2021年8月18日 第10回政策評価に関する有識者会議 医療・衛生WG 議事録

日時

令和3年8月18日(水)14:00~16:17

場所

オンライン開催

出席者

印南座長、井深委員、大西委員、河北委員、宮﨑委員

議事

 

 

○室長補佐
それでは定刻になりましたので、ただいまから「第10回政策評価に関する有識者会議医療・衛生WG」を開催いたします。政策評価の担当をしております、肥沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、オンラインでの会議開催に御協力をいただきまして、大変ありがとうございます。なお、本日は、本田委員は御都合が悪いということで御欠席になっております。今回はオンラインでの開催となりましたので、御不便をおかけすることもあるかと思いますが、会議途中で不都合が生じた場合には、WEBEXのチャット機能又は電話にて事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
本日の会議では、事前に委員の皆様にお送りした会議資料を使って議事を進めさせていただきます。会議中は御自身が御発言される場合以外は、マイクをOFFにして音声ミュート状態にしていただくとともに、ビデオは停止状態にしていただくようお願いいたします。御発言の希望がある場合には、WEBEXの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局に御連絡ください。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者を座長が指名いたしますので、座長から指名を受けましたらミュートを解除し、御発言ください。発言にあわせて御自身の映像を表示される場合には、「ビデオを開始」というボタンをクリックいただきますと、皆様の画面及び会場のモニター上に映像を表示させていただきます。御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにしていただくとともに、ビデオも停止していただくようお願い申し上げます。
それでは、本日の議事進行につきましては、座長の印南先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○印南座長
本日は、議事次第にありますように、6つのテーマの実績評価書(案)について、委員の皆様に御議論いただきます。先ほど事務局のほうから説明がありましたが、発言する順番は私が指名することになっていますが、私からは誰が最初に手を挙げたのか等は、やや分かりづらいシステムになっております。多少タイムラグが生じることをご容赦ください。
それでは、配布資料及び「令和3年度に実施する政策評価について」の進め方について、事務局より説明をお願いします。
 
○室長補佐
議事の進め方について御説明いたします。議事次第を御覧ください。本日は議事にあります(1)の①から⑥の順番で、テーマごとに担当課の入れ替えを行いまして御議論いただきます。テーマによって多少時間は異なりますが、まず担当課より5分程度で説明を行い、その後10分程度で御議論いただく形で進めたいと思います。今回は実績評価書(案)を議事としておりますので、「測定指標の実績値」と、それに基づく「各指標の達成状況」、「目標未達の場合の要因分析」、「評価結果を踏まえた改善方針や測定指標・目標値の見直し」を中心に、御意見をいただければと存じます。事務局からは以上でございます。
 
○印南座長
それでは1つ目のテーマ、施策番号Ⅰ-1-1「日常生活圏の中で良質かつ適切な医療が効率的に提供できる体制を整備すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
 
○医政局
厚生労働省医政局総務課医療安全推進室長の岡田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、施策目標Ⅰ-1-1「日常生活圏の中で良質かつ適切な医療が効率的に提供できる体制を整備すること」について御説明をさせていただきます。資料の施策大目標1にも記載がありますが、地域において必要な医療を提供できる体制を整備することが大きな目標となります。
具体的な施策の内容としては、1ページ目にあります①から⑧のとおり、医療の質確保や医療機関の体制整備、医療従事者の勤務環境といった幅広い施策がございます。各指標につきましては全部で17ありますが、時間も限られておりますので、主要な指標に絞って御説明させていただきます。
まず2ページ目以降、3ページ目に進んでいただきまして、指標1です。医療の質向上に資する医療の質評価・公表やデータベース整備等の推進という目標につきまして、事業により整備された臨床効果データベースの数を指標としております。令和2年度の目標値が19、実績値も19であり、目標を達成していると考えております。
次に指標2です。地域の実情に応じた歯科口腔保健施策の推進という目標に対して、在宅医療サービスを実施している歯科診療所数の増加を指標の1つとしております。令和2年度の目標値を前回調査の1万4,927以上としております。実績値が現在集計中であり、令和4年度目途で公表予定となっております。
続きまして達成目標3の指標4です。助産師出向の推進、助産所と連携する医療機関確保の推進という目標に対して、助産師出向人数の増加数を指標の1つとしております。令和2年度の目標値は前年度84件に対してそれ以上としていましたが、実績値が42でした。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により他院への出向が難しかったため、前年度と比較して5割減となっております。
一方、指標5の事業実施都道府県数については変化がなく、都道府県において事業の有効性を認識し、事業が実施されているものと評価をし、また、過年度の推移を踏まえると、新型コロナウイルス感染症の影響がなければ目標値を達成していたと見込まれることから、目標達成と判断をしております。
続いて、指標6、7です。研修医療機関に対して、医師不足地域への指導医派遣を支援していくという目標に対し、派遣された指導医数及び専門医数を指標としております。指標6の派遣された指導医数の令和2年度の目標値は、前年度(52名)以上、実績値については集計中ですが、過去の実績を踏まえると概ね目標値を上回っていることから、目標を達成しているとみなせると考えております。
指標7の専門医数につきましては、令和2年度の目標値が8,000人、実績値については集計中ですが、目標値を上回る養成数を確保できる見込みであることから、目標を達成しているとみなせると考えています。
指標8は、外国人患者の受入れ環境の整備の推進という目標に対する指標で、外国人患者受入認証病院数です。これは一般財団法人日本医療教育財団が行っている外国人患者受入体制の整った医療機関を認証するJMIPという制度があり、厚生労働省としても医療機関の環境整備等への支援を行っておりますので、この認証を受けた病院数を指標として設定をしています。令和2年度の目標値が72施設、実績値は78施設であり、目標を達成しております。
続きまして、達成目標6に係る指標11です。病院経営管理指標等を医療施設に提供することにより、医療施設の経営改善の支援、質の向上、健全な経営の安定化を図るといった目標に対する指標として、病院経営管理指標の利用者割合を設定しています。令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、利用者割合の調査を実施できなかったことから、実績値は「‐」となっております。一方、平成29年度から令和元年度までの実績値と目標値を対比すると、いずれの年度も目標値を上回っていることから、令和2年度についても目標達成とみなせると考えております。
続いて、達成目標7の指標12です。女性医師の就業の推進という目標ですが、就業女性医師数を指標としております。こちらは2年ごとの調査のデータを用いており、最新の令和2年度の実績値は現在集計中です。12月目途での公表予定となっております。直近では平成30年度の目標値が6万7,493人以上で、実績値が7万1,758人であり、目標を達成しております。
最後に指標16です。医師の働き方改革の推進という達成目標に対して、タスク・シフティング等医療勤務環境改善推進事業において、申請時の事業計画書で示した目標以上に事業報告書において医師の労働時間を削減した医療機関の割合を1つの指標としております。令和2年度の目標値は前年度(30%)以上で、実績値は44%であり、目標を達成しております。
以上のことから、6ページ目、総合判定の下段、総括の部分になりますが、主要な9指標のうち、集計中の指標2を除いて目標達成であることから、総合判定はAの目標達成としています。目標達成に向けた施策の効果が表われていることから、今後も関係施策を効率的に進めることで、引き続き施策目標の達成を目指していきたいと考えています。説明は以上です。
 
○印南座長
ありがとうございました。それではただいまの説明について御意見、御質問等があればお願いしたいと思います。河北先生、お願いします。
 
○河北委員
今説明していただいたものは説明としてそれでよしとしか言えないのですけれども、このコロナの状況も鑑みて、現在我が国で新規に医師になる人数は毎年9,300人程度います。この9,300人の新しい医師の中で、いわゆるアメリカやイギリスで言われている「家庭医」に相当するジェネラリストになってほしい人数は、厚労省としては、どの程度を考えていますか。
それから、ジェネラリストではなく、各臓器別と言っていいのか分かりませんけれども、かなり医療資源を集中して治療をしなければいけないドクターの分布をどう考えていくか。質の良い医療の確保と同時に、医師の働き方改革はできると思いますが、こうした点を踏まえて、今後の新しい政策策定をしていただきたいと思います。答えにくいかもしれませんが、いかがでしょうか。
 
○医政局
医事課の福田でございます。部分的なお答えになってしまいますが、いわゆるジェネラリストや家庭医といった総合医の必要数については、具体的に明確にお示しすることは難しいと思います。
臓器別の診療医師数やいわゆる専門医のシーリングを行っています。専門医に関しては、足元でどれぐらい診療が提供されていて、それによるとどの程度の医師が必要となるだろうという、診療科別必要医師数は算出されています。しかしながら、先生のおっしゃっているとおり、そもそも日本としてどういうような医療を提供すべきか、そのためにどういう診療科がどの程度必要なのか、といったグランドデザインについては、やや正確ではないかもしれませんが、なかなかできていないというのが実情かと思います。
おっしゃるように、そういったものを含めて、医師の働き方改革やその他の医療提供体制の整備につながってくると思いますけれども、グランドデザインについてはお答えする知見を持ち合わせておりません。お答えになっていない部分があり、恐縮ですけれども、以上になります。
 
