第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和3年9月1日(水)13:00~15:00

場所

中央合同庁舎5号館 共用第9会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

(1)2021/22シーズンのインフルエンザワクチンの供給について
(2)日本脳炎ワクチンの供給について
(3)ワクチンの研究開発支援について
(4)その他

議事

 

○萩森室長補佐 ただいまより、第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を開催いたします。本日は御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の議事は公開でございます。議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただいておりますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。

 本日は新型コロナウイルス感染症における今般の状況等を勘案し、一部Web会議で開催することとなりました。まず、Webを開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。御発言される場合には、まずお名前をおっしゃっていただき、部会長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、Web会議ですのでタイムラグが生じますが御了承願います。会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。

 続きまして、委員に改選がありましたので御報告いたします。山口委員が本委員会より勇退され、1名の委員が新たに就任されましたので御紹介いたします。北海導大学病院臨床研究開発センター教授の荒戸委員です。

○荒戸委員 荒戸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○萩森室長補佐 ありがとうございます。続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。現在9名の委員にWebにて御出席いただいております。合田委員におかれましては、欠席の御連絡を頂いております。委員10名中9名の委員に御参加いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により定足数を満たしておりますので、本日の会議が成立したことを御報告いたします。

 申し訳ございませんが、冒頭カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることができませんので御留意ください。

 それでは、議事に先立ちまして資料の確認をさせていただきます。本委員会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方式で実施いたします。資料番号01の議事次第及び委員名簿から番号09の利益相反関係書類を用意しております。資料の不足等、御不明な点等がありましたら、事務局にお申出ください。

 それでは、これからの進行は伊藤部会長にお願いいたします。

○伊藤部会長 ありがとうございます。伊藤でございます。久しぶりの生産・流通部会ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。議題ですけれども、今日の議題は、インフルエンザワクチンの供給について、日本脳炎ワクチンの供給について、ワクチンの研究開発支援について、その他となっております。それでは、まず議題(1)2021/22シーズンのインフルエンザワクチンの供給について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○萩森室長補佐 事務局でございます。その前に、利益相反関係について御説明させていただきます。審議参加の取扱いについて御報告しますが、本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議会参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、申請資料への関与につきまして御報告いただきました。各委員からの申請内容については、資料09の利益相反層関係資料を御確認いただければと思います。本日の議事内容において、個別に調査審議される品目はございませんので、議事への不参加に該当する方はおりません。以上です。

○稲角予防接種室室長補佐 議題(1)から御説明いたします。資料12021/22シーズンのインフルエンザワクチンの供給等について」、ファイル番号が「03」から始まるファイルを御覧ください。2枚目のスライドを御覧ください。例年示しているインフルエンザワクチンの供給量と使用量のグラフです。棒グラフのほうが供給量で、折線のほうは使用量です。今年度、令和3年の所を御覧いただければと思いますが、幅をもって供給量の見込量をお示ししていまして、供給量については、2,567万本から2,792万本の間ということで、今年度のインフルエンザワクチンの供給量は見込まれております。

 ○の1つ目に記載しましたが、今年度は例年と同程度の製造効率になりまして、供給量はこのような形になっております。使用量と比較すると、4価ワクチンに変更された平成27年から、昨年は除きますが、令和元年の使用量程度の供給量があると見込まれております。

 スライドの3を御覧ください。こちらは週次の資料です。青色とオレンジ色の棒グラフが、今年の高位推計と低位推計となっていまして、令和2年度と比べますと、立ち上がりは少し遅めとなっております。こちらの理由ですが、メーカーのほうで、新型コロナワクチンの製造でもワクチンを作る資材が取り合いになっているということで、資材の入手が遅れたということですので、その点で製造が遅れ、検定と出荷が少し遅れている状況だと伺っております。

 スライドの4番目を御覧ください。今年度の供給に係る対応ということで示しております。「今シーズンのインフルエンザワクチンの供給について」という部分については、先ほど御説明しました内容をまとめたものです。「今シーズンの対応()」の所ですが、昨年の使用量に比べると供給量はそれよりも少ないと見込まれておりますので、ワクチンを引き続き効率的に使用し、また、できるだけ多くの接種機会を確保することが重要だと考えております。そのため、2つ目の○にございますが、医療現場への働きかけとして、昨年と同様に、改めてワクチンの効率的な使用についてのお願いをしてはどうかと考えております。昨年の取組は四角の中に書いていますが、13歳以上の方は原則1回注射としていただくこととか、必要量に見合う量のワクチンを購入して、買い占めないでいただくことをお願いするということです。また、※の所に記載していますが、昨年度のインフルエンザワクチンの返品量は50万本以上であったと報告を受けています。こちらは、医療機関側が買い占めただけではなく、今のコロナのワクチンでもそうですが、予約はあったけれどもいらっしゃらなかったというケースもあって、いろいろなケースがあるのだと思いますが、実際に50万本以上が返品されてきていたという実績の御報告を頂いております。また、3点目ですが、ワクチンの偏在を防ぐために、医薬品の卸売業者に対して、地域間・営業所間の在庫融通について積極的に行うよう働きかけてはどうかと考えております。これらの対応について、御意見を頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。資料1の説明は以上です。

○伊藤部会長 今シーズンは供給量が少ないことを含めて、今後どのように対応すればいいのかという、事務局から提案だと思っております。まず、皆さん方から御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。細矢先生、どうぞ。

○細矢委員 確かに、少し前までの流通量と同じぐらいの供給量があるだろうということはいいのですが、コロナの影響を考えると、インフルエンザにもかかりたくないという人が増えて、ワクチン接種を希望する人はかなりいるのではないかと思うのです。それに対して、今回はどのように勧めたらいいのか、「少しゆっくり打ってください」という言い方になるのか、あるいは「必要な人からなるべく早く接種しなさい」というように言っていいものか。供給量が足りないという話が出ると、必ず接種者が殺到して足りなくなってしまうという問題がいつも起きていますので、その辺について、国はどのように接種を勧めるのかというところをお聞かせください。

○稲角予防接種室室長補佐 細矢先生、どうもありがとうございました。国として、どのような勧奨を行っていくかということで御質問を頂きました。制度的には、インフルエンザのワクチンというのは、接種勧奨とか努力義務は掛けられていないものになりますので、積極的に国として「打ってください」というようなことを言いにくいことではあります。スライドの3枚目にあるとおり、供給については立ち上がりは遅いものの、今年は11月に入っても結構な量の供給が見込まれているということになりますので、供給が順次されていくということを踏まえて、接種についてどの時期に受けられるかということを御検討いただきたいというように考えております。

