2021年8月5日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第24回) 議事録

日時

令和3年8月5日(木)10:01~11:31

場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)

出席者

真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、石渡構成員、梅里構成員、河村構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

議事

 

○事務局
 それでは定刻となりましたので、まだ入室、オンラインで参加されていない先生もいらっしゃいますが、始めさせていただきたいと思います。ただいまから、第24回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGを開催いたします。私、事務局の政策立案・評価担当参事官室の戸高でございます。よろしくお願いいたします。構成員の皆様におかれましてはお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
 まず、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、石井構成員、石渡構成員、梅里構成員、河村構成員、松原構成員、三田構成員、真野主査がオンラインによる御参加でございます。名里構成員については、御欠席と伺っております。石渡構成員、松原構成員については、まだ入室されておりませんが、入室され次第、会議に参加していただきたいと思います。それでは参事官の生田より、御挨拶を申し上げます。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 おはようございます。参事官の生田でございます。本日はお忙しい中、お集まりをいただきまして、ありがとうございます。また急遽、オンラインのほうに切り替える方々がかなりいらっしゃるということで、できるだけ円滑な進行に努めたいと思います。本日はどうぞ、よろしくお願いいたします。

○事務局
 続きまして、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。なお、オンライン参加の方には、事前に送付してございます。
 本日は、議題として、厚生労働省における独立行政法人評価の見直しについて及び国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の令和2年度業務実績評価に係る意見聴取を行うこととなっております。この後の進行は、当WGの主査である真野先生にお願いしたいと思いますが、御議論の中で発言がある場合、オンライン参加の先生につきましては、チャットで発言がある旨をお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。それでは真野先生、よろしくお願いいたします。

○真野主査
 よろしくお願いします。それでは、私はいちいちチャットだとか手を挙げたりせずに進めさせていただきたいと思いますが、早速、議事に入りたいと思います。最初は、厚生労働省の独立行政法人評価の見直しという、全体の話ですけれども、これについて事務局から説明をお願いいたします。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。まず1ページ目なのですが、こちらは現在の評価のやり方について書かれたものになります。確認的になりますが、ポイントは真ん中の所になります。Bが標準であるということであります。定量的な指標があるものについては、100%以上120%未満、これがBに該当いたします。120%以上がAと。これに加えて、さらに質的に顕著な成果があった場合にSということになりますので、Sというのは、そんなに簡単に取れるものではないということ。また、Bは初期の目標を達成しているという状態になります。先ほど申し上げましたように、100%でもBという形になりますので、逆に言うとBだから法人がちゃんとやっていないということにはならないということであります。こうしたことも念頭に置きながら、御議論いただければと思います。
 2ページ目をお願いします。私は昨年の夏に着任をして、ワンサイクル評価をやってきたのですが、その中で改善したほうがいいのかというところも出てきましたので、今、御説明したBが標準というところも踏まえながら、より適正な評価を行うために、今回、見直しを行っております。
 1つは目標策定のところになります。これは厚労省の中の問題でもありますが、現在では目標を作るときに評価部局が関与する仕組みになっていない。これは、法人所管部局ではなくて、我々、政策統括官という部署になりますが、我々が目標設定に関与する仕組みになっていないということがございます。結果として、研修回数ですとか、雑誌の発行回数ですとか、単に実施をすれば終わりというような目標ですとか、あるいは、連続して150%、200%といったような非常に高い達成率になっているもの、こうしたものが見受けられるということがございます。したがいまして、法人所管部局だけで目標を作るのではなくて、我々もきちんとチェックをする仕組みにするということでございます。また、目標設定に関する共通のルールを作ることにいたします。
 2つ目は評価の場面です。評価につきましては、せっかくこうした有識者会議というものを開いても、資料あるいは説明が法人の業務内容が中心になってしまうということも多くありまして、どうしてその評価になるのかという議論になかなかならないということがございます。したがいまして、資料につきましては評価のポイントが分かるような様式に改めるということで、会議では評価の妥当性について重点的に御議論いただきたいと考えております。今回は、見直し後の様式に沿いまして、評価の要約の資料を作成いただいております。これに基づきまして、御議論いただきたいと思います。
 3ページ目です。これが、先ほど触れました目標策定についてのルールを定めたものになります。1番目が、定量的な目標について、1つの目標に対して3個から5個程度を目安に設定をしましょうということ。それから、定量的指標については、事業の実施頻度、単に雑誌を何回発行するとか研修を何回開催するとか、そういったことではなくて、研修対象者数ですとか満足度、こうした目標はとても良い目標だというわけではないのですが、より成果に関連するような目標にしていただくということ。それから、平均してずっと120%以上の達成度になっているような場合には、目標の見直しを検討しましょうということ。それから、重要度高というものを付すことができますが、これは全体の半数以下とすること。こうしたことについて定めております。
 次のページです。これが新しい様式になります。目標の内容、それから指標の達成状況について、見てすぐ分かるようにきちんと書いていただく。また、要因分析という欄が下のほうにあります。達成率が120%以上、あるいは80%未満、こうした場合には何がその要因と考えられるのかということについても書いていただきます。次のページになりますが、評定の根拠につきまして、どうしてその評価になるのかというところをしっかり書き込んでいただくと。会議の中では、こうした辺りを中心に御議論いただければというように思います。
 最後は7ページなのですが、ここは今回、評価の見直しに併せて試行的にやってみようということで考えたものであります。評価の適正化を図るということは、もちろん重要なのですが、評価のための評価というか、そういう形になってしまってもいけない、法人により頑張ってもらえるような評価をするということも重要でしょうというように考えまして、評定そのものには直結はしないけれども、こういうところは頑張ったとか、評価できる取組ですねとか、今後の法人運営の参考になるような、法人にとってやる気、インセンティブを与えるような前向きなコメントがあった場合に、それについて正式な評価と併せてきちんと伝えようということで、こうした形にまとめて主査にも御確認いただいた上で、法人に渡すということを考えております。説明は以上です。

○真野主査
 ありがとうございました。今の評価の方法が変わるというところについて、何か御質問などがある方はおられますか。大丈夫でしょうか。大丈夫そうですね。それでは、議論の途中でお話が出る場合もあると思いますが、評価変更についての説明は以上で、いよいよ本題の、のぞみの園の令和2年度の業務実績評価に入りたいと思います。これはいつもどおりですが、最初に法人から法人の業務内要及び自己評価について御説明いただいて、この2つが終わってから質疑応答という形でしていきたいと思います。最初に、法人から業務概要及び自己評価についてお願いいたします。20分くらいでお願いできますか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園総務企画局長
 それでは、本日説明させていただきます国立のぞみの園の総務企画局長の齊藤と申します。よろしくお願いいたします。声はちゃんと聞こえていますか。

