2021年8月4日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第40回) 議事録

日時

令和3年8月4日(水)13:34~15:10

場所

労働委員会会館第612会議室(6階)

出席者

今村主査、大木構成員、酒井構成員、志藤構成員、宮崎構成員、安井構成員、関口構成員、土井構成員、土橋構成員、三宅構成員

議事

議事内容

○事務局
 ただいまより、「第40回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG」を開催いたします。事務局の政策立案・評価担当参事官室の戸高でございます。よろしくお願いいたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。まず、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、関口構成員、土井構成員、土橋構成員、三宅構成員がオンラインでの御参加です。続いて、参事官の生田より御挨拶申し上げます。

○政策立案・評価担当参事官室参事官
 参事官の生田でございます。本日は、お暑い中、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。今回も、まずは前回と同じように評定を中心に御意見をお聞かせいただければと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

○事務局
 続きまして、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。本日は議題として「労働者健康安全機構」の「令和2年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。この後の進行は、当WGの主査である今村先生にお願いしたいと思います。それでは、今村先生、お願いいたします。

○今村主査
 どうぞ、よろしくお願いいたします。それでは、議事に入りたいと思います。本日は、「労働者健康安全機構」の「令和2年度業務実績評価」について御議論いただきたいと思います。以下、説明いただきますが、拝見したところ、こちらの法人は今回、AとSの申請が、かなり多くなっております。かねてより政策評価・独立行政法人評価委員会から、厚生労働省の独立行政法人の評価については、Bが十分正しいパフォーマンスで、それ以上についてはできるだけ厳選するようにという依頼を受けているところですが。オリンピックを見ていても、難易度が高くてもパフォーマンスが悪ければ点数が低くなりますので、あとは、機構の事情もよく分かっております。組織のガバナンス、モチベーションを維持するために高い評価を得るというのは大切だということは分かっておりますが、こちらに出されているAとSの中にも順序があるかと思いますので、是非、そういうところは我々にも分かるように御説明いただきたいと思います。
 では初めに、法人から「法人の業務概要」及び自己評価について御説明いただきます。この2つの説明が終わってから、質疑応答という流れで進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。まず、「法人の業務概要」及び自己評価について説明をお願いいたします。

○労働者健康安全機構総務部長
 それでは、まず業務の概要について御説明申し上げます。私は総務部長をしております村松と申します。
 資料の2-1の1ページ目、左上に「設立」という記載がありますが。

○土井構成員
 すみません。マイクの音が途切れ途切れで聞こえにくいのですが。

○労働者健康安全機構総務部長
 こちらで聞こえますでしょうか。

○土井構成員
 はい、先ほどよりは聞こえ易いです。よろしくお願いします。

○労働者健康安全機構総務部長
 平成28年4月に、独立行政法人の労働者健康福祉機構と、同じく独立行政法人の労働安全衛生総合研究所が統合して設立され、それと同時に、日本バイオアッセイ研究センターの事業を追加して設立されたものです。設立目的については右上の部分に書いてありますが、臨床研究、医療提供の機能、また高度な基礎研究、応用研究といった機能を有する施設の協働による予防・治療及び職場復帰支援の総合的な実施、さらに、労働安全衛生関係法令の改正等への科学技術的貢献を行う観点から調査研究の実施、これが当機構のミッションとして位置付けられたものです。このミッションを受けて、1ページ目の中段以降に、主な役割を記載しております。それぞれの施設が有する機能を互いに連携させ、相乗効果を生みながら、労働者の健康及び安全の確保に向けて取り組んでおります。
 3ページ、評価項目が全部で13項目並んでおりますが、今回は赤字で記載をしております重点化対象項目、並びにA評価、S評価の項目について重点的に説明いたします。1-7及び2-1以下の3項目についてはB評価としているところであり、説明は割愛させていただきます。なお、時間の関係もありますので、次のページ以降の中期目標については説明を割愛させていただきます。
 本日、それぞれ説明させていただきますが、昨年からの新型コロナウイルス感染症の影響で機構の業務全般が大きな影響を受けておりまして、それも踏まえ、説明の中で紹介をさせていただきます。まず1-1-1から、丹羽理事から説明をいたします。

○労働者安全機構理事(丹羽)
 1-1-1「労働安全衛生施策の企画・立案に貢献する研究の推進」について御説明いたします。4ページです。自己評価については目標を大きく上回っているとして、A評価としております。労働安全衛生行政上の課題に対応した研究が関係法令や基準の制定・改定に貢献し、労働安全衛生行政の推進に極めて重要であること、また、研究の成果が労働災害の減少に結び付くものであることから重要度は「高」とされております。
 5ページ、要因分析です。特に、外部評価における研究成果の評価については、達成度が前年に比べても伸びていますが、これについては、研究の適正かつ客観的な評価や労働安全衛生施策に資する研究の実施のほか、研究者が納得して意欲を持って研究ができる環境の整備を並立させるスキームの成果の一環ではないかと考えております。
 高い評価であった具体的な研究としましては、「トンネル建設工事中の労働災害防止に関する研究」や「第三次産業における行政施策推進方策等に関する研究」などがあり、これに基づき、ガイドラインやパンフレットが国で作成されております。
 3つ目の「法令・基準の制改定等への貢献」の達成度ですが、前年度より20%下がっております。これは、タイムラグと言いますか、研究の成果が当年度の法令等の制改定に直ちに直結するものではないため、一定程度の増減が生じるところです。
 資料5ページ、Ⅲの評定の根拠ですが、目標として設定した指標をいずれも大きく上回ったほか、行政機関等の要請に応じ、厚生労働省労働基準局等の検討会への委員としての参加や資料提供等に対応して、特定化学物質障害予防規則や作業環境測定法施行規則の一部を改正する省令の策定に寄与するなど、国の施策の推進に貢献したことから、A評価としております。
 続きまして、1-1-2です。7ページ、「労災疾病等に係る研究開発の推進」について御説明します。自己評価については、目標を大きく上回るものとして、Aとしております。指標としては、ホームページアクセス数(目標240万回以上)としているところ、令和2年度においては、310万回で120%を超える結果となりました。
 続きまして、評定の根拠については、9ページの参考事項で説明させていただきます。労災疾病等に係る研究開発として、アスベストの研究において、労災補償の対象疾患であるものの、明確な判断基準のない良性石綿胸水について、症例を収集して診断基準の案を策定いたしました。この点は、日本産業衛生学会の英文医学誌に採用され、産業医学の分野で評価をいただいております。本研究によって得られた医学的知見は被災労働者の迅速・適正な保険給付につながるものであることから、本研究成果を厚生労働省に報告して認定規準として活用していただくよう、引き続き働きかけを行う所存であります。
 続きまして、9ページの左下、研究成果の積極的な普及・活用に向けた取組です。情報誌「産業保健21」において、研究成果の1つである「深夜勤務者のための食生活ブック」を紹介したところ、SNSで2万回のリツイート(RT)や「いいね」が3万件を超えるなど、非常に大きな反響がありました。今回の反響があった点も含め、研究成果物を積極的にPRすることで、勤労者の健康等に影響を与えることができたと認識しております。このように着実に研究を実施しており、得られた研究成果をホームページや論文掲載などで普及することにより多くの勤労者に活用されていることから、所期の目標を上回る成果と考えて、Aとしております。
 続きまして、1-2「労働災害調査事業」について御説明いたします。10ページです。自己評価は、所期の目標を上回る成果ということで、Aとしております。災害調査の概要については12ページの参考を御覧ください。10ページに戻り、Ⅱの指標の達成状況については、依頼元からの評価が平均2.0点以上を大きく上回りました。これについては、厚生労働省からの要請に基づきまして、迅速かつ適切に研究員を現地に派遣して調査を行って高度な実証実験などを行い、データ解析を実施して調査結果を作成し、速やかに厚生労働省に報告したためと考えております。
 11ページ、評定の根拠ですが、災害調査が高い評価を得たこと、また調査等で得られた知見が行政通達の発出等に貢献したことです。なお、災害調査を契機として、労災病院や労働安全衛生総合研究所等による協働研究も開始しております。
 続きまして、13ページ、1-3「化学物質等の有害性調査事業」です。こちらについては自己評価を、Cとしております。この事業は、国が化学物質の規制等を行うためには、その有害性についてのエビデンスが必要であるため重要度「高」とされております。なお、化学物質等の有害性調査については14ページの参考事項を御覧ください。
 Ⅲの評定の根拠ですが、今般、当該事業をCとした根拠について、日本バイオアッセイ研究センターにおいて、試験を実施するに当たっての手順として定められたものから逸脱した処理がなされていたということを機構内で把握し、それを厚生労働省に報告させていただきました。定められた手順から外れた処理の内容は、試験を実施している過程で、弱ったマウス・ラットが発生した際に、規定量の化学物質を投与しなかったにもかかわらず、そのことが記載されていなかったということです。3月以降、厚生労働省の指示を受けて日本バイオアッセイ研究センターの試験の一部が停止されております。こうした状況から当機構としては自己評価について、C評価として提出をさせていただきました。
 最近までの状況について、少し触れさせていただきます。当機構からの報告を踏まえまして、厚生労働省におかれては、有識者の参画を求めて検討会が4月に設置されました。その中で、調査・検討等が進められるものと承知しておりますが、先般、7月30日付けで逸脱行為の認定や発生原因の調査及び再発防止策についての提言、こうした行為が行われた可能性のある試験について、逸脱によって評価を変える必要があるかということについては、評価を変更する必要がないということが報告書として取りまとめられて公表されました。また、同日付けで、この報告書を踏まえて、厚生労働省から再発防止に向け、逸脱事項についての是正策、研究者倫理研修の実施、研究不正の通報窓口の実効性の確保などについて指導をいただきました。
 当機構としては、厚生労働省の報告書及び指導事項を真摯に受け止め、再発防止の徹底等について必要な対応を行っていきたいと思っております。それによって信頼回復に向けて取り組んでまいりたいと思っております。私からの説明は以上です。