○伊藤部会長 ほかにございますか。坂元先生、どうぞ。

○坂元委員 若干少なめという形で、自治体としても、細矢先生の御懸念はもっともだと思います。去年は、厚生労働省から、1026日まで65歳以上を優先という形でやらせていただいて、それでもかなり多くの人が殺到したということがありました。また、自治体のほうでも、コロナとインフルエンザに同時感染すると鑑別が付きにくいということで、自治体の中には補助金の率を上げたり、全額補助をしたりという形で、かなり積極的にインフルエンザワクチンを受けるようにプッシュした経緯があったということです。

 今年は、流行るのかどうか全く分からない中で、例えば立ち上がりのところの懸念があるのであれば、仮に去年と同じように高齢者優先にしておいて、ほとんどの人が殺到しなかったら各自治体の判断でというようなやり方も、1つのオプションかなと思います。去年は高齢者優先にしてある意味では正解だったと思うので、今年は全予想がつかない中で、もし自治体の判断でということをしても構わないということがあれば、試行的にやってみるというのも1つの方法かなと思います。以上です。

○伊藤部会長 釜萢先生、お願いします。

○釜萢委員 今、坂元先生、また細矢先生からお話があったとおりだと思いますが、今日の資料の2枚目を見ていただきますと、昨年はコロナの影響もあって、非常に実際に接種された方が多いのです。このグラフを見ると、3,274という数字が、接種実績として、使用量として書かれていますが、これは随分多い量なので、その量と比較すると、今年に供給される量はどうしても少なくなると。例年と比べれば、そんなに遜色はないとしても、昨年と比較すると、今年の供給量はある程度限られるということになります。使用量を見てみると、ほとんど一定で、2,500から2,600ぐらいのところできたのですが、平成29年からだんだん増えてきていて、特に昨年はコロナの影響もあって、非常に多くなりましたので、そこは医療機関としてしっかりと注意をしなければいけないと思います。

 今日の議論を踏まえて、3ページですが、特に10月の初め、10月というのが一番希望者が多くて対応をしっかりとしなければいけない時期です。それが、昨年の状況は一番上のグラフになるわけですが、10月の供給量がかなり潤沢で、10月末までに大体2,500万本出たということですから、それに比べると、1,500万本ぐらいというと、1,000万本少ないということになりますので、特に10月の時点での供給は限られるという情報をしっかりと幅広くお伝えして、接種の予約の取り方等について注意が必要だということを、しっかりと医療機関及び希望される皆様にもお伝えする必要があります。そして、徐々に供給量が増えてきて、12月まで供給が増えるということです。例年ですと、10月と11月で、ほとんど希望される方に打ち終わってしまう場合が多いのですが、今年は供給が少し後ろにずれることも、しっかりとアナウンスをして、予約をしていくということが必要だと思います。医療機関は、自分の所にどのぐらいワクチンが供給されるかは大変な関心事ですが、そこが少し制約されるということを踏まえた上で、しっかりと希望される方の予約を取っていくということが必要だと思います。

 坂元先生に先ほど御指摘いただいた、65歳で最初の時期を区切るというアナウンスは、必ずしもそれが絶対に守られるわけではないとしても、予約を取る段階で、少しそこに順序を加えることが必要ではないかと私も思います。65歳以上が定期接種ということになりますので、その辺りのところも踏まえてアナウンスをしたほうがよいかなと感じました。以上です。

○伊藤部会長 お二人の方から、昨年と同様の対応方策も含めて、アナウンスが重要という話をいただいたのですが、昨年はインフルエンザの流行がほとんどなかったという状況を鑑みて、今年の予測について、インフルエンザに一番詳しい信澤先生から何かコメントはございますか。

○信澤委員 御指名ありがとうございます。今年もインフルエンザウイルスの流行はそれほど大きくはありません。ただ、打たなくても大丈夫ということは決して言えませんので、接種は必要だと思っています。

 少し伊藤先生の御質問とずれるかもしれないのですが、私は、コロナのワクチンとインフルエンザのワクチンを同じ時期に接種をしなければならない状況というのは、多分ないとは思うのですが、コロナのワクチンの接種が10月中に終わるとされていますが、もし、それが少し遅く、ずれ込んだ場合のインフルエンザワクチンとの間隔の空け方とか、来年になってコロナのワクチンの3回目を接種し始めた時期に、まだインフルエンザのワクチンが接種できていなくて、接種しなければいけないというようなときの対応の仕方というのは、もしかしたらこの後に説明があるのかもしれませんけれども、それも考えておく必要があるように思いました。

○伊藤部会長 石井先生、どうぞ。

○石井委員 今の信澤先生のお話に関係するのですが、素人的なことで申し訳ないのですが、今、コロナワクチンの打ち手というのが非常に足りなくて苦労されているという話を聞きまして、10月、11月ですと、まだコロナワクチンの接種がされていると思うのですが、この時期にインフルエンザワクチンの接種が始まるということになると、お医者さんでこちらのワクチンの接種に対応できるのかというのが気掛かりな点なのですが、その点はどうなのかお伺いしたいと思います。

○伊藤部会長 事務局がお答えになられるのかよく分からないところがあるのですが、1つは、昨年これだけ出てこなかったインフルエンザに対して、どの程度皆さんが備えなければいけないのかというメッセージを、どこかで出さないといけないのかなと思います。そういう意味で、インフルエンザの専門家もいらっしゃる所で、情報を出していただけると有り難いと思いました。これが1点です。

 もう一点は、昨年は言うべきではないと思ったので言っていないのですが、インフルエンザのワクチンの有効期間は、半減期が4か月半とか5か月ぐらいであることから考えると、大人に関しては、11月ぐらいに接種するほうがシーズン全体をカバーできます、小児に関しては、2回接種されるので10月からという話なのかなと思います。そういう点から考えると、高齢者も含めて、供給が十分になる11月ぐらいに後ろ倒しをされたほうがワクチンの有効期間も考えるとよいのではないかとも思いますので、情報を、上手に出すことによって、円滑な接種ができるのではないかと思います。事務局からコメントを頂けますか。

○稲角予防接種室室長補佐 まず、伊藤先生から頂きましたインフルエンザの流行の部分です。今年、この冬のシーズンにどれだけ流行るかというのは、正直いろいろな要素があって予測は難しいと考えております。どれぐらい人の往来が増えるか、特に海外との往来が増えるかといったこともございますので、何とも言えないところですが、専門家の先生に聞いたら、先ほど信澤先生からも頂きましたように、備えなくていいということはないというのが、皆さんがおっしゃることかと思います。