○河北委員
そのようなものだろうと思います。今回我々がこの2年間経験しているコロナの中で、やはり将来の医療政策にこれを反映していかなければいけないだろうと思うのです。やはり勤務医、病院の勤務医をこれからどう考えていくのか。それから、地域に開業していく診療所の先生たちをどう考えるかということを、大きなグランドデザインをしなければ、今後の日本の医療を支えていくことはできないだろうと思っていますので、そういったことをこれからの政策に反映してください。
それから、例えば、病院の経営を安定化するという項目がありますけれども、厚労省の方たちは、いったい日本に病院の開設主体が幾つぐらいあるのか御存知ですか。26あるいは26以上あると言われています。それぞれが全然経営基盤が違います。そういったことも考えてみると、この整理も必要だろうと思います。営利の病院なのか、非営利の病院なのか、その2種類で十分です。将来的には、病院の開設の在り方について、もう一度考え直さなければいけないと考えています。
また、日常生活に近い医療というと、健診あるいは予防医療も含めてですけれども、現在日本では「かかりつけ医」という言葉になっていますけれども、家庭医を養成してきちんと日常の生活に寄り添える、プライマリーケアを作っていくということは極めて大切だと思います。ですから、1つの考え方として、日本のプライマリーケアをどうするか、日本医師会が存在しているので言いにくいことかもしれないけれども、そこはこれから大きなテーマとして取り上げていきましょう。是非お願いします。
 
○印南座長
ほかの先生方はいかがでしょうか。御意見、御質問等があればお願いします。宮﨑先生お願いします。宮﨑先生、ミュートになっているそうですので、ミュートを解除していただけますでしょうか。
 
○印南座長
申し訳ないですが聞こえないので先に井深先生からお願いしたいと思います。
 
○井深委員
ありがとうございます。私からはコメントを2つと質問を1つさせていただきます。最初のコメントは、4ページの指標6になります。こちらは派遣された指導医数の値を定めて、それに従って目標を達成しているかどうかを判断することになっていて、実際に前年度よりも増加しているので、目標を達成しているということかと思います。
このこと自体は好ましいことだと思いますが、この表を見ていると、平成29年に最初にこの施策が始まったときには、目標値が100人と掲げられています。この100人という目標と比べて、平成29年度の実績値は54人と、ほぼ半分だったところから実際はスタートしたということになっていると思います。最初の目標が元々もう少し多いところにあるのでしたら、目標値についても、少し検討する余地があるのではないかと思いました。
それから2つ目は、5ページの指標12です。就業女性医師数に関してですが、目標値が前回調査以上と掲げられていて、もちろん前回調査に比べると大幅に増加していることが経年で読み取れて、これ自体は目標が達成されていて好ましいと思います。ただ同時に、女性の就労や社会においては管理職の女性割合が非常に重要な課題になっていると思います。その重要な課題の中で、目標を前回調査以上というような形で定めている。その方法によって目指しているところに果たしてどれぐらいのスパンでたどりつくと考えられるのかということを踏まえると、中期的にはもう少し違う形で目標値を定めるという考え方、割合などということも考えられるのではないかと思いました。
最後ですけれども、直接この目標と関係ないことになりますが、1点質問させていただきます。2ページ目の施策の予算額の所になります。この様々な重要な施策を進める予算が付いて、その下で様々なプログラムが実行されていると思うのですけれども、令和元年と令和2年の予算額は桁が1つ増加するぐらい増えていて、その中で実際に執行しているのはそれまでと変わらないような額になっているのですけれども、いろいろな目標を達成する上で効果的に予算を使うということも考えられると思います。実際、予算が十分に活用されていないというのは、何か理由があるのでしょうか。その点を御存知でしたら可能な限り御教示いただければと思います。以上です。
 
○印南座長
ありがとうございました。お願いします。
 
○医政局
コメント、御質問ありがとうございます。御質問の点に絞ってお答えいたします。予算額、執行率の関係ですけれども、これは令和元年度から助産師の出向を支援する事業などにおいて、その事業自体が2百数十億円規模の事業で、それのメニューとして出向を支援するというものがあって、全てを支援事業に用いるわけではないという点があり、執行率が平成30年度から令和元年度のところで、大きく変わっているという状況があります。以上となります。
 
○印南座長
よろしいでしょうか。
 
○井深委員
はい、ありがとうございます。
 
○印南座長
それでは宮﨑先生いかがでしょうか。宮﨑先生、こちらからは聞こえないのですが、こちらの声が聞こえるようでしたらチャットのほうに質問を書き込んでいただけると。
 
○事務局
宮﨑先生すみません。画面の下のほうにミュートという所があると思うのですけれども、そのミュート解除という所を押していただけないでしょうか。下のほうにミュート解除というボタンがあるかと思うのですけれども、そこをクリックしていただいて、そうすれば音声が出ると思うのですが。
 
○室長補佐
画面中央下の部分に、ミュート、ビデオの停止、共有等のボタンが横並びで並んでいるところがあるのですけれども、それは御確認できますでしょうか。
すみません、では一度宮﨑先生のほうに事務局からお電話させていただきますので、ちょっと個別に対応させてください。会議自体は少し進めさせていただきます。
 
○印南座長
ほかの先生方、ほかに御意見等ございますでしょうか。よろしいですか。私から井深先生に確認なのですが、先ほどおっしゃられた達成目標4の指標6ですけれども、目標の立て方が、「100人」から「前年度以上」に変更されていて、理由はあったのでしょうけれども、それで元に照らすと一番右の達成度の所が「(○)」になっていますが、これについても疑問があるというような趣旨なのでしょうか。それとも単に目標変更の説明を聞いているのでしょうか。
 
○井深委員
そうですね、そういう意味では質問だと思います。もともと100人という目標値自体に意味がなくて、当初100人ぐらいだろうという形で立てられた目標であるのであれば、そのように受け止められると思います。そうではなく、100人というのが適切な値だとして最初に目標値が設定されているのであれば、やはりその100人と比べると現在の「前年度以上」と「52人」という値が、やはり少ないように感じるということです。
 
○印南座長
担当課のほうから説明をお願いします。
 
○医政局
医事課の福田です。資料1-2の5枚目の「専門医認定支援事業」という資料を御覧ください。いわゆる新専門医制度と言っておりますが、日本専門医機構によって運用される、改正医療法、医師法を踏まえた新専門医制度が始まったのがちょうどこのタイミングです。恐らく目標設定100人というのが、この枠組みの中で始める初めてのことでしたので、まず100と設定しようと始めたのが実態だと思います。
始めてみると50人程度だったというところが、私の推測も入りますけれども、そういったような形で、目標と実績が積み上げられていると考えています。
 
○井深委員
はい、分かりました。では今現在の目標値は、現状を考えると適切であるとお考えであるということでよろしいですか。
 
○医政局
はい。
 
○印南座長
はい、分かりました。宮﨑先生はどうなったのですか。
 
○室長補佐
今準備中なので、つながってから宮崎先生にはご発言いただきたいと思います。
 
○印南座長
そうですね。
 
○河北委員
すみません、今のことでもよろしいですか。
 
○印南座長
河北先生お願いします。
 
○河北委員
指導医を派遣するということ自体が、余りにも後進性ではないかと思うのです。地域医療というのは国が一律に考えるのではなく、その地域その地域で考えるべきことであって、コロナの経験を基にしてみると、医療資源を重点的に配分しなければいけないような医療機関があるわけです。ですからそれを、広く薄くしておいて、そこに指導医を派遣すること自体に意味がない。
例えば、大変失礼な言い方かもしれないけれども、鳥取県に行ってみてください。鳥取県は東西100キロあるわけです。そこに総合病院、あるいはかなり機能の高い病院が8つほどあります。人口が56万人なので、私のいる杉並区とほぼ同じぐらいの人口の所に8つの総合病院がある。こういうものをどう整理して、集中するかという施策が大切であって、そういった治療をしなければいけない総合病院の配置はせいぜい2つで十分だと思うのです。その代わりにほかの6つは整理して、かなり高機能の診断センターにしてしまう、治療は行わない、車とヘリコプターを使って入院治療は2つの病院に送るといったように、資源を集中するという政策に変えていってください。是非お願いします。
 
○印南座長
担当課からよろしいですか。
 
○医政局
貴重な御意見ありがとうございます。十分に局内でも共有した上で、取り組んでまいりたいと考えています。ありがとうございます。
 
○室長補佐
宮﨑先生は回線に不都合がありますので、このままお電話にて御質問賜りたいと思います。マイクをつなぎます。御発言をお願いします。
 
○宮﨑委員
指標の4と5について質問します。助産師の出向ですが、これを本当に機能させるには、参考資料にあるように、都道府県の協議会の役割が重要だと思うのですが、これがどれぐらい設置されて、どのように運営されているか聞きたかったのです。
助産師を都道府県の中で有効活用するという発想はいいと思うのですが、それをうまく機能させるにはこの協議会の在り様というのが重要だと思いまして、設置と運営の状況について質問したかったということと、ここを機能させることが重要ではないかという意見です。よろしくお願いします。
 
