2021年8月2日 第10回政策評価に関する有識者会議 福祉・年金WG議事録

日時

令和3年8月2日(月)13:57~16:26

場所

オンライン開催

出席者

菊池座長、岩崎委員、平野委員、藤森委員、山田委員

議事

 

○政策立案・評価担当参事官室室長補佐

 少し定刻より早いですが、皆様おそろいになりましたので、ただいまから第10回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WGを開催いたします。政策評価の担当をしております肥沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様におかれましては、オンラインでの会議開催に御協力いただきまして、大変ありがとうございます。本日は全員の御出席を賜っております。今回はオンラインでの開催になり、御不便をお掛けすることもございますが、会議途中で不都合が正じた場合には、Webexのチャット機能又は電話にて、事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。

 本日の会議では、事前に委員の皆様にお送りした会議資料を使って議事を進めさせていただきたいと思います。会議中は御自身が御発言をされる場合以外は、マイクをオフにして、音声ミュート状態にしていただくとともに、ビデオは停止状態にしていただくようお願いいたします。御発言の御希望がある場合には、Webexの挙手アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って、発言の希望がある旨を事務局に御連絡ください。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者を座長が指名しますので、座長から指名を受けましたら、ミュートを解除し御発言ください。発言に合わせて御自身の映像を表示される場合には、「ビデオを開始」をクリックしていただければ、皆様の画面及び会場のモニター上に映像が表示されます。御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにするとともに、ビデオも停止していただきますようお願いいたします。

 それでは、本日の議事進行につきましては、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 お忙しい中、お集りいただきましてありがとうございます。本日は、議事次第にありますように、4つのテーマの実績評価書案について、皆様の御議論を頂きたいと存じます。

 それでは、配布資料及び「令和3年度に実施する政策評価について」の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策立案・評価担当参事官室室長補佐

 それでは、議事の進め方について御説明いたします。議事次第を御覧ください。本日は、議事次第にあります()の①から④の順番で、テーマごとに担当課の入替えを行い、御議論いただきます。テーマによって多少、時間は異なりますが、まず担当課より10分程度で説明を行い、その後、約10分程度で御議論いただく形で進めさせていただきたいと思います。今回は、実績評価書案を議事としておりますので、測定指標の実績値と、それに基づく各指標の達成状況、目標未達の場合の要因分析、評価結果を踏まえた改善方針や測定指標、目標値の見直しなどを中心に、御意見を頂ければと存じます。事務局からは以上でございます。

 

○菊池座長

 まず、1つ目のテーマ、施策番号Ⅷ--1「生活困窮者等に対し適切に福祉サービスを提供するとともに、地域共生社会の実現に向けた体制づくりを推進し、地域の要援護者の福祉の向上を図ること」につきまして、担当課から10分程度で御説明をお願いいたします。

 

○社会・援護局保護課保護事業室長

 ありがとうございます。生活保護制度の関係について、保護課保護事業室長の西澤から説明させていただきます。

 施策の概要ですが、これはこの名のとおり、日本国憲法25条に規定する最低生活を保障するための制度として、生活保護を運用することです。施策実現のための背景・課題ですが、生活保護は適正な実施が求められていること、それから生活保護の大きな目的の1つとして、最低生活保障のほかに、自立支援があります。したがいまして、医療の関係の施策、就労の関係の施策を中心に目標を設定しています。

 具体的な指標の達成状況です。達成目標が幾つかございますけれども、指標1、指標2が、就労支援事業等に関するものとなります。指標1が参加率で、指標2が参加した方のうち、保護脱却又は増収につながった方です。双方の指標ともに改善傾向ではございますが、目標の達成まではもう少しです。

 次に、指標5、6の関係です。これは頻回受診指導で、生活保護は医療扶助という形で医療を給付していますが、基本的には月に15回以上、医療の必要性がないのに受診している方に対して、受診回数を適正にするよう対応しています。

 指標5は、頻回受診の対応について自治体で計画を作っていただくものです。これは全自治体で対応していただいています。指標6は、頻回受診の指導を行った結果、受診状況が適正化された方の割合です。これについては、改善傾向にありますが、足下、令和元年度は少し下がっており、目標達成に向けて取り組んでいきたいと考えています。

 そのほか、指標4と指標7ですが、後発医薬品の使用割合に関するものです。生活保護法の医療扶助は、法律上、後発医薬品を原則とすると規定しています。後発医薬品の使用割合を指標7で目標にしていますが、実績値は87%と目標を達成しており、一般の医療よりも割合が高い状況になっています。生活保護については以上です。

 

○地域福祉課長

 地域福祉課長の田仲と申します。私からは、施策のうち生活困窮者自立支援制度、地域生活定着促進事業、成年後見制度の利用促進について説明させていただきます。

 まず、施策の実現のための背景・課題について説明いたします。生活困窮者自立支援制度の背景・課題ですが、地域社会を取り巻く環境が変化する中で、困窮者への多様な支援の必要性が高まってきており、生活保護に至る前の段階で包括的な支援により自立を促進する必要があること、また、支援を必要とする人に確実に支援を届けることが重要であることから、アウトリーチの観点も必要になっています。それから、様々な生活課題を抱えている方々は、生活困窮に至る要因や背景が個々人によって違いますので、一人一人の状況に応じて、きめ細かく対応していく包括的な支援体制の強化が求められていること等が背景・課題として挙げられます。

 また、地域生活定着促進事業は、高齢や障害により支援を必要とする矯正施設の退所者に対して、釈放後から福祉サービスを円滑に受けられるようにすることが必要です。

 最後に、成年後見制度の利用促進ですが、成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害により、財産管理や日常生活等に支障がある人を支える重要な手段であり、今後、認知症高齢者の増加等も見込まれる中で、その利用の必要性が高まっていくと考えられます。成年後見制度の利用者数は年々増加傾向にあるものの、認知症高齢者の増加数と比較しても著しく利用者数は少ないという状況にあります。全国どの地域においても、必要な人が、成年後見制度を利用できる仕組み、各地域において、権利擁護支援の地域連携ネットワークにおける中核機関の整備や市町村計画の策定により、体制整備を進めていくことが必要であり、課題・背景として挙げられます。

 次に、各課題に対する達成目標について説明します。達成目標の2と3です。達成目標2ですが、複合的な課題を抱える困窮者に対し、就労、家計、住まい等に関する包括的な支援を行うことにより、その自立を促進すること、達成目標3ですが、各地域において、権利擁護支援の地域連携ネットワークにおける中核機関の整備や市町村計画の策定など、体制整備を推進すること、を設定しております。

 以上の目標を達成するために、指標の9から28が掲げられておりますが、指標の数が多く、説明時間も限られているので、幾つかの主要な指標に絞って説明をしたいと考えております。

 まず、生活困窮者自立支援制度ですが、主要な指標として、指標9と13について説明します。生活困窮者自立支援制度は、早期に対象者を把握し、相談によって、相談者の状況に応じた支援に適切につなぐことが重要であり、この取組が確実に行われているかを評価するため、指標9の新期相談件数を設定しています。目標値については、制度施行後の相談件数の実績値を踏まえ、令和3年度までは25万件としています。令和2年度実績値は現在集計中ですが、平成28年度から令和元年度までの実績値の推移等や、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により新期相談件数も増えていることから、目標値の達成が見込まれると考えております。

 指標13です。住居確保給付金受給中に常用就職した者の割合です。離職者が就職活動に専念できるよう、就職活動の基盤である住まいを確保するための家賃相当額を給付しており、給付が離職者の就職支援につながっているかを評価するため、本指標を設定しています。前年度末時点の実績を上回ることを各年度の目標値としていますが、令和2年度実績値は現在集計中ですが、平成28年度から令和元年度までは着実に増加しており、実績値の推移からも、令和2年度の目標達成が見込まれると考えています。

 次に、地域生活定着促進事業です。同事業については指標15ですが、コーディネート業務により受入先に帰住した者のうち、フォローアップ業務の終了者の割合を設定しています。入所中から、帰住調整を行うコーディネート業務により支援を行い、受入先に居住した者のうち、社会福祉施設等へ入所した後も、継続的な支援でフォローアップの終了者の割合を測定することで、地域定着を促進しているかを評価するため設定しております。平成28年度以降、実績値が順調に推移していることから、令和2年度においても目標値を達成していると考えております。

 最後に、成年後見制度の利用促進について説明申し上げます。成年後見制度の利用促進については、指標1823が主要な指標です。指標18は中核機関を整備した市区町村数、指標23は市町村計画を策定した市区町村数です。指標18及び23は、成年後見制度利用促進専門家会議の議論を踏まえて、令和元年度に成年後見制度利用促進基本計画に係るKPIとして設定されたものであり、成年後見制度利用促進基本計画では、今後の施策の目標として、全国どの地域においても必要な人が成年後見制度を利用できるよう、各地域において権利擁護支援の地域連携ネットワークにおける中核機関の整備を推進していくこととしています。両指標とも、平成30年度から令和2年度にかけて実績値は増加しており、令和2年度実績値は目標値を上回っています。私からの説明は以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様からの御意見、御質問等お願いしたいと思います。いかがでしょうか。平野委員、どうぞ。

 

○平野委員

 2つございまして、1つは生活困窮者自立支援制度に関するもので、先ほど御説明には触れられなかった指標について意見を述べたいと思います。

 1つは、指標10から12までの関係ですが、自立生活のためのプランの作成割合が32%で、プランの中で就労支援が盛り込まれた割合が45%で、更にそこで収入が増加したのが61%というのが現状だとすると、全体を掛け合わせると大体9%程度になってしまいます。相談を受けた中で実際に収入が上がった方が9%ということになります。かつ、それぞれの指標は横ばいの状態にあって、実際に達成が×になっているところもあります。その場合、どの指標のどの問題について伸ばしていくと、最終的に指標12のプランを作成した方たちが、就労を通して収入増加が得られていくのかということの関係について、どのように分析・評価しているのかお聞かせ願いたいというのが1つです。

 もう1点は、成年後見制度のことについてなのですが、先ほど指標18あるいは23について触れられたかと思います。もちろん、目標値として前年度以上ということは分からなくはないのですが、基本計画のKPIでは、令和3年度に全市町村とすることを想定していると思われます。もちろん単純に前年度より増加することの意味合いは分からなくはないのですが、やはり簡単に達成を○にするというのはいかがなものかという感じがしています。実際にここがなかなか進んでいないというのは、専門家会議の中でも議論になっているかと思います。その点についても、御意見をお聞かせ願えればと思います。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。それでは、よろしくお願いします。

