令和3年10月1日 第69回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第18回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和3年10月1日(金) 13:00~17:00

場所

WEB会議(厚生労働省 専用第21会議室(17階))

議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより第69回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和3年度第18回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同開催を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。
 まずウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合はまずお名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。
 なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージまたはあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。
 現在、副反応検討部会委員9名のうち9名、安全対策調査会委員6名のうち5名の委員に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
 なお、全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
 なお、佐藤委員より遅れての参加並びに途中退席となる旨の御連絡を、また、倉根委員より途中退席となる旨の御連絡を、伊藤委員より途中一時離席する旨の御連絡をそれぞれいただいております。
 本日は、議題(2)新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等についての関係で、武田薬品工業株式会社日本開発センターファーマコビジランス部の林正晃さんほか、品質、安全性の担当者に御参加いただく予定です。
 また、同議題に関連しまして、国立医薬品食品衛生研究所の本間正充副所長、野村祐介医療機器部第一室長及び一般社団法人日本循環器学会から佐賀大学医学部循環器内科、野出孝一教授に参考人として御参加いただく予定でございます。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の傍聴への留意事項を必ず守っていただきますよう、お願いいたします。
○濱田委員 すみません。聞こえにくいです。途切れたり、はっきり聞こえません。
○事務局 少々お待ちください。すみません。なるべく大きな声で話そうと思います。聞こえておりますでしょうか。大丈夫ですか。ありがとうございます。
 それでは、本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の傍聴への留意事項を必ず守っていただきますよう、お願いいたします。
 留意事項に反した場合は、退場していただきます。
 また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
 本日の座長につきましては、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾座長 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして、報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
 本日御出席をされた委員、参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受け取り状況について、これまでと同様に申告いただきました。
 本日の議題において審議される品目は、HPVワクチン及び新型コロナワクチンであり、その製造販売業者は、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社、ファイザー株式会社、武田薬品工業株式会社、アストラゼネカ株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。
 各委員からの申告内容については、事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
 本日の出席委員の寄附金等の受け取り状況から、全ての委員において、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD、ファイザー株式会社より50万円を超える受け取りはございませんでした。
 宮川委員が武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、新型コロナワクチンについて意見を述べることができますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。
 また、野出参考人は、武田薬品工業株式会社、MSD株式会社、アストラゼネカ株式会社から、それぞれ50万円を超えて500万円以下の受け取りがありますが、意見を述べることはできます。
 なお、本日の審議対象ワクチンの製造販売業者ではございませんが、現在開発中の新型コロナワクチンも含め、関連する製造販売業者からの寄附金・契約金などの受け取り状況について、各委員より申告いただいておりますので、この場で御報告いたします。
 石井委員、宮川委員、野出参考人は、第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。
 引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、お願いいたします。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、次に事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1と資料1-2、資料2-1-1から資料2-8、資料3、武田薬品工業株式会社提出資料、国立医薬品食品衛生研究所提出資料、一般社団法人日本循環器学会提出資料、多屋委員提出資料、参考資料1から参考資料12になります。不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○森尾座長 ありがとうございました。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 まず本日の審議の進め方でございますが、本日は議題が大変多くなっております。そのため、議題(2)新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等についてにおきましては、まずモデルナの異物関連の審議をさせていただいて、その後に10分程度の休憩を挟みたいと思っております。
 それでは、議題(1)HPVワクチンの積極的勧奨の取扱いについて、事務局から資料1-1、資料1-2の御説明をよろしくお願いいたします。
○事務局 事務局です。
 資料について、御説明させていただきます。
 議題(1)に関しましては、資料1-1、資料1-2、参考資料1、参考資料2、参考資料3が関係する資料となります。
 資料1-2に関しましては、資料1-1で出てきますHPVワクチンに関してのエビデンスについて、詳細を示したものになります。こちらの資料に関しましては、事前に委員の先生方にお送りし、確認をしていただいております。本日は審議時間を確保する観点から、資料1-2についての御説明は割愛させていただき、資料1-1に関してのみ御説明をさせていただければと思います。
 それでは、資料1-1を御覧ください。HPVワクチンについて。
 右の下のほうに数字でページ数を書いてございます。
 1ページ目に本日の流れを書いてございます。
 まずはこれまでの経緯と課題について御説明させていただきます。
 3ページ目を御覧ください。HPVワクチンに関するこれまでの経緯と課題について、まとめてございます。
 子宮頸がんについて。皆様、御案内のことかと存じますけれども、日本で年間約1万1000人が罹患、約2,800人が死亡する、公衆衛生学的に非常に重要な疾患となっております。子宮頸がんのほとんどは、HPV、ヒトパピローマウイルスへの感染が原因とされております。
 HPVワクチンにつきましては、HPVへの感染を防ぐことで、子宮頸がんへの罹患を予防することが期待されております。子宮頸がんの原因の50~70%を占める二つのタイプ、16型と18型のウイルスの感染を防ぐことが知られています。
 海外の状況に関しまして、世界保健機関、WHOが接種を推奨するほか、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの先進各国において、公的接種として位置づけられています。
 日本の状況についてです。平成22年度以降、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業に基づき接種が実施され、平成25年4月、HPVワクチンの定期接種が開始されております。それ以降、疼痛または運動障害を中心とした多様な症状が報告され、マスコミ等で多く報道されておりまして、定期接種開始2か月後の6月14日、本審議会にて、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされ、積極的勧奨の差し控えが厚生労働省健康局長通知にて行われたところでございます。
 こちらの通知に関しましては、参考資料1につけさせていただいております。
 それ以降、本審議会におきましては、HPVワクチンのリスクとベネフィットを整理、HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援をどう進めていくのか、HPVワクチンの安全性・有効性等に関する情報提供をどう進めていくのかに関して、御審議をいただいてまいりました。
 4ページ目でございますが、今、御説明した三つの課題について、改めて提示をしております。本日はこちらの三つの課題を中心にお示ししながら御議論いただき、最終的に論点に関して御審議をいただければと考えております。
 5ページ目、課題マル1、HPVワクチンの安全性・有効性に関する最新のエビデンスについて。
 6ページ目を御覧ください。HPVワクチンの安全性・有効性の整理に関するこれまでの対応をお示ししております。
 平成25年12月、当審議会にて国内外におけるHPVワクチンのリスクとベネフィットに関する情報を整理し、平成26年、審議会にてHPVワクチン接種後に生じた多様な症状の病態と因果関係について評価を行い、病態について機能性身体症状と定義づけられました。
 審議会にて、継続的に副反応疑い報告の発生状況をモニタリングしていただき、平成28年12月及び平成29年4月には、厚生労働科学研究、祖父江班による全国疫学調査を実施し、その結果を審議会に報告していただいております。結果としましては、HPVワクチンの接種歴のない者においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の多様な症状をする者が一定数存在したということが示されております。
 平成29年11月、審議会にて国内外におけるリスクとベネフィットに関するエビデンスを改めて整理し、評価を行っていただきました。その際の結論として、平成26年1月の合同会議における検討以降、HPVワクチン接種後に生じた多様な症状とワクチンとの因果関係を示唆する新しい質の高いエビデンスは報告されていない。また、ワクチンの安全性・有効性に関する最新の知見を情報提供していくという結論を得たところでございます。
 7ページから13ページ目に関しては、平成29年の検討以降のエビデンスを中心にまとめたものでございます。こちらの論文に関しましては、査読を受けた論文のうち、例えばエビデンスレベルが高いデザインであるか、一定規模のサンプルサイズがあるかどうか、一定期間追跡が行われているか、そういったものを比較考慮して抽出した論文に関して、概要をまとめたものでございます。
 なお、論文の詳細については、資料1-2を適宜御参照ください。
 7ページ目、8ページ目に関しては、HPVワクチンの安全性についての報告をまとめたものです。7ページ目にはアメリカ、オランダ、フランス、フィンランド、8ページ目には日本、韓国の研究結果を示すとともに、システマティックレビュー、メタアナリシスの研究の結果もお示しをしているところになります。これらの結果としましては、ワクチン接種後に生じた症状とワクチンとの関連性を示唆するエビデンスは認められなかったということになるかと思います。
 9ページ目、子宮病変に対するHPVワクチンの有効性についての報告、まずは国外のデータについてお示しをしております。スウェーデンとデンマークに関しまして、HPVワクチンの接種と子宮頸がんのリスクに関しまして、接種が子宮頸がんのリスクの低減と関連していたという新たなデータが示されております。
 10ページ目を御覧ください。こちらに関しましては、ワクチンの有効性に関しての国内のデータをお示ししております。国内のデータでは、日本人におけるHPVワクチンの有効性が示されており、子宮頸部病変あるいは子宮頸部上皮内腫瘍などに関しての有効性が示されたという論文をお示ししております。
 11ページ目、HPVワクチンの効果の持続性についてです。こちらの論文では、ワクチンを接種してから7年後あるいは12年後まで、ワクチンによる中和抗体の持続が続いたという論文をお示ししております。
 12ページ目、13ページ目に関しましては、HPVワクチンの集団免疫効果についての報告をお示ししております。こちらの集団免疫効果に関しては、HPVの感染や子宮頸部異形成につきまして、ワクチンを接種していない男女においても、ワクチンによる集団免疫効果が見られたという論文をお示ししているところでございます。
 14ページ目を御覧ください。今回お示しした最新のエビデンスについてのまとめをお示ししております。
 一つ目、HPVワクチンの安全性について。HPVワクチン接種後に生じた症状とHPVワクチンとの関連について、国内外でこれまで調査が行われておりますが、ワクチン接種との関連性は明らかになっておりません。
 二つ目、HPVワクチンの有効性について。国内外の研究において、ワクチン接種によるHPVの感染や子宮頸部異形成の予防効果が示され、ワクチンの有効性は10年以上の長期間持続することを示唆する結果が示されております。さらに近年、海外の大規模調査において、子宮頸がんの予防効果も示されてきております。
 三つ目、集団免疫効果について。ワクチン未接種の女性や男性においても、HPV感染やそれによる子宮頸部異形成、肛門性器疣贅に対する集団免疫効果が報告されているところです。
 15ページ目、課題マル2、HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について、お示しをしております。
 16ページ目、17ページ目に関しましては、HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援の状況について、お示ししているところです。
 16ページ目、(1)救済に係る速やかな審査。こちらに関しては、我が国の従来からの救済制度の基本的な考え方にのっとり、速やかに救済に係る審査を実施してきており、予防接種法に基づく救済では、審査した57人中30人を認定、PMDA法に基づく救済では、525人中317人を認定してきたところです。
 (2)救済制度間の整合性の確保といたしましては、定期接種前の基金事業において接種した方で、生じた症状とワクチンとの因果関係が否定できないと認定されたが、入院相当でない通院の場合においても、予防接種法に基づく接種と同等の医療費・医療手当の範囲となるよう、国庫予算で補塡を行ってきたところでございまして、申請された方全てに現在のところ支払い済みであるということになります。
 (3)医療的な支援の充実に関しまして、身近な地域で適切な診療を提供するため、協力医療機関を整備してまいりまして、現在、47都道府県に84医療機関が整備されています。実績として、少し前の集計結果にはなりますが、平成29年3月の時点までに、協力医療機関を受診した患者様は715人でありました。また、こうした協力医療機関の医師向けの研修会を年1回程度開催しているところでございます。
 17ページ目を御覧ください。(4)生活面での支援の強化。平成27年、都道府県等の衛生部門及び教育部門に相談窓口を設置・公表しており、衛生部門では都道府県、政令指定都市、中核市、保健所設置市に計88自治体、教育部門には70自治体の窓口が設置されております。これらの窓口において、相談者の個別の状況を聴取し、関係機関と連絡を取り、支援につなげていただいております。
 (5)調査研究の推進に関しては、先ほど御説明した祖父江班の研究に関して、審議会にて実施方法を検討、議論、また、研究結果の報告を行っていただいております。
 18ページ目を御覧ください。こちらでは、ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関についての概要を御説明しております。
 目的、要件、役割とございますけれども、右側の協力医療機関の役割の(1)ですが、ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後の広範な疼痛または運動障害を中心とする多様な症状に対する診療に関して、地域における中核的な役割を担う医療機関として診療を行うこと。
 (2)地域のほかの医療機関から紹介された患者を受け入れること。
 (3)厚生労働科学研究事業研究班の所属医療機関の医師に相談の上、必要に応じ、当該医療機関を紹介することなどが役割とされております。
 19ページ目、協力医療機関の現在のリストをお示ししています。
 20ページ目、課題マル3、HPVワクチンに関する情報提供についてです。
 21ページ目を御覧ください。HPVワクチンに関する情報提供についてのこれまでの経緯をまとめております。
 平成29年12月、こちらの審議会では、情報提供については、情報提供しただけではなく、理解されたかどうか評価することが必要との御意見がありました。
 それ以後の情報提供についてですが、平成30年1月には、リーフレットを改訂し、厚生労働省のホームページで公表するとともに、情報提供を開始しております。
 それを受け、半年後の7月、審議会において、情報提供の評価の視点や評価方法について議論を行っていただき、この評価方法に基づき、自治体・国民への調査を実施いたしました。
 令和元年の8月、審議会において、こちらの調査結果を報告いたしまして、例えば対象者への個別の情報提供を行っている自治体が5%程度である等、リーフレットを活用した情報提供を行っている自治体が限られていること、リーフレットの表現に関して分かりづらい部分があることなどが指摘されました。
 令和元年11月から令和2年7月にかけて、リスクコミュニケーションや広報等の有識者からヒアリングを行い、情報提供の目的・方法等を整理し、情報提供の具体的な内容について検討を実施いたしました。
 令和2年9月から10月にかけて、情報提供資材等を接種対象者等に個別送付する方針及びリーフレットの改訂内容を了承していただき、令和2年版リーフレットを公表して、自治体に通知を行っております。
 令和2年版リーフレットは参考資料2につけておりますが、このリーフレットの中では、HPVワクチンの安全性・有効性、HPVワクチン接種後に生じた症状の発生頻度などを数字も用いながら、分かりやすい表現で示しております。
 22ページ目を御覧ください。令和2年10月の市町村への通知の後、HPVワクチンに係る情報提供の実施状況について調査を行いました。こちらの調査は市町村を対象としたもので、回収率は100%、2021年3月から行っております。
 この結果に関して、グラフで示したものが23ページ目にございます。左側に二つの円グラフがございます。左上の円グラフ、令和2年度中におけるリーフレット等を用いた個別送付による情報提供の実施の有無ですが、送付をしたと回答した市町村は61%でした。また、実際に調査を行ったのが令和3年3月ですが、その時点での令和3年度の個別送付による情報提供の実施予定の有無について確認をしたところ、送付するとしたところが76%、調査時点では未定であったところが18%、送付しないとしたところが6%でした。
 24ページ目、HPVワクチンの接種状況についてです。
 25ページ目のスライドを御覧ください。HPVワクチンの接種状況の推移について。お示ししている縦棒グラフでございますけれども、横軸が時間軸、縦軸がHPVワクチンの施設への納入数になります。こちらを御覧になりますと、HPVワクチンは積極的勧奨の差し控え以降、接種数が低い状態が続いておりましたが、過去2~3年の間に徐々に接種数が増加してきているところが見てとれるかと思います。
 26ページ目では、HPVワクチンの副反応疑い報告の推移についてお示しをしております。二つのグラフをお示ししております。上のグラフが副反応疑い報告数の実数に関してお示しをしているところです。また、下のグラフは、接種可能延べ人数当たりの副反応報告の割合、つまり報告数を施設へのワクチンの納入数で割り算したものと考えていただければいいかと思います。
 この二つのグラフをお示ししておりまして、横軸は時間軸になっております。これを見ますと、まず疑い報告数に関しまして、令和2年10月頃からやや増加しているように見受けられますが、先ほどのスライドでお示ししたように、この時期、ワクチンの施設納入数が増加してきております。そのため、下のグラフでお示ししたように、実際に納入数当たりの副反応疑い報告の割合に関しましては、過去2~3年の間、0.50%未満でおおむね横ばいでありました。
 また、疑い報告数に関しまして、報告数がやや増加している令和2年10月以降について、例えば重篤と報告されたものに関して詳細を見ますと、その大半は失神、意識消失発作、迷走神経反射などでございました。
 最後、論点でございます。
 28ページ目を御覧ください。HPVワクチンの積極的勧奨の取扱いについての課題と論点をお示ししております。重要な部分ですので、読み上げさせていただきます。
 HPVワクチンの安全性・有効性に関する最新のエビデンスについて。
 HPVワクチン接種後に生じた症状とワクチンとの関連について、国内外でこれまで調査が行われておりますが、ワクチン接種との関連性は明らかになっておりません。
 国内外の研究において、HPVワクチン接種によるHPVの感染や子宮頸部、こちらは「子宮頸部の高度異形成」と書いておりますが、「子宮頸部異形成」に訂正をさせていただきます。失礼いたします。HPVの感染や子宮頸部異形成の予防効果が示され、ワクチンの有効性は10年以上の長期間持続することを示唆する結果が示されています。さらに近年、海外の大規模調査において、子宮頸がんの予防効果も確認されてきています。
 HPVワクチン未接種の女性や男性においても、HPV感染とそれによる子宮頸部異形成や肛門性器疣贅に対する集団免疫効果が報告されています。
 HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援についてです。
 マル1、救済に係る速やかな審査、マル2、定期接種化前の基金事業で行われたワクチン接種による通院について、予防接種法と同等の医療費・医療手当となるよう予算事業により措置、マル3、身近な地域で適切な診療を提供するための協力医療機関の整備等を通じた医療的な支援の充実、マル4、各都道府県等への相談窓口の設置など生活面での支援の強化、マル5、疫学的観点からの研究の実施など調査研究の推進、それらの支援策が継続して行われております。
 HPVワクチンに関する情報提供について。
 令和2年10月にリーフレットを改訂し、また、個別送付に関する通知を発出したところでございますが、接種対象者等が情報に接する機会を確保し、接種について検討・判断できるよう、自治体からの情報提供資材の個別送付が広がってきている状態です。
 HPVワクチンの接種状況については、過去2~3年の間、HPVワクチンの接種数は増加傾向にある一方、副反応疑い報告の割合、これは報告数割る納入数という形になりますけれども、割合はおおむね横ばいでございました。
 論点です。HPVワクチンの安全性・有効性に関するエビデンスが集まり、HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援策が継続され、HPVワクチンに関する情報提供が進んでいます。こうした点を踏まえ、現在、HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨が差し控えられていることについて、どのように考えるか、御審議いただければと思います。
 以上です。
○森尾座長 事務局、御説明ありがとうございました。
 資料に示していただきましたように、これまでの経緯と課題、そして、HPVワクチンに関しまして、安全性・有効性に関する最新のエビデンス、そして、ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について、主に救済相談窓口、協力医療機関、調査研究などについて、そして、HPVワクチンに関する情報提供-これは主にリーフレットのことが中心でございました-、HPVワクチンの接種状況、そして、最新の情報も含めた副反応などの情報を提供していただきました。最後に論点をまとめていただいたという状況になっております。
