2021年8月6日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第25回) 議事録

日時

令和3年8月6日(金)13:30~15:00

場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)

出席者

真野主査、石井構成員、五十嵐構成員、石渡構成員、梅里構成員、河村構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

議事

議事内容

○事務局
 定刻となりましたので、ただいまから「第25回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」を開催します。私は事務局の政策立案・評価担当参事官室の戸高です。よろしくお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。まず、本日の出席状況について御報告します。本日は、石井構成員、石渡構成員、松原構成員、三田構成員がオンラインでの御参加、名里構成員が御欠席です。また、大変恐縮ですが、参事官の生田も体調不良により欠席させていただいています。
 続いて、政策立案・評価推進官の飯島より、御挨拶申し上げます。

○政策立案・評価推進官
 推進官の飯島と申します。よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。独立行政法人の評価については、本年度から評価のポイントが分かるよう様式の見直しを行っていますので、本日は特にその評価の妥当性などについて御審議いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局
 また、お手元の座席表ですが、PMDAの寺林監事が御欠席となりまして、矢野監事が現在寺林監事の席に着席いただいています。
 続きまして、本日の議事について説明します。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納していますので、そちらを御覧ください。本日は議題として、医薬品医療機器総合機構の令和2年度業務実績評価に係る意見聴取を行うこととなっています。この後の進行は、当WGの主査である真野先生にお願いしたいと思います。それでは真野先生、よろしくお願いいたします。 