 

○地域福祉課長

 ありがとうございます。まず、生活困窮者自立支援の関係ですが、御指摘いただきましたとおり、相談件数からプランの作成、就労に結び付いた件数、それから収入が増加した件数と、それぞれで指標を設定しています。全体を掛け合わせれば、最終的に9%程度になるという話もございましたが、相談内容の全てが就労の増加に結び付くような相談ということではございません。困窮の状態に至った状況は、その方々それぞれの背景や要因がありますが、入口が相談です。その相談の中で、プランを立てて、適切な支援に結び付け、段階的な移行を進めていくこととしており、就労増が最終的な目標とはならない状況等もあります。そのため、ごそれぞれについて、目標値を設定しているところです。

 どのように分析・評価しているかということですが、特別そういった分析や把握していることはございません。相談いただいた中で、どういう支援が必要か、寄り添った対応が必要かなどを考えていきます。こうした現状を踏まえて、現時点ではそれぞれの指標という設定の仕方をしています。

 それから、成年後見に関するKPIとして、最終的に全市町村に広げていくということですが、確かに設定目標に対して、現時点での達成状況が最終的な目標達成に近付いているかどうかということかと思います。現在の基本計画が、平成29年から令和3年までの5年間で設定しており、基本計画の中間検証を行う中間年度が令和元年度に該当します。中間年度までは、権利擁護支援の必要性や体制整備の重要性に関する知識、考え方、体制整備のノウハウ等を、まず広く市町村に浸透させることを進めてきたという状況です。令和2年度からの後半の基本計画年度においては、各基本計画の施策の進捗状況を踏まえ、個々の課題の整備、検討を行った中間検証の報告を受け、市町村が抱える体制整備に関する個別的な課題等への対応にも取り組んで、KPI達成に向けた取組を推進している状況です。

 また、未整備の市町村等については、人口規模の小さな町村等の割合が高いことが調査研究で明らかになっており、都道府県の関与を深める補助事業の創設や各都道府県ガイドラインを作成し、都道府県による市町村支援を進めているところです。また、この状況は、現在検討している次期基本計画でも継続的な課題として認識しており、都道府県機能強化を柱の1つとして、全国どの地域においても必要な方が制度を利用できる体制の整備を進めていきたいとに考えています。

 

○菊池座長

 平野委員、いかがでしょうか。

 

○平野委員

 先ほど申しましたのは、相談の中で実際にプランを立てて就労に結び付くということを前提にすると、プラン作成数が分母になっていくという関係についてです。生活困窮の制度が普及する中で、プランを経ないで就労に結び付くケースもかなりの件数あることも存じ上げているので、現在の設定している指標のようにプランをベースにするというのは制度設計上仕方がないかもしれませんが、プランを経ないで就労成果に結び付いている場合もあろうかと思いますので、その点も視野に入れてデータを取っていただければと思います。

 後半については、やはりKPIとの関係でいうと、前年度増というのはむしろ当たり前のことで、○を付けるというのは、なかなか私としては課題を残しているのではないかという意見です。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。2つ目の御指摘の点、指標18のみならず1920212223で令和3年度の目標値があります。それに対して、どう達成していくかという点ですが、指標18で、令和3年度の目標値が1,741市区町村に対して、令和2年度の目標値が前年度以上となっていますが、これはどういう意味合いですか。ほかの指標でも同様ですが。この点は私も理解できません。むしろ、事務局にこれで、○でいいのかを確認した方がいいのかもしれません。

 

○政策立案・評価担当参事官室室長補佐

 事務局から回答させていただきます。確かに、達成状況は、令和2年度の目標と実績を対比して判定するものではありますが、一方で最終年度への目標もあります。先ほどからご議論いただいている部分については、あと1年でとなるとかなり乖離がありますので、その点を踏まえて判断するということも十分あり得ると考えています。すなわち、令和2年度の目標を達成しているから、必ず○になるというわけでは、これまでの評価でもなかったことを御参考までにお伝えさせていただきます。担当課から補足があればお願いします。

 

○地域福祉課長

 補足というわけではございませんが、先ほど最終的な目標値に対して、過去の実績に照らし最終的な目標達成可能なのかどうかについては、非常に厳しいものがあると考えています。

 この制度については、先ほど御説明させていただいたとおり、平成29年度からの取組で、前半の取組の中で重点を置いてきた部分と、後半に重点的に取り組んでいくところがあり、後半の取組によって目標達成に向けて取り組んでいきたいと思っておりますが、現状からすると難しいところがあるかと思っております。取組の低い状況の中には小規模な自治体が多くございますので、そういったところへの支援も、今後どう実施することが可能なのかを考えて取り組んでいきたいと思っております。

 

○菊池座長

 今後の施策の在り方、どう展開していくかという話はもちろんですが、ここは政策評価の場なので、目標の立て方について質問が出ています。それを所管課として、どう見るか、どう考えるかについてはいかがですか。

 

○地域福祉課長

 現在の目標については、現時点の5か年計画の中でKPIを設定しているものをそのまま、目標値としている状況でございます。現在、次期5か年計画を策定しているところでございまして、現状も踏まえながら、有識者会議等で御議論いただいた上で考えていきたいと思っております。

 

○菊池座長

 つまり、次期5か年計画に向けては検討する余地があるというお話ですか。今回のここでの議論を踏まえて、この評価書の達成状況などについては、持ち帰って検討するつもりはおありにならないということですか。通常は、ここでの議論を踏まえて持ち帰っていただき、所管課において議論を踏まえて再検討していただくことになっていますが、そういうことでよろしいかどうかとういうことです。今は、次期計画に向けてというお話をされましたが。

 

○地域福祉課長

 失礼いたしました。今の計画の見直し、状況を踏まえて目標の見直しということではなくて。

 

○政策立案・評価担当参事官室室長補佐

 すみません。少し補足いたします。令和2年度の目標に対して、実績は確かに前年度を超えています。ただ、令和3年度の目標値に対してはかなり乖離があるので、そういう状況で単に○にしてしまっていいのかというのが、平野先生、菊池座長の問題意識だと思います。

 去年も老健局だったでしょうか、単純に当該年度の実績だけ見れば目標を超えていましたが、最終目標に向かっていなかった点を、昨年度会議の場で指摘された例がありました。その際は、達成の○△×を見直して、○だったものを×にしたという例もあります。なので、先生方はそういうことをおっしゃっていて、その上で、今、乖離があるというのは、先ほど御説明があった小規模自治体等々のお話だと思いますし、評価書にも書いていただいていますので、そこはやはりやっていただく必要はあると思うのですが、評価書として見直す余地がないのかという御質問だと解釈いたしました。

 

○地域福祉課長

 失礼いたしました。達成区分の○△×という話でございましたら、持ち帰って改めさせていただきたいと思います。

 

○菊池座長

 よろしくお願いします。それでは、藤森委員からお手が挙がっているようですので、いかがでしょうか。

 

○藤森委員

 私からは4点ございまして、第1点目は、今、議論になったところで、令和3年度の目標値と前年度の目標値の違いが、私が見たところ、この指標18から24まで、それぞれ前年比は超えているのだけれども、令和3年度の目標に対して乖離がかなりあると思いますので、指標18から24まで、今の達成区分、指標で適切かどうかを見直していただく必要があると思っております。これが1点目です。

 それから2点目ですが、4ページの指標9について、これは生活困窮者自立支援制度の年間の新規相談件数ですが、こちらは年々伸びていることが記されております。また、25万人という目標も、恐らく達成できるだろうということで、私もそのように思っております。一方、もう1つ、この生活困窮者の分野で課題になっているのが、なかなか相談に来られない方、あるいは知らないという方がいらっしゃって、アウトリーチが必要なのだけれども、なかなか支援の現場では相談支援員の不足などがあって、そこまではできていないところも多いと聞いております。このアウトリーチということも含めて、新規の相談件数が伸びているという理解でよいのかどうなのかというのが2点目の質問です。

 それから3点目ですが、5ページの指標12で、こちらは先ほど少し出てきたところですが、就労支援プラン対象者のうち就労した者及び就労による収入が増加した者の割合が、平成29年度から令和元年度にかけて10%ポイントほど低下しています。この要因はどのようなことが考えられるのかが3点目です。

 それから最後、これは質問というわけではないですが、生活保護についての達成目標、2ページ目ですが、これは「生活保護制度を適正に実施すること」という目標で、生活保護受給者の自立支援や医療扶助の適切化に向けた指導が指標として挙げられています。こうした指標は重要だと思いますが、一方でコロナ禍の中で、最低限度の生活を割り込んでいて、本来であれば一時的にも生活保護を活用して生活を立て直したほうがよいと思われる方も少なくありません。恐らくその一因としては、スティグマが社会全体にもあるし、御本人自身もお持ちで、その影響があるのではないかと思っております。

 これは質問ではないですが、昨年の夏に厚生労働省では、「生活保護の申請は国民の権利です」というメッセージを出されていました。こうしたメッセージも恐らく生活保護の適正化に資するものではないかと思っておりまして、今後また、こうした意識を国民に浸透させるような施策や指標があってよいのではないかと思いました。4点目については、質問というわけではございません。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。それではいかがでしょうか。4点目は、もし生保について何かコメントがあればということで。

 

○地域福祉課長

 ありがとうございます。1点目の指標18から24につきましては、先ほどお答えしたとおり、見直しをさせていただきたいと思います。

 それから、2点目の、来られない方に対するアウトリーチ支援については、アウトリーチ支援の相談件数だけでデータを持っているわけではございませんが、もちろんそういった視点は重要だと考えており、この相談支援事業の中で、アウトリーチを実施するための予算事業というものは組み込んで対応しておりますので、この件数の中に含まれていると御理解いただきたいと思います。

 それから、3点目の就職した者の割合が10ポイント以上低下している点ですが、これについても正確な分析を持っているわけではございませんが、考えられる要因としては、相談いただいている方々の要因などをお伺いしますと、就労に結び付かないような、いろいろ複雑な課題を抱えていらっしゃるひきこもりの方であるとか、そういった方々の相談ということもございますし、就労となりますと、有効求人倍率といった経済情勢の問題なども影響してまいりますので、そうした要因が複合的に関わっているのではないかと考えております。以上でございます。

