第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和3年9月17日(金) 13:00~15:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
○萩森予防接種室長補佐 それでは、定刻となりましたので、第24回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開です。また、前回の分科会と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたします。あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているYouTubeの撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方々におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
開催に先立ちまして、健康局長より御挨拶を申し上げます。
○佐原健康局長 皆様こんにちは。9月14日の異動で、正林の後任で健康局長に着任いたしました佐原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日御出席の委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。また、平素より予防接種施策の推進に御尽力いただきまして、重ねてお礼を申し上げます。
早速ですが、本日は、交互接種や3回目接種等について、先生方に忌憚のない御意見をいただき、できれば本日、一定の方向性をお示しいただけたらと考えております。
ワクチンについては、国民の皆様の関心も極めて高いことから、このような場での議論を踏まえまして、正確な情報を丁寧に伝えていく必要があると考えております。引き続き皆様方の御理解・御協力をお願い申し上げ、挨拶といたします。
本日は、よろしくお願いいたします。
○萩森予防接種室長補佐 次に、本日の出欠状況について、御報告いたします。
磯部委員、白井委員、森尾委員、今岡参考人から御欠席の連絡を受けております。
また、中野委員から遅れる旨連絡を受けております。
現在、委員18名のうち14名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
また、本日は、国立感染症研究所治療薬・ワクチン開発研究センターの高橋センター長に参考人として御出席をお願いしております。
続きまして、本部会の資料についてですが、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方式で実施いたします。資料番号01の議事次第及び委員名簿から番号07の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点等がありましたら事務局員までお申し出ください。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りは以上となりますので、御協力をお願いたします。
(カメラ退室)
○萩森予防接種室長補佐 それでは、ここからの進行は脇田分科会長にお願いいたします。
○脇田分科会長 それでは、皆様どうぞよろしくお願いします。
審議の参加に関する遵守事項について、事務局から報告をお願いします。
○萩森予防接種室長補佐 ありがとうございます。
審議参加の取扱いについて御報告いたします。
本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告いただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、資料07の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は議事内容に関し「退室」や「審議または議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取について通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう引き続きよろしくお願いいたします。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入っていきたいと思いますけれども、今日は、議題の内容が結構盛りだくさんありまして、しっかり議論していきたいと思いますけれども、議論長くなってしまうかもしれませんので、なるべく意見簡潔にまとめていただいて皆様に御発言いただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。もし御発言ある場合は、「挙手」ボタンを押していただくか、画面に顔を出していただいて手を挙げていただくなりしていただければ、こちらから御指名させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入っていきますが、まず事務局から、新型コロナワクチン接種の現状についての説明をお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 予防接種室の九十九と申します。よろしくお願いいたします。
資料1を御覧ください。まず本日は、新型コロナワクチン接種の現状をまず申し上げた後に、本日の論点について進んでまいりたいと思います。
お手元の3ページ目から5ページ目に関しましては、これまでも申し上げております国内感染の発生動向のリバイスでございますので、説明は省略いたします。
資料6ページ目を御覧ください。こちらに関しまして、現在の国内の新型コロナワクチンの接種状況でございますが、1回以上の接種者が今64.9%、2回接種完了者が52.6%となってございます。
7ページ目に関しましても、現在の陽性者、高齢者のワクチン接種率ですが、こちらは説明は割愛いたします。
8ページ目を御覧ください。
こちらは新型コロナワクチンの免疫原性の推移と有効性(VE)の持続期間、8ページ目がファイザー社、9ページ目がモデルナ社でございますが、ファイザー社のワクチンの免疫原性に関しましては、2回目接種後、8か月後の中和抗体価は、2回目接種後7日目と比較しまして、73~92%低下すると言われております。一方、有効性に関しましては、2回目接種後7日目から6か月目までの発症予防効果は91.2%と報告されてございます。右の有効性の持続期間でございます。7日以降2か月未満で96.2%、2か月以降4か月未満で91.1%、4か月以降で83.7%と報告されてございます。
続きまして、9ページ目でございます。モデルナ社ワクチンですが、免疫原性に関しましては、2回目接種後6か月までの中和抗体価は経時的に逓減いたしますが、有効性に関しましては、2回目接種後14日目から6か月目までの発症予防効果は、93.1%と報告されてございます。
続きまして、10ページ目、こちらは国内の報告でございます。これは免疫原性の推移でございますが、ファイザーワクチン2回目接種後の国内の免疫原性に関する知見といたしまして、藤田医科大学からは、接種3か月後に抗体価が減少する旨、また、宇都宮病院からは、接種3か月後の抗体価の影響因子は年齢と喫煙である旨が報告されてございます。ただ、これはいずれもまだ論文化される前の報告でございます。
続きまして、11ページ目、12ページに、国内のワクチンの供給の状況でございます。12ページに、前回の審議会から新たな情報といたしまして、9月6日、武田薬品工業との契約で、新型コロナウイルスワクチンの開発に成功した場合、来年初頭からおおむね1年間で、ノババックス社から1億5,000万回分の供給を受けることになっております。また、協議が公表されるものとしまして、ファイザー社との協議について記載しております。
ここまでで事務局の説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
続きまして、国立感染症研究所治療薬・ワクチン開発研究センターの高橋センター長に、免疫原性とワクチン効果(VE)の違いについて説明していただきます。高橋先生、よろしくお願いします。
○高橋参考人 よろしくお願いします。感染研の高橋と申します。
それでは、資料2の2ページ目を御覧ください。私からは、ワクチンによる免疫について、その免疫研究者の立場から、追加で情報提供させていただきます。
上段、枠内に記載しておりますが、ワクチンによる獲得免疫には、液性免疫と細胞免疫の2種類がありまして、それぞれ抗体とリンパ球を使ってウイルスを排除することが知られています。現在、抗体はワクチンの免疫原性の評価指標として活用されていますが、先ほど御説明がありましたように、時間によって減衰するという報告がされています。ただ、この抗体の減衰が獲得免疫全体の低下並びに予防効果にどれほど影響が出てくるかなというのは現時点では明らかになっておりません。また、細胞性免疫については、抗体に比べてウイルス変異の影響を受けづらく、抗体のバックアップとして獲得免疫に寄与する可能性がございます。
次のページを御覧ください。3ページ目になりますが、こちらでは、ワクチンで誘導された各免疫がどのように予防効果に寄与すると想定されているかという点についてまとめた図になっております。まず、一番上から御覧いただきたいのですけれども、こちらのワクチンで誘導された抗体は、感染したウイルスを直ちに排除することができます。そのため抗体価はワクチンの免疫原性の有効な指標として活用されています。ただ一方、ワクチンで誘導されたいわゆる記憶リンパ球と呼ばれる下の3つの細胞につきましても、予防効果に寄与する可能性があると考えられております。
この右の2番、3番に記載させていただきましたが、これらのリンパ球は完成したウイルスに反応して新しい抗体をつくる。あるいは、感染細胞そのものを除去する能力を持っていまして、これによってウイルスを排除することができます。そのため、抗体価を測定するということは、一番上の1の免疫を評価していますが、この2番目と3番目のリンパ球による免疫を評価していないという点を、ここでは御理解いただければと思います。
次のページ、4ページ目を御覧ください。まず、抗体価を測定する方法、左手になりますが、そちらについては幾つかの方法が知られておりますが、特に1番と2番の測定法は、様々な機関で現在実施されておりまして、そのため、ワクチン接種後の抗体の測定データは、最近、複数の機関から報告されております。一方、リンパ球の測定に関しましては、特殊な研究試薬あるいは専用機器を用いて技術や経験等が必要になります。そのため、リンパ球の測定データについては、現時点では非常に限られた研究機関からの報告にとどまります。
5ページ目を御覧ください。こちらはmRNAワクチン接種後の中和抗体のデータとなります。左手の論文のデータは、先ほど御説明があったモデルナ社のワクチンを接種した中和抗体価の経時推移のデータとなります。右側のデータは、また、別のグループからの研究データとなりますが、どちらも共通しておりまして、2回ワクチン接種後半年を経過しますと、その中和抗体価が4分の1あるいは9分の1にまで減衰するといったデータになっております。
次のページを御覧ください。こちらはワクチン接種後のリンパ球のデータとなっております。これまで報告数が限られておりますので、こちらでは査読前のプレプリントの論文からのデータをお示ししております。まず水色で示しましたのが、感染歴のない方にワクチンを接種して、その後、これら3種類のリンパ球がどのように誘導されたかというのを示しておりますが、結論といたしまして、mRNAワクチンを2回接種しますと、感染歴のある方とほぼ同程度のリンパ球が誘導されることが、このデータから確認されております。また、このプレプリント以外にも、ワクチン接種によってリンパ球が誘導されるという報告は幾つか現時点で報告されております。
最後のページを御覧ください。これまでの免疫研究で分かってきたことについてまとめさせていただきます。まず、抗体価は時間とともに減衰いたします。約半年間でピーク時の4分の1以下に低下することが報告されています。一方、ワクチン接種によって、抗体に加えてリンパ球も活性化されて、既感染者と同じレベルまで誘導されることも確認されております。
現状分かってないことを下にまとめさせていただきました。抗体価は減衰いたしますが、これが獲得免疫全体並びに予防効果にどれほどの影響を与えるのか、現時点では明らかにされておりません。この2番目としまして、リンパ球は、その抗体のバックアップとして予防効果に寄与するという可能性が考えられておりますが、こちらはどのように減衰するかという点についても、現時点では明らかになっていません。3点目として、予防効果ごとに抗体やリンパ球の寄与度が変わる可能性が指されております。最後、これまでmRNAワクチンで誘導された免疫については知見が集まってきておりますが、今後、ワクチンの種類が変われば、その免疫の特性も変わる可能性があることを最後に申し伝えさせていただきます。
私からの説明は、以上となります。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
ワクチンの主に長期的な効果について、今分かっていること、まだ分かっていないことをまとめていただいたということだと思いますが、今、事務局と高橋先生からの御説明に、何か御質問があれば、今お受けしたいと思いますが、いかがですか。
坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 高橋先生、どうも御説明ありがとうございました。1つ質問ですが、例えば、これ、memory B cellとかmemory T cellのほうに依存してくると、抗体が減ってくると感染予防効果はあまり期待できないけれども、memory B cellとかmemory T cellのほうが生き残っていると、いわゆる重症化予防のほうには寄与するという、そういう考えでよろしいでしょうか。
○高橋参考人 今、御説明いただいた可能性が、免疫側の立場から示唆されております。ただ、それに対しては、直接的な科学的なエビデンスはまだないというのが現状になります。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほかはよろしいでしょうか。
それでは、また、後ほどでも結構ですので、御発言いただければと思います。先に進まさせていただきます。
