第145回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和3年9月22日(水)13:59~16:13

場所

全国都市会館

議題

  1. 1.令和4年度診療報酬改定の基本方針について
  2. 2.オンライン資格確認等システムについて
  3. 3.医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について
  4. 4.令和2年度医療費の動向
  5. 5.令和4年度予算概算要求(保険局関係)

議事

議事内容

○榊原課長 それでは、定刻より若干早うございますが、全員そろいましたので、ただいまより第145回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
委員の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
樋口恵子委員が退任され、新たに、NPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長、袖井孝子委員が就任されています。後ほど御挨拶を賜れればと思います。
次に、前回の医療保険部会開催以降、事務局に人事異動がありました。
私は保険局総務課長を拝命しました榊原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私より紹介いたします。
大臣官房審議官の間でございます。
保険局総務課医療保険制度改革推進官の角園でございます。本日欠席でございます。
保険局医療介護連携政策課長の安中でございます。
保険局医療課保健医療企画調査室長の高宮でございます。
保険局医療課医療技術評価推進室長の中田でございます。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、一瀬委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、平井委員、横尾委員より途中退席されるとの御連絡をいただいております。
本日、記者の方には、別室にて会議の模様を傍聴いただいております。なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、先ほどの事務局からの御紹介のとおり、新たに袖井孝子委員が就任されておりますので、袖井委員から一言御挨拶を賜れればと思います。
では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 袖井でございます。樋口委員の後任でございまして、高齢社会をよくする女性の会の副理事長をしております。後期高齢者でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 こちらこそよろしくお願いいたします。
それでは、早速でございますけれども、議事に入ります。
本日は、「令和4年度診療報酬改定の基本方針について」、「オンライン資格確認等システムについて」、「医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について」、「令和2年度医療費の動向」、「令和4年度予算概算要求(保険局関係)」の5つを議題といたします。
初めに「令和4年度診療報酬改定の基本方針について」を議題といたします。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、連携課長、よろしくお願いいたします。
○安中課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料1を御覧ください。
1ページスライドしていただきまして、1ページと右下にページ数を打ってございますが、令和4年度診療報酬改定の基本方針の検討について御説明させていただきます。
まず、前回令和2年度の基本方針におきましては、マルイチとして改定に当たっての基本認識に続きまして、マルニとして改定の基本的視点と具体的な方向性をお示ししております。
これまでの基本方針では、改定の視点については基本的に継承されてきておりまして、それに加えて、その時々における医療を取り巻く状況を踏まえた重点課題などを追加してきたところでございます。
今回は新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえまして、コロナ感染症をはじめとする新興感染症等への対応力の強化を図ることが重要なテーマではないかと考えております。
また、2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現を目指して、健康寿命の延伸や「全世代型社会保障」の実現、給付や負担の見直しなどによる持続可能性の確保についても取組・議論が進められるという状況にございます。
加えまして、患者・国民に身近で、どこでも適切な医療を安心して受けられる社会の実現、働き方改革の推進、医療におけるICTの利活用なども引き続き重要なテーマだと考えております。
こうしたことを踏まえまして、構成につきましては、次の2ページを御覧いただければと思います。
令和4年度改定におきましても、これまでの改定の視点をベースとしつつ、近年の社会情勢、医療を取り巻く状況を踏まえたものとしてはどうかと考えております。
具体的には、基本認識といたしまして、まず1点目、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築。2点目としまして、健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現。3点目としまして、患者・国民に身近でどこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進。4点目、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和というものが考えられるのではないかと書かせていただいております。
その下に、参考として前回改定時の基本認識を書いておりますが、上記のうち、コロナ感染症関係を除く3点につきましては、いずれも前回改定の基本認識を踏襲したような形になってございます。
次に、3ページ目を御覧ください。
基本認識に続きまして、基本的視点と具体的方向性の例として整理をさせていただきました。
視点の例でございますが、まずコロナ関係については、方向の例としまして、当面、継続的な対応が見込まれる新型コロナ感染症への対応や、医療計画の見直しを踏まえた新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組といった方向が考えられるのではないかと思っております。
2点目としまして、医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進する視点としては、長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取組の評価、早急に対応が必要な救急医療体制の評価、業務の効率化に資するICTの利活用の推進といった方向性が考えられるのではないかと思っております。
3点目としまして、医療の機能分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進という視点については、効果的・効率的で質の高い入院医療の評価、外来機能の明確化・連携の推進、かかりつけ機能の強化、また、質の高い在宅医療・訪問介護の確保、地域包括ケアシステムの推進のための取組といった方向性を書かせていただいております。
4点目としまして、患者・国民にとって身近であって安心・安全で質の高い医療を実現するという視点については、患者が安心して医療を受けられる体制の評価、アウトカムに着目した評価、また、重点的な分野への評価としまして、ここでは不妊治療の評価などを書かせていただきました。また、口腔疾患の重症化予防や歯科医療の推進、薬局・薬剤師業務の対人中心への転換の推進、医療におけるICTの利活用といった方向性を書いてございます。
5点目としまして、効率化・適正化を通じて制度の安定性・持続可能性を高める視点といたしまして、後発医薬品やバイオ後続品の使用促進などの医薬品の適切な使用の促進、費用対効果評価制度の活用、市場実勢価格を踏まえた適切な評価といった方向性を書いてございます。
次のスライドは、これまでの改定における基本方針における視点を記載したものでございます。
その次の5ページ目につきましては、前回の改定のスケジュールを記載させていただいています。前回の改定におきましては、前年の12月10日にこの診療報酬改定の基本方針を策定し、その後、改定率が決定され、その後診療報酬の具体的な改定に入るということでございました。
以上が資料の説明となります。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
説明ありがとうございました。
今日は公務の都合で途中で退席することをお許しいただきたいと思っております。
今触れられましたように、基本認識のところについて意見を述べたいと思います。
恐らく今後重要になる項目として4つぐらいの概念的なお示しがございました。特に1点目の新型コロナウイルスにつきましては、大変重要なことだと改めて感じているところです。このことは、この会議でも資料として示されたように、耳鼻咽喉科や小児科をはじめとしてなかなか患者が戻らないという分野もございますし、公的、特に入院病棟となっていらっしゃる医療機関では相当な負担が今もかかっているものと思っています。新規の患者発生数は東京都もかなり減ってきているのですけれども、そのまま重症化して残っていらっしゃる方も多くいらっしゃって、こういった大変な御苦難にあって腐心をされている医療の現場への配慮をぜひ今回は特に考えるべきではないかというのが1点目でございます。
また、2点目に感じることは、それとも関連するのですけれども、全国的に見まして地域医療の確保ということがとても大事な時代と思っています。すなわち、厳しい地域医療を何とか確保して努力されている医療機関もございます。例えば公的あるいは準公的医療機関で過疎地やその近いところとかいろいろございますけれども、そういったところで公的な使命を担って自ら大変大きな努力もしながら、地域医療の確保を努力されている医療について、この配慮もぜひ検討が必要ではないかと感じているところです。
3点目でございますが、これが最後ですけれども、実はほかのところでの説明、次にも出てきますが、オンラインに関することです。病院によりましては、先進的な取組としてオンラインによる初診療後の家族を含めた患者の方への配慮とかケアについてのアドバイスをされる取組を先進的に自らの事業としてされたりしているところもございます。また、後ほどの説明で恐らく出てきますオンラインの医療あるいは資格確認ということが進展していくと思いますが、現状ではリーダーの普及率とか実際に参加できる環境が整っているかというのは必ずしもまだ大きな数字になっていません。今回のコロナで非接触性ということが非常に重視されて、また、移動の負担を減らしながら患者のケアをするという意味からも、オンラインのいろいろな医学的、医療的な対応ということがとても大切で重視されてくる時代に向かっていくと感じています。ぜひこういったことも配慮いただければと思っています。
あと、後段の3項目は、前回も出ておりますけれども、やはり人生100年時代の健康長寿とか、どなたでも国民が安心して任せられる医療を確保するとか、また、持続可能な社会保障制度との連携をとりながらやっていくといったことも重要ですので、ぜひ考えていただきたいと思っています。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、引き続き、本多委員、よろしくお願いいたします。
○本多委員 経団連の本多でございます。
御説明ありがとうございます。
私のほうからも、資料に従いまして幾つか指摘をさせていただければと思います。
まず、2ページの基本認識に掲げられていらっしゃる例示について、私ども、特に違和感はないと思っています。
今回の改定議論なのですけれども、コロナ禍において大変難しい改定となることは間違いないと思います。一方で、高齢化の進行や現役世代の減少といった趨勢は今後も変化があるわけでないということを踏まえれば、引き続き「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」は重要な点であるということを改めて強調させていただきたいと思っております。
続いて、3ページ目の「基本的視点と具体的方向性」について指摘をさせていただきたいと思います。
最初に、「新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制を構築する視点」についてでございます。この関連では、まずは感染拡大以降講じられています、診療報酬上の様々な特例的な措置についての効果検証をしっかり行うということがまずは重要であると思います。また、感染症の対応の観点からは、今般のコロナ禍の対応を通じて、機能分化・連携や医療機能の集約がまだまだ不十分であるということが顕在化しております。これは、我が国の医療提供体制の構造改革を要する大きな課題であり、診療報酬だけで動くものではないのですけれども、国民の安心・安全の確保のために効果的な形で診療報酬によって医療機能の分化・連携、あるいは集約化を進めることも一つの方策であると考えられると思います。