 

○保護課保護事業室長

 コメントありがとうございます。正に適正というのは、必要な方に必要な分をということだと思っております。御指摘いただいたとおり、広報も行いましたし、御案内のとおりコロナの状況で、現行制度は当然、法律の原理原則の中でいろいろな運用をしており、できるだけ柔軟に、状況に合わせて運用することを自治体にもお願いしているところです。これからも柔軟な形でやっていけるところはやっていきたいと思っていますし、今後、生活保護は5年に一度の見直しもございますので、制度的なことは、そうした枠組みの中で議論していくものと考えています。

 

○菊池座長

 藤森委員、いかがですか。

 

○藤森委員

 まず、先ほどの就労支援プラン対象者内の、就労した人の増加した割合が低下しているという点ですが、今御指摘された要因は、非常に大きいのではないかと思っています。やはり、生活困窮者は就労に至るまで時間が掛かる方が結構いらっしゃって、なかなか就労ができない方が増加しており、比率が下がっていくということは十分考えられることだと思います。

 なので、この指標の見方に分析を加えていかないといけないと思っております。この背景に何があるのかを見ながらでないと、一生懸命御尽力いただいていながら実績値としては下がっていて目標を達成していていない。そうだとすると、違った視点も、分析によっては明らかになってくると思います。支援機関が、なかなか就労できない方々、時間が掛かる方々の後押しをされていることも評価していく必要があると思います。恐らく、指標14はその視点で設定されたのではないかと考えています。「住まいの確保」、「家計の改善」、「自立意欲の向上・改善」といった点に、どれだけ改善が見られたかというのは、指標14として設定されていますが、個々の指標についての分析も行っていく必要があるのではないかと思いました。

 それから最後の、生活保護の適正化に向けてスティグマに関してですが、今後施策を考えていただき、できればこの指標に入れていくことも、就労、自立支援、医療扶助の適正化というところだけではない指標として、今後も御検討いただけたらよいのではないかと考えております。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。それでは、山田委員、お願いします。

 

○山田委員

 私からは幾つかあるのですけれども、まず、指標の評価に関する部分と、それから今後どういった指標を入れていくべきかという、大きな2つの観点からコメントを差し上げたいと思います。

 まず、指標に関する部分です。指標2に、就労した者及び就労による収入が増加した者の割合という、非常に重要な指標だと思いますが、藤森委員からも御指摘がありましたように、背景には景気変動や高齢化等によって、相対的に働きにくい可能性のある方が増えてきているなど、いろいろな理由があると思いますので、年齢別の動きなどを入れるなりして、もう少し細かく見ていただけたらよいのではないかと思いました。

 あと、指標6の頻回受診者に対する適正受給指導による改善者数割合に関する評価ですが、こちらも背景にはいろいろな事情があって、例えば、適正受診指導が進んでいった結果、指導してもなかなか行動変容が難しい方が残っているかもしれない、そのことで指標6の実績がやや減少傾向にあるという場合は、ここは「-」ではなくて「△」かもしれないわけです。「△」は「△」であっても、その理由が書き込まれれば、この指標がもう少し改善の余地があるということになりますので、そこまでを少し補足していただけないかと思いました。

 もう1つ、参考の指標17です。6ページになるかと思いますが、農業分野等との連携強化モデル事業の利用者数というのは、モデル事業がパイロット的に始まったものなので少ないのかもしれませんが、この86名というのがそれほど大きな数ではないので、どういうことかを教えていただけたらと思います。以上までが、指標の評価に関するコメントになります。

 次に、後段の将来的にどういった目標を入れていくかということです。これも先ほど藤森委員からもお話がありましたけれども、生活保護に関しては、かなり就労自立が重んじられる形で指標が設定されていますが、社会的な自立や生活の自立といったものもありますので、就労自立が進んでいったり、若しくは景気変動によって動いたりする部分とは別に、自立助長がうまくいっているかどうかを見るためには、そういった指標も考えていただきたいということです。

 あと、指標1や指標2で実施されている「事業等」の中には、任意事業も含まれていると思いますので、その任意事業を実施している自治体と、実施していない自治体では、アウトカムがどう異なるのかというのも視野に入れていただきたいと思います。それから、就労自立関係では、例えば就労自立給付金制度が入りましたけれども、そちらの評価をどのようにするのかについても考えていただきたいと思います。また、こちらでも書き込まれているのですけれども、ひきこもりとか氷河期世代に関して、こちらも非常に重要な施策対象集団だと思いますので、別立てで分かるように入れていただきたいと思います。

 一方で、「入れていただきたい、入れていただきたい」とばかり申し上げていましたけれども、実は既に、ひょっとしたら役目を終えたかもしれない指標というのが幾つかあるかもしれません。例えば具体的には指標5、医療扶助について頻回受診対策を実施する地方公共団体というのは、政策が推進されて100%が続いていますので、こちらは次からは不必要になかもしれません。もちろん100%を下回るということが出てきたら、また別ですが。同様に、指標8についても100%が並んでいるので、こちらは次期からは不必要になるかもしれない。そういったことも考えつつ、将来の目標なり指標を考えていただければと思います。私からは以上になります。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。現在の指標の評価についてと、今後の指標の立て方について、大きく2つあったと思います。よろしくお願いします。

 

○保護課保護事業室長

 生活保護の関係ですが、指標の評価につきまして、就労はおっしゃるとおり、いろいろな要因があると思います。これは1つ1つ実際に聞いてデータを取っていますが、年齢まで取れているかというのは、ちょっと確認をしないとなのですが、自治体もかなり大変なので、どこまでできるかというのは考えたいと思います。

 あとは、統計で取れる変化としては、主にいわゆるその他世代が就労支援の対象になることが多いのですが、その他世代の中も、かなり受給が長期化している傾向がありまして、2000年代のリーマンショックの後に非常に景気が悪くて、なかなか職がなかった時代に生活保護を受給し始めた方の受給が長期化している部分があるのかもしれません。これは自治体の方に聞くと、肌感覚として、年々就労支援が難しい方が増えているという印象はあります。なので、目標は目標として必要だと思いますが、状況については注意していきたいと思います。

 同じような案件で、頻回受診の御指摘ですが、これは足下の数字が下がっていますが、これもおっしゃるとおり、指導対象者のうち改善した方の割合ということで、指導対象者の中身、誰がというのは毎年変わっております。ここには出てこないのですが、指導対象者自体は年々減っていますので、そういう意味では、それ自体が政策の効果がどうかというとやや難しいですが、ある意味では、頻回受診自体が減っていると言えます。

 あと、改善割合が下がっていますが、令和元年から基準が変わり、対象者が増えています。一部の自治体で事務が年度内に終わらなかったなどがあり、やや数字が落ちています。なので、どういった形で令和2年度の実績が出るかというのは注意したいと思っています。頻回受診の対応などで、自治体はどういう対応をすればうまくいきそうかということは、現在、医療扶助に関する検討会で検討しており、自治体の事例なども調べています。数字は数字としてありつつ、中身はできるだけ自治体の負担にならないように考えていきたいと思っています。

 どういった指標がいいかということですが、確かに100%が続いている指標を今後どうするかについては、と考える必要があるかと思います。幅広い自立ということでいうと、例えば生活保護でも家計改善事業を任意事業で始めていまして、なかなかアウトカムとして就労以外にどういった形で測れるかというのは、例えばですが、家計改善をやっている自治体というのは少しずつ増えていますので、そうした点は参考になるのかもしれません。ただ、これは自治体の取組レベルの話なのですけれども、いずれにしてもなかなか、おっしゃっているように自立というのは非常に複雑な概念でございますので、就労がある程度中心にならざるを得ないとは思いますが、注意しながらやっていきたいと思っております。生活保護に関しては以上でございます。

 

○地域福祉課長

 参考指標1786名という数字ですが、指標16で農業分野等との連携強化モデル事業を令和2年度に実施しており、委託事業として2か所にお願いした事業をモデル的に実施したもので、このモデル事業を活用した利用者が86名ということで、あくまでも参考として数字を載せています。困窮者の中で、農業分野と連携して就労に結び付ける効果をモデル的に実施しております。今後そういった仕組みを就労の中に取り入れていくことを念頭にモデル的に実施していますので、参考指標という形で数字を記載しています。

 それから、ひきこもりとか就職氷河期についての別立てでの指標のお話もございました。困窮政策がひきこもりに特化しているわけではありませんが、ひきこもりの対象者に対する相談支援や、長い間ひきこもりの状態にあると、支援の方法としても、居場所づくり等の支援を行っており、そのような支援の効果を測定するためにどのような指標を設定するかというのは、なかなか難しい問題です。ただ、実際問題、ひきこもりに特化した事業もありますので、そういったところでの指標設定については、可能かどうかを検討したいと思います。

 

○菊池座長

 山田委員、いかがでしょうか。

 

○山田委員

 御説明ありがとうございました。可能な範囲で、自治体の御負担等もあると思いますので、今、御説明いただいたことを織り込んでいただければと思います。また、将来についてもよろしくお願いします。

 

○菊池座長

 それでは、岩崎委員、お願いします。

 

○岩崎委員

 よろしくお願いいたします。私も、藤森委員が先ほどおっしゃったことは非常に気に掛かっております。これは、御回答いただくことではないのですが、捕捉率が、諸外国に比べて日本は非常に低いということが、以前から話題になっております。申請主義という在り様だけでは、情報や制度になかなかアクセスできない、それは生活保護に限りませんけれども、そういった方たちがたくさんいらっしゃいます。だから、スティグマだけの問題ではなくて、そこに自ら手を伸ばすことが、情報の不足、あるいは障害等によって難しい方たちがいらっしゃるので、是非何らかの形で指標に入れていただければと思いました。

 次に、既に先生方がいろいろおっしゃったことは申し上げませんが、指標14で、自立生活のためのプラン作成者のうち、自立に向けての改善が見られた者の割合をお示しいただいていますが、「住まいの確保」、「家計の改善」というようなものは分かりやすいのですが、「「自立意欲の向上・改善」等の観点」ということが示されています。これは私が地域で実践している立場でもありますが、意欲の向上・改善を判断されるときに、どういったことを参照されて御判断されているのか、これは参考までにお尋ねしたい思った次第でございます。