○真野主査
 大丈夫です。聞こえています。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園総務企画局長
 続けさせていただきます。まずは、本日、オンラインでの対応になりました経緯について御説明させていただきます。のぞみの園は群馬県高崎市に所在していまして、高齢化した重度の知的障害者が多く入所する施設です。昨日、8月4日に、群馬県独自の警戒レベルが最高の警戒度4に引き上げられました。また、まん延防止等重点措置についてもその適用を協議中ということもありまして、急遽、本日の説明をオンラインに変更させていただきました。群馬県の感染レベルについては、後ほど補足資料で説明させていただきますが、当法人の事情について御配慮いただきまして誠にありがとうございました。
 評価書の自立支援のための取組の冒頭にも記載させていただいていますが、利用者が感染した場合は、重度化してしまうリスクが非常に高いことや、一旦感染してしまった場合は、利用者の特性上マスクを付けることが困難な者も多いなど、集団感染が避けられないことから、感染防止が最大の課題です。そのため、利用者の居室等、利用する場所の消毒や換気、環境設備等にも最大限考慮しつつ、利用者との接触が業務上避けられない職員に対しても、外部からウイルスを絶対に持ち込まないという細心の注意を払い、検温や手洗い、独自のPCR検査等、徹底した感染防止対策を講じつつ、利用者の支援を継続し続けたことにより、利用者、職員ともに2年度の感染者の発生は0件でした。
 それでは、資料3-1、令和2年度業務実績評価説明資料に基づいて、説明させていただきます。1ページを御覧ください。のぞみの園の事業体系図です。のぞみの園は、自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、調査、研究を行っているところです。1-1から1-4までについては、本体業務です。1-5のその他業務については、附帯業務ということになっています。
 1-1については、4つほど項目があります。1番、2番については、旧コロニーからの高齢の利用者に対する取組です。3番、4番については、2年から3年の有期限の者に対するモデル的支援の取組となっております。
 続いて、2ページ目を御覧ください。基本情報をまとめたものになっています。平均年齢は62歳、最高年齢が96歳という状況です。平均入所期間については、37.6年。障害支援区分については、平均5.8という状況です。2.の平均年齢については、有期を除いた平均年齢は68.6歳ということになっています。その下の表です。①入所利用者、②③の有期限の方を除く者ですが、60代、70代の高齢者が多いです。それから、70代の中には80歳以上が16人含まれている。②矯正施設退所者、③行動障害の方については、30代以下が中心ということになっています。全体的には、60代以上の方が7割以上ということになっています。3.の平均入所期間については、有期限の方を除くと44.7年という長期に及んでいる状況です。全体で、入所期間30年以上の方は7割以上という状況です。
 表の右側ですが、提供しているサービスです。障害福祉サービスについては、居住支援として入所支援、それからグループホーム支援。日中活動では、生活介護、就労支援という事業が中心です。それから、地域支援では、短期入所、日中一時支援というようなことをやっています。それから、児童福祉法に基づくサービスとして、療育支援ということで、児童発達支援や放課後等デイサービスを行っています。
 3ページを御覧ください。先ほど言いました感染警戒レベルの補足資料として付けています。群馬県高崎市における感染警戒レベルの経過ということで、令和2年度の警戒レベルの状況について表にさせていただいています。4月半ばから5月半ばまで緊急事態宣言が発令されて、その後、群馬県社会経済活動再開に向けたガイドラインにおける行動基準が示されまして、警戒度に応じて活動に制限が加えられることになりました。警戒度1では特に制限はありませんが、警戒度2では、リスクが高い場所への外出は十分注意してということ、感染拡大している都道府県への移動は自粛、直接面会は十分注意し、オンライン面会を推奨するということになっています。警戒度3では面会を禁止、警戒度4では不要不急の外出自粛、それから感染拡大している都道府県との往来を極力控えるということになっています。
 のぞみの園の利用者支援は、人と人との接触が避けられない支援でして、特に制限のない警戒度1の期間は6月から8月の僅か2か月間のみでした。運営に及ぼす影響は大きなものとなっている状況です。
 それでは、4ページを御覧ください。評価項目№1-1、自立支援のための取組です。自己評価はBとさせていただいています。困難度は高、それから重要度も高ということです。中期目標の内容については、大きく①②とありまして、地域移行・高齢者支援と有期限入所支援と分けさせていただいています。
 ①の最初のポツですが、施設入所利用者数を3期の末から今期末までを比較して、14%削減するということで、5年間の目標として定められています。
 ②の最初のポツですが、著しい行動障害を有する者については、第4期の期間中の5年間の受入れを78人まで拡充する。それから3つ目のポツですが、矯正施設を退所した知的障害者についても、第4期の期間中に受入れを35人まで拡充する。主にそういった内容になっています。
 5ページ目を御覧ください。指標の達成状況です。指標の達成状況については、大変厳しい状況になっています。コロナの影響や地域移行が難しい方々を支援しているというような状況があり、厳しい状況から少し低い達成度になっているということです。2番目の地域移行推進については、目標の毎年度5人以上について、実績が2人の40%ということになっています。その次の地域生活体験については、200日のところ136日の68%。1つ飛ばして、高齢の施設入所者に対する専門性の高い支援については、研修会の開催ですが、12回以上というところが8回ということになっています。これについては枠外に注釈がありますが、警戒レベルに応じて事業への影響があり、なかなか事業が進まなかったということもありまして、その影響分を対象期間から除外した場合の達成度を記載させていただいております。
 6ページを御覧ください。要因分析です。実績が120%以上又は80%未満についての記載です。地域移行の推進については、今、説明したとおり達成度40%ということです。加齢による機能低下、それから重度化が進みまして、そのためその保護者も高齢化が進んでいて、同意を得ることがなかなか難しい状況にあるということで、難度が高いということです。このことに加えまして、従来、保護者会でグループホームでの暮らしや出身自治体の受入れ先の状況等を丁寧に説明して、地域移行の理解を求めてきたところですが、コロナの関係により保護者懇談会が開催できず、また、直接相対する面会等も自粛を依頼したというような状況もありまして、保護者の理解を得る機会がなかなか持てなかったということもありまして、このような結果になっているということです。
 2つ目の地域生活体験ですが、これについては、警戒レベルが3以上となってきた期間について対象期間から除外するということにさせていただいています。次の保護者懇談会についても、ウイルスの関係で開催を取りやめたということで、評価対象から除外させていただいています。一番下です。高齢知的障害者支援の職員研修会の開催です。これについては、救急救命講習会等の中で、AEDや誤嚥の対応など、接触度が高い研修を控えざるを得なかったということと併せて、警戒レベル4になっていた期間については評価対象から除外するというような整理をさせていただいています。
 7ページを御覧ください。著しい行動障害等を有する者の受入れ人数です。これは第4期中の5年間の目標が78人ということですが、令和2年度の目標18人に対して実績が11人となっています。これについては、昨年よりも受入れ人数は多いのですが、目標にはなかなか届かなかったということです。他者に対する暴力行為、それから器物破損行為、自傷行為など、著しい行動障害がある利用者について、目標人数を受け入れるまでに体制、具体的には住環境の整備が十分に整えられなかったというようなことです。このことに加えまして、コロナの関係で他県との往来がなかなか難しいということで、本人面接や保護者・事業所等の訪問による生活状況等の確認が十分に行えなかったということの影響が大きいということです。下から2行目になりますが、これまでの受入れによって現行体制での問題が明確になってきたということで、既存寮の改修を行い、受入れ環境の改善を並行して進めていくということにしています。
 矯正施設を退所した知的障害者の受入れ人数については、入所依頼について増えていますけれども、窃盗、傷害、放火、性加害行為等、多岐にわたっていまして、発達障害や精神障害の併存、愛着障害など個人内因子の影響が大きく、個別対応のケースが増えてきています。このことに加えまして、コロナの影響で、上の表と同様ですが、他県との往来が困難ということで、本人面接や保護者・事業所等の訪問による生活状況の確認が十分行えなかったというような状況でした。
 8ページを御覧ください。評定の根拠です。コロナによるものですが、群馬県独自の警戒度の発令によりまして、人と人との接触を前提に目標に対する実績ですが、これもなかなか困難であったということと、そうした中においても、保護者懇談会はできなかったのですが、保護者に対するアンケートの実施、コロナ対応のガウンテクニック研修会を実施するなど、指標にはカウントされていませんが、目標を達成するための新たな取組を実施しています。また、地域移行の取組についてのパンフレットを作成し配布するなども支度しているところです。
 9ページを御覧ください。地域移行の取組については、説明した内容ですが、2.です。利用者の状況については、加齢による機能低下・重度化が進んでいるということがあります。右側に利用者の状況がありますが、日常的に医療的ケアが必要な者、それから車いすを使用している者、認知症や経管栄養など、なかなか支援が困難な方が増えてきているということで、保護者の高齢化もありまして、一番大きな理由は、保護者の高齢化により同意を取ることが難しいということです。利用者については平均年齢が70歳近い、そういった利用者がおりまして、親も高齢化して90代になっているということで、保護者も代替りしていまして、甥や姪、それから兄弟などが保護者となっていまして、そこで同意を得るのはなかなか難しい状況であるということです。