続いて、「効率化・適正化を通じて、制度の安定性・持続可能性を高める視点」についてでございます。この視点も大変重要であるにもかかわらず、方向の例として示されている項目が薬剤に関連した事項に限られているのでは不十分ではないかと考えております。例えば急性期の入院については、これまでも将来の医療需要の変化に見合った提供体制を目指し、改定を行ってきております。今後もこういった継続性というものは確保すべきであると思います。このように、薬剤に限らず、入院医療や外来医療などについても効率化・適正化という視点というものは重要で、基本方針に盛り込むべきと考えます。
また、薬価につきましては、「市場実勢価格を踏まえた適正な評価」という視点だけではなく、イノベーションを牽引する重要な産業でもあるということから、創薬力の強化の視点からの検討も重要であり、そうした視点も基本方針に盛り込むべきと考えております。
最後に、私のほうからもオンライン診療について触れておきたいと思います。今回のコロナ禍の経験の中で、オンライン診療などの活用の意義は一層高まってきていると認識しております。今後、こういった新技術をさらに活用していくということも重要であって、その際に、対面との報酬の違いがその阻害要因となっているようであれば、その点の解消についても検討していくべきと考えております。ぜひともこういった点を基本方針の中に明示いただければと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、早期に御退出ということで、平井委員、よろしくお願いいたします。
○平井委員 恐れ入ります。この後、経団連に行かなければいけないもので、すみません。失礼いたしました。
今日、こうしてキックオフとして令和4年度に向けた診療報酬など議論が始まることは歓迎を申し上げたいと思います。
今までもお話がありましたように、やはりまだコロナは続いておりまして、ぜひ診療報酬体系の中でもコロナ治療に当たる病院に対してきちんとした措置は継続していただきたいと思います。また、地域の中核病院における役割というのは、こうしたコロナ治療のみならず、そのほかの一般医療を並行してやっていかなければならず、大変な負担がかかっております。ここに向けても十分な配慮というものをやっていかないと、第6波あるいはその後の新しい感染症などに耐えられないおそれがありますので、ぜひその辺を考慮していただければと思います。
お話がありましたようなオンライン診療などは、このコロナの中で威力を発揮することが分かってきました。中山間地など遠隔地における医療についても重要な役割を果たします。この辺も様々な議論はあると思いますが、やはり正面から捉えていただきまして、こうした審議会での議論の中でよくもんでいただいて、そういうふうにしていただけるとありがたいと思いますし、そのほかのICT技術などの活用につきましても、ぜひ御配慮いただければありがたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、次に秋山委員、よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会でございます。
資料1の3ページ、改定の基本的視点と具体的方向性について、私からも意見を述べたいと思います。
まず、視点の例の1つ目の「新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制を構築する視点」は大変重要であると認識しています。新型コロナウイルス感染症に対応した医療機関では、一部の病棟の閉鎖や外来の休診が行われました。また、病床はあっても看護師が足りないという事態も生じました。平時から人員配置にはある程度の余裕がないと緊急時には対応できないということであり、そのような方向性を示すべきだと考えます。特に人工呼吸器やECMOを装着した患者等への対応に当たるICUでは、手厚く、かつ専門性の高い看護師の配置が必要となっています。さらに、一般の医療機関や地域の介護施設等も含めて、地域における感染管理の水準の底上げを図る必要があります。
続いて、視点の例の2つ目の「医療従事者の負担を軽減し、医師等の働き方改革を推進する視点」についてですが、ここには恐らくタスクシフト・タスクシェアも含まれるものと思われますが、医師から看護師へのタスクシフト・タスクシェアと同時に、看護師から看護補助者等へのタスクシフト・タスクシェアを進める必要があります。看護補助者については確保が困難という声も多く、その確保・定着に寄与する措置が必要だと考えます。
最後に、視点の例の3つ目、「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進に関する視点」につきましては、「方向」の例にありますように、「外来機能の明確化・連携の推進」や「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」が非常に重要だと考えます。地域で療養する患者の生活を支えるためには、訪問診療、訪問看護や医療機関の外来での診療、療養指導と介護保険サービス等が適切に提供されることが不可欠です。比較的高度な医療が必要な患者であっても地域で尊厳ある生活を継続できるよう、訪問看護ステーションの量的確保のみならず機能を強化することや、医療機関・訪問看護ステーション・その他関係機関との間における情報連携、オンライン診療時の看護職によるオンライン指導などを推進する必要があります。
以上述べさせていただいたような方向で、今後さらに検討いただきたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
ほかの委員の方もおっしゃっておられましたけれども、やはり今回の診療報酬改定において、まさに新型コロナ対応が重要なポイントだということは言うまでもないと思います。
そういう中で、資料の2ページの1つ目の基本認識例にコロナのことが書いていますけれども、ここは単に「医療提供体制の構築」という表現にとどめるのではなくて、やはり今回のコロナ禍でまさに顕在化した医療資源の散財やかかりつけ医に対する国民の期待の高まりという医療提供体制の課題を踏まえて、この例の文言の中に、効果的な入院医療体制の強化とか、安全・安心な外来医療体制の構築といった文言を付け加えていただきたいと思います。
もちろんこれに併せて、次の3ページ目の方向の例のコロナのところについても、従来はいわば平時対応として、この3つ目のところに書かれている項目のうち、入院医療の機能分化・強化、連携のさらなる推進や国民・患者が自らに合ったかかりつけ医を選べるためのかかりつけ機能の強化というのが入っているわけですけれども、これを新型コロナ対応も踏まえた1つ目の項目のほうに記載する形にしていただきたいと思います。
また、それ以外には、この視点もしくは方向の中において、いわばコロナ禍にあっても少子高齢化というのは当然変わらないわけですし、そういう面では、感染症に対応可能な医療体制の構築とともに、人口、疾病構造の変化に対応して、患者のニーズに添った効率化・効果的な医療体制の構築の前に進めること。また、高齢化もしくは高額医薬品の登場による医療費の増大が見込まれておりますので、医療の効率化・適正化、医療資源の重点配分という趣旨もしっかりと書き込んでいただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、石上委員、よろしくお願いいたします。
○石上委員 ありがとうございます。
診療報酬改定に当たりまして、これまでの改定の視点をベースにして、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築という視点を追加するというのは当然でありますし、これについては賛成いたします。
日常生活を取り戻して社会経済活動を活性化していくためにも、感染拡大時を含めて、必要なときに必要な医療を受けられる体制を構築するというのが基本だと思います。そのためには、まず感染拡大を考慮したうえでの地域医療構想の再検討が基本になりますが、一方、社会インフラとしての日本全体の医療提供体制の改革につながる診療報酬改定を検討していく必要があると思っております。
さらに、病床や医薬品、医療機器などの確保に加えまして、それらを支える人材の確保まで含めた体制整備は不可欠です。医師の働き方改革は法改正で終わりではなくて、実効性を担保するための取組も求められます。看護職員を含めて医療従事者全体の労働環境の改善につながる報酬改定としていくことが必要だと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
引き続き、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。
少し長くなりますがお許しください。
まず、今回の改定の基本方針ですけれども、全体の方向性についてはおおむね賛成です。今回、特に重要なことは、何人かの委員の先生からもありましたけれども、改定に当たっての基本認識にありますが、新型コロナウイルス感染症への対応を含めた医療提供体制をどう構築し、その体制を保つことだと思います。
それから、薬局・薬剤師関係ですが、多くの視点に関係することになりますけれども、薬局・薬剤師は地域包括ケアシステムの中でかかりつけ機能をより強化して、かかりつけ医をはじめとする他の職種と連携して、患者に対して一元的、継続的な服薬管理を行い、個別最適化した薬物治療を提供していきます。このことは、安心・安全で質の高い薬物治療の提供はもちろん、チーム医療の推進、医師等の負担軽減にもつながります。これらのことが積極的に取り組めるよう推進すべきと考えます。
また、患者にとって身近であって、安全・安心で質の高い医療実現の方向性の例のところに、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進があります。対人業務をより充実して医薬品の適正使用をより進めていくべきだと思いますが、薬剤師の基本的で最も重要な業務の一つが医薬品の備蓄、管理、薬剤の加工、調製などの対物業務になります。医薬品の適正使用のためには対物業務を適切に実施することが重要で、その上で対人業務を推進していくべきと考えます。
今回の基本方針の中にない項目についての意見となります。先ほど本多委員からありましたけれども、医薬品のイノベーションの評価、安定供給関係についてです。医薬品は疾病の治療、症状の緩和、予防に欠かすことができないものです。先日、厚生労働省から医薬品産業ビジョンが公表され、その中で世界有数の創薬先進国として、革新的新薬により、我が国の健康寿命の延伸に寄与すること、医薬品の品質確保、安定供給を通じて国民が安心して良質な医療を受けられる社会を次世代に引き継ぐことを目指していくことが示されています。革新的な医薬品を含めたあらゆる医薬品に国民がアクセスできることで質の高い医療が実現します。現在、後発品の安定供給に大きな支障が出ており、現場は混乱していますが、医薬品の安定供給なしに医療は成り立ちません。医薬品は安定供給が大前提です。改定の基本的視点と具体的方向性にイノベーションの評価、そして、医薬品の安定供給の確保が必要と思います。また、医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議で、安定確保医薬品及びカテゴリーが設定されました。安定確保医薬品に位置づけられた医薬品については、薬価制度上の措置の在り方についても議論が必要だと思います。
次に、敷地内薬局についてです。今日の業界紙報道にもありましたが、医療機関の敷地内へ薬局を誘致することが止まりません。適切な医薬分業のためには、薬局は医療機関から経済的、構造的、機能的に独立していることが不可欠です。また、敷地内薬局は医療機能の分化・強化、連携、かかりつけ機能の強化、地域包括ケアシステムの推進に逆行するものです。
また、こうした敷地内薬局の誘致がビジネスモデル化しています。例えば敷地内薬局の募集要項で、薬局に直接関係のない外来棟や検査室の建設、ヘリポート、立体駐車場の整備、アメニティー施設の建設などを求め、その費用が40億円を超えるものもあります。これは敷地内薬局が同一敷地内の医療機関からの処方箋の応需などで得た収益からその費用を支払う構図です。保険医療に係る財源は国民皆保険制度で成り立っているため、このような公費の使い方をするということは、国の方針、保険診療として適切でないことに、通常の給付を行うことになります。敷地内薬局は、診療報酬の適正化だけではなく、給付のあり方、その是非を含めて検討すべきだと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。日本慢性期医療協会の池端です。
私は意見が1点、質問が1点あります。
まず、基本的な視点については、全体的には了解できるものかと思っております。その中で、特に各委員がおっしゃったように、新型コロナ感染症に対する対応をどう考えるか、その影響をどう考えるかということですが、どうしても医療提供体制ということでの視点が目につくかと思いますけれども、今回のコロナの感染症というのは本当にパンデミックと言われるように、コロナの患者さんを診ている医療機関だけではなくて、全ての医療機関が何らかの影響を受けているということがあるかと思います。それに対する支援としては、当然、補助金等の支援金とこの診療報酬での支援ということになるかと思いますけれども、このバランスということになりますが、今、どなたか委員がおっしゃったように、このコロナ禍でかかりつけ医の役割が改めて見直されて、その重要性が国民の間で認識できたことも一つのことかと思っています。