 最後ですが、指標15です。私の所の大学院生でも、この定着支援センターに勤めている者がおりますけれども、非常に人が少なく、予算も少ないということも聞いておりまして、一応数字としては算出していらっしゃるのですけれども、ニーズに対して、本当に十分な対応がなされての数値なのかどうかが非常に気になっているところです。

 サポートが必要な方は、いろいろいらっしゃるかと思うのですが、仕組みとしては裁判所からの要望があった、観察所等から要請があったといったことになるのかと思いますけれども、都道府県にほぼ1か所しかないようなセンターの機能で、これまで関わってきた高齢者の方、障害者の方たちが生活を緯持していく、地域に定着して暮らしていくことが難しい人たちのサポートが十分に行き届いているのかが気になっております。お分かりになる範囲で御説明を頂ければ幸いです。以上でございます。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。それでは、指標1415辺りを中心にお願いできますでしょうか。

 

○保護課保護事業室長

 捕捉率の御指摘を頂きました。なかなか生活保護の要件自体が、資産、収入、稼働能力の活用というところもあって、何が対象になり得るかがなかなか分からないというのが、お答えになります。そのため、政策評価という形で捕捉率をお示しするのは技術的にも難しいと考えていますし、評価についても難しいと思いますが、厚労省では、定期的に統計調査を使って、何年かに1回、数字を出しており、あくまで推計というような形で、今後も出していくのは可能であると思っています。

 さはさりながら、先ほどのスティグマの問題も御指摘いただいていますけれども、そういったことがないように、広報や運用ということはしっかりやっていきたいと思っております。

 

○地域福祉課長

 指標14の御質問がございました。私どもで調査しているデータの中で、自立相談支援機関で職員が入力をする統計システムのデータがあり、その中で把握しております調査票の内容を見ますと、変化があったという内容では、「生活保護の適用」、「住まいの確保・安定」、「医療機関の受診開始」、「健康状態の把握」、「孤独の解消」や「精神の安定」など、複数の選択項目がございまして、その項目に結果が入ったものを集計しています。

 指標15については、持ち帰ってお答えをさせていただければと思います。

 

○菊池座長

 岩崎委員、いかがでしょうか。

 

○岩崎委員

 御説明ありがとうございます。指標の所に記載される結果の内容としての御説明は、できるだけ正確に書いていただいて、それが読み取る側に伝わりやすいように御記載いただければよいと思っております。あとは、定着支援センターの件については、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。よろしいでしょうか。この施策自体は非常に広いものです。しかも、ここ4~5年で非常に大きな動きがある分野で、これは次期計画に向けてという部分もありますけれども、生活保護と困窮者生活支援、あとは権利擁護支援、全部をまとめて評価するというのは、かなり難しい部分もあります。これは事務局に対する要望になるかもしれないのですが、最後のセーフティネットたる生活保護と、第二のセーフティネットたる困窮者支援、そして関連しますけれども、やはり相対的には独立した権利擁護や成年後見、それぞれが施策目標としてあってもいいのかなという印象は、私は受けたところです。

 あと、困窮者支援については、5年前はこれでよかったでしょうが、ここ数年、やはり任意事業であるけれども、就労準備支援事業とか家計改善支援、これも必須事業化しようという意見もあった中で、それがどこまで進んでいるか、あるいは一体的実施というような目標もあると思います。ましてや重層的支援体制整備というものが出てきており、当然これも次期に向けては指標化の課題になると思います。こういうものは、5年待たずに、先ほどの農福連携もありましたけれども、その都度、参考指標化も含めて入れ込んでいくというのも、政策評価の在り方としてあるのではないかと思います。こうした点は全体にも関わりますけれども、御検討いただきたいということです。

 あと、これは生保にも関わりますが、最近の傾向としては就職をして定着です。障害者福祉における就労支援の分野では、定着支援が制度化されてきている中で、今後は定着が課題になってきます。ですので、そうしたことも施策目標になってくるのではないかなと思いますが、多くは次期に向けての意見ということで、所管課だけではなく、事務局への意見でもあるのですが、何かありますか。

 

○政策立案・評価担当参事官室室長補佐

 ちょうど今年度末に第4期が終わり、来年度から第5期の計画が始まります。その際に、政策体系の見直しを検討しておりますので、そのときに、今、座長から頂いた御意見も踏まえて、施策目標の立て方を関係課と連携しながら調整していきたいと考えております。また、個別の指標についても、毎年度状況が変わるものについては、入替え等々はしていきたいと思っております。以上でございます。

 

○菊池座長

 ほかによろしいでしょうか。ございませんようでしたら、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、実績評価書への反映について御検討いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。どうも、長時間にわたり御苦労さまでした。ありがとうございました。

 それでは、次のテーマに移りたいと思います。担当課が替わりますので、少しお待ちください。

 

(担当課入替え)

 

○菊池座長

 続いて、施策番号Ⅷ--2「自殺総合対策大綱に基づき自殺対策を推進すること」について、まず担当課から10分程度で御説明をお願いいたします。

 

○社会局総務課自殺対策推進室

 社会局の自殺対策推進室です。よろしくお願いいたします。まず、施策目標ですが、資料の一番上にありますように、自殺総合対策大綱に基づき自殺対策を推進することです。

 施策実現のための背景・課題です。かつて、自殺者が3万人台で推移しておりましたが、平成30年は2万840人となり、9年連続で減少となり、令和元年の自殺者数は2万169人ということで、10年連続で減少してきました。ただ、残念ながら昨年はコロナの影響もあり、11年ぶりに少し増加に転じましたが、長期的に見ると、自殺対策の効果だけではないかもしれませんが、自殺者数が減少してきているということになります。

 達成目標です。表の真ん中にありますように、地域レベルの実践的な取組の更なる推進等により、人口10万人当たりの自殺死亡者数のことを自殺死亡率と呼んでおりますが、この自殺死亡率を先進諸国の現在の水準まで減少させ、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すことを目標にしています。

 その目標達成に向けてということで指標1です。先ほど申し上げた自殺死亡率、人口10万人当たりの自殺者数を指標の1つとしております。大綱で2026年までに平成27年と比べ30%以上減少させることということで、平成27年の自殺死亡率が18.5でしたので、これを30%以上減少させるということは、目標値にありますように、13.0以下にするということです。大綱ではこういった目標を立てており、それに向けて自殺対策を実施しているところです。下のほうの表にありますように、令和2年度の目標値は16.0でして、結果は集計中ですが、前年の令和元年度の実績は15.7で、昨年はコロナの影響自殺が増えたため、15.7よりは恐らく上がってしまっているかと思いますけれども、全体的に見て目標値をそれぞれ達成しています。

 2ページの指標2です。自殺予防週間や自殺対策強化月間について、聞いたことがある人の割合です。自殺の問題というのは一部の人や地域だけの問題ではなく、国民誰もが当事者となり得る問題であり、自殺に対する理解を深めてもらう必要がありますので、9月10日から9月16日を自殺予防週間、3月を自殺対策強化月間としています。年間を通じていろいろな広報などもやっていますが、特にこの期間については周知啓発活動を重点的にやっています。大綱では、国民の3人に2人以上はこれを聞いたことがある、3分の2以上の方に知っていただくという目標を立てております。実績を見ていただくと、年によってばらつきがありますが、令和元年は目標値53.0%に対し実績が62.1%で、目標を達成いたしました。昨年は、目標値59.8%に対して実績が53.6%で、若干目標値を下回ってしまったという状況です。

 指標3です。地域自殺対策強化交付金という交付金を活用して、事業を実施する都道府県、市町村、民間団体の数を増やしていくということです。自殺対策は、地域あるいは民間の活動を広げて幅広く行うことで達成できると考え、この指標を設定しています。目標と実績ですが、平成28年度から令和元年度にかけては、それぞれ目標を達成していました。ただ、残念ながら、令和2年度については前年を下回ってしまいました。これは恐らくコロナの影響で、自治体もコロナ対応で忙しかったこと、また、人が集まる講習等が密になるため実施できなかったなどの影響であると考えています。

 3ページ、評価結果と今後の方向性です。総合判定の判定結果はBです。判定の理由として、指標1について、自殺死亡率は毎年度目標を達成しています。指標2、指標3については、先ほど申し上げたように、令和2年度は残念ながら目標値を下回ってしまったのですが、それ以外の年度では達成していたので、目標を概ね達成しています。総合判定の判定結果としてはBということです。

 次期目標等への反映の方向性については、指標1、指標3については引き続き目標達成を目指していきます。指標2については、新しい広告メニューやいろいろな啓発の仕方を考え、普及啓発を実施していきたいと考えています。私からは以上です。

 

○菊池座長

 それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。では、山田委員からお願いいたします。

 

○山田委員

 御説明ありがとうございました。指標の分析と、次期目標に関しての指標と、2つに分けてコメント差し上げたいと思います。

 まず、指標の分析についてです。重点施策に「子ども・若者の自殺対策を更に推進する」とありますし、先ほど御説明があったように、また、分析にも少し書かれているように、女性の自殺者数の増加が大きいなど、重点的なグループがあります。そこで、指標1については簡単な分解を行っていただいて、相殺されている可能性もあれば、ある特定のグループが増えているということもあると思いますので、指標の分解をして施策を重点的に行っている集団があるのであれば、そちらの分析も入れていただきたいということです。

 次期目標に関する指標については、参考指標4のSNSを活用した相談事業における相談件数というのは非常に重要で、昔は「いのちの電話」のようなものもありました。今はSNSを活用していろいろと広がりがあると思います。交付金を活用して事業を普及させていくのであれば、相談を受けて自治体や制度につながったのかとか、そういったところまでデータを取っていただきたいと思います。ですから、参考指標4は測定指標に格上げしていただいた上で、相談を受けて自治体や制度につながった割合がどのようになったのかというのを、将来的には取れるようにしていただきたいと思います。また、指標3についても、交付金を活用しているので、対象者数や対象事業数など主なものだけでも分かるようにしていただければよいと思います。

 最後に質問ですが、子どもの自殺、小中高生が過去最高になったというのは、とても痛ましいことです。これは厚労省以外にも、文科省などと協力している部分があるのでしょうか。そちらについてもお教えいただければと思います。私からは以上です。

