2021年8月12日 独立行政法人評価に関する有識者会議 地域医療機能推進WG(第8回) 議事録

日時

令和3年8月12日(木)13:26~15:05

場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)

出席者

福井主査、大西構成員、小野構成員、亀岡構成員、河村構成員、坂井構成員、南構成員

議事

議事内容

○事務局
 ただいまから、第8回独立行政法人評価に関する有識者会議地域医療機能推進ワーキンググループを開催します。私は、事務局の政策立案・評価担当参事官室の戸高でございます。よろしくお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。まず、新任の構成員を紹介いたします。4月1日付けで、読売新聞の南先生に構成員に御就任いただいております。よろしくお願いいたします。
 次に、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、大西構成員がオンラインでの御参加、山口構成員が御欠席です。
 続いて、参事官の生田より御挨拶申し上げます。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 参事官の生田でございます。皆様、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局
 続きまして、本日の議事について説明します。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。本日は議題として、厚生労働省における独立行政法人評価の見直しについて及び地域医療機能推進機構の令和2年度業務実績評価に係る意見聴取を行うこととなっております。この後の進行は、当ワーキンググループの主査である福井先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○福井主査
 主査の福井です。どうぞよろしくお願いいたします。ただいま事務局から御説明がありましたように、本日は2つの議題がございます。最初の「厚生労働省における独立行政法人評価の見直しについて」の議論をお願いします。事務局から説明をお願いいたします。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 資料1を御覧ください。1ページ目は、現在の評価のやり方について書かれたもので、言わば確認ということになります。ポイントは真ん中の所でして、Bが標準ということです。定量的な指標があるものについては、100%以上120%未満がBということになります。120%以上はAで、これに加えて更に質的に顕著な成果があった場合にSということになるので、Sというのは簡単に取れるものではないということになります。また、Bというのは初期の目標を達成している状態になるので、先ほど申し上げましたように、100%でもBになりますから、逆に言うと、Bだからといって法人がちゃんとやっていないということにはならないということです。改めて、こういった点も踏まえて御議論いただければと思います。
 2ページ目を御覧ください。私は昨年の夏に着任しまして、評価をワンサイクルやってきたのですが、その中で改善したほうがいいのではないかという点も出てきましたので、今、御説明したBが標準というところも踏まえながら、より適正な評価を行うという視点で、言い方を変えると、外から見ても厚労省はちゃんとした評価をしていると受け取られるように、今回の見直しを行っております。
 1つは目標の策定についてです。これは厚労省の中の問題でもありますが、現在は、目標を作るときに評価部局が、これは法人所管部局ではなくて、我々は政策統括官という部署になりますが、我々が関与する仕組みになっていないということがありまして、結果として、例えば研修回数や雑誌の発行回数といった、単に実施すれば終わりといったような目標とか、あるいは連続して150%とか200%といった非常に高い達成率になっているものが見受けられました。したがいまして、法人所管部局だけで目標を作るのではなくて、我々のほうでもちゃんとチェックをする仕組みにするということです。また、目標設定に関する共通のルールを作ることにいたします。
 2つ目は評価についてです。せっかくこういった形で有識者会議を開催しましても、資料や説明が法人の業務内容中心になってしまうことも多く、どうしてそういう評価になるのかというところの議論になかなかならないということがございました。したがいまして、資料については評価のポイントが分かるような様式に改めて、会議では評価の妥当性について重点的に御議論いただきたいと考えております。今回は、見直し後の様式に沿って評価の要約の資料を作成いただいておりますので、これを基に御議論いただくということになります。
 3ページ目を御覧ください。先ほど触れた目標策定についてのルールを定めたものです。1つ目です。定量的な指標については、1つの目標に対して3~5個程度を目安に指標を設定する。2つ目は、定量的指標については、事業の実施頻度、単に雑誌を何回発行するとか、研修会を何回開催するということではなくて、研修の対象者数や満足度、これがとても良い目標ということでもないのですが、より成果に近い、関連する目標とするということです。 3つ目は、平均してずっと120%以上、先ほど申し上げたように150%とか200%と、非常に達成度が高いのがずっと続いているような場合には、目標の見直しを検討しましょうということです。また、重要度高というものを付すことができますが、これは全体の半数以下にすること。こういったことについて定めております。
 4ページを御覧ください。こちらが新しい様式です。目標の内容、指標の達成状況について、見てすぐに分かるようにきちんと書いていただきます。また、要因分析という欄が下の所にございます。達成率が120%以上とか80%未満の場合には、何がその要因と考えられるのかということについても書いていただきます。
 5ページを御覧ください。評定の根拠について、どうしてその評価になるのかをしっかり書いていただくということで、会議の中では、この辺りを中心に御議論いただければと思います。
 7ページを御覧ください。ここは今回の評価の見直しに合わせて試行的に行うというものですが、評価の適正化を図るというのはもちろん重要なのですが、評価のための評価ということではなくて、法人により頑張っていただけるような評価をすることが重要だろうと、そういう視点もございます。評定そのものには直結しないけれども、こういうところは頑張ったとか、あるいは評価できる取組だといったところ、今後の法人運営の参考になるような、もっと言えば、法人にやる気やインセンティブを与えるような前向きなコメントがあった場合には、それについても正式な評価と併せてちゃんと伝えようということで、こうした形にまとめて、主査の先生に御確認いただいた上で、法人にお渡しすることを考えています。説明は以上です。