 ただいまの事務局からの説明につきまして、質問、御意見を承りたいと思います。委員の皆様からいかがでしょうか。倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 今、事務局から御説明いただきましたけれども、実際、私は差し控えが決まったときの委員会にも参加しておりました。今回あまりそこのところを示されなかったのだけれども、接種後の疼痛であったり、運動障害であったり、どういうふうにこの症状を考えればいいのか、あるいは発症機序もどういうふうに考えればいいのかということは、例えばペインの専門家の先生であるとか、小児神経の先生とか、多くの先生にも参考人として来ていただいて、あと、海外の先生にも御意見を伺った記憶があります。そういう中で、疼痛があるのです。痛いのです。それから、運動障害がある。しかし、それがワクチン自体のコンポーネント、いわゆるワクチンに含まれている物質によるものかと言われると、そういうふうに考えるよりは、やはりワクチン接種の痛みであるとか、あるいは腕を動かせないとか、心理的な恐怖であるとか、そういうものに基づいて考えるべきではないかということで、委員会でも何度も議論して、そういうコンセンサスになったのではないかと思っております。
 一方、こういう症状が出た方に対してどういうふうに対処をすると、早く社会復帰といいますか、学校にも行けるようになるという説明もありましたし、それから、実際に事例あるいは数などもお示しいただいたことがあります。結論としては、いわゆるワクチン自体によるものではないのではないか。しかし、痛みであるとか、運動障害、いわゆるペインなり、その原因はそういうふうに考えるのがいいのではないかと思っています。
 そこは示されませんでしたが、原因についても、免疫であるとか、例えばワクチンそのものではないという理解は委員会としても随分議論しながら、そういう結論に達したと考えております。今、お示しいただいた中に、委員会としての活動、考え方、どういうふうにこの問題に対処してきたかということがありませんでした。時間的なこともあるでしょうから、お示しされませんでしたが、そこを私としてはここでコメントし、追加したいと思います。
 以上です。
○森尾座長 倉根委員、ありがとうございました。これまでの8年間の議論をまとめて紹介していただきまして、本当にありがとうございました。
 ほかの委員の皆様からいかがでしょうか。それぞれのお立場からぜひ御意見を頂戴できればと思っております。舟越委員、よろしくお願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
 今回の論点において、現場の医療従事者としては、積極的推奨を再開する予定になったときには、幾つか問題点を整理する必要があると思いました。世界的にベネフィットがリスクを上回る判断がされているので、積極的推奨になったときには、リーフレット、そういったものをもう一度整理する必要があると思います。
 多様な症状を有する方へ寄り添う対応についてですが、今回の資料の中でも救済制度が充実されていることから、この8年間の行政の対応というのは、非常に適切な対応をされていると感じました。
 ただ、一方で、積極的推奨になる前に出庫数、それに併せて副反応の報告数が上がってきている中で、医師への研修、あと、協力機関の84、全国で協力機関の部分というのはその数で足りるのか。今後、積極的推奨になった場合、今の段階でも上がってきている中で、相談できる医療機関として、ほぼ大学病院が一覧になっておりますが、その当時は多分緊急でそういった対応をされたと思うのですが、HPVワクチンは診療所を含めて、地域で若い女性に接種するところもありますので、もう少しそういった協力機関の選定方法、また、それを広げるということも、積極的推奨をする段階では協議・議論が必要なのではないかと思いました。実際に平成29年まで715名の方が連携協力機関に相談されているということで、そこは少し議論していったほうがいいと思っています。
 あと、一つ教えていただきたいのですが、例えば積極的推奨になった際、去年議論しましたリーフレットには世界での接種率が載っていますが、日本の接種率が載っていない。そこは前回議論されましたが、こちらのリーフレットの更新についても、今、ウェブでホームページに掲載されていると同時に、実際には各市町村から個別送付をしている部分を踏まえて、最新の情報、また、積極的推奨になった際には、その資料についても少し改善が必要だと思いました。
 以上です。
○森尾座長 舟越委員、ありがとうございました。
 リスク・ベネフィットを含めて、データがさらに集まり、また、日本でも接種率が上がった中で、いま一度、リーフレットの改訂等が必要かどうかという点が1点と、今、協力機関は84ということでありますが、大学病院等が中心になっていることもありまして、その数が適切であるかを含めて、選定を見直したらどうかということでございます。
 リーフレットにつきまして、もし事務局からお考えがありましたら、お聞かせいただけたらと思います。事務局、お願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
 リーフレットにつきましては、接種の対象者の方に、接種の是非について検討・判断いただくために必要な情報を分かりやすくということで、昨年の10月に改訂をして、市町村に対象者への個別送付を依頼しております。
○森尾座長 ちょっと接触が悪いです。重要なポイントですので、もう一度、お願いいたします。
○事務局 失礼いたしました。聞こえますでしょうか。
 リーフレットにつきましては、接種対象者の方に、接種の是非について適切に検討・判断いただくために、必要な情報を分かりやすくお伝えするために、昨年10月に改訂をさせていただいたものでございます。現在、市町村から個別送付を含めて、幅広く情報提供していただいていると承知をしておりますが、仮に、今般、部会で積極的勧奨についての取扱いを変えるという御結論をいただいた場合におきましては、リーフレットにつきましても、御指摘いただきました日本の接種率に係る情報等も含めて、改訂を検討していきたいと思います。
○森尾座長 ありがとうございます。
 舟越委員、どうぞ。
○舟越委員 長谷川委員もコメントを残していますが、相当聞こえなかったです。よく聞こえませんでした。後ほど確認したいと思います。
○森尾座長 すみません。すごく重要な部分なので、もう一度、お願いいたします。
○舟越委員 大分聞こえないです。
○森尾座長 申し訳ありません。もう一度、トライさせていただきます。
○事務局 時間を取って申し訳ございません。今度は大丈夫でしょうか。
○舟越委員 大丈夫です。
○事務局 ありがとうございます。
 リーフレットにつきまして、御質問いただきました。リーフレットにつきましては、接種対象者の方が、接種の是非を検討・判断するのに必要な情報を分かりやすくという観点から、昨年10月に改訂をさせていただいて、市町村において個別送付を含めて、幅広く情報提供をしていただいているところだと認識をしております。
 今後、HPVワクチンの積極的勧奨について、この部会で在り方を変えるという御判断をいただいた暁には、御指摘いただいた日本における接種率等も含めて、その内容の改訂について検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
○舟越委員 昨年の9月と10月は積極的推奨ではないけれども、市町村から個別送付をするという、ちょっと曖昧な状態になっている中でしたので、見直すタイミング、その議論になったときにはもう少し盛り込んでいただきたいことがありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 副反応部会としては論点がずれるのですが、今、市町村への送付が義務ではないので、送付されていない、個別の方に届いていない場合があります。今後、議論が再開して、積極的推奨になる場合には、打てなかった人たちに対する対応についても、また議論をしていかなければいけないと思っています。
 以上です。
○森尾座長 積極的推奨になった場合にということで、御示唆を頂戴いたしました。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。まず山縣委員、そして、多屋委員、お願いいたします。
○山縣委員 山縣です。お願いします。
 確認なのですが、今、御説明いただきました資料1-1の25ページに、接種状況の推移というものがあるのですが、この数なのですが、例えば一番右側の令和3年に関して、10万という接種は施設納入数になっていますけれども、実際の地域保健・健康増進事業報告の定期の予防接種者数とほぼ一致していると考えていいのでしょうか。といいますのは、定期接種の対象になっていない人たち、予防接種を自費でお受けになっている方がどれぐらいいるかということが、把握できているのかということに関しての質問です。
○森尾座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 御質問ありがとうございます。事務局でございます。
 25ページ目の資料に関して御説明をさせていただきますと、こちらの施設納入数に関しましては、こちらの審議会で定期的に御報告をいただいている資料に基づいてデータを拾い上げたものでございます。その上で、令和2年度、令和2年4月から令和3年3月までの施設納入数に関して、具体的に数字を示しているところでございます。令和2年度に関しましては、先ほど先生におっしゃっていただいた地域保健・健康増進事業報告では、まだこちらのデータが出ていませんので、令和2年度に関して数字を比較することはできません。
 ただ、例えば令和1年度で比較をしてみますと、令和1年度に関して、施設の納入数はおよそ6万5000となります。一方で、下の参考に実際の接種者数を示しておりますけれども、これを足し合わせると、およそ4万の数字になります。ですので、必ずしもこの数字が完全に一致するわけではないかと考えております。ただ、この数字の中には、例えば任意接種以外で実際にワクチンを接種した数も含まれていると考えられますので、実際に接種した方と納入数にどれくらいのディスクレパンシーがあるかに関しては、正確な数字をお示しすることは難しいと考えております。
○山縣委員 今後、皆さんこれを打ちたいと思ったときに、やはりキャッチアップの問題が出てくると思いますので、その辺りも含めて、どれぐらいの方が打つことができなかったのか、今後どれぐらいの方が打つ希望があるのかということについて、検討する必要があると思いました。ありがとうございました。
○森尾座長 重要な御指摘ありがとうございました。キャッチアップという点を御指摘いただきました。
 多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 ありがとうございます。
 前回、積極的勧奨が差し控えられて、様々な症状を持ったお子様がいらっしゃったことについては、接種前に十分な情報提供がなされていなかったのではないかという意見もあったと思います。今回改訂されたリーフレットについては、先ほど舟越委員の御意見もありましたけれども、以前のものに比べると、かなり分かりやすくなっていると思います。
 また、非常によいほうに意外だったのは、市町村からここまで個別に送付していただいているという点で、今回の調査結果で逆に驚いたところでした。子供たちと保護者の方がこの状況をしっかり読んで接種する。何を予防するかもあまり分かっていないままに接種を受けて、とても痛いワクチンであったから、様々な症状が出たときに対応が難しかったということもあったかと思います。今は8年前と比べて、そういう症状が出たときの相談窓口もかなり確立してきましたし、それから、日本もそうかもしれませんが、海外では子宮頸がんを予防する効果があるという発表が出てきたことも、この8年では大きかったと思います。
 接種を受ける子供たちへの情報提供という意味では、今の個別通知は本当によかったと思うのですけれども、それに加えて、子供たちは学校に長くおりますので、学校の先生方、特に養護教諭の先生方は女性の先生も多いと思うのですが、そういう先生方にこのことをよく理解していただいて、子供たちに教えていただけるような、そんな体制をつくっていただくことで、接種を受ける側にとってもメリットになるのではないかと思いましたので、学校との連携もあるといいと思いました。
 以上です。
○森尾座長 多屋委員、ありがとうございました。リーフレットはかなり分かりやすくなっている中で、子宮頸がんのエビデンスは載せることができませんでしたので、その御指摘と、あと、学校との連携という重要な点でございます。
 伊藤清美委員が先で、そして、山縣委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 二つお伺いしたいのですけれども、一つは、今の資料の26ページの下のグラフです。接種可能延べ人数当たりの副反応疑い報告の割合の推移があるのですけれども、積極的勧奨を差し控えた後に1回ピークがあって、そのあと下がってきているように見えるのですが、この辺り、何か要因というのは分かるのでしょうか。
○森尾座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 お答えいたします。今、マイクは聞こえておりますでしょうか。
○伊藤(清)委員 ちょっと聞こえづらいかもしれません。
○事務局 聞こえておりますでしょうか。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○事務局 今、先生がおっしゃられたのは、26ページ目の割合のところで、例えば平成27年から平成28年にかけて、割合がピークを示しているようなところが、どういったものかという御質問の意味でよろしいでしょうか。
○伊藤(清)委員 そうです。その後、下がってきているように見えますので、何かそこに要因があればと思いました。
○事務局 この間の副反応疑い報告でございますけれども、上のほう、小さく注4と書いてあるところを御覧いただきますと、副反応疑い報告は報告日ベースでございまして、発症からある程度期間が経過した後に報告される場合があるということで、この間に報告されているものにつきましては、例えば平成25年より前、平成23年、平成24年の緊急促進事業のときに接種されて、その後、1年とか、数か月たって症状が出て、実際に報告があったのが平成27年、この時期だったというものがかなり多くを占めているという傾向がございます。1例1例どうかというのは、具体的にお示しするのは難しいのですが、傾向としてはそういったものが多く含まれていたということでございます。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 つまり報道を見て、これもそうだったかもとか、そういうものも含まれるかもしれないということですか。
○事務局 この期間内に接種して、期間内に起こったというよりは、報告されたのはこの期間なのですけれども、それより前に接種とか、発症されたものが多くを占めていたということでございます。
○伊藤(清)委員 分かりました。ありがとうございます。
 もう一つなのですけれども、先ほどのお話にも少しあったのですが、23ページにリーフレットを送付したかどうかとか、する予定かどうかというアンケート調査が載っているのですけれども、多屋委員もおっしゃいましたように、多くの自治体で送付されていることは確かなのですが、例えば問2のマル1のところで、送付しないという回答も6%あったりするのですが、これは自治体の判断といいますか、何か理由があるのか。つまり今後もし積極的勧奨を再開したときに、自治体の姿勢によって接種する機会というか、これはリーフレットの送付ですけれども、自治体による差が出てしまう懸念がないのかどうかというところをお伺いしたいと思います。
○森尾座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 資料の23ページ目の左下の円グラフ、送付しないとなっているところの市町村の未送付の理由に関してですけれども、個別の状況に関して、アンケートで答えていただいたものを幾つか御紹介いたしますと、例えば既に令和2年度中に全ての接種対象者等に個別送付を行っていて、令和3年度に新たな送付すべき対象者がいないためという答えであったり、あるいは広報等により必要な周知は既に行われているためという答え、また、ほかのものとして、積極的な勧奨が現在差し控えられているためなどの理由が挙げられていた形になります。ですので、市町村によって個別の事情が異なるとはいえ、既に周知が行われている状況なども、この中には含まれているのではないかと考えております。
○伊藤(清)委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 先ほど多屋委員の話で学校でということがありましたが、全くそのとおりで、例えば山梨県では学校でこのパンフレットについて説明しているところがあって、実際に情報を得た子供たちがそれについて自分で考えて、やはり打たなければいけないといって、親にそういう話をし始めたということを聞いております。なので、こういう情報提供をして、子供たちは自分たちでも考えられる年ですので、そういうことを積極的にやっていくというのは、本当にいいことだと思いました。コメントです。ありがとうございます。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。岡委員、お願いいたします。
○岡委員 ありがとうございます。
 先ほど舟越委員がおっしゃった点、とても大事だと思います。幾つかおっしゃった中で、協力医療機関のことについて御指摘がありましたけれども、実際に協力医療機関を指定したときの患者様は、恐らく今は実際には受診されていない状況があるかもしれませんので、そういう意味で、現状をもう一回把握していただくというのは、非常に重要だと思っております。
 あと、慢性の疼痛に関しては、厚生労働省も非常によく取り組んでいると伺っています。今回の会議の前に事前にこうしたことをされている先生に伺ったところ、厚生労働省の慢性の痛み対策研究事業みたいなところで、指定医療機関、センター病院というものも指定して、そういうところで認知行動療法とか、そういったものを推進されていると伺っておりますので、そうした医療機関にも協力をお願いできる素地はあるのではないかと思います。そういった現状について、もう一回把握していただくのは大事だと思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。
 あと、先ほど多屋委員もおっしゃったように、例えば学校とか、そういうところを巻き込んでということですけれども、実際に対象となるお子さんたちは、何らかの症状があったときに小児の医療機関等を最初に受診されると思いますので、そういったところへの広報も、新規の子供たちに対応できるようにつないでいただいてければと思います。痛みということに対して、一定程度の医療的な検査等をした上で、もし痛み等が長引くようであれば、小児の医療機関からそうしたセンター的な医療機関に御紹介するといったシステムは十分に可能ではないかと思いますので、そういう意味で、もう一回、協力医療機関を中心とした医療体制についての御確認をいただければと思います。
 以上です。
○森尾座長 重要なポイントをありがとうございます。現状の把握に加えて、慢性疼痛対策ができるような施設を確認して、センター的なところに送れるようなシステムも含めて、体制の確認、そして、構築ということを御指摘いただいたと理解いたしました。ありがとうございます。
 ほかにいかかでしょうか。宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 ただいま岡委員がおっしゃったことは非常に大事なことで、その意味では、具体的な対応、どのように支援体制を整えていくのかということは、これからより重要になるのだろうと思います。
 積極的な勧奨を差し控えたというところから、接種ができるというところの段階、そして、勧奨へ移行していくという流れの中では、一つ一つ段階での対応が異なってくるはずです。ですから、それをしっかりと見据えながら具体的な対応していかなければなりません。そこでは、やはり接種を受けられる方、家族の方も含めて、漠然とした不安からより具体的な不安になってきます。それをどのようにキャッチアップして、相談体制を整えていくのかということがより重要になってきます。学校であれば養護の先生、校医の先生がどのような対応ができるのかということになると、支援体制というものをどう地域でつくり上げることができるかということだろうと思います。
 そういう意味では、不安と疑念の中で出発してはいけないのだろうと思います。十分な議論だけではなくて、今後の展開を見据えた中で、多くの国民の方々が納得できるような形で流れをつくっていくことが必要です。先ほどお話があったように、協力医療機関というものの中で、大学病院だけでなく周囲様々な医療機関のネットワークなど、より具体的に何ができるのかということが非常に必要です。協力医療機関の数だけではなくて、質の保持が重要になってきます。それをさらなる質の向上に結びつけていくような施策が必要なのではないかと思っています。
 以上です。
○森尾座長 ありがとうございました。相談体制という重要な点で、学校、地域、そして、医療機関という枠組みの中での相談体制、そして、具体的にどうしていくかということの提示、協力医療機関の質の担保が重要であるという御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。
 今まで積極的勧奨がされていなくて、それがいきなり外れるということで、今後、移行期間というものが必要になってくると思いまして、現在、リーフレットなどで啓蒙しているというのがそれに当たるのかと思うのですけれども、今まで国で勧めませんと言っていたものが、いきなり勧めますになると、今まで勧められていなかった人たちは、私たちは何なのだろうかと思うところがあると思うので、いきなり外すというよりも、間に受けたいと思う人は受けられる、情報を与えられた段階で、受けたい人は受けられるという間のクッションが必要だと思うのが一つです。
 あと、今、情報の格差があって、積極的に情報を集められる人たちというのは、9価のワクチンがこれから登場する、もしくは既にあるという情報も知り得ていて、そちらを打ちたいと希望する人たちがかなりいます。私の周りなどではそういう人たちが多いのですけれども、そういった場合に、国は推奨している2価、4価が9価とどう違うのか、効果がどう違うのかということを知らないで、古いものを打たされたという印象を与えてしまうということは避けたほうがいいと思いますので、今ある2価、4価のものでの効果、あと、9価との違いもきちんと説明したほうがいいと思います。
 あと、学校の教育は重要だと思いますけれども、学校でワクチンを打てとなるのは、コロナのときにも問題が発生していますので、病気についての知識を入れていただく。子宮頸がんだけではなくて、予防でき得るがんという形で、例えば喫煙と肺がんの関係とか、子宮頸がんとウイルスの関係とか、がん全体をどうやって予防していくかという一環で、ワクチンという方法があるということを啓蒙していただくといいと思いました。
 以上です。
○森尾座長 ありがとうございました。
 最後の部分、学校との関係は適切にということでございまして、これは重要な御指摘だと思います。
 あと、リーフレット以外にはなるかもしれませんが、情報の格差をなくす、積極的に十分な情報を提供することが重要だということでございまして、1点目は移行期間の考え方、クッションということでありまして、積極的な勧奨になっても恐らく時間はかかると思うのですけれども、それを含めて事務局で何かお考えであれば、お願いいたします。事務局、お願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
 聞こえますでしょうか。
 HPVワクチンの取扱いにつきましては、現状、予防接種法上の定期接種ということで、法制上の整理としては勧奨の対象となっているわけでございます。ただ、積極的勧奨を差し控えておりました関係で、これまで例えば個別の接種対象者、該当する年齢の方に予診票を配るとか、そういった積極的な勧奨をしてこなかったという事実がございます。ただし、それでもやはり予防接種法上の定期接種として、予防接種によるメリットが高い疾病として位置づけられておりますことから、様々な情報提供をさせていただいておりますし、接種費用の補助もされてまいりました。
情報提供の一環として、先ほども話題に出ましたリーフレットですが、対象となるお子さんあるいは保護者の方に接種を受けることについて、メリットやリスクを十分に理解していただいた上で、適切に検討・御判断いただけるように、昨年10月から個別の送付をさせていただいてきたわけでございます。そうした段階を経て、今日の論点を提示させていただいたところでございますけれども、そういった状況も踏まえて、御審議いただければと考えております。
 以上です。
○森尾座長 宮川委員、いかがですか。お願いいたします。
○宮川委員 宮川です。
 今のことに付け加えて、今まで積極的な勧奨を控えていたところですけれども、決して勧奨が行われていなかったわけではないのが現状です。ですから、そこが問題なので、今回も積極的勧奨をするということをメッセージとして急に捉えていくことは、非常に危険です。ですから、長谷川委員がおっしゃったように、ワクチンのことだけを積極的にと言うと、学校の中で同調の問題など、いろんな問題が起こってくるわけです。ですから、しっかりとした勧奨体制を取っていくことが予防接種法上大事なのではないでしょうか。それに対しての積極的という言い方は少し語弊が生じてくるのではないかと懸念をしているので、しっかりとした言葉遣いをしていただくことが重要なのではないかと思います。
○森尾座長 現在も勧奨体制であって、積極的な勧奨は差し控えているということですので、事務局、情報提供をしっかりしていく中で、体制を移行していくというお考えだと理解いたしました。
 長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 そうしますと、勧奨はしているから、これから積極的にやる必要があるかどうかということを議論するという、国民には勧めています、皆さん打ってくださいと言っているのだけれども、さらに一段ギアをアップして、積極的にするかどうかということを、今、目指していらっしゃるということでよろしいでしょうか。