○真野主査
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。松原先生がまだオンラインから入られていませんが、定数は十分だと思います。早速始めていきたいと思います。
 それでは、「医薬品医療機器総合機構」の令和2年度業務実績評価について、議論いただきたいと思います。では初めに法人から、法人の業務概要及び自己評価について御説明いただけますか。その後、質疑応答という形で進めていきたいと思います。それでは、説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構執行役員
 医薬品医療機器総合機構の経営企画部門担当の執行役員の中村と申します。私から資料2-1、おおむねこれに沿いまして御説明を申し上げます。
 まず、この資料2-1で1ページ目が表紙ですが、次の2ページにおいては自己評価の結果、評定のみでありますが、こちらは総合評定も含めてお示ししています。後ほど、この要因、理由については御説明していきます。
 3ページからが法人の概要と全体の状況です。3ページは再確認ということですが、3.と4.を御覧ください。私どもにおいては、3大業務と書いてある、医薬品等の副作用・感染による健康被害の救済、医薬品・医療機器等の有効性・安全性・品質の審査・調査、これは厚生労働大臣の承認に先立つものということが主になってきますが、こういったものと、医薬品・医療機器等が市場に出た後の安全対策といったようなことを3大業務としています。これらを通じて、機構の目的の最後にありますように、国民保健の向上に資することを目的としています。
 4ページと5ページは、組織の変遷や人員体制については特に例年から新しいものがあるわけではありませんので、御説明は省略します。
 6ページと7ページにおいて、昨年度来非常にウエイトが急遽高まった対応ということで、新型コロナウイルス感染症対応製品への対応ということがあります。ですので、こちらについてまず全般的に御説明をしておきたいと思います。
 6ページの上のほうの表ですが、こちらは医薬品、医療機器、体外診断用医薬品といった製品の区分ごとに、令和3年5月末までの実績として、承認の件数やこれに伴って実施した調査の件数をお示ししています。なお、これ以降も、例えば治療薬については、1件承認が増えているなどの事情がありますが、5月末時点ではこのようになるということです。また括弧内においては、直接の評価年度である令和2年度の件数を、内数でお示ししている表になっています。それから、右のほうでは、それぞれの製品区分ごとに、もともと中期目標において定められている期間の目標と、これらコロナ対応とされている製品に限って、この区分の中での実績を対比できるように記しています。
 承認等については、このような状況なのですが、一旦7ページを御覧ください。こちらでは、例えば医薬品などではまだまだ承認件数としては限られていますが、既にこの承認に至ったもの、まだ至っていないものも含めまして、これも昨年度来、事前の相談・面談といったようなものにも積極的に対応してきており、それらの件数についても併せてお示しをしているというものです。
 恐縮ですが、6ページに戻っていただいて、下のほうに書いてある所ですが、こちらは安全面の対応です。新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいますが、こちらについての副反応疑いの報告、これらはメリットも含めた総合的な評価は、下の注に出てきている厚労省の審議会の合同会議で評価をしていただくということになっていますが、その前の段階で、医療機関等から副反応疑いの報告を受け付けまして、初期段階の評価を行って、この審議会での評価に供することができるように順次お送りする、こういう業務を実施しています。これがこの5月30日までの実績ですが、1万4,000件弱ということで、通常の製品の評価に比べてもかなり早く処理をして御提供するということですので、かなり負荷が掛かっている業務ということです。以上が法人全体の状況についての簡単な御説明となります。
 次に8ページ以降、各評価項目の御説明に入りたいと思います。まず最初の「健康被害救済業務」です。自己評価として、評価をAとさせていただいています。この中期目標の内容としては、救済制度に関する広報や情報提供の拡充、請求事案の迅速な事務処理といったことが主な内容となっています。これらの状況ですが、このⅡの所にあります指標の達成状況では、その迅速な事務処理ということで請求から支給・不支給決定までの事務処理期間について6か月以内の処理件数を60%以上と定められていますが、令和2年度の年度を通じた実績としては55%ということで、達成度90%強ということで、ちょっと達成はしていない状況ではあります。
 次にこれ以外の主な実績ということで、Ⅲの評定の根拠の所においては、この広報及び情報提供の特に下のほうですが、医療関係者向けには、従来、院内研修等の機会を捉えて担当者が出向いて出前講座を行って、医療関係者の間の理解を頂くような取組を進めてきていましたが、昨年度は実際に現場に出ていくということができませんので、eラーニングのコンテンツを作成して、これをスマートフォン等を含めてリモートで受講できるような環境を整備して、半年間ではありますがかなりの方に受講いただいたというようなことなどを記載しています。
 次に9ページ以降です。「新型コロナウイルス感染防止策による影響」とある所以降は、先ほど定量的な指標を達成していないという中で自己評価Aとしていますが、ここの考え方について御説明するものです。まずこの9ページの記載ですが、こちらは新型コロナウイルス感染の拡大によって、この業務は関連製品がどうこうと言うよりも、むしろ事務処理上マイナスの影響を受けたということで、PMDAの中の作業工程と厚生労働省のほうで審議会の判定を頂くという工程がありますが、それぞれにおいて支障が生じたということがあります。前者PMDAにおいては、特に4月から5月の最初の緊急事態宣言の時期を中心にかなり強い出勤の制限を掛けた時期があり、テレワークの環境も随時私どもは拡大してきていますが、この時期においては、本業務のシステムにはテレワークの環境を通じて職場外からアクセスすることは一切できない、これは個人の健康医療情報を扱っているということで、ちょっと慎重なスタンスを取っておりました。また、書いていませんが、そもそもの請求の書類が主に紙で出てくるというようなこともあり、この出勤の制限を掛けたことの影響がかなりそのまま業務の遅れにつながったということが一つあります。
 それから、もう1つは、厚生労働省の審議会運営においても年度の前半においては書面開催ということで、御意見を頂くまでに通常以上に時間が掛かったということがあります。こちらは年度後半にはWeb開催という対応を頂いたので、基本的には解消されたということです。
 10ページを御覧ください。これに対してどのような対応を取ったかということを中心に記載しています。最初の○の新型コロナウイルス感染症対策による影響というのは、今申し上げたことの繰り返しですが、上記の状況を踏まえた対応ということで、主に6月以降には業務プロセスの見直しや役割分担をより柔軟にしていくということ、年度の終わりのほうにおいては、一定のセキュリティを担保した上で、在宅で業務システムにアクセスできるようにしたというような様々な業務改善を行い、この4月から5月に主に生じた停滞の解消に努めたところです。
 その結果ということが、「その後の処理状況」ということで4つほど書いていますが、特にこの②の内容について、11ページの図表1を御覧ください。こちらに幾つか折れ線グラフを示していますが、各月に決定に至った案件について、どれだけ180日以内という期間を達成していたかというものになります。この中で黒の実線の折れ線、これは途中から赤のものと重なっていますので、そのような前提で御覧いただければと思いますが、これを御覧いただくと9月、10月、11月というところが非常に落ち込んでいます。こちらについては、例えば例年との比較で申しますと、ここの図表においては令和元年度の実績が上のほうにありますが、その前の平成30年度を見ても59%、60%、68%程度の水準となっていまして、昨年度の落ち込みというのはかなり特有の現象と捉えています。
 このような状況というのは、正に全体の業務処理プロセスは一般的に数か月掛かるようなものですので、正に4月、5月に処理につまずいた影響がこの数か月後に現れてきていると理解しています。他方で、年度の前半においては昨年度中から業務処理を続けていたというものになりますので、それほど大きな影響とはなっていなかったというように捉えています。
 これらに対して、年度の後半の赤と重なっている所を御覧いただくと、様々な業務改善などを行った結果、この頃までにはコロナの影響というのは解消して、年度後半にはむしろ業務改善の効果が専ら出るようになり、60%を大きく超えるようなところに戻してきたという推移となっています。
 10ページにお戻りいただきますと、この②のほか①、③、④というように、これは個別の説明は省略しますが、記載のとおり様々な改善効果が出ていると私どもは考えています。これらの状況を総合的に踏まえた考え方ということを、9ページの一番下に書いていますが、新型コロナウイルス感染症の防止対策を講じたことで、一時的に業務に影響があって落ち込みが生じたということで通年目標を達成できなかったと捉えています。他方で、それに対して業務改善の取組を実施して、実際にそれが年度後半に向けて効果を上げてきたということが数字で見てとれるということから、評価をAとさせていただいたというものです。
 次に13ページの「スモン患者等に対する給付業務」については、説明を省略します。
 14ページから「審査業務」です。医薬品や医療機器等の審査業務の迅速かつ適切な実施、レギュラトリーサイエンスの推進、国際化の推進といったようなことを内容としています。自己評価としてはSとしています。
 15ページ以降、様々な製品の区分ごとに迅速な審査に関する目標が設定されていますので、その状況をお示ししています。これだけあるうちで3つほど達成をしていないものがありますが、それを除けば大部分のものについては100%やこれをはるかに大きく超えるような達成率となっています。
 19ページを御覧ください。最後に、この定量的な指標で少し分野が違うものとして、国際化に関する目標ということで、アジア諸国の規制当局の担当者等へのセミナー受講の満足度を設定していますが、これについても高い水準で達成したということです。
 次のページに、120%以上の水準が続いているものがありますので、それについての要因と、目標についての考え方を記載しています。審査期間等で120%を続けて超えているものについては、私どもの迅速な審査業務の実施もさることながら、企業とのやり取りというものが途中でありますので、そちらにも適切に対応いただいたということがあったと考えています。逆に企業のほうで的確な対応を頂けなかったために達成できなかったという目標もあり、そういったことの影響もかなりあると考えています。こういった両方の努力の中で達成されるものであるということや、ものによっては、もともと目標期間中に徐々に水準を厳しく設定しているというものもありますので、中期目標の期間の途中で見直すというものではないのではないかと私どもとしては考えています。またセミナー受講の満足度については、こちらも通常であれば日本にお越しいただいて受講していただくというものですが、オンライン形式ということで急遽開催した中でのもので、これを本来の形との間でどのように考えるのかというところは難しい面もあるかと思いますので、これも現時点で見直すということではないのではないかということを記載しています。定量的な指標については以上です。
 その他の取組について、Ⅲ番の所では冒頭申し上げた新型コロナウイルス製品の迅速な審査等の対応について、ここは昨年度の実績のデータを基にしながら、内容的には同じことを述べています。それから、それ以外の審査業務についても、新型コロナウイルス感染症の影響に対して、こちらは健康被害救済業務とは違い、テレワークを活用する、相談・助言等もリモートで対応するなどの工夫をして、例年どおりの高い水準での対応ができたと考えています。
 これらを総合的に踏まえまして、欄外の所ですが、喫緊の対応として新型コロナウイルス感染症の関係業務を追加的なものとして実施した上で、既存の目標を高い水準で達成したということから、Sという評価としたものです。
 続きまして、21ページを御覧ください。こちらは「安全対策業務」です。内容としては、副作用・不具合情報の適切な収集・整理・評価、その結果を踏まえての医療関係者、患者・一般消費者への安全性情報の提供などに加えて、審査と横串のものとしてレギュラトリーサイエンスや国際化の目標も定められているということで、こちらは自己評価をAとしています。
 22ページに指標の達成状況がありますが、4つあるうちの最後は先ほど審査のほうにあったものの再掲で、これ以外の3つについては御覧のとおり100%の達成度で対応をしたということです。
 23ページですが、これら以外の取組として、安全対策においても、新型コロナウイルス製品対応ということがあります。まず1つ目は、これらの製品に関係する安全性情報を適切に発信しました。これについては、特に承認をした製品について、これを発信するというのはある意味当然のことかもしれませんが、それに加えて、医療現場の判断で適応外薬として使用されていたような製品について、既存の承認の枠組みの下で収集されて評価されていた安全性情報を、改めて発信するといった対応も行ったところです。
 その下は、最初のほうでも御説明した新型コロナワクチンの副反応疑い報告の受付業務です。昨年度中は接種対象が医療関係者に限られていたということもあり、件数そのものは先ほどお示しした数字と比べれば限定的ですが、なかなか接種の枠組み等が不透明な中で、準備、立上げも含めて適切に対応したということで、今、スムーズに回っているというようなことと思っています。
 最後の所ですが、その他のPMDAが自発的に設定している情報発信などに関する目標や、MID-NETなどの活用といったことについても着実に実施をしました。そういった全体の状況を踏まえまして、こちらも新型コロナウイルス対応を行いつつ、既存の業務については適切に実施したということで、合わせて考えるとAということではないかと評価をしたものです。
 最後の項目として、24ページからは組織運営に関わる項目です。こちらは評価としてはBということです。内容としては、ガバナンス体制の構築や情報発信というようなこと、人材関係などとなっていますが、ここでは、そこに重要度は高とあるように、特にガバナンス体制の維持が課題であるということから、御説明するものとなります。
 25ページで、指標の達成状況については、中期計画上、国際的な情報発信に関する定量的な指標があるので、その状況をお示ししています。その下の評定の根拠のところに、主にガバナンス等の関係の記載をしています。かいつまんで申し上げれば、理事長以下のトップからの意思決定体制や業務執行体制、リスク管理の体制について不断の見直しを行ってきたということや、業務品質の向上という観点から全職員参加の提案活動を行った、国際的な品質マネジメントの規格の取得をしたといったような実績について記載しています。こういったことは法人運営としては通常期待されるものかと思いますので、自己評価Bとしています。
 26ページについては、かつて不適正兼業や業務上の機密文書の紛失といった重大な不祥事を私どもは起こしていまして、その反省に立ってこのガバナンス向上の取組をしてきていますので、その流れを改めてお示しをしたというものです。このように組織的な対応というのは図ってきている中ではありますが、1点、個別に事務処理が適切ではなかった事案というものの中で、この独法制度上の対応が不適切であった事例がありますので、こちらの報告を特段させていただきます。
 資料3の最後の54ページを表示していただけますか。見出しで書いてあるとおりですが、令和元年度末に理事が1人退職をしていまして、この方への退職金を適切に支給できなかったということです。通常の流れからしますと、令和元年度末の退職ということであれば、次の令和2年度中に法人としての業績評価が行われた上で業績勘案率という係数が設定されて、それをもとにして金額が確定して、年度の後半に支給事務を終えるということが本来の姿ですが、これが昨年度中は実施されなくて最終的に今年度の対応になってしまったということです。原因としては、そこに記載されているように直接の退職金支給の担当課の担当者のほうで、自発的に動かなかったという中で、周囲の関係課や上長においても認識が不十分であったというようなことです。
 これに対して、再発防止策としては、今回特に責任はないかと思いますが、人事担当の課も含めて複数の部署が関係しているということですので、改めてそれぞれの担当部署が、いつ何をなすべきかということをフローチャートで整理して共有するなどの対応を図ったということです。こちらは、本来、法人として当然適切にやるべき事務をできなかったということで、大変深く反省すべきものと考えていますが、他方で、この評価制度においては、例えば過去の、先ほども申し上げた機密文書の紛失や不適切な兼業といったような、法人の目的とされている業務の遂行そのものについて信頼を失わせるというものとは少し性質が異なるのではないかと考えました。そのため、これをもって直ちに評価に反映させることとはしていませんが、ただ、資料2-2の評価書本体にも明記するとともに、この場でも特段に御説明を申し上げた上で、最終的に大臣評価において御判断いただこうと考えているものです。法人からの説明は以上です。