一方で、後で出てくるかもしれませんけれども、令和2年度の医療費に関しては約1.4兆円の減になっている。過去最高の減。これが日本の医療機関全てに影響しているということを御理解いただいて、コロナを直接診る、診ないは別にして、苦境にあえいでいる医療機関が多いということも御理解いただいた上で、いろいろな施策の具体的な方向性を示していただければと思っています。
いずれにしても、持続可能な保険制度ということを貫くことはもちろんやぶさかではありませんが、そういう疾病構造の変化ということも十分丁寧にお示しいただきながら、今後の令和4年度の改定に向けてやっていただければと思っています。
以上が意見です。
もう一点は、5ページは令和元年度の診療報酬改定のスケジュールだと思いますが、今年度に当てはめると、ちょうどここに、恐らく今理解しているところでは、近々総選挙が行われて内閣が変わることになるかと思います。そのときのスケジュールが、現状、もしお分かりであれば、これとほぼ同じでいけるのか、あるいは少し後ろ倒し、遅れる可能性があるのか、その辺がもし現時点で何か見込みがありましたらお教えいただければと思っています。
以上です。
○田辺部会長 1点御質問がございました。いろいろな政治事情が動いていく中でスケジュールはどうなんだということなのだろうと思います。
○榊原課長 総務課長でございます。
現段階で確たるものはございませんが、いずれにしましても年度内にある程度予算編成全体を締めていくということであろうと思いますので、そういう意味では、大きく日程が変わるということは取りあえずないという前提で議論をまずは進めていただければと思っております。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○池端委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございます。
続きまして、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
まず資料1の2ページでございますが、基本認識の中で、これは全体としてより危機感の高い表現を用いるべきではないかと考えます。例えば1つ目の欄の「新興感染症等に対応できる」というところでございますが、もう少し広い意味で、例えば新たな危機的状況に対応できるといった考え方を打ち出すべきではないかと思います。
あと、4つ目の欄についてですが、厳しい財政状況、企業業績や雇用情勢の悪化などを踏まえ、危機に直面している現状を国民全体と共有するような表現を用いてはどうかと考えます。
なお、3つ目の欄に「患者・国民に身近で」とございますが、もう少し踏み込んで、患者とそれを支える人々というような視点を盛り込んでいただければと思います。
続きまして、3ページに記載されています医療機能の分化・強化の中のかかりつけ機能の強化は大変大切な視点でありますので、全ての人がかかりつけ医を持つにはどうしたらいいのかという視点で、効果的な施策の検討をお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
引き続き、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
令和4年度診療報酬改定の基本方針につきましては、前回改定に新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築を追加したものを案として御提示いただいております。この追加につきましては、特に異論はございません。
しかし、新型コロナウイルス感染症に関する診療報酬上の特例的な対応につきましては、十分な根拠や議論がなされないままに決定されてきた経緯もございまして、しっかりとした効果検証が今後必要であると考えております。その際に、例えば資料4では、本年3月以降は医療費の伸びが戻ってきており、特に小児科の増加幅が大きいといったデータも示されておりますので、このようなデータも踏まえつつ、検証を行うべきであると考えております。
また、今回の改定に限らず、診療報酬制度の在り方そのものについてもそろそろ議論を開始すべき時期に来ているのではないかと考えております。今後、何度かの改定を見据えつつ、医療保険部会で中長期的な議論を進めていくことにつきましても、検討する必要があるのではないかと考えておりますので、よろしくお願いします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
改定の基本認識や視点に関しましては、案に特段の異論はございません。進めていっていただきたいと思っております。
その上で、新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症対応ができる医療提供体制の維持というところではございますが、感染対策に関しまして、歯科は基本診療料で主に評価されてございます。令和2年の改定で見直しがされましたけれども、スタンダードプリコーションに加えて、コロナ禍でのユニット等のラッピングや患者ごとのアルコール消毒、予約調整などを加えた対応がございます。そういったところはまだまだ不十分であると考えております。歯科に関しましては、個人立の医療機関が多くて、経営体力が非常に乏しくて、この現状では良質な歯科医療提供体制の維持に関して極めて困難な状況が想定されてございます。コスト面も含めてまだまだ不十分なところもございますので、実情を鑑みて御検討いただきたいと思っております。
新型コロナや新興感染症に関しましては、口腔健康管理や口腔ケアといった歯科の関わりが非常に重要であるとクローズアップされてきてございます。コロナ禍の医療提供体制維持を側面からしっかりと支えていくということは非常に重要だと考えておりますので、御理解のほど、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 ありがとうございます。
コロナ禍が始まる前に、私たちも危機管理についていろいろなことを議論していたのですが、SARSのときには国の入り口で止められたので何とかなったと。それで国家全体が油断していたのかもしれませんけれども、このウイルスはそんなに甘いものではなかったということであります。
インフルエンザの新型については治療薬や、ワクチンの増産などを考えていたわけですけれども、インフルエンザではなくてこのコロナウイルスだったというのが大変ショックであります。経済の問題にしても、地震が来て大変なことになることは想定できても、このような感染症で日本国がひっくり返りそうになるとは全く誰も思っていなかったのではないかと思います。
その中で国民の皆さんに対応していただいて、何とか乗り切れるのかな、あるいはワクチンが効くのかなというところでございますが、こういった感染症というのは、前も申しましたように、ある一定のところに来ると突然数が増えて大変なことになるという特徴がございますので、まだまだ油断ができないところであります。
日本国民の公衆衛生意識の高さで今回急激に増えたものを急激に減らすことができたと私どもは思っていますが、当初この新型コロナが入ったときに、なぜ日本国だけがこんなに欧米に比べて数が少ないのかという議論がございました。遺伝子の問題とか様々なことが議論されましたけれども、今回の第5波を見ますと、やはり公衆衛生意識の強さ、それが、結局マスクをし、余計なことをせずに生活するということで急激に落とせるということが分かったと同時に、それが最大に効くものだということが認識されたところであります。
そのような中で、最初は、診断もできない、治療もできないといった段階のときに、診療所においては、患者さんを待たせるところもない、薬もない、ワクチンもないというような状況でございました。やはりここは次の新型インフルエンザのことも考えて、適切に患者さんがきちんと普通の状態で安全に診療所に来られるような仕組みをつくっていかねばならないのではないかと思っているところであります。あまりに狭い待合室ですと、感染を引き起こしますし、コロナのウイルスにかかっている人を診るのも大事ですし、また、他の人たちを防御することも大事であります。そういった感染防御に対しての施策がまだ十分でございませんので、ぜひその辺りも力を入れていただきたいところであります。
ここでついでに申しますと、やはり医療事故を含めて、安全のためにはやはり費用が要ります。それと同時に、情報の開示、そして、チェックが要ります。やはり第三者による評価をきちんとしていかないと、こういったものは完全になりませんので、そういったことについても今回の指針の中に入れていただきたく思います。
今、ようやくワクチンが国民全体に行き渡るところでございますが、病院も診療所もとにかくワクチンがなかったので最初当惑していましたが、6月から医療機関で打てるようになり、そして、かなりの数を打てたといったこともあって、今回ぎりぎりのところで収まりかけているのかと思います。先を読んで対応しなければならないのですが、ここで2つほど提案があります。やはりワクチンは国産で作っていただかないといけないのではないかと。ワクチン行政を厚生労働省さんが対応されています。やはり適切なワクチンを国産で作り、国産で給付する仕組みがなければ、同じことが何度も起きるように思います。その辺りは十分に努力していただきたいと思います。
2つ目は、今、後発医薬品にトラブルが起きているために、先発医薬品も含めて医薬品が足りない。特に循環器系の薬においては、患者さんにとって大変致命的なことになります。抗生物質の不足もそういったことを引き起こします。前から申し上げていますように、基本的な薬剤については国産で対応する。むしろ国産で作って日本の国の力があるところを海外に評価していただいて、輸出できるような体制にしなければ、いつまでたっても何かあって、他の国でトラブルがあったら薬がなくなるということが起きます。外交、防衛も大事でございますが、やはり内部を固めるということはたいへん大事でございますので、そういったところに力を入れていただきたく思います。
先ほど申しましたように、一回こういった感染症が海外から来ましたら、経済はがたがたになります。それと同じように、薬がなくなっても大変なことが起きますので、費用だけを優先して、とにかく安く作るということで考えますと、結局、いろいろなひずみが来るということであります。
ついでに申し上げますと、当初、イタリアがなぜあんなパニックになったかといいますと、結局は医療政策でベッドをぎちぎちのところまで減らしたということでございます。何の余裕もないところに感染症が来たために、あのように病院の外で並んで皆さん亡くなられるということになったわけであります。そういったことを踏まえて、経済優先ではなく、経済を守るためにも適切な医療体制が必要だということが今回の私どもの感想であります。
最後に、オンラインはうまく使わねばならない、大変大きな武器であります。特に山間地、過疎地域といった患者さんがなかなか病院にアクセスできないようなところにおきましては、また、脳卒中などで家にいなければならない、動けないという方にとりましては、大変良い武器であります。今回も接触をしないという意味でオンライン診療は大変高く評価され、また、使っている先生方も多いので、これは進めねばなりません。しかし、これはエマージェンシーにおいての対応であります。やはりオンラインだけでは検査もできない、十分な対応もできない、救急のときの搬送もできない。そういったことにならないように、評価については十分理解していただいた上で、十分に対応してもらわねばならないと思います。やはりオンラインの拠点はその患者さんの近くにあるべきです。つまり、診療報酬のところで検討されて、結果が出ましたように、できれば30分以内のところにオンラインの医療機関があって、適切な医療ができるという構築をしていただくのが本来の在り方だと思います。オンラインがすばらしい。だから、初診もして、そして、遠くでも構わないと。北海道の患者さんも東京でコントロールすればいい。それでは単なる気休めにしかならない場合もあります。拠点については、やはり適切に考えていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 菅原でございます。
一言意見を述べさせていただきたいと思います。
私も今回の方針、基本的な方向性については特に異論はございません。今般のコロナ禍において、本当に医療現場に関わる医療従事者の方々の高いモラルと職業意識、御尽力によって国民が多く救われたと評価しております。
一方で、システムとしての医療提供体制については、累次の感染拡大局面において十分な受入体制が整わないなど、その機能不全、脆弱性は明らかになったと思いますので、そのような点について適切な医療提供体制の再構築がなされることを期待して支持をしたいと思います。
また、先ほど森委員からありましたけれども、提供体制が整っても医療現場に適切な治療手段が確保されなければ、まさしく武器がない状態では闘えないということになるかと思います。ワクチン開発の遅れ、それから、有効な治療薬や治療法開発の必要性、ECMOなど高度医療機器の必要性などは広く認識されたことでございまして、今後、新興感染症対策にとどまらず、画期的な医療技術、新薬が遅滞なく医療現場に届けられるように、我々は配慮していくべきではないかと思います。そのような意味で、イノベーションの適切な評価並びに安定供給という言葉がこのような方向性に入ったほうがいいのではないかというのは、私も同様の意見でございます。