資料1を御覧ください。14ページです。今日は、論点、議題というところが14ページにまとめられています。交互接種、他疾患と他疾病のワクチンとの同時接種、3番目、既感染者への新型コロナワクチン接種、それから、最後にブースター接種、3回目です。ということですので、それで行きたいと思います。
まず、議題の「新型コロナワクチンの交互接種について」1回目と異なるワクチンを2回目に接種する、いわゆる交差接種とも言われておりますけれども、ここでは交互接種と呼んでおりますが、これについては、現在、複数の国において行われているというところです。最初はアストラゼネカを打って、その後mRNAワクチンを打つとか、そういうことが行われているということですけれども、このような諸外国の状況等を踏まえまして、我が国における交互接種をどうするかということで御議論をいただきたいと思いますので、まず、資料について事務局からの御説明をお願いしたいと思います。
○九十九予防接種室長補佐 それでは説明いたします。16ページ目から御説明いたします。
まず、なぜ、この交互接種について議論する必要があるかということでございますが、現在、1回目のワクチンを接種後に重篤な副反応を認めた場合等の理由がありましても、2回目のワクチンに1回目と異なるワクチンを接種すること、これを交互接種と呼びますが、これに関しましては、原則として認められてございません。
こちらは副反応疑いのデータでございます。1回目の副反応疑いの状況でございますが、8月22日のデータロックの状況でございます。ファイザーワクチンに関しましては、副反応疑いのうち重篤と報告されたものは2,587回ですね。武田/モデルナ社ワクチンに関しましては、同じく重篤という報告数が162、アストラゼネカ社ワクチンにつきましては、現在ございません。恐らく、この重篤な報告数のうち、1回目にこのような報告があったものについて、なかなか2回目のワクチンが打てない現状があるのかなと推測したものでございます。
続きまして、17ページは、参考に、副反応疑い報告の概要について記載しております。
18ページ目を御覧ください。
こちらは新型コロナワクチンの交互接種に関する諸外国の対応状況を2ページに分けて説明するものでございます。この国/機関の選び方でございますが、まず、GDPまた人口規模を勘案しまして国を選びまして、それが、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランスとなってございます。また、イスラエルに関しましては、ワクチンの接種が比較的早く、また、いろいろな報告がございますので、今回この国もリストに加えたものでございます。その他WHOとEUを加えました8か国/機関で、この資料全体を見ていきたいというものでございます。
これらの機関のうち6か国/機関は、安全性の観点等から同一ワクチンでの接種の完了を推奨してございます。WHO、カナダ、英国では、1回目にアレルギーを認める。また、同一のワクチンが入手困難である等例外的な状況での交互接種が認められているものでございます。詳細はこの資料を御覧ください。
続きまして、20ページ目でございます。新型コロナワクチンの交互接種の接種間隔に関する諸外国の対応状況でございます。こちらの接種間隔に関しましては、1回目のワクチンの種類に基づいて設定している国、ワクチンの種類によらず一律で設定している国、また、特定の組み合わせについてのみ設定している国がございます。
例えば米国を見ますが、「mRNAワクチンの1回目接種から28日以上の間隔を空けて別種類のワクチンの接種を検討しうる」という記載がございます。ドイツに関しましては、「アストラゼネカ社ワクチンの1回目接種から少なくとも4週間空けてmRNAワクチンの接種を推奨」と記載がございます。フランスに関しましては、「アストラゼネカ社ワクチンの1回目接種から4週間後にmRNAワクチンの接種を推奨」と記載されてございます。また、英国に関しましては、「接種間隔としてはワクチンの種類によらず一律8週間」という記載になってございます。
続きまして、21ページ目を御覧ください。新型コロナワクチンの交互接種の安全性について主要な論文を集めたものでございますが、これまでの知見によりますと、交互接種と同一ワクチンを2回接種した場合を比較しまして、交互接種による重篤な副反応の増加の報告は、現時点においてはされていないと認識してございます。
ここから、説明者を交代いたします。
○川村予防接種室長補佐 予防接種室川村と申します。御説明させていただきます。
九十九補佐から御説明いただいたように、1回目接種の後、同一のワクチンの接種が困難であったとしても、現状2回目に異なるワクチンを接種すること、いわゆる交互接種ですけれども、原則として認めておりません。
一方、交互接種に関して一定の科学的知見は蓄積されつつあるところです。実際、交互接種を認めている国も……
○脇田分科会長 今、何ページですか。
○川村予防接種室長補佐 今、22ページです。
認めている国も複数あるところです。交互接種に関して、1回目と2回目に同一のワクチンを接種した場合に比較して、現時点においては重篤な副反応の出現頻度の明らかな増加は認められていないところです。
こうした状況を受けて、事務局案として、交互接種を可能にするかという論点について、1回目・2回目は同一のワクチンを接種することを原則としつつ、以下のような場合を例として対応する場合に、一定の要件の下で交互接種を行うことができるよう、予防接種実施規則及び予防接種実施要領を改正してはどうかということをお諮りさせていただきます。
例として、例えば、mRNAワクチンを接種した後に重篤な副反応が生じましたと。2回目にmRNAワクチン以外のワクチンを接種する必要があるような場合。あとは、例えば転居とか、どうしてもお医者さんの医学的な判断で1回目と2回目に同一のワクチンの接種を受けることが困難であるといった場合に認めてはどうかと。今後、交互接種の要件については、引き続き諸外国における研究状況等を踏まえて、今申し上げしたような例以外で、さらに交互接種が必要な場合について対応することについて、引き続き検討するといったところでございます。
もし、交互接種をやる場合に、1回目と2回目の間隔をどうするかというところについて、1回目の接種から2回目の接種まで27日以上の間隔を置くこととするというところの案も提案させていただきます。
次、23ページ目を御覧ください。実際の実施規則・実施要領の規定のイメージですけれども、今、附則の第7条のところに、第1項、一号、二号、三号ということで、それぞれファイザー、モデルナ、AZ社ワクチンについて、原則的な接種方法として2回接種するというところを規定しているのですけれども、そこの第2項のところに、重篤な副反応を呈した場合とか、その他原則どおりの接種方法以外の方法で行う何らか必要がある場合について、例外的に第1項に掲げる2回接種する以外の方法を認めますという規定を設けます。
実施要領のほうに、具体的にどういった場合に交互接種を認めるのかというところの規定を設けさせていただきます。まず、重篤な副反応については、省令に既に規定しておりますので、その場合についてはそこで読むというところで、それ以外のケースについては、例えば1回目の接種の対象者が当該ワクチンについて、国内の流通の減少とか転居等によって2回目に同一のワクチンを受けることが困難である場合というのが1つ目。2つ目は、医師が医学的見地から、1回目に受けたワクチンと同一のワクチンを2回目に接種することが困難であるという場合を規定します。
下に書いてあるとおり、27日以上の間隔を置くこととしますというところで規定してございます。
交互接種の資料の説明については、以上でございます。
資料3「予防接種実施規則の一部を改正する省令案要綱について」ちょっと御確認いただきたいと思います。御説明いたします。
今回、こういった交互接種を認めるに当たって、省令改正が伴いますので、この省令改正についてお諮りしますというところで、諮問書を作成してございます。
一番最後のページに、先ほど申し上げたような省令の改正事項について、要綱といった形でまとめさせていただいております。こちらの要綱について諮問という形でお諮りさせていただきたいと思います。
説明は以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
九十九補佐の説明は割とクリアだったのですけれども、川村さんのお話がちょっと聞こえにくいのですよね。音声のほう、事務局でもう少ししっかり調整していただくことが必要だと思いますので、会議進行に重要な点だと思うので、よろしくお願いします。
それでは、議論に入っていきたいと思います。今、御説明があったとおり、交互接種についてどのように考えるかというところで、重篤な副反応があった場合に、2回目の接種ができない、あるいは流通の問題、今まで多分あんまりないと思うのですが、流通の問題で接種が受けられないような場合でも、2回目が受けられるようにしておくというポイントですね。
それをもしお認めいただけるということであれば、どのような接種間隔を空けてそれを行うかということですね。ただし、副反応のデータですけれども、主には、アストラゼネカを1回目行って、それからmRNAを行うというようなデータを蓄積しているようですけれども、日本の場合は主に今mRNAで始まっていますから、2回目にアストラゼネカを使うというのはあまりデータがないので、そこは慎重に見ていく必要があるかなと考えます。接種の間隔については、1回目からほぼ4週間の期間を置くということの御提案ということです。
それでは、委員の皆様から御意見・御質問をお願いいたします。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 この後で議論するかと思うのですが、交互接種を認めるのは、1回と2回だけで、今後、追加接種に議論が及んだときに、追加接種も交差接種のこの省令の改正ですね。これは中身を見る限り、何のときにやるという、つまり1回目、2回目と限定してないので、読もうと思えば、追加接種の場合も読めてしまうのですけれども、もし、そこのところ、追加接種のところで議論されるのかもしれませんが、今の段階で分かればお教えいただければと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほかはいかがですか。御意見・御質問いただきます。
すぐにないようであれば、事務局から、今の坂元先生の御質問にコメントをいただけますか。
○川村予防接種室長補佐 予防接種室川村がお答えします。
御指摘いただいた点については、追加接種について、異なるワクチンを使うことも含めて、どういったワクチンを実際使っていくのかというところについては、後ほど追加接種のほうでも御説明させていただきますが、そういった異なるワクチンを使うことについては、今後、詳細議論させていただきます。
ちょっと先取りして申し上げると、原則、1回目、2回目は同じワクチンを使うこととするのを基本とするのですけれども、そういった点も含めて、後ほど御説明させていただきます。省令の規定ですけれども、実際、3回目使うときにどうするのかという規定ですが、今、第7条のほうが、2回注射するというところを規定しているので、実際、3回目をどうするのかというときには、第7条を再び全体的にちょっと見直さないといけないので、そういった異なるワクチンをどうするのかというところについては、当然、省令2項変更をする可能性はありますし、当然、皆様にそういった点も御相談することになるかと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。坂元先生よろしいですかね。
○坂元委員 はい。
○脇田分科会長 中山先生、手が挙がっています。
○中山委員 中山です。ありがとうございます。今日、議題になるワクチン接種は、全て予防接種法に基づいて。
審査会で被害が起きた場合にはその対応に当たるということでよろしいと思うのですけれども、一応その確認と。
それから、今、脇田分科会長がおっしゃったように、この交互接種については、世界ではアストラゼネカが先にあって、交互接種でmRNAワクチンをしたという例はあるのですけれども、日本で行われるのはその逆になるので、多分、副反応のところで事例が本当に少ないと思うのですけれども、その辺りについては、何か厚生労働省のほうではお考えがあるのかどうかについてお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。中山先生、今、最初の部分、僕のほうでは少し途切れてしまったのですけれども、副反応が起きた場合には、副反応部会のほうで審査をして、それで対応されるから、そこはいいでしょうというお話でよかったですかね。
ちょっと反応がないので。ほかの委員の先生方から、その他でコメント、御質問等があれば、先に伺っておこうと思いますが、よろしいですか。
中山先生、聞こえますか。
記録に残りますから、お答えしていただこうと思いますけれども、先ほど私もちょっとコメントしたのですけれども、今、主な国は、アストラゼネカからmRNAに交差接種していると。多分米国で、mRNAワクチンを主に使い始めた国において、2回目使えないところがそのほかのワクチンに行くということですが、米国などはアストラゼネカはまだ承認されてないはずだったと思うので、この日本がやろうとしているファイザー、モデルナからアストラゼネカというパターンは、国際的にもまだ少ないのかもしれませんが、その辺りをどのようにフォローしていくか、そこの辺り、事務局、予防接種室からコメントございますか。
○九十九予防接種室長補佐 座長よろしいでしょうか、お答えいたします。
○脇田分科会長 お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 お答えいたします。
今、御指摘のアストラゼネカ社ワクチンを打った後にmRNAワクチンにという知見は蓄積されているけれども、その逆はどうかという御指摘でございます。こちらにつきまして、21ページ目を御覧ください。21ページ目の2つ目の英国のデータでございます。こちらにつきましては、アストラゼネカを打った後にファイザー社ワクチンを打ったもの、また、ファイザー社ワクチンを打った後にアストラゼネカ社ワクチンを打ったものの比較でございます。
同じワクチンを打ったものと含めて4群の比較でございますが、この4群におきまして、特に1つ以上の副反応を起こした患者数の発生割合について有意な差を認めなかったという報告はございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。いずれにしても、副反応についてはしっかりフォローアップをしていくということになろうかと思います。