○森尾座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 おっしゃったとおりでございます。
○森尾座長 今は打てる方が打てるようにという形での勧め方で、もう一歩ギアをアップしたような感じですかね。ちょっとそこら辺は難しいです。
○長谷川委員 今、一般的に勧められているとは感じていません。幾ら勧めていますと言っても、勧められる側は勧められているとは感じていないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○森尾座長 岡委員、お願いいたします。
○岡委員 横から入って申し訳ありません。私、小児の医療機関に勤めておりますけれども、リーフレットを配っていただいて、実際にそれを読んでいただいて、子宮頸がんワクチンの意味を知って、受診して、打たれるという方が現在打っておられます。長谷川委員は、皆さんに十分そういうところが知られていないという点を御心配されているのだと思いますけれども、実際に打っている医師に聞いてみると、既にちゃんと理解して来られていて、そこでまた説明するみたいですが、ちゃんと理解されていると話を聞いておりますので、少しずつ浸透はしている、そういう段階には来ているのではないかと感じております。一医療施設での感想ですけれども、そういった状況だと思っています。
○長谷川委員 ありがとうございます。
 打ちにいらっしゃる方は、恐らく情報を得て、納得して打ちに来ているのだと思うのですけれども、それがどこまで浸透するかという、そこを浸透させるのがまず最初だという気がします。リーフレットが届いても、それを読まないで、ごみ箱に行く割合もかなり高いと思いますので、ですから、紙媒体でなく、もうちょっと若い世代の親などに届く方法などでということも、コロナでいろいろやられているようなものを応用してということもあると思いました。
○森尾座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
 リーフレットなどを活用した情報提供の目的のこれまでの経緯に関して、改めて御説明をさせていただければと思います。
 資料の21ページ目を御覧いただければと思いますけれども、今までこちらの審議会にて情報提供に関して丁寧に御議論をいただく中で、昨年9月から10月にかけてリーフレットを改訂、あるいは個別送付の方針を了承していただいた際には、情報提供の目的として、公費で接種できるワクチンの一つにHPVワクチンがあることを知っていただくとともに、接種について検討・判断するための有効性・安全性に関する情報や接種を希望した際に接種に必要な情報を接種対象者等に届ける、そうした目的に基づいてリーフレットの作成、あるいはリーフレット等の個別送付を行っていただいたところでございます。
 先生方に御指摘いただいたように、これがしっかり届いているかどうか、さらに今後の積極的勧奨の取扱いを踏まえながらの情報提供をどうするかというところは、非常に肝な部分だと思いますけれども、いま一度、こちらの部分を確認していただきまして、今までの議論の延長上として、今後の情報提供をまた考えていくと認識をしていただければと思っております。
○森尾座長 ありがとうございます。段階的に進んでいるところですけれども、これからは広報も含めて、もう少し情報を提供しながら進めていくということだと思います。
 濱田委員、続いて柿崎委員からお願いいたします。
○濱田委員 私も大体皆さんの意見と同じだと思うのですけれども、いろんなエビデンスが明らかになって、副反応がどの程度のものなのかということ、あるいは既に副反応が出ていらっしゃる方へ寄り添うような対応も行われている、情報提供も行われてきているということから、積極的な勧奨が再開する時期には来ていると思うのですが、副反応部会の立ち位置として、どこまでここで決めるのかということが、私はいま一つよく分からないのです。
 実際、今から8年前、2013年6月に副反応部会で子宮頸がんワクチンの接種による有害事象ケースが多いということで、積極的勧奨を止めたということは事実だと思うのですけれども、それであれば、副反応部会はそういった懸念がなくなったという報告を出して、それに基づいて、この部会ではなくて、予防接種・ワクチン分科会で決める話ではないかと思います。といいますのは、この8年の間に社会情勢もいろいろ変わって、行政面での対応が非常に重要になってきている時期だと思うのです。もちろんキャッチアップの件もございますし、危ない危ないと言っていたものが、これだけ情報がそろって打てるようになった。そこまでするのであれば、副反応部会で積極的な推奨をするということを決めるよりも、ここでは副反応に関する懸念はなくなってきたという結論を出した上で、上の分科会で決めていただくことが重要ではないかと思うのですけれども、その辺、事務局のお考えを伺いたいと思います。
○森尾座長 事務局からお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 HPVワクチンの積極的勧奨の取扱いについて、平成25年6月に差し控えということで決まったわけでございますけれども、その経緯といたしまして、副反応部会において様々な症状を呈する方々の症状の発生頻度ですとか、より多くの情報が得られるまでの間、差し控えをすることが適当ではないかという、部会としての結論を副反応部会からいただいた経緯がございます。それを受けて、厚生労働省といたしましては、積極的勧奨の差し控えということで決定をさせていただいた経緯もございますので、8年間の間に蓄積された様々な知見ですとか、様々なことについて部会の先生方に非常に深い議論もいただきました。そういったことも踏まえて、どうするべきかというのは、この部会の場でぜひ御議論いただき、結論をいただきたいと考えております。
○森尾座長 濱田委員、よろしいでしょうか。
○濱田委員 この部会には行政関係の方はほとんど入っていらっしゃらないと思います。副反応部会はあくまでも子宮頸がんワクチン、HPVワクチンの副反応に関する懸念がなくなったし、それに対応するシステムが整備されているということを結論として出すのであって、積極的勧奨をするかどうかということは、行政の方が入った分科会なりでしていただく必要が手続上あるのではないかと考えている次第なのですけれども、いかがでしょうか。
○森尾座長 いかがでしょうか。
○事務局 こちらの部会でというよりも、分科会でということは一つの御意見だと思います。総意としてそういう御意見だということでございましたら、持ち帰らせていただいて、検討させていただきたいと思います。
○濱田委員 よろしくお願いいたします。
○長谷川委員 それに関係してよろしいでしょうか。
○森尾座長 長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 そもそもどのワクチンを積極的勧奨にするか、選ぶのはどこの会議体なのでしょうか。
○森尾座長 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 それは予防接種・ワクチン分科会か予防接種基本方針部会という形になるはずです。そこでどのような方針を定めるのではないでしょうか。
 今日は4ページに書いてあるような課題マル1、課題マル2、課題マル3、リスクとベネフィットの問題の整理がしっかりとされていたのかどうか、その対応が適切なのかどうか。そして、生じた症状に苦しんでいる方々に寄り添った支援がしっかりとできるのかどうか。リスクとベネフィットに関する情報提供がしっかりとできるということを、私たちが議論してきて、しっかりとできているのかどうか検証することが大切です。それらの論点、課題の三つをしっかりと把握して、それが確実なものかどうか、そして、今後のそれらに対する方針をしっかり定めることができるかどうかということだろうと思います。ですから、積極的という言葉だけでなく、しっかりとした勧奨ができるのかどうかという具体的なところに持っていくことが大事だろうと思います。
○長谷川委員 私も積極的勧奨をどのワクチンにするかということを決める会議に対して、副反応としてはどうかという意見を述べるのが適切だと思います。
○森尾座長 ありがとうございました。
 こちらの進め方につきましては、事務局でもう一度整理をさせていただいて、そして、提示をさせていただこうと思います。
 今日御議論いただくのは、今、宮川委員にまとめていただきましたけれども、それぞれの課題について、副反応検討部会ではどう考えるかということを提示させていただくということでありまして、今日はいろんな意見を出していただく場として設定しておりますので、これからの進め方は、また情報を提供しながら、そして、相談させていただけたらと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 9価のワクチンの取扱いについてお伺いしたかったので、既に長谷川委員から御質問がありましたので、私からは大丈夫です。
○森尾座長 どうもありがとうございます。9価ワクチンですね。
 倉根委員、手を挙げていただいていますでしょうか。お願いいたします。
○倉根委員 現在出ている課題マル1、課題マル2、課題マル3については、かなりの程度充足されてきていると考えています。もちろん積極的勧奨の差し控えという非常に分かりづらい表現があって、これがあるがゆえに、説明されても理解できない方が一般的には多いのだろうと思っています。先生、そこのコメントに入ってよろしいのですか。
○森尾座長 御自由に御意見をお願いいたします。
○倉根委員 分かりました。
 私自身は、積極的勧奨の差し控えという状況は脱することができる時期に来ているのだろうと思っています。もちろんワクチン接種の年齢の方とか、機会を逃した方達に対してどういうふうに対処するかということは必要だと思いますけれども、方向性として、差し控えという状況を脱するようなレベルまで、課題についても解決といいますか、充足されてきているのではないかと思っております。意見です。
○森尾座長 倉根委員、ありがとうございました。
 石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
 御提示いただいた資料につきまして、ベネフィットは非常に丁寧にまとめられています。ただ、リスクについては、特にないという解釈で、それ以上のものはないということでよろしいのでしょうか。
 次に接種を広めていくに当たっては、舟越先生もおっしゃっていたのですけれども、バックアップされる医療機関がどれだけあるかということが重要に思いますし、資料の15ページ以降、何人中何人を接種してという、この母数、分母が広がってきます。分母が広がってくることに対しては、やはり救済する対象もおのずと増えてくるように思います。それだけの医療バックアップ体制がどれだけの期間にできるのか。それと並行して積極的な勧奨という形になっていくと思うのですが、その辺りの計画というか、具体的な指標をお持ちでしょうか。
○森尾座長 ありがとうございます。
 協力医療機関を含めて、実際に医療に当たっていただく方々へのボリュームが増えていくのではないかというところ、その体制ができているかという点が1点でございます。事務局、お願いいたします。
○事務局 御質問ありがとうございます。
 まず一つ目、エビデンスに関しての御質問をいただいたかと存じます。今回お示しした論文に関しましては、御説明の中でお話をしましたとおり、査読を受けた論文であって、エビデンスレベルが高いデザインであるか、一定規模のサンプルサイズが保たれているかどうか、一定期間追跡された研究であるかどうか、そういった基準に基づいて比較考慮をして抽出したものでございます。この基準でまとめたものに関しまして、安全性に関してのエビデンスはお示ししたような論文でございまして、まとめとして、先ほどお示ししたような形で考えております。もしも先生方の御意見の中で、エビデンスでこういったものが漏れているのではないかというものがございましたら、今後、事務局に御連絡をいただければと考えております。
 続きまして、接種後に生じた症状に苦しんでいる方々へ寄り添った支援の状況についての御質問をいただきましたけれども、御質問いただいたのは、まさに今後どういう体制で臨むのかという話だと認識をいたしました。協力医療機関に関しても、先生方から幾つか御意見を賜りましたけれども、現在、47都道府県、84医療機関がございますが、幾つか都道府県に確認をしましたところ、今、接種者数が少ない状況でございまして、実際に医療機関を受診する患者さん、症状を訴えてくる方の数が非常に少ない状況ではあります。一方で、窓口体制などをしっかり維持しているところもあると伺っております。そうした状況ではございますけれども、今後の医療体制をどうするかということに関しては、本日いただいた御意見も踏まえながら、しっかり検討して、拡充であるとか、あるいは強化はどういったことができるかということを考えてまいりたいと思っております。
○石井委員 ありがとうございます。
 そこができていかないと、接種してくださる方が増えても、フォローができないとなると、そこもまた形が違うように思いますので、両輪でお願いしたいと思います。
○森尾座長 石井委員、ありがとうございました。
 非常に重要な安全性について、今、挙げていただきまして、そして、事務局からはエビデンスが高い安全性に対する懸念といいますか、因果関係を提出したようなものはないということで、本日議論をいただいているということでございます。これに関して、御懸念がある方がいらっしゃいましたら、ぜひ議論を深めておくべきだと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。
 大分お時間をいただきましたけれども、できるだけ全ての方から御意見をいただきたいという座長の思いがありまして、佐藤委員、よろしくお願いします。
○佐藤委員 遅れて入ってしまったので、繰り返しになっていたら申し訳ないのですけれども、今回、公的には勧奨をしていないところを勧奨するということで、変更があるわけですが、それに付随してリーフレットのリバイスを行うのでしょうか。つまり今までと全く同じ情報提供なのに、何で態度が変わったのかということを一般の方はすごく疑問に思うと思ったのです。これまでの8年間で科学的なエビデンスが積まれてきたということをきちっと説明する形で、変わったからこうなったというロジックにしないと納得しづらい部分があると思います。リーフレットや情報提供の仕方について、今後、少し考えていただければと思いました。
○森尾座長 佐藤委員、ありがとうございました。おっしゃるとおりで、リーフレットを含めた最新の情報提供は、非常に重要であるということで議論させていただきまして、今のところ、その方向で進ませていただくことになっております。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。永井委員、いかがでしょうか。例外的ですけれども、全ての委員の方に御意見を頂戴できればと思います。
○永井委員 私、呼ばれましたか。
○森尾座長 はい。そのとおりです。
○永井委員 すみません、ちょっと聞こえにくかったです。
 私は前から子宮頸がんワクチンは積極的に勧奨していく時期に来ていると考えていますし、いろんな学会でもお話をさせていただいています。法的にも勧奨するという立場になってきたわけですから、いろんな自治体で積極的に進めていく体制を取っていただく時期に来ているのだろうと思っています。
 以上です。
○森尾座長 いきなり振りまして、申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
 伊藤澄信委員は退出されているのですか。ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますでしょうか。
 先ほどのどの部会で進めていくかということにつきましては、事務局からこちらの副反応検討部会、合同部会で今回の課題について整理をしましたら、もう少し議論を深めて、そして、オペレーション等を含めて、予防接種・ワクチン分科会にお諮りをするという形で進めていったらどうかということでございます。濱田委員、そんな方向性でいかがでしょうか。
○濱田委員 そのほうが構造上いいのではないかと思っておりますので、異論はございません。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ただ、こちらでは課題についてしっかり議論して、それを解決する方法を含めて、提示をさせていただくという重要な使命があると考えております。
 ほかに意見、コメントはございませんでしょうか。長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。
 今までの議論とは変わるのですけれども、今後、接種を広げていくといった場合、副反応の点で議論する場合、海外の事例などで、男子に接種した場合の副反応、男女間で違いがあるかどうかということを御提示いただければ、今後、集団免疫ということを考えたときに、男子への接種を考えられるかどうかというところの素地のデータになるかと思いますので、副反応の男女差とか、そういったものを今後出していただければと思います。
○森尾座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
 御指摘いただいたように、今回お示ししたものは、女性の症状に関してのデータでございましたけれども、男性に関してということでございますが、恐らく一義的には、ワクチンの定期接種の対象をどうするのかという議論に伴ってのエビデンスの整理という形になりますので、そうした議論を行っていただいております基本方針部会などで、そういったエビデンスを委員の先生方の求めに応じて、実際に議論していく形になるかと考えております。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議論された内容をまとめさせていただきたいと思います。重要なポイントでございますので、言い回しを含めまして、何かありましたら、ぜひ御指摘をいただけたらと思います。
 これまで確認された内容でございますけれども、課題マル1として、HPVワクチンの有効性・安全性がございます。
 その中で、最新のエビデンスについて提示をされ、議論をさせていただきました。平成29年11月の検討以降、HPVワクチン接種後に生じた多様な症状とHPVワクチンとの関連について、国内外でこれまで調査が行われているが、ワクチン接種との関連性についてのエビデンスは認められていない。ワクチン接種との関連性は明らかになっていないという点が1点目でございます。
 2点目、HPVワクチンの有効性について、近年、海外の大規模調査において、子宮頸がんの予防効果も示されてきている。
 課題マル1の言い回しについて、何かコメントはありますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 課題マル2は、接種後に生じた症状に苦しまれている方に寄り添った支援について、でございます。
 協力医療機関等についてとまとめさせていただきますけれども、協力医療機関は各都道府県に整備されているものの、現在は接種者数が少ないことから、あまり利用されることもない状況でございます。今後、ワクチンを接種する方の数が増えてきた場合に備えて、協力医療機関の体制についての検討が必要というのが1点目でございます。
 2点目は、具体的に協力医療機関の受診状況をいま一度把握する。そして、協力医療機関の支援体制の現状をしっかり把握する。さらに協力医療機関がこういう患者様がいらっしゃったときに、対応できる体制があるかどうかということを含めて、いま一度、しっかりとした検討が必要であるという点が2点目でございます。
 さらに今後に向けて、協力医療機関の支援体制を強化していく必要がある。これはいろんな捉え方があると思いますが、例えばこれからさらに医療機関を増やしていく必要があるのかどうか等を含めて、検討していく必要があるということでございます。
 今回出た意見として、相談体制も重要であるということで、学校、地域、医療機関連携等を含めた具体的な案も提示していくべきではないかということが、出た意見だと認識をしております。この点について、いかがでしょうか。私、まとめ方、若干曖昧なところがあるかもしれませんが、岡委員、よろしいですか。
○岡委員 それで結構です。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、課題マル3の情報提供でございます。
 情報提供の実施状況につきましては、委員の皆様からも御提示がありましたように、HPVのリーフレットの内容が分かりやすく改訂をされ、昨年10月からリーフレット等の個別通知が行われるようになりました。現在、ワクチンの安全性と有効性について、十分な情報提供が行われるようになっております。
 ただ、一方、これから積極的な勧奨を控えるということを外すことになった場合には、より多くの情報ということで、リスク・ベネフィットのこと、最新の情報、そして、日本での接種状況等を含めた改訂も必要ではないかという御意見をいただきました。また、リーフレットだけではなく、そのほかの広報、情報提供も必要であるという意見を頂戴いたしました。この点についていかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 さらにこれから積極的勧奨を進めた場合の在り方でございますけれども、キャッチアップという重要なポイントも指摘していただきました。
 積極的な勧奨を再開するに当たっては、積極的な勧奨が差し控えられていた間に接種対象であった方に対する接種機会の確保が必要である。そして、打てなかった方への対応もしっかり考えておく必要があるという点でございます。
 キャッチアップに関することは、これでよろしいですか。山縣委員、よろしいですか。
○山縣委員 はい。ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 2点目でございます。積極的勧奨再開に当たっての具体的な進め方。
 予防接種の実施主体である市町村が、混乱なく実務を担えるようにする必要があるということであります。
 あと、もう一つ出たのは、市町村へのアプローチ以外に、学校との適切な連携ということが重要であると提示されたと認識をしております。
 以上の点でよろしいでしょうか。永井委員、お願いいたします。
○永井委員 先ほどちょっと出たと思うのですけれども、このワクチンは、実際に学齢期の子たちが対象になるので、痛みが出ること自体は事実だと思うので、それを大丈夫だとフォローしてあげる体制が必要だと思います。そういう意味では、学校現場で養護教諭、あるいは学校医、医師会の学校医部会などに協力を依頼するのも大事だと思っています。学校医の先生に理解をしていただくことで、随分状況が変わるという経験をしていますので、そういうことにも取り組んでもらうといいと思います。
 以上です。
○森尾座長 ありがとうございます。それでは、学校の先生への情報提供、そして、学校の先生との連携も重要であるという形で、まとめさせていただけたらと思います。
 皆様から今日頂戴した意見をまとめさせていただきますと、本日の部会の議論におきましては、大きな方向性といたしまして、積極的勧奨の再開を妨げる要素はないということになるのではないかと思います。
 しかしながら、事務局におきましては、ワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の体制を改めて御確認いただくとともに、予防接種の実施主体である市町村などの関係者の意見も踏まえ、積極的勧奨の再開に当たっての具体的な進め方を整理し、改めて部会で御報告いただき、そして、その上で結論を得ることにさせていただきたいと思います。まだ幾つも重要な宿題を頂戴していると認識をしております。
 進め方としましては、こちらで課題に対する判断、課題に対する解決策などを提示させていただき、さらに予防接種・ワクチン分科会等にお諮りするような形で進めさせていただくというのが、今の考え方だと認識をしております。
 今日は限られた時間でありましたので、本日示された最新のエビデンスに抜け漏れなど、お気づきになられた点がありましたら、会議の後でも結構ですので、重要なことでございますので、事務局にお伝えいただけたらと思います。
 事務局で意見をいただく期間というのは、どのようにさせていただいたらよろしいでしょうか。
○事務局 10月半ば頃までにいただければと思います。短くて恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
○森尾座長 どうもありがとうございました。それでは、10月の半ば頃までにということでございまして、またこの部会で検討を継続させていただけたらと思います。
 割としっかり議論していただきましたので、ここで休憩を挟むということではいかがでしょうか。ありがとうございます。
 時間の開始はどういたしましょうか。45分でいいですか。少しでも大丈夫ですか。45分の再開でよろしいですか。それでは、6~7分で再開させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
 
(休  憩)
 
○森尾座長 ウェブ参加の皆様、少しおくつろぎいただけたでしょうか。顔を出していただければと思います。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、議題(2)新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等に進みたいと思います。
 まず資料2-8について、事務局から説明をお願いいたします。
○理事(技監) PMDAでございます。
 資料2-8に基づきまして、御説明をいたします。資料はよろしいでしょうか。
 新型コロナワクチンの副反応疑い報告症例の重篤分類の集計について誤りがございましたので、その御説明とおわびを申し上げたいと思います。
 まず集計誤りの内容でございます。1.をご覧ください。
 一つ目の○でありますけれども、予防接種法に基づく医療機関報告の受付処理において、重篤とすべき症例を誤って非重篤としてしまったということでございます。
 その数でございますけれども、二つ目の○でございます。前回御提示いたしました資料において、コミナティにつきまして3,961件と申し上げておりましたが、23件、モデルナについて249件としておりましたが、3件、実際より少ない数値となっていたということでございます。