それから、先ほど安藤委員から御発言がございましたけれども、やはり2025年から40年に向けて、高齢者増の割合よりも現役世代の急減が大きな社会的な問題になってまいります。これまで医療費の適正化の方策として考えられてきました平均在院日数の短縮の政策も、例えば急性期も相当進んでおりまして、慢性期、療養にかなり重症な患者さんが入ってくるというような状況だとお伺いしております。また、期待された予防の経済効果は全くないわけではないと思いますけれども、学問的に言えば、この効果は大いに疑問が持たれている部分でもございます。
また、これまでずっと柱となってきた後発医薬品の利用促進については、今般、非常に大きな問題となっておりますし、また、普及率に関しましても80%を超えて、これから先の伸びしろは極めて少ないという状況かと思います。このようなマクロの状況、適正化の手段も限られてくる中で、これから先の持続可能性について、中長期的、抜本的な議論がこの場において開始されることを期待したいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、ほかに御意見がなければ、本議題につきましてはこれまでとさせていただきます。
次に「オンライン資格確認等システムについて」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○安中課長 それでは、資料2を御覧ください。
まず、医療機関・薬局の対応状況について御説明させていただきます。
2ページを御覧いただければと思います。
直近9月12日の時点でございますが、顔認証付きカードリーダーの申込数につきましては、全体約23万施設のうち、13万施設(56.3%)で申込みをいただいております。それぞれ病院、診療所、歯科診療所、薬局の内訳につきましては、御覧のとおりでございます。
これらのうち、準備完了施設・プレ運用施設につきましては、次の2ポツのところにございます。準備完了施設につきましては、約1万3000施設(5.6%)となってございます。また、このうち、プレ運用に参加いただいている施設数は3,500まで増えてきております。
次に、3ページを御覧いただければと思います。
オンライン資格確認システムの導入推進状況でございますけれども、本格運用の開始を10月ということで申し上げてまいりましたが、10月の本格運用の開始に向けまして、現在、直近のペースで申しますと1週当たり約900施設が導入の準備完了ということで、そのペースで増加しております。これを10月の本格運用開始に向けて確実に加速させてきたところでございますが、さらなる上乗せを目指しまして、下の表に書いておるような対策を講じているところでございます。
まず、パソコン・ルーターなどハードウェアの不足への対応につきましては、半導体不足の影響を受けているノートパソコン・ルーターの確保のため、関係省庁とも連携をしまして、供給元への働きかけを行っております。また、必要なパソコンの供給見通しにつきまして、厚生労働省のホームページで開示し、マッチングを支援する等を行っております。
また、システム事業者の改修対応能力の向上につきましては、オンライン資格確認システム導入支援業者を、これも厚生労働省のほうで開示いたしまして、システムベンダーに必要に応じて御活用いただくということを進めておるところでございます。作業工程につきましても、当初は1か所当たり6時間程度かかっておりましたが、現在は3時間程度まで短縮しておりまして、さらなる作業工程の短縮を支援しているということでございます。
こうした取組を継続的に行っていくことで、今後も導入完了施設を増やしていきたいと考えております。
その上で、4ページ目から本格運用開始のスケジュールについて御説明させていただきます。
5ページを御覧いただければと思います。
現在、チェック機能の強化ですとか、あるいは修正の対応によりまして、保管されているデータの正確性は担保されている状態となっております。現時点では念のため保険証の持参もお願いしつつ、マイナンバーカードの利用をしていただいているところでございますが、今般、10月20日をもちまして本格運用を開始させていただきたいと考えております。この段階では、マイナンバーカードに対応している医療機関については、マイナンバーカードだけで受診が可能とさせていただければと思っております。あわせて、医療機関・薬局での特定検診等情報・薬剤情報の閲覧も開始させていただきたいと思っております。
また、※の3つ目、4つ目にございますが、マイナポータルを介して御本人が情報閲覧する機能につきましては、本格運用の開始の後、10月中に閲覧を開始し、また、医療費通知情報につきましては11月から閲覧を開始させていただきたいと考えております。
その下、括弧の中で書いておりますが、レセプトの振替・分割サービスにつきましては、それに先立ち10月5日から運用を開始したいと考えております。
次に、6ページからイレギュラーなケースへの対応も整理させていただきました。
7ページを御覧いただければと思います。
まず、ケース1でございますけれども、マイナンバーカードや被保険者証等をお忘れになった場合の対応でございます。基本的には現行の被保険者証を持ってこられた方と同様の対応を想定しておりまして、表の中にございますけれども、一時的に患者様が10割分を医療機関にお支払いいただき、後日医療機関において資格を確認された後、自己負担割合に応じた額、3割負担であれば残りの7割分を患者様に返していただくといった取扱いにできればと考えております。
また、表のすぐ下のところに太字で書いておりますが、オンライン資格確認に対応していない医療機関にマイナンバーカードのみで受診された場合につきましても、同様の対応と考えております。
こうしたことから、全ての医療機関・薬局においてシステムが導入されているわけではない旨をきちんと周知を図っていくということを併せて行いたいと考えております。
なお、一番最後に書いておりますように、現状と同様でございますが、医療機関の判断によりまして、患者様の状況が分かっているような場合には、マイナンバーカードに書いてある氏名や生年月日、住所などを書き取る中で、医療費の自己負担分3割程度のみの徴収とすることも可能だと考えております。
次に、8ページを御覧ください。
ケース2としまして、カードリーダーの故障などの場合を想定しております。この場合につきましては、四角の中の1つ目の○ですが、まずは予備のカードリーダーがある場合には予備のカードリーダーをお使いいただくか、あるいは患者様が被保険者証をお持ちの場合は、それを確認することで負担割合に応じた手続をしていただければと考えています。これらの対応が不可能な場合につきましては、コールセンターに御連絡いただきまして、いわゆる災害モードを起動させ、これによって氏名、生年月日、住所、性別等によりまして、資格情報を検索し、確認を行うという対応とさせていただきたいと考えております。
次に、9ページでございます。
ケース3、転職などにより保険者を異動した直後に受診された場合のケースでございます。移動直後の場合は異動先の保険者がデータを登録するまでの間、タイムラグが生じます。この場合は、保険証を確認するという対応を行いたいと思っております。表の中でございますが、マイナンバーカードで受診された場合に資格確認を行うと「無効」との結果が表示されます。この際、医療機関においては新しい保険者が発行した保険証があるかどうかというのを確認し、もしお持ちの場合はその情報を基に自己負担分の請求をしていただければと考えております。保険証をお持ちでない場合については、一旦10割分を請求いただきまして、後日被保険者資格を確認した上で、自己負担割合に応じた額を患者様に返還していただくことで考えております。
次に、10ページからが薬剤情報等の閲覧についてでございます。
11ページを御覧ください。
薬剤情報の閲覧につきましては、まずオレンジの四角で囲ってありますところが医療機関・薬局で同意した場合に閲覧可能となっている項目でございます。これに加えまして、マイナポータルで御本人が閲覧する場合に閲覧可能な項目を赤いところで表示しております。医療機関で閲覧可能な項目とほぼ同じ内容になっておりますが、それに加えまして、ジェネリック医薬品が存在する薬剤の場合は削減可能額も併せてお示しすることになっております。
対象となるレセプトにつきましては、本年9月診療分の電子レセプトから抽出を開始したいと思っております。3年間分の情報が閲覧可能となります。
閲覧開始の時期でございますけれども、一番下にありますように、本年10月からの閲覧開始を予定しておるところでございます。
閲覧のイメージにつきましては、その次のページになります。
まず、医療機関・薬局での薬剤情報の閲覧イメージが2ページございます。14ページからがマイナポータルでの薬剤情報の閲覧イメージとなっております。ここでPDFをダウンロードするというところでダウンロードしていきますと、その次のPDF版の画面が出てまいります。ここで点線で囲っているところの1,067円と書いておりますのが、ジェネリックの場合の削減可能額を表示している欄になります。また、電子版お薬手帳への取り込みが可能となるようなQRコードも併せて表示することとなっております。
続きまして、16ページを御覧ください。
今度はマイナポータルでの特定健診等情報の閲覧につきまして御説明させていただきたいと思います。マイナポータルで閲覧可能な項目といたしましては、オレンジの四角の中に囲っておりますが、受診者情報、特定健診の結果情報、質問票の情報などでございます。これらの情報を保険者が特定健診の結果情報をオンライン資格確認システムに登録いただくことで閲覧が可能となります。マイナポータルでの閲覧開始時期につきましては、一番下にありますように本年10月から開始予定ということで考えてございます。
閲覧可能となる情報につきましては、オレンジの四角に戻っていただきまして、一番下に※で書いておりますとおり、5年間分の情報が閲覧可能となっております。
イメージにつきましては、その次の17~18ページを御覧ください。マイナポータルでの健診情報の閲覧イメージでございます。
また、PDF版でダウンロードした場合には、19~20ページにそれぞれ特定健診、後期高齢者健診情報の閲覧イメージを記載させていただきました。
続きまして、21ページを御覧いただければと思います。
マイナポータルでの医療費通知情報の閲覧についてでございます。保険医療機関・保険薬局の窓口でお支払いいただきました公的医療保険に係る医療費の情報をマイナポータルで閲覧可能にするというものでございます。閲覧可能な項目につきましては、受診者情報、医療費の情報となっておりまして、3年間分を保存するということで、任意に指定した範囲を閲覧可能としております。対象となるレセプトにつきましては、本年9月診療分のレセプトから抽出を開始いたしまして、こちらにつきましては紙レセプトも対象としております。
また、下から2つ目の青い項目に書いておりますが、被保険者・被扶養者にとってのメリットといたしましては、閲覧可能となるだけではなくて、これを医療費控除の申告手続にも活用できるということで、具体的にはe-Taxへの転記を行うことができるようになっております。
閲覧開始時期につきましては、本年11月からということで予定しております。
閲覧のイメージにつきましては22ページ、また、PDF版につきましては23ページに記載がございますので、御覧いただければと思います。
最後に、5番、周知広報につきまして、25ページを御覧いただければと思います。
周知広報資料としまして、マイナンバーカードを患者様に持参いただくことを働きかけるポスターを配布いたします。また、支払基金から全医療機関に対しまして、右側にありますようなリーフレットを配布し、オンライン資格確認導入を進めてまいりたいと考えております。また、患者向けの動画につきましても公開中でございます。
次の26ページを御覧いただきますと、民間の医療機関検索サイトとのコラボについて書いておりまして、マイナンバーカードの健康保険証利用が可能な施設を民間のウェブサイトでも検索できるように順次協力をいただいているところでございまして、既に2か所においては反映済みとなっております。
以上、資料の説明をさせていただきました。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
オンライン資格確認等システムが広く国民に活用されるようになることが、今後の日本における医療保険の持続可能性を高めるための重要なツールになると思っております。
その前提としまして、特定健診等情報の閲覧に関して2点質問させていただきます。
まず、資料16ページ目に、特定健診等情報をマイナポータルで閲覧するためには、保険者が特定健診等の結果の情報をオンライン資格確認等システムに登録する必要があると記載されております。協会けんぽとしましても、PHRを推進するため、登録を行っていく所存ですが、登録に当たりましては、そもそも事業主健診がしっかりと行われており、かつ、その事業主健診情報を協会に提供していただいていることが大前提となります。この点、前回要望させていただきました事業主健診の全体的な実施状況について、現在御準備いただいているという理解でよろしいのでしょうか。これがまず質問の1点目でございます。