 

○菊池座長

 よろしくお願いいたします。

 

○総務課自殺対策推進室

 ありがとうございます。まず、指標については、先ほどの御意見も踏まえながら、どういったデータが取れるかを検討してまいりたいと思います。

 子どもの関係ですが、御指摘のとおり、厚労省だけで実施しているものではありません。厚労省は自殺対策全体を取りまとめている立場です。もちろん、自ら実施している事業も多くありますが、殊に小中高生については、多くは文科省の事業により実施されております。特に、中心になるのはいじめ対策というのもありますし、実際にはいじめで亡くなっている方よりは、むしろ学業や家庭問題で亡くなっている方が多いです。子どもの場合ですと、大人と違って、相談していいのかというためらいを持っていることが多いということです。

 そこで、大綱にも盛り込まれていますが、SOSの出し方教育が重要です。命が大事だという教育はもちろん大切ですけれども、自殺の現状を教えると、かえって刺激を与えて子どもを自殺に追い込んでしまうリスクもあるので、なかなかそういう教育が進んでいないという現状がありました。そのため、現在は、自殺そのものについて教えるよりも、困った時は、まず周りの大人に相談してほしいこと、周りにいなければ、公的な相談機関もあるということ、そういったことを学校で教えていくことを中心的に進めているところです。そういうことで、厚労省もしっかり実施していきますが、政府全体として、子どもの自殺に対して取り組んでいかないといけないと考えております。

 

○菊池座長

 山田委員、いかがでしょうか。

 

○山田委員 

 御説明ありがとうございました。取り分け懸念しているのは、文科省と厚労省の間で取りこぼしがあってはいけないということですので、是非そうしたことはないというのが分かり、その施策効果が分かるような目標を立てていただければと思います。

 もう1点お伺いします。自殺理由に関して、「勤務問題を理由とした自殺対策を更に推進する」ということも重点施策として書かれていますが、自殺理由が不明というものの扱いをどうするのかということもあるかと思います。ここは指標をどう取るかというのが難しいと思います。指標の処理の仕方によっては、評価が難しいところも出てくると思います。ですので、指標6については、次期目標を立てる時や指標を入れる時に、こうした点も踏まえて考えていただければと思います。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。山田委員がおっしゃるように、確かに要因分析があって、それに基づき施策が展開されていくということですから、そこを明確化していただくということは、それによって施策に対する客観的な説得力が増すし、更に透明性も増しますし、何より施策に対して公費が、税金が投入されていることに対する説明にもなると思います。政策評価というのは、そういう意味合いもあるので、例えば交付金について、どのように使われて、どのような成果が出ているのか、きちんと「見える化」してほしいというのは、実にもっともな御指摘ですので、是非御検討いただきたいと思います。お願いいたします。それでは、平野委員、お願いいたします。

 

○平野委員

 今の山田委員からの質問と、私が想定していた質問とかなり重なりがあるのですが、もう少し実践的な意味も込めて発言させていただきたいと思います。

 子ども、若者の対策と、もう1つは地域レベルの実践的な取組ということかと思います。この地域レベルでの取組をどのように評価するかというのは、大変難しいかと思うのですが、現在は交付金の活用が市町村というような形にはなっていますけれども、私としては民間がこういった点でかなり重要な活動主体ではないかとも思います。ですので、こうした民間団体に関する指標を独立させることなども御検討いただいて、その中で地域的な展開を評価していただくことも1つの方法であると思います。これは意見です。

 その背景にありますのは、特に若者へのアプローチという点では、先ほど文科省と厚労省との関係のお話もありましたが、若者に対しては民間の取組が非常に重要になっていると考えでいます。特に、私が少し関わりのある、釧路を拠点にした面白い取組があります。実際に自殺願望を持っていた若者が参加しながらやっている取組で、これを大変興味深く関心を持って見ていますがSNSでの相談件数の数字とともに、これはなかなか取るのが難しいと思いますけれども、相談のネットそのものが、相談支援というよりは、居場所的な機能を果たしている側面もあるかと思っています。むしろ、安心してそこにいられる環境が相談に結び付くという関係にもなっているのではないかと思っています。山田委員もおっしゃったように、指標4は参考指標ですが、これを一般的な測定指標にどういう形で格上げしていくかということも是非御検討いただければと思いますし、それが地域での民間の工夫された取組を拾い出す契機になる1つの指標でもあろうかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。いかがでしょうか。

 

○社会局総務課自殺対策推進室

 ありがとうございます。今の指標は、自治体と民間とを合わせたものになっていますので、どういう指標がいいかというのも、御意見を踏まえて検討していきたいと思います。

 

○菊池座長

 よろしくお願いいたします。それでは、藤森委員、お願いいたします。

 

○藤森委員

 御説明ありがとうございました。私も、これまで山田委員、平野委員から御指摘のあった点にやや近い質問になります。

 1点目は、指標3の交付金を活用して事業を実施する都道府県、市町村、民間の団体数が令和2年度は低下しており、その要因の1つは、コロナの影響があって普及啓発活動を見送るような団体が多かったのではないか、という御説明がありました。そこの評価なのですが、一方で正にコロナ禍だから自殺が増えているという状況ですから、こういう中だからこそ、工夫をして取組をしている自治体あるいは民間団体があるのではないかと思います。もちろん感染予防をしながらですが、そういった自治体あるいは民間団体の情報というのはどうなっているのかという点です。そうしたことから、今回はやむを得なかったというように見るのか、それとも、もっと工夫したらもう少しやれたのではないかという評価にもつながってくるのではないかと思います。その質問が1つ目です。

 2点目は、これまで御指摘いただいているとおり、この分野はやはり実態分析がなかなか難しく、実態分析から要因が特定し、どのような施策を行うべきか考えていくのが難しい分野ではありますが、是非とも実態分析をやっていただいて、その上での指標を作るということをしていただきたいと思います。指標1はとても大切だと思いますが、指標2、指標3は、別の指標に変える余地があるのではないかといます。先ほど平野委員からもお話がありましたが、民間団体では自殺実態の1,000人調査をやっている団体もありますので、実の分析をして、その上でこれからどのような指標を取り上げていくのがいいのか、そして、どのような施策が有効なのかを測定し、評価できるようになればよいと思います。

 それから、他の施策との連携ですが、恐らくこれは孤立の問題とも関わる部分もあると思いますので、そのような連携もしながら、今後、指標を考えていただければと思っております。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。いかがでしょうか。

 

○社会局総務課自殺対策推進室

 まず、コロナの影響で昨年なかなか事業の実施が難しかった点に関して、工夫しているところもあるのではないかというお話がありました。交付金では、自治体と、全国的にSNS相談・電話相談を行っている民間団体に補助を行うスキームになっております。全国的に相談を行う団体においても、やはりコロナの影響で相談員の方がなかなか相談の事務所に出てこられず、一時期閉まっている所もあったのですが、リモートで相談できるようにする、あるいは事務所についてパーテーションで区切るなどして、相談員の方が安心して相談できるような仕組みを取り入れるなど、そういった工夫していただく場合には国から補助するということで、年度の後半からはきちんと相談ができるようになったということがあります。どのような形で指標にするのかという点については別の検討が必要ですが、令和2年度の後半からはコロナへの対応もできてきたと考えております。

 それから、実態分析は確かに非常に重要です。先ほど1,000人ぐらいの自殺された方の遺族の方に実態調査を行ったと、もしかするとライフリンクの話をされているのかと思いますが、ライフリンクの代表の清水さんは国の指定法人の代表理事でもありまして、自殺の統計といろいろな指標、あるいは政府の事業の業務統計等も使って、昨年はなぜ前半は自殺が減少し、後半は急増したのかを分析されています。分析結果はまだ出ておりませんが、そういったものも参考にしながら、対策あるいは指標を考えていきたいと考えております。

 他の施策との連携ですけれども、これも指標としてどうするかというのは検討が必要なのですが、おっしゃるとおり、以前から孤独、孤立はそれぞれ縦割りでやっていても自殺は防げないということで、まずは生活困窮者の自立支援の相談窓口と自殺の相談窓口の連携とか、あるいは、昨年は児童相談所と自殺の相談窓口の連携などを子ども局と社会局、あるいは、当室と地域福祉課で連名通知を出したりしました。それから、先ほど子どもの自殺の話がありましたが、文科省と連携して全国の教育委員会と自殺対策の部局と連名で出しています。単に通知だけかと思われるかもしれませんけれども、現場の方に聞くと、そういった通知があると連携しやすいという話もあります。そういったことで、非常に地味ではあるのですが、これまでも連携関係を作るように努めてまいりましたけれども、今後は更に他の分野とも連携していきたいと考えております。

 

○菊池座長

 藤森委員、よろしいでしょうか。

 

○藤森委員

 ありがとうございました。後段でおっしゃったことを進めていただければ有り難いと思っております。それから、最初のところで、コロナ禍においても補助金を出していろいろな工夫をされていたということした。指標に載せることができなくても評価書に何らかの形で記載いただけると、そのようなことをやられているというのは重要だとではないかなと思いました。後半でやられた活動は重要だと思いますので、評価書に書き込んでいただけたらよいのではないかと思いました。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。確かに、この分野だけではないですが、コロナの影響により数値が上がることは考えられ、特異値のようなものをどう扱うかというのはとても難しいですね。そういう中で、そのために指標化するというよりも、評価書に記載しておくというのも、確かに1つの在り方ではないかと、今お聞きして思った次第です。ありがとうございます。それでは、岩崎委員、お待たせいたしました。お願いいたします。

 

○岩崎委員

 よろしくお願いいたします。先生方がおっしゃったことでほとんど言い尽くされていると思いますが、私も今回のコロナの影響に関して言うと、自殺対策が進まなかった一因として、やはり自治体あるいは福祉業界全体が余りオンラインに慣れていない、あるいはSNSが不得意であるといったところが非常に大きな要因だったように思います。私も福祉サービスの事業所に関わっておりますが、コロナ禍において企業のように素早い対応がなかなかやり切れなくて、本来だったら、コロナにならなかったら実施できていた支援が後手に回ってしまったり、行き届かなかったというような点があろうかと思います。だから、自殺対策に特化したことではありませんが、IT化に追い付いていくことが非常に求められていると感じた次第です。