 具体的な数につきましては、3枚目で別添というものがございますので、3枚目にスクロールしていただきまして、その事例に基づいて御説明をいたします。よろしいでしょうか。
 誤集計の事例でございますけれども、赤字になっているところが誤っているところでございまして、上の表が誤っているもの、下の表が正しく修正したものでございます。
 各月1件から多いもので8件、コミナティについては集計の誤りがあり、一番下の合計のところですけれども、先ほど申し上げた23件が過少となっています。
 隣のモデルナでございますけれども、申し上げたとおり、合計3件過少ということです。
 この症例の扱いですけれども、恐縮でございますが、戻っていただきまして、1枚目をご覧ください。
 括弧書きですけれども、先ほど申し上げたとおり、この症例については予防接種法に基づく医療機関報告ですが、この症例票については、全て該当する、例えばファイザーさんであり、武田さんに送付をして、改めて企業の中で必要に応じて追加情報も取っておいていただいた上で、薬機法に基づく報告ということで、重篤と思われる症例は報告して上げていただく流れになっています。
 二つ目の※でございますけれども、集計の誤りは合計26件でしたが、そのうち25例は企業において重篤と判断されて、企業報告がなされております。既にそのうちの23例は前回の部会までの報告として御提示をさせていただいており、残りの2例につきましては、本日の部会において重篤症例として御提示をさせていただいております。残りの1例につきましては、症状としては、ワクチン接種部位疼痛・感覚鈍麻という症例でしたけれども、企業において重篤ではないという判断で、報告はなされていない状況でございます。
 2.誤りの原因と対応でございます。
 一つ目の○のところで、予防接種法に基づく医療機関報告、これはファックスで送付いただいたものです。ファックスから電子的な入力をする作業において、委託業者に作業をお願いしておりましたけれども、私どもからの指示が明確ではなかったために、起こったということです。
 具体的には下に表がございます。報告書抜粋となっておりますけれども、これは記入をしていただく用紙でございますが、症状の程度のところ、1で重いというものがございます。そこにまず丸をしていただき、その後に矢印であります、具体的な症状、7項目ありますけれども、そこに丸をつけていただくという流れになっております。ところが、間違いが起こったものについては、7つの具体的な項目について丸がなかったという症例でございまして、入力の方法について指示が十分でなかったために非重篤になってしまったということです。
 対応でございますが、2枚目でございます。大変申し訳なかったのですけれども、手順書を改訂いたしまして、また、委託している業者さんにも周知を徹底いたしております。
 また、ファックス報告とともに、電子的報告という報告方法もございます。電子的に報告をいただく場合には、このような入力漏れがございませんので、改めて電子報告の推進も図っていきたいと考えています。
 改めまして、このような集計を間違えまして、おわび申し上げます。申し訳ございませんでした。
○森尾座長 御報告ありがとうございました。
 それでは、続きまして、資料2-1-1から資料2-5-3について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-1-1、資料2-2-1を用いまして、対象期間中の副反応疑いの報告状況について、御報告いたします。
 資料2-1-1、「予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について」をご覧いただければと思います。
 先ほど御報告させていただきましたが、重篤度の誤分類を訂正した後の数値となっております。
 今回の集計対象期間ですが、令和3年9月12日報告分までとなっておりまして、2ページ目のマル1の表の一番下の「合計(2021年9月12日現在)」の行をご覧いただければと思います。
 表の一番左からご覧いただきまして、コミナティの部分です。9月12日までの推定接種回数が1億2278万9441回接種、副反応疑いの報告件数が2万2712件、頻度としては0.02%で、前回と同一の値となっております。
 うち重篤の報告件数が4,395件、頻度としましては、表記上0.00となっておりますが、正確には0.0036%でして、前回は0.0039%でしたので、値としてはほぼ同一となっております。
 死亡事例につきましては、後ほど資料2-3-1にて御説明したいと思います。
 続いて、右に行っていただきまして、モデルナの部分でございまして、推定接種回数が2344万7233回接種、副反応疑いの報告件数が2,886件、頻度としましては0.01%で、前回と同一の値となっております。
 重篤の報告件数が359件で、頻度としましては、こちらも表記上0.00となっておりますが、0.002%となっておりまして、前回と同一の値になっております。
 死亡事例につきましては、資料2-3-2にて御説明させていただきます。
 右に行っていただきまして、バキスゼブリアでございます。推定接種回数が2万9025回接種、集計対象期間中に副反応疑い事例の報告はございませんでした。
 なお、バキスゼブリアの死亡とTTS疑い事例につきましては、集計対象期間後も専門家の評価と集計を行うこととしておりました。今回の場合は、対象期間の1週間後ですので、9月19日までは専門家の評価を行いまして、さらに24日までは事例を集計することとしておりました。当該期間中にTTS疑い事例が1件ございましたので、後ほど資料2-5-3にて御説明させていただきたいと思います。死亡事例の報告は、期間を延ばして見ましても、ありませんでした。
 5ページ目、マル4、副反応疑い報告の報告基準別報告件数をご覧いただければと思います。報告基準に定められました症状を集計したものとなります。
 アナフィラキシーに関しましては、医療機関からはコミナティで2,262件、モデルナにつきましては、362件のアナフィラキシー疑い事例の報告がございました。
 TTSにつきましては、8月3日以降が集計対象となっておりますが、コミナティで24件、モデルナで6件の報告がございました。
 6ページ目をご覧いただければと思います。マル5、性別報告件数の表となります。前回の審議会におきまして、性別・年齢階級別の報告頻度のデータをお示ししておりましたが、こちらの資料につきましても、今回から件数に加えまして、頻度のデータも追加しております。
 7ページ目の年齢階級別の報告件数につきましても、頻度を追加した状況となっております。
 続きまして、資料2-2-1、「薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について」をお開きいただければと思います。
 2ページ目、マル1、週別報告件数の表の一番下の部分をご覧いただければと思います。
 一番左のコミナティからですか、1万2775件、頻度としては0.01%で、前回と同一の値となっております。
 死亡事例は、後ほど御説明いたします。
 続いて、真ん中のモデルナの部分でございますが、1,246件の報告でございまして、頻度としましては、表記上0.01となっておりますが、正確には0.0053%、前回は0.0045%ということですので、表記上0.00から0.01になっておりますが、大きな変化はございませんでした。
 死亡事例は、後ほど御説明したいと思います。
 バキスゼブリアは、副反応疑いの報告はございませんでした。
 3ページ目をご覧いただければと思います。アナフィラキシー疑い事例の報告件数につきまして、コミナティが2,536件、モデルナが389件報告されてございます。
 TTSの疑い事例につきましては、コミナティが23件、モデルナが1件となっております。
 ブライトン分類の評価も行っておりますので、後ほど資料2-4と資料2-5の中で御説明したいと思います。
 続きまして、資料2-3-1、「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例」のコミナティ筋注をご覧いただければと思います。コミナティの死亡事例について御報告したいと思います。
 1ページ目、1.報告状況の部分でございまして、前回の集計対象期間以降、医療機関または製造販売業者から死亡として報告された事例が新たに81件ございまして、9月12日までに1,157件の報告がなされております。
 こちらにつきましては、重複事例と取下げ事例を除いた数字でございます。
 二つ目の○の部分でございますが、集計対象期間外の9月13日から9月24日までに、追加で41件報告されている状況でございます。
 2.専門家の評価の部分でございますが、9月12日までに報告されました1,157事例を対象に、因果関係についての評価を実施しております。βが7件、γが1,150件となってございます。
 続きまして、資料2-3-2、「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例」、モデルナ筋注をご覧いただければと思います。モデルナの死亡事例について御報告いたします。
 1ページ目、1.報告状況の部分ですが、前回の集計対象期間以降、新たに死亡として報告された事例が16件ありまして、9月12日までに報告された事例については、計33件となっております。
 下の※の部分でございますが、コミナティ筋注の症例であることが明らかになった事例が1件ございましたので、この1件は除外しております。ですので、33症例としておりますが、症例Noという意味では1~34までをつけてございます。
 集計対象期間外の部分としまして、9月13日から9月24日までに死亡として報告された事例が2件ありました。
 2.専門家の評価のところでございますが、9月12日までに報告されました33事例を対象に、専門家の評価を実施しておりまして、βが1件、γが32件となっております。
 続きまして、資料2-4-1、「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシー疑い事例」、コミナティ筋注をご覧いただければと思います。
 1ページ目、1.報告状況の部分でございますが、前回の集計対象期間以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、新たに164件のアナフィラキシー疑い事例が報告されております。9月12日までに報告された事例としましては、計2,536件となってございます。
 2.専門家の評価の部分でございます。2,536事例を対象にしまして、専門家の評価を実施しておりまして、結果について表でお示ししております。
 2ページ目の一番上の参考1の表をご覧いただければと思います。ブライトン分類レベル1~3の報告件数としましては、100万件当たり4件となってございます。後ほど資料2-7-1にて、これまでの推移もお示ししたいと思います。
 続きまして、資料2-4-2、「アナフィラキシー疑いとして報告された事例」のモデルナ筋注をご覧いただければと思います。
 1ページ目、1.報告状況の部分でございます。前回の集計対象期間以降、モデルナ筋注の疑い報告におきまして、アナフィラキシー疑いとして報告された事例が新たに190件ありまして、9月12日までに報告されたアナフィラキシー疑い事例は計389件となっております。
 2.専門家の評価の部分でございますが、ブライトン分類1~3に該当するものが34件となっております。
 2ページ目の一番上のところですが、100万回当たりのブライトン分類1~3でございますと、1.5件となっております。
 続きまして、資料2-5-1、「血小板減少症を伴う血栓症・血栓塞栓症疑いとして製造販売業者から報告された事例」、コミナティ筋注をご覧いただければと思います。
 1ページ目の1.報告状況のところでございますが、前回の集計対象期間以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、TTS疑いとして報告された事例が新たに16件ありまして、8月3日から9月12日までに報告された事例につきましては、計23件となっております。
 2.専門家の評価でございますが、23件を対象にしまして、専門家の評価を実施しておりまして、ブライトン分類1~3に該当するものが6件ございました。因果関係評価の結果につきましては、いずれもγとなってございます。
 3ページ目に行っていただきまして、100万回当たりのレベル1~3の報告件数をお示ししておりますが、0.2件で、前回と同一の値となっております。
 続いて、資料2-5-2、「血小板減少症を伴う血栓症・血栓塞栓症疑い事例」のモデルナ筋注をご覧いただければと思います。
 1ページ目、1.報告状況のところでございますが、モデルナ筋注の副反応疑い事例におきまして、TTS疑いとして報告された事例が1件ございました。
 2.専門家の評価のところでございますが、この1件につきまして、結果としてはブライトン分類レベル4、因果関係の評価結果はγとなっております。
 最後に資料2-5-3、「TTS疑い事例として医療機関から報告された事例」、バキスゼブリア筋注をご覧いただければと思います。
 今回からの作成資料となりますので、まず集計データの御説明からさせていただこうと思います。バキスゼブリアのTTS疑い事例のブライトン分類評価につきましては、速報性に優れます医療機関からの報告内容に基づき実施しております。
 また、先ほど御説明させていただきましたが、集計対象期間につきましては、通常の集計対象期間の1週間先まで専門家の評価を実施するとともに、報告件数につきましては、先週の金曜日までの分を症例リストとしてお示しすることとしております。したがいまして、資料2-1-1とこちらの資料に関しましては、集計期間が異なっておりますので、TTS疑い事例の件数にずれが生じることがあります。実際、資料2-1-1では今回0件と報告いたしましたが、こちらの資料では1件とさせていただいております。
 1.報告状況をご覧いただければと思います。バキスゼブリアの副反応疑い報告におきまして、9月19日までに医療機関からTTS疑い事例として報告されたものが1件ございました。
 なお、9月20日から9月24日までに報告はございませんでした。
 2.専門家の評価の部分でございますが、1事例を対象にして実施しておりまして、結果としましてはブライトン分類レベル1、因果関係の評価はγとなっております。
 5ページ目をご覧いただければと思います。具体的な事例について御報告させていただきます。
 こちらの事例につきましては、現在、製造販売業者が情報収集を行っておる最中ですので、詳細は次回の会議資料という形でお示しできると考えております。
 事例としましては、48歳、男性の事例でして、基礎疾患等はなしと報告されております。症状として頭痛とTTSが疑いとして報告されておりまして、具体的には接種の1週間後に頭痛がありまして、その後、搬送先で血液検査の結果やMRIで静脈洞血栓症やくも膜下出血などが見られたことから、学会の手引に沿った治療を行うとともに、TTS疑い事例として報告がされたという状況でございます。
 転帰内容は、資料上、今は、不明としておりますが、昨日時点での製造販売業者からの情報に基づきますと、現在、症状は軽快しておりまして、本日退院予定となっていると報告されております。
 また、現在、抗PF4抗体検査中とも報告されておりますので、その結果などが収集できましたら、改めて評価を行いたいと考えております。
 資料の説明は以上となります。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 それでは、続いて、資料2-3-3について、事務局から説明をお願いいたします。
○理事(技監) PMDAでございます。
 それでは、資料2-3-3に基づきまして、副反応疑い報告の因果関係評価方法について御説明いたします。よろしいでしょうか。
 1.副反応疑い報告の評価でございます。医療機関報告、薬機法に基づく企業報告、追加情報も含めてですが、報告があるたびに専門家によって因果関係の評価を行っております。
 報告にあった情報に基づきまして、さらに必要な場合は、我々から追加の調査を依頼し、その結果も同様に評価を行っています。
 2.専門家の選定ですけれども、副反応はいろいろな症状がございますので、幅広い分野の臨床経験を有する方、また、副反応の因果関係評価に相当の経験がある方、そういう専門家の方をPMDAで選定して、評価に当たっていただいています。
 3.評価プロセスですけれども、1症例につきまして2名の専門家に評価を依頼いたします。2名の専門家が同じ評価結果でありますと、その評価結果を採用。仮に違う評価になった場合は、さらに1名を追加して、その専門家の評価を得て、2名になった評価を採用する。そういうプロセスになっています。
 4のところで、具体的な事例について御紹介をしたいと思います。
 αのワクチンと死亡との因果関係が否定できないものでございます。これはこれまで例がございません。したがいまして、仮にということでございますが、その下に※で挙げています。例えばということで、接種によると考えられるアナフィラキシーで、御存じのように、アナフィラキシー自体はマネジメントできるものでありますけれども、重篤で致死的になる可能性のあるものです。こういった状況によって、死亡に至った症例が仮にあれば、αという形になるのではないかと考えております。
 また、一方、ワクチンを打たない方でも、偶発的に起こり得る事象というのが当然出てまいります。こういう症例につきましては、剖検等、かなり詳しい情報が得られておりましても、やはり薬理学的な因果関係でありますとか、時間的な経過、そういったことを勘案して、αとは判断し難いものが多いということでございます。
 このようなものにつきましては、個別の症例の評価というよりも、集団での評価、症例の積み上げでありますとか、例えば毒性学的、薬理学的、さらには薬剤疫学的という調査の情報も踏まえて、集団での評価をやっていかざるを得ないという状況です。
 次のページに行っていただきまして、βでございます。ワクチンと死亡との因果関係が認められないものということで、例示として、ナンバー1という症例を挙げております。表の下に症例概要がございます。そこのナンバー1をご覧ください。
 86歳、男性で、ワクチン接種4日後に誤嚥性肺炎になって死亡されたという症例でございますけれども、この方は接種前にも誤嚥性肺炎の既往がある方でございまして、これは原疾患という形で、関係ないのではないかという判断になったものです。
 続いて、γで、情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないものです。これが非常に多いということでありまして、どういう評価をしているのかということでございますけれども、表の中に「具体的には」というところがございます。二つ場合が多くございます。
 マル1のところをご覧いただきますと、死因と考えられる事象の診断、事象とワクチンとの因果関係を判断するための情報、個別症例の情報そのものが不足しているというカテゴリーが一つ。
 もう一つは、情報は豊富ですけれども、偶発的に起こったもの等々と区別がつかないものです。
 このうち、マル1の情報が少ないものについては、我々としてさらに情報収集に取り組んでいきたい、努力をしているということです。
 マル2については、先ほどαのところで申し上げましたが、個別症例によらず、集団での評価によらざるを得ないという状況です。
 例示です。
 一つ目の情報不足の事例ですけれども、ナンバー2の症例をご覧ください。62歳、女性となっているものです。ワクチン2回目の接種後に亡くなられたということですが、これは情報収集の努力をしたのだけれども、なかなか追加情報が得られなかったということで、死因の特定等が不可能だったということです。
 続いて、個別症例の情報は不足ではないというものですけれども、事例としてナンバー3、ナンバー4を挙げています。
 ナンバー3をご覧ください。87歳、女性でして、脳梗塞の既往歴がある女性です。抗凝固療法はやられていないということですが、くも膜下出血でお亡くなりになったということです。剖検まで行われているのですけれども、ワクチンとの関係がなかなか評価できないということで、γとなったということです。
 ナンバー4、95歳、女性の症例でございます。症例としての情報はあったのですが、心肺停止になってお亡くなりなったということでして、その関係の評価が難しかったということでございます。心肺停止とワクチンとの因果関係はなかなか評価できなかったということです。
 このように、因果関係が明確でないものは、症例が積み上がっていかなければ、なかなか評価できないものが多いということで、γがどうしても多くなっているということです。私どもとしても、引き続き情報収集をしっかりやっていきたいと思っております。
 以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 PMDAの理事(技監)から御説明いただいて、本来止めるところではないのですが、部会の中で長く議論されていた部分でございます。こちらにつきましては、これからの審議の中で、時間を見てまたコメントや御意見等も頂戴できればと思っております。説明ありがとうございました。
 それでは、続きまして、モデルナの異物混入事例について、武田薬品工業株式会社から提出資料の説明をお願いいたします。
○武田薬品工業株式会社 武田薬品のイトウと申します。
 本日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。
 まず私から異物混入及び自主回収に伴う当社の対応と見解という形で、説明をさせていただきます。
 スライドの2枚目をよろしくお願いいたします。異物混入及び自主回収の経緯を説明させていただきます。
 6月25日、今回の自主回収の原因となった製造ラインのバイアルの過程で、機器に取り付けられた二つの部品、スターホイールとストッパー・フィーディングデバイスと呼んでいるものですが、この設置不具合が発生しました。
 6月27日から、右下にある表なのですが、5ロットの製造が開始されています。
 7月1日、4ロット目の充塡中に、バイアル破損の処理のため、オペレーターによる対応が必要となり、その対応の一環で、さきの部品を取り外した際に、当該設置不良が再度発生しました。
 7月2日の5ロット目の製造中に当該不具合、設置の不具合に気づき、正しく設置を完了しています。
 7月15日及び18日に抜き取り外観目視検査、AQLと呼んでいるのですが、基準オーバーに伴う異物混入の逸脱発生、調査報告をモデルナ社から受けております。
 モデルナ社の報告内容から、この時点で、影響範囲はここでいうロットの四つ目、五つ目の2ロットだと判断としておりました。
 8月14日以降、未穿刺バイアル内に黒色の異物がある旨の品質情報が複数届き、25日に厚生労働省に相談させていただき、26日に結果的にロット1から三つ目について、使用の見合せを発表しました。
 この調査の過程で、26日に部品の設置不具合が当該ロット、使用見合せを行ったロット1~3にも影響している可能性があることがモデルナ社から報告されました。
 8月30日から9月1日にかけて、モデルナ社及び当社から厚生労働省へ一連の原因調査の結果を報告させていただき、その結果、9月2日に3ロットの自主回収に着手いたしております。
 9月21日には、ROVI社及びモデルナ社にて行ったリスクアセスメント、特別監査結果及び製品の品質等に関する当社の見解を厚生労働省に報告させていただいております。
 次のページをお願いいたします。続きまして、品質情報検体の異物分析という形で説明させていただきます。
 前回、9月10日の本部会で報告させていただきましたとおり、ロット3004667の金属異物は、316Lステンレス鋼と同定されています。サイズは238マイクロメートルから133マイクロメートル、組成として、鉄、クロム、ニッケル、モリブデンが検出されています。これは異物発生の原因となった、さきに説明させていただきました機器の部品の材質と一致していることを確認しております。
 今回、追加の分析結果としまして、より詳細かつ徹底した追加調査の結果、上記を含めた合計34本の未穿刺バイアルの分析によって検出された金属異物は、全て316Lステンレス鋼であることを確認しました。
 具体的には、34本中24本のバイアルから316Lステンレス鋼を検出し、サイズは22マイクロから15マイクロ、大きいもので697マイクロから410マイクロ、組成としては先ほどと同じものが検出されております。
 また、34本中5本については、バイアルから316Lステンレス鋼以外の混入物も確認されていますが、これは製造プロセスで使用されている物質に起因する可能性が高いものであって、一般的な注射剤の製造においても、偶発的に確認される可能性が否定できないものであって、引き続き、ROVI社、モデルナ社で調査中ではあるのですが、独立した事象であると考えています。
 なお、観察結果による大きさ、性質から見て、安全性・有効性へのリスクはないと考えています。
 続きまして、安全性の評価について、弊社のハヤシから説明させていただきます。
○武田薬品工業株式会社 武田薬品のハヤシマサアキと申します。
 それでは、続きまして、安全性評価について御紹介いたします。
 スライドのページ4をご覧ください。316Lステンレス鋼は、主に鉄、クロム、ニッケル等で構成されており、安定した特性から各種の医療機器に使用されております。
 生理学的条件下で316Lステンレス鋼から金属の溶出を測定したところ、極めて低いことが分かっており、また、ステンレス製品については、日常的にも使用されているものでございます。ですので、万一、注射針の内径より小さい粒子が筋肉内に投与されたとしても、健康に危険を及ぼす可能性は低いと考えております。
 さらに金属粒子を筋肉内に投与した場合、注射部位の局所反応や肉芽腫が形成される可能性はありますが、粒子が極めて小さいことから、臨床症状を示す可能性は低いと考えております。
 ●の4番目になりますけれども、無菌性についてですが、製造されたロットは無菌性の基準及び容器密閉の工程内管理基準を満たしております。今回のステンレス鋼は無菌の充塡工程で、ゴム栓を取り付ける際に使用されているものですので、無菌性が損なわれているリスクは低いと考えております。