○労働者健康安全機構総務部長
 続きまして、1-4「労災病院事業」です。15ページです。労災病院は、従前から公的医療機関として、また地域の中核病院としての使命を果たしてきております。ただ、そうした中で令和2年度については新型コロナのパンデミックという未曾有の事態の中、3回の大きな波、4月から5月にかけて、7月から9月、また11月から2月にかけての3回ですが、この間、ウイルス感染の詳細が明らかでなく、また感染防護服も不足し、PCR検査が迅速かつ十分に行えないという状況の中、患者さん又は職員の安全を確保しつつ病院機能を維持し、コロナとコロナ以外の診療の両立を図ってまいったところです。
 具体的な自己評価については、A評価としておりますが、その指標の達成状況については、コロナ禍の困難な中にあっても、6つのうち4つの指標が目標を達成したところです。症例検討会、講習会の開催回数は未達でありますが、この指標については、平時であれば医療の質・安全性の向上のための重要な活動と言えますが、コロナ禍におきましては感染拡大防止が最優先事項であったことから開催を控える方針をとったところです。ただ、年度の後半からは感染が落ち着いたタイミングを見計らい、通信環境を整え、Web形式の講習会等の開催に努めてまいりました。
 また、もう1つ未達である、診療所等からの受託検査件数については、コロナ禍で診療所等への受診抑制がありました。検査オーダーが減少したためであって、これは全国的な傾向であり、個々の病院の努力では対応できないものではないかと考えております。
 A評価とした評定の根拠については、コロナ禍において地域の中核的役割の推進として、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院等の維持、新規の指定に積極的に取り組み、診療機能の充実を図った。また、その結果として、前述した4つの指標について目標を達成できました。さらに、大規模労働災害等への対応として、新型コロナに対し、コロナ専用病床の確保、発熱外来の実施、PCR検査の拡充等を行い、26病院で延べ約2万2,000人の入院患者を受け入れました。
 さらに、令和2年7月の熊本豪雨においては、熊本労災病院内にDMAT活動拠点本部を立ち上げ、コロナと水害という二重災害に対応いたしました。加えて、感染拡大地域に対する看護師派遣について、労災病院グループとして引き続き尽力しております。このようにコロナ禍で様々な制約がある中で、公的医療機関としての使命を果たすべく積極的に対応し、地域医療に貢献したということで、自己評価はAとしております。また、参考事項としては、紹介率等のほか、病床利用率・コロナ受入延入院患者数などのグラフを記載しております。
 18ページ、1-5「産業保健活動総合支援事業」です。これも前年度と同様にA評価としております。この事業は、地域によって産業保健に対する意識等に差がある中で、地域の医師会と関係機関との連携強化を求められることなどから難易度「高」とされております。指標の達成状況としては、専門的研修を除き、目標を上回っております。
19ページ、専門的研修が目標未達となった要因としては、第1四半期において緊急事態宣言が発出されたことによって集合形式の研修は中止せざるを得なかったこと、研修の実施が大幅に制限された中で、地域における産業保健関係者のニーズに応えた支援を継続させるべく、全産保センターでWeb研修の実施体制を整備し、第2四半期以降は実施回数の回復が図られました。結果としては未達ではありますが、目標の達成に向けて可能な限り取り組んだという認識です。
 Ⅲの評定の根拠としましては、難易度が高いとされております医師会等関係機関との連携強化について、各県の産保センターにおいても積極的に取り組んでおりますが、取分け、ここに記載しておりますように、東電福島第一原発の健康支援相談窓口の設置・運営については、医師会のみならず地域の医療機関、労働基準協会等の多くの関係機関との連携が必要であり、コロナ禍による移動制限のある中で、オンラインによる協議会の実施等により連携を継続し、運営の維持につなげたところです。加えて、両立支援に係る事例検討会を地域の産保センターで開催し、都道府県単位で他職種にわたる関係者の相互理解や連携強化が図られ、地域における両立支援の体制整備に貢献いたしました。
 また、利用者からの相談対応については、電子(Web)会議システムを活用した相談の実施のみならず、20ページの右側にありますように、職場における感染防止対策の解説等の動画を作って公開し、在宅勤務中の労働者に対する面接指導方法に関する相談対応を広く周知し、時宜に応じた相談対応サービスを迅速に行い、目標を達成いたしました。こうした取組により、左下に示していますように、産保センターが実施する研修や相談に対して前年度と同様の高い評価が得られております。こうしたことから、自己評価をAとしたものであります。
 続いて、1-6「治療就労両立支援事業」です。自己評価については、前年度と同様のSとしております。この事業については、働き方改革に関わる非常に重要なものだと認識しており、また、その普及のためには経営者等の意識改革や社内制度の整備に加え、トライアングル型のサポート体制の構築に向けた関係者間の連携強化が求められ、取分け、中小企業での普及には課題が多いことから、難易度「高」とされております。
Ⅱの指標の達成状況については。