○福井主査
 ただいまの事務局からの説明について、構成員の皆様から御質問なり御意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。いずれも、説明された内容は非常にリーズナブルな内容だと受け取りました。この方針でやっていただいて、その経験を踏まえて、改善すべきことがあれば改善し、評価についてもPDCAサイクルを回していただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、議題2に移ります。地域医療機能推進機構の令和2年度業務実績評価について、御議論いただきたいと思います。法人から、法人の業務概要及び自己評価について御説明いただいて、その後、質疑応答を行います。それでは、法人の業務概要及び自己評価についての説明をお願いいたします。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 地域医療機能推進機構企画経営部長の西川と申します。私から、令和2年度の業績等について御説明いたします。その前に、令和2年度の業務実績評価書の作成過程で、令和元年度の評価書等に、直接数値目標に関係する部分ではありませんが、一部に集計、転記ミス等が発覚しました。正誤表として、別紙という形で配布しております。福井主査とも相談させていただき、この会議では説明は割愛し、机上配布とした上で、正誤表をホームページに掲載する形で訂正させていただきます。こうしたミスが発生したことについてお詫び申し上げるとともに、今後こうしたミスが出ないように事務を徹底いたしまして、再発防止に努めてまいりたいと思います。誠に申し訳ございませんでした。
 それでは、本題の令和2年度の業績等について、資料3-1「令和2年度業務実績評価説明資料」を用いて説明いたします。まず、令和2年度は、第2期中期目標の2年度目ですが、新型コロナの対応と、その影響を抜きには、昨年度の病院運営は説明できないと考えております。まずは、昨年度の新型コロナへの対応について御説明させていただいた上で、中期目標に関する取組について説明いたします。
 資料3-1の22ページを御覧ください。「新型コロナ感染症への対応について①」の1の(1)の新型コロナ患者の受け入れについてです。JCHOでは、一昨年度末、令和2年2月から患者の受入対応してまいりました。クルーズ船の患者の受入れから始まり、令和3年5月末現在で52病院、合計6,938名、令和2年度に限れば、47病院、4,767名の受入れをしております。また、陽性患者に加えて、入院の際に個室管理等の対応が必要になる疑似症の患者についても併せて対応しております。こちらについては、令和3年8月1日の1日の数字になっておりますが、陽性患者352名に対して、疑似症患者45名も受け入れている状況です。
 (2)、そうした患者の受入れに必要となる病床の提供です。こちらについても、令和元年度末から感染拡大に応じて提供病床数を増加させ、今年の6月1日現在で、44病院、839床、法人全体の稼働病床に占める割合は5.9%となっております。また、陽性患者用の病床提供に併せて、先ほど御説明した疑似症患者の病床、病棟の構造上、休床せざるを得ない病床がございまして、それらを「休床等」と記載しておりますが、こちらが1,114床ということで、稼働病床の割合で7.8%となっております。先ほど御説明した陽性患者への839床と合わせて、約14%をコロナ関連の病床として現在提供している状況です。
 病床提供に関しては、「特に」と2つ目の黒ポツに書きましたが、今年の初めの東京での感染拡大に対して国からの要請を受け、東京蒲田医療センターで、既に提供していた1病棟に加えて、更に1病棟49床を提供しまして、合計で2病棟78床、稼働病床に占める割合は約35%を提供し、現在も引き続き対応している状況です。その下の※印にあるように、令和3年6月1日現在ですが、陽性患者用の病床ということで、各病院の病床の10%を超える病院については、蒲田を含めて記載のとおり13病院ございます。
 23ページを御覧ください。先ほど御説明した患者の受入れと、そのための病床の提供に加えて、職員の派遣にも対応しております。こちらも一昨年度末から、クルーズ船へ医師、看護師、薬剤師を、羽田の空港検疫所については医師、看護師を派遣しております。また、東京蒲田医療センターにおける国からの増床要請の対応では、東京蒲田医療センターの医師と看護師だけでは対応が困難ということで、スケールメリットを活かして、全国のJCHO病院から医療従事者を派遣して、いわばオールJCHOで対応しており、その派遣調整は現在も継続しております。
 さらに、JCHO外への派遣ということで、国や自治体からの要請に加えて、地域の看護協会や他法人から要請を受けて、記載のとおり、看護師について、大阪、沖縄、大分に至るまで、地域のニーズに応える形で、地域の他の病院や高齢者施設などに派遣しております。記載した数字については5月末現在の数字です。現在も地域のニーズに応じて、職員の派遣の対応をさせていただいております。
 3番目です。ワクチン接種への協力として、今年の2月にファイザー社の健康状況調査に協力しました。この調査については、下の※印に記載のとおり、国民に広く接種を開始する前に、副反応等の情報収集、分析のために国が行った調査で、JCHOの医療従事者の5,593名が協力させていただきました。現在では高齢者等の接種について、今年の5月末現在で、47病院で接種の対応をしております。
 4番目のその他に記載しておりますが、各病院での対応ということで、発熱者外来の設置、PCR検査の実施などの対応をしているところです。
 昨年度は、新型コロナの感染拡大を受けて、休床などを含めると、先ほど申し上げたように約14%以上の病床をコロナ関連病床として提供しています。直近の数字ですと、8月現在で既に8,000人を超える患者の受入れに対応してまいりました。さらに、職員の派遣にも積極的に対応してきました。現在も続いておりますが、新型コロナに対して、感染の状況や地域によって異なるニーズに、各現場で的確に応え、率先して対応してきた1年間だったと考えております。
 2ページにお戻りください。昨年度の中期目標の取組と項目の一覧です。先ほど御説明したとおり、コロナの対応に集中的に取り組む中での中期目標への取組であり、項目によっては厳しい結果とならざるを得ないものもございました。なお、説明の中では、昨年度と同様、重要度の高い項目、コロナの影響で厳しい結果とならざるを得なかった項目を中心に説明いたします。
 3ページを御覧ください。評価項目1-1-1、診療事業(1)効果的・効率的な医療提供体制の推進です。ここは重要度、難易度とも高とされております。この項目では、中期目標の中に地域のニーズを把握して他の医療機関との連携を図ること、地域での取組が十分でない分野を積極的に補完して、地域医療構想の実現に貢献すること等記載がございます。
 評価指標は4ページを御覧ください。まず1つ目です。地域で中核的な役割を期待される病院、「中核病院」と呼んでいますが、32病院ございます。こちらの救急搬送応需率を85%以上とするというものです。実績は右隣にありまして、82.9%で未達成でございます。後ほど、未達成とならざるを得なかった理由などについて、御説明させていただきます。
 2つ目の指標は、中核病院以外の病院を補完病院としていますが、その補完病院での地域包括ケア病棟の在宅復帰率を85%以上とするというものです。こちらについては昨年度の実績が86.5%ということで、達成することができました。
 先ほど申し上げた1つ目の目標の中核病院における救急搬送応需率についてですが、地域で中核的な役割を期待される病院が中核病院でして、冒頭に御説明したように、昨年度は地域においてコロナへの対応が中核的な役割として求められ、それを最優先してきた結果だと考えております。指標の達成状況に関する説明を御覧ください。32病院の救急搬送の受入状況を記載しております。1つ目のポツにあるように、国及び自治体の要請を踏まえて、コロナの対応を最優先して、医療スタッフや個室を含む病床をコロナ対策に充てたということで、例えば救急対応する病床や病棟をコロナの患者で使用していると、コロナ以外の、いわゆる一般の救急患者の受入れを制限せざるを得ないという状況となります。また、そうした中で一部の病院ではクラスターも発生し、救急を停止せざるを得ないという状況で、更に救急の受入れが困難になりました。こうした状況にもかかわらず、②に記載した当直体制の見直しや感染対策の徹底など、院内体制を整備しまして、応需率は82.9%を堅持したものと考えています。
 下の四角囲みを見ていただきますと、32病院を緊急事態宣言地域とそうではない地域に分けて、昨年度と一昨年度を比較しております。御覧のとおり、緊急事態宣言地域内にあった16病院は、昨年度の応需率は79.1%と、一昨年度と比べて6.4ポイント低くなった一方で、緊急事態宣言以外の地域については89.8%と、高い応需率を達成することができております。これは緊急事態宣言地域においては、それ以外の地域と比べて、コロナの対応をしっかりと求められ、先ほど御説明したように、そうした状況の中で一般の救急患者を制限せざるを得ないという状況になって、応需率は低くならざるを得なかったと考えています。地域医療のニーズ、期待される役割を踏まえてしっかり取り組んだ結果で、コロナ対応を最優先した上での82.9%は、この項目自体難易度が高いということも考えると、高い評価に値するものと考えております。
 5ページを御覧ください。また、これに加えて数値目標以外の取組も記載しております。評定の根拠として、3つ記載しております。1つ目が新型コロナへの対応とありますが、冒頭説明した22ページ、23ページに加えて、それぞれの地域ニーズを踏まえたきめ細かな対応として、①から⑥を記載しております。①ホテル療養者への看護師の派遣と電話による状況確認、②在宅療養者への訪問看護の実施、③外出自粛中の積極的な通所リハの実施、④JCHO以外の他の病院で受入困難になった透析が必要なコロナ患者の積極的な受入れ、⑤クラスターが発生した地域の高齢者施設からの認知症患者の積極的な受入れ、⑥オンラインの面会などによる患者サービスの強化。それぞれの地域において求められる役割に応じて、こうしたことにもきめ細かな対応をしてまいりました。
 それ以外の取組として、2つ目が地域医療構想の実現への貢献、3つ目が質の高い医療の提供で、これらについては記載のとおりです。