 最後の●ですけれども、有効性についてですが、ステンレス鋼は化学的に不活性であるために、メッセンジャーRNAに接触する材料として一般的に使用されています。さらに本製品の脂質ナノ粒子というのは、製剤化及び充塡・仕上げ工程において、製造機器内で複数のステンレス鋼と接触しています。したがって、ステンレス鋼の微粒子による製品の品質そのものへの影響はないと考えております。
 ページ5をご覧ください。続きまして、ワクチン接種後の3件の死亡事例の調査について御報告いたします。
 ロット2につきまして、死亡は3件報告されており、そのうち2件についての剖検結果が得られております。共に致死性不整脈による急死と診断されております。
 ロット2の推定使用ドーズ数から、死亡3件が1か月で報告されたと仮定した場合、年間の死亡例は10万人当たり15.6と推計されます。
 なお、当該ロットの接種者の年齢分布が不明であるため、30代、40代に限定した推計はできませんでした。
 以下に国内における突然死の疫学データを提示させていただきます。
 一つ目の●は、心臓突然死の予知と予防法のガイドラインですけれども、これによりますと、日本の突然死は年間5万人、すなわち年間の自然発生率は10万人当たり41.7となります。
 二つ目の論文ですが、日本における突然死に関する性別・年齢階級別についての研究解析です。男性20~59歳における発生率は、年間10万人当たり8.0~89、男性が女性より高く、年齢とともに発生率が高くなると報告されています。
 最後の二つの論文は、日本における心臓突然死及び院外心停止に関する論文でございます。それぞれの年間発生率は、10万人当たり36.8及び15.6~37.8と報告されております。
 今回のロット2から推計したデータは、これらのデータと直接比較するには限界がありますが、当該ロットにおける死亡例数は日本における突然死の年間自然発生を超えるものではないと考えております。
 以上、安全性についての御報告です。
○武田薬品工業株式会社 続いて、次のページですが、同じくワクチン接種後の3件の死亡調査の一環で、当該ロット、3004734における製造所からの評価、製造管理、品質管理面での追加調査を行いましたので、それについて説明させていただきます。
 製造記録、品質管理記録の詳細レビュー、製剤の重要品質特性、規格及び試験方法、出荷試験データの評価、また、原料由来異物の観点から、当該ロットで使用された主薬と同じロットを使用して製造された他の製材ロットの評価等を行った結果、特段問題がないことを確認できましたので、316Lステンレス鋼以外の混入物質のリスクは、他の流通済みロットと同様に低いことが再確認できました。
 最後のページをお願いいたします。最後にまとめとしまして、異物混入による製品への影響に対する当社の見解という形でまとめさせていただきました。
 一つ目ですが、市場流通済みのロットについては、回収3ロットを除き、製品品質に影響を及ぼすリスクは、以下に示す観点から低いと考えています。
 一つ目が、ROVI社における製造工程のリスクアセスメント及びROVI社へ行った特別監査の結果から、回収3ロットで発生している316Lステンレス鋼の混入は、当該3ロットに限定されると考えています。
 また、316Lステンレス鋼以外の混入物のリスクは低いと考えています。
 二つ目ですが、回収3ロットについては、さきの説明のとおり、316Lステンレス鋼の混入が認められたものの、有効性・安全性に影響を及ぼす可能性は低いと考えております。
 以上で武田薬品工業からの説明を終わらせていただきます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 本日は、モデルナの異物ロットの議論に関連して、国立医薬品食品衛生研究所から本間参考人と野村参考人にお越しいただいております。
 資料を提出していただいておりますので、提出資料に沿って御説明をお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○本間参考人 よろしくお願いします。国立衛研の本間です。
 それでは、当研究所が提出いたしました、モデルナ社の新型コロナワクチンに混入した異物に関する調査結果(概要)について、説明したいと思います。
 資料に関しては、何度か改訂していますけれども、現在、ホームページに掲載されているものが最新バージョンになるので、お気をつけください。
 1ページの中段の経緯及び目的からお話しします。8月下旬にモデルナ社の新型コロナワクチンの未使用のバイアル内に目視できる異物が混入していることが報告され、その後、関連するロットの自主回収が行われたことは、御存じかと思います。
 国立衛研は、厚生労働省の監麻課から、異物が確認された1ロット、3004667について、異物の解析の依頼を受け、その対応を行いました。この解析のために、武田薬品工業から試料の提供を受けました。
 ページをめくっていただいて、次のページの表をご覧ください。提供を受けたサンプルは、大きく分けて四つあります。
 最初は異物ロットですが、接種会場にて注射針穿刺前にバイアル薬液中に黒色の異物や浮遊物が認められたため回収された17バイアルのうちの5本で、こちらに関しては、武田薬品でも異物を確認しています。こちらは試料番号のP-1のシリーズになります。
 2番目は、同じく異物ロットですけれども、武田薬品が保管していた7バイアルのうちの5本、これは出荷されていないものであって、武田では異物の混入は確認していません。こちらの試料はN-2シリーズであります。
 それとは別に参考として、正常ロット、3002540、3004666のロットについて、それぞれ3本ずつ提供を受けました。こちらがN-3とN-4のシリーズになります。
 1ページ目にまた戻っていただいて、この解析では、まず目視検査及びデジタルマイクロスコープを用いて、各バイアルの異物の有無の確認を行い、その上で、異物ロットに含まれる異物を単離・分析して、その性状を明らかにするということを行いました。
 2番目と3番目の試験に関しては、日本薬局方に準拠した注射剤の不溶性微粒子試験を実施し、異物ロットと正常ロットのワクチンバイアルに含まれる不溶性微粒子の比較を行いました。こちらは簡単に言いますと、武田薬品でも行ったように、ワクチンバイアルの薬液をフィルターに通して、フィルター上に残った異物を顕微鏡によって確認するという試験になります。
 ページをめくっていただいて、先ほどの表を見ていただければと思います。表の右側にバイアル外からの異物の確認ということが書いてあります。
 最初のP-1シリーズに関しては、武田が異物ありと確認したものです。5本中4本について、我々のほうで異物を確認できました。ただ、これは目視ですので、かなり個人差があって、私のような老眼が進んだ者では、なかなか異物を発見できませんでした。当研究所の若い研究員に確認してもらっても、異物は肉眼では確認できませんでした。ただし、デジタルマイクロスコープを使えば、5本全てで異物が確認されております。
 2番目の武田で異物を確認していないものに関しては、目視で異物ありが1本、デジタルマイクロスコープを使うことによってさらに1本、異物が確認されております。
 正常ロットに関しては、異物は全く確認されませんでした。
 このような状況で、2ページ目、中段以降の結果・考察について御説明します。
 先ほど言いましたように、まずは異物ロットの中に含まれる異物が見えるわけですから、それをピペットで単離して、顕微鏡等で解析するということを行っています。
 一番下、写真1を見ていただければ分かりますように、写真ですとちょっと分かりませんけれども、こちらに肉眼で見られるような小さい黒い点が見えます。
 デジタルマイクロスコープを使うと、写真2のように見えます。
 こちらをピペットで吸い出して、水で洗浄して、それをスライドガラス上に置いて、デジタルマイクロスコープで撮ったものが写真3です。見て分かりますように、金属の光沢をもつ異物が見られるわけですけれども、さらにこれをレーザー顕微鏡で見ますと、写真4のように、こういったものが見えると思います。大きさとしては、長さ約460マイクロメートル、幅約200マイクロメートルの金属の光沢を持つ異物でございます。
 3ページ目になります。この異物をカーボンテープ上に貼り付け、蛍光X線分析及び走査型電子顕微鏡によりその解析を行ったところ、異物の組成は鉄69%、クロム17%、ニッケル10%、モリブデン1.7%、マンガン1.4%、ケイ素0.6%の組成を有することが分かりました。これに相当する金属としては、右側に書いてありますように、ステンレスのSUS316もしくはSUS316Lの組成と同様でありました。本分析においては、これらを区別することは非常に難しいわけですけれども、武田薬品工業の資料ではSUS316Lと判定していることから、製造ラインで使用された機器部品はSUS316Lであると考えると、本試験で評価した異物はSUS316Lである可能性が高いということが分かりました。
 同様に、P-1-2、P-1-3、N-2-1のバイアルからも異物を単離し、レーザー顕微鏡で撮影したところ、写真5、写真6、写真7のように、同様の金属の異物が検出されました。さらにこちらも蛍光X線分析をしたところ、全てSUS316Lであることが示されました。
 さらにこの異物は、ワクチンバイアルの外から磁石を近づけますと、反応するという性質を持っています。武田はこのステンレスに関して、磁性はないと言っていますけれども、我々が調査したところ、SUS316Lというのは、力を受けて変形すると磁性を帯びるということが知られています。そのため、報告ではワクチンの打栓を行う機器に取り付けられた二つの金属部分の設置が、不具合によって摩擦が生じ、その力によって金属破片が形成され、混入したこともあり、そのため磁性が生まれたのではないかということなので、そういったことを考えると、武田の報告と齟齬はないと考えました。
 ページをめくっていただいて、次は最初に話しましたように、フィルターを通して不溶性微粒子の比較試験を行いました。バイアルのほぼ全量について、0.8ミクロンのセルロース性のメンブレンフィルターを通して、フィルターの表面上に残った異物を観察いたしました。
 観察したものはP-1-4であります。先ほどの表を見ていただきますと、こちらに関しては、目視及びデジタルマイクロスコープによって異物が確認されたものですけれども、フィルター上で異物は観察されませんでした。ただ、我々はこれが初めての試験であったので、恐らくフィルターが静電気で動いたために、観察中に飛散してしまったということが考えられました。
 2番目に関しては、N-2-1の異物ロットになります。こちらは表で言いますと、目視及びデジタルマイクロスコープで異物が確認されたものですけれども、こちらに関してはN-2-1の写真がありますが、三つの粒子が観察されています。一番大きいもので縦160マイクロ、幅100マイクロ、真ん中と右側に関しては非常に小さいものです。
 粒子1に関しては、先ほど示しました3ページ目の写真7と同じものです。フィルターから取り出した後に蛍光X線分析をしたものであります。ですので、このバイアルから、最初の大きな粒子を含む3個の異物が検出されたということになります。
 同じく3番のN-3-2、4番のN-4-2は正常ロットですが、こちらに異物は観察されませんでした。
 最後に試験マル3を行いました。先ほどの表を見ていただくと分かりますけれども、試験マル2で行ったものは、全てデジタルマイクロスコープで見えたものですが、もしかすると、見えないものに関しても、フィルターを通すことによって異物が検出されるのではないかと思いまして、試験マル3としては、N-2-2、N-2-3、N-2-4、プラスして正常ロットの再確認として、N-3-3、N-4-1、N-4-3、合計6サンプルについて、不溶性の微粒子の試験を行いました。
 その結果、6バイアル全てにおいて、これまで観察されたような金属由来の異物は観察されませんでした。また、同様にフィルターを蛍光X線分析装置において観察しても、金属粒子の存在は確認できませんでした。これによって、異物ロット、3004667は、5本中3本に異物がないことが示されました。N-2シリーズは武田薬品で保管されている出荷前の異物ロットであることから、異物ロットのワクチンバイアルの全てに異物が含まれるわけではないことが示されました。
 一方、正常ロットのワクチンバイアルには、異物がないことが改めて確認されました。
 最初のページに戻っていただいて、要約になります。モデルナ社の新型コロナワクチンバイアルのロット番号、3004667に含まれる異物は、SUS316Lのステンレス鋼である可能性が高い。異物は目視ができる大きさ、150マイクロメートル以上から100マイクロメートル以下の目視が困難なものまで多様に存在することが示唆されました。また、同ロットのワクチンバイアルの5本中3本には、上記のような異物は観察されなかった。このことからロット3004667のバイアルの全てに異物が含まれるわけではないことが示されました。
 一方、異物の報告のないワクチンバイアルの2ロット、3002540と3004666については、異物は観察されませんでした。
 私からの報告は以上です。
○森尾座長 本間参考人、どうもありがとうございました。後ほど議論のときに、また加わっていただけたらと思います。
 それでは、次に事務局から資料2-6-1、資料2-6-2について説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-6-1、資料2-6-2を用いまして、モデルナ筋注の回収ロットにおける副反応疑いの報告状況について御報告いたします。
 資料2-6-1、「モデルナ筋注使用見合せロットに係る副反応疑いの報告(死亡)の状況について」をご覧いただければと思います。
 接種後の死亡報告事例から御説明いたします。
 1.副反応疑い報告状況の部分でございますが、前回の9月9日以降、昨日までに回収対象の3ロットにおきまして、死亡として報告された新たな事例はありませんので、これまで3件の死亡事例が報告されている状況に変わりはございません。
 3症例の概要につきましては、2ページ目以降にまとめておりますが、5ページ目をご覧ください。
 事例3につきまして、報告医療機関から追加の報告がございましたので、御報告したいと思います。
 一番下の(4)症状の概要という部分でございますが、3事例目につきましては、前回の時点では解剖が実施されておりましたが、一方で、組織学的な検査につきましては、検討中であるということから、死因は検索中という形で報告されておりました。その後、組織学的な検討も行われまして、その結果が踏まえられて、医療機関からは死因を致死性不整脈などの心機能異常による心臓性急死という形で、追加の報告がございました。
 6ページ目に行っていただきまして、下線を引いた部分が追加で報告された部分となっております。
 報告者の意見としましては、ここまでの所見を踏まえまして、(5)の下線を引いた部分にまとめておりまして、本屍には急死を示唆する所見のほかに死因となり得る明らかな疾病、外傷は認めなかった。よって、本屍は致死性不整脈など、心機能異常により心臓性急死したと考えられる。可能性としては、ワクチン接種に伴う熱発が不整脈発症のトリガーとなった可能性も否定できないが、解剖所見からは判断できなかったと医療機関から報告されております。
 7ページ目は、この報告も踏まえまして、専門家の評価の結果になっております。因果関係の評価の結果につきましてはγとなっておりまして、コメントとしましては、3行目の部分になりますが、剖検の結果、急死を示唆する所見のほかに死因となり得る明らかな疾病、外傷は認めないことから、致死性不整脈などの心機能異常により心臓性急死したと考えられると報告されている。死因を特定することはできず、ワクチンと死亡との因果関係については評価不能である。使用ロットに異物混入があったとした場合に、異物が本症例の死亡に与えた影響についても同様に評価不能であるとされております。
 続きまして、資料2-6-2、使用見合せロットにおける副反応疑い報告の状況をお開きいただければと思います。
 9月12日までの回収対象ロットにつきまして、医療機関からの副反応疑いの報告の状況を一覧としてまとめたものとなります。
 前回の報告時点では18件、今回46件ですので、件数自体は増加しておりますが、同じ時期に出荷されておりました異物とは関係ないロットにつきましても、接種後の期間とともに報告件数が増えておりますので、特に3ロットで報告頻度が高くなっていることはないという状況でございます。
 また、報告されている症状につきましては、基本的にはコミナティやモデルナで類似の症状が報告されているものでしたので、前回から副反応疑いの報告状況につきまして、大きな変更はないという状況でございます。
 以上になります。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続いて、資料2-7-1から資料2-7-3、参考資料12について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 資料2-7-1、「副反応疑い報告の状況」をご覧ください。
 時間も押しておりますので、一部割愛するスライドもございますことを御了承ください。
 2枚目でございますけれども、こちらは資料2-1及び資料2-2の医療機関及び製造販売業者からの副反応の報告数及び報告頻度について、まとめているスライドでございます。
 上段がファイザー社ワクチンについて、下段が武田/モデルナ社ワクチンについてでございます。御参照いただければと思います。
 3ページ目をご覧ください。こちらは前回の審議会でも御紹介申し上げましたが、前回の審議会より年齢・性別別の推定接種回数を概算することができるようになりまして、今回もこちらの考え方に基づきまして、概算をしてございます。
 4ページ目、5ページ目がその概算の実数値でございまして、4ページ目がファイザー社ワクチン、5ページ目がモデルナ社ワクチンの年齢・性別別の推定接種回数となっております。
 なお、アストラゼネカ社のワクチンにつきましては、データロック範囲内におきまして、副反応疑い報告はございませんでしたことから、今回は割愛としております。
 6ページ目、7ページ目をご覧ください。先ほどのページで御紹介申し上げました、それぞれの年齢・性別別の推定接種回数に基づきまして、2ページ目にございました医療機関報告の副反応及び製造販売業者の副反応の報告頻度を100万回接種当たりとして掲載してございます。それぞれ前回載せさせていただいた報告の頻度と、傾向として大きく変わっていない状況でございまして、6ページ目、ファイザー社ワクチンにつきましては、20歳代あるいは30歳代の副反応疑い報告頻度が多い状況でございまして、7ページ目、モデルナ社ワクチンにおきましては、10代及び20代の副反応の頻度が多い状況でございました。
 8ページ目をご覧ください。こちらはアストラゼネカ社ワクチンの副反応疑い報告の状況についてでございます。データロック範囲におきましては、ご覧のとおり、0件という状況でございましたけれども、先ほど御紹介申し上げましたとおり、データロック外の9月19日までに1例のTTS疑いとして報告された事例がございました。
 9ページ目をご覧ください。こちらは新型コロナワクチンにおいて死亡として報告された事例の概要ということで、上段にファイザー社ワクチン、下段に武田/モデルナ社ワクチンについて、まとめを載せさせていただいております。
 10ページ目、11ページ目は、死亡として報告された事例の死因等について、まとめたスライドとなります。
 10ページ目でございますけれども、ファイザー社ワクチンにおいて死亡として報告された1,157事例について、報告書に記載のあった死因と関連する可能性のある症状名等を計上してまとめたスライドでございます。
 今回も死亡として報告された事例数の1%を超えた11例以上の死因等について記載をしており、11例以上であっても、具体的な疾患を想起できない心肺停止や心臓死等につきまして、その他に記載しております。
 また、死因を想起できるいずれの病名も読み取ることができなかったものにつきましては、不明として分類させていただいております。
 前回同様、注釈にも記載させていただいておりますが、こちらに列挙した症状名等は、ワクチンとの因果関係が示されたものではございません。例えばアナフィラキシーや心筋炎関連事象が原因で死亡したことを意味するものではないと、いま一度、御留意いただければと存じます。
 内容でございますけれども、上位の疾患につきましては、虚血性心疾患、心不全、肺炎等と、前回と大きな変更はございません。また、その頻度につきましても、大きな変化がない状況だと考えてございます。
 また、65歳未満の症例につきましては、前回の91例から112例となっており、前回からの比較では既にバックグラウンドデータを用いて比較させていただいております虚血性心疾患、あるいは出血性脳卒中でそれぞれ2例追加・計上しており、その他、心不全3例、大動脈疾患1例、不整脈1例などに追加・計上としております。
 11ページ目をご覧ください。こちらはモデルナ社ワクチンにおいて死亡として報告された33事例につきまして、同様に報告書に記載のあった死因と関連する可能性のある全ての症状名等をまとめたスライドでございます。
 モデルナ社ワクチンは、職域接種等、ファイザー社ワクチンとは異なる属性の方々に接種されていることに留意が必要でありますが、65歳以上が5例、65歳未満で27例の報告が区ありました。
 65歳未満の上位の疾患といたしましては、ファイザー社と同様、出血性脳卒中や虚血性心疾患が上位の疾患として計上されておりますが、先ほどお示しした推定接種回数から概算される報告頻度については、大きな変化がない状況だと考えております。
 引き続き、モデルナ社ワクチンの死因等につきましても、その報告状況を注視しつつ、系統的に症状名等を計上し、御議論いただけるようにしていきたいと考えております。
 12ページ目をご覧ください。こちらはファイザー社ワクチンの日本における死亡として報告された事例の報告の件数の推移をお示ししてございますけれども、主たる被接種者が高齢者から若年者にシフトしていること等から、直近で報告される件数は漸減傾向が続いている状況と推定しております。
 13ページ目は、海外の死亡に関するファイザー社ワクチンの状況をアップデートしてございます。
 14ページ目は、モデルナ社ワクチンにおける日本の死亡として報告された事例の報告件数でございますけれども、傾向としては変わらない状況でございます。
 15ページ目は、海外情報となります。
 16ページ目をご覧ください。こちらは若年者の死亡として報告された事例数の検討に係る考え方というスライドでございます。以前より、特に若年者の死亡として報告された事例については、非ワクチン接種群と比較ができないのかという御要望を複数いただいておりましたため、今回準備させていただいたものでございます。
 下の非ワクチン接種群の設定に係る考え方という欄をご覧ください。
 一つ目の○でございますけれども、ワクチン接種後の死亡として報告された数の多寡について検討するためには、対照群として、非ワクチン接種群の設定が必要となります。しかし、副反応疑い報告には、死因として確定していないものも含め、様々な症状名が記載されているほか、基礎疾患や性別等、様々な属性を持った者が混在しておりまして、単純に特定疾病の発症者等の集団を対照群として設定することは難しい状況と考えます。
 このため、今回、以下の考え方に基づき、非ワクチン接種群の死亡数を概算算出しております。
 一つ目のポツでございますけれども、ワクチンの接種を原因として死亡する場合、何らかの内因性の疾病によって死亡に至ったと考えられます。
 この考え方を踏まえ、新型コロナワクチンの接種が始まっていない令和元年の人口動態統計のうち、死因総計、上段にお示しております(A)でございますけれども、そこから損傷、中毒及びその他の外因の影響、(B)の死亡数を除した(A)引く(B)を非ワクチン接種群における年間の死亡数と仮定させていただきました。
 この仮定に基づきまして、17ページ目、18ページ目をご覧ください。
 17ページ目でございますけれども、こちらはファイザー社ワクチンの10代、20代、30代における若年者の死亡として報告された頻度について、比較をしているものでございます。
 それぞれの年代の記載があります、上段の数値が100万人・日当たりのワクチン接種群の死亡の報告の発生率、下段にございますのが、先ほどお示しした考え方に基づく非ワクチン接種群の死亡の発生率となります。
 このような比較の場合、以前の審議会でもお示ししていますとおり、観察期間の設定がポイントとなります。
 その設定につきましては、下の※にございますけれども、ワクチン接種群において、接種後に副反応を疑う事象が生じた際に報告が行われる期間は、医師の判断によります。ここでは、例えば接種から1週間(7日)以内に事象が生じた場合に報告されると仮定いたしまして、観察期間を7日として算出しております。
 ○の最下段にございますように、今回、実際の接種から死亡までの日数については、※のところで書いておりますけれども、7日を上回るものを含めて全て計上しております。このため、過小評価とならないように、かなり厳しめに評価したスライドとなっております。
 このような比較の方法において、ということではございますが、17ページ目、18ページ目、それぞれのワクチンの10代、20代、30代、全ての年代におきまして、ワクチン接種群の死亡の報告の発生率が、非ワクチン接種群の死亡の発生率を上回るものはございませんでした。
 様々な制約がある比較かとは存じますが、今できる比較としてお出しした本資料につきまして、本比較の方法も含め、御意見を頂戴しつつ、御議論いただければと考えてございます。
 19ページ目でございます。こちらはアストラゼネカ社ワクチンの海外の死亡の状況ということで、本邦ではまだ0件でございますので、参考資料となります。
 20ページ目、21ページ目、22ページ目、23ページ目、24ページ目、25ページ目までは、それぞれファイザーとモデルナにおけるアナフィラキシーについての資料となりますけれども、こちらにつきましては、大きな変化はございませんので、割愛とさせていただきます。