○真野主査
 ありがとうございました。それでは議論に入りたいと思います。ちょっと細かいところで、私から2つほど確認していいですか。1つは、補足資料の資料3で、体外診断用医薬品のコロナの所なのですが、検査項目がインフルエンザになっていますが、これはどういうことなのでしょうか。体外診断用医薬品はコロナでは承認してないような話ではなかったですか。

○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 それは、インフルエンザと同時に発生したときに、両方が検査できるものでなければいけないということもありまして、この製品はインフルエンザとコロナと両方が診断できるキットということで、インフルエンザの名前も入れた形のキットで審査をしているものです。

○真野主査
 では、両方ということですね。

○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 はい、そうです。

○真野主査
 では、コロナだけのものはないかもしれないけれども、コロナとインフルエンザの両方の体外診断用医薬品は承認されているということなのですね。

○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 はい、そういうことです。

○真野主査
 分かりました。ありがとうございました。もう1つ、先ほど、9月が人数、仕事がはかどっていなかったという資料がありましたよね。あの資料で、結局、データ上は盛り返したのだけれども、例えば、令和元年はずっとそこそこでしたが、令和2年は9月~11月が下がって、その後、盛り返しているということなのですが、通年で見ると仕事量はどうなったのですか。

○医薬品医療機器総合機構執行役員
 こちらは、単純に量というよりは、その月に決定に至ったものの中で180日以内という期間をどれだけ守れたかということですので、そういう視点で見たときに、年度の半ば頃に決定に至ったものは少し長めの時間を経てそこにたどり着いていたのに対して、年度後半においては、多くがその6か月以内の期間で到達したという意味です。

○真野主査
 では、パフォーマンスとしてはほぼ変わらずということですね。

○医薬品医療機器総合機構執行役員
 件数については、12ページのグラフのほうが月ごとに処理した件数をお示ししています。

○真野主査
 なるほど、そうすると、ほぼ変わらずということですね。

○医薬品医療機器総合機構執行役員
 はい。

○真野主査
 分かりました。ありがとうございました。ほかに構成員の先生方、御質問いかがでしょうか。Webexの方も大丈夫です。では、お願いします。

○河村構成員
 御説明くださり、ありがとうございました。コロナ禍でいろいろな業務に制約がある中で、いろいろな工夫もしてくださり、精力的に業務をこなしてくださって、本当に我々国民が受けた恩恵は極めて大きかったのではないかと思っております。
 個々の御説明の所はいいのですが、評価についての意見と、少し質問を申し上げたいと思います。まず、評価項目の1-1の健康被害救済業務で、11ページの所でグラフの形でも見せてくださって、業務処理、コロナによる出勤抑制の影響ですとか、紙で書類が出てくるとか、いろいろ御事情はおありかと思いますが、そういった状況がどの時期にどう影響したということはよく見せていただいて、これで理解できました。ただ、その評価の所ですが、達成度が91.7%で、そのまま行ったら多分C評価になると思いますが、これだけいろいろ対応を講じてくださって、年の後半には改善傾向もしっかり出ているということでB評価にしてもいいのかと思いますが、その上、更にAに上げるのが私の意見としては疑問な気がします。難易度が付いている指標ですから上げることができるということなのかもしれませんが、91.7%を杓子定規に捉えることは今回の場合はなくて、事情を理解した上でBということなら異論はないですが、その上のAに上げるまでの具体的な説明が頂けていたかなというと、私は疑問な気がいたします。ここはいろいろ意見が委員によって分かれる所かもしれませんし、大臣評価がどうお考えになるかというところかと思いますが。
 あと、S評価になっている所、項目1-3の審査業務ですが、たくさん指標があって、こういう状況でありながらも非常に高い達成度を付けてくださっているものが多くあります。ここは、今後の目標の扱いについてです。今年から、厚生労働省としての評価のやり方、考え方をお示ししてくださって、それにものっとって見ると、このS評価は大変な指標を達成していらっしゃると思うのですが、S評価がずっと続いている状況で見直しをどうするかというところで、いろいろ御説明はくださったのですが、すぐにどうということではなくて、こういう状況を踏まえて、次期中期目標期間中の設定をどうするかだと思うのです。160%とか、これだけ高い達成度が続いている状況下だと、難易度高をそのまま付け続けるというのがどうなのかという気もします。そういう意味での見直しがあってもいいのではないかという感じがいたします。
 それから最後のガバナンスの所や、いろいろ過去に事案があった法人ではありますが、いろいろ改善を試みてくださっていて、過去と同じような形での問題事案は起きなかったとのことですし、そういったところは評価していいのではないかと思いますが、昨年度のいろいろな業務運営のお話を伺っていますと、今回のコロナ危機で出勤を抑制しなくてはいけなかったりとか、すごくセンシティブな個人情報を扱う救済業務とかをどういう形でリモートでも対応できるようにしていくのかなど、いろいろ御検討くださって、これからもしてくださるのだと思いますが、少し業務運営の環境が変わってきているのかと。
 コロナ危機もこのままワクチンの接種が進んで効果が出てくれればという気がしますが、これが例えば1年たったら改善して元の生活に戻っているかというと、ちょっとそこまで行けるのかという気もいたしますし、別の感染症とか変異株とか、そういうこともあるかもしれません。そういうことを考えると、対応をきちんと考えておいたほうがいいのではないかと。過去にあったような事案とかを考えると、あの頃は普通に皆さん出勤して、基本的にやってらっしゃるお仕事をしてくださっている状況下でいろいろな事案があったと。今度、大分リモートの形になってくると、今まででもいろいろな事案があったわけですが、お互いが同じ職場にいないことで見えにくくなる部分はあるのです。ですから、そういうところも踏まえて、では、どうやってリスク管理をしていくべきなのか、新しいやり方とかも含めて、もう少し内部通報的なものとかが実効的に機能するような枠組みをお考えいただくこともできるのではないかという気がしますし、そういった辺りをお考えいただければと思います。
 最後に、役員の方の退職金の支払いができていなかったという御報告もいただきました。いろいろ意見を申し上げたいことがあるので申し上げますが、これは、評価書の本体にも先ほど書いてくださっているとの話がありましたが、何ページに書いてあるのですか。すみません。私が見付けられなくて。