中山先生、これで大丈夫でしょうか。
○中山委員 すみません。今のところは、全然電波が切れてしまって見えなかったのですけれども、副反応については十分検討されるということですよね。
○脇田分科会長 21ページの英国のところを見ていただくと、4群でやっていて、アストラゼネカからmRNA、それから、mRNAからアストラゼネカというのも入って、そこで有意な差はないということが英国では出ているということです。
○中山委員 ありがとうございました。
○脇田分科会長 私のほうでフォローアップしたのは、副反応はしっかりとフォローアップしてくださいと。
○中山委員 ありがとうございます。
○脇田分科会長 では、釜萢先生お願いします。
○釜萢委員 この交互接種を行う場合に、最初と2回目とで、両方ともmRNAワクチンを使うという選択はないのでしょうか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。これはモデルナとファイザーの交互接種という意味ですね。
○釜萢委員 おっしゃるとおりです。
○脇田分科会長 事務局、いかがでしょうか。
○九十九予防接種室長補佐 お答えいたします。予防接種室の九十九でございます。
御指摘いただきましたのは、同じmRNA同士のワクチンの交互はあるのかという御指摘でございます。これに関しましては、結論から言いますと、状況によりまして、医師の判断によりまして、そういった接種をすることは否定しないというものでございます。ただ、しかしながら、これは申し上げないといけませんのは、仮に、その理由が、強いアレルギーがあったり、そうした場合に同じモダリティであること、また、ファイザーワクチン、モデルナワクチン、いずれもポリエチレングリコールですね、そういったものを使用しておりますので、そういったことは医師の判断の中にしっかり御検討いただく必要があるかなと思っておりますが、これを除外するものではないというふうにお答えいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
ですので、流通の問題というところも、交互接種を可能にするところに入っていまして、ファイザー、モデルナで交互接種とすることも妨げるものではないという御説明でした。
釜萢先生、よろしいでしょうか。
○釜萢委員 ありがとうございます。分かりました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほかいかがですか。
坂元先生どうぞ。
○坂元委員 21ページの論文を読むと、交互接種でワクチンの組合せによっては、2回目を変えたほうが非常に効果が高いというデータが多分かなり示されていると思うのですね。今のところは、ワクチンのアレルギー等で2回目を変えなければいけないという理由ですけれども、もし、効果ということからそういう希望者が出たときに、この場合は我々自治体としては受けていいのか、いや、これはあくまでもそういう副反応の観点から見てというふうにやるのか、ちょっとそこら辺の問題にも多分詳しい市民は出てくると思うのです。そこら辺お考えをお教えいただければと思います。
○脇田分科会長 この点ですね。委員の先生方、ほかにこの点に関して御意見ございますか。もし、よろしければ、そうしましたら、事務局からコメントをお願いします。
○鶴田予防接種室長 事務局です。
ページ数でいきますと、23枚目のスライドを御確認できればと思います。今回、交互接種をするに当たってどのような改正をするかを規定しているわけですけれども、下の枠の「予防接種実施要領」の(イ)のところを御確認いただければと思います。(イ)のところですけれども、医師が医学的見地から、接種対象者が1回目に接種を受けた新型コロナワクチンと同一の新型コロナワクチンを2回目に接種することが困難であると判断した場合につきましては、別のワクチンを使うことを可能とするものでありますので、医師が総合的に判断をした上で対応するということになります。
ただ、繰り返しになりますけれども、原則は同一のワクチンを使うということで考えておりますので、この規定の枠組みの中で、かなりお医者さんにも裁量があるわけですけれども、現場の運用がなされると捉えております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。ただ、アストラゼネカ社のワクチンは、接種間隔はたしか8週間でしたね。それは結構間隔が長いので、今はまだ接種できる場所は限られているので、転居等によって、2回目打てるのがmRNAになってしまうという場合はあるかもしれないと。そういった転居等によって打てないという場合には、2回目にmRNAワクチンの接種もあり得るというふうに理解します。
そのほかはいかがでしょうか。
鈴木先生お願いします。
○鈴木委員 はい、鈴木です。
今、議論になっておりますのはmRNAワクチンとアストラゼネカ社のワクチンですけれども、今後、新たに、またワクチンが登場した際にも、今回の交互接種を認めるというのはそのまま当てはまるのか、また、改めて議論になるのかということを確認させてください。
○脇田分科会長 ありがとうございます。この点、事務局お答えをお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 お答えいたします。九十九でございます。
現時点で行われている知見におきまして判断したものでございます。したがいまして、今後、新たなワクチンに関しましては、また、改めて、当然議論が必要だと考えてございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。現状、今3種のワクチンが承認されているので、その3種において考えるということですね。
そのほかはいかがですか。
大丈夫でしょうか。おおむね大きな反対意見はなかったと考えます。資料3は分科会への諮問でありますので、ここは我々判断しなければいけないということですが、さらに、その前に御意見・御質問等があればお伺いしたいと思いますが、大丈夫ですか。
そうしましたら、資料1で説明があったとおり、交互接種については、省令の改正案というところに盛り込まれておりますので、この諮問された原案をお認めをいただけますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 皆さん首肯していただきまして、大きな反対はないと思いますので、了承していただいたと判断させていただきます。どうもありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、省令の発出のための事務手続を進めていただくようにお願いいたします。
次に進ませていただきます。2番目に、ほかの疾病のワクチンとの同時接種についての議論をさせていただきます。また、資料について事務局から御説明よろしくお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 それでは説明いたします。
まず、25ページ目を御覧ください。新型コロナワクチンと他疾病のワクチンの接種間隔につきましては、これは実施要領で規定されてございますが、現状、定期接種に係るワクチンに関して、これは生ワクチン(注射)同士以外の組み合わせに関しまして、接種間隔に特に制限は設けていませんが、新型コロナワクチンに関しましては、これまで使用実績がないことから、異なるワクチンとの接種間隔は原則として13日以上の間隔を置くこととしているものでございます。
26ページ目は参考までですが、2020年10月に改正されまして、注射生ワクチン同士以外の接種間隔の規定はなくなったということでございます。
続きまして、27ページ目を御覧ください。
こちらは、新型コロナワクチン以外のワクチンとの接種間隔に関する諸外国の対応状況についてまとめたものでございます。新型コロナワクチンと他疾病のワクチン、これは例えば季節性インフルエンザワクチン等でございますが、こちらの接種間隔に関しましては、利用可能なデータはないものの、同時接種を推奨する。また、同時を含むいかなるタイミングでの接種も認める。また、14日間の間隔を空けることを推奨するなど、諸外国の対応は様々でございます。
例えば、WHOでは、少なくとも14日間の間隔を置くべき、米国に関しましては、ほかのワクチンとの同時接種を含むいかなるタイミングにおいても接種してよいとされておりますが、注釈としまして、ほかのワクチンとの同時接種に関する利用可能なデータはないもののとなってございます。カナダに関しましては、ほかのワクチンとの接種後最低14日間は新型コロナワクチンの接種は待つことが妥当とされておりまして、英国に関しましては、経験的に、抗原性の異なる不活化ワクチン間の干渉は限定的と考えられると、タイミングを問わずワクチンの接種を進めるべきとなってございます。ドイツでは、ほかのワクチンを接種してから少なくとも14日間の間隔を空けるべき。フランスに関しましては、ワクチン接種スケジュールを簡素化するために、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種を推奨とするように対応が分かれている状況でございます。
28ページ目を御覧ください。
「まとめ」です。現状、定期接種に係るワクチンに関しましては、生ワクチン(注射)同士以外の組み合わせに関しまして、接種間隔に制限を設けておりませんが、新型コロナワクチンに関しては、これまで使用実績がないことから、異なるワクチンとの接種間隔は原則として13日以上の間隔を置くこととしております。
米国や英国等の一部の国におきましては、新型コロナワクチン以外のワクチンとの接種間隔の制限について、一定の緩和が進んでおります。一方で、いまだ同時接種に関する十分なデータはなく、WHOやカナダ、ドイツ等、異なるワクチンとの接種間隔について、少なくとも14日間のインターバルを設けるべきとしている国等も散見されます。
ここで、事務局案を申し上げます。現在、異なる種類の生ワクチン(注射)同士を接種する場合のみ27日以上の接種間隔を設けているところ、新型コロナワクチンと他疾病のワクチンとの同時接種に関しては、安全性に関する十分な知見が得られていないことから、現時点では原則として13日以上空けることとしてはどうか。さらなる科学的知見を収集しまして、一定の接種間隔を置くか否かは、引き続き検討してはどうかと考えてございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。事務局の音声が時々聞こえにくくなるのですね。多分、電波あんまり強くないような感じなので、説明のとき画像を消してもらったほうがいいかなと思います。
それでは、ただいまの御説明は、ほかのワクチン、特にこれからインフルエンザワクチンのシーズンになってきますので、同時接種してもよいのか、それとも間隔を空けたほうがよいのか、空けるとしたらどれぐらい空ける必要があるのかということですが、諸外国でも様々な考え方で進められているということですね。
自治体のほうのいろいろな手続とか接種のことを考えると、同時接種できたほうがよりやりやすいということはあるのでしょうけれども、まだ安全性の十分な知見が得られていないので、現時点では原則として13日以上空けるという事務局からの御提案。ただ、さらなる知見を収集すると。諸外国における状況も見るということですね。米国では同時接種しても構わないということ、それから、英国はタイミングを問わずにというようなことですが、そのほか、ドイツ等では14日間を空けるべき、WHOも空けるべきというようなことでございます。
それでは、皆様から御質問・御意見等あればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。ここは自治体の意見も伺いたいなと思いますが、信澤先生どうぞ。
○信澤委員 ありがとうございます。
少し先走った意見かもしれませんけれども、現在、モデルナ社等でインフルエンザとコロナの両方のmRNAを含むワクチンをつくろうという向きが聞こえておりますので、現時点で、インフルエンザワクチンとの間隔を空けるという対応は反対するものではありませんが、今後に出てくるワクチンとのことも考えていかなければいけないのではないかということをちょっと思いました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
中野先生、続けてお願いします。
○中野委員 中野でございます。
2月15日の第19回の分科会において、例えばけがをしたときの破傷風トキソイドとかいろいろなケースで、医療上必要な場合もあるので、そういうときは接種していいですかというお尋ねを申し上げて、そのときは、「医療上必要があれば問題ない。これはあくまで絶対ではなくて原則としてである」とお返事いただいて、私も今、現場でそのように対応しています。
確かに、コロナワクチンを打った後、大きな外傷をして破傷風トキソイドを打たなければならないというケースはありますし、あと、医療者ですと、勤務していただくのにちょっと麻疹の免疫がなくてというのはちょっと大変かなと思うので、いろいろなケースで対処していますが、間違いがあってはいけないので、今は14日という日にちで明示していただくのはいいと思うのですが、分科会長がおっしゃったように、これからインフルエンザワクチンのシーズンになってまいりますと、なかなか現場での運用上難しい点が出てくるような気がします。
それと、安全性を多数例でもちろん調べられれば一番いいのですが、私たち、コロナのワクチンかなりの本数これまで打ってきて、日本はかなりの速度で追いついてきて、何日目にどういう症状が出るかというのが、医療者にも一般の方にも分かりつつあると思うのですね。ですから、その情報提供を十分にした上で、患者さんにも負担にならないように、この副反応どっちなのだろうと分からないような状況にしてはいけないですが、十分事前説明と情報提供を行った上で、可能であれば、インフルエンザのワクチンが打たれるシーズンの前に、これが解除できるといいなと思っています。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
伊藤(澄)先生、続けてお願いできますか。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
中野先生と同じですけれども、自衛隊の方々とか医療従事者で複数のワクチンをたくさん打たなければいけないようなことがあるので、それの間隔を空けるのは大変苦労をいたしましたので、できるだけ早めの時点で評価をしていただいて、同時接種が可能なような状況になってくるといいなと思います。