 また、先生方から、昨年の呼び掛けを踏まえてということでした。現状、呼び掛けのことは特に考えていなかったところです。供給量から言いますと、高齢者に早く打ってくださいと言って大丈夫なのかという点もありますし、また、昨年の呼び掛けも、「希望される方は」ということが付いていて、接種勧奨ではないという形で整理しております。国からメッセージを出すところをどう考えていくかという点の整理が必要かとは考えておりますが、いずれにしましても、供給量を見ますと、先生方がおっしゃるとおり、10月は一定程度供給量は限られるというメッセージ、また、11月ぐらいにちゃんと出てくるということを含めて、ちゃんとお知らせをしておくことが重要と考えております。その時期に誰を優先してくださいというのは、なかなか言いにくい状況ではありますが、一応そういうことは考えている次第です。

○伊藤部会長 今、事務局から説明があったのですが、具体的にはワクチン接種の予約の取り方について、ある程度皆さんで知恵を出していったほうがいいとお考えかと思いますが、坂元先生からも、昨年と同様の方法を取ったほうがいいのではないかという御提案を頂いてはいるのですが、実際、早めに予約を取るとなると、供給量が足りないのが現状なので、去年と同じ方法というのは、少しリスクを伴うのかなと思ったりはするのですが、そこら辺について坂元先生、いかがでしょうか。

○坂元委員 これは、正直に言って、本当に全く予想が付かない。簡単に言ってしまうと、マスコミがどのように報道するかで、今年は足りないですよみたいなことが余り極端に伝わってしまうと、実態として、ワクチンが不足すると思います。打ちたいとか打ちたくないではなくて、不足するという声を聞いただけで中身を考えずに接種に来るという傾向もあると思います。打ちたいという人がたくさん来てしまうと、10月は混乱するかなという予測があるので、必ずしも65歳以上に絞ることに固執するわけではないのですが、何かそういうメッセージを出す必要はあるのかなという気はします。

 ただ、下手にメッセージを出してしまうと、ひょっとすると足りないのだということが誇張されて伝わる危険性もあるので、本当に難しいところなのですが、少なくとも自治体側、実際に接種をやられる先生には、その辺のところをしっかり伝えておくことは必要かと思います。正直なところをしっかりと伝えておくということは、私は必要だと思います。65歳以上に限るというところには、特に固執するわけではありません。以上です。

○伊藤部会長 今日、この話が出ていますから、マスコミには、ある程度供給量が絞られるという話は出ていくのだろうとは思うのですが、逆に、小児については、通常でも2回接種なので、10月から打ち始めないと間に合わないというところもあるので、そういう意味で、小児だけを先に始めて、高齢者は11月から打ってくださいというメッセージを出すということも、1つの案かなと思うのです。この中の小児科医というと釜萢先生、細矢先生がいらっしゃるのですが、いかがでしょうか。

○釜萢委員 釜萢です。小児の場合には2回の接種なので、ある程度早く始めなければいけないというのは、御指摘のとおりだと思います。インフルエンザのワクチンは、ほとんど個別で接種されていますから、医療機関にまずワクチンが供給されて、その供給されたワクチンをどのように接種していくかということになるわけなのですが、医療機関は、昨年と同様に卸からワクチンが供給されると漠然と考えていますので、特に接種の始まる時期には供給量が極めて限られるのだという情報を、まず医療機関にしっかりと伝えておくことはすごく大事だと思います。入手できた中で予約を取っていくということが必要であって、例年のように予約を取ってしまうと、ワクチンが来ないということで、また騒ぎになるので、その情報をしっかりと伝えておく必要があるということが第一点です。それから、その後、11月、12月までワクチンの供給があるのだということも併せてお伝えすることが、まず必要だと思います。

 一方、国民の皆さんが医療機関に希望される、予約をなさるということに対しては、例年どおりのワクチンは最終的には準備されるけれども、接種の開始直後には供給量が限られる、これは新型コロナワクチンの生産との関係があるのだと、そちらのワクチンも生産をしなければならないということと、直接、間接の関係の中で、こういう事態が起こっているということもお伝えして、理解を頂くということが必要だと思います。

 それから、先ほど石井先生……、関係ないかもしれないのですが、石井先生の声が非常に小さかったので、打ち者が確保できるかというような……だと思いますが、今、新型コロナに対する対応で医療現場は非常に、診療所もそちらのほうに多くのマンパワーを割かざるを得ない状況なので、例年に比べると、インフルエンザのワクチンの接種能力というのは少し落ちるだろうなということが分かります。

 先ほど信澤先生からも御指摘があったと思いますが、新型コロナのワクチンの接種間隔というところがありまして、新型コロナの場合には前後2週間は他のワクチンは打たないということになっていますから、その辺りのところが、ファイザーのワクチン、モデルナのワクチン、また場合によってはアストラゼネカのワクチンによって、2回目までの間隔、その辺りもよく考えて接種計画を立てなければいけないということも、アナウンスとして必要なことだと思っています。

 先ほどの接種のマンパワーが確保できるかという点については、全く不可能ということにはならないと思いますけれども、新型コロナの対応のない時期に比べると、マンパワーはちょっと落ちているので、季節性インフルエンザの接種のための体制を考え……。

○稲角予防接種室室長補佐 釜萢先生、聞こえますでしょうか。回線が悪いのか、最後の部分、前半も一部が聞こえなかったのですが。

○釜萢委員 すみません。まず画像を消します。

 最後のほうに申しましたのは、新型コロナのワクチンの対応と、新型コロナの診療の対応のために、例年に比べると、季節性インフルエンザのワクチンに対するマンパワーをどのぐらい準備できるかというところが、少し減るだろうと思います。石井先生からの先ほどのお尋ねに対しては、その辺りは少し減ることを想定して計画を立てる必要があるというように考えています。

 ですから、一番申し上げたいことは、今後の供給のスケジュールをしっかりと情報共有して、医療機関が自分の所のワクチンの確保の見通しがどうなるかということを、焦らずに、冷静に分析をして、予約を取ってもらうということに尽きるかなと思います。以上です。

○伊藤部会長 先ほどの新型コロナとのワクチンの接種間隔なのですが、直近で出てきているCDCのデータでは、同時接種が可能ではないかという話も出てきておりますし、ここではなくて分科会での議論だと思います。今は2週間必要だと言われていますが、そちらで接種間隔が、短縮される、若しくは同時接種が可能になる可能性はあるのかなという気もします。それと併せてインフルエンザワクチンの接種も含めて情報提供されると思っています。それはCDCの発表を見た感じですので確定的な話ではありませんが、そのような状況になっていると思います。