○医政局
看護課です。よろしくお願いします。
協議会の設置につきましては、参考資料にありますとおり、令和2年度では23県になっています。内容については都道府県によって様々で、この事業のためだけに協議会を設置している所もあれば、もともと地域で周産期の協議会を設置していますので、そこと相乗りする形も可能としていますので、そこは様々ですというお答えになります。
会議の機能としては、助産市出向のみやるという所もあれば、地域の周産期医療のテーマの1つとして、コミュニケーションの場の1つとして運営している場合もあるかと思われます。先生がおっしゃるように、この運用をもっと活発化させていくためには、もう少し情報収集も必要であるなと感じましたので、今後も情報収集を行っていきたいと思います。
 
○宮﨑委員
これを本腰で運用しようと思うのでしたら、私はこの協議会の在り方にてこ入れすることが重要ではないかと思いました。
 
○医政局
ありがとうございます。
 
○宮﨑委員
よろしくお願いします。
 
○印南座長
そのほか御意見、御質問等ありましたらお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは続きまして、施策番号Ⅰ-3-1「医療情報化の体制整備の普及を推進すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。委員の皆様しばらくお待ちください。
 
○医政局
では、続いて資料2-1です。施策番号Ⅰ-3-1「医療情報化の体制整備の普及を推進すること」です。資料2-2として、「医療情報化の体制整備の普及を推進すること」という資料を付けておりますので、この2つを使いご説明したいと思います。まず資料2-1ですが、施策の背景・課題として、医療情報に関するICTの活用とその多様化の中で、標準的な規格に基づいた相互運用性の確保、将来の拡張性を考慮したコスト低減が課題とされています。その中で予算を講じていますが、一時的に令和元年度、2年度は上昇しております。これは、オンライン資格確認に伴うシステム整備のために必要な費用を講じているものです。そのために一時的に上昇しており、必要な費用については、令和2年度の予算を活用しながら、現在、オンライン資格確認を各医療現場で継続的に進めている状況です。
これは非常に期待されている分野ですが、過去のこれまでの指標としては、そういった部分支えるための電子カルテの普及がまだ不十分であったので、電子カルテの普及を目標にしています。基準値は、平成26年度当初は77.5%で、直近が平成29年度の数字で85.4%です。3年に一度調査をしていますので、令和2年度の結果が最新の実績値になるのですが、コロナの影響等があり医療施設調査については、若干集計が遅れています。なので、令和2年度の実績は現在集計中です。ただ、指標としては、400床以上の一般病院における電子カルテの普及率としており、大きな療養病院等も含まれますが、概ね順調に増加しています。また、診療所でも電子カルテの普及が進んでいるのではないかと考えています。このように、電子カルテの普及自体は進んでいると思います。
2ページです。次期目標等への反映の方向性を記載していますが、大きな病院を見据えた普及状況を現在指標としていますが、今後、中小の病院や診療所にも広がることをどのように踏まえていくかということが課題の1つ目です。また、そもそも電子カルテをどう普及するか、標準化するかというところをスタートラインとしていますが、むしろカルテの中の情報をいかに共有するかという視点で昨年度来、データヘルス改革の集中プランや、この6月にデータヘルス改革に関する新たな工程表等をお示ししているところです。ですので、次年度、今後の目標を改めて検討し直す際には、そういった動きも踏まえて、どういった指標が適切かという点について検討を進めていきたいと思っています。
資料2-1で、今申し上げたことを簡単に御説明させていただきたいと思います。1ページですが、電子カルテの普及自体は、病床規模にかかわらず上昇傾向にあります。診療所も同様ですので、電子カルテの普及というのは着実に進んでいると承知しております。また、データヘルスに関する工程の中で、普及した電子カルテの中の特に医療機関同士で情報を共有しやすくする仕組みとして、2の青囲みのほうですけれども、FHIR規格を用いてAPI接続ができる仕組みを用いていくこと、具体的には、医療情報を幾つか指定して、そういった情報を共有できるような仕組みが実用されているカルテの普及を目指したいと思っております。今後のお話の中で申し上げましたが、そういったところをどう指標化していくかということが今後の宿題だと思っております。
また、4ページ、資料の右肩に2と書いてある所ですが、「レセプト・処方箋情報」というのが左上に書いてある表があります。これは、レセプト情報を用いてレセプト上の薬剤情報や、電子処方箋の仕組みも入れた上で、そうした処方の情報を見られたり、あるいはレセプト上の医療機関名、診療行為をほかの医療機関で閲覧できる仕組みを、本年度、次年度に向けて作成していきます。こういったカルテ以外で医療情報をシェアするという仕組みについても検討中ですので、そうした部分の普及状況についても検討の必要があると考えています。私からは以上です。
 
○印南座長
ただいまの説明に関して、御質問や御意見がありましたらよろしくお願いいたします。まず井深先生、次に河北先生の順番でお願いいたします。
 
○井深委員
先ほど冒頭の御説明のときに、オンライン資格確認のお話が出たのでお聞きいたします。オンライン資格確認が始まったのはごく最近ですので、現在のところでの目標にはもちろん反映されていないと思いますが、現在の段階ではかなり導入が進んでいるとは聞いています。全ての所で導入が行えているというわけではないと思いますが、オンライン資格確認システムの導入状況に関して目標を設定する可能性について、御検討される余地はあるのでしょうか。質問です。
 
○医政局
こちらに関しては、大きく2つ指標が既に別の場で設けられています。1つ目は、基本となるマイナンバーカードの普及を政府全体で実施しています。今年度は60%、2年後には100%を目指していますので、この普及状況を目標としています。また、マイナンバーカードを使って保険証の代わりにする、資格確認を進めることについては、現在試行中です。これは保険局が中心で、私は医政局なのでちょっと口ごもってしまいますが、進めているところです。この秋には全国に広げるべく取組を進めているところですので、その状況を踏まえた上で、またそこをベースとするかは保険局と調整をさせていただきたいと思います。以上です。
 
○印南座長
よろしいでしょうか。
 
○井深委員
ありがとうございました。
 
○印南座長
それでは河北先生、お願いいたします。
 
○河北委員
この話が最初に厚労省の中で議論されたのは、1974年に大島正光先生がMEDISを作ろうと言った頃からの話です。そこから約50年たっています。大島先生が作ったMEDISは今、一般財団法人になっていますが、全機能しなかった部分がある。それで、電子カルテよりもデータベース化を基本にして、医療情報をどうやって電子化するかということですが、これはベンダーだけでもできない、医療機関だけでもできない、行政でもできない。ということは、ベンダーと医療機関と基礎自治体という行政を含めて、モデル事業を作る必要があると思います。
情報の連携ではなく、データベース化することを前提にしたモデル事業を作り、その後に連携できるかどうかを検討すればいいのであって、現在の電子カルテというのは紙のカルテを電子化しただけなので、全くデータベースにつながらないものなのです。ですから、根本的に作り直さなければいけないので、全国で例えば6か所あるいは10か所ぐらいのベンダーと力のある医療機関と行政が一緒になってモデルを作ることが、実際にこの事業の確立を推進することになるだろうと思いますから、これからの評価はそういう方向に持っていっていただきたいと思います。
 
○印南座長
よろしいでしょうか。以上でしょうか。担当課からお願いいたします。
 
○医政局
幾つか過去の反省部分があろうかと思います。過去の反省の中で、できているところを御報告させていただくと、MEDISは目に見えない形で非常に頑張っていただいています。例えば、ストレージの方法や画像の標準規格など、厚生労働省標準規格を決めていただいていて、各ベンダーさんに非常に御協力いただいていまして、目に見えない形で御尽力いただいていると思っております。地域、地域でいくと、幾つか優良事例を御紹介することも可能だと思いますが、自治体とよく協力していただいて、救急車の搬送から受入れまで1つの医療情報を非常にうまく活用されている事例もあると承知しております。ただ、今までのそういった好事例が普及しなかった部分が一番大きなところです。世界と比較すると、御自身を確認する共通した医療IDがなかった点が非常に大きいと思っております。
今回のマイナンバーカードを用いた資格確認は、世界の医療情報の標準、世界の医療情報共有と比較すると、その第一歩に入ったと思っております。この仕組みを政府全体で普及・活用することが大きな課題となっていますので、この仕組みを上手に使って、これまでうまくいかなかったところの大きな溝をしっかり埋めていきたいと考えています。以上です。
 
○河北委員
ちょっとそれに対してコメントだけなのですが。
 
○印南座長
はい。
 
○河北委員
杉並区と杉並区長を含めてワクチン接種を今後どうするかという議論がありました。その時に、ハイリスクの区民をどうやって選べばいいかという議論の際、杉並区は何のデータも持っていない、誰がハイリスクなのかが全く分からない。そういう情報は、個々の医療機関の個々のカルテにしか書いていないのです。ですから、そういうものが全く活用できていないということを踏まえてデータベース化をする必要があると思っています。
 