 10ページを御覧ください。地域移行への取組の結果です。真ん中辺りですが、地域移行した2人の状況について掲載しています。内容は省略しますが、のぞみの園のグループホームで宿泊体験ができたことが、地域移行というかグループホームに移行できた大きな要因ですし、それに加えまして保護者の理解を得られたということが大きな要因となっています。
 12ページを御覧ください。著しい行動障害等を有する者の受入れ及び地域移行状況です。真ん中辺の3番目です。地域移行者となっていますが、地域移行者等ということで、退所等も含めて7人の移行の状況を記載しています。②の器物破損行為や他害行為を頻繁し医療保護入院となっていた方については、のぞみの園で日中活動を中心にリズムを整えながら環境調整を行うことで改善して障害者支援施設に移行したと、そういうケースがあります。③は、精神興奮や衝動的行為等の理由により精神科入院を繰り返していた利用者ですが、施設再入所へつなげるための専門的な視点からのアセスメント、それから行動障害軽減を目的とした支援構築を行いまして、障害者支援施設へ移行ができたと。これらが主な内容です。
 13ページです。13ページの中段の3.は、「地域移行者」となっていますが、これは「地域移行者等」ということにさせていただきたいと思います。これは退所者も含む事例ということです。②については、地域移行というよりも、精神科病院への入退院を繰り返してなかなか退院が見込めないということで、利用契約を解除したというケースです。こういたケースが含まれています。
 14ページを御覧ください。評価項目№1-2、調査・研究です。評価をAとさせていただいています。重要度は高となっています。中期目標の内容ですが、研究会議の開催、それから外部研究者と協働したテーマの件数、それからホームページのアクセス数や学会での発表回数。これらがⅠの内容になっています。
 達成状況です。研究会議については、毎年2回以上ということで達成度100%、それ以外は100%以上の達成度になっています。15ページを御覧ください。要因分析です。外部研究者と協働した研究のテーマ数については、2行目になりますが、職員が外部の分担研究者・協力者として多く参加してきており、外部研究者との信頼関係が構築されているということで、協力を得られて高い実績を上げています。ホームページアクセス数については、ホームページを閲覧すれば研究情報が得られるというような周知をさせていただいています。更に高い指標の設定については、目標の変更を検討させていただいています。学会等への発表回数については、各種学会だけではなく、その他国立機関や障害福祉関係団体の研修会の講演等でも発表していまして、かなり高い目標も設定していて、法人として努力していることで高い実績を上げている、よって変更はしないということです。
 18ページを御覧ください。評価項目№1-3、養成・研修です。自己評価についてはBです。中期目標の内容については、セミナーの開催件数、参加者の満足度、実習生の受入れとボランティアの受入れの人数が目標となっています。
 達成状況ですが、研修会・セミナーの開催については、13回で130%です。参加者の満足度については、81%の達成度。実習生の受入れ、それからボランティア等の受入れについては、このコロナ禍においてキャンセル等もあり、達成度が低い状況があります。19ページを御覧ください。要因の分析です。研修会・セミナーの開催件数については、中段にあります。従来のような集合型研修では実施できない状況を抱えながらですが、動画配信、それからWEBによるライブ開催といった様々な手法を検討して、速やかに導入を図ったことによって、昨年度を上回る回数の開催ができたというところです。実習生の人数については、警戒レベルが2以上となっていた期間が10か月ありまして、評価対象から除外をさせていただいています。ボランティアの人数についても同様で、警戒レベルが2以上となっていた10か月については対象から除外するということにさせていただいています。ボランティアについては、昔から来られている方に頼ってきたということもあり、その方たちが高齢化してきているということで、なかなかボランティアの人数が集まらないという状況もありますが、今後については企業ボランティアの活用など、違うルートでの開発も必要ではないかということで検討したいと思います。
 20ページを御覧ください。評定の根拠です。これについては、実習生、ボランティアの受入れについては、コロナによる影響がありまして、人が集まることを前提にした指標をして実績を上げることは難しい状況ということと、外部から人を入れることに注意してきたというような中ではありますが、そのような中でも研修会・セミナーの開催については、オンラインによる研修をいち早く導入して目標を上回る実績が残せたということで、B評価とさせていただいています。
 21ページを御覧ください。研修の内容です。1~13までありますが、ネットとWEBによるオンラインの活用に切り替えたということです。参加人数も昨年の5倍ぐらいになっています。満足度についても、「やや満足」を入れますと100%近い実績を残せましたし、昨年を上回る実績となっています。ちなみに、昨年は「やや満足」を入れると93.5%の人が81%ということで、それで大きく満足度が上昇していると思います。
 22ページを御覧ください。評価項目№1-4、援助・助言です。自己評価はBとさせていただいています。重要度が高。中期目標の内容ですが、援助・助言の研修、それから講師派遣の件数目標です。
 達成状況ですが、援助・助言については105%、講師派遣については84%ということです。コロナによって、なかなか出向いて講演を実施するというのが難しい状況の中ですが、約半分ぐらいはWEBでの開催を行いまして、ある程度の実績が伸ばせたというところです。
 23ページを御覧ください。評定の根拠です。評定につきまして、コロナの影響で実績は昨年より大きく減少していますが、今、説明したとおり、講師派遣についてはオンラインによる派遣をPRした結果、一定の成績が得られたということです。
 25ページを御覧ください。評価項目№1-5、その他の業務です。これは附帯業務関係です。中期目標の内容ですが、診療所の外来の人数、それから通所、地域支援の短期入所や日中一時支援での目標です。
 達成状況ですが、これについても人と接触する業務ということで、なかなか達成度については厳しい数字になっていますが、警戒レベルの影響があった期間を控除した場合には注1から注4までにある達成度になっています。26ページを御覧ください。要因分析です。診療所外来の延べ人数については、コロナの感染防止対策等を行いまして、外部との接触回避、移動する度の消毒などを徹底した結果、入所者の風邪やインフルエンザなどによる受診が大きく減少したということです。それから、警戒レベル3以上になっていた期間について、対象期間から控除するとさせていただいています。短期入所、日中一時支援は両方とも内容は同じですが、受入れを予定していた利用者が利用を控えたということもありますし、警戒レベル3以上となっていた期間について、対象期間から除外するということに意味を持っていると思います。これについては、目標変更は今回はしませんが、次期中期目標期間については検討するとしています。
 続いて27ページを御覧ください。評定の根拠の理由であります。これは群馬県独自の警戒度の発令によって、人と人との接触を前提とした指標において実施については困難であったこと。こうした中においても、外来診療では特に精神科において電話での再診、診察を導入するなど、目標は達成できなかったものの一定程度の実績を上げたと判断しています。
 28ページを御覧ください。業務運営の効率化に関する事項です。自己評価はBとしています。中期目標内容は、経費は初年度に比べて令和4年度末までの5年間で10%以上節減する。それから、常勤職員数については、前年度末と今期末を比較して8%縮減するとしています。
 達成状況ですが、経費の節減については235%、常勤職員の削減については、これは最終年度までの目標ですが、今期については4.1%、そのほかについては100%を超えている状況です。29ページを御覧ください。要因分析です。経費の節減については、寮の改修等必要経費のために節減努力をしている、加えて工事の入札の不調、それから計画の遅れ等により未執行となったことによって、大きく節減ができている状況です。常勤職員の削減については、最終年度までの目標値に対する実績値を達成度としているので、計画途中の年度で達成が低めに出ている。ちなみに、定年退職の不補充等により、昨年については進めているところです。
 30ページを御覧ください。評価項目№3-1、財務内容の改善です。自己評価はBとさせていただいています。自己収入率を毎年度50%以上ということで、目標は達成できている状況です。
 31ページを御覧ください。自己収入については、障害福祉サービスにおける収入とその他収入ということで、主なところは診療収入になっています。
 続いて32ページを御覧ください。評価項目№4-1、その他業務運営です。自己評価はBとさせていただいています。目標内容は、内部統制、それから情報セキュリティ対策の強化、第三者評価となっています。32ページの下の表については、おおむね100%近い達成度です。33ページです。上から2つ目の感染症対策委員会の開催については、毎年度2回以上が12回の600%、情報セキュリティについては毎年度1回以上が3回の300%、それから運営懇談会については毎年度1回以上が3回の300%。
 要因分析ですが、2つ目の感染症対策委員会については、コロナウイルスの感染状況に応じまして、その都度、感染予防や感染した際の対応について検討したために、回数が増えています。下の運営懇談会の開催については、元年度の2回目は年度末に開催する予定だったのですが、コロナウイルスの関係で地方開催しかできず、2年度の当初、4月に書面により開催したことによって、元年度が年1回、2年度が3回になったというような状況です。駆け足ですが、説明は以上です。