また、2点目ですが、前回述べたとおり、事業主健診情報の取得につきましては、保険者への健診情報提供に関する取決めを盛り込んだ契約書のひな形等を通知していただいたものの、期待したようには進んでいないのが現状でございます。この背景には、健診機関と事業主との間で契約書が取り交わされていないといった状況があるのではないかと思われますが、この点、厚生労働省としてどのように状況把握を行い、対応していくことを考えているのか、お考えを伺えればと思います。
なお、資料5によりますと、事業主健診情報の活用に向けたシステム改修の支援の予算要求もされているとのことですが、システムを改修すれば自動的に情報が集まるというようなものではないということに御留意のほど、よろしくお願いします。我々の加入者がこのシステムで実際に自分のPHRを見たいと思ったときに、アクセスしたけれどもその情報が載っていないということを避ける必要があると思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
○田辺部会長 2点ほど御質問がございました。
では、事務局、よろしくお願いいたします。
○安中課長 お答えいたします。
まず、事業主健診の全体的な実施状況についてお尋ねいただきました。平成30年の労働安全衛生調査、労働者に対する調査、これは抽出調査でございますけれども、これによりますと、一般健康診断を受けたという回答をされた労働者の方の割合が全体で91.5%となっております。企業規模別に見ますと、企業規模が大きいほど総じて受診率は高いわけですけれども、一番受診率の低い規模で申しますと、企業規模50人未満のところでは約83%となっております。全体として91.5%という受診率になっております。
また、これは少し古いデータにはなりますけれども、平成24年の事業所の実施率の調査というものがございまして、こちらで申しますと、事業所別に見た場合に91.9%が実施しているという結果になっております。こちらも企業規模別で見ますと、企業規模が大きいところほど実施率が総じて高くなっている傾向にございますが、一番小さなグループである10~29人というグループで申しますと84.4%となっております。それ以上はいずれも90%以上の実施率となっているところでございます。
それから、昨年の12月に健診機関と事業主との間の契約書のひな形を通知させていただきました。その後でございますけれども、機会のあるたびにそれを周知させていただいているところではございますが、特に今年になりまして、毎年9月が職場の健康診断実施強化月間と私ども労働基準局のほうで位置づけをさせていただいておりまして、労働基準監督署による事業主の集中的、重点的な指導を行っているところでございます。この中でも12月の通知というものを重点事項として位置づけて指導をさせていただいておりまして、その中ではモデル健康診断委託契約書の活用ということもお願いさせていただいているところでございます。今後とも引き続きこのモデル契約書の普及、事業主への情報提供について協力いただけるように働きかけていきたいと考えております。
以上でございます。
○安藤委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○田辺部会長 では、引き続き藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
資料2ページに記載されておりますオンライン資格確認の導入予定施設数でございますが、前回の医療保険部会の開催時に比べて逆に減少しているように見えておりまして、特に外来で患者さんとの接点が多い医科診療所の申込施設数の割合が43.8%と低迷しています。普及率が低い状況が長期化することで、制度の運用がかえって非効率となることが懸念されます。多くの医療機関が新型コロナ対応に全力を注いでおられる現状は十分理解はしておりますが、普及促進のため、これまでとは異なるアプローチ、例えば義務化などを含めた議論を今から始めるべきではないかと考えます。
また、これは患者さんの同意により医師・薬剤師が閲覧可能だというシステムでありますが、例えば薬剤情報について、明らかな重複投与、過剰投薬が疑われる場合には、自動的にアラームが発せられるというような仕組みの導入をぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、石上委員、よろしくお願いいたします。
○石上委員 ありがとうございます。
このオンライン資格確認等システムですが、マイナポータルを通じて自分の受けた医療健診情報が確認できて、自らの意思によって医療機関等で活用してもらうことができるという点で期待しております。したがいまして、できる限りありのまま情報にアクセスできるような仕組みにしていただいて、医療の透明化、患者と医療機関の信頼の向上に資する仕組みとしていただきたいと思います。
また、マイナンバーカードの保険証利用について、本格運用開始ということですが、説明をお聞きしますと、システム的にはまだまだ途中経過と思っております。本当にこのマイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関に出会えるのかどうかという状況ではないかなと思っております。その意味では、国民に様々な今の状況も含めてしっかり知らせていただくこともそうですし、一方では、正確な情報の登録なども含めて、利用者の国民の側がやらなければいけないこともありますから、このイレギュラーなケースの対応も含めまして、広報活動を積極的に行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
導入準備については、これまでもさんざん申し上げてきたところでございます。そういった中で、10月の本格運用開始ということでして、本日とやかく申し上げるつもりはないのですけれども、今、石上委員からもありましたように、今のタイミングはこのオンライン資格確認の施策がうまくいくかどうかの大きな分岐点になるのではないかと考えております。これまで政府が取り組んできたいろいろなICT関連やデジタル関連の施策があると思うのですが、率直に申し上げて、うまくいったもの、また、うまくいかなかったもの両方があると思います。そういった中で、このマイナンバーカードを利用したオンライン資格確認についても、仮にこの10月に本格実施を開始したとして、これから1~2年の取組によって、言い方はよくないですけれども、どちらに転ぶのかというような印象を持っております。
そういう意味で、マイナンバーカードそのものの普及ももちろんでありますけれども、国民の利便性向上ということをかなえるためには、やはり利用できる医療機関の大幅な増大。それと、健康保険証についていいますと、既存の保険証とマイナンバーカードの併用という体制が当分あるわけでして、ここからマイナンバーカード一本化に向けた体制整備といった取組の強化はマストだと考えます。そのためにも、今までの取組で分かった課題をもう一度明確にして、それに対する対応策の整備、その上で当面の目標、スケジュールの設定等、いわゆるPDCAの仕組みをつくって、それをまたこの医療保険部会で進捗管理ができるような体制にすることが必要だと思います。そうしないと、今後、オンライン資格確認のシステムを使って計画されている第2弾、第3弾の施策が予定どおり実施できない、もしくは開始しても初期の効果は出ないのではないかと危惧しております。こういった全体の状況認識や今後の対応について、厚労省の認識をお伺いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 御質問というか、決意のほどをというか、分かりませんけれども、ありましたので、お答えをお願いいたします。
○安中課長 お答え申し上げます。
まず、医療機関の数を増やすということにつきましては、既に顔認証付きカードリーダーをお申し込みいただいているところが過半数となっておりますが、残念ながら準備完了まで至っているところはまだまだ数が少ないということでございますので、先ほども申しましたとおり、システムベンダーとも連携をしまして、導入の推進を積極的に働きかけていきたい、これを継続していきたいと考えております。
また、まだお申し込みいただいていない医療機関も4割程度あるわけですけれども、まずは順調にこの本格運用の滑り出しをさせるということが信頼性を高めていく上でも必要かと思っておりますので、そちらのほうを通じて普及を図っていきたいと考えております。
これまでも課題や対応につきましては定期的にこの部会でも御報告させていただいたところでございますので、今後ともそのような形にさせていただいて、また皆様の御意見を伺いながら、次にどういう施策が打てるかというところを検討させていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○佐野委員 ぜひともよろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 では、引き続き袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 私は利用者の立場からいろいろ分からないことがあるのでお聞きしたいと思うのですが、確かにマイナンバーカードを一枚持っていれば、診察券も要らないし、保険証も要らないし、お薬手帳を持っていかなくてもいいというのは大変便利ですが、COCOAの例を見ても、厚労省のデジタル能力は大丈夫かなということがまずあります。
それは置いておいて、幾つかお聞きしたいのですが、一つはどこまでマイナンバーカードに情報を載せるかということで、例えば介護情報なども載せるのかということです。確かに介護に関するいろいろな内容について載せるのは難しいけれども、少なくとも費用については載せられるかなと思います。今、医療介護費を合算したりしていますので、その辺はどういうふうにお考えになっているのかお聞きしたい。
それから、一番気になっているのは個人情報の保護ということで、今までも政府のいろいろな機関から情報が流出していますよね。その辺、すごく心配で、例えば医療情報が生命保険株式会社とかそういうところに漏れてしまったりしたら大変なことになるので、個人情報保護はどうお考えになっているのか。これは物すごく国民の命と健康に関わる重要な情報なので、実現をあまり焦らないで、本当に慎重にしていただきたいと思います。
それから、これは厚労省の問題ではないのですが、マイナンバーカード自体が普及していないですよね。まだ国民の3分の1ぐらいしか取っていない。これはなぜかというと、やはり政府が信用されていないからです。私の周囲にも絶対に取らないという人がかなりいます。その一番の原因が、やはり政府に管理されたくないという思いです。例えば北欧などは国民総背番号制で、皆生まれたときからナンバーをもらって、それが一生ついて回るのですが、それはやはり政府が信用されているということのあかしですよね。だから、マイナンバーカードをどうやって普及させるか、これは厚労省だけの問題ではないのですが、この辺もぜひ考えていただきたいということでございます。
幾つか疑問点についてぜひお答えをお願いします。
○田辺部会長 全部答えられるかどうか私も分かりませんけれども、よろしくお願いいたします。
○大竹室長 保険データ企画室長でございます。
幾つか御質問をいただきまして、まずどこまでマイナンバーカードに載せるのかというお話をいただきました。その前提として、カードの中に何か情報を入れるというわけではなくて、これはあくまでも鍵であって、データベースのほうに情報を取りに行くという仕組みでありますけれども、このマイナンバーカードを使ってどこまでそういう情報閲覧を可能にしていくかというお話かと思いますが、今、こうやって特定健診、薬剤情報から始めていくということでございますけれども、今後は移植、透析情報といった医療情報も見られるようにしていこうということで進めております。
また、保険証としての活用につきましても、生活保護の方とかそういった方も使えるようにしていこうということで進めております。
お話しいただいた介護のほうにつきましては、今後の大きい方向性としてはそういったものが見られると便利だねというようなお話がございますので、それはデータヘルスという大きい枠の中で検討を行っているという状況でございますけれども、まだ明確にいつこうなりますというところが決まっているわけではないという状態でございます。
これがまず1点目でございます。
また、2点目、個人情報流出の懸念があるというようなお話をいただきまして、慎重に進めるべきであるというお話かと思います。そういう意味でも、今回まずは特定健診、薬剤情報の閲覧というところかと思いますし、また、徐々に活用してみていただくことで、我々としては便利だなと思っていただくことで、じゃあもっとこういう情報も見られるといいなと思っていただく。そういう意味でも、ある意味いい循環をつくっていきたいと思いますので、もちろんセキュリティー上ちゃんと流出しないようにしているとか、勝手に情報をやり取りされないように同意が必要になっているという制度的な担保をしっかりやるのは当然のこととして、もうちょっとそういう仕組みを越えた感情的なというか、本当に大丈夫なのだろうかという部分については、徐々に使っていただくことで対応していくというのが大事なのだろうと思っています。
また、3点目、マイナンバーカードそのもののお話もございました。マイナンバーカードはかなり普及が進んできておりまして、今、申請ベースで見ますと5000万人を超えております。そういう意味では、かなり過半数に近くなってきているということがございます。また、年代別で見ても65歳以上の方が一番高いというような状況でございますので、医療機関を活用する世代の方がむしろ持たれているというところは、我々としては非常に大きいポイントなのだろうと思っております。