 その一方で、若い世代の方たちは、SNSとかそういったものに反応されると思うのですが、でも居場所や、対面での相談というものへのニーズが結構あります。ですので、今後もまだ感染対策が続いていくかと思いますけれども、それぞれの所で充実した対応が求められていることを痛感しております。

 それから、若者というところに焦点化したお話が結構ありましたが、女性の自殺というのも非常に大きな課題として挙がっていると思います。子どもは虐待とかになろうかと思いますが、女性もやはりDVや、あるいは非正規雇用の多さが経済的困窮につながりやすいという側面があるのではないかと思います。

 それから、メンタルヘルスの問題というのも当然、自殺は関連しておりますし、先生方もいろいろ御意見をおっしゃっていて共感するところが多いのですが、横断的に捉えなければいけない指標が非常に多いと感じました。1つの御担当部署だけではなかなか対応しきれないような、ある意味、地域包括ケアという時代にもなってきていますが、包括的又は横断的な指標の在り様という点についても御検討いただければと思いました。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。いかがでしょうか。

 

○社会局総務課自殺対策推進室

 ありがとうございます。まずIT化の話は、他の先生方の御意見のときも申し上げましたが、SNSの相談、対面の相談でもパーテーションで区切ったり、オンラインでも相談ができたりということをこれまでやってきましたので、引き続きこうした取組を続けていきたいと思っております。

 それから、SNSの相談が若い人の相談ツールとしては非常に有効だということで、昨年もコロナ対応として補正予算を計上して、かなり相談員を増やしており、引き続きSNSの相談体制も強化していきたいと思っております。

 また、女性も若い人が中心ではあるのですが、圧倒的にSNS相談の利用者は女性が多いです。女性の自殺防止という観点からも、SNSの相談は有効だと考えております。自殺対策は、先ほど子どもの自殺の話で出てきましたが、厚労省だけで取り組んでいるわけではありませんし、省内でも自殺対策室だけで取り組んでいるものではなく、いろいろな施策が総合的に講じられることで、自殺が減ってくるのであろうと考えております。それで、先ほどおっしゃったように、経済的な困窮で自殺が増えるというのは、これまでもそういった傾向がありますし、特に今回の場合は、非正規雇用の方が多いサービス業がコロナで打撃を受けて、女性の自殺が増えた一因になっているのではないかとも考えられますので、労働部局とも連携して自殺対策をしっかりやっていきたいと思っております。その上で、指標をどうするかというのは、また今後の検討になろうかと思っております。以上です。

 

○菊池座長

 よろしいでしょうか。それでは、各委員の皆様から様々な御意見を頂きましたので、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえ、実績評価書への反映を御検討いただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、これで終わりたいと思います。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。

 それでは、次のテーマに移ります。かなり御議論いただき、やや時間が押していますが、あと2つありますので、多少の延長もあるかもしれません。申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

 

(所管課入替)

 

○菊池座長

 それでは、施策番号Ⅷ--2「戦没者遺骨収集事業の推進等により、戦没者遺族を慰藉するとともに、中国残留邦人等に対する自立支援等を行うこと」について、担当課から10分程度で説明をお願いします。

 

○事業推進室長

 事業推進室の磯邊と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私からは、ただいま座長から御指示がありました施策のうち、達成目標1に掲げる戦没者の遺骨収集事業と慰霊巡拝を着実に実施することについて御説明します。施策の概要と背景・課題の1番と、参考資料Ⅷ--2を御覧ください。

 今年は戦後76年になりますが、海外戦没者約240万人のうち収容済みの遺骨は約128万柱であり、未収容遺骨約112万柱のうち、沈没した艦船の遺骨、相手国の事情により収容困難なものを除くと、約59万柱の遺骨がいまだ収容されていないという状況になっています。御遺族からは、戦没者の慰霊追悼を行う慰霊巡拝の要望も出ています。このような中、戦没者の遺骨収集事業において、日本人でない遺骨が収容された可能性が指摘されながら、長年にわたり適切な対応が行われてこなかった事例が確認されたことから、戦没者の遺骨収集に関する有識者会議からの提言によって、令和2年5月に取りまとめた「戦没者遺骨収集事業及び事業実施体制の抜本的な見直しについて」に基づく取組を進めています。

 抜本的な見直しの取組状況ですが、ガバナンスの強化、情報公開については、有識者会議において遺骨の収集事業の実施状況等を報告の上、詳細な議事録を公開しています。遺骨収容・鑑定の在り方については、日本人遺骨の蓋然性が高い場合にDNA鑑定用の検体を採取して持ち帰り、専門家による判定により日本人の遺骨であると判定された場合に遺骨を送還することとしており、このため専門的知識を要する法医学者等で構成された所属集団判定会議を開催し、所属集団の判定を行っています。体制の整備については、遺骨の科学的鑑定や研究を行う戦没者遺骨鑑定センターを立ち上げ、鑑定体制の強化を図っています。施策の課題に対応するため、達成目標1については、指標1として慰霊巡拝参加者のうち満足したと答える者の割合、指標2として遺骨収容又は送還を行った地域数の2つの指標を選定しています。

 それぞれの指標の達成度合について御説明します。指標1、慰霊巡拝参加者のうち満足したと答える者の割合については、過去3年間の平均以上となるように目標値を定めており、平均値87%として設定しています。新型コロナウイルス感染症の影響により、海外での慰霊巡拝は全て中止となり、硫黄島のみの実施となりましたが、満足したと答えた参加者は84%でしたので、設定した目標の8割以上に達しているため、概ね達成と判断しました。

 次に、指標2ですが、遺骨収集事業は米国をはじめとした海外公文書館に所蔵されている戦闘報告書等の情報を基に、日本人戦没者の具体的な埋葬等の記述を抽出分析することにより、有効な遺骨情報を収集し、相手国の許可を得た上で実施しています。このため、実施する地域ごとに保有する情報量や相手国の事情が異なり、収容数が左右されるため、遺骨収集を計画的かつ効果的に実施する指標としては、過去3年間の平均地域数以上を目標と定めており、平均値13地域以上と設定しています。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、関係国への入国が制限されたため、2地域のみの実施となりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により関係国への入国が制限されなければ目標は達成できていた見込みが高いため、概ね達成と判断しました。

 最後に、今後の方向性ですが、新型コロナウイルス感染症により関係国において入国が困難な状況が続いていることから、実施計画のとおり事業が実施できない状況ですが、新型コロナウイルス感染症が収束し、海外の事業が実施可能となれば速やかに再開できるように、関係国政府とのWeb会議を行うなど、事業再開に向けた準備を進めているところです。達成目標1の説明については以上です。

 

○中国残留邦人等支援室長

 続きまして、中国残留邦人等支援室長の岩楯と申します。よろしくお願いいたします。それでは、評価書に沿って説明します。

 下の達成目標2についてです。言葉の問題を抱え、高齢化が進む中国残留邦人等の自立支援の充実を図ることでして、指標3と4の2つあります。それぞれ事業概要を簡単に説明します。別添の参考資料の測定指標3・4を御覧ください。対象となる2つの事業とも、自立支援通訳派遣事業の4つの中の2つの事業でして、()の自立支援通訳派遣事業と()の自立指導員派遣事業となります。

 中国残留邦人等は、終戦後帰りたくても帰れず、昭和47年の日中国交回復以後、やっとのことで帰国し、各地にその後定着することになります。しかしながら、幼少期に日本の教育を受ける機会がなかったため、日本語が全く話せない又は忘れてしまったという方がほとんどでして、日本語の研修等を受けていただくのですが、やはり50歳を超えてからの研修はなかなか身に付かないというのが現状です。そのような言葉の問題や生活習慣の違いから、様々な困難に遭遇している現状を踏まえ、中国残留邦人等の皆様がそれぞれの地域で生き生きと生活して安心して暮らしていけるよう、自治体を主体として行っている事業です。

 具体的には、()の自立支援通訳派遣事業は、医療機関を受診する際や介護サービスを利用する際、健康相談や就労相談を受ける際又は公的機関からの援助を受ける際などに、専門的な知識を持った通訳に同行してもらうこと、()の自立指導員派遣事業は、日常生活での諸問題に関する相談や指導、関係行政機関への連絡を行うものになっています。事業概要は以上です。

 実績評価書に戻って中身についてです。指標の選定ですが、指標3については自立支援通訳の派遣実績数を測定指標とし、目標値を「前年度実績×前年度支援給付受給世帯数を前々年度の支援給付受給世帯数で割ったもの」、いわゆる受給世帯数の減少率を前年度実績に掛けたもの派遣数を目標としています。指標4についても同様に、自立指導員の派遣実績数を測定指標とし、目標値は前年度実績に受給世帯数の減少率を掛けた以上の派遣数としています。

 4ページの総合判定です。指標3については、目標値をクリアしており、概ね達成と判断しました。指標4については、目標値には少し至っていないのですが、達成度合は80%を超えており、同様に概ね達成と判断しました。

 施策の有効性、効率性についても、指標3及び4とも、支援を必要としている中国残留邦人等のニーズにきめ細かく対応することを目的として有効に機能しており、また事業計画を精査して必要に応じて見直しを行っており、効率的に事業が実施されていると評価しています。

 最後に、近年の中国残留邦人等の高齢化に伴い、医療・介護サービスに係る通訳派遣の需要は年々増加傾向にあります。一方で、人員が減少、亡くなられ減少していることも踏まえ、その点を考慮し、この事業を引き続き実施していく必要があると思慮しています。私からの説明は以上です。

 

○調査資料室長

 援護業務課の田邉と申します。本日はよろしくお願いいたします。私からは、旧陸海軍等から引き継いだ人事関係書類による履歴証明等について御説明いたします。

 まず、施策の概要ですが、測定指標5、6、7になります。指標5、軍歴証明事務についてですが、厚生労働省では旧陸海軍等が作成した人事関係資料を引き継いでおり、それらを保管しています。旧陸海軍軍人、軍属の軍歴は恩給、各種共済組合の退職年金への通算対象等となることから、私どもが保管している人事関係資料を基に軍歴証明を発行、交付しています。