 事務局から何かコメントはありますか。今後どうするのかというのは、今の釜萢先生におまとめいただいた話に尽きるのかなと思っていますが、ただ、上手にきちんとした情報を提供することによって、コントロールしていくしかないと思いますので、皆さん、委員の方々も含めて、情報提供について、よろしくお願いいたします。事務局からコメントはありますか。

○稲角予防接種室室長補佐 先生方、御意見ありがとうございました。伊藤先生のおっしゃるとおり、釜萢先生にうまくおまとめいただきましたので、ありがとうございます。医療機関にちゃんとメッセージを出していくこと、また、国民の皆様にも、順次ワクチンが出ていくということをちゃんとお知らせしていくことが重要だということを承知しましたので、対応させていただきたいと思います。

○伊藤部会長 時間もありますので、続いて、次の議題に移っていただければと思います。日本脳炎ワクチンの供給状況については、これからまた事務局から説明していただいて、今後どのような対応をしていくのかについて、議論させていただければと思いますので、説明をよろしくお願いいたします。

○阪口感染症医薬品対策専門官 それでは、資料2について事務局から御説明をさせていただきます。資料2の内容なのですけれども、令和3115日付けの課長通知、それから、令和3625日の事務連絡、これは参考資料12に付けておりますけれども、この2つの内容をまとめたものになります。

 2ページ目をお願いいたします。日脳ワクチンなのですけれども、ビケンのジェービックVと、KMバイオロジクスのエンセバック皮下注用という2種類のワクチンが現在、使用されております。このうち、ビケンのジェービックVについて、製造上の問題が生じたというところで今、正に今なのですけれども、2021年度の上半期に供給が滞っているという状況があります。下の表を見ていただければよくお分かりになると思うのですけれども、2021年度の4月~6月分について、ビケンの供給として0万本という形になっています。この今回の上半期で、供給量が減少しているというところなのですけれども、既に製造は回復しておりまして、下半期にかけて供給量はどんどん回復していくと。また、来年度の2022年度については、今年の不足分についてもカバーできるぐらいな、たくさんの量のワクチンを供給できるという、そういう状況になっています。

 3ページ目をお願いいたします。ですので、今年度、少し接種をお控えいただくという措置を取らせていただいております。日脳ワクチンについては4回接種のワクチンなのですけれども、3歳の方に1回目と2回目を打つと。ここで2回打てば基礎的な免疫というのは付くというデータがありますので、今年度については、この1回目と2回目の方について、優先接種の対象という形にさせていただいています。その後の追加接種、いわゆるブースター接種になると思うのですけれど、この辺りは数年待てるということもありますので、4歳で3回目、それから9歳で4回目というところについては、来年度に接種いただくということで、今年度は接種をお控えいただいているという状況です。

 また、右側になるのですけれども、一応、定期接種として接種が受けられる年齢に上限がありますので、年齢の上限に近づいている方については、しっかり今年度のうちに打っていただくということで、そういう方々も今は優先接種の対象というふうに取り扱っております。説明は以上になります。

○伊藤部会長 ありがとうございます。日本脳炎ワクチンの供給が十分ではなかったので、一部の方々には接種をお待ちいただいている状況ですが、生産が復調しましたので、来年に向けて大丈夫になったという説明だったと思うのですが、まずは先生方の御意見とか御質問とかはございますでしょうか。これは、優先接種によって、接種期限の延長をするとかという話にはしなくても大丈夫なのでしょうか。

○阪口感染症医薬品対策専門官 日脳ワクチンは結構、接種の年齢層の幅がありまして、すみません、すぐに今、出てこないのですが、7歳半までが3回目の接種が受けられる、それから、確か12歳だったと思うのですけれど、12歳未満が4回目が受けられる、幅がたくさんあるということで、そういうふうな対応は現時点では考えておりません。申し訳ありません、4回目は13歳未満でした。

○伊藤部会長 ありがとうございます。現場のほうで、釜萢先生とか細矢先生とか、特に混乱がないということであれば、何も問題がないのかと思いますが、一応念のため御質問しました。よろしいですか。

○釜萢委員 伊藤先生、ありがとうございました。釜萢ですが、医療現場としては、特に小児科で対応しておりますが、そんなに混乱をしていないと私は認識をしておりまして、今後、待ってもらっている方にも徐々にワクチンの供給が進んできて、いずれ順調になるかという認識をしております。私の認識は以上です。

○細矢委員 地域により濃淡があって、ある所からは足りないと言われるのですけれど、ある所ではそんなこともなかったという話が聞こえてくるのです。でも、実際はどうだったのかというのはよくつかめていないのではないかと思います。国として、そういったものをうまくつかむようなシステムというのは考えていないでしょうか。結局、場所によっては足りないということで、いろいろ声は聞こえてくるのですけれども、実態はどうなのだというのが誰も分かっていないのではないかと思うのです

○釜萢委員 度々ですみません、釜萢です。また国からも是非お答えいただきたいのですが、日本医師会に医療機関からこのワクチンが不足したということの苦情、あるいは通知を頂くシステムを作っていますが、それでは日本脳炎のワクチンは、全国の都道府県ごとに調べて集計していますけれども、特に上がってきてはいないという状況です。

○林予防接種室長 事務局でございますけれども、今、釜萢先生からお話いただいたシステムですが、多分一昨年でしたか、厚労省のほうでは、ワクチンの供給状況について、今いろいろなトラブルが起きているかどうかということを一目で分かるホームページを開設させていただきまして、同じ時期に、日本医師会のほうでは、診療所でそういった御苦情があるかどうかということをまとめていただくようなシステムを立ち上げていただきまして、それを同時に発足させたところです。今後の検討課題として、ワクチンの供給が各地でどのように行われているかといったことを、いろんなデータを取り寄せて集計したり、見える化するようなことができないかということは、常々考えているのですけれども、そういったことは今後の課題というか、やっていかなくてはいけないことだと思っております。主観的な不足感と、供給しているというファクトとの間に、どうしてもやむを得ないずれがある場合もありますので、釜萢先生におっしゃっていただいたような主観的な不足感と実際の供給、そういったことをより的確に把握できるような仕組みをこれからも向上させていきたいと思っております。

○伊藤部会長 ありがとうございました。日脳ワクチンに関しては、比較的、無事に収束したという整理だと思っております。それでこの議題に関しては終わらせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 続いて、(3)のワクチンの研究開発支援についてです。ここは、COVID-19に対するワクチンも含めて、今後の対応をどうするのかということだと思うので、まずは事務局から説明をお願いできますでしょうか。

