの実績、産業雇用安定センターの出向成立実績を毎月公表させていただいております。
 また、在籍型出向制度の活用の件につきましては、労働者が失業のない形で新たな職場で活躍していただくための支援策として、令和2年度第3次補正予算において産業雇用安定助成金を創設しまして、在籍型出向を活用した雇用維持への支援を行っております。この助成金につきましては、令和3年8月の制度改正によりまして、これまで助成対象外でありました企業グループ内の出向についても新たに助成対象としたところでございます。
 また、出向、移籍のあっせんを行います産業雇用安定センターの体制強化を令和2年度第3次補正予算により実施しております。今後も、これらの取組により在籍型出向を活用した雇用の維持を行う事業主を支援してまいりたいと思いますけれども、引き続き、労使の皆様の様々な形での御協力をお願いいたします。
 次に、永井委員、矢口委員から、高齢者、障害者、外国人の就労や活躍に関する支援策について御意見いただきました。雇用保険二事業の財政ですけれども、雇調金の特例措置の支出が急増したことによりまして、過去に例を見ない厳しい状況にございます。こうした状況に鑑みて、令和4年度の雇用対策に係る概算要求に当たりましては、各事業の過去の執行率も踏まえつつ、現下の情勢においてどのような優先順位で取り組むべきか等の観点から、事業内容を精査させていただいたところでございます。
 いずれにしましても、高齢者、障害者、外国人、さらにはほかに御指摘いただきました非正規の方々について、働きやすい環境の整備に向けて、労使とも緊密に連携しながら、就職支援、施策の実施や周知に取り組んでまいりたい。また、労働市場において多様な労働力需給調整が円滑に行われるようにするための新たな枠組みづくりについても取り組んでまいりたいと考えております。
 野村委員から御指摘いただきました雇用調整助成金、産業雇用安定助成金についてでございますけれども、雇用調整助成金の特例措置につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、前例のない措置を講ずることによりまして、事業主の雇用の維持の取組等を強力に支援させていただいてきたところでございます。
 一方で、雇用調整助成金で長期間にわたり休業による雇用維持を図り続けることにつきましては、働く方々の能力が十分に発揮されないことや、望ましい労働移動を阻害する等の懸念もございます。このため、5月以降、助成内容の見直しを行い、特に状況が厳しい事業主等に対しては日額上限1万5000円、助成率最大10分の10の手厚い支援を引き続き行うこととして、これらに該当しない場合も、リーマンショック時の水準を大きく上回る日額上限1万3500円等の支援を行っております。
 この現行の特例措置を11月末まで継続することを現在お示ししているところでございます。12月以降の助成内容については10月中に改めてお示ししますけれども、いずれにしましても、雇用情勢等をしっかり見極めながら、適切に対応してまいります。
 また、在職型出向を支援する産雇金の取組等により、引き続きケースに応じた雇用の安定が図られるよう、しっかり支援してまいりたいと考えております。
 中川委員から、求職者支援制度の周知広報について御意見がございました。三原副大臣と大隈政務官がチームリーダーを務めているコロナ禍の雇用・女性支援プロジェクトチームにおきましては、支援を必要とする方々に各種支援策の情報が必ずしも届いていないという現状につき、支援策の効果的なPR方法に関する取りまとめを行っております。
 この中で、求職者支援制度についても認知度を高め、支援対象者の利用に向けた心理的ハードルを下げることができるよう、広報チャネルの多様化などを行うこと。制度の活用促進につなげるため、訓練受講者の声や訓練受講後の就職先の例を厚労省ホームページにおいて掲載することなどの指摘をいただいています。この指摘を踏まえまして、インターネット、SNS、ホームページなどを活用した周知広報、訓練受講者の声や訓練受講後の就職先の例を盛り込んだリーフレット、制度紹介動画を作成して、厚労省ホームページに掲載しておりますし、さらに社会福祉協議会や自立相談支援事業等の関係機関と連携した積極的な周知広報を行っております。今後とも、御指摘のように、課題を抱える人たちにしっかり情報が行き届きますよう、効果的な周知広報を工夫して取り組んでまいりたいと考えております。よろしくお願いしたいと思います。
 職業安定局からは以上でございます。
○山田雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局です。
 まず、連合の山中委員のほうからハラスメントに関する御質問をいただきました。御指摘のまずセクシュアルハラスメントの防止措置につきましては、令和2年6月から施行された改正男女雇用機会均等法により対策の強化等を行ったところであり、改正法及びこれに基づく指針の周知啓発、適切な履行確保を通じて、ハラスメントのない職場づくりを推進しているところであります。御指摘の履行状況の調査については、今後、雇用均等基本調査において御指摘の御趣旨も踏まえて検討してまいりたいと思います。
 それから、顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントや、就職活動中の学生等に対するハラスメントについては、改正法に基づく指針において望ましい取組を示し、その内容について周知啓発を図るとともに、昨年度実施した職場のハラスメントに関する実態調査の中で実態調査も行ったところであります。
 令和4年度の概算要求においては、企業向けのカスタマーハラスメント対策マニュアルの内容に関する研修や、就職活動中の学生に対するハラスメント対策の事例集の作成などを行うなどの予算も要求しておるところでありまして、引き続き効果的な取組を検討、推進してまいりたいと思います。