 指標6、恩給進達事務です。恩給の請求は、退職当時の所属官庁を経由して都道府県を経由して提出しなければならないことになっています。厚生労働省は、旧陸海軍の残務を継承した官庁として、軍人・軍属及びその遺族からの恩給請求について、請求者の退職当時の本籍地を管轄する都道府県から恩給請求書類の送付を受け、必要な審査を行った後、裁定庁である総務省に進達している事業です。

 指標7ですが、抑留者関係資料の調査についてです。戦後、中国、旧満州等で575,000人の軍人等がシベリアに強制抑留され、多数の方がお亡くなりになっています。その後、平成3年に日ソ間で協定が締結され、約3万7,000人分の抑留中死亡者の名簿が引き渡され、その後協定を継承したロシア連邦政府等からも数次にわたり死亡者名簿等が提供されました。この提供された名簿と日本側の軍人・軍属の資料との照合を行い、死亡者を特定した場合は、都道府県の協力を得て遺族の調査を実施し、提供された名簿等の記載内容を御遺族にお知らせする事業を行っています。

 それでは、指標について説明いたします。実績評価書の達成目標3を御覧ください。指標5、6、7が掲載されています。指標5ですが、軍歴証明の請求者の皆様は高齢化しており、迅速な対応が求められているので、軍歴証明の請求を受付後3ヶ月以内に処理をした割合を測定指標としています。目標値は、毎年度100%を目指しています。

 指標6ですが、恩給の受給者等の高齢化が進んでいることに鑑み、総務省への進達を受付後1.5ヶ月以内に行うことを測定指標としており、目標値は毎年度100%としています。

 指標7ですが、戦後70年が経過し関係遺族の高齢化が進む状況を踏まえ、抑留中死亡者の特定も早期に行わなければならないので、前年度中に翻訳・解析した者について、日本側資料との突合調査が終了した割合を測定指標としており、こちらも前年度に翻訳・解析した者については100%突合調査を終了するという指標を掲げています。

 続いて、施策評価と今後の方向性、さらに、施策及び目標の見直しについて御説明いたします。総合判定は、指標5から7について全て目標値に達しているので、達成と判定しています。有効性の評価については、指標5、6について、迅速な対応が速やかな恩給等の受給につながること、指標7については、資料の突合により御遺族が親族の死亡の経緯等を把握することができることから、有効な施策であると評価しています。効率性については、毎年ほぼ一定の予算額の中で目標を達成してきていることから、効率的な施策であると評価しています。関係者の高齢化等を考慮し、3施策については、引き続き迅速に処理をしていきたいと考えています。また、各指標については100%を維持するということが重要であり、最適な指標であると考えられることから、当該指標を維持し、引き続き目標達成を目指していきたいと思っています。私のほうからは以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。山田委員、お願いします。

 

○山田委員

 御説明ありがとうございました。少しテクニカルな点で幾つか、もしかしたら補足されたほうがいいかもしれないことがありまして、まずは指標3です。これは、指標選定の時にコメント差し上げればよかったのですが、年度ごとの目標値が、98%、97%となっているのは、念のための確認ですが、支援給付受給者世帯が段々少なくなっているということですよね。

 

○中国残留邦人等支援室長

 いろいろな御事情でということです。

 

○山田委員

 自然減になっていくものなのか、そうでないものなのかで、次期の指標を作る際は、こちらは少し検討したほうがいいかということです。

 指標5から指標7については、全て100%ですが、これ以外になかなか考えにくいというのも理解しますが、補足情報として何件ぐらいなのかというのがあったら、どれぐらいのボリューム感で行っているのかというのが、国民に分かってよろしいのではないかと思いました。テクニカルなことですが、そのような意見です。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。いかがでしょうか。

 

○中国残留邦人等支援室長

 先ほどの減少は自然減で、大体毎年2~3%の支援給付受給の方がお亡くなりになっているという事情です。

 

○菊池座長

 はい。それから、件数については。

 

○肥沼室長補佐

 先ほどの山田委員からの恩給の件数についても、できれば今後オープンにということで、これは恐らくオープンに出ている件数だと思います。ですので、今後は、参考指標という形で載せることも検討いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。原局から何かあればお願いします。

 

○調査資料室長

 それでは、記載方法について検討させていただき、そのような方向で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 はい、お願いします。それでは、藤森委員、お願いします。

 

○藤森委員

 2つありまして、1つ確認なのですが、指標3と指標4において、達成の所が△になっています。先ほど概ね達成とおっしゃられたから、その「概ね」という点において△になっているのかと思いましたが、それでよろしいでしょうか。

 2点目ですが、指標4について、指標3に比べて指標4の方が毎年の減少率がかなり大きいと思いましたが、この要因はどのような点なのかということと、先ほど山田委員が御指摘されたことと重なっているかもしれませんが、残留された方が高齢になられてお亡くなりになられている方々もいらっしゃるという影響もあるのかどうか、その点も御説明いただければと思います。

 

○菊池座長

 いかがでしょうか。

 

○中国残留邦人等支援室長

 まず、2点目のご質問ですが、当然亡くなっている方が毎年2~3%いらっしゃいますので、そのような影響があります。

 それと、指標4の自立指導員派遣事業での指導員派遣の件数ですが、日常生活の諸問題に関する相談に応じる事業です。中国残留邦人の皆さんが帰国してから数年たって、地域社会に長く定着する中で、慣れ親しんできており、相談することが少なくなっている。逆に施策がしっかり浸透してきていることによって、数字は減っていますが、減るのが悪いというわけではないと考えています。

 

○藤森委員

 なるほど。分かりました。

 

○菊池座長

 ほかにはよろしいでしょうか。ございませんか。よろしいですね。ありがとうございました。それでは担当課におかれましては、本日の議論を踏まえ、実績評価書への反映について御検討いただければと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

 それでは、最後の施策です。少しお待ちください。

 

(担当課入替え)

 

○菊池座長

 それでは、施策Ⅷ--1「厚生労働科学研究事業の適正かつ効果的な実施及び医薬品等の研究開発の促進並びに保健衛生分野の調査研究の充実を図ること」についてということで、担当課から10分程度で説明をお願いいたします。

 

○大臣官房厚生科学課研究企画官

 今回の御説明は、大臣官房厚生科学課と医政局からさせていただきます。施策の概要に①②③とあります。①②については厚生科学課から、③は医政局からの説明となります。

 ①は厚生労働行政施策の推進に資する研究の促進で、厚生労働行政の各分野の政策立案や基準策定の基礎資料、そのためのエビデンスを得るための研究を、厚生労働科学研究として行っている施策です。②はAMED(日本医療研究開発機構)で行っているもので、世界最高水準の医療の提供に必要な医療分野の研究開発で、具体的には医薬品や医療機器を開発して上市につなげるというものです。ですので、①の分野、厚生労働省の政策立案に関しては、どちらかと言うとドライの研究で、②のAMEDの研究に関してはウェットの研究をしているという前提です。

 続いて、1ページの各課題に対応した達成目標が下半分の所に書いてあります。厚労科研に関しては、厚生労働科学研究における研究成果をより多く国民、社会へ還元するという目標です。AMED研究については、健康・医療戦略推進本部決定で「医療分野研究開発推進計画」が定められており、既にこちらで成果目標がありますので、こちらのKPI達成を目標としております。

 2ページです。まず、測定指標です。達成目標1について、厚労科研ですが、データベースへのアクセス数を指標としておりますが、達成の欄を御覧いただきますと、残念ながら×ということで、こちらは達成できておりません。達成目標2ですが、先ほど申し上げた推進計画のKPIが指標2から指標9まであります。指標3の治験届出件数のうち医師主導治験の数について、目標値としては前年度以上でしたが、こちらも達成できていない状況です。

 その上で、5ページの総合判定です。判定結果は、全体としては×がありましたのでC、達成に向けて進展がないと考えております。判定理由ですが、達成目標1は、アクセス件数が前年を下回ったことがあります。達成目標2に関しては、指標3について医師主導治験の数が前年を下回っていることです。

 この理由について、同じページの有効性の評価の指標3のコメントを御覧いただければと思います。実績値が目標値を下回っている理由として、第2期の健康・医療戦略やAMEDで実施しているプロジェクトの再編がありまして、医師主導治験の推進を担ってきたプロジェクトを構成する事業が、研究費に関しては文科省、厚労省には事業費を集約する方針が定められたことにより、新事業体制を令和4年度から開始することを目指し、事業の組換えを開始し、新規課題の採択枠が縮小していることが要因として考えられます。

 しかしながら、医師主導治験では、自ら治験を実施するものの業務は多岐にわたっており、AROといわれる治験を行う組織を助ける役割の人々がいるのですが、そういう人がいないと実際、病院では忙しくて医師主導治験ができないことや、また、平成30年度にこの組換えがあるまでは、実績値が目標値を上回っていたことを考えますと、この研究の事業自体が、医師主導治験の実施の推進には有効に機能していたと考えられるのではないかとしております。

 6ページ、施策分析の効率性の評価です。一番下の現状分析を御覧いただければと思います。まず、達成目標1です。厚労科研のデータベースのアクセス件数ですが、令和2年の実績値は、新型コロナウイルスの影響で研究活動が一時的に停止したことや、データベースの改修のため、一定期間システムが停止していたということが目標未達の一因であると思います。ただ、50万以上アクセスがある年もあれば、20万台のときもあり、それだけが全ての要因ではないと考えております。そもそもこのデータベースの存在を知っていただくことが、非常に重要だと思いますが、厚労省のホームページにもデータベースのリンクをきちんと設けて、広く存在を知っていただき、閲覧件数の増加に努めていきたいと考えております。

 7ページの上が、達成目標2についての現状の分析です。指標2について、医療分野研究開発推進計画に定める目標達成に向けた取組について、内閣府が事務局をしている健康・医療戦略推進専門調査会で、新型コロナウイルスによる研究現場への影響や、進捗が不十分となった若干の項目を考慮しても、全体としては順調に進捗という評価を頂いており、一定の成果は見られます。厚労省としても、引き続き関係省庁と連携して、目標達成に努めていきたいと考えております。

 また、同じページの一番下の施策及び測定指標の見直しについて御紹介させていただければと思います。まず、達成目標1、厚労科研の研究成果の還元の指標です。現在、データベースへのアクセス件数を指標としておりますが、アクセス件数というのは直接、国民生活への還元を意味するものではなく、また、件数を見込むことも困難ということもありますので、今後は、アクセス件数ではなく、厚労科研の成果による論文数を新たな指標として設定したいと思います。目標値も年ごとのばらつきがどうしても出てきますので、過去5年度分の実績の平均を上回るという形での設定にしたいと考えております。