○阪口感染症医薬品対策専門官 それでは、資料3について事務局から御説明させていただきます。まずは、今回、新型コロナで厚労省として様々な対策を行ってきたところなのですが、その辺りを御報告させていただきたいと思います。3ページです。まず、当然コロナの研究開発を加速化するというところで、AMEDさんで基礎研究、非臨床試験、臨床試験というような研究の支援をしていただきました。それと並行して、通常であれば、それなりにワクチンの開発の見込みが立ったところで実生産の工場を整備するみたいになるとは思うのですが、今回、もうそんなことを言っていられないスピードで物事が進んでいきましたので、研究と並行して生産体制の整備をしていただくということで、厚生労働省で生産体制の整備をするような事業を立ち上げて支援をさせていただきました。

 4ページです。AMEDさんですが、基礎研究、非臨床試験、臨床試験というところで、Ⅱ相試験まで全部で600億円のお金で企業さんの支援をしております。

 5ページです。厚労省の生産体制の整備につきましては、この生産体制整備事業というところで、6社の事業者を採択しました。このうち、アストラゼネカと武田のワクチンが、いわゆる海外シーズのワクチンになります。武田さんは、ノババックスというシーズのワクチンの工場を作るということをしております。それからアンジェス、KMバイオロジクス、塩野義、第一三共という4社が、国産のシーズを使ったワクチンの開発ということになります。

 6ページです。現在、先生方も御存じのように、日本ではモデルナとファイザーさんのワクチンを多く接種していて、それから、アストラゼネカについても今接種が開始され始めているという状況だと思うのですが、このうち、アストラゼネカのワクチンというのは、今回の厚労省の整備費用を用いて工場を整備して、そこで製造した国内製造のワクチンになります。

 7ページに移っていただくと、四角が4つ並んでいます。そのうちの上から2つ目の四角からが来年度の話になります。まず、武田さんがモデルナのワクチンを来年初頭から供給すると。それから、ノババックスのワクチンも来年から、それから、ファイザーも来年からということで、現在、契約なり協議なりを進めているところなのですが、このうち武田薬品工業のノババックスのワクチンというのは、今回の事業で整備した工場で製造するワクチンということになります。

 次に、8ページをお願いいたします。アストラゼネカと武田が国内製造するノババックスのワクチンについては海外シーズということなのですが、プラスして国産の4社については、今AMEDのほうでⅡ相試験までの支援をするということですので、Ⅲ相の試験の支援もしないといけないということで、3次補正で1,200億円を計上し、ここで国産ワクチン開発企業に対して大規模臨床試験の実施費用を補助するということになっております。

 9ページです。さらに、今回のこの生産体制整備事業は、先ほど御説明した6社に加え、最近2次公募もして、VLP Therapeutics Japan合同会社という所が追加で採択をされております。

 次の10ページをお願いいたします。これが、現在の国産ワクチンの状況になってくるのですが、まず、①から④の1次公募で採択した国産ワクチンの4社なのですが、現在Ⅰ/Ⅱ相試験というふうに、臨床試験を実施している状況になります。この中でうまくいき、Ⅲ相試験の準備ができて、Ⅲ相試験をやるという段階になると、先ほどの1,200億円でⅢ相試験の実施費用を支援するというふうな形になります。あと、⑤のVLP Therapeuticsも同じ状況なのですが、こちらは10月から第Ⅰ相試験を開始する予定というふうに聞いております。

 次に、今回のコロナを受けて、では、今後また似たような感染症が起こった場合のパンデミックに向けて、やはりワクチンの開発支援みたいなことをしっかり国としてやらないといけないという議論があり、今後どのようにやっていくかということを、これからお話したいと思います。まず12ページです。AMEDの中で、先進的研究開発戦略センター(SCARDA)という仮称になっておりますが、こういう部門を立ち上げて、ここで感染症の研究開発をしっかり支援していくという体制をつくるということで、今、お話が動いています。当然、感染症対策ですので、厚労省もしっかり主体的に関わっていく必要がありますので、この紙の中に「平時から厚労省が主体的な役割を果たす」という文面も入れていただいていますし、それから、厚労省の中でワクチン振興部局みたいなものを新設し、その中の職員がしっかりSCARDAと連携して、どういうふうな対策をしていくのかを検討していくといったところが今考えられております。

 次の13ページです。今回コロナで厚労省で実施した生産体制整備事業ですが、その後継事業のような形で、今度は経済産業省になるのですが、経産省が今回整備した工場を拡充したり新設したりして、デュアルユースの設備を作るというような事業を立ち上げようとして、今検討をしているところです。このデュアルユースというのは、平時にはワクチン以外のものを、ワクチンでもいいのですが製造し、平時に使うバイオ医薬品や平時のワクチンを製造し、それでもしパンデミックになったときには、パンデミックに対するワクチンを製造するというような設備を考えているということです。

 14ページを御覧ください。例えばmRNAの工場を作ったとすると、平時では例えばがんワクチンを製造していて、有事になるとパンデミックワクチンに切り替えると。それから、例えば組換えタンパクの工場を作った場合には、平時では抗体医薬品みたいなものを作っていて、有事にはパンデミックワクチンに切り替えると、そういったことが想定されております。

 最後の15ページは、厚労省で実施しようと思っている事項をまとめたものになります。厚労省としましては、ワクチンをどういう感染症に対して作っていくのか、ワクチン開発を支援していくのかを、まず考えたいと思っています。そういうワクチン開発の支援を行う重点感染症のようなものの指定を、まずは行いたいというふうに思っています。その後、それに対するワクチンの企業開発支援を行いたいと思っており、そういう企業開発支援を行う組織を構築し、先ほど御説明したSCARDAのような所と協力して、企業の開発支援をやっていきたいというふうに考えております。

 それから、その次のワクチンの出口戦略です。厚労省でどこまでできるのかというのは、これからの議論なのですが、当然、日本だけで使うワクチンというところに限らず、やはり日本から世界に羽ばたいていくようなワクチンの開発というのをしていただきたいと思っていますので、海外市場の開拓やWHOの事前認証を取得するなど、そういう出口戦略みたいなところも企業と一緒に考えていきたいというふうに考えております。