○医政局
このお話をするときに非常に難しいのは、おっしゃるとおり、医療、介護、健康情報はそれぞれ横につながりがありますし、更には自治体の連携があります。現時点でいくと、特に医療ということで申し上げると、医療の現場も紙でお渡しするという世界で、電子化のメリット、特に患者さんに診療情報を提供するなどのメリットをうまく伝え切れていない部分もあるかと思っております。ですので、そういったところをつなぐ。また、マイナンバーカード自体は、そもそも行政情報の連携も視野に入れており、行政のシステムの一元的な利用の議論では、医療や災害、教育分野が準公共という形で位置付けられています。そういった基盤を使って準公共と言うべき医療の情報とは何かを絞り込んだ上で、その共有ついて検討したいと思っています。以上です。
 
○印南座長
それでは、大西先生、お願いいたします。
 
○大西委員
指標が1つしかありませんが、現状は、400床以上の病院の電子カルテの普及率が指標となっています。中小規模の病院における電子カルテ導入支援等は次期目標への反映の方向性としてお考えになるという御説明だったかと思います。これは、例えば399床以下とか200床未満の中小規模の病院について、次期基本計画の中で普及支援についての何らかの指標を設けられる予定なのか、そういう指標を設ける場合には、やはり今期と同じように普及率のような数値、いわゆる指標を設けるという方向で、現状では将来の見通しを立てておられるのか、その点について所管課の御意見を求めたいと思います。
 
○医政局
ありがとうございます。お答えが難しいところがあると思いますが、一つ政策として目標を決めるということは、それに対して国として支援なり何らかの施策を打つことになると思っております。その観点で、中小規模の病院における電子カルテの普及について、これは行政施策として支援するのがいいのか、また、先ほどマイナンバーカードの話を申し上げましたが、電子カルテそのものよりも、そこから医療情報を出して、それを活用いただく仕組みを整備することも進めています。こうした中で国として支援し、その結果を見なければいけないものを指標にしていきたいと考えています。以上です。
 
○大西委員
よろしいでしょうか。
 
○印南座長
お願いいたします。
 
○大西委員
多分、質問の意図が所管課に通じたのだと勝手に理解しておりますが、やはり私のような町弁レベルの弁護士になりますと、中小規模の病床規模の医療機関としか付き合いがなくて、先日もそういうことがありましたけれども、そういう所は理事長の急逝に伴う代替わりを機とした他病院との統廃合といったことも問題になります。400床規模以上の大病院と同じような普及目標を設定するのは、今後の地域における医療連携や、病院の統廃合の動向を考える場合には、少し今後の医療需要にそぐわない部分が出てくるのではないかと考え、先ほどのような質問をさせていただいた次第です。
 
○印南座長
ほかに御意見、御質問等がありましたら。河北先生、お願いいたします。
 
○河北委員
お願いなのですが、医療の情報化というのは、当然、1つは今言われているデジタルトランスフォーメーションの一環として進めたいと思いますから、是非その観点を厚労省も持ってください。それが1つです。もう1つ、これは厚労省だけではないですが、例えばWindowsというようなOSを使うときに、我々は毎年ライセンスフィーを払わなければいけないのです。かなり昔の話ですが、EUはマイクロソフトと交渉して、EU全体のライセンスフィーを3分の1ぐらいに引き下げさせています。我が国は国家がそういう交渉をしていないのです。ですから、例えばWindows、マイクロソフトの言い成りのライセンスフィーを我々は個々に払っているわけです。これは大変な国家的損失だと思いますから、是非、国全体でライセンスフィーを下げさせるというような交渉をしていただきたいと思います。
 
○印南座長
以上でしょうか。医政局のほうもよろしいですね。
 
○医政局
はい。
 
○印南座長
承っておきたいと思います。ほかに御意見、御質問等はございますか。それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえ、実績評価書への反映等をお願いしたいと思います。
それでは、次のテーマに移ります。準備はよろしいですか。それでは、続いて施策番号Ⅰ-6-3「医薬品の適正使用を推進すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。
 
○医薬・生活衛生局
医薬・生活衛生局総務課の安川と申します。私どもは、医薬品の適正使用の推進ということで、政策テーマとしては、かかりつけ薬剤師・薬局などの関係の話です。施策の概要ですが、薬局関係については「患者のための薬局ビジョン」を平成27年10月に公表して、かかりつけ薬剤師・薬局を推進しています。その関係で、制度改正という形で法改正なども行いながら、薬剤師が患者に寄り添った形で、どういうフォローアップをするか、あるいは今回の改正で制度化された認定薬局が、医療機関等としっかり連携しながら薬物療法を支えていくという政策を進めております。
達成目標は、かかりつけ薬剤師・薬局の推進としており、その関係の予算事業を様々行っているところです。達成目標は、1ページ目の下のほうから幾つか挙げております。かかりつけ薬剤師・薬局の推進ということに対して、指標の難しさはありますが、1つは、重複投薬や相互作用防止に取り組んだ実施件数を経年推移で追いかけているところです。令和2年はコロナの影響もありましたが、全体としてはこういった取組を進めております。
次のページですが、かかりつけ薬剤師・薬局の推進の1つとして「健康サポート薬局」というものが平成28年からスタートしており、その届出数を指標にしています。全体としてはまだまだ少ないですが、増加している状況です。あとは、参考として「患者のための薬局ビジョン」の関係で、かかりつけの機能を発揮できる薬局の割合を、現在集計をしているところです。
いずれにしても、指標については、経済財政諮問会議の関係の改革工程表のKPIとして示しているものを抜粋しています。政策評価としては、そういったことを引き続き進めていきたいと考えています。以上でございます。
 
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。ございませんでしょうか。では、私から1つ。1ページ目の指標1ですが、「重複投薬・相互作用防止の取組件数」とありますが、これは疑義照会のことですか、それとも実際に処方が変更された件数ですか。
 
○医薬・生活衛生局
実際に重複投薬があって、処方が変更された件数です。そのため、疑義照会の件数はもっと多く、その中でそのまま維持されたものもあれば、減らしているのもあります。指標1は実際に処方が変更された件数をカウントしているものです。
 
○印南座長
分かりました。ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。次のテーマに移りたいと思います。担当課が入れ替わりますので、しばらくお待ちください。

 
○印南座長
まだ担当課がいらしていないので、先に事務局から、若干の説明をさせていただきたいと思います。
 
○室長補佐
すみません、今、担当課がこちらに向かっているところですが、少し時間を要しておりますので、議事の順番を入れ替えさせていただきます。議事次第の(2)「その他」の報告事項について、事務局から御説明させていただきたいと思います。
今年の3月の有識者会議におきまして、委員の皆様から頂いた御意見への対応状況について、参考資料6という形で取りまとめております。3月の会議では、全体としては61個の御意見、御指摘を頂きました。このうち現時点において対応させていただいたものは25項目で全体の41%、今後検討としたものは22項目で約36%、対応困難という形となったものが12項目で約20%、事実関係の照会が2項目となっております。また、対応したものの内訳としましては、下の表に書いてあるとおり、令和3年度事前分析表で対応予定のものが約半数の13、その他が12となっております。
次のページから、それぞれの委員の先生方の御質問、御意見に対する対応状況を取りまとめております。意見の内容についての現時点での検討状況が一番右の欄にまとめてあります。こちらについて、再度、御意見や御指摘等がある場合には、この後この場で御意見を頂くか、若しくは項目数が非常に多いので、後日、事務局まで書面にて御意見を頂くという形にしたいと思います。大体5営業日の期限をもって御質問を受け付けたいと思っております。
詳しくは、会議の最後に具体的な日にちは御案内させていただきますが、8月25日水曜日を目途に事務局まで御連絡いただければ、会議の場での御意見と同様に取り扱いたいと思っております。担当部局に再検討をしていただく予定です。この場での御発言も結構でございます。どうぞよろしくお願いします。
 
○印南座長
ただいまの事務局の説明に関しまして、質疑があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。先ほど説明があったとおり、書面で伝えていただければと思います。
担当課が来ましたので、議論を再開したいと思います。施策番号Ⅰ-9-1「データヘルスの推進による保険者機能の強化等により適正かつ安定的・効率的な医療保険制度を構築すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
 