 8ページ、次期目標等への反映の方向性で、達成目標2です。AMED研究に関しては、令和2年度から、第2期の医療分野研究開発推進計画が定められております。上部の計画である健康・医療戦略は5か年計画なので、それに合わせた形で推進計画が運用されております。令和6年までに達成すべきKPIが定められており、測定指標の項目が変わったところがありますので、今回、新たに16項目を測定の指標として設定したいと考えております。駆け足で恐縮ですが、厚生科学課からは以上です。

 

○医政局研究開発振興課国立高度専門医療研究センター支援室長

 引き続き、医政局から御説明申し上げます。1ページに戻って、施策の概要の③国立高度専門医療研究センターにおける研究開発です。国立高度専門医療研究センター、通称「ナショナルセンター」とか「NC」と呼んでおりますが、6つの法人があります。それぞれ、がんや循環器疾患など、国民の健康に重大な影響を与える特定の疾患等に関する医療の提供に加え、これらの疾患の調査研究及び技術開発にも取り組んでおります。達成目標ですが、下の目標の3番、高度な診療機能と直結した研究開発機能を有するNC等でなければ確保できない基盤的及び実用化研究に取り組むこととしております。

 4ページ、測定指標です。指標10と指標11が目標値を定めたものです。指標10が治験の受入件数、指標11が発表論文数です。それぞれの測定指標に係る目標値や実績値は、この表を御覧いただければと思いますが、それぞれの指標の第4期の最終年度の目標値が、右から3列目にあります。指標10が第3期の最終年度に比較して20%増、指標11が同じく10%増と設定しております。年度ごとの目標値と実績値については、ここに表示してあるとおりです。各NCにおいて、精力的に治験の受入れや研究成果の論文発表に取り組んだ結果、いずれの指標も、各年度ともに目標値を大きく上回る実績値となっております。

 なお、資料4-2の最後の39ページにグラフを付けております。これは、NCに対する国の財源措置である運営費交付金の予算額の年度推移を表したものです。平成27年度以降は横ばいの状況の中、各NCでは競争的資金や寄附金など、外部資金の獲得に努力をしております。それらを基に、研究開発に取り組んでいるという状況もあります。国からの財源措置が限られている中で、基盤研究や実用化研究の成果の最大化に向けて努力をしているところです。今年度が政策評価の第4期計画期間の最終年度です。いずれの指標も、既に目標値を達成できていますけれども、引き続き研究開発の最大化に向けて取り組んでいるところです。

 資料4-1に戻っていただき、5ページの総合判定です。先ほどの指標の実績値等、達成状況等を踏まえますと、達成目標3に係る施策の取組については、有効に機能していると考えております。簡単ですが、以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。ただいまの御説明について、御意見、御質問等をお願いいたします。山田委員、よろしくお願いします。

 

○山田委員

 これは、事務局にお伺いしたいことです。どこの部局にどういう責任があるかで変わってくるのですが、5ページの総合判定でC、達成に向けて進展がないとなっているのですけれども、指標1の達成状況が×だった、要するにアクセス件数が落ちたというのは、どこの部局に責任があるかという話にもつながりかねないのですが、それを置けば、システムの改修作業の結果、一応アクセス数が落ちたというわけです。ここの部分の評価で、機械的にやると、達成していないので×になり、総合判定がCというのは、政策評価の目的に照らし、真に目標を達成しているかに関して言えば、技術的な要因でアクセスが制限されたと見るのか、やはり件数は落ちているから達成できなかったと見るべきなのか。私は、かなり技術的な要因が強かったのではないかと考えています。

 その辺は、ルール上どういうように考えたらいいのかということが、事務局から説明があれば教えていただきたいと思います。それによって、C判定ではないとなるかもしれません。そこら辺も含めて、お答えできる範囲で教えていただければと思います。

 

○政策立案・評価担当参事官室室長補佐

 今、山田委員から御質問のあった点ですが、1つ前の施策目標でも、遺骨収集事業で当初目標は十数地域だったけれども、コロナで2地域しか行けなかったということで、機械的に当てはめれば×だけれど、△に引き上げているという例がありました。

 これは、理由次第というところでして、今回の令和2年度のアクセス件数が下がってしまった原因が、コロナの影響プラス技術的な改修なので、委員の皆様から御了解を得られれば、先ほどの遺骨収集同様に、機械的に×ではなく、そういった点をここに明記していただいた上で、要するに指標1の判定理由を書くときに、機械的に当てはめれば×だけれども、こういう理由だったから△と書いていただき、その上で、⑤、Cではない、もう1つ引き上げる評価結果にするということは、これまでもやっております。なので、委員の皆様から、「それはおかしいのでは」というような御指摘がなければ、原局と調整の上で修正したいと考えております。ほかの施策でもそのようにしております。

 

○山田委員

 御説明ありがとうございます。私の個人的な意見としては、システム改修というのはかなり大きなものなので、△でもよろしいのではないかと思いましたけれども、ほかの委員はまた別の御意見があるかもしれません。少なくとも私の意見としては、そういうように思います。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。ほかに御意見などはありませんか。特によろしいでしょうか。私も研究者ではありますけれども、山田委員と同じような感想を持ちました。政策評価というと、研究とはなかなか結び付きにくいというか、評価しづらい部分があります。

 ここから先は私が研究者だからというのもあるかもしれませんが、政策評価として×だから、要するに公費が投入されていることと関連付けられると、研究そのものの進捗が意図しない形で収縮するなど、政策評価とやや違った文脈で切り取られるのも本意ではないとも思います。結論から言うと、私も山田委員と同様の感想を持った次第です。

 

○藤森委員

 すみません。藤森です。今の点は、山田委員、菊池座長の考えと同じですので、△に引き上げたらどうかと考えております。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。ということで、過半数の意見になりましたので、ただいまの御意見を踏まえ、取りまとめに向けて評価の仕方について御反映いただければと思います。山田委員から何かありますか。

 

○山田委員

 指標1と申し上げたのですけれども、指標3も、事業組換えを開始したために落ちた部分があるということです。最後に付け加えておきます。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。そういうことで、評価書への反映について御検討を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いします。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。

 続いて、議事次第の2「その他」として、事務局より報告事項があるということですので、よろしくお願いいたします。

 

○政策立案・評価担当参事官室室長補佐

 時間が超過しておりまして、大変申し訳ございません。続いて、事務局から「その他」として、報告させていただきたいと思います。

 本年3月に開催した第28回政策評価に関する有識者会議で皆様から頂いた御意見への対応状況という資料を、参考資料6としてお送りさせていただきました。意見の総数としては61、対応させていただいたものは41%、「今後検討」としたものが36%、「対応困難」となったものが20%弱、事実照会に関するものが数パーセント程度となっています。こちらも、「対応」若しくは「今後検討」、「対応困難」となったそれぞれの項目について、委員の皆様から再検討をお願いしたいなど御意見等がありましたら承りたいと思います。

 また、本日は時間が超過しておりますので、この場でのご発言が難しければ、8月10日火曜日までに書面にて御連絡いただければ、この場での御発言と同様に扱わせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 ただいまの事務局からの御報告について、何かございませんでしょうか。委員御自身の御指摘について、もちろん、今この場での御発言でも結構ですので、いかがでしょうか。山田委員、お願いします。

 

○山田委員

 時間が超過している中、発言の機会をありがとうございます。57番と58番の必要な介護サービスの質・量の確保についてですが、私は前々から問題意識を持っています。やはり質の評価というのは大変難しいと理解している一方で、何かしらの指標は開発する必要があるのではないかと思うのです。実際に研究者としても、ASCOTのような形でいろいろな指標が開発されているわけです。そうした質の評価が難しいということも分かるのですけれども、例えば第三者評価も難しい、虐待件数なども難しいということであれば、まずは1つとして参考指標の形で入れていただいて、その上で分析していただくという形、若しくは介護保険部会でも議論されているように、勤続年数や仕事の経験年数の平均値のようなもので評価していただくということもあると思います。私のアイデア以外にも、原局のほうでいろいろとアイデアをお持ちだと思いますので、そちらも含めて是非、質の評価については入れていただければと思います。時間超過する中、失礼いたしました。以上です。

 

○政策立案・評価担当参事官室室長補佐

 今、頂いた意見については、原局に伝えたいと思います。先生のほうからは、主に介護の質の評価に関する指標が測定指標で難しい場合には、参考指標という形でもということで、原局と調整したいと思っております。調整結果については、年度末の会議に御報告することになるかと存じます。

 

○菊池座長

 ほかにはいかがでしょうか。オンライン参加の皆様、よろしいですか。もし、何か後でありましたら、事務局にお寄せいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

 大分時間が経過して申し訳ございませんでした。予定していた議事は全て終了しました。非常に熱心かつ有意義な御議論を多数頂きまして、ありがとうございました。それでは、事務局から本日の議論の取扱いについて説明をお願いいたします。

 

○肥沼室長補佐

 委員の皆様、本日は本当にありがとうございました。本日頂いた御意見の取扱いですが、まず実績評価書の記載に関する指摘については、担当課において必要な修正を行うとともに、評価書の該当する欄に反映状況を記入させていただきます。

 会議の場で伝え切れなかった御意見、また先ほど参考資料6として私が御報告した点についても御意見等がありましたら、810日火曜日までに、事務局まで御連絡ください。メール等でも若干のタイムラグが生じる場合には、事前に御一報いただければ大丈夫です。

 実績評価書については、当室で取りまとめの上、総務省への通知、厚労省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。最終版がセットできましたら、委員の皆様にも送付させていただきたいと思います。

 また、評価書の記載以外にも、今後の目標設定に関する御議論も多く頂いたかと思います。これらについては中長期的な検討課題にもなりますし、ちょうど今年度末、基本計画の改訂というタイミングでもありますので、事務局で整理の上、今回の資料のような形で取りまとめた上で、進捗状況を皆様に御報告させていただければと存じます。説明は以上です。誠にありがとうございました。

 

○菊池座長

 それでは、これをもちまして本日の会議は終了とさせていただきます。長時間にわたり、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。