 あと、先ほどもインフルエンザのところで話題にのぼりましたが、コロナワクチンを今回、世界中で作っているわけですが、やはり一番の問題がワクチンを作る原材料・資材が全然手に入らないというところ、これが今すごく大きな問題としてクローズアップされています。どういうワクチンであっても、例えばシングルユースの製品やフィルター類、共通で使うものというのが大分決まっておりまして、その辺りの供給が今かなり逼迫しているという状況です。今回よく分かったのですが、そういうものを供給している国産企業がほぼないと。皆さん輸入品に頼っている。一方で、輸入というのは制限されたり、なかなか日本で入手ができないみたいなことも起こっております。ですので、原材料・資材の国産化のようなところも、真剣に考えていかないといけないというふうに考えております。今、経産省と協力して、経産省で原材料・資材の国産企業の開発支援を考えており、厚労省では、ここは「基準の策定」というふうになっていますが、出来上がった原材料・資材に対して品質評価をするお金を支援して、医薬品メーカーがその原材料・資材を導入しやすくすることを目指して、事業が立ち上げられないかと検討しているところです。説明は以上になります。

○伊藤部会長 説明ありがとうございました。ここ1年、厚労省で検討された内容の説明だと思いますが、まず皆さんから御質問を頂きたいと思います。福島先生、どうぞ。

○福島委員 御説明ありがとうございました。特に後半の11枚目以降の今後の方向性については、興味深くお聞きしました。非常に素晴らしい絵も描いていただいていまして、コロナ禍を機にワクチンの様々な環境について改善を図っていこうということをお示しいただいたことは、非常に有意義なことだと思います。ただ、絵に描いた餅にならないように、しっかりこれを実行していただきたいと思います。例えば12ページ目の図では、たくさんのトップクラスの研究者であったり政策決定者がいらっしゃると思うのですが、その方々をうまくコーディネートして機能するようにしていただきたいということです。

 そして、13枚目については、特に生産体制等研究整備事業で建てた建物や設備を、コロナワクチン以外にもしっかり生かしていただきたいと思います。企業さんによっては、申請の段階では、デュアルユースを考えている、それは難しいなど、考え方に温度差があったと思うのですが、やはり国のお金で建てたということもありますので、そこはしっかり将来的に社会還元できるように考えていただきたいと思います。以上はコメントです。

 あと、1つ質問をさせていただきたいのですが、15ページ目のスライドでお示しいただいた「今後の厚生労働省としての関わり」についてですが、①に「重点感染症の指定」とあります。こちらについては、ワクチン等の開発も優先的に行う感染症になると理解したのですが、2013年に予防接種法が一旦改正されたときに、予防接種基本計画を作りまして、そのときに「開発優先度の高いワクチン」というものを、この研究開発及び生産・流通部会で、たくさんのワクチンの情報を並べて、皆さんで決めて、予防接種基本計画に盛り込んだという経緯があります。それとはまた別の枠組みという理解なのでしょうか。それとも、それをアップデートするといったような感じでしょうか。

○伊藤部会長 質問が幾つかあるようですので、荒戸先生と信澤先生に御質問にいただいて、それから阪口さんにお答えいただきましょうか。

○福島委員 はい。

○荒戸委員 荒戸ですが、私から御質問させていただいてよろしいでしょうか。先ほど御説明を頂いたスライドの14枚目で、製造体制としてデュアルユースを御提案いただいています。その場合の平時と有事での製造の量について、恐らく有事は一時的にたくさんの量の製造が必要になると思いますし、それに伴って、そもそも平時に製造していた製品のほうに、逆に欠品が生じないかといった点、この辺の、いざ実際に有事になったときの製造の使い分けのバランスというのが非常に大事になってくると思いますので、その点についてどのようにお考えか。また、特に組換えタンパク質の場合は、精製ラインはタンパク質の特性によって製品ごとに違ってくる可能性もあるので、デュアルユースが本当に実効性のあるものかといった点について、今後どういう検討をされていくか、お考えを聞かせていただきたいと思います。これが1点目です。

 2点目は単なるコメントですが、15ページの③として、国産の原材料や資材の確保ができるような検討を挙げていただいておりますが、事務局の方が御説明されたように、これがないことにはいろいろな技術があってもものが作れませんので、地味な内容かと思いますが、是非この点はしっかり御検討いただければと思います。以上、2点です。

○伊藤部会長 ありがとうございます。では、信澤先生、どうぞ。

○信澤委員 ありがとうございます。信澤です。福島先生や荒戸先生とほとんど被るコメントになってしまうのですが、1点目としてSCARDAについてです。恐らく、このセンターの構想というのは、当然、今回のコロナ対策の経験をいかすべくして生まれたものだとは思います。ただ、これまでのコロナ対策の総括をして、反省点をまとめて、例えば現場からの意見を吸い取るなどした上でできた構想であればいいのですが、そのような過程を飛ばして一種の理想として生まれたものということであると、先ほど福島先生もおっしゃっていましたが、絵に描いた餅になってしまわないかと、正常に機能するのかなという不安を感じます。今回のコロナ対策というのは、常に後手後手という批判が聞かれていますが、厚労省の方々は大変御苦労されているのは重々知った上で申し上げているのですが、何で後手と言われるかと言うと、現場での問題が何か、何が不足しているか、どういうシステムが必要なのかといった、やはり現場の状況というか声を完全に吸い取れなかったということにあるような気がしています。ですので、今回の経験を今後にいかせるような戦略センターでなければ意味がないのではないかと思われます。恐らく、現場からの声については、できる限り集約された上での構想であると推測していますが、もしそうでない部分があるのでしたら、やはり現場の声というものをくみ取った上で、トップダウンではなく、むしろボトムアップでセンター構想を進めていただいたほうが、実際には運営がうまくいくのではないかと感じました。これは、センター構想の過程について何も知らずに、外から勝手に申し上げている意見にすぎませんが、一応そういうことを感じました。

 もう1点、デュアルユースに関して、インフルエンザワクチンのことを例に挙げてお話したいのですが、インフルエンザワクチンの場合も、パンデミックワクチンというのは迅速な対応が必要なので、ニワトリが卵を産むのを待っているということはできませんので、パンデミックワクチンは細胞培養法で製造するということが決められて、メーカーはその製造販売承認を取得しています。順番として、そのパンデミックワクチン対応ということが先になってしまったものですから、本来はこのデュアルユースを狙ったものだとは思うのですが、季節性のワクチンというのは、相変わらず、今、鶏卵で培養されていて、厚労省としてもそのメーカーさんのほうに季節性ワクチンも細胞培養法で製造するということを勧めているという状況でありますが、必ずしもメーカーさんにとってそれが利益につながるというわけでもなく、その点がうまく進んでいません。実際に平時に細胞培養用のタンクを動かして、製造ラインを維持しておかないと、パンデミックワクチン製造を開始しなさいと言われても、そうそうスムーズにいくとは限らないと思いますので、やはりデュアルユースをするにしても、手順というか順番を、季節性で平時使えるような状況を作った後で、それをパンデミック時にも使える、有事にも使えるという順番で進めていただいたほうがよろしいのではないかと思いました。14ページの図にあるような順番で決めていただけるのであれば、問題ないとは思います。以上です。