○土井構成員
 すみません。また聞こえにくくなっているのですけど。声が途切れて聞こえなくなっています。

○事務局
 すみません。今、ちょっと回線を切り替えてみます。
 今、切り替えてみましたが、いかがでしょうか。

○土井構成員
 事務局からの声は聞こえるのですけれど、説明の方の声がよく聞こえないので、そちらを確認していただければと。

○労働者健康安全機構総務部長
 私の声はどうでしょうか。聞こえますでしょうか。

○土井構成員
 何となく聞こえます。とりあえず、今は先ほどよりは聞こえます。お願いいたします。

○労働者健康安全機構総務部長
 それでは、今一度、21ページの指標の達成状況です。患者の受診抑制の中で、前年度と同程度の1,104件の事例を収集し、その支援した罹患者の有用度は90.6%と、高い評価を得ました。
 次ページ、Ⅲの評定の根拠についてです。両立支援コーディネーターの基礎研修を集合形式からオンライン形式に変更し、オンデマンド配信とライブ研修との複合形式へと見直した結果、参考指標の下段にあるように、理解度及び有用度が大幅に向上したこと、また、中段のように、前年度の約2倍となる3,402人の両立支援コーディネーターを、医療関係者に限らず、企業関係者等、様々な職種において養成したこと、これらにより、トライアングル型のサポート体制の更なる促進を図り、働き方改革の推進という国の政策に大きく貢献できたと考えております。
 次に、中小企業等での両立支援を促進するために、企業への啓発教育等に取り組んだ結果、「個別調整支援」の件数が大幅に増加したこと、また、地域における両立支援コーディネーター基礎研修修了者や企業の担当者等による事例検討会を開催し、企業と医療従事者間の情報共有、かつ地域における両立支援関係者のネットワーク構築を図ったこと、これらにより、産業保健活動総合支援事業アウトカム調査では、50人未満の小規模事業場において、「以前より取組を充実させた」が、前年度比16.4%増となり、難易度「高」とされる取組についても着実に実施したと考えております。以上より、自己評価をSとしたものです。
 続いての1-7「専門センター事業」は、割愛いたします。
 27ページ、1-8「未払賃金立替払事業」です。この事業は労働者と、その家族の生活の安定を図るためのセーフティネットであり、未払賃金における審査の適正と効率化を通じて請求書の受付日から支払日までの期間を20日以内に維持することが求められております。実績値が14.4日で、達成度128%となったことから、自己評価をAとしております。これについては、29ページの右側のグラフを見ていただけますと分かりますように、4月から7月にかけて、支払件数が対前年比157.3%と大幅に増加いたしました。その中でも平均15日を維持したところですが、仮に、この期間の処理スピードが前年並みに留まっていたとすれば、約4,200件、概ね2か月分の件数が8月以降に積み残されることになります。毎週1回の支払いを堅持しておりますが、逆に、今週の支払いに遅れれば7日遅れる、さらに14日遅れるということで、こうしたものが山積みに取り残されていれば目標の20日を大幅に超過する恐れがあったところを、この4月から7月の山をしっかりと処理できたことが目標を達成できた実績につながっていると考えております。
 また、外国人労働者の請求増加に伴い、外国語パンフレットの対応言語の追加、電子(Web)会議システムを活用した弁護士向け研修会の開催、立替払いにおける休業手当の取扱いなどの事例検討による情報共有、さらには、困難事案に係る早期相談体制の構築、大型請求事案の事前調整による手続きの迅速化等、迅速かつ適切な立替払いを実施できたことから、自己評価をAとしております。
 30ページ、1-9「納骨堂の運営事業」です。産業災害殉職者の慰霊の場にふさわしい環境整備を行い、来堂者や御遺族等から慰霊の場としてふさわしいとの評価を毎年90%以上得ることとされ、この目標を大幅に超えて達成していることから、A評価としております。
 具体的な取組として、日々の参拝者はもとより、式典の参列者からの御要望も踏まえ、広場をバリアフリー化し、高齢者や車椅子利用者の利便性を大幅に高め、慰霊の場にふさわしい環境整備を行っております。また、令和2年度の慰霊式では、新型コロナの感染拡大防止に重点を置き、式典規模、参加者の縮小を行いました。その結果、参列できなかった御遺族のために式典の動画をホームページにおいて配信いたしました。加えて、参列者へのマスク、消毒ボトルの配付、納骨堂の参拝送迎バス・タクシーに係る事前予約制、徹底した感染対策等を実施したとともに、特に、式典時間内に御遺族全員の献花を実施できたことで、満足度調査結果も、「非常に満足」と「満足」を合わせて100%、そのうち「非常に満足」が65.6%、前年比16.2%増と、大幅な高い評価をいただいたことから、自己評価をAとしたところです。
 2-1以下は割愛いたしまして、説明は以上です。

○今村主査
 ありがとうございました。それでは御意見、御質問等ございましたら、お願いいたします。オンラインの場合は事務局経由で確認ということになるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

○土井構成員 
 よろしいでしょうか。

○今村主査
 すみません、オンラインの方は事務局経由で、確認できますか。いつもそうやっていただいていると思いますが。
 すみません、今、会場の方で手を挙げておられますので、その後、どうぞよろしくお願いいたします。

○酒井構成員
 よろしいですか。丁寧な説明をありがとうございました。コロナ禍において、当初の目標を達成しようと大変努力されていることがよく分かりました。
 では私から、本質的ではないかもしれないのですが、このコロナ禍において幾つかの事業において研修といったものをオンラインに切り替えた、あるいはオンラインと対面の複合型に切り替えたということで、それなりに成果が上がったというような報告だったかと思います。今後、コロナ感染が本当に収束するかどうか全く分からないような状況なのですが、今後オンラインに切り替えた研修というものは、今後も継続されていくのでしょうか。その辺の見通しを伺いたいと考えております。
 というのは、もし今後オンラインを継続する、むしろオンラインの方がコスト・パフォーマンスがよいというようなことが明らかになりつつあるということでしたら、これは機構に対する要望といったことではないのですが、目標値自体を検討し直す必要もあるのではないか。例えば、オンラインだから研修の回数をもっと増やせるでしょうという話だけではなくて、むしろオンラインなので1回の研修修了者数が増えるので回数はもっと少なくていいのではないかというような発想もあり得るかと思います。という意味で、目標値自体を検討し直す必要があるので、その前提としてオンラインを実施してみて、今後も続けるかどうかということに関して、お考えを伺いたいと思っています。よろしくお願いします。

○労働者健康安全機構理事(大西)
 産業保健と両立支援を担当しております労働者健康安全機構理事の大西と申します。御質問をありがとうございました。
 まず、本日のプレゼンテーションについて、今おっしゃってくださいましたが、オンラインに切り替えたものが大きく2つございます。まず両立支援コーディネーターという、国から委託を受けて我々が養成しているものですが、これはコロナになる前は座学で、皆さんが集まって1日9時間かけて研修しておりました。もちろん、これはコロナ感染のためにできませんでしたので急遽オンライン研修に切り替えましたが、内容が多いので3分の2は何回も繰返し見られるような動画視聴を先にしていただきました。そして3分の1は、ライブ研修で2時間ほど、同じ日に500人をWebで集めて、そこで皆さん御存知の学会等でのアンサーパッド形式(Q&A形式)で、こちらから発信して色々な意見を5個ぐらい選択して、その場で皆さんの意見を聴取して、そのデータを見ながら双方向のライブ研修をいたしました。ということで、効果としては理解度・有用度が15%上がりました。ですから、これはポストコロナ以降も続けていこうと思っています。
 おっしゃってくださったように、人数も今までは全国各都道府県で50人から100人ぐらいだったのですが、オンラインでは1回500人できます。令和2年度はオンラインで、追加開催を含め7回開催いたしました。今年は10回開催を予定しています。ただ、これを減らせるかというと、まだまだ日本全国に何万人と両立支援コーディネーターを養成することを我々は目標としていますので、これ以上に増やすことはあれど減らすことはないと思っています。
 次に、事業所に対して色々な産業保健ごとの研修をするということに関しても、座学でできる地域では感染対策を十分にしてやっておりますが、できない地域はオンラインで実施しています。これも先生が御指摘の通りで、オンラインでやっていいものはオンラインの方がいいと思います。特に、事業所は研修会場に来る必要がないので。そのため、それはポストコロナでも続けたいと思います。
 ただ、その産業保健のネットワークを地域で作ると情報共有ができるというようなものがあります。色々な患者さんの扱い方とか困った事業所の扱いとかです。そういう時、やはりお互いに皆さんの顔を見て、名刺交換もすることが必要な場合があります。そういう地域におけるネットワークについては、今後も対面で行う必要があると思いますので、内容によって使い分けていきたいと思います。おっしゃってくださったように、オンライン研修をどんどん取り入れていきますが、ただ、今は研修の両立支援に関しては目標値の設定がございません。ですから産業保健については、次期中期目標期間において、その辺を考慮していくことは厚生労働省との御相談になると思います。そういうことでオンライン研修は続けてまいりたいと思っています。以上です。