ここも重ねてになりますけれども、やはり使っていただいて、便利だなと思っていただく。マイナンバーカードを持ち歩くのが不安だという声もいただきます。我々などはぶら下げて歩いていますけれども、それもある意味慣れというところもあると思いますので、我々としては、重ねてになりますけれども、徐々に徐々にというところもありますし、使っていただくというところで進めていくということかと思っております。すぐにとか無理にという話ではないと思っていますので、ぜひ使っていただいて、もっと今後も使っていこうと思っていただけるような仕組みにしていきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
では、次に森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。
今、袖井委員から薬剤情報が閲覧できるようになればお薬手帳が要らなくなるというお話だったのですが、お薬手帳には、患者さんのアレルギー歴や副作用歴、服用上の注意、残薬の状況、一般用医薬品を販売したときには販売した医薬品の名前など様々な情報を記載しています。また、直近の薬剤情報に関しては、電子処方箋の仕組みが運用されるまでは見ることができません。そのためお薬手帳に関しては、オンライン資格確認のシステムを利用しても患者さんには使っていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょうか。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 今お話がありましたように、個人の情報というのは大変大事なものであります。西欧でも国民総背番号制にしている国もありますけれども、ほとんどの国は医療についてはすべて別の番号になっています。ロシアからようやく独立できて、そして、また併合される可能性を抱いているエストニアなどは、そういったことについて先進的ですけれども、それはそれなりの外交上の危機があるからであります。フランスやその他の国は個人情報を最も大事にする国であり、医療についての総番号制は敷いていません。
そういったことを考えると、日本国民の皆さんの安心のためにも、集めて載せるべきでない情報は載せるべきでない。何度も申しましたけれども、がんもそうですし、それから、他の病気の問題もございます。その方の手術歴とか、そういったものは集めて載せるべきでないと私たちは前から言っているところであります。
マイナンバーカードは鍵であるから単にこれを落としても大丈夫だという話ではなくて、人が開けられるような仕組みはいつかは破られます。最近でもデータを多く集めているところが流出を行ってしまって、謝りのメッセージを出していることが多々あります。そういった個人情報の大事なものはデータベースにしないというのが本来のあるべき姿であり、ヨーロッパの中心的な考え方であります。そこのところを、とにかく総番号制にして全て管理すれば効率が上がるという立場で物を判断されると、国民の皆さんが非常に不安に思います。そういったことが起きないように、適切な形でこれをつくっていただきたいというのは、医療に携わっている私どもの意見であります。
健保組合の方が最後は全部このマイナンバーでやるのが目標だというように取れるような発言をされましたけれども、やはり医療等ID番号である健保組合の出しておられるそういった健康保険証の番号については、私たちは大事にしていかなければならないと思います。これがなくなればいいという考え方ではないということを御理解賜りたいと思います。
今回、コロナの件で、私ども医療機関は、PCRはしなければならない、ワクチンはしなければならない、在宅も診なければならないと大変な状況で、この10月を迎えるわけであります。医療機関に何もかもやれ、あれもやれ、これもやれというのは実際に無理であります。そういったところを十分御理解いただきたいと思います。今やるべきことはコロナに勝つことであって、将来のデジタル化を無理やり進めることではないということを御理解いただきたいと思います。無理やり進めていろいろな弊害が起きると、デジタルの普及ができなくなります。
先ほど資料を見せていただきましたけれども、マイナンバーカードを忘れたら全部10割負担だと。これは患者さんにとっては大変です。患者さんにとって、10割負担になると大変なことですから、現実問題として、今の適切な方法を崩すようなことがないように対応していただきたいと思います。行政学的に正しいということだけでは、国民の皆さんの幸福は得られないと思います。そこのところを十分に御理解賜りながら、デジタル化を執行し、国民の皆さんにとって本当に益のあるものについては進めねばなりませんが、国民の皆さんが不安に思ったり、国民の皆さんの情報が漏れて、個人が大変なことになるようなデータは集めてデータとして載せるべきではないと私たちは思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見がないようでございますので、本議題についてはこれまでとさせていただきます。
次に、「医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について」及び「令和2年度医療費の動向」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○西岡課長 調査課長でございます。
議題の3つ目と4つ目を一括して説明させていただきます。
医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化についてでございます。
1ページ目、現在、医療費の動向など様々なデータを公表させていただいておりますが、改革に関する国民的理解を形成する観点から、保険給付率と患者負担率のバランス等を定期的に見える化しつつ、分かりやすい形で公表していくということを目的として、昨年来、ここで紹介するような資料を公表しているところでございます。
2ページ目は、昨年お示しした対応方針を書いております。
3ページ以降が公表資料となるわけですけれども、昨年との違いということでいきますと、平成30年度のデータを付け加えた、または更新したものとなっております。
4ページ目を御覧ください。
こちらは医療費の財源構成でございます。医療保険の自己負担は若人3割、高齢者1割などという形で一般的に知られておりますが、実際の自己負担割合は医療保険制度全体で15%となっております。保険給付で賄われる残り85%のうち、公費で賄われる部分が32.5%、保険料で賄われる部分が52.5%となっています。また、それを後期高齢者とそれ以外で分けた場合に、自己負担割合は後期高齢者が8%、それ以外は約20%となっております。
5ページを御覧ください。
こちらは医療保険の財政を制度別に見たものです。制度ごとの年齢構成による医療費の違いなどに起因する財政の負担を調整するために負担を調整する仕組みがありますが、具体的には協会けんぽや組合健保などはまず前期調整額として市町村国保に拠出しております。また、後期高齢者に係る負担については、約半分に公費が入って、1割は後期高齢者自身の保険料、残りの部分については協会けんぽ、組合健保、市町村国保などからそれぞれ後期支援金をもらう構造になっておりまして、それぞれ緑色の矢印、紫色の矢印でそれを示しているような図になっております。
6ページ目を御覧ください。
こちらは制度ごとの実効給付率を時系列で示したものでございます。その推移を見たものでして、30年度を追記しておりますが、若人80.43%、後期高齢者91.61%、制度合計で84.96%となっております。
7ページは実効給付率をさらに保険料と公費の内訳で見たものでございます。30年度については、前年に比べて大きな変化は生じていないと見ております。
8ページでございます。
これは5歳階級ごとに、0より上の部分が平均的な医療費、下は自己負担が赤い斜線の入った部分でして、保険料負担が緑の部分という形で示すことによって、それぞれの年齢ごとの給付と負担の関係を示したものとなっております。
9ページは、次の10ページ、11ページで示す生涯医療費の説明資料でございます。今回新たにつけさせていただきましたが、右側にある図でいうと、1人当たりの年齢階級別の医療費は8ページにあったような形になっていまして、それを示したのが上のグラフです。そして、その次に真ん中に生存割合というものがありまして、この生存割合というのは、若いうちは1にほぼ近いところで推移した後、70代、80代になるとこれがだんだんと落ちていくというような形になります。この上の図と真ん中の図の数値をそれぞれ乗じたものが下のグラフになっておりまして、それを0歳から全ての年齢を足し上げたものが生涯医療費ということになります。
これを示したものが10ページでございまして、合計すると2600万円になるということを示しております。
11ページがそのうちの生涯給付費、患者負担分を除いた部分が2200万円となるということでございます。
以上が見える化の関係の資料となります。
続きまして、資料4-1、2、3について説明させていただきます。
資料4-1では、令和2年度1年間の医療費の取りまとめができたので報告させていただきます。こちらは8月31日に公表済みの資料でございます。
2ページでございますけれども、令和2年度の概算医療費は42.2兆円、対前年比マイナス3.2%、金額でマイナス1.4兆円ということで、この減少幅、減少額は過去最大でございます。これまでは平成12年度の介護保険創設時の0.6兆円が最大でございました。平時であれば高齢化や医療の高度化などによって医療費は年間で2%程度伸びるようなところが、今回、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて医療費が大幅に減少しております。
先に、資料の一番後ろにある20ページを御覧になっていただきたいのですけれども、そこで大枠のことを書いております。1.4兆円の減少のうち、医科診療分が1.2兆円。それを、真ん中の表になりますが、主傷病別に減少額が大きかったものを見てみると、呼吸器系疾患が0.57兆円、循環器系疾患が0.17兆円、筋骨格系及び結合組織の疾患が0.10兆円となっておりまして、特に呼吸器系疾患はマイナス25.3%と医療費が4分の3になっております。
また、一番下の表でございますが、年齢階層別に見たもので、未就学者が0.27兆円、75歳以上は0.41兆円の減少となっておりまして、減少率でいうと子供の医療費が大幅に減少しているということが分かります。
これらを踏まえまして、この医療費の減少は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う受診控えや基本的な感染対策としてのマスクの着用の徹底、手洗いうがいの励行、社会的距離の確保など、新しい生活様式の浸透による呼吸器系疾患を中心とする疾病の減少などの影響により医療費が大きく減少したものと考えております。
もう少し要素を説明させていただきますので、再度3ページに戻っていただきたいのですけれども、医療費の伸びにつきましては、これまで人口や高齢化の影響、医療の高度化などで説明してきましたが、その要素分解をしました資料でございます。従来の要素分解に今回の伸び率マイナス3.2%を入れてみると、表の一番下の欄になりますけれども、上記の影響を除いた概算医療費の伸び率というところがマイナス3.6%と書いております。こちらは平成27年から令和元年までの数字を並べておりますが、平成27、28はC型肝炎治療薬の関係で医療費が増減しましたが、それらを押しなべてみても、おおむねプラス1%台で通常推移すると見ております。それが今回マイナス3.6となっております。
なお、あくまでも参考の数字でございますが、一番下の※3に、主傷病がCOVID-19であるレセプトを集計した金額として令和2年度年間で1200億円ということで書かせていただいております。
4ページでございます。
今回のコロナによる受診の影響で顕著に見られた傾向を御説明します。医療費の動向の見方としましては、患者が医療機関に行く頻度を表す受診延日数と密度を表す1日当たり医療費に分けることができます。これらは、入院、入院外、歯科、調剤のどれを見ても受診延日数が減少して1日当たり医療費が伸びている状況が分かります。平時だと受診延日数が微減程度、1日当たり医療費が2~3%伸びるという変動が、例えば入院外では受診延日数が10.1%減少しているという状況になります。受診頻度が落ちる代わりに、一度に処方される医療が増えたり、また、そもそも軽症の人は受診しなくなるというようなことで、全体として重度の人の比重が多くなったと考えております。
一方、入院につきましては、受診延日数の減りの割には1人当たり医療費の増も小さくて、これは特に1回目の緊急事態宣言のときに手術、麻酔の医療費が大幅に落ち込んで、1日当たり医療費の伸びがマイナスになるというようなこともありまして、手術そのものを先送った時期があって、それで影響が出たのではないかと見ております。
5ページでございます。
こちらは年齢階層別に見ておりますが、特徴的なこととしては、未就学者の減少幅が顕著に減少しているというところでございます。もともと未就学者は呼吸器系の疾患の割合が高いので、先に説明したとおり、呼吸器系疾患の減少が子供の受診低下につながったものと考えております。
6ページでございます。
それに関連しまして、診療科別に見ると、小児科、耳鼻咽喉科の減少幅が大きくなっております。
7ページでございます。