 これらを踏まえて、コロナ対応を最優先する中で、救急応需率については高い実績が残せたと思っています。地域包括ケア病棟の在宅復帰率というのは目標を達成することができました。これらの2つは難易度が高い目標です。数値目標以外の取組と併せて総合的に勘案して、自己評価はAとしております。
 6ページを御覧ください。評価項目1-1-2、予防・健康づくりの推進です。中期目標では、住民の主体的な健康の維持増進を図る、健康診断の実施に努めるということが記載されています。数値目標については、真ん中の指標の達成状況のとおり、地域住民への教育・研修の実施回数は1,000回以上という目標です。実績は481回ということで、未達成となりました。その原因については、要因分析に記載したとおり、③の外部要因によるものとして、新型コロナの拡大防止のため、教育研修を休止せざるを得なかったことによる大幅な減少で、昨年度の評価対象から除外していただきたいと考えております。
 具体的な理由等については7ページを御覧ください。新型コロナによる地域住民への教育・研修活動の影響を記載しております。1つ目のポツです。新型コロナが拡大して、各病院でその対応に当たる中で感染防止策を講じたり、また、オンラインの活用が可能な場合には、各種教育・研修を実施しました。一方、そうした対応が困難な場合には、感染防止の観点から開催を自粛するよう、本部からも指示をしており、その結果については、下の四角枠、コロナ病床を提供している病院とそれ以外の病院で分けて、一昨年度との比較をしております。コロナ病床提供病院では実施回数は297回となりまして、一昨年度との比較では減少率61.9%と大きく減少せざるを得ない結果となりました。病院でコロナの対応を行っていたということに加えて、感染防止のために十分な対策が講じられないということで休止せざるを得なかったという、この2つの側面から、評価対象からは今年度は除外していただきたいと考えております。
 それ以外の取組については8ページを御覧ください。健康診断の実施状況を記載しております。健診についても、緊急事態宣言の1回目に国からの要請を受けて健診を休止せざるを得ないという状況でしたが、その結果、年間の総受診者数が119万人で、10.5万人減少せざるを得ないということでしたが、夏以降、平日の時間延長、土日祝日の実施などをしまして、3密を回避する形で積極的に開催しました。特定健診の開催については2つ目のポツに記載のとおりです。
 この項目は、先ほど申し上げた数値目標からは除外の取扱いをしていただきたいということと、健診での着実な実施を踏まえて、自己評価はBとしております。
 続いて、評価項目1-2の介護事業です。この項目は、重要度、難易度とも高となっております。中期目標では、3つの記載があります。(1)老健施設における在宅復帰の推進、(2)訪問看護ステーションでの在宅療養支援の推進、(3)介護予防への取組、この3つです。
 数値目標については10ページを御覧ください。2つあります。1つ目が、老健施設における在宅復帰率を53%以上にすることで、昨年度は58.2%で達成することができました。2つ目が訪看ステーションでの重症者の対応数を1万1,200人以上で、昨年度の実績は1万3,271名で、こちらも達成することができました。
 11ページには、その他の取組を記載しております。1つ目が老健施設での取組、2つ目は訪問看護での取組です。記載のとおり、いずれも一昨年度を上回る成果を挙げることができています。3つ目の介護予防の取組は記載のとおりです。
 この項目は、数値目標を2つとも達成できました。また、重要度、難易度とも高いということ、それ以外の取組も踏まえて、自己評価はAとしております。
 続いて13ページを御覧ください。評価項目1-3、病院等の利用者の視点に立った医療及び介護の提供です。中期目標では、患者満足度調査の実施、医療事故や院内感染の防止といった記載があります。数値目標は2つあります。1つ目が、病院の患者満足度調査において毎年度87%以上で、実績は87.8%と達成することができました。2つ目は、老健施設の利用者満足度調査について92%以上で、実績は93.8%こちらも達成することができました。その他の取組は、下の評定の根拠に記載したとおりになっております。これも自己評価はBとしております。
 続いて、評価項目1-4、教育研修事業です。中期目標の内容ですが、質の高い人材の確保と育成、中でも看護師の特定行為の研修を推進することと、地域の医療従事者、介護従事者に対する教育に取り組むというものです。この評価項目の評価指標は2つあります。1つ目が、特定行為の研修修了者を50人以上養成するということです。昨年度の実績は62名ということで、達成することができました。2つ目は地域の医療・介護従事者、つまり、JCHO職員以外の方について教育・研修を480回以上実施することです。実績は306回、未達成となりました。
 2つ目の、地域の医療・介護従事者への教育・研修については、6、7ページで御説明した地域住民に対する教育・研修の実施と同様に、新型コロナの影響を受けて、教育研修を休止せざるを得ないという状況にあったことに鑑みまして、15ページの上段に記載のとおり、評価対象からは除外していただきたいと考えております。
 14ページにお戻りください。下段の要因分析を御覧ください。特定行為の研修の修了者に関してですが、今年度から達成度120%を超える指標については、その要因を記入し、また、それが2年連続の場合には中期目標の変更について、法人の考え方を記載するとされております。
 まず、達成要因については、②法人の努力の結果だと考えております。具体的には、特定行為の研修修了者を増加させるために、(1)にあるように、研修指導者の人件費を補助する制度を創設しました。(2)として、昨年度は受講ニーズの高い区分を追加しております。(3)症例数の不足等で実習が十分に行えない看護師については、JCHO内の他の病院で実習ができる仕組みを創設しておりまして、こうした取組により、62名、達成度としては124%という高い成果を残すことができたと考えております。
 また、中期目標の目標自体の変更に関しては、なお書きに記載があります。中期目標では、研修修了者を5年間で250名以上となっておりますが、これまで、制度の創設や区分の追加などを行い、受講者の確保に重点的に取り組んで、目標を上回る成果を挙げてきております。一方、昨年度、本年度につきましても、新型コロナの対応などから、新規の受講者は減少しております。研修については、修了まで1年半ほどかかり、そのタイムラグを考えますと、令和4年度、令和5年度の修了者数は、厳しくなるものと想定しております。そのため、中期目標期間中に250名以上という目標自体は維持したいと考えております。
 16ページを御覧ください。評定の根拠には、数値目標以外の中期目標の取組を記載しておりますが、説明は割愛させていただきます。この項目については、数値目標のうち特定行為の研修修了者については、各種取組により達成度は120%を超える高い実績を挙げることができました。もう1つの指標の地域の医療・介護従事者に対する教育・研修については、コロナの影響で今年度は評価対象から除外をしていただきたいと考えておりまして、16ページに記載したその他の取組と併せて、自己評価はAとしております。
 17ページを御覧ください。業務運営の効率化に関する事項です。こちらは重点化項目ではございません。指標の結果のみを御説明いたします。下の枠内に3つの指標がございます。1つ目が、電子カルテについて4病院に導入するという目標です。2つ目については、医業未収金比率を平成30年度実績値よりも低減させるということです。3つ目が、一般管理費について、平成30年度の実績値と比べて2%を目標に節減するということです。3つとも、実績値と達成度は御覧いただいたとおり、達成することができております。18ページには評定の根拠として、その他の取組を記載しております。3つの指標を達成できたということと併せて、こちらの自己評価はBとしております。
 19ページは財務内容の改善に関する事項です。この項目は中期目標では難易度が高いとされております。この項目の指標は、経常収支率を100%以上でして、昨年度は経常収支率は105.7%ということで、達成することができました。
 20ページの下には損益計算書の概要を記載しております。昨年度、105%超という高い経常収支率であった要因の1つは、コロナ関連の補助金収入が挙げられます。ただ、補助金については、JCHOのみならず、民間病院も同様に、自治体の要請に応じてコロナ対応をした病院に交付されているものです。当然ですが、この補助金は補助目的に従って、病床提供のための設備整備とか、患者の受入経費、医師や看護師などの派遣のために活用するなど、冒頭に申し上げたようなコロナ対応をした結果の補助金ということです。
 また、20ページの上の経営の改善という所に記載しているように、法人としても、昨年度は経営の安定化に向けた取組を行いました。①に記載しているように、年度当初、コロナの拡大に伴い受診行動が抑制された結果、法人の資金繰りが困難になるおそれがあり、医療機器の整備、更新等を原則として取りやめました。また、②に記載があるように、新型コロナの対応を行っている病院以外の病院については、新型コロナ以外の患者を積極的に受け入れるよう実施し、③の健診については、年度半ば以降、しっかりと受診勧奨を行いました。こうした取組がなければ、経常収支の黒字額というのは相当程度縮小していたと考えられ、高い経常収支率というのは、コロナの対応を積極的に行ったということ、それから経営安定化に向けたしっかりとした取組をした結果だと考えております。この項目自体は難易度が高いとされていることも踏まえまして、自己評価はAと考えております。
 21ページを御覧ください。評価項目、その他業務運営に関する重要事項です。こちらは評価指標はございません。中期目標に掲げる取組について、評定の根拠に、その実績を記載しております。それぞれの項目について適切に実施し、また対応させていただいたと考えております。自己評価はBとしたいと考えています。
 以上、各項目について御説明させていただきました。2ページにお戻りください。各項目の自己評価は、それぞれ記載のとおりになっております。全体として、右上にある総合評定はAとしております。私からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○福井主査
 ありがとうございました。それでは、構成員の皆様方からの御意見、御質問等を伺いたいと思います。資料のページを言っていただいて、御質問、御意見をお願いできればと思います。いかがでしょうか。河村構成員、お願いします。