○今村主査
 よろしいですか。では、関口構成員でしたか、先ほどオンラインからお手をお挙げくださいましたか。

○事務局
 土井先生です。

○今村主査
 はい。では、よろしくお願いします。

○土井構成員
 すみません、3点質問がございます。御説明いただいた内容で理解した部分もあるのですが、ちょっと分からない部分もあるので教えてください。
 1点目、14ページの化学物質等の有害性調査事業で、手順に則っていないものがあって、評価としてはCということでした。そういう意味では、本来はきちんとするべきで、手順に則らず有害性の評価をしていたというのはかなり問題だとは思うのですが、D評価にすると事業停止ということになるので、Cという判断だとは思います。14ページの最後に書かれている再発防止対策というのは、具体的にどのような対策をとられるのか、それを教えてください。まず、それが1点目です。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 お答えいたします。化学物質等の有害性調査事業の評価がCというのは、どうなのかというお話でございました。
 これにつきましては、厚生労働省から指示された試験につきましては、3月までは計画的に実施していたところでございますが、試験の全部ではなくて一部の試験、具体的には3つの試験なのですが、逸脱行為が行われたことが確認されたということでございます。ただし、その逸脱行為の試験の結果は、国の規制に影響を与えるものではないと、7月31日に結論づけられております。
 ただ、実際には逸脱行為が確認されたということで、かつ労働基準局長から当機構が指導を受けるという事態になりましたので、それを真摯に受け止めて、自己評価としてはCとしたところでございます。
 2つ目に、どういった改善策を取っていくのかという御質問がございました。これにつきましては幾つかの指導事項がございます。例えば、標準操作手順書の改ざんが困難になるように改善策を取りなさいですとか、同様の逸脱行為の有無を確認するために自己点検を行いなさい等が書かれております。これにつきましては、書かれたものに対して真摯に取り組み、具体的に標準操作手順書を洗い出して、物理的に改ざんが困難となるように、必要な改善をしていこうと思っております。
 かつ、御指示を受けました他の、同様の逸脱行為の有無を確認しろと、自己点検しろということでございますので、それにつきましては早急に自己点検チェックリストを作って実施していきたいと思っております。
 また、指摘事項には色々ありまして、研究者倫理が欠けていたのではないかという倫理の面での御指摘もございましたので、これにつきましては、日本バイオアッセイ研究センターに関しては早急に倫理研修を行い、日本バイオアッセイ研究センターを含めた他の研究所の職員に対しても中長期的な計画を作って研究者倫理研修を行っていきたいと考えております。
 そのほかに、内外の研究機関等との人的交流を図るべきだということにつきましては、内外とどういった人的交流の在り方があるのかよく検討していきたいと思っております。さらに、研究不正の窓口について改めて周知しなさいということも御指摘を受けましたので、機構本部の掲示板と、職員向けホームページ等に窓口を明示することを考えております。当面考えていることは以上でございます、よろしくお願いいたします。

○土井構成員
 はい、分かりました。このようなことが、この部門に限らず他の部門でも起こらないように、是非、対応していただければと思います。
 2点目は評価に関してなのですが、21ページから30ページに、アンケートの結果が指標になっているのですけれども、もう既にその指標で定めてあるので致し方ないとは思いますが、ただ、21ページの達成度が113.3%なのです。まず評価としては120%がA評価で、S評価はそれにさらに顕著な成果があったというところで、ここはまず113.3%なので、それもアンケートをマニュアルに反映したという話なので、Sとするのはちょっと過大評価ではないかと思いますが、いかがでしょうか。それが2点目です。

○労働者健康安全機構理事(大西)
 ありがとうございます、両立支援担当の大西が回答させていただきます。今、委員から御質問がございました指標の達成状況ですが、これは確かに113.3%で、120%を超えていないではないかということなのですが、令和元年度にS評価をいただいた時も113.3%で、全く同じ達成度でございます。それに関しましては、「その他」に、つまりS評価を得るに当たっては23ページを見ていただきますと、それを超える、S評価に値する難易度「高」、重要度「高」の中で大きな成果を上げたということが昨年以上にあったということで評価をしています。
 その具体例は、まず先ほど申し上げましたように、コロナ禍で対面での講習等ができなくなった中、非常に迅速にWebライブ講習に切り替えて、その結果、有用度も理解度も15ポイントアップしたと同時に、養成についても昨年度が1,813人だったのがコロナ禍の中で3,402人と、約2倍近いコーディネーターを養成できたということ、及び労災病院などは当然コロナ禍で患者が減っておりますが、支援事例は昨年のS評価と同等の1,104件という多くの両立支援ができました。アンケート結果も昨年と同様に非常に良かったということで、昨年のS評価以上の両立支援コーディネーターを養成し、かつ、その有用度も理解度も上昇しました。
 一番大切なのは、社会にどう還元したかですが、23ページの一番右下を見ていただくと、大企業は産業医がおりますので両立支援が確実にできるのですが、中小企業のような産業保健の手の届かないような所においても、我々が両立支援事業をすることによって、徐々にではありますが、中小企業におけるアウトカム調査におきましても以前より充実させて取り組んでいるというのが昨年度よりも上昇しておりますので、このようなトータルの取組はコーディネーターを育てることが徐々に日本社会に浸透してきたという我々の取組を考えて、S評価とさせていただいている次第です。以上です。よろしくお願いいたします。

○土井構成員
 そういう意味では、今お話のあったコーディネーターの養成と中小企業の両立支援というところを、本来は指標として掲げておくべきで、それがプラスアルファ、付加的になっているのは何となく納得できないなと思います。今後、指標を検討する時には是非、難易度「高」、重要度「高」のもとになっているものを指標として挙げていただくのが積極的な評価につながるというように考えます。
 3点目は27ページの未払賃金の話なのですが、支払いの期間が短縮されたということで、これ自体はAで問題ないと思います。ただ、毎年6億円ずつの回収ができずに終わっています。なので、この回収をどうするかというのは、今後の指標として挙げて、改善していくことも重要だと思うのですが、その点に関してはいかがなのでしょうか。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 御質問ありがとうございます。今、御指摘のあった目標の立て方で、回収金の導入はどうかということなのですが、ここは非常に難しい問題があると感じております。元々破産した会社等、支払能力がないということで破産したものであって、それをセーフティネットとして立替払いを行っているのですが、言ってみれば、回収していただくのが非常に困難な事案が多いということが現実的にはあると思います。そのため、それを目標に挙げることが果たして妥当なのかどうかというのは慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。ただし、今回、そういった御意見をいただいたことも踏まえて、次期中期目標の設定においては、どういった目標を立て得るべきなのかというのは、厚生労働省とよく御相談させていただければと思っております。よろしくお願いします。

○土井構成員
 御検討をよろしくお願いします。以上です、ありがとうございます。

○今村主査
 土井先生、ありがとうございました。目標設定等については、この有識者会議にも一度、議題として掛かることになるかと思いますが、その時には大いに積極的に改善を提案していただければと思います。確かにおっしゃる通り、目標設定の限界で数値目標がどうしても取れないというのは御指摘の通りかと思います。
 それでは、三宅構成員から御発言の要請が出ております。よろしくお願いいたします。