○伊藤部会長 ありがとうございました。3人の先生方から、御意見と問題点について指摘がされていますが、開発優先度の高いワクチンとの整合性はどうなのか、デュアルユースの話について大きな問題なのだろうなと思いますが、事務局の阪口さんからお答えいただけますか。

○阪口感染症医薬品対策専門官 先生方、コメント、質問をどうもありがとうございます。まず、福島先生から、開発優先度の高いワクチンと今回の重点感染症の位置付けの違いという御質問を頂いたのですが、実はまだ始まったばかりですので、きっちり区別を決めている状況ではなく、これから協議をしていかないといけないという状況ではあります。

 ただ、大きく1点違うところは、開発優先度の高いワクチンというのは、基本的にはワクチンの必要性というところに非常に重きを置いていて、ですので、海外導入品のワクチンでも問題なく開発優先度が高いわけですから、それを国内開発してくださいというようなワクチンだったと思います。一方で、今回のこの重点感染症というのは、最終的に重点感染症という名前になるかどうかもまだ分からないのですが、基本的には国内企業にちゃんとワクチンの開発をしていただきたいというところが、まずコンセプトにあります。ですので、海外導入品はまずは範囲に入らず、国内企業が、別に国内用でも海外用でもどちらでも構わないのですが、主体的にワクチン開発を行えるような感染症の指定のようなところを考えています。そこのコンセプトが一番違うかなと考えています。

 次は、荒戸先生からのデュアルユースの御質問で、もし平時に作っていた医薬品が、仮にパンデミックになって、それが作れないというようになったらどうするのかという御質問です。これは非常に重要な観点で、経産省とも今協議をしているところではあるのですが、その切替え時にどのようにうまく切り替えていくかというようなところも、企業と一緒に考えながらやっていて、もしできるのであればマニュアルのようなものを作って、例えば、パンデミックになってすぐワクチン製造が始まるわけではないので、その最初の期間のところで必要な医薬品をダッと作ってストックしておくなど、そのような計画も含めて今の時点で考えていただくというようなことを今考えています。

 次に、信澤先生からの御質問ですが、これも、先ほどおっしゃったデュアルユースで平時の製造がすごく大事で、平時のほうからというところなのですが、おっしゃるとおり、平時にまず何のワクチンを作るのか、それでそれをどうパンデミックに切り替えていくのかというところをセットにして、計画してその事業を採択という形になると思いますので、信澤先生がおっしゃったような順番で物事が決まっていくかなと考えています。以上になりますが、もし回答が漏れていましたら御指摘ください。

○伊藤部会長 坂元先生が手を挙げていらっしゃったようですが、いかがですか。

○坂元委員 こういうワクチンの開発なのですが、有効性というものと国内製造の必要性、いろいろな問題点があると思いますが、接種を実際に行う例えば市町村の立場としては、使いやすいワクチンというのは、すごく大きな要素かなと思っています。今回はこういうコロナという非常事態なので、非常に通常ではあり得ないようなディープフリーザーなど、そういうデリバリーシステムを自治体のほうが国と一緒に行いましたが、もしこれが通常のワクチンのような保管であれば、ワクチン接種において、非常時であってもそんなに混乱が起きないのかなということもあって、使いやすい保管の剤形です。また、1バイアルの人数がある程度少ないほうが、実際に開業医の先生がやるときもやりやすいなど、そういう危機管理のときだからこそ、今後は使いやすいワクチンというのも、1つ開発の中のコンセプトに入れていただいたら、接種主体の市町村としては非常に助かるという形でお願いします。

○阪口感染症医薬品対策専門官 コメントをありがとうございます。先生の御指摘にあったように、今回パンデミックだからというところが実は非常に大きくて、恐らくコロナワクチンであれば、あと1年、2年たてば、例えば凍結乾燥品のワクチンで冷蔵保存ができるようなワクチンが出てきたり、ドーズについても、バイアル当たりのドーズ数が少ないものなど、多分そういう改良というのはどんどんできるようになるとは思います。一方で、やはり取あえず出来たワクチンを国民の皆様に使っていただくという観点から、恐らく今回は非常に自治体の方々から見ると使い勝手の悪いワクチンが流通しているという現状なのかと思います。ただ、とは言え、例えば凍結乾燥の技術について検討したり、そういう平時にできることというのも当然あると思いますので、その辺りは御指摘がありましたように検討させていただきたいと思います。

○伊藤部会長 インターネットの接続が大変悪くて、聞こえにくいところがあって申し訳ないのですが、ほかに皆さん方から御意見などはありますか。大丈夫でしょうか。以前から言い続けていますが、ワクチンは安全保障の一環ですので、開発を進めていくことや、国家備蓄、シリンジのようなものも含めて、ある程度有効なものについては備蓄するなりしていかないと危険ではないかと思いますので、それらについて国がお作りになられるものに関して、私どもができるだけいい知恵を出して、提案していければいいなと思います。ほかに皆さんから御意見はないでしょうか。

○釜萢委員 伊藤先生、釜萢ですが、よろしいでしょうか。先ほど信澤先生からも御指摘があったのですが、この部会でも、インフルエンザのパンデミックワクチンの細胞培養の件については、いろいろ議論を教えていただいて、情報を頂いてきたわけですが、製造ラインというのはやはり年数によって償却をしていかざるを得ない部分もあって、そのためにはお金が必要になってくる部分もあるというところです。一方、パンデミックワクチンは結核感染症課のほうで確か扱っていたような気がします。今回のいろいろな経験を踏まえて、今日お話を頂くようないろいろな整備が必要なのですが、全体のいろいろなことを全て踏まえた上で、なるべく無駄がなく、平時と有事が有機的にうまく機能していくということを狙っていく必要があって、限られた財源の中でやらなければならないので、その辺りのところが非常に大事だと思います。

 そこで、1つ指摘しておきたいのは、細胞培養の製造過程について、これまでもずっといろいろ検討して維持をしてきたわけですが、だんだん製造工程も更新が必要になってくるのだろうなと思っていまして、その辺りのところも適切に対処できるように、国全体として、是非考えていただきたいと思います。その辺りを指摘しておきたいと思います。以上です。