○保険局
ありがとうございます。保険局保険課長の姫野です。よろしくお願いいたします。施策の目標については、今、座長から御紹介があったとおりです。
施策の概要ですが、高齢化の進行や医療の高度化などによって医療費の増大が進んでいる中で、国民皆保険を堅持していくということが重要な課題となっています。また、国民の健康寿命が延びて医療に対する国民ニーズが多様化する中で、医療保険者に対して予防・健康づくりに資する保健事業の充実が求められているということが背景です。
こうした状況を踏まえ、この国民皆保険制度を円滑に運営していくために保険者機能を発揮していただくため、大きく2つの柱があります。1つ目は保険適用、資格の適用といったもの、それから保険料の徴収、これらを確実に行うことで医療保険財政の安定化を図っていくことが1つの柱です。2つ目の柱は、レセプトなどのデータ分析に基づいて効率的、効果的に保健事業を実施するデータヘルスの推進により、健康寿命の延伸と医療費の適正化を同時に図っていく。こういった2つの柱を考えています。
具体的には、厚生労働省としては、例えばNDBや介護DBなどの各種データベースを活用して、こういった分析が可能な環境整備を行っていくこと。あるいはデータヘルス計画を各保険者に作っていただいて、その内容を把握、分析をしながら保健事業に係る効果検証をしっかりと行っていく、その結果を市町村へも情報提供を行う、といった取組もしています。また、データヘルスなどを活用した健康増進効果などを確認するための大規模実証事業も行っているところです。
他方で財政的な観点からは、被用者保険者に対する、特に負担が重い健康保険組合に対する負担の緩和措置や、メタボ健診や保健指導の実施に対する助成を行っています。さらに被保険者の健康増進や効率的な医療の提供の推進に係る都道府県及び市町村の取組を推進するための保険者努力支援交付金による取組も実施しているところです。
これらの施策によって、医療保険制度を安定的かつ効率的に運営していくということを目指していくわけですが、その施策目標を達成目標ということで2つに分解しますと、達成目標1として、データヘルスの推進による保険者機能の強化、そして達成目標2として、適用・徴収・給付適正化等による医療保険財政の安定化、という2つに分解して評価をしています。予算額については、約10兆円という金額が記入されていますが、医療保険の給付費に対する国庫負担等の費用を計上しています。
次の2ページから、指標を合計10個立てていますので、それについて御説明をしていきたいと思います。まず指標1については、重症化予防に取り組む自治体を増やしていくことを目標としています。目標としては、令和2年度で1,500の市町村、後期高齢者広域連合については47全てが実施することを目標として掲げています。令和元年度までが実績値と出ていますが、市町村では1,292、後期高齢者広域連合では45です。市町村について毎年200自治体ぐらいのペースで伸びてきていますが、近年、若干伸びが鈍化していることを踏まえ、達成状況は△、概ね達成と評価しています。後期高齢者広域連合は、令和2年度にほぼ47全ての達成が見込まれますので、達成という評価をしています。
続きまして、指標2です。各医療保険者にデータヘルス計画の作成を求めています。これを作成する医療保険者の数を前年度よりも伸ばすことを目標に取り組んできています。健康保険組合に関しては、概ね100%に近い作成状況になっていますが、健保組合の解散や合併による分母、分子の数の変動により多少下がった年もありますが、概ね達成と評価をしています。全国健康保険協会、協会けんぽについては、全支部で策定をしていますし、後期高齢者広域連合についても47全ての広域連合で策定しているため、達成という評価をしています。また市町村国保、国保組合についても年々増えていることから、達成という評価をしています。
3ページです。指標3は健康保険組合に着目した指標です。企業と健康保険組合が連携して健康経営に取り組むことを評価しています。こちらは日本健康会議で、産業界、医療界、行政の3者で「健康なまち・職場づくり」を進めようということで立ち上げた会議体です。その2020年宣言の中で、健康経営に取り組む企業の数を令和2年度に500社にするという目標を立てていましたので、これを政策評価の目標値として設定していました。令和元年度は既に1,476社ということで、大幅に上回っているおり、こちらも達成と評価しています。
次の指標4は、中小企業を中心に加入している協会けんぽにおいても、同様の健康経営の取組を進めていくことを目標設定していますが、協会けんぽのサポートを得て健康宣言等などに取り組む企業数を、3万社以上にするという目標を立てていましたが、令和元年度時点で既に5万社を超える状況ですので、達成と評価をしています。
指標5については、保険者からの推薦など一定の基準を満たすヘルスケア事業者を増やしいくことを指標にしています。こちらも日本健康会議の中での調査結果ですが、もともと令和2年度にこうした事業者を100社以上に増やしていくという目標でしたが、令和元年度時点で124社であり、達成と評価しています。
続きまして、指標6からが医療保険財政の安定化に関する指標です。指標6は、収支が赤字である保険者の割合を前年度よりも減らすことを目標として設定しています。健康保険組合は多少変動がありますが、概ね達成と評価しています。ただ市町村国保については、平成30年度から財政運営を都道府県単位化ということもあり、0%ということで達成と評価しています。
4ページですが、国保組合については、これも多少変動があり、こちらは達成ができていない状況です。一方で、後期高齢者広域連合については赤字の広域連合はゼロで達成と評価をしています。
続きまして、指標7は経常収支の額を見ています。経常収支の状況を前年度よりも改善することを目標としています。健保組合、協会けんぽ、市町村国保、国保組合、後期高齢者広域連合のいずれについても毎年度収支の均衡を保ち黒字ですので、達成と評価できると考えています。
5ページです。指標8ですが、保険料の収納率についても制度ごとに見ています。健保組合については、令和元年度は前年度よりも若干下がった部分がありますが、ほぼ100%に近い水準を維持しています。また協会けんぽについても、令和2年度については少し低下していますが、こちらも高い水準を維持しており、概ね目標達成と評価できると考えています。それから市町村国保、国保組合、後期高齢者広域連合については、前年度よりも収納率を伸ばしてきているという状況ですので、こちらも達成と評価しています。
次に指標9については、後発医薬品の差額通知を実施している保険者の割合を前年度よりも伸ばしていくという目標設定をしています。この点については、健保組合も毎年実施率が伸びてきており、協会けんぽは100%実施という状況です。市町村国保、国保組合も伸びてきている、後期高齢者広域連合については全ての広域連合で実施している状況であり、こうした状況を踏まえ達成と評価しています。
指標10は、後発医薬品の使用割合です。骨太の方針の中で2020年9月までに使用割合を80%にすると目標設定していましたが、実績値としては80%に若干満たないところです。しかし、順調に伸びてきている点に鑑み、概ね達成と評価をしているところです。
7ページからは総合判定で、その他の分析をしています。10ページから「次期目標等への反映の方向性」を記載しています。基本的には全ての指標について順調に推移をしている一方で、例えば重症化予防については新型コロナ感染症の影響による取組の難しさなどを踏まえた実施を図っていくことが課題であると考えています。また、指標3~5については、先ほども日本健康会議の取組と一体として目標設定していると御説明しましたが、日本健康会議では今年度新たな目標設定をするため、現在調整中と伺っていますので、こういった目標設定も引き続き取り入れながら、取組を進めていきたいと考えています。
また指標6~8は、医療費が増える中での各医療保険者の財政負担が非常に厳しい状況もありますので、下から2つ目の○になりますが保険者機能の強化を支援する財政支援や高齢者に対する拠出金負担の軽減措置についても引き続き継続をしていきたいと考えています。
最後、後発医薬品については、今年度の骨太の方針では、次の目標設定として、2023年度までに全都道府県で80%以上を達成するという目標が設定されていますので、こういった目標を踏まえながら、新たな取組を進めていきたいと考えているところです。説明は以上です。
 
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。井深先生、お願いいたします。
 
○井深委員
ありがとうございます。3点ほど質問とコメントをさせていただきたいと思います。1点目は指標2に関してですが、こちらの指標は実績値を見ていますと順調に目標を達成されていて、非常に好ましい状態になっていると見ています。令和2年度の値では、国保組合が91%と少し他よりは低いことを除いては、順調だと考えられると思います。このデータヘルス計画の作成状況は、目標を十分に達成されつつあると認識していいと思います。そうするとデータヘルス計画が作成されたという事実があって、データヘルス計画に基づいて、それがどのくらい効果的であったかを計っていくことが次の段階になるのではないかと考えます。ですので、この指標2に関しては、引き続き全組合が目標を達成する、100%になるまで恐らく見ていくものだと思いますが、当然に次の段階の新たな目標ついても考えていく。具体的に言うと、データヘルス計画の効果を計るような目標についても考えていく段階にきているのではないかと考えました。そちらが1点目です。
2点目に関しては、指標6です。こちらは質問ですが、先ほどの御説明を聞いていて、概ね達成というお話だったかと思います。最後の「達成」という所を見ると、健保組合と国保組合では「達成」の所は括弧付きの(△)と(×)となっていて、その括弧付きの△と×というのがどういう意味を持つのかを教えていただきたいと思いました。それと同時に、もしこれが目標を十分に達成されていないという判断であるとしたら、今まで取組としてどういうことをされてきたのかについても、併せてお聞きしたいと考えています。
最後の点ですが、指標10です。後発医薬品の使用割合です。こちらは骨太の方針で8割が目標となっていて、そちらを目指しているということだと理解しています。その目標自体は根拠があるのでそのことは十分理解できるのですが、この8割というのは恐らく数量ベースの値だと考えているのですが、数量ベースで評価した場合の後発医薬品の使用割合と、金額ベースで評価した場合の使用割合というのはかなり大きなギャップがあると私は認識しているのですが、金額ベースでの使用割合について、何らかの目標を設定することは検討するに値するのか、それとも、そういうことにはそぐわないものなのかという点についてお聞きしたいと思います。こちらも質問になります。以上です。
 