 26ページ目以降は、心筋炎関連事象に関したスライドとなります。26ページ目、27ページ目につきましては、今回から製造販売業者報告に基づく心筋炎関連事象疑い報告の状況についてまとめた資料となります。
 26ページ目でございますけれども、ファイザー社ワクチンの資料をご覧ください。上段は1回目、2回目接種後の各年代・性別別の報告数及びその頻度をお示ししております。
 20代の男性のところをご覧いただきたいのですが、こちらは100万回接種当たりでございますと8.15、あるいは100万人接種当たりですと13.08ということで、20代の男性におきまして報告頻度が多い状況と考えられ、前回と同様の傾向が見てとれるかと存じます。
 下段の表でございますけれども、2回目接種後につきましても、20代男性においては17.06と、やはり若年の男性の2回目接種後に報告頻度が高いことが確認されます。
 27ページ目のモデルナの資料についても、ご覧ください。こちらも同様の資料構成となっておりますけれども、上段の1回目、2回目接種後の合計の男性の頻度及び2回目接種後の報告頻度、いずれにつきましても、10代及び20代の報告頻度が高いことが前回同様確認されてございます。
 こうした状況を踏まえまして、特に若年男性のワクチン接種に係るリスク・ベネフィットの観点から御議論いただくために、28ページ目、29ページ目の資料を準備させていただいております。
 28ページにつきましては、以前にも掲載させていただいたデータでございますけれども、国立国際医療センターが主導して行っております、新型コロナウイルス感染症と診断され、入院された症例についての研究の結果となっております。
 この研究の調査項目のうち、※のところにお示ししてございますけれども、合併症として心筋炎・心外膜炎・心筋症の欄にチェックがあった者の集計をし、COVID-19感染症発症後に心筋炎を合併した頻度を概算したところ、15歳から40歳未満の若年男性のところを見ていただきたいのですが、100万人の感染者が出ると、834人が心筋炎を発症するという概算となりました。
 29ページは、海外からのプレプリントの報告でございますけれども、御参照ください。こちらは米国のケースウエスタンリザーブ大学の報告でございますけれども、COVID-19感染症と初回診断された12歳から17歳の若年男性6,846人のうち、6人(0.09%)、すなわち100万人当たり900人が心筋炎を発症したとされています。
 また、調査対象とした医療機関のネットワーク外でフォローされた症例等の条件を考慮した調整後の心筋炎発症者数は、12歳から17歳の男性については、100万人当たり450人(0.045%)と推定されてございます。
 こうした情報に基づきますと、国内外の若年男性においても、コロナ感染症発症後には100万人当たり450~900人程度の心筋炎の合併があると考えられ、本邦においても若年の事例におきまして感染者が増えているとされている中、その発症予防効果が約9割とされておりますワクチン接種のリスク・ベネフィットをお考えいただくに当たっての参考となるデータだと考えております。
 30ページ目は、以前からお載せしてございます、いわゆる非ワクチン接種群の心筋炎に関するNDBのデータベースということで再掲してございます。
 31ページ目、32ページ目におきましては、本邦の全年齢における心筋炎関連事象の報告の頻度につきまして、それぞれファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチンについて、海外での報告頻度と比較できるよう、お載せしているところでございます。
 33ページ目をご覧ください。こちらは厚生労働省のホームページのQ&Aでございますけれども、心筋炎関連事象の最新の情報について周知をしてございます。今般、若年男性においてワクチン接種後の心筋炎疑いの報告頻度が多いことを踏まえまして、その最新の情報の周知・提供が重要であると考えまして、前回9月10日の審議会の情報をこのQ&Aの更新によって周知・注意喚起を行ってございます。周知・注意喚起に関連した、Q&Aの示し方等につきましても、先生方から御意見を頂戴できればと考えてございます。
 34ページ目をご覧ください。現状におけます海外当局の新型コロナワクチン接種後の心筋炎関連事象についての方針でございますけれども、この審議会間におきまして、各国当局の方針に特に大きな変更はなく、引き続き心筋炎に注視しつつ、リスク・ベネフィットを勘案しまして、接種を継続している状況だと認識しております。
 35ページ目、36ページ目、37ページ目でございますけれども、こちらはそれぞれファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチン、アストラゼネカ社ワクチンにおけるTTS疑いとして報告された事例の資料となっております。
 37ページ目が先ほど御紹介申し上げました、アストラゼネカ社ワクチンにおけるTTS疑い報告として報告された件数、その結果として、専門家評価によりTTSとして評価された件数が1件ございまして、100万回接種当たりですと24件という割合になってございます。
 38ページ目は、TTSの海外情報でございます。
 まとめの最後の内容になりますけれども、39ページ目、40ページ目をご覧ください。こちら、従前より新型コロナワクチンに係る副反応疑いとして、アナフィラキシーあるいはTTS、心筋炎以外についても注目すべきではないか、ということで多屋委員、森尾委員を中心にどのような疾患に注目すべきか、ということで御指導いただいて参りました。
 40ページ目をご覧ください。その検討の進め方について、でございますけれども、新型コロナワクチンの接種開始から現在半年以上が経過いたしまして、国内外での安全性の知見も蓄積されていることから、副反応疑い報告として広く報告されている症状のうち、疾患の特性や接種との関連の可能性の観点から、特に丁寧に検討していく必要がある疾患について、順次検討してまいりました。
 こうした状況の中、国外においても、現時点においては、アナフィラキシー及びTTSを除きまして、引き続き新型コロナワクチンの接種と疾患による死亡との因果関係が統計的に認められた疾患はございませんけれども、今回、接種から疾患の発症までの期間別の報告数について、国内における報告数や報告の頻度、あるいは疾患/症状の重篤性等を鑑み、より幅広い疾患について情報を整理していく資料の案ということで、多屋委員から委員提出資料として提案いただいておりますので、多屋委員より御説明いただきたいと考えております。
○多屋委員 ありがとうございます。
 このタイミングでお話しさせていただいてよろしいのでしょうか。
○事務局 よろしくお願いいたします。
○多屋委員 それでは、資料をご覧ください。
 少し前ですけれども、右側の3例に記載していますが、海外で新型コロナワクチンの接種後にサーベイランスすべき疾患として挙げられているものを記載して、それが何人報告されているかという表を一度部会に出したことがあります。今回は、接種から何日目に発症したかということをまとめたものになります。
 上のほうについては、既に資料1-1-1とか、資料2-1-1の資料の中で、示しているものと同じになります。例えばアナフィラキシーですと、接種の当日に最も発症が多くて、二千何十何人、このように見ています。
 下のほうをご覧いただきまして、二つ目のカラムは、副反応疑い報告書の中の2ページ目、例えばAからWのように、もしその症状であれば丸をつけて報告をしていただく、ウェブであれば、選んで報告をしていただくというものの中から、実際に今まで報告が比較的多かったものですとか、重症のものについて選んでいます。
 三つ目のカラムは、右の三つにあるように、海外のWHOとか、CDCなどがサーベイランスすべき疾患として挙げている疾患について、特に生命に異常を来す、かなり重症の症状についてまとめたものとなります。
 これを見ていただきますと、例えば接種から何日目に報告されているということが分かります。このような形でシグナルを捉えていきます。今はアナフィラキシーや心筋炎、TTSなどはかなり詳しく検討されています。2019年新型コロナワクチン接種開始前との比較で、厚生労働省で資料がつくられて検討されていますけれども、そういった観点で幅広く見ていくことを目的につくったものとなります。
 例えばギランバレー症候群は、今も資料1-1-1等で報告しているのですけれども、接種当日とか、接種翌日に発症したものについては、ワクチンが原因というよりも、通常ギランバレー症候群の場合、多くは発症1週間~6週間前に起こったことに対して起こったものであろうと言われていますので、そんな観点でこの表を見ていただくことができればと思っています。
 最後に今回数字はつけていないのですけれども、サーベイランスすべき疾患として、オレンジと白の色をつけた表があります。これらの疾患については、海外ではサーベイランスすべき疾患と言われているのですけれども、今回は数字は出していません。
 最近『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に、ワクチンと関連がある症状について述べられた論文が出ていますけれども、その中にはもちろん心筋炎もあるのですが、虫垂炎ですとか、帯状疱疹ですとか、そういったものも載っていましたので、今後必要になれば、この表に入れていくことが可能かと思います。ぜひご覧いただいて、忌憚のない御意見をいただければと思います。
 簡単ですが、以上です。
○事務局 多屋委員、ありがとうございます。
 それでは、資料2-7-1のまとめのスライド、41ページ目以降をご覧ください。
 41ページ目、死亡例に関する考え方のまとめのスライドでございます。こちらは重要なスライドですので、読み上げさせていただきます。
 前提といたしまして、個々のワクチン後に生じる有害事象の因果関係の評価に当たりましては、個々の事例の丁寧な情報収集及び評価は重要である一方で、個々の事象においては、その因果関係の有無を確定できないことも多い。現在、報告数が増加しておりますので、個別の事例について専門家による評価を行っていくことも重要でございますけれども、その属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討していくこととして、これまで取組を行ってきております。
 こうした中、現状の整理でございますけれども、副反応疑い報告制度において、ファイザー社ワクチン接種後の死亡例として報告されたものとしては1,157件、武田/モデルナ社ワクチンは33件でございました。アストラゼネカ社については、その報告はございませんでした。
 報告された症状等は、先ほどお示ししたとおり、虚血性心疾患、出血性脳卒中等でございます。これまでの審議会において、特に注目すべき疾患として虚血性心疾患等に関し、ファイザー社ワクチンについて人口動態統計を使った非ワクチン接種群との比較検討を行ってきておりますが、これまでにワクチン接種群において死亡が多いことが明らかになった疾患はございません。また、特に注視すべき若年者の死亡として報告された事例の頻度についても、今回、人口動態統計を用いた非ワクチン接種群との比較検討を行っておりますが、ワクチン接種群において頻度が上回ることはございませんでした。
 こうした状況を踏まえまして、死亡例に関する論点のまとめでございます。
 現時点におきましては、引き続き個々の死亡事例について、新型コロナワクチンとの因果関係があると結論づけることのできた事例は認めず、新型コロナワクチンの接種と疾患による死亡との因果関係が統計的に新たに認められた疾患もない。
 引き続き情報収集に努めつつ、丁寧に評価を行っていくことによって、集団としてのデータを検討していくということで、接種と因果関係のある疾患がないかを見極めていく。
 死亡例の報告に関しては、その属性や海外の報告状況を鑑みても、現時点においては引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということで、御議論いただきたいと考えております。
 42ページ目、アナフィラキシーについてでございますが、こちらは以前と同様の状況でございますので、今回も同様のおまとめで御議論いただきたいと考えてございます。
 43ページ目は、心筋炎関連事象に関する考え方のまとめでございます。
 心筋炎関連事象に関しましては、国内外において、2回目接種後数日以内に発症する若年の男性での報告が多く、その因果関係が疑われておりますが、発症しても軽症であることが多い。また、国内外の報告によると、若年者において、COVID-19感染症により心筋炎を合併する確率は、ワクチン接種後に心筋炎を発症する確率と比較すると高い。
 国内の心筋炎関連事象疑いの報告事例においては、因果関係が疑われている若年男性の多くの事例について、引き続き軽快または回復が確認されている。
 こちらの経過の状況につきましては、資料2-7-2あるいは資料2-7-3としてお載せしてございますので、御参照いただければと思います。
 また、ワクチン間の被接種者の属性が異なることに留意は必要でございますけれども、年齢・性別別の報告頻度の解析におきましては、ファイザー社ワクチンにおいては20歳代男性の報告頻度が多く、武田/モデルナ社ワクチンについては、10歳代及び20歳代の報告頻度が多い。このような最新の情報については、その情報の周知が必要であると考えられるところ、ウェブサイトにおいて周知を行っております。
 こうした状況を踏まえまして、まとめでございます。
 心筋炎関連事象の典型的な症状としては、ワクチン接種後4日程度の間に、胸痛や息切れ等が出ることが想定されることから、こうした症状が現れた場合には、医療機関を受診するよう、引き続きウェブサイト等において注意喚起を行っていく。
 また、引き続き、国内の接種状況を踏まえつつ、国内の心筋炎関連事象疑い報告の状況及び海外における報告状況も注視していくとともに、最新の情報の周知及び注意喚起を行っていく。
 年齢・性別別の報告頻度に係る解析結果を踏まえても、現時点においては、接種によるベネフィットがリスクを上回ると考えてよいか。若年男性も含め、全体としてワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められないと考えてよいかということで、御議論いただきたいと考えております。
 44ページ目につきましては、TTSについての考え方のまとめでございます。
 TTSについては、副反応疑い報告基準を設定し、新型コロナワクチン接種後の発生状況を注視しております。
 国内の報告事例につきましては、専門家評価を付しており、ファイザー社ワクチンについては6件、モデルナについては0件、アストラゼネカ社ワクチンについては1件が、ブライトン分類に基づき血小板減少症を伴う血栓症と評価されております。
 論点のまとめでございますけれども、血小板減少を伴う血栓症の症状としては、ワクチン接種後4日から28日程度の間に、重度もしくは持続的な頭痛等の症状が出現すると想定されることから、こうした症状が現れた場合には、医療機関を受診するよう、ウェブサイトや添付文書等において注意喚起を行っております。
 引き続き、国内の接種状況を踏まえつつ、国内の血小板減少を伴う血栓症を疑う報告の状況、あるいは海外の報告状況を注視していくとともに、最新の情報の周知及び注意喚起を行っていく。
 TTSについては、現時点においては、同様にワクチンの接種体制に直ちに重大な懸念は認められないと考えてよいか。
 最後のスライドでございますけれども、年齢・性別別に係る副反応疑い報告全体の報告頻度についてもお示ししてございますが、これらを踏まえても重大な懸念は認められないとしてよいか。
 全体のまとめといたしまして、主な検討項目、死亡、アナフィラキシー、心筋炎関連事象、TTS、年齢・性別別の解析及び今回御議論がございます、武田/モデルナ社ワクチンの一部ロットに係る異物混入に関する影響を踏まえても、引き続きコロナワクチンの接種を継続していくこととしてよいかということで、御議論いただきたいと考えてございます。
 資料2-7関連につきましては、以上でございます。
○事務局 続きまして、参考資料12に関しまして御説明をさせていただきます。
 参考資料12は、会場の皆様におかれましては、紙で後から配付させていただいておりますので、そちらを御参照いただければと思います。
 こちらは、本日公表されました人口動態統計月報の概数の公表結果に関する考え方ということで、御説明をさせていただきます。
 人口動態調査でございますが、我が国の人口動態事象を把握し、人口及び厚生労働施策の基礎資料を得ることを目的として実施をされております。この調査に基づいて、統計法に基づく基幹統計である人口動態統計が作成されております。
 公表の統計といたしましては、速報、月報概数、年報の3種類がございまして、これまでも定期的に公表がなされてきたところでございますが、本日10月1日に公表された月報、これは今年の5月分の結果でございますけれども、こちらにおきまして、初めてとなりますが、新型コロナワクチンの副反応を原死因として集計されたものというカテゴリーで、実数として報告がされる状況となっております。
 一方、本部会におきましては、新型コロナワクチンと死亡との因果関係について、現時点で因果関係が否定できないと評価された事例はないとされているところでございまして、両者に矛盾があるのではないかという御指摘も予想されることから、二つの制度の考え方について御報告をさせていただくものでございます。
 人口動態統計は、死亡診断書の記載を国際的な統一ルールに従って集計したものとなってございます。すなわち、死亡診断書を作成した医師がその時点で把握している情報に基づき判断した結果が、こちらの集計の基となっております。
 一方、本部会において御審議いただいているワクチンと死亡との因果関係の評価でございますが、御存じのとおり、接種した医療機関、搬送先の医療機関、あるいは解剖を実施した医療機関、ワクチンの製造販売業者等、こういった様々な方々が接種から死亡に至った経緯や死亡時の診断結果等の情報をそれぞれで収集いたしまして、報告した内容に基づくものでございます。
 さらに、提出された副反応疑い報告につきましては、複数の専門家、本部会において、第三者の立場から評価を行っていただいているところでございます。
 このように二つの制度では、基礎としている情報や評価者等が異なっていることから、結論が異なることは十分に想定されているところでございます。また、それぞれ正当な仕組みにのっとって集計・評価を行った結論でございまして、今回の人口動態統計の公表を受けて、本部会における判断が影響を受けることはないと考えているところでございます。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○森尾座長 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、ボリュームが多い御説明を頂戴いたしましたけれども、これまで副反応疑い報告の状況、モデルナの異物関連の3ロットについての御報告をいただいた状況であります。
 まずモデルナの回収ロットの安全性の評価から行わせていただきたいと思います。先ほど事務局から御説明がありましたけれども、回収対象のモデルナの3ロットの論点といたしましては、死亡3事例について、異物の影響が考えられるのか、異物による影響の可能性も含めて、ワクチンと死亡との間に因果関係が考えられるのかということがございます。また、回収ロットの死亡以外の副反応疑い事例につきましても、異物による影響は考えられるのか。回収ロット以外のロットの接種の継続について、どう考えるかという点の論点がございます。この点につきまして、委員の皆様から、御意見、コメントを頂戴したいと思います。いかがでしょうか。山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 ありがとうございます。
 武田さんの御説明の中で、これまでの一般集団、論文との比較でお示しいただいて、正確に比較はできないけれどもということで、参考で出していただいてはいるのですが、例えば人口動態統計で、年齢別に、例えば心停止、発作性頻脈、心房細動、その他の不整脈、今回、不整脈ということなので、ICD10で46から49までを入れて、それで見ると、10万人当たりだと、2人ぐらい、30代、40代だと、男女合わせてですが、これは男性のほうが多いので、女性が入っているので、過小評価かもしれませんが、それとの比較というわけにはいかないのでしょうかというのが質問です。
○森尾座長 これにつきましては、今、武田からお答えができますでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 武田薬品のサカグチからお答えします。
 データの御教示ありがとうございました。
 今回、我々の当該ロットで算出した推計におきましては、ハヤシからも説明がありましたとおり、ロットが使われている年齢分布が分からないところから、そこに絞った推計が不可能という状況にございました。したがいまして、今、先生から御教示いただきました数値と直接比較というのが非常に難しい状況になっているというのが、現状になります。
 以上です。
○森尾座長 もう一つ、死因による比較ということですね。
○武田薬品工業株式会社 死因に関しましては、現在、2件について、剖検の結果から、致死性の不整脈ということが判明しておりますけれども、もう一件については、現在調査中でございます。
 現在、3件ということで推計しておりますけれども、これを2件として推計することで、先ほど先生にお示しいただいたデータとの比較も可能かもしれませんが、限界があるのが現状かと思います。
○森尾座長 山縣委員、いかがでしょうか。
○山縣委員 なかなか難しいところなので、原因をはっきりと明らかにすることが難しいときに、一般集団として偶然の事象として考えるかどうかの比較に関しては、かなり慎重に判断する必要があって、様々な角度から数値を見ていくことが必要だと思いました。それ以上のことではありません。
 以上です。
○森尾座長 重要な御指摘どうもありがとうございました。
 濱田委員から手が挙がっています。お願いいたします。
○濱田委員 今回、異物がステンレス鋼であるということは、かなり細かいところまではっきりしたわけなのですけれども、それはいろんなものに使われている、人工弁に使われている。そういったことから、害はないという御判断をされていらっしゃるわけなのですが、ワクチンの中に溶け出した状態で本当に害がないのかということなのですけれども、要は動物実験みたいなものをされなくてよろしいのですか。
 例えばワクチンを承認するときの毒性検査は、動物実験でマウスを使ったりしているわけですから、同じようにこのロットのワクチンと正常のものを打って、何か差が出るかどうか。それは安全性もそうですし、効果もそうなのですが、一応そういったところも考えないといけないのではないかと思いました。そこまでやる必要はないのかもしれませんけれども、その点について、いかがお考えでしょうか。
○森尾座長 武田さん、お願いいたします。
○武田薬品工業株式会社 武田薬品のハヤシです。
 御質問ありがとうございます。
 御指摘のとおり、異物が入った場合、実際にワクチンにどのような影響があるかというのは、大変気になるところでございます。
 今回のスライドに示していますけれども、実際に28日間のラットの吸入毒性試験において、今回混入した異物、先ほど写真で見せたものの20万倍ぐらいの量でやっていますが、その実験結果からは特に金属粒子、316Lステンレスについて毒性がないという結論でありました。
 先ほど申し上げたように、今回のステンレス鋼というのは、ワクチンを製造する段階においても使われておりますので、実際に効果に影響を与えるものではないと考えております。したがいまして、もし動物実験をするにしても、非常に微量であるもの、しかも、生理学的状態ではほぼ溶出しないという条件下で動物実験をやる必要があるかどうかということになりますけれども、先ほども申し上げたように、こういった安全性プロファイル、品質への影響を鑑みて、現時点ではそれを積極的に行うところまでの結論には至っておりません。
○濱田委員 分かりました。ラットでの動物実験はされていらっしゃるということですね。
 すみません、本間先生も、今、手を挙げられたかもしれません。
○本間参考人 今の毒性に関しては、国立衛研の参考人の野村先生から何か御意見をいただければと思いました。
○森尾座長 野村参考人、よろしくお願いいたします。
○野村参考人 ありがとうございます。
 基本的に316Lステンレスは医療機器にも利用されていますし、破損した場合等は、今回確認されたような粒子に比べ、大分多く検出されると思いますので、今回の粒子が安全面に大きな影響を与えることがあるかというと、影響は非常に小さいのではないかと思います。
 ただ、316Lステンレスは医療機器に利用されているから安全であるという考えを、そのまま今回のケースに外挿できるものでもないと思いますので、ワクチンと共に筋肉に注射した際に、生体にどのように影響するのかは、はっきりとは申し上げられないところです。
 以上です。
○濱田委員 どうもありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございました。
 永井委員、よろしくお願いいたします。
○永井委員 似たような質問で申し訳ないのですけれども、製造過程でそういう金属片が入ってくるというのは、これまでにもそういうことがあったのでしょうか。今回、これまでなかったようなことが起こったのか、その辺を知りたいのです。
○武田薬品工業株式会社 御質問ありがとうございます。武田薬品のイトウです。
 これまでは同様の事象はないと確認できております。
○永井委員 そうしたら、今回は全く特別なことが起こったということでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 はい。御理解のとおりです。
○永井委員 そうしたら、まだ分からないという部分もあるわけですね。
○武田薬品工業株式会社 そこの結論は、今回、一連のキャンペーンで示させていただいたところに影響範囲が特定されております。
○永井委員 分かりました。
○森尾座長 ありがとうございます。