○真野主査
 御意見、御質問を伺います。今、説明のなかった項目でも、構成員の皆様方の気になるところがあれば、お受けいたします。どうでしょうか。

○五十嵐構成員
 コロナの影響の全体的な考え方なのですが、コロナの影響で達成できなかったというのは仕方がないと言うか、評価そのものから除外するというのはよろしいのですかね。特に、26ページの「その他の業務」の所で、警戒レベル3以上のものは評価の対象から除外して評価したら目標達成はできたので評価はBですというのは、納得感はないような気がします。もし警戒レベル3以上が1年間全部続いていたら、1回もやらなくても評価はBなのですかという話になってしまうと思うので、これは全体に関わる考え方だと思うのですが、その辺は議論していただいたほうがいいのではないかと思います。

○真野主査
 どうしましょうか。厚労省のほうから私も同じようなことを聞いたと思うのですが、最初にコロナの関係の話は説明していただいたほうがいいですかね。評価の考え方の3つともつながると思いますので。厚労省から伺った上で、のぞみの園に聞きましょうか。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 コロナについて、その影響をどのように評価するのかというのは、ほかの法人でも非常に難しい問題は生じております。ただ、考え方として、コロナがあったので、それは当初想定していなかった外的要因として、活動が制限されたということで、そこを除いて考えましょうと。そういうこと自体は可能なのですが、それをどこまでやるのかということについては、これはいろいろな考え方があると思いますし、それが妥当なのかどうかというところの吟味も必要だと思うのです。なので、そこについては、正に御議論いただくところでもあるのかなというように思います。