○印南座長
はい、お願いいたします。
 
○保険局
御指摘ありがとうございます。指標2のデータヘルス計画についてですが、御指摘のとおり計画の策定が100%に近付いてきたということで、次のステップを考えなくてはいけないというのはおっしゃるとおりだと思います。その点について、今回お示しした資料では、引き続き100%を目指すという書き方をしていますが、一例を申し上げますと、例えば健保組合のデータヘルス計画については今年度が中間見直しの年でしたが、中間見直しの中で、共通のアウトカム指標を各健保組合で掲載していただくことを盛り込んだところです。限られた5つか6つぐらいの指標ではありますが、共通指標を盛り込むことで、どのような保健事業をすることで、どのような効果があったのかということを評価しやすくなることを目指して、こうした指標の標準化を進めているところです。そういったことも、他の保険者も含めて、視野に入れながら引き続き進めていきたいと思っています。
それから2点目ですが、指標6の部分、健保組合は△、国保組合は×となっていますが、健保組合は年度で多少変動はありますが大幅に落ち込んでいる状況ではないということで、概ね達成と評価をしています。一方で国保組合は、赤字組合の数が6割ぐらいから4割に上がったり、また5割に落ちたり、かなり変動があることも踏まえ、達成できていないと評価をしています。各医療保険者は、財政運営に非常に苦労されているというところが表れている指標ということもあるかと思います。
具体的に施策を進める上での取組としては、例えば健康保険組合に対しては財政状況が非常に厳しい所、あるいは準備金についてもぎりぎりの所、そういった解散の蓋然性が高いと思われる所については、保健事業を強化するための特別な財政支援を行うなど安定的な保険運営をするための支援をしています。そういったところも、しっかりと成果指標に反映できているかどうかも見ながら、取り組んでいきたいと考えています。
最後、後発医薬品についてですが、御指摘のとおり80%というのは数量ベースです。金額ベースにしますと、当然、後発医薬品は比較的価格が低くなりますので、割合は低くなってきます。ここは政府全体での後発医薬品推進施策の中で、どう決めていくのかということかと思いますので、私から医療保険者の観点だけからなかなかこうしようということは言いづらいところではありますが、医療保険財政を安定的かつ効率的に運営していくという意味では、価格の効果もしっかりと把握をしていくことは課題であると思っています。後発医薬品の進め方については、そうした点も意識をしていきたいと思っています。
 
○室長補佐
すみません、井深先生からの指標6に関する御質問について、事務局から補足させていただきます。今、担当課から説明があったと思いますが、健保組合については△なのに、国保組合について×なのはどうしてかという御質問だったかと思います。担当課からの説明にもありましたが、事務局でも一応、○、△、×というのは基準を設けています。○を付けるのは、目標に対して実績を見て達成率が100%以上のときが○で、△は80%以上100%未満、×は80%未満の達成率という区分を設けています。括弧が付くのは、令和2年度の実績値が集計中の場合に、過年度の実績、特に直近の実績値である令和元年度の実績が出ている場合に括弧で判断しています。そういった基準に当てはめますと、健保組合については、令和元年度(30%)以下という目標に対して20%幅で許容して△を付けていますので、36%あれば△ということですので、実績35%見込みですので△が付いている。一方で国保組合は、目標が35.8%以下、これで20%幅の許容ですと42.96%以下であれば△でしたが、実際のところ50.6ということでその△の許容幅を上回ってずれてしまったので×になったということです。基準に当てはめても問題ないという理解です。以上、補足でした。
 
○印南座長
よろしいでしょうか、井深先生。
 
○井深委員
ありがとうございます。担当課の方とそれから事務局の方の御説明で、非常によく分かりました。最初におっしゃられていた指標の標準化を進めていらっしゃるというお話ですが、本当にすばらしいことだと思いますので、もしこちらの政策評価にも反映できるような情報があれば、是非とも目標の中に取り入れていくというようなことも十分にあり得ると考えています。よろしくお願いいたします。
 
○印南座長
ほかの先生方、御意見、御質問等がありましたら、大西先生、お願いいたします。
 
○大西委員
すみません、私も指標10の後発医薬品の使用割合に関する質問になります。資料4-2の13ページ、14ページで、後発医療医薬品の80%目標値に対する伸び率が近付くほど若干鈍化している傾向が見てとれることと、後発医薬品の不祥事事例を資料の中では見られていますが、担当部局としては、近年相次いで明らかになっている後発医薬品メーカーの品質管理上の問題事例と、ここ1、2年くらいの期間中の使用割合の上昇率の鈍化傾向との間に、何らかの相関関係があるという捉え方や、そういう原因分析をなさっているのかどうかをお伺いできればと思います。
 
○保険局
御質問ありがとうございます。後発医薬品の使用割合の伸び率と、それから昨今発生している後発医薬品メーカーによる品質に関する事故との相関について、明確に分析したものはありません。一方で令和2年度についても、この後も、伸びは鈍化していますが引き続き増加傾向ではあります。他方で医療保険者、あるいは医療保険者の中の会議でもいろいろ被保険者からの声ということで、後発医薬品の使用促進について、本当に品質は大丈夫なのかという声が挙がっているというお声も頂いています。後発医薬品の品質の安全・安心の確保については、部局をまたがりますが、横断的にしっかりと対策を講じている、また講じていることを医療保険者にもお伝えしながら、引き続き推進をしていきたいと思っています。
 
○印南座長
よろしいですか。それでは宮﨑先生、お願いいたします。
 
○宮﨑委員
私が質問したいのは、指標5です。保険者の事業の中で、データヘルス計画というのは本当に画期的な政策であると私は思っています。各保険者の健康づくりの中核を担う仕組みということで、非常に注目されるべき取組だと思っていますが、この計画のいろいろな事業の実施主体は、委託による事業者が保健指導やいろいろな保健事業を担っているので、事業者の事業の質が結果に大きく影響すると思います。多くが直営ではなく委託によって事業が行われているという現状です。そうしたときに、指標5ですが、優良な事業者の数で実績を評価されていますが、経年的な変化を見る限りではあまり増えているとは思われません。母数となる事業者数がどの程度なのかの把握が難しいとは思いますが、近年の123社や124社というものがどのような価値を持つ数字なのか、その解釈少し説明を頂けますか。
 
○保険局
御指摘ありがとうございます。指標5は、保険者から推薦等がある事業者の数ですので、健康保険組合等の保険者の目から見て、非常に成果を上げてくれている、確実に事業を実施してくれているという事業者の数がどの程度あるかということになります。一方で御指摘のとおり、この数自体の評価をどうするかというのは、なかなか難しいところで、逆に言いますと保険者としてもどこが優良なのか、自分たちが推薦している所がいい所と言うよりは、もう少し客観的な情報が欲しいというお声もあります。そういった意味で、今後こういった指標のあり方についてはよく検討していく必要があると思っています。
他方で、成果をしっかりと上げていただくということが今後ますます大事になってくるかと思います。そういった意味で少し参考情報になりますが、今年度から成果連動型の保健事業に取り組んでいる保険者に対する補助事業をモデル事業としてスタートしています。事業者数に直結するものではありませんが、成果、効果を意識した保健事業をしっかりと財政的に支援をすることで、メッセージを発していきたいと思っているところです。
 
○宮﨑委員
状況はよく分かりました。この指標のもう1つの意味合いは、やはり保険者がその事業者の質を評価する。委託主である保険者がしっかりと事業者の質の保証に責任を持つというところもあると思います。ですから、そういう意味合いも込めていただいてモデル事業なども運営していただければと思いました。よろしくお願いいたします。
 
○保険局
御指摘ありがとうございました。その点はしっかりと留意して進めていきたいと思います。
 
○印南座長
ほかに御質問、御意見等がありましたらお願いしたいと思います。河北先生、どうぞ。
 
○河北委員
これは私のコメントだけですが、厚労省保険局の方たちは非常によくやってくださっていると思っています。それから、誰でもこの社会保険の持続性ということは望んでいることだと思いますが、私のコメントは、我が国は貧しい国日本になりつつあるということであって、どの指標を見ても社会保険がこのまま持続できるとは思っていません。やはり何とか民間のお金、すなわち、生保や損保のお金を入れ、ノウハウも入れて、根本的に社会保険と民間の力を併用していくことを、今後考えざるを得ない時期に来ていると思いますので、是非、大きく政治を使ってそういう方向性を打ち出していただきたいと思います。以上です。
 