 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 私も武田薬品工業の方に、こちらは教えていただきたいことなのですが、9月10日の前回のときには、品質上の問題があった場合に、製薬企業から厚労省には報告制度に規制とか、ルールがあるわけではないということは教えていただいたのですが、今回の資料でも、7月15日にROVI社から受け取って、厚労省には7月26日に報告をした部分があると思います。
 実際の問題の発生は、6月25日から7月1日か、2日の辺の部分で、いろいろROVI社であったトラブルについて、製造業者から販売業者の武田さんに報告をするような義務は、契約書か何かでルールはあるのでしょうか。そこだけ教えていただきたいと思います。
○武田薬品工業株式会社 ありがとうございます。
 モデルナ社と武田薬品工業での契約書は持っております。その中で品質保証の手順に従って、適切に調査結果を報告するような内容が記載されております。
○舟越委員 それでは、6月25日のときの例えば設置不具合がありましたとか、そういった大きな問題になっていなくても、不具合があったものに関しては、全て販売業者にも情報が行くものなのでしょうか。そこが分からなかったのです。
○武田薬品工業株式会社 御理解のとおりです。
○舟越委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかに委員の皆様からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。石井委員、お願いいたします。
○石井委員 石井です。ありがとうございます。
 確認なのですけれども、今回は、このロットのみで全世界では起きていなくて、たまたまこれが起きてしまったという報告でよろしいのでしょうか。
○武田薬品工業株式会社 その御理解のとおりです。
○石井委員 そうなってくると、この間のお話のときには、今後、監査システムをつくるとおっしゃっていましたが、同じような方法でつくっていくと、またどこかのロットで同じことが起きるという可能性はゼロではないように思います。その対策は立てていらっしゃいますか。
○武田薬品工業株式会社 御理解のとおりで、同様のことが起きないように、再発防止策を速やかに実施して、対応を取っておりますので、同じようなことが起きないと考えております。
○石井委員 ありがとうございます。
○森尾座長 資料にも対策を幾つか記載していただいていると思われます。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 武田薬品工業株式会社及び本間参考人、野村参考人、ありがとうございました。
 これ以降の議論におきましては、意見を求める予定はありませんので、退席していただいても差し支えありません。
 本日はどうもありがとうございました。
○武田薬品工業株式会社 ありがとうございました。
(武田薬品工業株式会社関係者及び国立医薬品食品衛生研究所関係者退室)
○森尾座長 それでは、続きまして、本日は、新型コロナワクチンの安全評価、特に突然死、心筋炎に関連しまして、日本循環器学会から野出参考人にお越しいただいております。
 現在、新型コロナワクチン接種後に原因がはっきりとしないものの、結果として亡くなられた方の御報告が一定数あります。こうした中、ワクチンを接種しない方において、一般に原因が明らかではない中、あるいは基礎疾患が明らかではない中、突然亡くなられる方のケースについての考え方、また、現時点で知られている機序等について、御解説をいただけたらと思っております。
 また、現在、注視しております心筋炎についても、最近の知見について、コメントを頂戴できれば幸いです。
 それでは、野出先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○野出参考人 よろしくお願いいたします。
 日本循環器学会を代表いたしまして、私が突然死とCOVID-19と心筋炎の関係をお話しさせていただきたいと思います。
 資料を御覧ください。
 まず突然死についてでございますけれども、今の疫学的な資料ですが、大体人口の0.1~0.2%、総死亡の10~20%が突然死であると言われています。この原因としては、不整脈、心筋梗塞等の心血管病がほとんどであると言われています。
 その中でも、心臓突然死というのは、健康だと考えられた方が致死的心室性不整脈、特に心室細動が多いです。VFといいますが、これによって心臓の機能が低下して、脳に循環が不全になって死に至ることになります。本邦では、心臓突然死によって亡くなる方は、年間約6万人から8万人ぐらいいると言われています。
 特に今回、若年男性にワクチン後の心筋炎が多いと言われているのですが、若年男性の突然死の原因の一部には、いわゆる動脈硬化とか、神経症が伴わないブルガダ症候群等の遺伝的な不整脈による心室細動がございます。
 心筋梗塞、狭心症においても、いわゆる動脈硬化を伴わないような、例えばストレスによって交感神経が過緊張に生じて、これによる冠攣縮によって起こる狭心症があるのです。こういった疾患も含まれているということで、このような疾患に関しては、剖検所見においても、例えば動脈硬化であったり、心筋の肥大とか、そのような異常が認められないことになります。
 突然死の主な原因は、先ほどとかぶるのですけれども、一番多いのは心室細動です。これは例えば心筋梗塞とか、心不全でも最終的には心室細動を起こして亡くなる。心不全が原因で心機能が低下して亡くなるよりも、むしろ心筋梗塞や心不全、心筋症で心室細動を起こして亡くなる、これが最後の疾患として一番多いと思います。
 心室細動の原因としては、先ほど言ったように遺伝的な頻脈性不整脈、ブルガダ症候群です。これは若い男性が多いのですけれども、心電図で特徴的な所見があるのです。学生さんにも結構おられます。
 QT延長症候群というものもあります。それから、後天的なQT延長症候群もございますし、洞結節不全症候群ですが、もともと洞結節が不全で徐脈になってしまうということです。
 心筋梗塞の不整脈、心筋症とか、心筋炎があって、そこからVF、心室細動が起こるケースもあります。
 動脈瘤の解離とか、破裂、肺塞栓症も多いです。
 少なくなりますけれども、消化器潰瘍とか、静脈瘤の破裂とか、こういうものもあります。
 脳出血、くも膜下出血、脳梗塞が多いのですが、比較的中高年男性が多いということになります。
 気管支ぜんそく等で低酸素になることもあります。
 不整脈による突然死が頻度的には多いのではないかと思います。
 一方で、今日は、先ほどからコロナワクチンに係る心筋炎の報告がございますが、まずCOVID-19と心筋炎のお話をさせていただきます。
 これに関しては、COVID-19のウイルスが直接心筋細胞に浸潤して起こることになります。病理的には心筋基質と血管壁の浮腫です。それと心筋繊維の萎縮が病理的な特徴といわれています。
 どうしてCOVID-19が心筋を起こすかということなのですが、ACE2たんぱくを介して、ウイルスが直接心筋に侵入するということになります。肺炎等の呼吸不全によって、低酸素やサイトカインの浄化によってショックが起こって、これが免疫反応や血行動態の破綻につながっていくこともございます。
 すなわち、COVID-19ウイルスがACE2たんぱくを介して、心筋細胞や血管内皮細胞に直接侵入するということ、それから、低酸素による炎症反応です。サイトカインストームによる免疫反応の賦活化ということがあります。
 このようなことが冠動脈の血栓を生じ、心筋梗塞が起こってしまう。それから、心室細動のような不整脈、心筋炎とか、心不全を起こしてしまいます。静脈血栓による肺梗塞が起こります。全体的な心機能低下による心不全ということになります。
 こういうことから考えると、心電図とか、心臓の超音波検査、血液中のBNPとか、トロポニンとか、バイオマーカーの測定とか、こういった循環器系の検査が極めて重要であるということにもなると思うのです。
 例えばこれは肺のCTです。肺の浸潤炎はあるわけですけれども、心電図では広範な異常がございます。超音波検査では、心筋の肥厚、プッシュということがございますし、MRI検査等では、心嚢水の貯留ということで、画像診断も重要な検査になります。
 今までのことを少しまとめましたが、COVID-19のウイルスは、炎症、免疫反応を活性化する。それから、肺の心肺機能を低下するということで、心筋の異常が起こりまして、心不全とか、心筋梗塞、心筋炎、低血圧、不整脈、こういうことで突然死が起こってしまうことが特徴的な所見になります。
 一方で、先ほどからございますような新型コロナワクチンに伴う心筋炎になります。これはワクチン接種後数日後に心筋炎を発症して、特に若い男性に多い報告が本邦を含めてされている現状にあります。
 この機序がまだ不明なので、推測の域を超えないのですけれども、COVID-19ウイルスであれば、ACE2を介して心筋細胞に直接侵入することがあると思うのですが、メッセンジャーRNAなので、心筋細胞に直接侵入することは少し考えにくいことになります。
 そうすると、どういうことかというと、ワクチン接種をすると、発熱等で全身倦怠感があるように、全身の炎症とか、免疫反応が賦活化します。それが心筋の炎症を惹起されることも可能性としてはあるかもしれませんが、この辺は今後の解明が必要であります。
 もともと心筋疾患を持っている方、動脈硬化を持っている方が熱発などをしますと、それが増悪することもあるので、免疫反応の賦活化によって、もともと持っている心疾患、不整脈が惹起される可能性もありますが、これはまだまだデータとしてもよく分かっていませんので、今後の課題であると思います。
 どうして若年男性に多いのかということなのです。これは私の推測なのですけれども、女性の場合は、血中のエストラジオールが高いのです。女性ホルモンが多いのです。一般的にエストラジオールは抗炎症効果を持っています。したがって、若年女性においては、血中のエストロジェンの差によって、炎症が抑えられていることが可能性としてはあります。一般的に心筋梗塞や心不全、心筋炎等の心血管病は、若い女性は少ないのです。明らかに男性が多いです。男性でも20歳とか、30代の心筋梗塞はまれにあるのですが、女性はほとんど少ないです。これは女性ホルモンの影響と言われています。
 もう一つは、どうして高齢者より若い方が多いのかというのは、ワクチンの副反応と同じでありまして、高齢になればなるほど、免疫反応が低下をするので、ワクチンの副作用が出にくいです。若い方ほど発熱とか、症状が出やすいことと同じでありますので、免疫反応は若い方のほうが活性化しているということがあり得るのではないかと思います。これも私の推測でありますから、あくまでも仮説であります。
 そういうことで、今後、ワクチン接種後の心筋炎発症の機序はよく分かっていませんので、因果関係も含めて、今後の検証が課題であるということで、現段階では確証的なことは言えないと思います。
 以上をまとめてございますが、コロナ禍の中で心不全、不整脈とか、心筋梗塞の診断と管理が重要であるということで、若年者であっても、もし症状があれば、精査と加療の継続が必要であることを循環内科医としては強調させていただきたいと思います。
 ただ、これは疫学的にワクチン接種後の心筋炎や心不全発症率、突然死の頻度に比べますと、COVID-19感染後のそれらの発症頻度や重症度が高いということは、データ的にもありますので、このように見えるだろうと思います。
 したがって、医学的見地から心血管合併症の発症と、重症化予防、死亡率の減少を図る観点からも、ワクチン接種は有効であると考えられますので、あとは個人でよく判断されて、選択をしていただきたいと考えています。
 そういうことで、コロナ禍の中でもワクチン接種に関わらず、突然死のリスクである心血管病を早期発見するために、胸部症状の出現や心血管疾患が疑われる際には、速やかに近医を受診していただきまして、精査することが重要であるということになります。受診控えということが心不全や心筋梗塞の診断を遅らせていると言われていますので、ぜひ早めに受診していただきまして、必要であれば治療を受けていただきたいというのが、循環器学会からのメッセージでございます。
 以上、突然死と心筋炎に関して、少しお話しさせていただきました。
○森尾座長 野出先生、非常に分かりやすい御説明をありがとうございました。
 せっかくの機会ですので、質問、意見等がございましたら、承りたいと思いますが、いかがでしょうか。長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 御説明ありがとうございました。
 COVIDの場合に、免疫不全とか、そういった状態のときに見られるのですけれども、心臓に直接感染して心筋炎を起こしている場合に、そのウイルスはどのようにして心筋にたどり着いていると考えられるのですか。国内の剖検例でも、免疫染色で証明されているのは、かなりまれなもので、PCRレベルで同定されるものはあるのですけれども、増殖性の感染を心筋に起こしている例は見ないもので、その点が1点お伺いしたいことです。
 あと、ウイルスなどの感染による心筋炎の場合は、心筋の局所的な感染で、そこに炎症が起こっているのですけれども、今回のコロナの場合の心筋炎というのは、画像的にはどうなのでしょうか。浮腫などが起こっているのか、局所的な炎症が見られるのか、そこの2点をお願いいたします。
○野出参考人 ありがとうございます。
 従来からウイルス性心筋炎というのがございまして、教科書に載っているわけです。この場合は重症化することもあるのですが、今回のCOVID-19の心筋炎よりも軽症なのです。
 なぜかといいますと、恐らくコクサッキーウイルスやエンテロウイルスは、心筋に限局的なのです。ほかの肺炎とか、マクロファージにはあまり感染しないのです。だから、心筋炎に限局するので、比較的安静に様子を見るだけでも経過するときが多いです。
 今回はどうしてCOVID-19が心筋炎を増殖させるのかというと、恐らく肺の感染症です。マクロファージの活性化、全身のサイトカインストームを起こすわけです。コクサッキーの場合は、こういったサイトカインストームはあまり起こらないわけです。あくまでも心筋に限局した炎症を起こしてしまうということで、それが従来のコクサッキーとか、エントテロウイルスによる心筋炎と、今回のCOVID-19の心筋炎の大きな違いだろうと思います。
 今回、ECMOを使う必要があるのは多いのですが、コクサッキーとか、エンテロでECMOを使うケースはほとんどないです。恐らくそれが今回の重症化しやすい原因なのだろうと思います。
 ウイルスを炎症中で見るのは難しくて、剖検の場合はそれが収まっているケースがあるし、リアルタイムでタイミングよくCOVID-19をウイルスで評価していくことは難しいことかもしれません。
 機序としては、COVID-19のスパイクがあるのですが、スパイクとACE2たんぱくが結合します。ここは分かっています。画像できれいに撮れていますので、結合して侵入することは分かっていますが、実際に病理的に炎症中にそれを描出する。
 もう一つは、ウイルスの量と心筋炎の重症度が相関するかというのは分かっていないのです。その辺りの機序が分かっていませんが、結合して侵入するところまでは報告されていまして、そこは確かだろうと思っています。
○長谷川委員 あと、全層性局所的なものとか、画像的にはいかがでしょうか。
○野出参考人 最近、よく言われているのは、COVID-19感染が起こりまして、経過退院します。3か月後にMRIを撮ると、そこでT2強調画像で炎症が起こっているのです。それは全層性です。だから、比較的広い範囲で炎症を起こしていることは報告されています。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ほかにいかがでしょうか。岡委員、お願いいたします。
○岡委員 分かりやすい御説明をありがとうございました。
 実際的なことで先生の御意見を賜れればと思うのですけれども、実際にワクチン接種後の話ですが、ワクチン接種後の心筋炎の方は、循環器の専門の先生からの御意見としては軽症だと伺っているのですけれども、私どもが指導する場合に、例えば10代のお子さんに接種することになると、部活動をしていたりとか、そういうことがあるわけですが、実際にどういう接種後の生活指導をしたらいいのかというのは、非常に悩ましいところで、先生の個人的な御意見でも構わないので、御意見をいただければと思いました。
○野出参考人 一般的にコロナウイルスのワクチンを打つと、特に若い方やお子さんは熱発をされます。全身倦怠感もあります。これは心筋炎ということではなくて、そういうケースは、2~3日は安静にするとか、クラブ活動に関しては1週間ぐらい様子を見られるのがよろしいのではないかと思います。
 全身的には炎症が起こっていると思うのです。熱発をするということは、免疫反応が亢進しているので、特に若い方とか、子供さんは免疫反応がかなり亢進しています。そうすると、例えばぜんそくをお持ちの方とか、もともと疾患を持たれている方に関しては、特に個人的には1週間ぐらい、激しい運動は避けられたほうがよろしいのではないかと思います。
○岡委員 ありがとうございます。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、野出先生、どうもありがとうございました。また何かいろいろな機会にお伺いすることもあると思います。大変参考になりました。
○野出参考人 ありがとうございました。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 それでは、これから審議を始めさせていただきたいと思います。
 事務局の資料2-7-1に論点が示されておりますので、これに沿って進めていきたいと思います。
 資料2-7-1の41ページをご覧いただけたらと思います。死亡事例の報告につきましては、41ページにおいて論点が挙げられております。
 時間の都合もありますので、私が読み上げることはしないようにとは思いますけれども、この論点につきまして、御意見とか、質問等がありましたら、お願いできればと思いますが、いかがでしょうか。濱田委員、お願いします。
○濱田委員 今回、PMDAさんからα、β、γの判定の基準といいますか、状況をお知らせいただいて、非常によく分かったのですけれども、ちょっと聞きたかったのは、γでマル1とマル2で分けていらっしゃって、マル1というのは情報が少ない。マル2は情報があっても因果関係は不明なものだと思うのです。このマル1の割合は何%ぐらいなのでしょうか。
 それから、情報をもうちょっと得るように、しっかり集めますということなのですけれども、具体的にどういう集め方なのか。その辺を伺えたらと思っています。
○理事(技監) 御質問ありがとうございます。PMDAでございます。
 統計的に情報不足がどれだけあるのか。情報不足といいますか、症例の情報が少ないというのがどれだけあるのかというのは、持っておりませんけれども、それほど多くはないのではないかと思います。我々としてできることは、我々から医療機関の先生方にお願いすることもありますし、その前に企業さんから追加情報ということでお願いして、取ってくるということです。
 医療関係者もかなり忙しい中で、情報を取って協力をいただいているところでございまして、これは何か新しい方策があるのかということではなく、繰り返し御協力をお願いしていくことを常にやっていくことと考えております。
 以上です。
○濱田委員 医療関係者がお忙しいのは分かるのですけれども、これは非常に大事な点ではないかと思うのです。ワクチンの副反応が死亡に影響しているかどうかということで、ある意味、法的に情報を聞き出すような仕組みも必要になってくるのではないかと思います。今のような状況では、とにかく何回も聞きにいって、情報を収集しているというところですね。どうもありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 今回の資料2-3-3で、副反応α、β、γの考え方ということで出していただいた非常に重要な資料だと思っておりますけれども、これに関連して、御意見や質問等がありましたら、お願いいたします。山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 ありがとうございます。
 こういう説明を機会があるごとに説明していく必要があると思います。どういうふうに丁寧に調べているのかとか、現代医学の限界についても、御理解いただく必要があると思いました。
 ただ、もう一方で、直接的に原因が分からないときに、もう一つの方法として、一般集団の発生頻度、つまり偶然事象なのかどうなのかということについて比べているわけですが、一部にもしも偶然であるならば、同じ頻度である期間ずっと出るのではないか、しかし、その報告がだんだん減っているというのは、ワクチンとの関係が強いからではないかというような誤解があると思うのです。
 要するに主治医なりがどういうことで報告するのかというルールを御存じないために、今のような誤解が生じることがあると思いますので、ぜひその辺りのところも併せて御理解いただけるような説明をしていく必要があると思いました。ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。柿崎先生、お願いいたします。
○柿崎委員 今回の人口動態統計の報告の中で、ワクチンによる死亡という報告が2例あったということなのですけれども、この報告に関しては、副反応報告をされていたのかということと、副反応報告をされていたとすれば、γだったのだと思うのですけれども、情報不足だったのか、先ほどのγの中でどちらだったのかが分かったら教えてください。
○森尾座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 今回の人口動態統計の2例でございますが、個別の事例については、統計法に基づいて、公的統計の作成に用いられた個人または法人、その他の団体に関する秘密は保護されなければならないとされているということで、この2例がどういうものかというのは、お答えすることが困難ということでございます。
○森尾座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 岡委員、お願いします。
○岡委員 先ほどPMDAに御説明いただいたように、γの中でも情報不足がマル1で、マル2はある程度集団を見ていかないと分からないということで、特に今回の場合には、新しいワクチンですので予測できない副反応もありえますので、集団で見ないと分からないということに特にマル2に該当しやすいということになってくると思います。
 今までも事務局からある程度人口動態統計と比較してみて、それが著しく高いということはないという、幾つかの疾患について御説明いただいたのですけれども、そこを1回まとめていただいて、国民の方にちゃんとここまで検討しているのですと、全体をお示しいただくと良いと思います。私どもは、日頃、この会議に出ていて、まずPMDAの方が大変な苦労をされて、ここへの会議資料を出していただいていることは実感していますし、最初の頃は実際にファックスの表も見せていただいて、こういう情報が来ていて、それをこういう形でまとめていただいて、それを最後に集団としても比較するなど安全性の確認に非常に御苦労されているのは、よく理解しているつもりなのです。
 最後、まとめたものを出すことによって、安心していただくことも必要なのではないかということで、それはPMDAのお仕事なのか、それとも、事務局のお仕事なのか、どちらかというと、事務局なのかと思いますけれども、そういったようなものを出さないと、何人亡くなったという数と情報不足等により評価が不能ということだけで報道されてしまうと、どうしても報道内容が独り歩きしています。その辺りを一度御検討いただいて、これだけの人数は既に接種していますので、基本的なワクチンの安全性に関する情報はまとめられていいのではないかと思いますので、その点は御検討いただければと思います。
○森尾座長 まとまったデータの論文化等を含めて、公にしていくということですね。ありがとうございます。
 伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 今の岡先生のお話と同じことなのかもしれないのですが、先ほど濱田先生がおっしゃっていましたマル1とマル2があるγの数が多いですので、公表していただくときにマル1とマル2を分けた集計結果を公表していただくことは難しいのでしょうか。
○森尾座長 理事(技監)、いかがでしょうか。
○理事(技監) 御質問ありがとうございます。
 概念的に症例の情報不足というのは言えるのですけれども、明確に情報不足の基準をつくって分類というのは難しいところもございます。引き続きそういう解釈ができるのか、できないのかということも含めて、今後考えてみたいと思います。今、明確にこれができるということは、お答えできないですけれども、引き続き考えていきたいと思います。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 もし情報不足で、それを集めることができるのかどうかという情報が分かると、γの数が多い中でも判断の役に立つのかと思いましたので、もし可能でしたら、お願いいたします。ありがとうございます。
○森尾座長 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 ありがとうございます。
 そういう意味では、分からないと全てしっかりと調べていないのではないか、情報不足だと言ってしまって、もっと集めなさいということは、非常に酷な話だろうと思います。しっかりと現状の中で医学的に検討し、しっかりとした論拠の下にその旨の結論を出しているという現状を皆さんに分かっていただく努力が非常に必要です。こういうような仕組みの中で、さまざまな努力をしながら、努力というのは当たり前のことなのでしょうけれども、こういう報告がなされているということで、しっかりと調査の内訳をお話ししていくことが非常に重要です。