○三宅構成員
 三宅です。Webの方から失礼いたします。私の方は、まずはコメントといいますか、コロナ禍の中で色々な目標に対して適切に業務を行っていただいたこと、非常に御苦労があったと思いますので、まず、それに対して敬意を表します。本当に御苦労様でした。
 一方、先ほど、土井先生のお話にもありましたけれども、関口先生でしたか、御発言がありましたように、目標値の設定ということが議論になると、当然これは中期計画の時点で出しているわけですから、平時での目標値であって、こういった有事になった場合に、当然それをクリアする云々という数字の話というのは、定量的な数字で表わすというのは少し考えなければいけなくて、やはり、内容で考える、あるいは前提条件が崩れた場合にどう考えるかというのを、次の中期目標の中で少し議論が必要なのではないかと思います。
 コロナの話になりますけれども、その一方で新たな感染症ですとか、色々な災害が激甚化していることがあると、当然、その有事というものも想定した上で、そういう対応をできるような基準というものが必要なのではないかと考えます。それは私の印象とコメントです。
 それで、私から質問が2つほどございます。先ほどの御質問にもありましたけれども、1つは、やはり、先ほどの逸脱行為に関することです。恥ずかしながら私は、この件を知らなかったものですから、この前、御説明いただいた後に、ホームページ等で少し確認をさせていただきましたが、これは逸脱行為というより、ある意味では不正というのか改ざんですね。先ほどもありましたように、特定の化学物質を投与しなかったにもかかわらず、投与したように記録していたということですので、これはかなり意図的なものであるということになると、非常に、原因の究明というのは曖昧なものではいけないと思います。全てを確認してはいないのですが、こういった改ざん等が行われていた期間や内容等が十分に報告されているのであれば、それに対して対応しなければいけないわけですが、まずはその辺をきちんと委員会の方で確認をする必要があるだろうと思います。
 その上で、先ほどは再発防止の話が出ていたのですが、まず、私としては、なぜそういうことが起きたのかという原因の究明だと思います。私は安全の立場から色々な事故というものを経験しつつ、その事故調査にも幾つか携わってきたわけですけれども、その場合には、まず原因の究明があってこそですし、その原因についても、当然引き金となったような直接的原因と、一方では、その引き金を引かせてしまった間接原因や組織の問題など、そういったものもあると考えています。
 そういう点から考えて、今回の原因がどこにあって、今回提示されているような再発防止対策というのが本当にうまく機能するように、例えば組織だとか、人事評価の在り方、こういったことも含めて考えなければいけないと思います。その辺の原因の究明を行っていただきたいなということであります。これは質問ではなかったですね。今のは、お願い事になりますが、そうなると、あえて、そうなった原因というのが本当に究明されているのかということを伺いたいということが1つです。
 続けて、もう1つ質問ですが、やはり先ほどの御質問にも出てきたように、今度は両立支援コーディネーターの話です。非常に大変な状況の中で、研修に関してはWebを使って非常に上手くできたということだったのですが、当然、Webと対面では、学習だとか研修の効果というのが少し違った形で出てくるように思います。単に知識を与えるものというだけではなくて、色々なスキルやあるいは話を聞くなど、話をする場合のテクニカルな部分も含めて、研修はしたけれども、その効果測定のようなものはどのように行うべきなのかということと、さらには、数字として研修の受講者が増えたことは非常に喜ばしいことなのですけれども、今度は量からクオリティ、質の向上を図っていくのかということ、すなわち多くの方が研修を受けて色々な知識やスキルを身につけた上で、今度はその質を向上させていくということ、あるいは量も、研修者の数が増えれば増えるほど、質の保証や質の向上、今後こういったことをどのように取り組まれるのかということを聞かせていただければと思います。少し長くなりましたが、以上です。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 御質問、ありがとうございました。最初の化学物質の方について御説明させていただきます。先ほどの説明と重複している部分もあるかもしれませんが、まずは本年2月に当機構内で、手順書からの逸脱が把握されたところでありまして、それを3月に厚生労働省に報告して公表されました。その後、厚生労働省では、4月に逸脱行為の検討会と規制への影響をどう判断するかと、2つの検討会が厚生労働省に設置されて調査・検討が進められてきたと承知しております。その結果は、先ほど申した通り7月30日付けで報告書という形で公表されておりますが、その報告書の中に、この逸脱行為の原因としては大きく4点が指摘されております。
 具体的に4点の御説明をいたします。何が原因だったのかというと、1つ目が、化学物質の投与の有無に関する記録の改ざんが物理的に可能かつ容易であったこと。2つ目が、標準操作手順書等のルールが曖昧であり、例えば投与しなかった場合に、投与量指示シートにどのように記載すべきかの定めが明確ではなかったこと。3つ目が、研究者倫理の理解が不足しており、十分な教育がなされていなかったこと。4つ目が、人事異動が少なく外部との人的交流がないことや、人間関係の固定や適材適所の配置が困難など、体制面での問題があることが、報告書で、当該逸脱行為の原因として指摘されております。以上でございます。

○今村主査
 よろしいでしょうか。

○労働者健康安全機構理事(大西) 
 すみません、私の方からも、よろしいですか。

○今村主査
 はい、どうぞ。

○労働者健康安全機構理事(大西)
 両立支援コーディネーターの座学からWebになった時に、御質問としては、対面との違いがあって、スキルアップや質の向上については今後どうするのかという御質問について回答させていただきます。
 おっしゃる通り、対面の時はお互いの顔も見られます。ただ、Webでは双方向の授業をしてまいりましたが、それで終わっていてはスキルアップができません。実は、この令和2年度においても、コロナ禍なのですが、約20都道府県の産保センターにおいて、その都道府県で両立支援を中心的になさっている当機構の労災病院の関係者が、ある両立支援の事例をWeb上又は小さな集まりの中で見せて、これを各々どう考えますかという事例検討会を行ってみました。
 これがまた非常に、皆さんの困りごとがよく分かった、こう対応するんだというのがありましたので、令和3年度からは、全都道府県の産保センターを中心に、集合でできるなら集合で、できないのであればWebで、この事例検討会を少なくとも1回以上は、全産保センターですることによって実践力のスキルアップ、質の担保ができると思いますというのが1点目です。
 2点目は、そのような事例検討ではなくて、「集い」と言って、両立支援コーディネーターをその都道府県又は全国レベルで、10人、20人又は50人ぐらいを集めて、お互いに何に困っているのか、こういう課題ではこういう対応をしたというのは、事業者側に勤める両立支援コーディネーターと、医療者側、病院に勤める両立支援コーディネーターではそれぞれ悩みが違いますので、お互いがお互いの悩みに対して答えを持っていることが多いので、そういう「集い」という場も設けてやっていこうというのが2点目です。
 3点目は、来年度については今、厚生労働省にお願いしているのですが、産保センターに常勤の産業医を少なくとも3人ぐらい配置し、かつ両立支援に対する産保センターの保健師も増強していただいて、その方々が各地域における両立支援コーディネーターの困りごとの相談を受ける体制も強化していきたいということで、体制的に、また各々の質の向上などを図っていきたいと考えております。以上です。よろしくお願いします。

○今村主査
 今、御発言の要請があるのですけれども、今の辺りまでで少し簡単に整理をさせていただきたいと思います。
 見ていただきたいのは、15ページと18ページです。これは労災病院と両立支援ですから、それぞれ施設が違いますよね。一方では、労災病院では、コロナで集合できなかったので実績値が下がったと。これはコロナのせいで仕方がないというのですが、一方で両立支援の方は確かに少し下がっているのですが、逆に質的な部分では広報や、そういう努力をしていると。つまり同じ組織なのに、施設によってオンラインの対応の仕方がかなり違っているというのが、非常に気になるところであります。
 つまり、1-4の労災病院は、本来はCなんですね。ところが、それをAと申請されているという根拠は、重要度でしょうけれども。では、何でCをAにするかというのが少し不思議な感じがして、せいぜいこれはBではないかと。つまり、今言ったように両立支援センターでは頑張って、ある程度の維持をしていると、だけど労災病院ではコロナだから対面ができないからといって研修の数が減っているというのは少し不思議な感じがするので、ここの1-4については、本来はCの達成値なのにAを申請するかということに対して、もう少し強力な説明が必要かと思います。

○労働者健康安全機構理事(佐藤)
 今村先生、ありがとうございます。労災病院を担当しています佐藤と申します。先ほどの症例検討会・講習会の開催回数が、前年度と比べて減少し、目標値に対して達成できていないということですけれども、この原因は第1四半期に、いわゆるコロナが発生して緊急事態宣言が出て、それで患者さんの対応を優先的にしてくれというようなこともありまして、ある程度、人の流れといいますか、密な状態を避けるということで控えてまいりました。その部分については、コロナの対応を積極的に行ったということです。医療資源をどのようなところで活用するかということですので、どちらを優先するかということになりますと、コロナ対応を今回は優先させていただいたということでございます。
 これについては、この資料の17ページのグラフの中で「コロナ専用・休床延病床数」というグラフがありますが、つまり、これだけの対応をせざるを得なかったというようなことですので、この辺については病院の方針として、こちらの方に注力していったというようなことでございます。