○河村構成員
 御説明くださり、ありがとうございました。引き続き、コロナの極めて厳しい状況の中で、本務とされている医療、老健のほうの事業と併せてのコロナ対応で、JCHOの中だけでなく、JCHO以外の病院等への派遣とクルーズ船、その他たくさん御説明くださいましたけれども、大変な御負担の中でやってくださったということで、国民の側としては大変有り難いことであったと思いますし、全体として極めて高く評価できる1年だったのではないかと思っています。
 細かい評価の部分で、おおむねそんなに大きな違和感があるわけではないのですが、幾つか確認させていただきたいところがございまして、順番にお尋ねさせていただければと思います。最初に御説明くださった昨年度の業務実績評価書の訂正のこと、これは了解しました。本当に去年は評価の作業をなさるのも、コロナの初期ですごく大変だったということで理解できます。ただ、1つだけすごく大事なことは、こういう訂正があっても、一昨年度の実績について昨年評価した段階での評価に影響はなかったということで、よろしいですね。それはこの会議の場でちゃんと言っていただいたほうがいいのではないかと思いますので、それはよろしいでしょうか。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 御質問ありがとうございます。御指摘のとおり、数値目標や指標に直接関連する部分でのミスはございませんでしたので、評価に影響はないと考えています。

○河村構成員
 ありがとうございます。次の質問を続けさせていただきます。今回、コロナ対応ということで、特殊な状況があったりして、定量的な指標の達成状況を杓子定規に見るとすごく低い結果になってしまってということで、評価対象からそこは除外する方向で、ほかの部分の御尽力についても評価に含めてということで、そこは理解できるのですが、ただ、来年というか、今年やっていらっしゃる業績評価を来年するのですけれども、今後をどうしていくのかというのは併せて考えたほうがいいのではないかと思っています。
 昨年度分については評価の対象から除外してというように自己評価で御説明があったのが、6ページの地域住民への教育・研修とか、14ページの地域の医療・介護従事者への教育・研修の実施の所です。その上の特定行為に係る看護師の研修の目標はよかったと思いますし、今回の定量目標についてはこういう扱いでとは思いますが、今後についてそれぞれどうお考えなのかというところをお尋ねしたいと思います。中期目標の中で掲げられている数値をそんなに簡単に、コロナになったからすぐ変えるとか、いじらないほうがいいのかなという気は私もしますが、こういう状況がそんなに簡単になくなってくれそうにないというか、もう少しコロナの影響が続いてしまいそうな気もします。そうであれば、もし目標の数値はこのままにするとしても、今の制約のある状況下で、できる範囲のことでどういうことがあるのかということなどを掲げて、それに沿ったサブ目標というか、努力の目安みたいなものを、インフォーマルなものでもいいと思いますので設けておいて、そういったところもしっかり達成できるように、引き続き次の年度もコロナの影響が残るとしても、やっていくというような考え方もあるのではないかと思います。その辺りはどういうふうにお考えになりますか。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 御質問ありがとうございます。非常に難しい見極めが必要と思っているのは、これからの感染がどういうふうになるのか、またワクチンの影響、デルタ株の影響をどう見ていくのかというのが、今後のことですから分からないというのがあります。中期目標につきましては、これは法律上の立て付けですけれども、まず厚生労働大臣が目標を定めることになっていますので、それ自体を変えていくかどうかについては厚労省ともよく相談しなければいけないと思っています。それから、今年度につきましては、既に年度計画は了承されていると思っています。そういう観点から言えば、今年度については了承された計画について、しっかりと達成に向けて頑張っていくということではないかと思っています。

○河村構成員
 ありがとうございます。例えば、同じように研修などをなさるとしても、これまで基本的に対面というか実地を伴う形でやっていたものができないとしても、少し形を変えたようなものでできるところを取り組んでいくといったような、こういうやり方だったら年度の中で何回かできるのではないかとか、そういった数字の目安みたいなものを置くという考えは今のところ余りないという感じでしょうか。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 中期目標に従って年度計画を定めていますので、年度計画の目標として何か追加をするというところまでは考えていませんが、今、御指摘いただいたのは、例えば地域住民の研修でオンラインが活用できているのであれば、そのオンラインの回数などもしっかり把握して、ある程度それを実績としてちゃんと示すべきではないかという御指摘かと思いますので、そうしたことについては、コロナ禍の制約の中で何ができるのか、そして、それを実績として取れるのかどうか、厚労省とも相談しながら、来年度のこの評価の中でお示しできるか、まずは相談をさせていただきたいと思っています。

○河村構成員
 ありがとうございます。質問がもう1つあるのですが、最後のほうで御説明のあった財務内容の改善の件です。これは、別にJCHOに限らず、どこの病院でも大変なコロナの影響が出たということです。ただ、補助金があったということで、表は20ページでお示しいただいていますが、その辺りの数字をもうちょっと把握できればと思います。
 単に補助金が出たということだけでなく、JCHOとしてのいろいろな御努力があったということが、20ページの所で具体的に先ほど御説明があったと思いますが、それぞれ大体の数字でいいので、例えば経営の改善のことを20ページの表の一番上の所に書いているような、法人として医療機器の整備の後倒しというか、これは取りやめになったのですかね、そうしたこととか、新型コロナ対応をなさった病院と、なさっていない病院がJCHOの中で幾つかあったと思いますが、そこでいろいろ御努力をされたとか、健診の受診勧奨をされたこととか、正確でなくて全然構わないのですが、損益計算書の中でどれぐらい収支を好転させる方向に働くものになったのかといった辺りを教えていただけると有り難いのですが、いかがでしょうか。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 御指摘ありがとうございます。簡単に昨年度の経営の概況を御説明させていただき、我々として努力した結果、どういったことができたのかということを、御説明させていただきます。
 右下の損益計算書を見ていただくと、入院、外来、保健予防活動、これは健診ですが、これらの収益が病院の経営にとっては大きな収益になっています。ただ、これは昨年度、他の医療機関、日本中の病院に影響を与えたと思いますが、コロナの対応によって、先ほど申し上げたように、救急、一般医療はある程度制限せざるを得なかったということ、それから、地域や診療科ごとでばらつきはありますけれども、受診控えとか健診でのキャンセルといったことがございました。ここに記載がある入院、外来、保健予防活動については、対令和元年度との比較をしますと、入院については77億円程度の減少、外来については47億円程度の減少、保健予防活動についても17億円の減少ということで、いわゆる病院の稼ぎとしては140億円ぐらいの減収になっています。
 先ほど御説明したように、その中でコロナ対応をしっかりやらせていただいたということで、その他収益の「うち補助金等収益」というのが補助金収益になります。ここに321.9億円という記載がありますが、そのうち、毎年度、周産期の医療やコロナ以外の補助金が大体10億円程度ありますので、差引きすると311億円というのがコロナ関連の補助金となっています。収益が141億円減り、それをカバーするような形で311億円の補助金ということになります。
 他方、費用のほうを見ていただくと、診療業務費用は大きく給与費、材料費、委託費、設備関係費とありますが、委託費と設備関係費は、令和元年度と比べると共に5%ぐらい上昇しています。これは、コロナ対応をやることに伴い、例えば廃棄物の処理とか清掃業務などの新たな委託が発生しました。もう1つ、コロナ対応のために陰圧整備等の設備整備が必要になりました。そういったことが主な増の原因になっていますが、そうしたこともあって、コロナ対応したことによる補助金収益と、収益減や委託費等の増の差引きで、収支としては213億円の黒字という結果になっています。なお、コロナ関係の補助金311億円がなければ、実は97億円の赤字となっていますので、コロナの影響による受診控えとか健診等のキャンセルが非常に大きかったと思っています。
 それから、法人の努力ということで、先ほど御説明した①の医療機器の整備等をやめたということがあります。これは医療機器だけでなく、建物の改修、ITの整備といったものについては、今のタイミングで整備・改修をやらなければ病院運営ができないといったもの以外は、投資目的ということでは、原則やめました。細かい数字については把握していませんが、業務実績評価書、資料3-2の96ページに少し記載があります。例えば、医療機器整備が令和元年度は57億円でした。当然、令和元年度も補助金として、先ほど言った周産期とか地域の救急といった観点でもらえるのがありましたが、それが大体1億円ですから、自己資金として56億円分やってきました。ところが、令和2年度については、緊急のやむを得ないもの以外は基本的に認めないとしていましたので、総額は79億円と書いていますが、補助金が40億円余りありますから、実際の投資で設備を整備したのは40億円弱となっています。これは年間を通じた金額ですが、特に前半部分については、基本的には投資は止めるということで対応しています。
 ②と③についてですが、全体としては入院、外来の患者数は減っているのですが、②で書いていますように、コロナの対応をしていなかった病院は、しっかりとコロナ以外の患者に取り組むことをやりました。令和2年度は令和元年度に比べて入院患者数が逆に増加した病院が9病院ございます。その中で、6病院は新型コロナの病床を提供しておらず、それ以外の患者を受けるということで、我々も支援しまして、その6病院は令和元年度よりも入院患者数が増えている状況です。健診につきましては、後半からしっかり頑張るようにということだったわけですが、令和元年度と令和2年度を比較して、令和元年度を上回った病院が7病院あります。4月、5月、6月の第1四半期はほとんどキャンセルとなりましたが、夏場以降は、キャンセルした方にしっかり受診勧奨して、前年度を上回る実績を上げたのが7病院あったということです。下半期の10月以降だけを見ると、前年度の同じ時期より上回ることができている病院が49病院あります。ですから、前半の落込みを後半でしっかりカバーしろということで、各現場が取り組んだ結果ではないかと思っています。以上です。