○保険局
御指導ありがとうございます。私の立場では、なかなか受け止めるには大き過ぎる御指摘ではありますが、大所高所に立った議論ができるような準備は、行政としても進めていきたいと思っています。ありがとうございます。
 
○印南座長
ほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いしたいと思います。
ここで担当課の入替えを行います。次のテーマは、施策番号Ⅰ-9-2「生活習慣病対策等により中長期的な医療費の適正化を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いしたいと思います。よろしいですか、お願いいたします。
 
○保険局
医療費適正化対策推進室長の田邉でございます。よろしくお願いいたします。テーマについて御説明させていただきます。先生方は既に御承知だと思いますが、医療費適正化計画は、6年を1期といたしまして、現在2018年から第3期の時期に入っております。この中で特定健診・特定保健指導ということで、いわゆる生活習慣、食事や運動や喫煙といった不摂生が原因となって起こる肥満、高血圧、高血糖といったものから、心筋梗塞、脳梗塞あるいは糖尿病という重篤な疾患の発症を予防する、あるいは重症化を防ぐことで、医療費の適正化を進めていこうということで、保険者の皆様と一緒になり共通の取組としてこの保健事業を推進しております。特定健診・特定保健指導の推進に当たり、3つ指標を設定し、そのステップに応じて状況等を把握しているという状況です。
1つ目ですが、特定健診・特定保健指導の特定健診ですけれども、先ほど申し上げました生活習慣病を防ぐということでは、まず生活習慣病のリスクがある方を定期的にスクリーニングして、その方に対して介入を行う必要があります。ですので、特定健診を実施し、危険、リスクのある方をすべからくピックアップするということが重要と考えておりますので、まずは特定健診の実施率を目標として設定しております。直近の値ですと55.6%という数値になっております。これは10年前の2008年から比べますと、当時は38%でしたので、15%ほど増加していますが、目標としては70%としていますので、まだそこまでは達しておりません。そのため、達成度としては「△」としております。今後一層、保険者と共に啓蒙等を進め、皆様に特定健診を受けていただくよう、事業を進めていきたいと考えております。
次は、特定健診を受けていただいた後に、いわゆる生活習慣のリスクのある方、メタボ等の可能性がある方については、適切に保健指導を行っております。保健指導がどのぐらいの方に実施できているかということを指標2として設定しています。これは特定健診を受けていただいた方の中で、特定保健指導を行う必要がある、メタボのリスクがある方をピックアップして、その中の何パーセントの方が特定保健指導を受けているかを指標にしたものです。残念ながら直近の値が23.2%で、まだ数値としては上がってきておりません。10年前は7.7%でしたので、それに比べると上がってきているのですが、残念ながら100人いらっしゃると、そのうちの23人しか特定保健指導を受けていないという状況です。これについては、目標を45%としていますので、数値としてはまだ低いですが増加傾向ではありますので、少し長期的な視点で見ていただければと思っております。そういうことで「△」としております。これにつきましても、特定保健指導の内容等について検証し、より一層進めていただくように努力してまいりたいと思っております。
指標3です。特定保健指導では、指導した後にメタボリックが治っているか、要は改善されているかという、次のステップの目標を設定しているのが指標3です。メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率ということで、これは2008年の値から25%下がることを目標として設定しております。簡単に言いますと、当時100人いらっしゃれば、目標としては75人にするというイメージです。直近は13.5%と、目標よりは低いですが、着実にメタボリックの方の数としては減少しております。ただ、これは実数というところで、計算の設定が少しハードになっているという事情があります。例えば100人の方が健診を受けて、そのうちの10人の方が特定保健指導の対象となって、メタボで改善を要するということになった場合、例えばそのうちの保健指導を受けている方が、今、2割少々ですので、10人いたら8人が保健指導を受けていただけない。10人のうち2人の方が例えば保健指導を実施できて良くなった場合、翌年の数字は100人中8人となりますが、健診を受診していただく方自体も増やそうとしていますので、例えば翌年200人受けたとすると、その中に更に10人がプラスになりますので、18人となります。特定健診の受診者数を増やすことと並行すると、少し厳しい目標ではあるのですが、メタボリックシンドロームを防ぐということを、大きな生活習慣病の予防のための目標としていますので、今後一層進めていこうと考えております。
最後のページですが、次期目標に関しての方向性の部分です。今回のデータというのは、2019年度までのデータとなっております。いわゆるコロナの影響がまだ見えていない状況です。特に影響が懸念されますのが特定保健指導の部分で、対面での指導や、不要不急のものかどうかという観点もあります。そうしたことを踏まえて、いわゆるICTの活用を進めており、そのための補助もしております。
具体的には、保健指導を対面ではなくてICTを活用して実施した場合においても対面での実施と同じように扱う、保険者がICTのハード面を用意する上での補助金の交付等のサポートをしながら、保健指導の実施につなげていこうと考えております。それを踏まえて、コロナ禍においても引き続き、特定健診と特定保健指導をしっかりと実施するべく、事業を進めているところです。担当課からは以上となります。
 
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。河北先生、お願いします。
 
○河北委員
また私のコメントになるかもしれないのですが、最後に書いてあるように、コロナの影響というのはまだ分からないですが、去年2月ぐらいから新型コロナウイルス感染症が広がってきた中で、我が国は極めて特異的に平均寿命が延びていると考えています。アメリカなどは平均寿命がかなり短くなったわけですけれども、マスクをすること、それから、自分の家から出ないで転倒をしない、骨折をしない、ですから、そこで亡くなる、フレイル、サルコペニア等も考えて、高齢者が亡くならないことで、平均寿命が延びていることを、特定健診等を踏まえて、生活習慣病をこれからどのように考えていくか。というのは、結局、健診を受けなくたってどうってことないではないかという意識がかなり残るのではないかと思うのです。ですので、国民のリテラシーを高める活動を是非していただきたいということ。それから、メタボだけではなくて、フレイル、サルコペニア等を踏まえて、高齢者の転倒は骨折につながって、結局は寝たきりになって亡くなっていくことがあるので、そういったことを、是非、特定健診につなげてほしいと思います。
それから、コロナの中で是非考えなければいけないのは、若い人たちの自殺、特に女性の自殺が増えてきたことです。絶対数は男性が多いにしても、メンタルヘルスというものをこの健診事業の中でどう考えていくかということは是非捉えていただきたいと思います。お願いします。
 
○印南座長
ありがとうございました。宮﨑先生、よろしいですか。
 
○宮﨑委員
指標1と2ですが、私は保険者によって差があるのではないかと思っているのですけれども、保険者ごとの指標を出していただけるといいかと思います。特に特定健診・特定保健指導は、ターゲットが壮年期の方たちです。だから働き盛りの方が加入している健保組合や共済組合のデータが非常に気になります。当初から言われていましたが、そういった所がどれだけ受診率や保健指導の実施率が伸び悩んでいるのか、保険者ごとの施策が依然として課題になっていると思います。優良な保険者を表彰するなど、国としてもいろいろとやってくださっているとは思うのですが、働き盛りの方たちへの様々な仕掛けがまだまだ足りていないと思ったのですが、まずは保険者ごとの受診率や保健指導率はどのような実態でしょうか。
 
○保険局
ありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、保険者によってかなりばらつきがあります。実は2017年から既にホームページでも全部公開しております。後ほど、もしよろしかったら、そちらをお送りさせていただきます。おっしゃるとおり、健保組合は高いですが、協会けんぽは低い、共済組合は特定健診自体が8割程度受診されており、先生がおっしゃるとおり、保険者によって差がある状況です。そうした状況を公表することが、保険者にとって一つのインセンティブになるともと考えておりますので、公表も今後継続していこうと思っております。先生、後ほどデータは送らせていただきます。
 
○宮﨑委員
では、保険者に特化したサポートをよろしくお願いしたいと思います。
 
○保険局
ありがとうございました。
 
○印南座長
それでは、井深先生、お願いします。
 
○井深委員
今の点とほぼ同じですが、指標1と指標2を見ていますと、実績値が伸び悩んでいるという状況が見受けられるわけです。1年ごと、少しずつは伸びていることはうかがえるのですが、例えば特定健診の場合、目標値が70%と定まっていることを考えると、このペースではかなり進捗としては緩やかである、遅いなと感じるわけです。そうすると、どうやって変えていかなければいけないかを考えることが必要です。今、御指摘にあったように保険者ごとに差があって、実施率が高い所はもう十分高いと思いますので、実施率が伸び悩んでいる所に重点的に対策を打っていくことを考えていくこと、もうやっておられるのだと思いますけれども、今まで以上にやっていくということは、今後、目標達成という観点からは重要なのではないかと思います。以上です。
 
○保険局
先生、ありがとうございます。おっしゃるとおりで、例えばインセンティブとして後期医療保険の支援金の負担割合であるとか、保険者にも、少し痛みとメリットという両面から対応させていただいておりまして、それに加えて啓蒙等も含め、先生の御意見を踏まえた取組を今後考えていきたいと思いますので、御指導をお願いいたします。
 