○労働者健康安全機構理事(中島)
 医療安全と能力開発を担当しております理事の中島と申します。先ほどの症例検討会・講習会に関する御質問に対して、少し補足をさせていただきます。
 日本で新型コロナウイルス感染症の最初の症例が出たのが令和2年1月15日です。その後コロナが世界中をこんな風に変えてしまうことは誰も想像できませんでした。ここに示しております労災病院の6つの定量的な指標は、そのことを想定していなかった平時の指標です。令和2年度は3回の大きな感染の波を経験しておりまして、感染が少し収まった時期は6月と10月と3月ぐらいしかございませんでした。
 昨年度の初め頃は、新型コロナウイルスがどのように感染していくかという詳細がほとんど分かっておりませんでした。また、感染防止のためのマスクも、医療者が1枚を1週間使うというような状況でした。PCR検査につきましても、感染が疑われる患者さんや職員に対して、保健所から許可が下りたケースに対してだけ検査が可能で、また結果がわかるのには数日かかるような状況でした。このような状況でしたので、患者さんや職員に感染を蔓延させないために、人との接触機会を徹底的に抑えるという方針がとられました。
 平時であれば、症例検討会・講習会は、医療の質や安全を向上するために非常に大事な活動です。しかし、コロナのパンデミックにより、医療上の最優先事項が感染予防となったことから、あえて症例検討会・講習会を開催しないという方針がとられました。
 特に、症例検討会といいますのは、病院の比較的狭い、いわゆるカンファレンスルーム等で、医師たちを中心に医療職が集まって、1台の電子カルテの端末を囲って、皆がああだこうだとディスカッションします。検討する症例が多いと2、3時間に及ぶこともあるわけですが、これは感染対策上は「No」であります。
 それから講習会についてですが、両立支援コーディネーター研修では、本部がWeb講習会の環境を整備し、受講者が各人のPC端末で受講できる形式をとっています。しかし、病院の講習会は通常、病院の講堂、それほど広くないことが多いですが、そこに集合して満員の状態で行われます。それはとてもリスクになります。講習会の運用方法を工夫して、Web環境なども整えて、感染の状況を見ながらやっと少しずつ開催できるようになってきたのが、年度の後半でございます。
 また、コロナの患者さんの治療にはかなりの手が取られますので、学習よりも診療が優先したこともございます。さらに、症例検討会や講習会に参加される院外の医師や医療職の方々も、感染対策の観点から、病院内に足を踏み入れることはできない状況でした。両立支援は研修回数が増えて良かったのですが、病院はやりたくてもできない、あえて中止するという状況でした。先ほど三宅先生からも、災害時や有事のインディケーターや評価はどのようにあるべきかという御意見もございました。コロナ禍において症例検討会・講習会の実施件数が少ないことについては、感染対策上は「是」であるという理解で、労災病院事業にかかる評価全体については、記載のようにさせていただいた次第でございます。

○今村主査
 ありがとうございます、こちらの意図をよく酌んでいただいて。やはり質問の仕方は大事だと思うのですが、かなりリアリティとともに伝わってまいりました。ただ、私が申し上げたかったのは、先ほどの土井委員や、確か三宅委員でしたかね、平時の時に設定した目標数値だから、これについてはもう少し我々は考慮しなければいけないという御指摘が色々あったのですが、まずは軸として、定量的な目標として設定した数値がどういう風に達成されたかを考えて、そこから定性的な要素、色々な、コロナという特殊要因を考えて、最終的に評価をどうするのかという考え方になるかと思いますので、今の情報は非常に貴重な情報だったと思います。それでは、次は土橋委員から、よろしくお願いいたします。

○土橋構成員
 丁寧な御説明をありがとうございます。私もS評価については、この資料だけでは分かりにくいです。色々御説明いただき、また、今後の課題についても構成員の方々から出されておりますので、これ以上、私から言うことはございません。
 別件について申し上げます。労働者健康安全機構は研究部門をたくさん持たれております。課題の1つ目も研究の推進ということになっております。ここでは、どちらかというと行政課題に直結するようなことを重点化してやっているということで、もちろん、行政に活かせることをたくさん研究されるのは一番重要なことで問題のないことですが、一応、研究部門ということですので、専門家である研究員一人一人が感じていること、あるいは学会に出席したり、内外の研究を見て、この辺りをもう少し考えておいた方がいいなど、色々な気付きはあるはずです。
 もう少し中長期的に、研究なので基礎研究的に持っていくというものも、長い目で見ると研究というのは、行政課題をやっているだけでは研究機関としてはいかがなものかというところも少し感じております。そういう意味で、研究者からのボトムアップ的な課題提出みたいなものをうまく機能すべきだと思うのですが、その辺りはどのようになっているのでしょうか。お願いいたします。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 御質問ありがとうございました。説明資料の6ページを御覧ください。説明時間の制約で端折って説明してしまい申し訳ございませんでした。参考事項の「研究評価の厳格な実施と評価結果の公表」です。先ほど少し触れさせていただいたのですが、研究そのものについては、「研究の適正かつ客観的な評価」や「労働安全衛生施策に資する研究の推進」のほか、「研究者が納得し、意欲を持って研究ができる環境の整備」を3本柱として並立させるスキームでやっております。
 研究にも色々あり、今、先生から御指摘いただいた基礎的というと、参考事項の上の方の一番右を御覧ください。今申し上げたスキームのフローで示した①~③のほかに、以下(④⑤)の機会を研究員に提供しております。研究者の裁量で研究計画が立案できる「基盤的研究」も取り入れております。もちろん、行政に直結して貢献するような研究も厚生労働省の御要望に応じて、随時、適切にやっていきたいと思っていますが、それとは別に、今申し上げた「基盤的研究」という枠組みを用いて、研究者それぞれが専門とする部分の研究も深めていただいているところです。よろしくお願いいたします。

○土橋構成員
 分かりました。重要な視点だと思いますので、中長期的な目を持って進めていただければと思います。ありがとうございました。

○今村主査
 いかがでしょうか。

○安井構成員
 御説明いただき、ありがとうございました。1-1-1と1-1-2に関してお伺いいたします。「指標の達成状況」の所に、ホームページアクセス数を掲載されています。4ページの1-1-1のホームページアクセス数は310万回で、7ページの1-1-2のホームページアクセス数は310万回ということで同じ数字が載っております。ホームページの中の研究業績等へのアクセス総数を増やすことを目標にされているのだと思いますが、ホームページアクセス数は、1-1-1は労働安全衛生施策についての研究に関するアクセス数、また、1-1-2は労災疾病等に関する研究業績へのアクセス数になっているのかについて教えていただければと思います。

○労働者健康安全機構研究試験企画調整部長
 お答えいたします。ホームページのアクセス数については、両方とも同じ数字を掲載させていただいております。例えば、機構の中の労働安全衛生総合研究所や日本バイオアッセイ研究センターなどの研究所部門のホームページのアクセス数と、記憶が少しあいまいなのですが、あとは労災疾病研究、両立支援や産業保健事業における研究関係のホームページのアクセス数で、同じ数字をこちらのページに掲載させていただいたという整理です。

○安井構成員
 分かりました。1-1-2の指標はホームページアクセス数しかなく、その下の要因分析でも、ホームページアクセス数が伸びた要因を書いていただいたうえで、評価Aとなっております。もし仮に、ホームページアクセス数の大部分が1-1-2のアクセスによるものであれば、ホームページアクセス数を1-1-1の指標に使うことは不適当だと考えられますが、その点はいかがでしょうか。

○労働者健康安全機構理事(代田)
 我々は指標設定自体に無縁だとは申し上げませんが、指標自体の当否について私共に問われるのは、申し訳ないのですが、私共はいただいた指標を目安に事業を展開しているというのが基本的な認識です。その点について、当否を当機構に問われるのは正直中々厳しいところです。今日、議論の中で指標の有り様についても様々なお話がございました。今村先生からもありましたが、正に指標があって、中期目標管理法人ですから目標を前提にして事業をするという意味では極めて重要なものです。
 私共としては、事業を実施するに当たり、これを咀嚼しながら、それを逆に実績としてもお示ししながらという形で、必ずしも指標だけで御説明しないように工夫をさせていただいているつもりです。しかしながら、指標自体について私共からコメントをすることは控えた方がいいのかと思っております。