○医薬品医療機器総合機構執行役員
 今、確認します。

○河村構成員
 そうですか。どう書いてあるかは分からないので、すみません。この話は過去の不祥事亊案とは違うので、今回の評価には反映させないという話でしたが、そうでしょうか。私の意見は違います。役員の方と職員の方を区別するのもどうかと思いますが、退職された方がいらして退職金の支払いができていなかった、1年以上ほったらかしになって、御本人から言ってこられるまで知らなかったというのはあり得ないミスではないですか。こんなミスがまだ残っているのですか。いろいろ説明の文章を見ていても、「気が付かなかった」とか、こんなことはあり得ないのではないですか。それでB評価というのは全然ないのではないかと思います。
 この業績勘案率の審議はすごくデリケートな話だし、微妙な話です。最終的には主務省で決定されることになっていて、ここでしたら厚生労働大臣のところで決定されるのですが、例えば、閣議決定とか国会の議決であったと思いますが、きちんと総務省の独立行政法人評価制度委員会に通知して意見を聴く、最終決定は本省だけども、意見を聴くことになっていて、私はその総務省の側にいたこともありますので、この話も行っていました。総務省の側も、「なかなか来ないね、あの省の業績勘案率が来ないね」といっても、来ないものをわざわざ向こうから聞くことができずに待っていた状況もありますし、すごく、これは微妙な話ですよね。
 独立行政法人で中期目標管理法人で、仮に非公務員化されている法人だとしても、国の法人だということで、ものすごく厳しい規律づけがかかっていて、業績がストレートに金銭的なところに反映されるというのは個々の役員の方が退職されるときだけだと思います。その業績勘案率の審議は厚生労働省としてお考えになって、それを総務省の意見も聴いて、最終的には主務省と総務省とで意見が食い違ったこともあるはずですし、時間が掛かることもあるし、個人の方の退職金のことは非常にデリケートな微妙な問題で大事な問題なのに、それが、ただ単に支給している毎月の給料のようにお支払いすればいいというものではないものが、ずっと放ったらかしになっていたというのは、ちょっとどうなのかと。そういう事案がありながらB評価というのは、私は疑問ではないかと思います。
今後の対応については、マニュアルがなかったとか、退職金を支給する役員が少なかった、8年間で6人だからと、このようなことが理由になるのだろうかと思います。最近は役所からの現役出向でいらっしゃるような役員の方も多いのかもしれませんが、この方はそうではなかったわけですし、やはり、あってはいけないことなのではないのか。ですから、きちんとPMDAとして、正すべきところは正して、このようなことが絶対にないようにしていただきたい。
 あと、厚生労働省へのお願いは、こういう事案が起こってしまった以上、評価官室でいちいち口を出してやることではないのかもしれませんが、そうは言っても総務省とやり取りをするときは窓口にもなっていらっしゃると思いますし、たくさん法人はあると思いますが、役員の方がどこの法人で、どう就任されて、どこで任期が満了になって退職されるかは、できればチェックを掛けていただいて、何箇月かたっても上がってこないとか、そういうことがあれば、担当の原局に促していただくこともお考えいただいたほうがいいと思います。私からの意見は以上です。先ほどの、このページが分かれば教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構執行役員
 まず、ページだけですが、一言書いてあるだけですが、197ページです。

○河村構成員
 197ページのこの下の所、ポツの所ですね。評価のときに、私はこれではとても済まないと思います。きちんと書いていただきたいと思います。以上です。

○真野主査
 ありがとうございました。かなり本質的な話も入っておりますが、どうですか、法人側から何か。ほかにもこの辺で御意見があるかもしれませんから、ほかの構成員の方からも聞いてからにしますか。特に、最後の話、退職金の話は捉えようによっては大きな話かもしれないので、ほかの構成員の方も含めて、では、構成員の石井先生、お願いします。

○石井構成員
 ありがとうございます。今の退職金のことは、私も御指摘しようと思っておりました。基本的業務ですので、それが欠けているのはやはりよろしくないかと思います。更に申し上げたかったのは、最初のほうに、PMDAの審査部門のそれぞれの構成人数が出されておりました。最近は、比較的、人数としては定常状態になっておりまして、特に大きな変化がない形です。特に審査部門に変化がなくて、さらに、今回、新型コロナウイルスの感染症に関する医薬品に対して承認が増えたと思います。また、これは通常承認ではなく、特例承認として入っています。このような状態で、プラスアルファのお仕事がこれだけ増えて、どこまで在宅でやられたか明確ではないですが、きちんとした審査ができていたのでしょうか。あるいは、この特例などは在宅など関係なく、PMDAに出て来られてやっていたのか、審査区分分けを適切にされていたのでしょうか。その辺りはいかがでしょうか。

○真野主査
 2つ目のほうは、すぐお答えできますか。

○医薬品医療機器総合機構理事(宇津)
 石井先生、どうもありがとうございます。理事の宇津でございます。まず、特例承認の件について御回答いたします。まず、特例承認について通常と同じようにやっていたのか、それとも特例承認だからということで、意図としては簡潔に、承認したのかという点かと思います。特例承認については、審査期間としてはかなり短い期間で行ったことは事実です。その期間だけで本当に審査業務をやったかというと、そういうわけではなくて、実際には申請前から、海外の情報も含めてかなりのいろいろな情報を調べ、申請される企業の方や海外の規制当局も含めてやり取りをし、ある程度の準備ができた段階で新たなデータも含めて申請が出され、審査をしたということであります。したがって、審査を簡略化したかというとそういうことではなくて、海外の承認というのが前提となっておりますが、その中身についてもアベイラブル情報は常に確認をしておりました。また、申請の前の段階でも確認を行っておりました。
 それから、在宅勤務との関連でも御質問いただきましたが、きちんと分析したわけではありませんが、私どもが特例承認を行ったものについては、どちらかといえばほとんど勤務をして対応していたと理解をしております。以上です。

○真野主査
 ありがとうございました。石井先生、大丈夫ですか。

○石井構成員
 ありがとうございました。

○真野主査
 ほかの方はどうですか。はい、梅里先生、お願いします。

○梅里構成員
 いくつか伺いたいことがあります。まず、項目1-1の健康救済業務です。A評価が少し甘いのではないのかという意見が先ほどありましたが、この健康救済業務について、指標としては、申請があったものをどれだけ速やかに対応しているかというのが定量的指標として挙げられているのですが、この業務の本質的なところは、被害を受けた方が救済されているかどうかだと思うのです。ということは、申請を待たざるを得ないとはいうものの、本当に被害に遭った方が、申請がちゃんと出ているのだろうかというところを、PMDAとしてできるだけ救済をしていく方向で努力をすると。そういう意味で、認定の根拠の中にいろいろ救済制度の周知ということを書かれているのだと思いますが、eラーニングで3,473名というのが、果たしてその周知として十分なのかどうか。
 健康被害を受けた場合、患者側にはなかなか分かりにくい問題なので、これを申請するには、どうしても主治医が適切な認識を持って、救済できるものについて申請をしてもらうことが大事だと思うのですが、この3,473名の内にドクターがどのくらいeラーニングを受けているのかとか、数が少ないのでそこは余りこだわりませんが、ドクターにどのように周知させるのか。例えば、今まで薬害で救済を行った薬品のリスト、何でもかんでも救済の対象になるものでもないと思いますので、ある程度薬が限られてくると思うのですが、そういったものについてリストを作って、もちろんやっておられると思うのですが、そこから薬害の救済の対象になるかどうかができるだけ速やかにチェックできるようなフローチェックシートのようなものを作って、病院に配布しているとか、その病院の現場で薬剤部に対してそういう救済制度が簡単に分かる、eラーニングは受けると時間が掛かるのでなかなか負荷が大きいと思うのですが、簡単に、こういうことがあるのだとか、薬害があった場合に救済制度に申し込んだほうがいいということを、例えば薬剤部を通じて病院の中で広めてもらうとか、医局に投げても無視されてしまうとかいろいろあると思うので、とにかく、ドクターがそういうことに認識を強く持って、そして救済制度に申請をすることをできるだけ増やせる努力、ここをどのようにされたのかということ。その努力がものすごく多ければ、この申請の対応した期間の時間がいつもより掛かりましたとかいうことは、私は本質的ではないと思っています。本当に健康被害に遭った方を救済できているのかどうかに対して、PMDAがどのぐらい、どのような取組みをして、どのくらい達成できたと考えているのかを、まず1点、伺いたいと思います。