都道府県別に見ております。東京都の減少幅が最も大きくて、マイナス4.8%。続いて、石川県、福井県のマイナス4.4%ということでございます。
8ページ目からは、これを詳細に分析した電子レセプトを集計したものとなっております。後で紹介する調剤レセプトに関しては、以前から電子レセプトの集計結果を公表してきましたが、医科レセプト分に関しましては昨年秋からこの場でも説明させていただいてきました。試験的公表として従前はやっておりまして、従前との違いは、システム上の都合で入院外のレセプトは100分の1抽出になっておりましたが、今回、全数の取り込みが可能となりましたので、今後から本格公表といたしまして、この形で公表させていただきたいと思っております。これまで公表したものも月次ベースではデータの差替えを行っております。
9ページでございます。
その形で集計した結果として、年齢階層別に見ることができまして、これで見ると0~5歳、5~10歳の減少幅が大きくなっているということが確認できます。
10ページと11ページにつきましては疾病分類別の集計という形です。左側の表は疾患ごとの増減幅を書いておりまして、真ん中の黄緑のところに全体の医療費のウエートを占める割合を書いておりまして、左側の表と真ん中の表を掛け算した形で、右側の棒グラフに寄与度という形で表示しております。入院の10ページも入院外の11ページも共通して言えることとして、水色のマイナス幅が非常に大きくなっておりますが、これが呼吸器系疾患のマイナス幅という形になります。
続いて、12ページ、13ページでございますが、こちらは診療内容別の集計となっております。表の見方は同じでございます。入院についてはDPC包括部分が大きくなっておりますが、この内訳は分からないのですが、それを除くと手術・麻酔のマイナスが大きいことが分かります。入院外については、水色の初診、オレンジの検査・病理診断といったところが大きく減少しております。
14ページからは調剤メディアスとなります。
15ページでございます。
医療費全体はマイナス2.6%と減少になりますが、技術料と薬剤料に分けることができまして、技術料がマイナス1.3%の減、薬剤料がマイナス1.4%の減ということで、相対的に技術料の減少の影響が大きくなっております。また、薬剤料の増減の内訳といたしまして、処方箋枚数の減が9.2%の減に対し、1枚当たり薬剤料はプラス8.1%ということで、1回で処方される薬剤が大幅に増えております。
16ページでございますが、この伸び率を薬効分類別に見たものでございます。こちらの表の見方も先ほどの医科メディアスでの疾患別や診療内容別の見方と同じになります。
飛んでいただきまして、18ページでございますが、ジェネリックの関係はこの調剤分だけの統計という形になりますが、後発医薬品割合につきましては増加傾向を続けておりまして、3月末時点で82.1%となっております。
19ページでございますが、都道府県別で見ることができまして、沖縄県が89.5%で最も高く、徳島県が78.4%で最も低くなっております。
続きまして、資料4-2につきましては、中身は細かくは説明しませんが、令和2年度1年間の月次のデータにつきましてまとめております。これまで医療保険部会の各回でも月次について説明させていただきましたが、その月ごとに傾向が異なってきましたので、御覧になっていただけたらと思います。
今回、新たに3月分が追加されておりまして、医療費の伸びはプラス5.5%と大幅に増加しましたが、これは昨年の3月頃からコロナの影響が出始めたということが要因として考えられます。ただし、13ページに飛んでいただくのですけれども、こちらで休日数等の調整という形で、調整後で見ると5.5というのはプラス1.8%になりまして、さらにそれを対前々年同月比で見ると0.0というような形になっております。
それに関連いたしまして、資料4-3に飛んでいただきたいのですけれども、こちらは初めての資料となります。令和3年度に入ってからの医療費でございますけれども、4月、5月分の月報につきまして、詳細な部分につきましては現在取りまとめ中ですが、主なポイントとなるところだけ抜き出してこの場で報告させていただきます。
先ほどの3月分と同様に、4月以降の医療費の伸びを見る上では、昨年度大幅に医療費が落ち込んだことを踏まえて留意して見る必要があると思っております。そのため、2ページでございますけれども、左側に対前年同月比、右側に対前々年同月比の両方を示してみせております。医療費の総数の部分でいいますと、対前年同月比では4月はプラス10.6%、5月は11.5%となるのに対しまして、対前々年同月比では4月がプラス0.8%、5月がマイナス1.8%となります。
さらに5ページに飛んでいただきたいのですが、休日数等の調整を行いますと、対前々年同月比はマイナス1.9%、5月はマイナス2.5%となります。このように、昨年4月、5月の状況に比べると、医療費の水準は大きく回復しているように見えますが、まだコロナの影響を十分に受けている状況でございまして、対前々年同月比で見てプラスにまではまだ戻っていないという状況であります。入院、入院外の別もそれぞれ同様の傾向が出ているかと思いますが、特徴的な部分としては、受診延べ日数と1日当たり医療費の要素に分けると、まだ引き続き受診延べ日数のところはマイナスのまま続いているということがポイントでございます。
続きまして、6ページ以降がレセプト件数、点数に関する調査でございます。こちらは6月分までが公表されておりまして、その数値を紹介してあります。
まず件数については、7ページの右下の総計のところでございますが、6月の総計は98.4%の水準。
そして、点数につきましては、12ページにございますけれども、こちらで104.6%という水準になっております。この辺につきましても、先ほどの4月、5月分で見えている状況を含めまして、もう少し精緻に状況を見ていかなければいけないと思っております。
このように、今年度に入ってからの医療費の動向を見る上でも、昨年以上に視点を広げてその特性を見極めていく必要があると思っております。引き続き医療費の動向をしっかり注視していきたいと思っております。
説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、今の説明に関しまして御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
まず見える化についてでございますが、医療保険を取り巻く現下の厳しい状況をより多くの国民に理解していただき、当事者意識を持ってもらうことが極めて重要な問題だと考えております。したがいまして、資料3の4ページ以降の公表予定資料をホームページ上で公開する際には、データの解説にとどまらず、医療保険制度の現状について政府がどのような問題意識を持っているか、国民に何を期待するのか等について、分かりやすいメッセージを付記していただくようにお願いいたします。
また、関心が高くない国民にも情報に触れてもらうために、保険料や薬代のことなど、暮らしに身近な話題を前面に、かつ分かりやすく提示することによりまして、情報へのアクセシビリティーを高めることが重要ではないかと考えます。
また、医療保険制度に関心を持った国民がより詳しい情報に接したいと思ったときにすぐに調べることができるよう、データの原典や分かりにくい用語の説明ページに簡単にリンクできるような仕組みを考えていただきたいと思っております。
続きまして、議題4についてでございますが、令和2年度の医療費の動向についてまとめていただきましてありがとうございます。引き続き医療財政と個々人の健康状態に与える影響の中期的な追跡調査の分析によりまして、適切な医療提供体制とはどういうものかということについて検討を進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
まず見える化についてですが、これまでの議論の趣旨に沿って、国民目線で分かりやすい情報発信を行うことにより、国民の理解、ひいては行動変容を促すようなものとなるようにしていただきたいと考えております。
このような観点から見ますと、特に資料10ページの生涯医療費については、国民にこの額をどのように受け取っていただき、何を理解してほしいのかと考えているのかというメッセージが不足しているように見えます。この点、例えば特定健診・特定保健指導と医療費の関係を説明しつつ、健康づくりの取組を促すといったことが考えられると思いますが、前回の医療費適正化計画の議論でも述べましたように、特定健診・特定保健指導につきましては、現行の制度下における医療費適正化効果を疑問視するような研究結果も最近出てきております。資料5によりますと、健康増進効果等に関する実証事業の実施を予算要求もされているとのことですので、そのような中でエビデンスの整理、発信をしていただけるよう、改めてお願いしたいと思います。
続きまして、議題4ですが、資料4-1の18~19ページで後発医薬品割合についてのデータをお示しいただいております。後発医薬品につきましては、全都道府県で80%以上という新たな目標が定められた一方で、重大事案を発端とした供給面も含めた影響も指摘されているところでございます。難しい状況であるということは理解いたしますが、国として今後目標達成に向けてどのように取り組む方針なのかお示ししていただきたいと考えております。現時点の方向性でも構いませんので、この点について厚生労働省のお考えをお伺いできればと思います。
以上です。
○田辺部会長 1点だけ御質問がございましたけれども、これは。
では、お願いいたします。
○安中課長 医療介護連携政策課長です。
今、御指摘いただきました後発医薬品の使用比率の目標につきましては、まず全ての都道府県におきまして医療費適正化を定めて、後発医薬品等の薬剤費の適正化の取組を進めていただいているところでございます。その際、先発品との自己負担額のいわゆる差額通知を行った場合には、保険者に対してインセンティブをつけるということで支援をさせていただいております。
また、これは医政局になりますけれども、こちらでは今後後発医薬品の使用割合の見える化を地域別などで着目して拡大することを検討していると聞いておりまして、こうした取組を通じて底上げを図っていくこととしたいと思っております。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○安藤委員 了解いたしました。
保険者である協会としましても、国の方針に沿って今後も取り組んでまいりたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いします。
○田辺部会長 では、次に佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
私は議題4のほうについて1点コメントしたいと思います。
資料4-3で令和3年度の4、5月の医療費の動向について示していただいておりますけれども、先ほど御説明がありました5ページの休日補正後の概算医療費の対前々年度のところで見ますと、4月、5月ともにマイナスという数字が示されております。私どもの集計では、被用者保険、健保組合のほうの1人当たりの医療費というのは前々年の令和元年度との比較においてはプラスとなっておりまして、我々の集計では、コロナ前の令和元年度をやや上回る水準まで戻っていると認識しております。これはデータの取り方等もあるのかもしれませんが、いずれにしてもコロナ禍によって令和2年度は医療費が大きく下がったわけでございますけれども、一方で、令和3年度の医療費の動向というのがこれから先の医療費を見る上でもって大変重要だと思います。そういう意味で、今後しっかり注視する必要があると思いますし、また、厚労省においても可能な限りの分析をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 何人かの方から情報をどう伝えるかについて御意見がありました。私は後期高齢者なのですが、グラフを見て、こんなに高齢者自身の負担が少なくて、支援金がこんなに多いというのは全く知らなくてびっくりしました。
こういうデータをホームページに載せるということですが、多分ホームページの見る人は物すごく少ないと思うのです。だから、どうやって伝えるかということが重要だと思うのですが、一つは、年2回ぐらいでしたか、後期高齢者医療であなたはいくら使っているかというのが送られてきます。だから、そういうところに今お示しになったようなグラフをくっつけて解説する、そういうことが必要かなと思います。
それから、もう一つ、私は高齢社会をよくする女性の会の副理事長で、創設メンバーですが、介護保険についてはずっといろいろ議論をしたりシンポジウムを開いているのですが、医療保険はなかなかテーマになりにくい。なぜかと言えば、やはりすごく分かりにくいのです。だから、これは何とかして分かりやすく説明していただけないかと。医療保険はすごく重要な課題にもかかわらず、高齢者の集まりとか高齢者団体などで、業界の方は別ですけれども、利用者として医療保険についての議論はほとんどやったことがないのです。医療保険はやはり分かりにくい、難しいということがありますので、何かこれを分かりやすく図解するとかイラストにするとか、そういうことをぜひ今後厚労省にお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森です。
先ほど後発品の話が出ましたので、現場からの意見ということで一言述べさせていただきたいと思います。