○真野主査
 それを受けて、のぞみの園から御説明を頂けますか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 理事の寺澤でございます。コロナの関係について御説明させていただきます。冒頭に総務企画局長からも話がありましたが、私どもの施設というのは、高齢で、平均は70歳を超えている施設であり、かなり基礎疾患を持っている方がいらっしゃいます。そういう意味で、コロナウイルスが園内に入ってきますと、お亡くなりになるということもありますし、かなり大きな影響を受けることが想定されるということになります。
 特に令和2年度については、御承知のように、コロナ感染が全国的に広まりまして、その一方で、コロナ自体の正体と言うか、どのぐらいコロナの感染力があって、どういう場面で感染が広がるのかとか、そういったところがまだはっきりしない中で、私どもは施設に入所されている方を守らなければいけないという状況があったということです。そういう意味で、私どもの取組といたしますと、職員としては持ち込まないようなことをしなければいけませんし、外からも人の利用を制限させていただいて、持ち込ませないような対応をさせていただくことが必要だったと思っています。
 そういう意味で、令和2年度は、特にコロナ自体の影響力というのもはっきりしていませんでしたので、私どもとしては、リスク管理の観点から、やりすぎではないかと言われるぐらいの考え方でやっていかないと利用者を守れなかったということもあって、結果としてこういう実績になっているということでありますし、私どもは、この時点ではやむを得ないこと、命に関わることということでしたので、致し方ないことと思っております。
 先ほど五十嵐構成員から、26ページの診療所の関係とか、数字の関係のお話がありましたが、いずれにしても、これは外から利用される方ということもありますので、それが中に持ち込まれているという状況になると、かなり園内も厳しい状況になります。診療所で外来を受ける方とか、短期入所で利用される方とか、一時支援で利用される方というのは、やりすぎと言われてもやらないと、いつ入ってくるか分からないという状況もありますので、制限させていただいたということです。
 私どもの特徴とすると、利用者支援という業務を行っていますし、人と人との接触を避けられない業務ということですので、ほかの法人と比較しても、かなりそこは非常にデリケートな問題であったと思っています。

○真野主査
 河村先生も多分、関連だと思いますが、取りあえず五十嵐先生、今の説明でよろしいですか。

○五十嵐構成員
 法人がそういう対応を取られたということを非難するわけではないのですが、あくまでも目標を達成できたかという観点で考えますと、自立支援のための取組についてという辺りは理解できるのですが、その他の業務の目標自体が、これは診療所であれば診療所で、それなりの成果をきちんと上げるということで目標を立てているので、そこにそういう事情があったから、業績の目標は計画どおりにBで達成できたとするのは、非常に納得感がないと思います。Cであったからとか、Dであったから、全て法人が悪いのだということでないと思いますが、ただ、この目標に関して目標が達成できたという評価になるのは、納得感がないと思います。

○真野主査
 河村先生も関連だと思いますので、お願いします。

○河村構成員
 今の点についていろいろな考え方があると思うのですが、恐らく、今回のコロナの件で定量的な指標に影響が出るというのは、のぞみさんもそうですし、厚労省の所管のほかの法人でもいろいろあるでしょうし、それこそ、ほかの府省でも山のようにそういう事例が出てくると思うのです。それについては、政府全体としての統一的な対応を、総務省が考え方として指針を示すと思いますので、それは政策評価官室からお話いただいたほうがいいのではないかと思います。それは、ある程度考慮すると言うか、そういう考え方が出ていると思いますので、その考え方に従うということでいいのではないかと思います。
 今日ののぞみからの資料、御説明を伺っておりまして、直接的に立ててあった目標をそのまま適用して数字を拾うと、ものすごく低い数字になってしまうというのが出てくる。そこについては、例えば最初に御説明いただいたような、昨年度中、群馬県でどのような感染警戒レベルにあったのかというときに、警戒度が1ぐらいで済んで、通常の業務ができたような期間というのが非常に限られてはいましたが、昨年の6月から8月ぐらいにありましたよね、そこのところに絞る形でデータを取ってみると、どれぐらいになるか。それから、ものによっては代替的なことを行って、例えばオンライン開催的なことを行って、事前に設定していた指標そのものではないけれども、そういった形で、一応許された状況の中で、どういうことができたのかということを、自己評価の中で出しているのではないかと思いました。ですので、私は、今回お示しくださった各項目について、のぞみの園のほうから出された評価の立て方ということで、基本的に私はこれでいいのではないかなと思います。
 ですから、可能であれば、政策評価官室から、国全体として、令和2年度の評価についてどういう方針で臨むことになっているのかというところの御説明を頂けるといいのではないかと思います。
 ここから先は質問と意見です。基本的に、いろいろと大変な状況の中で、できることを工夫してなさっていて、いいのではないかと思いますが、今後を考えたときに、幾つか課題があるだろうと。この感染症、コロナはワクチンの接種がだんだん進んできてはいますけれども、それが進めば今年度中、令和3年度で全部この話は解決というようなことになるかは分からないですよね。変異株のこともあるし、ほかの感染症の可能性だってあるのだしということで。では、そういう目線で今後のことを考えたときに、どうすればいいのかということをお尋ねしたいと思います。
 状況として課題が2つあると思っていまして、まず、のぞみの中に入所されている方々の問題です。御説明にもありましたが、平均の年齢も上がっている、地域移行とか、できることであれば進めてということなのですが、実際に保護者の方の代替わりもあったり、お立場が変わられて、御両親だったものが甥や姪になったりと変わられている。そういう状況が1年1年、どんどん進んでいってしまう中で、今、コロナ禍だからということで、ちょっとストップというわけにはいかないお話なのだろうなということを思います。これが1つです。
 もう1つは、のぞみの園が高崎にあって、非常に困難なお仕事の全国のナショナルセンターのような役割を果たしてくださっていると。全国各地で、こういういろいろな問題、事情を抱えた方々がいらっしゃる中で、その支援に当たってくださっている方々が各都道府県にいらっしゃる中で、その支援をしていくときに、のぞみの支援というのは本当に必要だと思うのです。例えばホームページへのアクセス件数がすごく上がっていたということは、その裏返しなのではないかと思います。
 ですので、いろいろ取組を考えても、オンライン開催でやってくださったということで、本当に有り難かったのだと思います。そういう全国からの支援の必要性、ニーズというのが、コロナの状況にあるから、感染症になったからといって変わるわけでは決してないですし、では、そのことを踏まえた上で、どうこれから取り組んでいくのかというところ、それから、目標設定も、ものによっては次の中期目標期間で少し工夫して変更を検討するとお書きくださっているものもありますが、どのように考えていただけるのか。オンラインでできる話とできない話があり、やはり直接お目に掛かって、膝を突き合わせながらお話をしなければできないお仕事ももちろんたくさんあるとは思うのですが、そこをどのようにお考えになっているのかということをお尋ねしたいと思います。