とりわけ、ここ三、四か月の段階でいろいろなエビデンスが集まってきて、メジャーな国でも同時接種が認められている状況になってきたことから、早めの時点で見直しの判断をしていただきたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、今、信澤先生からは、今モデルナ社が開発しているようなものも出てくるので、そういったものも見ていく必要があると。それから、中野先生、伊藤(澄)先生においては、現場において、複数のワクチンの同時接種、これは医療上の必要性があった場合に、それは可能であるのかということと、それから、今後、解除の方向性はどのようにして判断をするのか。できれば、早めに判断をしてほしいということですけれども、ここは事務局からコメントをいただけますでしょうか。
○九十九予防接種室長補佐 御質問ありがとうございます。
先ほど説明の中でもございましたが、現時点において、同時接種に関する知見がまだ十分ではないのではないかというようなまとめ方をいたしましたが、逆に言いますと、そういった知見がある程度蓄積した段階で、また、改めて、この分科会におきましてお諮りしたいと思ってございます。
また、中野先生から御指摘いただきました、現在分かっている副反応の状況に関しまして、こちらは定期的に副反応に関する部会を開いておりますが、こういったところを通して、分かりやすく、また、迅速に分かっている情報を届けていきたいと考えております。引き続き、知見の収集に努めてまいりたいと思います。
また、現在分かっていることといたしまして、新型コロナワクチンとほかのワクチンを同時に接種するような研究も海外で走っていると承知しておりますので、そういった知見もしっかりと見ていきたいと思ってございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 あとは、中野先生からお話ありました、現在でも医療上の必要性があったような場合、破傷風トキソイドのようにという御説明がありましたけれども、そういう場合には、そこは絶対駄目ということではないのですねという御質問がありましたけれども、いかがですか。
○九十九予防接種室長補佐 お答えいたします。
先ほどの御説明いただいたとおりですが、「原則として」と書いておりますので、当然そのようなケースは認められると考えてございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、ほかの委員の先生方、もし御意見ありましたら。
釜萢先生、お願いいたします。
○釜萢委員 ありがとうございます。
中野先生、伊藤(澄)先生の御指摘もそのとおりだと思います。
あと、もう一つ考えなければいけないことは、今年の季節性インフルエンザのワクチンの供給が、10月開始の当初というか、10月分の供給が少し少ない、抑制されるということもあって、まず、新型コロナワクチンを若い方も含めて成人に早く2回接種するということのほうが現時点では私は優先されると思いますので、事務局案のように、まずは、2週間という間隔を残した形でやってみて、そして、知見が整ったところで、また、方針を考え直すというのが、私は一番妥当ではないかと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。特に高齢の方は、既に随分前から接種始まっていますのでということかもしれません。
川俣さん、お願いします。
○川俣委員 いろいろなところの国の報告では、少なくとも14日間の間隔を置くべきと皆さんから出ているのを、なぜ、この厚生労働省令では13日以上ということにしているのか。行政的なので、13と14で違うだけでちょっと面倒なことがあると思うので、できたら統一できないのかなと思いまして、ちょっと御意見を聞きたいです。
○脇田分科会長 事務局、ここいかがでしょうか。
○川村予防接種室長補佐 予防接種室川村がお答えいたします。
我が国の13日以上ですけれども、すみません、ちょっとテクニカルな話ですけれども、民法の日付の計算のところで、翌日から起算するというところで、初日が不算入になりますので、それで、ちょっと13日という表現になっているのですけれども、海外のほうは初日を算入する形の国がままありますので、そこの表現がちょっとずれてしまったりとかという部分はあると思います。諸外国が、初日を算入するかしないかというのがあるので、そういった法令的なテクニカルな点です。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。ですから、そういったところをなるべく分かりやすくならないものかという御意見だったと思いますので、御検討のほうをよろしくお願いします。すぐには、これまでの経緯がありますから、なかなか難しいかもしれませんが、よろしくお願いします。
ほかにいかがでしょうか。
よろしいですか。
それでは、できれば知見がある程度整った段階で、早めにもし解除できるようなものであれば、解除していくということは、委員の皆様から御意見があったところですけれども、現時点では、13日以上空けると。つまり、2週間空けるということで進めていただくという事務局案のとおりでよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 特に反対の御意見ないようですので、ありがとうございました。そうしましたら、事務局案のとおりに進めていただくように、よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、今度は既感染者のほうですね。既にコロナにかかった方へのワクチン接種についての議論に進みたいと思います。資料のほうを、事務局から御説明よろしくお願いします。
○九十九予防接種室長補佐 よろしくお願いいたします。
既感染者の新型コロナワクチン接種に関しましては、3つの論点がございます。29ページ目をお開きください。まず1つ目が、既感染者に対する新型コロナワクチンの接種回数は1回接種で十分か。2つ目が、新型コロナウイルスの感染から回復後、新型コロナワクチンの接種までに一定の間隔を置く必要があるかどうか。3つ目が、モノクローナル抗体による治療を受けた後の、新型コロナワクチンの接種時期をどう考えるかというものでございます。
30ページ目を御覧ください。
まず1つ目の新規感染者に対する新型コロナワクチンの接種回数に関するものでございますが、こちら、今、報告を2つ挙げております。こちらはいずれも正式な査読を受けたものではございませんが、新型コロナウイルスの既感染者に対しまして、新型コロナワクチンを1回接種した場合、新型コロナウイルスの感染の既往のない者が新型コロナワクチンを2回接種した場合と同等またはそれ以上の抗体価が得られるとの報告があります。ただし、これらの報告では、有効性(発症予防効果等)についての言及はございません。
続きまして、31ページ目を御覧ください。こちらは、新型コロナウイルスの既感染者のうち、ワクチンを接種する者とワクチン接種を行わない者を比較した場合、ワクチン接種を完了した者と比べまして、ワクチン接種を行わない者の再感染が増加するとの報告がございます。
この表を見ながらお聞きいただければと思いますが、ワクチン接種を行わなかった既感染者は、ワクチン接種を完了した既感染者に比べまして、再感染のオッズ比が2.34であったというところで、これは1をまたいでいないというところでございます。ワクチンの部分接種完了者とワクチン接種完了者の間には、再感染のオッズ比に有意な差は認めておりませんでしたが、このオッズ比は1.56となっているものでございます。
32ページ目を御覧ください。
それでは、諸外国の対応状況ということで、既感染者への対応状況でございます。これは2ページにわたっておりますが、既感染者に対する新型コロナワクチンの接種に関しましては、ワクチンの供給状況等を鑑みて、症状の回復後に接種までに一定の期間を設けている国もございますが、症状の回復した時点で接種を可能としている国も複数ございます。また、既感染者への新型コロナワクチンの接種回数に関しましては、国によって対応にばらつきがあるという状況でございます。これを示したのが32ページと33ページでございます。
続きまして、次の論点でございますが、34ページを御覧ください。新型コロナウイルス感染症に対するモノクローナル抗体について説明した資料でございます。
新型コロナウイルス感染症に対する中和抗体薬「ロナプリーブ」が7月19日に特例承認されてございます。同薬の投与後の新型コロナワクチンの接種に関しましては、安全性と有効性に関するデータは十分ではなく、その投与は禁忌とはされていないものの、接種時期を遅らせることが推奨されております。このために、実際の予防接種の現場において運用上の支障が出ているという声を聞いております。
ロナプリーブの使用状況でございますが、これは8月31日時点で、投与数の見込みが約13,000人となってございます。
右を御覧ください。ロナプリーブの適正使用ガイドに書かれておりますが、CDCによる米国特有の勧告では、受動抗体治療の投与後少なくとも90日間はこの新型コロナワクチン接種を延期することを推奨しているという文言がございます。
CDCのコメントの2つ目を御覧ください。過去90日以内に受動的抗体療法を受けていても、新型コロナワクチンの接種は禁忌ではないということも書かれてございます。
それでは、諸外国の対応がどうなっているかということで、35ページ目を御覧ください。
諸外国におきましては、モノクローナル抗体の投与から新型コロナワクチン接種までの間隔については、特に制限を設けていない国と、アメリカのように追加のデータが入手可能になるまでの予防措置として90日間の間隔を推奨している国がございます。この表で見ますと、具体的にこの90日を空けているのは米国のみとなってございます。
36ページ目を御覧ください。こちらが論点のまとめでございます。
新型コロナウイルスに感染した者に関しましても、ワクチンを接種しない場合より、ワクチン接種を行ったほうが再感染リスクを低く抑えることができると考えられておりまして、WHOやCDCなどは、新型コロナウイルスの感染から回復した段階での接種を推奨してございます。
一方で、接種時期につきましては、回復した段階で接種してよいのか、それとも回復後に一定期間接種を見合わせるのか、現場の医師によって見解が異なるところでございます。
また、既感染者に対する新型コロナワクチンの接種回数につきましては、諸外国においても、対応にばらつきがありますが、現時点におきましては、積極的に1回接種を推奨するには、いまだ科学的知見が十分とは言えないのではないかと考えてございます。
また、モノクローナル抗体等を用いた後の新型コロナワクチンの投与に関しましては、安全性と有効性に関するデータは十分ではなく、その投与は禁忌とはされていないものの、接種時期を遅らせることが推奨されているために、予防接種の現場において、運用上の支障が生じていると認識してございます。
諸外国におきましては、モノクローナル抗体を投与後の新型コロナワクチン接種につきまして、接種間隔を設けていない国も散見されます。
以上のことから事務局案でございます。
現時点におきましては、既感染者に対して積極的に1回接種を推奨するには科学的知見が不足していることから、既感染者に対しましては2回の新型コロナワクチンの接種を推奨し、引き続きさらなる知見の収集を踏まえ必要な対応を検討してはどうかということでございます。
また、ワクチン接種を希望する既感染者が、円滑にワクチンを接種できるように、以下の内容を明確化してはどうかと思っております。
1つ目が、新型コロナウイルスの感染から回復した段階で、ワクチン接種を受けられること。
2つ目が、モノクローナル抗体による治療を受けた場合は、治療から90日以降にワクチン接種をすることを推奨している国があること。
3つ目は、モノクローナル抗体による治療を受けた場合であっても、本人が速やかにワクチン接種を希望する場合は、治療から90日間経過していなくても接種が可能であること。
4つ目は、本人が治療内容を記憶していない場合であっても、速やかにワクチン接種を希望する場合は、治療から90日間経過していなくても接種が可能であることを明確にしていきたいと思っております。
こちらについて御審議いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 御説明ありがとうございました。
感染した人に対するワクチン接種ですけれども、回復した後に接種をしていただくほうがよいだろうということで、ただし、1回でも十分に抗体が上がるというようなデータもあるけれども、それで本当に十分なのかということに関しては、まだ知見が十分ではないことから、2回の接種を今の時点では推奨したほうがいいのではないかということですね。
それから、モノクローナル等の抗体療法を受けた後のワクチン接種の時期をどう考えるかということです。
これは干渉という問題と再感染は少ないと。90日間で再感染は少ない。つまり、抗体がまだ残っているのでということですね。
それでは、委員の先生方から御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
伊藤(澄)先生、よろしくお願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
モデルナ社のワクチンの副反応の調査を副反応部会のほうで報告させていただいておりまして、既感染の方に1回目のワクチンの接種をしたときには、2回目の接種ほどではないにしても、ある程度反応しているという副反応が得られています。その方が2回目、感染から合わせると3回接種されたときには、2回目の接種、その方のワクチンの1回目の接種とほぼ同じような状況であったと認識をしておりますが、副反応の程度と抗体価の上昇がリンクするかしないかと言われると難しいところではありますが、通常の2回接種をする方に比べて1回接種だけでは、副反応の程度はそれほど強くないところも含めて考えますと、2回接種も前提にお考えになられてもいいのではないかなと思います。
ただ、もう一つ、カクテル療法の件ですけれども、半減期が19~22日ということから考えると、90日でほぼ大体半減期の5倍でゼロになりますから、その時点では抗体薬の効果がほぼないという状況で90日というデータが出ているのだろうと思います。それが本当に抗体薬が体の中に残っているとワクチンの発現が十分ではないかどうかというのはよく分かりませんけれども、そういったことが背景なのだろうなと思います。そちらのほうが意見です。以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