今回の一連の後発品の不祥事で、後発品の普及、推進を止めてはいけないと思います。ただ、今、薬局の現場で約5,000品目の後発品の出荷調整が行われており、在庫の確保ができなくて、他のメーカーへの後発品や先発品への変更、それから、同一成分の薬剤が入手困難なときには、医師に相談をして、指示を得て同効薬への変更などを行って、患者さんができるだけ困らないように、そして、不安にならないように取り組んでいます。そうした中、どうしても後発品が入手できないことがあるということ、そのため、今は品質の確保、安定供給、そして、信頼の回復を第一に目指すべきだと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
あと、安藤委員、お手が挙がっておりますけれども。
○安藤委員 先ほど佐野委員がおっしゃった4月、5月の1人当たり医療費なのですけれども、協会の稼働日補正後の一人当たり医療給付費のデータとなりますが、対前年4月は14.7%増、対前々年はマイナス0.1%、そして、5月が対前年17.7%増で、対前々年が0.8%増というデータになっております。御参考のため。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 健保組合さんのデータではそのように見えるのかもしれませんけれども、なぜここが減っているのかということを申しますと、緊急事態宣言が出て、去年の4月に大変なウイルスが来たということを認識し、感染者が12月に物すごく増えて大変だということで、それに対して医療機関は協力して、なるべく病状で可能な患者さんには1か月投薬ではなくて2か月投薬して、緊急事態宣言の中で受診しなくていいように対応しています。つまり、人為的にずれているのであって、その辺りのことを十分に御理解いただけなくて、十分戻っているからという話はおかしいと思います。例えば受診を捉え長期投薬にすれば1回の薬剤は当然多くかかります。数字だけで見てもう戻っているという話ではありません。結論だけ見れば、1年でトータルすれば約1.5兆円前後全体的に減っています。
また、耳鼻科や小児科が減っていて、以前、ある委員が必要のない診察がおこなわれているとか、抗生物質を使い過ぎていたからだというような暴論を言われましたが、そうではありません。今回でもお分かりになるように、日本国民の公衆衛生意識は高く、マスクをして、そして、余分な接触を持たなければ、感染者は減ります。小さい子たちのウイルス感染症や溶連菌の感染症も物すごく減るのが当然です。ですから、耳鼻科と小児科が極端に減っているというのはそういうことであって、コロナに対しての防御を固めれば、ほかの呼吸器感染症が減るということであります。そこのところはぜひ助けていただかないと、耳鼻科の先生や小児科の先生もぎりぎりのところで計算された中医協のデータに基づいて保険給付を受けているわけでありますので、小児科にはならないとか、小児の多い耳鼻科にはならないかという話になりますと、小児科を診る先生がいなくなったら、国民は子供を育てられなくなります。そういったことも考えて、小児科には特に手厚くしていただきたいと思います。この年間約1.5兆円減った分を全部戻せとは言いませんけれども、十分に考えていただいて対応しないと、中医協でぎりぎりのところで互いに理解して、そして、適切なところに落としてきたものが、今回穴が開いているという事実を見ないまま、これはこれで助かったともし健保組合さんが思っておられるのだったら大きな間違いであります。その痛みは、今一生懸命努力している医療機関が負っているということをお忘れになっては困ります。そういったことも含めまして、先ほどのデータはいろいろな要素があってこのようになっているということを御理解賜りたいと思っています。
また、後期高齢制度のお年寄りのデータを今回見せていただいて、皆さんびっくりされたかもしれませんけれども、私、16年前に後期高齢者の医療制度をつくるときに、役員として随分議論した経験がございます。現在見ますと、支援金が大変多く払われているのでけしからんとお思いになっているかもしれませんし、このデータだけ見たら、お年寄りのためにこんなに払っているのだと見えます。しかし、後期高齢者の導入をしたときには、健保組合さんは家族のお年寄りは自分のところで負担されておられたし、また、その金額が大変増えた上に、予算も立てられない青天井の支払いを行わねばならない状態だったのを、国が一本にまとめて支払う仕組みをつくったわけであります。そのときに、国民の皆さんに消費税で十分に対応できるようにしていただきたいということで、消費税から充てられています。そういったことをお忘れになって、現在、多額を払っているからけしからんというような話と、それから、データを解釈されるのは、導入のときに何を考えていたかということを御理解いただけていないと思って、残念に思います。
お年寄りが増えるときに、アメリカは自動車産業がその健保組合の支出のために結局競争力がなくなり、何社も潰れたのが皆さんの御記憶にあると思います。確かに日本の車は優秀ですが、最大の原因は、自動車会社のそういった高齢者の医療費に耐えられず価格競争に負けたためでもあります。
そういったことを忘れて、この数字を見てこんなに払っているんだと思う必要はありません。新たな仕組みをつくって、改善してここへ来たということをお忘れいただくと困ると私は思います。今の段階に来て、さらにお年寄りが増えるときにどうしたらいいかということを議論しなければなりませんが、今の制度で、こんなに負担しているのは大変だというような議論だけ行うのは間違っていると思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。
私も1点だけ。今、松原委員がおっしゃったことと繰り返しになりますが、特にこの4月、5月だけを見て、これが令和元年に比べて戻ったという議論はあまりにも乱暴過ぎると思います。現場から考えると、コロナが大変な時期というのは不要不急の手術等は全て後回しにします。不要不急の手術でない手術、例えば耳鼻科とか整形とか緊急を要しない、急性腹症とかあるいは外傷とか、そういうもの以外の手術は1か月2か月後回しにしてコロナを受け入れている。急性期病院はやっているのです。それが、ある程度コロナが落ち着いたときにまた戻して、そこで手術等の急性期医療をやって、やっと戻るかなというときにまたコロナが起きたということがここ1年半ずっと続いているので、今までにできなかったいろいろな治療を戻して、少し元へ戻って、恐らくこの6月、7月、8月はまた大きく落ち込む数字が出るのではないかと。しかも、それが先ほど松原委員もおっしゃったように、いろいろな科によっても随分違います。ここをただ総枠の4月、5月だけ見て戻ったからもういいんじゃないのって、それはあまりにも失礼というか、私、現場に出ている医師としては非常に怒りを覚えます。もう少し慎重な議論をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
私、時間の都合でここで退室させていただきます。ありがとうございました。
○田辺部会長 では、佐野委員、手が挙がっておりますので、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 たびたびすみません。ありがとうございます。
私のコメントがもし誤解を生んだとしたら、それはまずいのでコメントさせていただきます。
ある面で、昨年度というのは極めて特殊な年であったというのは間違いないのだろうと思います。そういう面で、コロナの影響で大変な年だったというのは皆さん分かっているわけで、そういう意味では、今年度医療費がどのように動いていくかということについては極めて大きな重要なポイントになると思っているわけです。
ですから、今年度の数字については、これはさっきも申し上げましたが、増えたからもういいなんてことは申し上げておりません。若干データの捉え方が違っている部分がありますよということを申し上げた上で、今後の医療費を見る上で極めて重要なので、今後しっかり注視する必要があるし、厚労省においても可能な限りの要因分析をお願いしたいということを申し上げたわけです。もう大丈夫ということを申し上げたつもりはございませんので、そこは誤解がないようにしていただきたい。いずれにしても、どういう要因でどういうふうに動いていっているのかということは、この令和3年度というのは慎重に見ていく必要があるというのは皆さん共通だと思いますので、ぜひそのことをお願いしたいということを改めて申し上げさせていただきます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
では、時間も押しておりますので、最後に「令和4年度予算概算要求(保険局関係)」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○榊原課長 総務課長でございます。
資料5について、簡潔に御説明申し上げたいと思います。
令和4年度の保険局の概算要求関係でございます。
2枚目のスライドに行っていただければと思います。
各医療保険者に関する医療費国庫負担などで10兆1788億円を要求してございます。また、国民健康保険への財政支援として3104億円、被用者保険への財政支援として825億円を要求しているところでございます。
コロナ対策についての対応や診療報酬あるいは薬価改定への対応、不妊治療の保険適用などにつきましては、予算編成過程で検討するといういわゆる事項要求という形になってございます。
次のスライドに進んでいただきまして、医療等分野におけるICTの利活用の促進ということで、医療保険分野における番号制度の利活用の促進、オンラインシステムの改修やオンライン資格確認システム導入の周知広報経費などで13億円、また、データヘルス分析関連サービスの構築に向けた整備ということでNDBあるいは介護保険総合データベースなどの連結、解析の環境整備、拡充のために2.5億円などを要求しているところでございます。
次のスライドに進んでいただきまして、健康寿命の延伸に向けた予防・重症化予防・健康づくりということで、国民健康保険の保険者努力支援制度、保険者のインセンティブ強化のために1412億円、また、データヘルスの効果的な実施の推進ということで、保険者による先進的なデータヘルスの実施の支援などのために8.6億円を要求しているところでございます。
次のスライドに進んでいただきまして、先進事例等の好事例の横展開ということで、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の全国的な横展開の推進のために1.4億円、あるいは糖尿病性腎症患者等の重症化予防の取組への支援といたしまして5200万円などを要望しているところでございます。
次のスライドに進んでいただきまして、保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防健康づくりの実施ということで、こちらについては1.2億円。あるいは復興関係で帰宅困難地域の方の医療保険の一部負担金、あるいは保険料の減免等のために38億円を計上しているところでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、今の件に関しまして、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
来年度の概算要求、国保の関係、財政支援を盛り込んでいただいてありがとうございます。このスライドの2ページの3番に国保総合システム整備の支援を盛り込んでいただきました。この改修費用でありますが、全国市長会として要望していた事項でございますので、確保をしっかりとお願いしていきたいと思います。
なお、国保への支援と新型コロナウイルスの関係でありますが、収入減の被保険者に対する保険料の減免が行われております。こうしたことへの支援と安定的に国保を運営していけるよう、状況に応じて適切に御対応願えればと思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
健保組合の財政についても、新型コロナウイルス感染症の影響で一部業種等で非常に厳しい状況になっております。さらに、来年以降、さらなる拠出金負担の増加も見込まれますので、今回の中でいいますと、事項要求になっているところの新型コロナウイルス感染症下における健保組合の財政支援、また、もう一点は、来年10月から短時間労働者への適用拡大がありますので、この適用拡大による健保組合への財政支援についても必ず確保をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員、お願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。
資料5について意見を述べさせていただきます。
2ページに、「訪問看護レセプト請求の電子化に向けたシステム整備の支援」として25億円を要求いただいているところです。訪問看護レセプトの電子化は長年の課題です。令和6年4月診療日より開始というスケジュールがこれ以上遅れることのないよう、着実に推進していただきたいと思います。
あわせて、訪問看護事業所等への支援策を講じていただきたいと思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御意見等ないようでございますので、本日はこれまでとさせていただきます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
本日は御多忙の折、御参集いただきまして誠にありがとうございました。これで散会いたします。