○真野主査
 まず、のぞみのほうから、後半のところをお答えいただけますか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 まず、入所者のコロナ感染症下での地域移行の話だろうと思うのですが、なかなか難しくなって、更に高齢化が進んで難しくなる、コロナの中でどうするかという話を頂きました。
 まず、のぞみの園のグループホームに関してなのですが、昨年度は、「入居を希望される方はいますか」ということで、新たにアンケートなども取りました。その結果、従来の移行希望者のほかにも、「体験だけならいいですよ」という方々も出てきましたので、そういう方々については、のぞみのグループホームであれば、同じ市内にもありますし、感染に注意しながらも、地域での体験というのは十分にできますので、そういう中で体験をしていただいて、その情報を保護者の方にお知らせするということで、徐々に理解を、更に理解を深めるということも可能ではないかと思っております。
 もう1つのほうの、各地域での支援のことですが、電話や面談の形で相談は通常は受けております。現在は、講演などもWEBでしているところであります。そちらの地域で感染が拡大している時期は、なかなか直接行くことは難しいことは事実でありますが、感染の進捗状況、あるいは地域の状況に応じて、最大限の感染防止対策を講じながら臨んでいくのかなという、そこしかないのかなというように、現在は思っているところです。

○真野主査
 どうしても抽象的な話になってしまうのですが、河村先生、よろしいですか。

○河村構成員
 分かりました。オンラインでできることとできないことはもちろんあると思うのですが、違うやり方を工夫するということもあってもいいのかなという気もいたします。
 あと、最初のほうでお尋ねしたところで、政策評価官室にも質問したいのですが、よろしいでしょうか。

○真野主査
 最初に少し言われてはいましたが、もうちょっと大きな括りとして、どうするかということですね。評価官室からお願いできますか。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 先ほどちょっとお話した、外的要因があった場合に、当初想定していなかったことが起こったというときに、それを考慮するというのは一般的な考え方で、コロナに関してどうするかということがあると思うのですが、それについては、聞いたところでは、総務省の評価の部会長、そういう審議会的なものの部会長から、コロナでできたこと、あるいはコロナに対応してきちんとやったこと、あるいはコロナによってできなかったこと、そこはきちんと評価をしましょうというような発言があったやに聞いております。しかし、それを受けて、では、コロナについて具体的にどうするのかということを総務省から示してもらえば、我々ももっとやりやすいのですが、具体的にどうするのかということを示されたものはないと認識しております。そこら辺は、我々も悩みながら対応しているというところでありまして、もし、何か違うお話があるようでしたら御教示いただければと思いますが、我々としては、総務省からきっちり示されているものはないと認識しております。

○河村構成員
 ありがとうございました。私の考え方は、先ほど申し上げたとおりです。

○真野主査
 五十嵐先生から何かありますか。

○五十嵐構成員
 今のお話はよく分かるのですが、民間でコロナの影響を受けて、結局何もできなかったとか、業績が上げられなかったというものに対しては、仕方がなかったと言って全部というわけではないわけで、業務内容それぞれの評価の中に考慮するのは当然だと思うのですが、こと、こののぞみさんのことでいけば、その他の業務のところでそれを考慮して、この数字で中期目標の達成が予定どおり順調にいっていると、私だったら評価はできないなということです。これは昔と違って意見だけを言ってということですので、私はそのように考えます。

○真野主査
 では、梅里先生、どうぞ。

○梅里構成員 
 コロナでいろいろな目標が達成できないというのはやむを得ないことだと思うのですが、例えば入所者の地域移行の所に、「保護者懇談会が開催できず」と書いてあります。やはり、このままというわけにもいかないので、代わりに何ができるかということで、今、御説明がありましたように、アンケート調査を実施して、グループホームへの体験であればというように回答してくれた方が何人か出たという話があったのですが、これはやられたことなのでしょうか。それとも、これから計画していることなのでしょうか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 アンケートは実施しました。

○梅里構成員 
 そのように、保護者懇談会が開催できないというだけではなくて、代わりにそういうことをやったとか、あるいはその間、保護者の方との情報交換という意味で、定期的に入所者の状況を保護者にメールで送っているとか、郵便物を送っているとか、その状況の情報提供を行っているとか、保護者からの意見も定期的に吸い上げているとか。懇談会という形で実際に面談しなくても、いろいろなことができるということを試みられているのであれば、その実績を書いていただければ、こういう状況で、皆さんコロナの中で、来ていただいて面談することをやれというわけではないので、代わりの努力が見えれば、ある程度、今年度に限っては特例で評価をしてもよいのではないかということになると思うのですが、代わりの活動をしっかりと書かれていないように思うのです、その辺はいかがでしょうか。

○真野主査
 なるほど、代替案ということですね。のぞみさんのほうからどうですか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 御指摘いただいた点について、資料の中では不足しているということですが、評価書上は言葉足らずのところがあると思いますが、8ページの評定の根拠の中で、コロナ禍における取組ということで、理由の2段落目に1行入れさせていただいています。また、参考資料の10ページで、説明されていなかったという部分があると思いますが、一番右のほうにある「地域生活に関するアンケート」ということで、グループホーム利用の希望があれば、希望の状況について把握するような調査をさせていただいたということです。あと、そこの左のほうのフォローアップということで、既に移行された方に対して、定期的にフォローアップをしているのですが、今年は特に全員を対象にフォローアップをさせていただきました。通常ですと、移行後1年とか、5年とか、地域移行後に状況が変わった方とか、ある程度限定した形でフォローアップしているのですが、今年度はこれまで170名ほどの地域移行がされていますので、そういった全員に対して、実際に連絡が取れたのは半分ぐらいなのですが、そういうフォローアップにも力を入れさせていただいたという状況です。
 あと、保護者関係でいくと、懇談会をやれなかったということもあって、これも9ページに中途半端に資料に載せていて申し訳ないのですが、一番上のほうに、「本人及び保護者への働きかけ」ということで、内容を少し書いております。例えばニュースレターとか、地域移行ニュースのようなものとか、いろいろと文書で示させていただいたり、現状を踏まえたできる限りの努力はさせていただいたということです。資料がいろいろな所に飛んでしまって、作り方で御指摘いただいたとおり、読みづらい資料になっておりまして、大変申し訳ないのですが、状況はそのようになっております。

○真野主査
 梅里先生、よろしいですか。

○梅里構成員 
 ありがとうございます。いろいろな努力をされているので、6ページの要因分析の所に、目標値に至らなかった理由だけが書かれているのですが、そうではなくて、地域移行をするために、これだけの努力をしているのだということが。要するに、いろいろな所にばらばらに書かれているものが、そういう努力をしてここまでやっている。保護者懇談会は有効なのでしょうけれども、必ずしも、これだけやれなければ、それで一気に目標が下がってしまうというものではなくて、グループホームの体験入居などのほうが、実際に結果に結び付くようなこともあろうかと思いますので、地域移行のためにこういう努力をしたということがしっかり出ていれば良かったかなと思います。資料の書き方がばらばらだったので、皆さんが、「コロナで懇談会ができないのでは何もやっていないのではないか」という印象を持ってしまったのではないかと思いました。