坂元先生、お願いいたします。
○坂元委員 数はそんなに多くないのですが、我々自治体のほうに感染した後、どれぐらい期間を空けていいかという問い合わせは結構あるのです。特に川崎市は非常に感染者がかなり出たので、そういう問い合わせが結構来て、主治医に聞いてくださいと返して、結構怒られてしまった経緯もあります。ある程度の目安ですが、制度として何日後とつくるのは難しいと思うのですが、ある程度我々市町村とか、それから、接種されている先生が問い合わせに答えられるような簡単な目安みたいなのは示せるといいかなと思います。
しかし今のデータの中では、何日以降とかいうのは多分データ的には無理だと思うのですが、それでも目安的なものがお示しいただければなと思います。でも、最終的には、受ける方とその打つ先生の判断でいいと思うのですけれども、目安的なものが示せれば、ここはいいのではないかなとは思っております。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
川俣市長、お願いいたします。
○川俣委員 坂元さんと同じように自治体においては、逆に言ったら、その方が感染をしたかどうかというのは分からないので、その方本人の報告でしか分からないことなので、集団接種している中でいらっしゃって、どうしますかということはちょっと難しいので、プライバシーにもなってしまいますし、個人情報にも反してしまうので、回復した段階でという言葉のほうが御自分でも判断できるのかなと。
あとは、感染された方にはその医療機関で御指導をすごくしていただければ対応しやすいのかと思いますので、そちらの指導もしていただけるとありがたいなと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、御意見いかがでしょうか。
逆に言うと、なかなか目安はつくりにくいところかもしれないなとも思います。
釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 り患してしまった場合にはきちんと治癒してからというのは当然で、症状が残っていたり、まだ完治していない不安を感じている場合に接種ということはないだろうと思います。坂元先生が言われるように接種可能時期の目安を示したいという思いはありながら、それはなかなか難しいような気がしますので、医師が治癒と判断をした場合には接種が可能であるとしてよいと考えます。
一度り患した場合、ワクチン接種と比べると免疫の獲得が不十分というようなレポートもあるので、既感染者であってもワクチンを打つということ、それも2回接種とする原案のとおり、私はそれでいいと思います。
それから、モノクローナル抗体を打った後の間隔についてはなかなか難しくて、まだよく判断がしにくいところがあるので、事務局提案のように、2で、こういう国があるということを示し、かつ、3、4という配慮をしていただいていれば、現場では対応しやすいのかなと思います。現場の医師が何日でと言うのもなかなか根拠がなくて難しいなと思うことに加え、90日たたないと駄目だと強く決めると、4に書いてあるように、治療内容の確認がなかなかできないために、ワクチンが打てないというのも困るなと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがですかね。
ワクチンが今、mRNAワクチン、ベクターワクチンの2種類であって、抗原のワクチンでもないというところなのですね。だから、抗体が存在していても、それほど干渉ということは考えなくていいだろうし、それから、我々の領域だと、B型肝炎で母子感染予防のときに、免疫グロブリンを生後すぐに打って、ワクチンを同時接種すると。B型肝炎のワクチンは、抗原を打っているわけですね。ということがあっても、効果に影響はほとんどないという例もあるわけですけれども、せっかく高橋先生いらっしゃいますから、モノクローナル抗体療法を終わった後の人に、治療後90日待たなくても直ちにワクチンを接種することによる緩衝効果というか、そういうものを考えたほうがいいのか。それとも、それはあまり考える必要がないのか、高橋先生どのようにお考えですか。ちょっと御意見いただければ。
○高橋参考人 ありがとうございます。
今回、この抗体カクテル療法で使われている抗体、2種類のモノクローナル抗体ですけれども、1種類の抗体は非常にまれなエピトープといいますか、そのワクチンで誘導される抗体とはかなり異なるエピトープになりますので、干渉するとしましたら1つの抗体のほうになるかと思います。
ただ、それでもやはり1種類のモノクローナル抗体で実際抗原領域の大部分をカバーできるか、そういうことは、今得られている知見では、可能性が極めて高いのかなという印象を持っておりますので、脇田先生もコメントされたのに私も同意でして、干渉作用というのは、今ある明確なエビデンスではあまりないのかなというのが印象です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほかいかがですか。
特によろしいでしょうか。
そうしましたら、この事務局案で進めていただくということでよろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そうしましたら、事務局におかれましては、この案のとおりに進めていただくようによろしくお願いいたします。
それでは最後に、ブースター接種ですね、追加接種の議論を行いたいと思います。この追加接種ですけれども、既に複数の国において実施をされておりますが、日本においても、感染の動向であったり、それから、ワクチンの効果の持続時間であったり、科学的なエビデンス、それから、諸外国の対応状況等を踏まえまして、この追加接種を行うかどうかということをこの分科会で御議論いただきたいということです。
資料について、事務局から説明をお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 よろしくお願いいたします。
それでは、38ページ目を御覧ください。
まず、追加接種を行う必要性についてに関する資料でございますが、新型コロナワクチンの有効性の経時的推移について、これはACIPの8月30日の資料を持ってきたものでございますが、これを見ますと、Vaccine effectiveness、これは感染予防効果に関する各報告をまとめて記載されたものでございますが、これを見ますと、新型コロナワクチンの有効性に関しましては、経時的に減少する可能性が指摘されてございます。なお、このワクチンの有効性に関してですが、同じようなタイミングでデルタ株が世界的にはやってまいりまして、これがデルタ株の影響も受けているのではないかというような指摘もございます。
39ページ目を御覧ください。
それでは、デルタ株に対する新型コロナワクチンの有効性についての資料でございますが、デルタ株に対するワクチンの感染予防効果は、ファイザー社ワクチンの2回接種後で88%、アストラゼネカ社ワクチンの2回接種後で67%との報告がございます。2回接種後の感染予防効果についてですが、ファイザー社ワクチンは、アルファ株で93.7%、デルタ株で88.0%となってございます。アストラゼネカ社ワクチンに関しましては、アルファ株で74.5%、デルタ株で67.0%と報告されてございます。
続きまして、40ページ目、41ページ目は、追加接種に関する諸外国の対応状況をまとめた資料でございます。こちらは、追加接種を始めた順に国をソートした資料でございますが、この追加接種に関しましては、人口全体を対象として追加接種を実施する国、また、ハイリスク者に限定して追加接種を実施する国、また、引き続きエビデンスを注視するなど、諸外国の対応状況は様々でございます。
また、42ページ目を御覧ください。
こちらは諸外国における新型コロナワクチンの1回目、2回目と、また、追加接種の開始時期を並べた資料でございます。ここでは、2回目の接種の時期が明確に記載がありませんので、1回目と2回目の接種間隔を1か月と想定するという注をつけてございます。これによりますと、2回目接種開始想定時期から追加接種の開始、これは免疫不全者のみを対象とした追加接種を除いておりますが、この期間に関しましては、イスラエルでは約7か月、フランス・ドイツでは約8か月、米国・英国では8か月以上となっているものでございます。
続きまして、43ページ目を御覧ください。
それでは、追加接種を行ってどれぐらい免疫原性が変わるのかということでございますが、ファイザー社の報告ですが、2回目接種後と比較しまして、3回目の追加接種により中和抗体価が増加すると報告しております。
ここで資料の訂正をさせていただきますが、直前に、委員の先生方には訂正させていただきましたが、四角囲みの2行目の「野生株に関して5倍以上」と書いておりますが、これは「4倍以上」の間違いでございます。すみません。訂正いたします。
続きまして、44ページ目を御覧ください。
今度はモデルナ社の報告でございますが、モデルナ社は、ワクチンを50μg、これは現行用いられている100μgの半量を使用した追加接種により、野生株及び懸念される変異株に対する中和抗体価は増加すると報告されてございます。
続きまして、45ページ目を御覧ください。
こちらはアストラゼネカ社の報告でございますが、アストラゼネカ社ワクチンに関しましても、3回目の接種後に、抗体反応及び中和抗体価が増加するとの報告がなされてございます。
続きまして、46ページ目を御覧ください。
それでは、追加接種の副反応についてまとめたものでございます。追加接種の副反応に関しましては、ファイザー社ワクチンとアストラゼネカ社ワクチンに関しましては、1回目または2回目接種後と比較して、同程度もしくは低い頻度、モデルナ社ワクチンは、認容できる安全性プロファイルと報告されてございます。
ファイザー社に関してですが、一番上の行でございますが、2回目接種と比べて、副反応の頻度は同程度もしくは低かった。また、重大な全身性の副反応の発生頻度は低かったとされております。2件目、アストラゼネカ社でございますが、3回目の接種後、中等度から重度の全身性の副反応を2つ以上報告しておりますが、これは1回目接種後よりも少なかったと。具体的には5%と34%になってございます。続きましてモデルナ社でございますが、こちらでは先ほど申し上げましたが、3回目接種は認容できる安全性プロファイルであったと報告がなされております。
47ページです。まとめでございます。
諸外国におきまして、2回の新型コロナワクチンを接種した場合であっても、接種後の時間の経過とともに、ワクチンの有効性や免疫原性が低下することが報告されてございます。一部の国におきましては、2回のワクチンを接種後、一定の間隔を置いて追加接種を実施する方針が打ち出されてございます。
ここで、事務局案でございます。
国内外の感染動向やワクチンの効果の持続期間、科学的知見や諸外国の対応状況等に鑑みまして、追加接種を我が国でも行う必要があると考えております。
また、追加接種の時期に関しましては、諸外国の動向や現時点で得られている科学的知見から、2回目の接種完了からおおむね8か月以上後としてはどうかと考えてございます。
対象者に関しましては、さらなる科学的知見や諸外国の対応状況を踏まえ判断してはどうかと考えております。
また、使用するワクチンは、1・2回目に用いたワクチンと同一のワクチンを用いることを基本としつつ、さらなる科学的知見等を踏まえまして、こちらは早急に結論を得てはどうかと考えております。
よろしく御審議のほどお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
続きまして、中野委員から、関連して資料提出がありますので、御説明をお願いしたいと思います。資料4を御覧ください。
○中野委員 御指名をありがとうございます。
先ほど事務局から御説明いただきました38ページ目と39ページの補足的説明のような形になるかもしれませんけれども、私のほうから3枚のスライドを用いて説明させていただこうと思います。
追加接種を行っている国は、2つの考え方に基づいて追加接種をやっているかなと理解しております。1つは、2回接種が終わって一定期間経過すると免疫が減弱する。免疫は抗体だけではないわけですけれども、抗体というのがその測れる指標であるから、抗体価等を測定して、その判断を行っているという免疫の減弱というのが1点。
もう一点は、デルタ株が今非常に流行したわけですけれども、ほかにも免疫をエスケープする変異株も出る可能性もある。デルタ株でも従来株よりは少しエスケープしている可能性がある。それを考えると、より強固な免疫をつけるほうがいいということが今後考えられる可能性があるので、変異株対策も含めてより強固な免疫をつけるほうがいいのではないかと。この2つが医学的な考え方ではないかと理解しております。
それで、文献等を持ってまいりました。スライドの2ページ目でございますが、ブレークスルー感染でございます。イスラエル保健省の住民データを用いた解析で、まだプレプリントの論文でございますが、右のグラフを御覧になっていただくとよくお分かりになるかと思いますが、報告されたSARS-CoV-2の人口当たりの感染者でございますけれども、接種して日数がたつと感染者の数が増えてきております。各世代に分けて書いてございますが、やはり接種後日数を経ると罹患者が増えるのではないかということで、これが免疫の減弱を示す報告かと考えています。
3ページ目を御覧になってください。これは先だっての8月30日の米国のACIPのミーティングで使われた資料でございますけれども、追加接種の考え方ということで、新型コロナウイルスの感染、Any infectionですね。Symptomatic infectionが、症状を伴う感染、発病といいましょうか、Hospitalizationは入院、一定程度レベル以上の重症者、Severe diseaseは非常に重症者ということでございますが、アルファ株とデルタ株を比べますと、デルタ株のほうがワクチンの有効率という点では少し低いかもしれないということですね。こういった形で変異株の出現によって有効性が低下してくる可能性があるというのが、これの示すスライドでございます。ただ、ここに書いてありますように、ワクチンの有効性はいろいろなことが影響いたしますので、一つの例ということで挙げております。