○河村構成員
 ありがとうございます。よく分かりました。大変な御尽力をしてくださり、設備の改修が後倒しというのは、本当であればちゃんとやっておかなければいけなかったというところまで、ある意味犠牲にしていただくような形で、こういう結果を出していただいたということではないかと思います。
 評価については大部分、私は自己評価として出してくださったものに特に異論はないのですが、ちょっと微妙だなと思うのは今の財務内容の改善に関する部分です。これはなかなか難しいところがあって、補助金を除くベースの数字で見る必要は決してないと思いますし、結果的に補助金が入ってコロナ対応をしっかりやったということで、こういう結果としての数字になっていると思います。ですから、B評価より下にいくようなことは絶対にない、そこは間違いなくそれでいいと思いますが、Aが付けられるかどうかというところがなかなか難しいところかなと思いまして、それで先ほど、そのような質問をさせていただきました。JCHOさんの全部で57ある病院の中で、コロナ対応をやってくださった所と、なさらなかった所と分かれた中で、それぞれ御努力してくださったというところも分かりますけれども、全体の数字的なものを見るとどうなのか。Aまで持っていけるかどうか微妙な感じもしています。私からは以上です。

○福井主査
 ありがとうございます。それでは、亀岡構成員、お願いします。

○亀岡構成員
 亀岡です。丁寧な御説明ありがとうございました。今、河村委員のほうからもお話がございましたけれども、私も今の20ページ、こちらで言うと85ページですかね、ここに書いてあるとおりですが、確かに105%ということでお話がありまして、かつ、213億円の経常収支のプラスになりましたということで、これは投資とはまた別の話ですから、私は別のものだと思っています。それと、コロナに関する補助金が320億円ぐらいで、結局、従前の補助に比べると310億円ほど増えていて、それに対して、通常の医業収益は逆に140億円ほど減っている。これはコロナの状況で無理だったというのはよく分かりました。
 私の認識は、通常、補助金というのは実質的にかかった費用に対して賄うものが補助というような気がしています。言い換えると、補助金でもらった分だけが、逆に差引き昨年に比べてプラスになっていて、経費のほうは努力されたということは当然あるのですが、補助金自体に関する収支を取ったときにプラスということになれば、これは法人の努力と言っていいのかどうかという点が1つ質問です。通常、補助金というのは頂いていいと思いますが、これはかかったから頂いていいので、補助金をもらったからプラスになったのだというのは、ちょっとプロセスとして違うのかなと、一般的にですね。一般の所を見ると、かかった分だけ補助金を頂くというのが通常は多いと思いますので、計算の仕方が違うのかもしれませんが、実質的に昨年に比べて増えた分は、補助金の増加分と医業収益のマイナス分の差額になっているのが現状かなというのが私の認識でして、それが1点です。
 もう2点ほどあるのですが、一般管理費の削減ということで、評価書の82ページにありますが、これは令和元年度が2億700万円、それに対して1億9,200万円ということで、昨年は実績のほうが8.1%良かった。当年度の令和2年度も、計画値が2億400万円に対して、実績値が1億9,200万円、実績のほうが7.7%少なかった、良かったというようなお話でした。若干気になったのは、平成30年度は実績が2億900万円で、令和元年度は計画がほぼ変わらないのに実績が1億9,200万円と。このとき、令和元年度実績が1億9,200万円なのに、令和2年度の計画が再び2億円に戻ってしまうわけです。実績は前年と変わらないということで、再び評価は良いですよということですが、昨年度と比べると同じような実績です。ここに努力の跡がどのようにあるのかなという点が、若干気になっています。そこが2点目です。
 あと、もう1点ですが、79ページに医薬品費の状況というのがあります。これについてどう書かれているかというと、共同入札の実施として、広域の卸業者4社に談合の疑いがあるということで、令和元年の11月に公正取引委員会から指摘があって、令和2年度は各病院が個別調達に切り替えて、そして、それぞれの契約結果をもとにまとめてやった結果が14.6%になりましたということでして、この表を見ると、令和元年は14.95%だったけれども、このときに広域卸業者の談合の疑いがあったということで、それに対して令和2年度はそれをやめた結果、14.95%から14.6%に減りました、改善しましたというお話で、全くそのとおりかなと思うのですが、実は平成30年度を見ると14.54%で、もっと低いのです。だから、平成30年度も広域の卸業者を使っていたのかなと。それでも、14.54%で、令和2年度よりも少ないというのは、令和元年と令和2年との比較においては御説明のとおりかと思いますけれども、更にその前の年度と比べたら、前の年度よりは高くなっているということを考えたときに、この関連性についてどのように判断すればいいのかお聞きしたい点がございます。
 最後ですが、78ページです。これは施策なので関係ないというか、私が言う立場ではないのかもしれませんが、給与体系の所の特殊手当が、病棟が4,000円で外来が1日2,000円でした。これがコロナの関係もあってひっ迫したので、各手当を1万円にしたということです。この手当について、当初は差があったのが、最後はほとんどなくしていったという、この辺の考え方について分かれば教えていただきたいと思いました。以上です。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 御質問ありがとうございます。大きく4つあったかと思います。1つ目についてですが、補助金収入をもって、結果として黒字化することができ、それをもって自己評価をAとすることに関して。例えば補助金というのはかかった分だけもらうのが筋だということ、それから補助金自体の収支をどういうふうに考えるかという御指摘だと思います。補助金と言いましても、これは国の政策なので、我々が善し悪しを言うわけではありません。補助目的が特定されて、例えば設備を買うためにかかった経費に関して何分の1とか、100%補助するというものがある一方で、補助の仕組みとしては、例えば今回のコロナで言いますと、空床補償とか空床補填と我々は呼んでいますけれども、休床せざるを得なかった病棟に対して、恐らく何らか国が病床にかかる必要経費を平均的に出したのだと思いますが、1病院、1病床ずつ補助単価を出せないものですから、そこは一律に、単価を設定されたのだと思います。休床を維持するためにかかった経費に頂いたものについては、何か物を買うなどの使途が限定されているものではありませんから、それを給与に充てるとか、必要な運営の経費に充てることになりますので、そこの点について、かかった分だけもらうのが筋だという筋論はおっしゃるとおりだと思いますが、補助金の内容や種類によっては、そういった違いが出てくるものかなと思っています。ですから、我々は空床補償でもらったものについても、基本的に必要な人件費や光熱費、そうした必要経費に充てていくということで活用させていただきましたので、その結果として黒字になったという結果ですけれども、そこは御理解いただきたいと思います。
 もう1つ、JCHOということ、独立行政法人ということで頂いた補助金ではありません。民間の一般病院も含めて、補助要綱を各都道府県が示していますけれども、それに合う形、つまり要請に応じてコロナ対応したことをもって交付されたものですから、そうしたことについては、JCHOもそれ以外の病院についても基本的には同じかと。ただ、金額の設定補助対象については、我々は政策当事者ではありませんので、そこは踏み込む余地はないと思います。
 2つ目ですが、一般管理費につきまして、これは昨年度と比べると、一般管理費の合計金額がそんなに変わっていないわけで、これはどういった努力をしたのかという御指摘かと思います。まず、中期目標自体の目標が、中期目標期間5年間の中で平成30年度のスタートの地点から5%以上下げましょうという目標になっています。例えば1年目、2年目でグッと下げて、それから維持していくということでも、結果として5年後には5%以上下げるというのが厚労大臣からの目標ですので、そういう観点でいうと、令和元年度で非常に大きな切り込みというか、節約を図ったということで御理解いただければと思います。
 主な項目については、細かいお話になってしまいますが、本部とか地区を運営するためにかかる諸経費というか、必要な経費になるわけですけれども、通信経費とか消耗品、備品といったものや契約を取っているものについて一昨年度の契約更新のときにグッと契約金額を下げまして、それで対応したということで御理解いただければと思います。
 それから、業務実績評価書の79ページです。医薬品費率の問題ですけれども、1つ考えられるのは、平成30年度、令和元年度、令和2年度というように3か年載せています。御指摘のような犯則調査が行われて、契約方針を切り替えているということですが、医薬品費という費用自体に着目していただくと、実は平成30年度、令和元年度、令和2年度で、令和元年度は上がってしまっているわけですが、令和2年度については平成30年度と比べても医薬品費自体は下げています。ただ、医薬品費率というと、分母に医業収益を入れることになります。医業収益が入れば、令和2年度は医業収益が140億円ぐらい、保健予防活動も含めてグッと落ちましたために、そういう中では、比率の結果によって14.54%から14.6%と、0.06ポイント上がったということかと思っています。
 もう1つの要因として、平成30年度は消費税率が8%で適用されていますので、費用の計算の分子の部分になりますけれども、令和2年度は消費税が改定され10%となっていますから、その不可抗力といいますか、その分子が上がってしまうのをグッと下げて、結果としては分子分母の関係では0.06ポイント上がってしまいましたが、そうした努力の結果であるということで御理解いただければと思います。
 最後、特殊勤務手当について、業務実績評価書の78ページの所の御指摘だったと思います。特殊勤務手当については、病棟が1日4,000円、外来が2,000円というのを、感染が拡大した昨年12月以降は一律1万円という形にしました。この考え方ですが、昨年の10月、11月ぐらいまでの状況の中で、病棟にかかる負担と外来にかかる負担では、当然、病棟のほうが重いというのが一般的な御理解だったと思います。ただ、感染が12月以降にあまりにも拡大していく中で、発熱外来では列ができる、PCR検査も列ができるという形で、外来でも非常に負荷のかかる業務になってきました。入院は今まで以上に負荷がかかってくるという中で、外来、入院と分けていくことに関して、現場の理解が得られないというか、現場の負担感は同じではないかということもありまして、これならば一律1万円とする形に設定したということです。