○真野主査
 これは、まず、個別に御回答いただけますか。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 私のほうから、今の梅里先生のコメントに対応させていただきたいと思います。資料3の4ページ、救済業務の処理状況を見ていただきますと、令和元年度と令和2年度で決定件数は1,539件と1,594件で、その前の平成29年度と30年度を見ても大体そのぐらいで推移してきております。28、29年度の辺りはHPVワクチンの影響もあって少し高めに出ていますが、数値的には去年一時的に業務が滞った時期があったにしても、決定件数の減少は少ないので、余り大きな実害を健康被害を受けた方々に与えていないのではないかと考えます。
 それから処理期間を見ていただいても、中央値で5.8か月、その前が大体5.2、5.4か月ですので、その期間の差を見ると中央値だけでもそれほど大きな遅れにはなってないことも今の考え方をサポートできるかと思います。さらに、救済業務は、患者さんからいろいろな症例に関する情報を取り上げるときに、医療機関から診療経過の情報等も頂くのですが、コロナ禍で、患者さんが家を出てクリニックあるいは病院に行って、そういうのを書いてくださいというのが、結構難しかったという話もお聞きしています。患者さん自身からそういうふうに言われたと救済部の方々からは聞きました。ですから、この最初の、去年の緊急事態宣言第1波目の辺りの街の閑散とした状況を考えるときに、あの中で病院に行って受けてくるのは、多分、被害を受けた方々も、特に御自身がフラジャイル、体が弱い状態で外に出るのは恐ろしかったのだろうと思いますので、私どもの事務処理期間が遅れたことですごい不都合を与えたということは考えにくいと思います。
 eラーニングですが、これは、医師、看護師という、患者さんに一番近いところの人たちの健康被害の情報に関する認知度も非常に今のところ低いので、これを向上しないといけないので、私は赴任時から腐心しているところなのです。例えば、医師会長さん、去年の3月に医師会雑誌に横倉さんと一緒に座談会をしたのを記事にしてもらっていますし、各地方の医師会にもしっかり周知をしていただきたいと何度もお願いをしております。
 ただ一方で、健康被害救済業務というのは賠償責任を問われる状況と表裏一体でありまして、健康被害というのはノンフォールトですから、無過失補償ですが、それでどうしてもお断りせざるを得ない事例があります。断わられた後、患者さんが何を考えられるかというと、今度はその医療機関に対して、被害を被った医療機関あるいは医者が悪いのだと訴えるという事例が結構出てくる。私が同級生などと話すと、「あんな制度があるけど、訴えられたら困るから使いたくないよ」というのは、よく聞くのです。「そんなことはないですよ」と僕は説明しますけれども、そんな事例があるということは横倉先生とも共有しましたし、その後、中川先生ともお会いして、いろんな隘路があるのを地道に直していくのが、医療者、特に医師の側の理解度を高める方策だろうと思って、それは地道に努力をしているところです。
 看護師に対しても、日本看護協会をはじめ、いろいろな協力を得て、看護学雑誌とかに私どもの救済事業の紹介もさせていただいていますし、昨年度は看護師向けの週刊医学界新聞、そこで看護業務に携わる人たちにこういう救済制度があるということを周知しようと、記事を掲載させてもらいました。
 いずれにしましても、先生がおっしゃるとおりに、薬剤部での認知度はある程度救済制度についてあるのですが、医師と看護師についての救済業務に対する制度の誤解、それからその認知度の低いところがあるのは、今後もしっかりと改善していきたいと思います
 eラーニングの中で、3,000名のうち医師がどのぐらいのパーセンテージかは、今私は手元に持っていませんが、私も自分の関東近辺で、昔一緒に働いた同僚が自分の病院で紹介して、こういうのを話してほしいというのが来たときには、PMDAに窓口があるのですが、そこにコンタクトしに行ってくださいと話をしていますので、かなりのパーセンテージ、この3,000名のうちの多くのところは医師も入っていると理解しておりますし、あと、担当部署が何パーセントかを持っていれば話させますが、そういう多面的な努力をしながら救済業務の認知度を上げようというところはさせていただいているところです。ほかのガバナンスのところもお話したほうがいいですか。

○真野主査
 ほかのところは後にしましょうか。それはちょっと大きそうなので。今、医師のパーセントとか出ましたか。

○医薬品医療機器総合機構執行役員
 受講者の職種についてですが、アンケートに回答いただいた方が1,118名いらっしゃって、その中では看護師の割合が29%、薬剤師が25%、医師が7%ということでした。

○梅里構成員
 何か割合がすごく少なかったのですが、全部足しても60、70%にしかならない、残りがその他の職種ということですかね。そういうことでよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構執行役員
 そのとおりです。

○梅里構成員
 ありがとうございます。状況は今の御説明ですごく理解できます。薬の薬害が発生しても適応どおり適正に使用された場合が救済の対象となるということで、ある程度救済できないようなケースについては、なぜというようなことで医療者に矛先が向かうのではないかと、そういう懸念を持たれるということもよく理解はできますが、できるだけ被害に遭った患者さんを救済していかなければいけないというのがPMDAの立場だと思いますので、この辺については引き続き努力をお願いしたいということです。それと、今、副作用報告をPMDAに求めていると思いますが、薬剤部に薬害の救済制度の対象となった薬剤については特に指定をして、これらについての副作用があった場合には、ある程度優先的というか、今、医療機関の副作用報告は自発的なものになっておりますので、そういう認識の高い医療機関からは出てきますけれども、そうでない所はなかなか副作用報告がPMDAまで上がらないということも多いのかと思いますので、特に薬剤を指定して、副作用が出た場合には必ずこれについては報告してくれというような、そのようなことは考えられないのでしょうか。

○真野主査
 お願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 御質問ありがとうございます。いわゆる健康被害救済制度の対象になっている薬剤というのは幾つもありますが、やはりその中で頻度が高いものというのはあります。特定の抗精神病薬などがそうなのですが、そういうものについては、実は安全部門から医療関係者向けの注意のリーフレットを出させていただいております。PMDA医療安全情報というものですが、そういうものを含めて、現場の方にも副作用報告も含めて注意喚起を重点的に行うなど、そういう対応をさせていただいており、救済と安全対策を表裏一体な形で、現場にも情報提供を徹底させていただいています。

○梅里構成員
 ありがとうございました。安全情報に、救済の対象となるという頻度、救済されているケースが多いとかいろいろな情報を一緒に出していただけるといいかなと思います。ありがとうございます。

○真野主査
 よろしいですか。では三田先生、お願いいたします。

○三田構成員
 聞こえますか。私も重なってしまうのですが、頂いた資料を拝見していて、資料3の54ページにいきなり先ほどの退職金の話があり、ちょっと驚いてしまいました。評価うんぬんというよりも、実際にどのような検証をされたのかということで、原因という所には、ちょっと信じられないのですが、いろいろな人がみんな自覚がなかったとか、業務マニュアルが支給手続に関してはなかった、あるいは、再発防止策には意思疎通の明確化をする、コミュニケーションを活発にするというようにしか書いていない状況だと、お金の話だけなのかと。あるいは、検査とか審査とかに比べて、こういう事務的な作業には人が少なくなっているのかとか、なぜこのようなことが起こったのかということの検証とか、もう少しそれに基づいた防止策を作るというか、そういう書きぶりにしていただかないと、せっかくいいお仕事をされているのに、これだけ見ると、そもそも根底的なものがどうなっているのだろうという不安を多く与えてしまうのかなと思いました。以上です。

○真野主査
 では、これはちょっと後でまとめてやりましょう。皆さん大分この辺は、今の話に何か付け加えることは、橋田先生とか、ほかの先生はどうでしょうか。

○橋田構成員
 今、構成員の先生方からいろいろ御質問、或いは御意見があり、それぞれ尤もな、非常にポイントを突いた御指摘だと拝聴させていただいておりました。私は薬学、薬事に関する立場でと申しますか、少し気になりましたのは、健康被害救済業務のところで、先ほどから何回か話題に出ておりますが、処理期間が延びたことに対しまして、出勤抑制の話や審議会が書面開催になったということを理由として挙げられているところがあります。こういう問題は当然あったのだと思いますが、これからもこのコロナ禍のもと、更にどのような状況が続くかも分かりませんし、PMDAとして健康被害救済とか審査とか、そういう重要な業務をいかなる環境、条件下においても的確に行っていただくという意味では、それぞれの問題が起こったときにどういう状況下、どういう問題だったかという分析は、やはり大事かと思っております。
 そういう意味で、ちょっと御質問させていただきますと、例えば全体の資料のほうですが、10ページで被害救済の業務処理が遅れた理由の1つが出勤者数の抑制だと。もう1つの理由として、「審議会が書面開催となって、委員意見の調整、集約及び機構への判定結果の通知を速やかに行うよう継続的に繰り返し申入れを行っていた」という記述があるわけです。これに対する質問ですが、PMDAから行政のどこに対して繰り返し申し入れを行っておられたのかということと、審議会と言いましてもその中に薬事分科会がありその下の部会かあるいは調査会でしょうか、実はそういうレベルの話だと思います。その辺の担当部局がどこで、申入れを行っていたのになぜ動かなかったのかということを、御説明いただけますか。