次の4ページでございます。こちらのほうは、これはお示しした資料を作成した段階ではプレプリント論文でございましたが、日本時間でずれがございますので、ちょうど昨日、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』にパブリッシュされた論文と同一内容ではないかと考えております。プレプリントの時点と論文と、細かな数値はもちろん精査して、しっかりと最終作にしますので変更になっておりますが、イスラエルの7月30日~8月31日までの2回接種を終えた60歳以上の方100万人ちょっとを対象としたデータかと思います。
イスラエルでは7月30日から3回目のブースター接種が60歳以上の方に、2回目の接種が終わって5か月以上経過した方を対象に行われています。イスラエル保健省のデータベースを、考えられる交絡因子を調整して、Poisson regression解析で、追加接種者と追加接種を行っていない方のその後の感染とか重症化予防効果を解析しております。数値が混乱するといけないので、資料のほうでお話しいたしますが、論文のほうは少し数値が異なっていますが、追加接種者は2回接種者と比較して、感染の予防効果が約11.4倍、重症化の予防効果が15.5倍ということで、これは3回目の接種を行って12日目以降から有効性が検出されているという報告になっております。
この論文は、追加接種によって追加接種の有効性、ワクチン・エフィカシーというのを検証した報告であると考えております。先ほど事務局が御報告された案に、あと、さらに一個人としての意見を補足いたしますと、有効性、このように幾つかの報告があるということと、あと、もちろん諸外国がやっておりますように、3回目接種の安全性のモニタリングは行いつつ進行していかなければいけないかなとは考えています。
また、諸外国で追加接種を行ったところは、大体2回目接種を終えて8か月程度たってから開始しているところが多いのですね。日本の現状の状況を考えますと、接種開始は諸外国より遅かったこととか、ようやくもうしばらく一、二か月ぐらいすると希望する全ての方々に2回接種が終わるということと、あと、インフルエンザワクチンの接種シーズンは、接種する医療機関はかなり混雑すると思いますので、そのインフルエンザワクチンのことを考えても、8か月という時期は妥当かなと考えております。
以上でございます。
○脇田分科会長 中野先生、どうも御説明ありがとうございました。
昨日、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』にこのデータ出まして、研究者の間ではかなり話題になったということですね。
ただ、観察期間がまだ短いので、3回目ブースター効果は確かにあるのですけれども、その後の長期的な効果は、まだもう少し見ていく必要があるということだと思います。
それから、ブースター接種に関しては、WHOがまだ早いのではないかみたいなことも言われていて、『ランセット』にもレビューがFDAの方、筆頭著者に出まして、無接種の人をできるだけ早く、広く接種していくことが重要だということも書かれていて、ブースターが早過ぎたり、何回もやり過ぎたりすれば、副反応も多くなるのではないかとかですね。それから、発症予防効果はある程度低下しても、重症化予防効果は保たれているのではないかと、そういった意見も広くあるというところで、ただ、ブースター接種、今、御説明があったとおり、免疫反応が落ちていくとか、それから、デルタ株、変異株、今後の新しい変異株が出てくる可能性がありますので、そういったものに備えて免疫反応を十分に保っておく必要があるのではないか。
それから、コロナワクチン、まだ初めて出たワクチンで、2回接種で本当にいいのか、それとも3回目の接種が必要なのか。あるいは、さらに、毎年定期的に打っていくことが必要なのか、その辺がまだよく分かっていないということもあろうかと思いますので、皆様の意見を聞いて、ここの議論をしていきたいと思います。
それでは、委員の先生方から御意見をいただきたいと思いますが、阿真先生と福島先生の順番で手が挙がっていますので、よろしくお願いします。
○阿真参考人 ありがとうございます。
感染予防効果であるとか、追加接種の有効性というものについての御説明、よく分かりました。
私の質問は、厚生労働省の資料1の46ページのモデルナのことについてです。「認容できる安全性プロファイルであった」というコメントがあるのですけれども、ここの3回目接種後の頻度が、20例中18例とか、19例中13例とか、この下も、評価対象19例中2例とあるのですけれども、これは、私がグラフの見方というか、この情報の取り方が全然分かってないだけかもしれないので、ちょっと教えてほしいのですけれども、20例とかというのは、20例と聞くと、普通に考えてかなり少ないと私は思ったのですけれども、それは全然そういうことではなくてということなのでしょうか。それとも、今のところこれが出ているという感じなのでしょうか。すみません、ちょっと分からなかったので、教えてください。
○脇田分科会長 ありがとうございます。まず、御質問を承りますので、福島先生、池田先生、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
私は1つ事務局への御意見と、すみません、2つ御質問があるのですけれども、よろしいでしょうか。
事務局への御意見ですけれども、本日、大変すばらしいスライドをありがとうございます。その上であえて申し上げたいのは、38ページにACIPからのスライドを再掲されていますけれども、こちらは感染予防効果をまとめられたものだと思うのです。恐らく同じACIP Meetingのスライドの別のページに、入院に対する予防効果はそれほど減ってないというスライドもあったと思うのですね。なので、その点も公平に出していただいたらよかったかなと。
39ページ目、デルタ株に対するワクチンの有効性に関するイングランド公衆衛生庁の報告で、こちらは感染予防効果と書いておられますけれども、発症予防効果を見ているのではないかと思います。私も論文を読みましたが、この研究は国を挙げてのデータベースを使用し、20万人規模を対象にしています。データベースですので、症例定義は厳密にはできませんが、本文中に、「英国では、COVID-19に合致する症状を呈した人であればPCRを受けることができて、その症状とは、高熱、新たな咳嗽の出現、味覚・嗅覚の低下」とありますので、発症予防効果を見ているのではないかと思います。今、一般の方でも、感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果を明確に分けながら議論をされています。本当にすばらしいスライドですので、ぜひもう一歩、厳密なプレゼンテーションをお願いしたいと思います。
その上で御質問ですけれども、私自身は、3回目のブースター接種はいずれ必要になるだろうと思っていました。それはコロナウイルスの特性として抗原が変化することと、コロナワクチン接種は私たちにとって初めての免疫になるからです。抗体価というのは必ず下がってくるものでありますし、最初に高橋先生が、こちらも本当にすばらしいスライドだと思うのですけれども、おまとめいただきましたように、血中抗体価だけではなくて、私たちの体内には免疫のメモリーがありますので、ウイルスが入ってきたときにすぐ戦える状態にあればいいという議論もあるとは思うのですけれども、初回ということで、しっかりワクチンで免疫をつけておく必要があるのではないかと思っています。
しかしながら、先ほど脇田先生がおっしゃられましたように、WHOから年内のワクチンのブースターは控えてほしいといったステートメントがありましたね。このようなステートメントは、現状、ワクチンを海外にかなり依存している我が国のような状況では非常に重い言葉だと思うのです。8か月後となりますと、これは11月の後半でありますとか年内も視野に入ってきますが、日本としてどう考えられているのかということが1つ御質問です。
そして、年内に接種を始めますとなった場合に、本日の資料の11ページ、12ページ目には、ブースター用ワクチンの調達について書かれておりませんが、これはめどが立っているということでよろしいのでしょうか。
この2点についてお伺いしたいと思います。
○脇田分科会長 池田先生、お願いします。
○池田委員 池田でございます。ほかの委員の先生方が御指摘でないところで申し上げます。
1点は、今、諸外国におけるワクチンの発症予防効果等についてのいろいろな新しいデータも見せていただきまして、これによって追加接種の必要性等を多くの我々も含めそういう認識を持っている方は多いと思いますけれども、これは、日本のデータは今どのように収集されているのかと。いつも、イスラエルとかイギリスとかアメリカとかのデータ、もちろんそれが先行してワクチン接種が行われているから参考にはなるわけですが、日本では、今、どのようなデータ収集されて、どのように解析され、恐らく日本における大きな意思決定するときにはそういうデータも参考にしたほうがいいかと思いますが、それがどういう状況なのかということがもし分かりましたら、それは事務局のほうに教えていただきたいと思います。
あと、接種の時期については、ほかの先生方と同じで、医学的に、科学的にどうかということと、ワクチンの世界的な供給状況もあるので、そこはちょっと難しいかなと思います。
接種対象者についてこれから議論ということだと思うのですけれども、日本の場合は必ずしも優先順位が厳格に守られてきたわけではなく、地域によっても非常に接種の予約が取りにくいようなところもあったりしまして、運よく職域接種を早く受けられた方もいれば、なかなかチャンスが巡ってこなかったという方もいらっしゃると思います。なので、打った時期がそれぞれ地域によって違う、年齢によっても違う、同じ年齢でも違うという状況の中で、どういうふうに3回目の接種の順番を決めていくかということは、1回目、2回目のとき以上に、より適切に進められるような手順なりを考えていく必要があると思います。これが2点でございます。以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そうしましたら、あと伊藤(澄)先生、佐藤先生まででちょっと一区切りさせていただきたいと思います。伊藤(澄)先生、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
今、池田先生からも御質問というか意見があったかと思うのですけれども、実は私の関係している病院のグループでも、COVID-19の診療をしているところを中心にして既に8月から、クラスターではないにしてもワクチン接種者の感染者が発生しています。病棟で医療従事者の感染が発覚すると、病棟の医療従事者全員にPCRを回さなければいけない、患者さんにも全部回さなければいけないという状況になりますので、医療従事者、私どものデータで見る限り、6か月を過ぎてくるとそういう状況になるので、優先順位の中の議論がこれからされるのだと思いますが、少なくともCOVID-19に対応する医療従事者に関しては、早めの段階で対応させていただけないだろうかというのが今の現場の状況でございます。
これは現状の御報告をするのとともに、今後の優先接種の対象者の決定についてお願いがあるということで御理解いただければと思います。以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
佐藤先生、お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。ありがとうございます。
伊藤(澄)先生の意見と同じですけれども、ブースター接種を考える上で最も大事なのは、実際に治療に当たる医療職の方たちがいかに不安なく治療に当たれるかということだと思います。先行接種をした医療機関から、思いがけずブレークスルー感染が起きているという話を聞いておりまして、実際に感染しても重症化はしないまでも、識者の方々からお聞きしますと、ウイルスは出ているということですので、そうすると、クラスターが発生するリスクもあるということかと思います。
日本では2月に接種が始まって、医療職の方たち、治療に当たられる方たちが3月までに2回目の接種を終えているとすると、既に半年がたつところでありますので、必要ならこの方たちにどのように接種をするかということが大事かなと思います。
また、実際にブースター接種を行う場合ですけれども、医療機関に先行接種をしたものと、自治体で行ったものと、それから、職域接種をしたものがありますので、そのオペレーションをどうするかというのを、また、別途考えなければいけないだろうなと思うところです。
以上です。ありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
そうしましたら、これまででいただいたところで、事務局が御提示していただいた資料に関する御質問と、それから、対象者をどうするかということで、事務局案では、どういったグループを追加接種の対象者にするかということは明確にまだ決めずに、準備を進めようということだと思うのですけれども、医療従事者が最初に行うべきではないかという御意見もありましたが、これまでのオペレーションがありましたので、ブースター接種のオペレーションをどうするのかと。そのワクチンの調達はできているのか、始める時期が年内にやるのか、どうするのかと、そういうこと。それから、日本のこれまでのワクチンのデータ収集はどうなっているのかといった辺りが御意見・御質問だったと思いますので、事務局からコメントをいただければと思います。いかがでしょうか。
○九十九予防接種室長補佐 それでは、段階的に御回答いたします。
まず最初に、阿真参考人からいただきました46ページのモデルナの対象数について御質問がありました。こちらに関しましては、プレプリント文献でございまして、現在での知見におきまして、この20例という、数が多くないのではないかという御指摘だったのかもしれませんが、現状で分かっているところで出させていただいたというものでございまして、この20例中のものを出したものでございます。
また、福島委員より大変貴重な御指摘ありがとうございました。かなり資料が多かったので、資料を選別いたしましたのは、御指摘のとおり、入院予防効果、ACIPの資料でございますが、そういった資料の構成については気をつけていきたいと考えてございます。
また、39ページ目、これも大変失礼いたしました。福島委員の御指摘のとおり、今、確認いたしますと、感染予防効果ではなくて、正しくは発症予防効果ですので、大変失礼いたしました。こちらは訂正させていただきます。ありがとうございました。
取り急ぎ、私のほうからの回答といたしまして、また、別の者から回答いたします。
○脇田分科会長 お願いします。
○鶴田予防接種室長 予防接種室長の鶴田です。御質問にお答えさせていただきたいと思います。