○真野主査
 ほかの構成員の方はいかがですか。

○石渡構成員
 本当にコロナの1年は大変だったと思うのですが、感染者がなく、ここまで皆さん、それぞれの生活を維持できたということは、すごく大きなことです。私が東京とか神奈川の施設に関わっていますと、本当にたくさんの感染者が出て大変な思いをした、でも、そこから結構皆さんたくましく、職員の方も利用者の方も立ち上がっているということを感じていまして、のぞみはのぞみでいろいろなことがあったのだろうなと思います。
 その辺りのところは置いておいて、調査・研究部門の評価というのは、私は、コロナでまた新しい展開ができているのではないかと。昨日、強度行動障害の研修の実績などを資料としてのぞみから送っていただいたのですが、これはどこもそうなのですが、オンラインでセミナーなどをやるようになって、受講者の数が増えたというのは、いろいろなセミナーなどでもお聞きしますし、特に、のぞみの強度行動障害の研修などについては、東北とか九州とか、そういう所の受講生がすごく増えているのではないかと。これまでとの比較を確認しているわけではないのですが、本当に全国に研修を広めることができたというところは、資料を改めて頂いて実感しました。やはり、調査・研究に関しては、のぞみの園ならではの成果を、私も研究会議などに参加させていただいていて、すごく実感しますので、その発信の仕方が、コロナによって変わってきているというのはすごく感じます。動画の配信などもされているようですが、のぞみの蓄積をどう全国に広めていくか。強度行動障害の方への支援などについては、本当にのぞみに期待しているという声をたくさんお聞きしますので、むしろオンライン配信ができるようになったことを強みにして、更に成果を広げていただきたいと感じているという、希望的な意見です。

○真野主査
 確かにそうですよね。もともと独立行政法人でこういうことをやっているのだけれども、エリアの限定という話がずっと議論されていたと思うので、確かに石渡先生が言っていましたように、これをきっかけに配信を全国にやるという話、当然配信ですから全国になりますね。そういうことだと思います。松原先生、どうぞ。

○松原構成員
 構成員の何人かがおっしゃっているように、コロナという誰も想像しなかったような環境の中で、以前に設定した目標が達成できないというのは、責められるものではないと思います。
 一方で、せっかくその代わりにいろいろな代替をなさっているのですから、その点をちゃんとPRする。先ほど研究の話がありましたように、のぞみにしかできない研究、それが社会的に意義があるのだということ、それが全国でアクセスしようとされているという点を、しっかりPRするということが重要だと思います。この委員会に限らず、のぞみの園の社会的な存在意義というものを強く打ち出すということが、利用者にとっても、全国の福祉とか障害を持つ御家庭に対しても、非常に重要なことだと思いますので、よろしくお願いいたします。

○真野主査
 ほかの構成員の方はいかがでしょうか。梅里先生、お願いします。

○梅里構成員 
 著しい行動障害を有する者、いわゆる有期の入居者ですが、有期の入居者に対応するというように、役割、機能が徐々にシフトしていくのかなと認識しているのですが、行動障害の方に対して、かなり努力をして、その症状を軽減させて、何とか地域に戻っていただくような努力をされていますが、3年という目標期間の中で、退所がかなわなかった人が徐々に増えてきてしまうのではないか。これを大変懸念しておりまして、その状況がどのようなことなのか、どのぐらいいらっしゃるのかということを、まずお伺いしたいと思います。
 それから、7人の方が退所、移行できていますが、この方たちが、移行後、また症状が悪化して、戻らざるを得ないようなケースはないのかどうか。つまり、3年の有期の期間で行動障害の程度を何とか軽減して地域に戻していくという機能が、当初の狙いどおりに働いているのかどうか、その状況を伺いたいと思います。

○真野主査
 では、お願いします。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 現在、24名の方が行動障害ではいらっしゃるわけです、有期の入所利用者です。その中で、2名が3年を超えております。1人の方は、特殊な疾患をお持ちの方で、医療的ケアも必要になる方ですから、行動障害と医療的ケアを持っているものですから、なかなか受入先が見付からないと。もう一人の方は、かなり激しくて、児童の施設から年齢超過児として受入れた方なのですが、全国を探してもなかなか受入先がないというような方です。
 これまでの退所先なのですが、25名いらっしゃるのですが、そのうちの21名の方が障害者の施設に退所されています。あとは、グループホームが3名、その他が1名ということですが、そこから再度入所というのは、今のところはいらっしゃいません。ただ、のぞみの園として、それを拒否しているわけではなくて、状態が悪くなって、どうしても必要になれば、再度支援するということも考えております。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 補足しますと、行動障害の方というのは環境要因が大きく影響していて、例えば、のぞみから支援がある程度確立して、地元の施設に戻ったとしても、それがそのまま引き継げるように、ガイドブックのようなものを作成したり、職員が赴いて直接指導をしたりしています。そういう意味で、本人にとっては、今ある環境がそのままいかされればいいのですが、それはなかなか難しくて、もう一度戻ってこなければいけないような環境になるということは、環境の変化が激しくなってうちのほうに戻ってくるというやり方は、本人にとっても余りよくないのではないかと感じています。そういう意味では、どちらかと言うと、できるだけアフターフォローみたいな形で、今いる施設、事業所に対する支援手法の向上に向けた丁寧な指導をしていくということが必要ではないかと思っているところです。

○真野主査
 梅里先生、よろしいですか。

○梅里構成員 
 関連で1つだけ。今のようなフォローは1年なのですが、そういった意味では、のぞみに入所されてから、行動障害等を軽減させるためにいろいろなケアをされていると思うのです。そのときの、病院で言えばカルテなのですが、療養記録とか、それをサマライズして、このような形のアプローチをして、こういうケアがこの入所者には有効なようだというような情報を移行するときに、向こう側の施設に提供されているのでしょうか。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事(寺澤)
 私どもは支援をこういう形で構築したという、この方については、このような支援を提供することが一番望ましいという形のものを、写真付きであったり、映像付きであったり、そういう形で移行先の施設・事業所には提供させていただいております。