○安井構成員
 ありがとうございます。民間シンクタンクでは、論文やレポートを出しますが、一つ一つの公表物に対して何件アクセスがあったかということを毎月把握しております。健安機構がホームページアクセス数を労災疾病等に関する指標とするのであれば、自然に労災疾病等に関する業績へのアクセス数を見、労働安全衛生施策に関する指標とするのであれば、労働安全衛生施策に関する業績へのアクセス数を見ようとするのが通常考えられることではないかと思い、少なくとも内部はアクセス数について分析されているのかということでお伺いした次第です。

○今村主査
 今の質問ですが、最近はWeb解析士というお仕事が増えておりますが、組織内部で閲覧回数だけではなく、どこまで質的なアクセス内容を細分化して把握しているかということを御質問でおっしゃったかと思います。そこは重要な問題提起だと思いますが、いかがでしょうか。現状は回数だけですか。それとも内部で、もう少しアナリティクス解析でやっていらっしゃるのでしょうか。

○労働者健康安全機構総務部長
 労働安全衛生総合研究所のホームページなり、労災疾病研究のホームページなり、どのページを見られたかという件数については、適宜集計して、それぞれの所掌部に対して、その数字を提供しているところです。

○今村主査
 分かりました。やっていない感じがしますが。

○志藤構成員
 私もホームページについてお伺いいたします。これは誤植だと思うのですが、7ページの「中期目標の内容」の4番です。「中期目標期間中におけるホームページ中の研究業績等へのアクセス総数を1,200万回以上とすること」と書いてあります。これは国民老若男女を合わせて10分の1の数字が目標というのは、余りにも高い数字ではないかというのが1点です。
 それとは裏腹なのですが、回数だけを実績とする、あるいは、評価の基準とすることに関しては、危険性を私は感じており、昨今、色々なところで言われていることです。意図的な何かが働くこともあり、悪意もあるということを考えると、数が多い、あるいは、誹謗中傷された、褒められたということで、極端で失礼な言い方ですが、余り一喜一憂することのないような基準も大事なことかと思っております。
 そういう意味で、少し意地の悪いことを申し上げるのですが、9ページで、タクシードライバーのお弁当と言うか、夕御飯、深夜の食事がコンビニでこういうものがいいということで出したところ、「おっ、めちゃ便利」とか、3万人を超える反響があったということです。是非はともかくとして、行政の政策を施行する上でベースになる大事な研究をなさっておられる日本で唯一の、働く人間にとって巨大な存在である機構が、失礼なことを申し上げるつもりはないのですけれども、この程度のことで喜ぶという形で評価を出されるというのは、私は少し残念な気がして、もう少し志の高いものをお出しいただけるとうれしいなと思います。
 硬軟取り混ぜることはいいのですが、正直申し上げると、少し違和感を感じました。数や評価が高いということについて、私は疑問を感じているということを、大変失礼ながら申し上げさせていただきます。
 もう1点は、記憶が定かではないのですが、先ほど、法律としてそれが施行されるまでの間にタイムラグがあるので、基準が高くならないというお話がありました。だとしたら、それが施行されるまでのことも含んだ上で、それこそインディケーターを立てないと、そこ自体を評価することができないのではないかという気がいたします。その辺りについて少し疑問に感じたということで、感想と意見を述べさせていただきました。失礼いたしました。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 先生、すみません。最後の基準に反映するのがタイムラグというのは、私が冒頭に説明した、研究の成果が当該年度の法令等の制改定に反映するのが少し遅れることがあるという部分でしょうか。

○志藤構成員
 はい。

○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 研究所は、厚生労働省から、このテーマについて研究してくださいと言われたものについては、当該年度に結果を出します。その後、厚生労働省で煮るなり焼くなりと言ったら語弊があるのですが、法令、ガイドライン、レベルなど、どういうものに仕上げていくかは厚生労働省で処理されるものなので、言ってみれば、私共は研究の成果を納入した後は手を出せません。実例なのですが、結果がすぐに反映されるものもあり、数年後に法令改正に反映されたというものも実際にあります。これについてはタイムラグがあり、少し増減があるという趣旨で御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。
 あと、1,200万回というのは5か年の合計です。ですので、1年当たり240万回が目標です。これは過去の平成29年度の実績に基づいて立てられているのですが、先ほど当方の理事が申し上げた通り、ここに掲げる目標について、それがいいかどうかという是非について当機構で申し上げるのは中々難しいものがあるというのは、先ほどの御説明の通りです。よろしくお願いいたします。

○今村主査
 大分、時間が過ぎてまいりました。1つだけ申し上げます。1-9の納骨堂の問題について、数値はB評価なのですが、今年度はAということです。その理由は、動画配信をしたという程度のことなので、これは再考いただければと思います。あくまで、これはコメントです。BをAにして、特に頑張っているという情報が少ないというコメントです。お願いいたします。もし何かお気付きの点がありましたら、簡単なコメントで結構ですので、お願いいたします。

○安井構成員
 コメントです。先ほどのホームページの件です。実は他の独立行政法人にも申し上げたところ、同法人は今まで分析が不十分だったと御認識されて、これからはしっかり分析し、どういうサイトに、どういう方がアクセスしたのかということを把握した上でやっていきたいとおっしゃってくださいました。ですので、国民にとって非常に有益な施策も多いことですから、是非前向きに、国民がアクセスしやすくなるような施策をやっていただけると有り難いと思っております。

○今村主査
 どうもありがとうございます。先ほど、私も同じことを繰り返し申し上げました。しっかり御検討をお願いいたします。それでは、法人の監事及び理事長から、年度、中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントをいただければと思います。まず、法人の監事から、続いて、法人の理事長よりお願い申し上げます。

○労働者健康安全機構監事(遠藤)
 常勤監事の遠藤です。それでは、資料2-5にある監査報告を御覧ください。この監査報告は、令和3年6月28日付けで当機構の理事長宛てに提出したものです。
 ページ番号を振っておらず申し訳ございません。次のページのⅠには、監査の具体的な方法と内容について記載しております。例年どおり、全国に展開する労災病院等への施設往査を含めて監査を行いました。ちなみに、令和2年度の対象は31施設となりました。当初の計画では37施設を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、一部が延期や中止となりました。一方で、2施設に限りましたが、試行的にリモート監査も実施させていただきました。
 Ⅱでは、監査の結果について記載したものです。法人の業務執行の適法性、有効性、効率性をはじめ、1~5まで個別に意見を述べています。先ほどの説明のとおり、日本バイオアッセイ研究センターにおける「試験方法に関する手順書からの逸脱行為」が、本年3月に機構の調査で明らかになったことから、指摘すべき重大な事項として別紙を添付しております。本件以外では、監査報告において指摘すべき事項は見受けられませんでした。
 最終ページの別紙を御覧ください。最後の2行です。文字を補う形となりますが、今般の厚生労働省の報告書及び報告書を踏まえた指導につきましては、真摯に受け止めてガバナンスの強化を図りながら、認定された逸脱行為の再発防止はもちろんのこと、日本バイオアッセイ研究センターの組織立て直しに向けて厳正かつ的確な対応が求められるところです。
 監査報告としては以上ですが、ここで少しだけ口頭で意見を述べさせていただきます。まずは、中期目標や年度計画についてです。監事としては、重点化対象項目はもちろんのこと、その他の項目や課題についても、本機構は真摯に取り組んでおり、概ね期待に応える成果を上げてきたという印象を持っております。
 特に、治療と就労の両立支援については、本中期計画期間を通じて機構に課せられた重大な課題であり、コロナ禍という制約がある中で、引き続き、社会への働きかけを高い水準で継続しているものと評価しています。今なお、セミナー開催の案内を出すと僅か数日で定員を満たしており、国民の関心が高いテーマであるということを再認識しているところです。昨年のこの場でも、また、今回も、御指摘いただいた質的向上の継続的な取組については、令和3年度の取組として、より一層具体化していくものではないかと期待しています。
 最後に、機構にとって喫緊の課題は、労災病院の経営状況の改善です。超高齢社会の到来や人口減少の急速な進行に加えて、コロナ禍にあって患者の受診抑制や不要不急の手術延期など、大変厳しい経営環境にあります。労災病院に求められる医療ニーズは、地域ごとに異なります。未充足医師の確保を図りながら効率的な病床運用に取り組んでおり、一部に病棟病床のダウンサイジングや機能見直しなどの動きがありますが、地域医療を支える重要な役割を果たしていくことには何ら変わりはありません。
 勤労者の人生を支える大きな役割を担っている本機構にとって、病院事業は根幹です。労災病院全体の健全な経営や魅力的な将来展望に向けて、危機感を、より一層高めて、スピード感を持って引き続き尽力されることを期待しております。以上です。