まず、対象者のところを御質問いただきましたけれども、対象者は、我々が準備した資料にありますように、諸外国いろいろと状況が分かれているところであります。ですので、ここに関しては、情報をしっかりと収集をして、今後、また、この審議会に御提示をした上で御議論していただきたいと思っております。
期間のところに関しましては、今回、8か月以上ということで提示をさせていただいておりますけれども、ここが、この審議会で皆様方のコンセンサスを得ることができましたら、基本、今回ワクチンを打った方、1回目、2回目という情報はVRSに登録されておりますので、接種歴から8か月経過した人というものを抽出し、接種券を配ることができますので、そのような形で段階的に接種を進めることができると思います。その場合、結果として、医療従事者が優先接種で打っていますので、医療従事者の方が先に接種が進んでいくと、そういうふうになると考えております。
ワクチンにつきましては、来年、十分量を確保しているというのもありますし、場合によっては年内に開始するという場合についても、今年確保している部分での今推定される見込量を踏まえてもやりくりできる範疇だと考えております。ですので、ワクチンについては何とかなると考えております。
オペレーションのところも御質問をいただいておりますけれども、まさにどのような形でやるかというところについては、市町村、実際に実務をされている方々としっかりとコミュニケーションをとりながら示していく必要があると考えております。
もう一点、WHOのほうが年内に接種をすることについて御提言がされているというところでありますけれども、恐らく、今計算すると、仮に8か月以上だった場合、大体接種するタイミング、最速でいくと多分11月という数字が出るのですけれども、市町村の準備とか、未接種者の方々にしっかりと接種を進めるということを全部考慮すると、大体12月という数字が出てくるのだと思います。実際に12月に接種の対象になる方は、数としてはかなり少ないのではないかと思っております。
あと、もう一つ、WHOの提言を踏まえますと、国際貢献が我が国としても大事なポイントになってくると思いますので、この辺につきましては、本日、資料で先ほど御紹介した資料では説明しておりませんが、参考資料として、後ろのほうになるのですけれども、59ページ目に国際貢献について資料をつけさせていただいております。現在、日本国として、COVAXの枠組みを使いながら諸外国にワクチンの提供等をしておりますので、こういった形での国際貢献を日本としてしっかりやっていく必要があると考えております。
私からは以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
私のほうから、そうしますと、8か月たった人から接種券を配付すると。その場合、医療従事者がということですが、当初、病院での都道府県が主体となって接種をやったと記憶していますけれども、今回の場合は、市町村にお願いするという形になるのですか。それとも、どういったオペレーションになるのでしょうね。そこは教えていただけますか。
○鶴田予防接種室長 まさに、そこをこれから市町村としっかりコミュニケーションをとりながら対応していく必要があると思っています。医療機関においては、職員に対して当該医療機関で接種したいという、そういうニーズもあると思っておりますので、ここは本当に市町村・都道府県と協力しながらオペレーションを組み立てていきたいと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
○坂元委員 ちょっとすみません。
○脇田分科会長 坂元先生、そこのところですね。お願いします。
○坂元委員 意見として、我々市町村とか都道府県としっかり協議していただくということは非常に大事なことだと思うのですが、例えば対象者を割り出すときにVRSを使うのか、それから、予防接種台帳を使うのか。VRSは正直言って未入力みたいなところがまだかなりあるのではないかということです。基本的には予防接種台帳からやっていくのかという一つの問題があるのですね。VRSを使うのか、予防接種台帳を使うのか。そうすると、そこからどういうふうに接種者を打ち出していくのかですね。予防接種台帳のほうには日にちが入っていますから、日にちごとに順次に打ち出すのか、一月まとめて接種券を送って、翌月から受けられますよとやるのか、そういうオペレーションのやり方に関しても、市町村と話し合っていただきたいということなのです。
それと、あと一つは、医療従事者が、病院等医療機関は都道府県、一般市民は市町村というふうに分けてオペレーションをやってきたのですが、実質、例えば大きな我々政令市か何かになると、本当は我々で医療機関をやってしまったほうが早いのですね。都道府県は、政令市内の医療機関とのつながりがあんまりなくて、そういう意味では次回の3回目の接種の医療従事者へのオペレーションは、従来どおりきっちり都道府県は医療機関、一般市民は市町村というふうに分けてしまうのか、そこをどうするかということもかなり重要な問題だと思うのです。
それから、現実にいつ始めるか。8か月以上とした場合、実際に市町村の準備は、もし8か月以降で12月となると、11月ぐらいにもう準備を始めていかなければいけない。現実的に、まだ2回目の予防接種を動かしている段階で、次の3回目の準備が本当にできるのかというのは、多分多くの市町村が疑問に思っているところだと思うのです。幾つかの大きな市・町に聞くと、8か月以上は分かるし、それから、医療従事者の再感染の状態も分かります。少なくとも一般住民の部分は年明けぐらいにしていただいたほうがいいのかなと思います。市町村の準備と、それから、間違いがない準備では、そのほうがいいのかなという意見が多いと思います。
そうすると、WHOが言っているように、今年内は追加接種はやめて欲しいとの要望と整合性がとれてくると思います。その遅れが一般市民の間で、重大な危機的な問題をもたらすとは到底思えないので、そこはちょっと分けて、実際に市町村が準備が可能かどうかという点も十分お考えいただいて、準備を進めていただけたらと思います。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
そうしましたら、次に、釜萢先生、伊藤(定)町長、鈴木委員ですね。順番にお願いします。
○釜萢委員 ありがとうございます。
既に鶴田室長さんから説明がありましたし、それから、福島先生、池田先生から御指摘があったとおり、我が国が国民に対し必要な接種を準備する対応は非常に大事だけれども、日本として、世界の中での役割を果たすという意味で、WHOの勧告などにもしっかり目を通した上で世界にしっかり貢献しているというところを、ぜひ国として出していただきたいと、私からもお願いをしたいと思います。
先ほど、伊藤(澄)先生から御指摘があった接種から6か月たつと、もう感染がぼちぼち出るというその御指摘は非常に注意しなければならないなと思いますが、一方で、1回・2回の接種を受けてない方の接種をまずは優先して、そこがしっかりできてから、次の追加を考えざるを得ないのかなと思います。医療従事者には十分な注意が必要で、今、伊藤(澄)先生が言われたような事例をしっかり示した上で、さらに感染防護をしなければならないけれども、3回目の接種は、あくまでも1・2回接種がしっかりある程度めどが立ったところで始めるというのはやむを得ないのではないかなと思っております。
先ほど坂元先生から、医療従事者に対する接種は、都道府県、住民とまた分けるかどうかという話が出ましたけれども、医療従事者の接種を開始した段階では、接種券が配れなかったので、接種券つきの予診票をどうやって出すかというところで、そういう仕組みになったので、今回は、少なくとも早く接種を受けた対象者は、予防接種台帳にもうどんなに考えてもその分は入っているでしょうし、早く接種したところから予診票を出していくということは大いに可能だろうと思うので、その辺りのオペレーションは前回とは少し変えてもいいのではないかなと感じています。
あと、もう一点は、今後の問題で、まだこれは公表されてないので、予防接種室長もお答えになれないのだろうと思いますけれども、新たな変異株に対してのワクチンをメーカーがどのように変更し、それがどう供給されてくるのかによってワクチンの選び方が大きく関わってくることなので、その辺りは可能な範囲で情報をしっかり収集しながら、適切なワクチンを選ぶということが必要になってくるだろうと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
伊藤(定)町長、お願いします。
○伊藤(定)委員 どうもありがとうございます。豊郷の伊藤です。
3回目の接種ということであります。我々の町の場合ですと、1回接種して副反応で2回目は嫌やという感じで、2回目は接種されない方も若干おります。そして、今回3回目となると、2回接種された方も3回目は嫌やということもありますので、その効果と必要性、また、副反応のしっかり正確な情報を、全ての皆さん方に分かりやすく周知をしていただきたいなと、このように思います。
それと、準備の都合等いろいろ御意見がありましたが、それぞれの規模によって相当な差が出てくるものと思います。ただ、私どもの町村の場合は規模が小さいですから、高齢者の接種と、65歳から12歳までは一括という感じで接種を行いましたので、8か月後となると、3月、4月が接種時期になってきます。そうすると、年代ごとに対象者を決められますと、ほかの人間はいいのかというような形が出てきますし、特に転入・転出のときですし、そしてまた、人事異動等があって、3月から4月の接種は、行政が混乱する懸念がありますので、3回目接種の場合はぜひとも、この時期については、柔軟な対応ができるような表現にしていただければありがたいと、このように思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
鈴木先生、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
この分科会の議論や判断はとても重要なことだと思いますので、質問ではないのですけれども、考慮すべき論点として、幾つか挙げておきたいと思います。
先ほど少しありましたけれども、最近、国内でもブレークスルー感染が増えてきているということは私たちも把握しています。ただ、それが本当にワクチンの効果の減弱によるものなのかどうかについては、慎重に判断をしておく必要があります。ワクチンの効果は、御承知のように100%ではありません。でも、例え90%であったとしても、ブレークスルー感染は起こって、接種者が人口の中で増えて、流行が拡大すれば、おのずとブレークスルー感染は増えてきます。あるいは、集団内で大半がワクチンを打っていたとしてもクラスターは発生します。なので、それが本当にワクチンの効果が減弱したからなのか、それとも接種者が増えて流行が拡大しているからなのかということは、きちんと区別をしておく必要があります。
それから、エビデンスという意味からも考えておくべきことがあると思っていまして、先ほど中野委員からも御紹介ありましたけれども、イスラエルからの論文ですが、対象は60歳以上となっていると思います。それより下の世代については含まれていません。ですから、少なくともあの論文だけをもって、若い医療従事者にブースターを打つべきだといった議論にはならないかと思います。
ただ一方で、この論文は、また別の重要な知見があって、感染も重症も、ブースターを接種したほうが、2回接種よりも10倍以上リスクが下がるという結果になっていると思います。これは、感染については経時的に下がることは指摘されていますが、実は重症化のリスクも経時的に下がるのではないかといったことを示唆するような知見とも読み取れます。ただ、実際のところはよく分かりません。ただ、もし本当にそうであるなら、確かにブースターは急がないといけないということになります。
また、もう一つは、多分同じ号だったかもしれませんけれども、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に先日掲載された論文では、ワクチン・トライアルで、その後6か月間フォローアップしたところ、ワクチン・エフィカシーは少しは下がっているけれども、あまり下がってはいないといった結果も出てはいます。これはデルタ株の登場以前ではありますけれども、ただ、ワクチンの効果そのものは、半年程度ではそこまで急激に下がらないのではないかといったようなエビデンスもあることは知っておく必要があります。
私、何が言いたいのかといいますと、まだよく分かってないことがたくさんあるということです。総論としては、確かに私も、ブースター接種は必要だと思っていますけれども、ただ、明確な科学的なエビデンスに基づいてと言えるかどうかというよりは、総合的な判断としてそのように考えているということです。一方で、世界的には実際にすぐブースターを始めるべきかどうかについては、福島委員からも指摘があったように、WHOの勧奨にもあるように、もうちょっと慎重であるべきではないかといったような議論もあります。
ということで、この会議体のデシジョンがどうなのか分かりませんけれども、今あくまで我々は限定的な科学的なエビデンスに基づいて考えているということ。それに加えて、海外の状況とか、現場のオペレーションとか、あるいは社会のニーズを踏まえて総合的に判断せざるを得ない状況にあるということを、この分科会として、どこかに明記しておくことが、社会に対する責任あるいは後世への説明責任という意味でも必要なのではないかと考えます。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。鈴木先生の言われる意見もっともだと思うのですね。今、事務局案のように追加接種の必要があるということが直ちに断定できるのかということは、今の現状のエビデンスで本当に言えるのかというところは、私も少し留保したいなと思っていますが、ただ、実際にブースターをやるとなれば、今、準備を始めないとオペレーション的にはなかなか難しくなるということもあるので、そこの案文は、例えば追加接種の準備を進める必要があるとか、そういったことのほうがいいのかなというふうにも思うところでもあります。
それから、アメリカのFDAだったりのブースター接種の追加の必要性に関する会議も、近々この数日間の間に行われるということもありますので、そういった動向も、諸外国の対応状況ということも明記されていますので、そういったところでも入ってくるかなと思っているので、さらに追加で我々は検討する必要があるかなというのを、鈴木先生の意見を聞いて、私も感じるところです。
それでは、川俣市長お願いします。