 先ほど岡委員がおっしゃったように、具体的な姿を国民に提示していくことが必要なのでしょう。何もしていないのではない、厚労省も含めて、PMDAも含めて、怠慢に作業しているのではないのだと、専門家は分かるわけですが、そうではない非専門家の方は、ちゃんとやっていないのではないかという単純な疑問が起こっていることがギャップなのだろうと思います。全てのものはそういうギャップから生まれてくるので、しっかりとした科学的な根拠でここまでやっていることが皆さんに分かるような優しいというか、丁寧なものを1回提示していくことが必要なのではないでしょうか。
 今回の資料2-3-3は非常に重要で、γの中のマル1とマル2という言葉として出されているわけですけれども、その中をもう少し詳しく深く、そのような説明をしていくことが必要なのではないかと考えます。
 ただ、幾らやってもやり切れないことがあるのだということは、科学ですから、分からないことをしっかりと解析していくことが科学なので、それを説明していくのが私たちであり、最終的にそれをかみ砕いて国民に説明していくのはマスコミだろうと思います。それがマスコミュニケーションとしてのしっかりとしたリスクコミュニケーションをしていかないといけません。全ての関わる人たちがプロとしてしっかりと活動していくことが、非常に必要なのではないかと思っています。
 以上です。
○森尾座長 宮川委員、貴重な御指摘をありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。岡委員、お願いします。
○岡委員 ありがとうございます。
 今回、資料2-7-1の17ページと18ページに、若年者の死亡として報告された頻度について人口動態統計との比較を出していただいているのですけれども、これは新しい資料でありがとうございます。これでちょっと思ったのは、観察期間を短く7日間で取っているので、ワクチン接種後の死亡の頻度が高く見積もられています。数字として例えばファイザー社ワクチンは、10代でいうと、ワクチン接種が0.09件で、一般人口が0.15というような数字になっていますけれども、これは7日で切っているので、人口動態統計の数字とかなり近接して見えていると思います。
 例えばアメリカのACIPのデータ解析の際ですと、心筋炎などを検討するときに7日のデータと21日のデータを別のスライドで出していて、一応7日で比較するとこうで、21日はこうみたいな形で提示されています。で、21日がいいのか、30日がいいのか、分かりませんけれども、高めに見積もる7日間と並列してもう少し長い観察期間で出していただくほうが正しい理解ができます。亡くなっている方全例が7日以内で亡くなっているかというと、多分そうではないと思いますので、ただ、何日にするかすごく難しいという御議論は、前に伺いましたので、ですから、並列していただいたらどうかと思いました。
○森尾座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 ありがとうございます。
 今、岡委員がおっしゃったように、多屋委員が非常に詳しくこういうデータを出していただいたので、日数としてどこで区切るかなどは非常に難しい形で、どこまでいってもそれはもう少し延長して検討すればという形で、区切りは非常に不明確になると思うので、具体的な意味合いを発信していく事象だろうと思っています。今日、多屋委員に出していただいたものは、非常にいろんなことを語っているのではないかと思っております。
 以上です。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 若年者の死亡の計算については、事務局で7日に加えて、21日など、少し長い時間での検討を加えていただくか、もんでいただけたらと思っております。
 ほかにはいかがでしょうか。どうもありがとうございました。
 これはコメントでありますけれども、α、β、γの表題が少し誤解を呼ぶようなことがあると感じております。これを変えていくのは大変な作業だと思うのですが、これをどこかの時点で議論できる機会があればと思っております。これはコメントです。
 それでは、アナフィラキシー報告について、御議論いただきたいと思います。
 同じ資料の42ページ目でございます。こちらにつきまして、御意見、質問がありましたら、承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 安定したデータになってきたのではないかと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、心筋炎関連事象として報告された事例についてということでございまして、43ページ目に論点が挙げられております。皆様、ご覧いただけたらと思いますが、こちらにつきまして、御意見、御質問がありましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。岡委員、お願いします。
○岡委員 たびたびすみません。今回、前回の議論に基づいて、33ページ目のところにQ&Aを出していただいて、そこに表がありまして、心筋炎・心膜炎が疑われた報告頻度がございます。そこに非常に具体的な年齢別の数字を出していただいているのですけれども、ファイザー社と武田/モデルナ社との間で、特に10代の男性で0と17.1と非常にはっきりとした差が出ています。
 ただ、これが本当に正しい現象を見ているのかどうかというのは、モデルナ社の10代での接種数が増えないと分からないというのは、前回の結論だったと思うのですけれども、今後、接種数が増えるにつれて、この数字は適宜アップデートするとか、そういうようなことを考えていただければと思います。よろしくお願いします。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、TTS、血小板減少を伴う血栓症についてでございます。今回、バキスゼブリア筋注において、疑い症例の報告がございました。44ページに事務局から論点を挙げていただいております。こちらも読み上げることはいたしませんが、ご覧いただきまして、質問、御意見がありましたら、承りたいと思います。濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 資料2-5-3にもこの事例が詳しく出ているのですけれども、かなり典型的なTTSではないかと思うのですが、γの判定なのです。ブライトン分類も1で、結局、これがγということは、血小板の第4因子の抗体が出ていないことが足りないのか、これはなぜγとなったのかということが分かれば教えていただきたいと思います。
○森尾座長 事務局、お願いします。
○事務局 ありがとうございます。
 基本的には、今、御指摘いただいたとおりの状況でございまして、こちらの事例については、今、詳細を調査中と伺っております。
 一つ重要なものとしましては、今、御指摘いただいた抗PF4抗体のお話がありまして、こちらは検査実施中という形で報告いただいております。ですので、その結果がまた参りましたら、そちらで評価させていただく必要があると考えております。
○森尾座長 お願いします。
○安全管理監 PMDAでございます。
 この症例については、血小板減少が接種によって起こっているのかどうかということは、接種前の値が分からないので判断ができないということで、それが不足の情報として一つ上がっております。
○森尾座長 通常の血小板数が分からないのが理由となると、かなり厳しいクライテリアになるので、例えばこの方は血小板数が4万という状況だと思うのですが、これでγとなるということについては、ここで議論することかどうかは分からないのですが…。多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 調査票の中にアスタリスクをつけて明記しているのですけれども、平時の血小板数というのは必須で求めている状況ではないのです。分かる場合と書いていますので、それがないことが情報不足というのは、ちょっと違うように私も思います。
 以上です。
○森尾座長 こちらを御検討いただけたらと思います。
 事務局、お願いします。
○事務局 ありがとうございます。
 大きく分けて二つあると思っておりまして、接種前の血小板数の情報と抗PF4抗体の話がありまして、この二つかと思っておりました。
 この両者については、製造販売業者に依頼しておりまして、調査をお願いしているところでございます。今、多屋委員からも御指摘がありましたが、接種前の血小板数の情報までは、ちょっと難しいと考えておりますが、一方、抗PF4抗体の検査は実施中とありますので、そちらを聞きましたら、また評価を行う必要があると思っております。
○森尾座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 全ての方の健康診断の表というか、数値があるわけではないので、今、多屋委員のおっしゃったことが真を突いているので、そのことをしっかりと考えていただいて、評価判定をしていただければ幸いだと思います。
 以上です。
○森尾座長 また検討していただけたらと思っております。
 ほかにいかがでしょうか。注意喚起等を含めてよろしいですか。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、年齢・性別解析ということで、こちらは事務局に取りまとめていただいている資料が提出していただいております。そして、45ページ目に論点が挙げられております。こちらも今回は読み上げをいたしませんが、委員の皆様から御意見、質問がありましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 先ほど岡委員から心筋炎で10代におけるモデルナとコミナティの差異ということで、御指摘を頂戴しておりますが、ほかにはよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 この形で進めていきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、そのほかの副反応についてということでございます。こちらは、本日、多屋委員から帳票を出していただきまして、整理をされて、日にちごとでの発症ということで、きれいな取りまとめをしていただいております。こちらについて、御提案も頂戴しましたけれども、広く新型コロナウイルスワクチンの副反応に関連しまして、その他の副反応について、御質問や御意見がありましたら、承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 多屋委員の資料は、これから部会で検討させていただいてということで、資料の提出は毎回お願いしてよろしいものなのでしょうか。
○多屋委員 はい、この資料でよろしければ。その代わり、若干集計期間は違います。出す準備はしているところです。
○森尾座長 どうもありがとうございます。大変重要な資料だと思っております。
 ほかによろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、今日は長く御議論いただきました内容をまとめさせていただきたいと思いますので、皆さんで御確認をお願いいたします。
 これまで確認できた内容としましては、モデルナの回収ロットにつきまして、回収対象のモデルナの3ロットのうち、異物混入の報告がない1ロットから、これまでに3例の死亡事例の報告がなされております。この3事例については、異物が死亡に影響を与えた可能性や死亡との因果関係について、現時点では評価できないと考えられます。
 なお、死亡以外の副反応疑い事例については、現時点において、ほかのロットと比べて明らかな頻度の増加やメッセンジャーRNAワクチンの副反応疑い事例として特異な報告はなされておりません。
 3ロットについては、引き続き副反応の報告状況等を注視し、慎重に必要な調査検討を行っていく必要がございます。
 既に関連するロットは回収が行われており、特定ロットに限定されたリスクであることから、ワクチン接種を継続していくことについては問題ないと考えられます。
 副反応疑い報告の状況について、でございます。
 集計対象期間における医療機関からの副反応疑い報告状況を整理いたしますと、コミナティは0.02%、モデルナは0.01%、バキスゼブリアについては、評価期間中には報告がございませんでした。
 次に死亡事例について、でございます。
 死亡事例の報告状況を整理いたしますと、コミナティについては、前回の集計対象期間から9月12日までに新たに81件の死亡事例の報告がありました。専門家による評価では、接種開始以降報告された1,157例については、1,150件がγ、7件がβと評価されました。また、9月13日から24日までにさらに41件の報告がございました。
 モデルナについては、前回の集計対象期間から9月12日までに新たに16件の死亡事例の報告がございました。専門家による評価では、接種開始以降報告された33件については、32件がγ、1件がβと評価されました。また、9月13日から24日までにさらに2件の報告がありました。
 バキスゼブリアについては、接種開始以降9月24日までに死亡事例の報告はありませんでした。
 若年者の死亡として報告された事例については、10代から30代の全ての年代において、ワクチン接種群の死亡の報告の発生率が非ワクチン接種群の死亡の発生率を上回るものではありませんでした。こちらは御意見として、7日で切ったデータを示していただいておりますけれども、今後、事務局では21日と少し長い期間でのデータを用意していただけたらという意見をいただきました。
 死亡例の報告については、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられます。
 アナフィラキシーについて、でございます。
 アナフィラキシー疑い事例の報告では、集計対象期間中にコミナティについては、製造販売業者から2,536件の報告があり、ブライトン分類レベル1~3に分類されたのは475件でありました。
 モデルナについては、製造販売業者から389件の報告があり、ブライトン分類レベル1~3に分類されたものは34件でした。
 バキスゼブリアについては、接種開始以降、集計対象期間中に報告されたものはありませんでした。
 アナフィラキシー疑いとして報告され、転帰が確認された例は、引き続きほとんどの例で軽快されたことが確認されています。
 以上のことから、現時点においては、ワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないということでよいのではないかというまとめでございます。
 心筋炎・心膜炎については、若年男性を含め、全体としてワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められないと考えます。国内の心筋炎関連事象疑い報告の状況や海外における報告状況を注視していくとともに、最新の情報の周知及び注意喚起を行っていくことがよいのではないかというまとめでございます。
 また、ファイザーとモデルナの10代における心筋炎発症の差異につきましては、引き続き注視をしていく形でございます。
 TTSについて、でございます。
 TTS疑いの事例の報告は、コミナティについては、接種開始から9月12日までに製造販売業者からの報告において、ブライトン分類レベル1~3に分類されたものが6件でありました。また専門家による因果関係評価では、いずれもγと評価されました。
 モデルナについては、接種開始から9月12日までに製造販売業者からの報告において、ブライトン分類レベル1~3に分類されたものはありませんでした。
 バキスゼブリアについては、接種開始から9月12日までに医療機関からの報告において、ブライトン分類レベル1~3に分類されたものは1件でありました。また、専門家による因果関係評価では、現時点ではγと評価されております。
 現時点において、ワクチンの接種体制に懸念を与える重大な懸念は認められないということでよいのではないかというまとめであります。
 年齢・性別解析についてです。
 年齢・性別別の解析結果を踏まえた上で、現時点においては、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられているという形でまとめさせていただきました。
 あと、もう一点、本日出た資料の中で、α、β、γの考え方というものがございます。特に死亡事例の報告のところでございます。
 議論といたしましては、γでいわゆるマル1とされたもの、情報不足、これからそこをどう集めていくのかというところが課題であることを指摘していただきました。
 また、山縣委員から、報告をどういうときにしていただくかということを含めて、もう少し明確化できないかという点の宿題を頂戴いたしました。
 あと、集団の大規模データが集まってきた中で、こちらをワクチン接種群での事象、一般集団での事象のデータ比較という形で、論文化を含め公表していく必要があるのではないかという点も御指摘いただきました。
 このようにまとめさせていただきましたけれども、追加や訂正等がありましたら、御指摘ください。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、今回報告のあった具体的な事例を含めまして、3種類の新型コロナワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見がありましたら、承りたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、御審議いただきましたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 野出参考人は出ていらっしゃっていますね。ありがとうございます。
 それでは、本日最後の議題となります。
 資料3、新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)健康観察日誌中継の中間報告、ナンバー14について、伊藤委員から御説明をよろしくお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 途中中座して失礼いたしました。
 コホート調査の中間報告をさせていただきます。
 今回は、モデルナ筋注データのリバイスと遅延性皮膚反応についての解析結果及びアストラゼネカ社のバキスゼブリア筋注の1回目接種後の報告です。
 モデルナ筋注は、自衛隊の方々1万3120人に1回目接種、2回目接種は1万2413人に接種しております。1万1554人の1回目接種後の日誌1から9,264人の2回目接種後のデータなどをまとめておりますが、データのリバイスについての説明は省略させていただきます。
 12ページに多重ロジスティック回帰分析の結果を示しておりますが、女性の調整オッズ比が高くて、疼痛などの局所反応は、年齢が高くなるにつれて頻度が高くなりますけれども、全身反応は年齢が低い人の頻度が高いということが分かります。
 御質問がありましたので、調整オッズについての説明を12ページにつけています。
 18ページは、ワクチン接種前にCOVID-19既感染のあった方の1回目接種後の状況を示しておりますが、それを補足する形で19ページに既感染のあった方が2回目接種後にどうなったのかを示しております。既感染のあった方50人のうち、36人が2回目接種されて、その日誌を頂けましたので、そのデータをまとめております。
 18ページに示しておりますが、既感染の方は、1回目接種時から発熱と倦怠感、頭痛などが強く出ておりますが、2回目接種後も同様の症状のようで、発熱については、McNemer検定をしておりますが、1回目と2回目で発熱の頻度に違いはないようです。数が増えると少し変わるかもしれませんが、COVID-19感染がワクチン接種1回目と同じような状況と考えますと、今回のワクチンの2回目接種は、もしかすると、ワクチン3回目接種と同じような状況とも考えられますので、3回目接種時の副反応は、このような状況になるのではないかと思っております。
 20ページからは遅延性の皮膚反応の資料です。遅延性皮膚反応がどんな状況なのかを示すために7月21日に提示させていただいた写真を再度提示いたしております。
 21ページに発赤、22ページにかゆみの状況を示しておりますが、全体を見ましても、1回目接種後6日目を底にして、接種後9日目まで上昇していることが分かります。
 2回目はこのような状況ではありません。かゆみも同様でございました。
 遅延性皮膚反応についての定義があるわけではございませんので、発赤が10日目以降も継続し、かつDay3よりもDay10で発赤が多かった人を、遅延性の皮膚反応と仮に考えましてまとめたものが23ページです。前回提示させていただいておりますけれども、30代、40代の女性は10%程度に遅延性皮膚反応が起きています。
 今回は、24ページに遅延性の皮膚反応のあった人が2回目接種時にどうなったかを抽出してみました。2回目の日誌まで回収できた人5,409人のデータで、遅延性皮膚反応のあった109人のデータとそれ以外の人のデータを時系列にまとめたものです。2回目接種の最初から発赤やかゆみが起きていて、遅延性の皮膚反応がなかった人に比べて、高率に発赤やかゆみが出ていることが分かりました。
 1回目の最初のときにほとんど発赤などなかった人が、1週間たって発赤が出てきた人は、2回目接種時には、半数近くの人は最初から皮膚反応が出るという状況だったことがわかりました。
 これはモデルナ筋注だけではなくて、頻度については40歳代女性が0.45%と、モデルナに比べて10分の1以下でしたけれども、コミナティ筋注でも同様な傾向が出ています。ですので、COVIDアームと言われているものに関しては、ほぼこういう状況だったということです。コミナティ筋注については、参考として25ページに提示いたしました。
 26ページが病休者、29ページがまとめについてのリバイスです。
 30ページから前回はごく少数でしたけれども、今回はAZ社のバキスゼブリア筋注についてのデータです。9月30日現在、492人の方が接種されています。
 33ページから発熱などの副反応についてまとめていますが、メッセンジャーRNAワクチンと違って、1回目から4割の人が発熱する。これは治験などのデータでも報告されていたので、そのままでございました。倦怠感、頭痛も1回目から出ています。
 37ページに年齢・階級別の発熱などの頻度を示しておりますが、発熱、倦怠感、頭痛については、年齢が若い人の頻度が高いことが分かります。今回、例数が少ないので提示しておりませんけれども、多重ロジスティック回帰分析をすると、年齢による違いが出るのですが、男女の違いがはっきりでませんでした。そういう意味では、メッセンジャーRNAワクチンと随分と違いがあると思っております。
 今回は因果関係がないという判断でしたので、PMDA報告はしておりませんが、50歳前半の右脳内出血の方が発現しております。バキスゼブリアは情報がないので、きちんと提示させていただいたほうがいいだろうと思っておりますが、特にこの方は既往歴や服薬歴がない男性で、9月7日にバキスゼブリア筋注の1回目接種をされていますが、9月19日、接種12日目に右の脳内出血が発症されて、調査実施施設以外に入院されたという報告を御家族から受けております。
 1回目の日誌は回収しておりますが、接種翌日に注射部の疼痛とか、38.1度の発熱がありましたけれども、翌日には解熱されていました。9月25日に御家族から連絡をいただいた段階ですが、担当医師からは、「現時点で入院している情報によると、出血性梗塞ではないことから、因果関係は否定できると判断する」ということです。
 39ページに日誌の記載欄などの集計したデータを記載しておりますが、病休者は3日目から21%というのは、かなり高率だと思いました。
 最後にまとめを書いております。
 報告は以上でございます。
○森尾座長 伊藤委員、いつも丁寧な御報告をありがとうございます。
 委員の皆様から質問、コメント等がありましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 伊藤委員、いつも貴重な結果をありがとうございます。
 アストラゼネカのバキスゼブリアですけれども、恐らく2回目もそろそろ始まると思うのですが、今までのメッセンジャーRNAワクチンのときは、1回目はあまり熱も出なくてということだったのですけれども、このワクチンの場合は、2回目はどのような反応が起こるということが治験のときなどに出ているのでしょうか。
○伊藤(澄)委員 2回目のほうが発熱なども含めて、頻度は低いという話は聞いています。このワクチンは、現在も4週から12週後に2回目接種ということで、私どもの調査では8週後を予定しています。最初の方が8月21日でしたので、まだ2回目接種をされるまでに時間があると思っております。2回目接種の情報が出てまいりましたら、皆さんに報告させていただきます。
○多屋委員 貴重なデータを本当にいつもありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 今のことに関連して、アストラゼネカのもので既感染者の方への接種は行われているのでしょうか。
○伊藤(澄)委員 データとしては取れているはずなのですが、母集団が少ないので、きちんと調べてみます。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 伊藤委員、どうもありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、そのほか、全体を通じて御質問、御意見がありましたら、承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、本日の議事は以上で終了になります。
 そのほか、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 本日は、長時間にわたり、活発に御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡差し上げます。
○森尾座長 ありがとうございました。
 本日は盛りだくさんでございましたけれども、これで会議を終了させていただきます。
 活発な御議論をどうもありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


※10/15に掲載した議事録について、一部記載の軽微な誤りがあったため、修正しております(10/19)。