○今村主査
 ありがとうございます。続いて、理事長からお願いいたします。

○労働者健康安全機構理事長
 では、発言させていただきます。当機構については、平成28年度の統合以来、理念、行動指針ということで、先ほど来のホームページにも出ておりますが、勤労者医療の充実、勤労者の安全向上、産業保健の強化という3本柱の下に、我が国の産業、経済の礎を維持、発展させると同時に、勤労者一人一人の人生とキャリアを支えるという大きな役割を担っているところです。しかしながら、昨年を振り返ると、新型コロナウイルスによるパンデミックもあり、社会経済への衝撃、当機構の事業においても困難を極めた1年でした。
 新型コロナウイルス感染症における当機構の対応については先ほど来申し上げているところですが、何よりも公的な医療機関である労災病院を中心に、地域の医療体制の確保を前提としながらコロナ患者の治療に努めて、産業保健活動として職場の感染防止対策にも協力し、我々に課せられた業務をしっかりやってきました。現在は、コロナウイルスワクチンの接種が始まりましたが、もうしばらくは予断を許さない状況なのではないかと思っております。
 第4期中期目標期間に入り、引き続き、働き方改革への対応や治療と仕事の両立などは重要な位置付けとなっております。昨年度は、先ほど来のコロナ禍の影響もあり、様々なデジタルツールの導入や、テレワークの推進という勤務形態などの変化も見られたところです。このようにして、新しい生活様式の下に従来にも増して労働者の健康と安全に注意を払いながら、病を得てもお歳を召しても働くことができるように支援することが当機構の重要な課題であると考えております。
 働く人々の職業生活を医療と健康の面から支えるという理念の下で、フロントランナーとしての役割を充実させて産業保健活動総合支援事業、治療就労両立支援事業について、より一層の充実を図っていきたいと思っております。取分け、主治医や会社の産業医と患者に寄り添う両立支援コーディネーターのトライアングル型のサポート体制の実現に向けては、オンライン形式に変更しながらコーディネーターの養成を継続してきました。
 同時に、両立支援マニュアルを全ての疾患に対応した両立支援コーディネーターマニュアルに更新するという取組も進めてきております。先ほど来、説明がありましたが、両立支援コーディネーターの養成数がWebの活用によって大きく増加するなどの新たな方向性も見えましたので、さらに量や質ともに向上するように継続した取組を進めていきたいと思っております。
 この両立支援の促進については、事業場における両立支援に対する理解の醸成が求められます。労災病院や治療就労両立支援センター、産業保健総合支援センターは、一層密に円滑に連携しながら進めていきたいと思っております。病院に勤務されている多くの医師に対して、両立支援が一昨年の診療報酬に収載されたことや、主治医として必ずしも治癒しない状況にある患者のキャリアを支援するという観点も必要ですので、様々な学術団体、基本的には医師なので医学の学術団体への啓発活動も続けていきたいと思っております。
 病気ではないけれども健康でもないという、いわゆる未病の労働者が増えています。これはお年を召した方が増えておりますので、こういう状況にあっては、労働者が健康で働くためには企業における産業保健活動を高めていくことが必要です。特に、我が国の大多数を占める中小企業においては、産業保健活動が未だに低調のままにとどまっておりますので、中小の事業場における産業保健活動を高めていくことが、我が国の労働者が健康で働き続けることができて、ひいては、日本が元気であり続けるには大変重要です。産業保健総合支援センターが中心となり、先ほど来のお話のように、中小企業に対する産業保健活動の強化に引き続き邁進したいと思っております。
 第4期中期目標期間においては、複数の施設が有する機能を連携させて行う、いわゆる協働研究が極めて重要であると位置付けられております。そういう認識の下に、労働災害を減少させる、社会復帰を促進するという形で、連携による相乗作用を発揮しながら様々に展開していきたいと思っております。
 社会状況は徐々に変化しております。この先、人口が減少していく中にあっても、労災病院はそれぞれの地域で大事な役割を担っていますので、地域で必要とされる医療を継続して提供するには、やはり、安定的な運営、経営の基盤がとても大事になります。
 今日の状況を踏まえて、それぞれの労災病院が果たすべき役割について、中長期的かつ戦略的な検討を、引き続き進めることを考えております。コロナ禍において雇用状況が著しく悪化し、労働者やその御家族の生活を守るセーフティネットたる未払賃金の立替払事業は大変必要な事業ですので、今後とも関係機関との連携を強化していきたいと思っております。
 最後に、今村先生も言及されましたが、労働災害において殉職された方々について、御遺族の援護とともに慰霊の場にふさわしい施設を維持していくことも大変重要です。継続してしっかり取り組んでいきたいと思っております。
 また、本日の業務実績で触れさせていただきましたが、日本バイオアッセイ研究センターにおける「試験方法に関する手順書からの逸脱行為」の件は誠に残念です。手順書から外れた処理云々とありましたが、本件については、多大なる御迷惑をお掛けしたことについて深くお詫び申し上げます。そして、再発防止に真摯に取り組んでいく所存です。厚生労働省の検討会からの報告書などを真摯に受け止めてしっかり取り組んでいくということを、ここでお約束したいと思います。そして、独立行政法人として高いレベルの社会的要請にしっかり応えていく必要がありますので、コンプライアンスの徹底、法人としてのガバナンスを強化しながら内部統制に努めていきたいと思っております。
 本日は有識者の皆様から大変貴重な御意見を賜りました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。働く人々の健康と安全を守り続けるという大きな目的に向かって、皆様からいただいた大事な御意見、御指摘、御助言を、今後、私たちの事業の運営にしっかり反映させていきたいと思っております。本日は誠にありがとうございました。以上です。

○今村主査
 ありがとうございました。ただいまの法人監事及び理事長の御発言内容について、御意見、御質問等はございますか。
 簡単なまとめですが、今日、我々も色々なことを勉強させていただきました。客観的な指標、より精緻化、適格化が必要だということもはっきり認識いたしました。一方で、クレモナの病院の屋上からヴァイオリンを演奏して現地の医療従事者を癒やしたという日本人の女性ヴァイオリニストの事例のように、しっかり現場との共感を大事にしながら、より良い評価を目指していきたいと思います。皆様から貴重な御意見を頂き、本当にありがとうございました。以上で議事は終了です。それでは、事務局からお願いします。

○事務局
 今後の流れについて御連絡いたします。本日、御議論いただいた労働者健康安全機構の令和2年度業務実績評価については、この後、本WGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。なお、評価に関しては、7月19日(月)開催の労働WGの際にも説明しましたが、法人へのインセンティブとして、試行的に評定には影響しないものの法人の今後の運営の参考となる御指摘について取りまとめたいと思います。
 この後、高齢・障害・求職者雇用支援機構の有識者会議が開催されますが、大木構成員におかれましては、同機構が開催する調査研究委員会の座長に就いている関係から、次の有識者会議には参加せず、本会議が終わりましたら退席されます。大木先生、ありがとうございました。事務局からは以上です。

○今村主査
 それでは、労働者健康安全機構に係る意見聴取を終了いたします。この後、休憩を挟んで、高齢・障害・求職者雇用支援機構に係る意見聴取となりますが、何時から開催するかについては事務局から連絡してください。

○事務局
 それでは、時間が過ぎておりますので、15時25分からでいかがでしょうか。

○今村主査
 よろしくお願いします。

(了)