○梅里構成員 
 ありがとうございました。

○真野主査
 今の梅里先生が言われていたことに関連しますが、地域移行も含め、いわゆる退所ということでしょうか、これは、高齢化もしてきているし、コロナということもあって、ますますしにくい環境があるような感じを持ちますので、また目標設定という話になってくるのかもしれませんが、その辺りも厚労省等も含めてまた御議論いただいたらいいのかなと思いました。
 それでは、最後にいつもどおりですが、法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況を踏まえて、今後の法人の業務運営についてコメントを頂ければと思います。最初に監事の先生からお願いします。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園監事
 のぞみの園の監事の佐藤です。隣が堀口監事で、2名で監査業務を行っております。まず、令和2年度の監査についてですけれども、資料3-3と資料3-4ということで付いております。監査方法につきましては、私どもは週に2日勤務の非常勤でございまして、出勤日に合わせて理事会などの重要会議がございますので、そこに出席させていただき、役職員の方から報告を受け、また、説明を必要に応じて求めまして、監査業務を行い、また、期中と期末には各部に出向いて監査を行いました。また、会計監査については、会計監査人の監査を検証し、会計監査人から職務の執行状況について報告や説明を受けました。令和2年度は新型コロナ感染拡大というような状況の中でありましたが、感染対策を十分に取りながら、計画どおり監査を実施いたしました。
 監査の結果については資料3-4のⅡ以下にあるのですが、令和2年度の法人の業務につきましては、法令等に従って適正に執行され、中期目標の達成に向けて効果的、効率的に実施されているものと認められ、また、内部統制の状況等についても、特に指摘すべき問題点はございませんでした。
 令和2年度は、御議論にありますとおり、新型コロナウイルスの感染症の拡大という今まで経験したことのない事態に直面しまして、利用者の命を守るということと、その中で国立施設としてのぞみの園がどのような役割をどう果たしていくのかということが問われた1年でございました。重症化のリスクが極めて高い利用者を守るということで、感染症対策の徹底を図って、令和2年度は利用者、職員等に感染した人はいないということで、これは理事長のリーダーシップの下、役職員が一丸となって取り組んだ成果と評価をしております。
 また、のぞみの園の役割として、期待の高い調査・研究や養成研修、援助・助言のところでございますが、それによって全国の知的障害者支援の質の向上を図るという点につきましては、従来のように現地に赴いたり、集まっていただく集合型ということができない状況の中で、どのようにやっていくのかというのは課題でございましたが、オンラインの方法を導入する等の工夫をしまして、目標を上回る結果や参加者から高い評価を得られたというようなことがございました。このような努力を積み上げて新たな方法を獲得していくというような様子を見まして、私ども監事としましても、のぞみの園の職員の能力の高さや力を感じたところでございます。今後は、その力、また新たに令和2年度に獲得した手法等を活用して、広く全国の障害者福祉関係者とつながって、全国の障害者支援の質の向上に貢献していっていただきたいと期待しております。以上でございます。

○真野主査
 ありがとうございました。次いで、理事長先生、お願いいたします。

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 委員の皆様には、大変貴重な御助言、御意見を賜りまして本当にありがとうございました。令和2年度におきましては、新型コロナウイルス感染が拡大する中、のぞみの園は、先ほどお話申し上げましたように、高齢で基礎疾患を持つ入所利用者が多数を占めることから、感染症対策を最優先として、事業に取り組んでまいりました。このため、利用者の皆さんが楽しみにしていた帰省や行事、有期限利用者の入所、実習生・現任研修受入れなどは、中止や延期、縮小せざるを得ませんでした。一方で、セミナーや研修会、調査・研究のための会議やヒアリングなどは、WEBを活用することで支障なく実施することができました。
 新年度におきましても、引き続きコロナウイルス感染症対策を最優先としなければならない状況での事業実施となりますが、昨年度の経験も踏まえつつ、様々な工夫をしながら、目標に向け努力してまいりたいというふうに考えております。まず、自立支援のための取組のうち、高齢入所利用者に対する専門的な支援でございますが、全国的にも高齢化が進み課題となってきております。ターミナルケアについて、のぞみの園のこれまでの蓄積をいかした実践と、その情報発信に向け準備を進めてまいります。
 著しい行動障害等を有する方につきましては、受入れの拡充に当たって、受入れ環境の課題が明らかになったことから、現在、寮舎の改修を進めているところでございます。併せて、アドバイザーの招聘や、先進的な取組をしている事業所への派遣研修等により、職員の知識、技術の向上に努めてまいります。
 矯正施設を退所した知的障害を持つ方につきましては、心理教育プログラムに関する外部専門家によるコンサルテーションを継続し、支援力の向上を図ってまいりたいと思っております。
 養成・研修の分野ですが、セミナーや研修会におきましては、全てWEBを活用して実施し、満足度の平均は前年度に比べると上昇したところでありますが、これは、強度行動障害支援者養成研修の満足度が大きく改善した結果となっております。この改善した理由をよく検証するとともに、アンケート結果なども踏まえ、他の研修やセミナーなどにおいても、満足度が向上するよう努めてまいりたいというふうに思っております。なお、強度行動障害支援に係る研修につきましては、先駆的な取組をしている事業所と連携し、協力を頂きながら、現場で携わっている方々が実践の場でより役立つ内容を加えていきたいというふうに考えております。
 このほか調査・研究、援助・助言に引き続き真摯に取り組むとともに、業務運営の効率化に努め、関係する皆様から信頼され、頼りにされる存在でいられるよう努力してまいりますので、御指導、御鞭撻くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。本日は、本当にありがとうございました。

○真野主査
 ありがとうございました。それでは今の2つの話、あるいは全体を通して何か追加の御発言とかはございますか。よろしいですか。よろしいですね。ありがとうございました。
 あと、オンラインの接続うんぬん、確認という話もあるのですが、どう見てもしっかりオンラインで皆さん議論できたと思いますし、先ほどののぞみの話ではないですが、このオンラインというものに我々も徐々に慣れてきて、非常にスムーズに今日も話ができたと思います。それではよろしいですかね。では、これで本日の議事を終了して、事務局から補足説明をお願いいたします。

○事務局
 事務局でございます。今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました令和2年度業務実績評価につきましては、この後、本ワーキンググループにおける御意見等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。また、冒頭に説明いたしました法人へのインセンティブとして、今年度は試行的に、本日の会議において構成員の皆様の御発言の中で、評定には影響しないものの、法人の今後の運営の参考となる御指摘について取りまとめ、主査の御確認を頂いた上で、所管課及び法人に提示したいと思います。
 また、明日6日13時30分から、もこちらの同じ場所でワーキンググループが開催されます。明日については、真野主査、五十嵐構成員、梅里構成員、河村構成員、橋田構成員、松原構成員が会場にお越しの上、御参加と伺っております。また、石井構成員、石渡構成員、名里構成員、三田構成員がオンラインでの御参加というふうに伺っております。変更がある場合は、事務局宛てにメールでお知らせいただければと思います。事務局からは以上です。

○真野主査
 ありがとうございました。ということで、今日はオンラインが多いですけれども、明日は年に1回、1回ではないかもしれませんが、お会いできる機会でもありますので、また当日でも現場でも、もちろんオンラインを否定しているわけではないのですが、お会いできればと思います。それでは、皆さんどうもありがとうございました。また明日、よろしくお願いします。

(了)