○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 御質問ありがとうございます。本件は、薬事・食品衛生審議会の判定部会、2つ部会がありますので、第一部会、第二部会いずれもということですが、担当課は厚生労働省の医薬・生活衛生局の医薬安全対策課が事務局になっていますので、そちらに繰り返し申入れを行っていたという状況です。

○橋田構成員
 それで、結局平時ですと8日間で大体処理できたものが倍掛かったということですね。だから、ここで8日遅れと。ただし、資料全体を見せていただくと、もう少し全体としてある期間分が遅れているのではないかと思うのですが、そういう意味でいえば、PMDAにおける在宅勤務の時間と効率、厚生労働省事務局の事務処理の救済業務全体におけるコントリビューションと言いますか、役割がどのようになっているのか。こうした問題に対し、既にPMDAや審議会レベルでは解決しているのかもしれませんが、どういう形で今後対応というか、制度改善について考えておられるかということを御説明いただけますか。

○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 ありがとうございます。先ほどちょっと御説明させていただきましたが、処理の中央値という点でいうと、実際、今回遅れている部分の数字というのは1か月はいっていなくて、大体半月程度ぐらいの遅れということです。そういう中で、厚労省からのレスポンスが大体1週間程度ということであれば、半月の中の半分ぐらいというような評価になるかと思います。あとは、当然PMDA側の事務処理の遅れの部分と、そういうことだろうと思いますので、これは双方ともにそこを迅速化していくということもありますし、厚労省の審議会も、橋田先生は御存じだと思いますが、最初の頃はメール開催とか書面開催で非常に苦労して運営されておられて、コロナが一巡してきたぐらいからWeb開催になって、審議が円滑に流れるようになってきたというような状況もありましたので、やはりここはいろいろな意味で、全体システムとしてコロナに対して柔軟に対応できるような形で、我々も改善してやっていくべき部分だろうなと思っております。

○橋田構成員
 ありがとうございました。是非そういう対応、対策をこれからも進めていただければと思います。ありがとうございました。

○真野主査
 ありがとうございました。そうしましたら、時間も大分押してきましたが、退職金の問題は構成員の皆さんがかなり疑問に思っているようなところもあるので、確かにPMDAさんが言われるように本質業務ではないかもしれませんけれども、全体の信頼のようなお話が構成員の多くにあります。多分、構成員一人一人でこういう点がとかあると思うので、ちょっとお答えいただいて。五十嵐先生、どうぞ。

○五十嵐構成員
 申し訳ありません。結果評価ということではなくて、再発防止策の中に「概算払いを可能とする仕組みを構築」とあるのですが、私の感覚でいうと、逆に事務が複雑になるだけで、かえってよくないと思うのですけれども、これがどうして再発防止策になるのか。

○真野主査
 では、それもまとめてお答えをお願いいたします。では、まず考え方というか、そこをお答えください。

○医薬品医療機器総合機構理事(柳樂)
 総合調整・救済担当理事の柳樂と申します。先ほど御質問いただいた内容は、資料の50ページ以降に書いてある機構としての原因分析がやや表面的で、本質的な部分に触れていないのではないかという観点からの御質問であったと理解しております。こういう事案が発生するに至った本質的なこととして申し上げると、業務プロセスの見直しが、法人ができて以来、余りきちんと行われていなかったということが、本件の発生の本質だろうと理解しております。
 資料の最初のほうに書かれていますように、PMDAの職員の数としては、発足当時は250人で、現状は約990人と20年で4倍ぐらいに組織としては拡大しておりますが、一方、役職員の日常業務を支える管理部門の職員数はそれほど増えているわけではなくて、規模的には大きく変わらないということですから、当然ながら大きくなった組織に合わせて業務の在り方を効率化し、なおかつ同時にミスのないような形に見直していくという作業が必要で、どこの法人でも不断にやってきているものだろうと思っております。当然、PMDAにおいてもそういうものをやっていかなければいけないと思っておりますが、この法人においては、今申し上げたように、量が増えた業務に対応するということで職員としては手一杯で、現状を見直してより迅速かつ正確な事務体制を構築するという、そういうエフォートに十分に対応し切れていなかったというのが本質であろうと思っております。
 ですので、私どもの今後の対応としては、業務システムを抜本的に見直し、併せて現在、IT化あるいはデジタル化が政府としての課題になっておりますので、IT・デジタル化を通じて、そういうミスのない、そもそも人力を全く介さなくてシステムで処理できるような事務処理の体制を構築していく、あるいは最初からペーパーレスで、申請から処理まで全てデジタルで行っていけるような事務処理体制を構築していくというような、業務あるいはシステムの見直し作業を進めていくということが、こういう業務上、マネジメント上の課題に対する私どもとしてのなすべきことであろうと考えております。
 それから、五十嵐先生から御質問がありました、概算払いを導入することによってより問題が複雑化しないかということですが、これは総務省も勧めておりますように、各法人の役員の退職手当規程の中に概算払いをすることができるという規定を置くというのが制度上の対応です。今おっしゃったように複雑にならないかという点に関しては、普通の職員であれば退職の前に全ての処理を終えて確定しておりますので、むしろ役員の退職が生じた時点で、普通の職員と同じような流れで退職金の概算額の算定、支給ということを手続として行って、その後、業績勘案率を踏まえて1.0でない場合、多くの場合1.0あるいは1.0を少し上回る、1.0以下のケースもあると思いますが、確定した業績勘案率を踏まえた差額の給付あるいは徴求という手続をするということで、それほど大きな負荷を生じることなく、また、毎年何人も退職している通常の職員と非常に近い事務手続で物事が進められます。そういう点で、今回の事案のように、手続そのものの最初のトリガーが引かれなかったということで給付の手続が全く進まなかったというような事案の発生については予防する効果はあるだろうと考えております。以上です。

○真野主査
 五十嵐先生、どうですか。

○五十嵐構成員
 これは意見ですから、私の意見は全く反対で、例えば今のようにされていたら、評価の手続を失念していたとしても、多分もらった人は何も言ってこないと思うのです。それから、一回払ったものを戻すというのは非常に大変な話です。なおかつ、退職金ですから所得税の扱いで、もし万が一遅れて年度をまたいでしまったらどうするのかなとか、退職金を概算払いしてもう一回精算するという仕組みが簡単にできるかというのは、非常に疑問です。むしろ、きちんと一本道の筋道で、退職金を払うことが落ちないような仕組みを考えられたほうがいいというのが私の意見です。

○河村構成員
 今の点は、私が申し上げるのもどうかという気もいたしますが、総務省の政策評価独立行政法人評価委員会におりましたので、経緯を承知しているので申し上げます。なぜ概算払いの制度ができたかというと、業績勘案率の判断に関して、主務省、法人側と総務省の意見が合わないことがあるのです。ネガティブチェックも掛かりますよね。不祥事があったときに減点になるとか、そういうのがあって合わないことがあって、支給にすごく時間が掛かってしまうときがあって、それはさすがによくないだろうということでこの制度が入ったと承知しています。ですから、五十嵐先生がおっしゃるようなことがあるのはごもっともなのですが、そういう事情があって、それぐらい業績勘案率の審議はすごくデリケートな微妙な話だということを御理解いただいたほうがいいと思います。