○印南座長
よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問等ありましたらお願いします。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、実績評価書への反映をお願いしたいと思います。
続きまして、最後のテーマに向かいます。施策番号Ⅱ-5-1「生活衛生関係営業の振興等を通じて、公衆衛生の向上・増進及び国民生活の安定に寄与すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
 
○生活衛生課
生活衛生課の成松と申します。よろしくお願いいたします。生活衛生関係の施策について、実績評価書について御説明させていただきます。施策の概要ですけれども、2つに分かれていまして、1つ目は、生活関係営業の衛生水準の確保及び振興ということで、国民生活に密着した生活衛生関係営業というのがあります。これは理容、美容、クリーニングなど、ここに書いてある様々な営業がありますが、全国で108万事業所あり、そこで働いている方も約700万人弱いらっしゃいますけれども、そういった所で地域に根付いて営業していただいています。ただ一方で、この関係の事業者は、大半が中小零細の事業者であり、市場が成熟している中で、大規模チェーンとの競争の激化があります。そういった中で、しっかりと衛生規制を遵守し、衛生を確保していただくことが課題となっています。そのための方策の1つとして、個別法による個別の様々な衛生規制を行うこと、あるいは振興法というのもあり、振興法によって営業の振興と公衆衛生の維持向上を行っています。
特に振興の関係ですが、大臣が先ほどの業種別に「振興指針」を定めており、各都道府県で作っていただいている同業組合は、指針の内容を踏まえて、営業の振興を自主的に、かつ、計画的に推進するための振興計画を策定いただいています。このほか、政策融資として資金繰りの融資などを行っているというのが、1つ目の生活衛生関係営業の関係です。
2つ目は、建築物における衛生対策の推進です。これも法律があり、法律に基づきまして、相当規模を有する建物、具体的には3,000平米以上の建物を「特定建築物」と定義しています。全国に4万6,000程度ある特定建築物に対して、基準に則った維持管理をすることを義務付けています。こうしたことが、2つの施策の概要となります。
次に、施策実現のための背景・課題として、先ほど申し上げたとおり、生活衛生関係は、衛生水準の向上と消費者の安全・安心の確保を図るため、規制と事業者自身の振興、事業者自身の取組を支援していくことが大事になってきます。先ほど申し上げたとおり零細な事業者も多いものですから、経営も厳しい、あるいは昨今の最低賃金の引上げにも対応していく必要があるという課題があります。ただ、この関係の営業につきましては、地域に根ざして営業していただいておりますので、先ほど申し上げたように買物弱者や、あるいは高齢者の方々が身近でこういったサービスを受けられるという意味で、地域の活性化にも寄与していると考えております。
2つ目、建築物衛生法関係につきましては、特定建築物は先ほど4万6,000と申し上げましたけれども、年々増加しております。一方で、この関係の従事者は、人手不足が深刻であり、人材確保が困難になっている。有効求人倍率はこのように、下のほうに書かせていただいておりますが、そのようになっております。
次に移りまして、各課題、下から2つ目の施策の予算額・執行額等について御説明させていただきます。予算の状況は特にa+b+cの所を御覧いただければと思いますが、例年、50億円+α程度で推移していますが、特に令和2年度につきましては新型コロナの関係で、事業者が非常に厳しい状況でしたので、融資させていただく補正を組めましたので、相当高く上がっていますけれども、例年で言いますと、50~100億円の間というのが例年の数字になっています。
続いて、測定指標について御説明させていただきます。まず、生活衛生関係営業の関係につきまして指標が2つあります。指標の1つ目として、振興計画というものがあります。先ほど申し上げたとおり、振興計画とは、業種ごと、あるいは都道府県ごとに営業者が組織する組合が作成する、組合員たる営業者の営業の振興を図るために必要な事業の計画です。こういった計画に則って自主的な取組をしっかりやっていただくということが、振興に大きく寄与する1つであると思っていますので、計画未作成組合を解消できるよう、振興計画の業種別認定率を前年度以上とすることを目標としております。
指標の2つ目としては、先ほど少し申し上げた、この関係の方々に対する日本政策金融公庫の融資の貸付件数を掲げています。
あと、測定目標を2つ、建築物の関係につきましては別紙を用意させていただいておりますので御覧いただければと思いますが、この様々な指標ですが、いわゆる建築物においては、粉じんの量、あるいは一酸化炭素、二酸化炭素の含有率、空気の関係ですけれども、そういったものの不適合率、基準を定めていますので、適合していない建物の割合を、それぞれ減少させていくことを書かせていただいております。
その3つの測定指標をそれぞれ数字で見てみますと、まず指標1ですが、振興計画関係の数字を見ていただければ分かるとおり、少しばらつきがありますけれども、全体で91%以上という実績が出ていますので、達成状況としては「○」と評価をしています。
指標の2つ目、日本政策金融公庫の貸付けに関しては、特に令和2年度について、新型コロナの関係で融資を受けられる方が多くありました。数字として、前年度以上を達成しておりますので、「○」を付けております。
指標の3つ目、建築物の不適合率の関係です。別紙を御覧いただくと、個別の項目で見たときに、絶対値として個別に不適合率が高いものと低いものがありますけれども、全体的な推移あるいは直近との比較を見ると、上から5つ目の相対湿度を除いて、前年度の実績と同等又は下回っていることから、概ね達成と記載しています。
評価結果と今後の方向性の欄です。総合判定は、先ほど申し上げたとおり、振興計画については達成、政策金融公庫の貸付けについても増えている、建築物衛生管理は概ね達成ということで個別の項目を評価しております。総合的な判定結果としては、「達成に向けて進展あり」としております。
次に、施策の分析です。有効性の評価は、指標1については90%以上の実績で、指標2につきましても、コロナの関係もありましたが、日本政策金融公庫の融資が頼りにされていて、あるいはそれによって何とか営業が保てているということですので、有効であると考えています。
指標3の建築物の関係については、相対湿度の不適合率が高い状況が続いておりますが、今後そういった相対湿度の維持についての重要性、これは感染症対策としても重要ですので、その周知を令和元年度に行いました。その状況を今後確認していきたいと思っております。ホルムアルデヒドについては、少し上下をしておりますが、例年ベースに戻っておりますので、適切に管理できるのではないかと考えております。
施策の効率性については、これまで説明してきたとおり、実績が出ているということと、指標3については、執行額がほぼ一定であるにもかかわらず実績が出ているということで、効率的な取組が行われていると考えております。
現状分析ですが、生活衛生関係営業につきましては、非常に多くの施設があること、建築物についても、先ほど4万6,000と申し上げましたが、建築物の大規模化が進んでいる状況の中ですので、こういった施設の公衆衛生の向上を図って、国民の皆さんの生活を安定させていくことは、引き続き重要な課題であると認識しております。
最後に、次期目標への反映の方向性ですが、指標1につきましては、全体で見ると91%ということですが、業種によってはばらつきがあるため、令和3年度以降は、業種別認定率90%を達成していない興業場あるいは公衆浴場、旅館業、氷雪販売業について、認定率を前年度以上とするという目標にさせていただければと思っております。
指標2については、融資の関係、令和2年度にコロナもありまして相当上振れしていますので、前年度から比較するということではなくて、5年間の実績を分析することで算出した数値ということで目標をリバイスしたいと考えております。
指標3については、特に今回、新型コロナ感染症対策として、換気の重要性を周知しております。そういったところで、今後は換気に関する代表的な指標という形で二酸化炭素の含有率に着目して、不適合率の改善状況をフォローアップしていこうと思っております。説明は以上でございます。
 
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明について、御質問や御意見がありましたらお願いしたいと思います。いかがですか。よろしいでしょうか。それでは、説明どうもありがとうございました。
本日予定しておりました議事は、全て終了いたしました。熱心かつ有意義な御審議を頂きまして、大変ありがとうございました。それでは、事務局より、本日の議論の取扱いについて説明をお願いします。
 
○室長補佐
本日は、委員の皆様におかれましては、ありがとうございました。本日頂いた御意見の取扱いですが、まず、実績評価書の記載に関する指摘につきましては、担当課において必要な修正を行いますとともに、評価書の所定の欄に反映状況を記入させていただきます。会議の場で時間の都合等で御発言できなかった御意見がありましたら、先ほど申しましたとおり、8月25日(水)を目途に事務局まで御連絡いただければと思います。
実績評価書につきましては、当室で取りまとめの上、総務省への通知及び当省のホームページでの公表手続を進めさせていただきます。また、併せて、9月になろうかと思いますが、最終版のほうを皆様にも送付させていただきます。
また、本日頂いた御意見のうち、今後の目標設定などに関する御指摘につきましては、中長期的な検討課題となるものもありますので、事務局で整理の上、今回、参考資料6という形で御説明させていただきましたが、今後、次回の会議で進捗状況を皆様に御報告させていただければと存じます。事務局からは以上でございます。
 
○印南座長
これをもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。お疲れさまでした。