○地域医療機能推進機構理事(西辻)
 1点だけ補足させていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。ありがとうございます。3点目の談合疑いで、実際に医薬品の調達方法が談合を奇貨として変わって、その結果の医薬品費率ということですけれども、確かに亀岡構成員の御質問を聞いて、もうちょっと丁寧にこの資料を作ればよかったのかなと思いました。
 1つは、確かに令和元年度14.95%、令和2年度14.6%、平成30年度14.54%ですけれども、このときに消費税の税率が変わっていまして、平成30年度は8%、令和元年度は、年間を通じた医薬品の費用ですので8%のものと10%のものと両方入っていまして、令和2年度の場合は全てが10%ですので、消費税が10%でもこの価格ということは、消費税率を仮に同じ数字にしたならば14.6%はもうちょっと下がるかもしれないです。その辺をもうちょっと丁寧に書けばよかったかなという感じがしました。失礼いたしました。

○亀岡構成員
 ありがとうございます。今、おっしゃったことはそのとおりだと思いますが、ここで医薬品費率というのが大きくターゲットに絞られているので、それよりも、先ほどの説明はどちらかというと金額の説明でした。私は納得しましたけれども、ここでは費率だけど評価をされているような説明なので、そのことをもう少し丁寧にされたらいいのかなと思いました。

○地域医療機能推進機構理事(西辻)
 ありがとうございます。もう1点言うと、こういう資料を出しておいて言うのはあれですが、医業収益に占める医薬品費用の割合がどうなのかというのが医薬品費率ですけれども、そうではなくて、調達によって例えば薬価との乖離差、実際に何パーセント引きで買えたのかという辺りを中心に出しても、従来、我々が一括調達をやってきたときに比べ、4大卸業者の事件があってから、調達方法はNHOさんの状況等も参考にしていろいろ工夫し、薬価でも乖離率は令和元年度より下がった率で調達ができていますので、場合によってはそっちのほうを書いたほうがよかったかなという気も今はしています。

○亀岡構成員
 ありがとうございます。あと、最初の利益のほうなのですが、これについては確かにおっしゃったように、ルールの下に収入が入ってきていて、そのとおりだと思いますけれども、そこに経営努力を反映させていいのかという点については、私は個人的にはどうなのかなと思っています。結果について何か意見を言うわけではございませんけれども、先ほど、もしなかったらこれだけ損が出ましたというお話もされていたものですから、それだけです。

○福井主査
 ありがとうございます。大西構成員からオンラインで御発言いただけるとのことですのでお願いいたします。

○大西構成員
 大西でございます。先ほどの説明資料の22ページです。棒グラフと線グラフがありますね。線グラフのほうは受入患者数で、それまでに受け入れた患者の数が棒グラフを超えてしまっていますけれども、患者さんたちはきちんと入院できているのでしょうか。棒グラフの意味がちょっと違いますよね。確保している病床数です。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 大変申し訳ございません。この数字は両方に軸がございまして、受入患者数については累積の数となっています。1日とか1か月でのということでありません。折れ線グラフのほうは右側の指標の軸を、棒グラフのほうは左側の確保病床数の数字をということです。よろしいでしょうか。

○大西構成員
 そうすると、直接比較はできないということですね。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 おっしゃるとおりです。

○大西構成員
 そうしましたら、患者さんは皆さん入院されているということでよろしいですか。受け入れた患者さんたちは全て。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 こちらの数字については、入院患者数の累積になっています。先生の御指摘は、ベッドのうち何割ぐらいを受け入れているのかという御指摘でしょうか。

○大西構成員
 そうですね。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 そうしますと、細かい数字は手元にございませんが、22ページの(1)の患者の受け入れの所で疑似症患者について少し記載しています。これは8月1日現在ということで、この日限りの数字になりまして、大体800床ぐらいの規模での提供がこの時期から今も続いていますが、それに対して陽性患者が352人となります。ただ、その横に書いていますように、疑似症患者というのもございますので、疑似症患者についてそこから陽性になれば、当然、陽性患者用の病床に移ります。ですから、この352人と45人で400人との間ぐらいの数字、839床に対して352人プラスアルファで受け入れているという状況と思います。