○真野主査
 多分、五十嵐先生もそれはお分かりだと思うのだけれども、私も質問したかもしれませんが、変な言い方をすると、途中でお亡くなりになってしまったとか、正確に全部の金額が払われるまでの期間が余り長いと、どうしてもいろいろ問題が起きると思うのです。これはPMDAの問題というよりも、独立行政法人評価自体の問題だと思うので、ここでどこまで議論できるか分かりませんが、五十嵐先生のお話も含め、PMDAだけではないと思うのだけれども、業績勘案をどうするかという話も含めて、どちらかというと厚労省に言ったほうがいいかもしれません。総務省かな、分かりませんが、ちょっとそこはありそうだということで、よろしいですか。退職金の話は今の視点もあるのですが、ほかにも御意見がある人がおられると思うのですけれども、どうでしょうか。皆さんいろいろ言っていたけれども、大丈夫ですか。納得されましたか。よろしいですか。

○河村構成員
 別に納得はしていません。私はこの項目についてB評価はおかしいと思います。C評価以下だと思います。

○真野主査
 我々が決めるわけではないので、あくまで御意見ということですが、ちょっとこの点に関しては構成員の皆さん、割と厳しめに思われているという感じで、時間のこともありますのでよろしいですか。意見を言われた三田先生とか、よろしいですかね。大丈夫そうですね。

○梅里構成員
 今のガバナンスとかリスク管理に関係してなのですが、病院では、御存じだと思いますけれども、インシデント・アクシデントレポートのようなものがあって、いわゆるヒヤリとしたとか、寸前で止まったというようなものをどんどん報告して、そして再発防止策を作っていこうという活動があるのです。そういう意味で、PMDAの中で過去の発生事案は分析すると。それから「潜在的なものを含めリスクを洗い出し」と書いてあるのですが、潜在的なリスクというのは、要するに分析する人がこういうものもあるのではないかという想像の範囲かなと思うのです。具体的に、紛失しそうになったとか、いろいろなことが起こりそうになったときに、報告して吸い上げるような仕組みというのが今現在PMDAの中で機能しているのでしょうか。

○真野主査
 お願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 機能していると思います。というか、オーバーワークぐらい機能しているかなと。私は病院から来ましたので、最初にPMDAに来てリスク管理委員会とかに出させていただいて、すごく細かいことを皆さん気にして、きちんと報告がされておりました。今でもされていると思います。ただ、リスク管理委員会で見ておりますと、問題点は担当部署の部長さんとか課長さんとかが来て、まず謝るところから始まるのです。私が悪かったです、この人が悪かったです、ごめんなさいと言って、それを経営側がなぜこのようなことになったのだと追求するような会で、私が病院でリスク管理をやっていた頃は、個人の責任とか部署の責任ではなくて、組織全体がそういうところを放置したのが一番の問題だということで議論が始まるというのでヒヤリハットが始まるところもありますので、そういう体制に変えようということで、例えばこの1年ぐらいの間にリスクが頻発している部署はどこなのだろうと。そういうのをちゃんとウォッチしておいて、出てきた所がどういう対応をしているのか、あるいはなぜそういう事例が起きているかということを俯瞰的に分析するという体制に今は変えていただきました。
 ですから、先生がおっしゃるとおりでいろいろな懸念があるのですが、報告はPMDAの職員は非常に真面目なので、細かいところもすぐ出てきます。最近は私にまず報告というので、土、日であってもメールがパッと来て、こういうことが発生したというような報告が来ておりますので、その辺のキャッチのところは余り心配ないかなと思います。

○真野主査
 ありがとうございました。御意見はこれぐらいということで。それでは、法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況を踏まえて、今後の法人の業務運営等にコメントを頂ければと思います。先ほどから話題に出ている例の退職金うんぬんの件も、当初御予定はなかったかもしれませんが、もし何か付け加えていただけることがあれば、是非、お願いします。最初に監事のほうからお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構監事
 監事の矢野と申します。よろしくお願いします。本日、寺林監事が体調不良になりましたので、私からコメントさせていただきます。
 まず、監事監査ですが、期中においては、理事会をはじめ、重要な会議に参加し、稟議書等の主要な書類も調査いたしました。また、今年5月、6月には、部室長、理事長、理事、執行役員の方々全員にヒアリングをして状況を確認しました。
 監査の結果といたしまして、PMDAの業務は、理事長のリーダーシップのもと、法令等に従い適正に実施され、第4期の中期目標の着実な達成に向けて、効果的かつ効率的に実施されているものと認められます。また、内部統制につきましても、理事長の職務執行について、指摘すべき重要な事項は認められませんでした。また、役員の食味執行に関する不正行為も、重大な事実は認められておりません。財務諸表や決算報告書につきましても、監査法人との面談等を含めて、適正に監査が行われていると認められます。事業報告書についても、PMDAの状況を正しく示していると認めます。以上、監査報告書の概要です。
 実際この1年間、コロナ禍の中で多種多様な変更が行われ、業務負荷の先が見えないような中で、皆さんテレワークに対応する等の、臨時に発生するようなことにも対応されてきていると思います。その中で、業務の目標について、少し甘いというような御意見も先ほどからあったのですが、救済の話につきましては、いろいろな方々がコメントしてくださったように、11月には元に戻ったような、リカバリーをされているという状況も確認されております。
 また、ガバナンスの点なのですが、役員の退職金についても、これも我々監事が話を聞いたときにびっくりしました。ですので、御意見はごもっともだというように拝聴しております。ただ、ガバナンスにつきましては、ほかの点もありまして、例えば理事会の意思決定機能を、今まで意思決定が少し不明確なところがあったのですが、そこを整備されて、きちんと意思決定ができるような、コミュニケーションが取れるような理事会に改革をされたりですとか、先ほどもお話が出ておりましたリスクマネジメントの件につきましても、今までは何か問題が起きたらそれに対してどうするかというような対応の仕方だったのですが、潜在的な全体のリスクのマネジメントをしていこうという形で体制を見直されたりとか、そういう改善の部分も含めて、確かに役員退職金につきましては、これは見逃せない重大な事案だというように理解をしておりますが、総合的にBかなということで、監事としては評価しているところです。
 また、今後の方向につきましても、現在、ガバナンスの変換の一環として、理事長が理事長の言葉で、部室ごとに職員を集めて、PMDA全体の方向性を説明されておられます。それらも踏まえて、役員と職員が一体となって、この第4期中期目標、更には第5期も見据えた形で進んでいくのではないかと思っている次第です。私からは以上です。