○川俣委員 市町村によっては準備がかなり必要なので、3回目の接種ということをかなりいろいろなところで報道されていますので、私たちも踊らされてしまう。1回目・2回目がまだ終わってない方もいる中で、3回目の準備をしろと言われるのは、準備をする段階を早めていただいたということはありがたいと思っていますが、気が焦っている方はいつから3回目と聞かれてしまうことが、私たちにはちょっとちゅうちょされているところがあります。
ですから、先ほど言われた鈴木先生や脇田さんのように、もうちょっと慎重に発言をしていただけるとありがたいなと思います。準備の私たち市町村のほうにしていただくのはありがたいと思いますが、公で、3回目3回目と言われると、まだ1回目を終わってない方々が動揺されるのは大きいと思うので、その辺の配慮をいただけると、市町村も県としても準備がしやすいのかなと思いますので、この辺の配慮をお願いしたいと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
ここでちょっと事務局にコメントをいただきましょうか。釜萢先生の意見、それから、伊藤(定)町長の意見、鈴木先生の意見、川俣市長の意見というところで、事務局いかがでしょうか。
○鶴田予防接種室長 事務局です。予防接種室長鶴田です。総括的なコメントをさせていただければと思います。
オペレーションのところは、いろいろと伊藤(定)委員、坂元委員等から御指摘いただいているところであります。これは本当に都道府県、市町村と、しっかりとコミュニケーションをとりながら準備をしていく必要があると思っております。
また、既にコミュニケーションも幾つかの自治体ととり始めているところでありますけれども、どの自治体も、準備期間に2~3か月ぐらいはかかるということを皆さん御指摘いただいておりますので、早めにその準備を進める判断というのが必要になると思っております。ですので、本日のこの審議会において、追加接種の必要性についてひとつ御判断をお願いしたいと思っております。準備をするためにも必要なポイントだと思っております。ただ、エビデンスがまだ十分ではない部分まだあると思っておりますので、対象者をどうするのか、使用するワクチンをどうするのか、この辺についてはエビデンスがもう少し積み上げられていかないと、なかなかジャッジができないところだと思います。
他方で他国では、9月から始まっている国が結構増えてきていますので、データは急速に集まってくると思いますので、そういったデータを、また、この審議会に御提示して、皆様方に御審議していただける、そういった環境を事務局としてはしっかりと整えたいと考えております。市町村の準備に一定期間かかるということも、考慮要素等入れていただきながら、本日の審議会でしっかりと御意見等、皆様方のお考え等をまとめていただけると、事務局としては大変ありがたいなと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
多分、一番の論点は、追加接種を行う必要があることを断定できるかどうかですね。それで、そうなれば、その準備は進めていただくと。ただ、対象者、どういったワクチンを使うか、それから、期間については、おおむねここに書いてあるようなことでいいのだろうと私思いますが、そこの追加接種の必要性について、現在のエビデンス、それから、諸外国の対応状況に鑑みて、追加接種の必要があるというこの結論でよろしいかというところを主に御意見さらにいただければ、そこをお伺いして判断したいと思いますが、いかがですか。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 確かに、追加接種をしなければ、データ的に見て、危機的な状態に落ちるというほど多分ワクチンの効果は落ちないだろうというふうには私も思います。ただ、諸外国が追加接種を始めていく中で、国民の気持ちとしては、よりよいものを欲しいという者から見ると、追加接種をしないという決断は、これはこのデータから見て、国民を説得できないのではないかなという感じはします。
ただ、WHOの事務局長がおっしゃっているように、先進国のエゴにならないようにしてほしいという観点の時期からすると、もし始めるとすると、やはり年明けぐらいから始めていくほうが、そういう対外的なもの配慮もあるし、それから、今言った市町村の2か月準備がかかるということもクリアできるし、そういう意味で追加接種そのものは私は反対するつもりもないし、やるべきだろうと思いますが、時期的には、年明けぐらいから考えるべきではないかと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほかはいかがですか、御意見あれば。
福島先生、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
先ほど、鈴木先生から本当に慎重な、本当に公平な御意見を述べていただきまして、ありがとうございました。私も、3回目接種は将来的に必要になるだろうというのを当初から予想していたというだけであって、8か月後に必要だとかそういう意味ではありません。
期間を限定しないという前提において、3回目接種は将来的に必要なのか必要でないのかと言われたら、それは必要だという、それも一般的な科学的見解に基づいてそういうことだと思うのです。いつ始めるんですかとか、誰を対象にするのですかということは、やはり議論を深めていくべきだと思います。
すみません、僣越ながら事務局にちょっと一言申し上げたいのは、最近、分科会を始める前に、例えば昨日の報道では、「8か月後に3回目接種開始」といった報道がもう出ていますよね。こういうのは、川俣市長もおっしゃられましたように、国民が動揺するというか、もう決まっているという印象を与えてしまいますし、私自身、では、この分科会での議題を事前に分かっている身で、今日の分科会は何をゴールにするのかと思ってしまうわけなのですよね。もう結論ありきなのかと。私としては、そのような分科会ではありたくありませんので、ぜひ、本日のような様々な御意見をもとに考えていくというのがいいのではないかなと思います。
すみません、以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。もちろん、ここで分科会で我々の議論をもとに決めればいいということだと思いますので。
だから、皆さんの意見を伺っていると、追加接種の必要があるというところはある程度合意はできるのだと。ただ、間隔、時期であったり、あるいは対象者であったり、どのワクチンを使うかということも含めて、それはさらなるエビデンスに基づいて検討するべきだということが言われているところかなと思います。
その上で、合田先生お願いします。
○合田委員 多分この中で同意できるのは、医療従事者の3回目については、すぐに準備を始めなければいけないでしょうと。それは医療従事者の接種が始まった時期を考えるとそういうことでしょうと、そのことは多分どなたも反対をされないのではないかと思います。対象者はまずそこ。それから、時期を具体的なことを考えたときには、そういうことを考えると。それの同意がまずあって、そこを目指すのが一番いいのではないかなと僕は今までの議論を聞いていて思いました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
ただ、医療従事者だけを今対象に限定するということは。
○合田委員 それ以外のところの影響が非常に大きいのですよね。現実的に医療従事者がブレークスルー感染になってしまいますと、現実的にはその周りの人への影響が大きいですから、そのことについては誰も反対しないだろうなとすごく思いますけれどもね。
○脇田分科会長 ただ、今までの議論では、むしろ、医療従事者に本当にブースターが必要であるというエビデンスは必ずしもないのではないかという議論もあるのですよ。
○合田委員 その話では、感染と発症といろいろなレベルがございますよね。実際には、一人なってしまうと、その周りに与える影響は、手間が非常に大きいというような意見が出てきたと思うのですが、それは違うのですか。
○脇田分科会長 いやいや、そこはもちろんそうですけれども、ただ、それが本当にワクチンの効果の低下によるものなのか、それとも周囲の感染状況によるものなのか、変異株によるものなのかと、そういうことですよね。
○合田委員 それはそうですね。
○脇田分科会長 だから、本当に医療従事者を対象として、今すぐにそこを決める必要があるのかというところは、ちょっと今すぐに皆さん本当に合意できるのかなというところはあるかと思います。
もう少し議論を進めましょう。
鈴木先生と中野先生、御意見をください。
○鈴木委員 ありがとうございます。
福島先生からもありましたけれども、そもそもこの分科会はどこまでが期待されているのかというところが、我々の議論にとってもとても重要なポイントなのかなと思います。厳密に、我々に科学的な観点から物を言ってくれというのであれば、先ほど私が申し上げたように、おおむねブースターをすること自体に関しては合意できるけれども、では、それはどのタイミングで誰を対象として行うべきなのかということについては、恐らくまだ明確に合意するのはちょっと難しいのではないか、科学的な根拠に基づいて思います。
だけれども、この分科会にもっと広い社会的な接種拡大、あるいは社会のニーズに応えるというところまでが求められるというのであれば、確かに、今、恐らく多くの市民の方々はブースターに期待しているところも少なからずあると思いますので、それに応えるような議論をしなくてはいけないと思います。だから、これはこの分科会の位置づけによっても論点が少し変わってくるのではないかと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
中野先生、お願いします。
○中野委員 私、冒頭で話させていただいて、ちょっと発言はその後、最初述べさせていただいたので控えていたのですが、私も、追加接種はワクチンの原則から必要だと考えています。私は当初、6か月以上空けたら接種していいのではないかと思っていました。
それと、私たち今日ワクチンのことばかり考えていますが、一般の方々はそんなにワクチンのことを日頃から考えてないですから、やはり分かりやすくないと間違いも起こるし、国民の皆さんに分かりやすいメッセージとして伝わらないと思うのですよ。
そうすると、6か月以上として、自分も今、日本のワクチンにしても何にしても6か月以上で打っていますが、6か月で打っているわけではないのですね。ただ、自治体の方とかいろいろなお声を聞きますと、ブースターに期待すると、分科会長も鈴木先生もおっしゃられた「期待する」と、そのお声が非常にあるのは事実で、ただ、これはどこまで本当により高い予防効果があって、あと、安全性の問題がどこまで解明されているのか分からないと。そう考えると、追加接種は必要である。8か月に私が妥当と考えると申し上げたのも、準備期間とか他国の状況とか考えてブースターが必要であれば、それが妥当であるという意味であって、私も医療従事者ですけれども、医療従事者のオペレーションは、全国一斉であるようでいて、結構様々ですね。あと、単身赴任者も多いし、住民票がどこにあるとか、結構複雑な状況があるのです。なので、どなたを最初に打つかは、このオペレーションも分かりやすくないといけないので、今後お考えいただくということでいいのではないかなと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
大体意見よろしいですか。
そうしましたら、大体結論としては、皆さんの御意見を伺って、この追加接種、ブースターに関しての必要性は認めたいということだと思います。
ただし、追加接種を行う場合の接種間隔、これも我々ワクチンをやっている者は、3回接種でB肝もA肝も大体半年ぐらいを3回目を空けるということだろうし、中野先生がおっしゃったとおり、僕も6か月以上でいいのではないかなというふうには思っていたところですけれども、準備期間とかいろいろ考えるとこういった考え方もあるかなと。それから、8か月で外国で行っているところもあると。
ただし、ここも含めて接種間隔、対象者、使用ワクチンに関しては、さらに検討をするというような、8か月ということを書いてもよろしいと思うのですけれども、さらに、必要に応じて再検討するということも入れて、この事務局案をこの分科会として認めるという結論ではどうかと、私、会長としてはそのように思いますが、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 よろしいですか。
一応8か月以上後とすると書いてありますけれども、ここも一応再検討の余地は残すという形にしていただきたいなと思います。
○合田委員 検討はどこで最終的にするのですか。
○脇田分科会長 もちろん分科会に上げていただくと。
○合田委員 ここで上げていただくということですか。
○脇田分科会長 はい、ここにですね。
ということで、事務局いかがでしょうか。それでよろしいですか。
○鶴田予防接種室長 事務局です。
今回、事務局案ということで提示させていただいておりますので、今、御指摘いただいた2番目のところに、「おおむね8か月以上後とする」のその後に、文言は、また、分科会長と御相談させていただければと思いますが、科学的知見をさらに収集して、その期間も幅を持ったほうがいいのだろうとも思いますので、そういったことも含めて、この分科会でさらに御議論していただけるように、また、文言については、分科会長に御相談させていただければと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それから、さらに今国際的なお話もありましたけれども、国内での1回目の接種をしっかり進めていくことは最も重要だということは、皆さん多分合意していただけると思いますので、その点は強調をしておきたいと思います。
それでは、こういった事務局案にプラスアルファというところをお示ししたところで進めていただくということにしたいと思います。
本日の議事は以上ですけれども、委員の皆様方から何かございますか。
それでは、事務局にお返ししたいと思います。
○萩森予防接種室長補佐 本日は、長時間にわたり活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って、御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
事務局からは、以上でございます。
○脇田分科会長 それでは、少し時間延長してしまいましたけれども、今日も活発な御議論どうもありがとうございました。