○大西構成員
 そうすると、まだ少し余裕があるということですね。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 御指摘のとおりだと思います。

○大西構成員
 ありがとうございます。重症患者さんは。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 先生、すみません。1つだけ補足ですが、今は法人全体での数字の平均というか、入所率みたいな形になりますけれども、地域によっては、例えば10床、20床提供していますという所でも100%入っているという地域も当然ございます。

○大西構成員
 それから、都内の場合については156床、うち重床6床ということですけれども、これは満床になっているのでしょうか。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 都内の156床で何割ぐらいかという御質問ですか。

○大西構成員
 そのうち重症が6床と書いていますね。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 はい。
 
○大西構成員
 そうしますと、6床の患者さんは皆さん重症で埋まっている状態が続いているということで、よろしいですか。

○地域医療機能推進機構理事(石川)
 御質問ありがとうございます。理事の石川と申します。よろしくお願いいたします。今の御質問は、都内の156床、うち重床6床ということについてのお尋ねでよろしいですか。

○大西構成員
 そうです。

○地域医療機能推進機構理事(石川)
 10日時点ですので、また数字は変わっているかと思いますけれども、都内ですと半分の3床埋まっているような状況です。JCHOの場合はですけれども。

○大西構成員
 なるほど。まだ少し余裕があるということですね。

○地域医療機能推進機構理事(石川)
 はい。大体、今、都内ですと8割方埋まっているかと思います。

○大西構成員
 ありがとうございます。

○福井主査
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのほかの構成員の皆様方から、御質問なりお願いします。小野先生、お願いします。

○小野構成員
 このコロナの大変厳しい状況の中で、令和2年度、大変頑張っているなというのが実感です。まず、全体的には妥当だと思うのですが、ちょっと質問したいのは、今日の資料の4ページの救急の所です。救急の受入れ85%以上が82.9%の実績と、ちょっと低かったということで、これの理由の説明として、下にコロナに関連して受入れが少なかったように書かれてはいるのですが、地域医療の現場で考えると、コロナになってから交通事故で搬送される方もちょっと少なくなったような気もしますし、コロナ以外の感染症で搬送される方も少なくなっているような印象があります。そう考えると、全体的にコロナ以外の救急搬送の患者さんが減っているのも要因で、ここの率が少し下がっているような印象もあるのです。もしそれであれば、そうしたことも記載したほうが、コロナだけが下がった要因ではなくて、全体的に下がっているのだというのも記載したほうがいいかなと思うのですが、あくまでもこれは私の現場での印象です。
 それに関連して、訪問看護の数が増えていることがあります。今、我々の所でもそうですけれども、入院しないで、できるだけ自宅で最期を看たいと。入院してしまうと、面会ができなくてという方もいらっしゃって、入院を避けて、昨年辺りは結構、がんの末期の方も在宅で看ている方が多くなっていました。そういうことで、在宅のニーズが少し増えているような印象があるのですが、その要因もここに加味されているのではないかなという印象もあるのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○地域医療機能推進機構企画経営部長
 御質問ありがとうございます。1つ目の救急の応需率の件については、先生の御指摘のとおりでして、実は救急搬送全体の依頼件数も、JCHO全体で2.5ポイントほど一昨年度と比べて減っている状況です。そうした状況もしっかり記載すべきではないかというのは、次年度そうしたことも含めて対応していきたいと思います。
 それから、訪問看護のことは、先生の御指摘のとおりだと思います。我々も、一昨年度は訪問看護ステーションと病院からの訪問看護とを合わせた回数というのは18万回でしたが、昨年度は19万回を超えました。現場に聞きましたところ、おっしゃるように、なかなか通院ができない、入院を控えたいという利用者さんの希望の中で、何が対応できるかということで、訪問看護をしっかりやるべきだということで、回数が増えたと思っております。

○小野構成員
 地域の医療機関が大変頑張っているというのがよく分かったと思います。ありがとうございました。

○福井主査
 山口構成員から事前に御意見を頂いておりますので、事務局からお願いいたします。

○事務局
 事務局です。本日御欠席の山口構成員より意見表明をしたいということで、御意見をお預かりしております。
 評価項目1-1-1です。「中核病院の救急搬送応需率について、実績値は82.9%で指標である85%以上には到達していないが、新型コロナウイルス患者の受入れにより従来どおり救急患者の受入れができなかった状況を考えると、82.9%の実績自体、相当の努力が必要だったと思われる。よって、平時の指標で評価をすることはできない目標であると判断する。」
 評価項目1-1-2、「地域住民に対する健康教室などの実施回数が目標回数の半数以下に終わっているが、コロナ禍で集会は避ける必要があり、また、地域住民対象だと、特に高齢者が対象になる傾向の健康教室の場合には、オンライン開催も対応できない人が多いと思われるので、令和2年度の結果は不可抗力と思われる。一方、特定健康診査、特定保健指導を含む効果的な健康診断の実施については、7月、8月以降に平日の実施時間延長や土日対応をすることで、3密を避けながら健康診断を受ける機会を提供するとともに、特定保健指導の実績は向上している。このことについては評価に値すると思われる。老健施設では、医療ニーズの高い入所者を受け入れながらも、全国平均より約20%高い在宅復帰率を達成している。また、コロナ禍で病院や施設では家族の看取りが十分できないことから、在宅での看取りを希望する家族が増えたと言われているが、訪問看護ステーションでは重症者の受入れを目標以上に行って、そのニーズに応える対応ができていることは、評価の対象になり得る。」
 評価項目1-4、「コロナ禍にあって、対面実習の必要な特定行為研修の修了者を目標より120%超えて達成できたことは評価できる。地域の医療・介護従事者への教育・研修の実施は、主にオンラインを使って行われたようだが、地域住民と違って、オンライン研修の機会が増えている対象者なので、今後は、より回数も中身も充実させていただきたい。」
 評価項目2、「「新型コロナ対応に係る診療等による身体的・心理的負担を踏まえ、特殊勤務手当の特例として手当を創設」とあり、もちろん、直接新型コロナウイルス感染患者の診療に対応した職員をねぎらうことは必要である。しかし、直接新型コロナウイルス感染症患者に対応していなくても、人数が減った部署をカバーしたり、別の形で支えたりしている職員も数多くいると思う。そのような職員への、何らかの配慮も実施していただければと希望する。」以上です。

○福井主査
 ありがとうございます。ほかに構成員の皆様方からございますか。それでは、私から何点か。全般的には、ほぼ自己評価のままでいいと思いますが、財務内容については、やはり躊躇するところがございます。国のルールに則って入った補助金は、そのすべてをJCHOの功績とみなすのは難しいように思います。評価をAとするのは、躊躇してしまうというのが正直なところです。巷では、やけ太りした病院が出てきているという言葉さえ使われているようですので、躊躇いたします。
 それ以外では、すぐにはできないことも含めて幾つか意見です。最初の所でコロナのお話がありました。いわゆる疑似症の患者さんについて、検査結果が陽性か陰性か判明するまで、患者さんは陽性患者として扱わざるを得ませんので、その間の負担はコロナの患者さんと全く同じということになります。ですから、疑似症の患者さんの負担が大きいということをもっとアピールするような数値を出されるといいと思います。ちなみに、私が3月まで勤めていた病院では、陽性患者さんの2倍の疑似患者さんがおりました。疑似患者さんの負担を、もっと外部に向かってアピールされるといいというのが1点です。
 2点目ですが、住民への教育とか研修を何回やったということは、これはこれでいいのですが、将来的には、教育・研修をした結果として、住民の方々がどう変わったかというアウトカムも、指標としてどうにか出せませんでしょうか。さすがに、禁煙率が上がったとか、肥満の方々がこんなに減ったといったデータは簡単には出せないと思いますが、教育・研修の効果を指標として出せるといいなと思います。
 次に、今後、地域はますます面として捉えて医療や介護を提供せざるを得なくなってくると思われます。したがって、地域全体の中でJCHOの病院が適切な働きをしているということだけではなく、将来は地域全体に対してどういう影響をもたらしたかという、そういう指標も出せるといいのではないでしょうか。非常に大きな自治体の中にある病院と、小さな自治体の中にあって、医療だけでなく介護にも大きく貢献しているJCHOの病院とでは役割がかなり異なるとは思いますが、ほかの病院、ほかの施設をもコーディネートをする役割も含めて、JCHOが地域全体の人々の健康、満足度、安全・安心などについてどういう貢献をしているのかがわかるような数値まで出せると更にいいのではないでしょうか。
 それから、一般的なことですが、中期目標について、今後はプロセス指標だけでなく、アウトカム指標も考えていただきたいと思います。
 最後に、非常に細かいことで恐縮ですが、今日の資料で説明された資料3-1の16ページで、言葉の問題ですけれども、表の根拠の所で「質の高い職員の育成」と、その下に「質の高い医師の育成」、「質の高い看護師の育成」が記載されています。そうすると、職員という言葉には医師と看護師は含まれていないように思われますので、少し言葉を考えていただいたほうがいいように思います。最初読んだときに、職員の中には当然医師も看護師も含まれているのではないかと思ったのですが、この記載では、職員の中に医師と看護師はいないということになってしまいます。非常に細かいことで恐縮です。以上です。
 構成員の皆さまから何かほかにございますか。もしないようでしたら、法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて理事長からお願いいたします。