 事務局にお尋ねしますが、釜萢の発言は聞こえていましたか。

○阪口感染症医薬品対策専門官 先生、大丈夫です。聞こえています。伊藤先生が画面から見えなくなってしまいまして、もう少しお待ちください。

 釜萢先生から今御指摘のあったような、施設のアップデートというような観点からも、平時にやはりいろいろな医薬品なりワクチンなりを製造して、メーカーさんがちゃんと製造を維持して、さらに、アップデートするお金をちゃんと稼げるようにしておくということが非常に大事かなと思いますので、先ほど頂いたそういう観点からも、今回デュアルユースのようなところはしっかり進めていきたいと考えています。

○釜萢委員 正にその点を申し上げたかったので、どうぞよろしくお願いいたします。

○阪口感染症医薬品対策専門官 ありがとうございます。伊藤先生、大丈夫でしょうか。

○伊藤部会長 ごめんなさい、回線が不安定で画像をオフにしているのですが、聞こえが悪くて。でも、釜萢先生と阪口さんの間できちんとしたやり取りがされたと認識をしましたので大丈夫と思います。ほかに皆さんから御意見などはありませんか。今回のワクチンの開発の件に関しては、今回で終わりというわけではないですよね。

○阪口感染症医薬品対策専門官 はい、検討を始めたばかりですので、引き続きいろいろと検討していきたいと思っています。

○伊藤部会長 今回初めてこういった形で議論がされていますが、現在、経産省で考えられているデュアルユースというのは、現場から考えるとそれほど簡単な話ではないのではないかという意見が、現場からあったとことについて、厚生労働省を通じてお伝えいただいて。独立採算でこのワクチン事業をやるということ自体は多少無理があるので、多少の遊びの部分を作っていただきたいというのが、現場の人たちの意見と思います。皆さん、特に荒戸先生や信澤先生からの視点から見ると、そういったところでよろしいでしょうか。荒戸先生がうなずいていらっしゃるので、デュアルユースに関しては工業製品ほど転換するのが簡単ではないということについてのメッセージが、この委員会から出たということは、厚生労働省を通じて、強く情報発信していただきたいということがまとめという気がしますが、それでよろしいですか。そういうことで、阪口さん、よろしいですか。

○阪口感染症医薬品対策専門官 伊藤先生、ありがとうございます。しっかりまとめていただきました。伊藤先生が御指摘の懸念についても、経産省と厚労省と合同で、本当にたくさんの企業さんに今ヒアリングをして、実態を聞いているところです。できるだけその企業さんの御意見を反映したような形で、経産省も事業を考えていると思いますので、引き続き見ておいていただければと思います。ありがとうございました。

○伊藤部会長 1980年代は日本がワクチンの先進国だったという昔の時代のこともあるのですが、今こんな状況になったのは、昔からワクチンの開発をしている者にとっては多少情けないところもあります。ワクチンは安全保障の一環として重要であるという点については、規制も含めて考えていただきたい。一方で、外国では、特にヨーロッパに関しては、利益相反に関して大変厳しいところがありますが、それとの折り合いをどう付けるのかということも大きな問題であると認識はしていますが、ただ、安全保障の一環であるということも踏まえて、多少のクッションを置いていただく中で、日本で国民の方々にいち早く使えるワクチンを開発するということも考えていただければと、私個人としては思います。ほかに何か皆さんから御意見はありませんか。

○稲角予防接種室室長補佐 信澤先生が今、手を挙げていらっしゃいますか。

○伊藤部会長 信澤先生、どうぞ。

○信澤委員 すみません、先ほど伊藤先生におまとめいただいたことで、ありがとうございます、ちゃんとリアクションをしていませんでした。

 最後に1点だけ、些細な質問なのですが、来年度以降使われるコロナのワクチンに関して、もし情報開示が可能でしたらお伺いしたいと思っている点があります。来年度以降使われるワクチンというのは、変異株に対応したワクチンを入手することができる可能性もあるのか、まだその辺りは公開できないことなのかもしれませんが。以前にも伺った点なのですが、今のワクチンは効くと言われていますが、使い続けるのか、新しく変異株対応されたワクチンを使うことができるようになるのか、その辺りは対策は立てられていると思いますが、もし何か開示できる情報がありましたらお願いしたいと思います。以上です。

○阪口感染症医薬品対策専門官 ありがとうございます。7ページに来年の状況がまとめられているのですが、来年初頭から、まずモデルナのワクチンを5,000万回分、それからノババックスワクチン、武田のワクチンですが、武田のワクチンを15,000万回分、ファイザーのワクチンを12,000万回分、供給を受けるということを前提に協議、契約をしています。

 御質問のあった変異株に対する対応ですが、なかなか変異株の変わるスピードが速くて、今は例えばデルタ株なので、そのデルタ株のワクチンをとなっても、実際にそのワクチンが出る頃に本当にデルタ株が流行っているのかなど、なかなか難しい問題ではあるのですが、一応各社さんは変異株対応も含めて、当然、臨床試験なども行っています。そういうことを含めた形で、その時々にどんな株が一番いいのかというのはなかなか難しいところではありますが、そういうことを考えた供給をするという形で、今、検討が進んでいます。

○信澤委員 ありがとうございます。

○伊藤部会長 それでは、最後のその他について、事務局からありますか。

○萩森室長補佐 最後のその他に関しましては、特段議論する内容はありません。

○伊藤部会長 ありがとうございます。特段最後に御発言されたいという方はいらっしゃいますか。なければ、これから接種するインフルエンザワクチンに関しては、先ほど議論が出ましたし、釜萢先生からもお話がありましたが、情報開示を適切にすることによって供給などの混乱がないようにするということを第一にして、スタートするということで、情報をきちんと開示していただきたいということがまず1点です。日本脳炎ワクチンに関しては、供給が再開をされて何とか無事にいきそうだということの報告があったということだと思います。3番目の開発に関しては、皆さんからいろいろ御意見が出たことについては、どうも厚生労働省だけの話ではないので、経済産業省や、もっと上部機関と調整して、日本の安全保障の一環としての今後のワクチン政策を決めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。そういうことで、よろしいでしょうか。では事務局にお返しをします。

○萩森室長補佐 ありがとうございました。本日も様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。次回の開催については、追って御連絡させていただきます。事務局からは以上です。

○伊藤部会長 ありがとうございました。では、今日はこれで研究開発及び生産・流通部会を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。