 育児・介護休業法に関しまして、連合の山本委員、経団連の井上委員、日商の小松委員からそれぞれ御意見をいただきました。来年の4月から順次施行されることになっております改正育児・介護休業法につきましては、その円滑な施行に向けて積極的な周知広報や事業主の方への支援が重要であると考えております。
 具体的には、委員の皆さんから御意見があったとおり、改正法に関する分かりやすいリーフレットの作成・周知、個別周知や研修等の雇用環境の整備に御活用いただける動画やひな形といったものの提供、育児休業の取得促進に取り組む企業の好事例の紹介等を行う予定であります。特に中小企業におきましては、育児休業取得等に伴う代替要員の確保等が重要な課題であると認識しておりまして、これは労政審の建議、改正法の附帯決議においても、代替要員確保のための支援、中小企業側からの相談対応、好事例の周知等を含めて行うこと、小規模事業者であっても活用できるような形での代替要員確保等の支援を行うことが指摘されておりまして、施行に向けてこれら支援策の実施もしっかり対応していきたいと思っております。
 また、調査の実施に当たっては、調査に回答する企業の負担も考慮し、一定の質問数の中で、毎年問いを厳選して実施する必要がありますが、取得日数を含めた育児休業の取得状況の把握はその中でも重要であると認識しておりますけれども、ほかの調査、ニーズとのバランスも踏まえつつ、改正法の効果検証が的確に行えるように、把握方法については検討をしっかりしてまいりたいと思います。
フリーランスについて、連合の安藤委員から御質問いただきました。厚労省では、関係省庁と連携し、フリーランスの方と発注事業者との間の契約のトラブルが生じたときには、すぐに相談できる窓口、御紹介いただいたフリーランス・トラブル110番を昨年11月に設置したところであります。相談窓口開設以降、本年8月までに累計約3,000件の相談が電話やメール等で寄せられております。相談内容については、報酬の支払いに関わるものが最も多くて、続いて契約内容に関わるものが多くなっております。そのほか、契約解除に関わるもの、労働者性に関わるもの、損害賠償に関わるもの等、多様な相談が寄せられております。
 また、フリーランスの方が安心して働ける環境整備のために、本年3月に関係省庁とともに独占禁止法や労働関係法令等の適用関係を明確にするガイドラインを作成したところであって、このガイドラインや先ほど申し上げました相談窓口の周知に取り組むとともに、フリーランスとして業務を行っていても現行法上雇用に該当する場合には、労働関係法令による適切な保護がかかっていくということで考えております。
 最後に連合の中川委員から御指摘のあったキャリアアップ助成金についてでございます。キャリアアップ助成金については、現行制度では有期雇用労働者を正社員待遇の適用を受けない無期雇用労働者へ転換した場合も助成対象としておりますけれども、正社員待遇を受ける労働者に転換した場合のみ助成するように概算要求をしておるところであります。
 こうした支援の重点化を行うことによって、非正規労働者のさらなる処遇改善を推進していきたいと思っております。
 また、御指摘のあった困難な問題を抱えた方に対する必要な支援については、厚労省の他部局、子ども局等と連携した上で、必要な支援を届けてまいりたいと思います。
 以上です。
○小林人材開発統括官 人材開発統括官でございます。
 まず、安河内委員から、外国人技能実習生に対する相談支援の充実、それから迅速な指導体制といったことに関しまして、御指摘をいただきました。今年の4月から8か国語の相談におきまして、SOS・緊急相談専用窓口というものを設置いたしております。迅速に技能実習生の保護を図るとともに、迅速にその企業に対する指導につなげていくということで、これを一体的に行うことを目指しております。
 また、外国人技能実習機構の人員体制の強化に努めておるところでございますが、特に令和4年度概算要求におきましては、地方支部におけます相談支援体制の拡充に必要な経費を要求することとしております。引き続き、出入国在留管理庁及び機構と連携をして、適正化に努めてまいりたいと思います。
 それから、永井委員から就職氷河期世代の活躍支援と来年度の概算要求との関係について御指摘をいただきました。財政状況が非常に厳しい状況でございますけれども、氷河期世代の方々への必要な支援を引き続き着実に行うための予算は計上したと思っておりますので、これをきちんと確保していくということであります。
 ハローワークの専門窓口における支援あるいはサポステにおける無業者支援、それから、コロナ禍ですのでオンラインによる相談支援等を含んでおります。来年度は3年間の集中取組期間の最終年度となりますので、氷河期世代の方の就労支援をしっかりと進めてまいりたいと思います。
 それから、小松委員から円滑な労働移動における職業訓練の問題、中川委員からコロナ禍における求職者支援訓練のお話がございました。労使関係者の御意見を踏まえて、ニーズをきちんと捉えた職業訓練を推進していくということに特に留意して進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま委員の皆様方から適切な御質問、そして御意見を承り、また、厚生労働省からも対応いただいたところでございます。
 委員のほうからさらに何か発言はございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、厚生労働省には今後の予算編成や政策立案において、本日委員の皆様からいただきました御意見を踏まえて取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の会議は以上で終了といたします。
 ありがとうございました。

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