○地域医療機能推進機構監事(石尾)
 監事の石尾でございます。監査報告については、お手元の資料3-4の監査報告書のとおりで、全て適正であり、問題はありませんでした。
 現在の法人の業務運営の状況とか今後の課題についてですが、まず業務運営については、昨年も同様なのですが、監事、会計監査人、内部監査部門等が、今年は直接病院にお伺いすることがなかなかできない状況の中でも、オンライン等を通じてヒアリングなどを実施させていただいて、適正性の確保については努めていたと感じております。
 先ほどから何度も出ていますように、今年はコロナの1年でして、JCHO全体でコロナ専用病床の増床とか、積極的な患者の受入れとか、空港の検疫に医師、薬剤師、看護師等の派遣、ワクチンの先行接種の状況調査への参加などというようなこと、また、ワクチン接種についても積極的に高齢者のワクチン接種への協力など対応してきたことは、非常に評価できることでございます。それから、お話にもありましたが、コロナ患者以外の患者に対しては、病床数が減少したことによって一部受入制限が出てしまったり、病院自体でクラスターが発生してしまって診療を制限せざるを得ない病院が幾つか出てきて、その影響がやはり大きく出てしまいましたので、救急応需率を代表するように、病院運営の各指標は非常に厳しいものになっておりますが、全体を見れば、各地域で求められる医療の供給については、支障が出るような状況ではなく、十分に責務を果たせたのではないかと考えております。
 決算についてですが、JCHOの中でも幾つか経営成績が継続して悪い病院があったのですけれども、それについては経営改善推進本部を立ち上げて、そこが積極的に関わることによって、経営不振であった2病院については経営を改善することができています。JCHOでは、人件費についてはメリハリのある損益の状況に応じた賞与の支給であるとか、大型医療機器の購入も今年は少し抑えながらではありますけれども、共同入札の実施などというようなことを実施して、経営改善に取り組んでいると考えています。
 補助金における空床補償についてですが、これは私の感想なのですけれども、空床補償をもらうということは、すなわちコロナに対応するための病床を確保するという覚悟を示して、積極的に受け入れたための成果であると。その覚悟をいち早く国の要請に応じて対応したというところは大いに評価できるもので、その結果、患者がいなければ空床という形になるわけで、そこの部分の補填であったと。覚悟をまず示すということが公的医療機関としての責務であって、それを十分果たせたのではないかなと考えています。その結果、開設以来ずっと黒字を連続して達成していることは、非常に評価できるのではないかと考えているところです。
 それから、コロナ禍においては、医療従事者の方たちに対する目も非常に厳しくて、いろいろな心ない言葉や対応といったようなことが地域で起きたりもしています。これからも、それにもめげず、各職員の人たちがコロナに対応しながらも経営目標に向かって取り組んでいる姿は、監事監査を通じて確認しているところでして、正に当機構の業務運営の状況は高く評価されるべきものであると感じております。
 最後に、令和2年度は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた1年でしたが、これからも国の求めに応じながらも、まずは職員が健康的で安心して働けるような、いわゆる働き方改革への積極的な取組とか、今後の財政状況に応じた投資計画の策定などを進めて、コロナへの対応を継続しつつ課題に取り組んでいくという姿勢を貫いていただけるものと感じております。以上です。

○福井主査
 ありがとうございます。それでは、理事長の尾身先生、よろしくお願いいたします。

○地域医療機能推進機構理事長
 今日は、構成員の皆様、有効なコメント、それからサジェスションをありがとうございました。福井先生のおっしゃっているもう少し地域全体にリーダーシップを発揮してくれないか、あるいは職員の言葉の問題、その他本当に有益なサジェスションをありがとうございました。
 せっかくのこういう機会ですから、何人かの構成員の方から財務内容のことについて、我々としてもある意味で今回の一番、先生方も御関心があるでしょうし、我々もどう説明するかというのは非常に苦慮したところで、一言だけこの際申し上げたい、是非御理解していただきたいと思うのは、この1年は正に我々JCHOにとっても葛藤の1年だったということです。特に独法ということで、それこそ福井先生がおっしゃるように、地域医療機能推進機構ということと、たまたま幸か不幸か私が政府のああいう立場をやってしまっているために、国からの我々への要請というか、これはかなり言葉を選びますが、非常に我々への期待というものが、厚労省だけではなくて政府の中枢部からも来るという、強い協力の要請というのは当然ですよね。そういう中で、葛藤というのはどういうことかというと、小野先生などは御存知のとおり、どこの現場も一般の医療もするという状況の中で、何とか独法だから病床を確保してくれ、看護師を何とかしてくれということで、現場の私としては、あるいはここの理事としては、国あるいは自治体、厚労省からの要請に、危機ですから何とか応えたい。これは我々本部の意識です。一方、現場の職員、特に院長たちは、入れるのは分かるけれども、そのためには、余り感染症をやったことのない病院もあるわけで、そこで病床を空けるとなると、いる人をどこに行かせるのだと、こういうことがあるので、これは本当に本部の役員、職員も土日なしに、一般の仕事をしている中で、夜も土日も押して、国あるいは自治体の要請にどう応えるかということでした。
 そういう中で1つだけ申し上げますと、ある病院を、1病棟を空床にしてやるとなると、実際にはその病院は、院長たちは一般の診療をやっているわけです。空床にするための看護師はそこの病院では間に合わないから、全国のJCHOの病院に号令を掛けて、全国の病院も忙しいという中で、そこの病院、東京蒲田医療センターといいますが、これは重症病院ではないですけれども、1床空ける、一般医療もやっているからそこは院長以下がやる、そこの病床にはうちの病院の役員というか、理事担当がそこに行ってそれだけをやるというような、普段にはないようなことをやらざるを得なくて、そういう結果だったということだけは是非御理解いただければと思います。
 今日の皆さん方のいろいろなコメント、御意見を真摯に受け止めて、これからもまた職員に一段と頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました。

○福井主査
 ありがとうございます。構成員の皆様方から、何か特別な御意見、御質問はありませんでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、本日の議事は以上で終了ということになります。最後に事務局から何かございましたらお願いいたします。

○事務局
 事務局です。今後の流れについて説明いたします。本日、御議論いただいた令和2年度業務実績評価については、この後、本ワーキンググループにおける御意見や法人の理事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますのでよろしくお願いいたします。
 なお、冒頭に説明いたしました法人へのインセンティブとして、今年度は試行的に本日の会議において、構成員の皆様の御発言の中で評定には影響しないものの、法人の今後の運営に参考となる御指摘について取りまとめ、主査の御確認を頂いた上で、所管課及び法人に提示したいと思います。事務局からは以上です。

○福井主査
 ありがとうございます。それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。熱心な御議論をありがとうございました。

(了)