○真野主査
 ありがとうございました。では、理事長からお願いします。

○医薬品医療機器総合機構理事長
 ありがとうございます。今日はお忙しい中、暑い中、参集していただきまして、非常にいろいろな御指摘をいただきまして心に染みいっているところです。ガバナンスの話は最後にまとめてお話しますが、退職金のことを私も聞いたときには驚愕しまして、担当者に「お前、自分の退職金が1年遅れたらどう思う」と聞いたら、「それは確かにおっしゃるとおりです」と。当事者意識をまずちゃんと考えてもらわないといけないなと思いました。それは退職金の話だけではなくて、先ほど柳樂も申しましたが、ガバナンスの話に戻しますが、私が就任する前の段階で、ガバナンスはCを2期連続で頂いておりました。そういうところが多分ここの組織の一番の問題だろうなと。
私が赴任してまいりまして、個人面談を今もやっております。1,400人のうち700人までいきました。いろいろな部課長を通さない個人の声、非常勤の方の声も聞きながら、PMDAの問題点というのがだんだんと分かってまいりました。風通しの悪いというところも非常に分かってまいりました。そういう中で2年たったところで、理事会の仕組み、ガバナンスの仕組み、要するに理事や理事長がこういうふうに考えているという方向を、部室、一般職員に伝わっていくかというところの流れも非常に今のところ悪いので、それも改善していかなければいけないというところで部室毎に理事長と直接話す会もスタートしています。
 今回の退職金だけではありませんで、管理部門のシステム化の遅れ、あるいは業務の効率化の遅れというのは著しいものがあります。それに対してはプライスウォーターハウスクーパースさんに入っていただいて、管理システム全体の見直しをしていただいています。どう業務効率化をして、それをシステムの改変につなげていくか。一応、令和5年度、5期の最初の年の4月には、管理システムも全部オーバーホールして、人災が起きないような仕組みに変えるような方向でシステム投資をする予定で準備しているのですが、その見直しを今しているところです。
そういう中でも様々な弊害があって、過去は、システム化はされているけれども、そのチェックが全て人の目にたよる。例えば給与計算でも、システムで給与計算をしているのだけれども、それを更に人の目で見てエクセルのチェックをしたりとかして、エラーが起きやすいように全部構築されている。その背景にあるのはコンプライアンスを重視し過ぎてきたという過去の事例があるようです。何か事例が起きると、それに対してダブルチェック、トリプルチェックを人の目でやるというのが、これまで対応してきた大きな法則だったらしいので、その影響でシステム化が有効に機能していないところが、今回のような退職金不支給の件にも反映しているのではないかと考えております。
 いずれにしましても業務プロセスの見直しを今鋭意進めているところです。ただ、現場からはいろいろな声があります。凄く忙しいのに新たに業務プロセスを見直して効率化しようなんてできるわけないという声はたくさん頂いています。今は産みの苦しみだと私は思っていますので、あと2年半の間にそれをきちっとやって、令和5年の新管理システムの稼働のときには、それが実現できればなと考えているところです。
 河村先生がおっしゃるとおり、普通に考えたら、これだけをみられたら事案はCかもしれません。ただ、ほかのところで皆さん、このコロナ禍の中で、非常に地道に頑張っているのもまた一方で事実です。国家公務員と違ってPMDAは労働基準法のいろいろな制約を受けていて、闇雲にずっと仕事をするわけにはいかないというのがあります。例えばワクチンの審査のときも、私は年末、陣中見舞いに行きましたけれども、ずっと働いているのですね。ワクチンの審査をしているのです。一歩間違えれば労働基準監督局から何か言われるかもしれませんけれども、私ども国民の付託に答えるためには、そういう作業をしないといけないというところもあり、そういう多くの職員が真面目にやっている中で、管理部門もそうなのですが、この事案は確かに非常に重い事例ではありますが、これでCを付けると、それを見られた職員の方々の心の傷もまた深くなるだろうなと思いまして、私としてこちらから出すときには、コロナ禍でも頑張ってくれたということを評価したいと思って、CではなくてBと出しているというところです。
 システム化についてもお話しましたし、ほかに今お答えさせていただかなかったところですが、河村先生から今後の評価の基準をどのように変更していくのかというところは、確かに新薬の審査でSをずっと取り続けるのは違和感がありますので、これは第5期の中期計画を立てるときには、もう少し厳しいものにしなければならないと。私が今考えているのは、外形的なタイムクロックよりも、むしろ業務の質です。どういう内容の審査をするとか、先ほど梅里先生が指摘された、救済のところでちゃんと救われているのか。これは実際に今、運用改善検討委員会で、医科歯科大の元病院長の宮坂先生を委員長にして、日本の救済業務は正常に機能しているのか、救われていない人はいないのかということを検討する委員会も立ち上げて、それを見直しているところです。様々なところで、今後、PMDAの業務改善を進めているところです。
 そういう中で、今年の4月に2年間の経過を踏まえて、私が過去2年間に見てきたことを踏まえて、中期計画では書き込まれていないような大きな方向性を、私ども経営人、理事と理事長で、どういう方向性を目指したらいいかということの方向性を示す文書を作りました。この7月に最終的に文書が皆さん方に見えることになって、先ほど監事がお話した、「マジキラ会」というのですが、真面目に気楽に話す会というのを、各部室単位で設けまして、大体1時間から1時間半、私ども経営人が考えている方向性を話しながら、重点的な目標を書いた文書の周知と、疑問にお答えするという会をやっております。その中で柱にしているのは人財とデジタルトランスフォーメーションです。人事は先ほど石井先生もおっしゃっていましたが、PMDAの人員体制を見ていただくと、特に審査部門についてはずっとフラットです。これはなぜかというと、大体10年選手の人たちは、PMDAで疲れて、大体10年たつと辞めていくのです。新卒をいくら入れても辞めていく人の間をなかなか埋められなくて、増えてこない。特に審査とか安全や救済では非常にスキルが必要になりますので、そういう方たちが辞めていくというところが最近の大きな問題なので、やはり人財の採用・育成・定着、をどうやっていくかというのを柱の一つとして、抜本的に改善を進めているところです。
 それから、デジタルトランスフォーメーションの必要性はもう明らかで、私はコロナ禍が起きたときに、「サイエンス」のペーパーでハーバードのグループが2、3年は絶対収まらないと書いていたので、間違いなく2022年までは続くなと思ったので、それに対しての体制整備、特にテレワーク体制強化を中心に開始いたしました。現在、それを進めているところで、先ほど河村先生もおっしゃっていましたが、ほとんどの方が家で仕事ができるように、テレワークできるような体制を考えて、いろいろな準備をしているところです。来年の秋にはいろいろなことができるようになると思います。この秋から冬にかけては、個人の内線電話を全部お家でビジネス携帯で取れるようになりますし、VPNを使ってクラウドで全ての仕事ができるような体制、パソコンも全部オーバーホールして準備するのが来年の11月ぐらいです。テレワークの中で普通の環境でできるような整備を今準備しているところです。もっと将来的にはフリーアドレスになって、PMDAのような職場の面積も10%ぐらいは減らせるのではないかと考えていますが、そういう体制もデジタルトランスフォーメーションとしてやっていくということで心しておりますので、残りの2年半、4期の2年半の間の私どもの変貌を、3期の終わりのガバナンスC評価がどのように改善していったかということを、是非、注視していただければと思います。以上です。

○真野主査
 構成員からの質問に丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。どうですか、何かありますか。

○梅里構成員
 申し訳ございません。時間が過ぎているのですが、PMDAではなくて、厚労省の担当部局に1つだけお願いをしたいのです。昨年も申し上げたのですが、薬の安全性や効果の分析に、データが非常に重要になってくると思います。今、PMDAもいろいろなデータを集めて分析をしているのですが、御存じのように、病院ではDPCのデータが厚生行政に非常に有効に活用されていると思います。DPCのデータの一番の弱点は、いろいろな患者さんに提供した医療行為は細かく入っているのですが、どの時点でどういう病態の患者さんにどういう薬をどれだけ投与したか、そういう情報はあるのですけれども、その結果どうなったのかというのがないのですよね。それがあると薬の分析はものすごく進むというように思われます。そういう意味で、昨年申し上げましたが、データ加算の中に検査結果のファイルを加える。今は入院データと外来データまでなのですが、そこに検査結果というものをデータ提出加算に加えるということを、是非、担当部局のほうで検討していただければと思います。厚労省の中では、いろいろな部局から診療報酬改定に関する要望が出せる仕組みがありますので、その中に載せることを検討していただければということをお願いしたいと思います。

○真野主査
 ありがとうございました。それでは、いろいろ御意見はあるかと思いますが、ある意味、あと最初に話題に出たように、本質業務、特に今回コロナということに対しての対応に関しては、非常に充実した形でやっていただいているのかなと思っております。あと、インセンティブの話も事務のほうから出ると思いますが、そんな話もありますので、ちょっと厳しい意見が出たかもしれませんが、コロナ対応も含めて、是非、今後もよろしくお願いいたします。ということで、オンラインの方々からもすでに質問を頂いておりますので、以上で本日の議事を終了したいと思います。最後に事務局のほうから、追加をお願いいたします。

○事務局
 事務局です。今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました令和2年度業務実績評価につきましては、この後、本WGにおける御意見等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。
 なお、評価に関しては、昨日説明しましたとおり、法人へのインセンティブとして試行的に、評定には影響しないものの、法人の今後の運営の参考となる御指摘について取りまとめたいと思います。事務局からは以上です。

○真野主査
 ありがとうございました。それでは、医薬品医療機器総合機構に関する意見聴取は終わりとしたいと思います。
 15分間休憩で、15時25分からとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(了)